説明

情報処理装置、情報処理方法及びプログラム

【課題】不具合の疑いがあるバッテリをそのまま使用してしまうことを防ぐ。
【解決手段】バッテリ情報テーブル112は、可搬型センサ102に装着される充電バッテリ101に係る情報を管理する。バッテリ不具合判断部113は、充電バッテリ101に係る情報に基づいて、充電バッテリ101に不具合が生じていないかを調査する。画像表示部116は、充電バッテリ101に不具合が生じていると判断された場合、警告表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型センサに装着されるバッテリの不具合を調査する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線を直接デジタルデータに変換可能であるFPD(Flat Panel Detector)等のX線検出器が実用化されている。そして、このX線検出器を用いて、照射されたX線により画像データを撮影する可搬型のカセッテ式センサ(以下、可搬型センサと称す)が実用化されている。なお、可搬型センサには、X線を変換する方式として、X線をシンチレータで光に変換した後にフォトダイオード等の半導体層で電荷に変換する間接変換方式がある。また、X線をアモルファスシリコン等の半導体層で電荷に変換する直接変換方式等があり、各方式でも半導体層に使用可能な材料が種々存在する。
【0003】
この可搬型センサは、当初、電力源と可搬型センサ自体とをケーブルで接続することで電力が供給されていた。しかし、撮影システムで求められる様々な撮影手技に対応するためにはケーブルのように可搬型センサの移動距離が限られている場合は困難な手技が存在した。例えば、同じ患者に対して要求された複数の検査を一度に実施する場合、撮影手技で求められる患者の姿勢体位が臥位と立位であった場合、臥位では可搬型センサは天板の下に設置することが必要となる。また、立位の場合では天板付近に設置されているスタンドに取り付けて撮影することが必要となる。近年は、このように複数の姿勢体位による撮影を1つのX線撮影室で行うことを目的としたMerged Room(マージドルーム)と呼ばれる撮影室の形態も普及している。
【0004】
このような多種多様な撮影手技に対応するためには、ケーブルによって電力源と接続された形態のカセッテ式センサでは1つで賄いきれない場合が多いため、上述したように充電バッテリを装着して動作可能である可搬型センサが近年普及している。
【0005】
可搬型センサに装着される充電バッテリとしては、ニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム・イオン電池等が使用される。但し、可搬型センサを使用することにより様々なメリットが生じるが、その一方でデメリットも存在する。可搬型センサの動作に必要な電力は充電バッテリのみで賄うため、充電バッテリの充電が切れてしまった時点で動作不可能となる。そのため、充電残量が少なくなっているにも関わらず撮影を行っていると思わぬタイミングで撮影がストップしてしまい、目的とする画像を取得することができず、且つ患者への無駄な被爆といった問題も生じる。
【0006】
これに対し、特許文献1には、センサユニットに充電バッテリとその充電バッテリに取りつけられた充電端子とを設け、センサユニットを移動型のテーブルに設置しておくことで検査と検査との間に生じる待機時間に充電する技術が開示されている。
【0007】
また、次なる問題として、充電バッテリの経時的な劣化が挙げられる。充電バッテリは使用した時間に応じて消費電力が上昇し、一回の充電で使用可能な持続時間が短くなっていく。この劣化状況は充電バッテリを使用していても感覚的に分かる情報ではない。劣化した充電バッテリは使用持続時間が短くなるため、頻繁に充電が必要となり、撮影技師のワークフローが煩雑となる。また、上述した検査実施中に充電が切れてしまう危険性もより上がってしまう。
【0008】
このような問題を解決する方法としては、充電バッテリを新しく取りかえることが必要となる。特許文献2には、複数の充電バッテリを使用している際に各充電バッテリの劣化の度合いを検出し、検査で実施予定の撮影回数に応じてどの充電バッテリを使用するべきかを決定し、ユーザに提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−252266号公報
【特許文献2】特開2010−237580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、充電バッテリには通常時の平均的な経時劣化以外にも劣化する要因が考えられる。仮に、使用している充電バッテリにいずれかの不具合が生じている場合は、平均よりも早いペースで劣化していくことも考えられる。また、場合によっては充電バッテリを装着している可搬型センサ側に不具合が生じることで充電バッテリの劣化を早めることも考えられる。
