説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】重複処理を防止した情報処理装置を提供すること。
【解決手段】データに対し一又は複数の処理が実行可能なものであって、前記処理を特定する文字列がフォルダ名(PRINT,Copies=5)として付された第1フォルダ31であり、記憶手段に記憶された該第1フォルダ31内にデータ32が格納されている場合に、データ32に対し第1フォルダ名の文字列で特定される処理を実行する処理実行手段と、処理実行手段による処理が実行されたことを条件としてデータ32を第1フォルダ31から第2フォルダへ移動させるデータ移動手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データに対し所定の処理を実行可能な情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリに保存されたデータに対し所定の動作を実行させる装置として、例えば、特開2006−121573号公報に記載されているものがある。これは、外部メモリに存在するディレクトリ名を電話番号にすることによって、そのディレクトリ内のファイル(データ)を、その電話番号にファックス送信するファクシミリ装置である。
【特許文献1】特開2006−121573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような構成を採用することにより、外部メモリをファクシミリ装置に挿入するだけで、ファクシミリを送信することができ、利用者は電話番号入力といった煩雑な作業を省くことができる。しかしながら、次のような点で問題点があり更に改善の必要が生じていた。
すなわち、前述したようにデータが保存された外部メモリでは、一連の処理が終了した場合であっても、一旦装置から外した外部メモリを再度装着すると、改めてデータが読み出され、全てのファイルについて送信処理が行われてしまう。受信者側では同じファックスを重複して受け取ることになってしまう。
【0004】
また、前述したように外部メモリに保存したデータをファックス送信する場合、送信中に装置のトラブルによって送信エラーが発生し、全てのファイルについて送信が完了しない場合が生じ得る。そうした場合には、装置の復旧を待って、或いは別の装置によって再度送信しなければならないが、やはり改めてデータが読み出され、全てのファイルについて送信処理が行われると、送信完了までに時間を要するとともに、受信者側では同じファックスを重複して受け取ることになる。
なお、こうした重複処理の問題は、ファックス送信処理に限らず、外部メモリ内のデータを読み取って印刷する印刷処理などにも起こり得る。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、重複処理を防止した情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る情報処理装置は、データに対し一又は複数の処理を実行可能なものであって、前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付された第1フォルダであり、記憶手段に記憶された該第1フォルダ内にデータが格納されている場合に、前記データに対し前記第1フォルダ名の文字列で特定される前記処理を実行する処理実行手段と、前記処理実行手段による処理が実行されたことを条件として、前記データを前記第1フォルダから第2フォルダへ移動させるデータ移動手段とを備えたことを特徴とする。
なお、記憶手段は、情報処理装置に内蔵されていてもよいし、外部装置として構成された情報処理装置と通信可能に接続されるよう構成されていてもよい(以下についても同様である)。また、「処理実行手段による処理が実行されたこと」とは、処理の開始指示から実際の処理が完了したときの間を含むものである。
【0007】
請求項2に係る情報処理装置は、請求項1に記載するものであって、前記第2フォルダは、前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付されており、前記処理実行手段は、前記第1フォルダに格納されたデータに対し該第1フォルダ名の文字列で特定される処理を実行し、該処理の実行に伴い前記データ移動手段により前記第2フォルダへ移動された前記データに対し該第2フォルダ名の文字列で特定される処理を実行するものであることを特徴とする。
