説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】ネットワークを介して接続された外部装置の電力消費を抑制し、且つ当該外部装置にデータファイルのバックアップを行うことが可能な情報装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルを送信し、当該データファイルのバックアップを行う情報処理装置において、前記データファイルの送信に先駆けて、前記外部装置の電源をオン状態へ移行させる第1コマンドを当該外部装置に送信する第1送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信した後、前記データファイルを前記外部装置に送信する第2送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信し、且つ前記第2送信制御手段が前記データファイルを送信し終えた後、前記外部装置の電源をオフ状態に移行させる第2コマンドを当該外部装置に送信する第3送信制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルのバックアップを行う情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上に存在するコンピュータ等の外部装置にデータファイルのバックアップを行う技術が存在している。例えば、特許文献1には、バックアップ対象のデータファイルを指定された外部装置にコピーすることで、このデータファイルのバックアップを行うシステムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載のシステムの場合、バックアップ先の外部装置の電源がオフ状態にあると、データファイルのバックアップを正常に行うことができない。そのため、バックアップ先の外部装置では電源のオン状態、即ちバックアップ対象のデータファイルを受信し保存することが可能な状態を維持する必要があるが、外部装置の使用条件によっては不要な電力消費が発生する可能性がある。例えば、業務終了後に電源がオフ状態とされる外部装置に対し、業務終了後の所定のタイミングでバックアップを行う場合、外部装置の電源を業務終了後もオン状態に保つ必要があるため不要な電力消費が発生する。
【0004】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、ネットワークを介して接続された外部装置の電力消費を抑制し、且つ当該外部装置にデータファイルのバックアップを行うことが可能な情報装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルを送信し、当該データファイルのバックアップを行う情報処理装置において、前記データファイルの送信に先駆けて、前記外部装置の電源をオン状態へ移行させる第1コマンドを当該外部装置に送信する第1送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信した後、前記データファイルを前記外部装置に送信する第2送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信し、且つ前記第2送信制御手段が前記データファイルを送信し終えた後、前記外部装置の電源をオフ状態に移行させる第2コマンドを当該外部装置に送信する第3送信制御手段と、を備える。
【0006】
また、本発明は、ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルを送信し、当該データファイルのバックアップを行うコンピュータを、前記データファイルの送信に先駆けて、前記外部装置の電源をオン状態へ移行させる第1コマンドを当該外部装置に送信する第1送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信した後、前記データファイルを前記外部装置に送信する第2送信制御手段と、前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信し、且つ前記第2送信制御手段が前記データファイルを送信し終えた後、前記外部装置の電源をオフ状態に移行させる第2コマンドを当該外部装置に送信する第3送信制御手段と、して機能させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ネットワークを介して接続された外部装置の電力消費を抑制し、且つ当該外部装置にデータファイルのバックアップを行うことが可能な情報装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、POSシステムの全体構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、POS端末の構成を示す図である。
【図3】図3は、ファイルサーバの構成を示す図である。
【図4】図4は、ストアコンピュータの構成を示す図である。
【図5】図5は、スケジュール管理ファイルの一例を示す図である。
【図6】図6は、ジョブ管理ファイルの一例を示す図である。