【0011】
このような問題に対して、特許文献1に開示された技術では、劣化状況が判断できないため、仮に不具合が生じている充電バッテリであったとしても充電してしまい、劣化状況の悪化を加速させてしまう。また、特許文献2に開示された技術では、例え劣化度合いが他の充電バッテリよりも早く通知されたとしても、撮影回数が少ない検査においてその充電バッテリの使用が提示されるのみであり、根本的な解決とはならない問題が生じる。
【0012】
不具合の疑いがある充電バッテリに対しては、販売会社又はサービス会社の点検が不可欠であり、場合によっては交換の必要が生じる。特に、中小規模の撮影施設等、使用されている可搬型センサと充電バッテリとのセット数が少ない施設においては、その中に不具合の疑いがある充電バッテリ等が含まれていることは非常に大きな問題となり、一刻も早い対応が必要となる。
【0013】
そこで、本発明の目的は、不具合の疑いがあるバッテリをそのまま使用してしまうことを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の情報処理装置は、可搬型センサに装着されるバッテリに係る情報を管理する第1の管理手段と、前記バッテリに係る情報に基づいて、前記バッテリに不具合が生じていないかを調査する第1の調査手段と、前記第1の調査手段により前記バッテリに不具合が生じていると判断された場合、警告を行う警告手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、不具合の疑いがあるバッテリをそのまま使用してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。
【図2】バッテリ情報テーブルの例を示す図である。
【図3】検査情報テーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る医用画像撮影システムを用いた検査方法の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る医用画像撮影システムを用いた検査方法の他の例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る医用画像撮影システムの処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。
【図8】センサ情報テーブルの例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る医用画像撮影システムの処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る医用画像撮影システムでは、充電バッテリ101、可搬型センサ102及び医用画像撮影装置103がネットワークを介して通信を行う。なお、医用画像撮影装置103は情報処理装置の適用例となる構成である。
【0019】
先ず、充電バッテリ101の構成について説明する。充電バッテリ101内の送受信部104は、可搬型センサ102内の送受信部106と通信を行う構成であり、特にバッテリ情報を送信する。ここでバッテリ情報とは、充電バッテリ101を一意に識別可能であるシリアルナンバ、充電バッテリ101の製造メーカ及び充電バッテリ101の寸法等、充電バッテリ101特有の情報である。その他、バッテリ情報には、充電バッテリ101が充電された直近の日付情報(前回充電日時)や充電残量情報が含まれる。充電残量情報とは、最大充電量と現在の充電量との比で示される値である。なお、送受信部104は、組み込みの通信機器及びそれを制御するファームウェア等から構成される。充電情報管理部105は、主に充電バッテリ101における充電残量を計測したり、充電した日付情報(充電日時)を管理する。バッテリ情報は、送受信部104によって可搬型センサ102に対して送信される。なお、充電残量の計測は、主に充電バッテリ101が可搬型センサ102に取り付けられたタイミングで実施されるが、それ以外にも可搬型センサ102の電源が入れられたタイミング等で実施してもよく、計測のタイミングは特に限定されない。また、充電情報管理部105内のメモリ領域に充電残量情報を保持しておくことで、充電残量の計測直後でなくても後から送受信部104に対して充電残量情報を通知することも可能である。
【0020】
