説明

情報処理装置、及び画像形成装置

【課題】緊急処理の間は、受信したパケットに対する応答処理を行わないことで中央演算装置の処理にかかる負担を低減させ、同一送信元から複数回送信されたパケットに関しては、応答処理を行うことで、送信元であるクライアント装置が送信先に異常が発生したと誤認識することを防止することができる情報処理装置の提供。
【解決手段】パケットを受信しその種別を判定する種別判定部1109と、自機の動作状態を判定する状態判定部1103と、パケットの種別及び自機の動作状態に基づいて、パケットに応答する応答処理を実行するか否かを判定する応答判定部1104と、応答判定部1104による判定結果に基づいて、応答処理を実行する応答実行部1108とを備え、応答判定部1104は、自機の動作状態が応答処理に対応するのが困難な状態である非通常状態であって、同一種別のパケットを所定個数以上受信したときには、応答処理を実行すると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続機能を有する情報処理装置、及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、単一の中央演算装置により動作する情報処理装置に対してLAN(Local Area Network)等のネットワークが接続された場合、その中央演算装置は、情報処理装置自体の機能を発揮させるための処理と、ネットワーク関連機能を発揮させるための処理とを並列させて処理を行っている。
【0003】
ところで、ネットワーク上には様々なパケットが流れており、ネットワークに接続された端末装置間において大量の情報のやり取りが行われている。ここで、例えば、ある端末装置からパケットがブロードキャストパケットとして転送されると、ネットワークに接続されたルータ以外の他の端末装置はこれを受信してしまうことがある。
【0004】
ここで、単一の中央演算装置により動作する情報処理装置においては、上記ブロードキャストパケットを一挙に大量に受信すると、中央演算装置による処理は、長時間受信パケット処理に費やされることになり、情報処理装置自体の機能の発揮に障害が発生する場合があった。
【0005】
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、中央演算装置による処理をネットワーク関連機能の処理に渡したくない緊急処理の間は、特定の種類のパケット受信を停止することによって、緊急処理を優先させる技術について記載がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−328068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、パケット種類により受信制限が行われているため、同じ種類のパケットの受信は一律に制限されることになる。したがって、受信制限の対象となっているパケットを送信しているクライアント装置は、アクセス頻度や優先度に関わらず、送信先からの応答を一切得ることができないため、例えば、当該送信先はネットワークから切断されている、といった誤った認識をしてしまう恐れがある。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、緊急処理の間は、受信したパケットに対する応答処理を行わないことで中央演算装置の処理にかかる負担を低減させるとともに、同一送信元から複数回送信されたパケットに関しては、応答処理を行うことで、送信元であるクライアント装置が送信先に異常が発生したと誤認識することを防止することができる情報処理装置、及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる情報処理装置は、パケットを受信し、当該パケットの種別を判定する種別判定部と、自機の動作状態を判定する状態判定部と、パケットの種別及び自機の動作状態に基づいて、パケットに応答する応答処理を実行するか否かを判定する応答判定部と、応答判定部による判定結果に基づいて、応答処理を実行する応答実行部とを備え、応答判定部は、自機の動作状態が応答処理に対応するのが困難な状態である非通常状態であって、同一種別のパケットを所定個数以上受信したときには、応答処理を実行すると判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる画像形成装置は、パケットを受信し、当該パケットの種別を判定する種別判定部と、受信したパケットに基づく画像を形成する画像形成部と、画像形成部を統括的に制御する制御部と、制御部の動作状態を判定する状態判定部と、パケットの種別及び制御部の動作状態に基づいて、パケットに応答する応答処理を実行するか否かを判定する応答判定部と、応答判定部による判定結果に基づいて、応答処理を実行する応答実行部とを備え、応答判定部は、制御部の動作状態が応答処理に対応するのが困難な状態である非通常状態であって、同一種別のパケットを所定個数以上受信したときには、応答処理を実行すると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、緊急処理の間は、受信したパケットに対する応答処理を行わないことで中央演算装置の処理にかかる負担を低減させるとともに、同一送信元から複数回送信されたパケットに関しては、応答処理を行うことで、送信元であるクライアント装置が送信先に異常が発生したと誤認識することを防止することができる情報処理装置、及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷装置の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図2】受信履歴テーブルの一形態を説明する図である。
【図3】プロトコル制御部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3のステップS107において、応答判定部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図6】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図7】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図8】図4のステップS202において、状態判断部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】印刷装置の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図10】受信履歴テーブルの一形態を説明する図である。
【図11】応答先テーブルの一形態を説明する図である。
