説明

情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法

【課題】機器の誤操作しやすい構造(ユーザインタフェース)を改善する。
【解決手段】複数の操作対象機器から、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報を取得する。次に、取得した操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出し、抽出した操作パターンから各ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出し、その誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定する。そして、誤操作の原因に基づいて操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成し、その反映情報を該当操作対象機器へ適用してユーザインタフェースを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば任意のユーザの誤操作の履歴情報を利用して、機器の操作に対するユーザの不満を解消するための機能を提供する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オーディオ・ビジュアル(AV)指向の高まりから、より高い性能を持つAV機器が開発されている。特にテレビジョン受像機などでは、ユーザ設定に基づいて、さまざまな画像処理を行い、画像の好み( 画像の色合いや鮮明さなどの画質)をユーザが選択できる機能を有している。このようなAV機器の高性能化により、ユーザ操作が煩雑になり、誤操作が多く発生してしまう現状を鑑み、ユーザ操作を支援する方法が各種提案されている。
【0003】
例えば、リモコン操作信号をコマンド解析し、誤操作や不要な操作を検出してガイダンス情報を提示する方法が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
また、機器に対する操作内容からユーザの目的推定を行い、ユーザの操作を支援するためのユーザインタフェースに反映させる操作支援装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2007−300407号公報
【特許文献2】特開平08−171443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載されたものは、実行不可能なコマンド、内部パラメータが変化しない繰り返し操作を、予め決め打ちで誤操作と定義しておき、その操作が起こると一律に誤操作が起きたと判定する。つまり、ユーザ側で発生する誤操作発生状態を開発段階で予想して、特化した誤操作判定処理を予め決め打ちで仕込まなければならない。また、万人を対象としており、誤操作を行ったユーザへの“個人特化”の要素はない。さらに、ガイダンス情報の提示だけでは、誤操作の起きた原因を直接的に解決することは困難である。
【0006】
また、特許文献2に記載されたものは、ユーザの操作状態、操作目的を推定する知識を予め保持しておき、その知識から推定した操作と異なる操作が行われた場合に、誤操作候補として検出する。つまり、ユーザ側で発生する誤操作発生状態を開発段階で予想して、特化した誤操作判定処理を予め決め打ちで仕込まなければならない。また、万人を対象としており、誤操作を行ったユーザへの“個人特化”の要素はない。さらに、ガイダンス情報の提示だけでは、誤操作の起きた原因を直接的に解決することは困難である。
【0007】
さらに、上述のようにAV機器に多様な処理機構が組み込まれることによって、多くの機能やサービスを提供することができるようになったものの、ユーザ側に提供される最終商品には、コスト等の兼ね合いから、製造事業者側が絞り込んだ機能しか搭載されず、セット単体で機能が限定されていた。そのため、ユーザは、セットの中の特定の機能だけをバージョンアップするときでも、セット全体を購入しなおさなければならなかった。また、前述の従来技術では、ユーザがどのような誤操作をしているかという情報を取得、分析することができず、個々のユーザの嗜好に適合する機能や製品を提供できないという課題があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、機器の誤操作しやすい構造(ユーザインタフェース)を改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面の情報処理装置は、パターン抽出部、ルール抽出部、及び反映情報生成部を含むように構成される。
パターン抽出部は、複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出する。
また、ルール抽出部は、前記パターン抽出部で抽出された操作パターンから、前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出する。
また、反映情報生成部は、前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定し、当該誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成する。
【0010】
本発明の一側面の情報処理システムは、ユーザの操作履歴や機器状態等の情報を蓄積する操作対象機器と、操作履歴や機器状態等の情報を解析する情報処理装置とから構成される。
操作対象機器は、入力部、信号処理部、および履歴保存部を備える。
まず入力部は、ユーザの操作入力に基づいて制御信号を生成する。また信号処理部は、前記入力部からの前記制御信号を処理する。履歴保存部は、前記ユーザの操作履歴と前記制御信号を処理した後の機器状態を、操作履歴情報として記憶する。
一方、情報処理装置は、パターン抽出部、ルール抽出部、及び反映情報生成部を備える。
パターン抽出部は、複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出する。また、ルール抽出部は、前記パターン抽出部で抽出された操作パターンから、前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出する。また、反映情報生成部は、前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定し、当該誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成する。
【0011】
本発明の一側面の情報処理方法は、複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出するステップを含む。また、前記操作パターンから前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出するステップと、前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定するステップを含む。さらにまた、前記誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成するステップを含む。
【0012】
本発明の一側面においては、取得した操作履歴情報から各ユーザの操作パターンが抽出され、抽出された操作パターンから各ユーザの誤操作パターンが抽出される。それによって、従来は認識されていなかった誤操作パターン(逐次ルール)が抽出される。そして、誤操作パターンの種類から特定される誤操作の原因に基づいて、操作対象機器の機能に反映すべき誤操作を防止するよう反映情報が生成される。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、誤操作の履歴や機器の状態等の情報を解析し、その解析結果に基づいて、ユーザの誤操作を防止するための反映情報が生成され、操作対象機器に反映されるので、誤操作しやすい構造(ユーザインタフェース)が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。説明は下記項目に従って順に行うとする。
1. 本発明の情報処理システムの概要
2. 一実施の形態の履歴収集部および履歴解析部(共通部分)
3. 一実施の形態の履歴解析部(反映情報生成部:高レイヤーの場合)
4. 一実施の形態の履歴解析部(反映情報生成部:低レイヤーの場合)
5. 一実施の形態の履歴反映部
6. アップグレード(共通、高レイヤー、低レイヤー)
7. グループ単位のアップグレード
8. その他
【0015】
[1.本発明の情報処理システムの概要]
本発明は、ユーザの操作履歴や機器の状態等の記録データの解析手法であり、特開2004−265399号公報に記載された技術、特にセンター処理装置側の情報解析部等について、上記解析手法を操作系の観点から具現化したものである。
【0016】
図1は、本発明を適用した情報処理システムの概要を示す図である。
本発明を適用した情報処理システムにおいては、複数のユーザU1〜U14が機器に対して行った操作の操作履歴情報1を回収する。回収した操作履歴情報1を、履歴解析部2で解析し、誤操作パターンA〜Cなどの誤操作パターンをグループ別に抽出する。グループは、例えばリモートコントローラ(「リモコン」などとも称される。)のボタン配置の対称性、近接性、ボタン形状の類似性といった基準で分類される。そして、履歴解析部2で抽出したこれらの誤操作操作パターンA〜Cに基づいて、グループ別(例えばU1〜U5、U6〜U8、U9〜U14等)に機器(例えば、リモートコントローラ3,4,5)をアップグレードする。なお、この例では、14人のユーザから操作履歴情報を回収するように記載しているが、実際にはより多数のユーザ(機器)が存在する。
【0017】
このようにすることにより、多くのユーザから共通に得られる誤操作情報を用いて、ユーザの操作についての不満(使い勝手の悪さ)を推定し、その不満を反映したアップグレードを実施することにより、ユーザの不満を解消することができる。例えば、例えば、ユーザのグループごとに、リモートコントローラ3,4,5の配置やボタン間距離、形状などをアップグレードすることができる。ユーザに提供できる新機能の例については後述する。
【0018】
また、セルフチューニング(学習)では困難な類のアップグレードが可能(リモートコントローラの造り替え)になる。さらに、個人特化ではなく、グループ特化にすることにより、製造コストの削減が可能になる。
【0019】
なお、以降の実施の形態において、ユーザ側の使用機器としてテレビジョンセットを想定しているが、これに限らず、ユーザの操作が加えられたり機器の内部状態が特徴的に変化したりする等、使用環境によって異なる操作履歴情報が収集されるような電子機器に対して適用可能である.
【0020】
図2は、以降の説明において、操作手段として想定するリモートコントローラ(タッチパネル)の例を示す図である。
図2に示すリモートコントローラ10は、キー入力部として例えばメニューボタン10a、戻るボタン10b、メモボタン10c、電源ボタン10d、再生ボタン群10e、方向ボタン群10fを備える。さらに再生ボタン群10eは、「巻戻しボタン」、「再生ボタン」、「早送りボタン」、「ツールボタン」、「一時停止ボタン」、「停止ボタン」から構成されている。また、方向ボタン群10fは、上下左右の方向ボタンからなり、4つ方向ボタンの中央には決定キーが配置されている。なお、図2に示したボタンの種類および配置等は一例であってこの例に限られない。
【0021】
図3は、以降の説明で想定するオンスクリーン・ディスプレイ(OSD:On Screen Display)メニューの例を示す図である。
例えば、初期状態11のときに、リモートコントローラ10のメニューボタンを押下すると、操作対象機器がリモートコントローラ10からの制御信号を受けてOSDメニューとしてメインメニュー12が表示される状態へと変化する。メインメニュー12は、その下位階層としてプルダウンメニューが表示される形式になっており、例えばTV設定12a、画質設定12b、音質設定12c、入力設定などの設定項目が用意されている。一方、画質設定メニューが表示されているときに、戻るボタンを押下すると初期状態に戻る。
【0022】
また、メインメニュー12におけるTV設定12aを選択・決定すると、TV設定メニュー13に遷移する。TV設定メニュー13はプルダウンメニューとして、地上波設定13a、BS設定13b、CS設定13c等を備える。
【0023】
さらに、地上波設定13aを選択・決定すると、地上波設定メニュー14に遷移し、プルダウンメニューとしてチャンネル設定14a等が表示される。また、BS設定13bを選択・決定すると、BS設定メニュー15に遷移し、プルダウンメニューとしてチャンネル設定15a等が表示される。
【0024】
また、メインメニュー12において画質設定12bを選択・決定すると、画質設定メニュー16に遷移し、プルダウンメニューとしてコントラスト16a、明るさ16b、色の濃さ16c等が表示される。図3に示したOSDメニューは一例であって詳細は後述する。
【0025】
[2.一実施の形態の履歴収集部および履歴解析部(共通部分)]
次に、本発明の一実施の形態に係る共通部分を説明する。共通部分とは、操作履歴情報から導出された高レイヤーと低レイヤーを処理するための共通する構成および動作を指す。
【0026】
図4は、本発明の一実施の形態に係る情報処理システムの概略構成例を示す図である。
