説明

情報処理装置及び方法

【課題】オフライン製本機を用いたくるみ製本印刷の労力を軽減する。
【解決手段】くるみ製本が設定されている場合、表紙部分と本文部分とを分けて印刷データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば印刷データを生成する情報処理装置および方法に関し、特に後処理として製本処理に付すことが可能な印刷データを生成する情報処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷データを生成するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置には、印刷データを生成する前に、最終的に印刷装置に送付する印刷データとは異なる形式の中間コードで文書データを保存するスプール機能を持つものがある。この種の情報処理装置には、中間コード形式で保存された文書データから印刷装置に送付する印刷データを生成する際に、ページごとの出力順序やレイアウトの変更が可能なものがある。この機能により、製本設定が指定されている文書データから、製本後のページの並びを考慮したレイアウトの印刷データを生成することができる。あるいは、保存された文書データに可変データを挿入するフレーム(領域)を予め定めておき、印刷データを生成する際に、そのフレームに可変データを挿入するバリアブル印刷機能を有するものもある(たとえば特許文献1等参照)。
【0003】
また、印刷物を対象として製本を行う製本機の使用を前提とした印刷データを生成する装置もある。製本の形態のひとつには、本文を表紙および裏表紙のデータが配置された用紙で包むくるみ製本があり、くるみ製本機用の表紙及び本文を出力するディジタル複写装置が提案されている(例えば特許文献2等参照)。
【特許文献1】特開2003-296070号公報
【特許文献2】特開2004-64453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載された情報処理装置により製本設定が指定されている文書データから印刷データを生成した場合、インライン製本機ではない製本機によるくるみ製本に対応した印刷データを生成することはできない。インライン製本機は、印刷装置と一体化され、印刷装置から出力される印刷物を受けて製本する製本機である。
【0005】
また、特許文献2に記載されたディジタル複写機では、表紙と本文用紙とをそれぞれ別の載置箇所から取り込んで製本するくるみ製本機に対応した印刷物を出力することはできない。
【0006】
図20に、表紙と本文用紙とをそれぞれ別の載置箇所から取り込んで製本する様子の一例を示す。N部の印刷物を製本する場合、インライン製本機ではない製本機は、N枚の表紙の束2001と1部ごとにまとめて出力されたN部分の本文2002とを受け付ける。そして、表紙の束2001から1枚分の表紙を取り込み、かつ、本文2002から1部分の本文を取り込んで、本文を表紙で挟み込み、ステープル等によって製本を行う。インライン製本機では、本文と表紙とを人手で載置する必要がないため、図20に示す製本方法は、印刷装置と接続されていないオフライン製本機や、通信による接続はあっても印刷装置と一体化されていないニアライン製本機などで採用されている。
【0007】
上述した情報処理装置やディジタル複写機は、同じ部として出力すべき表紙と本文とを別々に部単位で出力できない。このため、人手で印刷物をセットする必要のあるオフライン製本機やニアライン製本機のくるみ製本機能を用いる場合、印刷装置の出力物を表紙と本文とに仕分けして製本機にセットする必要がある。
【0008】
また、表紙はカラー印刷装置、中紙はモノクロ印刷装置等、それぞれ別々の印刷装置で印刷させることができなかった。したがって別々の印刷装置で印刷しなければならない場合には、それぞれの印刷装置に対する印刷指示を利用者が情報処理装置から入力し、別々の印刷ジョブとして実行させねばならなかった。
【0009】
また、上述のように別々の印刷ジョブを生成する場合、印刷対象の部分を文書データから選択して印刷指示を行うことも考えられるが、文書データから表紙部分や本文部分を指定するためには手間がかかり、また、ミスをし易いという欠点があった。
【0010】
本発明は上記従来例に鑑みて成されたもので、印刷設定として製本設定特にくるみ製本設定が指定されている場合、表紙部分と本文部分の印刷データを分けて生成できる情報処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を備える。すなわち、印刷装置と通信可能な情報処理装置であって、
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、部単位に、かつ、指定された部数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定された部数に相当する枚数の表紙が印刷される表紙用の印刷データとを生成する生成手段とを備える。
【0012】
あるいは、他の側面によれば、印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、レコード単位に、かつ、指定されたレコード数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定されたレコード数分に相当する枚数の表紙が出力される表紙用の印刷データとを生成する生成手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製本設定された印刷データを、本文と表紙とで別々に生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
<システム概要>
まず、本発明に係る文書処理システムの概要について、図1〜図12を参照して以下に説明する。尚、この文書処理システムは、一般のアプリケーションによって作成されたデータファイルを電子原稿ファイルに変換する電子原稿ライタと、その電子原稿ファイルを編集する機能を提供する製本アプリケーションとを含む。それらソフトウェアにより作成されたデータを一まとめにした文書の作成及び編集を可能とし、その操作性を向上させて文書編集を効率的に行える。
【0016】
<システム構成及び動作>
図1は、本実施形態の文書処理システムのソフトウェア構成を示す図である。文書処理システムは、本発明の文書処理装置に好適な実施形態であるデジタルコンピュータ101(以下、ホストコンピュータとも呼ぶ)によって実現されている。図1に示すアプリケーション101は、ワードプロセッシングやスプレッドシート、フォトレタッチ、ドロー、あるいはペイント、プレゼンテーション、テキスト編集などの機能を提供するアプリケーションプログラムであり、OSに対する印刷機能を有している。これらのアプリケーションは、作成された文書データや画像データなどのアプリケーションデータを印刷する際に、オペレーティングシステム(OS)によって提供される所定のインターフェースを利用する。そのインターフェースには、たとえばウインドウズ(登録商標)オペレーティングシステムであれば、GDI(Graphical Device Interface)と呼ばれるものがある。あるいはやWPF(Windows(登録商標) Presentation Foundation)とよばれるものもある。即ち、アプリケーション101は、作成したデータを印刷するために、上述のインターフェースを提供する出力モジュールに対して、あらかじめ定められた形式の出力コマンド(関数)を送信する。一方、出力コマンドを受けた出力モジュールは、その出力コマンドをプリンタ等の出力デバイスが処理可能な形式に変換して、変換されたコマンド(上記インターフェースがGDIであればDDI関数と呼ばれるコマンド)を出力する。出力デバイスが処理可能な形式はデバイスの種類やメーカ、機種などによって異なるため、デバイスごとにデバイスドライバが提供されている。OSではそのデバイスドライバを利用してコマンドの変換を行い、印刷データを生成し、JL(Job Language)でくくることにより印刷ジョブが生成される。OSとしてマイクロソフト社のウインドウズを利用する場合には、前述した出力モジュールとしてはGDIあるいはWPFが相当する。
【0017】
電子原稿ライタ102は、デバイスドライバのひとつであり、本文書処理システム実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。但し、電子原稿ライタ102は特定の出力デバイスを目的としておらず、詳細は後述する製本アプリケーション104やプリンタドライバ106により処理可能な形式に出力コマンドを変換する。この電子原稿ライタ102による変換後の形式(以後電子原稿形式と呼ぶ)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば特に問わない。実質的な標準形式のうち、例えばアドビシステムズによるPDF(Portable Document Format)形式やSVG(Scalable Vector Graphics)形式などが電子原稿形式として採用できる。このほか、XPS(XML Paper Specification)形式も採用できる。
【0018】
