説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】消費電力を正確に測定して表示することを目的とする。
【解決手段】増幅回路48に設けた複数の抵抗Ra、Rb、Rcの通電状態をスイッチS1、S2のオンオフを制御することによって、レンジ調整を行う。また、レンジの選択するためのスイッチのオンオフは、画像形成装置の状態毎に消費電力が予め分るため、電力変換部44が状態情報を取得した際に、画像形成装置の状態に応じてスイッチS1、S2のオンオフを制御することにより、消費電力測定のためのレンジを予め選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の技術では、コピーモードやプリントモード等の複数のモードを備えた画像形成装置において、各動作モード毎の動作時間を計時して時間データとして記憶しておき、該計時された時間データと各モード毎の目安の消費電力とに基づき、各動作モード毎の消費電力を算出してログ情報を作成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−330639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、消費電力を正確にかつ迅速に測定して表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の情報処理装置は、消費電力を測定する測定手段と、消費電力がそれぞれ異なる装置の状態毎に、測定範囲が予め定めた範囲になるように、前記測定手段による測定範囲を調整する調整手段と、前記調整手段によって調整された測定範囲で測定した前記測定手段による測定結果から消費電力の電力量を算出して表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた前記装置の状態毎の電力の平均値が測定範囲の中央になるように予め定めたことを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた変化量が収まるにように予め定めたことを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、前記調整手段は、前記測定手段の測定結果を表す信号を増幅するための増幅回路における増幅用の抵抗値を調整することによって前記測定手段による測定範囲を調整することを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか1項に記載の発明において、前記表示手段は、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外して前記電力量を算出して表示することを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記表示手段は、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外した消費電力の平均値から前記電力量を算出して表示することを特徴としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記表示手段は、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外の場合に、前回算出した電力量を表示することを特徴としている。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記表示手段は、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外となる場合が連続した際に、異常と判断して異常である旨を表示することを特徴としている。
【0013】
請求項9に記載の情報処理プログラムは、消費電力を測定する測定手段の測定結果を取得する取得ステップと、消費電力がそれぞれ異なる装置の状態毎に、測定範囲が予め定めた範囲になるように、前記測定手段による測定範囲を調整する調整手段によって、測定範囲を調整する調整ステップと、前記取得ステップで取得した、前記調整ステップで調整した測定範囲で測定した前記測定手段による測定結果から、消費電力の電力量を算出して表示部に表示する表示ステップと、を含む処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0014】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた前記装置の状態毎の電力の平均値が測定範囲の中央になるように予め定めたことを特徴としている。
【0015】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は請求項10に記載の発明において、前記予め定めた測定範囲の各々は、装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた変化量が収まるにように予め定めたことを特徴としている。
【0016】
