説明

情報処理装置およびその制御方法

【課題】 相互に接続された機器の機能を組合せた複合機能をユーザが容易に指示できるように提示し、使い勝手のよいユーザインタフェースを提供する。
【解決手段】 ネットワークに接続されている複数の機器の機能情報を取得する機能情報取得手段と、
前記機能情報取得手段によって取得された機能情報を予め定められた機能単位で分類する分類手段と、
前記機能ごとに分類された機能情報を多くとも1つずつ取り出し、該取り出された機能情報に基づいて前記複数の機器において処理を実行させるためのタスクオブジェクトを生成する複合機能生成手段と、
前記複合機能生成手段によって生成されたタスクオブジェクトを提示する提示手段とを有し、
前記提示手段によって提示されたタスクオブジェクトのうち、ユーザによって指示されたタスクオブジェクトに基づいて、前記タスクオブジェクトに含まれるタスクの実行対象機器に対して対応する情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に接続された複数の機器間で、各機器の機能を複合して利用する情報処理装置およびその制御方法、並びに前記制御方法を記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置から接続された他の機器の機能を操作するものとして、例えばホストコンピュータからネットワーク上のプリンタや複写機を制御するなどが実現されている。これは、ホストコンピュータ搭載の専用アプリケーションを使用して行うものである。しかしながら、このような従来技術においては、ネットワーク上の2つ以上の機器を連動させた複合機能を利用する場合には、ユーザはあらかじめ個々の機器の機能と設定を理解していることが前提となっていた。
【0003】
こうした問題を解決するものとして、インターネットを介して、予め定義された機能単位に基づいて機器情報を取得して、ユーザが指定する条件に適した機器を検索して提示するネットワークシステム及び統合インタフェース仕様がある。
【0004】
また、接続されている機器より取得した情報に基づいてシステム構成をアイコン表示し、これを組み合わせて指示することにより複合機能を設定し実行させる技術が開示されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2000−293467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の先行技術においては、ユーザによる条件入力が必要であり、各機器に関する知識のあるユーザを想定したものであった。
【0006】
また、複合機能の利用にあたり、各機器が単機能である場合には機器=機能として考えることができたが、複数の機能をもつ場合にはより複雑な指示操作が必要になってくる、という問題がある。
【0007】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ネットワークに接続された機器の機能の組み合わせに基づいて、ユーザの操作時点において実行可能な単一機能および複合機能をユーザに提示することである。またその際に、ユーザが機器の機能や固有の設定に関する知識を有していなくても容易に理解し指示できるように、わかり易く表示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこれらの課題を解決するために、ネットワークに接続されている複数の機器の機能情報を取得する機能情報取得手段と、前記機能情報取得手段によって取得された機能情報を予め定められた機能単位で分類する分類手段と、前記機能ごとに分類された機能情報を多くとも1つずつ取り出し、該取り出された機能情報に基づいて前記複数の機器において処理を実行させるためのタスクオブジェクトを生成する生成手段と、前記生成手段によって生成されたタスクオブジェクトを提示する提示手段と、前記提示手段によって提示されたタスクオブジェクトのうち、ユーザによって指示されたタスクオブジェクトに基づいて、前記タスクオブジェクトに含まれるタスクの実行対象機器に対して機能の実行命令を出力する出力手段を有することを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ネットワークに接続された機器の機能を組み合わせて、ユーザ操作時において実行可能な機能をユーザに提示することにより、複数機器の連携操作における操作性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本実施の形態で述べる「タスク」とは、ユーザの指示により、連携して動作するネットワーク機器上の一つまたは複数の機能の一括した処理単位を指すものである。
【0011】
また、「タスクオブジェクト」とは、前記タスクを組合せたデータに付された名前であり、これに基づいて、メニュー表示を行ったり、各タスクの実行対象機器に対する命令を出力する際に参照されるものである。この定義の下に、以下に詳細な説明を行う。
【0012】
(第1の実施形態) 図1は本発明の実施形態によるネットワークシステムの概要を示す図である。
【0013】