【図12】プロトコル制御部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】図12のステップS407において、応答判定部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】図12のステップS407において、応答判定部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図16】受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図17】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図18】応答判定部の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を説明する図である。
【図19】図13のステップS502において、状態判断部が実行する動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0014】
[第1の実施形態]
本実施形態の説明においては、情報処理装置であるとともに画像形成装置でもある印刷装置を本発明の好適な一例として説明する。また、本実施形態の説明において、パケットの通信に用いられる通信プロトコルは、SNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルを用いた形態について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態にかかる印刷装置1100の機能構成を説明するための機能ブロック図である。印刷装置1100は、LAN1201を介したネットワーク接続を制御するネットワーク機能部1101と、ネットワーク関連機能以外の機能としての印刷機能等を担う印刷機能部1102とを備える。
【0016】
ネットワーク機能部1101は、状態判定部1103と、応答判定部1104と、プロトコル制御部1105とを備え、LAN1201を介してネットワーク上の不特定のクライアント装置とのネットワーク通信を制御する。
【0017】
ここで、状態判定部1103は、印刷ジョブの有無や印刷処理にかかる図示せぬ制御部としても機能する中央演算装置の使用時間等の情報を印刷機能部1102から取得し、印刷装置1100における処理の負荷状態を判定する。
【0018】
応答判定部1104は、印刷装置1100における処理の負荷状態を状態判定部1103から取得し、プロトコル制御部1105からの問い合わせに応じて、受信したパケットに対する応答処理を実行するか否かを判定する(以下、応答判定処理と称する)。なお、応答判定部1104は、印刷装置1100の起動からの経過時間を計時するとともに、受信履歴記憶部1107に時刻情報が記憶された時刻から現在時刻までの経過時間を算出する計時部1106と、応答判定処理の対象となるパケットの受信履歴を受信履歴テーブルとして記憶する受履歴記憶部1107とを備える。応答判定部1104は、応答判定処理において、受信履歴記憶部1107に記憶されている受信履歴を参照する一方で、プロトコル制御部1105から取得したパケットに含まれる情報を受信履歴記憶部1107に記憶させる。
【0019】
図2は、受信履歴記憶部1107が記憶する受信履歴テーブルの一形態を説明する図である。受信履歴テーブルは、応答判定部1104が応答判定処理を行ったパケットごとのエントリを有し、図2では、4つのエントリの記録状況を示している。各エントリは、パケット種別、送信元、前回受信時刻の各パケットに関する情報から構成されている。ここで、パケット種別には、受信したパケットのパケット種別情報が格納される。本実施形態においては、通信プロトコルとしてSNMPプロトコルを用いた形態について説明しているため、パケット種別として、「SNMP inform」、「SNMP Get」、又は「SNMP Set」といったSNMPプロトコルの種別情報が格納される。送信元には、パケットを送信したクライアント装置の送信元情報が格納される。通信プロトコルとしてSNMPプロトコルを用いた場合、送信元として、送信元IPアドレス情報が格納される。なお、例えば、MAC(Media Access Control)アドレス情報を送信元として格納させても本実施形態と同様な効果を得ることができる。前回受信時刻には、上記エントリが受信履歴テーブルに記録された時点の時刻情報が格納される。本実施形態においては、前回受信時刻として、計時部1106により取得された印刷装置1100の起動からの経過時間である時刻情報が格納される。なお、本実施形態においては、時刻情報としてmsecを単位とする数値を使用する形態について示している。
【0020】
プロトコル制御部1105は、SNMPプロトコルをはじめとする各種プロトコルを制御するプロトコルスタックである。プロトコル制御部1105は、ネットワーク機能部1101が提供するプロトコル機能に対応して、同様の構成の機能ブロックが複数存在する。前述したように、本実施形態においては、ネットワークに接続されている装置の情報収集、監視のための通信プロトコルとして一般的なSNMPプロトコルを制御するプロトコル制御部1105をプロトコル制御部の一形態として説明する。
【0021】
図1に示すように、プロトコル制御部1105は、応答実行部1108と、種別判定部1109とを備える。応答実行部1108は、応答判定部1104の判定結果に基づき、受信したパケットの応答処理、又は廃棄処理を実行する。種別判定部1109は、LAN1201を介して受信したパケットの種類を判定し、受信したパケットが応答処理の判定対象となる種類のパケットであるか否かを判定する。そして、種別判定部1109は、受信したパケットの種別情報と当該パケットを送信した送信元情報とを抽出するとともに、応答判定部1104への問い合わせに併せて抽出した情報を通知する。
【0022】
印刷機能部1102は、図示せぬ画像形成部としての印刷手段を制御する他、印刷ジョブデータの解析、ユーザインタフェースの制御、印刷装置1100全体の状態管理など、ネットワーク関連機能以外の機能を制御する。また、印刷機能部1102は、状態判定部1103からの問い合わせに対して、印刷ジョブの有無や、印刷ジョブデータの解析処理にかかる中央演算装置の使用時間など、印刷装置1100における処理の負荷状態を判定するための情報を提供する。
【0023】
なお、印刷装置1100は、上記以外にも、ネットワーク機能部1101や、印刷機能部1102等の機能発現にかかる制御プログラムを格納したり、受信履歴記憶部1107の記憶領域を構成する図示せぬROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリ等の記憶装置、中央演算装置のワーキングエリアとして機能するRAM(Read Only Memory)等の一次記憶装置、印刷装置1100の状態を表示するための、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備える表示部、管理者等からの指示を受付けるための、例えばタッチパネル等の入力手段を備える操作部、印刷装置1100の動作状態を監視するための、例えば、用紙位置検出センサ,温湿度センサ,濃度センサ等の各種センサ、印刷装置1100が備える各部材に電力を供給する電源等を備える。
