説明

情報処理装置および設定情報登録方法

【課題】ネットワークを介して設定情報を受信した場合にスリープ状態から復帰してしまう時間を短時間に抑えることにより、スリープ状態を長期化して消費電力を低減する。
【解決手段】情報処理装置2は、ネットワークを介して設定情報D1を受信すると、その設定情報D1を一時的に記憶する。このとき、設定情報D1の重要度を判別することにより、設定情報D1を登録する際の優先順位を決定すると共に、その設定情報D1の登録処理に要する登録時間を算出しておく。そしてスリープ状態から復帰して所定の処理を実行するときに、その処理の実行に要する処理時間を算出し、その処理時間と、予め算出しておいた登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報D1を優先順位に基づいて登録対象として選択し、その処理が行われている間に、登録対象として選択された設定情報D1の登録処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および設定情報登録方法に関し、特にネットワークを介して受信する設定情報を情報処理装置に反映させるための登録処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される情報処理装置は、操作パネルに設けられたスタートキーがユーザによって押下された場合、それに伴ってユーザによって指定されたジョブ(例えばコピージョブなど)を実行する。またネットワークを介して外部のコンピュータなどからジョブ(例えばプリントジョブ)を受信すると、その受信したジョブを実行する。このような情報処理装置は、操作パネルに対する操作が行われず、しかもネットワークからのデータの受信がない状態で所定時間が経過した場合、通常の通電モードである動作状態から省電力モードであるスリープ状態に移行させるものが存在する。
【0003】
例えば、従来、情報処理装置がスリープ状態であるときに、外部装置からデータ処理要求を受信した場合、その要求されたデータ処理の内容に応じてサブ電源の通電制御を行うことにより、必要最小限の機器に対して適切なタイミングで通電を行うようにする技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
また、従来、スリープ状態のときの省電力効果を高めるため、ネットワーク接続されている通信デバイスのパケットを常時監視し、外部の通信デバイスからアクセスがあると、スリープ状態からの復帰の判断を行うと共に、エンジン制御部の復帰の判断を行うものが知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−208822号公報
【特許文献2】特開2007−144877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ネットワークを介して情報処理装置とデータ通信可能なコンピュータには、種々のアプリケーションプログラムがインストールされており、その中には、例えば情報処理装置に登録されている設定情報を遠隔操作で設定変更するアプリケーションプログラムも存在する。外部のコンピュータにおいて、そのようなアプリケーションプログラムが実行され、スリープ状態の情報処理装置に対し、設定変更を行うための設定情報が送信されることがある。この場合、情報処理装置は、設定情報を受信することに伴ってスリープ状態から復帰して動作状態となり、受信した設定情報の登録処理を実行する。
【0007】
しかしながら、情報処理装置がネットワークを介して設定情報を受信する都度、スリープ状態から復帰して登録処理を行うと、その登録処理には一定の処理時間を要するため、省電力モードであるスリープ状態を長時間継続させることができなくなる。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、ネットワークを介して設定情報を受信した場合にスリープ状態から復帰してしまう時間を短時間に抑えることにより、スリープ状態を長期化して消費電力を低減できるようにした情報処理装置および設定情報登録方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、情報処理装置であって、ネットワークを介して設定情報を受信する通信手段と、前記通信手段によって受信される設定情報を記憶する記憶手段と、前記通信手段によって受信される設定情報の重要度を判別することにより当該設定情報を登録する際の優先順位を決定する順位決定手段と、前記通信手段によって受信される設定情報に基づいて当該設定情報の登録処理に要する登録時間を算出する登録時間算出手段と、スリープ状態から復帰して所定の処理を実行するときに当該処理の実行に要する処理時間を算出する処理時間算出手段と、前記処理時間算出手段によって算出される処理時間と、前記登録時間算出手段によって算出される登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報を前記順位決定手段によって決定された優先順位に基づいて登録対象として選択する登録対象選択手段と、前記登録対象選択手段により選択された設定情報を前記記憶手段から読み出し、前記所定の処理が行われている間に当該設定情報の登録処理を実行する設定情報登録手段と、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記順位決定手段は、設定情報の種類と重要度とを対応付けた重要度判定テーブルを保持しており、前記通信手段によって受信される設定情報の重要度を、前記重要度判定テーブルを参照することによって判別し、優先順位を決定することを特徴とする構成である。
【0011】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記順位決定手段によって保持される重要度判定テーブルを設定する重要度設定手段をさらに備え、前記重要度設定手段は、前記設定情報登録手段によって過去に登録処理が行われた頻度の高い設定情報の種類から順に、高い重要度を対応付けて重要度判定テーブルを設定することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項4にかかる発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記順位決定手段によって保持される重要度判定テーブルを設定する重要度設定手段をさらに備え、前記重要度設定手段は、ユーザによって予め設定される設定情報の種類と重要度との対応付けに基づいて重要度判定テーブルを設定することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置において、前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、前記処理時間算出手段は、スリープ状態から復帰して印刷処理が実行されるときに印刷処理で用いられる定着器の温度をセンシングすることにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする構成である。
