情報処理装置及びプログラム
【課題】シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、CPUシミュレータ101と、シート材搬送シミュレータ402とを有し、シート材搬送シミュレータ402は、シート材と、シート材を搬送するピックアップローラ302との距離である離間距離を算出する離間距離算出部107と、離間距離算出部107が算出する離間距離から、ピックアップローラ302による速度伝達率を算出する速度伝達率算出部108と、ピックアップローラ302の速度と、ピックアップローラ302の速度伝達率から、ピックアップローラ302による搬送されるシート材の速度を算出するシート材速度算出部103と、を備えている。
【解決手段】情報処理装置は、CPUシミュレータ101と、シート材搬送シミュレータ402とを有し、シート材搬送シミュレータ402は、シート材と、シート材を搬送するピックアップローラ302との距離である離間距離を算出する離間距離算出部107と、離間距離算出部107が算出する離間距離から、ピックアップローラ302による速度伝達率を算出する速度伝達率算出部108と、ピックアップローラ302の速度と、ピックアップローラ302の速度伝達率から、ピックアップローラ302による搬送されるシート材の速度を算出するシート材速度算出部103と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬送装置における制御シーケンスを、コンピュータで検証、評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙やフィルムなどのシート材の搬送を行うシート材搬送装置におけるシート材搬送制御の検証、評価のため、コンピュータによるシミュレーションが利用されている。なお、シート材搬送装置とは、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等である。特許文献1は、シート材を搬送する搬送機構の速度の情報と、搬送機構がシート材に搬送力を与えるか否かの2つの情報により、シート材の搬送をシミュレーションすることを開示している。具体的には、搬送機構の状態として、搬送機構がシート材に搬送力を与える作用状態と、与えない浮動状態の2つの状態を定義する。そして、作用状態の場合には、シート材が搬送機構の速度で搬送され、浮動状態の場合には、シート材が搬送機構により搬送されていないものとしてシミュレーションを行っている。
【0003】
また、特許文献2は、モータ制定時間、クラッチ動作の遅延、ローラとシート材との間のスリップ率といった各種パラメータを定義し、これらの値を変化させることによって、実際のシート材搬送装置の動作をシミュレーションすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−309665号公報
【特許文献2】特開2005−85003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート材搬送装置においては、シート材の搬送のために、部材をシート材に対して当接/離間させる機能(以下、シート材離接機構と呼ぶ)を有するものが存在する。このような装置においては、装置の制御ソフトウエアが、必要に応じてシート材離接機構の制御を行う。従って、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の制御シーケンスの評価、検証においては、シート材離接機構の状態に応じたシート材の搬送挙動を模擬しなければならない。
【0006】
特許文献1は、作用状態又は浮動状態の2つの状態を定義することを開示している。しかし、シート材離接機構は所定のシーケンスに従って制御されるので、単なる作用状態と浮動状態の切替では、シーケンスの正当性を評価できない。また、シート材離接機構がシート材に当接する過程においてはシート材との滑り率が段階的に変化するが、特許文献1に記載の装置ではこれらを模擬することができない。さらに、特許文献2も、シート材離接機構の制御シーケンスに応じたシート材の搬送挙動を模擬することを開示するものではない。
【0007】
本発明は、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬する情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による情報処理装置は、シート材搬送装置を制御する制御部の動作を模擬する第1のシミュレータと、該シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する第2のシミュレータと、を有する情報処理装置であって、第2のシミュレータは、第1のシミュレータが出力する制御信号から、シート材と、シート材を搬送する搬送部材との距離である離間距離を算出する距離算出手段と、距離算出手段が算出する離間距離から、搬送部材による速度伝達率を算出する伝達率算出手段と、搬送部材の速度と、搬送部材の速度伝達率から、搬送部材により搬送されるシート材の速度を算出する速度算出手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
シート材離接機構による搬送部材とシート材の離間距離を算出し、離間距離から速度伝達率を算出してシート材が搬送される速度を算出することで、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態におけるシート材搬送解析部のブロック図。
【図2】一実施形態における情報処理装置の実行環境であるコンピュータシステムのブロック図。
【図3】模擬対象であるシート材搬送装置のブロック図。
【図4】シート材搬送装置における制御シーケンスを示すタイミングチャート。
【図5】シート材搬送装置のシート材離接機構の各位置に関する用語の説明図。
【図6】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図7】シート材搬送装置のピックアップカム機構定義部が有する例示的な情報の説明図。
【図8】一実施形態における離間距離算出処理のフローチャート。
【図9】例示的な離間距離と速度伝達率の関係を示す図。
【図10】一実施形態における速度伝達率算出処理のフローチャート。
【図11】シート材離接機構における搬送限界の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)以下の説明において、模擬対象装置において進行する時間を模擬時間と呼ぶものとする。例えば、搬送速度100mm/秒での搬送動作を模擬する場合において、シート材の100mmの移動を模擬した場合、模擬動作に実際に要した時間、つまり、実時間に拘わらず模擬時間は1秒進行することになる。さらに、以下の説明において、特に明記しない場合や、文脈から実時間を指していることが明らかな場合を除き、模擬時間を単に時間と表記する。
【0012】
本実施形態による情報処理装置は、図2に示すコンピュータで実行されるプログラムとして実現され得る。図2において、中央処理装置(CPU)201は、バス210を介して、ROM202、RAM203、入力インタフェース204、出力インタフェース206、外部記憶装置インタフェース208と接続されている。CPU201は、ROM202、RAM203に記憶されたプログラムに従い動作する。また、CPU201は、入力インタフェース204、外部記憶装置インタフェース208経由で受け取る外部入力に対する情報処理を行い、結果を出力インタフェース206、外部記憶装置インタフェース208経由で出力する。入力インタフェース204は、キーボード、マウス等の入力装置205を介してユーザからの入力を受け取る。出力インタフェース206は、LCDや、プリンタ、プロッタ等の出力装置207に対しデータの表示や出力を行う。外部記憶装置インタフェース208は、ハードディスクやCD−ROM等の外部記憶装置209に対するデータの入出力を行う。
【0013】