【図7】図7は、装置管理ファイルの一例を示す図である。
【図8】図8は、バックアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る情報処理装置及びプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、本発明をPOS(Point Of Sale)システムに適用した例について説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、POSシステムの全体構成を概略的に示す図である。同図に示すように、POSシステム1は、POS端末2と、ファイルサーバ3と、ストアコンピュータ4とを有し、LAN等のネットワークNを介して互いに接続されている。なお、ネットワークNに接続されるPOS端末2、ファイルサーバ3の個数は特に問わないものとする。
【0011】
POS端末2は、店員(キャッシャー)により操作される端末装置であって、店舗内に敷設されたLAN等のネットワークNを介してストアコンピュータ4との間でオンライン通信を実行し得るように構成されている。
【0012】
図2は、POS端末2の構成を示す図である。同図に示すように、POS端末2は、制御部21と、操作入力部22と、表示部23と、コードスキャナ24と、通信インタフェース25と、記憶部26と、電源部27とを備えている。
【0013】
制御部21は、CPU、ROM、RAM等で構成され、記憶部26に記憶された所定のプログラムを実行することで、POS端末2の動作を統括的に制御する。
【0014】
具体的に、制御部21は、所定のIPアドレスを通信インタフェース25に割り当てることで、ネットワークN上において他の装置(ストアコンピュータ4)とTCP/IPレベルで通信可能な状態とする。また、制御部21は、ストアコンピュータ4から応答信号の返信を要求する生存確認用のパケット(例えば、ICMP等)を受け付けると、このパケットに対する応答信号(例えば、ACK)をストアコンピュータ4へ送信(返信)する。
【0015】
また、制御部21は、各商品に付加された後述する商品コードがコードスキャナ24により読み取られると、この商品コードをストアコンピュータ4に送信することで、当該商品コードに対応する商品の単価等をストアコンピュータ4から取得する。また、POS端末2は、一の取引で購入対象となった各商品の単価及び販売個数を、各取引を識別可能な取引番号と関連付け、売上データとして記憶部26の所定の領域に保存する。そして、制御部21は、所定の時刻に達すると、記憶部26に記憶した売上データをストアコンピュータ4へ送信することで、売上データの登録(売上登録)を行う。なお、各POS端末2では、店舗の閉店時間後の所定の時刻に売上登録を行った後、図示しない電源ボタンがキャッシャーにより操作されることで電源オフ状態へ移行されるものとする。
【0016】
また、制御部21は、通信インタフェース25を介してストアコンピュータ4からバックアップ対象のデータファイル(以下、バックアップファイルという)を受け付けると、このバックアップファイルを記憶部26の所定の領域に保存する。即ち、POS端末2は、ストアコンピュータ4に対しバックアップ装置として機能する。
【0017】
操作入力部22は、キーボードや各種ボタン等の入力デバイスにより構成され、キャッシャーが操作入力したキー又はボタンに応じた信号を制御部21へ出力する。表示部23は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスにより構成され、制御部21の制御の下、各種の情報を表示する。
【0018】
コードスキャナ24は、店舗内で販売される各商品に付加されたバーコードや二次元コード等のコードデータを読み取り、当該コードデータをデコードした結果を制御部21へ出力する。なお、コードデータには、各商品の種別を識別可能な商品コードが、コード化された状態で表されているものとする。
【0019】
通信インタフェース25は、ネットワークNを介しストアコンピュータ4と通信を行うための通信インタフェースであり、制御部21の制御の下、ストアコンピュータ4との間で各種のデータを送受信する。また、通信インタフェース25は、WOL(Wake On LAN)等の電源管理機能を具備しており、ストアコンピュータ4から送信される所定のコマンドに応じて、自己のPOS端末2の電源状態をオン又はオフに移行させる。
【0020】
具体的に、通信インタフェース25は、ストアコンピュータ4から電源オンを指示するマジックパケット等のパケット(以下、電源オンコマンドという)を受信すると、電源部27を制御し、POS端末2の各部への電力供給を開始させることでオン状態とする。また、通信インタフェース25は、ストアコンピュータ4から電源オフを指示するコマンド(以下、電源オフコマンドという)を受信すると、電源部27を制御し、POS端末2の各部への電力供給を停止させることで、POS端末2をオフ状態とする。
【0021】
なお、通信インタフェース25への電力供給はPOS端末2の電源オフ時においても継続されているものとする。また、通信インタフェース25は、POS端末2の電源オフ時においてもMAC(Media Access Control)アドレスレベルで他の装置(ストアコンピュータ4)と通信することができるものとする。