図1において、本実施の形態のネットワークシステムは、情報処理装置101、スキャナ102、プリンタ103、デジタル複写機104、アプリケーションサーバ105、デジタルカメラ106がLANなどのネットワーク107に接続された構成となっている。
【0014】
なお本実施の形態は図示の構成に限定されるものではなく、たとえば、情報処理装置は他の機器と一体に構成されていてもよいし、機器とネットワークの接続は無線によるものであってもよい。
【0015】
図2は本発明の実施形態による情報処理装置101の概要を示す図である。
【0016】
図2において、バス204を通じて、表示部201、指示部202、CPU205、メモリ206、ネットワークインタフェース部203が接続されている。各部の制御はCPU205が行う。さらに、CPU205には、ネットワークデータを読み書き可能なメモリ206に記憶されているアプリケーションプログラムに基づいてCPU205が動作処理することによりソフトウェア的に実現される機能である、機能情報取得部208、複合機能生成部209がある。複合機能生成部207により生成された機能(後述するタスクオブジェクト)は、表示部201によりユーザに提示され、指示部202により選択指示されると、CPU205により出力された機能の実行命令がネットワークインタフェース部203を通じて他の接続機器に送信される。
【0017】
情報処理装置101は、ネットワークインタフェース部204を介して、ネットワーク107に接続されており、メモリ206上に無いデータの入出力および他機器への機能実行命令の送受信はネットワークインタフェース部203を通じてやりとりされる。
【0018】
なお本実施の形態は、図示の構成に限定されるものではなく、たとえば、表示部201、指示部202はタッチパネルとして一体に構成されていてもよい。また、機器本体に内蔵されるものであってもよい。この場合、たとえばデジタル複写機104に内蔵されている場合、表示部201は操作パネルであり、指示部202は、操作キーおよびタッチパネルを兼ねる操作パネルである。
【0019】
図3は本発明の実施の形態において、デジタル機器がネットワークで接続された他のデジタル機器より機能を取得してタスクを生成し、ユーザに対して提示し、そしてユーザが選択した処理を実行する動作処理フローチャートを示すものである。
【0020】
図3のS302において、情報処理装置101の起動中(S301において「No」の場合)に、ネットワークインタフェース部207が、他の機器の接続を検出すると、S303において、図2の情報処理装置の機能情報取得部207が、検出された機器の機能情報を取得する。
【0021】
次にS304において、複合機能生成部208によって複合機能生成処理が実行される。具体的には、取得された機能情報に基づいてタスクオブジェクトを生成し、階層化してタスクオブジェクトを表示部201の表示画面上において提示するためのメニューを生成する。
【0022】
メニューは、ユーザインタフェース画面において表示されるメニュー名またはアイコンとそれぞれ関連付けられている。次にS305において、表示更新処理が実行される。具体的には、表示部201に、現在ネットワーク上に接続された機器の機能に応じたユーザインタフェース画面が提供される。
【0023】
次にS306において、ユーザ操作による入力としてタスク編集操作の指示を受付けると、S312に進み、タスク編集処理を起動し、タスク編集画面を表示して所定の処理を行い、S305の処理に戻る。S301において、システム終了の指示を受けた場合にはシステムを終了する。
【0024】
S306において、ユーザ操作による入力がタスク編集操作の指示で無い場合には、S307に進み、さらに操作入力内容を判断してユーザ操作による入力がタスク指示である場合には、S308に進む。S308において、タスクの処理対象となる入力データが既に指定済であるかどうか判断し、未指定の場合には、S309に進み、データ選択画面を表示してユーザによるデータ選択がなされるまで待機する。一方、S308において、データ指定済と判断されると、S310に進む。S310において、タスクの実行対象となる機器を設定するための機器設定処理を実行する。次にS306において、指示されたタスクオブジェクトに含まれるタスクを実行するための機能実行処理命令を各実行対象機器に対して順次出力する。
【0025】
例えば、デジタル複写機104の操作パネルを通じて、S308で指定されたデータをデジタルカメラ106に表示するよう指示するタスクであったとすると、データをスキャンまたはネットワーク上から取得して、デジタルカメラで表示可能なデータ形式で保存して送信する命令をデジタル複写機104に送信する。処理が完了すると、S306の処理に戻る。
【0026】
図9は、図3のS303における機能情報の取得処理を示す情報処理装置101の動作処理フローチャートである。
【0027】
図9において、まずS901において現在検知されている機器の機能情報を取得する。例えば、図4に示すとおり、デジタル複写機104からは機能情報104a(例えば、スキャナ機能、コピー機能、印刷機能、データの保存機能、保存データの呼出し機能、Fax送信機能、e−mail送信機能、編集(マージ)機能)が取得され、デジタルカメラ106aからは機能情報106a(例えば、撮影機能、撮影画像の表示機能、撮影画像の一覧表示機能、撮影画像の保存機能、撮影画像の削除機能、動画撮影機能、ボイスメモ機能)が取得される。次にS902において、取得された機能情報と機能単位定義テーブルに基づいて機能オブジェクトを生成し、続いて、S903において、生成された機能オブジェクトを参照し各機能オブジェクトごとに対応する機器情報を関連づけた機能オブジェクトテーブル501を生成して処理を終了する。