一般アプリケーション101から電子原稿ライタ102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してから印刷を実行させる。但し、電子原稿ライタ102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定するのは製本アプリケーション104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。そして、製本アプリケーション104は電子原稿ライタ102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。以下、この点を明瞭に識別する必要がある場合、電子原稿ライタ102によって作成されたファイルを「電子原稿ファイル」と呼び、製本アプリケーション104によって構造を与えられた電子原稿ファイルを「ブックファイル」と呼ぶ。また、特に区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成されるドキュメントファイル、電子原稿ファイル、及びブックファイルをいずれも文書ファイル(または文書データ)と呼ぶ。
【0019】
このようにデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定し、一般アプリケーション101によるデータの印刷をユーザは指定できる。こうすることで、アプリケーションデータはアプリケーション101によって定義されたページ(以後論理ページあるいは原稿ページと呼ぶ)を単位とする電子原稿形式に変換され、電子原稿ファイル103としてハードディスクなどの記憶媒体に格納される。尚、ハードディスクは、本実施形態の文書処理システムを実現するコンピュータが備えているローカルドライブであっても良く、ネットワークに接続されている場合にはネットワーク上に提供されるドライブであっても良い。
【0020】
製本アプリケーション104は電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)103を読み込み、それを編集するための機能を利用者に提供する。但し、製本アプリケーション104は、各ページの内容を編集する機能は提供しておらず、ページを最小単位として構成される、後述する章やブックの構造を編集するための機能を提供している。製本アプリケーション104によって編集されたブックファイル103を印刷する際には、製本アプリケーション104によって電子原稿デスプーラ105が起動される。電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーションと共にコンピュータ内にインストールされるプログラムモジュールである。電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーションで利用するドキュメント(ブックファイル)を印刷する際に、プリンタドライバへ描画データを出力するために使用されるモジュールである。電子原稿デスプーラ105は、指定されたブックファイルをハードディスクから読み出し、ブックファイルに記述された形式で各ページを印刷するために、前述したOSの出力モジュールに適合する出力コマンドを生成し、不図示の出力モジュールに出力する。その際に、出力デバイスとして使用されるプリンタ107用のプリンタドライバ106がデバイスドライバとして指定される。上述の出力モジュールは、受信した出力コマンドをデバイスコマンドに変換して指定されたプリンタ107用のプリンタドライバ106に出力し、そのプリンタドライバ106がプリンタ107で解釈実行可能なページ記述言語等のコマンドに変換する。そして、変換されたコマンドはプリンタドライバ106から不図示のシステムスプーラを介してプリンタ107に送信され、プリンタ107によってコマンドに応じた画像が印刷される。
【0021】
図2は、コンピュータ(すなわち情報処理装置)100のハードウェアブロック図である。図2において、CPU201は、OSや一般アプリケーション、製本アプリケーションなどのプログラムを実行し、図1のソフトウェア構成や、後述するフローチャートの手順を実現する。これらプログラムは、ROM203のプログラム用ROMに記憶されていたり、あるいはハードディスク211からRAM202にロードされる。RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボード209や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)206は、CRTディスプレイ210の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)207は、ブートプログラムやアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、後述する編集ファイル等を記憶するハードディスク(HD)211やフレキシブルディスク(FD)等とのアクセスを制御する。PRTC208は、接続されたプリンタ107との間の信号の交換を制御する。NC212はネットワークに接続されて、ネットワークに接続された他の機器との通信制御処理を実行する。
【0022】
<電子原稿データの形式>
編集アプリケーション104の詳細を言及する前に、ブックファイルのデータ形式について説明する。ブックファイルは紙媒体の書物を模倣した3層の層構造を有する。まず、上位層は「ブック」と呼ばれ、1冊の本を模倣しており、その本全般に係る属性が定義されている。その下の中間層は、本でいう章に相当し、やはり「章」と呼ばれる。各章についても、章毎の属性が定義できる。そして、下位層は「ページ」であり、アプリケーションプログラムで定義された各ページに相当する。尚、各ページについてもページ毎の属性が定義できる。更に、一つのブックは複数の章を含んでいてよく、また一つの章は複数のページを含むこともできる。
【0023】
図3に示す(A)は、ブックファイルの形式の一例を模式的に示す図である。図示するように、この例では、ブックファイルにおけるブック、章、ページは、それぞれに相当するノードにより示されている。一つのブックファイルは一つのブックを含む。ブック、章は、ブックとしての構造を定義するための概念であるから、定義された属性値と下位層へのリンクとをその実体として含む。ページは、アプリケーションプログラムによって出力されたページ毎のデータを実体として有する。そのため、ページは、その属性値のほかに、原稿ページの実体(原稿ページデータ)と各原稿ページデータへのリンクを含む。尚、紙媒体等に出力する際の印刷ページは複数の原稿ページを含む場合がある。この構造に関してはリンクによって表示されず、ブック、章、ページ各階層における属性として表示される。
【0024】
図3(A)において、ブック301には、ブック属性が定義されていると共に、2つの章302A、302Bがリンクされている。このリンクにより、章302A、302Bがブック301に包含されていることが表示される。章302Aには、ページ303A、303Bがリンクされ、これらページが含まれることが示されている。各ページ303A、303Bにはそれぞれ属性値が定義され、その実体である原稿ページデータ(1)、(2)へのリンクが含まれる。これらリンクは、図3に示す(B)のように原稿ページデータ304のデータ(1)、(2)を指し示し、ページ303A、303Bの実体が原稿ページデータ(1)、(2)であることを表示している。各属性は、製本アプリケーション104が提供するユーザインターフェースによりユーザが変更することが可能である。
【0025】
図4は、ブック属性のリストである。下位層と重複して定義可能な項目に関しては、下位層の属性値が優先採用される。そのため、ブック属性にのみ含まれる項目に関しては、ブック属性に定義された値はブック全体を通して有効な値となる。しかし、下位層と重複する項目については、下位層において定義されていない場合における既定値としての意味を有する。尚、図示された各項目は具体的に1項目に対応するのではなく、関連する複数の項目を含むものもある。図5は章属性の、図6はページ属性のリストである。章属性とページ属性との関係もブック属性と下位層の属性との関係と同様である。なおこれら属性のことを印刷設定とも呼ぶ。
【0026】
図4〜図6から明らかなように、ブック属性に固有の項目は、印刷方法、製本詳細、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切りの6項目である。これらはブックを通して定義される項目である。印刷方法の属性としては、片面印刷、両面印刷、製本印刷の3つの値を指定できる。ここで、製本印刷とは、別途指定する枚数の用紙を束にして2つ折りにし、その束をつづり合わせることで製本が可能となる形式で印刷する方法である。製本詳細属性としては、製本印刷が指定されている場合に、見開き方向や、束になる枚数等が指定できる。さらに、製本詳細属性には、「くるみ製本」の指定を保存できる。くるみ製本とは、本文とは別に表紙を用意し、その表紙で表紙、背、裏表紙を構成する製本の形式をいう。すなわち文書データの表紙部分が印刷されたシートで挟んで綴じる製本指定である。さらにくるみ製本時における「部単位」で出力するか否かをしている部単位設定や、部単位設定がされている場合に、表紙を本文とは別に印刷するという表紙独立設定等の設定を保存できる。この詳細は、図16や図23等を参照して後述する。
【0027】
表紙/裏表紙属性は、ブックとしてまとめられる電子原稿ファイルを印刷する際に、表紙及び裏表紙となる用紙を付加することの指定、及び付加した用紙への印刷内容の指定を含む。インデックス紙属性は、章の区切りとして、印刷装置に別途用意される耳付きのインデックス紙の挿入指定及びインデックス(耳)部分への印刷内容の指定を含む。この属性は、印刷用紙とは別に用意された用紙を所望の位置に挿入するインサート機能を持ったインサータが使用する印刷装置に備えられている場合か、あるいは、複数の給紙カセットを使用可能である場合に有効となる。これは合紙属性についても同様である。
【0028】