この実施の形態の情報処理システム20は大きく、履歴収集装置30−1〜30−nを含む履歴収集部と、履歴解析装置40を含む履歴解析部と、履歴反映装置50−1〜50−nを含む履歴反映部から構成される。通常、履歴収集部と履歴反映部は同一であることが多いが、同一であることに限られない。
【0027】
履歴収集部は、ユーザ側(例えば、家庭や職場など)に設置され、ユーザがその機器を利用するとその情報(例えば、ユーザの誤操作を含む操作履歴、入力信号、機器の状態等)を蓄積する。この履歴収集部を構成する履歴収集装置30−1〜30−nの各々は、テレビジョン受像機等の機器内部に格納されてもよいし、別個の構成としてもよい。以下、履歴収集装置30−1〜30−nを総称して履歴収集装置30と称し、履歴収集装置30と記載した場合には特に断りのない限り履歴収集装置30−1〜30−nの各々を指すものとする。後で各履歴収集装置30に蓄積した情報すなわち操作履歴情報を収集する。収集方法は、ネットワーク経由で取得する、操作履歴情報が記録された記録媒体をメーカ(製造事業者)側に郵送するなどの方法が考えられる。この履歴収集装置30の詳細は後述する。
【0028】
履歴解析部は、例えば製品を開発するメーカのセンターなどに設置される(サーバ)装置である。この履歴解析部を構成する履歴解析装置40は、全ユーザの履歴収集装置30−1〜30−nから送られてくる誤操作を含む操作履歴情報が蓄積される操作履歴情報蓄積装置30Mから操作履歴や機器の状態等の記録に基づいて誤操作を抽出して解析する。そして、アップグレードに活用できる有益な情報(反映情報)を抽出する。アップグレードに活用できる有益な情報は、反映情報蓄積装置40Mに保存する。この履歴解析装置40の詳細は後述する。
【0029】
履歴反映部は、ユーザ側(例えば、家庭や職場など)に設置される。この履歴反映部を構成する履歴反映装置50−1〜50−nは、反映情報蓄積装置40Mに保存されたアップグレードに関する情報を元にして操作対象機器のアップグレードを行う。例えば、アップグレード情報を元にしてカスタマイズした機器をユーザに提供する、または、アップグレード情報をユーザ側に(ネットワーク経由で) 送信し、ユーザ側の機器がアップグレード情報を元にして機能をカスタマイズする。以下、履歴反映装置50−1〜50−nを総称して履歴反映装置50と称し、履歴反映装置50と記載した場合には特に断りのない限り履歴反映装置50−1〜50−nの各々を指すものとする。この履歴反映装置50の詳細は後述する。
【0030】
[履歴収集部の構成]
図5は、情報処理システム20を構成する履歴収集部の構成を示す図である。
履歴収集部は履歴収集装置30を備えており、この履歴収集装置30は、信号処理部31と、ユーザインタフェース(入力部、出力部)32と、信号収集部33と、履歴保存部34を含むようにして構成される。
【0031】
信号処理部31は、DSP(Digital Signal Processor)やCPU(Central Processing Unit)などが適用され、入力信号(映像信号や音声信号など)に所定の処理を施した提示情報をユーザインタフェース32へ供給する。また、ユーザがリモートコントローラ10(図2参照)を用いて入力した信号に含まれる制御情報を受信し、その制御情報に基づく処理を行う。
【0032】
ユーザインタフェース32は、ユーザがリモートコントローラ10を用いて入力した信号を解析し、解析した結果である制御情報を信号処理部31および信号収集部33へ出力する。具体的にはユーザインタフェース32は、グラフィカルユーザインタフェースである。なお、インタフェースとして、リモートコントローラ10からの赤外線信号を受信する受光部を備える。
【0033】
信号収集部33は、ユーザインタフェースから入力される制御情報(操作履歴)、信号処理部31から入力される入力信号や内部パラメータ(入力信号、機器状態等)を収集する。
【0034】
履歴保存部34は、磁気記録装置や半導体メモリ等から構成され、信号収集部33で収集した情報を記録、蓄積する。
【0035】
上記のように構成された履歴収集部では、ユーザが使用している電子機器(テレビジョン受像機等)の内部に流れる電気信号を信号収集部33により収集する。以降では、収集する電気信号の記録を総称して“操作履歴” と表現するが、これはユーザの操作情報そのもの、およびそれに起因する機器の内部状態の変化の記録を表す。
【0036】
例えばテレビジョンセットの場合、図5に示すようにユーザインタフェース(ディスプレイ等の表示部、受光部等)32 から信号処理部31へ送られる制御情報、および信号処理部31の内部パラメータを信号収集部33が検知する。収集する電気信号として赤外線リモコン(SIRCS:Serial Infrared Remote Control System) コード、機器の内部状態の記録としてI2C(Inter-Integrated Circuit)バスに流れるコード、SCI(Serial Communication Interface) 通信コード等のあらゆる機器内部の集積回路間の通信データが挙げられるが、これらの情報に限られない。
【0037】
電気信号(SIRCSコード、I2Cコード等)を収集後、図6に示すような取得時間、リモコンコードの種類等を組み合わせて操作履歴情報30A−1を作成し、履歴保存部34に保存する。ここで、操作履歴情報30A−1としてあらゆる情報を網羅的に収集することもできるが、記録容量の節約のために、必要な操作履歴情報のみを選別して保存する。以上の処理を繰り返し、操作履歴情報を履歴保存部34に蓄積していく。
【0038】
履歴保存部34の容量が一杯になったとき、履歴保存部34の交換を促し、メーカ(センター) は履歴保存部34を回収する。機器の使用開始から一定期間経過後、メーカ(センター) 側からの要求により、履歴保存部34が回収されるという場合も考えられる。操作履歴情報を回収するには、ユーザから電子機器、または取り外し可能な履歴保存部(専用の記録装置を用意、またはリモートコントローラに装備するなど) をメーカ側(センター) に提供してもらえばよい。電子機器にネットワーク接続機能が備えられている場合、蓄積された操作履歴情報をネットワーク経由でメーカ側(センター) に送るという方法でも構わない。
【0039】
[履歴収集部の動作]
次に、図7に示すフローチャートを参照して、情報処理システム20を構成する履歴収集部(履歴収集装置30)の処理例を説明する。
ステップS1において、操作履歴情報の収集処理が開始されると、まずユーザによる操作情報がユーザインタフェース32を介して信号処理部31へ入力されたか否かを判定する。操作情報が入力された場合にはステップS2の処理に進む。一方、操作情報が入力されていない場合にはステップS1の処理を繰り返し実行し、操作情報の入力の有無を監視する。
【0040】
ステップS2において、信号収集部33は履歴保存部34に空き容量があるか否かを判定する。空き容量がある場合にはステップS3の処理へ進む。一方、空き容量がない場合にはステップS5の処理へ進む。
【0041】
ステップS3において、信号収集部33は操作履歴情報の選別を行う。つまり、機器内部に存在する様々な情報の中から操作履歴情報のみを選別して保存する。この処理が終了後、ステップS4の処理へ進む。
【0042】
ステップS4において、信号収集部33は、操作履歴情報を履歴保存部34に保存する。この処理が終了後、ステップS1の判断処理に戻り一連の処理を繰り返す。
【0043】
またステップS5において、信号処理部31は、履歴保存部34に空き容量がないと判定された場合、履歴保存部34の交換を催促するメッセージをユーザインタフェース32に表示させるように制御する。
【0044】
ステップS6において、履歴保存部34に蓄積された操作履歴情報をネットワーク経由でメーカ側(センター)に送る。あるいは、ユーザが電子機器(履歴収集装置30)、または取り外し可能な履歴保存部34をメーカ側(センター) に提供するようにしてもよい。
【0045】
[履歴解析部の構成]
次に、履歴収集部が収集した操作履歴情報の解析を行う履歴解析部について説明する。
以降では、各ユーザに対して個別に履歴解析部の処理を進めるように説明しているが、特に逐次ルール抽出部ではユーザ間の比較を行う等の際に、できるだけ多くのユーザのデータを包括的に用いて処理を進めると効果が大きい。
【0046】
図8は、情報処理システム20を構成する履歴解析部の構成例を示す図ある。
履歴解析部は大別して、操作履歴情報蓄積装置30M、履歴解析装置40、反映情報蓄積装置40Mから構成される。操作履歴情報蓄積装置30Mおよび反映情報蓄積装置40Mは、磁気記録装置や半導体メモリなどの不揮発性の記録手段を適用できる。
【0047】
この履歴解析装置40は前処理部41、一連操作抽出部42、パターン抽出部43、操作パターンデータベース43A、逐次ルール抽出部44、反映情報生成部45を含むようにして構成される。履歴解析装置40の各部は、例えばCPUなどの信号処理装置が適用され、入力される信号に対して所定の処理を行い、次段の処理部へ出力する。なお、履歴解析装置40は図示しないメモリを備えている。あるいは履歴解析装置40の各部の内部に、各部が処理・演算した結果を記憶するメモリを個別に設けてもよい。
【0048】
前処理部41は、操作履歴情報蓄積装置30Mに記録する操作履歴情報の仕様によって多種の操作履歴情報が得られるが、操作履歴情報蓄積装置30Mから以降の解析で必要な情報だけを抽出し、操作履歴情報の書式(データ形式)を整えるものである。この前処理部41の動作の詳細については後述する。
【0049】
一連操作抽出部42は、前処理部41で前処理された長期に渡る操作履歴情報から同目的と推定できる操作履歴情報の塊(一連の操作) を抽出するものである。この一連操作抽出部42の動作の詳細については後述する。
【0050】
パターン抽出部43は、一連操作抽出部42で抽出されたそれぞれの一連の操作から操作パターンを抽出し、集計を行うものである。このパターン抽出部43の動作の詳細については後述する。
【0051】
操作パターンデータベース43Aは、パターン抽出部43で抽出されたユーザの操作パターンが書き込まれ、不揮発性のメモリに構築される。なお、以降では操作パターンデータベース43Aを「操作パターンDB43A」と称する。
【0052】
逐次ルール抽出部44は、パターン抽出部43で抽出された各操作パターンに関して意味付けを行い、アップグレードに活用できる情報を抽出するものである。この逐次ルール抽出部44の動作の詳細については後述する。
【0053】
反映情報生成部45は、逐次ルール抽出部44で抽出されたアップグレードに活用できる情報、この実施の形態では誤操作パターンと各操作をどのように反映させるかといった反映方法等から、機器に新機能を反映させるための反映情報を生成するものである。反映情報は反映情報蓄積装置40Mに保存する。この反映情報生成部45の動作の詳細については後述する。
【0054】
[履歴解析部の各部の動作]
次に、情報処理システム20を構成する履歴解析部(履歴解析装置40)の各部の処理例を説明する。
【0055】
[前処理部の動作]
図9のフローチャートを参照して、前処理部41の処理例を説明する。
ステップS11(操作履歴分解処理)において、前処理が開始されると、まず操作履歴情報蓄積装置30Mに収集された操作履歴情報(図6参照)を一操作履歴コード毎に分解し、各操作履歴コード毎に順次、次のステップ12の判定処理に回す。
【0056】
ステップS12(操作履歴残数判定処理)において、未処理の操作履歴情報(操作履歴コード)が残っているかどうかを判定する。残っていればステップS13の判定処理に進み、残っていなければ前処理を終了する。
【0057】
ステップS13(操作履歴種類判定処理)において、以降の解析で必要な操作履歴情報(操作履歴コード)かどうかを判定し、必要な操作履歴情報だけを抽出して次のステップS14の処理に進む。残りの不要な操作履歴情報はステップS15の処理に回す。なお、逐次ルール抽出部44の操作パターン絞り込み処理でも操作履歴情報の絞り込みが行われるので、必ずしもこの段階で絞り込みを行わなくても構わない。
【0058】
収集した操作履歴情報を、解析に利用するためのデータに変換する具体例として、例えばSIRCSコードから重複する操作履歴コードを取り除く処理がある。通常、通信の安定性のため、1回ボタンを押すごとに、複数個(下の例では2個)のSIRCSコマンドが送信されているので、重複する余分な操作履歴コードを取り除く。また、他の例として、解析に不要な操作履歴コードを取り除くということが挙げられる。例えば、メニュー操作の解析を行う場合、無関係な操作履歴情報(機器内部の処理コードなど)は取り除くようにする。また、例えば選局に関する操作履歴情報だけが必要ならば、それ以外の操作履歴情報(音量調節、画質調整など) を取り除く。
【0059】
前処理済みの操作履歴情報の例を、図10に示す。この図10に示す例は、操作履歴情報30A−1について前処理を行い、重複する操作履歴コードが除去された操作履歴情報30A−2を得る場合の例である。
【0060】
図9のフローチャートの説明に戻る。ステップS14(操作履歴結合処理)において、ステップS13の操作履歴種類判定処理が行われた一操作履歴コードを、その時点までに蓄積しておいた操作履歴コード群と結合させる。この処理が終了後、ステップS11の処理に進み、全操作履歴コードについて処理が終了するまで繰り返す。
【0061】
ステップS15(操作履歴除去部)において、ステップS13で解析に必要ない操作履歴情報と判定された場合、該当する操作履歴情報(操作履歴コード)を取り除く。この処理が終了後、ステップS11の処理に進み、全操作履歴コードについて処理が終了するまで繰り返す。