請求項3に係る情報処理装置は、請求項1又は請求項2に記載するものであって、前記フォルダ名として、前記処理を特定する文字列に加え、該処理の実行範囲を示す実行範囲情報が付されており、前記処理実行手段は、前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行するものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る情報処理装置は、データに対し一又は複数の処理を実行可能な情報処理装置であって、前記処理を特定する文字列および該処理の実行範囲を示す実行範囲情報がフォルダ名として付されたフォルダであり、記憶手段に記憶された該フォルダ内にデータが格納されている場合に、前記フォルダのフォルダ名として付された実行範囲情報を前記データのデータ名に付加する実行範囲情報付加手段と、前記データに対し前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行する処理実行手段と、前記実行範囲情報が前記フォルダ名の文字列で特定される処理を段階的に実行することを示す情報であった場合、前記処理実行手段により前記データに対し段階的な処理が行われる度に、前記データ名に付加された実行範囲情報を段階的な処理の実行に基づいて書き換える書換手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る情報処理装置は、請求項4に記載するものであって、前記フォルダに格納されているデータのデータ名に実行範囲情報が付加されている場合には、前記フォルダの実行範囲情報を該データ名に付加することなく、前記処理実行手段は、既に付加されている実行範囲情報に基づいて処理を実行することを特徴とする。
請求項6に係る情報処理装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載するものであって、前記データから前記処理を実行するために作成した中間データを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段を備え、前記処理実行手段は、前記記憶手段に前記中間データが記憶されている場合には、該中間データを利用して処理を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項7に係る情報処理プログラムは、データに対し一又は複数の処理を情報処理装置に実行させるものであって、前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付された第1フォルダであり、記憶手段に記憶された該第1フォルダ内にデータが格納されている場合に、前記データに対し前記第1フォルダ名の文字列で特定される前記処理を実行し、前記処理が実行されたことを条件として、前記データを前記第1フォルダから第2フォルダへ移動させることを特徴とする。
【0011】
請求項8に係る情報処理プログラムは、データに対し一又は複数の処理を情報処理装置に実行させるものであって、前記処理を特定する文字列および該処理の実行範囲を示す実行範囲情報がフォルダ名として付されたフォルダであり、記憶手段に記憶された該フォルダ内にデータが格納されている場合に、前記フォルダのフォルダ名として付された実行範囲情報を前記データのデータ名に付加し、前記データに対し前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行し、前記実行範囲情報が前記フォルダ名の文字列で特定される処理を段階的に実行することを示す情報であった場合、前記データに対し段階的な処理が行われる度に、前記データ名に付加された実行範囲情報を段階的な処理の実行に基づいて書き換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
よって、請求項1に係る情報処理装置によれば、第1フォルダに格納されたデータに対し第1フォルダ名で特定される処理が実行されたことを条件に、そのデータを第2フォルダに移動させるようにしたので、再度処理実行手段による処理が実行されたとしても、第1フォルダ内にはデータが存在しないため、既に行った処理を繰り返し行ってしまうという無駄をなくすことができる。なお、この場合、第2フォルダにはルートディレクトリも含まれる。
請求項2に係る情報処理装置は、第1フォルダに格納されたデータに対し第1フォルダ名で特定される処理が実行されると、続けて、処理を特定するフォルダ名が付された第2フォルダにデータが移動し、第2フォルダ名で特定される処理が実行されるので、例えばファックス送信処理や印刷処理を順に実行することができ、全部の処理が終了しない場合でも既に行われた処理が繰り返されることはない。
請求項3に係る情報処理装置によれば、実行範囲情報に基づいて処理されるので、例えば、印刷部数や印刷用紙サイズなどを実行範囲情報としてフォルダ名に付しておけば、処理の詳細設定が可能となる。
【0013】
請求項4に係る情報処理装置によれば、フォルダ名の実行範囲情報をフォルダに格納されるデータのデータ名に付加するとともに、実行範囲情報が段階的に処理を実行することを示す情報であった場合、段階的に実行される処理の内、一の処理が実行される度にデータ名に付された実行範囲情報が書き換えられる。例えば、実行範囲情報が印刷部数であった場合、印刷処理が実行される度に、印刷部数が1ずつ減算するように書き換える。よって、既に処理した処理情報(例えば、印刷部数)をフォルダに格納されるデータに持たせることができる。
請求項5に係る情報処理装置によれば、データのデータ名に実行範囲情報が付加されていれば、既に付されたその実行範囲情報に基づいて処理を実行するので、例えば5部のうち2部しか印刷されていない場合に、別装置を使用しても残りの3部を印刷することができるため、重複した処理を繰り返し行ってしまうという無駄をなくすことができる。
