情報処理端末および発音システム
【課題】電子機器において、各種設定を行うための操作パネルの構成を簡易な構成にしつつも、直感的な設定を可能とする。
【解決手段】発音システムは、電子楽器20との位置関係に基づいて決められる電子楽器20を制御するための設定に関する内容を表示画面131に表示し、タッチセンサ121になされた操作に基づいて制御情報を送信する情報処理端末10、および、受信した制御情報に応じて発音に関する設定を行い、設定の内容に基づいてオーディオ信号を生成する電子楽器20を有する。
【解決手段】発音システムは、電子楽器20との位置関係に基づいて決められる電子楽器20を制御するための設定に関する内容を表示画面131に表示し、タッチセンサ121になされた操作に基づいて制御情報を送信する情報処理端末10、および、受信した制御情報に応じて発音に関する設定を行い、設定の内容に基づいてオーディオ信号を生成する電子楽器20を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対する設定を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子楽器は、様々な音色での発音、自動演奏など、多くの機能を有している。これらの機能については、各種設定、例えば、発音させる音色の設定、音色のパラメータの設定、自動演奏の設定などを行った上で、その設定に応じて処理内容が制御される。様々な設定は電子楽器の操作パネルなどに設けられた操作子を用いて行う場合が多い。その場合、扱える機能の数の増大に伴って、操作子の数も多く必要となり操作パネルが非常に煩雑になってしまう。そこで、設定内容を変更するための一の操作子について、変更可能な設定内容を異なる内容に切り替えるように、操作子に割り当てられている機能を適宜変更することができるような技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−217027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す技術においては、電子楽器が有する操作子の数を少なくすれば、操作パネルを簡易に構成することができるが、操作子に割り当てられる機能を頻繁に変更しなくてはならない。一方、電子楽器が有する操作子の数を多くすれば、操作子に割り当てられる機能を変更する回数を減らすことができるが、操作パネルが煩雑な構成となる。また、操作子に割り当てられた機能がどのようなものかを、利用者に直感的に把握させるために、操作パネルには、操作子だけでなく各操作子に対応した表示画面も必要であった。
本発明は、電子機器において、各種設定を行うための操作パネルの構成を簡易な構成にしつつも、直感的な設定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、電子機器と通信する情報処理端末において、前記電子機器と前記情報処理端末との位置関係を特定する特定手段と、表示画面を有する表示手段と、操作を受け付ける操作手段と、前記表示手段を制御して、前記特定手段によって特定された位置関係に基づいて決められる前記電子機器の制御をするための設定に関する内容を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、前記操作手段によって受け付けられた操作、および前記電子機器の制御をするための設定に関する内容に基づいて、前記電子機器を制御するための制御情報を生成する制御情報生成手段と、前記制御情報生成手段によって生成された制御情報を前記電子機器に送信する制御情報送信手段とを具備することを特徴とする情報処理端末を提供する。
【0006】
また、別の好ましい態様において、前記情報処理端末の姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第1の条件を満たしている場合に、前記電子機器の制御に関する情報を記憶する外部装置と通信をする外部装置通信手段とをさらに具備し、前記表示制御手段は、前記外部装置通信手段による通信がなされると、前記表示画面に表示される内容を、当該通信の内容に応じて制御し、前記制御情報生成手段は、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第2の条件を満たしている場合に、前記制御情報を生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記記載の情報処理端末および前記電子機器を有する発音システムにおいて、前記電子機器は、前記情報処理端末から送信された制御情報を受信する制御情報受信手段と、前記制御情報受信手段によって受信された制御情報に応じて、発音に関する設定を行う設定手段と、発音の指示を示す指示情報を取得する取得手段と、前記設定手段による設定の内容および前記取得手段によって取得された指示情報に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段とを具備することを特徴とする発音システム。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記情報処理端末は、前記オーディオ信号生成手段によってオーディオ信号の生成が開始されたことを検出する生成開始検出手段をさらに具備し、前記表示制御手段は、前記生成開始検出手段により前記オーディオ信号の生成が開始されたことが検出されると、前記表示画面に表示される内容を変更するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記電子機器は、前記設定手段による設定の内容を示す設定情報を、前記情報処理端末に送信する設定情報送信手段をさらに具備し、前記情報処理端末は、前記電子機器から送信された設定情報を受信する設定情報受信手段と、前記設定情報受信手段によって受信された設定情報を記録する設定情報記録手段とをさらに具備し、前記制御情報生成手段が生成する制御情報には、前記設定情報記録手段によって記録された設定情報が示す内容を前記設定手段に設定させる情報が含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器において、各種設定を行うための操作パネルの構成を簡易な構成にしつつも、直感的な設定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における発音システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態における電子楽器の構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における分割領域を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態における情報処理端末の構成を説明するブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における機能割当情報を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態における情報処理端末の制御情報出力機能と電子楽器の設定処理機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態における情報処理端末における表示内容の一例を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態における情報処理端末の向きを変えた場合における表示内容の一例を説明する図である。
【図9】本発明の変形例1における機能割当情報を説明する図である。
【図10】本発明の変形例2における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図11】本発明の変形例3における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図12】本発明の変形例4における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態における発音システム1の構成を説明する図である。発音システム1は、情報処理端末10および電子楽器20を有する。情報処理端末10は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯可能な情報処理端末である。電子楽器20は、本発明の電子機器の一例として、電子ピアノなどの楽器であり、自動演奏、鍵盤221の演奏操作などに応じてオーディオ信号を生成して出力する発音装置を有する楽器である。
【0013】
図1(a)に示すように、情報処理端末10は、筐体100の前面に、タッチセンサ121、操作ボタン122、および表示画面131を有する。タッチセンサ121は、表示画面131の前面に設けられ、表示画面131とともに、タッチパネルを構成している。操作ボタン122は、図1においては、1つのみであるが、複数であってもよいし、なくてもよい。電子楽器20は、筐体200に取り付けられた鍵盤221および操作ボタン222を有する。なお、電子楽器20は、操作ボタン222を有していなくてもよい。
【0014】
筐体200の一部には、情報処理端末10が置かれた場合に、情報処理端末10によってその置かれた位置を検出させるための領域である検出領域DAが設けられている。この検出領域DAは、一般的な電子ピアノなどにおける操作パネルが設けられる領域である。図1(b)に示すように、情報処理端末10は、電子楽器20の検出領域DAに置かれると、置かれた位置に応じて電子楽器20の制御を行うための各種設定を行うことができる。このとき、情報処理端末10の位置を移動させたり、向きを回転させたりすると、その位置、向きに応じて、情報処理端末10において設定可能な内容が変更される。設定可能な内容は、表示画面131の表示により利用者に提示される。利用者は、タッチセンサ121などへの操作により、表示画面131の表示に対応する各種設定におけるパラメータなどを変更することができる。
【0015】
図1(c)は、検出領域DAに情報処理端末10が置かれた状態(図1(b))において、電子楽器20を側面(図1(b)左側)から見た図である。図1(c)に示すように、検出領域DAの筐体200内部側には、位置出力部24が設けられている。また、筐体200における検出領域DA部分の面は、この例においては、電子楽器20が水平面に設置された場合に、水平面に対して傾斜するように構成されている。
【0016】
[電子楽器20の構成]
図2は、本発明の実施形態における電子楽器20の構成を説明するブロック図である。電子楽器20は、制御部21、操作部22、記憶部26、通信部27、音源部28、インタフェイス29を有する。これらの各構成については、互いにバスで接続されている。また、電子楽器20は、検出領域DA近傍に設けられた位置出力部24を有する。
【0017】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部21は、ROMまたは記憶部26に記憶された制御プログラムを実行することにより、バスを介して電子楽器20の各部を制御する。この例においては、制御部21は、制御プログラムを実行することにより、電子楽器20を制御するための各種設定を行う設定処理機能などの各種機能を実現する。
【0018】
操作部22は、鍵盤221および操作ボタン222を有する。鍵盤221は、複数の鍵(この例においては61鍵)により構成され、利用者からの演奏操作を受け付ける演奏操作子である。操作ボタン222は、利用者からの操作を受け付ける操作子であり、この例においては、予め割り当てられた機能(設定された曲の再生、早送り、巻き戻しなど)を発揮するための指示を受け付ける。操作部22は、鍵盤221に受け付けられた演奏操作の内容を示す演奏操作情報、操作ボタン222に受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部21に出力する。
【0019】
記憶部26は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの記録媒体であり、自動演奏に用いるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式などで記述された演奏データ、制御に用いる設定の内容を示す設定情報などの各種情報などが記憶される領域を有する。
通信部27は、制御部21の制御に応じて、他の装置と無線、有線により通信を行う。この例においては、通信部27は、情報処理端末10と無線により通信して、各種情報の送受信を行う。
【0020】
音源部28は、トーンジェネレータ、DSP(Digital Signal Processor)などを有し、制御部21からの制御に応じて、オーディオ信号を生成する。また、音源部28は、制御部21からの制御に応じて、生成すべきオーディオ信号に関するパラメータなどが設定される。
インタフェイス29は、音源部28において生成されたオーディオ信号を外部装置に供給するための出力端子など、外部装置と接続するための端子を有する。
