説明

情報処理装置、映像表示方法およびOS実行方法

【課題】情報処理装置の出力映像フォーマットを自動的に設定し、また強制的に設定解除する。
【解決手段】HDMI制御部110は、ゲーム装置10に接続されているHDMI機器との間で機器認証を実行する。映像フォーマット設定部122は、HDMI機器から送られてきた情報をもとに、最大の解像度をもつ映像フォーマットを設定する。この映像フォーマットの特定情報は、映像フォーマット情報保持部142に保持される。出力処理部200は、この映像フォーマットにしたがって、画像信号を表示機器12に出力する。また、ゲーム装置は複数のOSを搭載し、優先起動されるOSの特定情報がOS情報保持部144に保持される。長押し操作検出部106により電源ボタンの長押しが検出されると、更新部130は、映像フォーマット情報保持部142およびOS情報保持部144の保持情報を、工場出荷時の状態に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置などで実行される情報処理技術に関し、特に映像処理技術や、複数のオペレーティングシステムを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、デジタル放送サービスが開始されたことに伴い、高精細度テレビジョン放送(HD(High Definition)TV)に対応したTVが普及している。HDTVは、SD(Standard Definition)TVより最低でも2倍以上の解像度をもつため、アナログテレビや一般のDVDと比較して、より細密な映像の描写が可能となる。HDTVの普及により、高精細動画像(HD画像)のコンテンツも増加する傾向をとり、たとえばゲーム業界などでも、高解像度、高画質のゲーム画像を提供しようとする動きが活発化している。また、パーソナルコンピュータ(PC)が高性能化し、ネットワーク環境が整備されたことにより、HD画像をネットワーク上で扱えるようにもなっている。
【0003】
TVやPCモニタなどの出力映像のフォーマットは、映像のきめ細かさ(走査線数)、映像の表示の方法(走査方式)、映像の縦横比(アスペクト比)などで規定され、このうち有効走査線数(走査線数)と走査方式を用いて映像フォーマットを表現するのが一般である。また日本では、D端子と呼ばれるビデオ機器のアナログ映像信号を接続するために作られた独自の接続規格が存在する。以下は、D端子と映像フォーマットの対応規格を示す。
【0004】
D1:480(525)i
D2:480(525)p
D3:1080(1125)i
D4:720(750)p
D5:1080(1125)p
D1〜D5は、それぞれに対応付けられている区分の映像フォーマットだけでなく、下位の区分規格に対する互換を保証している。したがって、D4の規格は、480(525)i、480(525)p、1080(1125)iおよび720(750)pの映像フォーマットに対応している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲーム装置やパーソナルコンピュータなどの情報処理装置では、設定された描画解像度で、画面に出力する映像信号を生成する。このとき、接続している表示機器のスペックに応じて描画解像度が設定されることが好ましい。また、特にゲーム装置などは、持ち運ばれて別の表示機器に接続されるような使用状況も想定されるが、その際に、以前の接続環境で設定した描画解像度がそのまま利用できないこともある。そのような場合、画面への表示ができないこともあるため、簡易に画面表示を復帰させる仕組みを用意しておくことが好ましい。
【0006】
また情報処理装置の高性能化に伴って、複数のオペレーティングシステムを搭載して高機能化を図ることも可能である。一般に複数のオペレーティングシステムを搭載すると、ユーザの操作が複雑化する傾向にある。特に、使用するオペレーティングシステムを切り替えるときに直感的なGUIが用意されていなかったり、または使用中のオペレーティングシステムが動作不調であるような場合には、使用中のオペレーティングシステムを簡易に終了でき、切り替えられる仕組みを用意しておくことが好ましい。
【0007】
そこで本発明は、映像処理機能を備えた情報処理装置や、複数のオペレーティングシステムを搭載した情報処理装置に関して、上記した課題を解決することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報表示装置は、少なくとも1つの表示機器に接続して表示機器に映像を表示する機能を有し、複数の映像フォーマットの順位を保持しているフォーマット順位保持部と、前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する映像フォーマット設定部と、設定された映像フォーマットで画像信号を前記表示機器に出力する出力処理部と、接続している表示機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得する取得部と、を備える。前記出力処理部は、前記取得部により映像フォーマット情報が取得されるまでは最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力し、前記取得部により映像フォーマット情報が取得されると、前記映像フォーマット設定部は、前記フォーマット順位保持部に保持されている順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定し、前記出力処理部は、設定された映像フォーマットで画像信号を出力する。
【0009】
また本発明の別の態様は、少なくとも1つの表示機器に接続して、表示機器に映像を表示する方法に関する。この映像表示方法は、複数の映像フォーマットの順位をメモリに保持するステップと、表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定するステップと、設定した映像フォーマットで画像信号を表示機器に出力するステップと、接続している表示機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得するステップと、を備え、映像フォーマット情報が取得されるまでは、前記出力ステップが、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力し、映像フォーマット情報が取得されると、前記映像フォーマット設定ステップが、映像フォーマットの順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定し、前記出力ステップが、設定された映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする。
【0010】
また本発明の別の態様は、表示機器に映像を表示する情報処理装置に関し、ユーザからの操作入力が行われる入力部と、前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する映像フォーマット設定部と、設定された映像フォーマットを特定する情報を保持する映像フォーマット情報保持部と、前記映像フォーマット情報保持部に保持された映像フォーマット特定情報にしたがって、画像信号を前記表示機器に出力する出力処理部と、前記入力部に対して所定の操作入力が行われたことを検出する検出部とを備える。前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記出力処理部は、所定の映像フォーマットで画像信号を出力する。
【0011】
