説明

情報処理装置及びその省電力化制御方法

【課題】情報処理装置を構成する複数の演算処理部の動作中の演算処理部の数、複数の内蔵LANスイッチのネットワークトラフィック量に応じて動作する内蔵LANスイッチ数を制御することにより、省電力化を実現する。
【解決手段】情報処理装置100は、複数の演算処理部112と複数の内蔵LANスイッチ113と制御部114とを備える。制御部114は、複数の演算処理部112それぞれの起動、停止の状態、複数の内蔵LANスイッチ113それぞれの起動、停止の状態、複数の内蔵LANスイッチ113それぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した演算処理部112の動作数、内蔵LANスイッチ113の動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報に基づいて、内蔵LANスイッチの動作数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその省電力化制御方法に係り、特に、複数のシンクライアント端末に接続され、これらのシンクライアント端末から使用される情報処理装置及びその省電力化制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業等における事務処理、データ入力等の作業は、これまで据え付けられた、あるいは、過般型の1台の情報処理端末を用いて行われていたが、管理コストの削減、機密情報の流出防止、働き方の多様化(在宅勤務、事務所のフリーアドレス化)等に対応するために、データセンタに演算処理装置を集約し、データセンタ内の演算処理装置と、画面表示及び入力機器を備えた入力端末、いわゆるシンクライアント端末との2つで構成されるセンタ処理型のものを使用して行われるように変わってきつつある。また、演算処理装置のデータセンタ内への集約は、単純に演算処理装置をデータセンタ内に集約するだけでなく、複数の演算処理装置やネットワーク機器を1つの情報処理装置として、処理能力を集約し、必要な処理能力の一部を利用者に配分するという仮想化の技術が使用され始めている。
【0003】
前述したようなデータセンタ内に演算処理装置を集約して構成した情報処理装置は、入力端末と情報処理装置やデータセンタ内で情報処理装置と接続されたネットワークストレージ機器との間でのデータのやりとりが頻繁になり、ネットワーク帯域幅の大幅な確保が必要な状況となってきている。このため、演算処理装置に内蔵されている演算処理部が有している複数のネットワークインタフェースを1つとして取り扱い、全体の最大通信量を増大させるという考え方もでてきている。
【0004】
前述したようなデータセンタ内に設置される情報処理装置は、常に動作状態としておく必要があるため、それまでよりも電力消費が大きくなると言う問題が指摘されている。この問題を解決することができる従来技術として、情報処理端装置内の各種ICの動作電圧を低電圧にすることにより消費電力を下げる技術や、動作の負荷量に応じていくつかの異なる動作モードを設定し、負荷が少ないときには消費電力を押さえるモードに移行させる技術等が考えられて提案されており、また、仮想化技術により、特定の演算処理部のみが高速動作すると消費電力が大きくなるため、複数の演算処理部で一連の作業を分担して平均化することにより、電力の消費を押さえるような技術もでてきている。
【0005】
なお、データセンタ内の省電力化に関する従来技術として、例えば、特許文献1、2等に記載された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−290390号公報
【特許文献2】特開2009−252056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の独立した演算処理部と複数の独立した内蔵LANスイッチと独立した制御部とにより構成される情報処理装置において、ネットワークの負荷を分散し帯域幅を確保するために演算処理部が有する複数のネットワークインタフェースを論理的に1つのネットワークインタフェースとして束ねて使用するという考え方がでてきている。この場合、複数のネットワークインタフェースが常に動作状態となるため、ネットワーク負荷が少ない場合等に過剰に電力を消費してしまうという問題点を生じさせている。
【0008】
本発明の目的は、情報処理装置を構成する複数の演算処理部の中で動作している演算処理部の数や情報処理装置内の複数の内蔵LANスイッチのネットワークトラフィック量に応じて動作する内蔵LANスイッチの数を制御することにより、省電力化を実現することができるようにした情報処理装置及びその省電力化制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば前記目的は、複数の演算処理部と複数の内蔵LANスイッチと制御部とを備えて構成される情報処理装置において、
前記複数の演算処理部のそれぞれは、前記複数の内蔵LANスイッチのそれぞれに対応する複数のネットワークインタフェースを有し、