CPU201は、外部記憶装置209に保存されている処理プログラム209a及び各種設定データ209bをRAM203にロードして実行することで、本実施形態による情報処理装置として機能し、模擬動作のためファームウェア209cを実行する。つまり、ファームウェア209cは、シミュレーション対象のシート材搬送装置に実際に組み込まれる制御ソフトウエアである。
【0014】
図3は、本実施形態における模擬対象であるシート材搬送装置の搬送部と、搬送部を制御するCPU307とを示している。図3のカセット301は、シート材の積載部材であり、シート材を積載する中板306と、中板306を昇降させるリフタ機構309と、積載しているシート材を検出するセンサ315と、を備えている。また、シート材の搬送のため、シート材の搬送部材であるピックアップローラ302、給送ローラ303、レジストレーションローラ304が設けられている。また、レジストレーションローラ304の下流にはシート材を検出するセンサ305が設けられている。例えば、画像形成装置ではセンサ305の下流に画像形成部が設けられ、レジストレーションローラ304及びセンサ305によって位置決めされたシート材を所定のタイミングで画像形成部に送り込むことによりシート材に画像を形成する。
【0015】
リフタモータ308は、リフタ機構309を駆動し、給送モータ313は、ピックアップローラ302及び搬送ローラ303を駆動する。また、レジストレーションモータ314は、レジストレーションローラ304の駆動を行う。ピックアップローラ302は、ピックアップカム機構312によって昇降する構成となっている。ピックアップモータ311は、ピックアップカム機構312を駆動するものであり、ピックアップソレノイド310の駆動をトリガとして1周期分のピックアップローラ302の昇降動作を行う。この様に、中板306及びピックアップローラ302を昇降させる機構が、シート材離接機構を構成している。
【0016】
CPU307は、ファームウェア209cを実行し、各モータやソレノイド310を制御する。以下、図3の構成におけるシート材離接機構の制御について、図4を用いて説明する。CPU307は、ピックアップモータ311と給送モータ313を駆動する。次に、ピックアップモータ311の駆動開始からT1時間後にピックアップソレノイド310をT2時間だけ駆動する。なお、T1はピックアップモータ311の立上げに十分な時間とする。また、T2はピックアップカム機構312のロックを外し、ピックアップローラ302の下降動作を開始するのに十分な時間とする。
【0017】
ピックアップソレノイド310の駆動に応じて、タイミングt1からピックアップローラ302がシート面への下降をはじめ、タイミングt2でシート面に圧接する。ピックアップローラ302とシート面の圧接により最上位のシート材の搬送がタイミングt5で開始される。理想的に動作した場合、タイミングt2とt5は同じである。そして、タイミングt6でシート材は給送ローラ303のニップに到達し、以後、シート材は給送ローラ303により搬送される。タイミングt3で、ピックアップカム機構312は、ピックアップローラ302を上昇させはじめる。タイミングt4で、ピックアップカム機構312は上昇位置に達しロックされる。CPU307は、ピックアップソレノイド310の駆動からT3時間後にピックアップモータ311を停止する。T3はピックアップカム機構312が1周期の動作を終え、ロックされるまでに十分な時間に設定されている。
【0018】
次に、リフタ機構309による制御について、図5を用いて説明する。シート材は、カセット301の中板306上に積載される。中板306上のシート材の高さ、つまり、中板306の表面から積載しているシート材の最上位の位置317までの距離hsdは、シート材が消費されるに従い減少する。
【0019】
シート材は、ピックアップローラ302を接触させることにより送りだされるが、ピックアップローラ302が下降できる範囲は限定されている。したがって、最上位のシート材の位置317が低すぎると、ピックアップローラ302がシート材に接触できないか、接触できたとしても十分な摩擦力を確保できず、よって、シート材を送り出すことができない。
【0020】
したがって、CPU307は、シート材の消費によってhsdが減少した場合でも、シート材の最上位の位置317が一定範囲の高さとなる様に中板306を制御する。具体的には、CPU307は、センサ315の信号を監視し、hsdの減少によりセンサ315がシート材を検知しなくなった場合に、リフタモータ308を駆動してリフタ機構309により中板306を上昇させる。CPU307は、センサ315によりシート材が検出された時点から所定量、具体的には、図5の|hsns|+|hcnt|に相当する量だけ中板306を上昇させてリフタモータ308を停止する。
【0021】
図5において、搬送基準位置は、以下に説明する各位置の基準点である。以下の説明において、特に記載しない限り、各位置は、搬送基準位置を基準とした相対位置で表す。このとき、搬送基準位置より上方向、つまり、ピックアップローラ302の方向を正とする。なお、以下の説明において、各位置のことを搬送基準位置に対する距離とも表現する。図5に示す様に、センサ315のシート材検出位置は、hsnsであり、中板306を上昇させる制御を終了した時点での最上位のシート材の位置はhcntである。なお、hsnsは負の値である。この場合、最上位のシート材の位置hsは、
hsns≦hs≦hcnt (1)
の範囲で制御される。
【0022】
図6は、本実施形態による情報処理装置の機能ブロック図である。CPUシミュレータ101(第1のシミュレータ)は、模擬対象のシート材搬送装置の制御部であるCPU307の動作を模擬する。つまり、ファームウェア209cを実行するシミュレータである。また、シート材搬送シミュレータ402(第2のシミュレータ)は、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する。
【0023】
ピックアップカム機構定義部407(第1のデータ)は、ピックアップカム機構312の動作を規定又は特定する情報を保持している。図7は、ピックアップカム機構定義部407が保持する情報の例を示す。図7において、回転角はピックアップカム機構312のカムの回転角であり、カムのホームポジション、つまり、カムがロックされる位置を回転角=0°としている。また、位置は、対応する回転角におけるピックアップローラ302の最も中板306側の位置、つまり、図5のhrである。さらに、カムの回転条件として、駆動源のモータを特定する情報、駆動源モータとの回転比、及び、ロック条件が定義される。例えば、本実施形態において、駆動源のモータは、ピックアップモータ311(第1の駆動源)であり、ロック条件は、ピックアップソレノイド310がオフである。なお、ロック条件は回転角が0°のとき有効となる。すなわち、カムの回転条件は回転角が0°以外のときは駆動源のモータが駆動中のときであり、回転角が0°のときは駆動源のモータが駆動中であり、かつ、ロック条件が不成立のときとなる。なお、回転量は駆動源のモータとの回転比によって決まる。さらに、ピックアップカム機構定義部407は、初期角度を示す初期角度情報を有している。
【0024】
リフタ機構定義部408(第2のデータ)は、リフタ機構309の動作を規定又は定義する情報を保持している。具体的には、駆動源モータを示す情報や、駆動源モータの駆動量と中板306の移動量との関係や、中板306の初期位置の情報等を保持している。なお、本実施形態において駆動源モータは、リフタモータ308(第2の駆動源)である。例えば、駆動源モータが100回転する度に1mmだけ中板306が上昇又は下降する機構で、中板の初期位置が搬送基準位置の下500mmの場合、リフタ機構定義部408は、以下の情報を有する。
<駆動源>:リフタモータ
<動作>:0.01(mm)
<中板初期位置>:−500(mm)
【0025】