【0062】
[一連操作抽出部の動作]
図11のフローチャートを参照して、一連操作抽出部42の処理例を説明する。
ステップS21において、操作抽出処理が開始されると、まず前処理部41において前処理済み操作履歴情報について、一連の操作抽出処理を行う。この一連の操作抽出処理では、操作履歴統合処理(ステップS21−1)および/または区切り位置設定処理(ステップS21−2)を行う。あるいは、これらの処理を行ったり来たり繰り返す。この処理が終了後、ステップ22の処理に進む。
【0063】
ステップS21−1(操作履歴統合処理)において、隣接するまたは十分近い位置に存在する前処理済みの操作履歴情報(操作履歴コード)を種々の規範に従って統合する。その規範としては例えば次のようなものを組み合わせて用いる。
(1) 発生時刻: 同時刻の操作履歴コードを同じものとして統合する。
(2) 操作履歴コードの種類: 操作履歴コードの種類が同じものを統合する。
【0064】
2の場合、例えばテレビジョンセットにおいて、“音量上昇” コードだけを統合したり、“音量上昇” コードと“音量下降” コードを同じものとして統合したりする等、必要に応じて設計することによって種々の統合方法を選択できる。
【0065】
また、統合に用いる規範の組合せ方として、例えば同時刻・同種類の操作履歴コードをまず統合し、その後さらに統合した操作履歴コードの種類に応じて統合を行う等、必要に応じて種々の統合方法を選択することができる。このような統合を行う場合には、ステップS21−1とステップS21−2の処理を行ったり来たりすることとなる。
【0066】
ここで操作履歴コードを統合した場合の例を、図12に示す。
本実施の形態では、操作履歴情報を階層化し、例えば状態遷移を2階層(レイヤー)に分けて考える。つまり、前処理後の操作履歴情報(リモコンコード)から、低レイヤー(下位階層)と高レイヤー(上位階層)の状態を導出する。この操作履歴情報の統合は、以降の操作パターンの解析で得られる操作パターンの種類を決定したり、次の区切り位置設定部で区切り位置を限定したりするのに利用される。
【0067】
図12において、状態遷移トリガである操作履歴情報、低レイヤーの状態遷移、高レイヤーの状態遷移が示されている。
操作履歴情報は生のログデータであり、上述したリモコンコード(SIRSコード)や機器内部の処理コード等が操作履歴情報に該当する。
【0068】
低レイヤーの状態遷移は、リモートコントローラを操作する段階での状態の遷移であり、リモコンコードに割り当てられた操作内容を上位の概念で表現したものである。したがって、ユーザインタフェース上で“見た目”が変化していなくても別状態として処理する。
【0069】
また高レイヤーの状態遷移は、機能の段階での状態の遷移であり、ユーザからの“見た目”と状態が一致する。別の表現をすれば、低レイヤーにおける各状態を同一分類(機能)ごとにまとめたものである。すなわちOSDメニュー階層、あるいは、各種処理モード(2画面表示等)等に相当する。
【0070】
図11のフローチャートの説明に戻る。
ステップS21−2(区切り位置設定部)において、前処理済み、かつ、統合済みの長期に渡る操作履歴コードを同目的の操作履歴の塊(一連の操作) にまとめる。例えばテレビジョンセットの場合、“明るさ設定” と“音量調節” を順に行ったとしたら、“明るさ設定” に関する一連の操作と“音量調節” に関する一連の操作の間に区切りを設定して、それぞれの一連の操作を同目的の操作履歴の塊としてまとめることに相当する。
【0071】
区切り位置の決定方法としては、例えば次のような規範を組み合わせるが、これらの候補位置に限られない。
(1) 操作履歴統合処理で統合されなかった隣接する操作履歴コードの間。
図12を例に挙げると、波線で示した位置である。例えば各操作履歴情報、低レイヤーのメインメニュー表示状態42LL−1,42LL−2,42LL−3、高レイヤーのメインメニュー表示状態42HLの各境界部分が該当する。これに該当する候補位置の集合をSとする。
(2) 時間間隔が閾値δよりも大きい隣接する操作履歴コードの間。
閾値δは全部の操作履歴コードに共通の値をあらかじめ決定しておいたり、操作履歴コードの種類に応じて値を変えたりしてもよい。閾値をδとした場合、これに該当する候補位置の集合をS(δ) とする。
(3) 規格で決められている(操作機器の取り扱い説明書に記載されている) 一連の操作の中で、初めにしか現れない操作履歴コードの直前や、最後にしか現れない操作履歴コードの直後。これに該当する候補位置の集合をSとする。
(4) 操作機器の内部状態の利用。
例えばテレビセットの場合、I2Cコード等を利用して実際に電源オフや電源オンの位置を調査し、その位置やその前後に区切り位置を設定する。これに該当する候補位置の集合をSとする。
【0072】
組合せ方としては、例えばδb、δs をそれぞれ大きい閾値、小さい閾値とすると、(S∩S(δ))∪S(δ)など、積集合(∩)と和集合(∪)を種々選択して区切り位置の集合を決定することができる。
【0073】
ステップS21の終了後、ステップS22において、前処理済みの操作履歴情報を最終的に得られた区切り位置で区切り、必要に応じて操作履歴コードを統合する。最終的に得られた一連の操作パターンを蓄積して、次のパターン抽出部43に供給する。
【0074】
図12の例では、低レイヤーにおいて、メニューボタン,下ボタン,決定ボタンの各々に対しメインメニュー表示状態42LL−1,42LL−2,42LL−3が存在する。そして、高レイヤーにおいては、低レイヤーのメインメニュー表示状態42LL−1,42LL−2,42LL−3が一つのメインメニュー表示状態42HLに統合されている。
【0075】
[パターン抽出部の動作]
次に、図13のフローチャートを参照して、パターン抽出部の処理例を説明する。
ステップS31(一連の操作履歴分解処理)において、パターン抽出処理が開始されると、まず一連操作抽出部42にて設定した区切り位置を基にして、それぞれの一連の操作履歴コードを分解し、各一連の操作履歴コード毎に順次、次のステップS32の判定処理に回す。
【0076】
ステップS32(操作履歴残数判定処理)において、未処理の操作履歴情報(一連の操作履歴コード)が残っているかどうかを判定する。残っていればステップS33の判定処理に進み、残っていなければパターン抽出処理を終了する。
【0077】
ステップS33(操作パターン生成処理)において、一連の操作履歴コードから操作パターンを抽出する。操作パターンとしては必要に応じて、例えば次のような方法を選択する。
(1) それぞれのM回(Mは整数)の一連の操作から、N回の連続操作(M>N、Nは整数で固定)を取り得る範囲の開始位置から抽出する。それぞれの一連の操作の最初のN回の連続操作、または最後のN回の連続操作だけを抽出する等も考えられる。以降においては、2連続操作の場合を例に挙げて説明するが、この例に限られず3回などでもよい。
(2) それぞれの一連の操作そのものを一つの操作パターンとする。
【0078】
ステップS34(操作パターン蓄積処理)において、ステップS33の操作パターン生成処理で得られた操作パターンを順次、図示しないメモリに蓄積する。この蓄積された操作パターンを次の逐次ルール抽出部44に供給する。この処理が終了後、ステップS31の処理に進み、全操作履歴コードについて処理が終了するまで繰り返す。
【0079】
[逐次ルール抽出部の動作]
次に、図14のフローチャートを参照して、逐次ルール抽出部の処理例を説明する。
ステップS41(操作パターン分解処理)において、逐次ルール抽出処理が開始されると、まずパターン抽出部43で得られた操作パターン群を操作パターン毎に分解し、各操作パターン毎に順次、次のステップS42の操作パターン残数判定処理に回す。
【0080】
ステップS42(操作パターン残数判定処理)において、未処理の操作パターンが残っているかどうかを判定する。残っていればステップ43の操作パターン絞り込み処理に進み、残っていなければ逐次ルール抽出処理を終了する。
【0081】
ステップS43(操作パターン絞り込み処理)において、パターン抽出部43で得られた操作パターンの数が取り扱える許容範囲であれば、絞り込みを行わずそのまま通過する。しかし、操作パターンの数が膨大で取り扱いきれない場合、例えば次のような規範を組み合わせて絞り込み条件として用い、操作パターンの絞り込みを行う。なお、説明の都合上、“ある操作(群)Aの後に、または、ある操作(群)Aを原因として、ある操作(群)Bが現れる” という操作パターンを想定する。この処理が終了後、ステップS44の処理に進む。
【0082】
■統計量: 例として次のような指標が挙げられる。
−頻度: 操作パターンの出現度数。上限値や下限値を設定して操作パターンを絞り込む。
−確信度: 操作(群)Aが現れた場合を前提として、操作(群)Bが現れる確率。条件付き確率「P(B/A)」に相当し、操作(群)Aと操作(群)Bの結び付き度合いを表す。上限値や下限値を設定して操作パターンを絞り込む。
−リフト値: 操作(群)Aが現れた場合という前提が、操作(群)Bが現れる確率に寄与する影響度合い。「P(B/A)/P(B)」に相当し、計算結果が1を越えれば特に意味のある操作パターンであると判断できる。上限値や下限値を設定して操作パターンを絞り込む。
■操作履歴コードの種類:
アップグレードシステムの履歴反映部(図5参照)で必要な操作パターンのみに絞ったり、操作パターンの出現度数の偏りを是正したりすることにより、上記の統計量での絞り込みをより効果的にする。
■発生時刻:
操作機器の使用開始後の日数に応じた期間等で絞り込みを行う。これにより操作パターンの経年変化を解析することができる。
【0083】
ステップS44(誤操作パターン抽出処理)において、絞り込み後の各操作パターンの中から、ユーザの誤操作によって発生した可能性の高い操作パターンを反映情報の一項目として抽出する。例えばテレビジョンセットに対するリモートコントローラの操作について解析した場合を考える。ここでは、ステップS43の操作パターン絞り込み処理で確信度・リフト値が共に高い操作パターンだけが抽出されるものとする。
【0084】
次に、その操作パターンの中から、誤操作パターンを抽出する。誤操作パターンはその種類によって、例えば以下のように定義することができる。
(1) “状態A→状態C→状態A→状態B(B≠C)”
(2) “状態A→状態A→状態B(1度目と2度目の操作に共通性がある場合)”
(3) “状態A→状態C(低確信度であり、他に高確信度の類似操作「状態A→状態B」がある場合)”
【0085】
本発明でいう誤操作パターンとは、意図した操作パターンと異なる操作パターン、すなわち規定パターンにない操作パターンを想定している。ここで、規定パターンとは、所望の機能の実行のために取扱説明書等に記載され、予め規定しておくことができる操作パターンである。したがって、仮にユーザにとっては誤操作であっても、そのパターンが規定パターンに含まれる場合には誤操作パターンとして抽出しない。規定パターンは、不揮発性のメモリに記憶してあり、この不揮発性のメモリとしては例えば操作パターンDB43Aを記憶しているメモリなどを利用できる。
【0086】
上記(1)は、一度行った操作を取り消して(「戻る」ボタン、「キャンセル」ボタン等を押下)、別の状態に移行する操作を行った場合に相当する。これは、元々“状態A→状態B”を意図していたところ、誤って“状態A→状態C”の誤操作をしてしまったパターンであると解釈できる。
【0087】
上記(2)は、(1)の変則的なパターンであって、誤操作によって状態が変化しなかった場合に相当する。例えばメニューと関係ない操作等が該当する。
【0088】
上記(3)は、操作パターンDB43Aに保存されたユーザの普段の操作履歴から分析すると他に確率的に高い状態遷移があるのに、確率的には低い類似する状態遷移が起きた場合に相当する。例えば、1チャンネルを表示している状態で普段は高い確率で2チャンネルボタンを押すのに、3チャンネルボタンが押された場合などである。
【0089】
以降において、誤操作パターンを上記(1)の場合を例に説明する。誤操作パターンの抽出後は、その発生原因を導出する。これは、“状態A→状態B”と“状態A→状態C”との関係から予め定義しておくことができる。この操作がリモートコントローラで行われた場合、ボタンの空間的な位置関係(近接性・対称性)や形状の類似性など、OSDの場合は項目の位置関係などが、誤操作の発生原因として挙げられる。
【0090】
例えば、高頻度、高確信度の規定外操作パターンの中で、当初は“状態A→状態B”のように状態遷移する予定であったのに、状態Bへ遷移するためのボタンと状態Cへ遷移するためのボタンの位置が近接しているためにボタンを押し間違えた場合である。それによって、“状態A→状態C(→状態B)”のように状態遷移した、ということが発生する。なお、リモートコントローラのボタンの押し間違いは、ボタンが対称的な配置の場合や、ボタンの形状が同じ場合等でも起こり得る。
【0091】
そして、ステップS45(誤操作パターン解釈蓄積処理)において、ステップS44の誤操作パターン抽出処理で得られた各誤操作パターンの解釈を蓄積し、アップグレードシステムの履歴反映部で活用する情報とする。例えば、リモートコントローラのボタンの押し間違いパターン(誤操作パターン)だと解釈された操作パターンを蓄積することにより、そのユーザの“誤操作” に関する特徴(逐次ルール) が抽出される。例を挙げると、あるユーザはボタン配置の対称性による押し間違いが多いとか、時間軸上で見ると誤操作パターンがある時期から全く現れず、このリモートコントローラの操作に慣れたと解釈される、といった知見が得られる。以上の結果、例えば次のような反映情報(アップグレードに必要な情報) を出力する。
