説明

情報収集装置

【課題】路側器との通信中における収集データの圧縮待ち時間がなくなり、路側器との通信時間を短くすることができる情報収集装置を提供する。
【解決手段】収集部22A1が、新規の収集データを収集データメモリ22C1に格納する。圧縮処理部22A2が、収集データメモリ22C1に格納された新規の収集データを圧縮中データバッファ22C2にコピーした後に既に圧縮が完了された収集データにコピーした新規の収集データを加えた収集データを圧縮する第1圧縮処理を行い、その後第1圧縮処理が終了すると圧縮中データメモリ22C2に格納された圧縮が完了した収集データを圧縮データメモリ22C3にコピーする。通信データ制御部22A3が、第1圧縮処理が行われている間に路側器の通信エリアに進入すると、圧縮データメモリ22C3に格納されている収集データを送信した後に、収集データメモリ22C1に格納された新規の収集データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報収集装置に係り、特に、所定の収集データを収集する収集手段と、前記収集手段による新規の収集データの収集に応じて既に圧縮が完了された収集データに前記新規の収集データを加えた収集データを圧縮する第1圧縮処理を行う圧縮手段と、路側器の通信エリアへの進入に応じて前記路側器に対して前記圧縮手段により圧縮した収集データを無線送信する送信手段と、を備えた情報収集装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送トラックやタクシーなどの営業車両には、運行管理を行うための情報収集装置が搭載されている。情報収集装置は、車両の運行状況に応じて発生する営業日報データなどの所定の収集データを収集してメモリカードなどの記録媒体に記録するデータ収集を行う。従来、事務所のPCに対する上記収集データの受け渡しは下記に示す手順で行われていた。まず、運転手が情報収集装置に設けた終了ボタンを操作する。この操作に応じて情報収集装置が収集データの末尾に収集データを付加する。その後、運転手が情報収集装置からメモリカードを抜き取って、事務所内に持ち込みPCに接続する。
【0003】
しかしながら、この方法では、毎回メモリカードの抜き差しが発生するため、メモリカードの接続部分の劣化が激しく、情報収集装置の寿命が短くなる原因となっていた。また、運転手の操作ミス、メモリカードの抜き忘れなどの問題もある。そこで、例えば情報収集装置と無線通信可能な路側器を事務所の入口に設けて、情報収集装置を搭載した車両が路側器の通信エリアを通信している間に無線通信によって収集データを路側器に転送することが考えられている。しかしながら、メモリカードのデータ量が多いとその分だけの通信時間が必要であり、その間、通信エリアに留まって通信が完了するのを待たなければならない。
【0004】
そこで、通信時間を短くするために、図8に示すような動作を行う情報収集装置が提案されている。この情報収集装置は、路側器との通信エリアに進入すると、今まで収集した収集データ1〜nを一括で圧縮した後に、圧縮した収集データを送信する。しかしながら、この情報収集装置は、収集データを圧縮している間、収集データの送信が行うことができないため、依然通信エリアに留まる時間が長く、効率が悪い。
【0005】
そこで、図9及び図10に示すような動作を行う情報収集装置が提案されている。図9に示す情報収集装置は、新規の収集データが収集される毎に圧縮と路側器への送信とを行う(特許文献1)。しかしながら、この情報収集装置は、定期的に路側器との通信が行えるシステムでしか採用できず、路側器が事務所の入口の1箇所にしか設けられていないシステムには採用できない。
【0006】
また、図10に示す情報収集装置は、新規の収集データが収集される毎に圧縮を行う。ところで、情報収集装置のようなシステムでは、定期的に収集データが発生する。そのため、収集データが発生してから情報収集装置と路側器との通信開始までの時間が短いと、収集データの圧縮が間に合わない場合がある。この場合、従来では、収集データの圧縮が完了するのを待ってから収集データを路側器に送信していた。しかしながら、データサイズが大きくなると、例えば3Mbyte程度の収集データでは、ハフマン符号のような高速な手法を利用し、処理速度3GHzの高速なプロセッサを用いても、圧縮にかかる時間が数秒も必要なため、従来のように圧縮が完了するのを待つ方法では、相当な待ち時間が必要となる、という問題があった。
【特許文献1】特開2001−44920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、路側器との通信中における収集データの圧縮待ち時間がなくなり、路側器との通信時間を短くすることができる情報収集装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、所定の収集データを収集する収集手段と、前記収集手段による新規の収集データの収集に応じて既に圧縮が完了された収集データに前記新規の収集データを加えた収集データを圧縮する第1圧縮処理を行う圧縮手段と、路側器の通信エリアへの進入に応じて前記路側器に対して前記圧縮手段により圧縮した収集データを無線送信する送信手段と、を備えた情報収集装置において、前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記新規の収集データを加える前の前記既に圧縮が完了された収集データを無線送信した後に前記新規の収集データを無線送信することを特徴とする情報収集装置に存する。