シート材搬送解析部403は、シート材搬送機構の各部の動作と、シート材の挙動を解析する。シート材モデル部405は、搬送されるシート材についての属性情報413を保持している。ここで、シート材属性情報413とは、シート材の大きさや、厚さや、種別の情報である。さらに、シート材モデル部405は、シート材搬送解析部403によるシート材の挙動に関する解析結果であるシート材の先端位置情報411及び後端位置情報412を保持する。さらに、カセット情報生成部404は、中板306に積載されているシート材の高さと、中板306の位置を管理し、シート材の高さ情報409及び中板位置情報410を保持する。なお、シート材の高さは、シート材の枚数と、シート材モデル部405が保持するシート材の厚さから求める。
【0026】
センサ信号生成部406は、センサ315を模擬するものであり、中板306の位置及び中板306に積載されているシート材の高さに応じて、シート材の検出又は非検出を判定してCPUシミュレータ101に判定結果を通知する。CPUシミュレータ101は、センサ信号生成部406がシート材を検出しなくなった場合、中板306を上昇させる制御信号を出力し、シート材搬送解析部403は、中板306の上昇動作を模擬して、中板位置情報410を更新する。
【0027】
図1は、シート材搬送解析部403の構成を示している。CPUシミュレータ101は、搬送機能速度算出部102に、図3の給送モータ313、レジストレーションモータ314を制御するための制御信号を出力し、搬送機能速度算出部102は、制御信号に基づき各ローラといった搬送部材の搬送機能速度を算出する。つまり、搬送機能速度算出部102は、ピックアップローラ302や給送ローラ303の回転による速度を算出する。なおこのとき、搬送機能速度算出部102は、予め設定されている搬送機能特性情報115を使用する。搬送機能特性情報115とは、CPUシミュレータ101の制御信号から、ピックアップローラ302や給送ローラ303の挙動を特定するためのデータであり、モータの制定時間、クラッチの遅延特性、ローラ径等の情報を含んでいる。
【0028】
シート材速度算出部103は、速度伝達率算出部108が出力する、搬送部材の作用点における速度伝達率を示す情報と、搬送機能速度算出部102からの搬送機能速度情報に基づき、各ローラの作用点でのシート材が搬送される速度を求めて出力する。具体的には、例えば、ピックアップローラ302の搬送機能速度がAであり、ピックアップローラ302の速度伝達率がαである場合、ピックアップローラ302によりシート材は、αAの速度で搬送されるものとして、αAをシート材速度情報として出力する。
【0029】
シート材位置算出部104は、シート材速度情報に基づきシート材の各模擬時刻での位置を判定し、判定した位置情報をGUI部105及びセンサ状態算出部106に出力する。また、シート材モデル部405のシート材先端位置情報411及びシート材後端位置情報412を更新する。GUI部105は、シート材の位置をユーザに表示するためのものであり、センサ状態算出部106は、レジストレーションセンサ305等、シート材の搬送経路上にあるセンサのシート材の検出状態を判定する。センサ状態算出部106は、シート材の検出の判定結果、つまり、検出状態であるか否かをCPUシミュレータ101に通知する。
【0030】
本実施形態において、CPUシミュレータ101は、離間距離算出部107にピックアップモータ311、ピックアップソレノイド310及びリフタモータ308の制御信号を出力する。離間距離算出部107は、シート材高さ情報404、中板位置情報410、ピックアップカム機構定義部407の情報に基づき、ピックアップローラ302の周面とシート材との距離hrsを離間距離として求める。
【0031】
図8は、離間距離算出部107における離間距離算出処理のフローチャートである。ステップS1において、離間距離算出部107は初期化処理を行う。具体的には、ピックアップカム機構定義部407やリフタ機構定義部408の情報に基づき、ピックアップカム機構312の角度情報、中板306の位置情報等を、指定された初期値に設定する。また、これらの情報と、シート材高さ情報404から、離間距離hrsの初期値を求める。ここで、ピックアップローラ302の周面位置hrの初期値は、図7に示す様に、ピックアップカム機構312の初期角度情報から求めることができる。また、積載シートの最上位の位置hsは、中板位置情報410とシート材高さ情報409が示すhsdから以下のように求めることができる。
hs=hsd+[中板位置情報] (2)
【0032】
次に、S2で模擬時刻の進行を待つ。模擬時刻はシミュレーション開始時に0、又は、初期値に設定され、模擬動作は模擬時間での1単位時間ずつ進行する。S2で模擬時刻が1単位時間進行するとS3に進み、離間距離算出部107は、CPUシミュレータ101からの制御信号を取得する。S4で、離間距離算出部107は、制御信号に基づきピックアップローラ302の周面位置hrを求め、S5で積載シートの最上位の位置hsを求める。ピックアップローラ302の周面位置hrは、制御信号が示すピックアップモータ311の駆動状態等に基づき、ピックアップカム機構312のカムの回転角を求めることにより決定できる。また、積載シートの最上位の位置hsは、リフタモータ308の駆動状態により求めた中板306の位置と、カセット情報生成部404が保持するシート材高さ情報hsdから求めることができる。
【0033】
そして、離間距離算出部107は、S6において、離間距離hrsを、
hrs=hr−hs (3)
として求める。
【0034】
図1に戻り、速度伝達率算出部108は、離間距離情報に基づき、速度伝達率を求める。本実施形態においては、ピックアップローラ302の離間距離hrsに搬送可能範囲を定義し、その範囲内でのみ搬送可能、すなわち、速度伝達率100%、範囲外では搬送不能、すなわち、速度伝達率0%とする処理を行う。搬送可能範囲は、速度伝達率算出部108に対してあらかじめ定義されている。搬送可能範囲の上限値をhenbとすると速度伝達率は以下のように定義される。
hrs > henb:速度伝達率:0%
hrs ≦ henb:速度伝達率:100%
【0035】
例えば、CPUシミュレータ101が、図4に示すタイミングチャートに従って搬送機構の各部を制御するものとする。離間距離算出部107は、単位時間毎に離間距離hrsを求める。例えば、ピックアップソレノイド310の駆動から模擬時間上のTx時間(Tx<T3)後の時点で、ピックアップカム機構312の回転角が115°であったとする。この場合、ピックアップローラ302の位置hrは図7より0.43mmとなる。一方、この時点での積載シート最上位の位置置hsが−0.8mmであったとする。この場合、離間距離算出部107は離間距離としてhrs=1.23mmを出力する。
【0036】
例えば、henbが1.00mmであるとすると、速度伝達率算出部108は、hrs=1.23mmから、速度伝達率を0%と判定する。よって、シート材速度算出部103が出力するピックアップローラ302によるシート材の速度は0となる。1単位時間後にピックアップカム機構312の回転角が117°であるものとすると、ピックアップローラ302の位置hrは0mmとなる。一方、この間、リフタモータ308の駆動が無く、シート材の消費もない場合、積載シート材の最上位の位置hsは変わらず−0.8mmとなる。この場合、離間距離算出部107は離間距離としてhrs=0.8mmを出力する。したがって、速度伝達率算出部108は、速度伝達率を100%と判定する。よって、シート材速度算出部103は、シート材がピックアップローラ302の搬送機能速度で搬送されているものとしてシート材速度情報を出力する。
【0037】
(第二実施形態)第一実施形態において、速度伝達率算出部108は、ピックアップローラ302の離間距離hrsが搬送可能範囲内にあるときは速度伝達率を100%とし、範囲外では速度伝達率を0%とする処理を行っている。
【0038】
しかし、実際の装置においてはピックアップローラ302がシート材に接触する過程の接触圧が低い状態では滑りが発生する。すなわち、実際の装置においてはピックアップローラ302の下降過程において搬送機能の速度伝達率が0%から直ちに100%に変化することはほとんどなく、ピックアップローラ302の離間距離が小さくなるに従い速度伝達率は徐々に上昇する。