前記制御部は、前記複数の演算処理部それぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した前記演算処理部の動作数、内蔵LANスイッチの動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報に基づいて、内蔵LANスイッチの動作数を制御することにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、演算処理部の動作数と複数の内蔵LANスイッチそれぞれのネットワークトラフィック量とに応じて内蔵LANスイッチの動作数を変化させることができるので、情報処理装置全体の消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による情報処理装置を使用したシンクライアントシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】演算処理部に接続されている各種信号等について説明する図である。
【図4】演算処理部の構成例を示すブロック図である。
【図5】内蔵LANスイッチに接続されている各種信号等について説明する図である。
【図6】内蔵LANスイッチの構成例を示すブロック図である。
【図7】制御部の構成例を示すブロック図である。
【図8】時間帯毎の情報処理装置のネットワークトラフィック量に応じた内蔵LANスイッチの動作数制御の種別を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【図9】情報処理装置の動作状況に応じた内蔵LANスイッチの動作数を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【図10】制御部が内蔵LANスイッチの動作数を制御する処理動作を説明するフローチャートである。
【図11】時間帯の種別が時間帯A、Bの切り替わり時に内蔵LANスイッチの動作数の増加、減少の制御が繰り返されないように適用する時間帯の種別の判別基準を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による情報処理装置及びその省電力化制御方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明による情報処理装置を使用したシンクライアントシステムの構成例を示すブロック図であり、本発明の実施形態を説明する前にまずこれについて説明する。
【0014】
図1に示すシンクライアントシステムは、ラック型ケース101に搭載された複数の情報処理装置100と、複数の利用者のそれぞれに割り当てられた複数のクライアント端末(以下、単に、端末という)105とがネットワークハブ102を経由して相互に接続され、また、システム全体を管理する管理サーバ103、アプリケーションデータやユーザデータを格納するネットワークストレージ104がネットワークハブ102を介して情報処理装置100に接続されて構成されている。そして、複数の情報処理装置100は、複数の演算処理部112を有しており、この情報処理装置100、ネットワークハブ102、管理サーバ103、ネットワークストレージ104は、図示しないデータセンタ内に収納されて、データセンタ内で管理されている。
【0015】
前述において、利用者は、自身に割り当てられた端末105に対して、実施したい業務処理等のための入力操作を行う。この入力操作は、ネットワークハブ102を経由して情報処理装置100に伝達され、情報処理装置100内で実際のデータ処理が実施される。その際、情報処理装置100は、必要に応じてネットワークストレージ104へアクセスし、アプリケーションデータの受信やユーザデータの格納等をネットワーク経由で実施する。情報処理装置100の処理結果は、端末105に伝達されて表示される。このため、端末105の利用者からは、見かけ上使用している端末105が処理を行っているように見えるが、実際には、データの全ては、データセンタ内で処理され管理されている。
【0016】
また、前述において、複数の端末105のそれぞれは、複数の情報処理装置100内の複数の演算処理部112の1つに対応付けられ、あるいは、端末から要求があったときに、管理サーバ103により、要求を行った端末105と管理サーバ103が選択した演算処理部112とが対応付けられる。そして、端末105に割り当てられた演算処理部112は、端末105からの操作入力等による各種の処理を実行する。
【0017】
図2は本発明の一実施形態による情報処理装置の構成例を示すブロック図である。以下に説明する本発明の実施形態による情報処理装置は、図1に示して説明したシステムの中で情報処理装置100として使用されるものである。そして、本発明の実施形態による情報処理装置100は、複数の演算処理部112と、複数の内蔵LANスイッチ113と、制御部114とにより構成され、制御部114に、定期的に演算処理部112それぞれの動作状態と内蔵LANスイッチ113それぞれの動作状況とを監視させ、演算処理部112の動作数や内蔵LANスイッチ113内のネットワークトラフィック量の動作状況に応じて内蔵LANスイッチ113の動作数を変化させるように制御させるようにしたものである。