次に、可搬型センサ102の構成について説明する。可搬型センサ102内の送受信部106は、充電バッテリ101内の送受信部104及び医用画像撮影装置103内の送受信部109の両方と通信を行う構成であり、主に充電バッテリ毎のバッテリ情報や検査実施情報の送受信を行う。なお、送受信部106は、組み込みの通信機器及びそれを制御するファームウェア等から構成される。画像データ管理部107は、可搬型センサ102によって撮影された画像データを保存及び管理する。可搬型センサ102によって撮影された画像データは、画像データ管理部107において補正処理が施され、送受信部106を介して医用画像撮影装置103に対して送信される。このとき、帯域中のノイズによって無線ネットワークがうまく繋がらず、画像データの送信を失敗するケースがある。そのため、画像データ管理部107は、画像データ送信後も次回の撮影が行われるまでは画像データを保存しておき、再送要求を受信した際に確実に再送を行うようにする。バッテリ情報取得部108は、可搬型センサ102に取り付けられている充電バッテリ101の充電残量情報を取得し、保持する。即ち、バッテリ情報取得部108は、可搬型センサ102の電源が入れられると、送受信部106に対してバッテリ情報の通知要求を行うよう指示する。但し、バッテリ情報の通知要求を行うタイミングはこれに限らない、例えば医用画像撮影装置103からバッテリ情報の通知が要求された場合等、外部からの指示に応じてバッテリ情報の通知要求を行ってもよい。バッテリ情報取得部108はバッテリ情報を受信すると、内部のメモリ領域に保存する。
【0021】
次に、医用画像撮影装置103の構成について説明する。医用画像撮影装置103内の送受信部109は、可搬型センサ102内の送受信部106と通信を行う構成であり、主に充電バッテリ毎のバッテリ情報や検査実施情報を受信したり、各情報の通知要求を送信したりする。なお、送受信部109は、イーサネット(登録商標)等の各種ネットワークにて実現される。画像表示部116は、可搬型センサ102によって取得された画像データが表示されるディスプレイ機器である。その他にも、画像表示部116は、医用画像撮影装置103に対してオペレーションするための制御用グラフィックユーザインタフェース(以下、GUIと称す)を表示する。オペレータによるGUI上での操作によって、画像データ取得後の検像、画像処理及び外部への画像データ送信等、様々な処理が可能となる。バッテリ情報管理部110は、バッテリ情報テーブル112を使用してバッテリ情報を一元管理する。
【0022】
図2は、バッテリ情報テーブル112の例を示す図である。図2に示すように、バッテリ情報テーブル112には、各充電バッテリのシリアルナンバ、充電残量情報及び製造メーカ等のバッテリ情報が保存されている。その他、バッテリ情報テーブル112には、充電バッテリ101の劣化状態又は不具合を判断するために、平均電源オン時間、前回充電日時、前回充電時からの総電源オン時間、使用開始時からの総電源オン時間、及び、充電回数が保持されている。平均電源オン時間とは、充電してから次の充電が必要になるまでの総電源オン時間の平均である。なお、その他の情報をバッテリ情報テーブル112に保存することも可能である。また、本実施形態においては、充電バッテリをシリアルナンバで管理している。これにより、施設内で使用されている充電バッテリ全てを一意に特定することが可能である。なお、バッテリ情報テーブル112で管理される各情報は、第1の管理手段において管理されるバッテリ情報に係る情報の一例である。
【0023】
電源オン時間カウント部111は、バッテリ情報管理部110より可搬型センサ102の電源オン/オフ切り替えの通知、及び、その際に装着されていた充電バッテリ101のバッテリ情報を入力する。そして電源オン時間カウント部111は、可搬型センサ102が電源オン状態となった時間をカウントする。また、電源オン時間カウント部111は、充電バッテリ101の電源がオフになったタイミングでバッテリ情報管理部110に対してカウントした時間を通知する。検査情報管理部114は、医用画像撮影装置103における検査実施情報を、検査情報テーブル115を使用して一元管理する。図3は検査情報テーブル115の例を示す図である。図3に示すように、検査情報テーブル115には、使用された充電バッテリ101のシリアルナンバ、検査を一意に特定するための検査No、検査実施中に可搬型センサ102を電源オンにしていた合計時間(電源オン時間)、及び、検査で実施された撮影手技が含められる。なお、その他の情報が検査情報テーブル115に保存されてもよい。
【0024】
バッテリ不具合判断部113は、バッテリ情報管理部110及び検査情報管理部114からバッテリ情報及び検査実施情報を取得し、充電バッテリ101に不具合の疑いがないかを調査する。充電バッテリ101に不具合の疑いがある場合、画像表示部116は警告表示を行う。以上のように、本実施形態においては、充電バッテリ101に関して不具合の調査が随時実施され、充電バッテリ101に不具合の疑いがある場合、速やかにオペレータに対して通知される。