請求項6に係る情報処理装置によれば、中間データを記憶手段に記憶して、それを読み出して処理を実行するようにしたので、別の装置で処理を実行する場合でも処理完了までの時間を短縮することが可能である。
【0014】
また、請求項7に係る情報処理プログラムによれば、第1フォルダに格納されたデータに対し第1フォルダ名で特定される処理が実行されたことを条件に、そのデータを第1フォルダから外に移動させるようにしたので、再度処理実行手段による処理が実行されたとしても、第1フォルダ内にはデータが存在しないため、既に行った処理を繰り返し行ってしまうという無駄をなくすことができる。
更に、請求項8に係る情報処理プログラムによれば、フォルダ名の実行範囲情報をフォルダに格納されるデータのデータ名に付加するとともに、実行範囲情報が段階的に処理を実行することを示す情報であった場合、段階的に実行される処理の内、一の処理が実行される度にデータ名に付された実行範囲情報が書き換えられる。例えば、実行範囲情報が印刷部数であった場合、印刷処理が実行される度に、印刷部数が1ずつ減算するように書き換える。よって、既に処理した処理情報(例えば、印刷部数)をフォルダに格納されるデータに持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明に係る情報処理装置及び情報処理プログラムの一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の情報処理装置について構成を示したブロック図である。
この情報処理装置1は、例えばユーザがパーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)などで作成した文書や描画などの画像を、外部メモリにデータとして記憶したものを、情報処理装置1を使用して印刷したり、ファックス送信を行う。すなわち、情報処理装置1は、外部メモリ20からデータを読み出し、その読み出したデータの内容を印刷したりファックス送信することなどが可能な装置である。
【0016】
その情報処理装置1は、制御プログラムを記憶するROM11や処理中のデータなどを一時的に記憶するRAM12、ユーザの操作指示を入力する入力部13、電話回線やインターネット回線を介してデータを送受信する通信部14、更に外部メモリ20が装着可能な外部メモリ挿入部15、また、処理内容や入力されたデータなどの必要な情報をユーザに提示するための表示部16や、画像データなどの印刷を実行する印刷部17、更にこうしたROM11,RAM12、入力部13、通信部14、外部メモリ挿入部15、表示部16および印刷部17を制御する制御部(CPU)10を備えている。以下、適宜、この情報処理装置1の構成を示して説明する。
【0017】
外部メモリ20は、例えばUSBメモリであり、各種データを記憶可能な記憶領域を備えている。外部メモリ挿入部15にはUSBスロットが形成され、ROM11内にはUSBメモリを記憶装置として認識して制御するドライバプログラムが格納されている。なお、外部メモリ20としては、USBメモリの他にも、メモリスティック(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)等を用いることができ、外部メモリ挿入部15には対応するスロットが形成され、ROM11内にはそれぞれを記憶装置として認識して制御するドライバプログラムが格納されている。
【0018】
次に、情報処理装置1の処理動作について、特に印刷及びファックス送信を例に挙げて説明する。ここで、図2は印刷及びファックス送信のための準備段階を示したフローチャート図である。
先ず、ユーザがPCを使用して文書や描画などの画像を作成すると、そのデータを保存するためPCにUSBメモリ20を装着する(S101)。PCは図示しないが、情報処理装置1と同様にUSBメモリ20が着脱可能な外部メモリ挿入部を備えている。そして、そのUSBメモリ20の記憶領域には、図5(a)に示すように、作成したデータを保存するための新たなフォルダを作成し(S102)、そのフォルダのフォルダ名を例えば「PRINT,Copies=5」とする。
【0019】
このフォルダ名は、フォルダに格納するデータを、情報処理装置1によって印刷処理することを目的とし、その実行範囲が印刷部数5であることを示している。また、そのデータを情報処理装置1によってファックス送信する場合には、フォルダに「FAX,Copies=5」といったフォルダ名を付ける。これは、データをファックス送信することが目的であり、その実行範囲が送信部数5であることを示している。
こうした文字列をフォルダ名として付すのは、本実施形態の情報処理装置1がフォルダ名に基づいて所定の処理を実行するものだからである。すなわち、ROM11にはフォルダ名として設定され得る所定の文字列と、そのフォルダに格納されるデータに対する処理とが予め対応付けて記憶されており、CPU10によってフォルダ名が判断され、対応する場合に所定の処理が実行されるよう構成されているからである。
【0020】