【0014】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置において、前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、前記処理時間算出手段は、印刷処理の実行に伴って画像のガンマ特性を検出することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項7にかかる発明は、情報処理装置においてネットワークを介して受信する設定情報に基づいて登録処理を行う設定情報登録方法であって、(a) ネットワークを介して設定情報を受信するステップと、(b) 受信された設定情報を記憶するステップと、(c) 受信された設定情報の重要度を判別することにより当該設定情報を登録する際の優先順位を決定するステップと、(d) 受信された設定情報に基づいて当該設定情報の登録処理に要する登録時間を算出するステップと、(e) スリープ状態から復帰して所定の処理を実行するときに当該処理の実行に要する処理時間を算出するステップと、(f) 前記ステップ(e)によって算出される処理時間と、前記ステップ(d)によって算出される登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報を前記優先順位に基づいて登録対象として選択するステップと、(g) 前記ステップ(f)により選択された設定情報を読み出し、前記所定の処理が行われている間に当該設定情報の登録処理を実行するステップと、を有することを特徴とする構成である。
【0016】
請求項8にかかる発明は、請求項7に記載の設定情報登録方法において、前記ステップ(c)は、設定情報の種類と重要度とが予め対応付けられた重要度判定テーブルに基づいて、受信された設定情報の重要度に対応する優先順位を決定することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項9にかかる発明は、請求項7又は8に記載の設定情報登録方法において、前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、前記ステップ(e)は、スリープ状態から復帰して印刷処理が実行されるときに印刷処理で用いられる定着器の温度をセンシングすることにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする構成である。
【0018】
請求項10にかかる発明は、請求項7又は8に記載の設定情報登録方法において、前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、前記ステップ(e)は、印刷処理の実行に伴って画像のガンマ特性を検出することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ネットワークを介して設定情報を受信した場合、スリープ状態から復帰してしまう時間を短時間に抑えることができるようになる。また設定情報に基づく登録処理は、所定の処理が行われている間に、登録時間がその処理時間よりも短い設定情報であって、優先順位の高い設定情報から優先的に登録するようになっている。そのため、登録処理それ自体のためにスリープ状態に復帰することはなく、スリープ状態を長期化して消費電力を低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】情報処理システムの一構成例を示す図である。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】制御部の機能構成の一例を示す図である。
【図4】設定情報登録処理部の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図5】重要度判定テーブルの一例を示す図である。
【図6】順位決定部によって2次記憶部に記憶される情報を示す図である。
【図7】2次記憶部に格納される設定情報と優先順位情報とのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】定着器の温度と処理時間との関係を示す図である。
【図9】ガンマ特性検出部によって検出されたガンマ特性の基準値からの乖離度と処理時間との関係を示す図である。
【図10】設定情報登録部によって設定情報の登録処理が行われる場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図11】設定情報登録部によって複数の設定情報の登録処理が行われる場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図12】設定情報登録部によって設定情報の登録処理が行われない場合のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図13】設定情報登録処理部が設定情報を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】設定情報登録処理部が起動情報を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態である情報処理システム1の一構成例を示す図である。この情報処理システム1は、デジタル複合機やMFP(Multi Function Peripheral)などと称される情報処理装置2と、コンピュータ3とが、LANやインターネットなどのネットワーク4に接続された構成である。尚、図例ではコンピュータ3が1台の場合を示しているが、複数台のコンピュータ3がネットワーク4に接続されていても良い。
【0023】
情報処理装置2は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、FAX機能などの複数の機能を有しており、それら各機能に対応するジョブを実行する。ただし、情報処理装置2は、必ずしも複数の機能を備えていないものであっても良く、コピー機、スキャナ、プリンタ、又は、FAX装置などの単機能装置であっても構わない。
【0024】
情報処理装置2は、ユーザが操作する際のユーザインタフェースとなる操作パネル13を備えている。この操作パネル13に設けられたスタートキーがユーザによって押下された場合、情報処理装置2は、それに伴い、ユーザによって指定されたジョブ(例えばコピージョブなど)を実行する。また情報処理装置2は、ネットワーク4を介して外部のコンピュータ3などからジョブ(例えばプリントジョブ)を受信すると、その受信したジョブを実行する。
【0025】
このような情報処理装置2は、操作パネル13に対する操作が行われず、しかもネットワーク4からのデータの受信がない状態になると所定のタイミングで、通常の通電モードである動作状態から省電力モードであるスリープ状態に移行させることにより、消費電力を抑制するようになっている。
【0026】
コンピュータ3は、例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、ネットワーク4を介して情報処理装置2とデータ通信可能である。このコンピュータ3は、例えば情報処理装置2を管理するユーザ(管理者)によって操作されるコンピュータである。このコンピュータ3には、種々のプログラムがインストールされており、その中には、例えば情報処理装置に登録されている設定情報を遠隔操作で設定変更するためのアプリケーションプログラムが含まれている。管理者であるユーザが、コンピュータ3においてそのアプリケーションプログラムを実行させると、情報処理装置2が各種のジョブを実行する際に適用する様々な設定情報を入力することができると共に、情報処理装置2に対してその設定情報を送信することができるようになる。
【0027】
