説明

情報処理装置、情報処理方法、スキャナ装置、スキャナ装置の制御方法

【課題】 NAND FLASH等の大容量を有するがデータ保持期間が比較的短いメモリに保持されているOSのデータが壊れて起動出来なくなってしまっても、人の手を煩わせずに自動的に復旧させる為の技術を提供すること。
【解決手段】 電源投入指示を検知すると、OS記憶用不揮発性メモリ13に記憶されているオペレーティングシステムを起動する。前記起動の最中にエラーが生じた場合には、BIOS記憶用不揮発性メモリ12に記憶されているBIOSを実行することで、サーバ機器30に対してオペレーティングシステムのバックアップを要求する。前記要求に応じてサーバ機器30から送信されたバックアップをOS記憶用不揮発性メモリ13に格納し、該格納したバックアップを起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続可能な装置における、フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリへの再書き込みを行う為の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気的操作によって書き換えが可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)の一種であるフラッシュメモリは、近年大容量化が進んでいる。このため、ノート型パソコンなどでは、ハードディスクドライブに代わり、フラッシュメモリドライブとして実用化されている物もある。フラッシュメモリの中でもNAND型は、NOR型に比べて高集積化し易く、容量当たりの単価を下げられるため、NAND FLASHがフラッシュメモリの主流となってきている。
【0003】
しかし、フラッシュメモリはデータの保持期間が有限であるという問題がある(データリテンション問題)。特にマルチレイヤータイプのNAND FLASHのデータ保持期間は3年程度であり、NOR FLASHの10年程度と比較しても短い。
【0004】
装置の基本入出力システムであるBIOS(Basic Input Output System)は、プログラムサイズが小規模であるため、記憶容量の小さいNOR FLASHに保存しても問題が少ない。このため比較的長期間(10年程度の場合が多い)のデータ保持が可能である。
【0005】
対して、コンピュータの管理・制御システムであるOS(Operating System)は大容量であるため、NAND FLASHに保存した方が便利である。しかし比較的短期間(3年程度の場合が多い)しかデータ保持が出来ない。このため、在庫となっていた製品や保守部品などが長期間電源を投入されなかった場合には、NAND FLASHに保存したデータが壊れてしまい、OSが起動出来ない可能性がある。
【0006】
このようなデータリテンション問題の対策として、特許文献1には、NAND FLASHのリフレッシュ方法が提案されている。しかし、電源が投入されない場合はリフレッシュ出来ずにデータが壊れてしまうので、問題の解決にはならない。
【0007】
また、特許文献2には、OSが異常動作した時に、取り外し可能な大容量記憶媒体(USBメモリ等)を接続することで、再起動させたりOSを再インストールさせたりする方法が提案されている。しかしこの方法では、取り外し可能な大容量記憶媒体を準備しなければならず、また、異常状態が発生した際に早急な対応が出来ない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-140598号公報
【特許文献2】特表2001-522088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即ち、在庫製品や保守部品等が長期間電源を投入されず、NAND FLASH等の大容量を有するがデータ保持期間が比較的短いメモリに保持されているOSのデータが壊れて起動出来なくなってしまっても人の手を煩わせずに自動的に復旧させる必要がある。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みNAND FLASH等の大容量を有するがデータ保持期間が比較的短いメモリに保持されているOSのデータが壊れて起動出来なくなってしまっても人の手を煩わせずに自動的に復旧させる為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理装置は以下の構成を備えることを目的とする。即ち、オペレーティングシステムを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有する情報処理装置であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラムを保持している外部装置に対して該バックアッププログラムを要求する要求手段と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記バックアッププログラムを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したバックアッププログラムを起動する手段と