また本発明の別の態様は、複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を搭載した情報処理装置に関し、ユーザからの操作入力が行われる入力部と、複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定するOS設定部と、設定されたOSを特定する情報を保持するOS情報保持部と、前記OS情報保持部に保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させるOS実行部と、前記入力部に対して所定の操作入力が行われたことを検出する検出部と、を備える。前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行部は、所定のOSを実行させる。
【0012】
また本発明の別の態様は、表示機器に映像を表示する方法であって、ユーザからの操作入力を受け付けるステップと、前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定するステップと、設定された映像フォーマットを特定する情報をメモリに保持するステップと、メモリに保持された映像フォーマット特定情報にしたがって、画像信号を前記表示機器に出力するステップと、所定の操作入力が行われたことを検出するステップと、を備え、所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記出力ステップは、所定の映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする。
【0013】
また本発明の別の態様は、アプリケーションを実行するために、複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を選択的に切り替えて、OSを実行させる方法であって、ユーザからの操作入力を受け付けるステップと、複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定するステップと、設定されたOSを特定する情報をメモリに保持するステップと、メモリに保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させるステップと、所定の操作入力が行われたことを検出するステップと、を備え、所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行ステップは、所定のOSを実行させることを特徴とする。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の情報処理技術によると、効率的な映像フォーマットの設定や、効率的なOSの起動を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の実施例にかかるゲームシステムの使用環境を示す。ゲームシステム1は、ゲームアプリケーションを実行するゲーム装置10と、ゲーム装置10における処理結果を出力する表示機器12とを備える。表示機器12は、画像を出力するディスプレイ部を有して構成され、さらに音声を出力する音声出力部を有するテレビであってよい。表示機器12は、ゲーム装置10に有線ケーブルで接続されてよく、また無線LAN(Local Area Network)などにより無線接続されてもよい。
【0017】
ゲーム装置10は、ゲームアプリケーションを処理して、ゲームアプリケーションの処理結果を示す画像信号および音声信号を生成する情報処理装置である。ゲーム装置10は、少なくとも1つの表示機器12に接続して、表示機器12に映像を表示し、また音声を出力する。なお、本実施例に示す技術は、ゲーム装置10に限らず、他の種類のアプリケーションを実行して、表示機器12に映像を表示する情報処理装置においても実現できる。したがって本実施例では、ゲームアプリケーションを実行するゲームシステム1を示すが、他のアプリケーションを実行するシステムであってもよい。
【0018】
図2は、ゲーム装置10の機能ブロック図を示す。ゲーム装置10は、電源ボタン20、LED22、システムコントローラ24、デバイスコントローラ30、メディアドライブ32、ハードディスクドライブ34、スイッチ36、無線インタフェース38、メインコントローラ100、メインメモリ102および出力処理部200を有して構成される。
【0019】
電源ボタン20は、ユーザからの操作入力が行われる入力部であって、ゲーム装置10への電源供給をオンまたはオフするために操作される。電源ボタン20は押下ボタンであってよく、押下されることで電源のオンまたはオフが制御されてもよい。なお電源ボタン20は、タッチセンサなど、ユーザが電源のオンオフを行える他の構造をとってもよい。LED22は、電源のオンまたはオフの状態を点灯表示する。システムコントローラ24は、電源ボタン20の押下状態または非押下状態を検出し、電源オフの状態から押下状態への状態遷移を検出すると、メインコントローラ100を起動して、オペレーティングシステムのブートシーケンスを立ち上げるとともに、LED22を点灯制御する。ゲーム装置10に電源ケーブルが差し込まれている場合、システムコントローラ24は、電源オフの状態であってもスタンバイモードを維持して、電源ボタン20の押下を監視する。
【0020】
デバイスコントローラ30は、サウスブリッジのようにデバイス間の情報の受け渡しを実行するLSI(Large-Scale Integrated Circuit)として構成される。図示のように、デバイスコントローラ30には、システムコントローラ24、メディアドライブ32、ハードディスクドライブ34、スイッチ36およびメインコントローラ100などのデバイスが接続される。デバイスコントローラ30は、それぞれのデバイスの電気特性の違いやデータ転送速度の差を吸収し、データ転送のタイミングを制御する。
【0021】
メディアドライブ32は、ゲームプログラムを記録したメディア50を駆動して、メディア50からゲームプログラムを読み出すドライブ装置である。ハードディスクドライブ34は、内蔵ハードディスクを駆動して、データの書込/読出を行うドライブ装置である。スイッチ36は、イーサネットスイッチ(イーサネットは登録商標)であって、外部の機器と有線または無線で接続して、情報の送受信を行うデバイスである。スイッチ36は無線インタフェース38に接続し、無線インタフェース38は、Bluetooth(登録商標)プロトコルやIEEE802.11プロトコルなどの通信プロトコルで無線通信機能をもつゲームコントローラ40と接続する。ゲームコントローラ40は、ユーザからの操作入力が行われる入力部として機能する。
【0022】
メインコントローラ100は、マルチコアCPUを備え、1つのCPUの中に1つの汎用的なプロセッサコアと、複数のシンプルなプロセッサコアを有する。本実施例では、汎用プロセッサコアをPPU(Power Processing Unit)と呼び、残りのプロセッサコアをSPU(Synergistic-Processing Unit)と呼ぶ。
【0023】
メインコントローラ100では、ゲーム装置10において、ハードウェアへのインターフェースを抽象化してアプリケーションソフトウェアに提供するオペレーティングシステム(以下、単に「OS(Operating System)」と呼ぶ)が実行される。ゲーム装置10において、OSは、ハイパーバイザと呼ばれる基本ソフトウェア上で実行される。ハイパーバイザにおいて、「特権ソフトウェア」と呼ばれるソフトウェアが実行され、ゲーム用OSなどのOSを実行させるための環境を提供する。ハイパーバイザは、電源ボタン20より電源投入されると、必ず起動される。
【0024】
ゲーム装置10は、複数のOSを搭載している。メインコントローラ100には、コンピュータ資源を論理的に複数に分割するLPAR(Logical Partitioning)支援機能が搭載されており、メインコントローラ100は、区分けした複数のコンピュータ資源上で、1以上のOSを走らせることができる。OS実行用のプログラムは、不揮発性の記憶装置であるフラッシュメモリやハードディスクなどに記録されている。
【0025】