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記圧縮手段が、前記第1圧縮処理中に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記第1圧縮処理を終了して前記送信手段により前記既に圧縮が完了された収集データの無線送信を行っている間に、前記新規の収集データを圧縮する第2圧縮処理を行い、前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記新規の収集データを加える前の前記既に圧縮が完了された収集データの無線送信を行った後に前記第2圧縮処理により圧縮された前記新規の収集データの無線送信を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報収集装置に存する。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記収集手段が、前記新規の収集データを収集データメモリに格納し、前記圧縮手段が、前記収集データメモリに前記新規の収集データが格納されると前記新規の収集データを圧縮中データメモリにコピーした後に前記圧縮中データメモリに格納されている前記既に圧縮が完了された収集データに前記コピーした新規の収集データを加えた収集データを圧縮する前記第1圧縮処理を行い、その後前記第1圧縮処理が終了すると前記圧縮中データメモリに格納された圧縮が完了した収集データを圧縮データメモリにコピーし、前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記圧縮データメモリに格納されている収集データを送信した後に、前記収集データメモリに格納された前記新規の収集データを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報収集装置に存する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、送信手段が、圧縮手段により第1圧縮処理が行われている間に路側器の通信エリアに進入すると、新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データを無線送信した後に新規の収集データを無線送信するので、路側器との通信中における収集データの圧縮待ち時間がなくなり、路側器との通信時間を短くすることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、送信手段が、圧縮手段により第1圧縮処理が行われている間に路側器の通信エリアに進入すると、新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データの無線送信を行った後に第2圧縮処理により圧縮された新規の収集データの無線送信を行うので、さらに路側器との通信時間を短くすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、簡単な構成で圧縮手段により第1圧縮処理が行われている間に路側器の通信エリアに進入したときに、新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データを無線送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1実施形態
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の情報収集装置2を組み込んだ通信システムの一実施の形態を示す構成図である。図2は、図1に示す情報収集装置2の構成図である。図3は、図2に示す情報収集装置2内のCPU22Aの機能ブロック図である。図4は、図1に示す路側器4の構成図である。
【0015】
通信システムは、図1に示すように、タクシ車両1に搭載されている情報収集装置2と、タクシ車両1の管理を行う事務所3に設置されている路側器4と、を有している。まず、上記情報収集装置2の構成について図2を参照して説明する。情報収集装置2は、車載アンテナAT1と、無線器21と、マイクロコンピュータ(μCOM)22と、インタフェース(I/F)23と、を有している。
【0016】
車載アンテナAT1は、タクシ車両1に搭載されたアンテナである。無線器21は、車載アンテナAT1を用いて後述する路側器4とDSRC(Dedicated Shor Range Communication:専用狭域通信)を行い、データを受信したり、送信したりするための機器である。無線器21は、車載アンテナAT1が受信したデータを復調してμCOM22に出力したり、μCOM22から出力される送信データを変調して車載アンテナAT1に出力する変復調回路を有している。
【0017】
μCOM22は、処理プログラムに従って各種の処理を行う中央演算処理ユニット(CPU)22Aと、CPU22Aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM22Bと、CPU22Aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読出書込自在のメモリであるRAM22Cと、を有している。I/F23は、μCOM22内のCPU22Aがタクシメータ5との通信を行うためのインタフェース回路である。