情報処理装置2は、上記のようにしてコンピュータ3から送信される様々な設定情報を、ネットワーク4を介して受信する。そして、その受信した設定情報に基づいて装置内の各部に対して登録処理を行う。このような設定情報には、様々な種類の情報がある。その一例を挙げると、設定情報には、例えば情報処理装置2のネットワークアドレス(IPアドレスなど)を設定又は変更するためのアドレス情報、情報処理装置2を使用するユーザのユーザ名や所属グループなどを登録するためのユーザ情報、情報処理装置2を使用するユーザを認証するための認証情報、ユーザ毎に又はグループ毎に設定される出力枚数の上限値、操作パネル13のカスタマイズ情報、FAX送信時又はスキャン送信時の送信宛先情報、ユーザ毎に情報処理装置2を使用する際の機能を制限するための機能制限情報、印刷出力時などに合成して出力するための画像であるスタンプ情報、などが含まれる。情報処理装置2は、このような設定情報の登録処理を行う際、その設定情報の種類に応じてデータ量などが異なるため、登録処理に要する登録時間が異なることとなる。つまり、比較的短時間で登録処理が終了する設定情報もあれば、登録処理に比較的長時間を要する設定情報も存在する。例えば、操作パネル13のカスタマイズ情報や、スタンプ情報などは、ビットマップデータの画像情報を含むことがあるため、データ量が比較的大きく、登録処理に比較的長時間を要する設定情報である。
【0028】
情報処理装置2は、スリープ状態のときに、このような設定情報を受信すると、一時的にスリープ状態から動作状態に復帰し、その受信した設定情報を記憶してスリープ状態へと戻る。つまり、本実施形態では、情報処理装置2がスリープ状態のときに設定情報を受信すると、その設定情報の登録処理を開始するのではなく、その受信した設定情報の種類を判別するための一定の処理だけを行っておき、受信した設定情報を一時的に記憶しておく。そしてその後、情報処理装置2においてジョブの実行に伴う処理やその他の処理が行われるタイミングで、その処理が行われている間に、一時的に記憶しておいた設定情報の登録処理を行うことが可能であるか否かを判断し、可能である場合に登録処理を行うように構成される。以下、このような情報処理装置2について詳しく説明する。
【0029】
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この情報処理装置2は、制御部10と、操作パネル13と、記憶装置14と、スキャナ部18と、プリンタ部20と、FAX部24と、通信インタフェース27とを備え、これらがデータバス29を介して相互にデータの入出力を行うことができる構成である。
【0030】
制御部10は、CPU11とメモリ12とを備えている。CPU11は、プログラム15に基づいて各種の処理を実行するものである。メモリ12は、CPU11が各種の処理を実行する際に一時的なデータなどを記憶するためのものである。
【0031】
操作パネル13は、ユーザに対して各種情報を表示するための表示部13aと、ユーザが各種操作を行うための操作部13bとを備えている。表示部13aは、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成される。操作部13bは、例えば、表示部13aの表示画面上に配置されたタッチパネルキーと、表示部13aの表示画面の周囲に配置された押しボタンキーとによって構成される。
【0032】
記憶装置14は、ハードディスク装置などで構成される不揮発性記憶手段である。この記憶装置14には、情報処理装置2への電源投入に伴ってCPU11により自動的に読み出されて実行されるプログラム15が記憶されている。CPU11は、このプログラムを実行することにより、後述する各処理部として機能する。また記憶装置14には、ネットワーク4を介して受信される設定情報を一時的に記憶するための設定情報記憶領域16を有している。さらに、記憶装置14には、設定情報の登録処理によって一部の設定情報が登録される設定登録情報17が記憶されている。
【0033】
スキャナ部18は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するためのものであり、例えばコピージョブやスキャンジョブ、FAX送信ジョブなどが実行されるときに動作する。このスキャナ部18は、図示を省略しているが、画像を読み取るための画像読取部や、画像読取部の読み取り位置に対して原稿を1枚ずつ搬送する自動原稿搬送装置(いわゆるADF)などの公知の部材を備えている。そしてスキャナ部18は、それら各部の動作を制御するためのスキャナ制御部19を備えている。
【0034】
プリンタ部20は、入力する画像データに基づいて印刷出力を行うためのものであり、例えばコピージョブやプリントジョブ、FAX受信ジョブなどが実行されるときに動作する。プリンタ部20は、例えば電子写真方式によって印刷出力を行うものであり、トナー像を中間転写ベルトに1次転写し、中間転写ベルトに転写されたトナー像を出力用紙に2次転写することによって印刷出力を行うように構成されている。
【0035】
プリンタ部20は、このような印刷出力を行う際に各部の動作を制御するための印刷制御部21を備えている。また、プリンタ部20は、トナー像が転写された出力用紙に加熱処理および加圧処理を施すことによりトナー像を出力用紙に定着させる定着器22を有している。印刷制御部21は、この定着器22の温度を検出するようになっており、印刷出力を行う際に定着器22の表面温度が所定温度以下であれば、所定温度となるまで定着器22のウォームアップを行う。そしてウォームアップが完了した後に、上述した印刷出力のための動作を開始する。
【0036】
またプリンタ部20は、中間転写ベルトに転写されたトナー像(画像)のガンマ特性を検出するガンマ特性検出部23を備えている。印刷制御部21は、例えば印刷出力を開始する際、中間転写ベルトにテスト用のトナー像を転写させ、ガンマ特性検出部23によって検出されるガンマ特性を取得する。そして、その取得したガンマ特性が所定の基準値となるガンマ特性と一定量以上乖離していれば、印刷出力を開始する前にガンマ特性を補正するためのキャリブレーションを実行する。そしてキャリブレーションが終了した後に、印刷出力を開始する。
【0037】
FAX部24は、図示しない公衆電話回線などに接続されており、ファックスデータの送受信を行うためのものである。このFAX部24は、情報処理装置2においてFAX送信ジョブ又はFAX受信ジョブが実行されるときに動作する。このFAX部24は、ファックスデータの送信処理を行う送信制御部25と、ファックスデータの受信処理を行う受信制御部26とを備えている。
【0038】
さらに通信インタフェース27は、ネットワーク4に接続してデータの送受信を行うためのものである。この通信インタフェース27には、通信制御部28が設けられており、ネットワーク4を流通する情報のうち、情報処理装置2が送信宛先に指定された情報を取得する。情報処理装置2がスリープ状態のときでも、この通信制御部28はネットワーク4を流れる情報を監視している。そして通信制御部28は、情報処理装置2が送信宛先に指定された情報を取得すると、情報処理装置2は省電力モードであるスリープ状態から通常の通電モードである動作状態に切り替わる。
【0039】
通信制御部28は、ネットワーク4を介して情報を受信すると、その情報を判別し、一部の情報を除いて制御部10に出力する。例えば、ネットワーク4を介して受信した情報が、管理者であるユーザのコンピュータ3から送信された設定情報である場合、通信制御部28はその受信した設定情報を制御部10に出力する。また、ネットワーク4を介して受信した情報が、ジョブの実行を指示するコマンドや画像データなどである場合、通信制御部28はその受信した情報を制御部10に出力する。これに対し、例えばネットワーク4を介して受信した情報が、導通確認などを行うために外部の装置から送信されるpingコマンドである場合、通信制御部28は、そのコマンドを制御部10に出力することなく、そのpingコマンドに対する応答信号を生成して送信元の装置に送信する。