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明のスキャナ装置は以下の構成を備えることを目的とする。即ち、オペレーティングシステム及び設定データを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有するスキャナ装置であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを保持している外部装置に対して、該バックアッププログラム及び該バックアップデータを要求する要求手段と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したオペレーティングシステムのバックアッププログラムを起動する手段と
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の情報処理方法は以下の構成を備えることを目的とする。即ち、オペレーティングシステムを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有する情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の起動手段が、電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する工程と、
前記情報処理装置の判断手段が、前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する工程と、
前記情報処理装置の要求手段が、前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラムを保持している外部装置に対して該バックアッププログラムを要求する要求工程と、
前記情報処理装置の再起動手段が、前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記バックアッププログラムを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したバックアッププログラムを起動する工程と
を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明のスキャナ装置の制御方法は以下の構成を備えることを目的とする。即ち、オペレーティングシステム及び設定データを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有するスキャナ装置の制御方法であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する工程と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する工程と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを保持している外部装置に対して、該バックアッププログラム及び該バックアップデータを要求する要求工程と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したオペレーティングシステムのバックアッププログラムを起動する工程と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、NAND FLASH等の大容量を有するがデータ保持期間が比較的短いメモリに保持されているOSのデータが壊れて起動出来なくなってしまっても、人の手を煩わせずに自動的に復旧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】システムの構成例を示すブロック図。
【図2】コンピュータ10が行う処理のフローチャート。
【図3】システムの構成例を示すブロック図。
【図4】コンピュータ10が行う処理のフローチャート。
【図5】システムの構成例を示すブロック図。
【図6】サーバ機器30が行う処理のフローチャート。
【図7】システムの構成例を示すブロック図。
【図8】サーバ機器30が行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0018】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係るシステムの構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係るシステムは、コンピュータ10とサーバ機器30とで構成されており、コンピュータ10とサーバ機器30とはLANやインターネットなどのネットワーク20を介して互いにデータ通信可能に接続されている。なお、ネットワーク構成については図1の構成に限定するものではなく、当業者であれば、種種の構成が考え得る。
【0019】
先ず、コンピュータ10について説明する。コンピュータ10は、一般のPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置であり、図1には、その主要な構成のみを示している。
【0020】
制御部11は、OS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSやBIOS記憶用不揮発性メモリ12に格納されているBIOSを、不図示のメモリに読み出して実行することで、コンピュータ10が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0021】