【0025】
図4は、本実施形態に係る医用画像撮影システムを用いた検査方法の例を示す図である。図4に示すように、X線撮影の被験者を臥位で撮影する場合、被験者は天板408に横たわった状態で撮影される。可搬型センサ102は、充電バッテリ101が取り付けられることで動作可能となる。なお、図4では、可搬型センサ102と充電バッテリ101とを区別するために線で繋いだ状態で示しているが、実際は、充電バッテリ101は可搬型センサ102の内部に取り付けられている。可搬型センサ102はワイヤレスステーション403と無線ネットワークとを使用して通信を行う。臥位で撮影を行う場合は、可搬型センサ102は一般的に天板408の内部に設置されたり、天板408と被験者との間に置かれる。一方で、ワイヤレスステーション403は、X線発生装置404及び医用画像撮影装置103と接続され、X線撮影に関する情報をやり取りする。X線発生装置404にはX線管球405及び照射スイッチ406が接続されている。照射スイッチ406が押下されると、X線発生装置404は、X線管球405にX線を発射するよう要求することにより、X線管球405からX線が照射される。その結果、可搬型センサ102によって画像データが生成され、無線ネットワークを介して医用画像撮影装置103に送信される。医用画像撮影装置103は、可搬型センサ102から送信された画像データを画像表示部116に表示する。
【0026】
図5は、本実施形態に係る医用画像撮影システムを用いた検査方法の他の例を示す図である。なお、図5において、図4に示した構成と同一の構成は、図4と同一の符合を付してある。図5に示す構成では、X線撮影の被験者を立位で撮影する場合、被験者は可搬型センサ102が設置された立位スタンド508とX線管球405との間に立った状態で撮影される。但し、この場合、図5に示すようにX線管球405は正しく立位スタンドの正面から照射できるようメーカ連動によって照射方向が変更される。
【0027】
次に、図6に示すフローチャートを参照しながら、第1の実施形態に係る医用画像撮影システムの処理について説明する。ここでは、医用画像撮影システムを起動させてから検査が終了するまでの処理について説明する。
【0028】
ステップS601において、充電バッテリ101が可搬型センサ102に取り付けられることにより、充電バッテリ101の充電情報管理部105は充電残量を計測する。ステップS602において、充電残量管理部105は計測した充電残量を示す充電残量情報を保持する。ステップS611において、充電バッテリ101が取り付けられた可搬型センサ102は、オペレータによって電源が入れられる。ステップS612において、可搬型センサ102のバッテリ情報取得部108は、バッテリ情報の通知を充電バッテリ101に対して要求する。ステップS603において、充電バッテリ101の充電情報管理部105は、可搬型センサ102からバッテリ情報の通知要求を受け付ける。ステップS604において、充電情報管理部105は、可搬型センサ102に対してバッテリ情報を送信する。ステップS613において、可搬型センサ102は、充電バッテリ101からバッテリ情報を受信する。ステップS614において、可搬型センサ102は、バッテリ情報に含まれる充電バッテリ101のシリアルナンバ及び前回充電日時を医用画像撮影装置103に対して送信する。ステップS621において、医用画像撮影装置103は、可搬型センサ102から充電バッテリ101のシリアルナンバ及び前回充電日時を受信する。
【0029】
ステップS622において、電源オン時間カウント部111はカウントを開始する。ステップS623において、バッテリ情報管理部110は、充電バッテリ101から取得された前回充電日時と、バッテリ情報テーブル112内において当該シリアルナンバに対応付けて記録されている前回充電日時とを比較する。これにより、バッテリ情報管理部110は、バッテリ情報テーブル112内において最新の前回充電日時に更新されているか否かを判定する。充電バッテリ101から取得された前回充電日時と、バッテリ情報テーブル112内に記録されている前回充電日時とが同じである場合、バッテリ情報テーブル112内において最新の前回充電日時に更新されているものとして、処理はステップS625に移行する。一方、充電バッテリ101から取得された前回充電日時と、バッテリ情報テーブル112内に記録されている前回充電日時とが異なる場合、バッテリ情報テーブル112内において最新の前回充電日時に更新されていないものとして、処理はステップS624に移行する。ステップS624において、バッテリ情報管理部110は、バッテリ情報テーブル112内の前回充電日時を、充電バッテリ101から取得された前回充電日時に更新する。