【0040】
図3は、制御部10の機能構成の一例を示す図である。制御部10は、CPU11が上述したプログラム15を実行することにより、設定情報登録処理部30、エンジン制御部31、および、電力状態制御部32として機能する。設定情報登録処理部30は、通信制御部28が設定情報を受信した場合に、その受信した設定情報の登録処理を行う処理部である。エンジン制御部31は、情報処理装置2においてジョブを実行する際に、スキャナ部18、プリンタ部20、FAX部24、および通信インタフェース27の各部を連携させるための統括的な制御を行うものであり、必要に応じてスキャナ制御部19、印刷制御部21、送信制御部25、受信制御部26および通信制御部28のそれぞれに駆動指令などを送出する。電力状態制御部32は、情報処理装置2への電源が投入された後、操作パネル13に対する操作が行われず、しかもネットワーク4からのデータの受信がない状態になると所定のタイミングで、通常の通電モードである動作状態から省電力モードであるスリープ状態に移行させる制御部である。また、電力状態制御部32は、情報処理装置2がスリープ状態のときに、通信制御部28がネットワーク4を介して情報を受信した場合、或いは、操作パネル13の操作部13bに対する操作を検知した場合、スリープ状態から復帰して通常の通電モードである動作状態に戻す制御を行う。
【0041】
本実施形態では、制御部10において、これら設定情報登録処理部30、エンジン制御部31、および、電力状態制御部32が相互に必要な情報のやり取りを行うことができるようになっている。特に、情報処理装置2がスリープ状態から動作状態に復帰することにより、情報処理装置2においてジョブが実行されるとき、又は、通信制御部28においてpingコマンドに対する応答信号が送信されるとき、設定情報登録処理部30は、スリープ状態からの復帰によってどのような処理が行われるかが示された起動情報を、エンジン制御部31又は通信制御部28から受信するようになっている。また設定情報登録処理部30は、スキャナ制御部19、印刷制御部21、送信制御部25および受信制御部26のそれぞれからもジョブの実行に伴って行われる各種処理の内容などを示す起動情報を受信することが可能である。
【0042】
図4は、設定情報登録処理部30の詳細な構成の一例を示すブロック図である。設定情報登録処理部30は、設定情報受信部41と、順位決定部42と、登録時間算出部44と、重要度設定部45と、起動情報受信部46と、処理時間算出部47と、登録対象選択部48と、設定情報登録部49とを備えている。また、記憶装置14の設定情報記憶領域16には、受信した設定情報D1を1次記憶するための1次記憶部16aと、2次記憶するための2次記憶部16bとが設けられている。
【0043】
情報処理装置2がスリープ状態のとき、通信制御部28においてコンピュータ3から送信された設定情報D1が受信されると、設定情報登録処理部30は、設定情報受信部41と、順位決定部42と、登録時間算出部44との3つの処理部を機能させることにより、受信された設定情報D1を、設定情報記憶領域16の1次記憶部16aを経て、2次記憶部16bへと記憶させる。
【0044】
また情報処理装置2がスリープ状態から復帰してジョブの実行やpingコマンドに対する応答信号の送信などの所定の処理が行われるとき、設定情報登録処理部30は、起動情報受信部46と、処理時間算出部47と、登録対象選択部48と、設定情報登録部49との4つの処理部を機能させることにより、その所定の処理が行われる間に、2次記憶部16bに記憶されている設定情報D1の登録処理を実行する。
【0045】
また重要度設定部45は、順位決定部42によって保持される重要度判定テーブル43を設定するための処理部である。
【0046】
以下、このような設定情報登録処理部30について、さらに詳しく説明する。
【0047】
設定情報受信部41は、通信制御部28によって取得された設定情報D1を受信する処理部である。設定情報受信部41は、設定情報D1を受信すると、その設定情報D1を1次記憶部16aに格納する。
【0048】
順位決定部42は、設定情報受信部41により設定情報D1の1次記憶が行われた後に機能し、1次記憶部16aに記憶された設定情報D1を読み出し、受信された設定情報D1の重要度を判別することによって、その設定情報D1を登録する際の優先順位を決定する処理部である。この順位決定部42は、設定情報D1の種類と重要度とを対応付けた重要度判定テーブル43を保持しており、設定情報D1の重要度を、その重要度判定テーブル43を参照することによって判別し、優先順位を決定する。
【0049】
図5は、重要度判定テーブル43の一例を示す図である。重要度判定テーブル43には、上述したような複数種類の設定情報D1が登録されており、設定情報D1の種類ごとに、重要度と、登録頻度とが登録されたテーブルとなっている。本実施形態の場合、重要度は、「高」、「中」、「低」の3段階となっている。ただし、重要度は3段階に限られるものではなく、2段階であっても良いし、4段階以上であっても良い。このような設定情報D1の種類ごとの重要度は、重要度設定部45によって予め設定される。例えば、重要度設定部45は、管理者であるユーザによって予め設定される設定情報D1の種類と重要度との対応付けに基づいて重要度判定テーブル43の重要度を設定する。このようにして設定される重要度判定テーブル43の重要度は、書き換え可能である。
【0050】
重要度判定テーブル43の登録頻度は、情報処理装置2において、その種類の設定情報D1が過去に登録された回数を示している。例えば、順位決定部42は、1次記憶部16aに記憶された設定情報D1を読み出して設定情報D1の種類を特定する。そして設定情報D1の重要度を判定するために重要度判定テーブル43を参照する際、順位決定部42は、その種類の設定情報D1の登録頻度を示す登録回数に1を加算して登録頻度を更新する。このような登録頻度は、重要度設定部45が重要度判定テーブル43の重要度を適宜変更するときに参照される。重要度設定部45は、重要度判定テーブル43を定期的に自動更新するようになっており、登録頻度が所定回数を越えると重要度を1段階ずつアップさせて更新する。例えば、管理者によって重要度が「低」と設定されている場合でも、その後に登録頻度が5回を越えると、それに対応する設定情報D1の重要度が「中」に更新され、さらに登録頻度が10回を越えると重要度が「高」に自動更新される。つまり、重要度設定部45は、設定情報登録処理部30によって過去に登録処理が行われた頻度の高い設定情報D1の種類から順に、高い重要度を対応付けて重要度判定テーブル43を自動的に設定変更することができるようになっている。ただし、管理者であるユーザによって、予め重要度が「高」に設定されている場合、その設定情報D1の重要度は変更されない。
【0051】
順位決定部42は、上記のようにして予め設定されている重要度判定テーブル43を参照することにより、1次記憶部16aから読み出した設定情報D1の重要度を判定し、その設定情報D1を登録する際の優先順位を決定する。この優先順位は、設定情報D1の重要度に対応した順位である。例えば、重要度が「高」の設定情報D1の場合、順位決定部42は、優先順位を「1」に設定する。また重要度が「中」の設定情報D1の場合、順位決定部42は、優先順位を「2」に決定する。さらに重要度が「低」の設定情報D1の場合、順位決定部42は、優先順位を「3」に決定する。尚、この場合、優先順位は、その数値が小さい程、優先順位が高くなる。
【0052】