メインコントローラ100は、ハイパーバイザ上でOSを動作させる機能をもつ。メインコントローラ100による管理上、OSは、ハイパーバイザの特権ソフトウェアにより実行されるプログラムであり、OSを動作させるためには、ハイパーバイザが起動している必要がある。ハイパーバイザの起動はPPUにより実行されるが、SPUと協同して実行されてもよい。
【0026】
図3(a)は、電源オンにより優先起動されるハイパーバイザ層を示す。本実施例において、ハイパーバイザは、OSを実行させるための環境を提供する特権ソフトウェアとしての機能を有している。電源ボタン20により電源投入されると、システムコントローラ24は、デバイスコントローラ30を経由して、メインコントローラ100および出力処理部200に電源を供給する。メインコントローラ100に電源が供給されると、PPUが、ハイパーバイザを起動し、OSの起動態勢を整える。
【0027】
図3(b)は、ゲーム用OS動作時のOS階層を示す。電源投入時、図3(a)に示すように、ハイパーバイザが起動される。ゲーム装置10がゲーム用OSの実行モードにある場合、PPUは、フラッシュメモリなどに格納されたゲーム用OSのブートローダを読み出し、実行する。これにより、PPUは、ゲーム用OSのカーネル層を起動し、さらにカーネル層上で動作するAPIなどのユーザ層を起動して、ゲーム用OS上でゲームアプリケーションを実行できる環境を生成する。
図3(c)は、非ゲーム用OS動作時のOS階層を示す。ゲーム装置10が非ゲーム用OSの実行モードにある場合、PPUは、フラッシュメモリなどに格納された非ゲーム用OSのブートローダを読み出し、実行する。これにより、PPUは、非ゲーム用OSのカーネル層を起動し、さらにカーネル層上で動作するAPIなどのユーザ層を起動して、非ゲーム用OS上でアプリケーションを実行できる環境を生成する。
【0028】
特権ソフトウェアは、OSの起動時、フラッシュメモリに格納された優先起動フラグを読み出す。優先起動フラグは、電源投入時に、複数のOSのうち、いずれのOSでアプリケーションを実行するかを定めたものである。PPUは、特権ソフトウェアによりフラッシュメモリの優先起動フラグを参照し、フラグ値に応じて起動するカーネル層を決定する。
【0029】
メインコントローラ100は、メインメモリ102に接続するメモリコントローラを備える。PPUはレジスタを有し、演算実行主体としてメインプロセッサを備える。PPUは、各アプリケーションにおける基本処理単位としてのタスクを各SPUに効率的に割り当てる。なお、PPU自身がタスクを実行してもよい。SPUはレジスタを有し、演算実行主体としてのサブプロセッサとローカルな記憶領域としてのローカルメモリ(専用RAM)を備える。SPUは制御ユニットとして専用のDMA(Direct Memory Access)コントローラをもち、メインメモリ102とローカルメモリの間のデータ転送を行うことで、データを高速にストリーム処理でき、また出力処理部200に内蔵されるフレームメモリとローカルメモリの間で高速なデータ転送を実現できる。
【0030】
出力処理部200は、表示機器12に接続されて、アプリケーションの処理結果である映像信号および音声信号を出力する。処理対象となるアプリケーションは、メディア50から読み出されるゲームプログラムだけでなく、ユーザに各種設定を行わせるGUI(Graphical Use Interface)も含む。出力処理部200は、GPU(Graphics Processing Unit)を備え、以下の映像フォーマットをサポートする。
D1:480(525)i
D2:480(525)p
D3:1080(1125)i
D4:720(750)p
D5:1080(1125)p
なお、D1、D2として示した映像フォーマットは、日本や米国などで放送されているNTSC方式に対応する表示機器12におけるフォーマットであり、たとえばPAL方式に対応する表示機器12に対しては、出力処理部200が、576iや576pの出力映像フォーマットをサポートすることが好ましい。
GPUは、HDMI(High Definition Multimedia Interface)を採用する。これにより、アナログを介さずに、映像信号をデジタル出力することができる。
【0031】
また出力処理部200は、以下の音声フォーマットをサポートする。
7.1chLPCM(Linear Pulse Code Modulation)
5.1chLPCM
5.1chDD(Dolby(登録商標) Digital Interactive Encoding)
2chLPCM
【0032】
図4は、メインコントローラ100および出力処理部200の内部構成を示す。メインコントローラ100は、入力受付部104、長押し操作検出部106、HDMI制御部110、設定部120、更新部130、フラッシュメモリ140、実行処理部150、メモリコントローラ160およびローカルメモリ162を備える。出力処理部200は、画像出力部210および音声出力部230を備える。画像出力部210はGPUとして構成される。
【0033】
図4において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたOSプログラムなどのプログラムによって実現される。既述したように、メインコントローラ100には1つのPPUと複数のSPUとが設けられており、PPUおよびSPUがそれぞれ単独または協同して、各機能ブロックを構成できる。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0034】
メインコントローラ100は、デバイスコントローラ30との間で制御情報を送受する手段として、入力受付部104および長押し操作検出部106を有し、出力処理部200との間で制御情報を送受する手段としてHDMI制御部110を有する。入力受付部104は、ユーザのゲームコントローラ40からの操作入力を受け付ける。ゲームシステム1において、ユーザはゲームコントローラ40を用いて、表示機器12の画面に表示されるGUIをみながら、各種設定操作を行う。
【0035】
HDMI制御部110は、ゲーム装置10に接続されているHDMI機器との間で機器認証を実行する。属性要求部112は、接続されている機器に対して、EDID(Extended Display Identification Data)の返信を要求する。EDIDは、モニタの機種名や設定値などの属性値をホストに伝えるモニタ独自のIDである。たとえば、ブート時、コネクタの再接続時またはモニタの電源投入時に、HDMI制御部110がHDMI機器の接続を認識すると、属性要求部112がEDIDの返信を要求し、属性取得部114が、返信されたEDIDを取得する。
【0036】
長押し操作検出部106は、入力部に対してユーザから所定の操作入力が行われたことを検出する検出部として機能する。本実施例において、長押し操作検出部106は、電源ボタン20が所定時間継続して長押しされたことを検出する。たとえば、長押しを判定する時間は5秒程度であってよい。システムコントローラ24が、電源オフの状態から電源ボタン20の押下を検出して、メインコントローラ100に電源を供給し、メインコントローラ100がハイパーバイザを起動するのに、たとえば1秒かかるものとする。この場合、ハイパーバイザの一機能として構成される長押し操作検出部106が電源ボタン20の状態を監視可能な状態になるまでに、ユーザによる押下開始から1秒を要することになるため、長押し操作検出部106は、監視開始後、4秒間の押下継続状態を検出したときに、トータルで5秒間の長押し操作が行われたことを判定してもよい。長押し操作検出部106はタイマを起動して、押下継続時間を計測する。以上のように、本実施例において電源ボタン20の長押し操作は、システムリセットを実行させる。なおユーザは、電源ボタン20を短時間押下して放すことで(短押し操作)、電源をオンオフできる。
【0037】