【0028】
なお、機能単位定義テーブルとは、例えば図4の機能単位定義テーブル403に示すとおり、機器の機能が本実施の形態における機能単位のいずれに属するかを予め定義したテーブルであり、機器情報としての機能名と機能単位を関連づけて記述したものである。ここで参照される機能定義テーブルは、情報処理装置101内部に存在してもよいし、接続される機器の内部にあってもよいが、本実施の形態では情報処理装置101内部に存在するものとする。
【0029】
図10は、図3のS304における複合機能生成処理を示す情報処理装置101の動作処理フローチャートである。
【0030】
まずS1001においてメモリ上の一時的なリストであるtmp1,tmp2,tmp3を初期化する。次にS1002において、処理対象としてS903において生成した機能オブジェクトテーブル501の機能オブジェクトを参照する。そしてS1003において、図4に示すような機能単位分類テーブル401を参照して機能オブジェクトテーブル501の機能オブジェクトを機能単位として、情報の「入力」機能、情報の「出力」機能、情報の「加工」機能のいずれかに分類する。
【0031】
S1004において、ある機能オブジェクトが情報の「入力」機能と判断された場合には、S1005に進み、機能オブジェクトをtmp1にスタックする。同様に、S1004において、ある機能オブジェクトが情報の「出力」機能と判断された場合には、S1006においてtmp2にスタックし、ある機能オブジェクトが情報の「加工」機能と判断された場合には、S1007においてtmp3にスタックする。それぞれS1008に進み、機能オブジェクトテーブル501上の機能オブジェクトの分類対象を一つ進めて、S1003の処理に戻る。
【0032】
S1003において、機能オブジェクトテーブル501の全ての機能オブジェクトに対して分類が完了したら、S1009に進み、メモリ上に既存のタスクオブジェクトリストが存在するか検索し、既存のタスクオブジェクトリストが存在しない場合には、S1010に進み、タスクオブジェクトリストを生成し、全ての機能オブジェクトからなるタスクオブジェクトと、tmp1,tmp2の全組合せパターンからなるタスクオブジェクトと、tmp1,tmp2,tmp3の全組合せパターンからなるタスクオブジェクトを、タスクオブジェクトリストに追加する。すなわち、tmp1,tmp2,tmp3のそれぞれから多くとも1つずつ取り出し、処理順序として「入力」機能→「加工」機能→「出力」機能の順序でタスクオブジェクトを生成する。
【0033】
S1009において、既存のタスクオブジェクトリストが存在する場合には、S1011に進み、全ての機能オブジェクトからなるタスクオブジェクトと、tmp1とtmp2の全組合せパターンからなるタスクオブジェクトと、tmp1,tmp2,tmp3の全組合せパターンからなるタスクオブジェクトのうち、既存のタスクオブジェクトリストとの差分のタスクオブジェクトだけをタスクオブジェクトリストに追加する。このタスクオブジェクトリストの例を、図5の502に示す。
【0034】
次にS1012において、タスクオブジェクトリストを参照して、図5に示すようなタスクリスト503を作成する。その際、各機能単位の分類「入力」「出力」「加工」を最上位の階層とし、機能オブジェクトテーブル501の各機能オブジェクト「Scan」,「Retrieve」などをその次の階層とする。そして、各タスクオブジェクトリスト502の各タスクオブジェクトを各機能オブジェクトの下位の階層として振り分ける。
【0035】
その振り分け方として、本実施の形態の特徴的な部分であるが、各タスクオブジェクトに含まれる機能オブジェクトの全てにタスクオブジェクトを振り分ける。例えば、タスクオブジェクトが「Scan&Merge/Bind&Print」であった場合には、機能オブジェクト「Scan」,「Merge/Bind」,「Print」の下位の階層にタスクオブジェクト「Scan&Merge/Bind&Print」をそれぞれ振り分ける。
【0036】
この階層化されたタスクリスト503を参照して、対応するタスクメニューやタスクアイコンなどのGUI(グラフィックユーザインタフェース)を表示部201に表示する。この例を図6に示す。
【0037】
図6は、タスク提示手段の一例として、本実施形態において表示されるユーザインタフェース画面のうち、タスクメニューを階層表示した場合の画面の状態を説明するものである。ここで表示画面上で提示されるタスクメニューは、タスクオブジェクトに関連付けられてメモリ上に存在する表示の為のデータである。
【0038】