【0039】
本実施形態において、速度伝達率算出部108は、ピックアップローラ302の離間距離に応じて速度伝達率を段階的に変化させ、より実際に近い動作を模擬する。以下、第一実施形態との相違点について説明する。図9は、本実施形態における、例示的な、離間距離hrsと速度伝達率の関係(第3のデータ)を示している。図9においては、搬送可能範囲の上限値henbの1/10刻みで速度伝達率を変更している。負の値の離間距離は、ピックアップローラ302がシート材を押しつけている状態である。
【0040】
図10は、本実施形態における速度伝達率算出部108での伝達率算出処理のフローチャートである。速度伝達率算出部108は、S11で模擬時刻の進行を待ち、模擬時刻が1単位進行すると、S12で、離間距離情報を取得する。速度伝達率算出部108は、S13で離間距離hrsと上限値henbを比較する。離間距離hrsが上限値henbより大きい場合、速度伝達率算出部108は、S16において速度伝達率を0とする。一方、S13で離間距離hrsが上限値henb以内である場合、速度伝達率算出部108は、図9に示す関係から、速度伝達率を算出する。最後に速度伝達率算出部108は、速度伝達率を示す速度伝達率情報をS15において出力する。
【0041】
上記実施形態においては、離間距離の変化に対して速度伝達率を一定比率で変化させているが、変化のさせ方は任意である。また、例えば、以下の計算式により速度伝達率を変化させる形態であっても良い。
[速度伝達率]=100×(1−hrs/henb)
さらに、シート材の種類に応じても速度伝達率を変化させる形態とすることもできる。
【0042】
(第三実施形態)第一実施形態及び第二実施形態では、ピックアップローラ302の離間距離に応じて速度伝達率を算出していた。しかし、実際の装置においてはシート材と他のシート材離接機構の部材との位置関係によってシート材の搬送に関する挙動が変化する場合がある。
【0043】
例えば、図11において、最上位のシート材、つまり搬送対象のシート材が分離斜面316より低い場合、ピックアップローラ302が十分な搬送力をシート材に伝達したとしても、カセット先端部に用紙が引っかかってしまいシート材を送り出すことができない。また、シート材の位置が高すぎると周囲の部材との干渉や、分離斜面316でシート材を適切に捌くことができないことによる重送の発生等により正常な給送が行えなくなる。
【0044】
このように、カセット301には、正常なシート材の給送処理を可能とする範囲が規定される。図11において、搬送基準位置に対して正負側の給送限界位置をそれぞれhul(第1の閾値)、hll(第2の閾値)とすると、
hll≦hs≦hul (4)
であることが正常なシート材給送を保証する条件となる。
【0045】
よって、センサ315の検出位置hsnsは、
hll<hsns<hul (5)
の範囲内となる。
【0046】
シート材搬送装置は、センサ315の信号を監視し、hsdの減少によりセンサ315がシート材を検知しなくなった場合、リフタモータ308を駆動してリフタ機構309により中板306を上昇させる。そして、センサ315がシート材を検出した後から所定量だけ中板306の上昇を継続させて停止する。また、中板306の上昇制御を行った直後の最上位のシート材の位置hcntは、以下の条件を満たす必要がある。
hcnt<hul (6)
【0047】
本実施形態において、離間距離算出部107は、離間距離hrsに加えて、積載シートの最上位の位置hsを示す情報も出力する。
【0048】
速度伝達率算出部108は、例えば、伝達率を以下のように決定する。なお、給送限界位置hll及びhulは、カセットの仕様に応じてあらかじめ定めておく。
hs > hul:伝達率:0%
hs < hll:伝達率:0%
hll ≦ hs ≦ hul:伝達率:100%
【0049】
なお、第ニ実施形態と同様に、hsに応じて複数の伝達率を使用する形態であっても良い。
【0050】
なお、ピックアップローラ302によるシート材の給送により本発明を説明したが、本発明は、シート材と、シート材の搬送部材との距離を制御し、距離に応じて搬送挙動が変化するシート材搬送装置の模擬を行う情報処理装置に適用できる。また、第三実施形態においては、カセット301のシート材の最上位の位置により本発明を説明した。しかしながら、本発明は、シート材の搬送方向と異なる方向に対するシート材の位置により搬送挙動が変化するあらゆるシート材搬送装置の模擬を行う情報処理装置に適用できる。
【0051】
以上、離間距離算出部107が、シート材とピックアップローラ302との離間距離を算出し、算出した離間距離から、ピックアップローラ302の速度伝達率を算出して、ピックアップローラ302による搬送されるシート材の速度を算出する。この構成により、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬することが可能となる。
【0052】
なお、ピックアップローラ302をシート材の方向に移動させるピックアップカム機構312の状態とピックアップローラ302のシート材の方向における位置の関係を示すデータを予めピックアップカム機構定義部407に保存しておく。この構成により離間距離を簡易に算出することができる。また、中板306をピックアップローラ302の方向に移動させるリフタモータ308の駆動量と、中板306の移動量との関係を示すデータを予めリフタ機構定義部408に保存しておく。この構成により離間距離を簡易に算出することができる。
【0053】
さらに、速度伝達率は、離間距離と速度伝達率の関係を示す第3のデータを予め保存しておくことで、或いは、離間距離と速度伝達率の関係を示す計算式から簡易に計算することができる。さらに、中板306に積載される搬送対象のシート材の、ピックアップローラ302の方向における位置を算出し、この位置が所定の範囲にない場合、速度伝達率を0とすることで、より正確な模擬動作が可能になる。
【0054】
(その他の実施形態)また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬送装置における制御シーケンスを、コンピュータで検証、評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙やフィルムなどのシート材の搬送を行うシート材搬送装置におけるシート材搬送制御の検証、評価のため、コンピュータによるシミュレーションが利用されている。なお、シート材搬送装置とは、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ等である。特許文献1は、シート材を搬送する搬送機構の速度の情報と、搬送機構がシート材に搬送力を与えるか否かの2つの情報により、シート材の搬送をシミュレーションすることを開示している。具体的には、搬送機構の状態として、搬送機構がシート材に搬送力を与える作用状態と、与えない浮動状態の2つの状態を定義する。そして、作用状態の場合には、シート材が搬送機構の速度で搬送され、浮動状態の場合には、シート材が搬送機構により搬送されていないものとしてシミュレーションを行っている。
【0003】
また、特許文献2は、モータ制定時間、クラッチ動作の遅延、ローラとシート材との間のスリップ率といった各種パラメータを定義し、これらの値を変化させることによって、実際のシート材搬送装置の動作をシミュレーションすることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−309665号公報
【特許文献2】特開2005−85003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート材搬送装置においては、シート材の搬送のために、部材をシート材に対して当接/離間させる機能(以下、シート材離接機構と呼ぶ)を有するものが存在する。このような装置においては、装置の制御ソフトウエアが、必要に応じてシート材離接機構の制御を行う。従って、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の制御シーケンスの評価、検証においては、シート材離接機構の状態に応じたシート材の搬送挙動を模擬しなければならない。