【0030】
ところで、可搬型センサ102は、ステップS614において充電バッテリ101のシリアルナンバ及び前回充電日時を送信した後、ステップS615において充電バッテリ101のシリアルナンバ及び充電残量情報を送信する。ステップS625において、医用画像撮影装置103は、可搬型センサ102から充電バッテリ101のシリアルナンバ及び充電残量情報を受信する。ステップS626において、バッテリ情報テーブル112において当該シリアルナンバに対応付けて記録される充電残量情報を、ステップS625で受信した充電残量情報で更新する。
【0031】
ステップS627において、バッテリ情報管理部110は、更新後の充電残量情報で示される充電残量が、所定の値未満であるか否かを判定する。充電残量が所定の値未満である場合、処理はステップS628に移行する。一方、充電残量が所定の値以上である場合、ステップS628をスキップして処理はステップS629に移行する。ステップS628において、画像表示部116は、充電バッテリ101の充電又は交換を促す警告を表示する。なお、ここで警告表示を行うか否かを判定するための上記所定の値(最大充電量に対する所定の割合)として、任意に設定された値が用いられる。
【0032】
ステップS629において、バッテリ不具合判断部113は、バッテリ情報テーブル112及び検査情報テーブル115を参照することにより、充電バッテリ101に不具合が生じているかを調査する。ここで、充電バッテリ101に不具合が生じているかを調査する処理について説明する。充電バッテリ101の不具合の調査は、劣化状態を用いた調査と充電残量を用いた調査との2つに区別される。先ず、劣化状態を用いた調査について説明する。バッテリ不具合判断部113は、バッテリ情報テーブル112から充電バッテリ101の「総合電源オン時間m」及び「充電回数n」を取得する。次にバッテリ不具合判断部113は、不具合度数aとしてa=m×nの式より不具合度数(充電バッテリ101の劣化状態に関する値)を算出する。バッテリ不具合判断部113は、算出した不具合度数aと、これまで劣化状態が危険となった充電バッテリ101で求められた不具合度数の平均値a´とを比較する。aの値がa´未満である場合、バッテリ不具合判断部113は何らかの不具合によって充電バッテリ101が急速に劣化したと判断する。なお、ステップS629は、第1の調査手段の処理例である。
【0033】
次に、充電残量を用いた調査について説明する。充電バッテリ101より充電残量情報が通知されてきた場合、バッテリ不具合判断部113は、充電残量が所定の値より低くなった充電バッテリ101について、バッテリ情報テーブル112から、対応する充電バッテリ101の「平均電源オン時間M」と「前回充電時からの総電源オン時間S」とを取得する。次に、バッテリ不具合判断部113は、b=M/Sの式より不具合度数(充電バッテリ101の充電残量に関する値)bを算出する。バッテリ不具合判断部113は、算出した不具合度数bと、これまで劣化状態が危険となった充電バッテリ101で求められた不具合度数の平均値b´とを比較する。その結果、bの値がb´よりも大きい場合、バッテリ不具合判断部113は何らかの不具合によって充電バッテリ101が急速に劣化したと判断する。
【0034】
調査の結果、充電バッテリ101に不具合が生じている場合、処理はステップS631に移行する。一方、充電バッテリ101に不具合が生じていない場合、ステップS631をスキップして処理はステップS632に移行する。ステップS631において、画像表示部116は、充電バッテリ101に不具合が生じていることを警告する画面を表示する。
【0035】
ステップS632において、医用画像撮影装置103は、検査開始の指示が入力されることにより、検査を開始するための処理を行う。ステップS633において、医用画像撮影装置103は、X線撮影を制御する。ステップS634において、医用画像撮影装置103は、検査終了の指示が入力されることにより、検査を終了するための処理を行う。ステップS635において、医用画像撮影装置103の検査情報管理部114は、当該検査で実際に使用された充電バッテリ101のシリアルナンバ、検査No、検査中の電源オン時間、実施した撮影手技等の情報で検査情報テーブル115を更新する。検査情報テーブル115が更新された後、処理はステップS625に戻り、再び次の検査へ向けて同様の処理が行われる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。なお、図7において、図1と同様の構成については、図1と同じ符号が付してある。