フラッシュメモリ140は、その格納領域に、映像フォーマット情報保持部142、OS情報保持部144、映像フォーマット順位保持部146、ブートローダ保持部148を有する。映像フォーマット情報保持部142は、設定画面などのGUIを提供する際の映像フォーマットを特定する情報を保持する。この映像フォーマット特定情報の工場出荷時のデフォルト設定値は、480pの映像フォーマットを特定する情報である。後述するように、映像フォーマット情報保持部142で保持する映像フォーマット特定情報は変更可能である。
【0038】
映像フォーマット順位保持部146は、複数の映像フォーマットの順位を保持している。ゲームシステム1では、480(525)i、480(525)p、1080(1125)i、720(750)pおよび1080(1125)pの5種類の映像フォーマットが使用可能であり、映像フォーマット順位保持部146は、これらを順序づけしたテーブルを保持している。
(1位)1080(1125)p
(2位)720(750)p
(3位)1080(1125)i
(4位)480(525)p
(5位)480(525)i
以上のように、本実施例では、D端子の番号の逆順が、それぞれの映像フォーマットの順位として割り当てられており、順位の高いものから順にきれいな画像を提供できる。
【0039】
OS情報保持部144は、アプリケーションを実行するOSを特定する情報を保持する。このOS特定情報の工場出荷時のデフォルト設定値は、ゲーム用OSである。後述するように、OS情報保持部144で保持するOS特定情報は変更可能である。なお、OS特定情報は、アプリケーションの実行可能なレベルまで起動されるOSを特定できればよいのであって、そのデータ形式は問わない。たとえば、OS特定情報は、ゲーム用OSのフラグ値であってよく、この場合、ゲーム用OSのフラグ値がオンのときはゲーム用OSが優先起動システムであることが特定され、フラグ値がオフのときはゲーム用OS以外のOSが優先起動システムであることが特定される。同様に、OS特定情報は非ゲーム用OSのフラグ値であってよい。このように、起動するOSを特定するフラグを、優先起動フラグと呼んでもよい。ゲーム用OSも含めて複数のOSがインストールされている場合は、OS特定情報はいずれか1つのOSを特定できる情報であればよく、フラグ値であっても、またOS種類を直接特定する情報であってもよい。
【0040】
ブートローダ保持部148は、OSのブートローダを保持する。既述したように、電源投入直後に、すでにハイパーバイザは起動されているのであって、このブートローダは、その状況下でOSを起動するために利用される。ゲーム装置10が複数のOSを搭載する場合、ブートローダ保持部148は、それぞれのブートローダを保持する。
【0041】
設定部120は、映像フォーマットおよび実行するOSを設定する機能をもつ。具体的に、映像フォーマット設定部122が、表示機器12の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定し、OS設定部124が、複数のOSのうち、いずれのOSでアプリケーションを実行するか設定する。映像フォーマット設定部122で設定された映像フォーマットの特定情報は、映像フォーマット情報保持部142に上書きされ、またOS設定部124で設定されたOSの特定情報は、OS情報保持部144に上書きされる。映像フォーマット設定部122は、たとえばゲーム装置10の初回起動時やシステムリセットが実行されたときに、映像フォーマットを映像フォーマット情報保持部142に設定する。またOS設定部124は、ユーザにより優先起動するOSが選択されたときに、そのOSをOS情報保持部144に設定する。
【0042】
更新部130は、映像フォーマット情報保持部142に保持されている映像フォーマット特定情報およびOS情報保持部144に保持されているOS特定情報を強制的に更新する機能をもつ。具体的に、映像フォーマット情報更新部132が、映像フォーマット情報保持部142に保持された映像フォーマット特定情報を、所定の映像フォーマットを特定する映像フォーマット特定情報に強制的に更新し、OS情報更新部134が、OS情報保持部144に保持されたOS特定情報を、所定のOSを特定するOS特定情報に強制的に更新する。この更新は、長押し操作検出部106により、電源ボタン20の長押し操作が検出されたことを契機として実行される。
【0043】
実行処理部150は、OSを実行するOS実行部152と、アプリケーションを実行するアプリケーション処理部154とを有する。
電源が投入されると、OS実行部152はハイパーバイザを起動する。OS実行部152は、このハイパーバイザを動作させた状態で、OS情報保持部144に保持されているOS特定情報を参照して、この特定情報により特定されるOSを起動する。すなわちOS実行部152では、ハイパーバイザが、OS特定情報で特定されるOSのカーネルを起動する。なお、上記した設定部120および更新部130などの構成は、図面上では実行処理部150とは別機能として記載しているが、これらはハイパーバイザの特権ソフトウェアにより動作される構成であってよい。
【0044】
アプリケーション処理部154は、OS上でアプリケーションを処理する。ゲームシステム1において、ゲームアプリケーションは、ゲーム用OS上で処理され、またゲーム装置10に関する各種の設定画面のGUIも、ゲーム用OS上で処理される。非ゲーム用OS上では、そのOSに対応したプログラムが処理される。
【0045】
メモリコントローラ160は、外部のメインメモリ102や、SPUに内蔵されているローカルメモリ162の書込/読出を制御する。メモリコントローラ160は、ハードディスクやメディア50などから読み出したプログラムを、メインメモリ102ないしはローカルメモリ162に記憶させる。実行処理部150は、メインメモリ102および/またはローカルメモリ162に記憶されたプログラムをもとに、それぞれの処理を実行する。実行処理部150の処理結果は、出力処理部200に供給される。このとき、実行処理部150は、設定された映像フォーマットに対応した描画解像度で画像信号を生成する。たとえば、映像フォーマットとして720pが設定されている場合、実行処理部150は、1280×720の描画解像度で画像信号を生成し、また映像フォーマットとして1080pが設定されている場合、1980×1080の描画解像度で画像信号を生成する。
【0046】
出力処理部200において、画像出力部210は、画像制御部212、メモリコントローラ216、フレームメモリ218、ディスプレイコントローラ220を備える。画像制御部212は、画像出力部210における画像処理機能を統括的に管理する。メモリコントローラ216は、フレームメモリ218の書込/読出を制御する。アプリケーション処理部154で生成された画像データは、フレームメモリ218に書き込まれる。
【0047】
ディスプレイコントローラ220は、水平および垂直同期信号を生成し、表示機器12の表示タイミングにしたがって、フレームメモリ218から画像フレームデータのピクセルデータをライン状に順次読み込んでいく。ディスプレイコントローラ220は、画像制御部212を介して、映像フォーマット情報保持部142に保持されている映像フォーマット特定情報を予め取得している。ディスプレイコントローラ220は、ライン状に読み込まれたピクセルデータを、映像フォーマット特定情報で特定される映像フォーマットで出力する。なお、ディスプレイコントローラ220は、フレームメモリ218に格納された画像信号を、アップコンバートまたはダウンコンバートする機能をもっていてもよい。
【0048】
音声出力部230は、実行処理部150から音声信号を受けると、表示機器12のスピーカから音声出力する。
【0049】
ゲーム装置10は、映像フォーマットを自動設定する機能と、設定した映像フォーマットを強制解除する機能を有する。また上記したように、ゲーム装置10は、複数のOSを搭載しており、優先起動するOSを設定する機能を有しているが、さらに設定したOSを強制解除する機能も有している。