【0021】
位置出力部24は、検出領域DAに置かれた情報処理端末10に対して、その置かれた位置を検出させるための構成を有する。この例においては、位置出力部24は、複数のRFID(Radio Frequency IDentification)チップを有している。複数のRFIDチップは、検出領域DAに対応した筐体200の内側の複数箇所に設けられ、設けられた位置に応じた識別IDを記憶している。この例においては、検出領域DAは、複数の領域に分割され、分割された領域(以下、分割領域という)のそれぞれに少なくとも1つのRFIDチップが設けられている。
【0022】
図3は、本発明の実施形態における分割領域を説明する図である。図3に示すように、検出領域DAは、分割領域A、B、・・・、Gの7つに分割されている。位置出力部24におけるRFIDチップは、それぞれの分割領域の中央部分に1つずつ設けられている。すなわち、識別IDは、この例においては、分割領域を示すものとなる。
【0023】
情報処理端末10が分割領域のいずれかに置かれると、情報処理端末10が有する位置検出部14(詳細は後述(図4参照))により、位置検出部14の近傍にある最も近いRFIDチップの識別IDが読み出される。情報処理端末10は、読み出した識別IDにより、自装置が置かれた分割領域を検出することができる。なお、情報処理端末10により読み出された識別IDにより、情報処理端末10の置かれた分割領域を認識させることができれば、各分割領域におけるRFIDチップの数は1つに限らず、複数個であってもよい。
以上が、電子楽器20のハードウエア構成についての説明である。
【0024】
[情報処理端末10の構成]
図4は、本発明の実施形態における情報処理端末10の構成を説明するブロック図である。情報処理端末10は、制御部11、操作部12、表示部13、位置検出部14、姿勢検出部15、記憶部16、通信部17を有する。これらの各構成については、互いにバスで接続されている。
【0025】
制御部11は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部11は、ROMまたは記憶部16に記憶された制御プログラムを実行することにより、バスを介して情報処理端末10の各部を制御する。この例においては、制御部11は、制御プログラムを実行することにより、電子楽器20を制御するための制御情報を出力する制御情報出力機能などの各種機能を実現する。この例においては、各種機能には、一般的な携帯電話、PDAなどが有する機能が含まれているが、必ずしも含まれていなくてもよい。
【0026】
操作部12は、利用者からの操作を受け付けるタッチセンサ121および操作ボタン122を有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部11に出力する。
表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御に応じた内容の表示を表示画面131に行う。表示画面131に表示される内容は、制御情報出力機能が実現されているときには、電子楽器20を制御するための各種設定を行う設定画面などである。
【0027】
位置検出部14は、電子楽器20における検出領域DAに情報処理端末10が置かれた場合に、検出領域DAのうち、どの位置に置かれたかを検出する。この例においては、位置検出部14は、RFIDチップを読み出すためのリーダである。位置検出部14は、制御部11の制御に応じて、電子楽器20の位置出力部24におけるRFIDチップに記憶された識別IDを読み出し、読み出した識別IDを制御部11に出力する。
【0028】
姿勢検出部15は、加速度センサ、角速度センサなどを有し、情報処理端末10の筐体100の向きを検出する。この例においては、姿勢検出部15は、制御部11の制御に応じて、筐体100に対して重力方向がどの方向であるかを検出し、検出結果を示す情報を制御部11に出力することにより、下方に位置している筐体100の部分を特定させる。以下の説明においては、筐体100の短辺部分が下方に位置している場合には、情報処理端末10(筐体100)が「縦向き」であるといい、筐体100の長辺部分が下方に位置している場合には、情報処理端末10(筐体100)が「横向き」であるという。例えば、先に示した図1(b)に示す情報処理端末10は、横向きである。
【0029】
記憶部16は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの記録媒体であり、情報処理端末10が置かれた分割領域に応じて機能する内容を規定する機能割当情報、これらの各機能を実現するためのアプリケーションプログラム、その他、これらのアプリケーションプログラムにおいて用いられる各種情報、データなどが記憶される領域を有する。
【0030】
図5は、本発明の実施形態における機能割当情報を説明する図である。機能割当情報は、検出領域DAにおける分割領域A、B、・・・、Gと、実行機能との対応関係を規定した情報である。実行機能とは、分割領域に情報処理端末10が置かれている場合に、分割領域における位置に対応して情報処理端末10で実行されるアプリケーションプログラムによって実現される機能である。例えば、分割領域Aに情報処理端末10が置かれた場合、「音色選択」の機能を実現するアプリケーションプログラムが制御部11によって実行される。
このアプリケーションプログラムにより実現される機能は、情報処理端末10の姿勢によって処理の内容が切り替えられるように構成されている。この例においては、情報処理端末10が横向きである場合には、実現される機能について電子楽器20の制御に関する処理、情報処理端末10が縦向きである場合には、図示しないサーバ装置などの外部装置と通信して、その機能に関する情報を取得する処理として切り替えられるようになっている。このサーバ装置には、電子楽器20の制御に関する情報が記憶されている。以下、各機能について簡単に説明する。
【0031】
「音色選択」とは、電子楽器20において鍵が操作されたときに生成されるオーディオ信号が示す音色を、複数の候補となる複数の音色から選択して決定するための機能である。「音色編集」とは、候補となる音色の特徴を規定する特徴パラメータを編集したり、新たに候補となる音色の特徴パラメータを決定したりするための機能である。「曲選択」とは、電子楽器20において自動演奏をさせる曲を、候補となる複数の曲から選択して決定するための機能である。「リズムスタイル選択」とは、電子楽器20の利用者が演奏するときの伴奏となるリズムを、候補となる複数のリズム(Rock、Jazzなど)から選択して決定するための機能である。「キーアサイン」とは、電子楽器20における鍵盤221を複数の領域に分けて、それぞれの領域に音色を割り当てるための機能である。すなわち、特定の領域の鍵を演奏操作すると、その特定の領域に割り当てられた音色のオーディオ信号が生成されるようにするための機能である。「メトロノーム」とは、電子楽器20において自動演奏が行われるときの進行速度を規定するための機能である。「録音」とは、利用者が鍵盤221を用いて行った演奏操作の内容を演奏データとして記憶部26に記録する処理の開始、停止などを指示するための機能である。
【0032】
図4に戻って説明を続ける。通信部17は、制御部11の制御に応じて、他の装置と無線、有線により通信を行う。この例においては、通信部17は、電子楽器20と無線により通信して、通信部27を介して各種情報の送受信を行う。
以上が、情報処理端末10のハードウエア構成についての説明である。
【0033】
[機能構成]
次に、情報処理端末10の制御部11が制御プログラムを実行することによって実現される制御情報出力機能、および電子楽器20の制御部21が制御プログラムを実行することによって実現される設定処理機能について説明する。なお、以下に説明する制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。また、以下に説明する設定処理機能を実現する設定処理部210における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。
【0034】
図6は、本発明の実施形態における情報処理端末10の制御情報出力機能と電子楽器20の設定処理機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【0035】
[制御情報出力機能]
制御情報出力部110は、特定部111、表示制御部112および制御情報生成部113を有する。
特定部111は、位置検出部14から出力される識別IDを取得し、電子楽器20と情報処理端末10との位置関係を特定する。この例においては、特定部111は、検出領域DAのうち、どの分割領域に情報処理端末10が位置しているかを特定する。例えば、特定部111は、識別IDが分割領域Aを示すものであれば、情報処理端末10は、電子楽器20における分割領域Aに置かれているという位置関係を特定する。特定部111は、特定した位置関係を示す情報、この例においては情報処理端末10が置かれた分割領域を示す位置情報を表示制御部112に出力する。
【0036】
表示制御部112は、特定部111から出力される位置情報を取得する。表示制御部112は、記憶部16に記憶されている機能割当情報を参照して、取得した位置情報が示す分割領域に対応する実行機能のアプリケーションプログラムを実行する。表示制御部112は、実行したアプリケーションプログラムにより実現される機能に応じて表示部13を制御して、電子楽器20を制御するための設定に関する内容を表示画面131に表示させる。このとき、表示制御部112は、姿勢検出部15から出力される情報を取得して、情報処理端末10の向きを認識して、上述したように、処理の内容を切り替える。
【0037】
例えば、情報処理端末10が分割領域Aに置かれて「音色選択」の機能が実現される場合には、表示画面131の表示内容は、情報処理端末10の向きが横向きであれば、電子楽器20において出力させる音色を選択するための表示となり、情報処理端末10の向きが縦向きであれば、新たな音色を実現するためのパラメータなどをサーバ装置から取得(ダウンロード)するための表示となる。このようにサーバ装置と通信する場合には、表示制御部112は、通信部17をサーバ装置などの外部装置と通信する外部装置通信手段として機能させ、通信の内容に応じて表示画面131の表示内容を変化させる。
また、表示制御部112は、表示画面131の表示内容に応じた情報を制御情報生成部113に出力する。この情報には、アイコンなどの表示位置と、その位置に対応したタッチパネル121の位置に操作がされたときに処理すべき内容との関係を示す情報が含まれている。
【0038】
制御情報生成部113は、表示制御部112から出力された情報と、操作部12から出力される操作情報とを取得し、これらの各情報の内容に応じて制御情報を生成する。
例えば、情報処理端末10の向きが横向きのときにおける上記例のように、表示画面131に音色を選択するための表示がなされている場合を想定する。この状態で、利用者によってタッチセンサ121に対して、ある音色(例えば、ピアノ)を選択、決定する指示に対応するアイコンの位置への操作がなされると、制御情報生成部113は、ピアノの音色に変更することを示す制御情報を生成する。そして、制御情報生成部113は、生成した制御情報を通信部17に出力して、電子楽器20に送信させる。この場合には、通信部17は制御情報通信手段として機能する。
【0039】
情報処理端末10の向きが縦向きのときにおける上記例のように、表示画面131に音色パラメータなどをサーバ装置からダウンロードするための表示がなされた場合を想定する。この状態で、利用者によってタッチセンサ121に対して、音色パラメータをダウンロードする指示に対応するアイコンの位置への操作がなされると、制御情報生成部113は、通信部17に対して、指定された音色パラメータをサーバ装置から取得するように制御する。そして、制御情報生成部113は、取得した音色パラメータを電子楽器20において用いるように制御する制御情報を生成する。そして、制御情報生成部113は、生成した制御情報を通信部17に出力して、音色パラメータと共に電子楽器20に送信させる。この例においては音色パラメータとしたが、サーバ装置から取得した情報の一例であり、他の情報でもよい。
以上が、制御情報出力機能についての説明である。
【0040】
[設定処理機能]
設定処理部210は、設定部211および取得部212を有する。
設定部211は、通信部27を介して情報処理端末10から送信された制御情報、サーバ装置から取得した情報などの各種情報を取得する。この場合の通信部27は、制御情報受信手段として機能する。設定部211は、取得した制御情報に応じて電子楽器20に発音に関する設定など各種設定を行う。例えば、上記例のように、ピアノの音色に変更することを示す制御情報を取得した場合には、設定部211は、音源部28の設定を、鍵盤221への演奏操作によりピアノの音色でオーディオ信号を生成する設定に変更する。
【0041】