【0024】
次に、このような構成を有する印刷装置1100の動作について以下に説明する。
【0025】
まず、プロトコル制御部1105による動作について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、プロトコル制御部1105による動作は、LAN1201を介してネットワークからパケットを受信することから開始される。ここで、説明の便宜上、受信したパケットを受信パケット1と称する。
【0026】
ステップS101において、種別判定部1109は、受信パケット1から種別判定情報と送信元情報とを抽出する。ここで抽出されるパケットの種別判定情報は、通信プロトコルにより異なるが、SNMPプロトコルの場合、受信パケット1の宛先がブロードキャストアドレスか印刷装置1100固有のアドレス(ユニキャストアドレス)かの何れかであるか、及びSNMPのパケット種別を特定するためのコマンド種類(SNMP inform、SNMP Get、又はSNMP Set等)が抽出される。ここで、抽出された種別判定情報におけるコマンド種類にかかる情報を種別情報1、送信元情報を送信元情報1として説明する。
【0027】
次に、種別判定部1109は、種別判定情報に基づき受信パケット1が受信制限の対象となる種別であるか否かを判定する(ステップS102)。なお、本実施形態においては、判定条件は予め設定されており、受信パケット1の宛先がブロードキャストアドレスである場合に受信制限の対象と判定するものとする。
【0028】
ここで、受信パケット1の宛先がユニキャストアドレスであり、受信制限の対象外である場合(ステップS102 対象外)、種別判定部1109は、その旨を応答実行部1108に通知する。通知を受けた応答実行部1108は、受信パケット1の解析を行い(ステップS103)、当該解析結果に基づいて応答パケットを生成する(ステップS104)。次いで、応答実行部1108は、ステップS104において生成した応答パケットをLAN1201を介して送信し(ステップS105)、プロトコル制御部1105は待機状態へと戻る。なお、上記ステップS103からステップS105にかけての処理は、一般的なプロトコル制御の動作である。
【0029】
一方、受信パケット1の宛先がブロードキャストアドレスであり、受信制限の対象種類である場合(ステップS102 対象種類)、種別判定部1109は、抽出した種別情報1、送信元情報1を応答判定部1104に通知するとともに、応答判定の問い合わせを行う(ステップS106)。
【0030】
ここで、応答判定部1104から“応答する”との回答を得た場合(ステップS107 応答する)、種別判定部1109は、その旨を応答実行部1108に通知する。通知を受けた応答実行部1108は、ステップS103からステップS105にかけての処理を実行する。
【0031】
一方、応答判定部1104から“応答しない”との回答を得た場合(ステップS107 応答しない)、種別判定部1109は受信パケット1を廃棄し(ステップS108)、プロトコル制御部1105は待機状態へと戻る。この場合、応答実行部1108によりステップS103からステップS105にかかる処理が実行されないため、中央演算装置の使用時間を削減することができる。
【0032】
次に、図3のステップS107において、応答判定部1104が実行する動作について図4のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
応答判定部1104による動作は、図3のステップS106において、種別判定部1109からの問い合わせを受けることから開始される。なお、このとき、応答判定部1104は、種別判定部1109からの応答判定の問い合わせを受けるとともに、種別情報1、送信元情報1を取得している。
【0034】
応答判定部1104は、種別判定部1109からの問い合わせを受けると、状態判定部1103から印刷装置1100における処理の負荷状態を取得する(ステップS201)。
【0035】
ここで、状態判定部1103から“高負荷状態”である旨の回答を得た場合(ステップS202 高負荷状態)、応答判定部1104は、受信履歴記憶部1107に記憶されている受信履歴テーブルを検索する。すなわち、応答判定部1104は、種別判定部1109から通知された種別情報1に合致するエントリを受信履歴テーブルのパケット種別から検索する(ステップS204)。
【0036】
受信履歴テーブルのエントリに種別情報1に該当するパケット種別が存在しない場合(ステップS205 履歴なし)、応答判定部1104による処理はステップS208に移行する。例えば、種別情報1−1として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get−Next”であった場合、図2に示す受信履歴テーブルには、該当するエントリが存在しないため、応答判定部1104は履歴なしと判定し、ステップS208の処理に移行する。
【0037】
受信履歴テーブルのエントリに種別情報1に該当するパケット種別が存在する場合(ステップS205 履歴有り)、応答判定部1104は、種別判定部1109から通知された送信元情報1に合致するエントリを受信履歴テーブルの送信元から検索する(ステップS206)。例えば、種別情報1−2として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報1−2として“192.168.100.150”であった場合、図2に示す受信履歴テーブルには、上記ステップS204において、該当するコマンド種類としてエントリ2、及びエントリ3が検索される。そして、ステップS206において、送信元情報1−2と合致するエントリとしてエントリ3が検索されることになる。
【0038】
受信履歴テーブルのエントリに送信元情報1に該当する送信元が存在しない場合(ステップS207 エントリなし)、応答判定部1104による処理はステップS208に移行する。例えば、種別情報1−3として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報1−3として“192.168.100.100”であった場合、エントリ2、及びエントリ3の何れとも合致しないので、応答判定部1104はエントリなしと判定し、ステップS208の処理に移行する。
【0039】