USBメモリ20の記憶領域にフォルダを作成した後は、図5(b)に示すように、フォルダ名を付したフォルダ(ここでは印刷を目的とした印刷フォルダ)内に、PCで作成したデータを、例えばデータ名を「A.jpg」としてコピーする(S103)。そして、データがコピーされた後は、そのUSBメモリ20をPCから取り外し、図1に示すように情報処理装置1へと装着する(S104)。すなわち、情報処理装置1にはUSBメモリ用の外部メモリ挿入部15が形成されているため、USBメモリ20をそこへ装着する。すると情報処理装置1では、そのUSBメモリ20に格納されたデータがドライバによって読み出され、フォルダ名に従って印刷処理やファックス送信処理が実行される。
【0021】
そこで次に、情報処理装置1によって実行される印刷処理やファックス送信処理について説明する。図3は、その情報処理装置1によって行われる印刷処理やファックス送信処理を示したフローチャートである。このフローチャートに示す情報処理装置1の処理は、ROM11に記憶された画像処理プログラムの実行によって行われるものである。
【0022】
先ず、USBメモリ20が情報処理装置1の外部メモリ挿入部15に装着されたか否かの確認が行われ(S201)、装着されていなければ終了する(S201:NO)。一方、外部メモリ挿入部15にUSBメモリ20が装着されると(S201:YES)、USBメモリ20内のフォルダにデータが格納されているか否かが確認される(S202)。すなわち、そのフォルダ名から実行処理がファックス送信或いは印刷であるか否か確認され、それぞれの場合にフォルダ内にデータが格納されているか否かが確認される。
【0023】
その際、先ずファックス送信処理であり、且つフォルダ内にデータが格納されているか否かが確認される(S202)。今回のフォルダは、図5に示すように、フォルダ名が「PRINT,Copies=5」であって、データ名「A.jpg」のデータが入れられた印刷フォルダである。従って、FAXフォルダでないため(S202:NO)、次に印刷フォルダであり、且つそのフォルダ内にデータが格納されているか否かが確認される(S211)。
【0024】
印刷フォルダでもなく、また印刷フォルダであっても印刷するデータが格納されていない場合には(S211:NO)、再びS201からの処理が繰り返される。しかし、今回のように印刷フォルダであって、そこにデータが格納されていれば(S211:YES)、そのデータが読み出されてRAM12に記憶され、印刷処理が実行される。なお、このとき情報処理装置1の表示部16には、印刷処理を実行することや指定部数が5であることがユーザに確認できるよう表示される。表示部16には、この他にも処理経過などが確認できるように逐次所定の内容が表示される。
【0025】
情報処理装置1が実行する印刷処理では、データ名「A.jpg」のデータが印刷部17によって用紙に印刷される。図6は、そうした印刷処理の実行中におけるデータ管理を概念的に示した図である。
情報処理装置1では、USBメモリ20の記憶領域に記憶されている印刷フォルダ31内のデータ32が確認されると(S211:YES)、フォルダ名の「Copies=5」から、その印刷部数である「5」の数値がフォルダ31内に格納されたデータ32のデータ名「A.jpg」の末尾に付加される(S212)。すなわち、USBメモリ20内のデータ32について、データ名が「A.jpg5」に書き換えられる。本実施形態では、こうしてデータ名に印刷部数の数値を付加し、図6に示すように印刷を一回行う毎にその数値を1ずつ減らした書き換えを行うようにしている。
【0026】
そこで、印刷を実行するに当たっては先ず、データ名の数値が「0」であるか否かが確認され(S213)、「0」でない場合には(S213:NO)、印刷部17による印刷が実行される(S214)。その際、印刷が1部終了する毎にUSBメモリ20に保存されているデータのデータ名について数値が1ずつ減算され、例えば「A.jpg5」から「A.jpg4」に書き換えられる(S215)。そして、再びデータ名の数値が「0」であるか否かが確認され(S213)、「0」になるまで印刷処理(S214)と部数を1減算するデータ名の書き換え(S215)が繰り返される。よって、指定された5部の印刷が終了すると、データ名が「A.jpg0」となって残りの印刷部数を示す数値が「0」になる(S213:YES)。
【0027】
次に、こうして指定した部数の印刷が終了すると、データ名が元に戻されて「A.jpg0」から「A.jpg」になり(S216)、更に、そのデータ32が印刷フォルダ31から外(上位階層)へと移される(S217)。従って、USBメモリ20内では、「PRINT,Copies=5」のフォルダ名が付されたフォルダ31には、データ32が存在しない空の状態になる。その後、S201に戻ってもUSBメモリ20内の印刷フォルダ31にはデータ32が存在しないため(S211:NO)、S201、S202及びS211の処理がUSBメモリ20を情報処理装置1から抜き取るまで繰り返される。そして、USBメモリ20が抜き取られ、情報処理装置1に装着されていないことが確認されて(S201:NO)印刷処理が終了する。
【0028】