合紙属性は、章の区切りとして、インサータから、あるいは給紙カセットから供給される用紙の挿入の指定、及び合紙を挿入する場合には、給紙元の指定などを含む。
【0029】
章区切り属性は、章の区切り目において、新たな用紙を使用するか、新たな印刷ページを使用するか、特に何もしないか等の指定を含む。片面印刷時には、新たな用紙の使用と新たな印刷ページの使用とは同じ意味を持つ。両面印刷時には、「新たな用紙の使用」を指定すれば連続する章が1枚の用紙に印刷されることは無いが、「新たな印刷ページの使用」を指定すれば、連続する章が1枚の用紙の表裏に印刷されることがあり得る。
【0030】
章属性に関しては、章に固有の項目はなく、全てブック属性と重複する。従って、章属性における定義とブック属性における定義とが異なれば、章属性で定義された値が優先する。ブック属性と章属性とにのみ共通する項目は、用紙サイズ、用紙方向、レイアウト(Nアップ印刷)指定、拡大縮小、排紙方法の5項目である。これらのうち、レイアウト指定属性は1印刷ページに含まれる原稿ページ数を指定するための項目である。指定可能な配置としては、1×1、1×2、2×2、3×3、4×4などがある。排紙方法属性は、排出した用紙にステイプル処理を施すか否かを指定するための項目であり、この属性の有効性は使用する印刷装置がステイプル機能を有するか否かに依存する。
【0031】
ページ属性に固有の項目には、ページ回転属性、ズーム、配置指定、アノテーション、ページ分割などがある。ページ回転属性は、原稿ページを印刷ページに配置する際の回転角度を指定するための項目である。ズーム属性は、原稿ページの変倍率を指定するための項目である。変倍率は、仮想論理ページ領域のサイズを100%として指定される。仮想論理ページ領域とは、原稿ページを、レイアウト指定等に応じて配置した場合に、1原稿ページが占める領域である。例えば、1×1であれば、仮想論理ページ領域は1印刷ページに相当する領域となり、1×2であれば、1印刷ページの各辺を約70パーセントに縮小した領域となる。
【0032】
ブック、章、ページについて共通な属性としては、ウォーターマーク属性及びヘッダ・フッタ属性がある。ここで、ウォーターマークとは、アプリケーションで作成されたデータに重ねて印刷される、別途指定される画像や文字列などである。ヘッダ・フッタは、それぞれ各ページの上余白及び下余白に印刷されるウォーターマークである。但し、ヘッダ・フッタには、ページ番号や日時など変数により指定可能な項目が用意されている。尚、ウォーターマーク属性およびヘッダ・フッタ属性において指定可能な内容は、章とページとは共通であるが、ブックはそれらと異なっている。ブックにおいてはウォーターマークやヘッダ・フッタの内容を設定できるし、また、ブック全体を通してどのようにウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するかを指定することができる。一方、章やページでは、その章やページにおいて、ブックで設定されたウォーターマークやヘッダ・フッタを印刷するか否かを指定できる。
【0033】
<ブックファイルの生成手順>
ブックファイルは上述したような構造及び内容を有している。次に、製本アプリケーション104及び電子原稿ライタ102によるブックファイルの作成手順について説明する。ブックファイルの作成手順は、製本アプリケーション104によるブックファイルの編集操作の一環として実現される。
【0034】
図7は、製本アプリケーション104によりブックファイルを開く際の手順である。まず、開こうとするブックファイルが、新規作成すべきものであるか、それとも既存のものであるか判定する(ステップS701)。新規作成の場合には、章を含まないブックファイルを新規に作成する(ステップS702)。新規に作成されるブックファイルは、図3の例で示せば、ブックノード301のみ有し、章のノードに対するリンクが存在しないブックのノードとなる。ブック属性は、新規作成用としてあらかじめ用意された属性のセットが適用される。そして、新規ブックファイルを編集するためのユーザインターフェース(UI)画面を表示する(ステップS703)。図11は、新規にブックファイルが作成された際のUI画面の一例である。この場合は、ブックファイルは実質的な内容を持たないため、UI画面1100には何も表示されない。
【0035】
一方、既存のブックファイルがあれば、指定されたブックファイルを開き(ステップS703)、そのブックファイルの構造、属性、内容に従ってユーザインターフェース(UI)画面を表示する。図10は、既存のブックファイルから指定されたブックファイルを表示するUI画面の一例である。UI画面1100は、ブックの構造を示すツリー部1101と、印刷された状態を表示するプレビュー部1102とを含む。ツリー部1101には、ブックに含まれる章、各章に含まれるページが図3に示す(A)のような木構造で表示される。ツリー部1101に表示されるページは原稿ページである。またプレビュー部1102には、印刷ページの内容が縮小されて表示される。その表示順序はブックの構造を反映したものとなっている。
【0036】
さて、開かれたブックファイルには、電子原稿ライタ102によって電子原稿ファイルに変換されたアプリケーションデータを、新たな章として追加することができる。この機能を電子原稿インポート機能と呼ぶ。図7に示す手順によって新規に作成されたブックファイルに電子原稿インポートすることで、そのブックファイルには実体が与えられる。この機能は、図10の画面にアプリケーションデータをドラッグアンドドロップ操作することで起動される。
【0037】
図8に電子原稿インポートの手順を示す。まず、指定されたアプリケーションデータを生成したアプリケーションプログラムを起動し、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してアプリケーションデータを印刷出力させることで、電子原稿データに変換する(ステップS801)。変換を終えたなら、変換されたデータが画像データであるか否かを判定する(ステップS802)。この判定は、ウインドウズ(登録商標)OSの下であれば、アプリケーションデータのファイル拡張子に基づいて行われる。例えば、拡張子が「bmp」であればウインドウズ(登録商標)ビットマップデータであり、「jpg」であればjpeg圧縮された画像データ、「tiff」であればtiff形式の画像データであると判定できる。また、このような画像データの場合はS8010のようにアプリケーションを起動せずに、画像データから直接電子原稿ファイルを生成することが可能であるため、S8010の処理を省略することも可能である。
【0038】
ここで、画像データでなかった場合には、ステップS801で生成された電子原稿ファイルを、現在開かれているブックファイルのブックに、新たな章として追加する(ステップS803)。章属性としては、ブック属性と共通するものについてはブック属性の値がコピーされ、そうでないものについては、予め用意された規定値に設定される。また、ステップS802で画像データである場合には、原則として新たな章は追加されず、指定されている章に、ステップS801で生成された電子原稿ファイルに含まれる各原稿ページが追加される(ステップS804)。但し、ブックファイルが新規作成されたファイルであれば、新たな章が作成されて、その章に属するページとして電子原稿ファイルの各ページが追加される。ページ属性は、上位層の属性と共通のものについてはその属性値が与えられ、アプリケーションデータにおいて定義された属性を電子原稿ファイルに引き継いでいるものについてはその値が与えられる。例えば、レイアウト指定などがアプリケーションデータにおいて設定されていた場合には、その属性値が引き継がれる。このようにして、新規なブックファイルが作成され、あるいは、新規な章が追加される。
【0039】
図9は、図8に示すステップS801において、電子原稿ライタ102により電子原稿ファイルを生成させる手順のフローチャートである。まず、新たな電子原稿ファイルを作成してそれを開く(ステップS901)。指定したアプリケーションデータに対応するアプリケーションを起動し、電子原稿ライタをデバイスドライバとしてOSの出力モジュールに対して出力コマンドを送信させる。出力モジュールは、受信した出力コマンドを電子原稿ライタ102によって電子原稿形式のデータに変換し、出力する(ステップS902)。その出力先はステップS901で開いた電子原稿ファイルである。指定されたデータ全てについて変換が終了したか判定し(ステップS903)、終了していれば電子原稿ファイルを閉じる(ステップS904)。電子原稿ライタ102によって生成される電子原稿ファイルは、図3の(B)に示される原稿ページデータの実体を含むファイルである。
【0040】
<ブックファイルの編集>
以上のようにして、アプリケーションデータからブックファイルを作成することができる。生成されたブックファイルについては、章及びページに対して次のような編集操作が可能である。
(1)新規追加
(2)削除
(3)コピー
(4)切り取り
(5)貼り付け
(6)移動
(7)章名称変更
(8)ページ番号名称振り直し
(9)表紙挿入
(10)合紙挿入
(11)インデックス紙挿入
(12)各原稿ページに対するページレイアウト。
【0041】
このほか、一旦行った編集操作を取り消す操作や、更に取り消した操作をやり直す操作が可能である。これら編集機能により、例えば複数のブックファイルの統合、ブックファイル内で章やページの再配置、ブックファイル内で章やページの削除、原稿ページのレイアウト変更、合紙やインデックス紙の挿入などの編集操作が可能となる。これらの操作を行うと、図4、図5に示す属性に操作結果が反映されて保存されるか、あるいはブックファイルの構造に反映される。例えば、ブランクページの新規追加操作を行えば、指定された箇所にブランクページが挿入される。このブランクページは原稿ページとして扱われる。また、原稿ページに対するレイアウトを変更すれば、その変更内容は、印刷方法やN−up印刷、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切りといった属性に反映される。