また、音色パラメータとともに、その音色パラメータを電子楽器20において用いるように制御する制御情報を取得した場合には、設定部211は、音源部28において、その音色パラメータを用いた音色でオーディオ信号を生成することができるように設定する。なお、設定部211は、上記実行機能に対応して生成された制御情報に応じて、自動演奏をする曲を設定したり、追加したり、自動演奏の再生速度を設定したり様々な設定を行う。例えば、自動演奏をする曲を追加する場合には、設定部211は、記憶部26にその曲に対応した演奏データを記憶させる。また、自動演奏をする曲の設定、再生速度の設定の場合には、設定部211は、取得部212に対して、記憶部26から読み出して再生すべき楽曲データの設定、その再生速度の設定などを行う。
【0042】
取得部212は、発音の指示を示す指示情報を取得して音源部28に出力する。取得部212は、操作部22から出力される演奏操作情報に示される内容に応じて、音高などを特定し、その音高の発音を指示する指示情報として取得する。また、取得部212は、設定部211の設定および操作ボタン222などによる利用者からの再生指示により、記憶部26から楽曲データを読み出すと、楽曲データが示す内容の発音を指示する指示情報として取得する。
【0043】
取得部212において取得された指示情報が音源部28に出力されると、音源部28は、その指示情報および設定部211により設定された内容に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段として機能する。
以上が、設定処理機能についての説明である。
【0044】
[表示画面131の表示例]
続いて、情報処理端末10を検出領域DAのいずれかに置いたときの表示画面131の表示例について、図7、図8を用いて説明する。
【0045】
図7は、本発明の実施形態における情報処理端末10における表示内容の一例を説明する図である。図7(a)に示すように、情報処理端末10は、電子楽器20の検出領域DAのうち、分割領域A(図3参照)に対応する位置に横向きで置かれると、「音色選択」の機能に関する内容(音色を選択するための画面)を表示画面131に表示する。利用者は、この表示がなされている状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、音色の切り替え、決定を行うことができる。
【0046】
図7(b)に示すように、情報処理端末10は、利用者によって分割領域Fまで移動させられると、「メトロノーム」の機能に関する内容(自動演奏の再生速度を変更するための画面)を表示画面131に表示する。このとき、移動経路にある分割領域B、C、D、Eを通過する間は、それぞれ対応する機能に関する内容の表示がなされるようにしてもよいし、移動前の内容での表示が維持されていてもよいし、他の内容(「移動中」など)での表示がなされたりするようにしてもよい。
利用者は、情報処理端末10を分割領域Fに置いた状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、表示画面131に曲のテンポを示す表示がされるとともに、自動演奏するときの曲の再生速度を変更することができる。
【0047】
図8は、本発明の実施形態における情報処理端末10の向きを変えた場合における表示内容の一例を説明する図である。
図8に示す例は、情報処理端末10が分割領域Aに置かれた状態(図7(a))で、情報処理端末10が縦向きになるように向きを変えられた場合を示す例である。この場合には、音色を選択するための画面が表示画面131に表示されている状態から、サーバ装置から音色を取得するための画面に切り替わる。利用者は、この表示がなされている状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、音色のパラメータをサーバ装置からダウンロードして、音源部28が生成するオーディオ信号の音色に使用させるようにすることができる。
【0048】
このように、本発明の実施形態における発音システム1によれば、利用者は、情報処理端末10を電子楽器20における検出領域DAにおけるいずれかの位置に置くことにより、電子楽器20を制御するための設定をすることができる。このとき、利用者は、情報処理端末10を用いて、その位置を移動させることにより設定を行うための機能を変更する。したがって、利用者は、電子楽器20に設けられた操作ボタン222が多数存在しなくても、情報処理端末10を電子楽器20に対して移動させるなどして、直感的に電子楽器20を制御するための設定を行うことができる。
【0049】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態において、利用者は、情報処理端末10を電子楽器20に対して移動させることにより、電子楽器20への設定を行うための実行機能の選択をしていたが、この選択を行う際に、階層的に処理が行われるようにしてもよい。例えば、ある特定の機能が実現するために、利用者は、情報処理端末10を特定の分割領域に移動させることにより、第1階層として複数の分類から1つの分類を選択する。そして、利用者は、操作部12に対して予め決められた操作をして1つの分類を確定し、さらにその分類の中の第2階層として決められた複数の実行機能から、情報処理端末10を移動させて特定の分割領域に移動させることにより、特定の機能を選択する。このような構成を実現するためには、機能割当情報を階層化した構成とすればよい。
【0050】
図9は、本発明の変形例1における機能割当情報を説明する図である。この例における機能割当情報は、分割領域と分類との対応関係が第1階層として規定され、さらに第2階層として、分割領域と各分類に属する実行機能との対応関係が規定されている。
表示制御部112は、このように規定された機能割当情報を参照して、まず、特定部111から出力される位置情報が示す分割領域に対応する分類を特定し、特定した分類に応じた内容を表示画面131に表示させる。この状態において、表示制御部112は、操作部12から出力される操作情報を参照して、予め決められた操作(タッチセンサ121の特定の位置に接触する操作など)を検出すると、特定した分類に属する実行機能を選択する処理に移行する。すなわち、表示制御部112は、位置情報が示す分割領域に対応する実行機能を、先に特定された分類に属する実行機能から選択して、アプリケーションプログラムを実行する。
【0051】
例えば、「曲選択」の機能について使用したい場合には、利用者は、まず、情報処理端末10を分割領域Bに移動させる。この状態においては、表示画面131には、分類が「曲選択モード」であることを示す内容の表示がなされる。利用者がタッチセンサ121の特定の位置を接触するなどの予め決められた操作をすると、分割領域Bに位置する情報処理端末10の表示画面131には、「曲選択モード」の分類に属し、分割領域Bに対応する「楽譜表示」の機能に関する内容が表示画面131に表示される。そして、利用者は、情報処理端末10を分割領域Aに移動させると、「曲選択」の機能に関する内容を表示画面131に表示させることができる。この状態においては、実施形態における状態と同様である。
また、利用者が特定の操作を行うと、第1階層における選択、すなわち他の分類を選択する状態に移行されるように、表示制御部112における処理が行われる。
なお、上記構成においては、2階層による説明であったが、さらに多くの階層により構成されていてもよい。
【0052】
[変形例2]
上述した実施形態において、音源部28においてオーディオ信号の生成が開始されると、表示画面131に表示される内容が変更されるようにしてもよい。オーディオ信号の生成が開始されるとは、取得部212による指示情報の取得が行われて、音源部28に出力が開始されることである。すなわち、自動演奏が開始された場合、利用者による演奏操作が連続して行われた場合などである。この場合における制御情報出力機能の構成について、図10を用いて説明する。
【0053】
図10は、本発明の変形例2における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Aは、特定部111、表示制御部112A、制御情報生成部113および生成開始検出部114を有する。特定部111、制御情報生成部113については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0054】
生成開始検出部114は、電子楽器20の音源部28においてオーディオ信号の生成が開始されたこと、終了したことを検出する検出手段である。この例においては、電子楽器20は音源部28においてオーディオ信号の生成を開始すると、通信部27から生成開始を示す開始情報を出力する。また、一定期間オーディオ信号の生成が停止すると、生成を終了したとみなして、生成終了を示す終了情報を出力する。
生成開始検出部114は、通信部17を介して、この開始情報、終了情報を取得することにより、オーディオ信号生成の開始、終了を検出する。生成開始検出部114は、オーディオ信号の生成が開始されたことを検出すると、表示制御部112Aに開始検出情報を出力する。また、生成開始検出部114は、オーディオ信号の生成が終了されたことを検出すると、表示制御部112Aに終了検出情報を出力する。
【0055】
表示制御部112Aは、生成開始検出部114から開始検出情報を取得してから終了検出情報を取得するまでの期間について、表示部13を制御して、表示画面131に表示される内容を変更する。変更後の表示内容については、自動演奏中の楽曲の楽譜、歌詞であってもよいし、予め決められた写真などであってもよい。
また、上述した実施形態では、演奏前に音色の設定などを行うものについて説明したが、表示制御部112Aは、表示画面131に、演奏中に音色などのパラメータを変更するための演奏操作子、音色編集、ピッチベンドコントローラなどを表示させてもよい。この場合には、利用者によるタッチセンサ121への操作内容を示す情報を制御情報に含ませて電子楽器20に送信することにより、音源部28において、タッチセンサ121への操作内容に応じたオーディオ信号がリアルタイムに生成されるようにしてもよい。
なお、上記説明においては、表示画面131に表示される内容が変更されるのは、音源部28においてオーディオ信号の生成が開始された場合であるが、設定部211における設定が完了した場合であってもよい。この場合には、通信部27からは設定部211における設定が完了したことを示す完了情報を開始情報に代えて出力すればよい。そして、情報処理端末10が移動されたことを、位置検出部14、姿勢検出部15などにより検出した場合には、表示画面131に表示される内容を変更前の状態に戻すようにしてもよい。
【0056】
[変形例3]
上述した実施形態において、分割領域Gに情報処理端末10が置かれ、「録音」の機能により、演奏操作の内容の記録を行う場合には、電子楽器20の取得部212において取得された指示情報を、情報処理端末10において記録するようにしてもよい。この場合における制御情報出力機能の構成について、図11を用いて説明する。
【0057】
図11は、本発明の変形例3における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Bは、特定部111、表示制御部112、制御情報生成部113Bおよび指示情報記録部115を有する。特定部111、表示制御部112については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0058】
制御情報生成部113Bは、「録音」の機能が実現されているときに、演奏操作の内容の記録を開始する指示があった場合、または、記録を終了する指示があった場合には、それぞれの内容を示す制御情報を出力する。電子楽器20の制御部21は、この制御情報を取得すると、記録を開始する指示の後、終了する指示があるまでの期間、通信部27を介して取得部212が取得した指示情報を取得した時系列が維持された状態で、情報処理端末10に送信する。このときには、通信部27は、指示情報送信手段として機能する。
指示情報記録部115は、通信部17を介して電子楽器20から指示情報を取得すると、指示情報を時系列に記憶部16に記録する。このときには、通信部17は、指示情報受信手段として機能する。このようにして記録された指示情報は、情報処理端末10から電子楽器20に送信され、音源部28においてオーディオ信号の生成に用いられてもよい。
【0059】
[変形例4]
上述した実施形態において、電子楽器20において各種設定された内容を、情報処理端末10において記録するようにしてもよい。この場合における制御情報出力機能の構成について、図12を用いて説明する。
【0060】
図12は、本発明の変形例4における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Cは、特定部111、表示制御部112、制御情報生成部113Cおよび設定情報記録部116を有する。特定部111、表示制御部112については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0061】