OS記憶用不揮発性メモリ13(第1の不揮発性メモリ)は、例えば、NANDフラッシュメモリ等の大容量を有するがデータ保持期間が比較的短いメモリである。OS記憶用不揮発性メモリ13には、コンピュータ10用のOS(オペレーティングシステム)が格納されている。
【0022】
BIOS記憶用不揮発性メモリ12(第2の不揮発性メモリ)は、例えば、NORフラッシュメモリなどの小容量を有するがデータ保持期間が比較的長い(少なくともOS記憶用不揮発性メモリ13よりは長い)メモリである。このBIOS記憶用不揮発性メモリ12には、コンピュータ10用のBIOSが格納されている。
【0023】
OS起動エラー伝達部14は、制御部11がOS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSを読み出して起動している最中にエラーが生じているか否かを監視している。そしてOS起動エラー伝達部14は、OSの起動中にエラーが生じたと判断した場合、その旨をBIOSに通知する。実際には、このOS起動エラー伝達部14はコンピュータプログラムであり、制御部11はOSの起動中にバックグラウンドでこのコンピュータプログラムとしてのOS起動エラー伝達部14を実行している。そしてこのOS起動エラー伝達部14がエラーを検知した場合、制御部11はその旨をBIOSに通知する。
【0024】
ネットワーク接続部15は、コンピュータ10をネットワーク20に接続する為のインターフェースとして機能するもので、コンピュータ10はこのネットワーク接続部15を介してサーバ機器30とのデータ通信を行う。
【0025】
次に、サーバ機器30について説明する。サーバ機器ネットワーク接続部32は、サーバ機器30をネットワーク20に接続する為のインターフェースとして機能するもので、サーバ機器30はこのサーバ機器ネットワーク接続部32を介してコンピュータ10とのデータ通信を行う。サーバ機器制御部31は、サーバ機器30が行うものとして後述する各処理を実行する。
【0026】
OSバックアップ用不揮発性メモリ33は、コンピュータ10側(OS記憶用不揮発性メモリ13)に格納されているOSのバックアップ(バックアッププログラム)を記憶保持している。記憶保持の形態については特に限定するものではなく、幾つかのデータに分割して記憶保持しておいても良いし、圧縮符号化して記憶保持しておいても良い。
【0027】
次に、コンピュータ10に電源投入指示が入力された場合に、このコンピュータ10(制御部11)が行う処理について、この処理のフローチャートを示す図2を用いて説明する。
【0028】
制御部11は、ユーザが、コンピュータ10が有する不図示の入力装置(キーボードやマウスなど)を操作して入力した電源投入指示を検知する(ステップS1)と、処理をステップS2に進める。
【0029】
ステップS2では制御部11は、BIOS記憶用不揮発性メモリ12に格納されているBIOSをコンピュータ10内の不図示のメモリに読み出す。ステップS3では制御部11は、OS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSをコンピュータ10内の不図示のメモリに読み出す。
【0030】
そしてその後、制御部11は、この読み出したOSを起動する処理を行うと共に、そのバックグラウンドで上記のOS起動エラー伝達部14に相当するコンピュータプログラムを実行する。
【0031】
ステップS4では制御部11は、OS起動エラー伝達部14から「OSの起動中にエラーが生じた」ことを示すメッセージを受けているか否かをチェックする。このチェックの結果、このメッセージを受けている場合には処理はステップS5に進み、このメッセージを受けていない場合には、OSの起動を続け、起動が終わったら本処理を終了する。
【0032】
ここで「OSの起動中にエラーが生じた場合」には様々なケースが該当するが、コンピュータ10の電源が長期間投入されなかった場合にOS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSのデータが壊れてしまい、OSが正常に起動出来ない場合も該当する。
【0033】
ステップS5ではOS起動エラー伝達部14は、上記のメッセージをBIOSに通知し、ステップS6ではBIOSは、サーバ機器30に対してOSのバックアップを要求する為に、ネットワーク20への接続を制御部11に要求する。
【0034】
これにより制御部11は、ネットワーク接続部15を制御してネットワーク20への接続(サーバ機器30への接続)を試みる(ステップS7)が、この接続が成功した場合には処理はステップS8を介してステップS9に進む。一方、この接続が失敗した場合は、処理はステップS8を介してステップS11に進む。
【0035】
ステップS9では制御部11は、BIOSを実行し、OSのバックアップをサーバ機器30に要求する。そして制御部11は、この要求に応じてサーバ機器30から送信されたOSのバックアップをネットワーク接続部15を介して受信し、OS記憶用不揮発性メモリ13に上書きする。そしてステップS10では制御部11は、OS記憶用不揮発性メモリ13に上書きしたOSを不図示のメモリに読み出して起動(再起動)する。
【0036】
一方、ステップS11では制御部11は、ユーザにネットワーク20への接続を促すべく、コンピュータ10が有する不図示の表示装置に、ネットワーク20への接続を促すメッセージを表示する。
【0037】