【0022】
記憶部26は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶デバイスにより構成され、制御部21(CPU)により実行される各種のプログラムや、設定情報を記憶している。また、記憶部26は、売上データを保存するための領域を有するとともに、ストアコンピュータ4から送信されるバックアップファイルを保存するための領域を有している。
【0023】
電源部27は、図示しない電源ボタンの操作、又は、通信インタフェース25の制御に従い、POS端末2の電源をオン状態/オフ状態に切り替える機能部である。なお、本実施形態において、電源オン状態とは、POS端末2を構成する各部に電力を供給している状態、即ち制御部21の制御に従いPOS端末2の各部が動作可能な状態を意味する。また、電源オフ状態とは、通信インタフェース25にのみ電力を供給している状態を意味する。
【0024】
ファイルサーバ3は、ネットワークN上でファイルを共有するためのサーバ装置であり、ストアコンピュータ4に対しバックアップ装置として機能する。なお、ファイルサーバ3の電源は常時オン状態が維持されているものとする。
【0025】
図3は、ファイルサーバ3の構成を示す図である。同図に示すように、ファイルサーバ3は、制御部31と、操作入力部32と、表示部33と、通信インタフェース34と、記憶部35とを備えている。
【0026】
制御部31は、CPU、ROM、RAM等で構成され、記憶部35に記憶された所定のプログラムを実行することで、ファイルサーバ3の動作を統括的に制御する。具体的に、制御部31は、所定のIPアドレスを通信インタフェース34に割り当てることで、ネットワークN上において他の装置(ストアコンピュータ4)とTCP/IPレベルで通信可能な状態とする。また、制御部31は、通信インタフェース34を介してストアコンピュータ4からバックアップファイルを受け付けると、このバックアップファイルを記憶部35の所定の領域に記憶させる。
【0027】
操作入力部32は、キーボードやマウス等の入力デバイスにより構成され、操作者の操作入力に応じた信号を制御部31へ出力する。表示部33は、CRTやLCD等の表示デバイスにより構成され、制御部31の制御の下、各種の情報を表示する。
【0028】
通信インタフェース34は、ネットワークNを介してPOS端末2及びファイルサーバ3と通信を行うための通信インタフェースであり、制御部31の制御の下、ストアコンピュータ4との間で各種のデータを送受信する。
【0029】
記憶部35は、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の記憶デバイスにより構成され、制御部31(CPU)により実行される各種のプログラムや、設定情報を記憶している。また、記憶部35は、ストアコンピュータ4から送信されるバックアップファイルを保存するための領域を有している。
【0030】
ストアコンピュータ4は、POSシステム1の店舗運営に必要な各種のデータを管理するサーバ装置である。ここで、図4は、ストアコンピュータ4の構成を示す図である。同図に示すように、ストアコンピュータ4は、制御部41と、操作入力部42と、表示部43と、通信インタフェース44と、記憶部45とを備えている。
【0031】
制御部41は、CPU、ROM、RAM等で構成され、記憶部45に記憶された所定のプログラムを実行することで、ストアコンピュータ4の動作を統括的に制御する。
【0032】
具体的に、制御部41、各POS端末2から送信された売上データを集計することで、POSシステム1全体の売上を表す店舗売上データを生成し記憶部45に記憶させる。また、制御部41は、記憶部45に記憶されたプログラムとの協働により所定の機能(第1送信制御手段、第2送信制御手段及び第3送信制御手段)を実現し、後述するバックアップ処理を実行する。
【0033】
操作入力部42は、キーボードやマウス等の入力デバイスにより構成され、操作者の操作入力に応じた信号を制御部41へ出力する。表示部43は、CRTやLCD等の表示デバイスにより構成され、制御部41の制御の下、各種の情報を表示する。
【0034】
通信インタフェース44は、ネットワークNを介してPOS端末2及びファイルサーバ3と通信を行うための通信インタフェースであり、制御部41の制御の下、POS端末2及びファイルサーバ3との間で各種のデータを送受信する。
【0035】
記憶部45は、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の記憶デバイスにより構成され、制御部41により実行される各種のプログラムや、各種の設定情報を予め記憶している。また、記憶部45は、POSシステム1の店舗で販売される各商品の商品コードと関連付けて、当該商品の単価及び商品名等を保持した商品テーブルや、各POS端末2から送信される売上データを保持するための売上テーブル等のデータテーブル(図示せず)を記憶している。
【0036】
