情報媒体処理装置
【課題】処理を迅速に行う。
【解決手段】
所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路10と、搬送路10に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッド70と、搬送路10に設けられ、情報媒体の画像を読み取る画像読取手段30と、搬送路10に設けられ、情報媒体を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段142と、画像読取手段30が読み取った画像に基づいて情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部143を備え、所定量離れている場合、搬送手段142が情報媒体を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるようにしている。
【解決手段】
所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路10と、搬送路10に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッド70と、搬送路10に設けられ、情報媒体の画像を読み取る画像読取手段30と、搬送路10に設けられ、情報媒体を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段142と、画像読取手段30が読み取った画像に基づいて情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部143を備え、所定量離れている場合、搬送手段142が情報媒体を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるようにしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報媒体処理装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、MICR文字の印字位置が基準エッジを基準にして定められている情報媒体を取り扱い、MICR文字を磁気的に読み取る磁気ヘッドを有する情報媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小切手等の情報媒体に記載されたMICR(Magnetic Ink Character Recognition)文字を磁気ヘッドで読み取って所定の処理を行う情報媒体処理装置として、例えば特開2004−110612号公報に記載の画像読み取り装置がある。この画像読み取り装置では、まず最初に画像読み取りユニットで原稿を読み取り、その画像データの画像処理を行ってMICR文字の文字列を検出した後、その文字列に対向する位置に磁気ヘッドを移動させて、MICR文字を磁気的に読み取る際のオフトラック(MICR文字からの磁気ヘッドの外れ)を防止している。
【0003】
また、特開2006−40256号公報に記載の磁気インク文字読取装置では、磁気インク文字を光学的に読み取って復調した文字列と磁気的に読み取って復調した文字列とを照合し、磁気インク文字の復調精度を向上させている。磁気インク文字の光学的な読み取りでは、読み取った画像データの画像処理を行って磁気インク文字を抽出し、テンプレートとのマッチング処理を行っている。
【特許文献1】特開2004−110612号
【特許文献2】特開2006−40256号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像読み取り装置では、画像データの読み取りを行った後に、MICR文字を磁気的に読み取るようにしている。また、MICR文字を磁気的に読み取る際のオフトラック防止のために、画像データに基づいて画像処理を行いMICR文字列の位置を検出している。これらのため、処理に長時間を要してしまう。
【0005】
また、上述の磁気インク文字読取装置では、磁気インク文字を光学的に読み取って復調するため、高度な演算処理が必要となり、処理に長時間を要してしまう。
本発明は、迅速な処理が可能な情報媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために請求項1記載の情報媒体処理装置は、所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路と、搬送路に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッドと、搬送路に設けられ、情報媒体の画像を読み取る画像読取手段と、搬送路に設けられ、情報媒体を磁気ヘッドの磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段と、画像読取手段が読み取った画像に基づいて情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部を備え、所定量離れている場合、搬送手段が情報媒体を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるものである。
【0007】
したがって、装置内に取り込まれた情報媒体は搬送手段によって搬送路を搬送され、搬送路に設けられた磁気ヘッドによってMICR文字の磁気が検出される。搬送手段は寄せ機構を有しており、情報媒体を搬送しながら磁気ヘッドがMICR文字を磁気検出可能な位置に寄せる。画像読取手段は搬送される情報媒体の画像を読み取り、この画像から制御部が情報媒体の基準エッジを検出してMICR文字の印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域にあるか否かを判断し、MICR文字の印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から所定量離れている場合には搬送手段が搬送動作を再度行って情報媒体を寄せ、磁気ヘッドがMICR文字を磁気検出可能な領域に入れる。
【0008】
また、請求項2記載の情報媒体処理装置は、寄せ機構が、搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持されたローラである。したがって、情報媒体を順方向及び逆方向に搬送する際、情報媒体を寄せることができる。
【0009】
さらに、請求項3記載の情報媒体処理装置は、搬送路が、情報媒体を挿入口側から搬送する第一搬送路と、情報媒体を逆方向に搬送した際、情報媒体を搬送する第二搬送路とを有し、第一搬送路と第二搬送路とを分岐する分岐手段が設けられているものである。したがって、情報媒体が順方向に搬送される場合には第一搬送路を搬送され、逆方向に搬送される場合には第二搬送路を搬送される。第一搬送路と第二搬送路との分岐位置には分岐手段が設けられており、逆方向に搬送される情報媒体を第二搬送路へと導く。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の情報媒体処理装置では、画像から検出した情報媒体の基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から所定量離れているか否か、即ちオフトラックしているか否かを判断するので、画像から検出した情報媒体のMICR文字の印字位置に基づいてオフトラックを判断する場合に比べて、画像処理が圧倒的に簡単なものとなり、高速且つ簡単にオフトラックの判断を行うことができる。また、情報媒体を搬送しながら寄せることができるので、寄せ板等の追加部品がなく、装置の大型化を防止することができると共に、高価になるのを防止することができる。
【0011】
また、請求項2記載の情報媒体処理装置では、情報媒体を順方向及び逆方向に搬送する際、情報媒体を寄せることができるので、処理時間を短くすることができる。
【0012】
さらに、請求項3記載の情報媒体処理装置では、挿入口側から続く第一搬送路を情報媒体が逆方向に搬送されることがないので、寄せ動作中に間違って情報媒体が利用者によって挿入口から引き抜かれることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図13に本発明の情報媒体処理装置の実施形態の一例を示す。情報媒体処理装置1は、所定の印字位置140にMICR文字が印刷された情報媒体2が搬送される搬送路10と、搬送路10に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッド70と、搬送路10に設けられ、情報媒体2の画像を読み取る画像読取手段30と、搬送路10に設けられ、情報媒体2を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構141を有する搬送手段142と、画像読取手段30が読み取った画像に基づいて情報媒体2の基準エッジ2cを検出し、この基準エッジ2cに基づいて印字位置140が磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部143を備え、所定量離れている場合、搬送手段142が情報媒体2を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるものである。
【0015】
情報媒体2は、例えばパーソナルチェック等の表面にMICR文字が印字されているカード状の媒体である。ここで、パーソナルチェックとは、個人用小切手のことであって、個人の日常生活に利用する目的で開設した当座預金に基づいて振り出す小切手のことである。このパーソナルチェックの券面上には、銀行番号、顧客口座番号、パーソナルチェック自体のシリアルナンバーなどのMICR(Magnetic Ink Character Recognition;磁気インク文字認識)データが記載してあり、これらのデータを照会することによって、パーソナルチェックの有効性を認証している。こうしたパーソナルチェック等の薄い紙媒体は、厚さが薄く(たとえば、厚さ0.05〜0.20mm程度)、折り曲げ等されて使用および保管されるので、腰が無くなっていることがあるが、本実施形態の情報媒体処理装置1では、こうした情報媒体2に対しても適切な処理を行うことができる。
【0016】
情報媒体2を図13に示す。MICR文字は、情報媒体2の基準エッジ2cから予め定められている所定距離だけ離れた印字位置140に記載されている。したがって、基準エッジ2cに基づいてMICR文字の印字位置140を検出することができる。なお、図13において、適切な位置関係で摺動する場合の磁気ヘッド70の軌跡を符号144で示す。
【0017】
図1は、本実施形態の情報媒体処理装置1を示す斜視図であり、搬送路10の第一搬送路145を構成する上搬送ブロック9を開けた状態を示している。図2は、図1に示す情報媒体処理装置1において、上搬送ブロック9を閉じた動作状態時の断面構成図である。なお、搬送路10は、情報媒体2を挿入口(媒体挿入部3)側から搬送する第一搬送路145と、情報媒体2を逆方向に搬送した際、情報媒体2を搬送する第二搬送路(退避路)52とを有し、第一搬送路145と第二搬送路52とを分岐する分岐手段51が設けられている。
【0018】
本実施形態の情報媒体処理装置1は、媒体挿入部3から挿入された情報媒体2を第一搬送路145に導き、その第一搬送路145に設けられた画像読取手段30としてのスキャナ(以下、スキャナ30という)によって情報媒体2に記載または印字された文字情報等を読み取る。そして、読み取り後においては、情報媒体2を、第一搬送路145の搬送手段142としての搬送ローラ20及びパッドローラ22によって、情報媒体処理装置1のさらに奥側に設けられた他の装置(印字装置等)へ搬送する、または、媒体挿入部3から排出する。すなわち、本実施形態の情報媒体処理装置1は、情報媒体2に対して所定の処理を行うものである。なお、本明細書において、「手前側」とは情報媒体処理装置1の媒体挿入部3側のことをいい、「奥側」とはその反対側である情報媒体処理装置1の後方側のことをいう。
【0019】
本実施形態の情報媒体処理装置1は、図1および図2に示すように、情報媒体2が搬送される媒体搬送方向(搬送方向)Xに直交する媒体幅方向Yを主走査するとともに、媒体搬送方向Xを副走査して、情報媒体2に印刷された画像データを読み取るスキャナ30と、搬送路10の第一搬送路145を挟んでスキャナ30と対向するとともに、表面に植毛が施された(植毛された)毛ブラシローラ40とを備えている。
【0020】
また、毛ブラシローラ40とスキャナ30の読み取り面31との間に、情報媒体2の通過を許容する隙間Gが設けられている。また、情報媒体処理装置1は、搬送手段142が第一搬送路145の手前側近傍で情報媒体2を搬送方向Xに搬送するときに、毛ブラシローラ40Aが情報媒体2の被読み取り面2Bとは反対側の面2Aを規制して情報媒体2を案内するように構成され、搬送手段142が第一搬送路145の奥側近傍で情報媒体2を搬送方向Xに搬送するときに、毛ブラシローラ40Bが情報媒体2の被読み取り面2Aとは反対側の面の2Bを規制して情報媒体2を案内するように構成されている。
【0021】
なお、以下の説明および図中において、数字符号に続く大文字の英字は当該数字符号に対応する同種の部材が複数あるときの識別のために付したものであり、その部材を総称する場合には単に数字符号のみで説明する。以下に、各構成について説明する。
【0022】
(媒体挿入部の概略構成)
図3は、図1に示す媒体挿入部3内の挿入検出センサー13の配置位置を説明するための概略平面図である。
【0023】
媒体挿入部3の内部には、図2に示すように、情報媒体2が通過する媒体通過路11が形成されている。また、媒体挿入部3は、媒体通過路11を閉鎖および開放するシャッター部材12(図2参照)と、情報媒体2の挿入を検出する2個の挿入検出センサー13(図3参照)とを備えている。
【0024】
挿入検出センサー13は、たとえば、発光素子(図示省略)と受光素子(図示省略)とから構成される光学式のセンサーであり、発光素子と受光素子とは、媒体通過路11を挟むように対向配置されている。
【0025】
2個の挿入検出センサー13のうちの一方の挿入検出センサー13Aは、図3に示すように、媒体幅方向Yにおける媒体挿入部3の一端側に配置されている。具体的には、挿入検出センサー13Aは、第一搬送路145に形成される後述の搬送基準面15側に配置されている。本実施形態では、挿入検出センサー13Aは、媒体幅方向Yにおいて、搬送基準面15の形成位置の近傍に配置されている。また、本実施形態の挿入検出センサー13Aは、搬送基準面15側に配置される挿入検出手段となっている。