【0018】
本発明の実施形態による情報処理装置100は、図2に示しているように、二重化された電源部110と、接続基板111と、複数の演算処理部112と、複数の内蔵LANスイッチ113と、制御部114と、接続基板111上に設けた信号伝達用バス115及び内部ネットワーク信号伝送路116とを備えて構成されている。電源部110は、生成した電力を接続基板111上に設けた図示しない電源配線を介して演算処理部112、内蔵LANスイッチ113、制御部114に供給しており、これにより情報処理装置100が動作している。また、制御部114は、信号伝達用バス115を介して電源部110、演算処理部112、内蔵LANスイッチ113の動作状態を監視している。そして、演算処理部112と内蔵LANスイッチ113とは、内部ネットワーク信号伝送路116を介して相互間で情報やデータの送受信を実施している。
【0019】
図3は演算処理部112に接続されている各種信号等について説明する図、図4は演算処理部112の構成例を示すブロック図である。
【0020】
図3に示すように、演算処理部112には、各種信号等として、電圧入力120、内部ネットワーク信号121、演算処理部状態信号122、演算処理部電源制御信号123が接続されている。電圧入力120は、電源部110から電源の供給を受けて演算処理部112が必要とする電圧値の電源を演算処理部112に供給している。内部ネットワーク信号121は、内蔵LANスイッチ113との間で内部ネットワーク信号伝送路116を通して情報やデータの送受信を行っている信号である。演算処理部状態信号122は、演算処理部112の起動、停止の状態について制御部114へ伝達する信号である。演算処理部電源制御信号123は、演算処理部112の起動、停止を制御部114から制御するための信号である。
【0021】
前述において、演算処理部状態信号122と演算処理部電源制御信号123とは、信号伝達用バス115を介して制御部114に接続され、演算処理部112の動作数制御に使用される。
【0022】
演算処理部112は、図4に示すように、通常の独立した情報処理装置と同様に、演算処理IC(通常、CPUと呼ばれる)130、処理のためのデータを蓄積する主記憶部(通常、RAMと呼ばれる)131、各種ソフトウェアや大量のデータの保持が可能な補助記憶部(通常、HDD等により構成される)132、電源部110から電源供給を受ける電圧入力120との間のインタフェースである電圧入力部133、内部ネットワーク信号121との間のインタフェースであるネットワークインタフェース134、演算処理部の自己診断機能や初期設定を実施する初期制御プログラム(通常、BIOSと呼ばれる)135、演算処理部112の異常時等に演算処理部112に対して、データセンタ内の管理者が直接操作を行い操作した結果を出力するための入出力部(通常、I/Oと呼ばれる)136、制御部114との間で演算処理部状態信号122や演算処理部電源制御信号123の制御信号の送受信を行う制御信号通信部137を備えて構成されている。このような構成から、演算処理部112のそれぞれは、通常の情報処理装置1台と同等の電力を消費する。
【0023】
また、図4には示していないが、演算処理部112は、ネットワークインタフェース134を複数有し、内部ネットワーク信号伝送路116を通して複数の内蔵LANスイッチ113へそれぞれ1対1で接続されており、ネットワークの負荷を分散し、また、帯域幅を確保するために複数のネットワークインタフェース134を論理的に1つのネットワークインタフェースとして束ねて使用することが可能である。
【0024】
演算処理部112は、制御信号通信部137からの出力である演算処理部状態信号122の電圧レベルを起動時と停止時とで異なる電圧値とすることにより、制御部114へ演算処理部112の起動、停止の状態を伝達することができる。そして、制御部114は、これにより、演算処理部112の動作数を知り、演算処理部112の動作数を内蔵LANスイッチ113の動作数を制御するために使用することができる。
【0025】
図5は内蔵LANスイッチ113に接続されている各種信号等について説明する図、図6は内蔵LANスイッチ113の構成例を示すブロック図である。
【0026】