制御情報生成部113Cは、操作部12への操作により電子楽器20の設定内容を記録する指示があった場合に、設定内容の送信を要求する制御情報を出力する。電子楽器20の制御部21は、この制御情報を取得すると、通信部27を介して、設定部211により設定可能な内容を示す設定情報を情報処理端末10に送信する。このときには、通信部27は、設定情報送信手段として機能する。
設定情報記録部116は、通信部17を介して電子楽器20から設定情報を取得すると、設定情報を記憶部16に記録する。このときには、通信部17は、設定情報受信手段として機能する。
制御情報生成部113Cは、操作部12への操作により電子楽器20の一括設定を行う指示があった場合には、記憶部16に記憶された設定情報の内容で電子楽器20に設定させることを示す制御情報を出力する。
【0062】
[変形例5]
上述した実施形態においては、姿勢検出部15を用いて情報処理端末10の向きに応じて処理内容を切り替えていたが、処理内容を切り替えなくてもよい。この場合には、姿勢検出部15は、なくてもよい。
【0063】
[変形例6]
上述した実施形態においては、位置出力部24がRFIDチップ、位置検出部14がRFIDチップのリーダとする組み合わせにより、特定部111は、情報処理端末10と電子楽器20との位置関係を特定していたが、他の方法を用いて位置関係を特定してもよい。
【0064】
例えば、分割領域の位置を示す情報が記録された磁気テープ(位置出力部24)と磁気テープの情報を読み取る読取部(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す情報が記録された画像(位置出力部24)とその画像を撮影するカメラ(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す発光パターンで、赤外光、可視光などを発光するLED(Light Emitting Diode)などの発光部(位置出力部24)とその発光を検出する光センサ(カメラでもよい)(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す放音パターンで、超音波、音を発生するスピーカ(位置出力部24)とそれを収音するマイクロフォン(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示すパターンで、電波を発生するアンテナ(位置出力部24)とその電波を受信するアンテナ(位置検出部14)との組み合わせなどの方法が挙げられる。
【0065】
また、位置検出部14に相当する構成が電子楽器20に、位置出力部24に相当する構成が情報処理端末10に存在するようにしてもよい。例えば、電子楽器20の分割領域ごとに設けられた光センサと、情報処理端末10に設けられた発光部との組み合わせとすればよい。この場合には、電子楽器20は、発光部からの発光を確認した光センサを検出し、その光センサが設けられた分割領域を示す情報を情報処理端末10に送信することにより、特定部111において位置関係を特定させるようにすればよい。
また、電子楽器20は、分割領域に置かれた物体の重量を検出することで物体が置かれたことを検知する重量センサを分割領域ごとに有する構成としてもよい。この場合には、電子楽器20は、物体が置かれたことを検知した分割領域を示す情報を情報処理端末10に送信することにより、特定部111において位置関係を特定させるようにすればよい。この場合には、情報処理端末10において、位置出力部24に相当する構成は不要である。
【0066】
なお、上述した方法によれば、情報処理端末10が検出領域DAに置かれた場合に、位置関係が特定できるように構成されていたが、検出領域DAに置かれた場合以外においても位置関係を特定し、その位置関係に応じて実行機能が変化するようにしてもよい。この位置関係の特定は、三角測量の技術など公知技術を用いて行えばよい。
【0067】
また、特定部111は、位置出力部24が存在しない構成により、位置関係を特定するようにしてもよい。例えば、検出領域DAにおける予め決められた位置(分割領域Aなど)に情報処理端末10を置いた状態で、利用者が操作部12を操作して初期位置として設定する。そして、位置検出部14は、加速度センサなど運動を検出するセンサにより、情報処理端末10が移動したことを検出し、特定部111は、その検出結果から、初期位置からどの程度移動したかを算出して、位置関係を特定する。この場合には、情報処理端末10の位置は、初期位置としての相対的な位置関係として特定部111によって特定されることになるが、初期位置が設定された後に電子楽器20が移動しない構成である場合においては有効である。
【0068】
[変形例7]
上述した実施形態においては、検出領域DAが筐体200の傾斜した部分になるようにし、情報処理端末10が回転したときに、その向きの変化が情報処理端末10において認識できるようにしていたが、別の方法により回転したときの向きの変化を情報処理端末10に認識させるようにしてもよい。
例えば、変形例6において示した方法のうち、画像を用いて位置関係の特定を行う場合については、情報処理端末10が縦向きのときと横向きのときとで異なる画像としてカメラに撮影されるようにしておけば、情報処理端末10に対して、その向きを認識させることができる。
【0069】
[変形例8]
上述した実施形態において、情報処理端末10が電子楽器20のID、種類などの固体識別情報を取得して、その固体識別情報の内容に応じて制御部11における制御(制御情報出力機能)において用いられる機能割当情報の内容を異ならせてもよい。この場合には、情報処理端末10は、通信部17、27を介した通信により取得してもよいし、位置出力部24におけるRFIDチップの識別IDに固体識別情報を含むようにして、位置検出部14において固体識別情報を取得するようにしてもよい。そして、記憶部16には、複数の機能割当情報を記憶しておき、それぞれ固体識別情報の内容と対応するようにしておけばよい。
【0070】
[変形例9]
上述した実施形態においては、情報処理端末10において電子楽器20を制御するための設定は、利用者のタッチセンサ121への操作で行っていたが、操作ボタン122などの操作子への操作で行うようにしてもよい。
【0071】
[変形例10]
上述した実施形態においては、分割領域の大きさは情報処理端末10の筐体100よりも大きい範囲であったが、検出領域DAがより多く分割された小さい範囲の分割領域により構成されるようにしてもよい。すなわち、情報処理端末10がどの分割領域に含まれているかどうかとして位置関係が特定されるのではなく、どの分割領域と対応関係にあるかどうかとして位置関係が特定される。
【0072】
[変形例11]
上述した実施形態において、情報処理端末10の電子楽器20に対する移動は、電子楽器20への設定を行うための実行機能の選択に用い、その機能における各パラメータの選択などの設定操作は、タッチセンサ121への操作で行っていたが、その設定操作についても情報処理端末10の移動により行うようにしてもよい。この場合には、実行機能の選択がされた後に、予め決められた操作が操作部12に対してなされると、情報処理端末10の移動により、設定操作が行われるようにすればよい。
例えば、図7(a)に示す状態において、利用者は、予め決められた操作(タッチセンサ121の特定の位置に接触する操作など)をした後、情報処理端末10を左右に移動させると、選択される音色の種類を変更することができる。
【0073】
[変形例12]
上述した実施形態においては、実行機能ごとにアプリケーションプログラムが設けられ、情報処理端末10の検出領域DAにおける位置に応じて、これらのアプリケーションプログラムが実行されていたが、1つのアプリケーションプログラムにまとめられ、実行機能ごとに使用する処理を切り替えるようにしてもよい。また、これらのアプリケーションプログラムは、制御プログラムなどと統合されていてもよい。
【0074】
[変形例13]
上述した実施形態においては、電子楽器20は、電子ピアノなどの鍵盤楽器であったが、電子音源など音源部28に相当する構成を有する電子楽器であれば、電子ギターなど異なる楽器であってもよい。また、本発明は、鍵盤221などの演奏操作子を有する電子楽器20に限らず、このような演奏操作子を有しない発音装置であってもよい。
また、上述した発音装置以外の電子機器であってもよい。電子機器としては、例えば、冷蔵庫、電子レンジ、エアコンなどの家電、光ディスクプレイヤ、テレビ、ミニコンポ、AVアンプなどのオーディオ機器、照明のオンオフを制御する機器などである。このように、本発明における電子機器は、設定内容に応じて何らかの処理を行う機器であれば、どのようなものであってもよい。
【0075】
[変形例14]
上述した実施形態においては、情報処理端末10から電子楽器20への制御情報の送信は、通信部17、27を介して行われていたが、位置検出部14のリーダにおけるアンテナと、位置出力部24のRFIDチップにおけるアンテナとを介して行われるようにしてもよい。
【0076】
[変形例15]
上述した実施形態における制御プログラム、アプリケーションプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、情報処理端末10、電子楽器20は、制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…発音システム、10…情報処理端末、11,21…制御部、12,22…操作部、121…タッチセンサ、122,222…操作ボタン、221…鍵盤、13…表示部、131…表示画面、14…位置検出部、15…姿勢検出部、16,26…記憶部、17,27…通信部、20…電子楽器、24…位置出力部、28…音源部、29…インタフェイス、100,200…筐体、110,110A,110B,110C…制御情報生成部、111…特定部、112,112A…表示制御部、113,113B,113C…制御情報生成部、114…生成開始検出部、115…指示情報記録部、116…設定情報記録部、210…設定処理部、211…設定部、212…取得部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対する設定を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子楽器は、様々な音色での発音、自動演奏など、多くの機能を有している。これらの機能については、各種設定、例えば、発音させる音色の設定、音色のパラメータの設定、自動演奏の設定などを行った上で、その設定に応じて処理内容が制御される。様々な設定は電子楽器の操作パネルなどに設けられた操作子を用いて行う場合が多い。その場合、扱える機能の数の増大に伴って、操作子の数も多く必要となり操作パネルが非常に煩雑になってしまう。そこで、設定内容を変更するための一の操作子について、変更可能な設定内容を異なる内容に切り替えるように、操作子に割り当てられている機能を適宜変更することができるような技術が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−217027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す技術においては、電子楽器が有する操作子の数を少なくすれば、操作パネルを簡易に構成することができるが、操作子に割り当てられる機能を頻繁に変更しなくてはならない。一方、電子楽器が有する操作子の数を多くすれば、操作子に割り当てられる機能を変更する回数を減らすことができるが、操作パネルが煩雑な構成となる。また、操作子に割り当てられた機能がどのようなものかを、利用者に直感的に把握させるために、操作パネルには、操作子だけでなく各操作子に対応した表示画面も必要であった。
本発明は、電子機器において、各種設定を行うための操作パネルの構成を簡易な構成にしつつも、直感的な設定を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、電子機器と通信する情報処理端末において、前記電子機器と前記情報処理端末との位置関係を特定する特定手段と、表示画面を有する表示手段と、操作を受け付ける操作手段と、前記表示手段を制御して、前記特定手段によって特定された位置関係に基づいて決められる前記電子機器の制御をするための設定に関する内容を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、前記操作手段によって受け付けられた操作、および前記電子機器の制御をするための設定に関する内容に基づいて、前記電子機器を制御するための制御情報を生成する制御情報生成手段と、前記制御情報生成手段によって生成された制御情報を前記電子機器に送信する制御情報送信手段とを具備することを特徴とする情報処理端末を提供する。
【0006】