【0026】
他方の挿入検出センサー13Bは、媒体幅方向Yにおいて、挿入検出センサー13Aと所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、情報媒体処理装置1で使用される最小幅の情報媒体2を、2個の挿入検出センサー13A、13Bで検出可能となるように、挿入検出センサー13Bは、挿入検出センサー13Aと所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0027】
本実施形態では、情報媒体処理装置1が情報媒体2の挿入待機状態であるときには、シャッター部材12は媒体通過路11を閉鎖している。この状態で、挿入検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放する。また、この状態で、検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、画像読取装置1へ情報媒体2を取り込むため、搬送手段を構成する後述の搬送ローラ20が回転を開始する。すなわち、本実施形態では、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方が情報媒体2を検出しないと、画像読取装置1へ情報媒体2を取り込むことができない。なお、挿入検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放し、検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、搬送手段を構成する後述の搬送ローラ20が回転を開始するようにしてもよい。また、シャッター部材12は、所定のリンク機構(図示省略)を介してソレノイド14(図1参照)に連結されており、ソレノイド14の動力で媒体通過路11の開閉動作を行う。
【0028】
(第一搬送路の概略構成)
図4は、情報媒体処理装置1を構成する下搬送ステージ8のガイド部材80を示す斜視図である。
【0029】
第一搬送路145は、情報媒体2の走路であり、図1および図2に示すように、上下に対向して設けられた上搬送ブロック9のガイド部材90および下搬送ステージ8のガイド部材80と、情報媒体処理装置1の側面を構成する2枚の側板とで構成されている。この第一搬送路145は、情報媒体2をまっすぐ搬送することが可能となるように、図2の左右方向にまっすぐ延びている。すなわち、第一搬送路145は、搬送中の情報媒体2が直進可能となるように、略直線状に形成されている。このように第一搬送路145は真っ直ぐ延びていることが好ましいが、真っ直ぐ延びていなくても良い。
【0030】
この第一搬送路145内において、情報媒体2は、搬送手段142を構成する搬送ローラ20A〜20Dと、搬送ローラ20A〜20Dに対向するパッドローラ22A〜22Dとによって媒体搬送方向Xに搬送される。なお、本実施形態では、搬送ローラ20A〜20Dが下搬送ステージ8に設けられ、パッドローラ22A〜22Dが上搬送ブロック9に設けられているが、必ずしもそうした構成に限定されず、搬送ローラ20A〜20Dの全部または一部を上搬送ブロック9に設け、パッドローラ22A〜22Dの全部又一部を下搬送ステージ8に設けてもよい。
【0031】
第一搬送路145の、媒体幅方向Yの一端には、搬送時における媒体幅方向Yでの情報媒体2の基準位置となる搬送基準面15が形成されている。本実施形態では、図1の紙面奥側に配置される側板の一部が搬送基準面15となっている。また、第一搬送路145の幅は、幅の異なる各種の情報媒体2に対応可能なように、たとえば65mm〜110mmの範囲で構成されている。また、第一搬送路145の高さH(隙間、図7参照)は、使用によってシワ(皺)が生じた媒体等も容易に搬送可能な隙間であることが好ましく、例えば1mm〜3mm程度である。
【0032】
第一搬送路145を構成する下搬送ステージ8のガイド部材80は、第一搬送路145の下側に、上搬送ブロック9のガイド部材90に対向して設けられたガイド部材である。このガイド部材80は、図4に示すように、樹脂製の成形体であることが好ましいが、それ以外のものであってもよい。ガイド部材80の第一搬送路145側の面には、媒体搬送方向Xに沿って延びるスリットガイド84(図4参照)が複数設けられている。このスリットガイド84は、情報媒体2が媒体搬送方向Xに沿って搬送するのを助けるように作用し、平坦面85上に任意の間隔で突出した所定高さの突起状に形成されている。
【0033】
一方、第一搬送路145を構成する上搬送ブロック9のガイド部材90は、下搬送ステージ8のガイド部材80に対向して設けられており、その上搬送ブロック9は開閉可能となっている。このガイド部材90も上記のガイド部材80と同様に、樹脂製の成形体であることが好ましいが、それ以外のものであってもよい。また、ガイド部材90の第一搬送路145側の面も、ガイド部材80と同様に、媒体搬送方向Xに沿って延びるスリットガイド(図1参照)が複数設けられている。
【0034】
上搬送ブロック9の開閉は、プーリ122の軸と併用される支持軸91を支点として行われる。上搬送ブロック9を開いたときの位置を開位置(図1参照)といい、閉じたときの位置を閉位置(図2参照)というが、この情報媒体処理装置1には、上搬送ブロック9を開位置に保持する保持手段(94〜96)と、上搬送ブロック9を閉位置に保持するロック手段(92)とが設けられている。
【0035】
保持手段(94〜96)は特に限定されないが、図1では、先端に係合ピン95を備える支柱94と、その係合ピン95が複数の位置で係合する係合部96を有するプレート97とを例示されている。すなわち、上搬送ブロック9は、支柱94の先端の係合ピン95が所定の係合部96に係合することによって、所定の開位置に保持される。また、開位置から閉位置にする際には、上搬送ブロック9を手で支えながら、係合ピン95を移動して、所定の係合部96に係合させる。
【0036】
上搬送ブロック9の閉位置でのロックは、上搬送ブロック9の両サイドに設けられたロックレバー92A、92Bと、そのロックレバー92A、92Bに形成された凹部に係合する図示しないロックピンとで行われる。なお、ロックレバー92A、92Bの一端は、ロックレバー92A、92Bを付勢するバネ機構(図示省略)とともに、上搬送ブロック9に取り付けられている。
【0037】
下搬送ステージ8と上搬送ブロック9には、情報媒体2の位置検出を行うセンサー機構が設けられている。図1に示す情報媒体処理装置1は、下搬送ステージ8に設けられた発光素子60(60A、60B、60C)と、上搬送ブロック9に設けられた受光素子61(61A、61B、61C)とからなるセンサー機構を有している。センサー機構の例としては、発光素子60(60A、60B、60C)と受光素子61(61A、61B、61C)とが対向配置され、発光素子60からの光を情報媒体2が遮るのを受光素子61が検出することによって、情報媒体2の有無や位置を判定する光学式センサーを挙げることができる。
【0038】
また、上搬送ブロック9には、情報媒体2の表面に記載されるMICRデータに対して着磁を行う着磁ヘッド71と、着磁ヘッド71で着磁されたMICRデータを再生する磁気ヘッド70とが設けられている。下搬送ステージ8には、着磁ヘッド71に対向するパッドローラ24が搬送ローラ20Bと並んで設けられている。また、下搬送ステージ8には、磁気ヘッド70に対向するパッドローラ23が搬送ローラ20Cと並んで設けられている。
【0039】
(退避路の概略構成)
図2に示すように、本実施形態の情報媒体処理装置1は、媒体挿入部3から情報媒体2を露出させずに、第一搬送路145から情報媒体2の少なくとも一部を退避させる退避路としての第二搬送路52(以下、退避路52という)を備えている。この退避路52は、第一搬送路145に接続されている。本実施形態では、退避路52は、搬送路10の手前側から第一搬送路145と分岐するように形成されている。また、退避路52は、上端が第一搬送路145に繋がる湾曲部52aと、湾曲部52aの下端に繋がる平面部52bと、平面部52bの下端に繋がる傾斜平面部52cとから構成され、全体として、下方に向かって湾曲するように形成されている。
【0040】
湾曲部52aは、手前側に向かって膨らむ曲面状に形成されている。平面部52bは、図2の上下方向に平行な平面状に形成されている。傾斜平面部52cは、平面状に形成されるとともに、奥側に向かうにしたがって下方向へ傾斜するように形成されている。そのため、退避路52に搬入される情報媒体2は、はじめは手前側に向かって搬送され、その後、奥側に向かって搬送される。なお、上端が第一搬送路145に繋がる湾曲部によって、退避路52が形成されても良い。
【0041】
第一搬送路145と退避路52との境界部分には、第一搬送路145から媒体挿入部3または退避路52のいずれか一方への情報媒体2の搬送を可能とする搬送方向切替手段(分岐手段)51としての切替レバー(以下、切替レバー51という)が設けられている。切替レバー51は、所定のリンク機構(図示省略)を介してソレノイド14(図1参照)に連結されており、シャッター部材12の開閉動作と連動して回動する。具体的には、切替レバー51が、第一搬送路145から媒体挿入部3への情報媒体2の搬送を可能とする開位置51Aにあるときには、シャッター部材12は、媒体通過路11を開放し、切替レバー51が、第一搬送路145から退避路52への情報媒体2の搬送を可能とする閉位置51Bにあるときには、シャッター部材12は、媒体通過路11を閉鎖する。
【0042】
本実施形態では、後述のように、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して、情報媒体処理装置1の内部で情報媒体2を往復搬送している。すなわち、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際には、切替レバー51は、閉位置51Bにある。
【0043】
なお、退避路52は、スキャナ30および磁気ヘッド70による情報読み取りによって回収が必要と判断された情報媒体2を回収するための回収用搬送路としても機能する。具体的には、媒体挿入部3から挿入された情報媒体2は、後述のように、搬送ローラ20E、20A、20B、20C、20Dの回転によって奥側に搬送され、情報媒体2の文字情報等が読み取られるが、その情報媒体2が上位のホストコンピュータ146により回収が必要であると判断されると、搬送ローラ20A〜20Dが逆回転し、情報媒体2が手前側に戻される。このとき、切替レバー51は閉位置51Bにあり、手前側に戻る情報媒体2は、退避路52に送られ、退避路52内の搬送ローラ20F、20Gによって回収エリア53に送られる。
【0044】
(搬送手段の構成)
図5は、図1に示すパッドローラ22Aおよびその周辺部の構成を示す概略平面図である。図6は、図5に示すパッドローラ22Aの作用を説明するための図であり、(A)は情報媒体2が奥側へ搬送されているときの状態を示し、(B)は情報媒体2が手前側へ搬送されているときの状態を示している。
【0045】
情報媒体2を搬送する搬送手段142は、駆動モータ120(図2参照)を駆動源として回転する駆動ローラである搬送ローラ20と、搬送ローラ20に対向配置される従動ローラであるパッドローラ22とを備えている。情報媒体2の搬送は、搬送ローラ20の駆動力により、搬送ローラ20とパッドローラ22との間に情報媒体2が挟まれた状態で行われる。
【0046】
本実施形態では、第一搬送路145に4本の搬送ローラ20A〜20Dおよびパッドローラ22A〜22Dが配置されている。具体的には、手前側から奥側に向かって、搬送ローラ20A〜20Dおよびパッドローラ22A〜22Dがこの順番で配置されている。また、第一搬送路145と媒体挿入部3との間に1本の搬送ローラ20Eおよびパッドローラ22Eが配置され、退避路52に2本の搬送ローラ20F、20Gおよびパッドローラ22F、22Gが配置されている。
【0047】
搬送ローラ20に対する駆動モータ120の駆動力の伝達手段は種々の方法が可能であるが、たとえば、本実施形態では、駆動モータ120の駆動力は、図1に示すように、駆動モータ120の軸に設けられたプーリ121からベルト129を介してプーリ128、130に伝達され、プーリ128、130と同軸上に設けられた搬送ローラ20C、20Dが回転する。また、他の搬送ローラ20A、20Bに対しても同様の伝達手段によって駆動モータ120の駆動力が伝達され、搬送ローラ20A、20Bが回転する。
【0048】
また、第一搬送路145と媒体挿入部3との間に配置されている搬送ローラ20Eや、退避路52に配置されている搬送ローラ20F、20Gに対しても同様の伝達手段によって駆動モータ120の駆動力が伝達され、搬送ローラ20E、20F、20Gが回転する。なお、搬送ローラ20F、20Gの駆動源として、駆動モータ120とは別の駆動モータを設けても良い。この場合には、たとえば、図1に示すプーリ131、132、133やベルト134等によってこの駆動モータの駆動力が伝達される。
【0049】
パッドローラ22A〜22Gはそれぞれ、搬送ローラ20A〜20Gに向かって付勢され、搬送ローラ20の駆動力に追従して回転する。その付勢手段は特に限定されないが、通常はコイルバネ等が用いられている。本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dは、第一搬送路145に配置される搬送ローラ20A〜20Dに対向配置される対向ローラとなっている。
【0050】
パッドローラ22Aは、図5に示すように、回転軸25に同心状に固定されている。回転軸25の一端側は軸受26によって回転可能に支持され、回転軸25の他端側は軸受27によって回転可能に支持されている。軸受26は、搬送基準面15側(図1のY方向において紙面奥側)に配置され、軸受27は、搬送基準面15と逆側(図1のY方向において紙面手前側)に配置されている。また、軸受26、27は、ガイド部材90に形成された軸受固定部98に固定されている。
【0051】
図5に示すように、軸受26には、媒体搬送方向Xで回転軸25を支持する2個の軸支持部28が形成されている。また、軸受27には、媒体搬送方向Xで回転軸25を支持する2個の軸支持部29が形成されている。