図5に示すように、内蔵LANスイッチ113には、各種信号等として、電圧入力140、内蔵ネットワーク信号121、外部ネットワーク信号141、内蔵LANスイッチ状態信号142、トラフィック量伝達信号143、内蔵LANスイッチ電源制御信号144が接続されている。電圧入力140は、電源部110から電源の供給を受けて内蔵LANスイッチ113が必要とする電圧値の電源を内蔵LANスイッチ113に供給している。内部ネットワーク信号121は、演算処理部112との間で内部ネットワーク信号伝送路116を通して情報やデータの送受信を行っている信号である。外部ネットワーク信号141は、ネットワークハブ102に接続されていて、演算処理部112からの情報やデータの送受信を行っている信号である。内蔵LANスイッチ状態信号142は、内蔵LANスイッチ113の起動、停止の状態についての情報を制御部114へ伝達している信号である。トラフィック量伝達信号143は、内部ネットワーク信号121のトラフィック量についての情報を制御部114へ伝達している信号である。内蔵LANスイッチ電源制御信号144は、内蔵LANスイッチ113の起動、停止を制御部114から制御するための信号である。
【0027】
前述した内蔵LANスイッチ状態信号142、トラフィック量伝達信号143、内蔵LANスイッチ電源制御信号144は、信号伝達用バス115を通して制御部114に接続され、内蔵LANスイッチ113の動作数を制御するために使用される。
【0028】
内蔵LANスイッチ113は、図6に示すように、演算処理IC(通常、CPUと呼ばれる)150、処理のためのデータを蓄積する主記憶部(通常、RAMと呼ばれる)151、電源部110から電源供給を受ける電圧入力140との間のインタフェースである電圧入力部152、起動、制御のプログラムや各種設定内容を格納するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリによるプログラム格納部153、内部ネットワーク信号121との間のインタフェースである内部ネットワークインタフェース154、外部ネットワーク信号141との間のインタフェースである外部ネットワークインタフェース155、内部インタフェース154と外部インタフェース155との間でのデータの制御を行うネットワーク制御用IC156、制御部114との間で内蔵LANスイッチ状態信号142、トラフィック量伝達信号143、内蔵LANスイッチ電源制御信号144等の制御信号の送受信を行う制御信号通信部157を備えて構成されている。
【0029】
また、図6には示していないが、内蔵LANスイッチ113は、内部ネットワークインタフェース154を複数有し、内部ネットワーク信号伝送路116を通して複数の演算処理部112へそれぞれ1対1で接続されている。
【0030】
内蔵LANスイッチ113は、制御信号通信部157からの出力である内蔵LANスイッチ状態信号142の電圧レベルを起動時と停止時とで異なる電圧値とすることにより、制御部114へ内蔵LANスイッチ113の起動、停止の状態を伝達することができる。また、内蔵LANスイッチ113は、演算処理IC150により各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量を把握し、把握したトラフィック量の中での最大値、把握したトラフィック量の合計値を算出してデータとして保持し、制御信号通信部157からトラフィック量伝達信号143により内蔵LANスイッチ113の各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値、合計値として、制御部114へ伝達することができる。そして、制御部114は、この受け取ったトラフィック量に基づいて、内蔵LANスイッチ113の動作数を制御するために使用することができる。
【0031】
図7は制御部114の構成例を示すブロック図である。
【0032】
制御部114は、図7に示すように、演算処理IC(通常、CPUと呼ばれる)160、処理のためのデータを蓄積する主記憶部(通常、RAMと呼ばれる)161、電源部110から電源供給を受ける電圧入力部162、起動、制御のプログラムや各種設定内容を格納するフラッシュメモリ等の不揮発性メモリによるプログラム格納部163、制御部114内の時刻管理に使用するタイマー機能部(通常、RTCと呼ばれる)164、データセンタの管理者がプログラム格納部163に格納している設定情報の変更等の情報の入出力をするために使用される外部入出力インタフェース165、演算処理部112の演算処理部状態信号122及び演算処理部電源制御信号123、内蔵LANスイッチ113の内蔵LANスイッチ状態信号142、トラフィック量伝達信号143及び内蔵LANスイッチ電源制御信号144等の制御信号の送受信を行う制御信号通信部166を備えて構成されている。
【0033】
また、制御部114の制御信号通信部166は、演算処理部112の制御信号通信部137及び内蔵LANスイッチ113の制御信号通信部157に信号伝達用バス115を介して接続されている。
【0034】
そして、制御部114内の演算処理IC160は、プログラム格納部163に格納されたプログラムの設定内容を把握し、タイマー機能部164からの時刻情報を把握すると共に、制御信号通信部166から演算処理部112それぞれの演算処理部状態信号122及び内蔵LANスイッチ113それぞれの内蔵LANスイッチ状態信号142を定期的に監視している。これにより、演算処理IC160は、演算処理部112のそれぞれ、内蔵LANスイッチ113のそれぞれの起動、停止の状態を収集把握することができる。また、演算処理IC160は、内蔵LANスイッチ113それぞれのトラフィック量伝達信号143を定期的に監視することにより、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値及び合計値を収集把握することができる。