以下、ゲーム装置10における各構成要素の動作を、ユーザの使用状況にあわせて説明する。
【0050】
<映像フォーマットの自動設定機能>
ゲームシステム1において、ゲーム装置10の初回起動時、OS情報保持部144はデフォルト設定値としてゲーム用OSの特定情報を保持しており、したがってOS実行部152は、ゲーム用OSを起動する。アプリケーション処理部154は、ゲーム用OS上で、初期設定のGUI画面を表示機器12に表示する。このとき、映像フォーマット情報保持部142はデフォルト設定値として480pの映像フォーマットの特定情報を保持しており、したがってアプリケーション処理部154は、720×480の描画解像度で画像信号を生成する。
【0051】
映像フォーマット情報保持部142の映像フォーマット特定情報は画像制御部212にも通知され、ディスプレイコントローラ220は、アプリケーション処理部154において720×480の解像度で生成された画像信号を、480pの映像フォーマットで表示機器12に出力する。すなわちディスプレイコントローラ220は、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力する。最も解像度の低い映像フォーマットは、ほぼ全てのテレビジョン装置でサポートされているため、表示機器12の種類を問わず、GUI画面をディスプレイに表示できる。またディスプレイコントローラ220は、どの出力ポートに表示機器12が接続しているか分からないため、存在する全ての出力ポートに対して画像信号を出力する。
【0052】
ユーザは、ゲームコントローラ40を操作して、初期設定を行う。ゲームコントローラ40には、十字キーや、複数のボタンなどの入力部が設けられており、ユーザは、GUI画面の指示にしたがって入力部を操作する。本実施例のゲームシステム1では、無線のゲームコントローラ40を採用する。したがって、初回起動時には、ゲーム装置10がゲームコントローラ40を認識できないため、まずUSBケーブルでゲームコントローラ40とゲーム装置10を接続して、ゲーム装置10とゲームコントローラ40とをペアリングする。その後、ユーザは、ゲームコントローラ40を用いて解像度などの初期設定を実行する。
【0053】
図5(a)は、ゲームコントローラ40が未接続状態にあるときの画面を示す。ゲーム装置10の初回起動時において、一番最初に表示される設定画面である。ユーザは、ゲームコントローラ40をUSBケーブルでゲーム装置10に接続する。これにより、ユーザは、ゲームコントローラ40を用いて画面入力を行うことが可能となる。
【0054】
図5(b)は、言語選択画面を示す。ゲームコントローラ40をゲーム装置10にUSB接続すると、図5(b)に示す言語選択画面が表示される。ユーザは、ゲームコントローラ40を操作して、所望の言語を選択する。この選択操作が完了すると、ゲーム装置10は、接続されているHDMI機器があるか探索する。
【0055】
図6(a)は、HDMIを検出したことを通知する画面を示す。この画面で、ユーザが「はい」を選択すると、HDMI機器のみへの出力が選択されたことになる。この後、図6(b)に示すように、画像信号の出力をHDMI機器が接続している出力ポートのみに変更する処理を行う。
【0056】
図7(a)は、自動的に出力解像度を設定することをユーザに問い合わせる画面を示す。この問い合わせ画面は、HDMI機器検出後、HDMI機器が接続している出力ポートのみに画像信号が出力されるようになったときに表示される。ユーザは、この問い合わせに対して「はい」を選択すると、図7(b)に示す解像度の変更中を示す画面が表示され、ゲーム装置10が、解像度の切替処理を実行する。
【0057】
具体的には、属性要求部112がHDMI機器に対して属性情報を要求し、属性取得部114がHDMI機器から属性情報としてEDIDを取得する。EDIDは、接続しているHDMI機器が表示可能な映像フォーマット情報を含んでいる。このEDIDは、映像フォーマット設定部122に引き渡される。
【0058】
映像フォーマット設定部122は、EDIDに含まれる映像フォーマット情報をもとに、表示機器12の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する。たとえば、ゲーム装置10に複数のHDMI機器が接続されている環境では、複数の映像フォーマット情報が属性取得部114により取得されることになる。HDMI機器の種類は様々であるため、ゲーム装置10による処理結果を一番きれいな画像で出力できる表示機器12を出力機器として割り当てることが好ましい。
【0059】
そのため、映像フォーマット設定部122は、映像フォーマット順位保持部146に保持されている複数の映像フォーマットの順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順序付けがされている映像フォーマットを選択して設定する。たとえば、取得した映像フォーマット情報が、720pを示す情報と1080iを示す情報であったとき、720pは2位、1080iは3位の順位が設定されているため、映像フォーマット設定部122は、720pを出力映像のフォーマットに決定する。
【0060】
図8(a)は、映像フォーマット設定部122により設定された映像フォーマットを通知する画面を示す。この画面で、ユーザが「はい」を選択すると、表示機器12への出力映像フォーマットが720pに自動設定される。このとき、音声のフォーマットも自動設定される。これにより、映像フォーマットのの自動設定処理は終了する。
【0061】
図8(b)は、映像フォーマットの設定の後に実行されるタイムゾーンの設定画面を示す。このとき、ディスプレイコントローラ220は、映像フォーマット設定部122により設定された映像フォーマット(720p)で画像信号を表示機器12に出力する。以後の初期設定において、映像フォーマットは720pで固定される。
【0062】
以上のように、ゲーム装置10の初回起動時において、接続しているHDMI機器の出力可能な映像フォーマット情報がHDMI制御部110により取得されると、映像フォーマット設定部122は、映像フォーマット順位保持部146に保持されている順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定する。アプリケーション処理部154は、設定された映像フォーマットと同一の描画解像度で画像信号を生成し、ディスプレイコントローラ220は、設定された映像フォーマットで画像信号を出力する。これにより、ゲーム装置10は、接続環境下で最もきれいな表示画面を生成することが可能となる。
【0063】
なお、ディスプレイコントローラ220は、属性取得部114により映像フォーマット情報を取得するまでは、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力する。本実施例では、映像フォーマットとして映像フォーマット情報保持部142にデフォルト設定されている順位4の480pで画像信号が出力されるが、順位5の480iで出力されてもよい。480pまたは480iのいずれも、市販されている殆ど全てのテレビジョン装置がサポートしているため、仮に表示機器12がHDMI機器でない場合であっても、画像表示することができる。
【0064】
<優先起動OSの設定機能>
ユーザは、初期設定を完了すると、続いて本体設定を実行する。本体設定では、たとえば使用する辞書の設定であったり、単語の登録や、また設定の初期化などを実行できる。このなかで、ユーザは、ゲーム用OS以外のOS(たとえば、ABC−OS)をインストールできる。ABC−OSがインストールされると、ABC−OS用プログラムがハードディスクに格納され、またABC−OS用プログラムのブートローダがブートローダ保持部148に保持される。
【0065】