受信履歴テーブルのエントリに送信元情報1に該当する送信元が存在する場合(ステップS207 エントリあり)、応答判定部1104は、応答判定処理を行っている受信パケット1は、2回目以降の受信パケットであると判定する。例えば、種別情報1−2として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報1−2として“192.168.100.150”であって、エントリ3が検索された場合、応答判定部1104は、エントリ3の前回受信時刻の情報を受信履歴テーブルから取得し、前回受信からの経過時間を判定する。ここでは、計時部1106が、前回受信時刻と印刷装置1100の起動からの経過時間とを比較し、予め設定された閾値よりも大きいか否かで判定する。例えば、エントリ3を例にすると、前回受信時刻は“112025123”である。そして、例えば、閾値が010000000であるとし、現在時刻が“123025123”である場合、応答判定部1104は“範囲外”と判定し、ステップS212の処理に移行する。また、現在時刻が“114025123”である場合、応答判定部1104は“範囲内”と判定し、ステップS214の処理に移行する。なお、上記閾値は、受信履歴テーブルに受信した時刻が古いエントリが存在している場合を考慮したものであり、この閾値は、プロトコル仕様や受信履歴テーブルの記憶に使用するメモリ容量等を勘案して決定されるものとする。
【0040】
よって、前回受信からの経過時間が閾値よりも小さい場合(ステップS211 範囲内)、応答判定部1104は、受信履歴テーブルからエントリ3を削除するとともに(ステップS214)、種別判定部1109に対して“応答する”と回答し(ステップS215)、待機状態へと戻る。この場合の一例として、種別情報1−2として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報1−2として“192.168.100.150”であって、経過時間が閾値よりも小さい場合における、応答判定部1104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図5に示した。
【0041】
一方、前回受信からの経過時間が閾値よりも大きい場合(ステップS211 範囲外)、応答判定部1104は、エントリ3は無効であると判定するので、エントリ3の前回受信時刻を更新するとともに(ステップS212)、種別判定部1109に対して“応答しない”と回答し(ステップS213)、待機状態へと戻る。この場合の一例として、種別情報1−2として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報1−2として“192.168.100.150”であって、経過時間が閾値よりも大きい場合における、応答判定部1104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図6に示した。
【0042】
ところで、ステップS205、及びステップS207において、該当するエントリが検索されなかった場合、応答判定部1104は、受信パケット1は1回目の受信であると判定し、受信履歴テーブルに種別情報1と送信元情報1とを有する新規エントリを追加し(ステップS208)、計時部1106から現在時刻を取得して、前回受信時刻に格納させる(ステップS209)。そして、応答判定部1104は、種別判定部1109に対して“応答しない”と回答し(ステップS210)、待機状態に戻る。この場合の一例として、種別情報1−4として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get−Next”、送信元情報1−4として“202.254.190.15”であった場合における、応答判定部1104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図7に示した。
【0043】
最後に、図4のステップS202において、状態判断部1103が実行する動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
状態判断部1103による動作は、図4のステップS201において、応答判定部1104からの印刷装置1100における処理の負荷状態の問い合わせを受けることにより開始される。
【0045】
状態判定部1103は、応答判定部1104からの印刷装置1100における処理の負荷状態の問い合わせを受けると、印刷機能部1102から処理負荷に関する情報を取得する(ステップS301)。ここでは、状態判定部1103は、印刷機能部1102を介して処理中の印刷ジョブの有無、及び印刷ジョブデータ解析処理に使用されている中央演算装置の処理時間にかかる情報を取得するものとする。
【0046】
具体的には、状態判定部1103は、処理中の印刷ジョブが存在し、かつ印刷ジョブデータ解析処理に使用されている中央演算装置の使用時間が50%を超えている場合、すなわち、専ら印刷ジョブデータの解析処理が優先され、応答処理に対する対応が困難である非通常状態(ビジー状態)を“高負荷状態”、それ以外を“低負荷状態”と判定する(ステップS302)。なお、本実施形態においては、中央演算装置の使用時間が50%を超えている場合を判断基準としているが、当該判断基準は、印刷機能部1102の機能を考慮して決定されるものであり、例えば、中央演算装置への通電が制御される省電力状態としてのディープスリープ状態であり、応答処理に即応することが困難な状態を非通常状態と規定してもかまわない。
【0047】
そして、状態判定部1103は、ステップS302において判定した負荷状態を対応判定部1104に回答し(ステップS303)、待機状態に戻る。
【0048】
以上のように、第1の実施形態によれば、例えば、印刷ジョブの処理中といった、印刷装置1100が高負荷状態であるときに、受信パケットに対する応答処理を行わないために、中央演算装置の処理時間を削減することができる。また、これに加えて、同一送信元からの複数回のパケットを受信した場合には、応答処理を行うため、ネットワーク上のクライアント装置が印刷装置1100に異常が発生したと誤認識することを防止することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、第1の実施形態で示した効果に加え、受信したパケット数をカウントすることにより、クライアント装置から連続して複数回パケットを受信した場合に実行される応答処理の回数を最適化するとともに、印刷装置の負荷状態に対応して、段階的に応答先を制限することにより、重要なクライアント装置に対する応答処理を継続しながら、ネットワーク処理にかかる処理負担を軽減する形態について説明する。
【0050】
図9は、第2の実施形態にかかる印刷装置2100の機能構成を説明するための機能ブロック図である。印刷装置2100は、LAN2201を介したネットワーク接続を制御するネットワーク機能部2101と、ネットワーク関連機能以外の機能としての印刷機能等を担う印刷機能部2102とを備える。
【0051】
ネットワーク機能部2101は、状態判定部2103と、応答判定部2104と、プロトコル制御部2105とを備え、LAN2201を介してネットワーク上の不特定のクライアント装置とのネットワーク通信を制御する。