【0035】
演算処理IC160は、さらに、把握した情報から、演算処理部112の動作数、内蔵LANスイッチ113の動作数、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値と合計値を算出し、把握した設定内容、時刻情報、算出した結果から、内蔵LANスイッチ113の動作数制御に使用する制御方法を判別することができる。
【0036】
そして、演算処理IC160は、判別した制御方法に従い、制御信号通信部166を介して内蔵LANスイッチ電源制御信号144の電圧レベルを変化させることにより、内蔵LANスイッチ113を起動し、あるいは、停止させることができる。これらの制御は、内蔵LANスイッチ113の動作数の制御に使用される。
【0037】
次に、本発明の一実施形態による情報処理装置での処理動作について説明するが、処理動作を説明する前に、処理に必要な設定情報について説明する。
【0038】
図8は時間帯毎の情報処理装置100のネットワークトラフィック量に応じた内蔵LANスイッチ113の動作数制御の種別を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【0039】
データセンタの管理者は、制御部114のプログラム格納部163に格納された図示しない指示図に対して、図8に示して説明するような時間帯毎の制御種別を設定する。すなわち、管理者は、利用者が一斉に情報処理装置100を起動する出社時間帯、社外Webサイトの閲覧が頻繁に発生する休憩時間帯、定期的な時間に実施するバッチ処理実施時間帯等のネットワークのトラフィック量の増大が予想され、ネットワーク帯域幅を最大限に担保したい時間帯の制御種別を時間帯Aと設定し、残業時間帯や深夜等のネットワークの帯域幅を最大限に担保する必要が無い時間帯の制御種別を時間帯Bとして設定する。この設定は、制御部114の外部入出力インタフェース165から行うことができる。
【0040】
これにより、情報処理装置100のネットワークトラフィック量に応じて内蔵LANスイッチ113の動作数をどのように制御するかを時間帯毎に設定することができる。
【0041】
図9は情報処理装置100の動作状況に応じた内蔵LANスイッチ113の動作数を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【0042】
データセンタの管理者は、制御部114のプログラム格納部163に格納された図示しない指示図に対して、図9に示して説明するような情報処理装置100の動作状況に応じた内蔵LANスイッチ113の動作数を設定する。すなわち、管理者は、情報処理装置100の動作状況である演算処理部112の動作数N、内蔵LANスイッチ113の動作数M、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値P、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の合計値Rの組み合わせに対して内蔵LANスイッチ113の動作数をいくつにするかを制御部114の外部入出力インタフェース165から設定する。
【0043】
図9に示す例は、情報処理装置100が20台の演算処理部112と2台の内蔵LANスイッチ113とを備えて構成されているとした場合の設定例を示したものであり、内蔵LANスイッチ113の動作数の指示として、図9に示すテーブルの最も右の欄に示すように、内蔵LANスイッチ113の1台の停止または起動を指示している。
【0044】
制御部114は、ネットワークトラフィック量に応じた内蔵LANスイッチ113の動作数の制御種別として時間帯Bが適用された場合、演算処理IC160が、制御信号通信部166からの演算処理部状態信号122、内蔵LANスイッチ状態信号142、トラフィック量伝達信号143を定期的に監視することにより把握し算出した演算処理部112の動作数N、内蔵LANスイッチ113の動作数M、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値P、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の合計値Rの情報に基づいて、プログラム格納部163に格納された図9に示して説明した指示の処理方法に従い、制御信号通信部166を介して送信する内蔵LANスイッチ電源制御信号144により、内蔵LANスイッチ113の動作数制御を実施する。
【0045】