図6において、タスクメニュー表示画面は、機能単位分類に基づくタスクカテゴリ表示601、タスク選択・指示のための操作部602、当該タスクの下位の階層を呼び出して表示させるための操作部603で構成されている。メニュー604は、操作部603を指示した場合に表示されるメニューの例である。タスクオブジェクトは、該タスクオブジェクトに含まれる機能情報に対応する機能単位にそれぞれ配置される。すなわち、タスクオブジェクトが複数の機能オブジェクトを複合したものである場合には、タスクオブジェクト名が各機能オブジェクトに対応する機能単位の分類に重複して配置されることになる。
【0039】
図11は、図3のS309選択処理を示す情報処理装置101の動作処理フローチャートである。まず、S1101において図8に示すようなデータ選択画面を表示する。そして、S1102において、ユーザ操作によりデータが選択されると、S1103において、対応するダイアログを表示して必要な情報を取得し、処理を終了する。
【0040】
図8は、本実施形態において表示されるユーザインタフェース画面のうち、ユーザに提示するデータ選択画面の例を示すものである。図8において、データ選択用ユーザインタフェース画面801は、領域8011に本実施の形態のネットワークシステム上の何処かに蓄積されているデータを指し示すアイコンを表示している。
【0041】
画面802は、ユーザにより前記データの一つまたは複数が指示された場合の、801から遷移した画面の状態を示すものであり、データ指定時のメニュー提示方法の一例を示している。802においては、現在選択中のデータより、メニュー8021が当該データと関連して表示され、ユーザはその項目を指示することで当該データを動作対象としたタスクの実施を指示することができる。
【0042】
例えば、図6に示すメニュー604より、タスク「Scan&Print」が指示された場合には、S308において、「Scan」の対象となるデータをユーザに選択させる必要があると判断し、続いてS309において、図8に示すような処理対象のデータ選択用ユーザインタフェースを提示する。
【0043】
図12は、図3のS310定処理を示す情報処理装置101の動作処理フローチャートである。まず、S1201において、タスクオブジェクトリスト502に存在するタスクオブジェクトを先頭から読込み、読み込まれたタスクオブジェクトに含まれる機能オブジェクトを取得する。次にS1202において、入力機能だけでなく、出力機能または加工機能に分類される機能オブジェクトがタスクオブジェクトに存在する場合は、S1203に進み、図5に示す機能オブジェクトテーブル501を参照し、機能オブジェクトを実行可能な機器情報を取得する。例えば、タスクオブジェクト「Scan&Print」のうち、「Print」が「出力」機能に分類されるので、S1203において機能オブジェクトテーブルより「Print」に対応する機器情報を取得する。
【0044】
次にS1204において、機器情報より実行可能な機器が複数あると判断された場合には、S1206に進み、図7に示すような現在選択可能な機器の一覧を表示しユーザの指示を待ち、ユーザ指示により機器を確定すると処理を抜けてS1206に進む。
【0045】
S1204において、実行可能機器が単一である場合、または、S1205において実行対象機器が確定すると、S1206において、機器固有の設定が存在するかどうか判断し、存在する場合には、S1207において、ダイアログ表示処理を起動して必要なダイアログを表示しユーザの入力を促す。ユーザ操作により、ダイアログ表示処理を終了すると、S1208の処理に進む。例えば、「Print」に対応する機器はデジタル複写機104だけであるので、S1205の処理は省略し、S1206において、デジタル複写機104に固有の設定が必要とされるので、デジタル複写機104固有の設定ダイアログを表示し、ユーザの入力を促す。
【0046】
S1208において、次の機能オブジェクトを取得すると、S1202の処理に戻り、各機能オブジェクトに対する設定が完了するまでS1203以降の処理を繰り返す。S1202において、機能オブジェクトがなくなったら処理を終了する。
【0047】
なお、図12の処理において、例えば、ユーザが操作している情報処理装置101本体が、プリンタを備えたデジタル複写機と一体的に構成されるものであった場合には「Print」機能の対象機器はその一体的に構成されたデジタル複写機であり、自明のものとしてユーザに対象機器を選択させる必要がないと判断してよい。
【0048】
また別の例として、ユーザに操作されている情報処理装置がスキャナを備えたデジタル複写機と一体に構成されるものであり、該指示がなされた時点で該スキャナに原稿が置かれている場合があげられる。
【0049】
それではこれから、図3のフローチャートに基づいて具体的なユーザ操作の流れを説明する。
【0050】
まず図1に示すように、本実施の形態のネットワークシステムとして、複数のデジタル機器がネットワークによって接続されているとする。
【0051】
図1において、デジタル複写機104には、図2の104aに示すような機能情報(例えば、スキャナ機能、コピー機能、印刷機能、データの保存機能、保存データの呼出し機能、Fax送信機能、e−mail送信機能、編集(マージ)機能があり、接続された機器から参照することができる。機能情報は、デジタル複写機104において、予めメモリに書き込まれているものであってもよいし、定義ファイルの形で格納されていてもよい。
【0052】