【0052】
ここで、状態判定部2103は、印刷ジョブの有無や印刷処理にかかる図示せぬ制御部としても機能する中央演算装置の使用時間等の情報を印刷機能部2102から取得し、印刷装置2100における処理の負荷状態を“低負荷状態”、“中負荷状態”、“高負荷状態”の3段階で判定する。
【0053】
応答判定部2104は、印刷装置2100における処理の負荷状態を状態判定部2103から取得し、プロトコル制御部2105からの問い合わせに応じて、受信したパケットに対する応答判定処理を実行するか否かを判定する。なお、応答判定部2104は、印刷装置2100の起動からの経過時間を計時するとともに、受信履歴記憶部2107に時刻情報が記憶された時刻から現在時刻までの経過時間を算出する計時部2106と、応答判定処理の対象となるパケットの受信履歴を受信履歴テーブルとして記憶する受履歴記憶部2107と、応答先記憶部2110とを備える。応答判定部2104は、応答判定処理において、受信履歴記憶部2107に記憶されている受信履歴を参照する一方で、プロトコル制御部2105から取得したパケットに含まれる情報を受信履歴記憶部2107に記憶させる。
【0054】
図10は、受信履歴記憶部2107が記憶する受信履歴テーブルの一形態を説明する図である。受信履歴テーブルは、応答判定部2104が応答判定処理を行ったパケットごとのエントリを有し、図10では、4つのエントリの記録状況を示している。各エントリは、パケット種別、送信元、初回受信時刻、及び受信カウンタの各パケットに関する情報から構成されている。ここで、パケット種別には、受信したパケットのパケット種別情報が格納される。本実施形態においては、通信プロトコルとしてSNMPプロトコルを用いた形態について説明しているため、パケット種別として、「SNMP inform」、「SNMP Get」、又は「SNMP Set」といったSNMPプロトコルの種別情報が格納される。送信元には、パケットを送信したクライアント装置の送信元情報が格納される。通信プロトコルとしてSNMPプロトコルを用いた場合、送信元として、送信元IPアドレス情報が格納される。なお、例えば、MAC(Media Access Control)アドレス情報を送信元として格納させても本実施形態と同様な効果を得ることができる。初回受信時刻には、上記エントリが新規に受信履歴テーブルに記録された時点の時刻情報が格納される。本実施形態においては、初回受信時刻として、計時部2106により取得された印刷装置2100の起動からの経過時間である時刻情報が格納される。なお、本実施形態においては、時刻情報としてmsecを単位とする数値を使用する形態について示している。受信カウンタは、各エントリに合致するパケットを何回受信したかを示すカウンタ値が格納される。
【0055】
宛先記憶部2110は、状態判定部2103が、印刷装置2100における処理の負荷を“高負荷状態”と判定した場合に、応答処理を実行する対象となる応答先を記憶する。図11は、本実施形態にかかる応答先記憶部2100に記憶される応答先テーブルの一形態を説明する図である。
【0056】
なお、応答先テーブルの各エントリは、応答先の情報から構成され、当該応答先は応答処理の対象となる応答先を示す。本実施形態においては、応答先の情報として応答先のIPアドレスを記憶するものとする。そして、応答先テーブルは、予め印刷装置2100の管理者によって設定され応答先記憶部2110に記憶されるものとする。
【0057】
プロトコル制御部2105は、SNMPプロトコルをはじめとする各種プロトコルを制御するプロトコルスタックである。プロトコル制御部2105は、ネットワーク機能部2101が提供するプロトコル機能に対応して、同様の構成の機能ブロックが複数存在する。前述したように、本実施形態においては、ネットワークに接続されている装置の情報収集、監視のための通信プロトコルとして一般的なSNMPプロトコルを制御するプロトコル制御部2105をプロトコル制御部の一形態として説明する。
【0058】
図9に示すように、プロトコル制御部2105は、応答実行部2108と、種別判定部2109とを備える。応答実行部2108は、応答判定部2104の判定結果に基づき、受信したパケットの応答処理、又は廃棄処理を実行する。種別判定部1109は、LAN2201を介して受信したパケットの種類を判定し、受信したパケットが応答処理の判定対象となる種類のパケットであるか否かを判定する。そして、種別判定部2109は、受信したパケットの種別情報と当該パケットを送信した送信元情報とを抽出するとともに、応答判定部2104への問い合わせに併せて抽出した情報を通知する。
【0059】
印刷機能部2102は、図示せぬ画像形成部としての印刷手段を制御する他、印刷ジョブデータの解析、ユーザインタフェースの制御、印刷装置2100全体の状態管理など、ネットワーク関連機能以外の機能を制御する。また、印刷機能部2102は、状態判定部2103からの問い合わせに対して、印刷ジョブの有無や、印刷ジョブデータの解析処理にかかる中央演算装置の使用時間など、印刷装置2100における処理の負荷状態を判定するための情報を提供する。
【0060】
なお、印刷装置2100は、上記以外にも、ネットワーク機能部2101や、印刷機能部2102等の機能発現にかかる制御プログラムを格納したり、受信履歴記憶部2107、応答先記憶部2100の記憶領域を構成する図示せぬROMや、フラッシュメモリ等の記憶装置、中央演算装置のワーキングエリアとして機能するRAM等の一次記憶装置、印刷装置2100の状態を表示するための、例えばLCD等の表示装置を備える表示部、管理者等からの指示を受付けるための、例えばタッチパネル等の入力手段を備える操作部、印刷装置2100の動作状態を監視するための、例えば、用紙位置検出センサ,温湿度センサ,濃度センサ等の各種センサ、印刷装置2100が備える各部材に電力を供給する電源等を備える。
【0061】
次に、このような構成を有する印刷装置2100の動作について以下に説明する。
【0062】
まず、プロトコル制御部2105による動作について図12のフローチャートを用いて説明する。なお、プロトコル制御部2105による動作は、LAN2201を介してネットワークからパケットを受信することから開始される。ここで、説明の便宜上、受信したパケットを受信パケット2と称する。
【0063】
ステップS401において、種別判定部2109は、受信パケット2から種別判定情報と送信元情報とを抽出する。ここで抽出されるパケットの種別判定情報は、通信プロトコルにより異なるが、SNMPプロトコルの場合、受信パケット1の宛先がブロードキャストアドレスか印刷装置2100固有のアドレス(ユニキャストアドレス)かの何れかであるか、及びSNMPのパケット種別を特定するためのコマンド種類(SNMP inform、SNMP Get、又はSNMP Set等)が抽出される。ここで、抽出された種別判定情報におけるコマンド種類にかかる情報を種別情報2、送信元情報を送信元情報2として説明する。