図10は制御部114が内蔵LANスイッチ113の動作数を制御する処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、ここで説明する図10に示すフローでの処理は、演算処理部112の動作数が4以下である場合、内蔵LANスイッチ113は、2台のうち1台だけが動作していれば、情報処理装置100が充分な処理能力を発揮することができると仮定した場合の処理例である。
【0046】
(1)処理が開始されると、制御部114の演算処理IC160は、プログラム格納部163に格納された図8に示して説明したテーブルに指示として設定されている内容とタイマー機能部164の時刻情報とを確認し、その時間帯の制御種別が時間帯Aであるか否かを判別する(ステップ900〜902)。
【0047】
(2)ステップ902の判別で制御種別が時間帯Aであると判別した場合、制御部114の演算処理IC160は、情報処理装置100に搭載されている複数の演算処理部112それぞれの起動、停止の状態を制御信号通信部166を介して送信されてくる演算処理部112それぞれの演算処理部状態信号122を定期的に監視することにより把握し、演算処理部112の動作数Nを算出し、算出した演算処理部112の動作数Nが4以下であるか否かを判別する(ステップ910、911)。
【0048】
(3)ステップ911の判別で演算処理部112の動作数Nが4以下であった場合、制御部114の演算処理IC160は、搭載されている内蔵LANスイッチ113それぞれの起動、停止の状態を、制御信号通信部166から送信されてくる内蔵LANスイッチ113それぞれの内蔵LANスイッチ状態信号142を定期的に監視することにより把握して内蔵LANスイッチ113の動作数Mを算出し、算出した内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2以上であるか否かを判別する(ステップ912、913)。
【0049】
(4)ステップ913の判別で内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2以上であった場合、制御信号通信部166を介して内蔵LANスイッチ電源制御信号144を送信して起動中の内蔵LANスイッチ113を1台停止させる制御を行い、その後、ステップ901からの処理に戻って処理を繰り返し、また、内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2より小さかった場合、すなわち、内蔵LANスイッチ113の動作数Mが1であった場合、何もせずにステップ901からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ914)。
【0050】
(5)ステップ911の判別で演算処理部112の動作数Nが4より大きかった場合、制御部114の演算処理IC160は、ステップ912と同様の制御により、内蔵LANスイッチ113それぞれの起動、停止の状態を把握して内蔵LANスイッチ113の動作数Mを算出し、算出した内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2以上であるか否かを判別する(ステップ915、916)。
【0051】
(6)ステップ916の判別で内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2以上であった場合、制御部114の演算処理IC160は、何もせずにステップ901からの処理に戻って処理を繰り返し、また、内蔵LANスイッチ113の動作数Mが2より小さかった場合、すなわち、内蔵LANスイッチ113の動作数Mが1であった場合、制御信号通信部166を介して内蔵LANスイッチ電源制御信号144を送信して起動中の内蔵LANスイッチ113を1台起動させる制御を行い、その後、ステップ901からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ917)。
【0052】
(7)ステップ902の判別で制御種別が時間帯Aではなかった場合、すなわち、制御種別が時間帯Bであった場合、制御部114の演算処理IC160は、ステップ910と同様の制御により、演算処理部112それぞれの起動、停止の状態を把握して演算処理部112の動作数Nを算出し、また、ステップ912と同様の制御により、内蔵LANスイッチ113それぞれの起動、停止の状態を把握して内蔵LANスイッチ113の動作数Mを算出する(ステップ920、921)。
【0053】
(8)次に、制御部114の演算処理IC160は、搭載されている内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値を、制御信号通信部166から送信されてくる内蔵LANスイッチ113それぞれのトラフィック量伝達信号143を定期的に監視することにより把握してトラフィック量の最大値Pを算出する(ステップ922)。
【0054】