こうして本実施形態の情報処理装置1では、データ名に印刷の指定部数を付加し、1部印刷する毎にその数値を減らしていき、指定部数分の印刷が終了した時点で印刷フォルダ31からデータ32を外に出して格納場所を変えている(S217)。従って、その後にUSBメモリ20を情報処理装置1へ再度装着したとしても、「PRINT,Copies=5」の印刷フォルダ内にはデータ32が入っていないため(S211:NO)、既に印刷し終わったデータの印刷処理を繰り返し行ってしまうという無駄をなくすことができるようになった。なお、S203〜S208については後述する。
【0029】
次に、この情報処理装置1によってデータをファックス送信する場合について説明する。ファックス送信についても前述した印刷処理と同様に単独で行う場合もあるが、複合機である情報処理装置1では、ファックス送信処理と印刷処理とを同一データに対して行う場合もある。そこで、ここではファックス送信処理と印刷処理とを連続して行う場合について説明する。
【0030】
作成したデータを情報処理装置1によってファックス送信する場合には、前述した場合と同様に、新たに作成したフォルダに例えば「FAX,Copies=5」のフォルダ名が付けられ、そこにデータをコピーしてUSBメモリ20に記憶される。記憶されたデータがこのFAXフォルダだけの場合には、USBメモリ20を情報処理装置1へ装着することによってファックス送信処理のみが実行される。
【0031】
しかし、この他にも印刷フォルダがUSBメモリ20に保存されていれば、各フォルダが確認されて以下に説明するようなファックス送信処理に続いて印刷処理が実行される。その際、FAXフォルダと印刷フォルダを同じ階層で別々に作成する場合だけではなく、図7に示すように、データ43をコピーしたFAXフォルダ42を、更に別の印刷フォルダ41内に入れ子状態にして格納するようにしたものであってもよい。図7は、こうした入れ子状態でデータを格納した場合に、ファックス送信処理に続いて印刷処理を実行する際のデータ管理を概念的に示した図である。なお、入れ子状態とは、フォルダの中に他のフォルダを入れることをいう。
【0032】
そこで先ず、ユーザが、図2に示した処理を実行する。すなわち、図7(a)に示すような入れ子状態のフォルダをUSBメモリ20の記憶領域に作成し、そこにデータをコピーする(S101〜S105)。よって、「PRINT,Copies=5」のフォルダ名を付した印刷フォルダ41内に、「FAX,Copies=5」のフォルダ名を付したFAXフォルダ42が入れ子状にして作成され、そのFAXフォルダ42内にデータ名が「A.jpg」のデータ43がコピーされている。そして、こうしたデータ43をコピーしたUSBメモリ20が情報処理装置1の外部メモリ挿入部15に装着されると、図3に示すフローチャートに従って、次のようなファックス送信処理及び印刷処理が実行される。
【0033】
先ず、USBメモリ20が情報処理装置1の外部メモリ挿入部15に装着されたか否かの確認が行われ(S201)、装着が確認されると(S201:YES)、USBメモリ20内のフォルダにデータ43が格納されているか否かが確認される(S202)。そして今回は、図7(a)に示すようにFAXフォルダ42内にデータ43が格納されているため(S202:YES)、そのデータ43が読み出されてRAM12に記憶され、それによって先ずファックス送信処理が実行される。
【0034】
具体的な処理は、前述した印刷処理と同様にして行われる。すなわち、図7には詳しく示していないが、図6に示すようにフォルダ名の処理部数を示す数値が、そのFAXフォルダ42内のデータ43のデータ名に付加される(S203)。従って、送信部数が「5」であるため、USBメモリ20内のデータ43について、データ名が「A.jpg5」となる。そして、そのデータ名の数値が確認され(S204)、「0」でない場合(S204:NO)には通信部14によるファックス送信が実行される(S205)。
【0035】
ファックス送信が1部終了する毎にUSBメモリ20に保存されているデータ名の数値が1ずつ減算され(S206)、指定部数のファックス送信が完了してデータ名の数値が「0」になるまでS204〜S206の処理が繰り返される。そして、指定部数のファックス送信が終了すると(S204:YES)、データ名が「A.jpg」に戻され(S207)、更に、そのデータ43がFAXフォルダ42から外(上位階層)へと移され格納場所が変えられる(S208)。この場合、FAXフォルダ42が印刷フォルダ41に入れられた入れ子状態になっているため、FAXフォルダ42から外へ移されたデータ43は印刷フォルダ41に直接コピーされた状態になり、図7(b)に示すようにFAXフォルダ42は空の状態になる。
【0036】
その後、処理がS201に戻り、更にFAXフォルダ42内にはデータ43が存在しないため(S202:NO)、印刷フォルダ41内のデータ43が確認され(S211:YES)、既にRAM12に記憶されているそのデータ43について印刷処理が実行される(S212〜S215)。そして、指定部数の印刷が終了すると(S213:YES)、データ名が戻され(S216)、そのデータ43が更に印刷フォルダ41から外(上位階層)へと移される(S217)。従って、USBメモリ20内では、図7(c)に示すように印刷フォルダ41にもデータ43が存在しない空の状態になる。
【0037】