このように、コンピュータ10側で保持しているOSのデータが壊れてしまって正常に起動出来なくなってしまった場合でも、ユーザーの手をわずらわせることなく、コンピュータ10はOSのデータを自動的に入手し、正常にOSを起動することが出来る。
【0038】
なお、上記の例では正常なOSのデータを要求する先(外部装置)としてサーバ機器30を使用したが、サーバ機器30の代わりにコンピュータ10と同じ機器を使用しても良い。この場合、コンピュータ10と同じ機器がネットワーク上に複数接続されている構成になる。
【0039】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、OSの起動にエラーが生じた場合に、OSのバックアップを要求した。本実施形態ではこれに加え、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上の時間が経過して電源投入指示が入力された場合にも、OSのバックアップを要求する。
【0040】
本実施形態に係るシステムの構成例を図3に示す。図3に示した構成用件のうち、図1に示したものと同じ構成用件については同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0041】
本実施形態に係るコンピュータ10は、図1の構成に加えて内蔵時計16を有しており、内蔵時計16は、最後に電源を切ったタイミングからの経過時間を計時している。そしてコンピュータ10に電源投入指示が入力されると、この時点で内蔵時計16が計時した時間が規定長(例えば3年)以上であるか否かを判断する。そして、規定長以上である場合、OS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSのデータが壊れている可能性が高いと判断し、コンピュータ10は、OSのバックアップをコンピュータ40に対して要求する。
【0042】
コンピュータ40は、基本的にはコンピュータ10と同様の構成を有する。即ち、制御部41、ネットワーク接続部45、BIOS記憶用不揮発性メモリ42、OS記憶用不揮発性メモリ43はそれぞれ、制御部11、ネットワーク接続部15、BIOS記憶用不揮発性メモリ12、OS記憶用不揮発性メモリ13と同じである。また、内蔵時計46、OS起動エラー伝達部44はそれぞれ、内蔵時計16、OS起動エラー伝達部14と同じである。
【0043】
次に、本実施形態に係るコンピュータ10が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図4を用いて説明する。
【0044】
制御部11は、ユーザが、コンピュータ10が有する不図示の入力装置(キーボードやマウスなど)を操作して入力した電源投入指示を検知する(ステップS21)と、処理をステップS22に進める。
【0045】
ステップS22では制御部11は、BIOS記憶用不揮発性メモリ12に格納されているBIOSをコンピュータ10内の不図示のメモリに読み出す。
【0046】
BIOSは内蔵時計16が計時している時間を監視している。ここでBIOSは、BIOS記憶用不揮発性メモリ12の一部、またはより保持特性のよい不揮発性メモリへ最後に電源を切ったタイミングを記憶している。上記の電源投入指示を検知したタイミングが、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過したタイミングである場合には、処理はステップS23を介してステップS26に進む。一方、上記の電源投入指示を検知したタイミングが、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過したタイミングではない場合には、処理はステップS23を介してステップS24に進む。
【0047】
ステップS24では制御部11は、OS記憶用不揮発性メモリ13に格納されているOSをコンピュータ10内の不図示のメモリに読み出す。
【0048】
そしてその後、制御部11は、この読み出したOSを起動する処理を行うと共に、そのバックグラウンドで上記のOS起動エラー伝達部14に相当するコンピュータプログラムを実行する。
【0049】
ステップS25では制御部11は、OS起動エラー伝達部14から「OSの起動中にエラーが生じた」ことを示すメッセージを受けているか否かをチェックする。このチェックの結果、このメッセージを受けている場合には処理はステップS26に進み、このメッセージを受けていない場合には、OSの起動を続け、起動が終わったら本処理を終了する。
【0050】
ステップS26ではBIOSは、コンピュータ40に対してOSのバックアップを要求する為に、ネットワーク20への接続を制御部11に要求する。
【0051】
これにより制御部11は、ネットワーク接続部15を制御してネットワーク20への接続(コンピュータ40への接続)を試みる(ステップS27)が、この接続が成功した場合には処理はステップS28を介してステップS29に進む。一方、この接続が失敗した場合は、処理はステップS28を介してステップS31に進む。
【0052】
ステップS29では制御部11は、BIOSを実行し、OSのバックアップをコンピュータ40に要求する。そして制御部11は、この要求に応じてコンピュータ40から送信されたOSのバックアップをネットワーク接続部15を介して受信し、OS記憶用不揮発性メモリ13に上書きする。
【0053】
そしてステップS30では制御部11は、OS記憶用不揮発性メモリ13に上書きしたOSを不図示のメモリに読み出して起動する。