また、記憶部45は、後述するバックアップ処理に係る設定情報として、スケジュール管理ファイル451と、ジョブ管理ファイル452と、装置管理ファイル453とを記憶している。
【0037】
スケジュール管理ファイル451は、バックアップ処理を行う時刻(実行時刻)を管理するためのデータファイルである。図5は、スケジュール管理ファイル451の一例を示す図である。同図に示すように、スケジュール管理ファイル451には、バックアップ処理を行う実行時刻と、各実行時刻に行われるバックアップ処理を識別するジョブIDとが関連付けて保持されている。
【0038】
制御部41は、RTC(Real Time Clock)等の計時部により計時される現在時刻と、スケジュール管理ファイル451に保持された各実行時刻とを比較し、何れかの実行時刻に到達したと判定すると、この実行時刻に関連付けられたジョブIDについてのバックアップ処理を開始する。なお、図5では、バックアップ処理の実行時刻として時刻のみを指定する形態としたが、これに限らず、例えば日付と時刻とを組み合わせて指定する形態としてもよいし、曜日と時刻とを組み合わせて指定する形態としてもよい。
【0039】
ジョブ管理ファイル452は、スケジュール管理ファイル451に保持された各ジョブIDの詳細情報を管理するためのデータファイルである。具体的に、ジョブ管理ファイル452は、各ジョブIDと関連付けて、このジョブIDが示すジョブ(バックアップ処理)において、バックアップ先となる装置の識別子(以下、装置識別子という)と、バックアップの対象となるデータファイルを識別する識別子(以下、ファイル識別子という)とを保持している。
【0040】
図6は、ジョブ管理ファイル452の一例を示す図である。同図に示すように、ジョブ管理ファイル452には、ジョブIDと、装置識別子と、ファイル識別子とが関連付けて保持されている。なお、装置識別子にはPOS端末2及びファイルサーバ3のホスト名等が予め登録されている。また、ファイル識別子には、バックアップの対象となるデータファイルのファイル名や、該データファイル格納先を示すURI(Uniform Resource Identifier)等が予め登録されている。
【0041】
制御部41は、スケジュール管理ファイル451に基づき、特定のジョブIDについてのバックアップ処理を開始すると、このジョブIDに関連付けられた装置識別子及びファイル識別子をジョブ管理ファイル452から検索し、このファイル識別子が表すデータファイルをバックアップの対象、即ちバックアップファイルに設定する。なお、バックアップの対象となるデータファイルは特に問わず、例えば、店舗売上データや商品マスタファイル、各POS端末2から送信された売上データであってもよい。
【0042】
装置管理ファイル453は、バックアップ装置(POS端末2及びファイルサーバ3)に関する情報を管理するためのデータファイルである。具体的に、装置管理ファイル453は、バックアップ装置の装置識別子と関連付けて、当該装置に関する情報を保持している。図7は、装置管理ファイル453の一例を示す図である。同図に示すように、装置管理ファイル453には、装置識別子と関連付けて、この装置識別子が示す装置のIPアドレスと、当該装置が備える通信インタフェースのMACアドレスと、当該装置の電源状態を識別するための電源フラグとが保持されている。
【0043】
ここで、電源フラグは、対応するバックアップ装置の電源が常時オン状態にあるか否かを示すものである。本実施形態では、電源フラグが“1”の場合、対応するバックアップ装置が常時オン状態にあることを意味する。また、電源フラグが“0”の場合、対応するバックアップ装置が常時オフ状態、又は、オフ状態となる時間が存在することを意味している。例えば、図1に示した2台のPOS端末2に対応する装置識別子“POS01”及び“POS02”では、売上登録の完了後にオフ状態とされるため、電源フラグは“0”に設定されている。また、ファイルサーバ3に対応する装置識別子“FSERV”では、常時オン状態が維持されるため、電源フラグは“1”に設定されている。
【0044】
制御部41は、ジョブ管理ファイル452に基づき、バックアップ装置の装置識別子に対応するレコードを装置管理ファイル453から読み出すと、このレコードに含まれた各情報(IPアドレス、MACアドレス、電源フラグ)に基づき、バックアップ装置宛にバックアップファイルを送信し、当該バックアップファイルの保存を行う。
【0045】
以下、図8を参照して、ストアコンピュータ4の制御部41が実行するバックアップ処理について説明する。ここで、図8は、バックアップ処理の手順を示すフローチャートである。
【0046】
まず、制御部41は、図示しない計時部により計時される現在時刻が、スケジュール管理ファイル451に登録された何れかの実行時刻に到達するまで待機する(ステップS11;No)。ここで、制御部41は現在時刻が何れかの実行時刻に到達したと判定すると(ステップS11;Yes)、該当する実行時刻に対応付けて保持されたジョブIDに対応するレコードをジョブ管理ファイル452から検索する(ステップS12)。続いて、制御部41は、ステップS12で検索したレコードに含まれるファイル識別子が示すファイルを、バックアップファイルに設定する(ステップS13)。