【0092】
(1) ボタンの配置の近接性に起因する誤操作が頻発する→ボタンの配置を遠ざける
(2) ボタンの配置の対称性に起因する誤操作が頻発するグループ→ボタンの配置を対称でない位置に割り当てる
(3) ボタンの形状の類似性に起因する誤操作が頻発するグループ→ボタンの形状を変える
【0093】
リモートコントローラのボタンのカスタマイズのために出力される反映情報の例は、後述する。
【0094】
次に、反映情報生成部45(図8参照)についてさらに詳細に説明する。
反映情報生成部45は主に、操作履歴情報の高レイヤーにおいて抽出された誤操作パターン(機能の選択間違い)、および、操作履歴情報の低レイヤーにおいては抽出された誤操作パターン(ボタンの押し間違い)に基づいて、反映情報を生成する。以降において、反映情報生成部45について、操作履歴情報(図12参照)の高レイヤーと低レイヤーのそれぞれの場合に分けて説明する。
【0095】
[3.一実施の形態の履歴解析部(反映情報生成部:高レイヤーの場合)]
まず、図15〜図19を参照して、高レイヤーの場合の反映情報生成部45の動作について説明する。
【0096】
図15は、履歴解析装置40の反映情報生成部45による操作履歴情報の高レイヤーに対する処理例を示すフローチャートである。
ステップS51において、反映情報生成処理が開始されると、まず反映情報生成部45は前過程の逐次ルール抽出部44による誤操作パターン抽出処理(ステップS44)で得られた誤操作パターンおよび状態遷移トリガの情報を読み出す。この処理が終了後、ステップS52の処理に進む。
【0097】
ステップS52において、反映情報生成部45は、誤操作パターンおよび状態遷移トリガの情報から誤操作/正解操作対応テーブルを更新する。この処理が終了後、ステップS53の処理に進む。
【0098】
ステップS53において、反映情報生成部45は、更新した誤操作/正解操作対応テーブルを、図示しないメモリに保存する。この処理が終了後、ステップS54、ステップS55の処理に進む。
【0099】
例えば図12に示した例では、操作履歴情報から得られる高レイヤーの状態遷移は、「初期状態」→「メインメニュー」→「画質設定メニュー」→「メインメニュー」→「TV設定メニュー」→「BS設定メニュー」である。高レイヤーの操作履歴情報からは、下記の2状態遷移の誤操作パターン(=機能の選択間違い)を抽出する。
【0100】
(1)状態A→状態C→状態A→状態Bの高頻度・高確信度・高リフト値のパターン
これは図3に示した例でいえば、例えば「メインメニュー12」→「画質設定メニュー16」→「メインメニュー12」→「TV設定メニュー13」のように遷移する場合に相当する。
【0101】
(2)状態A→状態Cの高頻度・低確信度・高リフト値のパターン
(ただし、同ユーザには、別に高頻度・高確信度・高リフト値のパターン「状態A→状態B」が存在するものとする。)
これは図3に示した例でいえば、「TV設定メニュー13」→「BS設定メニュー15」と遷移する場合に相当する。前提として、操作パターンDB43Aに蓄積された操作パターンから、パターン抽出部43等によって普段は主に「TV設定メニュー13」→「地上波設定メニュー14」の順にしか操作しないことが統計的に求められているものとする。また、BS放送番組が映らないのに、「BS設定メニュー15」に入ったような場合も誤操作に相当するものとする。
【0102】
誤操作パターンの具体的な抽出手順は、逐次ルール抽出部44の説明で言及したように、まず所望の状態遷移パターンの抽出を全操作履歴情報に対して行い、その後に、抽出された全パターンを統計的な尺度(頻度・確信度・リフト値)でふるいに掛ける。これによって、偶然発生した誤操作パターンが除去され、有意な誤操作パターンのみが残る。
【0103】
図16に、誤操作/正解操作対応テーブル(高レイヤー)の例を示す。図16に示す例では、誤操作/正解操作対応テーブルと後述する誤操作原因情報テーブルの相互のフィールドを、一部重ねた状態で表現してある。
【0104】
この誤操作/正解操作対応テーブルは、誤操作と正解操作(本来意図した操作)の対応付けを行うものであり、フィールドとして「状態遷移パターン」、「誤操作」、「正解操作」を備える。
【0105】
この図16に示す例では、状態遷移パターンとして「メインメニュー→画質設定メニュー→メインメニュー→TV設定メニュー」、「TV設定メニュー→BS設定メニュー」のパターンが抽出されている。この「メインメニュー→画質設定メニュー→メインメニュー→TV設定メニュー」のパターンに対して、誤操作として「画質設定メニューIN」が、正解操作として「TV設定メニューIN」が書き込まれる。また、「TV設定メニュー→BS設定メニュー」のパターンに対して、誤操作として「BS設定メニューIN」が、正解操作として「地上波設定メニューIN」が書き込まれる。
【0106】
次に、ステップS54,ステップS55において、反映情報生成部45は、図示しないメモリに記憶されているシステム情報および反映方法テーブルを読み出す。システム情報は、状態遷移パターンをOSDメニュー階層での動きに対応づける際に用いるものであり、OSDの階層構造(例えば図3参照)や階層を構成する項目の名称等の情報が含まれる。読み出されたシステム情報は誤操作原因を特定する処理(後述のステップS56)に、また反映方法テーブルは反映情報を生成する処理(後述のステップS58)において利用される。この処理が終了後、ステップS56の処理に進む。
【0107】
図17に、反映方法テーブル(高レイヤー)の例を示す。
図17に示す反映方法テーブルは、フィールドとして「反映方法種別番号」、「誤操作原因」および「反映方法」を備える。反映方法とは、機器のアップグレードをどのような方法(形態)で実現するかを規定したものである。
【0108】
この実施の形態では、反映方法種別番号「0」のとき、誤操作原因なし、かつ、反映方法が「変更なし」である。以下、反映方法種別番号「1」のとき、誤操作原因が「メニュー項目の取り違え」、反映方法が「不正解メニュー内に正解メニューへのショートカットを作成する」である。また反映方法種別番号「2」のとき、誤操作原因が「メニュー項目の取り違え」、反映方法が「不正解メニュー項目を目立たなくする」である。さらに、反映方法種別番号「3」のとき、誤操作原因が「メニュー項目の取り違え」、反映方法が「不正解メニューから正解メニューに直接遷移する」である。
【0109】
なお、上記システム情報および反映方法テーブルについては、解析開始前に予め定義し用意しておくことが望ましい。
【0110】
そして、ステップS56において、誤操作/正解操作対応テーブルおよびシステム情報に基づいてユーザごとに誤操作の原因を特定する。例えば、状態遷移パターンが「メインメニュー→画質設定メニュー→メインメニュー→TV設定メニュー」の場合、「状態A→状態C→状態A→状態B」のパターンであるから、原因は「状態C」と「状態B」の取り違え、すなわち「TV設定メニュー」と「画質設定メニュー」の取り違えであると特定する。また、「TV設定メニュー→BS設定メニュー」の場合、当該ユーザは「TV設定メニュー後」には「地上波設定メニュー」を選択する確率が高いという前提で、「BS設定メニュー」と「地上波設定メニュー」の取り違えであると特定する。この処理が終了後、ステップS57の処理に進む。
【0111】
ステップS57において、反映情報生成部45は、特定した誤操作原因を、図16に示した誤操作/正解操作対応テーブルの対応する「誤操作」に追加するようにして誤操作原因情報テーブルを生成する。そして、生成した誤操作原因情報テーブルを図示しないメモリに保存する。この処理が終了後、ステップS58の処理に進む。なお、図16に示す例では、誤操作/正解操作対応テーブルと誤操作原因情報テーブルを一部重複させる形態としてあるが、別個にテーブルを作成してもよいことは勿論である。
【0112】
ステップS58において、上述した誤操作/正解操作対応テーブル、システム情報、反映方法テーブルおよび誤操作原因情報テーブルを基に、アップグレード時に活用する反映情報を生成する。この処理が終了後、ステップS59の処理に進む。なおステップS55の反映方法テーブルの読み出し処理の実行は、このステップS58の処理の直前でもよい。
【0113】
ステップS59において、反映情報生成部45は、生成した反映情報を基に反映情報テーブルを作成し、メモリに保存する。この処理が終了後、反映情報生成処理を終了する。
【0114】
図18に、反映情報テーブル(高レイヤー)の例を示す。
反映情報には、リモートコントローラ(タッチパネル)のアップグレードに必用な情報が含まれている。図18に示す反映情報テーブルには、フィールドとして「(反映)対象」、「反映方法種別番号」、反映対象に機能を反映させるための「反映方法詳細」が含まれる。本実施の形態において、(反映)対象とは“誤操作”を指す。「誤操作原因」の番号は、反映方法テーブルの「反映方法識別番号」と対応している。さらに、「反映方法詳細」には、対象ごとに個別具体的な反映方法が記録される。
【0115】
ここで、反映情報テーブルにおける反映方法種別番号の決定方法について説明する。まず、誤操作原因情報テーブル(図16参照)から誤操作原因情報を取り出し、その情報と一致するエントリーを反映方法テーブル(図17参照)の誤操作原因フィールドの中から探索する。そして、一致したエントリーの反映方法種別番号を取り出し、一致しなければ反映方法種別番号を「0」として登録する。図17の例では誤操作原因フィールドが全部同じ内容にしてあるが、実際には様々な誤操作原因が格納されている。また図17の例において、誤操作原因フィールドに同じ誤操作原因が複数格納されているのは、同一の誤操作原因について反映方法の例を複数挙げようとしたものであり、説明の都合によるものである。したがって、探索で最初にヒットしたエントリーのみを選択するとか、そもそも予め一つの反映方法に絞って反映方法テーブルを用意しておく等でもよい。
【0116】
図18に示した例では、OSDメニューのアップグレードの例として、対象が「画質設定メニュー」、誤操作原因が「1」、反映方法詳細が「「TV設定メニュー」へのショートカットを追加する」と記述されている。また、OSDメニューのアップグレードの他の例として、対象が「BS設定メニュー」、反映方法種別番号が「2」、反映方法詳細がBS設定メニューを「目立たなくする」と記述されている。
【0117】
上記反映情報テーブルに記述された反映情報(アップグレード情報)を、履歴反映装置50の信号処理装置に反映する。または、ネットワークを通じて履歴反映装置50に反映情報を配信し、履歴反映装置50内部の記憶部に記憶されているインタフェースの機能のうちアップグレード対象の機能を更新する。アップグレードの具体例については後述する。
【0118】
[反映情報テーブルの変形例]
図19は、図18に示した反映情報テーブルに事変要素(時間条件)を入れた場合の反映情報テーブル(高レイヤー)の例を示すものである。
図19に示すように、対象を「画質設定メニュー」とする2つのレコードに、時間条件としてそれぞれ「午前」と「午後」が追加されている。「午前」の場合、反映詳細情報は「「TV設定メニュー」へのショートカットを追加する」である。同様に「午後」の場合、反映詳細情報は「「音質設定メニュー」へのショートカットを追加する」である。これは、それぞれのレコードが、午前または午後に取得された操作履歴情報のみから抽出された誤操作パターンを基に作成されたものであることを意味する。また、対象を「BS設定メニュー」とするレコードに、時間条件として「終日」が追加されている。これは、当該レコードが、終日の全操作履歴から抽出された誤操作パターンを基に作成されたものであることを意味する。
【0119】
ユーザは、平日と休日、朝や昼、夜などでは、生活リズムや気分などが異なるため操作パターンが異なることが予想される。そこで、それらの時間条件を反映情報に取り入れることによって、ユーザの生活リズム等に合わせてより適切かつ柔軟に誤操作パターンを抽出し、新たな操作手順の発見および導入が図れる。例えば、図19の例では、午前の場合、対象の「画質設定メニュー」に対して、反映方法を「「TV設定メニュー」へのショートカットを追加する」とし、TVの設定操作に対する比重を高くする。一方、午後の場合、対象の「画質設定メニュー」に対して、反映方法を「「音質設定メニュー」へのショートカットを追加する」とし、音楽等を聞きながらゆったり過ごすことが想定されている。
【0120】
[4.一実施の形態の履歴解析部(反映情報生成部:低レイヤーの場合)]
まず、図20〜図25を参照して、低レイヤーの場合の反映情報生成部45の動作について説明する。
【0121】
図20は、履歴解析装置40の反映情報生成部45による操作履歴情報の低レイヤーに対する処理例を示すフローチャートである。
ステップS61において、反映情報生成処理が開始されると、まず反映情報生成部45は前過程の逐次ルール抽出部44による誤操作パターン抽出処理(ステップS44)で得られた誤操作パターンおよび状態遷移トリガの情報を読み出す。この処理が終了後、ステップS62の処理に進む。
【0122】
ステップS62において、反映情報生成部45は、誤操作パターンおよび状態遷移トリガの情報から誤操作/正解操作対応テーブルを更新する。この処理が終了後、ステップS63の処理に進む。
【0123】