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11の何れか1項に記載の発明において、前記調整ステップは、前記測定手段の測定結果を表す信号を増幅するための増幅回路における増幅用の抵抗値を調整することによって前記測定手段による測定範囲を調整することを特徴としている。
【0017】
請求項13に記載の発明は、請求項9〜12の何れか1項に記載の発明において、前記表示ステップは、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外して前記電力量を算出して表示部に表示することを特徴としている。
【0018】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記表示ステップは、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外した消費電力の平均値から前記電力量を算出して表示部に表示することを特徴としている。
【0019】
請求項15に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載の発明において、前記表示ステップは、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外の場合に、前回算出した電力量を表示部に表示することを特徴としている。
【0020】
請求項16に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載の発明において、前記表示ステップは、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外となる場合が連続した際に、異常と判断して異常である旨を表示部に表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、9に記載の発明によれば、装置の状態毎に測定範囲を調整する構成を有しない場合に比して、レンジ調整が不要になるため迅速かつ消費電力を正確に測定して表示することができる、という効果がある。
【0022】
請求項2、10に記載の発明によれば、予め測定した結果から求めた平均値が中央になるように測定範囲を予め定めない場合に比して、レンジ調整後の中心地の調整が不要になるため迅速かつ測定範囲を適正な範囲に調整することができる、という効果がある。
【0023】
請求項3、11に記載の発明によれば、測定範囲外になることを防止することができる、という効果がある。
【0024】
請求項4、12に記載の発明によれば、増幅用抵抗の抵抗値を調整する構成を有しない場合に比して、安価に測定範囲の調整を行うことができる、という効果がある。
【0025】
請求項5、6、7、13、14、15に記載の発明によれば、ノイズを除去して消費電力を表示することができる、という効果がある。
【0026】
請求項8、16に記載の発明によれば、異常を報知することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の電力供給系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置における操作表示部の消費電力を表示させるための構成例を示すブロック図である。
【図4】(A)は一次側皮相電力と一次側消費電力の対応関係の一例を示すテーブルを示す図であり、(B)は構成毎の低電源供給部の稼働数や稼働負荷を示す図である。
【図5】画像形成装置の状態毎に、オンオフするスイッチを予め定めたテーブルの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる画像形成装置の操作表示部で行われる消費電力の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】消費電力算出部で行われる一次側消費電力算出の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の概略構成を示す図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10は、図1に示すように、メインコントローラ18を含んで構成されている。
【0030】
メインコントローラ18は、CPU(Csentral Processing Unit)18A、ROM(Read Only Memory)18B、RAM(Random Access Memory)18C、不揮発性メモリ18D、及び入出力インタフェース(I/O)18Eがバス18Fを介して各々接続されている。
【0031】
I/O18Eには、操作表示部20、画像読取部22、画像形成部24、用紙供給部26、用紙排出部28、電話回線インターフェース(I/F)30、ネットワークインターフェース(I/F)32、ハードディスク34、及び省電力制御装置36の各機能部が接続されている。
【0032】
操作表示部20は、例えば、コピー開始等を指示するためのスタートボタンやテンキー等の各種ボタン、コピー濃度などの画像形成条件等の処理内容を設定するための設定画面や装置の状態等の各種画面を表示するためのタッチパネル等を含んで構成されている。
【0033】