【0052】
2個の軸支持部28の媒体搬送方向Xの間隔は、回転軸25の径とほぼ同じか回転軸25の径よりもわずかに大きくなっている。一方、2個の軸支持部29の媒体搬送方向Xの間隔は、回転軸25の径よりも大きくなっている。そのため、回転軸25は、一端側を支点として傾斜可能となっている。すなわち、回転軸25の他端側は、その一端側を支点として媒体搬送方向Xに変位可能となっている。このように、パッドローラ22Aの、搬送基準面15と逆側が媒体搬送方向Xに変位可能となるように、回転軸25を介して、パッドローラ22Aが軸受26、27に支持されている。
【0053】
本実施形態では、図5に示すように、パッドローラ22Aの軸方向(すなわち、回転軸25の軸方向)と媒体幅方向Yとが略一致した状態で、手前側に配置される軸支持部29と回転軸25との間に隙間が形成されるとともに、奥側に配置される軸支持部29と回転軸25との間にも隙間が形成されている。そのため、回転軸25の他端側(すなわち、パッドローラ22Aの他端側)は、パッドローラ22Aの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっている。
【0054】
具体的には、図5に示す状態では、手前側に配置される軸支持部29と回転軸25との間の隙間と、奥側に配置される軸支持部29と回転軸25との間の隙間が略等しくなっており、回転軸25の他端側は、パッドローラ22Aの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に略等しい量変位可能となっている。
【0055】
搬送ローラ20Aとパッドローラ22Aとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が奥側に向かって搬送されると、情報媒体2とパッドローラ22Aとの間に生じる摩擦力によって、図6(A)に示すように、回転軸25の他端側は、奥側に配置される軸支持部29に接触するまで、回転軸25の一端側(基準搬送面15側)を支点にして、奥側に向かって変位する。すなわち、パッドローラ22Aの他端側が奥側に向かって変位して、奥側に向かって搬送される情報媒体2を一端側(搬送基準面15側)に向けて寄せる方向にパッドローラ22Aが傾斜する。
【0056】
また、搬送ローラ20Aとパッドローラ22Aとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が手前側に向かって搬送されると、情報媒体2とパッドローラ22Aとの間に生じる摩擦力によって、図6(B)に示すように、回転軸25の他端側は、手前側に配置される軸支持部29に接触するまで、回転軸25の一端側(基準搬送面15側)を支点にして、手前側に向かって変位する。すなわち、パッドローラ22Aの他端側が手前側に向かって変位して、手前側に向かって搬送される情報媒体2を一端側(搬送基準面15側)に向けて寄せる方向にパッドローラ22Aが傾斜する。
【0057】
パッドローラ22B〜22Eも、パッドローラ22Aと同様に、軸受26、27によって回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されている。そのため、パッドローラ22B〜22Eも、パッドローラ22Aと同様に、情報媒体2が搬送される方向に応じて傾斜する。
【0058】
軸受26,27によってパッドローラ22A〜22Eを搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持することで、当該パッドローラ22A〜22Eを情報媒体2を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構141としている。ただし、寄せ機構141の構成はこの構成に限るものではなく、情報媒体2を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せることができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0059】
なお、本実施形態では、手前側から奥側に向かって、パッドローラ22A〜22Eの傾斜角度が次第に小さくなるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されている。すなわち、手前側から奥側に向かって、2個の軸支持部29の間隔が次第に狭くなっている。ただし、パッドローラ22A〜22Eの傾斜角度が同じになるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されても良い。また、たとえば、パッドローラ22A、22B、22Eの傾斜角度あるいはパッドローラ22A、22Eの傾斜角度が大きくなり、パッドローラ22C、22Dあるいはパッドローラ22B〜22Dの傾斜角度がわずかになるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されても良い。
【0060】
一方、パッドローラ22F、22Gは、軸受26によって両端側を回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されている。そのため、搬送ローラ20F、20Gとパッドローラ22F、22Gとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が搬送されても、パッドローラ22F、22Gは傾斜しない。なお、パッドローラ22F、22Gは、パッドローラ22Aと同様に、軸受26、27によって回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されても良い。即ち、本実施形態では、パッドローラ22F、22Gについては寄せ機構141となっていないが、パッドローラ22F、22Gについても寄せ機構141としても良い。
【0061】
(スキャナの構成)
図7は、図2に示すスキャナ30と毛ブラシローラ40との位置関係を示す模式断面図である。
【0062】
画像読取手段としてのスキャナ30は、図1および図2に示す例では第一搬送路145の下側と上側にそれぞれ計2つ設けられているが、一方のみに設けられていてもよい。このスキャナ30は、情報媒体2が搬送される媒体搬送方向Xと直交する媒体幅方向Yを主走査するとともに、媒体搬送方向Xを副走査して、情報媒体2に印刷された画像データ(文字情報や画像情報)を読み取るように機能する。スキャナ30の第一搬送路145側の面は、図7に示すように、読み取り面31であり、通常はガラス面となっている。スキャナ30で読み取られた画像データは、上位のホストコンピュータに送られ、その後の搬送動作等が制御される。なお、図7に示すように、スキャナ30の読み取り面31の媒体搬送方向Xの前後には、情報媒体2の搬送を妨げないテーパ部材32A、32B設けられていることが好ましい。
【0063】
(毛ブラシローラの構成)
毛ブラシローラ40は、図2および図7等に示すように、上記のスキャナ30の読み取り面31に対向して設けられている。この毛ブラシローラ40は、軸43回りの植毛ベース42に毛41を植毛した一般的な形態を例示できるが(図4参照)、必ずしもこうした形態に限定されない。たとえば、毛を織り込んで植毛したシート状の植毛ベース42を、軸43に螺旋状に巻きつけて接着剤等を用いて貼付ける形態を挙げることができる。
【0064】
毛ブラシローラ40を構成する「毛」としては、たとえば、ポリエステル(たとえばポロエチレンテレフタレート)、アクリル、ナイロン等の樹脂繊維を用いることができる。また、毛ブラシローラ40が導電性を有することが好ましく、たとえば前記の樹脂繊維と、導電繊維(たとえばカーボン繊維)との複合ブラシとしてもよいし、導電材料(たとえばカーボン粒子や導電金属粒子)を含有させた樹脂繊維であってもよい。毛ブラシローラ40に導電性を持たせることにより、情報媒体2に生じることのある静電気を除電することができる。導電性を有する毛ブラシの毛41の電気抵抗は、1〜1×108Ωcmの範囲以下であることが好ましい。
【0065】
より具体的には、毛の単糸の繊度が200〜400dtex(1dtex(デジテックス)は長さ1.0×104mで1gである。)で、密度が50〜100単糸本数/mm2で、その[繊度]×[密度]が1.0×104〜4.0×104の範囲内であるものを用いることが好ましい。こうした範囲内とすることにより、腰の弱い情報媒体2に対してジャム発生を抑制し読み取り面31に情報媒体2を案内することができるという効果を得ることができる。その一例として、繊度が260dtexで密度が80単糸本数/mm2(繊度×密度=2.1×104)のものを好ましく挙げることができる。
【0066】
毛ブラシローラ40と、スキャナ30の読み取り面31(ガラス面)との間には、図7に示すように、情報媒体2の通過を許容する隙間Gが設けられている。この隙間Gは、情報媒体処理装置1が取り扱う情報媒体2の厚さ以下に設定されている。隙間Gをこのように設定することにより、搬送ローラ20による情報媒体2の搬送時に、毛ブラシローラ40が情報媒体2の被読み取り面2A(または2B)とは反対側の面2B(または2A)を規制して情報媒体2を案内する。
【0067】
この隙間Gは、取り扱う情報媒体2の種類に応じて調整することが好ましく、たとえば小切手等の腰の弱い紙媒体を専用に取り扱う情報媒体処理装置1の場合と、小切手等より厚くて腰のある紙媒体を専用に取り扱う情報媒体処理装置1の場合とで、その隙間Gを調整して用いることが好ましい。
【0068】
上搬送ブロック9に設けられた毛ブラシローラ40Bは、駆動モータ120の動力で回転する。駆動モータ120の駆動力は、図1に示すように、プーリ121からベルト123を介してプーリ122に伝達され、さらにそのプーリ122と同軸に設けられたプーリ124からベルト125を介してプーリ(図示しない。ギア126と同軸で設けられている)に伝達され、そのプーリと同軸上のギア126に連結したギア127に伝達される。毛ブラシローラ40Bは、ギア127と同軸上に設けられており、ギア127に伝達される駆動モータ120の動力で回転する。なお、下搬送ステージ8に設けられた毛ブラシローラ40Aにも同様の伝達手段で駆動モータ120の動力が伝達され、毛ブラシローラ40Aも駆動モータ120の動力で回転する。
【0069】
(ガイド部材の構成)
図8は、図1に示す毛ブラシローラ40の毛41を掻き分ける突起81を示す模式図である。
【0070】
ガイド部材80、90は、図4、図7および図8に示すように、上記の毛ブラシローラ40と協働して作用する、本実施形態の特徴的な構成の一つである。具体的には、ガイド部材80は、毛ブラシローラ40が設けられる下搬送ステージ8に設けられており、毛ブラシローラ40側の第一搬送路145を規制する平坦面85と、その平担面85の第一搬送路145側に媒体搬送方向Xに沿って延びる複数のスリットガイド84とを有している。スリットガイド84は、情報媒体2が媒体搬送方向Xに沿って搬送するのを助けるように作用し、平坦面85上に任意の間隔で突出した所定高さの突起状に構成されている。
【0071】
ガイド部材80は、毛ブラシローラ40を装着しかつ第一搬送路145に臨ませる窓部88と、その窓部88の縁89から毛ブラシローラ40に向かいかつ媒体搬送方向Xと平行な方向に突出して毛ブラシローラ40の毛41を掻き分ける複数の突起81A、81Bとを備えている。突起81A、81Bは、図8に示すように、断面が毛ブラシローラ40に向かって狭くなる三角形の舳先形状に形成されている。なお、毛ブラシローラ40に対する突起81A、81Bの侵入長さは、たとえば1〜2mm程度とすることが好ましい。
【0072】
また、ガイド部材80の、窓部88に隣接する隣接部(すなわち、媒体搬送方向Xにおける窓部88の縁89と平坦面85との間の部分)は、図7および図8に示すように、媒体搬送方向Xにおいて毛ブラシローラ40に向かって第一搬送路145から徐々離れる斜面82となっている。この斜面82には、スリットガイド83が形成されている。
【0073】
また、ガイド部材80には、図4に示すように、スキャナ装着部86が形成されるとともに、ローラ装着部87(87A〜87C)が形成されている。
【0074】
ガイド部材90は、毛ブラシローラ40が設けられる上搬送ブロック9に設けられている。このガイド部材90は、ガイド部材80と同様に構成されているため、ガイド部材90の詳細な説明は省略する。
【0075】
制御部143は、例えばマイクロコンピュータであり、予め記憶しているプログラムに従って情報媒体処理装置1を制御する。制御部143の記憶装置には、オフトラックが生じているか否かを判定する閾値である基準値nが予め記憶されている。制御部143は挿入検出センサ13からの信号に基づいて搬送手段142やシャッター部材12を操作して情報媒体2を装置内に取り込んだり、画像読取手段30を操作して情報媒体2の画像を撮像し、この画像データに基づいてオフトラックを検出する。また、オフトラックが検出された場合、制御部143は搬送手段142や切替レバー51を操作して寄せ動作を行う。
【0076】
以上のように構成された情報媒体処理装置1では、以下のようにして、装置内部に情報媒体2が取り込まれる。なお、本実施形態では、2つのスキャナ30A,30Bのうち、磁気ヘッド70により近い位置に配置されているスキャナ30Bの読取り画像データを使用して判定を行う。ただし、スキャナ30Bの読取り画像データに代えてスキャナ30Aの読取り画像データを使用して判定を行っても良く、あるいは両方のスキャナ30A,30Bの読取り画像データを使用して判定を行っても良い。
【0077】
すなわち、まず、上位のホストコンピュータ146からの制御指令で、情報媒体2の挿入待機状態になると、制御部143は、挿入検出センサー13A、13Bの両センサーが情報媒体2を検出したか否かを判断する(ステップS30)。
【0078】
挿入検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、制御部は、シャッター部材12を移動して媒体通過路11を開放し、挿入検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、制御部は、搬送ローラ20等の搬送手段142を起動して、情報媒体処理装置1内の所定位置まで奥側に向かって情報媒体2を搬送する。スキャナ30A,30Bは情報媒体2の画像を取り込み、着磁ヘッド71は情報媒体2表面のMICRデータに対して着磁を行い、磁気ヘッド70はMICR文字の読み取りを行う(MICRデータを読み取る)。なお、情報媒体2が情報媒体処理装置1内の所定位置まで搬送されると、シャッター部材12が媒体通過路11を閉鎖し、切替レバー51が閉位置51Bまで回動する。