またさらに、デジタル複写機104本体では、機能情報という形でデータが存在していない場合においても、接続された他方の機器が、デジタル複写機104の機能を参照して必要な機能情報を取得することは技術的に可能である。図1における各機器についても同様にして機能情報があるものとする。
【0053】
さて、各機器がネットワークに接続されると、S302において、ネットワークに接続されている機器間でそれぞれ他の機器を検出し、S303において、機能情報取得部208により機器の機能情報が取得され、続くS304で、取得された機能情報に基づいて複合機能生成部209によりタスクオブジェクトが生成される。以上の、機能情報取得部208および複合機能生成部209による処理は、本発明による情報処理装置が予め各デジタル機器に内蔵または接続されている場合に、それぞれの機器でそれぞれ処理されるものである。
【0054】
なお、本発明による機能が適用されていない機器については、他の機器から参照されて機能情報を取得され、受け取った機能命令を実行するだけであるが、これは従来の一般的なPC(パーソナルコンピュータ)と周辺機器の関係と同じであるため詳細な説明は省略する。
【0055】
続いて、以降の処理については、デジタル複写機104を例にとって具体的に説明する。
【0056】
S303において、機能情報取得部208が各機器の機能情報を取得すると、図5の501に示すような機能オブジェクトテーブルがメモリ206に生成される。
【0057】
次にS304において複合機能生成手段が起動されると、S1001で複合機能生成部209が、機能オブジェクトテーブルを参照してタスクオブジェクトを生成し、図5の502に示すようなタスクオブジェクトリストがメモリに格納され、さらにS1012で複合機能生成部209がタスクオブジェクトリストを参照して、503に示すような階層構成のタスクリストを生成する。
【0058】
次に、S305において、CPU205が、階層化されたタスクリスト503を参照して、メモリ206に格納されているデータのうち、タスクリストに対応するタスクメニューやタスクアイコンなどのGUI(グラフィックユーザインタフェース)を表示部201に出力し、図6に示すような操作画面がユーザに提示される。
【0059】
デジタル複写機104の操作パネルである表示部201の画面に、図6の601のような操作画面が表示されているとき、ユーザが操作部603を指示すると、604に示すようなメニューが、601の画面上に重ねて表示され、604のメニューのうち1つをユーザが選択決定すると、入力信号がCPU205に送られ、S307でタスク指示操作と判断される。
【0060】
ここで、ユーザが操作部603の[Print]およびメニュー604の[>>Shoot/Rec&Print]を選択したものとすると、ユーザ操作によるタスク指示に基づいて、CPU205によりタスクオブジェクトShoot/Rec&Printが決定される。さらにS308において、タスク実行の対象となるデータが既に指定されているかどうかをCPU205が判断するが、ここでは現在のタスクオブジェクトがShoot/Rec&Printであり、データはデジタルカメラ106により撮影され生成されるものであるので、S308でデータ指定済と判断され、S310において機器設定手段が起動される。
【0061】
次に、S1201以降の処理で現在選択されているタスクオブジェクトShoot/Rec&Printに基づいて、タスクの実行対象となる機器を、機能情報取得部208により取得済みの機器情報に基づいてCPU205が判断し設定する。
【0062】
S1204において、Shoot/Recに対する実行可能機器として、デジタルカメラ106が、同様にして、Printに対する実行可能機器としては、現在ユーザが操作しているデジタル複写機104と、プリンタ103が該当することになるが、デジタルカメラ106で生成される入力画像に対して最適な出力先を取得済みの機器情報より判断した結果、デジタル複写機104を設定する。
【0063】
続いて、S306において、CPU205が出力したタスクオブジェクトShoot/Rec&Printに含まれる全てのタスクを実行するための機能実行命令が、ネットワークI/F部203を通してデジタルカメラ106とデジタル複写機104に対して送信される。
【0064】
その結果、デジタルカメラ106で撮像機能が実行され、これにより生成された画像を入力データとして、デジタル複写機104で印刷機能が実行される。すなわち、ユーザは、デジタル複写機104からネットワークで接続されたデジタルカメラ106を操作して撮影した画像を、デジタル複写機104で印刷する、という操作が実現される。
【0065】
以上説明した通り、本発明によれば、ネットワークに接続された機器の機能を組み合わせて、ユーザ操作時において実行可能な機能をユーザが容易に指示できるように提示することができる。これにより、使い勝手のよいユーザインタフェースを提供し、複数機器の連携操作における操作性を向上することができる。
【0066】