上記のようにして1次記憶部16aから読み出した設定情報D1の優先順位を決定すると、順位決定部42は、その設定情報D1に対応する優先順位情報D2を生成し、2次記憶部16bに記憶する。図6は、順位決定部42によって2次記憶部16bに記憶される情報を示す図である。図6に示すように、順位決定部42は、設定情報D1と、その設定情報D1に対応する優先順位情報D2とを互いに関連付けて2次記憶部16bに格納する。
【0053】
図7は、2次記憶部16bに格納される設定情報D1と優先順位情報D2とのデータ構造の一例を示す図である。図7(a)に示すように、設定情報D1には、ヘッダ情報と、実体情報とが含まれる。設定情報D1のヘッダ情報には、例えば、コンピュータ3において付与された固有の番号などの識別情報と、日付情報とが含まれる。また設定情報D1の実体情報には、アドレス情報などの設定情報D1の実体的な情報が含まれる。一方、図7(b)に示すように、優先順位情報D2にも、ヘッダ情報と、実体情報とが含まれる。優先順位情報D2のヘッダ情報には、設定情報D1のヘッダ情報と同様に、識別情報と日付情報とが含まれる。順位決定部42は、優先順位情報D2を生成するとき、ヘッダ情報に含まれる識別情報と日付情報とを、設定情報D1の内容と同一内容に設定する。つまり、本実施形態では、2次記憶部16bに記憶される設定情報D1と優先順位情報D2とが、共通したヘッダ情報によって互いに関連付けられる。そのため、2次記憶部16bに複数の設定情報D1と、複数の優先順位情報D2とが記憶されている場合でも、それらのヘッダ情報を参照することで1対となる設定情報D1と優先順位情報D2との組み合わせを抽出することが可能である。
【0054】
また図7(b)に示すように、優先順位情報D2の実体情報には、順位決定部42によって決定される優先順位に関する情報と、それに対応する設定情報D1の登録処理を行う際に要する登録時間とが含まれる。この登録時間は、次に説明する登録時間算出部44によって算出された時間である。
【0055】
登録時間算出部44は、順位決定部42によって設定情報D1の優先順位が決定された後に機能し、その設定情報D1に基づいて設定情報D1の登録処理を行う場合、その登録処理に要する登録時間を算出する処理部である。上述したように、設定情報D1は、その種類やデータ量に応じて登録処理に要する登録時間が異なっている。そのため、登録時間算出部44は、設定情報D1の種類やデータ量に応じて予め定められた演算式に基づく演算を行うことにより、登録時間を算出する。例えば、操作パネル13のカスタマイズ情報や、スタンプ情報が比較的大容量のビットマップデータである場合、他の種類の設定情報と比較して登録時間が比較的長い時間に算出される。
【0056】
登録時間算出部44は、上記のようにして設定情報D1の登録時間を算出すると、その登録時間を2次記憶部16bに記憶されている優先順位情報D2の実体情報に追加記録する。したがって、情報処理装置2がコンピュータ3から設定情報D1を受信すると、設定情報記憶領域16の2次記憶部16bには、受信された設定情報D1と、優先順位情報D2とが互いに関連付けられた状態で記憶され、優先順位情報D2には、設定情報D1を登録する際の優先順位と、その登録処理に要する登録時間とが記録されることとなる。
【0057】
情報処理装置2がスリープ状態のときに設定情報D1が受信されると、上述したように設定情報登録処理部30において、設定情報受信部41と、順位決定部42と、登録時間算出部44との3つの処理部が機能し、受信した設定情報D1を、設定情報記憶領域16の2次記憶部16bに記憶する。そして、2次記憶部26bへの記憶が完了すると、設定情報受信時の処理が終了する。その後、設定情報登録処理部30は、電力状態制御部32に省電力モードであるスリープ状態へと戻すための指令を出力する。これにより、情報処理装置2は、2次記憶部16bへの記録処理が完了すると、直ちに再びスリープ状態へと戻る。
【0058】
次に、情報処理装置2がスリープ状態から復帰してジョブの実行やpingコマンドに対する応答信号の送信などの所定の処理が行われる場合について説明する。起動情報受信部46は、情報処理装置2においてジョブが実行されるとき、又は、通信制御部28においてpingコマンドに対する応答信号が送信されるときに、エンジン制御部31又は通信制御部28から出力される起動情報D3を受信する処理部である。また起動情報受信部46は、スキャナ制御部19、印刷制御部21、送信制御部25および受信制御部26のそれぞれからジョブの実行に伴って行われる各種処理の内容などを示す起動情報D3が出力される場合、それを受信するように構成される。
【0059】
処理時間算出部47は、起動情報受信部46によって受信される起動情報D3を解析し、スリープ状態から復帰して行われる所定の処理(ジョブの実行やpingコマンドに対する応答信号の送信などの処理)に要する処理時間を算出する処理部である。
【0060】
例えば、情報処理装置2においてプリントジョブが実行される場合、スリープ状態から復帰して行われる処理は、印刷処理である。この場合、処理時間算出部47は、起動情報D3を解析することにより、例えば印刷出力が行われるページ数などを判別し、印刷出力が開始されてから終了までに要する処理時間を算出する。
【0061】
また情報処理装置2において印刷処理が行われる場合、起動情報受信部46は、印刷制御部21から、定着器22の温度情報を含む起動情報D3や、ガンマ特性検出部23によって検出されるガンマ特性を含む起動情報D3を受信する。そして処理時間算出部47は、それらの起動情報D3に基づいて印刷出力が開始されるまでに要する処理時間として、定着器22のウォームアップに要する時間と、ガンマ特性を補正するためのキャリブレーションに要する時間とを算出する。
【0062】
図8は、定着器22の温度と処理時間との関係を示す図である。情報処理装置2において印刷処理が行われるとき、図8に示すように、定着器22の表面温度が高温であれば、ウォームアップに要する処理時間は短くなる。これに対し、定着器22の表面温度が低温であれば、ウォームアップに要する処理時間は長くなる。処理時間算出部47は、このような関係を示した特性ラインTC1を予め保持しており、印刷制御部21から受信された起動情報D3に含まれる定着器22の温度情報に基づいてウォームアップに要する処理時間を算出する。
【0063】
図9は、ガンマ特性検出部23によって検出されたガンマ特性の基準値からの乖離度と処理時間との関係を示す図である。図9に示すように、ガンマ特性検出部23によって検出されたガンマ特性と、基準となるガンマ特性(基準値)との乖離度が所定の閾値THよりも大きい場合、印刷制御部21はキャリブレーションを実行する。そのため、この場合は、キャリブレーションに要する処理時間が長くなる。一方、ガンマ特性検出部23によって検出されたガンマ特性と、基準となるガンマ特性(基準値)との乖離度が所定の閾値THよりも小さい場合、印刷制御部21はキャリブレーションを実行しない。そのため、この場合は、キャリブレーションに要する処理時間が短くなる。尚、この場合、処理時間は0としても良い。処理時間算出部47は、基準となるガンマ特性(基準値)と、図9のような関係を示した特性ラインTC2を予め保持しており、印刷制御部21から受信された起動情報D3に含まれるガンマ特性に基づいてキャリブレーションに要する処理時間を算出する。
【0064】
上記のような定着器22のウォームアップに要する処理時間、および、キャリブレーションに要する処理時間は、印刷出力が開始されるまでに要する処理時間である。そのため、処理時間算出部47は、印刷出力が開始されるまでに要する処理時間と、印刷出力が開始されてから終了までに要する処理時間とを加算することにより、印刷処理に要する処理時間を算出する。つまり、この印刷処理に要する処理時間が、プリントジョブが実行される場合においてスリープ状態から復帰して行われる全ての処理に要する処理時間に相当する。