ユーザは、本体設定において、ゲーム装置10の起動時にいずれのOSを優先起動するか設定できる。図9(a)は、本体設定の設定画面を示す。OS情報保持部144は、ゲーム用OSを特定する情報をデフォルト設定値として保持しており、したがって優先起動されるOSは、デフォルト設定ではゲーム用OSとなっている。
【0066】
図9(b)は、優先起動システムの設定画面を示す。搭載OSであるゲーム用OSとABC−OSの選択画面がユーザに提示される。ユーザがABC−OSを選択すると、入力受付部104がその選択情報を受け取り、OS設定部124に通知する。OS設定部124は、その通知を受けて、OS情報保持部144におけるゲーム用OSを特定する情報を、ABC−OSを特定する情報に上書きする。これにより、ゲーム装置10の起動時に、ゲーム用OSのハイパーバイザが、ABC−OSのカーネルを起動して、ABC−OSを動作させることができる。
【0067】
<映像フォーマットおよび優先起動OSの設定解除機能>
既述した映像フォーマットの設定機能および優先起動OSの設定機能の実行により、フラッシュメモリ140には、それぞれの設定値が書き込まれる。これらの設定値は、いずれもゲーム装置10の起動時に参照され、OS実行部152およびアプリケーション処理部154により使用される。
【0068】
しかしながら、例えばユーザがゲーム装置10をもって部屋を移動し、別の表示機器12に接続すると、表示機器12のスペックに変化がない場合は問題ないが、表示機器12のスペックが下がるような場合には、設定された映像フォーマットでは、画面表示ができない状況も発生する。例えば、映像フォーマット情報保持部142に保持されている映像フォーマット情報が720pを示すときに、ゲーム装置10を、480pと480iしかサポートしていないアナログテレビに接続するような場合である。このとき、アナログテレビは、720pで出力される画像信号を表示できず、画面に何も表示することができない。このような状況下において、ゲーム装置10は、ユーザに対してすみやかに画面表示を復帰させるような仕組みを提供することが好ましい。
【0069】
また、優先起動OSとして非ゲーム用OS(上記例では、「ABC−OS」)を設定している場合に、そのABC−OSに動作上の不具合が発生すると、ABC−OSからゲーム用OSへの切替ができない、又は困難な状況も発生する。このような状況下では、ゲーム装置10は、ユーザに対してすみやかにゲーム用OSに復帰できるような仕組みを提供することが好ましい。また、優先起動OSとして非ゲーム用OSを設定しているが、ユーザがゲームアプリケーションの実行を希望する場合には、電源投入時に、簡単な操作で、すみやかにゲーム用OSを起動できる仕組みが望まれる。
【0070】
以上の理由から、ゲーム装置10は、映像フォーマットおよび優先起動OSの設定強制解除機能を有する。本実施例において強制解除機能を実行するためには、ユーザは、電源ボタン20を長押しすればよい。電源ボタン20の長押しを機能実行の契機とすることで、ゲーム装置10は、新たな設定強制解除用のボタンをもつ必要なく、リソースを有効利用することができる。また、電源ボタン20の長押しは、何らかの不備が発生したときにユーザが直観的に実行しやすい操作であるため、ユーザにとって覚えやすいという利点もある。
【0071】
まずシステムコントローラ24が電源ボタン20の押下を検出する。システムコントローラ24は、デバイスコントローラ30を経由してメインコントローラ100に押下操作があったことを通知する。長押し操作検出部106は、電源ボタン20の押下操作が所定時間解放されないかを監視し、押下操作が所定時間継続したことを検出すると、長押し操作が行われたことを判定する。なお、電源ボタン20が押下されてから、長押し操作検出部106が電源ボタン20の押下状態を監視するまでに時間がかかるような場合は、長押し操作検出部106は、その時間分を差し引いた時間で判定を行う。たとえば、押下操作が5秒間継続したことを長押し操作と定義する場合に、長押し操作検出部106が監視可能な状態になるまで押下開始から1秒かかったとすると、長押し操作検出部106は、4秒間の押下継続状態を検出したときに、長押し操作が行われたことを判定すればよい。長押し操作検出部106は、監視可能な状態になるまでの時間を認識したうえで、この判定処理を実行する。長押し操作検出部106は、長押し操作を判定すると、更新部130に通知する。
【0072】
更新部130において、OS情報更新部134は、OS情報保持部144に保持されたOS特定情報を、ゲーム用OSを特定するOS特定情報に強制的に更新する。OS実行部152は、OS情報保持部144において更新されたゲーム用OSを特定する情報を参照して、ゲーム用OSのカーネルを起動する。これにより、アプリケーション処理部154は、ゲーム用OS上のアプリケーションを実行できる状態になる。
【0073】
ゲーム用OSが起動されると、映像フォーマット情報更新部132は、映像フォーマット情報保持部142に保持された映像フォーマット特定情報を、所定の映像フォーマットを特定する映像フォーマット情報に更新する。更新された映像フォーマット情報は画像制御部212に通知され、ディスプレイコントローラ220は、所定の映像フォーマットでアプリケーション処理結果を表示機器12に出力する。
【0074】
具体的に、映像フォーマット情報更新部132は、最も解像度の低い映像フォーマットを特定する映像フォーマット特定情報に更新する。この映像フォーマットは、デフォルト設定されていた480pであってよく、また480iであってもよい。最も低い解像度に強制的に変更させることで、画像出力部210から出力される画像信号を、表示機器12で表示することが可能となる。この後、ゲーム装置10は、ユーザに、解像度設定から始まる初期設定を実行させる。この初期設定では、図6〜図8に示したGUI画面が表示される。このように、システムリセットによりメインコントローラ100における解像度の設定値が工場出荷時の状態に戻されたときには、初期設定を再実行して映像フォーマットの自動設定機能を実行することで、属性取得部114がHDMI機器から取得したEDIDをもとに、映像フォーマット設定部122が、映像フォーマットを再設定することができる。
【0075】
図10は、優先起動OSの設定解除動作のフローを示す。システムコントローラ24は電源ボタン20の押下状態を監視し(S10のN)、ユーザにより電源ボタン20が押下されると(S10のY)、長押し操作検出部106は、押下状態が所定時間継続しているか判定し(S12)、経過していない場合は(S12のN)、システムコントローラ24からの情報をもとに、電源ボタン20の押下が解放されたか検出する(S14)。押下が解放されていなければ(S14のN)、S12の時間経過判定を行う。押下が解放されていれば(S14のY)、通常の電源オンであるため、OS実行部152が、OS情報保持部144のOS特定情報を参照する(S16)。このOS特定情報がABC−OSのフラグ値であったとき、フラグ値がオンであれば(S16のY)、OS実行部152が、ブートローダ保持部148に保持されているABC−OS用のブートローダを起動し(S20)、ハードディスクからABC−OS用のプログラムを読み込んで、ABC−OSのカーネルを起動して(S24)、ABC−OSのアプリケーションを起動する(S26)。
【0076】
一方、S12において、押下状態が所定時間継続した場合(S12のY)、ABC−OSのフラグ値をオフに強制設定する(S18)。これにより、ゲーム用OSが起動することになる。S16において、ABC−OSのフラグ値がオフであった場合(S16のN)も同様である。OS実行部152は、ハードディスクからゲーム用OS用のプログラムを読み込んで、ゲーム用OSのカーネルを起動して(S28)、ゲーム用OSのアプリケーションを起動する(S30)。
【0077】
以上のフローチャートでは、OSの設定解除動作を示したが、既述したように、映像フォーマットの設定解除動作も同時に実行されてよい。映像フォーマットの設定解除動作は、S18においてABC−OSのフラグ値がオフに強制設定されるときに実行されてもよい。