【0018】
次に、上述した情報収集装置2のCPU22Aの機能構成について図3を参照して説明する。CPU22Aは、収集手段としての収集部22A1と、圧縮手段としての圧縮処理部22A2と、送信手段としての通信データ制御部22A3と、を有している。
【0019】
収集部22A1は、タクシ車両1の賃走時間や料金などの営業日報データに応じた収集データをタクシメータ5から収集して、RAM22C内に設けた収集データメモリ22C1内に格納する。圧縮処理部22A2は、収集部22A1により収集データメモリ22C1内に新規の収集データが格納されるとその新規の収集データをRAM22C内に設けた圧縮中データメモリとしての圧縮中データバッファ22C2にコピーする。なお、圧縮中データバッファ22C2内には既に圧縮が完了された今まで収集された収集データが記録されている。よって、圧縮中データバッファ22C2には、既に圧縮が完了された収集データと、コピーされた新規の収集データと、が格納される。
【0020】
また、圧縮処理部22A2は、圧縮中データバッファ22C2に格納された既に圧縮が完了された収集データにコピーした新規の収集データを加えた収集データを一括して動的圧縮を行う第1圧縮処理を実行する。
【0021】
上記動的圧縮とは、新規の収集データが発生すると、新規の収集データを構成するコードを読み込む毎に符号木を更新し、そのときの符号木を使って圧縮する方法である。例えば、営業時刻情報の、月、日、時間と分とをそれぞれ、1byteのデータで記録するものとし、料金は2桁ずつ1byteのデータで記録するフォーマットを規定する。このとき、10月10日10時10分に料金1000円であった場合、収集データは、10,10,10,10,10,00となる。動的圧縮は、この収集データを構成するコード「10」、「10」、「10」、「10」、「10」、「00」を順番に読み込み、コードを1つ読み込む毎に符号木を更新し、そのときの符号木を使って圧縮する。このように新規の収集データを構成するコードを読み込む毎に符号木を更新するため、収集データを読み込みながら圧縮処理を行うことができる。このような動的圧縮方法としては、動的ハフマン符号化(Dynamic Huffman Coding)または適応型ハフマン符号法(Adaptive Huffman Coding)などが考えられる。
【0022】
圧縮とは、データの冗長性や偏りを利用して情報量(エントロピー)を減らすことである。有名な圧縮方法として、ハフマン符号法がある。これは、もっとも出現頻度の高いデータには短い符号を与え、出現頻度の低いデータには長い符号を与えることで、全体の平均符号長を短くすることで圧縮を行うものである。つまり、圧縮の定義のとおり、圧縮対象データに偏りがあればより高い圧縮率が得られ、偏りがあまりない場合は圧縮率が低くなる。さらに、偏りがないと全く圧縮の効果が得られないことになる。
【0023】
単純な例として、ハフマン符号ではなく、データの連続性を示す圧縮方法を示す。上述したように、営業時刻情報の、月、日、時間と分とをそれぞれ、1byteのデータで記録するものとし、料金は2桁づつ1byteのデータで記録するフォーマットを規定する。このとき、10月10日10時10分に料金1000円であった場合、収集データは、10,10,10,10,10,00となる。この場合の圧縮後の収集データは、10,5,00,1の4byteで表現できる。次に、10月10日10時20分に2000円であった場合、収集データは、10,10,10,20,20,00となる。この場合の圧縮後の収集データは、10,3,20,2,00,1の6byteの表現となる。この2つの例のように、同じデータ系列でもその内容によって圧縮率が大きく変わるだけでなく、2つ目のデータのように圧縮できないこともある。
【0024】
圧縮中データバッファ22C2には、第1圧縮処理中の収集データが格納される。また、圧縮処理部22A2は、第1圧縮処理が終了すると収集データメモリ22C1に格納された圧縮が済んだ新規の収集データを消去すると共に圧縮中データバッファ22C2に格納された圧縮が完了した収集データを圧縮データメモリ22C3に上書きコピーする。以上のことから明らかなように、圧縮処理部22A2が第1圧縮処理を実行している間は、収集データメモリ22C1には圧縮が済んでいない新規の収集データが格納され、圧縮中データバッファ22c2には第1圧縮処理中の収集データが格納され、圧縮データメモリ22C3には新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データが格納される。
【0025】
上記通信データ制御部22A3は、圧縮処理部22A2により第1圧縮処理が行われていないときにタクシ車両1が路側器4の通信エリア7に進入して無線器21が路側器4との通信を開始すると、圧縮データメモリ22C3内に格納された既に圧縮が完了された収集データを無線器21に対して出力して無線送信する。また、通信データ制御部22A3は、圧縮処理部22A2により第1圧縮処理が行われている間にタクシ車両1が路側器4の通信エリア7に進入して無線器21が路側器4との通信を開始すると、圧縮データメモリ22C3内に格納された既に圧縮が完了された収集データを無線器21に対して出力して無線送信した後にさらに新規データメモリ22C1に格納された新規の収集データを無線器21に対して出力して無線送信する。