画像読取部22は、ラインCCD等の画像読取センサや当該画像読取りセンサを走査するための走査機構や原稿を読取位置へ移動するための移動機構等を含んで構成され、装置にセットされた原稿の画像を読み取る。なお、画像読取部22は、移動機構によって原稿を読取位置へ移動して読み取る自動読取と、原稿読取位置へ利用者が原稿をセットして読み取る手動読取と、が可能とされている。
【0034】
画像形成部24は、例えば所謂電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものである。具体的には、画像形成部24は、感光体ドラムを帯電するための帯電装置、帯電された感光体ドラム上へ画像に応じた光を露光することにより感光体ドラム上に画像に応じた静電潜像を形成する露光装置、感光体ドラム上に形成された静電潜像をトナー現像する現像装置、感光体ドラム上に形成された画像に応じたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写された画像に応じたトナー像を定着する定着装置、画像形成するための画像情報を処理するための画像形成情報処理部等を含んで構成される。なお、露光装置としては、半導体レーザや回転多面鏡、コリメータレンズやシリンドリカルレンズ、fθレンズ等の光学系を含んで構成された光走査装置、複数のLEDから成るLEDヘッド等を適用することができる。また、画像形成部24は、電子写真方式に限らず、インクジェット記録方式により記録媒体上に画像を形成するものを適用するようにしてもよい。
【0035】
用紙供給部26は、記録用紙が収容される用紙収容部や、用紙収容部から画像形成部24へ記録用紙供給する供給機構等を含んで構成される。なお、用紙収納部は、記録用紙の種類の異なる記録用紙を収納するために複数備え、供給機構も用紙収納部に対応して複数備える。
【0036】
用紙排出部28は、記録用紙に対して、ステープル処理や穴あけ処理等の後処理を行うフィニッシャー、記録用紙が排出される排出部、画像形成部24で画像形成された記録用紙をフィニッシャーや排出部上に排出させるための排出機構等を含んで構成される。
【0037】
電話回線I/F30は、図示しない電話回線を介して接続された他の画像形成装置とファクシミリ通信を行うためのインターフェースである。
【0038】
ネットワークI/F32は、ネットワーク等の通信手段を介してホストコンピュータ等の他の装置とデータ通信するためのインターフェースである。
【0039】
ハードディスク34は、例えば装置の各部の状態や稼働状況等のログデータ、コピーやファクシミリ通信、プリント等の処理結果のログデータ、各種の設定データ、制御プログラム等が記憶される。
【0040】
省電力制御装置36は、操作表示部20によって実行が指示された処理内容に応じて電力供給部38を制御して、処理内容を実行するために必要な各機能部へ供給する電力を制御する。
【0041】
電力供給部38は、省電力制御装置36の制御に従って、メインコントローラ18や操作表示部20、画像読取部22、用紙供給部26の供給機構、用紙排出部28の排出機構、用紙排出部28のフィニッシャー、排出機構等の各機能部への電力供給をオンオフする。
【0042】
すなわち、本実施の形態の画像形成装置10では、必要な機能部のみに電力を供給し、不必要な機能部については節電するように省電力制御装置36が電力供給部38を制御する。例えば、プリント処理の場合、画像読取部22に電力供給する必要はなく、その分電力が節約される。また、コピー処理の場合においても、例えば、操作表示部20による操作でコピー開始を指示した後にコピー動作へ移行したときに操作表示部20の表示等を停止するようにすれば、その分電力が節約される。
【0043】
このように、画像形成処理の種類によっては、全ての機能部へ電力を供給する必要はなく、必要のない部分への電力供給を停止することで部分的に節電される。
【0044】
図2は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の電力供給系の構成を示すブロック図である。
【0045】
上述した電力供給部38は、具体的には、図2に示すように、それぞれ供給する電圧が異なる複数の低電源供給部14A、14Bを有し、各低電源供給部14A、14Bは交流電源を直流電源に変換して各機能部へ電力を供給する。図2では、2つの低電源供給部14A、14Bを一例として示すが、2つに限るものではなく、各機能部の定格電圧等に応じて備えている。
【0046】
各低電源供給部14A、14Bは、スイッチング素子等を含んで構成され、スイッチング素子をオンオフすることによって、商用電源から得られる交流電源を予め定めた電圧の直流電源に変換して各機能部へ電力を供給する。
【0047】
図2では、低電源供給部14Aには、画像読取部22が接続されて、予め定めた電圧の直流電源に交流電源を変換して画像読取部22に電力を供給し、低電源供給部14Bには、画像形成部24における画像情報を処理する部分、メインコントローラ18、及び省電力制御装置36が接続されて、低電源供給部14Aとは異なる予め定めた電圧の直流電源に交流電源を変換して、画像形成部24、メインコントローラ18、及び省電力制御装置36へ電力を供給する。なお、その他の機能部(用紙供給部26、用紙排出部28、電話回線I/F30、ネットワークI/F32、ハードディスク34、省電力制御装置36等)へ電力を供給する低電源供給部については、省略して説明する。