【0078】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0079】
実施例では、OS情報更新部134によるOS特定情報の強制更新処理が、電源ボタン20による長押し操作が検出されたことを契機として実行され、ハイパーバイザ層が、OS情報保持部144において更新されたOS特定情報を参照してゲーム用OSのカーネル層を起動することとした。この変形例として、ハイパーバイザ層は、電源ボタン20による長押し操作を検出すると、たとえば強制更新処理の実行の可否を示す強制更新フラグをオンに設定し、この強制更新フラグ値をもとに、ゲーム用OSのカーネル層を起動してもよい。このとき、OS情報更新部134による強制更新処理は、強制更新フラグのオン値をもとに任意のタイミングで実行されてもよく、たとえばゲーム用OSのカーネル層またはユーザ層の起動後に実行されてもよい。この変形例では、ハイパーバイザ層が、強制更新フラグのオン値をもとに、画像制御部212に対して480p(または480i)の映像フォーマット特定情報を通知し、ディスプレイコントローラ220が、特定された映像フォーマットで画像出力を行う。映像フォーマット情報更新部132による映像フォーマット特定情報の強制更新処理は、強制更新フラグのオン値をもとに任意のタイミングで実行されてもよく、たとえばゲーム用OSのカーネル層またはユーザ層の起動後に実行されてもよい。なお、映像フォーマットを480pに変更した後、映像フォーマット設定部122により映像フォーマットが新たに設定される場合には、強制的に設定された480pの映像フォーマット特定情報が映像フォーマット情報保持部142に上書きされることなく、新たに設定された映像フォーマット特定情報が映像フォーマット情報保持部142に上書きされるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例にかかるゲームシステムの使用環境を示す図である。
【図2】ゲーム装置の機能ブロックを示す図である。
【図3】OS階層を示す図である。
【図4】メインコントローラおよび出力処理部の内部構成を示す図である。
【図5】(a)は、コントローラが未接続状態にあるときの画面を示す図であり、(b)は、言語選択画面を示す図である。
【図6】(a)は、HDMIを検出したことを通知する画面を示す図であり、(b)は、画像信号の出力を切替中であることを通知する画面を示す図である。
【図7】(a)は、自動的に出力解像度を設定することをユーザに問い合わせる画面を示す図であり、(b)は、解像度変更中であることを示す図である。
【図8】(a)は、自動設定された映像フォーマットを通知する画面を示す図であり、(b)は、映像フォーマットの設定後に実行される初期設定画面を示す図である。
【図9】(a)は、本体設定の設定画面を示す図であり、(b)は、優先起動システムの設定画面を示す図である。
【図10】優先起動OSの設定解除動作のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1・・・ゲームシステム、10・・・ゲーム装置、12・・・表示機器、20・・・電源ボタン、32・・・メディアドライブ、34・・・ハードディスクドライブ、36・・・スイッチ、40・・・ゲームコントローラ、50・・・メディア、100・・・メインコントローラ、102・・・メインメモリ、104・・・入力受付部、106・・・長押し操作検出部、110・・・HDMI制御部、112・・・属性要求部、114・・・属性取得部、120・・・設定部、122・・・映像フォーマット設定部、124・・・OS設定部、130・・・更新部、132・・・映像フォーマット情報更新部、134・・・OS情報更新部、140・・・フラッシュメモリ、142・・・映像フォーマット情報保持部、144・・・OS情報保持部、146・・・映像フォーマット順位保持部、148・・・ブートローダ保持部、150・・・実行処理部、152・・・OS実行部、154・・・アプリケーション処理部、160・・・メモリコントローラ、162・・・ローカルメモリ、200・・・出力処理部、210・・・画像出力部、212・・・画像制御部、218・・・フレームメモリ、220・・・ディスプレイコントローラ、230・・・音声出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの表示機器に接続して、表示機器に映像を表示する情報処理装置であって、
複数の映像フォーマットの順位を保持しているフォーマット順位保持部と、
前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する映像フォーマット設定部と、
設定された映像フォーマットで画像信号を前記表示機器に出力する出力処理部と、
接続している表示機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得する取得部と、を備え、
前記出力処理部は、前記取得部により映像フォーマット情報が取得されるまでは最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力し、
前記取得部により映像フォーマット情報が取得されると、前記映像フォーマット設定部は、前記フォーマット順位保持部に保持されている順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定し、前記出力処理部は、設定された映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力処理部は、当該情報処理装置の初回起動時またはシステムリセットにより当該情報処理装置における解像度の設定値が工場出荷時の状態に戻されたときに、前記取得部により映像フォーマット情報を取得するまでは、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、接続しているHDMI(High Definition Multimedia Interface)機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
少なくとも1つの表示機器に接続して、表示機器に映像を表示する方法であって、
複数の映像フォーマットの順位をメモリに保持するステップと、
表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定するステップと、
設定した映像フォーマットで画像信号を表示機器に出力するステップと、
接続している表示機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得するステップと、を備え、
映像フォーマット情報が取得されるまでは、前記出力ステップが、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力し、
映像フォーマット情報が取得されると、前記映像フォーマット設定ステップが、映像フォーマットの順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定し、前記出力ステップが、設定された映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする映像表示方法。
【請求項5】
表示機器に画像信号を出力するコンピュータに、
複数の映像フォーマットの順位をメモリに保持する機能と、
表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する機能と、
設定した映像フォーマットで画像信号を表示機器に出力する機能と、
接続している表示機器が表示可能な映像フォーマット情報を取得する機能とを、実現させ、