(9)また、制御部114の演算処理IC160は、搭載されている内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の合計値を、制御信号通信部166から送信されてくる内蔵LANスイッチ113それぞれのトラフィック量伝達信号143を定期的に監視することにより把握してトラフィック量の合計値Rを算出する(ステップ923)。
【0055】
(10)その後、制御部114の演算処理IC160は、ステップ920〜ステップ923の各処理で算出した演算処理部112の動作数N、内蔵LANスイッチ113の動作数M、トラフィック量の最大値P、トラフィック量の合計値Rの情報をプログラム格納部163に格納された図9に示して説明したテーブルに指示として設定されている内容と照合し、条件を全て満たすか否かを判別し、条件が1つでも満たされていなかった場合、何もせずにステップ901からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ924)。
【0056】
(11)ステップ924の判別で図9に示して説明したテーブルに指示として設定されている内容による条件を全て満たしていた場合、制御部114の演算処理IC160は、図9に示して説明したテーブルの指示による処理方法に従って、制御信号通信部166を介して送信する内蔵LANスイッチ電源制御信号144により、起動中の内蔵LANスイッチ113の1台を停止させ、あるいは、停止中の内蔵LANスイッチ113の1台を起動させ、その後、ステップ901からの処理に戻って処理を繰り返す(ステップ925)。
【0057】
図11は時間帯の種別が時間帯A、Bの切り替わり時に内蔵LANスイッチ113の動作数の増加、減少の制御が繰り返されないように適用する時間帯の種別の判別基準を指示するテーブルの構成例を示す図である。
【0058】
本発明の実施形態による情報処理装置は、制御部114の演算処理IC160が、タイマー機能部164の時刻情報に基づいて、図8に示して説明したテーブルの指示により時間帯が時間帯Aであるか時間帯Bであるかを判別して、図10に示したフローの処理を実行することにより、内蔵LANスイッチ113の動作数を制御することになるが、この場合、時間帯A、Bの切り替わり時に内蔵LANスイッチ113の動作数を増加させた直後に動作数を減少させる制御が繰り返し行われるという現象を生じることがある。
【0059】
そこで、本発明の実施形態による情報処理装置は、前述したような不都合を生じさせないようにするために、現在の時刻と5分後の時刻との時間帯の種別が時間帯Aに設定されているか、時間帯Bに設定されているかを図8に示すテーブルから抽出し、現在の時刻の時間帯の種別と5分後の時刻の時間帯の種別との組み合わせによって、図11に示しているように、どちらの時間帯の種別を採用するかを示す指示により、適用する時間帯の種別として時間帯Aと時間帯Bとのどちらを採用するかを決定して図10に示したフローの処理を実行することとしている。
【0060】
前述した本発明の実施形態によれば、演算処理部の動作数と複数の内蔵LANスイッチそれぞれのネットワークトラフィック量とに応じて内蔵LANスイッチの動作数を変化させることにより、すなわち、演算処理部の動作数が少なく、内蔵LANスイッチのネットワークトラフィック量が少ない場合に不要となる内蔵LANスイッチを停止しているので、情報処理装置全体の消費電力を低減することができる。
【0061】
前述した本発明の実施形態は、図8に示す内蔵LANスイッチ113の動作数を制御する時間帯の設定、図9に示す演算処理部112の動作数N、内蔵LANスイッチ113の動作数M、内蔵LANスイッチ113それぞれの各内部ネットワークインタフェース154の内部ネットワーク信号121のトラフィック量の最大値P及び合計値Rを仮定して説明を行ったが、本発明は、これらを最適な値になるように変更することができる。また、消費電力や演算処理部112の動作数N等は、適用する環境に応じて異なり、例えば、時差勤務、二交代、三交代での勤務等では、時間帯A、Bが今回図8に示して説明示したような場合に比べ更に分散することになるが、内蔵LANスイッチ113の動作数Mの設定を細かくすることにより、情報処理装置の消費電力を低減することが可能である。さらに、本発明は、制御部114内に時間毎の演算処理部、内蔵LANスイッチの動作状態を細かく監視、記録する機能を持たせて、実際の動作状態と過去の動作状態を組み合わせることにより、事前に内蔵LANスイッチ113内のネットワーク全体のトラフィック量であるトラフィック量の合計値Rの変化を予測し、より細かい設定をすることにより、消費電力を低減するようにすることも可能である。
【0062】
前述した本発明の実施形態は、ネットワークを介してシンクライアント端末等に接続されて使用される情報処理装置に適用されるものであるとして説明したが、本発明は、これに限らず、一般的な、任意の形態で使用される情報処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100 情報処理装置
101 ラック型ケース
102 ネットワークハブ
103 管理サーバ
104 ネットワークストレージ
105 端末
110 電源部
