説明

情報処理装置および自動トレイ選択プログラム

【課題】印刷動作を停止することなく、印刷ジョブに設定された条件により近い条件で印刷を実行することができる情報処理装置および自動トレイ選択プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、画像形成装置2に設けられた複数のトレイ20A〜20Dの使用可否状態を監視するトレイ状態監視手段10Bと、トレイ状態監視手段10Bが監視するトレイ20A〜20Bの状態が変化したとき、トレイ状態監視手段10Bによって使用可能状態にあると判断されたトレイに関し、予め定めた優先順位に基づいて使用するトレイを選択するトレイ動作制御手段10Aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および自動トレイ選択プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷ジョブの実行中、選択したトレイに用紙がなくなったとき、予め定められた優先度に基づいて他のトレイに切り替える情報処理装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1の情報処理装置は、それぞれ異なる用紙が入れられた複数のトレイと、印刷ジョブを処理する印刷ジョブ処理回路と、印刷ジョブ処理回路が処理した印刷ジョブに指定された用紙のトレイを選択するトレイ属性制御回路と、印刷ジョブ処理回路が処理した印刷ジョブを実行する印刷制御回路とを有し、トレイ属性制御回路は、印刷ジョブに指定された用紙のトレイに入れられた用紙を使い切ると、予め定められた優先度に基づいて他のトレイに切り替えるため、利用者の意に反して印刷待ちの状態で印刷制御回路の動作を停止させることなく印刷を実行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−199577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、印刷動作を停止することなく、印刷ジョブに設定された条件により近い条件で印刷を実行することができる情報処理装置および自動トレイ選択プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]画像形成装置に設けられた複数のトレイの使用可否状態を監視するトレイ状態監視手段と、前記トレイ状態監視手段が監視する前記トレイの状態が変化したとき、前記トレイ状態監視手段によって前記複数のトレイから使用可能状態にあると判断されたトレイに関し、予め定めた優先順位に基づいて使用するトレイを選択するトレイ動作制御手段とを有する情報処理装置。
【0007】
[2]前記トレイ動作制御手段は、前記優先順位の高いトレイを選択するか否かを予め定められた条件に基づいて決定する前記[1]に記載の情報処理装置。
【0008】
[3]前記トレイ動作制御手段は、前記優先順位の高いトレイを複数選択できるとき、利用者の選択に基づいて使用するトレイを決定する前記[1]に記載の情報処理装置。
【0009】
[4]トレイ動作制御手段は、前記使用するトレイを選択するとき、予め定めた期間の後に前記使用するトレイを選択する前記[1]に記載の情報処理装置。
【0010】
[5]コンピュータに、画像形成装置に設けられた複数のトレイの使用可否状態を監視するトレイ状態監視機能と、前記トレイ状態監視機能が監視する前記トレイの状態が変化したとき、前記トレイ状態監視機能によって前記複数のトレイから使用可能状態にあると判断されたトレイに関し、予め定めた優先順位に基づいて使用するトレイを選択するトレイ動作制御機能とを実現させるための自動トレイ選択プログラム。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は5に係る発明によれば、印刷動作を停止することなく、使用可能なトレイのうち設定された優先度に基づいてトレイを選択して印刷を実行することができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、トレイ動作制御手段の動作の実行可否を利用者が選択できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、使用可能なトレイが複数あるとき、使用するトレイを利用者が選択できる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、トレイ動作制御手段の動作のタイミングを利用者が設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略図である。
【図3A】本発明の実施の形態に係る自動トレイ選択設定情報の構成例を示す概略図である。
【図3B】本発明の実施の形態に係る拡張自動トレイ選択設定情報の構成例を示す概略図である。
【図3C】本発明の実施の形態に係るトレイ状態情報の構成例を示す概略図である。
【図3D】本発明の実施の形態に係るジョブ状態情報の構成例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置及び各トレイの動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(画像形成システムの構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す概略図である。
【0017】
画像形成システム100は、後述する画像形成装置2を制御する情報処理装置1と、用紙に対して印刷を実行する画像形成装置2とをネットワーク3によって接続して構成される。
【0018】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)やHDD(Hard Disc Drive)等の電子部品により構成されて情報を処理する本体1Aと、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等により構成されて画像を表示する表示部1Bとを有する。