【0065】
また処理時間算出部47は、プリントジョブ以外のジョブが実行される場合についても上記と同様の処理を行うことにより、そのジョブが実行される場合にスリープ状態から復帰して行われる全ての処理に要する処理時間を算出する。
【0066】
また処理時間算出部47は、スリープ状態から復帰して通信制御部28がpingコマンドに対する応答信号を生成して送信元の装置に送信する場合、通信制御部28から受信された起動情報D3に基づいてpingコマンドに対する応答処理であることを判別し、それに要する処理時間を算出する。尚、pingコマンドに対する応答処理は、通常、数ミリ秒といった極めて短時間で処理が終了する。
【0067】
上記のようにして処理時間算出部47により、スリープ状態から復帰して行われる処理に要する処理時間が算出されると、次に登録対象選択部48が機能する。
【0068】
登録対象選択部48は、スリープ状態から復帰して所定の処理が行われている間に、登録処理を行う設定情報D1を選択する処理部である。登録対象選択部48は、処理時間算出部47によって処理時間が算出されると、2次記憶部16bに記憶されている優先順位情報D2を読み出す。このとき、2次記憶部16bに複数の優先順位情報D2が記憶されていれば、それらを全て読み出す。そして登録対象選択部48は、処理時間算出部47によって算出された処理時間と、優先順位情報D2に記録されている登録時間算出部44によって算出された登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報D1を順位決定部42によって決定された優先順位の高い順に登録対象として選択する。つまり、登録対象選択部48は、登録時間が処理時間よりも短い設定情報D1を全て抽出し、その中から更に、処理時間の範囲内で登録可能な設定情報D1を優先順位に基づいて登録対象として選択する。このとき、同じ優先順位の設定情報D1があれば、登録時間のより短いものから順に登録対象として選択される。
【0069】
上記のような処理により、登録対象選択部48は、2次記憶部16bに記憶されている設定情報D1の中から、処理時間算出部47によって算出された処理時間の範囲内で登録可能な設定情報D1を登録対象として選択することができる。ただし、処理時間が極めて短い場合には、登録対象となる設定情報D1が選択されないこともある。また、処理時間が長い場合には、複数の設定情報D1が登録対象として選択されることもある。
【0070】
そして登録対象となる設定情報D1が選択された場合、次に設定情報登録部49が機能する。設定情報登録部49は、登録対象選択部48により選択された設定情報D1を2次記憶部16bから読み出し、ジョブの実行などの所定の処理が行われている間にその設定情報D1の登録処理を実行する処理部である。この設定情報登録部49は、ジョブの実行などの所定の処理と並行して登録処理を実行する。登録対象として選択されている設定情報D1が複数ある場合、設定情報登録部49は、それら複数の設定情報D1を順に読み出して登録処理を複数回実行する。
【0071】
設定情報登録部49が登録処理を行うことにより、例えば記憶装置14に記憶されている設定登録情報17が書き換えられる。また、この他にも、登録処理によって、スキャナ制御部19、印刷制御部21、送信制御部25、受信制御部26および通信制御部28に登録されている設定情報が書き換えられることもある。尚、登録対象選択部48によって登録対象となる設定情報D1が選択されなかった場合には、設定情報登録部49による登録処理は行われない。
【0072】
図10は、設定情報登録部49によって設定情報D1の登録処理が行われる場合のタイミングチャートの一例を示す図である。図10に示すように、本実施形態では、ジョブの実行などの処理に要する処理時間が比較的長い場合、情報処理装置2において起動情報D3に対応する処理が実行されている間に設定情報登録部49によって2次記憶部16bに記憶されていた設定情報D1の登録処理が行われる。この登録処理は、起動情報D3に対応する処理が終了するまでの間に完了する。このとき、登録処理が行われる設定情報D1は、2次記憶部16bに記憶されている設定情報D1のうちの重要度の高いものであるので、本実施形態では重要度の高い設定情報D1から優先的に登録が行われるようになっている。そして起動情報D3に対応する処理が終了した後、電力状態制御部32は、速やかに情報処理装置2の動作状態を省電力モードであるスリープ状態に戻す。
【0073】
次に図11は、設定情報登録部49によって複数の設定情報D1の登録処理が行われる場合のタイミングチャートの一例を示す図である。図11に示すように、ジョブの実行などの処理に要する処理時間が比較的長く、複数の設定情報D1を登録することが可能な場合、情報処理装置2において起動情報D3に対応する処理が実行されている間に設定情報登録部49によって2次記憶部16bに記憶されていた複数の設定情報D1の登録処理が順に行われる。図例の場合は、2回の登録処理が繰り返し行われる場合を示しているが、3回以上の登録処理が可能な場合もあり、その場合は3回以上の登録処理が繰り返し行われる。このような複数回の登録処理は、起動情報D3に対応する処理が終了するまでの間に完了する。このときもまた、登録処理が行われる複数の設定情報D1は、2次記憶部16bに記憶されている設定情報D1のうちから、重要度の高い順に選択されたものであるので、この例でも重要度の高い設定情報D1から優先的に登録が行われるようになっている。そして起動情報D3に対応する処理が終了した後、電力状態制御部32は、速やかに情報処理装置2の動作状態を省電力モードであるスリープ状態に戻す。
【0074】
次に図12は、設定情報登録部49によって設定情報D1の登録処理が行われない場合のタイミングチャートの一例を示す図である。図12に示すように、本実施形態では、起動情報D3に対応する処理の実行に要する処理時間が比較的短く、その間に登録処理を行うことが可能な設定情報D1が2次記憶されていない場合、情報処理装置2においてその起動情報D3に対応する処理が実行されている間でも、設定情報D1の登録処理が行わない。例えば、pingコマンドに対する応答信号を送信する処理などは上述したように数ミリ秒程度で終了してしまうため、その間に登録処理を開始してしまうと、登録処理が終了するタイミングの方が遅くなる。そのため、このような場合には、設定情報D1の登録処理は行わないようにしている。そして起動情報D3に対応する処理が終了した後、電力状態制御部32は、速やかに情報処理装置2の動作状態を省電力モードであるスリープ状態に戻す。
【0075】
次に、上記のように構成された設定情報登録処理部30による処理手順について説明する。図13は、設定情報登録処理部30が設定情報を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。設定情報登録処理部30は、設定情報D1を受信すると、その設定情報D1を1次記憶部16aに1次記憶する(ステップS10)。そして設定情報登録処理部30は、1次記憶された設定情報D1の重要度を、予め設定されている重要度判定テーブル43に基づいて判定し(ステップS11)、その設定情報D1を登録する際の優先順位を決定する(ステップS12)。そして優先順位情報D2を生成し(ステップS13)、設定情報D1と関連付けて優先順位情報D2を2次記憶部16bに2次記憶する(ステップS14)。そして、設定情報登録処理部30は、その設定情報D1の登録処理を行うのに要する登録時間を算出し(ステップS15)、その登録時間を優先順位情報D2に追加記録することにより、2次記憶された優先順位情報D2を更新する(ステップS16)。以上で、設定情報登録処理部30が設定情報を受信した場合に行われる処理が終了する。つまり、情報処理装置2は、コンピュータ3からネットワーク4を介して設定情報D1を受信したときには、上記のような一定の処理を行い、その受信した設定情報D1を優先順位情報D2と関連付けて2次記憶しておく。このような一連処理は、設定情報D1を受信することに伴って登録処理を完了させる場合と比較すれば、短時間で終了することが多い。そのため、情報処理装置2がスリープ状態のときに、動作状態に復帰してしまう時間を短時間に抑制することができ、その後即時にスリープ状態へ戻すことができる。