【0042】
<ブックファイルの出力>
以上のように作成あるいは編集されるブックファイルは、印刷出力を最終目的とするものである。ここで、利用者が図10に示した製本アプリケーションのUI画面1100からファイルメニューを選択し、そこから印刷を選択すると、指定した出力デバイスにより印刷出力される。この際、まず製本アプリケーション104は、現在開かれているブックファイルからジョブチケットを作成し、そのジョブチケットを電子原稿デスプーラ105に渡す。一方、電子原稿デスプーラ105は、ジョブチケットをOSの出力コマンド、例えばウインドウズ(登録商標)のGDI関数に変換し、それを出力モジュール、例えばGDIに渡す。出力モジュールは、指定されたプリンタドライバ106によってデバイスに適したコマンドを生成し、そのデバイスに送信する。
【0043】
ここで、ジョブチケットは原稿ページを最小単位とする構造を有するデータである。ジョブチケットにおける構造は、用紙上における原稿ページのレイアウトを定義している。ジョブチケットは1ジョブにつき1つ発行される。そのため、まず最上位にドキュメントというノードがあり、文書全体の属性、例えば両面印刷/片面印刷などが定義されている。その下には、用紙ノードが属し、用いるべき用紙の識別子やプリンタにおける給紙口の指定などの属性が含まれる。各用紙ノードには、その用紙で印刷されるシートのノードが属する。1シートは1枚の用紙に相当する。各シートには、印刷ページ(物理ページ)が属する。片面印刷ならば1シートには1物理ページが属し、両面印刷ならば1シートに2物理ページが属する。各物理ページには、その上に配置される原稿ページが属する。また物理ページの属性として、原稿ページのレイアウトが含まれる。電子原稿デスプーラ105は、上述のジョブチケットを、出力モジュールへの出力コマンドに変換する。
【0044】
<そのほかのシステム構成>
本実施形態の文書処理システムの概要は以上のようなものである。これはスタンドアロン型のシステムであるが、これを拡張したサーバクライアントシステムでもほぼ同様の構成・手順でブックファイルを作成・編集できる。但し、ブックファイルや印刷処理はサーバによって管理される。図12は、サーバクライアント型文書処理システムの構成を示すブロック図である。クライアント文書処理システムは、スタンドアロン型システムに、クライアントモジュールであるDOMSドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110、DS(文書サービス)クライアントモジュール108を加えた構成を有する。DOMSとは、Document Output Management Serviceの略称であり、文書出力管理サービスである。このクライアント文書処理システム1200に文書管理サーバ1201、印刷集中管理サーバ1202及びプリントサーバ1203が接続されている。これらサーバは、通常ネットワークによってクライアント文書処理システムと接続されるが、サーバが同時にクライアントとしても機能する場合には、ネットワーク間の通信をシミュレートするプロセス間通信によって接続される。
【0045】
尚、図12に示す例では、文書管理サーバ1201と印刷集中管理サーバ1202の両方のサーバがクライアントに接続されているが、何れか一方のみネットワーク上に存在する場合もあり得る。例えば、接続されているサーバが文書管理サーバであり、そのクライアントモジュール108を含む文書管理サーバクライアントシステム1201SCが、また印刷集中管理サーバ1202であるとする。この場合、そのクライアントモジュールを含む印刷管理サーバクライアントシステム1202SCが、スタンドアロン型文書管理システムに追加される。文書管理サーバ1201は、製本アプリケーション104により作成あるいは編集されたブックファイルを格納するサーバである。文書管理サーバ1201によってブックファイルを管理する場合、ブックファイルはクライアントPCのローカルHDに代わって、あるいはそれに加えて、文書管理サーバ1201のデータベース1211に保存される。製本アプリケーション104と文書管理サーバ1201との間のブックファイルの保存及び読み出しは、DSクライアント108及びDSコア1212を介して行われる。
【0046】
印刷集中管理サーバ1202は、クライアント文書管理システム1200に格納された、あるいは文書管理サーバ1201に格納されたブックファイルの印刷を管理するサーバである。クライアントにおける印刷要求は、DOMSドライバ109およびDOMSプリントサービスモジュール110を介して印刷集中管理サーバ1202のDOMSWGサーバモジュール1221に送信される。集中印刷管理サーバ1202は、クライアントのプリンタで印刷する場合にはクライアントのDOMSプリントサービスモジュール110を介して電子原稿デスプーラ105に電子原稿データを渡す。プリントサーバ1203により印刷する場合には、プリントサーバ1203のDOMSプリントサービスモジュール1203に送信する。集中印刷管理サーバは、例えば保存されているブックファイルに対して印刷要求を発行した利用者の資格などについてセキュリティチェックを行ったり、印刷処理のログを保存したりする。このように、文書処理システムは、スタンドアロンとしても、クライアントサーバシステムとしても実現できる。
【0047】
<プレビュー表示の内容>
既に説明した通り、ブックファイルが製本アプリケーションによって開かれると、図10に示したユーザインターフェース画面1100が表示される。ツリー部1101には、開いているブック(以下、「注目ブック」と呼ぶ)の構造を示すツリーが表示される。プレビュー部には、利用者の指定に応じて、3通りの表示方法が用意されている。まず、第1は原稿ページをそのまま表示する原稿ビューと呼ばれるモードである。この原稿ビューモードでは、注目ブックに属する原稿ページの内容が縮小されて表示される。尚、プレビュー部1102の表示にレイアウトは反映されない。次に、第2は印刷ビューモードである。この印刷ビューモードでは、プレビュー部1102には原稿ページのレイアウトが反映された形で原稿ページが表示される。そして、第3は簡易印刷ビューモードである。この簡易印刷ビューモードでは、各原稿ページの内容はプレビュー部の表示には反映されず、レイアウトのみが反映される。
【0048】
<ステイプル制御>
次に、ステイプル機能や製本機能等の後処理機能を有するプリンタと接続するコンピュータ100の製本アプリケーション104によって行われる、ステイプル等の後処理制御について説明する。図13は、ステイプル制御システムの構成を示すブロック図である。図示するように、後処理制御システムは、図2に示したホストコンピュータ100と後処理機能を有するプリンタ107とで構成される。以下、プリンタ107の構成について説明する。尚、本発明の機能が実現されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、LAN、WAN等のネットワークを介して接続がなされ、処理が行われるシステムであっても本発明を適用できる。
【0049】
図示するように、プリンタ107において、プリンタCPU1301は、ROM1302内のプログラム用ROMに記憶された制御プログラム等や外部メモリ1303に記憶された制御プログラム等を実行する。それによってシステムバス1304に接続される印刷部I/F1305を介して、印刷部(プリンタエンジン)1306に出力情報としての画像信号を出力する。また、このROM1302内のプログラムROMには、CPU1301の制御プログラム等が記憶され、ROM1302内のフォント用ROMには、出力情報を生成する際に使用するフォントデータ等が記憶されている。またROM1302内のデータ用ROMには、ハードディスク等の外部メモリ1303がないプリンタの場合、ホストコンピュータ100上で利用される情報等が記憶されている。また、CPU1301は、入力部1307を介してホストコンピュータ100との通信処理が可能となっており、プリンタ107内の情報等をホストコンピュータ100に通知できる。RAM1308は、CPU1301の主メモリや、ワークエリア等として機能するRAMであり、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。尚、RAM1308は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。上述したハードディスク(HD)、ICカード等の外部メモリ1303は、メモリコントローラ(MC)1309によりアクセスを制御される。外部メモリ1303は、オプションとして接続され、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ等を記憶する。また、操作パネル1311は操作のためのスイッチ及びLED表示器等で構成されている。外部メモリ1303は1個に限らず、複数個備えられ、内蔵フォントに加えてオプションカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていても良い。更に、図示しないNVRAMを有し、操作パネル1311からのプリンタモード設定情報を記憶するようにしても良い。
【0050】