【0026】
次に、上記路側器4の構成について図4を参照して説明する。路側器4は、路側アンテナAT2と、無線器41と、μCOM42と、I/F43と、を有している。路側アンテナAT2は、図1に示すように、事務所3の入口6に通信エリア7を形成するアンテナである。事務所3に入るタクシ車両1は、必ずこの通信エリア7を通過することとなる。無線器41は、路側アンテナAT2を用いて上記情報収集装置2とDSRCを行い、データを受信したり、送信したりするための機器である。無線器41は、路側アンテナAT2が受信したデータを復調してμCOM42に出力したり、μCOM42から出力される送信データを変調して路側アンテナAT2に出力する変復調回路を有している。
【0027】
μCOM42は、処理プログラムに従って各種の処理を行うCPU42Aと、CPU42Aが行う処理のプログラムなどを格納した読出専用のメモリであるROM42Bと、CPU42Aでの各種の処理過程で利用するワークエリア、各種データを格納するデータ記憶エリアなどを有する読出書込自在のメモリであるRAM42Cと、を有している。I/F43は、μCOM42内のCPU42Aが事務所3側のPC(パーソナルコンピュータ)などから構成された管理装置8との通信を行うためのインタフェース回路である。管理装置8は、転送された収集データを例えばプリンタなどの出力端末9から出力する。
【0028】
上述した構成の通信システムの動作について図5のフローチャート及び図6のタイムチャートを参照して以下説明する。まず、タクシ車両1のイグニッションがオンされると、CPU22Aが図5に示す処理を開始する。その後、タクシ車両1は事務所3の出口から事務所3を出て営業を開始する。CPU22Aは、営業時には路側器4から送信される電波を受信できないため通信エリア7に進入していないと判断して(ステップS1でN)、ステップS7〜S12が繰り返し行われる。
【0029】
詳しくは、CPU22Aは、賃走時間や料金などの新規の収集データがタクシメータ5で発生すると(ステップS7でY)、その新規の収集データを収集データメモリ22C1内に格納する(ステップS8)。以上のことから明らかなように、ステップS7及びS8においてCPU22Aは収集手段として働く。その後、CPU22Aは、収集データメモリ22C1内に格納された新規の収集データを圧縮中データバッファ22C2内にコピーする(ステップS9)。次に、CPU22Aは、上述した第1圧縮処理を開始させた後(ステップS10)、ステップS11に進む。このステップS10の第1圧縮処理開始に応じて、CPU22Aは、図5に示す処理と並列して上述した第1圧縮処理を実行する。
【0030】
これに対して、CPU22Aは、新規の収集データが発生していなければ(ステップS7でN)、直ちにステップS11に進む。ステップS11において、CPU22Aは、第1圧縮処理が実行中であるか否かを判断する。そして、第1圧縮処理が実行中でなければ(ステップS11でN)、CPU22Aは、第1圧縮処理が終了後に後述するステップS13の動作が実行された状態であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0031】
第1圧縮処理が終了後に後述するステップS13の動作が実行されていない状態であれば(ステップS12でN)、CPU22Aは、収集データメモリ22C1内に格納された圧縮が完了した新規の収集データを消去すると共に圧縮中データバッファ22C2内に格納された圧縮済みの収集データを圧縮データメモリ22C3内に上書きした後(ステップS13)、ステップS11に戻る。これに対して、CPU22Aは、第1圧縮処理が終了後に後述するステップS13の動作が実行された状態であれば(ステップS12でY)、直ちにステップS1に戻る。以上のことから明らかなように、ステップ9〜S13において、CPU22Aは圧縮手段として働く。
【0032】
その後、タクシ車両1が営業を終えて、事務所3内の入口6に進入すると、情報処理装置2は、路側器4からの電波を受け取る。これに応じて、CPU22Aは、通信エリア7に進入して通信が開始されたと判断して(ステップS1でY)、上述した第1圧縮処理が実行中であるか否かを判断する(ステップS2)。第1圧縮処理が実行されていなければ(ステップS2でN)、CPU22Aは、無線器21に対して圧縮中データメモリ22C3内に格納された収集データを出力して送信した後(ステップS6)、処理を終了する。
【0033】
一方、第1圧縮処理が実行中であれば(ステップS2でY)、CPU22Aは、並列に行われている第1圧縮処理を直ちに中止させる(ステップS3)。この圧縮中止に応じてCPU22Aは第1圧縮処理を終了する。その後、CPU22Aは、無線器21に対して圧縮中データメモリ22C3内に格納された収集データを出力して送信した後(ステップS4)、収集データメモリ22C1内に格納された収集データを出力して送信した後(ステップS5)、処理を終了する。以上のことから明らかなように、ステップS1〜S6においてCPU22Aは送信手段として働く。
【0034】