【0037】
可搬型センサ702のセンサ稼動情報管理部704は、可搬型センサ702のセンサ稼動情報や撮影実施情報を保存して管理する。ここでセンサ稼動情報とは、可搬型センサ702の電源が入れられた時刻及び電源が切られた時刻や、可搬型センサ702のステータス毎の継続時間(例えば、照射可能ステータスの継続時間が3時間)等を示す情報である。撮影実施情報とは、撮影時の管電圧、管電流、照射時間、使用された可搬型センサ702、及び、使用された充電バッテリ101等を示す情報である。医用画像撮影装置703のセンサ情報管理部706は、使用された可搬型センサ702に関する情報を、センサ情報テーブル707を使用して一元管理する。
【0038】
図8は、センサ情報テーブル707の例を示す図である。センサ情報テーブル707には、可搬型センサ702を一意に特定するためのシリアルナンバ、装着された充電バッテリ101に不具合が生じた回数である不具合カウント数、不具合カウント数が前回足された日時(前回不具合カウント日時)、及び、不具合カウント数を加算した時間間隔の平均値である平均不具合カウント時間を含む。なお、その他の情報がセンサ情報テーブル707に保存されていてもよい。センサ・バッテリ不具合判断部705は、バッテリ情報テーブル112、センサ情報テーブル707及び検査情報テーブル115を参照することにより、登録されている各充電バッテリ又は各可搬型センサに不具合の疑いがないかを調査する。不具合の疑いがある充電バッテリ101又は可搬型センサ702が存在する場合、画像表示部116は警告表示を行う。以上のように、本実施形態においては、充電バッテリ101及び可搬型センサ702の不具合の判断が随時実施され、不具合の疑いがある場合には、速やかにオペレータに対して通知される。なお、センサ情報テーブル707において管理される各情報は、第2の管理手段において管理される可搬型センサに係る情報の一例である。
【0039】
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、第2の実施形態に係る医用画像撮影システムの処理について説明する。但し、図9におけるステップS601〜S604、ステップS611〜S615、ステップS621〜S635は、図6に示す同一符号の処理と同様であるため、それらについての説明は省略する。
【0040】
ステップS901において、センサ・バッテリ不具合判断部705は、センサ情報テーブル707及び検査情報テーブル115を参照し、可搬型センサ702に不具合が生じていないかを調査する。以下、可搬型センサ702の不具合の調査方法について説明する。
【0041】
可搬型センサ702に関しては、センサ情報テーブル707にて検査毎に使用された可搬型センサ702と充電バッテリ101との組み合わせが検索可能となっている。センサ情報テーブル707において、劣化状態が危険と判断され、且つ不具合による劣化と判定された充電バッテリを装着した履歴がある可搬型センサには不具合カウント数が1足される。また、平均電源オン時間が他の充電バッテリと比較して短くなっている充電バッテリを装着した履歴がある可搬型センサには不具合カウント数が1足される。その結果、センサ・バッテリ不具合判断部705は、不具合カウント数が所定の値を超え、且つ平均不具合カウント時間が所定の値より低くなった可搬型センサ702について何らかの不具合が発生していると判断する。なお、ステップS901は、第2の調査手段の処理例である。
【0042】
ステップS902において、センサ・バッテリ不具合判断部705は、調査の結果、可搬型センサ702に不具合が生じているか否かを判定する。可搬型センサ702に不具合が生じている場合、処理はステップS903に移行する。一方、可搬型センサ702に不具合が生じていない場合、ステップS903をスキップして処理はステップS632に移行する。ステップS903において、画像表示部116は、サービスマンによる可搬型センサ702の点検を受けることを促す警告表示を行う。ステップS632〜S635において、第1の実施形態と同様の検査処理と検査情報テーブル115の更新処理が行われる。ステップS905において、センサ情報管理部706は、センサ情報テーブル707を更新する。センサ情報テーブル707が更新された後、処理はステップS625に戻り、再び次の検査へ向けて同様の処理が行われる。