【0006】
特許文献1は、作用状態又は浮動状態の2つの状態を定義することを開示している。しかし、シート材離接機構は所定のシーケンスに従って制御されるので、単なる作用状態と浮動状態の切替では、シーケンスの正当性を評価できない。また、シート材離接機構がシート材に当接する過程においてはシート材との滑り率が段階的に変化するが、特許文献1に記載の装置ではこれらを模擬することができない。さらに、特許文献2も、シート材離接機構の制御シーケンスに応じたシート材の搬送挙動を模擬することを開示するものではない。
【0007】
本発明は、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬する情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による情報処理装置は、シート材搬送装置を制御する制御部の動作を模擬する第1のシミュレータと、該シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する第2のシミュレータと、を有する情報処理装置であって、第2のシミュレータは、第1のシミュレータが出力する制御信号から、シート材と、シート材を搬送する搬送部材との距離である離間距離を算出する距離算出手段と、距離算出手段が算出する離間距離から、搬送部材による速度伝達率を算出する伝達率算出手段と、搬送部材の速度と、搬送部材の速度伝達率から、搬送部材により搬送されるシート材の速度を算出する速度算出手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
シート材離接機構による搬送部材とシート材の離間距離を算出し、離間距離から速度伝達率を算出してシート材が搬送される速度を算出することで、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態におけるシート材搬送解析部のブロック図。
【図2】一実施形態における情報処理装置の実行環境であるコンピュータシステムのブロック図。
【図3】模擬対象であるシート材搬送装置のブロック図。
【図4】シート材搬送装置における制御シーケンスを示すタイミングチャート。
【図5】シート材搬送装置のシート材離接機構の各位置に関する用語の説明図。
【図6】一実施形態における情報処理装置のブロック図。
【図7】シート材搬送装置のピックアップカム機構定義部が有する例示的な情報の説明図。
【図8】一実施形態における離間距離算出処理のフローチャート。
【図9】例示的な離間距離と速度伝達率の関係を示す図。
【図10】一実施形態における速度伝達率算出処理のフローチャート。
【図11】シート材離接機構における搬送限界の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一実施形態)以下の説明において、模擬対象装置において進行する時間を模擬時間と呼ぶものとする。例えば、搬送速度100mm/秒での搬送動作を模擬する場合において、シート材の100mmの移動を模擬した場合、模擬動作に実際に要した時間、つまり、実時間に拘わらず模擬時間は1秒進行することになる。さらに、以下の説明において、特に明記しない場合や、文脈から実時間を指していることが明らかな場合を除き、模擬時間を単に時間と表記する。
【0012】
本実施形態による情報処理装置は、図2に示すコンピュータで実行されるプログラムとして実現され得る。図2において、中央処理装置(CPU)201は、バス210を介して、ROM202、RAM203、入力インタフェース204、出力インタフェース206、外部記憶装置インタフェース208と接続されている。CPU201は、ROM202、RAM203に記憶されたプログラムに従い動作する。また、CPU201は、入力インタフェース204、外部記憶装置インタフェース208経由で受け取る外部入力に対する情報処理を行い、結果を出力インタフェース206、外部記憶装置インタフェース208経由で出力する。入力インタフェース204は、キーボード、マウス等の入力装置205を介してユーザからの入力を受け取る。出力インタフェース206は、LCDや、プリンタ、プロッタ等の出力装置207に対しデータの表示や出力を行う。外部記憶装置インタフェース208は、ハードディスクやCD−ROM等の外部記憶装置209に対するデータの入出力を行う。
【0013】
CPU201は、外部記憶装置209に保存されている処理プログラム209a及び各種設定データ209bをRAM203にロードして実行することで、本実施形態による情報処理装置として機能し、模擬動作のためファームウェア209cを実行する。つまり、ファームウェア209cは、シミュレーション対象のシート材搬送装置に実際に組み込まれる制御ソフトウエアである。
【0014】
図3は、本実施形態における模擬対象であるシート材搬送装置の搬送部と、搬送部を制御するCPU307とを示している。図3のカセット301は、シート材の積載部材であり、シート材を積載する中板306と、中板306を昇降させるリフタ機構309と、積載しているシート材を検出するセンサ315と、を備えている。また、シート材の搬送のため、シート材の搬送部材であるピックアップローラ302、給送ローラ303、レジストレーションローラ304が設けられている。また、レジストレーションローラ304の下流にはシート材を検出するセンサ305が設けられている。例えば、画像形成装置ではセンサ305の下流に画像形成部が設けられ、レジストレーションローラ304及びセンサ305によって位置決めされたシート材を所定のタイミングで画像形成部に送り込むことによりシート材に画像を形成する。
【0015】
リフタモータ308は、リフタ機構309を駆動し、給送モータ313は、ピックアップローラ302及び搬送ローラ303を駆動する。また、レジストレーションモータ314は、レジストレーションローラ304の駆動を行う。ピックアップローラ302は、ピックアップカム機構312によって昇降する構成となっている。ピックアップモータ311は、ピックアップカム機構312を駆動するものであり、ピックアップソレノイド310の駆動をトリガとして1周期分のピックアップローラ302の昇降動作を行う。この様に、中板306及びピックアップローラ302を昇降させる機構が、シート材離接機構を構成している。
【0016】
CPU307は、ファームウェア209cを実行し、各モータやソレノイド310を制御する。以下、図3の構成におけるシート材離接機構の制御について、図4を用いて説明する。CPU307は、ピックアップモータ311と給送モータ313を駆動する。次に、ピックアップモータ311の駆動開始からT1時間後にピックアップソレノイド310をT2時間だけ駆動する。なお、T1はピックアップモータ311の立上げに十分な時間とする。また、T2はピックアップカム機構312のロックを外し、ピックアップローラ302の下降動作を開始するのに十分な時間とする。
【0017】
ピックアップソレノイド310の駆動に応じて、タイミングt1からピックアップローラ302がシート面への下降をはじめ、タイミングt2でシート面に圧接する。ピックアップローラ302とシート面の圧接により最上位のシート材の搬送がタイミングt5で開始される。理想的に動作した場合、タイミングt2とt5は同じである。そして、タイミングt6でシート材は給送ローラ303のニップに到達し、以後、シート材は給送ローラ303により搬送される。タイミングt3で、ピックアップカム機構312は、ピックアップローラ302を上昇させはじめる。タイミングt4で、ピックアップカム機構312は上昇位置に達しロックされる。CPU307は、ピックアップソレノイド310の駆動からT3時間後にピックアップモータ311を停止する。T3はピックアップカム機構312が1周期の動作を終え、ロックされるまでに十分な時間に設定されている。