【0048】
また、商用電源と各低電源供給部14A、14Bとの間には、電力を測定するための電流トランス12が接続されている。電流トランス12は、実効値変換回路16を介して操作表示部20に接続されており、実効値変換回路16によって電流トランス12から得られる電流及び電圧が実効値に変換される。そして、操作表示部20は、実効値変換回路16から得られるアナログ信号をA/D変換して消費電力を求めて電力量を算出し、算出した消費電力を操作表示部20に表示する機能を備えている。
【0049】
ここで、操作表示部20の消費電力を表示させるための構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10における操作表示部20の消費電力を表示させるための構成例を示すブロック図である。
【0050】
操作表示部20は、図3に示すように、増幅回路48、A/D変換部40、消費電力算出部42、電力変換部44、及び表示部46を含んで構成されている。
【0051】
実効値変換回路16は、増幅回路48を介してA/D(アナログ/デジタル)変換部40に接続されており、電流トランス12から得られる電流及び電圧が実効値に変換され、増幅されてA/D変換部40に出力され、実効値変換回路16から出力されるアナログ信号は、A/D変換部40によってデジタル信号に変換される。
【0052】
増幅回路48は、オペアンプICを含んで構成されており、実効値変換回路16とオペアンプのプラス側の入力が抵抗R1を介して接続され、オペアンプのマイナス側の入力が接地され、オペアンプの出力は、A/D変換部40に接続されている。また、オペアンプのプラス側の入力とオペアンプの出力との間に、増幅調整用の抵抗として複数の抵抗Ra、Rb、Rc・・・が並列に接続されており、各抵抗はスイッチS1、S2・・・によって通電が行われ、各抵抗の通電によってA/D変換部40に入力される信号の増幅率が調整される。本実施の形態では、複数のスイッチS1、S2のオンオフを制御することによって、操作表示部20に入力される信号の増幅を調整することで、消費電力を測定して表示する際の測定範囲(レンジ)が選択される。
【0053】
また、A/D変換部40は、消費電力算出部42に接続されており、消費電力算出部42では、デジタル信号に変換された実効値電流と実効値電圧とから消費電力が算出される。
【0054】
しかしながら、このように交流側の一次側消費電力を実測する場合には、電流と電圧しか分らないので、スイッチング素子等を含む低電源供給部14A、14B等の力率が考慮されず、正確な消費電力が算出できない。また、二次側で消費電力を測定することも考えられるが、一次側のノイズフィルタ等による損失が分らない。
【0055】
そこで、本実施の形態では、画像形成装置10の状態(例えば、コピーモード、ファックスモード、スキャンモード等の稼働モードやスリープモード、或いは機能部へ供給する電圧や、装置構成等)毎に、一次側消費電力に対応する二次側消費電力を電力計等の測定器を用いて予め測定し、一次側消費電力に対応する二次側消費電力の対応関係を求めておき、当該対応関係を電力変換部44に予め記憶する。記憶する対応関係としては、例えば、変換テーブルや近似式として記憶する。
【0056】
そして、消費電力算出部42では、A/D変換部40によってデジタル信号に変換された実効値電流と実効値電圧とから求めた一次側消費電力を、電力変換部44に記憶された変換テーブルや近似式等の対応関係を用いて二次側消費電力を求める。この時画像形成装置10の状態毎に対応関係が記憶されているので、画像形成装置10の状態を取得して状態に応じた対応関係を用いて一次側消費電力から二次側消費電力を求めて、積分または積算処理することにより電力量を算出し、算出結果を表示部46に表示するようになっている。
【0057】
なお、本実施の形態では、画像形成装置10の状態毎に低電源供給部14A、14B等の力率が変化するので、停電源供給部の負荷状態毎に対応関係を予め求めて記憶し、画像形成装置10の状態毎に対応関係を読み出して使用するようにしたが、状態毎ではなく、力率が変化する力率要件毎に対応関係を予め求めて記憶すればよいので、例えば、力率が変化する要件として、停電源供給部14A、14Bの供給電圧ごとの負荷が変化する毎、画像形成装置10の構成要件が変化(例えば、フィニッシャーの使用有無等)する毎などが挙げられ、これらが要件毎に対応関係を予め求めて記憶し、各要件毎に対応する対応関係を読み出して使用するようにしてもよい。
【0058】
ここで、一次側皮相電力と一次側消費電力の対応関係について具体的に説明する。図4(A)は、一次側皮相電力と一次側消費電力の対応関係の一例を示すテーブルを示す図である。
【0059】
一次側皮相電力と一次側消費電力の対応関係としては、図4(A)に示すように、一次側皮相電力(実効値)に対して、各状態(稼働モードやスリープモード)毎に電力計等を用いて測定した一次側消費電力の測定値を予め定めて記憶しておくことにより、一次側皮相電力から画像形成装置10の状態に応じた一次側消費電力を読み出すことで正確な一次側消費電力が算出される。
【0060】