【0076】
次に、図14は、設定情報登録処理部30が起動情報D3を受信した場合に行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。設定情報登録処理部30は、起動情報D3を受信すると、2次記憶部16bに記憶されている設定情報D1が存在するか否かを判断する(ステップS20)。ここで、2次記憶された設定情報D1がない場合(ステップS20でNO)、この処理は終了する。したがって、この場合は、ジョブの実行など、起動情報D3に対応する処理の実行が単独で行われることになる。
【0077】
一方、2次記憶された設定情報D1が存在する場合(ステップS20でYES)、設定情報登録処理部30は、スリープ状態から復帰することによる起動に伴って行われる処理の処理時間を算出する(ステップS21)。例えば、ジョブの実行であれば、そのジョブの実行の準備に要する処理時間と、ジョブの実行を開始してから終了するまでの処理時間とが算出され、それらの合計時間が、その処理に要する処理時間となる。そして設定情報登録処理部30は、処理時間が所定時間以上あるか否かを判断する(ステップS22)。ここで、処理時間が所定時間未満である場合(ステップS22でNO)、この処理は終了する。したがって、この場合も、起動情報D3に対応する処理の実行が単独で行われることになる。例えば、pingコマンドに対する応答信号を送信する処理のように、極めて処理時間が短いものは、このステップS22でNOと判断され、設定情報D1の登録処理が行われることなく、この処理が終了する。
【0078】
これに対し、処理時間が所定時間以上である場合(ステップS22でYES)、設定情報登録処理部30は、2次記憶された設定情報D1に関連付けられた優先順位情報D2の中から優先順位の高いものを読み出す(ステップS23)。そして処理時間と登録時間とを比較し(ステップS24)、処理時間の範囲内で登録可能か否かを判断する(ステップS25)。ここで、登録可能と判断した場合(ステップS25でYES)、設定情報登録処理部30は、その登録可能な設定情報D1を登録対象として選択する(ステップS26)。これに対し、登録時間が処理時間よりも長く、登録可能でない場合(ステップS25でNO)、設定情報登録処理部30は、優先順位に基づいて読み出した設定情報D1は登録対象から除外する。
【0079】
そして設定情報登録処理部30は、他の設定情報D1を更に登録可能か否かを判断する(ステップS27)。ここでは、例えば、登録対象として選択した設定情報D1の登録時間を処理時間から減算した残りの時間が、上記と同様の所定時間以上であるか否かにより、他の設定情報D1の登録が可能かどうかを判断する。その結果、他の設定情報D1を登録可能な場合は(ステップS27でYES)、ステップS23に戻り、上述した処理を繰り返す。ステップS23〜S27の処理が繰り返し実行されることにより、複数の設定情報D1が登録対象として選択されることがある。また重要度の高い設定情報D1であっても、その登録時間が比較的長く、処理時間の範囲内で登録を行うことができない場合は、それよりも重要度の低い設定情報D1が登録対象として選択されることもある。
【0080】
そして他の設定情報D1を登録するのに十分な処理時間がない状態となった場合(ステップS27でNO)、設定情報登録処理部30は、ステップS26の処理で登録対象として選択された設定情報D1があるか否かを判断する(ステップS28)。ここで、登録対象が選択されていない場合(ステップS28でNO)、この処理は終了する。つまり、2次記憶された設定情報D1の中に、処理時間の範囲内で登録可能なものが存在しないことになる。一方、登録対象が選択されている場合(ステップS28でYES)、設定情報登録処理部30は、その登録対象として選択された設定情報D1を2次記憶部16bから読み出し、登録処理を実行する。このとき、複数の設定情報D1が登録対象として選択されていれば、それら複数の設定情報D1が順次に登録される。このような登録処理は、ジョブの実行など、起動情報D3に対応する処理の実行と並行して行われる。そのため、登録処理それ自体が、スリープ状態を短縮化させる要因とはならない。その後、登録処理が終了すると、設定情報登録処理部30は、2次記憶部16bから登録の完了した設定情報D1を削除する(ステップS30)。このとき、優先順位情報D2も同時に削除する。以上で、全ての処理が終了する。
【0081】
以上、説明したように本実施形態の情報処理装置2は、ネットワーク4を介して設定情報D1を受信すると、その受信した設定情報D1の重要度を判別することにより登録処理を行う際の優先順位を決定する。また設定情報D1に基づいて登録処理に要する登録時間を算出する。そして受信した設定情報D1を記憶装置14に一時的に保存しておく。その後、情報処理装置2がスリープ状態から復帰して何らかの処理が実行されるとき、情報処理装置2は、その処理の実行に要する処理時間を算出し、処理時間と、設定情報D1の登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報D1を優先順位に基づいて登録対象として選択する。そして登録対象として選択された設定情報D1を記憶装置14から読み出し、別の処理が行われている間にその設定情報D1の登録処理を実行するように構成されている。
【0082】
したがって、本実施形態では、情報処理装置2がスリープ状態のときにネットワーク4を介して設定情報D1を受信すると、スリープ状態から一時的に復帰するが、受信した設定情報D1を一時的に記憶するための処理が終了すれば、速やかにスリープ状態に戻すことが可能である。そして、一時的に記憶された設定情報D1は、情報処理装置2において、設定情報D1の登録処理とは異なる別の処理が行われるときに、優先順位に従ってその別の処理と並行して登録処理が行われる。そのため、設定情報D1の登録処理は、他の処理が行われている間に、重要なものから順に効率良く登録されるようになっている。それ故、この情報処理装置2は、スリープ状態を長期化することが可能であり、従来と比較してより一層、消費電力を低減することができるようになる。
【0083】
また、本実施形態の情報処理装置2は、順位決定部42が、設定情報D1の種類と重要度とを対応付けた重要度判定テーブル43を保持しており、受信した設定情報D1の重要度を判定する際には、重要度判定テーブル43を参照することによって効率的に優先順位を決定することができる。
【0084】
また、重要度設定部45は、設定情報登録処理部30によって過去に登録処理が行われた頻度の高い設定情報D1の種類から順に、高い重要度を対応付けて重要度判定テーブル43を設定するため、頻度の高い設定情報D1が優先的に情報処理装置2に登録されるようになる。
【0085】
また、重要度設定部45は、ユーザによって予め設定される設定情報D1の種類と重要度との対応付けに基づいて重要度判定テーブル43を設定することも可能である。そのため、ユーザは、所望の設定情報D1が優先的に登録されるように重要度判定テーブル43を予め設定しておくこともできる。