【0019】
画像形成装置2は、それぞれ異なる用紙を装置内に供給する複数のトレイ20A〜20Dを有し、装置内の印刷機構を使用することで印刷を実行し印刷物200を出力する。
【0020】
なお、情報処理装置1は、画像形成装置2に内蔵される構成であってもよい。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示す概略図である。
【0022】
情報処理装置1は、CPU等から構成され各部を制御するとともに各種のプログラムを実行する制御部10と、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク3を介して外部と通信する通信部12とを有する。また、情報処理装置1は、表示部1Bに接続されて映像を表示する。
【0023】
制御部10は、後述する拡張自動トレイ選択プログラム11Aを実行することで、トレイ動作制御手段10Aと、トレイ情報監視手段10Bと、ジョブ情報監視手段10Cとを動作させる。
【0024】
トレイ動作制御手段10Aは、画像形成装置2が使用するトレイ20A〜20Dの選択、切替等の動作を実行する。トレイ情報監視手段10Bは、トレイ20A〜20Dそれぞれに入れられた用紙の内容及び残量等の状態を監視する。ジョブ情報監視手段10Cは、画像形成装置2に対して実行要求のあった印刷ジョブの処理状況等を監視する。
【0025】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段として動作させる拡張自動トレイ選択プログラム11Aと、あるトレイが使用不可になったときにいずれのトレイを使用するか選択する自動トレイ選択の設定情報としての自動トレイ選択設定情報11Bと、自動トレイ選択を実行後に元のトレイが使用可能となったときに元のトレイに戻る拡張自動トレイ選択の設定情報としての拡張自動トレイ選択設定情報11Cと、トレイ20A〜20Dのそれぞれに入れられた用紙の内容及び残量等の状態を示すトレイ状態情報11Dと、画像形成装置2において実行されている印刷ジョブの進行状態を示すジョブ状態情報11Eとを記憶する。
【0026】
通信部12は、画像形成装置2と通信するとともに、図示しない情報処理装置等と通信して印刷ジョブを受信する。
【0027】
図3Aは、本発明の実施の形態に係る自動トレイ選択設定情報の構成例を示す概略図である。
【0028】
自動トレイ選択設定情報11Bは、画像形成装置2に設けられたトレイをそれぞれ示すトレイと、あるトレイの用紙がなくなったときに他のトレイを選択する順番を示す優先順位とを有する。なお、自動トレイ選択設定情報11Bは、印刷ジョブに使用する用紙の仕様ごとに設定される。例えば、ある印刷ジョブでA4サイズの用紙を使用するときで、トレイAにA4、トレイBにB5、トレイCにA3、トレイDにA4の再生紙が入ってるときは、トレイAが優先順位1、トレイDが優先順位4というように定められる。
【0029】
図3Bは、本発明の実施の形態に係る拡張自動トレイ選択設定情報の構成例を示す概略図である。
【0030】
拡張自動トレイ選択設定情報11Cは、拡張自動トレイ選択を実行するか否かを示す実行可否と、拡張自動トレイ選択を実行する際に利用可能なトレイを優先順位に関わらず利用者が選択できるか否かを示す利用者選択可否と、元のトレイが再び利用可能となった後に拡張自動トレイ選択を実行するタイミングを示す実行タイミングとを有する。
【0031】
図3Cは、本発明の実施の形態に係るトレイ状態情報の構成例を示す概略図である。
【0032】
トレイ状態情報11Dは、画像形成装置2に設けられたトレイをそれぞれ示すトレイと、各トレイに用紙が用意されているか(Ready)否か(Empty)を示す状態と、各トレイに入れられた用紙のサイズ、坪量、紙質等の詳細を示す用紙とを有する。
【0033】
図3Dは、本発明の実施の形態に係るジョブ状態情報の構成例を示す概略図である。
【0034】
ジョブ状態情報11Eは、画像形成装置2において実行される印刷ジョブの名前を示すジョブ名と、印刷ジョブの1部あたりのページ数を示すページ数と、印刷ジョブの部数を示す部数と、印刷ジョブが実行前か実行中か実行後かを示す状態と、現在の印刷ジョブの進行状況を示す進行とを有する。
【0035】
(動作)
以下に、本発明の一実施の形態における画像形成システムの動作を各図を参照しつつ説明する。
【0036】
まず、利用者は情報処理装置1に接続された図示しない外部のパーソナルコンピュータ等から印刷を所望する文書を印刷処理する。印刷処理の結果、情報処理装置1に対して印刷ジョブが入力され、印刷ジョブは、画像形成装置2ににおいて処理される。
【0037】
また、利用者は、情報処理装置1において自動トレイ選択及び拡張自動トレイ選択に関する設定を行う。設定により自動トレイ選択設定情報11B及び拡張自動トレイ選択設定情報11Cを書き換える。
【0038】
画像形成装置2において使用されるトレイ20A〜20Dは、以下に説明する動作のように、情報処理装置1の拡張自動トレイ選択プログラム11Aによって自動で選択される。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置及び各トレイの動作例を示すタイミングチャートである。
【0040】
まず、情報処理装置1は、印刷ジョブを入力されると画像形成装置2において印刷ジョブの処理を開始する(S10)。また、トレイ状態監視手段10Bは、ステップS10と同時にトレイ20A〜20Dの状態を監視し、例えば、それぞれ使用可能状態(Ready)であることを確認する(S30、S50、S70、S90)。次に、トレイ動作制御手段10Aは、自動トレイ選択設定情報11B及び拡張自動トレイ選択設定情報11Cを参照し、印刷ジョブに対して使用するトレイの優先順位や拡張自動トレイ選択の可否等を確認する(S11)。
【0041】