また、本実施形態では、プリンタ107やコンピュータ100とは別に、オフライン製本機(不図示)が用いられる。オフライン製本機は、表紙を載置するトレイ(給紙口ともいう)と、本文を1部単位でまとめて載置するトレイとを有する。また、別途入力された、表紙のサイズや1部当たりのシートの枚数、製本する部数等の製本パラメータを保存している。そして製本機は、保存した製本パラメータにしたがって、本文を1部ごとに束ね、その背に表紙を糊等で固定する。このため利用者は、製本を行う際には、プリンタから出力された印刷物の本文部分を1部ずつまとめて部数分製本機の本文用トレイに置き、表紙部分をまとめて表紙用トレイに置く必要がある。
【0051】
<バリアブル(可変)印刷>
製本アプリケーションは、生成したブックファイルのページ属性として、可変印刷を実行するための可変フィールドの設定を行うことが可能である。図14は可変印刷のページレイアウト例を示している図である。可変フィールドが定義された文書をテンプレートと呼ぶ。テンプレート1410上には、可変印刷を実行するための可変フィールド1411,1412,1413が定義されている。可変フィールドは原稿ページ上に複数配置することも可能であるし、一つも配置しないことも可能である。図14の例では、1ページ目に2つのフィールドを、2ページ目に1つのフィールドを配置し、3ページ目には可変フィールドを設けていない。製本アプリケーションは、ページ中の可変フィールドに、データベースから読み取ったデータを挿入し、1部毎にカスタマイズして印刷を行う。よって、可変フィールドとは、可変データを挿入するための領域である。データベース1400は、可変データが登録されたデータベースの例を示している。データベース1400はレコードから構成され、1つのレコードが、出力される文書1部に対応している。レコードには、テンプレートに設けられた可変フィールドに相当するデータフィールドが含まれ、各データフィールドが対応する可変フィールドに挿入される。この例では、データベース1400には、レコード1〜レコード4の4レコードのデータが設定されている。すなわち出力される印刷物は4部となる。データベース1400の各レコードには、それぞれテキストデータ1401,1403とイメージデータ1402が、可変データとして含まれている。テンプレートの1ページ目には2つの可変フィールド1411,1412が定義され、2ページ目には可変フィールド1413が定義されている。可変フィールド1411,1413にはテキストデータが、可変フィールド1412にはイメージデータが挿入されるよう設定されている。出力物1420は、実際にデータベースのデータが差し込まれたテンプレートの例を示している。レコード1から読み込んだイメージデータ1421が1ページ目の可変フィールド1411に挿入され、テキストデータ1422が可変フィールド1412に挿入される。またテキストデータ1423は、2ページ目の可変フィールド1413に挿入される。3ページ目は省略したが、この3ページでレコード1に対応する出力文書(第1部目)が生成される。
【0052】
同様にして、レコード2を可変フィールドに挿入した第2部目文書が、レコード3を可変フィールドに挿入した第3部目文書が、レコード4を可変フィールドに挿入した第4部目文書が、生成される。
【0053】
なお、テンプレートは可変印刷エディタにより設定できる。この可変印刷エディタは、製本アプリケーションから起動され、ブックファイルの論理ページ単位で設定を行うことが可能である。可変印刷エディタは、テンプレート内の固定データ(テキストや画像)及びテンプレートの可変フィールド(可変領域ともいう)を作成することができる。また、可変フィールドとデータベースのレコード内のデータ(フィールド)との関連づけを定義することができる。
【0054】
<製本印刷処理>
図15〜図23は本実施形態における製本アプリケーションを説明するためのインターフェース例等を示した図である。また、図22は本実施形態における製本アプリケーションによる出力処理フローを表した図である。これらを用いて本発明の処理フローを説明する。
【0055】
図15は製本アプリケーション104に表紙データ及び本文データを取り込んだときのユーザインターフェースの表示例を示した図である。読み込んだ文書の各ページがユーザインターフェースに表示される。表紙データ及び本文データは、例えば紙原稿を光学的に走査することで電子原稿化されている。図16は、印刷設定の一部である「くるみ製本」を設定するための設定UIを例示した図である。ここでは、製本方法が「くるみ製本」、開き方向が「左開き」、くるみ表紙用紙サイズが「A3」(本文出力サイズはA4)、論理ページデータの表紙の割り当ては、「表(2)/裏(2)」と設定されている。ここで論理ページの表紙の割り当てとは、取り込まれたページデータを表紙にどのように割り当てるかを定義する設定である。「表(2)/裏(2)」とは、図16の図のアイコンに示されるように、印刷対象のページのうち先頭ページAおよびその次のページBと、末尾の前ページYおよび末尾ページZとを表紙に配置する設定である。本例では、くるみ表紙の表に末尾ページZおよび先頭ページAを配置し、その裏面に先頭の次ページBと末尾の前ページYを配置する。該当するページがなければ、そのページが配置される領域はブランクである。これらのページが印刷された表紙のシートの中央を、その他のページが印刷された本文シートの束の背に固定すれば、先頭ページから末尾ページまでが連続した本の体裁となる。
【0056】
このように設定して、実際に印刷される用紙の結果を表示するビュー(用紙プレビュー)での表示を例示した図が図17である。このように、本文シート(A4サイズ)と、本文シート2枚分のサイズ(A3)を持つ表紙シートにそれぞれ論理ページが割り振られ、表紙+本文の出力結果が図17のようにプレビュー表示される。以後の説明ではこのような設定がされていると想定する。図17においては、表紙1701と1702は他のページの倍のサイズで示されている。表紙の表面1701の右側に図15に示す第1ページが、左側に末尾ページ(図15では不図示)が配置される。また、表紙の裏面1702の右側に末尾の前ページ(図15では不図示)が、左側に図15に示す第2ページが配置されている。またたとえば本文の先頭シート1703(シート番号は2)の表面には第3ページが、その裏面1704には第4ページが配置される。本文の末尾まで同様に繰り返される。
【0057】
<処理フロー>
製本アプリケーション104でユーザが印刷を希望し、図17のようにプレビュー表示された複数ページから構成される文書を印刷する場合、ユーザは[ファイル]メニューから−[印刷]コントロールを選択する。これによって印刷指示が入力されると、図22に示す手順が製本アプリケーション104により実行される。まず、印刷設定表示処理2201が行われる。これは、製本アプリケーション104が、図23で示すような印刷設定ダイアログ2300を表示する処理である。ここで、ユーザが印刷するプリンタ(印刷装置)、部数、印刷範囲等を設定することになる。変更可能な設定は、「部単位印刷」2301、「表紙ノンコレート」2302、印刷範囲2303などがある。「部単位印刷」2301が設定されている場合、印刷物が1部単位でまとめて印刷されるような印刷データが生成されて、印刷装置に送信される。「表紙ノンコレート」2302が設定されていると、表紙は「1部単位」のなかから除外され、本文のみで1部が構成され、表紙は指定部数分まとめて印刷されるような印刷データが生成され、送信される。すなわち、表紙部分と本文部分とを分けて別々の設定(ノンコレートとコレート)で印刷データが作成される。印刷範囲2303では、印刷対象の文書データの内、印刷対象とする範囲が指定される。
【0058】
所望の製本設定をした後、ユーザはOKボタンをクリックして印刷データの生成の開始を指示する。それをトリガとして次に、保存された印刷設定のうち、製本設定が参照されて「くるみ製本印刷」が指定されているか否かの判定処理2202が行われる。「くるみ製本印刷」が設定されていると判定された場合、次に、複数部数印刷の設定がされているか否かの判定処理2203が行われる。設定された印刷部数が2以上であれば、複数部数の印刷と判定できる。複数部数であると判定されると、次に、部単位印刷か否かの判定処理2204が行われる。部単位印刷とは、複数部数を123・・、123・・、のようなページ順に並べた出力結果を得る印刷方法である。図23の「部単位印刷」2301がチェックされると、印刷設定の部単位印刷がセットされる。なお部単位印刷に対して、111・・、222・・、のような、ひとつのページを指定部数分まとめた印刷結果を得る印刷方法を一般的にノンコレート印刷やグループ印刷と呼ぶ。部単位印刷が指定されている場合、オフライン製本か否かの判定処理2205が行われる。オフライン製本とは先に説明したように、印刷機と製本機が直接繋がっていない印刷形態を指す。製本アプリケーション104では、図16で示すUI例のフィニッシャコントロール「なし」がそれにあたる。すなわち、印刷設定における該当項目をテストすることでオフライン印刷か否か判定できる。図16では例として「表紙を糊付けして断裁」(オンライン印刷)を表示しているが、フィニッシャ「なし」が選択されていると、オフライン製本であると判定され、表紙はノンコレートとするか否かの判定処理2206が行われる。
【0059】
表紙を含むくるみ製本用の印刷を仮に部単位(コレート)ですべて印刷する印刷設定の場合、表紙を含む部単位印刷となり、図19のような印刷結果となる。すなわち、表紙と本文とをまとめた部単位で、第1部1901、第2部1902等が順次印刷される。一方、部単位で印刷しない(ノンコレート)印刷設定の場合、図18に示したように、表紙×N、111・・、222・・、のような同じページを指定部数分続けて印刷した印刷結果となる。
【0060】