前記画像信号の出力機能は、映像フォーマット情報が取得されるまでは、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力し、
前記映像フォーマットの設定機能は、映像フォーマット情報が取得されると、映像フォーマットの順位を参照して、取得した映像フォーマット情報のなかで最も高い順位付けがされている映像フォーマットを設定して、表示機器に画像信号を出力する機能を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
表示機器に映像を表示する情報処理装置であって、
ユーザからの操作入力が行われる入力部と、
前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する映像フォーマット設定部と、
設定された映像フォーマットを特定する情報を保持する映像フォーマット情報保持部と、
前記映像フォーマット情報保持部に保持された映像フォーマット特定情報にしたがって、画像信号を前記表示機器に出力する出力処理部と、
前記入力部に対して所定の操作入力が行われたことを検出する検出部と、を備え、
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記出力処理部は、所定の映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記出力処理部は、最も解像度の低い映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記映像フォーマット情報保持部に保持された映像フォーマット特定情報を、所定の映像フォーマットを特定する映像フォーマット特定情報に更新する映像フォーマット情報更新部をさらに備え、
前記出力処理部は、更新された映像フォーマット特定情報で画像信号を出力することを特徴とする請求項6または7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記映像フォーマット情報更新部は、前記映像フォーマット情報保持部に保持された映像フォーマット特定情報を、最も解像度の低い映像フォーマットを特定する映像フォーマット特定情報に更新することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
当該情報処理装置は、複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を搭載したものであって、
複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定するOS設定部と、
設定されたOSを特定する情報を保持するOS情報保持部と、
前記OS情報保持部に保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させるOS実行部と、を備え、
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行部は、所定のOSを実行させることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS情報保持部に保持されたOS特定情報を、前記所定のOSを特定するOS特定情報に更新するOS情報更新部をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を搭載した情報処理装置であって、
ユーザからの操作入力が行われる入力部と、
複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定するOS設定部と、
設定されたOSを特定する情報を保持するOS情報保持部と、
前記OS情報保持部に保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させるOS実行部と、
前記入力部に対して所定の操作入力が行われたことを検出する検出部と、を備え、
前記検出部により所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行部は、所定のOSを実行させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
前記入力部は、電源オンまたは電源オフする電源ボタンであって、
前記検出部は、前記電源ボタンが所定時間押下されたことを検出することを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
表示機器に映像を表示する方法であって、
ユーザからの操作入力を受け付けるステップと、
前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定するステップと、
設定された映像フォーマットを特定する情報をメモリに保持するステップと、
メモリに保持された映像フォーマット特定情報にしたがって、画像信号を前記表示機器に出力するステップと、
所定の操作入力が行われたことを検出するステップと、を備え、
所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記出力ステップは、所定の映像フォーマットで画像信号を出力することを特徴とする映像表示方法。
【請求項15】
表示機器に画像信号を出力するコンピュータに、
ユーザからの操作入力を受け付ける機能と、
前記表示機器の画面に出力する映像の映像フォーマットを設定する機能と、
設定された映像フォーマットを特定する情報をメモリに保持する機能と、
メモリに保持された映像フォーマット特定情報にしたがって、画像信号を前記表示機器に出力する機能と、
所定の操作入力が行われたことを検出する機能と、を実現させ、
所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記画像信号の出力機能は、所定の映像フォーマットで画像信号を出力することで、表示機器に画像信号を出力させるためのプログラム。
【請求項16】
アプリケーションを実行するために、複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を選択的に切り替えて、OSを実行させる方法であって、
ユーザからの操作入力を受け付けるステップと、
複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定するステップと、
設定されたOSを特定する情報をメモリに保持するステップと、
メモリに保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させるステップと、
所定の操作入力が行われたことを検出するステップと、を備え、
所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行ステップは、所定のOSを実行させることを特徴とするOS実行方法。
【請求項17】
アプリケーションを実行するために、複数のオペレーティングシステム(以下「OS」)を選択的に切り替えて、OSを実行するコンピュータに、
ユーザからの操作入力を受け付ける機能と、
複数のOSのうち、アプリケーションを実行するOSを設定する機能と、
設定されたOSを特定する情報をメモリに保持する機能と、
メモリに保持されたOS特定情報で特定されるOSを実行させる機能と、
所定の操作入力が行われたことを検出する機能と、を実現させ、
所定の操作入力が行われたことが検出された場合に、前記OS実行機能は、所定のOSを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−104131(P2008−104131A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305428(P2006−305428)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】