各状態では、稼働する機能部がそれぞれ異なるので、構成毎に一次側消費電力を測定して実効値に対応して記憶する。なお、各構成は、例えば、コピー、ファックス通信、スキャン等の機能や、スリープモード等のモード毎に稼働する低電源供給部14A、14Bの数や負荷数が異なり、図4(B)に示すように、構成毎に低電源供給部の稼働数や稼働負荷が決定される。
【0061】
なお、図4(A)では、一次側消費電力と二次側消費電力の対応関係を変換テーブルとして保持する例を示すが、近似式を用いるようにしてもよい。すなわち、画像形成装置10の状態毎に測定した一次側皮相電力と一次側消費電力の測定値から近似式を予め求めて保持することにより、画像形成装置10の状態に対応する近似式を利用して一次側皮相電力から一次側消費電力が算出される。
【0062】
ところで、本実施の形態に係わる画像形成装置10では、上述したように、部分的に節電が可能とされると共に、消費電力が表示部46に表示されるようになっているが、部分的に節電されるため、実効値変換回路16から入力される実効値電流及び実効値電圧の測定範囲が広くなってしまい、表示部46に表示する際には測定範囲外となってしまう。
【0063】
そこで、本実施の形態では、増幅回路48に設けた複数の抵抗Ra、Rb、Rcの通電状態をスイッチS1、S2のオンオフを制御することによって、測定範囲調整を行うようになっている。また、測定範囲を選択するためのスイッチのオンオフは、上述したように画像形成装置10の状態毎に消費電力が予め分るため、電力変換部44が状態情報を取得した際に、画像形成装置10の状態に応じてスイッチS1、S2のオンオフを制御することにより、消費電力測定のための測定範囲を予め選択するようになっている。これによって測定範囲外となって自動レンジ調整を行うよりも高速でレンジ調整が行われる。
【0064】
例えば、各スイッチ(S1、S2・・・)のオンオフは、図5に示すように、各状態(稼働モードやスリープモード)毎に、その電力に応じてオンオフするスイッチを予め定めたテーブルとして電力変換部44等に記憶する。そして、電力変換部44が状態情報を取得した際に、テーブルを参照して対応するスイッチのオンオフを制御することで、消費電力の測定のための測定範囲の選択が行われる。なお、増幅回路48に設けられた増幅調整用の各抵抗は、画像形成装置10の状態に応じて、スイッチのオンオフの組み合わせで、各状態における測定範囲の中央となるように抵抗値が予め定められている。
【0065】
さらに、ノイズ等による測定範囲外となるのを抑制するために、電力算出部42が、一次側の消費電力を測定する際に、予め定めた数のサンプリングデータを用いて消費電力の平均値を算出する。そして、このときサンプリングデータの中から測定範囲外となったデータが存在する場合には、当該データを除外して平均値を算出することによって一次側消費電力を算出するようになっている。これによって、ノイズ等による誤差要因が除去される。このとき、測定範囲外となったサンプリングデータ数がサンプリング数と同じ場合には、すべてノイズと判断して前回算出の一次側消費電力を表示するが、さらに次回のサンプリング結果が連続してノイズと判断された場合には、システムの異常と判断して、その旨を表示部46に表示する。
【0066】
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の消費電力の表示に係わる処理の流れについて説明する。図6は、本発明の実施の形態に係わる画像形成装置10の操作表示部20で行われる消費電力の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、当該処理は、操作表示部20のハードウエアで行われる処理としてもよいし、コンピュータで実行するプログラムとしてもよい。また、当該処理は、操作表示部20が操作されて消費電力の表示が指示された場合に開始してもよいし、操作表示部20の表示が行われてる間に行うようにしてもよい。
【0067】
ステップ100では、状態情報が電力変換部44によって取得されてステップ102へ移行する。例えば、電力変換部44が、画像形成装置10の現在のモード等の状態情報をメインコントローラ18から取得する。
【0068】
ステップ102では、取得した状態情報に応じて測定範囲が選択されてステップ104へ移行する。例えば、図5に示すテーブルから取得した状態に対応するスイッチS1、S2・・・のオンオフになるように、電力変換部44が増幅回路48のスイッチを制御することにより、状態毎に対応した測定範囲(レンジ)が選択される。
【0069】
ステップ104では、実効値がサンプリングされてステップ106へ移行する。すなわち、商用電源から各低電源供給部14A、14Bに電力が供給されると、電流トランス12から実効値変換回路へと電流が流れ、実効値変換回路16によって実効値電流及び実効値電圧に変換されて実効値電流及び実効値電圧を表すアナログ信号がA/D変換部40に入力される。そして、A/D変換部40によってデジタル信号に変換することによって、実効値電流及び実効値電圧をサンプルリングする。このとき、本実施の形態では、予め定めた数の実効値電流及び実効値電圧をサンプリングする。
【0070】