印刷後の表紙及び本文を別々の給紙口を用いて入力(給紙)するくるみ製本機では、N枚の表紙とN部の本文とが分けられた印刷結果であるほうが望ましい。これを説明した図が図20であり、その印刷結果を例示した図が図21である。つまり、印刷後の表紙及び本文を別々の給紙口を用いて給紙する「くるみ製本機」を用いる場合、表紙はノンコレート形式であり、かつ、本文はコレート形式で印刷されることで、作業者の負荷を軽減することが可能となる。なぜならば、製本処理を担当する作業者は、N枚の表紙を表紙用の給紙口に置き、n部の本文を本文用の給紙口に置くだけで良いためである。ここで、図18および図19のような印刷結果となった場合における課題について説明する。
【0061】
まず、図18のような印刷結果を、表紙及び本文を別々の給紙口を用いて給紙する「くるみ製本機」を用いて製本する場合、作業者は、表紙と本文部分とを分けた後、さらに、各頁の集合体から、1枚ずつ印刷物をとって並べる必要がある。つまり、作業者は、本文の1ページ目の集合体1802から1枚取り出し、かつ、本文の2ページ目の集合体1803から1枚取り出しという処理を全ページについて繰り返して、1〜n(nは、本文対象ページの最終ページ)ページ目までを並べる。この処理を、さらにN部分(Nは、指定された部数)繰り返す必要があり、作業者の負担が増加する。
【0062】
一方、図19のような印刷結果を、表紙及び本文を別々の給紙口を用いて給紙する「くるみ製本機」を用いて製本する場合、作業者は、各部から表紙を取除く必要があり、指定された部数が多ければ多い程、作業者の負担が増加する。
【0063】
よって、ユーザが、製本処理を考慮して図21のような表紙は部単位印刷としない場合、図23で示すUI例のように「表紙は部単位としない」を選択する。すると、表紙はノンコレートとするか否かの判定処理2206では、印刷設定を参照して「表紙は部単位としない」(つまり「表紙はノンコレート」)と判定される。この場合、次の表紙用の印刷データ作成処理2207が行われる。これは製本アプリケーションで作成する表紙部分の印刷データを作成する処理である。ここでは、先に示したように、製本アプリケーション104は、表紙の表面に論理ページ対(Z、A)を、裏面に論理ページ対(B、Y)を、指定されたサイズの表紙用シートに割り当てたデータを作成する。なお、この表紙用データを1枚分生成するのか、印刷部数分生成するかは、印刷装置の能力に依存する。印刷装置が印刷データを保存するためのストレージを備え、ストレージにいったん格納した印刷データを使用して指定部数の印刷を行えるなら、生成する表紙用データは1部分で十分である。また、印刷装置が指定部数分の印刷を行えないなら、表紙用データは指定された部数分繰り返し生成されるか、少なくとも指定部数分繰り返し印刷装置に送信される。
【0064】
なお、S2206では、印刷設定を参照して「表紙は部単位としない」が設定されているか否かを判定していたが、製本アプリケーション104は、製本処理を実行する製本機の機能情報に基づいて、表紙をノンコレートとするか否かを判定しても良い。なお、製本機がニアラインであれば、通信により製本機の機能情報が取得され、製本機がオフラインであれば、ユーザが登録することにより機能情報が取得される。例えば、製本機が印刷後の表紙及び本文を別々の給紙口を用いて給紙する機能を備えている場合、製本アプリケーション104は、表紙はノンコレート形式で出力すると決定する。一方、製本機が印刷後の表紙及び本文を同一の給紙口を用いて給紙する機能を備えている場合、製本アプリケーション104は、表紙および本文はコレート形式にて出力すると決定する。
【0065】
次に、本文用の印刷データの作成処理2208が行われる。これは表紙に続き、本文データを123・・のようにページ順に作成する処理である。ここでは先に示したように、表紙用のデータ表面(Z、A)、裏面(B、Y)以外の本文の印刷データを作成する。表紙同様、表紙に配置される論理ページを除いた本文データを1部数分作成するか、指定部数分作成するかは印刷装置の能力に依存する。
【0066】
そして、印刷処理2209が行われる。これは先に作成した表紙用印刷データ及び本文用印刷データをそれぞれ印刷装置に送信する処理である。そのために、製本アプリケーション104が生成した表紙用印刷データと、部数を指定するコマンドを印刷装置に発行する。そして、製本アプリケーション104が生成した本文用の印刷データ及び、部数指定および部単位印刷を行うためのコマンドを印刷装置に発行する。もし、使用する印刷装置が一つの印刷ジョブでジョブの途中で部単位コマンドを発行することができない場合は、表紙と本文とで印刷ジョブを分ける。これらのコマンドは印刷装置またはプリンタドライバで処理される。
【0067】
また、表紙用の印刷データ作成処理2207及び本文印刷データの作成処理2208で、複数部数分の印刷データを作成し、送信することも可能である。これは、印刷装置やプリンタドライバに部単位コマンドがない場合、若しくは当該コマンドがあっても印刷ジョブの途中で部単位に切り替えることが出来ない場合、印刷ジョブを複数に分けることを欲しない場合などに行われる。これにより、図21で示す印刷結果を得ることができる。
【0068】
さて、ステップS2203において複数部印刷でないと判定された場合、S2212に分岐して、製本アプリケーション104は、表紙部分と本文部分とに相当する印刷データを1部ずつ生成する。ステップS2204において部単位で無いと判定された場合には、ステップS2213に分岐して、製本アプリケーション104は、表紙も本文もノンコレート形式で印刷データを生成する。つまり、製本アプリケーション104は、指定された部数分(N部)について、表紙×Nの印刷データと、1ページ目×N、2ページ目×N・・・という印刷データを生成する。ステップS2205でオフライン製本ではないと判定された場合、およびステップS2206で表紙もコレートとすると判定された場合には、製本アプリケーション104は、表紙および本文を部単位でまとめたコレート形式の印刷データを生成する(S2211)。つまり、指定された部数分(N部)について、製本アプリケーション104は、表紙、1ページ目、2ページ目・・・という印刷データをN部分作成する。
【0069】
以上のように、本実施形態では、くるみ製本指定が印刷設定の一部として設定されている場合、本文部分と表紙部分とを分けて生成できる。詳しくは、表紙はノンコレートで、本文はコレートで印刷データを生成できる。ここで印刷データというのは、単に印刷される内容を示すものではなく、コレート/ノンコレートといった印刷設定をプリンタドライバや印刷装置に対して指定するコマンドを含む。そして、製本アプリケーションからの指示に従って、プリンタドライバは、表紙用の印刷データと本文用の印刷データとを含む印刷ジョブを生成する。
【0070】
このため、オフライン製本機を利用してくるみ製本する場合、作業者は、コレートされた本文のシートの束を製本機の本文用トレイに、コレートされていない表紙用のシートの束を製本機の表紙用トレイに載置して、製本作業を開始できる。この結果、作業者の労力を軽減することができる。なお、オフライン製本機に限らず印刷装置の外部装置として動作する製本機を利用する場合、本願発明を適用することで本願の効果を得ることができる。例えば、印刷装置とネットワークを介して通信可能であるが、印刷装置と紙搬送路が繋がっていないニアライン製本機にも本願を適用できる。
【0071】
[第2実施形態]
第2の実施形態では、たとえば可変データが定義されたバリアブル印刷で、複数レコード分の文書を印刷してくるみ製本する場合、第1実施形態と同様に表紙のみ複数レコード分まとめて出力することが望ましい。これは、バリアブル印刷においては、1つのレコードに対応して、そのレコード内の可変データを可変フィールドに挿入したひとつの文書を印刷するためである。複数のレコードを挿入した文書を印刷する場合、可変データである点を除けば、複数部印刷と同様となるため、バリアブル印刷においても第1実施形態の発明を適用できる。このフローについて図24を用いて説明する。
【0072】
第1実施形態同様、図15で示すデータの取り込み、図16で示すくるみ製本の設定及び先に示したバリアブル印刷のフィールド設定を表紙に割り当てるページに行ってあるとする。
【0073】
製本アプリケーション104でユーザが印刷を欲した場合、ユーザは[ファイル]メニューから−[印刷]コントロールを選択する。これによって印刷指示が入力されると、図24に示す手順が製本アプリケーション104により実行される。まず、印刷設定表示処理2401が行われる。これは、図23で示すような印刷設定ダイアログ2300を表示する処理である。ここで、ユーザが印刷するプリンタ(印刷装置)、部数、印刷範囲等を設定することになる。さらに、バリアブル印刷を行うこともここで設定する。変更可能な設定は、「部単位印刷」2301、「表紙ノンコレート」2302、印刷範囲2303に加えて、「バリアブルプリントを行う」2304がある。バリアブルプリントを行う場合にはさらに、レコードの範囲を指定できる。これら設定はもちろん印刷設定の一部として保存される。「バリアブルプリントを行う」2304が設定されている場合、印刷対象の文書データに定義された可変フィールドに、別途指定されたデータベースから読み込まれたレコードが挿入されて印刷されるよう、印刷データは生成される。その他の設定項目に関しては第1実施形態で説明したとおりである。
【0074】