ステップS63において、反映情報生成部45は、更新した誤操作/正解操作対応テーブルを、図示しないメモリに保存する。この処理が終了後、ステップS64、ステップS65の処理に進む。
【0124】
例えば図12に示した例では、操作履歴情報から得られる低レイヤーの状態遷移は、「初期状態」→「初期状態」→「メインメニュー」→「メインメニュー」→「メインメニュー」→「画質設定メニュー」→「メインメニュー」→「メインメニュー」→「TV設定メニュー」→「TV設定メニュー」→「TV設定メニュー」→「BS設定メニュー」である。低レイヤーの操作履歴情報からは、下記の1状態遷移の誤操作パターン(=ボタンの押し間違い)を抽出する。
【0125】
(1)状態A→状態A→状態Bのパターンの中から規格外のリモコン操作で生じた高頻度・高確信度・高リフト値のパターン
これは図3に示した例でいえば、「戻る」ボタンと「メニュー」ボタンを状態遷移トリガとして、「初期状態11」→「初期状態11」→「メインメニュー12」のように遷移した場合に相当する。
【0126】
具体的な誤操作パターンの抽出手順は、高レイヤーの場合と同様、逐次ルール抽出部44の説明で言及したように、まず所望の状態遷移パターンの抽出を全操作履歴情報に対して行い、その後に、抽出された全パターンを統計的な尺度(頻度・確信度・リフト値)でふるいに掛ける。これによって、偶然発生した誤操作パターンが除去され、有意な誤操作パターンのみが残る。
【0127】
なお、上述例において「メインメニュー」→「メインメニュー」→「画質設定メニュー」の遷移状態、「メインメニュー」→「メインメニュー」→「TV設定メニュー」の遷移状態、さらに「TV設定メニュー」→「TV設定メニュー」→「BS設定メニュー」の遷移状態の場合には、規格内操作なので誤操作パターンは抽出されない。このように逐次ルール抽出部44は、例えば操作パターンDB43Aを記憶しているメモリに蓄積された規定パターンを参照して、誤操作なのか規定内操作なのかを判断し抽出の要否を判定する。
【0128】
図21に、誤操作/正解操作対応テーブル(低レイヤー)の例を示す。
誤操作/正解操作対応テーブルは、高レイヤーの場合と同様に、フィールドとして「状態遷移パターン」、「誤操作」および「正解操作」を備える。
【0129】
この図21に示す例では、状態遷移パターンとして「初期状態」→「初期状態」→「メインメニュー」が抽出され、対応する誤操作が2つ記述されている。
【0130】
この図21に示す第1例では、図12に示した「初期状態→初期状態→メインメニュー」のパターンに対して、誤操作として「戻るボタン」が、正解操作として「メニューボタン」が書き込まれる。また、図12に示した操作履歴の初めの操作が「戻るボタン」でなくて、記載のない「メモボタン」であった場合に相当する例が、第2例として挙げられている。すなわち、「初期状態→初期状態→メインメニュー」のパターンに対して、誤操作として「メモボタン」が、正解操作として「メニューボタン」が書き込まれている。なお、ここでは説明の都合上、初期状態で「戻るボタン」や「メモボタン」を押しても状態遷移は起こらないものとしている。
【0131】
次に、ステップS64,ステップS65において、反映情報生成部45は、図示しないメモリに記憶されているシステム情報および反映方法テーブルを読み出す。システム情報には、リモートコントローラ10の属性情報(後述する図25参照)等が含まれる。属性情報とはボタンの大きさ、形状、色等の情報である。読み出されたシステム情報は誤操作原因を特定する処理(後述のステップS66,S67)に、また反映方法テーブルは反映情報を生成する処理(後述のステップS69)において利用される。この処理が終了後、ステップS66,ステップS67の処理に進み、ユーザごとに誤操作原因を特定する。
【0132】
図22に、反映方法テーブル(低レイヤー)の例を示す。
図22に示す反映方法テーブルは、高レイヤーの場合と同様、「反映方法種別番号」、「誤操作原因」および「反映方法」を備える。
【0133】
この実施の形態では、反映方法種別番号「0」のとき、誤操作原因なし、かつ、反映方法が「変更なし」である。以下、反映方法種別番号「1」のとき、誤操作原因が「近似性」、反映方法がボタンの「間隔を離す」である。また反映方法種別番号「2」のとき、誤操作原因が「大きさの類似性」、反映方法がボタンを「大きさの異なるものにする」である。また、反映方法種別番号「3」のとき、誤操作原因が「形状の類似性」、反映方法が「形状を異なるものにする」である。さらに、反映方法種別番号「4」のとき、誤操作原因が「色の類似性」、反映方法が「色を異なるものにする」である。さらにまた、誤操作原因として、ボタンの配置対称性を加えてもよい。ボタンの機能によってはボタンが左右(上下)に対称に配置されていると誤操作が多い、あるいは少ないといった事象が起こり得るからである。
【0134】
なお、上記システム情報および反映方法テーブルについては、高レイヤーの場合と同様、解析開始前に予め定義し用意しておくことが望ましい。
【0135】
そして、ステップS66において、タッチパネル上の誤操作したボタンと正解操作のボタンが、近接しているか否かを判定する。当該ボタン同士が近接している場合は、誤操作原因はボタンの近接性にあると特定し、ステップS68の処理に進む。一方、当該ボタン同士が近接していない場合は、ステップS67の処理に進む。
【0136】
ステップS67において、タッチパネル上の誤操作したボタンと正解操作のボタンが、共通の属性(大きさ/形状/色)を保持しているか否かを判定する。当該ボタン同士が共通の属性を保持している場合、誤操作原因はボタンの類似性にあると特定し、ステップS68の処理に進む。一方、当該ボタン同士が共通の属性を保持していない場合は、ステップS69の処理に進む。すなわち、ステップS66,ステップS67の判定処理においてともに「No」の場合、誤操作原因は特定されない。
【0137】
図20に示したステップS66,ステップS67は、ボタンの類似性(属性の共通性)よりも近接性を優先する場合の例であるが、この処理順番を逆にすれば、ボタンの類似性を優先して誤操作原因を特定することができる。
【0138】
ステップS68において、反映情報生成部45は、特定した誤操作原因を、図21に示した誤操作/正解操作対応テーブルの対応する「誤操作」に追加するようにして誤操作原因情報テーブルを生成する。そして、生成した誤操作原因情報テーブルを図示しないメモリに保存する。この処理が終了後、ステップS69の処理に進む。なお、図21に示す例では、誤操作/正解操作対応テーブルと誤操作原因情報テーブルを一部重複させる形態としてあるが、別個にテーブルを作成してもよいことは勿論である。
【0139】
ステップS69において、上述した誤操作/正解操作対応テーブル、システム情報、反映方法テーブルおよび誤操作原因情報テーブルを基に、アップグレード時に活用する反映情報を生成する。この処理が終了後、ステップS70の処理に進む。誤操作原因が特定できない(ステップS66,ステップS67の判定処理においてともに「No」の場合)等の場合は、反映方法テーブルから反映方法種別番号「0」が選択され、反映情報は生成されない。
【0140】
ステップS70において、反映情報生成部45は、生成した反映情報を基に反映情報テーブルを作成し、メモリに保存する。この処理が終了後、反映情報生成処理を終了する。
【0141】
図23に、反映情報テーブル(低レイヤー)の例を示す。
反映情報には、対象機器のアップグレードに必用な情報が含まれている。図23に示す反映情報テーブルには、フィールドとして「対象」、「反映方法種別番号」、「反映方法詳細」がある。この実施の形態の例では、OSDメニューのアップグレードの例として、対象が「戻るボタン」「メニューボタン」、反映方法種別番号が「1」、反映方法詳細が該当ボタン同士の「間隔を離す」と記述されている。また、他の例として、対象が「メモボタン」「メニューボタン」、反映方法種別番号が「3」、反映方法詳細が「「メモボタン」の形状を変更する」と記述されている。さらに他の例として、対象が「メモボタン」「メニューボタン」、反映方法種別番号が「4」、反映方法詳細が「「メモボタン」の色を変更する」と記述されている。
【0142】
なお、同一対象(2番目と3番目のエントリーが該当)に対して複数の反映方法を記述しているが、1番目のエントリーのように一対象一反映方法としてもよい。勿論、一つの反映対象に対して複数の反映方法を挙げてその全てを適用してもよいし、また複数の反映方法のうちのいずれかを適用するようにしてもよい。このように、同一対象について複数の反映方法を適用した場合、誤操作防止の効果をより高めることができる。また、複数の反映方法のうちから例えば誤操作防止の効果の高いことが検証された反映方法を選択して反映するようにすれば、反映作業に対する誤操作防止の効率がよいと言える。
【0143】
[反映情報テーブル(低レイヤー)の変形例]
図24は、図23に示した反映情報テーブルに事変要素(時間条件)を入れた場合の反映情報テーブル(低レイヤー)の例を示すものである。
図24に示す例では、対象を「戻るボタン」「メニューボタン」とするレコードに、時間条件として「午前」が追加されている。また、「メモボタン」「メニューボタン」とするレコードに、時間条件として「午後」が追加されている。これは、それぞれのレコードが、午前または午後に取得された操作履歴情報のみから抽出された誤操作パターンに基づいていることを意味する。
【0144】
このような事変要素を取り入れるのは、全員にとって都合の良い属性の変更ならば、特に事変要素を加える必要はないが、ユーザによって、都合の良い属性は異なるということを前提としている。例えば、ボタン間隔を離すと押し間違えは減るが、指の移動量が大きくなって使い勝手が悪くなったり、あるボタンの色を変えて目立つようにすると、他のボタンが目立たなくなったりということが考えられる。一方で、時間条件によってユーザの特性が異なることも考えられる。例えば、朝は母親中心、夜は父親中心で視聴するなど操作主体が異なる、また高レイヤーの説明でも触れたように朝は忙しくて最低限の操作しか行わず、夜はじっくり操作するなど操作主体は同じでもその視聴状態が異なるというような場合である。そこで、時間条件に応じたアップグレード、すなわち時間条件によってリモートコントローラの属性等を変更した方が、終日を同一条件でアップグレードするよりも、諸事情に合わせてより適切なアップグレードが実現できると考えられる。
【0145】
高レイヤーの説明でも触れたように、ユーザは、平日と休日、朝や昼、夜などでは、生活リズムや気分などが異なるため操作パターンが異なることが予想される。あるいは、上記のように履歴収集装置30を利用するユーザそのものが異なる場合もある。そこで、それらの時間条件を反映情報に取り入れることによって、ユーザの生活リズム等に合わせてより適切かつ柔軟に誤操作パターンを抽出し、新たな操作手順の発見および導入が図れる。
【0146】
なお、時間条件として「終日」を指定すれば、時変要素を入れない場合についても表すことができる。この場合、終日の全操作履歴から抽出された誤操作パターンを基に反映方法を設定する。
【0147】
図25は、システム情報の一つであるリモートコントローラ10の属性情報を記述したリモコン属性情報テーブルの例を示すものである。
本実施の形態の例では、フィールドとして、「ボタンID」、「割り当てSIRCSコード」、「位置(座標)」、属性として「大きさ」、「形状」、「色」などが書き込まれる。
【0148】
リモコン属性情報テーブルにおいて「ボタンID」は、タッチパネルにアイコンで表示されたボタンに割り当てられた識別番号である。
「割り当てSIRCSコード」は、当該ボタンに割り当てられたSIRCSコードである。図25の例では、説明の便宜上、割り当てられているSIRCSコードの機能を言葉で表現してある。
「位置(座標)」は、当該ボタンのタッチパネル上での位置(座標)を表すものである。
「大きさ」は、当該ボタンをタッチパネル上に表示するときの大きさの指標である。
「形状」は、当該ボタンをタッチパネル上に表示するときの形状である。
「色」は、当該ボタンをタッチパネル上に表示するときの色である。
【0149】
[5.一実施の形態の履歴反映部]
次に、本発明の一実施の形態に係る履歴反映部(図4参照)を説明する。
履歴反映部では、逐次ルール抽出部44で抽出された逐次ルールを用いて、操作系に関して各ユーザに適した信号処理装置(ユーザインタフェース)を提供(アップグレード)する。その実現方法としては、ユーザ側にある履歴反映装置50−1〜50−n内の信号処理装置をセンター側で回収し、全部あるいは信号処理に関わる集積回路等の基板装置のみを入れ替える等を行った後、ユーザ側に送り返すといった手順がある。または新たな信号処理装置をユーザ側に送り込み、ユーザ側にある信号処理装置と繋げることによって新機能等を提供するなどの手順を踏めばよい。
【0150】
また、ユーザインタフェースを司るアップグレードされたプログラムまたはデータを記憶するメモリ(記憶装置)を交換したり、該当メモリにアップグレード情報を追記したりするようにしてもよい。プログラムまたはデータの入れ替え等を行った後、ユーザ側に送り返す。あるいは新たな信号処理装置をユーザ側に送り込んだりする。ユーザがセンター側から送られてきた信号処理装置とリモートコントローラを接続し、アップグレード情報を含むプログラムやデータ等を信号処理装置からリモートコントローラへ導入する作業を行うことによって、リモートコントローラをアップグレードする。さらには、履歴反映装置50−1〜50−n内の信号処理装置と併せてリモートコントローラも回収し、アップグレードされた状態の信号処理装置およびリモートコントローラをユーザへ返却するようにしてもよい。また履歴収集部(履歴収集装置30)やリモートコントローラにネットワークI/Fが存在するのであれば、ネットワーク経由で履歴反映部(履歴反映装置50)からのアップグレード情報を伝送することもできる。