【0079】
その後、制御部143は、スキャナ30Bが取り込んだ画像データ147(図12)を処理して情報媒体2の基準エッジ2cを検出する(ステップS31)。なお、画像処理を行って画像データ147の中の基準エッジ2cを検出する手法としては公知のものの使用が可能であり、ここではその説明を省略する。また、本実施形態では、基準エッジ2cを全長にわたり検出するのではなく、所定間隔で判定位置を設定し、その判定位置で基準エッジ2cを検出する。基準エッジ2cの検出を所定間隔毎にすることで処理時間を短縮することができる。ただし、基準エッジ2cを全長にわたり検出しても良い。本実施形態では、例えば10mm間隔で判定位置を設定している。制御部143は、まず最初の判定位置について基準エッジ2cを検出する。
【0080】
次に、制御部143は、最初の判定位置について基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れているか否かを判断する(ステップS32)。ここで、nは、オフトラックが生じているか否かの基準値であり、判定位置において基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れている場合にはオフトラックが生じていると判断でき、基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離がn未満の場合にはオフセットが生じていないと判断できる値である。基準値nは予め決定された値であり、制御部143の記憶装置に記憶されている。そして、判定位置において基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れている場合には、ステップS33に進んで寄せ動作を実行する。具体的には、図9に示すように、退避路52を利用して、情報媒体処理装置1の内部で情報媒体2を1回、往復搬送する。すなわち、図9に示す矢印の方向へ情報媒体2を1回、往復搬送する。このとき、切替レバー51は、閉位置51Bにある。往復搬送された情報媒体2は、寄せ機構141の作用で、搬送基準面15側に寄せられる。この搬送によっても、スキャナ30A,30Bは情報媒体2の画像データ147を読み取り、読み取った画像データ147を前回の画像データ147の記憶領域に上書きする。また、情報媒体2の表面に記載されるMICR文字に対して着磁ヘッド71で着磁を行い、着磁されたMICR文字を磁気ヘッド70で読み取り、読み取ったMICRデータを前回のMICRデータの記憶領域に上書きする。
【0081】
その後、ステップS31に戻り、最初の判定位置において基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離がn未満になるまで、換言すると最初の判定位置における基準エッジ2cのオフトラックが解消するまでステップS31→S32→S33→S31を繰り返し行って情報媒体2の寄せ動作を行う。
【0082】
最初の判定位置におけるオフトラックが解消すると、ステップS32からステップS34に進み、全ての判定区間について、即ち全ての判定位置についてオフトラックの有無を判断したか否かを判断する。
【0083】
そして、全ての判定位置について判断が終了していない場合には、制御部143はステップS31に戻り、次の判定位置について基準エッジ2cを検出し、オフトラックが解消するまでステップS31→S32→S33→S31を繰り返し行う。そして、全ての判定位置についての判断が終了するまで、ステップS31からS34までを繰り返し行う。
【0084】
全ての判定位置についての判断が終了すると、ステップS34からステップS35に進み、上書きされている(読み取られている)MICRデータを復調し、処理を終了する。
【0085】
このように、本発明の情報媒体処理装置1では、読み込んだ画像から検出した情報媒体2の基準エッジ2cに基づいてオフトラックの発生を判断するので、画像処理が著しく簡単なものとなる。即ち、画像の中から基準エッジ2cを検出する画像処理は、画像の中からMICR文字を検出して復調する画像処理に比べて極めて簡単なものであり、短時間で終了する。このため、高速且つ簡単にオフトラックの判断を行うことができる。即ち、画像データ147から情報媒体2の基準エッジ2cを検出することでMICR文字の光学認識よりも高速かつ簡単にオフトラックを検出できる。
【0086】
また、複数の判定箇所で基準エッジ2cを検出することで検出の正確さを維持しつつも高速で処理することが可能である。
【0087】
また、複数の判定箇所について基準エッジ2cの位置を判定するため、本実施形態のような搬送中に徐々に寄せ動作を行う構造でも寄せの完了の判断が可能であり、情報媒体2の基準エッジ2c全域を判定する必要はないため、処理の高速化が可能である。
【0088】
また、情報媒体2の寄せが完了していない場合はMICR磁気データの認識前にこの情報媒体処理装置1で自動的に再搬送の処理を行うため、情報媒体処理装置1を含んで構築されたシステムでの処理時間が短縮できる。
【0089】
寄せが完了した場合、そのまま即ち情報媒体2を搬送し直しての再読取りを行わずにMICRデータの復調処理を行うため、オフトラックのない搬送状態の場合は無駄な動作がなく高速処理可能となる。
【0090】
また、情報媒体2を搬送しながら寄せることができるので、寄せ板等の追加部品がなく、装置の大型化を防止することができると共に、装置が高価になるのを防止することができる。
【0091】
情報媒体2として、幅の異なる複数種類の情報媒体2が一般に取引されている。ただし、情報媒体2の幅が異なっていても、基準エッジ2cからMICR文字の印字位置140までの距離は規格で定められている。このように情報媒体処理装置1の媒体挿入部3に挿入される情報媒体2の幅が一定ではないため、また、操作性を考慮してある程度ラフに情報媒体2を挿入しても取込を可能にするため、媒体挿入部3の幅は大きめに形成されている。したがって、第一搬送路145の搬送基準面15に基準エッジ2cが当たるように情報媒体2が媒体挿入部3に挿入されるとは限らない。このため、情報媒体処理装置1の搬送手段142は寄せ機構141を備えているが、装置小型化のために寄せ機構141を大掛かりなものにすることができず、1回の動作で寄せることができる距離を大きくすることができないので、搬送基準面15と基準エッジ2cとのずれが大きい場合には少ない回数の動作では搬送基準面15に基準エッジ2cを合わせることができない場合がある。このため、MICR文字から磁気ヘッド70が外れていないか、即ちオフトラックが生じていないかを検出し、たとえオフトラックが生じていたとしてもそのオフトラックを解消してからMICR文字の磁気を検出する。
【0092】
本実施形態では、媒体挿入部3への情報媒体2の挿入を検知する挿入検出センサ13を第一搬送路145の搬送基準面15の延長線の近傍に配置し、情報媒体2の挿入時に基準エッジ2cと搬送基準面15との大まかな位置合わせを行うようにしている。即ち、情報媒体2の基準エッジ2cが第一搬送路145の搬送基準面15から大きく外れるような態様で情報媒体2が媒体挿入部3に差し込まれた場合には、挿入検出センサ13が情報媒体2を検出しないようにして情報媒体2を第一搬送路145に取り込まないようにしている。これにより、第一搬送路145に取り込まれた情報媒体2の寄せを迅速に完了することができる。ただし、挿入検出センサ13の配置は、上述した本実施形態に限定されるものではない。
【0093】
また、本実施形態では、取り付けられたスキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を予め求めて制御部143の記憶装置に記憶している。例えば、情報媒体処理装置1の工場出荷前の検査時にスキャナ30A,30Bによって搬送基準面15の位置を学習し、例えば不揮発性メモリ等の記憶装置に記憶しておく。スキャナ30A,30Bbと搬送基準面15との位置関係を予め学習しておくことで、スキャナ30A,30Bbの取り付け位置の調整をある程度ラフに行うことが可能になり、生産性を向上させることができる。また、情報媒体2の寄せの判定をより正確に行うことが可能になる。即ち、スキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を考慮せずに搬送基準面15と基準エッジ2cとの位置関係のみに基づいて情報媒体2の寄せの判定を行っても良いが、本実施形態のようにスキャナ30A,30Bbと搬送基準面15との位置関係をも考慮に加えて判定を行うことで、より正確に判定を行うことができる。即ち、スキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を予め学習しておくことで、スキャナ30A,30Bの取付位置、読み取り開始位置のばらつきを吸収することができる。
【0094】
本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dは、その他端側(搬送基準面15と逆側)が媒体搬送方向Xに変位可能となるように軸受26、27(寄せ機構141)に支持されている。そのため、搬送中の情報媒体2がパッドローラ22A〜22Dに当接すると、情報媒体2とパッドローラ22A〜22Dとの間に生じる摩擦力によって、パッドローラ22A〜22Dは、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる方向へ搬送基準面15側を支点にして傾く。したがって、パッドローラ22A〜22Dの作用で、搬送中の情報媒体2を搬送基準面15に向けてスムーズに寄せることができる。
【0095】
また、パッドローラ22A〜22Dの変位量を適切に設定することで(具体的には、2個の軸支持部29の間隔を適切に設定することで)、搬送基準面15に向けて寄せる情報媒体2に過剰な負荷がかかるのを、換言すると情報媒体2が搬送基準面15に強く当たり過ぎるのを防止することができる。したがって、強度の弱い情報媒体2であっても搬送時の破損を防止することが可能になる。
【0096】
本実施形態では、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して情報媒体2を情報媒体処理装置1の内部で往復搬送している。すなわち、本実施形態では、寄せ動作を行う場合に情報媒体2を往復搬送するための退避路52が形成されている。したがって、例えば、退避路52を形成する代わりに搬送路10を循環路として情報媒体2を装置内で循環させながら寄せ動作を行う構成(循環搬送)と比較して、第一搬送路145および退避路(第二搬送路)52の設置スペースを小さくすることができる。その結果、情報媒体処理装置1を小型化することができる。
【0097】
また、情報媒体処理装置1が小型であっても、情報媒体2を往復搬送させる際に、媒体挿入部3から、情報媒体2の一部が露出することがないため、ユーザの誤操作を防止することができる。
【0098】
また、本実施形態では、搬送基準面15に情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して情報媒体2を往復搬送しているため、情報媒体2が循環搬送される場合と比較して、搬送基準面15に情報媒体2を寄せる際の情報媒体2の搬送距離を短くすることができる。したがって、情報媒体2の処理時間を短縮することができる。また、本実施形態では、第一搬送路145に4本の搬送ローラ20A〜20Dとパッドローラ22A〜22Dとが配置されているため、平面部と湾曲面部との境界近傍に搬送ローラが配置される構成と比較して、短時間で搬送基準面15に情報媒体2を寄せることができる。
【0099】
本実施形態では、第一搬送路145は、搬送中の情報媒体2が直進可能となるように、略直線状に形成され、退避路52は、第一搬送路145の下方に向かって湾曲するように形成されている。そのため、媒体搬送方向Xにおいて、画像取込装置1を小型化することができる。また、第一搬送路145が略直線状に形成されているため、第一搬送路145で搬送される情報媒体2の破損を防止しやすくなる。ただし、必ずしも第一搬送路145を略直線状に形成しなくても良い。
【0100】
本実施形態では、第一搬送路145と退避路(第二搬送路)52との境界部分に、切替レバー51が配置されている。そのため、搬送手段142によって、往復搬送される際の情報媒体2を退避路52へ確実に案内することができる。
【0101】
本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dの他端側は、パッドローラ22A〜22Dの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっている。そのため、情報媒体2が奥側に向かって搬送される場合および手前側に向かって搬送される場合のいずれの場合にも、パッドローラ22A〜22Dの作用で搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せることができる。したがって、短時間で情報媒体2を搬送基準面15に寄せることができる。
【0102】
本実施形態では、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方で情報媒体2が検出されると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放して、搬送手段が起動する。すなわち、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方が情報媒体2を検出すると、画像読取装置1への情報媒体2の取り込みが可能となる。そのため、媒体幅方向Yにおいて、情報媒体2の端部が搬送基準面15に近い位置にあるときに、情報媒体2が情報媒体処理装置1に取り込まれる。したがって、本実施形態では、取り込まれた情報媒体2を短時間で搬送基準面15に寄せることができる。
【0103】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0104】