【0064】
次に、種別判定部2109は、種別判定情報に基づき受信パケット2が受信制限の対象となる種別であるか否かを判定する(ステップS402)。なお、本実施形態においては、判定条件は予め設定されており、受信パケット2の宛先がブロードキャストアドレスである場合に受信制限の対象と判定するものとする。
【0065】
ここで、受信パケット2の宛先がユニキャストアドレスであり、受信制限の対象外である場合(ステップS402 対象外)、種別判定部2109は、その旨を応答実行部2108に通知する。通知を受けた応答実行部2108は、受信パケット2の解析を行い(ステップS403)、当該解析結果に基づいて応答パケットを生成する(ステップS404)。次いで、応答実行部2108は、ステップS404において生成した応答パケットをLAN2201を介して送信し(ステップS405)、プロトコル制御部2105は待機状態へと戻る。なお、上記ステップS403からステップS405にかけての処理は、一般的なプロトコル制御の動作である。
【0066】
一方、受信パケット2の宛先がブロードキャストアドレスであり、受信制限の対象種類である場合(ステップS402 対象種類)、種別判定部2109は、抽出した種別情報2、送信元情報2を応答判定部2104に通知するとともに、応答判定の問い合わせを行う(ステップS406)。
【0067】
ここで、応答判定部2104から“応答する”との回答を得た場合(ステップS407 応答する)、種別判定部2109は、その旨を応答実行部2108に通知する。通知を受けた応答実行部2108は、ステップS403からステップ4105にかけての処理を実行する。
【0068】
一方、応答判定部2104から“応答しない”との回答を得た場合(ステップS407 応答しない)、種別判定部2109は受信パケット2を廃棄し(ステップS408)、プロトコル制御部2105は待機状態へと戻る。この場合、応答実行部2108によりステップS403からステップS405にかかる処理が実行されないため、中央演算装置の使用時間を削減することができる。
【0069】
次に、図12のステップS407において、応答判定部2104が実行する動作について図13、及び図14のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
応答判定部2104による動作は、図12のステップS406において、種別判定部2109からの問い合わせを受けることから開始される。なお、このとき、応答判定部2104は、種別判定部2109からの応答判定の問い合わせを受けるとともに、種別情報2、送信元情報2を取得している。
【0071】
応答判定部2104は、種別判定部2109からの問い合わせを受けると、状態判定部2103から印刷装置2100における処理の負荷状態を取得する(ステップS501)。
【0072】
ここで、状態判定部2103から“低負荷状態”である旨の回答を得た場合(ステップS502 低負荷状態)、応答判定部2104は、種別判定部1109に対して“応答する”と回答し(ステップS503)、待機状態へと戻る。
【0073】
一方、状態判定部2103から“中負荷状態”である旨の回答を得た場合(ステップS502 中負荷状態)、応答判定部2104は、受信履歴記憶部2107に記憶されている受信履歴テーブルを検索する。すなわち、応答判定部2104は、種別判定部2109から通知された種別情報2に合致するエントリを受信履歴テーブルのパケット種別から検索する(ステップS504)。
【0074】
受信履歴テーブルのエントリに種別情報2に該当するパケット種別が存在しない場合(ステップS505 履歴なし)、応答判定部2104による処理はステップS508に移行する。例えば、種別情報2−1として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get−Next”であった場合、図10に示す受信履歴テーブルには、該当するエントリが存在しないため、応答判定部2104は履歴なしと判定し、ステップS508の処理に移行する。
【0075】
受信履歴テーブルのエントリに種別情報2に該当するパケット種別が存在する場合(ステップS505 履歴有り)、応答判定部2104は、種別判定部2109から通知された送信元情報2に合致するエントリを受信履歴テーブルの送信元から検索する(ステップS506)。例えば、種別情報2−2として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報2−2として“192.168.100.150”であった場合、図10に示す受信履歴テーブルには、上記ステップS504において、該当するコマンド種類としてエントリ2、及びエントリ3が検索される。そして、ステップS506において、送信元情報2−2と合致するエントリとしてエントリ3が検索されることになる。
【0076】
受信履歴テーブルのエントリに送信元情報2に該当する送信元が存在しない場合(ステップS507 エントリなし)、応答判定部2104による処理はステップS508に移行する。例えば、種別情報2−3として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報2−3として“192.168.100.100”であった場合、エントリ2、及びエントリ3の何れとも合致しないので、応答判定部2104はエントリなしと判定し、ステップS508の処理に移行する。
【0077】
受信履歴テーブルのエントリに送信元情報2に該当する送信元が存在する場合(ステップS507 エントリあり)、応答判定部2104は、応答判定処理を行っている受信パケット2は、複数回目の受信パケットであると判定する。例えば、種別情報2−2として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報2−2として“192.168.100.150”であって、エントリ3が検索された場合、応答判定部2104は、エントリ3の初回受信時刻の情報を受信履歴テーブルから取得し、初回受信からの経過時間を判定する。ここでは、計時部2106が、初回受信時刻と印刷装置2100の起動からの経過時間とを比較し、予め設定された閾値よりも大きいか否かで判定する。例えば、エントリ3を例にすると、初回受信時刻は“112025123”である。そして、例えば、閾値が010000000であるとし、現在時刻が“123025123”である場合、応答判定部2104は“範囲外”と判定し、ステップS513の処理に移行する。また、現在時刻が“114025123”である場合、応答判定部2104は“範囲内”と判定し、ステップS516の処理に移行する。なお、上記閾値は、受信履歴テーブルに受信した時刻が古いエントリが存在している場合を考慮したものであり、この閾値は、プロトコル仕様や受信履歴テーブルの記憶に使用するメモリ容量等を勘案して決定されるものとする。