【0018】
次に、リフタ機構309による制御について、図5を用いて説明する。シート材は、カセット301の中板306上に積載される。中板306上のシート材の高さ、つまり、中板306の表面から積載しているシート材の最上位の位置317までの距離hsdは、シート材が消費されるに従い減少する。
【0019】
シート材は、ピックアップローラ302を接触させることにより送りだされるが、ピックアップローラ302が下降できる範囲は限定されている。したがって、最上位のシート材の位置317が低すぎると、ピックアップローラ302がシート材に接触できないか、接触できたとしても十分な摩擦力を確保できず、よって、シート材を送り出すことができない。
【0020】
したがって、CPU307は、シート材の消費によってhsdが減少した場合でも、シート材の最上位の位置317が一定範囲の高さとなる様に中板306を制御する。具体的には、CPU307は、センサ315の信号を監視し、hsdの減少によりセンサ315がシート材を検知しなくなった場合に、リフタモータ308を駆動してリフタ機構309により中板306を上昇させる。CPU307は、センサ315によりシート材が検出された時点から所定量、具体的には、図5の|hsns|+|hcnt|に相当する量だけ中板306を上昇させてリフタモータ308を停止する。
【0021】
図5において、搬送基準位置は、以下に説明する各位置の基準点である。以下の説明において、特に記載しない限り、各位置は、搬送基準位置を基準とした相対位置で表す。このとき、搬送基準位置より上方向、つまり、ピックアップローラ302の方向を正とする。なお、以下の説明において、各位置のことを搬送基準位置に対する距離とも表現する。図5に示す様に、センサ315のシート材検出位置は、hsnsであり、中板306を上昇させる制御を終了した時点での最上位のシート材の位置はhcntである。なお、hsnsは負の値である。この場合、最上位のシート材の位置hsは、
hsns≦hs≦hcnt (1)
の範囲で制御される。
【0022】
図6は、本実施形態による情報処理装置の機能ブロック図である。CPUシミュレータ101(第1のシミュレータ)は、模擬対象のシート材搬送装置の制御部であるCPU307の動作を模擬する。つまり、ファームウェア209cを実行するシミュレータである。また、シート材搬送シミュレータ402(第2のシミュレータ)は、シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する。
【0023】
ピックアップカム機構定義部407(第1のデータ)は、ピックアップカム機構312の動作を規定又は特定する情報を保持している。図7は、ピックアップカム機構定義部407が保持する情報の例を示す。図7において、回転角はピックアップカム機構312のカムの回転角であり、カムのホームポジション、つまり、カムがロックされる位置を回転角=0°としている。また、位置は、対応する回転角におけるピックアップローラ302の最も中板306側の位置、つまり、図5のhrである。さらに、カムの回転条件として、駆動源のモータを特定する情報、駆動源モータとの回転比、及び、ロック条件が定義される。例えば、本実施形態において、駆動源のモータは、ピックアップモータ311(第1の駆動源)であり、ロック条件は、ピックアップソレノイド310がオフである。なお、ロック条件は回転角が0°のとき有効となる。すなわち、カムの回転条件は回転角が0°以外のときは駆動源のモータが駆動中のときであり、回転角が0°のときは駆動源のモータが駆動中であり、かつ、ロック条件が不成立のときとなる。なお、回転量は駆動源のモータとの回転比によって決まる。さらに、ピックアップカム機構定義部407は、初期角度を示す初期角度情報を有している。
【0024】
リフタ機構定義部408(第2のデータ)は、リフタ機構309の動作を規定又は定義する情報を保持している。具体的には、駆動源モータを示す情報や、駆動源モータの駆動量と中板306の移動量との関係や、中板306の初期位置の情報等を保持している。なお、本実施形態において駆動源モータは、リフタモータ308(第2の駆動源)である。例えば、駆動源モータが100回転する度に1mmだけ中板306が上昇又は下降する機構で、中板の初期位置が搬送基準位置の下500mmの場合、リフタ機構定義部408は、以下の情報を有する。
<駆動源>:リフタモータ
<動作>:0.01(mm)
<中板初期位置>:−500(mm)
【0025】
シート材搬送解析部403は、シート材搬送機構の各部の動作と、シート材の挙動を解析する。シート材モデル部405は、搬送されるシート材についての属性情報413を保持している。ここで、シート材属性情報413とは、シート材の大きさや、厚さや、種別の情報である。さらに、シート材モデル部405は、シート材搬送解析部403によるシート材の挙動に関する解析結果であるシート材の先端位置情報411及び後端位置情報412を保持する。さらに、カセット情報生成部404は、中板306に積載されているシート材の高さと、中板306の位置を管理し、シート材の高さ情報409及び中板位置情報410を保持する。なお、シート材の高さは、シート材の枚数と、シート材モデル部405が保持するシート材の厚さから求める。
【0026】
センサ信号生成部406は、センサ315を模擬するものであり、中板306の位置及び中板306に積載されているシート材の高さに応じて、シート材の検出又は非検出を判定してCPUシミュレータ101に判定結果を通知する。CPUシミュレータ101は、センサ信号生成部406がシート材を検出しなくなった場合、中板306を上昇させる制御信号を出力し、シート材搬送解析部403は、中板306の上昇動作を模擬して、中板位置情報410を更新する。
【0027】
図1は、シート材搬送解析部403の構成を示している。CPUシミュレータ101は、搬送機能速度算出部102に、図3の給送モータ313、レジストレーションモータ314を制御するための制御信号を出力し、搬送機能速度算出部102は、制御信号に基づき各ローラといった搬送部材の搬送機能速度を算出する。つまり、搬送機能速度算出部102は、ピックアップローラ302や給送ローラ303の回転による速度を算出する。なおこのとき、搬送機能速度算出部102は、予め設定されている搬送機能特性情報115を使用する。搬送機能特性情報115とは、CPUシミュレータ101の制御信号から、ピックアップローラ302や給送ローラ303の挙動を特定するためのデータであり、モータの制定時間、クラッチの遅延特性、ローラ径等の情報を含んでいる。
【0028】
シート材速度算出部103は、速度伝達率算出部108が出力する、搬送部材の作用点における速度伝達率を示す情報と、搬送機能速度算出部102からの搬送機能速度情報に基づき、各ローラの作用点でのシート材が搬送される速度を求めて出力する。具体的には、例えば、ピックアップローラ302の搬送機能速度がAであり、ピックアップローラ302の速度伝達率がαである場合、ピックアップローラ302によりシート材は、αAの速度で搬送されるものとして、αAをシート材速度情報として出力する。
【0029】
シート材位置算出部104は、シート材速度情報に基づきシート材の各模擬時刻での位置を判定し、判定した位置情報をGUI部105及びセンサ状態算出部106に出力する。また、シート材モデル部405のシート材先端位置情報411及びシート材後端位置情報412を更新する。GUI部105は、シート材の位置をユーザに表示するためのものであり、センサ状態算出部106は、レジストレーションセンサ305等、シート材の搬送経路上にあるセンサのシート材の検出状態を判定する。センサ状態算出部106は、シート材の検出の判定結果、つまり、検出状態であるか否かをCPUシミュレータ101に通知する。
【0030】
本実施形態において、CPUシミュレータ101は、離間距離算出部107にピックアップモータ311、ピックアップソレノイド310及びリフタモータ308の制御信号を出力する。離間距離算出部107は、シート材高さ情報404、中板位置情報410、ピックアップカム機構定義部407の情報に基づき、ピックアップローラ302の周面とシート材との距離hrsを離間距離として求める。