そして、FAXフォルダ42及び印刷フォルダ41内にはデータ43が存在しないため(S202:NO,S211:NO)、S201、S202及びS211の処理が情報処理装置1からUSBメモリ20が抜き取られるまで繰り返される。そして、USBメモリ20が情報処理装置1に装着されていないことが確認されることによって(S201:NO)ファックス送信処理及び印刷処理が終了する。
【0038】
よって、情報処理装置1では、指定部数のファックス送信や印刷を終了した時点でFAXフォルダ42や印刷フォルダ41からデータ43を外に出して格納場所を変えているので(S208,S217)、その後USBメモリ20を情報処理装置1へ再度装着したとしても、既に行ったデータ43のファックス送信や印刷を繰り返し行ってしまう無駄をなくすことができるようになった。特に、ファックス送信に続いて印刷を行う今回のような場合には、ファックス送信が終了した段階でUSBメモリ43を抜いてしまい、間違いに気づいて再度装着し直しても続きの印刷から処理が再開され、重複してファックス送信してしまうようなことはない。
【0039】
以上の説明では、印刷フォルダ41などからデータ43を外に出すことにより(S208,S217)重複した処理の繰り返しを防止していたが、更にデータ43が移動して空になったフォルダを削除するようにしてもよい。
空のフォルダを残しておくと、情報処理装置1は、USBメモリ20が挿入される度にフォルダ名に従って処理を実行しようとそのフォルダの中のデータを検索してしまう。従って、フォルダを削除することにより、そうした無駄な検索をなくすことができ、より情報処理装置1への負荷を低下させることができる。
【0040】
ところで、PCがLANによって情報処理装置1に接続されているような場合には、PCで作成したデータを情報処理装置1が備える共有フォルダに送ってファックス送信処理や印刷処理が行われる。すなわち、PCによって作成されたデータは、ファックス送信や印刷などの処理目的と、その部数の数値を表記したフォルダ名のフォルダにコピーして共有フォルダ内に送られる。そして、そのデータに対して、情報処理装置1によって図3に示すファックス送信処理や印刷処理が実行される。そして、指定部数のファックス送信や印刷が終了すれば、データはFAXフォルダや印刷フォルダから外へ出されるため、共有フォルダ内にFAXフォルダや印刷フォルダが存在していても繰り返し、ファックス送信や印刷が繰り返されることはない。
【0041】
次に、前述したようにPCで作成したデータをファックス送信や印刷する場合、情報処理装置1では、このデータからファックス送信や印刷に適した中間データが作成され、その中間データに基づいてファックス送信や印刷が実行される。従って、ファックス送信や印刷の途中でエラーが発生してしまい別の情報処理装置1で処理を実行しようとした場合には、改めて中間データをその情報処理装置1で作成する必要があった。また、故障などによってファックス送信処理や印刷処理が途中で止められてしまい、別の情報処理装置1によって当該処理目的を達成しようとする場合には、未処理分のみのファックス送信や印刷が行われることが好ましい。
【0042】
そこで、次にファックス送信や印刷処理が最終部数まで行われなかった場合であって、途中から別の情報処理装置1によって処理を継続する場合に対応した情報処理装置1を説明する。図4は、別の情報処理装置1に切り替えて印刷処理を継続する場合のフローチャートを示した図である。情報処理装置1には、この処理を実行するための制御プログラムがROM11に格納されている。なお、ここでは印刷処理についてのみ説明するが、ファックス送信においても同様にして行われる。また、印刷処理やファックス送信処理は、概ね図3に示した処理と同様であり、今回も図5に示すようにデータをUSBメモリ20に保存し、そのデータを印刷する場合について説明する。
【0043】
先ずUSBメモリ20の装着確認が行われ(S301)、装着が確認されると(S301:YES)、USBメモリ20内のフォルダにデータが格納されているか否かが確認される(S302)。そして、印刷フォルダ内にデータが格納されていれば(S302:YES)、データが読み出されてRAM12に記憶され、それによって印刷処理が実行される。また、ここでは特に印刷フォルダ内に格納されたデータのデータ名に、図6に示すように部数が付加されているか否かが確認される(S303)。このUSBメモリ20が、同機種の情報処理装置1による印刷処理の実行途中に抜かれたものであれば、既にデータ名に部数が付加されているからである。
【0044】
そこで、既にデータ名に部数が付加されていれば(S303:YES)、その数値が「0」であるかが確認される(S305)。例えば、先の印刷処理の実行によって2部の印刷が終了していればデータ名の部数は「3」であるため、残り3部の印刷が実行される。その一方で、当該印刷フォルダを格納したUSBメモリ20が最初に装着された場合は、データ名に部数が付加されていないので(S304:NO)、指定部数の数値がデータ名に付加される(S304)。
【0045】