ステップ106では、サンプリングした実効値から一次側皮相電力が消費電力算出部42によって算出されてステップ108へ移行する。すなわち、消費電力算出部42が実効値電流と実効値電圧を積算して皮相電力を算出する。ここで、図7を参照して、消費電力算出部42で行われる一次側皮相電力算出の処理について説明する。
【0071】
ステップ200では、予め定めた数のサンプリングデータの中から、測定範囲外となる値(例えば、予め定めた範囲外となる値)のサンプリングデータが存在するか否かが判定され、該判定が否定された場合にはステップ202へ移行し、肯定された場合にはステップ204へ移行する。
【0072】
ステップ202では、サンプリングした実効値から平均の一次側皮相電力が算出されてステップ108へ移行する。
【0073】
また、ステップ204では、サンプル数全てが測定範囲外か否かが判定され、該判定が否定された場合にはステップ206へ移行し、肯定された場合にはステップ208へ移行する。
【0074】
ステップ206では、測定範囲外となるサンプリングデータを除外して消費電力の平均値を算出することで一次側皮相電力が算出されてステップ108へ移行する。これによって、ノイズ等によって一時的にオーバーレンジとなってしまうようなことが防止される。なお、測定範囲外のデータを除外した場合に、除外したサンプル数分、サンプリング回数を増やして皮相電力の平均値を算出するようにしてもよい。
【0075】
また、ステップ208では、サンプル数全ての測定範囲外が連続したか否かが判定され、該判定が肯定された場合にはステップ210へ移行し、否定された場合にはステップ212へ移行する。
【0076】
ステップ210では、システムが異常である旨が表示部46に表示されて一連の処理が終了される。
【0077】
一方、ステップ212では、前回算出した皮相電力を一次側消費電力としてステップ108へ移行する。
【0078】
図6のフローチャートに戻ってステップ108では、取得した状態に応じて一次側消費電力が消費電力算出部42によって算出されてステップ110へ移行する。すなわち、ステップ100で取得した状態情報、及びステップ106で算出した一次側皮相電力に対応する一次側消費電力を算出する。具体的には、変換テーブルを用いる場合には、図4(A)に示す変換テーブルから一次側皮相電力(実効値)及び取得した状態情報(モードや構成等)に対応する一次側消費電力を読み出すことにより、一次側消費電力を算出する。なお、省エネ等により二次側が停止している場合には、実効値変換回路16等による損失があるため、予め測定した一次側の損失の固定値を電流トランス12によって測定した測定値から差し引いた消費電力を求めて、当該消費電力に対応する一次側消費電力を算出する。
【0079】
ステップ110では、算出した消費電力が消費電力算出部42によって累積されてステップ112へ移行する。すなわち、算出された一次側消費電力を積分処理(サンプリング時間で積分)することによって電力量を算出する。なお、サンプリングして算出した一次側消費電力を積算処理することによって電力量を算出するようにしてもよい。
【0080】
ステップ112では、電力値が表示部46に表示されてステップ114へ移行する。すなわち、予め定めた一次側消費電力と二次側消費電力の対応関係を用いて、一次側皮相電力から求めた一次側消費電力の電力量が表示部46に表示される。従って、一次側皮相電力と一次側消費電力の予め定めた対応関係から二次側消費電力を求めているので、低電源供給部14A、14B等の力率を考慮した正確な消費電力が表示される。なお、算出した消費電力の電力量は、ログ情報としてメインコントローラ18の不揮発性メモリ18D等の各種記憶媒体に記憶して電力量の変化と共に更新する。
【0081】
ステップ114では、電力表示が終了か否かが判定される。該判定は、例えば、操作表示部20が操作されて他の表示を行う指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の処理を終了する。
【0082】
すなわち、本実施の形態では、消費電力を操作表示部20に表示する際には、一次側皮相電力に対応する一次側消費電力を予め定めた対応関係を用いて、一次側消費電力を求めて電力量を算出して表示するので、低電源供給部14A、14B等の力率を考慮した消費電力が表示されるので、実際の正確な消費電力が表示される。また、このとき、画像形成装置10の状態に応じて、増幅回路48に設けられた増幅調整用の抵抗を調整することで、レンジが予め選択されるので、レンジオーバーとなることなく、実際の消費電力が正確にかつ迅速に表示される。
【0083】
また、一次側皮相電力を電流トランス12を用いて測定するので、安価かつ簡易な構成で正確な消費電力が表示されると共に、電力測定による消費電力も抑制される。
【0084】
なお、上記の実施の形態では、画像形成装置10を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、各種情報処理装置を適用して、上記の実施の形態で説明したように消費電力を求めて表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 電流トランス
14A、14B 低電源供給部
16 実効値変換回路
20 操作表示部
38 電力供給部