【0043】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る医用画像撮影システムは、第2の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成とは、図7の101〜112、114、115、705〜707の構成が医用画像撮影装置703とは異なる装置上に構成される点に違いがある。また、バッテリ情報テーブル112には、第1及び第2の実施形態で説明した情報の他に、充電バッテリ101毎の販売会社の所在地が保存される。センサ情報テーブル707には、第1及び第2の実施形態で説明した情報の他に、可搬型センサ702毎の販売会社の所在地が保存される。充電バッテリ101毎の販売会社の所在地を管理する処理は、第3の管理手段の処理例であり、可搬型センサ702毎の販売会社の所在地を管理する処理は、第4の管理手段の処理例である。
【0044】
図10は、第3の実施形態に係る医用画像撮影システムの構成を示す図である。図10において、充電バッテリ101及び可搬型センサ702は、図7に示す充電バッテリ101及び可搬型センサ702と同様の構成である。医用画像撮影装置1001及びサーバシステム1002は夫々、図7の送受信部109及び画像表示部116を備える。さらにサーバシステム1002は、図7の101〜112、114、115、705〜707の構成を備える。また、サーバシステム1002は、各販売会社1003の通信装置とネットワークを通じて通信が可能であり、充電バッテリ101又は可搬型センサ702に不具合があると判断した場合、サービス要求通知(例えば、点検要求通知)を販売会社1003の通信装置に対して通知する。また、サーバシステム1002は、充電バッテリ101又は可搬型センサ702に不具合が生じていると判断した場合、バッテリ情報テーブル112又はセンサ情報テーブル707に保存されている販売会社の所在地を用いて、当該施設と所定の位置関係にある販売会社(例えば、当該施設に最も地理的に近い販売会社)を選択してサービス要求通知(例えば、点検要求通知)を送信する。また、バッテリ情報テーブル112及びセンサ情報テーブル707は、特定の通信装置からも参照可能である。従って、サービス要求通知を受信する前に販売会社側からも充電バッテリ101又は可搬型センサ702の稼働状況を参照することが可能であり、迅速な対応が可能となる。なお、上記のように、充電バッテリ101又は可搬型センサ702に不具合が生じた場合に該当する販売会社の通信装置に通知する処理は、第1の通知手段又は第2の通知手段の処理例である。
【0045】
上述した実施形態においては、可搬型センサ702に充電バッテリ101を装着して通常ワークフロー通りに検査を行っていく中で、不具合の可能性があると判断された可搬型センサ702又は充電バッテリ101について通知を行う。これにより、オペレータが気付かないまま問題のある可搬型センサ702又は充電バッテリ101を使い続けるという問題を防ぐことが可能となる。また、不具合の可能性があると判断したタイミングで最寄りの販売会社1003の通信装置に対して通知されるため、迅速なサービス対応が実現可能である。仮に、不具合が生じている可搬型センサ702又は充電バッテリ101を気付かないまま使用している場合、急速な劣化により、通常よりも多く充電が必要となり、撮影ワークフローが煩雑となってしまう。特に可搬型センサ702に不具合がある場合は、装着される充電バッテリ101に対して不都合が起きる可能性があり、一刻も早い対応が必要となる。このような状況において、第3の実施形態に係る医用画像撮影システムにおいては、可搬型センサ702又は充電バッテリ101に不具合があることを判断し、販売会社1003の通信装置に対して通知することで上記要求に確実に答えることが可能となる。
【0046】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0047】
101:充電バッテリ、102、702:可搬型センサ、103、703:医用画像撮影装置、104:送受信部、105:充電情報管理部、106:送受信部、107:画像データ管理部、108:バッテリ情報取得部、109:送受信部、110:バッテリ情報管理部、111:電源オン時間カウント部、112:バッテリ情報テーブル、113:バッテリ不具合判断部、114:検査情報管理部、115:検査情報テーブル、116:画像表示部、704:センサ稼働情報管理部、705:センサ・バッテリ不具合判断部、706:センサ情報管理部、707:センサ情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型センサに装着されるバッテリに係る情報を管理する第1の管理手段と、
前記バッテリに係る情報に基づいて、前記バッテリに不具合が生じていないかを調査する第1の調査手段と、