【0047】
次いで、制御部41は、ステップS12で検索したレコードに含まれる装置識別子に対応するレコードを装置管理ファイル453から検索する(ステップS14)。制御部41は、ステップS14で検索したレコードに含まれる電源フラグが“1”か否か、即ち装置識別子に対応するバックアップ装置が、常時オン状態にあるか否かを判定する(ステップS15)。ここで、電源フラグが“1”であった場合(ステップS15;Yes)、制御部41は、ステップS18へ移行する。
【0048】
なお、図7に示した装置管理ファイル453の例の場合、ファイルサーバ3に対応する装置識別子“FSERV”がバックアップ装置であったとすると、電源フラグが“1”であるため、制御部41はステップS18の処理へ移行する。
【0049】
一方、ステップS15において、電源フラグが“0”であった場合(ステップS15;No)、制御部41は、ステップS14で検索したレコードに含まれるバックアップ先の装置のIPアドレス宛に応答信号の返信を要求する生存確認用のパケットを送信し(ステップS16)、このパケットに対する応答信号の有無に基づきバックアップ先の装置の電源がオン状態にあるか否かを判定する(ステップS17)。
【0050】
なお、図7に示した装置管理ファイル453の例の場合、POS端末2に対応する装置識別子“POS01”又は“POS02”がバックアップ装置であったとすると、電源フラグは“0”となるため、制御部41は、このバックアップ装置のIPアドレス宛に生存確認用のパケットを送信することになる。
【0051】
ステップS17において、バックアップ先の装置から応答パケットを受信した場合、制御部41は、バックアップ先の装置がオン状態にあると判定し(ステップS17;Yes)、ステップS18に移行する。
【0052】
ステップS18において、制御部41は、ステップS14で検索したレコードに含まれるIPアドレス、即ちバックアップ装置のIPアドレス宛にバックアップファイルを送信することで、当該バックアップファイルをバックアップ先の装置に保存し(ステップS18)、本処理を終了する。
【0053】
また、ステップS17において、バックアップ先の装置から所定時間以内に応答パケットを受信できない場合、制御部41は、バックアップ装置がオフ状態にあると判定し(ステップS17;No)、ステップS14で検索したレコードに含まれるMACアドレス、即ちバックアップ装置のMACアドレス宛に電源オンコマンドを送信(ブロードキャスト)する(ステップS19)。
【0054】
これにより、電源オンコマンドを受信したバックアップ装置(POS端末2)では、通信インタフェース25の制御により電力供給が開始されるため、電源オフ状態からオン状態に移行する。
【0055】
続いて、制御部41は、所定時間待機した後、ステップS14で検索したレコードに含まれるIPアドレス、即ちバックアップ装置のIPアドレス宛にバックアップファイルを送信することで、当該バックアップファイルをバックアップ装置に保存する(ステップS20)。なお、待機時間はバックアップ先の装置の起動時間に応じて予め定められているものとする。また、この待機時間を装置管理ファイル453の装置識別子と関連付けて保持する形態としてもよい。
【0056】
制御部41は、バックアップファイルのバックアップ装置への保存を完了すると、ステップS14で検索したレコードに含まれるMACアドレス(又はIPアドレス)宛に電源オフコマンドを送信し(ステップS21)、本処理を終了する。
【0057】
これにより、電源オフコマンドを受信したバックアップ装置(POS端末2)では、通信インタフェース25の制御により電力供給が停止されるため、電源オン状態からオフ状態に再び移行する。なお、制御部41は、バックアップファイルをバックアップ装置に保存した後、このバックアップファイルをストアコンピュータ4から削除する形態としてもよいし、従前のまま保持する形態としてもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、バックアップファイルの送信に先駆けて、電源オンコマンドをバックアップ装置に送信し、当該バックアップ装置にバックアップファイルを保存した後、さらに電源オフコマンドをバックアップ装置に送信することで、バックアップ処理の間だけオン状態とする。これにより、ネットワークを介して接続されたバックアップ装置の電力消費を抑制し、且つ当該バックアップ装置にバックアップファイルを保存することができる。
【0059】
また、生存確認用のパケットをバックアップ装置に送信し、所定時間以内に応答がない場合にのみ電源オンコマンドの送信を行う。これにより、バックアップ装置がオフ状態にある場合にのみ電源オンコマンドを送信することができるため、不用意に電源オンコマンドが送信されてしまうことを防止することができ、バックアップ処理の効率化を図ることができる。
【0060】