【0078】
よって、前回受信からの経過時間が閾値よりも小さい場合(ステップS512 範囲内)、応答判定部2104は、ステップS506において、検索されたエントリ3の受信カウンタのカウンタ値がカウンタ制限値の範囲内であるか否かを判定する。ここで、カウンタ制限値は、同一種別のパケットを同一送信元から受信した場合に、何回目の受信に対して応答処理を行わせるかを定めるための制限値であり、クライアント装置の動作やプロトコル仕様、印刷機能部2102の機能等を考慮して適切な値が予め設定されている。
【0079】
ここで、受信カウンタ値が予め設定されたカウンタ制限値の範囲外である場合(ステップS516 範囲外)、応答判定部2104は、受信履歴テーブルからエントリ3を削除するとともに(ステップS517)、種別判定部2109に対して“応答する”と回答し(ステップS518)、待機状態へと戻る。この場合の一例として、種別情報2−2として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報2−2として“192.168.100.150”であって、経過時間が閾値よりも小さく、且つ、カウンタ制限値が“3”である場合における、応答判定部2104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図15に示した。
【0080】
一方、受信カウンタ値が予め設定されたカウンタ制限値の範囲内である場合(ステップS516 範囲内)、応答判定部2104は、エントリ3の受信カウンタのカウンタ値を加算する(ステップS519)。例えば、図10におけるエントリ3の受信カウンタのカウンタ値は“2”である。ここで、カウンタ制限値が“4”である場合、エントリ3の受信カウンタのカウンタ値は、カウンタ制限値よりも小さいため、ステップS510においてカウンタ値の加算処理が実行される。この場合の受信履歴テーブルの構成例を図16に示した。
【0081】
そして、応答判定部2104は、種別判定部2109に対して“応答しない”と回答し(ステップS520)、待機状態へと戻る。
【0082】
ところで、初回受信からの経過時間が閾値よりも大きい場合(ステップS512 範囲外)、応答判定部2104は、エントリ3は無効であると判定するので、エントリ3の初回受信時刻を更新するとともに(ステップS513)、エントリ3の受信カウンタのカウンタ値を1に初期化する(ステップS514)。
【0083】
そして、応答判定部2104は、種別判定部2109に対して“応答しない”と回答し(ステップS515)、待機状態へと戻る。この場合の一例として、種別情報2−2として受信パケット1から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get”、送信元情報2−2として“192.168.100.150”であって、経過時間が閾値よりも大きい場合における、応答判定部2104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図17に示した。
【0084】
ところで、ステップS505、及びステップS507において、該当するエントリが検索されなかった場合、応答判定部2104は、受信パケット2は1回目の受信であると判定し、受信履歴テーブルに種別情報2と送信元情報2とを有する新規エントリを追加し(ステップS508)、計時部1106から現在時刻を取得して、初回受信時刻に格納させる(ステップS509)。さらに、応答判定部2104は、受信カウンタのカウンタ値に1を格納させるとともに(ステップS510)、種別判定部2109に対して“応答しない”と回答し(ステップS511)、待機状態に戻る。この場合の一例として、種別情報2−4として受信パケット2から抽出されたコマンド種類が、“SNMP Get−Next”、送信元情報2−4として“202.254.190.15”であった場合における、応答判定部2104の動作が終了した時点での受信履歴テーブルの構成例を図18に示した。
【0085】
一方、状態判定部2103から“高負荷状態”である旨の回答を得た場合(ステップS502 高負荷状態)、応答判定部2104は、応答先記憶部2110に記憶されている応答先テーブルを参照し、送信先情報2に一致するエントリを検索する(ステップS520)。
【0086】
ここで、送信先情報2に一致するエントリが応答先テーブルに存在しない場合(ステップS521 該当なし)、応答判定部2104は、種別判定部2109に対して“応答しない”と回答し(ステップS522)、待機状態に戻る。
【0087】
一方、送信先情報2に一致するエントリが応答先テーブルに存在する場合(ステップS521 該当有り)、応答判定部2104による処理はステップS504に移行する。
【0088】
最後に、図13のステップS502において、状態判断部2103が実行する動作について図19のフローチャートを用いて説明する。
【0089】
状態判断部2103による動作は、図13のステップS501において、応答判定部2104からの印刷装置2100における処理の負荷状態の問い合わせを受けることにより開始される。
【0090】
状態判定部2103は、応答判定部2104からの印刷装置2100における処理の負荷状態の問い合わせを受けると、印刷機能部2102から処理負荷に関する情報を取得する(ステップS601)。ここでは、状態判定部2103は、印刷機能部2102を介して処理中の印刷ジョブの有無、及び印刷ジョブデータ解析処理に使用されている中央演算装置の処理時間にかかる情報を取得するものとする。
【0091】
具体的には、状態判定部2103は、処理中の印刷ジョブが存在し、かつ印刷ジョブデータ解析処理に使用されている中央演算装置の使用時間が80%を超えている場合は“高負荷状態”であると判定する。また、中央演算処理装置の使用時間が50%〜80%の場合、すなわち、専ら印刷ジョブデータの解析処理が優先され、応答処理に対する対応が困難である非通常状態(ビジー状態)を“中負荷状態”、それ以外を“低負荷状態”と判定する(ステップS602)。なお、本実施形態における判断基準は、印刷機能部2102の機能を考慮して決定されるものであり、例えば、中央演算装置への通電が制御される省電力状態としてのディープスリープ状態であり、応答処理に即応することが困難な状態を非通常状態と規定してもかまわない。。
【0092】
そして、状態判定部2103は、ステップS602において判定した負荷状態を対応判定部2104に回答し(ステップS603)、待機状態に戻る。
【0093】
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、同一種別のパケットを同一送信元から複数回受信した場合の応答回数を定めることにより、印刷機能の処理優先度に最適な応答処理の負荷を定めることができる。また、同一種類のパケットに対して、複数回受信することに加え、当該パケットの送信元を判定することにより、さらなる応答処理の処理負荷を低減させることが可能である。したがって、印刷機能の処理負荷に応じて、段階的にネットワークの応答処理の負荷を削減せさることが可能な上、必要なクライアント装置に対しては、応答処理が行われるといった効果を得ることができる。