そして、データ名の数値が「0」でなければ(S305:NO)印刷処理が実行されるが、印刷に当たっては、データからこの情報処理装置1による印刷処理に適した中間データが作成される。ただし、USBメモリ20に保存されている中間データが読み取られている場合もあるため、先ず中間データの存在が確認され(S306)、存在する場合(S306:YES)には、その中間データを使用して印刷処理が実行される(S308)。一方、存在しない場合(S306:NO)には、中間データが作成され、それが装着しているUSBメモリ20に保存される(S307)。なお、中間データが存在する場合とは、別の情報処理装置1のS307処理によって既に中間データが作成及び保存されている場合であって、中間データが存在しない場合とは、処理対象となるデータがUSBメモリ20に保存された後、初めて情報処理装置1にそのUSBメモリ20が装着された場合である。
【0046】
中間データが得られると、それに基づいて印刷処理が行われ(S308)、印刷が1部終了すると、図6に示すようにデータ名の数値が1減算され(S309)、その数が「0」になるまで印刷処理が繰り返される(S305〜S309)。そして、指定部数の印刷が終了してデータ名の数値が「0」になると(S305:YES)、データ名が元に戻され(S310)、更にそのデータ32が印刷フォルダ31から外(上位階層)へと移される(S311)。従って、USBメモリ20内では、印刷フォルダ31もデータ32が存在しない空の状態になる。また、印刷が指定部数分行われた後は、中間データが不要になるためUSBメモリ20に保存された中間データが削除される(S312)。
【0047】
よって、本実施形態の情報処理装置1では、処理毎にUSBメモリ20内のデータ名に付した部数の数値を減算し(S309)、USBメモリ20が装着された場合には、そうしたデータ名の部数指定を確認するようにしているので(S303)、印刷処理やファックス処理の途中で別の情報処理装置1にUSBメモリ20が移されても、部数指定の数値を基に残りの部数のみを印刷或いはファックス送信することができる。そのため、情報処理装置1を換えて処理を継続しても、当初希望した部数分の印刷やファックス送信を行うことができ、重複した処理による無駄を無くすことが可能になった。
【0048】
また、中間データを作成してUSBメモリ20に保存するようにしているので(S307)、印刷処理やファックス処理の途中で別の情報処理装置1にUSBメモリ20が移されても、改めて中間データを作成する必要がなく、USBメモリ20内の中間データを使用して印刷或いはファックス送信することができる。そのため、情報処理装置1を換えて処理を継続した場合に、処理を完了するまでの時間を短縮することが可能になった。
【0049】
以上、本発明に係る情報処理装置及び情報処理プログラムの一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態の情報処理装置1は、通信部14と印刷部17を有するいわゆる複合機であるが、一つの機器からなる複写機やファクシミリ装置であってもよい。
また、前記実施形態は、フォルダ名に部数指定をしてその数値を減算する場合を説明したが、例えば、複数の相手にファックス送信を行う場合には、実行範囲は部数ではなく複数の送信先になる。そのため、複数の電話番号をフォルダ名に付加し、ファックス送信を行う毎に送信済の電話番号を削除するようにしたものであってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、PCなどで作成した文書や描画などの画像に関するデータについて説明したが、それに限るものではなく、情報処理装置が読み取り及び処理可能なデータ形式であればテキストデータなどであってもよい。
更に、実施形態では、第1フォルダが第2フォルダに入れられたものを示して説明したが、フォルダ同士がこうした入れ子状態になっている必要はない。例えば、第1フォルダ名にデータの移動先である第2フォルダを文字列に付しておき、データ移動手段が、その文字列に従い、第1フォルダでの処理終了後に、データを第2フォルダへ移動させるように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態の情報処理装置について構成を示したブロック図である。
【図2】印刷及びファックス送信のための準備段階を示したフローチャートである。
【図3】実施形態の情報処理装置による印刷やファックス送信の実行を示したフローチャートである。
【図4】別の情報処理装置に切り替えて印刷処理を継続する場合のフローチャートを示した図である。
【図5】データを格納するフォルダを概念的に示した図である。
【図6】印刷処理の実行中におけるデータ管理を概念的に示した図である。
【図7】フォルダを入れ子状態にした場合の処理実行中におけるデータ管理を概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0052】
1 情報処理装置
10 制御部
11 ROM
12 RAM
13 入力部
14 通信部
15 外部メモリ挿入部
16 表示部
17 印刷部
20 USBメモリ
31 印刷フォルダ
32 データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データに対し一又は複数の処理を実行可能な情報処理装置であって、