例えば、上述の説明では、情報媒体2を搬送する度毎にスキャナ30Bによって画像データ147を取り込むようにしているが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、1度の搬送で寄せられる距離L1がわかる場合には、最初の搬送の時にのみ画像データ147を取り込むようにしても良い。即ち、最初の搬送の時に取り込んだ画像データ147を使用して基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離L2を算出し、距離L1とL2に基づいて寄せ動作を繰り返す回数(=L2/L1:ただし、小数点以下は切り上げ)を求め、求めた回数だけ搬送を繰り返し行うようにしても良い。これにより、2回目以降の搬送ではスキャナ30Bによって画像データ147を取り込む作業を省略することができ、処理時間を短縮することができる。
【0105】
また、取り付けられた搬送基準面15と磁気ヘッド70との位置関係を予め学習しておいても良い。搬送基準面15と磁気ヘッド70との位置関係を予め学習をしておくことで、オフトラック検出の精度、マージンを向上させることができる。即ち、磁気ヘッド70と搬送路10との位置関係が正確になるので、磁気ヘッド70がMICR文字を確実に検出することができる。
【0106】
また、本実施形態では、基準エッジ2cを搬送基準面15に合わせることで、磁気ヘッド70がMICR文字を磁気検出可能な領域に寄せられるようになっている。ただし、これに限らない。基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離を所定値になる位置に情報媒体2を寄せることで、MICR読取ヘッド6がMICR文字を磁気検出可能な領域に寄せられるようにしても良い。
【0107】
また、上述した実施形態では、回転軸25の他端側は、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に略等しい量変位可能となっている。この他にもたとえば、回転軸25の他端側の、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から手前側への変位量と、奥側への変位量とが異なっていても良い。
【0108】
また、上述した実施形態では、回転軸25の他端側は、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっているが、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの片側のみに(手前側あるいは奥側のみに)変位可能となっていても良い。
【0109】
上述した実施形態では、軸受27に形成される2個の軸支持部29の間隔は一定になっている。この他にもたとえば、2個の軸支持部29の間隔を調整して、パッドローラ22A〜22Eの、搬送基準面15と逆側の変位量を調整するための変位量調整手段を情報媒体処理装置1が備えていても良い。この場合には、情報媒体2の強度に応じて、パッドローラ22A〜22Eの変位量を設定することができる。すなわち、情報媒体2の強度に応じて、パッドローラ22A〜22Eの傾きを設定することができる。そのため、搬送基準面15に向かう情報媒体2に過剰な負荷がかかるのを防止することができる。したがって、強度の弱い情報媒体2の搬送時の破損を確実に防止することが可能になる。また、強度が比較的強い情報媒体2を短時間で搬送基準面15に寄せることが可能になる。
【0110】
上述した実施形態では、退避路52は、第一搬送路145の手前側から分岐するように形成されている。この他にもたとえば、退避路52は、第一搬送路145の奥側から分岐するように形成されても良い。また、上述した形態では、退避路52は、第一搬送路145の下方に向かって湾曲するように形成されているが、第一搬送路145の上方に向かって湾曲するように形成されても良い。
【0111】
また、上述の実施形態では、媒体挿入部3に挿入検出センサー13を2つ設けていたが、設置数は2つに限るものではなく、例えば図14に示すように、少なくとも搬送基準面15の形成位置の近傍に配置されている挿入検出センサー13Aを有していればその数は特に制限されるものではない。
【0112】
なお、情報媒体処理装置1の奥側に、印字装置(プリンタユニット)やスタンプユニット等が装着されていてもよい。その印字装置等との接続は、情報媒体処理装置1が有する接続フランジとボルト・ナット等の締結部材とを用いて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の情報媒体処理装置の実施形態の一例を示す斜視図であり、搬送路を構成する上搬送ブロックを開けた状態を示している。
【図2】図1に示す情報媒体処理装置において、上搬送ブロックを閉じた動作状態時の断面構成図である。
【図3】図1に示す媒体挿入部内の挿入検出センサーの配置位置を説明するための概略平面図である。
【図4】図1に示す情報媒体処理装置を構成する下搬送ステージのガイド部材を示す斜視図である。
【図5】図1に示すパッドローラおよびその周辺部の構成を示す概略平面図である。
【図6】図5に示すパッドローラの作用を説明するための図であり、(A)は媒体が奥側へ搬送されているときの状態を示し、(B)は媒体が手前側へ搬送されているときの状態を示している。
【図7】図2に示すスキャナと毛ブラシローラとの位置関係を示す模式断面図である。
【図8】図1に示す毛ブラシローラの毛を掻き分ける突起を示す模式図である。
【図9】図1に示す情報媒体処理装置における媒体の幅寄せ動作を説明するための図である。
【図10】図1に示す情報媒体処理装置における媒体の取込時の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】図1に示す情報媒体処理装置のブロック図である。
【図12】スキャナによって読み取った画像データを示す図である。
【図13】情報媒体を示す平面図である。
【図14】本発明の情報媒体処理装置の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0114】
2 情報媒体
2c 基準エッジ
3 媒体挿入部(挿入口)
10 搬送路
22 ローラ(パッドローラ)
30 画像読取手段(スキャナ)
52 第二搬送路(退避路)
51 分岐手段
70 磁気ヘッド
140 印字位置
141 寄せ機構
142 搬送手段
143 制御部
145 第一搬送路
147 情報媒体の画像データ
【技術分野】
【0001】
本発明は情報媒体処理装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、MICR文字の印字位置が基準エッジを基準にして定められている情報媒体を取り扱い、MICR文字を磁気的に読み取る磁気ヘッドを有する情報媒体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小切手等の情報媒体に記載されたMICR(Magnetic Ink Character Recognition)文字を磁気ヘッドで読み取って所定の処理を行う情報媒体処理装置として、例えば特開2004−110612号公報に記載の画像読み取り装置がある。この画像読み取り装置では、まず最初に画像読み取りユニットで原稿を読み取り、その画像データの画像処理を行ってMICR文字の文字列を検出した後、その文字列に対向する位置に磁気ヘッドを移動させて、MICR文字を磁気的に読み取る際のオフトラック(MICR文字からの磁気ヘッドの外れ)を防止している。
【0003】
また、特開2006−40256号公報に記載の磁気インク文字読取装置では、磁気インク文字を光学的に読み取って復調した文字列と磁気的に読み取って復調した文字列とを照合し、磁気インク文字の復調精度を向上させている。磁気インク文字の光学的な読み取りでは、読み取った画像データの画像処理を行って磁気インク文字を抽出し、テンプレートとのマッチング処理を行っている。
【特許文献1】特開2004−110612号
【特許文献2】特開2006−40256号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像読み取り装置では、画像データの読み取りを行った後に、MICR文字を磁気的に読み取るようにしている。また、MICR文字を磁気的に読み取る際のオフトラック防止のために、画像データに基づいて画像処理を行いMICR文字列の位置を検出している。これらのため、処理に長時間を要してしまう。
【0005】
また、上述の磁気インク文字読取装置では、磁気インク文字を光学的に読み取って復調するため、高度な演算処理が必要となり、処理に長時間を要してしまう。
本発明は、迅速な処理が可能な情報媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために請求項1記載の情報媒体処理装置は、所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路と、搬送路に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッドと、搬送路に設けられ、情報媒体の画像を読み取る画像読取手段と、搬送路に設けられ、情報媒体を磁気ヘッドの磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段と、画像読取手段が読み取った画像に基づいて情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部を備え、所定量離れている場合、搬送手段が情報媒体を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるものである。
【0007】
したがって、装置内に取り込まれた情報媒体は搬送手段によって搬送路を搬送され、搬送路に設けられた磁気ヘッドによってMICR文字の磁気が検出される。搬送手段は寄せ機構を有しており、情報媒体を搬送しながら磁気ヘッドがMICR文字を磁気検出可能な位置に寄せる。画像読取手段は搬送される情報媒体の画像を読み取り、この画像から制御部が情報媒体の基準エッジを検出してMICR文字の印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域にあるか否かを判断し、MICR文字の印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から所定量離れている場合には搬送手段が搬送動作を再度行って情報媒体を寄せ、磁気ヘッドがMICR文字を磁気検出可能な領域に入れる。
【0008】
また、請求項2記載の情報媒体処理装置は、寄せ機構が、搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持されたローラである。したがって、情報媒体を順方向及び逆方向に搬送する際、情報媒体を寄せることができる。
【0009】
さらに、請求項3記載の情報媒体処理装置は、搬送路が、情報媒体を挿入口側から搬送する第一搬送路と、情報媒体を逆方向に搬送した際、情報媒体を搬送する第二搬送路とを有し、第一搬送路と第二搬送路とを分岐する分岐手段が設けられているものである。したがって、情報媒体が順方向に搬送される場合には第一搬送路を搬送され、逆方向に搬送される場合には第二搬送路を搬送される。第一搬送路と第二搬送路との分岐位置には分岐手段が設けられており、逆方向に搬送される情報媒体を第二搬送路へと導く。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の情報媒体処理装置では、画像から検出した情報媒体の基準エッジに基づいて印字位置が磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から所定量離れているか否か、即ちオフトラックしているか否かを判断するので、画像から検出した情報媒体のMICR文字の印字位置に基づいてオフトラックを判断する場合に比べて、画像処理が圧倒的に簡単なものとなり、高速且つ簡単にオフトラックの判断を行うことができる。また、情報媒体を搬送しながら寄せることができるので、寄せ板等の追加部品がなく、装置の大型化を防止することができると共に、高価になるのを防止することができる。
【0011】
また、請求項2記載の情報媒体処理装置では、情報媒体を順方向及び逆方向に搬送する際、情報媒体を寄せることができるので、処理時間を短くすることができる。
【0012】
さらに、請求項3記載の情報媒体処理装置では、挿入口側から続く第一搬送路を情報媒体が逆方向に搬送されることがないので、寄せ動作中に間違って情報媒体が利用者によって挿入口から引き抜かれることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図13に本発明の情報媒体処理装置の実施形態の一例を示す。情報媒体処理装置1は、所定の印字位置140にMICR文字が印刷された情報媒体2が搬送される搬送路10と、搬送路10に設けられ、MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッド70と、搬送路10に設けられ、情報媒体2の画像を読み取る画像読取手段30と、搬送路10に設けられ、情報媒体2を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構141を有する搬送手段142と、画像読取手段30が読み取った画像に基づいて情報媒体2の基準エッジ2cを検出し、この基準エッジ2cに基づいて印字位置140が磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部143を備え、所定量離れている場合、搬送手段142が情報媒体2を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せるものである。
【0015】
情報媒体2は、例えばパーソナルチェック等の表面にMICR文字が印字されているカード状の媒体である。ここで、パーソナルチェックとは、個人用小切手のことであって、個人の日常生活に利用する目的で開設した当座預金に基づいて振り出す小切手のことである。このパーソナルチェックの券面上には、銀行番号、顧客口座番号、パーソナルチェック自体のシリアルナンバーなどのMICR(Magnetic Ink Character Recognition;磁気インク文字認識)データが記載してあり、これらのデータを照会することによって、パーソナルチェックの有効性を認証している。こうしたパーソナルチェック等の薄い紙媒体は、厚さが薄く(たとえば、厚さ0.05〜0.20mm程度)、折り曲げ等されて使用および保管されるので、腰が無くなっていることがあるが、本実施形態の情報媒体処理装置1では、こうした情報媒体2に対しても適切な処理を行うことができる。