前記第1の調査手段により前記バッテリに不具合が生じていると判断された場合、警告を行う警告手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の調査手段は、前記バッテリに係る情報に基づいて前記バッテリの劣化状態に係る値を算出し、前記バッテリの劣化状態に係る値から前記バッテリに不具合が生じていないかを調査することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の調査手段は、前記バッテリに係る情報に基づいて前記バッテリの充電残量に係る値を算出し、前記バッテリの充電残量に係る値から前記バッテリに不具合が生じていないかを調査することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の調査手段により前記バッテリに不具合が生じていると判断された場合、ネットワークを介して前記バッテリの販売会社の通信装置に対してサービス要求通知を行う第1の通知手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記可搬型センサに係る情報を管理する第2の管理手段と、
前記可搬型センサに係る情報に基づいて、前記可搬型センサに不具合が生じていないかを調査する第2の調査手段とを更に有し、
前記警告手段は、前記第2の調査手段により前記可搬型センサに不具合が生じていると判断された場合、警告を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の調査手段は、前記可搬型センサに係る情報に基づいて、前記第1の調査手段により不具合が生じていると判断された前記バッテリを装着した履歴に係る値を算出し、前記バッテリを装着した履歴に係る値から前記可搬型センサに不具合が生じていないかを調査することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の調査手段により前記可搬型センサに不具合が生じていると判断された場合、ネットワークを介して前記可搬型センサの販売会社の通信装置に対してサービス要求通知を行う第2の通知手段を更に有することを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記バッテリの販売会社の所在地を管理する第3の管理手段を更に有し、
前記第1の通知手段は、前記第3の管理手段において管理される前記バッテリの販売会社のうち、前記バッテリを装着した前記可搬型センサを備える施設と所定の位置関係にある販売会社の通信装置に対してサービス要求通知を行うことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記可搬型センサの販売会社の所在地を管理する第4の管理手段を更に有し、
前記第2の通知手段は、前記第4の管理手段において管理される前記可搬型センサの販売会社のうち、前記バッテリを装着した前記可搬型センサを備える施設と所定の位置関係にある販売会社の通信装置に対してサービス要求通知を行うことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の管理手段において管理される前記バッテリに係る情報は、前記バッテリの販売会社の通信装置から参照可能であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の管理手段において管理される前記可搬型センサに係る情報は、前記可搬型センサの販売会社の通信装置から参照可能であることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
可搬型センサに装着されるバッテリに係る情報を管理する管理ステップと、
前記バッテリに係る情報に基づいて、前記バッテリに不具合が生じていないかを調査する調査ステップと、
前記調査ステップにより前記バッテリに不具合が生じていると判断された場合、警告を行う警告ステップとを有することを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
可搬型センサに装着されるバッテリに係る情報を管理する管理ステップと、
前記バッテリに係る情報に基づいて、前記バッテリに不具合が生じていないかを調査する調査ステップと、
前記調査ステップにより前記バッテリに不具合が生じていると判断された場合、警告を行う警告ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85809(P2013−85809A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230638(P2011−230638)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】