また、別の好ましい態様において、前記情報処理端末の姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第1の条件を満たしている場合に、前記電子機器の制御に関する情報を記憶する外部装置と通信をする外部装置通信手段とをさらに具備し、前記表示制御手段は、前記外部装置通信手段による通信がなされると、前記表示画面に表示される内容を、当該通信の内容に応じて制御し、前記制御情報生成手段は、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第2の条件を満たしている場合に、前記制御情報を生成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記記載の情報処理端末および前記電子機器を有する発音システムにおいて、前記電子機器は、前記情報処理端末から送信された制御情報を受信する制御情報受信手段と、前記制御情報受信手段によって受信された制御情報に応じて、発音に関する設定を行う設定手段と、発音の指示を示す指示情報を取得する取得手段と、前記設定手段による設定の内容および前記取得手段によって取得された指示情報に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段とを具備することを特徴とする発音システム。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記情報処理端末は、前記オーディオ信号生成手段によってオーディオ信号の生成が開始されたことを検出する生成開始検出手段をさらに具備し、前記表示制御手段は、前記生成開始検出手段により前記オーディオ信号の生成が開始されたことが検出されると、前記表示画面に表示される内容を変更するように制御することを特徴とする。
【0009】
また、別の好ましい態様において、前記電子機器は、前記設定手段による設定の内容を示す設定情報を、前記情報処理端末に送信する設定情報送信手段をさらに具備し、前記情報処理端末は、前記電子機器から送信された設定情報を受信する設定情報受信手段と、前記設定情報受信手段によって受信された設定情報を記録する設定情報記録手段とをさらに具備し、前記制御情報生成手段が生成する制御情報には、前記設定情報記録手段によって記録された設定情報が示す内容を前記設定手段に設定させる情報が含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器において、各種設定を行うための操作パネルの構成を簡易な構成にしつつも、直感的な設定を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における発音システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態における電子楽器の構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の実施形態における分割領域を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態における情報処理端末の構成を説明するブロック図である。
【図5】本発明の実施形態における機能割当情報を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態における情報処理端末の制御情報出力機能と電子楽器の設定処理機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態における情報処理端末における表示内容の一例を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態における情報処理端末の向きを変えた場合における表示内容の一例を説明する図である。
【図9】本発明の変形例1における機能割当情報を説明する図である。
【図10】本発明の変形例2における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図11】本発明の変形例3における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【図12】本発明の変形例4における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態における発音システム1の構成を説明する図である。発音システム1は、情報処理端末10および電子楽器20を有する。情報処理端末10は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯可能な情報処理端末である。電子楽器20は、本発明の電子機器の一例として、電子ピアノなどの楽器であり、自動演奏、鍵盤221の演奏操作などに応じてオーディオ信号を生成して出力する発音装置を有する楽器である。
【0013】
図1(a)に示すように、情報処理端末10は、筐体100の前面に、タッチセンサ121、操作ボタン122、および表示画面131を有する。タッチセンサ121は、表示画面131の前面に設けられ、表示画面131とともに、タッチパネルを構成している。操作ボタン122は、図1においては、1つのみであるが、複数であってもよいし、なくてもよい。電子楽器20は、筐体200に取り付けられた鍵盤221および操作ボタン222を有する。なお、電子楽器20は、操作ボタン222を有していなくてもよい。
【0014】
筐体200の一部には、情報処理端末10が置かれた場合に、情報処理端末10によってその置かれた位置を検出させるための領域である検出領域DAが設けられている。この検出領域DAは、一般的な電子ピアノなどにおける操作パネルが設けられる領域である。図1(b)に示すように、情報処理端末10は、電子楽器20の検出領域DAに置かれると、置かれた位置に応じて電子楽器20の制御を行うための各種設定を行うことができる。このとき、情報処理端末10の位置を移動させたり、向きを回転させたりすると、その位置、向きに応じて、情報処理端末10において設定可能な内容が変更される。設定可能な内容は、表示画面131の表示により利用者に提示される。利用者は、タッチセンサ121などへの操作により、表示画面131の表示に対応する各種設定におけるパラメータなどを変更することができる。
【0015】
図1(c)は、検出領域DAに情報処理端末10が置かれた状態(図1(b))において、電子楽器20を側面(図1(b)左側)から見た図である。図1(c)に示すように、検出領域DAの筐体200内部側には、位置出力部24が設けられている。また、筐体200における検出領域DA部分の面は、この例においては、電子楽器20が水平面に設置された場合に、水平面に対して傾斜するように構成されている。
【0016】
[電子楽器20の構成]
図2は、本発明の実施形態における電子楽器20の構成を説明するブロック図である。電子楽器20は、制御部21、操作部22、記憶部26、通信部27、音源部28、インタフェイス29を有する。これらの各構成については、互いにバスで接続されている。また、電子楽器20は、検出領域DA近傍に設けられた位置出力部24を有する。
【0017】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有する。制御部21は、ROMまたは記憶部26に記憶された制御プログラムを実行することにより、バスを介して電子楽器20の各部を制御する。この例においては、制御部21は、制御プログラムを実行することにより、電子楽器20を制御するための各種設定を行う設定処理機能などの各種機能を実現する。
【0018】
操作部22は、鍵盤221および操作ボタン222を有する。鍵盤221は、複数の鍵(この例においては61鍵)により構成され、利用者からの演奏操作を受け付ける演奏操作子である。操作ボタン222は、利用者からの操作を受け付ける操作子であり、この例においては、予め割り当てられた機能(設定された曲の再生、早送り、巻き戻しなど)を発揮するための指示を受け付ける。操作部22は、鍵盤221に受け付けられた演奏操作の内容を示す演奏操作情報、操作ボタン222に受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部21に出力する。
【0019】
記憶部26は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの記録媒体であり、自動演奏に用いるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)形式などで記述された演奏データ、制御に用いる設定の内容を示す設定情報などの各種情報などが記憶される領域を有する。
通信部27は、制御部21の制御に応じて、他の装置と無線、有線により通信を行う。この例においては、通信部27は、情報処理端末10と無線により通信して、各種情報の送受信を行う。
【0020】
音源部28は、トーンジェネレータ、DSP(Digital Signal Processor)などを有し、制御部21からの制御に応じて、オーディオ信号を生成する。また、音源部28は、制御部21からの制御に応じて、生成すべきオーディオ信号に関するパラメータなどが設定される。
インタフェイス29は、音源部28において生成されたオーディオ信号を外部装置に供給するための出力端子など、外部装置と接続するための端子を有する。
【0021】
位置出力部24は、検出領域DAに置かれた情報処理端末10に対して、その置かれた位置を検出させるための構成を有する。この例においては、位置出力部24は、複数のRFID(Radio Frequency IDentification)チップを有している。複数のRFIDチップは、検出領域DAに対応した筐体200の内側の複数箇所に設けられ、設けられた位置に応じた識別IDを記憶している。この例においては、検出領域DAは、複数の領域に分割され、分割された領域(以下、分割領域という)のそれぞれに少なくとも1つのRFIDチップが設けられている。
【0022】
図3は、本発明の実施形態における分割領域を説明する図である。図3に示すように、検出領域DAは、分割領域A、B、・・・、Gの7つに分割されている。位置出力部24におけるRFIDチップは、それぞれの分割領域の中央部分に1つずつ設けられている。すなわち、識別IDは、この例においては、分割領域を示すものとなる。
【0023】
情報処理端末10が分割領域のいずれかに置かれると、情報処理端末10が有する位置検出部14(詳細は後述(図4参照))により、位置検出部14の近傍にある最も近いRFIDチップの識別IDが読み出される。情報処理端末10は、読み出した識別IDにより、自装置が置かれた分割領域を検出することができる。なお、情報処理端末10により読み出された識別IDにより、情報処理端末10の置かれた分割領域を認識させることができれば、各分割領域におけるRFIDチップの数は1つに限らず、複数個であってもよい。
以上が、電子楽器20のハードウエア構成についての説明である。
【0024】
[情報処理端末10の構成]
図4は、本発明の実施形態における情報処理端末10の構成を説明するブロック図である。情報処理端末10は、制御部11、操作部12、表示部13、位置検出部14、姿勢検出部15、記憶部16、通信部17を有する。これらの各構成については、互いにバスで接続されている。
【0025】
制御部11は、CPU、RAM、ROMなどを有する。制御部11は、ROMまたは記憶部16に記憶された制御プログラムを実行することにより、バスを介して情報処理端末10の各部を制御する。この例においては、制御部11は、制御プログラムを実行することにより、電子楽器20を制御するための制御情報を出力する制御情報出力機能などの各種機能を実現する。この例においては、各種機能には、一般的な携帯電話、PDAなどが有する機能が含まれているが、必ずしも含まれていなくてもよい。
【0026】
操作部12は、利用者からの操作を受け付けるタッチセンサ121および操作ボタン122を有し、それぞれに受け付けられた操作の内容を示す操作情報を制御部11に出力する。
表示部13は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスであり、制御部11の制御に応じた内容の表示を表示画面131に行う。表示画面131に表示される内容は、制御情報出力機能が実現されているときには、電子楽器20を制御するための各種設定を行う設定画面などである。
【0027】
位置検出部14は、電子楽器20における検出領域DAに情報処理端末10が置かれた場合に、検出領域DAのうち、どの位置に置かれたかを検出する。この例においては、位置検出部14は、RFIDチップを読み出すためのリーダである。位置検出部14は、制御部11の制御に応じて、電子楽器20の位置出力部24におけるRFIDチップに記憶された識別IDを読み出し、読み出した識別IDを制御部11に出力する。
【0028】
姿勢検出部15は、加速度センサ、角速度センサなどを有し、情報処理端末10の筐体100の向きを検出する。この例においては、姿勢検出部15は、制御部11の制御に応じて、筐体100に対して重力方向がどの方向であるかを検出し、検出結果を示す情報を制御部11に出力することにより、下方に位置している筐体100の部分を特定させる。以下の説明においては、筐体100の短辺部分が下方に位置している場合には、情報処理端末10(筐体100)が「縦向き」であるといい、筐体100の長辺部分が下方に位置している場合には、情報処理端末10(筐体100)が「横向き」であるという。例えば、先に示した図1(b)に示す情報処理端末10は、横向きである。