【0016】
情報媒体2を図13に示す。MICR文字は、情報媒体2の基準エッジ2cから予め定められている所定距離だけ離れた印字位置140に記載されている。したがって、基準エッジ2cに基づいてMICR文字の印字位置140を検出することができる。なお、図13において、適切な位置関係で摺動する場合の磁気ヘッド70の軌跡を符号144で示す。
【0017】
図1は、本実施形態の情報媒体処理装置1を示す斜視図であり、搬送路10の第一搬送路145を構成する上搬送ブロック9を開けた状態を示している。図2は、図1に示す情報媒体処理装置1において、上搬送ブロック9を閉じた動作状態時の断面構成図である。なお、搬送路10は、情報媒体2を挿入口(媒体挿入部3)側から搬送する第一搬送路145と、情報媒体2を逆方向に搬送した際、情報媒体2を搬送する第二搬送路(退避路)52とを有し、第一搬送路145と第二搬送路52とを分岐する分岐手段51が設けられている。
【0018】
本実施形態の情報媒体処理装置1は、媒体挿入部3から挿入された情報媒体2を第一搬送路145に導き、その第一搬送路145に設けられた画像読取手段30としてのスキャナ(以下、スキャナ30という)によって情報媒体2に記載または印字された文字情報等を読み取る。そして、読み取り後においては、情報媒体2を、第一搬送路145の搬送手段142としての搬送ローラ20及びパッドローラ22によって、情報媒体処理装置1のさらに奥側に設けられた他の装置(印字装置等)へ搬送する、または、媒体挿入部3から排出する。すなわち、本実施形態の情報媒体処理装置1は、情報媒体2に対して所定の処理を行うものである。なお、本明細書において、「手前側」とは情報媒体処理装置1の媒体挿入部3側のことをいい、「奥側」とはその反対側である情報媒体処理装置1の後方側のことをいう。
【0019】
本実施形態の情報媒体処理装置1は、図1および図2に示すように、情報媒体2が搬送される媒体搬送方向(搬送方向)Xに直交する媒体幅方向Yを主走査するとともに、媒体搬送方向Xを副走査して、情報媒体2に印刷された画像データを読み取るスキャナ30と、搬送路10の第一搬送路145を挟んでスキャナ30と対向するとともに、表面に植毛が施された(植毛された)毛ブラシローラ40とを備えている。
【0020】
また、毛ブラシローラ40とスキャナ30の読み取り面31との間に、情報媒体2の通過を許容する隙間Gが設けられている。また、情報媒体処理装置1は、搬送手段142が第一搬送路145の手前側近傍で情報媒体2を搬送方向Xに搬送するときに、毛ブラシローラ40Aが情報媒体2の被読み取り面2Bとは反対側の面2Aを規制して情報媒体2を案内するように構成され、搬送手段142が第一搬送路145の奥側近傍で情報媒体2を搬送方向Xに搬送するときに、毛ブラシローラ40Bが情報媒体2の被読み取り面2Aとは反対側の面の2Bを規制して情報媒体2を案内するように構成されている。
【0021】
なお、以下の説明および図中において、数字符号に続く大文字の英字は当該数字符号に対応する同種の部材が複数あるときの識別のために付したものであり、その部材を総称する場合には単に数字符号のみで説明する。以下に、各構成について説明する。
【0022】
(媒体挿入部の概略構成)
図3は、図1に示す媒体挿入部3内の挿入検出センサー13の配置位置を説明するための概略平面図である。
【0023】
媒体挿入部3の内部には、図2に示すように、情報媒体2が通過する媒体通過路11が形成されている。また、媒体挿入部3は、媒体通過路11を閉鎖および開放するシャッター部材12(図2参照)と、情報媒体2の挿入を検出する2個の挿入検出センサー13(図3参照)とを備えている。
【0024】
挿入検出センサー13は、たとえば、発光素子(図示省略)と受光素子(図示省略)とから構成される光学式のセンサーであり、発光素子と受光素子とは、媒体通過路11を挟むように対向配置されている。
【0025】
2個の挿入検出センサー13のうちの一方の挿入検出センサー13Aは、図3に示すように、媒体幅方向Yにおける媒体挿入部3の一端側に配置されている。具体的には、挿入検出センサー13Aは、第一搬送路145に形成される後述の搬送基準面15側に配置されている。本実施形態では、挿入検出センサー13Aは、媒体幅方向Yにおいて、搬送基準面15の形成位置の近傍に配置されている。また、本実施形態の挿入検出センサー13Aは、搬送基準面15側に配置される挿入検出手段となっている。
【0026】
他方の挿入検出センサー13Bは、媒体幅方向Yにおいて、挿入検出センサー13Aと所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、情報媒体処理装置1で使用される最小幅の情報媒体2を、2個の挿入検出センサー13A、13Bで検出可能となるように、挿入検出センサー13Bは、挿入検出センサー13Aと所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0027】
本実施形態では、情報媒体処理装置1が情報媒体2の挿入待機状態であるときには、シャッター部材12は媒体通過路11を閉鎖している。この状態で、挿入検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放する。また、この状態で、検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、画像読取装置1へ情報媒体2を取り込むため、搬送手段を構成する後述の搬送ローラ20が回転を開始する。すなわち、本実施形態では、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方が情報媒体2を検出しないと、画像読取装置1へ情報媒体2を取り込むことができない。なお、挿入検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放し、検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、搬送手段を構成する後述の搬送ローラ20が回転を開始するようにしてもよい。また、シャッター部材12は、所定のリンク機構(図示省略)を介してソレノイド14(図1参照)に連結されており、ソレノイド14の動力で媒体通過路11の開閉動作を行う。
【0028】
(第一搬送路の概略構成)
図4は、情報媒体処理装置1を構成する下搬送ステージ8のガイド部材80を示す斜視図である。
【0029】
第一搬送路145は、情報媒体2の走路であり、図1および図2に示すように、上下に対向して設けられた上搬送ブロック9のガイド部材90および下搬送ステージ8のガイド部材80と、情報媒体処理装置1の側面を構成する2枚の側板とで構成されている。この第一搬送路145は、情報媒体2をまっすぐ搬送することが可能となるように、図2の左右方向にまっすぐ延びている。すなわち、第一搬送路145は、搬送中の情報媒体2が直進可能となるように、略直線状に形成されている。このように第一搬送路145は真っ直ぐ延びていることが好ましいが、真っ直ぐ延びていなくても良い。
【0030】
この第一搬送路145内において、情報媒体2は、搬送手段142を構成する搬送ローラ20A〜20Dと、搬送ローラ20A〜20Dに対向するパッドローラ22A〜22Dとによって媒体搬送方向Xに搬送される。なお、本実施形態では、搬送ローラ20A〜20Dが下搬送ステージ8に設けられ、パッドローラ22A〜22Dが上搬送ブロック9に設けられているが、必ずしもそうした構成に限定されず、搬送ローラ20A〜20Dの全部または一部を上搬送ブロック9に設け、パッドローラ22A〜22Dの全部又一部を下搬送ステージ8に設けてもよい。
【0031】
第一搬送路145の、媒体幅方向Yの一端には、搬送時における媒体幅方向Yでの情報媒体2の基準位置となる搬送基準面15が形成されている。本実施形態では、図1の紙面奥側に配置される側板の一部が搬送基準面15となっている。また、第一搬送路145の幅は、幅の異なる各種の情報媒体2に対応可能なように、たとえば65mm〜110mmの範囲で構成されている。また、第一搬送路145の高さH(隙間、図7参照)は、使用によってシワ(皺)が生じた媒体等も容易に搬送可能な隙間であることが好ましく、例えば1mm〜3mm程度である。
【0032】
第一搬送路145を構成する下搬送ステージ8のガイド部材80は、第一搬送路145の下側に、上搬送ブロック9のガイド部材90に対向して設けられたガイド部材である。このガイド部材80は、図4に示すように、樹脂製の成形体であることが好ましいが、それ以外のものであってもよい。ガイド部材80の第一搬送路145側の面には、媒体搬送方向Xに沿って延びるスリットガイド84(図4参照)が複数設けられている。このスリットガイド84は、情報媒体2が媒体搬送方向Xに沿って搬送するのを助けるように作用し、平坦面85上に任意の間隔で突出した所定高さの突起状に形成されている。
【0033】
一方、第一搬送路145を構成する上搬送ブロック9のガイド部材90は、下搬送ステージ8のガイド部材80に対向して設けられており、その上搬送ブロック9は開閉可能となっている。このガイド部材90も上記のガイド部材80と同様に、樹脂製の成形体であることが好ましいが、それ以外のものであってもよい。また、ガイド部材90の第一搬送路145側の面も、ガイド部材80と同様に、媒体搬送方向Xに沿って延びるスリットガイド(図1参照)が複数設けられている。
【0034】
上搬送ブロック9の開閉は、プーリ122の軸と併用される支持軸91を支点として行われる。上搬送ブロック9を開いたときの位置を開位置(図1参照)といい、閉じたときの位置を閉位置(図2参照)というが、この情報媒体処理装置1には、上搬送ブロック9を開位置に保持する保持手段(94〜96)と、上搬送ブロック9を閉位置に保持するロック手段(92)とが設けられている。
【0035】
保持手段(94〜96)は特に限定されないが、図1では、先端に係合ピン95を備える支柱94と、その係合ピン95が複数の位置で係合する係合部96を有するプレート97とを例示されている。すなわち、上搬送ブロック9は、支柱94の先端の係合ピン95が所定の係合部96に係合することによって、所定の開位置に保持される。また、開位置から閉位置にする際には、上搬送ブロック9を手で支えながら、係合ピン95を移動して、所定の係合部96に係合させる。
【0036】
上搬送ブロック9の閉位置でのロックは、上搬送ブロック9の両サイドに設けられたロックレバー92A、92Bと、そのロックレバー92A、92Bに形成された凹部に係合する図示しないロックピンとで行われる。なお、ロックレバー92A、92Bの一端は、ロックレバー92A、92Bを付勢するバネ機構(図示省略)とともに、上搬送ブロック9に取り付けられている。
【0037】
下搬送ステージ8と上搬送ブロック9には、情報媒体2の位置検出を行うセンサー機構が設けられている。図1に示す情報媒体処理装置1は、下搬送ステージ8に設けられた発光素子60(60A、60B、60C)と、上搬送ブロック9に設けられた受光素子61(61A、61B、61C)とからなるセンサー機構を有している。センサー機構の例としては、発光素子60(60A、60B、60C)と受光素子61(61A、61B、61C)とが対向配置され、発光素子60からの光を情報媒体2が遮るのを受光素子61が検出することによって、情報媒体2の有無や位置を判定する光学式センサーを挙げることができる。
【0038】
また、上搬送ブロック9には、情報媒体2の表面に記載されるMICRデータに対して着磁を行う着磁ヘッド71と、着磁ヘッド71で着磁されたMICRデータを再生する磁気ヘッド70とが設けられている。下搬送ステージ8には、着磁ヘッド71に対向するパッドローラ24が搬送ローラ20Bと並んで設けられている。また、下搬送ステージ8には、磁気ヘッド70に対向するパッドローラ23が搬送ローラ20Cと並んで設けられている。
【0039】
(退避路の概略構成)
図2に示すように、本実施形態の情報媒体処理装置1は、媒体挿入部3から情報媒体2を露出させずに、第一搬送路145から情報媒体2の少なくとも一部を退避させる退避路としての第二搬送路52(以下、退避路52という)を備えている。この退避路52は、第一搬送路145に接続されている。本実施形態では、退避路52は、搬送路10の手前側から第一搬送路145と分岐するように形成されている。また、退避路52は、上端が第一搬送路145に繋がる湾曲部52aと、湾曲部52aの下端に繋がる平面部52bと、平面部52bの下端に繋がる傾斜平面部52cとから構成され、全体として、下方に向かって湾曲するように形成されている。
【0040】
湾曲部52aは、手前側に向かって膨らむ曲面状に形成されている。平面部52bは、図2の上下方向に平行な平面状に形成されている。傾斜平面部52cは、平面状に形成されるとともに、奥側に向かうにしたがって下方向へ傾斜するように形成されている。そのため、退避路52に搬入される情報媒体2は、はじめは手前側に向かって搬送され、その後、奥側に向かって搬送される。なお、上端が第一搬送路145に繋がる湾曲部によって、退避路52が形成されても良い。
【0041】
第一搬送路145と退避路52との境界部分には、第一搬送路145から媒体挿入部3または退避路52のいずれか一方への情報媒体2の搬送を可能とする搬送方向切替手段(分岐手段)51としての切替レバー(以下、切替レバー51という)が設けられている。切替レバー51は、所定のリンク機構(図示省略)を介してソレノイド14(図1参照)に連結されており、シャッター部材12の開閉動作と連動して回動する。具体的には、切替レバー51が、第一搬送路145から媒体挿入部3への情報媒体2の搬送を可能とする開位置51Aにあるときには、シャッター部材12は、媒体通過路11を開放し、切替レバー51が、第一搬送路145から退避路52への情報媒体2の搬送を可能とする閉位置51Bにあるときには、シャッター部材12は、媒体通過路11を閉鎖する。
【0042】