【0031】
図8は、離間距離算出部107における離間距離算出処理のフローチャートである。ステップS1において、離間距離算出部107は初期化処理を行う。具体的には、ピックアップカム機構定義部407やリフタ機構定義部408の情報に基づき、ピックアップカム機構312の角度情報、中板306の位置情報等を、指定された初期値に設定する。また、これらの情報と、シート材高さ情報404から、離間距離hrsの初期値を求める。ここで、ピックアップローラ302の周面位置hrの初期値は、図7に示す様に、ピックアップカム機構312の初期角度情報から求めることができる。また、積載シートの最上位の位置hsは、中板位置情報410とシート材高さ情報409が示すhsdから以下のように求めることができる。
hs=hsd+[中板位置情報] (2)
【0032】
次に、S2で模擬時刻の進行を待つ。模擬時刻はシミュレーション開始時に0、又は、初期値に設定され、模擬動作は模擬時間での1単位時間ずつ進行する。S2で模擬時刻が1単位時間進行するとS3に進み、離間距離算出部107は、CPUシミュレータ101からの制御信号を取得する。S4で、離間距離算出部107は、制御信号に基づきピックアップローラ302の周面位置hrを求め、S5で積載シートの最上位の位置hsを求める。ピックアップローラ302の周面位置hrは、制御信号が示すピックアップモータ311の駆動状態等に基づき、ピックアップカム機構312のカムの回転角を求めることにより決定できる。また、積載シートの最上位の位置hsは、リフタモータ308の駆動状態により求めた中板306の位置と、カセット情報生成部404が保持するシート材高さ情報hsdから求めることができる。
【0033】
そして、離間距離算出部107は、S6において、離間距離hrsを、
hrs=hr−hs (3)
として求める。
【0034】
図1に戻り、速度伝達率算出部108は、離間距離情報に基づき、速度伝達率を求める。本実施形態においては、ピックアップローラ302の離間距離hrsに搬送可能範囲を定義し、その範囲内でのみ搬送可能、すなわち、速度伝達率100%、範囲外では搬送不能、すなわち、速度伝達率0%とする処理を行う。搬送可能範囲は、速度伝達率算出部108に対してあらかじめ定義されている。搬送可能範囲の上限値をhenbとすると速度伝達率は以下のように定義される。
hrs > henb:速度伝達率:0%
hrs ≦ henb:速度伝達率:100%
【0035】
例えば、CPUシミュレータ101が、図4に示すタイミングチャートに従って搬送機構の各部を制御するものとする。離間距離算出部107は、単位時間毎に離間距離hrsを求める。例えば、ピックアップソレノイド310の駆動から模擬時間上のTx時間(Tx<T3)後の時点で、ピックアップカム機構312の回転角が115°であったとする。この場合、ピックアップローラ302の位置hrは図7より0.43mmとなる。一方、この時点での積載シート最上位の位置置hsが−0.8mmであったとする。この場合、離間距離算出部107は離間距離としてhrs=1.23mmを出力する。
【0036】
例えば、henbが1.00mmであるとすると、速度伝達率算出部108は、hrs=1.23mmから、速度伝達率を0%と判定する。よって、シート材速度算出部103が出力するピックアップローラ302によるシート材の速度は0となる。1単位時間後にピックアップカム機構312の回転角が117°であるものとすると、ピックアップローラ302の位置hrは0mmとなる。一方、この間、リフタモータ308の駆動が無く、シート材の消費もない場合、積載シート材の最上位の位置hsは変わらず−0.8mmとなる。この場合、離間距離算出部107は離間距離としてhrs=0.8mmを出力する。したがって、速度伝達率算出部108は、速度伝達率を100%と判定する。よって、シート材速度算出部103は、シート材がピックアップローラ302の搬送機能速度で搬送されているものとしてシート材速度情報を出力する。
【0037】
(第二実施形態)第一実施形態において、速度伝達率算出部108は、ピックアップローラ302の離間距離hrsが搬送可能範囲内にあるときは速度伝達率を100%とし、範囲外では速度伝達率を0%とする処理を行っている。
【0038】
しかし、実際の装置においてはピックアップローラ302がシート材に接触する過程の接触圧が低い状態では滑りが発生する。すなわち、実際の装置においてはピックアップローラ302の下降過程において搬送機能の速度伝達率が0%から直ちに100%に変化することはほとんどなく、ピックアップローラ302の離間距離が小さくなるに従い速度伝達率は徐々に上昇する。
【0039】
本実施形態において、速度伝達率算出部108は、ピックアップローラ302の離間距離に応じて速度伝達率を段階的に変化させ、より実際に近い動作を模擬する。以下、第一実施形態との相違点について説明する。図9は、本実施形態における、例示的な、離間距離hrsと速度伝達率の関係(第3のデータ)を示している。図9においては、搬送可能範囲の上限値henbの1/10刻みで速度伝達率を変更している。負の値の離間距離は、ピックアップローラ302がシート材を押しつけている状態である。
【0040】
図10は、本実施形態における速度伝達率算出部108での伝達率算出処理のフローチャートである。速度伝達率算出部108は、S11で模擬時刻の進行を待ち、模擬時刻が1単位進行すると、S12で、離間距離情報を取得する。速度伝達率算出部108は、S13で離間距離hrsと上限値henbを比較する。離間距離hrsが上限値henbより大きい場合、速度伝達率算出部108は、S16において速度伝達率を0とする。一方、S13で離間距離hrsが上限値henb以内である場合、速度伝達率算出部108は、図9に示す関係から、速度伝達率を算出する。最後に速度伝達率算出部108は、速度伝達率を示す速度伝達率情報をS15において出力する。
【0041】
上記実施形態においては、離間距離の変化に対して速度伝達率を一定比率で変化させているが、変化のさせ方は任意である。また、例えば、以下の計算式により速度伝達率を変化させる形態であっても良い。
[速度伝達率]=100×(1−hrs/henb)
さらに、シート材の種類に応じても速度伝達率を変化させる形態とすることもできる。
【0042】
(第三実施形態)第一実施形態及び第二実施形態では、ピックアップローラ302の離間距離に応じて速度伝達率を算出していた。しかし、実際の装置においてはシート材と他のシート材離接機構の部材との位置関係によってシート材の搬送に関する挙動が変化する場合がある。
【0043】
例えば、図11において、最上位のシート材、つまり搬送対象のシート材が分離斜面316より低い場合、ピックアップローラ302が十分な搬送力をシート材に伝達したとしても、カセット先端部に用紙が引っかかってしまいシート材を送り出すことができない。また、シート材の位置が高すぎると周囲の部材との干渉や、分離斜面316でシート材を適切に捌くことができないことによる重送の発生等により正常な給送が行えなくなる。
【0044】
このように、カセット301には、正常なシート材の給送処理を可能とする範囲が規定される。図11において、搬送基準位置に対して正負側の給送限界位置をそれぞれhul(第1の閾値)、hll(第2の閾値)とすると、
hll≦hs≦hul (4)
であることが正常なシート材給送を保証する条件となる。
【0045】
よって、センサ315の検出位置hsnsは、
hll<hsns<hul (5)
の範囲内となる。
【0046】
シート材搬送装置は、センサ315の信号を監視し、hsdの減少によりセンサ315がシート材を検知しなくなった場合、リフタモータ308を駆動してリフタ機構309により中板306を上昇させる。そして、センサ315がシート材を検出した後から所定量だけ中板306の上昇を継続させて停止する。また、中板306の上昇制御を行った直後の最上位のシート材の位置hcntは、以下の条件を満たす必要がある。