【0029】
記憶部16は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの記録媒体であり、情報処理端末10が置かれた分割領域に応じて機能する内容を規定する機能割当情報、これらの各機能を実現するためのアプリケーションプログラム、その他、これらのアプリケーションプログラムにおいて用いられる各種情報、データなどが記憶される領域を有する。
【0030】
図5は、本発明の実施形態における機能割当情報を説明する図である。機能割当情報は、検出領域DAにおける分割領域A、B、・・・、Gと、実行機能との対応関係を規定した情報である。実行機能とは、分割領域に情報処理端末10が置かれている場合に、分割領域における位置に対応して情報処理端末10で実行されるアプリケーションプログラムによって実現される機能である。例えば、分割領域Aに情報処理端末10が置かれた場合、「音色選択」の機能を実現するアプリケーションプログラムが制御部11によって実行される。
このアプリケーションプログラムにより実現される機能は、情報処理端末10の姿勢によって処理の内容が切り替えられるように構成されている。この例においては、情報処理端末10が横向きである場合には、実現される機能について電子楽器20の制御に関する処理、情報処理端末10が縦向きである場合には、図示しないサーバ装置などの外部装置と通信して、その機能に関する情報を取得する処理として切り替えられるようになっている。このサーバ装置には、電子楽器20の制御に関する情報が記憶されている。以下、各機能について簡単に説明する。
【0031】
「音色選択」とは、電子楽器20において鍵が操作されたときに生成されるオーディオ信号が示す音色を、複数の候補となる複数の音色から選択して決定するための機能である。「音色編集」とは、候補となる音色の特徴を規定する特徴パラメータを編集したり、新たに候補となる音色の特徴パラメータを決定したりするための機能である。「曲選択」とは、電子楽器20において自動演奏をさせる曲を、候補となる複数の曲から選択して決定するための機能である。「リズムスタイル選択」とは、電子楽器20の利用者が演奏するときの伴奏となるリズムを、候補となる複数のリズム(Rock、Jazzなど)から選択して決定するための機能である。「キーアサイン」とは、電子楽器20における鍵盤221を複数の領域に分けて、それぞれの領域に音色を割り当てるための機能である。すなわち、特定の領域の鍵を演奏操作すると、その特定の領域に割り当てられた音色のオーディオ信号が生成されるようにするための機能である。「メトロノーム」とは、電子楽器20において自動演奏が行われるときの進行速度を規定するための機能である。「録音」とは、利用者が鍵盤221を用いて行った演奏操作の内容を演奏データとして記憶部26に記録する処理の開始、停止などを指示するための機能である。
【0032】
図4に戻って説明を続ける。通信部17は、制御部11の制御に応じて、他の装置と無線、有線により通信を行う。この例においては、通信部17は、電子楽器20と無線により通信して、通信部27を介して各種情報の送受信を行う。
以上が、情報処理端末10のハードウエア構成についての説明である。
【0033】
[機能構成]
次に、情報処理端末10の制御部11が制御プログラムを実行することによって実現される制御情報出力機能、および電子楽器20の制御部21が制御プログラムを実行することによって実現される設定処理機能について説明する。なお、以下に説明する制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。また、以下に説明する設定処理機能を実現する設定処理部210における各構成の一部または全部については、ハードウエアによって実現してもよい。
【0034】
図6は、本発明の実施形態における情報処理端末10の制御情報出力機能と電子楽器20の設定処理機能の構成を説明する機能ブロック図である。
【0035】
[制御情報出力機能]
制御情報出力部110は、特定部111、表示制御部112および制御情報生成部113を有する。
特定部111は、位置検出部14から出力される識別IDを取得し、電子楽器20と情報処理端末10との位置関係を特定する。この例においては、特定部111は、検出領域DAのうち、どの分割領域に情報処理端末10が位置しているかを特定する。例えば、特定部111は、識別IDが分割領域Aを示すものであれば、情報処理端末10は、電子楽器20における分割領域Aに置かれているという位置関係を特定する。特定部111は、特定した位置関係を示す情報、この例においては情報処理端末10が置かれた分割領域を示す位置情報を表示制御部112に出力する。
【0036】
表示制御部112は、特定部111から出力される位置情報を取得する。表示制御部112は、記憶部16に記憶されている機能割当情報を参照して、取得した位置情報が示す分割領域に対応する実行機能のアプリケーションプログラムを実行する。表示制御部112は、実行したアプリケーションプログラムにより実現される機能に応じて表示部13を制御して、電子楽器20を制御するための設定に関する内容を表示画面131に表示させる。このとき、表示制御部112は、姿勢検出部15から出力される情報を取得して、情報処理端末10の向きを認識して、上述したように、処理の内容を切り替える。
【0037】
例えば、情報処理端末10が分割領域Aに置かれて「音色選択」の機能が実現される場合には、表示画面131の表示内容は、情報処理端末10の向きが横向きであれば、電子楽器20において出力させる音色を選択するための表示となり、情報処理端末10の向きが縦向きであれば、新たな音色を実現するためのパラメータなどをサーバ装置から取得(ダウンロード)するための表示となる。このようにサーバ装置と通信する場合には、表示制御部112は、通信部17をサーバ装置などの外部装置と通信する外部装置通信手段として機能させ、通信の内容に応じて表示画面131の表示内容を変化させる。
また、表示制御部112は、表示画面131の表示内容に応じた情報を制御情報生成部113に出力する。この情報には、アイコンなどの表示位置と、その位置に対応したタッチパネル121の位置に操作がされたときに処理すべき内容との関係を示す情報が含まれている。
【0038】
制御情報生成部113は、表示制御部112から出力された情報と、操作部12から出力される操作情報とを取得し、これらの各情報の内容に応じて制御情報を生成する。
例えば、情報処理端末10の向きが横向きのときにおける上記例のように、表示画面131に音色を選択するための表示がなされている場合を想定する。この状態で、利用者によってタッチセンサ121に対して、ある音色(例えば、ピアノ)を選択、決定する指示に対応するアイコンの位置への操作がなされると、制御情報生成部113は、ピアノの音色に変更することを示す制御情報を生成する。そして、制御情報生成部113は、生成した制御情報を通信部17に出力して、電子楽器20に送信させる。この場合には、通信部17は制御情報通信手段として機能する。
【0039】
情報処理端末10の向きが縦向きのときにおける上記例のように、表示画面131に音色パラメータなどをサーバ装置からダウンロードするための表示がなされた場合を想定する。この状態で、利用者によってタッチセンサ121に対して、音色パラメータをダウンロードする指示に対応するアイコンの位置への操作がなされると、制御情報生成部113は、通信部17に対して、指定された音色パラメータをサーバ装置から取得するように制御する。そして、制御情報生成部113は、取得した音色パラメータを電子楽器20において用いるように制御する制御情報を生成する。そして、制御情報生成部113は、生成した制御情報を通信部17に出力して、音色パラメータと共に電子楽器20に送信させる。この例においては音色パラメータとしたが、サーバ装置から取得した情報の一例であり、他の情報でもよい。
以上が、制御情報出力機能についての説明である。
【0040】
[設定処理機能]
設定処理部210は、設定部211および取得部212を有する。
設定部211は、通信部27を介して情報処理端末10から送信された制御情報、サーバ装置から取得した情報などの各種情報を取得する。この場合の通信部27は、制御情報受信手段として機能する。設定部211は、取得した制御情報に応じて電子楽器20に発音に関する設定など各種設定を行う。例えば、上記例のように、ピアノの音色に変更することを示す制御情報を取得した場合には、設定部211は、音源部28の設定を、鍵盤221への演奏操作によりピアノの音色でオーディオ信号を生成する設定に変更する。
【0041】
また、音色パラメータとともに、その音色パラメータを電子楽器20において用いるように制御する制御情報を取得した場合には、設定部211は、音源部28において、その音色パラメータを用いた音色でオーディオ信号を生成することができるように設定する。なお、設定部211は、上記実行機能に対応して生成された制御情報に応じて、自動演奏をする曲を設定したり、追加したり、自動演奏の再生速度を設定したり様々な設定を行う。例えば、自動演奏をする曲を追加する場合には、設定部211は、記憶部26にその曲に対応した演奏データを記憶させる。また、自動演奏をする曲の設定、再生速度の設定の場合には、設定部211は、取得部212に対して、記憶部26から読み出して再生すべき楽曲データの設定、その再生速度の設定などを行う。
【0042】
取得部212は、発音の指示を示す指示情報を取得して音源部28に出力する。取得部212は、操作部22から出力される演奏操作情報に示される内容に応じて、音高などを特定し、その音高の発音を指示する指示情報として取得する。また、取得部212は、設定部211の設定および操作ボタン222などによる利用者からの再生指示により、記憶部26から楽曲データを読み出すと、楽曲データが示す内容の発音を指示する指示情報として取得する。
【0043】
取得部212において取得された指示情報が音源部28に出力されると、音源部28は、その指示情報および設定部211により設定された内容に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段として機能する。
以上が、設定処理機能についての説明である。
【0044】
[表示画面131の表示例]
続いて、情報処理端末10を検出領域DAのいずれかに置いたときの表示画面131の表示例について、図7、図8を用いて説明する。
【0045】
図7は、本発明の実施形態における情報処理端末10における表示内容の一例を説明する図である。図7(a)に示すように、情報処理端末10は、電子楽器20の検出領域DAのうち、分割領域A(図3参照)に対応する位置に横向きで置かれると、「音色選択」の機能に関する内容(音色を選択するための画面)を表示画面131に表示する。利用者は、この表示がなされている状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、音色の切り替え、決定を行うことができる。
【0046】
図7(b)に示すように、情報処理端末10は、利用者によって分割領域Fまで移動させられると、「メトロノーム」の機能に関する内容(自動演奏の再生速度を変更するための画面)を表示画面131に表示する。このとき、移動経路にある分割領域B、C、D、Eを通過する間は、それぞれ対応する機能に関する内容の表示がなされるようにしてもよいし、移動前の内容での表示が維持されていてもよいし、他の内容(「移動中」など)での表示がなされたりするようにしてもよい。
利用者は、情報処理端末10を分割領域Fに置いた状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、表示画面131に曲のテンポを示す表示がされるとともに、自動演奏するときの曲の再生速度を変更することができる。
【0047】
図8は、本発明の実施形態における情報処理端末10の向きを変えた場合における表示内容の一例を説明する図である。
図8に示す例は、情報処理端末10が分割領域Aに置かれた状態(図7(a))で、情報処理端末10が縦向きになるように向きを変えられた場合を示す例である。この場合には、音色を選択するための画面が表示画面131に表示されている状態から、サーバ装置から音色を取得するための画面に切り替わる。利用者は、この表示がなされている状態で、タッチセンサ121に対して操作をすると、音色のパラメータをサーバ装置からダウンロードして、音源部28が生成するオーディオ信号の音色に使用させるようにすることができる。
【0048】
このように、本発明の実施形態における発音システム1によれば、利用者は、情報処理端末10を電子楽器20における検出領域DAにおけるいずれかの位置に置くことにより、電子楽器20を制御するための設定をすることができる。このとき、利用者は、情報処理端末10を用いて、その位置を移動させることにより設定を行うための機能を変更する。したがって、利用者は、電子楽器20に設けられた操作ボタン222が多数存在しなくても、情報処理端末10を電子楽器20に対して移動させるなどして、直感的に電子楽器20を制御するための設定を行うことができる。