【0086】
本実施形態では、処理時間算出部47が印刷処理に要する処理時間を算出する際、スリープ状態から復帰して印刷処理が実行されるときに印刷処理で用いられる定着器22の温度を検知することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出するようにしている。また、印刷処理の実行に伴って画像のガンマ特性を検出することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することも可能である。したがって、処理時間算出部47は、印刷処理が実行されるときには、実際の印刷出力に要する処理時間だけでなく、印刷出力を開始するのに要する準備時間も考慮に入れて総合的な処理時間を算出することが可能である。それ故、処理時間算出部47によって算出される処理時間は正確なものとなり、その処理時間の間に効率良く設定情報D1を登録することができるようになる。
【0087】
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明には、上述した実施形態以外にも種々の変形例が適用可能である。
【0088】
例えば、上述した実施形態では、一例として、情報処理装置2が、デジタル複合機やMFP、或いは、コピー機、スキャナ、プリンタ、又は、FAX装置などの装置である場合を例示した。しかし、情報処理装置2は、そのような装置に限られない。例えば、情報処理装置2は、ネットワーク4に接続されたサーバ装置などであっても良い。
【符号の説明】
【0089】
1 情報処理システム
2 情報処理装置
3 コンピュータ
4 ネットワーク
10 制御部
14 記憶装置(記憶手段)
28 通信制御部(通信手段)
30 設定情報登録処理部
41 設定情報受信部
42 順位決定部(順位決定手段)
43 重要度判定テーブル
44 登録時間算出部(登録時間算出手段)
45 重要度設定部(重要度設定手段)
46 起動情報受信部
47 処理時間算出部(処理時間算出手段)
48 登録対象選択部(登録対象選択手段)
49 設定情報登録部(設定情報登録手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して設定情報を受信する通信手段と、
前記通信手段によって受信される設定情報を記憶する記憶手段と、
前記通信手段によって受信される設定情報の重要度を判別することにより当該設定情報を登録する際の優先順位を決定する順位決定手段と、
前記通信手段によって受信される設定情報に基づいて当該設定情報の登録処理に要する登録時間を算出する登録時間算出手段と、
スリープ状態から復帰して所定の処理を実行するときに当該処理の実行に要する処理時間を算出する処理時間算出手段と、
前記処理時間算出手段によって算出される処理時間と、前記登録時間算出手段によって算出される登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報を前記順位決定手段によって決定された優先順位に基づいて登録対象として選択する登録対象選択手段と、
前記登録対象選択手段により選択された設定情報を前記記憶手段から読み出し、前記所定の処理が行われている間に当該設定情報の登録処理を実行する設定情報登録手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記順位決定手段は、設定情報の種類と重要度とを対応付けた重要度判定テーブルを保持しており、前記通信手段によって受信される設定情報の重要度を、前記重要度判定テーブルを参照することによって判別し、優先順位を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記順位決定手段によって保持される重要度判定テーブルを設定する重要度設定手段をさらに備え、
前記重要度設定手段は、前記設定情報登録手段によって過去に登録処理が行われた頻度の高い設定情報の種類から順に、高い重要度を対応付けて重要度判定テーブルを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記順位決定手段によって保持される重要度判定テーブルを設定する重要度設定手段をさらに備え、
前記重要度設定手段は、ユーザによって予め設定される設定情報の種類と重要度との対応付けに基づいて重要度判定テーブルを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、
前記処理時間算出手段は、スリープ状態から復帰して印刷処理が実行されるときに印刷処理で用いられる定着器の温度をセンシングすることにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、
前記処理時間算出手段は、印刷処理の実行に伴って画像のガンマ特性を検出することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置においてネットワークを介して受信する設定情報に基づいて登録処理を行う設定情報登録方法であって、
(a) ネットワークを介して設定情報を受信するステップと、
(b) 受信された設定情報を記憶するステップと、
(c) 受信された設定情報の重要度を判別することにより当該設定情報を登録する際の優先順位を決定するステップと、
(d) 受信された設定情報に基づいて当該設定情報の登録処理に要する登録時間を算出するステップと、
(e) スリープ状態から復帰して所定の処理を実行するときに当該処理の実行に要する処理時間を算出するステップと、
(f) 前記ステップ(e)によって算出される処理時間と、前記ステップ(d)によって算出される登録時間とを比較することにより、登録時間が処理時間よりも短い設定情報を前記優先順位に基づいて登録対象として選択するステップと、
(g) 前記ステップ(f)により選択された設定情報を読み出し、前記所定の処理が行われている間に当該設定情報の登録処理を実行するステップと、
を有することを特徴とする設定情報登録方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)は、設定情報の種類と重要度とが予め対応付けられた重要度判定テーブルに基づいて、受信された設定情報の重要度に対応する優先順位を決定することを特徴とする請求項7に記載の設定情報登録方法。
【請求項9】
前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、
前記ステップ(e)は、スリープ状態から復帰して印刷処理が実行されるときに印刷処理で用いられる定着器の温度をセンシングすることにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする請求項7又は8に記載の設定情報登録方法。
【請求項10】
前記所定の処理には、印刷処理が含まれており、
前記ステップ(e)は、印刷処理の実行に伴って画像のガンマ特性を検出することにより、印刷処理の実行に要する処理時間を算出することを特徴とする請求項7又は8に記載の設定情報登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−34148(P2012−34148A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171337(P2010−171337)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】