111 接続基板
112 演算処理部
113 内蔵LANスイッチ
114 制御部
115 信号伝達用バス
116 ネットワーク信号伝送路
130、150、160 演算処理IC(CPU)
131、151、161 記憶装置(RAM)
132 補助記憶部(HDD)
133、152、162 電圧入力部
134 ネットワークインタフェース
135 初期制御プログラム(BIOS)
136 入出力部(I/O)
137、157、166 制御信号通信部
153、163 プログラム格納部(フラッシュメモリ)
154 内部ネットワークインタフェース
155 外部ネットワークインタフェース
156 ネットワーク制御用IC
164 タイマー機能部(RTC)
165 外部入出力インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の演算処理部と複数の内蔵LANスイッチと制御部とを備えて構成される情報処理装置において、
前記複数の演算処理部のそれぞれは、前記複数の内蔵LANスイッチのそれぞれに対応する複数のネットワークインタフェースを有し、
前記制御部は、前記複数の演算処理部それぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した前記演算処理部の動作数、内蔵LANスイッチの動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報に基づいて、内蔵LANスイッチの動作数を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
複数の演算処理部と複数の内蔵LANスイッチと制御部とを備えて構成される情報処理装置において、
前記複数の演算処理部のそれぞれは、前記複数の内蔵LANスイッチのそれぞれに対応する複数のネットワークインタフェースを有し、
前記制御部は、前記複数の演算処理部それぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した前記演算処理部の動作数、内蔵LANスイッチの動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報、及び、自制御部内に備えるタイマーによる時刻情報に対応して予め定められた制御方法の設定情報に基づいて、内蔵LANスイッチの動作数を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
複数の演算処理部と複数の内蔵LANスイッチと制御部とを備えて構成される情報処理装置において、
前記複数の演算処理部のそれぞれは、前記複数の内蔵LANスイッチのそれぞれに対応する複数のネットワークインタフェースを有し、
前記制御部は、前記複数の演算処理部それぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した前記演算処理部の動作数、内蔵LANスイッチの動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報、及び、自制御部内に備えるタイマーによる時刻情報に対応して予め定められた制御方法の設定情報に基づいて、演算処理部と内蔵LANスイッチとの動作数の情報から内蔵LANスイッチの動作数を制御し、あるいは、演算処理部と内蔵LANスイッチとの動作数及び内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量から内蔵LANスイッチの動作数を制御することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
複数の演算処理部と複数の内蔵LANスイッチと制御部とを備えて構成される情報処理装置の省電力化制御方法において、
前記複数の演算処理部のそれぞれは、前記複数の内蔵LANスイッチのそれぞれに対応する複数のネットワークインタフェースを有し、
前記制御部は、前記複数の演算処理部それぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれの起動、停止の状態、前記複数の内蔵LANスイッチそれぞれが算出した内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量を収集把握し、把握した情報から算出した前記演算処理部の動作数、内蔵LANスイッチの動作数、内蔵LANスイッチ内のネットワークトラフィック量の情報に基づいて、内蔵LANスイッチの動作数を制御することを特徴とする情報処理装置の省電力化制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−109728(P2012−109728A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256035(P2010−256035)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】