【0049】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態において、利用者は、情報処理端末10を電子楽器20に対して移動させることにより、電子楽器20への設定を行うための実行機能の選択をしていたが、この選択を行う際に、階層的に処理が行われるようにしてもよい。例えば、ある特定の機能が実現するために、利用者は、情報処理端末10を特定の分割領域に移動させることにより、第1階層として複数の分類から1つの分類を選択する。そして、利用者は、操作部12に対して予め決められた操作をして1つの分類を確定し、さらにその分類の中の第2階層として決められた複数の実行機能から、情報処理端末10を移動させて特定の分割領域に移動させることにより、特定の機能を選択する。このような構成を実現するためには、機能割当情報を階層化した構成とすればよい。
【0050】
図9は、本発明の変形例1における機能割当情報を説明する図である。この例における機能割当情報は、分割領域と分類との対応関係が第1階層として規定され、さらに第2階層として、分割領域と各分類に属する実行機能との対応関係が規定されている。
表示制御部112は、このように規定された機能割当情報を参照して、まず、特定部111から出力される位置情報が示す分割領域に対応する分類を特定し、特定した分類に応じた内容を表示画面131に表示させる。この状態において、表示制御部112は、操作部12から出力される操作情報を参照して、予め決められた操作(タッチセンサ121の特定の位置に接触する操作など)を検出すると、特定した分類に属する実行機能を選択する処理に移行する。すなわち、表示制御部112は、位置情報が示す分割領域に対応する実行機能を、先に特定された分類に属する実行機能から選択して、アプリケーションプログラムを実行する。
【0051】
例えば、「曲選択」の機能について使用したい場合には、利用者は、まず、情報処理端末10を分割領域Bに移動させる。この状態においては、表示画面131には、分類が「曲選択モード」であることを示す内容の表示がなされる。利用者がタッチセンサ121の特定の位置を接触するなどの予め決められた操作をすると、分割領域Bに位置する情報処理端末10の表示画面131には、「曲選択モード」の分類に属し、分割領域Bに対応する「楽譜表示」の機能に関する内容が表示画面131に表示される。そして、利用者は、情報処理端末10を分割領域Aに移動させると、「曲選択」の機能に関する内容を表示画面131に表示させることができる。この状態においては、実施形態における状態と同様である。
また、利用者が特定の操作を行うと、第1階層における選択、すなわち他の分類を選択する状態に移行されるように、表示制御部112における処理が行われる。
なお、上記構成においては、2階層による説明であったが、さらに多くの階層により構成されていてもよい。
【0052】
[変形例2]
上述した実施形態において、音源部28においてオーディオ信号の生成が開始されると、表示画面131に表示される内容が変更されるようにしてもよい。オーディオ信号の生成が開始されるとは、取得部212による指示情報の取得が行われて、音源部28に出力が開始されることである。すなわち、自動演奏が開始された場合、利用者による演奏操作が連続して行われた場合などである。この場合における制御情報出力機能の構成について、図10を用いて説明する。
【0053】
図10は、本発明の変形例2における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Aは、特定部111、表示制御部112A、制御情報生成部113および生成開始検出部114を有する。特定部111、制御情報生成部113については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0054】
生成開始検出部114は、電子楽器20の音源部28においてオーディオ信号の生成が開始されたこと、終了したことを検出する検出手段である。この例においては、電子楽器20は音源部28においてオーディオ信号の生成を開始すると、通信部27から生成開始を示す開始情報を出力する。また、一定期間オーディオ信号の生成が停止すると、生成を終了したとみなして、生成終了を示す終了情報を出力する。
生成開始検出部114は、通信部17を介して、この開始情報、終了情報を取得することにより、オーディオ信号生成の開始、終了を検出する。生成開始検出部114は、オーディオ信号の生成が開始されたことを検出すると、表示制御部112Aに開始検出情報を出力する。また、生成開始検出部114は、オーディオ信号の生成が終了されたことを検出すると、表示制御部112Aに終了検出情報を出力する。
【0055】
表示制御部112Aは、生成開始検出部114から開始検出情報を取得してから終了検出情報を取得するまでの期間について、表示部13を制御して、表示画面131に表示される内容を変更する。変更後の表示内容については、自動演奏中の楽曲の楽譜、歌詞であってもよいし、予め決められた写真などであってもよい。
また、上述した実施形態では、演奏前に音色の設定などを行うものについて説明したが、表示制御部112Aは、表示画面131に、演奏中に音色などのパラメータを変更するための演奏操作子、音色編集、ピッチベンドコントローラなどを表示させてもよい。この場合には、利用者によるタッチセンサ121への操作内容を示す情報を制御情報に含ませて電子楽器20に送信することにより、音源部28において、タッチセンサ121への操作内容に応じたオーディオ信号がリアルタイムに生成されるようにしてもよい。
なお、上記説明においては、表示画面131に表示される内容が変更されるのは、音源部28においてオーディオ信号の生成が開始された場合であるが、設定部211における設定が完了した場合であってもよい。この場合には、通信部27からは設定部211における設定が完了したことを示す完了情報を開始情報に代えて出力すればよい。そして、情報処理端末10が移動されたことを、位置検出部14、姿勢検出部15などにより検出した場合には、表示画面131に表示される内容を変更前の状態に戻すようにしてもよい。
【0056】
[変形例3]
上述した実施形態において、分割領域Gに情報処理端末10が置かれ、「録音」の機能により、演奏操作の内容の記録を行う場合には、電子楽器20の取得部212において取得された指示情報を、情報処理端末10において記録するようにしてもよい。この場合における制御情報出力機能の構成について、図11を用いて説明する。
【0057】
図11は、本発明の変形例3における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Bは、特定部111、表示制御部112、制御情報生成部113Bおよび指示情報記録部115を有する。特定部111、表示制御部112については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0058】
制御情報生成部113Bは、「録音」の機能が実現されているときに、演奏操作の内容の記録を開始する指示があった場合、または、記録を終了する指示があった場合には、それぞれの内容を示す制御情報を出力する。電子楽器20の制御部21は、この制御情報を取得すると、記録を開始する指示の後、終了する指示があるまでの期間、通信部27を介して取得部212が取得した指示情報を取得した時系列が維持された状態で、情報処理端末10に送信する。このときには、通信部27は、指示情報送信手段として機能する。
指示情報記録部115は、通信部17を介して電子楽器20から指示情報を取得すると、指示情報を時系列に記憶部16に記録する。このときには、通信部17は、指示情報受信手段として機能する。このようにして記録された指示情報は、情報処理端末10から電子楽器20に送信され、音源部28においてオーディオ信号の生成に用いられてもよい。
【0059】
[変形例4]
上述した実施形態において、電子楽器20において各種設定された内容を、情報処理端末10において記録するようにしてもよい。この場合における制御情報出力機能の構成について、図12を用いて説明する。
【0060】
図12は、本発明の変形例4における制御情報出力機能の構成を説明する機能ブロック図である。
この例における制御情報出力機能を実現する制御情報出力部110Cは、特定部111、表示制御部112、制御情報生成部113Cおよび設定情報記録部116を有する。特定部111、表示制御部112については、実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0061】
制御情報生成部113Cは、操作部12への操作により電子楽器20の設定内容を記録する指示があった場合に、設定内容の送信を要求する制御情報を出力する。電子楽器20の制御部21は、この制御情報を取得すると、通信部27を介して、設定部211により設定可能な内容を示す設定情報を情報処理端末10に送信する。このときには、通信部27は、設定情報送信手段として機能する。
設定情報記録部116は、通信部17を介して電子楽器20から設定情報を取得すると、設定情報を記憶部16に記録する。このときには、通信部17は、設定情報受信手段として機能する。
制御情報生成部113Cは、操作部12への操作により電子楽器20の一括設定を行う指示があった場合には、記憶部16に記憶された設定情報の内容で電子楽器20に設定させることを示す制御情報を出力する。
【0062】
[変形例5]
上述した実施形態においては、姿勢検出部15を用いて情報処理端末10の向きに応じて処理内容を切り替えていたが、処理内容を切り替えなくてもよい。この場合には、姿勢検出部15は、なくてもよい。
【0063】
[変形例6]
上述した実施形態においては、位置出力部24がRFIDチップ、位置検出部14がRFIDチップのリーダとする組み合わせにより、特定部111は、情報処理端末10と電子楽器20との位置関係を特定していたが、他の方法を用いて位置関係を特定してもよい。
【0064】
例えば、分割領域の位置を示す情報が記録された磁気テープ(位置出力部24)と磁気テープの情報を読み取る読取部(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す情報が記録された画像(位置出力部24)とその画像を撮影するカメラ(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す発光パターンで、赤外光、可視光などを発光するLED(Light Emitting Diode)などの発光部(位置出力部24)とその発光を検出する光センサ(カメラでもよい)(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示す放音パターンで、超音波、音を発生するスピーカ(位置出力部24)とそれを収音するマイクロフォン(位置検出部14)との組み合わせ、分割領域の位置を示すパターンで、電波を発生するアンテナ(位置出力部24)とその電波を受信するアンテナ(位置検出部14)との組み合わせなどの方法が挙げられる。
【0065】
また、位置検出部14に相当する構成が電子楽器20に、位置出力部24に相当する構成が情報処理端末10に存在するようにしてもよい。例えば、電子楽器20の分割領域ごとに設けられた光センサと、情報処理端末10に設けられた発光部との組み合わせとすればよい。この場合には、電子楽器20は、発光部からの発光を確認した光センサを検出し、その光センサが設けられた分割領域を示す情報を情報処理端末10に送信することにより、特定部111において位置関係を特定させるようにすればよい。
また、電子楽器20は、分割領域に置かれた物体の重量を検出することで物体が置かれたことを検知する重量センサを分割領域ごとに有する構成としてもよい。この場合には、電子楽器20は、物体が置かれたことを検知した分割領域を示す情報を情報処理端末10に送信することにより、特定部111において位置関係を特定させるようにすればよい。この場合には、情報処理端末10において、位置出力部24に相当する構成は不要である。
【0066】
なお、上述した方法によれば、情報処理端末10が検出領域DAに置かれた場合に、位置関係が特定できるように構成されていたが、検出領域DAに置かれた場合以外においても位置関係を特定し、その位置関係に応じて実行機能が変化するようにしてもよい。この位置関係の特定は、三角測量の技術など公知技術を用いて行えばよい。
【0067】
また、特定部111は、位置出力部24が存在しない構成により、位置関係を特定するようにしてもよい。例えば、検出領域DAにおける予め決められた位置(分割領域Aなど)に情報処理端末10を置いた状態で、利用者が操作部12を操作して初期位置として設定する。そして、位置検出部14は、加速度センサなど運動を検出するセンサにより、情報処理端末10が移動したことを検出し、特定部111は、その検出結果から、初期位置からどの程度移動したかを算出して、位置関係を特定する。この場合には、情報処理端末10の位置は、初期位置としての相対的な位置関係として特定部111によって特定されることになるが、初期位置が設定された後に電子楽器20が移動しない構成である場合においては有効である。