前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付された第1フォルダであり、記憶手段に記憶された該第1フォルダ内にデータが格納されている場合に、
前記データに対し前記第1フォルダ名の文字列で特定される前記処理を実行する処理実行手段と、
前記処理実行手段による処理が実行されたことを条件として、前記データを前記第1フォルダから第2フォルダへ移動させるデータ移動手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載する情報処理装置において、
前記第2フォルダは、前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付されており、
前記処理実行手段は、前記第1フォルダに格納されたデータに対し該第1フォルダ名の文字列で特定される処理を実行し、該処理の実行に伴い前記データ移動手段により前記第2フォルダへ移動された前記データに対し該第2フォルダ名の文字列で特定される処理を実行する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する情報処理装置において、
前記フォルダ名として、前記処理を特定する文字列に加え、該処理の実行範囲を示す実行範囲情報が付されており、
前記処理実行手段は、前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行するものである
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
データに対し一又は複数の処理を実行可能な情報処理装置であって、
前記処理を特定する文字列および該処理の実行範囲を示す実行範囲情報がフォルダ名として付されたフォルダであり、記憶手段に記憶された該フォルダ内にデータが格納されている場合に、
前記フォルダのフォルダ名として付された実行範囲情報を前記データのデータ名に付加する実行範囲情報付加手段と、
前記データに対し前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行する処理実行手段と、
前記実行範囲情報が前記フォルダ名の文字列で特定される処理を段階的に実行することを示す情報であった場合、前記処理実行手段により前記データに対し段階的な処理が行われる度に、前記データ名に付加された実行範囲情報を段階的な処理の実行に基づいて書き換える書換手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載する情報処理装置において、
前記フォルダに格納されているデータのデータ名に実行範囲情報が付加されている場合には、前記フォルダの実行範囲情報を該データ名に付加することなく、前記処理実行手段は、既に付加されている実行範囲情報に基づいて処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する情報処理装置において、
前記データから前記処理を実行するために作成した中間データを前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段を備え、
前記処理実行手段は、前記記憶手段に前記中間データが記憶されている場合には、該中間データを利用して処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
データに対し一又は複数の処理を情報処理装置に実行させる情報処理プログラムであって、
前記処理を特定する文字列がフォルダ名として付された第1フォルダであり、記憶手段に記憶された該第1フォルダ内にデータが格納されている場合に、
前記データに対し前記第1フォルダ名の文字列で特定される前記処理を実行し、
前記処理が実行されたことを条件として、前記データを前記第1フォルダから第2フォルダへ移動させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項8】
データに対し一又は複数の処理を情報処理装置に実行させる情報処理プログラムであって、
前記処理を特定する文字列および該処理の実行範囲を示す実行範囲情報がフォルダ名として付されたフォルダであり、記憶手段に記憶された該フォルダ内にデータが格納されている場合に、
前記フォルダのフォルダ名として付された実行範囲情報を前記データのデータ名に付加し、
前記データに対し前記フォルダ名の文字列で特定される前記処理を前記実行範囲情報に基づいて実行し、
前記実行範囲情報が前記フォルダ名の文字列で特定される処理を段階的に実行することを示す情報であった場合、前記データに対し段階的な処理が行われる度に、前記データ名に付加された実行範囲情報を段階的な処理の実行に基づいて書き換えることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−225917(P2008−225917A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64097(P2007−64097)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】