本実施形態では、後述のように、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して、情報媒体処理装置1の内部で情報媒体2を往復搬送している。すなわち、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際には、切替レバー51は、閉位置51Bにある。
【0043】
なお、退避路52は、スキャナ30および磁気ヘッド70による情報読み取りによって回収が必要と判断された情報媒体2を回収するための回収用搬送路としても機能する。具体的には、媒体挿入部3から挿入された情報媒体2は、後述のように、搬送ローラ20E、20A、20B、20C、20Dの回転によって奥側に搬送され、情報媒体2の文字情報等が読み取られるが、その情報媒体2が上位のホストコンピュータ146により回収が必要であると判断されると、搬送ローラ20A〜20Dが逆回転し、情報媒体2が手前側に戻される。このとき、切替レバー51は閉位置51Bにあり、手前側に戻る情報媒体2は、退避路52に送られ、退避路52内の搬送ローラ20F、20Gによって回収エリア53に送られる。
【0044】
(搬送手段の構成)
図5は、図1に示すパッドローラ22Aおよびその周辺部の構成を示す概略平面図である。図6は、図5に示すパッドローラ22Aの作用を説明するための図であり、(A)は情報媒体2が奥側へ搬送されているときの状態を示し、(B)は情報媒体2が手前側へ搬送されているときの状態を示している。
【0045】
情報媒体2を搬送する搬送手段142は、駆動モータ120(図2参照)を駆動源として回転する駆動ローラである搬送ローラ20と、搬送ローラ20に対向配置される従動ローラであるパッドローラ22とを備えている。情報媒体2の搬送は、搬送ローラ20の駆動力により、搬送ローラ20とパッドローラ22との間に情報媒体2が挟まれた状態で行われる。
【0046】
本実施形態では、第一搬送路145に4本の搬送ローラ20A〜20Dおよびパッドローラ22A〜22Dが配置されている。具体的には、手前側から奥側に向かって、搬送ローラ20A〜20Dおよびパッドローラ22A〜22Dがこの順番で配置されている。また、第一搬送路145と媒体挿入部3との間に1本の搬送ローラ20Eおよびパッドローラ22Eが配置され、退避路52に2本の搬送ローラ20F、20Gおよびパッドローラ22F、22Gが配置されている。
【0047】
搬送ローラ20に対する駆動モータ120の駆動力の伝達手段は種々の方法が可能であるが、たとえば、本実施形態では、駆動モータ120の駆動力は、図1に示すように、駆動モータ120の軸に設けられたプーリ121からベルト129を介してプーリ128、130に伝達され、プーリ128、130と同軸上に設けられた搬送ローラ20C、20Dが回転する。また、他の搬送ローラ20A、20Bに対しても同様の伝達手段によって駆動モータ120の駆動力が伝達され、搬送ローラ20A、20Bが回転する。
【0048】
また、第一搬送路145と媒体挿入部3との間に配置されている搬送ローラ20Eや、退避路52に配置されている搬送ローラ20F、20Gに対しても同様の伝達手段によって駆動モータ120の駆動力が伝達され、搬送ローラ20E、20F、20Gが回転する。なお、搬送ローラ20F、20Gの駆動源として、駆動モータ120とは別の駆動モータを設けても良い。この場合には、たとえば、図1に示すプーリ131、132、133やベルト134等によってこの駆動モータの駆動力が伝達される。
【0049】
パッドローラ22A〜22Gはそれぞれ、搬送ローラ20A〜20Gに向かって付勢され、搬送ローラ20の駆動力に追従して回転する。その付勢手段は特に限定されないが、通常はコイルバネ等が用いられている。本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dは、第一搬送路145に配置される搬送ローラ20A〜20Dに対向配置される対向ローラとなっている。
【0050】
パッドローラ22Aは、図5に示すように、回転軸25に同心状に固定されている。回転軸25の一端側は軸受26によって回転可能に支持され、回転軸25の他端側は軸受27によって回転可能に支持されている。軸受26は、搬送基準面15側(図1のY方向において紙面奥側)に配置され、軸受27は、搬送基準面15と逆側(図1のY方向において紙面手前側)に配置されている。また、軸受26、27は、ガイド部材90に形成された軸受固定部98に固定されている。
【0051】
図5に示すように、軸受26には、媒体搬送方向Xで回転軸25を支持する2個の軸支持部28が形成されている。また、軸受27には、媒体搬送方向Xで回転軸25を支持する2個の軸支持部29が形成されている。
【0052】
2個の軸支持部28の媒体搬送方向Xの間隔は、回転軸25の径とほぼ同じか回転軸25の径よりもわずかに大きくなっている。一方、2個の軸支持部29の媒体搬送方向Xの間隔は、回転軸25の径よりも大きくなっている。そのため、回転軸25は、一端側を支点として傾斜可能となっている。すなわち、回転軸25の他端側は、その一端側を支点として媒体搬送方向Xに変位可能となっている。このように、パッドローラ22Aの、搬送基準面15と逆側が媒体搬送方向Xに変位可能となるように、回転軸25を介して、パッドローラ22Aが軸受26、27に支持されている。
【0053】
本実施形態では、図5に示すように、パッドローラ22Aの軸方向(すなわち、回転軸25の軸方向)と媒体幅方向Yとが略一致した状態で、手前側に配置される軸支持部29と回転軸25との間に隙間が形成されるとともに、奥側に配置される軸支持部29と回転軸25との間にも隙間が形成されている。そのため、回転軸25の他端側(すなわち、パッドローラ22Aの他端側)は、パッドローラ22Aの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっている。
【0054】
具体的には、図5に示す状態では、手前側に配置される軸支持部29と回転軸25との間の隙間と、奥側に配置される軸支持部29と回転軸25との間の隙間が略等しくなっており、回転軸25の他端側は、パッドローラ22Aの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に略等しい量変位可能となっている。
【0055】
搬送ローラ20Aとパッドローラ22Aとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が奥側に向かって搬送されると、情報媒体2とパッドローラ22Aとの間に生じる摩擦力によって、図6(A)に示すように、回転軸25の他端側は、奥側に配置される軸支持部29に接触するまで、回転軸25の一端側(基準搬送面15側)を支点にして、奥側に向かって変位する。すなわち、パッドローラ22Aの他端側が奥側に向かって変位して、奥側に向かって搬送される情報媒体2を一端側(搬送基準面15側)に向けて寄せる方向にパッドローラ22Aが傾斜する。
【0056】
また、搬送ローラ20Aとパッドローラ22Aとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が手前側に向かって搬送されると、情報媒体2とパッドローラ22Aとの間に生じる摩擦力によって、図6(B)に示すように、回転軸25の他端側は、手前側に配置される軸支持部29に接触するまで、回転軸25の一端側(基準搬送面15側)を支点にして、手前側に向かって変位する。すなわち、パッドローラ22Aの他端側が手前側に向かって変位して、手前側に向かって搬送される情報媒体2を一端側(搬送基準面15側)に向けて寄せる方向にパッドローラ22Aが傾斜する。
【0057】
パッドローラ22B〜22Eも、パッドローラ22Aと同様に、軸受26、27によって回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されている。そのため、パッドローラ22B〜22Eも、パッドローラ22Aと同様に、情報媒体2が搬送される方向に応じて傾斜する。
【0058】
軸受26,27によってパッドローラ22A〜22Eを搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持することで、当該パッドローラ22A〜22Eを情報媒体2を磁気ヘッド70の磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構141としている。ただし、寄せ機構141の構成はこの構成に限るものではなく、情報媒体2を搬送しながら磁気検出可能な領域に寄せることができるものであれば、特に限定されるものではない。
【0059】
なお、本実施形態では、手前側から奥側に向かって、パッドローラ22A〜22Eの傾斜角度が次第に小さくなるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されている。すなわち、手前側から奥側に向かって、2個の軸支持部29の間隔が次第に狭くなっている。ただし、パッドローラ22A〜22Eの傾斜角度が同じになるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されても良い。また、たとえば、パッドローラ22A、22B、22Eの傾斜角度あるいはパッドローラ22A、22Eの傾斜角度が大きくなり、パッドローラ22C、22Dあるいはパッドローラ22B〜22Dの傾斜角度がわずかになるように、2個の軸支持部29間の間隔が設定されても良い。
【0060】
一方、パッドローラ22F、22Gは、軸受26によって両端側を回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されている。そのため、搬送ローラ20F、20Gとパッドローラ22F、22Gとの間に情報媒体2が挟まれて、情報媒体2が搬送されても、パッドローラ22F、22Gは傾斜しない。なお、パッドローラ22F、22Gは、パッドローラ22Aと同様に、軸受26、27によって回転可能に支持された回転軸25に同心状に固定されても良い。即ち、本実施形態では、パッドローラ22F、22Gについては寄せ機構141となっていないが、パッドローラ22F、22Gについても寄せ機構141としても良い。
【0061】
(スキャナの構成)
図7は、図2に示すスキャナ30と毛ブラシローラ40との位置関係を示す模式断面図である。
【0062】
画像読取手段としてのスキャナ30は、図1および図2に示す例では第一搬送路145の下側と上側にそれぞれ計2つ設けられているが、一方のみに設けられていてもよい。このスキャナ30は、情報媒体2が搬送される媒体搬送方向Xと直交する媒体幅方向Yを主走査するとともに、媒体搬送方向Xを副走査して、情報媒体2に印刷された画像データ(文字情報や画像情報)を読み取るように機能する。スキャナ30の第一搬送路145側の面は、図7に示すように、読み取り面31であり、通常はガラス面となっている。スキャナ30で読み取られた画像データは、上位のホストコンピュータに送られ、その後の搬送動作等が制御される。なお、図7に示すように、スキャナ30の読み取り面31の媒体搬送方向Xの前後には、情報媒体2の搬送を妨げないテーパ部材32A、32B設けられていることが好ましい。
【0063】
(毛ブラシローラの構成)
毛ブラシローラ40は、図2および図7等に示すように、上記のスキャナ30の読み取り面31に対向して設けられている。この毛ブラシローラ40は、軸43回りの植毛ベース42に毛41を植毛した一般的な形態を例示できるが(図4参照)、必ずしもこうした形態に限定されない。たとえば、毛を織り込んで植毛したシート状の植毛ベース42を、軸43に螺旋状に巻きつけて接着剤等を用いて貼付ける形態を挙げることができる。
【0064】
毛ブラシローラ40を構成する「毛」としては、たとえば、ポリエステル(たとえばポロエチレンテレフタレート)、アクリル、ナイロン等の樹脂繊維を用いることができる。また、毛ブラシローラ40が導電性を有することが好ましく、たとえば前記の樹脂繊維と、導電繊維(たとえばカーボン繊維)との複合ブラシとしてもよいし、導電材料(たとえばカーボン粒子や導電金属粒子)を含有させた樹脂繊維であってもよい。毛ブラシローラ40に導電性を持たせることにより、情報媒体2に生じることのある静電気を除電することができる。導電性を有する毛ブラシの毛41の電気抵抗は、1〜1×108Ωcmの範囲以下であることが好ましい。
【0065】
より具体的には、毛の単糸の繊度が200〜400dtex(1dtex(デジテックス)は長さ1.0×104mで1gである。)で、密度が50〜100単糸本数/mm2で、その[繊度]×[密度]が1.0×104〜4.0×104の範囲内であるものを用いることが好ましい。こうした範囲内とすることにより、腰の弱い情報媒体2に対してジャム発生を抑制し読み取り面31に情報媒体2を案内することができるという効果を得ることができる。その一例として、繊度が260dtexで密度が80単糸本数/mm2(繊度×密度=2.1×104)のものを好ましく挙げることができる。
【0066】
毛ブラシローラ40と、スキャナ30の読み取り面31(ガラス面)との間には、図7に示すように、情報媒体2の通過を許容する隙間Gが設けられている。この隙間Gは、情報媒体処理装置1が取り扱う情報媒体2の厚さ以下に設定されている。隙間Gをこのように設定することにより、搬送ローラ20による情報媒体2の搬送時に、毛ブラシローラ40が情報媒体2の被読み取り面2A(または2B)とは反対側の面2B(または2A)を規制して情報媒体2を案内する。
【0067】
この隙間Gは、取り扱う情報媒体2の種類に応じて調整することが好ましく、たとえば小切手等の腰の弱い紙媒体を専用に取り扱う情報媒体処理装置1の場合と、小切手等より厚くて腰のある紙媒体を専用に取り扱う情報媒体処理装置1の場合とで、その隙間Gを調整して用いることが好ましい。
【0068】
上搬送ブロック9に設けられた毛ブラシローラ40Bは、駆動モータ120の動力で回転する。駆動モータ120の駆動力は、図1に示すように、プーリ121からベルト123を介してプーリ122に伝達され、さらにそのプーリ122と同軸に設けられたプーリ124からベルト125を介してプーリ(図示しない。ギア126と同軸で設けられている)に伝達され、そのプーリと同軸上のギア126に連結したギア127に伝達される。毛ブラシローラ40Bは、ギア127と同軸上に設けられており、ギア127に伝達される駆動モータ120の動力で回転する。なお、下搬送ステージ8に設けられた毛ブラシローラ40Aにも同様の伝達手段で駆動モータ120の動力が伝達され、毛ブラシローラ40Aも駆動モータ120の動力で回転する。