さらに、装置管理ファイル453に保持された電源フラグに基づき、オフ状態の可能性があるバックアップ装置のみを電源オンコマンドの送信対象にすることができるため、不用意に電源オンコマンドが送信されてしまうことを防止することができ、バックアップ処理の効率化を図ることができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、スケジュール管理ファイル451、ジョブ管理ファイル452及び装置管理ファイル453をストアコンピュータ4が保持する形態としたが、これに限らず、ファイルサーバ3が保持する形態としてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、電源オンコマンド及び電源オフコマンドをMACレベルのパケットで送信する形態としたが、これに限らず、電源オフ状態においても通信インタフェース25がIPアドレスを保持すること可能な形態であれば、IPレベルで電源オンコマンド及び電源オフコマンドを送信する形態としてもよい。
【0064】
また、上記実施形態のストアコンピュータ4で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。また、上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0065】
また、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 POSシステム
2 POS端末
21 制御部
22 操作入力部
23 表示部
24 コードスキャナ
25 通信インタフェース
26 記憶部
27 電源部
3 ファイルサーバ
31 制御部
32 操作入力部
33 表示部
34 通信インタフェース
35 記憶部
4 ストアコンピュータ
41 制御部
42 操作入力部
43 表示部
44 通信インタフェース
45 記憶部
451 スケジュール管理ファイル
452 ジョブ管理ファイル
453 装置管理ファイル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2001−306408公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルを送信し、当該データファイルのバックアップを行う情報処理装置において、
前記データファイルの送信に先駆けて、前記外部装置の電源をオン状態へ移行させる第1コマンドを当該外部装置に送信する第1送信制御手段と、
前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信した後、前記データファイルを前記外部装置に送信する第2送信制御手段と、
前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信し、且つ前記第2送信制御手段が前記データファイルを送信し終えた後、前記外部装置の電源をオフ状態に移行させる第2コマンドを当該外部装置に送信する第3送信制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
応答信号の返信を要求する生存確認用のパケットを前記外部装置に送信する生存確認手段を更に備え、
前記第1送信制御手段は、前記パケットに対する応答信号が前記外部装置から返信されない場合に、前記第1コマンドを前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2送信制御手段は、前記パケットに対する応答信号が前記外部装置から返信された場合に、前記データファイルの送信を直ちに行うことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
外部装置を識別する識別子と関連付けて、当該外部装置の電源が常時オン状態か否かを示す電源フラグを保持する保持手段を更に備え、
前記第1送信制御手段は、前記外部装置の電源フラグが否を示す場合に、前記第1コマンドを前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2送信制御手段は、前記外部装置の電源フラグが常時オン状態を示す場合に、前記データファイルの送信を直ちに行うことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して接続された外部装置にデータファイルを送信し、当該データファイルのバックアップを行うコンピュータを、
前記データファイルの送信に先駆けて、前記外部装置の電源をオン状態へ移行させる第1コマンドを当該外部装置に送信する第1送信制御手段と、
前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信した後、前記データファイルを前記外部装置に送信する第2送信制御手段と、
前記第1送信制御手段が前記第1コマンドを送信し、且つ前記第2送信制御手段が前記データファイルを送信し終えた後、前記外部装置の電源をオフ状態に移行させる第2コマンドを当該外部装置に送信する第3送信制御手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175466(P2011−175466A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39137(P2010−39137)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】