所望の製本設定をした後、ユーザはOKボタンをクリックして印刷データの生成の開始を指示する。それをトリガとして次に、保存された印刷設定のうち、製本設定が参照されてくるみ製本印刷が指定されているか否かの判定処理2402が行われる。くるみ製本が設定されていると判定された場合、次に、バリアブル印刷の設定がされているか否かの判定処理2403が行われる。バリアブル印刷が設定されている判定されると、次に、印刷対象のレコードが複数存在するか否かの判定処理2404が行われる。指定されたレコードの範囲が2レコード以上を含めば複数レコードの印刷であると判定できる。複数レコードの印刷が指定されている場合、第1実施形態の部単位印刷と同様に印刷データが生成される。複数レコード印刷が指定されている場合、オフライン製本か否かの判定処理2405が行われる。オフライン印刷であると判定されると、表紙は複数レコードまとめて出力するか否かの判定処理2406が行われる。図16の「表紙はまとめて印刷する」2305に相当する印刷設定がセットされている場合に、ステップS2406では条件に該当する(S2406−Yes)と判定される。なおこの設定は、設定項目2302と兼ねてもよい。
【0075】
さて表紙を複数レコードまとめて印刷する設定がされていると、次の表紙用の印刷データ作成処理2407が行われる。これは製本アプリケーション104が、表紙部分の印刷データを作成する処理である。ここでは、先に示したように、表紙の表面に論理ページ対(Z、A)を、裏面に論理ページ対(B、Y)を、指定されたサイズの表紙用シートに割り当てたデータを作成する。なお、この表紙用データを1枚分生成するのか、複数レコード分生成するかは、印刷装置の能力に依存する。
【0076】
次に、本文用の印刷データの作成処理2408が行われる。これは表紙に続き、本文データを123・・のようにページ順に作成する処理である。ここでは先に示したように、表紙用のデータ表面(Z、A)、裏面(B、Y)以外の本文の印刷データを作成する。なお、各レコードの可変データは、本文データの可変フィールドに割当てられる。表紙同様、表紙に配置される論理ページを除いた本文データを1部数分作成するか、複数レコード数分作成するかは印刷装置の能力に依存する。
【0077】
そして、印刷処理2409が行われる。これは先に作成した表紙用印刷データ及び本文用印刷データをそれぞれ印刷装置に送信する処理である。そのために、製本アプリケーション104が生成した複数レコード数分の表紙用印刷データを印刷装置に発行する。そして、製本アプリケーション104が生成した本文用の印刷データ及び、部単位印刷を行うためのコマンドを印刷装置に発行する。もし、使用する印刷装置が一つの印刷ジョブでジョブの途中で部単位コマンドを発行することができない場合は、表紙と本文とで印刷ジョブを分ける。これらのコマンドは印刷装置またはプリンタドライバで処理される。
【0078】
また、表紙用の印刷データ作成処理2407及び本文印刷データの作成処理2408で、複数レコード数分繰返しの印刷データを作成し、送信することも可能である。これは、印刷装置やプリンタドライバに部単位コマンドがない場合、若しくは当該コマンドがあっても印刷ジョブの途中で部単位に切り替えることが出来ない場合、印刷ジョブを複数に分けることを欲しない場合などに行われる。これにより、図21で示す印刷結果を得ることができる。
【0079】
さて、ステップS2404において複数レコード印刷でないと判定された場合、S2412に分岐して表紙部分と本文部分とに相当する印刷データをレコード単位に生成する。ステップS2405でオフライン製本ではないと判定された場合、およびステップS2406で表紙も複数レコードまとめて印刷すると判定された場合には、ステップS2411で、表紙および本文をレコード毎にまとめたコレート形式の印刷データを生成する。つまり、複数レコードについて、製本アプリケーション104は、表紙、1ページ目、2ページ目・・・という印刷データを複数レコード数分繰返し印刷される印刷データを生成する。
【0080】
以上のように、本実施形態では、バリアブル印刷が印刷設定の一部として指定されている場合、本文部分と表紙部分とを分けて生成できる。詳しくは、表紙はノンコレートで、本文はコレートで印刷データを生成できる。ここで印刷データというのは、単に印刷される内容を示すものではなく、コレート/ノンコレートといった印刷設定をプリンタドライバや印刷装置に対して指定するコマンドを含む。
【0081】
このため、オフライン製本機を利用してくるみ製本する場合、作業者は、コレートされた本文のシートの束を製本機の本文用トレイに、コレートされていない表紙用のシートの束を製本機の表紙用トレイに載置して、製本作業を開始できる。この結果、作業者の労力を軽減することができる。
【0082】
[第3実施形態]
第3の実施形態によると、製本アプリケーション104で、表紙及び本文を別々の印刷装置で印刷すること及び表紙のみ、本文のみ等の印刷指定を設定することができる。このフローについて図26を用いて説明する。第1実施形態同様、図15で示すデータの取り込み、図16で示すくるみ製本の設定を行ってあるとする。
【0083】
製本アプリケーション104でユーザが印刷を欲し、[ファイル]−[印刷]コントロールが選択されると、まず、印刷設定表示処理2601が行われる。これは、製本アプリケーション104が、図25で示すような印刷設定ダイアログ2500を表示する処理である。ここでユーザが印刷するプリンタ、部数、印刷範囲、バリアブル印刷等を設定することになる。そして、次に、くるみ製本印刷か否かの判定処理2602が行われる。これは、製本アプリケーション104が、くるみ製本の設定がされているかを判定する処理である。図16で例示したUIよりくるみ製本の設定がされていれば、くるみ製本設定がされていると判定される。次に、くるみ印刷指定表示処理2603が行われる。これは、製本アプリケーション104が、図25の「くるみ印刷指定」2501のようなくるみ印刷時特有の表示を行う処理である。ここでは、「表紙+本文」、「表紙のみ」、「本文のみ」の表示を行い利用者が選択可能としている。OKボタンをトリガとして次の工程に進む。
【0084】
図25において「表紙+本文」が選択されていると、次の表紙+本文印刷かの判定処理2604で表紙+本文の印刷であると判定され、表紙デバイス指定表示処理2610が行われる。このステップでは、製本アプリケーション104が、表紙を印刷させる印刷装置の選択を受け付けるためのユーザインターフェースを表示する。次に表紙デバイス選択処理2611が行われる。製本アプリケーション104は、ステップS2610で表示されたユーザインターフェースにおいて、表紙の印刷装置の選択を受け付ける。図25の「表紙印刷プリンタ名」コントロール2502がそれを例示したものである。ここで製本アプリケーション104は、通常の印刷において、「プリンタ」コントロールで指定したデバイスとは別に、ユーザの指示に従って表紙の印刷に使用する印刷装置を選択する。ここで印刷装置が選択されてOKボタンの押下で確定されると、表紙印刷データ作成処理2612が行われる。製本アプリケーション104は、表紙部分の印刷データを作成する。ここでは、製本アプリケーション104が、先に示したように表紙の表に(Z、A)、裏に(B、Y)を割り当てるデータを作成する。
【0085】
次に、表紙のみの印刷かの判定処理2613が行われる。これは表紙のみの印刷の場合、印刷データの作成処理はこれで終了し、印刷処理(送信処理)を行うため、先に選択された印刷指定が表紙のみか判定する処理である。表紙のみ以外、たとえば表紙+本文が選択されているとすれば、次の本文の印刷データ作成処理2607が行われる。これは表紙に続き、本文データを作成する処理である。ここでは先に示したように、製本アプリケーション104は、表紙用のデータ表(Z、A)、裏(B、Y)以外の本文データを作成することになる。
【0086】
そして、印刷処理2612が行われる。これは先に作成した表紙及び本文の印刷データを指定された印刷装置に送信する処理である。生成した表紙用のデータ表(Z、A)、裏(B、Y)を、先に指定した表紙用印刷装置に、そして、本文用のデータを通常の印刷時同様、「プリンタ」で指定された印刷装置に送信する。両者が異なる場合には、それぞれ別個の印刷ジョブが生成されているので、それらを指定された印刷装置に対して送信する。
【0087】
ステップS2604で表紙+本文が指定されてない場合、ステップS2605で、「表紙のみ」が選択されているか判定し、表紙のみが選択されていればステップS2610に分岐する。一方表紙のみが選択されていなければステップS2606で本文のみが選択されているか判定する。本文のみであればステップS2607に進む。
【0088】
以上の構成及び処理手順により、ひとつの文書データに含まれる表紙と本文とを、1回の印刷指示によって相異なる印刷装置で印刷することができる。このため、表紙と本文の印刷に要する機能が異なる場合などに、それぞれの機能に応じた印刷装置を、表紙と本文とを分けて印刷指示することなく利用できる。このため印刷処理の生産性を向上させることができる。
【0089】
[他の実施形態]
なお本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また本発明の目的は、前述の実施形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体およびプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0090】
さらに、本発明は、製本アプリケーションの処理として説明してきたが、プリンタドライバに適用しても構わない。その場合、プリンタドライバが、ユーザからの1回の印刷指示で、ノンコレート形式の本文用の印刷ジョブとコレート形式の表紙用の印刷ジョブとを生成する。なお、プリンタドライバが、図22、図24のフローチャートの主体となる際は、図22、図24で生成される印刷データが印刷ジョブに相当する。
【0091】