【0151】
以下、アップグレード情報が提供される履歴反映装置50を、テレビジョン受像機に適用した場合について説明する。
【0152】
図26は、アップグレード情報が提供されるテレビジョン受像機の内部構成例を示すブロック図である。
テレビジョン受像機101のチューナ112は、受信アンテナ111で捕らえられた放送信号(RF変調信号)に対して、選局処理、中間周波増幅処理、検波処理等を行ってSD(Standard Definition)信号を抽出し、入力選択処理部113に供給する。
【0153】
入力選択処理部113には、チューナ112からのSD信号の他、DVD( Digital Vi deo Disc)やビデオテープレコーダ等(いずれも図示せず)からの画像信号またはデジタルビデオ信号が入力される。
【0154】
入力選択処理部113は、システムコントローラ118の制御に従って所定の信号を選択するとともに、選択した信号に応じた前処理を行い、その結果得られた画像信号を画像信号処理部115に供給する。
【0155】
画像信号処理部115は、SD信号(525i信号)からHD(High Definition)信号(1050i信号または525p信号)を生成する機能、解像度とノイズのボリュームを調節する機能、および表示される画像の一部を拡大することができるズーム機能等を有しており、ユーザによって設定された機能、条件に応じた画像処理を行う。
【0156】
OSD( On Screen Display)回路117は、表示部121の画面上に文字図形等の表示を行うための表示信号を発生し、合成器116に供給する。すなわち合成器116は、OSD回路117から供給された表示信号を、画像信号処理部115からのHD信号に合成して表示部121に供給する。
【0157】
システムコントローラ118は、リモコン信号受信回路119から供給された信号や、必要に応じて設けられた操作入力部(図示せず)から供給される、ユーザの操作入力を示す信号に従って、各部を制御する。
【0158】
例えば、システムコントローラ118は、チューナ112や入力選択処理部113に選択信号を送信したり、OSD回路117の動作を制御したりする。またシステムコントローラ118は、チューナ112に選択させたチャンネルを示す情報( 放送時間や番組名等を含むことも可能)などの視聴された画像を示す情報(以下、選択情報と称する)、およびリモコン信号受信回路119から供給された制御情報(ユーザがリモートコントローラ10を操作して入力した内容等)を、それぞれ記憶部120に記憶させる。
【0159】
また、記憶部120は、システムコントローラ118を動作させるためのプログラムや当該プログラムのアップグレード情報を記憶する。なお、ネットワークを介して、記憶部120の記憶内容を製造事業者に転送したり、製造事業者等が外部からリモートコントローラ10やOSD117等に新機能を追加するためのアップグレード情報を送信して記憶部120に記憶させたりすることができる。
【0160】
本実施の形態のテレビジョン受像機101の場合、システムコントローラ118が履歴収集装置30の信号処理部31(図4参照)に、OSD回路117がユーザインタフェース32に相当する。機能をアップグレードするには、システムコントローラ118またはOSD回路117を取り替えればよい。あるいはテレビジョン受像機101のユーザインタフェース機能が記憶部120に記憶されているプログラムやデータに基づくものである場合、当該記憶部120に記憶されているプログラムやデータを書き換えまたは追記する等して、アップグレード情報を書き込めばよい。
【0161】
[6.アップグレード(共通、高レイヤー、低レイヤー)]
[アップグレード:共通]
以下、履歴反映部によるアップグレードの具体例を説明する。
複数の逐次ルールを反映させようとして逐次ルールが競合してしまう場合が考えられる。このような場合は、逐次ルールに優先順位を付けておいて、優先順位の高い逐次ルールから反映させるようにする。優先順位を付ける規範として、逐次ルールの頻度、確信度、リフト値の高さ等が挙げられる。また、もし競合する逐次ルールの条件が異なる場合は、条件毎に逐次ルールを反映させることも考えられる(時間等の条件毎に反映情報テーブルを参照することにより、リモコンボタンに複数種類のコマンドを割り当てる等)。また、慣れにより克服されたとみなされた誤操作パターンに関係するリモコンボタンの割り当てを絶対に(又はできるだけ) 変更しないという規範を設定することも可能である。
【0162】
以降において、履歴反映部によるアップグレードの具体例について高レイヤーと低レイヤーのそれぞれの場合に分けて説明する。
【0163】
[高レイヤーの場合の具体例]
抽出された逐次ルールを用いて、OSDメニューをアップグレードする場合を説明する。ここでは、メニューモード等で階層的に項目を選択するOSDを取り上げる。
【0164】
[OSDメニューのアップグレード:階層調整]
上位階層のある項目Cを選択して下位階層にいき、その下位階層からすぐに上位階層へ戻って他の項目Bを選択して下位階層に行くといった再現性のある(高頻度、高確信度) パターン(状態A→状態C→状態A→状態B)が得られた場合を考える。この場合、項目Cと項目Bの切り分けを変更するといった反映方法が考えられる。例えば、上位階層(状態A)からまず項目Cを選択し(状態C)、その後、状態Cから元(状態A)に戻って項目Bを選択して、状態Bに遷移して項目Bの設定を行うという逐次ルールが存在したとするとき、項目Cの下位階層にも項目Bの設定(へのショートカット) を置く等が考えられる。
【0165】
このようにすることにより、誤操作をして意図しない階層を表示してしまった場合に、本来表示させたかった項目が存在する階層に遷移することができる。
【0166】
ここで逐次ルールに“時間”の条件が含まれている場合、時間に応じてメニュー階層構造を変える(時変)ように構築することができる。つまりある時間帯では逐次ルールXを基準として上記のようにメニュー階層を割り当て、違う時間帯では逐次ルールYを基準として上記のようにメニュー階層を割り当てるという柔軟なメニュー階層構造を提供できる。
【0167】
[OSDメニューのアップグレード:表示調整]
図27は、OSDメニューのアップグレード例(高レイヤー)を示すものであり、この図27を参照してアップグレード例の一例であるOSDメニューの表示調整について説明する。図27に示す「TV設定メニュー13」の「BS設定13b」は、目立たない表示(斜線で表現)としてある。これは反映情報テーブル(図18参照)の「誤操作原因2」の反映情報を反映した結果である。
【0168】
「BS設定13b」を目立たないように表示すれば、「地上波設定13a」を選択するところを誤って「BS設定13b」を選択するといった誤操作の確率が下がると考えられる。目立たない表示例として、例えば文字を淡色や薄い色で表示したり、アイコンをグレーで表示するいわゆる“グレー表示”としたりすることが挙げられる。
【0169】
さらに、誤操作の項目(「BS設定13b」)と正解操作の項目(「地上波設定13a」)との距離を離すなどしてメニューの位置関係を調整することにより、誤操作発生の確率をより小さくすることができる。
【0170】
次に、図27を参照して、図3に示したOSDメニュー(階層表示)をアップグレードする例について説明する。
このOSDメニューには、画質設定メニュー16に「TV設定へのショートカット16d」が存在するが、これは反映情報テーブル(図18参照)の「誤操作原因1」の反映情報を反映した結果である。このアップグレードによって「TV設定12a」を選択すべきところを誤って「画質設定12b」を選択した場合でも、「画質設定メニュー16」から「TV設定へのショートカット16d」を選択して「TV設定メニュー13」を表示させることができる。
【0171】
なお、図27に示すように、ショートカット項目を設定メニュー内の上位に表示することにより、同じ階層の他の設定メニューへ遷移する際に当該項目の視認性がよくなり、操作性が向上する。
【0172】
[信号処理部等のアップグレード]
次に、図5に示したユーザインタフェース32や信号処理部31、あるいは図26に示したシステムコントローラ118やOSD回路117をアップグレードする場合を説明する。
【0173】
ここでは、操作履歴情報から得られた誤操作の知見(誤操作パターン等)を利用して、各ユーザの起こしやすい誤操作を抑える構造に作り替えることを目的とする。そのために、図5に示す履歴収集装置30内部に誤操作(発生条件(時間等)、誤操作内容)と目的操作を組にしたルックアップテーブル(図示略)を用意しておき、それに該当する誤操作パターンが現れた場合には、目的操作が行われたと判断して操作コードを切り替える構造を組み込む。同様のことは、図26に示すシステムコントローラ118およびOSD回路117にも適用できる。
【0174】
履歴解析装置40について、一般化して考えると、絞り込み条件Aのもとで得られた誤操作に関する逐次ルール“A→B→C”について、操作Aの後に操作Bが行われた場合はその操作を無効にして操作Cが行われたとみなすという反映方法が考えられる。
【0175】
例えば、毎週決まった時間帯に同じ番組を視聴する習慣のあるユーザがいるとする。このユーザがザッピングをして“1ch→2ch(A→B)”と変更した(2chボタンを押した)とき、“1ch→3ch(A→C)”に切り替える等のルックアップテーブル(発生条件、誤操作内容、目的操作の組)をユーザインタフェース32(図2のリモートコントローラ10の送信SIRCSコードを切り替える)や信号処理部31(番組変更を受信SIRCSコード通りに行わない)に用意して順次内部処理を切り替えればよい。
【0176】
また、例えば、あるOSDのメニュー階層Aで間違えて音量下降ボタンBを押してしまい、次に一旦メニュー階層Aに戻って正しい下カーソルボタンCを押すというパターンをルックアップテーブル(発生条件、誤操作内容、目的操作の組)として各部(各信号処理部から変更しました)が所持しておく。そして、音量下降ボタンBが押された段階で図2のユーザインタフェース32(リモートコントローラ10の送信SIRCSコードを切り替える)や信号処理部31(番組変更を受信SIRCSコードどおりに行わない)では下カーソルボタンCが押されたと解釈してカーソルを下げる、といった反映方法が考えられる。
【0177】
[低レイヤーの場合の具体例]
[リモートコントローラのアップグレード]
【0178】
次に、逐次ルールを用いて、リモートコントローラをアップグレードする場合を説明する。
【0179】
リモートコントローラのボタンの物理的な属性が変更できる場合、以下のようなアップグレード例が考えられる。すなわち、誤操作パターンをリモートコントローラの物理的な属性と結びつけるというものである。
・誤操作原因がボタンの近接性 → ボタンの配置を離す
・誤操作原因がボタンの大きさの類似性 → ボタンの大きさを異なるものに変える
・誤操作原因がボタンの形状の類似性 → ボタンの形状を異なるものに変える
・誤操作原因がボタンの色の類似性 → ボタンの色を異なるものに変える
【0180】
例えば、リモコンボタンの空間的位置や大きさを変更してアップグレードできる場合(タッチパネル式のリモートコントローラ等)は、リモコンボタンへのSIRCSコードの割り当てだけでなく、ボタン位置そのものも誤操作が起きないように変更できる。例えば、ボタンAとボタンBの空間的位置を離すことにより、誤操作を抑制することができる。
【0181】
なお、ここではボタンAとボタンBの関係のみについて考えたが、空間的配置や遷移モデルが全く同じボタンA′、ボタンB′も同様の誤操作がおきる懸念があると判断して、同じ変更を適用しても構わない。例えば、図2のリモートコントローラ10でメニューボタン10aと戻るボタン10bの間隔(距離)を離して配置する場合に、戻るボタン10bとメモボタン10c、メモボタン10cと電源ボタン10dの間隔も同様に離すなどである。このように、ある対象に対する反映情報を元にして、同一の属性を持つ(同一の原因で誤操作が起こり得る)他の対象に対する反映情報を生成することも可能である。
【0182】
図28は、リモートコントローラ(タッチパネル)のアップグレード例(低レイヤー)を示す図である。本実施の形態の例では、図23に示した反映情報テーブルに基づいて、リモートコントローラ10のタッチパネルに表示されたボタンの配置や属性等をアップグレードした場合について説明する。
【0183】
図23の反映情報テーブルでは、対象が「メモボタン」と「メニューボタン」の場合、反映方法詳細が「間隔を離す」とあるので、図28に示すように、メニューボタン10aと戻るボタン10bの間隔(距離)を離して配置する。また、対象が「メモボタン」と「メニューボタン」の場合、反映方法詳細が2つあって、一つは「メモボタン」の形状を変更すること、もう一つは対象が「メモボタン」の色を変更することとされている。そこで、図28に示すように、メモボタン10c1の形状を変更し、さらに、色を変更する。
【0184】
このように、間違えやすいボタン同士の配置関係を変更することにより、誤操作が発生しやすい状態をなくし、誤操作を防止することができる。また、間違えやすいボタンの属性(形状/大きさ/色等)を変更することにより、ユーザにメモボタンと他のボタンの違いに気づかせ注意を喚起できるので、誤操作を防止することができる。
【0185】