【0054】
一方、ステップS31では制御部11は、ユーザにネットワーク20への接続を促すべく、コンピュータ10が有する不図示の表示装置に、ネットワーク20への接続を促すメッセージを表示する。
【0055】
このように、長期間電源が投入されていなかった場合、OS記憶用不揮発性メモリ13に保存されているOSのデータが壊れてしまっている可能性があるため、自動で正常なOSを入手する。これにより、装置の信頼性を高める事が出来る。
【0056】
また、在庫製品や保守部品などが長期間電源を投入されず、OS記憶用不揮発性メモリ13内のデータが壊れてしまう可能性がある場合でも、ユーザやサービスマンの手を煩わせずに自動的に復旧させることが出来る。
【0057】
なお、本実施形態では、ステップS25における処理は省いても良い。即ち、本実施形態では、最後に電源を切ったタイミングからの経過時間が規定長以上経過してから電源投入指示が入力された場合にのみ、OSのバックアップを要求するようにしても良い。この場合、OS起動エラー伝達部は不要となる。また、コンピュータ40の代わりに、サーバ機器30を用いても良い。
【0058】
[第3の実施形態]
本実施形態は、図1のコンピュータ10をネットワークスキャナ(スキャナ装置)に組み込んだ実施形態である。本実施形態に係るシステムの構成例について、図5のブロック図を用いて説明する。図5に示した構成用件のうち、図1,3に示した構成用件と同じ構成用件については同じ参照番号を付けており、その説明は省略する。
【0059】
ネットワークスキャナ60は、図3に示したコンピュータ10に加え、スキャナ70を有する。一般的には、スキャナ70は、スキャナ70の設定データを保存するためのスキャナ設定保存部75を備える。スキャナの設定データとは、レジスト調整値や画像読取センサ72の補正データ等である。スキャナの設定データはデータ量は小さいが、スキャナ固有のパラメータとなるので、専用の保存部を設ける場合が多い。しかし、ネットワークスキャナ60はコンピュータ10がOS記憶用不揮発性メモリ13を有しており、その容量はスキャナ設定保存部75よりも一般的に大容量である。そこで本実施形態では、スキャナ設定保存部75を設けず、スキャナの設定データをOS記憶用不揮発性メモリ13に保存する。
【0060】
スキャナ制御部71は、スキャナ70を構成する各部の動作制御を行うと共に、制御部11とのデータ通信を行う。
【0061】
画像読取センサ72は、紙などの記録媒体上に記録された情報を画像情報として読み取り、読み取った画像情報をスキャナ動作用不揮発性メモリ74に送出する。駆動部73は、画像読取センサ72や読み取り対象の記録媒体を搬送する等の動作を行う。
【0062】
上記の構成において、ネットワークスキャナ60に長期間電源が投入されなかった場合、OS記憶用不揮発性メモリ13に保存したOSだけでなく、スキャナの設定データも壊れてしまっている可能性がある。本実施形態ではOSが正しく起動されなかった場合や最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過しているような場合、OSのバックアップをサーバ機器30に要求するだけでなくスキャナの設定データのバックアップ(バックアップデータ)も要求する。そしてこの要求によりサーバ機器30から取得したOSのバックアップについては第1,2の実施形態と同様にOS記憶用不揮発性メモリ13に格納するが、スキャナの設定データのバックアップについてもこのOS記憶用不揮発性メモリ13に格納する。
【0063】
ここで、スキャナの設定データは、スキャナに固有のパラメータであるため、サーバ機器30は、スキャナの固体毎に設定データを保持しておく必要がある。ここで、ネットワークスキャナ60に固有の設定データをサーバ機器30に登録するために、サーバ機器30(サーバ機器制御部31)が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図6を用いて説明する。
【0064】
サーバ機器制御部31は、ネットワーク20にネットワークスキャナ60が接続されたことを検知する(ステップS41)と、このネットワークスキャナ60に対して製造番号を要求する(ステップS42)。なお、要求するものは製造番号に限定するものではなく、ネットワークスキャナ60を一意に識別可能な情報であれば、如何なる情報であっても良い。
【0065】
次にサーバ機器制御部31は、取得した製造番号が、過去に取得した製造番号の何れかと一致するか否か、即ち、ネットワークスキャナ60が初めてネットワーク20に接続されたか否かを判断する(ステップS43)。この判断の結果、初めて接続されたのであれば、処理はステップS44に進み、初めて接続されたのではない場合には本処理を終了する。
【0066】
ステップS44ではサーバ機器制御部31は、ネットワークスキャナ60に対して、ネットワークスキャナ60に固有のパラメータ、即ち、ネットワークスキャナ60の設定データを要求する。
【0067】
ステップS45ではサーバ機器制御部31は、この要求に応じてネットワークスキャナ60から送信された設定データを、OSバックアップ用不揮発性メモリ33に格納する。
【0068】
この方法の利点は、サーバ機器30が故障して新しいサーバ機器に入れ替わった場合でも、自動的に固有のパラメータを集め直す事が出来る点にある。上記のような構成により、スキャナ設定保存部75を設ける必要がなくなるため、コストダウンを計ることができる。