以上の動作により、情報収集装置2は、図6に示すように、新規の収集データが収集される毎に圧縮を行う。そして、圧縮中に路側器4との通信が開始されると、圧縮データメモリ22C3内に格納された新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データを無線送信した後に収集データメモリ22C1に格納されている新規の収集データを送信する。これにより、路側器4との通信中における収集データの圧縮待ち時間がなくなり、路側器4との通信時間を短くすることができる。
【0035】
また、上述した情報収集装置2によれば、CPU22Aが、新規の収集データを新規収集データメモリ22C1に格納する。また、CPU22Aが、新規収集データメモリ22C1に新規の収集データが格納されると新規の収集データを圧縮中データバッファ22C2にコピーした後に第1圧縮処理を行い、その後第1圧縮処理が終了すると圧縮中データバッファ22C2に格納された圧縮が完了した収集データを圧縮データメモリ22C3にコピーする。そして、第1圧縮処理が行われている間に路側器4の通信エリア7に進入すると、圧縮データメモリ22C3に格納されている収集データを送信した後に、収集データメモリ22C1に格納された新規の収集データを送信する。よって、簡単な構成で第1圧縮処理が行われている間に路側器4の通信エリア7に進入したときに、新規の収集データを加える前の既に圧縮が完了された収集データを無線送信することができる。
【0036】
第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態においては動的圧縮で収集データを収集していたが、第2実施形態では静的圧縮で収集データを圧縮する。第2実施形態の情報収集装置2の構成は、図1及び図4について第1実施形態で既に説明した情報収集装置2と同様の構成であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0037】
次に、上記静的圧縮について説明する。静的圧縮は、新規の収集データが発生すると新規の収集データを全て読み込んで符号木を作成し、その後作成した符号木を使って圧縮する方法である。例えば、営業時刻情報の、月、日、時間と分とをそれぞれ、1byteのデータで記録するものとし、料金は2桁ずつ1byteのデータで記録するフォーマットを規定する。このとき、10月10日10時10分に料金1000円であった場合、収集データは、10,10,10,10,10,00となる。動的圧縮は、この収集データ「10,10,10,10,10,00」を全て読み込んで、符号木を作成し、そのときの符号木を使って圧縮する。このように収集データを全て読み込んだ後に符号木を作成するため、静的圧縮は収集データの読み込みと圧縮処理とを同時に行うことができない。
【0038】
次に、第2実施形態における通信システムの動作について図7のフローチャートを参照して以下説明する。なお、同図において、図5について上述した第1実施形態で既に説明したステップと同等の動作には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。まず、タクシ車両1のイグニッションがオンされると、CPU22Aが図6に示す処理を開始する。その後、タクシ車両1は事務所3の出口から事務所3を出て営業を開始する。ステップS1〜S6までは上述した第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明は省略する。
【0039】
CPU22Aは、賃走時間や料金などの新規の収集データがタクシメータ5で発生すると(ステップS7でY)、その新規の収集データを収集データメモリ22C1内に格納する(ステップS8)。その後、CPU22Aは、上述した第1圧縮処理が実行中であるか否かを判断する(ステップS14)。第1圧縮処理が実行中でなければ(ステップS14でN)、CPU22Aは、収集データメモリ22C1内に格納された新規の収集データを圧縮中データバッファ22C2内にコピーする(ステップS9)。次に、CPU22Aは、上述した第1圧縮処理を開始させた後(ステップS10)、ステップS11〜S13に進む。S11〜S13までは上述した第1実施形態と同様であるためここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
これに対して、第1圧縮処理が実行中であれば(ステップS14でY)、その新規の収集データの圧縮中データバッファ22C2へのコピーを行わずに直ちにステップS1に戻る。そして、この実行中の第1圧縮処理が終了して、ステップS13に進みCPU22Aが、収集データメモリ22C1内に格納された圧縮が完了した新規の収集データを消去すると共に圧縮中データバッファ22C2内に格納された圧縮済みの収集データを圧縮データメモリ22C3内に上書きした後に、収集データメモリ22C1に圧縮されていない収集データが残っていないか確認する(ステップS15)。
【0041】
収集データが残っていれば(ステップS15でY)、CPU22AはステップS9に進んで残りの収集データを圧縮中データバッファ22C2内にコピーして、ステップS10に進み第1圧縮処理を開始させる。一方、収集データが残っていなければ(ステップS15でN)、CPU22AはステップS1に戻る。第1実施形態では、収集データが発生する毎に新規の収集データを圧縮中データバッファ22C2にコピーしていたが、第2実施形態では、収集データが発生しても第1圧縮処理が実行中であれば第1圧縮処理が終了するのを待って圧縮中データバッファ22C2へのコピーが行われ再び第1圧縮処理が行われる。よって、収集データの取り込みと圧縮とが同時に行えない静的圧縮に適用した動作となっている。