またさらなる効果として、メニューの提示方法において、本発明における分類によるデータ構成によれば、一つのタスクを構成する全ての機能のうちいずれの機能においても提示することができる。つまりこの結果、ユーザは所望の機能を実行する為のタスクを、情報の入力機能、または情報の出力機能、または情報の加工機能のいずれの観点からも容易に見出すことでき、目的の処理を指示することが容易になる。さらに、その際にユーザに提示されるタスクとしては重複を許すが、内部的には、1つのタスクオブジェクトを参照することによってこれを実現しているので、あらかじめ重複する複数のメニューをメモリ上にもっておく必要がない、という効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るの実施形態によるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明に係るの実施形態における情報処理装置の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る実施形態において情報処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る実施形態において取得される機能情報と、参照される機能単位分類および機能単位定義の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る実施形態において生成される機能オブジェクトと、タスクオブジェクトと、タスクリストの一例を示す図である。
【図6】本発明に係る実施形態において表示されるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
【図7】本発明に係る実施形態において提示される対象機器選択用ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図8】本発明に係る実施形態において提示されるデータ選択用ユーザインタフェースの一例を示す図である。
【図9】本発明に係る実施形態における機能情報取得処理フローチャート。
【図10】本発明に係る実施形態における複合機能生成処理の流れを示す図である。
【図11】本発明に係る実施形態におけるデータ選択処理の流れを示す図である。
【図12】本発明に係る実施形態における機器設定処理の流れを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されている複数の機器の機能情報を取得する機能情報取得手段と、
前記機能情報取得手段によって取得された機能情報を予め定められた機能単位で分類する分類手段と、
前記機能ごとに分類された機能情報を多くとも1つずつ取り出し、該取り出された機能情報に基づいて前記複数の機器において処理を実行させるためのタスクオブジェクトを生成する複合機能生成手段と、
前記複合機能生成手段によって生成されたタスクオブジェクトを提示する提示手段とを有し、
前記提示手段によって提示されたタスクオブジェクトのうち、ユーザによって指示されたタスクオブジェクトに基づいて、前記タスクオブジェクトに含まれるタスクの実行対象機器に対して対応する機能の実行命令を出力する機能実行命令を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複合機能生成手段は、予め定められた前記機能単位の処理順序に基づいてタスクオブジェクトを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複合機能生成手段は、情報の入力機能,情報の加工機能,情報の出力機能の単位で分類される単体機能およびそれらの複合機能によって構成され、情報の入力機能、情報の加工機能、情報の出力機能の順番で処理されるタスクオブジェクトを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記提示手段は、タスクオブジェクトに含まれる機能情報に対応する機能単位にそれぞれ前記タスクオブジェクトを配置することにより提示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークに接続された情報処理装置の制御方法であって、
前記ネットワークに接続されている複数の機器の機能情報を取得する機能情報取得ステップと、
前記取得された機能情報を予め定められた機能単位で分類する分類ステップと、
前記機能ごとに分類された機能情報を多くとも1つ取り出し、該取り出された機能情報に基づいて前記複数の機器において処理を実行させるためのタスクオブジェクトを生成する生成ステップと、
前記生成されたタスクオブジェクトを提示する提示ステップと、
前記提示されたタスクオブジェクトのうち、ユーザによって指示されたタスクオブジェクトに基づいて、前記タスクオブジェクトに含まれるタスクの実行対象機器に対して機能の実行命令を出力する出力ステップとを有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法を実行するためのプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−190088(P2006−190088A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1527(P2005−1527)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】