【0069】
[第4の実施形態]
第3の実施形態で説明したネットワークスキャナ60には、スキャナ70を動作させる為のソフトウエアであるFirmwareが必要である。一般的には、スキャナ70は、Firmwareを保存するために、図7に示す如くFirmware保存部76を備える。Firmwareは、改良や不具合対策などで新しいバージョンがリリースされることがあるため、このFirmware保存部76は書き換え可能な物を使用するのが良い。
【0070】
しかしネットワークスキャナ60は、コンピュータ10がOS記憶用不揮発性メモリ13を有しており、その容量はFirmware保存部76よりも一般的には大容量である。そこで本実施形態では、Firmware保存部76を設けず、FirmwareをOS記憶用不揮発性メモリ13に保存することで、Firmware保存部76に係るコストダウンを図る。
【0071】
図7に示す構成において、ネットワークスキャナ60に長期間電源が投入されなかった場合、OS記憶用不揮発性メモリ13に保存したOSだけでなく、Firmwareも壊れてしまっている可能性がある。そこで本実施形態では、OSが正しく起動されなかった場合や、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過しているような場合には、OSをサーバ機器30に要求するだけでなく、Firmwareをも要求する。もちろん、第3の実施形態のように、設定データをも要求して良い。そしてこの要求によりサーバ機器30から取得したOSについては第1,2の実施形態と同様にOS記憶用不揮発性メモリ13に格納するであるが、FirmwareについてもこのOS記憶用不揮発性メモリ13に格納する。
【0072】
また、Firmwareは前述の通り、新しいバージョンがリリースされることがあるため、常に最新版に更新する事が望ましい。そこで、Firmwareの最新版を入手すると共に、ネットワークスキャナ60に常に最新版のFirmwareを保持させるためにサーバ機器30(サーバ機器制御部31)が行う処理について、同処理のフローチャートを示す図8を用いて説明する。
【0073】
サーバ機器制御部31は、定期的にFirmwareのメーカが提供するホームページを監視しており、最新版のFirmwareがリリースされると、この最新版のFirmwareをダウンロードする(ステップS51)。
【0074】
最新版のFirmwareがリリースされているか否かを確認するための方法には様々な方法が考え得る。例えば、Firmwareのメーカが提供するホームページから送られてくる情報を元に確認する方法や、定期的に(例えば毎日定刻に)Firmwareのメーカが提供するホームページにアクセスして確認する方法等がある。
【0075】
ステップS52ではサーバ機器制御部31は、ネットワーク20にネットワークスキャナ60が接続されているか否かをチェックする。このチェックの結果、接続されている場合には処理はステップS53に進み、接続されていない場合には、処理はステップS56に進む。
【0076】
ステップS56ではサーバ機器制御部31は、ネットワーク20にネットワークスキャナ60が接続されているか否かをチェックする。このチェックの結果、接続されている場合には処理はステップS53に進み、接続されていない場合には、接続されるまで待機する。
【0077】
ステップS53ではサーバ機器制御部31は、ネットワークスキャナ60に対して、ネットワークスキャナ60が保持するFirmwareのバージョンを示すバージョン情報を要求する。ネットワークスキャナ60はこの要求に応じてこのバージョン情報をサーバ機器30に対して送信するので、サーバ機器制御部31はこのバージョン情報を受信する。
【0078】
ステップS54ではサーバ機器制御部31は、この受信したバージョン情報が、ステップS51でダウンロードしたFirmwareのバージョン(最新バージョン)を示すか否かを判断する。この判断の結果、最新バージョンを示す場合には本処理を終了する。一方、最新バージョンを示していない場合(旧バージョンを示している場合)には処理はステップS55に進む。
【0079】
最新バージョンを示すか否かを確認する方法には様々な方法が考え得るが、例えば、Firmwareのバージョン番号が大きい方や、更新日時が新しい方を最新と判断する方法がある。
【0080】
ステップS55ではサーバ機器制御部31は、ステップS51でダウンロードしたFirmwareをネットワークスキャナ60に対して送信し、このFirmwareに更新する指示をネットワークスキャナ60に対して与える。これによりネットワークスキャナ60は、自身が保持するFirmwareを最新バージョンのFirmwareに更新することになる。
【0081】
このような処理により、ユーザの手をわずらわせる事なく、スキャナ70を最新の状態に保つ事が出来る。なお、上記の例ではサーバ機器30がFirmwareの最新版を入手する構成としたが、ネットワークスキャナ60がFirmwareの最新版を入手してバージョンアップする構成にしても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有する情報処理装置であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラムを保持している外部装置に対して該バックアッププログラムを要求する要求手段と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記バックアッププログラムを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したバックアッププログラムを起動する手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記要求手段は、