次に、トレイ動作制御手段10Aは、図3Aに示す自動トレイ選択設定情報11Bに基づきトレイ20Aに対してトレイ動作制御を送信し(S12)、トレイ20Aは使用を開始される(S31)。やがてトレイ20Aの用紙が使い切られて空の状態(Empty)になると(S31)、トレイ状態監視手段10Bは、トレイ20Aの状態を受信して(S13)、図3Aに示す自動トレイ選択設定情報11Bに基づいて2番目の優先順位のトレイ20Bに対してトレイ動作制御を送信し(S14)、トレイ20Bは使用を開始される(S51)。やがてトレイ20Bの用紙が使い切られて空の状態(Empty)になると(S52)、トレイ状態監視手段10Bは、トレイ20Bの状態を受信して(S15)、図3Aに示す自動トレイ選択設定情報11Bに基づいて3番目の優先順位のトレイ20Cに対してトレイ動作制御を送信し(S16)、トレイ20Cは使用を開始される(S71)。
【0042】
トレイ20Cの使用中に、トレイ20Bに用紙が供給されて再び使用可能状態(Ready)になると(S53)、トレイ状態監視手段10Bは、トレイ20Bの状態を受信して(S17)、図3Bに示す拡張自動トレイ選択設定情報の実行可否が「可」、及び実行タイミングが「n枚出力後」であることに基づいて、ステップS17のタイミングからトレイ20Cにおいてn枚出力された後、トレイ動作制御を送信し(S18)、トレイ20CにおいてステップS17からn枚出力の後、使用を停止する(S72)。次に、トレイ動作制御手段10Aは、トレイ20Bに対してトレイ動作制御を送信し(S19)、トレイ20Bは、使用を開始される(S54)。
【0043】
また、トレイ20Bの使用中に、トレイ20Aに用紙が供給されて再び使用可能状態(Ready)になると(S33)、トレイ状態監視手段10Bは、トレイ20Aの状態を受信して(S20)、ステップS20のタイミングからトレイ20Bおいてn枚出力された後、トレイ動作制御を送信し(S21)、トレイ20BにおいてステップS20からn枚出力の後、使用を停止する(S55)。次に、トレイ動作制御手段10Aは、トレイ20Aに対してトレイ動作制御を送信し(S22)、トレイ20Aは、使用を開始される(S34)。
【0044】
以上の動作は、ジョブ情報監視手段10Cによって画像形成装置2の印刷ジョブがすべて完了するまで行われる。
【0045】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。例えば、トレイ20A〜20Dの紙が使い切られた状態(Empty)に限らず、使用中のトレイが故障等により使用不可能な状態(Error)等に変化した場合にも本発明を適用して、優先順位に基づいて他のトレイに切り替えてもよい。また、トレイに優先順位を設ける以外に、用紙属性、例えば、サイズ、坪量、色等に優先順位を設けて、優先順位の高い同一の用紙属性を有する用紙を収容するトレイを選択する構成としてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態で使用されるトレイ動作制御手段10Aと、トレイ情報監視手段10Bと、ジョブ情報監視手段10Cとは、CD−ROM等の記憶媒体から装置内の記憶部に読み込んでも良く、インターネット等のネットワークに接続されているサーバ装置等から装置内の記憶部にダウンロードしてもよい。また、上記実施の形態で使用される手段の一部または全部をASIC等のハードウェアによって実現してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…情報処理装置、1A…本体、1B…表示部、2…画像形成装置、3…ネットワーク、10…制御部、10A…トレイ動作制御手段、10B…トレイ状態監視手段、10C…ジョブ情報監視手段、11…記憶部、11A…拡張自動トレイ選択プログラム、11B…自動トレイ選択設定情報、11C…拡張自動トレイ選択設定情報、11D…トレイ状態情報、11E…ジョブ状態情報、12…通信部、20A-20D…トレイ、100…画像形成システム、200…印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に設けられた複数のトレイの使用可否状態を監視するトレイ状態監視手段と、
前記トレイ状態監視手段が監視する前記トレイの状態が変化したとき、前記トレイ状態監視手段によって前記複数のトレイから使用可能状態にあると判断されたトレイに関し、予め定めた優先順位に基づいて使用するトレイを選択するトレイ動作制御手段とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記トレイ動作制御手段は、前記優先順位の高いトレイを選択するか否かを予め定められた条件に基づいて決定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記トレイ動作制御手段は、前記優先順位の高いトレイを複数選択できるとき、利用者の選択に基づいて使用するトレイを決定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
トレイ動作制御手段は、前記使用するトレイを選択するとき、予め定めた期間の後に前記使用するトレイを選択する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータに、
画像形成装置に設けられた複数のトレイの使用可否状態を監視するトレイ状態監視機能と、
前記トレイ状態監視機能が監視する前記トレイの状態が変化したとき、前記トレイ状態監視機能によって前記複数のトレイから使用可能状態にあると判断されたトレイに関し、予め定めた優先順位に基づいて使用するトレイを選択するトレイ動作制御機能とを実現させるための自動トレイ選択プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−198163(P2010−198163A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40428(P2009−40428)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】