一方、ボタンの物理的な属性が変更できない場合、以下のようなアップグレード例によって間接的に対応することが可能である。
・誤操作原因がボタンの近接性 → 離れたボタンに機能を割り当て直す
・誤操作原因がボタンの大きさの類似性 → (可能な限り)異なる大きさのボタンに機能を割り当て直す
・誤操作原因がボタンの形状の類似性 → (可能な限り)異なる形状のボタンに機能を割り当て直す
・誤操作原因がボタンの色の類似性 → (可能な限り)異なる色のボタンに機能を割り当て直す
【0186】
例えば、リモートコントローラに配置されたリモコンボタンの空間的位置を変更しないでアップグレードする場合は、リモコンボタンに割り当てられたSIRCSコードを変更する。例えば、誤操作パターン“X→X→Y”(“X→X”でボタンA、“X→Y”でボタンBを押した場合)は、ボタンBを押そうとして近接するボタンAを間違えて押したパターンとして抽出される。このとき、ボタンAの機能(SIRCSコード)をボタンBとは離れた位置にある他のボタンに割り当てし直す。そして元のボタンAの位置には新しいSIRCSコードを割り当てたボタンCを配置する。このとき、割り当て変更による弊害を防止するため、ボタンCはボタンBの実行に影響を与えないものを選択するのが望ましい。例えば、ボタンCの遷移先の状態からでもボタンBの遷移先の状態へ直接遷移できるとよい。
【0187】
例えば、ボタンBが画質調整ボタンとした場合、ボタンCが電源ボタンであると、もしボタンCを誤って押してしまったら、ボタンCをもう一度押して電源オンの状態としないと、ボタンBを押しても画質調整モードにならないので、ボタンの割り当て変更がかえって弊害を大きくしてしまい都合が悪い。一方、ボタンCがメニューボタンであると、ボタンCを誤って押してもボタンBの実行に影響を与えない(メニューモードから画質調整モードに直接遷移できるとき)。
【0188】
[7.グループ単位のアップグレード]
以上の説明してきたアップグレードは、ユーザ別に行うことも可能だが、同一の特徴を持つ複数のユーザ同士をグループにまとめてグループ別に行うと、製造コストの観点から優位である。本発明では、センター側で各ユーザの操作履歴情報を収集し、ユーザ間の比較が可能であるので、特徴の似通った複数ユーザ同士をグループ化することができる。
【0189】
例えば、各ユーザから誤操作に関する逐次ルールを抽出し、ある一定数以上のユーザから得られた逐次ルールだけをアップグレード対象とすることが考えられる。また各ユーザに対してどの逐次ルールに関するアップグレードを行うかについては、例えば次のような方法が挙げられる。
(1) アップグレード対象となった逐次ルール全て
(2) アップグレード対象となった逐次ルールの中で、各ユーザが該当した逐次ルール
【0190】
本発明では、基本的には各ユーザが起こした誤操作パターンを解消する。ただ、各ユーザが起こしていない誤操作パターンでも、自分と特性が類似する他人が起こした誤操作パターンや、誤操作が起こり得ることが推定される操作パターンをアップグレード対象に含めるようにしてもよい。
【0191】
また、一度に検討対象にするユーザとして、以下のような方法が挙げられる。
(1) 操作履歴を回収した全てのユーザ
(2) 一定数以上決まった逐次ルールが該当するユーザ群(例えば実装上のコスト規範や実現可能性の観点から標準の逐次ルール列を幾つか用意しておき、各逐次ルール列の各要素に一定数以上該当するユーザのみを取り出す。)
【0192】
また、アップグレード単位の例としては、以下のような方法が挙げられる。
(1) リモコンボタンの配置の近接性に起因する誤操作が頻発するグループ
(2) リモコンボタンの形状の類似性に起因する誤操作が頻発するグループ
(3) リモコンボタンの配置の対称性に起因する誤操作が頻発するグループ
【0193】
[グループ単位アップグレードの具体例]
次に、上述したグループ単位のアップグレードについて具体例を挙げて説明する。
図29は、グループ単位のアップグレードの説明に供する図である。図29に示すテーブルは、逐次ルールR1〜R5のフィールドに対し、U1〜U5のレコードがある。ルールR1は「戻るボタン」と「メニューボタン」の間隔を離す、ルールR2は「戻るボタン」と「メモボタン」の間隔を離す、ルールR3は「メモボタン」の色を変えるである。さらに、ルールR4は「戻るボタン」の形状を変える、ルールR5は「電源ボタン」の色を変えるである。このテーブルでは、ユーザの操作が逐次ルールに該当するときは「1」、該当しないときは「0」で表現している。
【0194】
図30は、グループ単位のアップグレード処理例を示すフローチャートである。図29および図30を参照して、グループ単位のアップグレード処理例を説明する。
【0195】
まずステップS71において、多ユーザに該当するルールを抽出する。例えば、「50%以上(=2.5人以上)のユーザに該当する逐次ルール」を抽出するとした場合、ルールR1,R2,R3が該当する。この処理が終了後、ステップS72に進む。
【0196】
ステップS72において、抽出された逐次ルールから、アップグレード対象ルールを決定する。このとき、ルール同士が競合しないようにする。この処理が終了後、ステップS73の処理に進む。
【0197】
例えば、ルールR1とルールR2が互いに競合する(両方同時に適用できない)場合、アップグレード対象ルールの組み合わせを以下のように表現できる。
A1=(1,0,0,0,0)→ ルールR1のみ適用することを表す
A2=(0,1,0,0,0)→ ルールR2のみ適用することを表す
A3=(0,0,1,0,0)→ ルールR3のみ適用することを表す
A4=(1,0,1,0,0)→ ルールR1,R3を適用することを表す
A5=(0,1,1,0,0)→ ルールR2,R3を適用することを表す
【0198】
ステップS73において、各ユーザ(対象機器)に対し、アップグレード対象ルールの中から最適なパターンを適用してアップグレードを行う。この処理が終了後、グループ単位のアップグレード処理を終了する。
【0199】
本実施の形態の例では、アップグレード対象ルールの中から最適なパターンを適用するに際し、各ユーザの該当ルールB毎に、以下の条件を満たすアップグレード対象ルールAx(この例ではx=1〜5)を導出する。
『 |Ax&(¬B)|=0、かつ、|Ax&(B)|が最大になるルールAx 』
【0200】
この条件は、自分に該当するルールだけをアップグレードするという制約の下、できるだけ多くのルールをアップグレードするということを表す。ただし、|Ax|はAxの該当ルール数(1の数に相当)である。また、“¬B”はBの否定を表す。
【0201】
例えば、ユーザU1について、B=(0,1,1,0,0)であるとき、上記条件を計算すると下記のとおりである。
|A1&(¬B)|=|(1,0,0,0,0)|=1
|A2&(¬B)|=|(0,0,0,0,0)|=0
|A3&(¬B)|=|(0,0,0,0,0)|=0
|A4&(¬B)|=|(1,0,0,0,0)|=1
|A5&(¬B)|=|(0,0,0,0,0)|=0
|A2&B|=|(0,1,0,0,0)|=1
|A3&B|=|(0,0,1,0,0)|=1
|A5&B|=|(0,1,1,0,0)|=2
【0202】
上記結果より、ユーザU1には、逐次ルールA5を適用する。すなわち、対象機器にはルールR2,R3のアップグレードを実施する。このように、ユーザは自分に該当する逐次ルールだけをアップグレードするという制約の下で、できるだけ多くの逐次ルールをアップグレードすることができる。
【0203】
例えば、履歴解析装置40が、図29に示したようなグループ単位アップグレード用のテーブルを、反映情報テーブル(図18,図23参照)とともに反映情報蓄積装置40Mなどに記憶させておく。そして、当該テーブルに基づいて、アップグレードすべきルールを該当するユーザの所有する履歴反映装置50にネットワークを通じて配信し、記憶部120のユーザインタフェースを司るプログラムもしくはデータをアップグレードする。あるいは、システムコントローラ118やOSD回路117等の信号処理装置を、アップグレード情報が反映された仕様のものと取り替えてもよい。
【0204】
以上説明した実施の形態によれば、ユーザの操作履歴、機器の状態等の記録から、誤操作の逐次ルールを発見し、操作系に関して各ユーザ、もしくは各グループ(特徴の似通った複数ユーザ) に適した信号処理装置(操作対象機器)を提供するアップグレードシステムを構築することができる。
【0205】
また、ユーザ側で発生する誤操作発生状態を開発段階で予想して、特化した操作補助機構を予め仕込んでおく方法だけではカバーできないアップグレードが実現可能になる。
【0206】
また、ユーザ別ではなくグループ別に反映することで,開発コストを抑えることができる。
【0207】
また、アンケート実施等の方法と比較して、ユーザの無意識的な操作からも情報を得ることができるので、潜在的に存在する誤操作を収集できるようになり、結果として使い勝手の良いユーザインタフェース(OSDメニュー、タッチパネル等)の開発に繋がる。
【0208】
なお、従来のセルフチューニング型(学習型) と比較した本発明のアップグレード型(履歴情報回収型) の利点は次のとおりである。
(1) 他人のデータとの比較が可能である。
(2) セルフチューニング型では、あらかじめ想定することが困難な誤操作、コストや処理(ハードウェア、ソフトウェア) の制約上誤操作として仕込んでおかなかった操作パターンは処理の対象外となるが、アップグレード型ではそれらの情報も処理対象にすることが可能になる。
(3) ユーザ側に提供する信号処理装置を低負荷にすることが可能である。
(4) セルフチューニング型では万人を対象として特化するので、処理そのものが冗長になるが、本発明のアップグレード型ではグループ(個人) を対象として特化することができるので、処理(ハードウェア、ソフトウェア) を単純化させることが可能になる。
【0209】
[8.その他]
なお、本発明は、上述したテレビジョン受像機以外に、ユーザの操作が加えられたり機器の内部状態が特徴的に変化したりする等、使用環境によって異なる操作履歴情報が収集されるような電子機器(例えば、ゲーム機器、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、電子辞書、音楽プレーヤなど)に適用することができる。
【0210】
また、上述のとおり、本実施の形態の一例として、制御対象機器(履歴収集部または履歴反映部)に制御信号を送るためのリモートコントローラ10にタッチパネル(操作手段)を搭載した場合を説明したが、タッチパネルが操作対象機器本体に設けられていてもよい。また、タッチパネルを搭載していないリモートコントローラを用いた場合であっても、操作履歴情報の高レイヤーまたは低レイヤーの状態遷移に基づいてOSDメニュー等を変更することは可能である。なお、既述のとおりリモートコントローラのSIRCSコードの割り当ての変更が可能であるならば、タッチパネルを搭載していなくても、リモートコントローラのアップグレードは限定的に可能である。
【0211】
さらに、上述した履歴解析装置40で行われる一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。これらの処理を実行する機能はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによっても実現できることは言うまでもない。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0212】
図31は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータの構成例を示すブロック図である。このコンピュータ201は、例えば一連の処理を実行するために高性能化した専用コンピュータの他、一定の性能を備えるパーソナルコンピュータなどでもよい。
【0213】
コンピュータ201のCPU(Central Processing Unit)211は、ROM(Read Only Memory)212、または記録部218に記録されているプログラムに従って、上記一連の処理の他、各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)213には、CPU211が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU211、ROM212、およびRAM213は、バス214により相互に接続されている。
【0214】
CPU211にはまた、バス214を介して入出力インタフェース215が接続されている。入出力インタフェース215には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部216、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部217が接続されている。CPU211は、入力部216から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU211は、処理の結果を出力部217に出力する。
【0215】
入出力インタフェース215に接続されている記録部218は、例えばハードディスクからなり、CPU211が実行するプログラムや各種のデータを記録する。
【0216】
通信部219は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。また通信部219を介してプログラムを取得し、記録部218に記録してもよい。