前記電源投入指示を検知すると、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過しているか否かを判断し、経過していると判断した場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラムを保持している外部装置に対して該バックアッププログラムを要求する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の不揮発性メモリはNANDフラッシュメモリであり、前記第2の不揮発性メモリはNORフラッシュメモリであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
オペレーティングシステム及び設定データを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有するスキャナ装置であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する手段と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを保持している外部装置に対して、該バックアッププログラム及び該バックアップデータを要求する要求手段と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したオペレーティングシステムのバックアッププログラムを起動する手段と
を備えることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項5】
前記要求手段は、
前記電源投入指示を検知すると、最後に電源を切ったタイミングから規定時間以上経過しているか否かを判断し、経過していると判断した場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを保持している外部装置に対して、該バックアッププログラム及び該バックアップデータを要求する
ことを特徴とする請求項4に記載のスキャナ装置。
【請求項6】
オペレーティングシステムを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有する情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記情報処理装置の起動手段が、電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する工程と、
前記情報処理装置の判断手段が、前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する工程と、
前記情報処理装置の要求手段が、前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラムを保持している外部装置に対して該バックアッププログラムを要求する要求工程と、
前記情報処理装置の再起動手段が、前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記バックアッププログラムを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したバックアッププログラムを起動する工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
オペレーティングシステム及び設定データを記憶する第1の不揮発性メモリと、
BIOSを記憶する第2の不揮発性メモリと
を有するスキャナ装置の制御方法であって、
電源投入指示を検知すると、前記第1の不揮発性メモリに記憶されているオペレーティングシステムを起動する工程と、
前記起動の最中にエラーが生じたか否かを判断する工程と、
前記起動の最中にエラーが生じた場合には、前記BIOSを実行することで、前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを保持している外部装置に対して、該バックアッププログラム及び該バックアップデータを要求する要求工程と、
前記要求に応じて前記外部装置から送信された前記オペレーティングシステムのバックアッププログラム及び前記設定データのバックアップデータを前記第1の不揮発性メモリに格納し、該格納したオペレーティングシステムのバックアッププログラムを起動する工程と
を備えることを特徴とするスキャナ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−174061(P2012−174061A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36309(P2011−36309)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】