また、本発明には、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた場合についても、本発明は適用される。その場合、書き込まれたプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】実施形態のスタンドアロン型文書処理システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態の文書処理システムを実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図3】ブックファイルの構造の一例を示す図である。
【図4】ブック属性の一覧を示す図である。
【図5】章属性の一覧を示す図である。
【図6】ページ属性の一覧を示す図である。
【図7】ブックファイルを開く手順例を示すフローチャートである。
【図8】電子原稿ファイルをブックファイルにインポートする手順例を示すフローチャートである。
【図9】図8のステップ801に示すアプリケーションデータを電子原稿ファイルに変換する手順例を示すフローチャートである。
【図10】製本アプリケーションのUI例を示す画面を示した図である。
【図11】新規にブックファイルが作成された際のUI画面を示した図である。
【図12】クライアントサーバ型の文書処理システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【図13】ステイプル制御システムの構成を示すブロック図である。
【図14】可変印刷を例示した図である。
【図15】可変印刷を例示した図である。
【図16】可変印刷を例示した図である。
【図17】可変印刷を例示した図である。
【図18】可変印刷を例示した図である。
【図19】印刷結果を例示する図である。
【図20】くるみ製本の入力を例示する図である。
【図21】印刷結果を例示する図である。
【図22】実施形態に係る発明を特徴付ける部分のフローチャートである。
【図23】実施形態に係る発明を特徴付けるユーザインターフェース例を示した図である。
【図24】実施形態に係る発明を特徴付ける部分のフローチャートである。
【図25】実施形態に係る発明を特徴付けるユーザインターフェース例を示した図である。
【図26】実施形態に係る発明を特徴付ける部分のフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
101 アプリケーションプログラム
102 電子原稿ライタ
103 電子原稿ファイル
104 製本アプリケーション
105 電子原稿デスプーラ
106 プリンタドライバ
107 プリンタ(印刷装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と通信可能な情報処理装置であって、
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、部単位に、かつ、指定された部数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定された部数に相当する枚数の表紙が印刷される表紙用の印刷データとを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成手段によって生成された印刷データを前記印刷装置に送信する送信手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
プリンタドライバを用いて、前記生成手段によって生成された印刷データを印刷ジョブに変換する変換手段と、
前記変換手段によって変換された印刷ジョブを前記印刷装置に送信する送信手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記本文部分が印刷されるシート2枚分のサイズの、前記表紙部分が印刷されたシートにより、前記本文部分が印刷されたシートを挟み込んで製本するくるみ製本印刷が前記製本指定として設定されている場合に、前記本文部分と表紙部分とを分けて前記印刷データを生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記印刷設定の一部として製本指定が設定されており、さらに部単位印刷が設定され、かつ製本処理が前記印刷装置の外部装置である製本機を用いて行われ、かつ表紙について部単位に分けることが設定されていない場合に、前記本文部分と前記表紙部分とを分けて印刷データを生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記印刷設定の一部として製本指定が設定されており、さらにバリアブル印刷が設定され、かつ印刷すべき複数のレコードが存在し、かつ製本処理がオフライン製本機を用いて行われ、かつ前記印刷すべき複数のレコード分の表紙をまとめて出力する設定されている場合に、前記本文部分と表紙部分とを分けて前記印刷データを生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記本文部分と前記表紙部分とを相異なる印刷装置に向けて生成でき、
前記送信手段は、前記生成手段により生成された本文部分の印刷データと表紙部分の印刷データとを異なる印刷装置に対して送信することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記印刷データの印刷物について製本処理を実行する製本機が、表紙部分と本文部分とを別々の給紙口から給紙して製本処理を実行する場合、前記生成手段は、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、部単位に、かつ、指定された部数分繰り返し印刷される前記本文用の印刷データと、指定された部数に相当する枚数の表紙が印刷される表紙用の印刷データとを生成し、
一方、前記印刷データの印刷物について製本処理を実行する製本機が、表紙部分と本文部分とを同一の給紙口から給紙して製本処理を実行する場合、前記生成手段は、表紙と文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページとが指定された部数分繰り返し印刷される印刷データを生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、レコード単位に、かつ、指定されたレコード数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定されたレコード数分に相当する枚数の表紙が出力される表紙用の印刷データとを生成する生成手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
印刷装置と通信可能であり、設定手段と生成手段とを有する情報処理装置における情報処理方法であって、
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定手段が設定する設定工程と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、部単位に、かつ、指定された部数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定された部数に相当する枚数の表紙が印刷される表紙用の印刷データとを生成手段が生成する生成工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
設定手段と生成手段とを有する情報処理装置における情報処理方法であって、
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として、設定手段が設定する設定工程と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、レコード単位に、かつ、指定されたレコード数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定されたレコード数分に相当する枚数の表紙が出力される表紙用の印刷データとを、生成手段が生成する生成工程と
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
印刷装置と通信可能なコンピュータを、
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、部単位に、かつ、指定された部数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定された部数に相当する枚数の表紙が印刷される表紙用の印刷データとを生成する生成手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
印刷対象となる複数ページを含む文書データを印刷する際、前記複数ページにおいて本文部分に使用されるページが印刷されたシートを、前記複数ページにおいて表紙部分に使用されるページが印刷されたシートで挟む製本指定を印刷設定の一部として設定する設定手段と、
前記製本指定が設定されている場合、前記文書データにおける本文対象の第1ページから最終ページが、レコード単位に、かつ、指定されたレコード数分繰り返し印刷される本文用の印刷データと、指定されたレコード数分に相当する枚数の表紙が出力される表紙用の印刷データとを生成する生成手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−310526(P2008−310526A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156738(P2007−156738)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】