【0094】
本実施形態の説明においては、印刷装置を一例として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、MFP装置やスキャナ装置等のネットワーク機能を有する情報処理装置であれば適用可能である。
【0095】
本実施形態の説明においては、通信プロトコルとしてSNMPプロトコルを一例として説明したが、本発明はこれに限定さず、例えば、mDNS(Multicast Domain Name System)や、NetBIOS Name Service等のネットワーク上に接続されている装置の情報収集、監視に使用される通信プロトコルに対しても実現可能である。
【0096】
本実施形態の説明においては、印刷装置における処理の負荷状態を判定する情報として、印刷ジョブの有無と、印刷ジョブデータの処理にかかる中央演算装置の使用時間を一例として説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、メモリ使用量、タスク数といった負荷状態を判定することが可能な情報であれば適用可能である。
【0097】
本実施形態の説明においては、応答処理の判定を行うためのパケット受信回数を一律に設定しているが、本発明はこれに限定されず、パケット種別ごとに受信回数の閾値を変更するように構成することも可能である。
【0098】
本実施形態の説明においては、高負荷状態であるか否かの判定に基づき、応答処理の判定を行っているが、本発明はこれに限定されず、例えば、省電力状態であるか否かの判定に基づき、応答処理の判定を行う構成としてもかまわない。
【0099】
本実施形態の説明においては、応答先テーブルとして1種類用意し、負荷状態を3段階で判定することにより応答処理の判定を行っているが、本発明はこれに限定されず、例えば、応答先テーブルを複数用意し、4段階以上の負荷状態で判判定することにより応答処理の判定を行う構成としてもかまわない。
【符号の説明】
【0100】
1100、2100 印刷装置
1101、2101 ネットワーク機能部
1102、2102 印刷機能部
1103、2103 状態判定部
1104、2104 応答判定部
1105、2105 プロトコル制御部
1106、2106 計時部
1107、2107 受信履歴記憶部
1108、2108 応答実行部
1109、2109 種別判定部
1201、2201 LAN
2110 応答先記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットを受信し、当該パケットの種別を判定する種別判定部と、
自機の動作状態を判定する状態判定部と、
前記パケットの種別及び前記自機の動作状態に基づいて、前記パケットに応答する応答処理を実行するか否かを判定する応答判定部と、
前記応答判定部による判定結果に基づいて、前記応答処理を実行する応答実行部とを備え、
前記応答判定部は、自機の動作状態が前記応答処理に対応するのが困難な状態である非通常状態であって、同一種別のパケットを所定個数以上受信したときには、前記応答処理を実行すると判定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
受信したパケットの種別毎の受信履歴を記憶する記憶部を備え、
前記応答判定部は、更に前記受信履歴に基づいて、前記応答処理を実行するか否かを判定すること
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記応答判定部は、前記受信履歴が前記記憶部に記憶されてからの経過時間に基づいて、前記応答処理を実行するか否かを判定すること
を特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受信履歴は、受信したパケットの送信元の送信元情報を含み、
前記応答判定部は、前記送信元が所定の条件を満たすときには、前記応答処理を実行すると判定すること
を特徴とする請求項2、又は請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記非通常状態は、動作状態がビジー状態、又は省電力状態であること
を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
パケットを受信し、当該パケットの種別を判定する種別判定部と、
受信したパケットに基づく画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部を統括的に制御する制御部と、
前記制御部の動作状態を判定する状態判定部と、
前記パケットの種別及び前記制御部の動作状態に基づいて、前記パケットに応答する応答処理を実行するか否かを判定する応答判定部と、
前記応答判定部による判定結果に基づいて、前記応答処理を実行する応答実行部とを備え、
前記応答判定部は、制御部の動作状態が前記応答処理に対応するのが困難な状態である非通常状態であって、同一種別のパケットを所定個数以上受信したときには、前記応答処理を実行すると判定すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
受信したパケットの種別毎の受信履歴を記憶する記憶部を備え、
前記応答判定部は、更に前記受信履歴に基づいて、前記応答処理を実行するか否かを判定すること
を特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記応答判定部は、前記受信履歴が前記記憶部に記憶されてからの経過時間に基づいて、前記応答処理を実行するか否かを判定すること
を特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記受信履歴は、受信したパケットの送信元の送信元情報を含み、
前記応答判定部は、前記送信元が所定の条件を満たすときには、前記応答処理を実行すると判定すること
を特徴とする請求項7、又は請求項8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記非通常状態は、動作状態がビジー状態、又は省電力状態であること
を特徴とする請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−237922(P2011−237922A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107312(P2010−107312)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】