40 A/D変換部
42 消費電力算出部
44 電力変換部
46 表示部
48 増幅回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費電力を測定する測定手段と、
消費電力がそれぞれ異なる装置の状態毎に、測定範囲が予め定めた範囲になるように、前記測定手段による測定範囲を調整する調整手段と、
前記調整手段によって調整された測定範囲で測定した前記測定手段による測定結果から消費電力の電力量を算出して表示する表示手段と、
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた前記装置の状態毎の電力の平均値が測定範囲の中央になるように予め定めた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた変化量が収まるにように予め定めた請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記測定手段の測定結果を表す信号を増幅するための増幅回路における増幅用の抵抗値を調整することによって前記測定手段による測定範囲を調整する請求項1〜3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外して前記電力量を算出して表示する請求項1〜4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外した消費電力の平均値から前記電力量を算出して表示する請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示手段は、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外の場合に、前回算出した電力量を表示する請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示手段は、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外となる場合が連続した際に、異常と判断して異常である旨を表示する請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
消費電力を測定する測定手段の測定結果を取得する取得ステップと、
消費電力がそれぞれ異なる装置の状態毎に、測定範囲が予め定めた範囲になるように、前記測定手段による測定範囲を調整する調整手段によって、測定範囲を調整する調整ステップと、
前記取得ステップで取得した、前記調整ステップで調整した測定範囲で測定した前記測定手段による測定結果から、消費電力の電力量を算出して表示部に表示する表示ステップと、
を含む処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項10】
前記予め定めた測定範囲の各々は、前記装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた前記装置の状態毎の電力の平均値が測定範囲の中央になるように予め定めた請求項9に記載の情報処理プログラム。
【請求項11】
前記予め定めた測定範囲の各々は、装置の状態毎に電力計を用いて予め測定した結果から求めた変化量が収まるにように予め定めた請求項9又は請求項10に記載の情報処理プログラム。
【請求項12】
前記調整ステップは、前記測定手段の測定結果を表す信号を増幅するための増幅回路における増幅用の抵抗値を調整することによって前記測定手段による測定範囲を調整する請求項9〜11の何れか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項13】
前記表示ステップは、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外して前記電力量を算出して表示部に表示する請求項9〜12の何れか1項に記載の情報処理プログラム。
【請求項14】
前記表示ステップは、前記測定結果のうち測定範囲外となる測定結果を除外した消費電力の平均値から前記電力量を算出して表示部に表示する請求項13に記載の情報処理プログラム。
【請求項15】
前記表示ステップは、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外の場合に、前回算出した電力量を表示部に表示する請求項13又は請求項14に記載の情報処理プログラム。
【請求項16】
前記表示ステップは、予め定めた数の前記測定結果毎に消費電力の平均値を求めて前記電力量を算出し、予め定めた数の前記測定結果が全て前記測定範囲外となる場合が連続した際に、異常と判断して異常である旨を表示部に表示する請求項13又は請求項14に記載の情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−40748(P2012−40748A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183245(P2010−183245)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】