【0217】
入出力インタフェース215に接続されているドライブ220は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどのリムーバブルメディア231が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記録部218に転送され、記録される。
【0218】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、図17に示すように、リムーバブルメディア231によりパッケージメディアとして提供される。リムーバブルメディア231としては、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),光磁気ディスクを含む)、もしくは半導体メモリなどを適用することができる。あるいは、プログラム記録媒体は、プログラムが一時的もしくは永続的に格納(記録)されるROM212や、記録部218を構成するハードディスクなどにより構成される。
【0219】
このプログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースである通信部219を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0220】
なお、本明細書において、プログラム記録媒体に格納されるプログラムを記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0221】
また、プログラムは、一つのコンピュータにより処理されるものであってもよいし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであってもよい。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであってもよい。
【0222】
以上に述べた実施の形態は、本発明を実施するための好適な形態の具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている。ただし、本発明は、以上の実施の形態の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限られるものではない。したがって、例えば、以上の説明で挙げた処理時間、処理順序および各パラメータの数値的条件等は好適例に過ぎず、また、説明に用いた各図における寸法、形状および配置関係等も実施の形態の一例を示す概略的なものである。したがって、本発明は、上述した実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】本発明を適用した新機能開発のための情報処理システムの概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るリモートコントローラ(タッチパネル)の例を示す外観図である。
【図3】本発明の一実施の形態において想定するOSDメニューの例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るシステムの構成例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る履歴収集部(ユーザ側装置)の概要を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る操作履歴情報の例を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る履歴収集部の処理例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施の形態に係る履歴解析部の内部構成例を示すブロック図ある。
【図9】本発明の一実施の形態に係る前処理部の処理例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施の形態に係る前処理済みの操作履歴情報例を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係る一連操作抽出部の処理例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の一実施の形態に係る一連の操作の抽出例を示す図である。
【図13】本発明の一実施の形態に係る操作パターン抽出部の処理例示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施の形態に係る逐次ルール抽出部の処理例を示すフローチャートである。
【図15】本発明の一実施の形態に係る反映情報生成部の処理例(高レイヤー)を示すフローチャートである。
【図16】本発明の一実施の形態に係る誤操作/正解操作対応テーブルおよび誤操作原因情報テーブル(高レイヤー)の例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態に係る反映方法テーブル(高レイヤー)の例を示す図である。
【図18】本発明の一実施の形態に係る反映情報テーブル(高レイヤー)の例を示す図である。
【図19】時変要素を入れた場合の反映情報テーブル(高レイヤー)の例を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態に係る反映情報生成部の処理例(低レイヤー)を示すフローチャートである。
【図21】本発明の一実施の形態に係る誤操作/正解操作対応テーブルおよび誤操作原因情報テーブル(高レイヤー)の例を示す図である。
【図22】本発明の一実施の形態に係る反映方法テーブル(低レイヤー)の例を示す図である。
【図23】本発明の一実施の形態に係る反映情報テーブル(低レイヤー)の例を示す図である。
【図24】時変要素を入れた場合の反映情報テーブル(低レイヤー)の例を示す図である。
【図25】本発明の一実施の形態に係るリモコン属性情報テーブルの例(低レイヤー)を示す図である。
【図26】新機能が適用されるテレビジョン受像機の内部構成例を示すブロック図である。
【図27】本発明の一実施の形態に係るOSDメニューのアップグレード(高レイヤー)の例を示す図である。
【図28】本発明の一実施の形態に係るリモートコントローラ(タッチパネル)(低レイヤー)の例を示す図である。
【図29】本発明の一実施の形態に係るグループ単位のアップグレード例を示す図である。
【図30】本発明の一実施の形態に係るグループ単位のアップグレード処理例を示すフローチャートである。
【図31】汎用パーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0224】
1…操作履歴情報、2…履歴解析部、3,4,5,10…リモートコントローラ、10c1…メモボタン、16d…TV設定へのショートカット、30…履歴収集装置、30M…操作履歴情報蓄積装置、31…信号処理部、32…ユーザインタフェース、33…信号処理部、34…履歴保存部、40…履歴解析装置、40M…反映情報蓄積装置、41…前処理部、42…一連操作抽出部、42LL−1〜42LL−3…メインメニュー表示状態(低レイヤー)、42HL…メインメニュー表示状態(高レイヤー)、43…パターン抽出部、43A…操作パターンDB、44…逐次ルール抽出部、45…反映情報生成部、50…履歴反映装置、101…テレビジョン受像機、117…OSD回路、118…システムコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出するパターン抽出部と、
前記パターン抽出部で抽出された操作パターンから、前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出するルール抽出部と、
前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定し、前記誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成する反映情報生成部と、を含む
情報処理装置。
【請求項2】
前記パターン抽出部は、前記ユーザが前記操作対象機器に制御信号を送るための操作手段を操作した段階での下位階層の状態遷移、および、前記操作手段を操作した段階での前記状態遷移を同一分類ごとにまとめた上位階層の状態遷移を、操作パターンとして抽出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記反映情報生成部は、前記下位階層の状態遷移または前記上位階層の状態遷移を基に、前記反映情報を反映すべき誤操作の対象と該対象に反映情報を反映させるための反映方法に関する情報を少なくとも含む反映情報を生成する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記反映情報生成部は、前記ルール抽出部により抽出される誤操作パターンを基に、誤操作パターンが類似しているユーザを特定して、
前記ルール抽出部により抽出される誤操作パターンのうち、一定数以上のユーザに該当し、かつ、前記特定されたユーザに該当する誤操作パターンに基づく反映情報を、前記特定されたユーザの所有する操作対象機器に反映させる
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ルール抽出部は、前記パターン抽出部により抽出された操作パターンの前記下位階層における状態または前記上位階層における状態が、第1状態、第2状態、第1状態、及び第3状態へと遷移している場合、当該操作パターンを誤操作パターンと判定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ルール抽出部は、前記パターン抽出部により抽出された操作パターンの前記下位階層における状態または前記上位階層における状態が、第1状態、第1状態及び第2状態へと遷移している場合には、当該操作パターンを誤操作パターンと判定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記パターン抽出部で抽出された操作パターンが蓄積される操作パターンデータベースを、さらに備え、
前記ルール抽出部は、前記操作パターンデータベースに蓄積されている操作パターンから、前記パターン抽出部が抽出した操作パターンに該当する操作パターンを抽出し、当該操作パターンの統計量が所定の条件を満たすときに、当該操作パターンを誤操作パターンと判定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記反映情報の前記反映方法に関する情報は、前記状態遷移の上位階層に対応するオンスクリーン・ディスプレイ・メニュー階層の変更が含まれる
請求項5乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記操作手段は、所定の機能を割り当てたボタンが配置されてなるタッチパネルであって、
前記反映情報は、前記タッチパネルの前記ボタンに対する変更が含まれる
請求項5乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記操作手段に配置された任意のボタンに対する反映情報を基に、前記ボタンと同一の属性を持つ他のボタンに対する反映情報が生成される
請求項5乃至9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記反映情報の前記反映方法に関する情報は、操作コードの割り当ての変更が含まれる
請求項5乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザの操作入力に基づいて制御信号を生成する入力部と、
前記入力部からの前記制御信号を処理する信号処理部と、
前記ユーザの操作履歴と前記制御信号を処理した後の機器状態を、操作履歴情報として記憶する履歴保存部と、
を含む操作対象機器と、
複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出するパターン抽出部と、
前記パターン抽出部で抽出された操作パターンから、前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出するルール抽出部と、
前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定し、前記誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成する反映情報生成部と、
を含む情報処理装置、から構成されてなる
情報処理システム。
【請求項13】
複数の操作対象機器から得られる、少なくともユーザの操作履歴と機器状態の情報が含まれる操作履歴情報から各ユーザの操作パターンを抽出するステップと、
前記操作パターンから前記ユーザの誤操作による操作パターンである誤操作パターンを抽出するステップと、
前記誤操作パターンの種類から誤操作の原因を特定するステップと、
前記誤操作の原因に基づいて前記操作対象機器の機能に反映するための反映情報を生成するステップと、を含む
情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−34998(P2010−34998A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196613(P2008−196613)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】