【0068】
[変形例7]
上述した実施形態においては、検出領域DAが筐体200の傾斜した部分になるようにし、情報処理端末10が回転したときに、その向きの変化が情報処理端末10において認識できるようにしていたが、別の方法により回転したときの向きの変化を情報処理端末10に認識させるようにしてもよい。
例えば、変形例6において示した方法のうち、画像を用いて位置関係の特定を行う場合については、情報処理端末10が縦向きのときと横向きのときとで異なる画像としてカメラに撮影されるようにしておけば、情報処理端末10に対して、その向きを認識させることができる。
【0069】
[変形例8]
上述した実施形態において、情報処理端末10が電子楽器20のID、種類などの固体識別情報を取得して、その固体識別情報の内容に応じて制御部11における制御(制御情報出力機能)において用いられる機能割当情報の内容を異ならせてもよい。この場合には、情報処理端末10は、通信部17、27を介した通信により取得してもよいし、位置出力部24におけるRFIDチップの識別IDに固体識別情報を含むようにして、位置検出部14において固体識別情報を取得するようにしてもよい。そして、記憶部16には、複数の機能割当情報を記憶しておき、それぞれ固体識別情報の内容と対応するようにしておけばよい。
【0070】
[変形例9]
上述した実施形態においては、情報処理端末10において電子楽器20を制御するための設定は、利用者のタッチセンサ121への操作で行っていたが、操作ボタン122などの操作子への操作で行うようにしてもよい。
【0071】
[変形例10]
上述した実施形態においては、分割領域の大きさは情報処理端末10の筐体100よりも大きい範囲であったが、検出領域DAがより多く分割された小さい範囲の分割領域により構成されるようにしてもよい。すなわち、情報処理端末10がどの分割領域に含まれているかどうかとして位置関係が特定されるのではなく、どの分割領域と対応関係にあるかどうかとして位置関係が特定される。
【0072】
[変形例11]
上述した実施形態において、情報処理端末10の電子楽器20に対する移動は、電子楽器20への設定を行うための実行機能の選択に用い、その機能における各パラメータの選択などの設定操作は、タッチセンサ121への操作で行っていたが、その設定操作についても情報処理端末10の移動により行うようにしてもよい。この場合には、実行機能の選択がされた後に、予め決められた操作が操作部12に対してなされると、情報処理端末10の移動により、設定操作が行われるようにすればよい。
例えば、図7(a)に示す状態において、利用者は、予め決められた操作(タッチセンサ121の特定の位置に接触する操作など)をした後、情報処理端末10を左右に移動させると、選択される音色の種類を変更することができる。
【0073】
[変形例12]
上述した実施形態においては、実行機能ごとにアプリケーションプログラムが設けられ、情報処理端末10の検出領域DAにおける位置に応じて、これらのアプリケーションプログラムが実行されていたが、1つのアプリケーションプログラムにまとめられ、実行機能ごとに使用する処理を切り替えるようにしてもよい。また、これらのアプリケーションプログラムは、制御プログラムなどと統合されていてもよい。
【0074】
[変形例13]
上述した実施形態においては、電子楽器20は、電子ピアノなどの鍵盤楽器であったが、電子音源など音源部28に相当する構成を有する電子楽器であれば、電子ギターなど異なる楽器であってもよい。また、本発明は、鍵盤221などの演奏操作子を有する電子楽器20に限らず、このような演奏操作子を有しない発音装置であってもよい。
また、上述した発音装置以外の電子機器であってもよい。電子機器としては、例えば、冷蔵庫、電子レンジ、エアコンなどの家電、光ディスクプレイヤ、テレビ、ミニコンポ、AVアンプなどのオーディオ機器、照明のオンオフを制御する機器などである。このように、本発明における電子機器は、設定内容に応じて何らかの処理を行う機器であれば、どのようなものであってもよい。
【0075】
[変形例14]
上述した実施形態においては、情報処理端末10から電子楽器20への制御情報の送信は、通信部17、27を介して行われていたが、位置検出部14のリーダにおけるアンテナと、位置出力部24のRFIDチップにおけるアンテナとを介して行われるようにしてもよい。
【0076】
[変形例15]
上述した実施形態における制御プログラム、アプリケーションプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、情報処理端末10、電子楽器20は、制御プログラムをネットワーク経由でダウンロードしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…発音システム、10…情報処理端末、11,21…制御部、12,22…操作部、121…タッチセンサ、122,222…操作ボタン、221…鍵盤、13…表示部、131…表示画面、14…位置検出部、15…姿勢検出部、16,26…記憶部、17,27…通信部、20…電子楽器、24…位置出力部、28…音源部、29…インタフェイス、100,200…筐体、110,110A,110B,110C…制御情報生成部、111…特定部、112,112A…表示制御部、113,113B,113C…制御情報生成部、114…生成開始検出部、115…指示情報記録部、116…設定情報記録部、210…設定処理部、211…設定部、212…取得部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と通信する情報処理端末において、
前記電子機器と前記情報処理端末との位置関係を特定する特定手段と、
表示画面を有する表示手段と、
操作を受け付ける操作手段と、
前記表示手段を制御して、前記特定手段によって特定された位置関係に基づいて決められる前記電子機器の制御をするための設定に関する内容を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記操作手段によって受け付けられた操作、および前記電子機器の制御をするための設定に関する内容に基づいて、前記電子機器を制御するための制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報生成手段によって生成された制御情報を前記電子機器に送信する制御情報送信手段と
を具備することを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前記情報処理端末の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第1の条件を満たしている場合に、前記電子機器の制御に関する情報を記憶する外部装置と通信をする外部装置通信手段と
をさらに具備し、
前記表示制御手段は、前記外部装置通信手段による通信がなされると、前記表示画面に表示される内容を、当該通信の内容に応じて制御し、
前記制御情報生成手段は、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第2の条件を満たしている場合に、前記制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理端末および前記電子機器を有する発音システムにおいて、
前記電子機器は、
前記情報処理端末から送信された制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報受信手段によって受信された制御情報に応じて、発音に関する設定を行う設定手段と、
発音の指示を示す指示情報を取得する取得手段と、
前記設定手段による設定の内容および前記取得手段によって取得された指示情報に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段と
を具備する
ことを特徴とする発音システム。
【請求項4】
前記情報処理端末は、前記オーディオ信号生成手段によってオーディオ信号の生成が開始されたことを検出する生成開始検出手段をさらに具備し、
前記表示制御手段は、前記生成開始検出手段により前記オーディオ信号の生成が開始されたことが検出されると、前記表示画面に表示される内容を変更するように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の発音システム。
【請求項5】
前記電子機器は、前記設定手段による設定の内容を示す設定情報を、前記情報処理端末に送信する設定情報送信手段をさらに具備し、
前記情報処理端末は、
前記電子機器から送信された設定情報を受信する設定情報受信手段と、
前記設定情報受信手段によって受信された設定情報を記録する設定情報記録手段と
をさらに具備し、
前記制御情報生成手段が生成する制御情報には、前記設定情報記録手段によって記録された設定情報が示す内容を前記設定手段に設定させる情報が含まれている
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発音システム。
【請求項1】
電子機器と通信する情報処理端末において、
前記電子機器と前記情報処理端末との位置関係を特定する特定手段と、
表示画面を有する表示手段と、
操作を受け付ける操作手段と、
前記表示手段を制御して、前記特定手段によって特定された位置関係に基づいて決められる前記電子機器の制御をするための設定に関する内容を、前記表示画面に表示させる表示制御手段と、
前記操作手段によって受け付けられた操作、および前記電子機器の制御をするための設定に関する内容に基づいて、前記電子機器を制御するための制御情報を生成する制御情報生成手段と、
前記制御情報生成手段によって生成された制御情報を前記電子機器に送信する制御情報送信手段と
を具備することを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
前記情報処理端末の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第1の条件を満たしている場合に、前記電子機器の制御に関する情報を記憶する外部装置と通信をする外部装置通信手段と
をさらに具備し、
前記表示制御手段は、前記外部装置通信手段による通信がなされると、前記表示画面に表示される内容を、当該通信の内容に応じて制御し、
前記制御情報生成手段は、前記姿勢検出手段によって検出された姿勢が第2の条件を満たしている場合に、前記制御情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の情報処理端末および前記電子機器を有する発音システムにおいて、
前記電子機器は、
前記情報処理端末から送信された制御情報を受信する制御情報受信手段と、
前記制御情報受信手段によって受信された制御情報に応じて、発音に関する設定を行う設定手段と、
発音の指示を示す指示情報を取得する取得手段と、
前記設定手段による設定の内容および前記取得手段によって取得された指示情報に基づいて、オーディオ信号を生成するオーディオ信号生成手段と
を具備する
ことを特徴とする発音システム。
【請求項4】
前記情報処理端末は、前記オーディオ信号生成手段によってオーディオ信号の生成が開始されたことを検出する生成開始検出手段をさらに具備し、
前記表示制御手段は、前記生成開始検出手段により前記オーディオ信号の生成が開始されたことが検出されると、前記表示画面に表示される内容を変更するように制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の発音システム。
【請求項5】
前記電子機器は、前記設定手段による設定の内容を示す設定情報を、前記情報処理端末に送信する設定情報送信手段をさらに具備し、
前記情報処理端末は、
前記電子機器から送信された設定情報を受信する設定情報受信手段と、
前記設定情報受信手段によって受信された設定情報を記録する設定情報記録手段と
をさらに具備し、
前記制御情報生成手段が生成する制御情報には、前記設定情報記録手段によって記録された設定情報が示す内容を前記設定手段に設定させる情報が含まれている
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発音システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−88378(P2012−88378A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232658(P2010−232658)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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