hcnt<hul (6)
【0047】
本実施形態において、離間距離算出部107は、離間距離hrsに加えて、積載シートの最上位の位置hsを示す情報も出力する。
【0048】
速度伝達率算出部108は、例えば、伝達率を以下のように決定する。なお、給送限界位置hll及びhulは、カセットの仕様に応じてあらかじめ定めておく。
hs > hul:伝達率:0%
hs < hll:伝達率:0%
hll ≦ hs ≦ hul:伝達率:100%
【0049】
なお、第ニ実施形態と同様に、hsに応じて複数の伝達率を使用する形態であっても良い。
【0050】
なお、ピックアップローラ302によるシート材の給送により本発明を説明したが、本発明は、シート材と、シート材の搬送部材との距離を制御し、距離に応じて搬送挙動が変化するシート材搬送装置の模擬を行う情報処理装置に適用できる。また、第三実施形態においては、カセット301のシート材の最上位の位置により本発明を説明した。しかしながら、本発明は、シート材の搬送方向と異なる方向に対するシート材の位置により搬送挙動が変化するあらゆるシート材搬送装置の模擬を行う情報処理装置に適用できる。
【0051】
以上、離間距離算出部107が、シート材とピックアップローラ302との離間距離を算出し、算出した離間距離から、ピックアップローラ302の速度伝達率を算出して、ピックアップローラ302による搬送されるシート材の速度を算出する。この構成により、シート材離接機構を有するシート材搬送装置の動作を模擬することが可能となる。
【0052】
なお、ピックアップローラ302をシート材の方向に移動させるピックアップカム機構312の状態とピックアップローラ302のシート材の方向における位置の関係を示すデータを予めピックアップカム機構定義部407に保存しておく。この構成により離間距離を簡易に算出することができる。また、中板306をピックアップローラ302の方向に移動させるリフタモータ308の駆動量と、中板306の移動量との関係を示すデータを予めリフタ機構定義部408に保存しておく。この構成により離間距離を簡易に算出することができる。
【0053】
さらに、速度伝達率は、離間距離と速度伝達率の関係を示す第3のデータを予め保存しておくことで、或いは、離間距離と速度伝達率の関係を示す計算式から簡易に計算することができる。さらに、中板306に積載される搬送対象のシート材の、ピックアップローラ302の方向における位置を算出し、この位置が所定の範囲にない場合、速度伝達率を0とすることで、より正確な模擬動作が可能になる。
【0054】
(その他の実施形態)また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材搬送装置を制御する制御部の動作を模擬する第1のシミュレータと、該シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する第2のシミュレータと、を有する情報処理装置であって、
前記第2のシミュレータは、
前記第1のシミュレータが出力する制御信号から、シート材と、前記シート材を搬送する搬送部材との距離である離間距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段が算出する前記離間距離から、前記搬送部材による速度伝達率を算出する伝達率算出手段と、
前記搬送部材の速度と、前記搬送部材の速度伝達率から、前記搬送部材により搬送される前記シート材の速度を算出する速度算出手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記搬送部材を前記シート材の方向に移動させる第1の駆動源の状態と、前記搬送部材の前記シート材の方向における位置との関係を示す第1のデータを保持しており、
前記距離算出手段は、前記離間距離の算出に前記第1のデータを使用することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記シート材を積載する積載部材を前記搬送部材の方向に移動させる第2の駆動源の駆動量と、前記積載部材の移動量との関係を示す第2のデータを保持しており、
前記距離算出手段は、前記離間距離の算出に前記第2のデータを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記伝達率算出手段は、離間距離と速度伝達率の関係を示す第3のデータを保持しており、前記速度伝達率の算出に、前記第3のデータを使用することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記伝達率算出手段は、離間距離と速度伝達率の関係を示す計算式から前記速度伝達率を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記距離算出手段は、積載部材に積載される搬送対象のシート材の前記搬送部材の方向における位置を算出し、該搬送対象のシート材の前記搬送部材の方向における位置が所定の範囲にない場合、速度伝達率を0とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
シート材搬送装置を制御する制御部の動作を模擬する第1のシミュレータと、該シート材搬送装置のシート材の搬送部の動作を模擬する第2のシミュレータと、を有する情報処理装置であって、
前記第2のシミュレータは、
前記第1のシミュレータが出力する制御信号から、シート材と、前記シート材を搬送する搬送部材との距離である離間距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段が算出する前記離間距離から、前記搬送部材による速度伝達率を算出する伝達率算出手段と、
前記搬送部材の速度と、前記搬送部材の速度伝達率から、前記搬送部材により搬送される前記シート材の速度を算出する速度算出手段と、
を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記搬送部材を前記シート材の方向に移動させる第1の駆動源の状態と、前記搬送部材の前記シート材の方向における位置との関係を示す第1のデータを保持しており、
前記距離算出手段は、前記離間距離の算出に前記第1のデータを使用することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記シート材を積載する積載部材を前記搬送部材の方向に移動させる第2の駆動源の駆動量と、前記積載部材の移動量との関係を示す第2のデータを保持しており、
前記距離算出手段は、前記離間距離の算出に前記第2のデータを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記伝達率算出手段は、離間距離と速度伝達率の関係を示す第3のデータを保持しており、前記速度伝達率の算出に、前記第3のデータを使用することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記伝達率算出手段は、離間距離と速度伝達率の関係を示す計算式から前記速度伝達率を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記距離算出手段は、積載部材に積載される搬送対象のシート材の前記搬送部材の方向における位置を算出し、該搬送対象のシート材の前記搬送部材の方向における位置が所定の範囲にない場合、速度伝達率を0とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−43720(P2013−43720A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180842(P2011−180842)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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