【0042】
なお、上述した第1及び第2実施形態では、新規の収集データは圧縮しないで路側器4に対して無線送信していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、ステップS3で第1圧縮処理を中止した後、新規の収集データのみを圧縮する第2圧縮処理を行っても良い。この第2圧縮処理を施した新規の収集データを収集データメモリ22C1に格納すれば、圧縮した新規の収集データを路側器4に対して無線送信することができる。第2圧縮処理は、既に圧縮が完了された収集データの送信を行っている間に行うことができるため、より一層、通信時間を短くすることができる。
【0043】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の情報収集装置を組み込んだ通信システムの一実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1に示す情報収集装置の構成図である。
【図3】図2に示す情報収集装置内のCPUの機能ブロック図である。
【図4】図1に示す路側器の構成図である。
【図5】図1に示す情報収集装置内のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す情報収集装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図7】第2実施形態における図1に示す情報収集装置内のCPUの圧縮処理手順を示すフローチャートである。
【図8】従来の情報収集装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図9】従来の情報収集装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【図10】従来の情報収集装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0045】
2 情報収集装置
4 路側器
7 通信エリア
22A CPU(収集手段、圧縮手段、送信手段)
22A1 収集部(収集手段)
22A2 圧縮処理部(圧縮手段)
22A3 通信データ制御部(送信手段)
22C1 収集データメモリ
22C2 圧縮中データバッファ(圧縮中データメモリ)
22C3 圧縮データメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の収集データを収集する収集手段と、前記収集手段による新規の収集データの収集に応じて既に圧縮が完了された収集データに前記新規の収集データを加えた収集データを圧縮する第1圧縮処理を行う圧縮手段と、路側器の通信エリアへの進入に応じて前記路側器に対して前記圧縮手段により圧縮した収集データを無線送信する送信手段と、を備えた情報収集装置において、
前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記新規の収集データを加える前の前記既に圧縮が完了された収集データを無線送信した後に前記新規の収集データを無線送信する
ことを特徴とする情報収集装置。
【請求項2】
前記圧縮手段が、前記第1圧縮処理中に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記第1圧縮処理を終了して前記送信手段により前記既に圧縮が完了された収集データの無線送信を行っている間に、前記新規の収集データを圧縮する第2圧縮処理を行い、
前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記新規の収集データを加える前の前記既に圧縮が完了された収集データの無線送信を行った後に前記第2圧縮処理により圧縮された前記新規の収集データの無線送信を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報収集装置。
【請求項3】
前記収集手段が、前記新規の収集データを収集データメモリに格納し、
前記圧縮手段が、前記収集データメモリに前記新規の収集データが格納されると前記新規の収集データを圧縮中データメモリにコピーした後に前記圧縮中データメモリに格納されている前記既に圧縮が完了された収集データに前記コピーした新規の収集データを加えた収集データを圧縮する前記第1圧縮処理を行い、その後前記第1圧縮処理が終了すると前記圧縮中データメモリに格納された圧縮が完了した収集データを圧縮データメモリにコピーし、
前記送信手段が、前記圧縮手段により前記第1圧縮処理が行われている間に前記路側器の通信エリアに進入すると、前記圧縮データメモリに格納されている収集データを送信した後に、前記収集データメモリに格納された前記新規の収集データを送信する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報収集装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−97308(P2010−97308A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266073(P2008−266073)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】