【0069】
(ガイド部材の構成)
図8は、図1に示す毛ブラシローラ40の毛41を掻き分ける突起81を示す模式図である。
【0070】
ガイド部材80、90は、図4、図7および図8に示すように、上記の毛ブラシローラ40と協働して作用する、本実施形態の特徴的な構成の一つである。具体的には、ガイド部材80は、毛ブラシローラ40が設けられる下搬送ステージ8に設けられており、毛ブラシローラ40側の第一搬送路145を規制する平坦面85と、その平担面85の第一搬送路145側に媒体搬送方向Xに沿って延びる複数のスリットガイド84とを有している。スリットガイド84は、情報媒体2が媒体搬送方向Xに沿って搬送するのを助けるように作用し、平坦面85上に任意の間隔で突出した所定高さの突起状に構成されている。
【0071】
ガイド部材80は、毛ブラシローラ40を装着しかつ第一搬送路145に臨ませる窓部88と、その窓部88の縁89から毛ブラシローラ40に向かいかつ媒体搬送方向Xと平行な方向に突出して毛ブラシローラ40の毛41を掻き分ける複数の突起81A、81Bとを備えている。突起81A、81Bは、図8に示すように、断面が毛ブラシローラ40に向かって狭くなる三角形の舳先形状に形成されている。なお、毛ブラシローラ40に対する突起81A、81Bの侵入長さは、たとえば1〜2mm程度とすることが好ましい。
【0072】
また、ガイド部材80の、窓部88に隣接する隣接部(すなわち、媒体搬送方向Xにおける窓部88の縁89と平坦面85との間の部分)は、図7および図8に示すように、媒体搬送方向Xにおいて毛ブラシローラ40に向かって第一搬送路145から徐々離れる斜面82となっている。この斜面82には、スリットガイド83が形成されている。
【0073】
また、ガイド部材80には、図4に示すように、スキャナ装着部86が形成されるとともに、ローラ装着部87(87A〜87C)が形成されている。
【0074】
ガイド部材90は、毛ブラシローラ40が設けられる上搬送ブロック9に設けられている。このガイド部材90は、ガイド部材80と同様に構成されているため、ガイド部材90の詳細な説明は省略する。
【0075】
制御部143は、例えばマイクロコンピュータであり、予め記憶しているプログラムに従って情報媒体処理装置1を制御する。制御部143の記憶装置には、オフトラックが生じているか否かを判定する閾値である基準値nが予め記憶されている。制御部143は挿入検出センサ13からの信号に基づいて搬送手段142やシャッター部材12を操作して情報媒体2を装置内に取り込んだり、画像読取手段30を操作して情報媒体2の画像を撮像し、この画像データに基づいてオフトラックを検出する。また、オフトラックが検出された場合、制御部143は搬送手段142や切替レバー51を操作して寄せ動作を行う。
【0076】
以上のように構成された情報媒体処理装置1では、以下のようにして、装置内部に情報媒体2が取り込まれる。なお、本実施形態では、2つのスキャナ30A,30Bのうち、磁気ヘッド70により近い位置に配置されているスキャナ30Bの読取り画像データを使用して判定を行う。ただし、スキャナ30Bの読取り画像データに代えてスキャナ30Aの読取り画像データを使用して判定を行っても良く、あるいは両方のスキャナ30A,30Bの読取り画像データを使用して判定を行っても良い。
【0077】
すなわち、まず、上位のホストコンピュータ146からの制御指令で、情報媒体2の挿入待機状態になると、制御部143は、挿入検出センサー13A、13Bの両センサーが情報媒体2を検出したか否かを判断する(ステップS30)。
【0078】
挿入検出センサー13Bが情報媒体2を検出すると、制御部は、シャッター部材12を移動して媒体通過路11を開放し、挿入検出センサー13Aが情報媒体2を検出すると、制御部は、搬送ローラ20等の搬送手段142を起動して、情報媒体処理装置1内の所定位置まで奥側に向かって情報媒体2を搬送する。スキャナ30A,30Bは情報媒体2の画像を取り込み、着磁ヘッド71は情報媒体2表面のMICRデータに対して着磁を行い、磁気ヘッド70はMICR文字の読み取りを行う(MICRデータを読み取る)。なお、情報媒体2が情報媒体処理装置1内の所定位置まで搬送されると、シャッター部材12が媒体通過路11を閉鎖し、切替レバー51が閉位置51Bまで回動する。
【0079】
その後、制御部143は、スキャナ30Bが取り込んだ画像データ147(図12)を処理して情報媒体2の基準エッジ2cを検出する(ステップS31)。なお、画像処理を行って画像データ147の中の基準エッジ2cを検出する手法としては公知のものの使用が可能であり、ここではその説明を省略する。また、本実施形態では、基準エッジ2cを全長にわたり検出するのではなく、所定間隔で判定位置を設定し、その判定位置で基準エッジ2cを検出する。基準エッジ2cの検出を所定間隔毎にすることで処理時間を短縮することができる。ただし、基準エッジ2cを全長にわたり検出しても良い。本実施形態では、例えば10mm間隔で判定位置を設定している。制御部143は、まず最初の判定位置について基準エッジ2cを検出する。
【0080】
次に、制御部143は、最初の判定位置について基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れているか否かを判断する(ステップS32)。ここで、nは、オフトラックが生じているか否かの基準値であり、判定位置において基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れている場合にはオフトラックが生じていると判断でき、基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離がn未満の場合にはオフセットが生じていないと判断できる値である。基準値nは予め決定された値であり、制御部143の記憶装置に記憶されている。そして、判定位置において基準エッジ2cが搬送基準面15からn以上離れている場合には、ステップS33に進んで寄せ動作を実行する。具体的には、図9に示すように、退避路52を利用して、情報媒体処理装置1の内部で情報媒体2を1回、往復搬送する。すなわち、図9に示す矢印の方向へ情報媒体2を1回、往復搬送する。このとき、切替レバー51は、閉位置51Bにある。往復搬送された情報媒体2は、寄せ機構141の作用で、搬送基準面15側に寄せられる。この搬送によっても、スキャナ30A,30Bは情報媒体2の画像データ147を読み取り、読み取った画像データ147を前回の画像データ147の記憶領域に上書きする。また、情報媒体2の表面に記載されるMICR文字に対して着磁ヘッド71で着磁を行い、着磁されたMICR文字を磁気ヘッド70で読み取り、読み取ったMICRデータを前回のMICRデータの記憶領域に上書きする。
【0081】
その後、ステップS31に戻り、最初の判定位置において基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離がn未満になるまで、換言すると最初の判定位置における基準エッジ2cのオフトラックが解消するまでステップS31→S32→S33→S31を繰り返し行って情報媒体2の寄せ動作を行う。
【0082】
最初の判定位置におけるオフトラックが解消すると、ステップS32からステップS34に進み、全ての判定区間について、即ち全ての判定位置についてオフトラックの有無を判断したか否かを判断する。
【0083】
そして、全ての判定位置について判断が終了していない場合には、制御部143はステップS31に戻り、次の判定位置について基準エッジ2cを検出し、オフトラックが解消するまでステップS31→S32→S33→S31を繰り返し行う。そして、全ての判定位置についての判断が終了するまで、ステップS31からS34までを繰り返し行う。
【0084】
全ての判定位置についての判断が終了すると、ステップS34からステップS35に進み、上書きされている(読み取られている)MICRデータを復調し、処理を終了する。
【0085】
このように、本発明の情報媒体処理装置1では、読み込んだ画像から検出した情報媒体2の基準エッジ2cに基づいてオフトラックの発生を判断するので、画像処理が著しく簡単なものとなる。即ち、画像の中から基準エッジ2cを検出する画像処理は、画像の中からMICR文字を検出して復調する画像処理に比べて極めて簡単なものであり、短時間で終了する。このため、高速且つ簡単にオフトラックの判断を行うことができる。即ち、画像データ147から情報媒体2の基準エッジ2cを検出することでMICR文字の光学認識よりも高速かつ簡単にオフトラックを検出できる。
【0086】
また、複数の判定箇所で基準エッジ2cを検出することで検出の正確さを維持しつつも高速で処理することが可能である。
【0087】
また、複数の判定箇所について基準エッジ2cの位置を判定するため、本実施形態のような搬送中に徐々に寄せ動作を行う構造でも寄せの完了の判断が可能であり、情報媒体2の基準エッジ2c全域を判定する必要はないため、処理の高速化が可能である。
【0088】
また、情報媒体2の寄せが完了していない場合はMICR磁気データの認識前にこの情報媒体処理装置1で自動的に再搬送の処理を行うため、情報媒体処理装置1を含んで構築されたシステムでの処理時間が短縮できる。
【0089】
寄せが完了した場合、そのまま即ち情報媒体2を搬送し直しての再読取りを行わずにMICRデータの復調処理を行うため、オフトラックのない搬送状態の場合は無駄な動作がなく高速処理可能となる。
【0090】
また、情報媒体2を搬送しながら寄せることができるので、寄せ板等の追加部品がなく、装置の大型化を防止することができると共に、装置が高価になるのを防止することができる。
【0091】
情報媒体2として、幅の異なる複数種類の情報媒体2が一般に取引されている。ただし、情報媒体2の幅が異なっていても、基準エッジ2cからMICR文字の印字位置140までの距離は規格で定められている。このように情報媒体処理装置1の媒体挿入部3に挿入される情報媒体2の幅が一定ではないため、また、操作性を考慮してある程度ラフに情報媒体2を挿入しても取込を可能にするため、媒体挿入部3の幅は大きめに形成されている。したがって、第一搬送路145の搬送基準面15に基準エッジ2cが当たるように情報媒体2が媒体挿入部3に挿入されるとは限らない。このため、情報媒体処理装置1の搬送手段142は寄せ機構141を備えているが、装置小型化のために寄せ機構141を大掛かりなものにすることができず、1回の動作で寄せることができる距離を大きくすることができないので、搬送基準面15と基準エッジ2cとのずれが大きい場合には少ない回数の動作では搬送基準面15に基準エッジ2cを合わせることができない場合がある。このため、MICR文字から磁気ヘッド70が外れていないか、即ちオフトラックが生じていないかを検出し、たとえオフトラックが生じていたとしてもそのオフトラックを解消してからMICR文字の磁気を検出する。
【0092】
本実施形態では、媒体挿入部3への情報媒体2の挿入を検知する挿入検出センサ13を第一搬送路145の搬送基準面15の延長線の近傍に配置し、情報媒体2の挿入時に基準エッジ2cと搬送基準面15との大まかな位置合わせを行うようにしている。即ち、情報媒体2の基準エッジ2cが第一搬送路145の搬送基準面15から大きく外れるような態様で情報媒体2が媒体挿入部3に差し込まれた場合には、挿入検出センサ13が情報媒体2を検出しないようにして情報媒体2を第一搬送路145に取り込まないようにしている。これにより、第一搬送路145に取り込まれた情報媒体2の寄せを迅速に完了することができる。ただし、挿入検出センサ13の配置は、上述した本実施形態に限定されるものではない。
【0093】
また、本実施形態では、取り付けられたスキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を予め求めて制御部143の記憶装置に記憶している。例えば、情報媒体処理装置1の工場出荷前の検査時にスキャナ30A,30Bによって搬送基準面15の位置を学習し、例えば不揮発性メモリ等の記憶装置に記憶しておく。スキャナ30A,30Bbと搬送基準面15との位置関係を予め学習しておくことで、スキャナ30A,30Bbの取り付け位置の調整をある程度ラフに行うことが可能になり、生産性を向上させることができる。また、情報媒体2の寄せの判定をより正確に行うことが可能になる。即ち、スキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を考慮せずに搬送基準面15と基準エッジ2cとの位置関係のみに基づいて情報媒体2の寄せの判定を行っても良いが、本実施形態のようにスキャナ30A,30Bbと搬送基準面15との位置関係をも考慮に加えて判定を行うことで、より正確に判定を行うことができる。即ち、スキャナ30A,30Bと搬送基準面15との位置関係を予め学習しておくことで、スキャナ30A,30Bの取付位置、読み取り開始位置のばらつきを吸収することができる。
【0094】
本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dは、その他端側(搬送基準面15と逆側)が媒体搬送方向Xに変位可能となるように軸受26、27(寄せ機構141)に支持されている。そのため、搬送中の情報媒体2がパッドローラ22A〜22Dに当接すると、情報媒体2とパッドローラ22A〜22Dとの間に生じる摩擦力によって、パッドローラ22A〜22Dは、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる方向へ搬送基準面15側を支点にして傾く。したがって、パッドローラ22A〜22Dの作用で、搬送中の情報媒体2を搬送基準面15に向けてスムーズに寄せることができる。
【0095】
また、パッドローラ22A〜22Dの変位量を適切に設定することで(具体的には、2個の軸支持部29の間隔を適切に設定することで)、搬送基準面15に向けて寄せる情報媒体2に過剰な負荷がかかるのを、換言すると情報媒体2が搬送基準面15に強く当たり過ぎるのを防止することができる。したがって、強度の弱い情報媒体2であっても搬送時の破損を防止することが可能になる。
【0096】
本実施形態では、搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して情報媒体2を情報媒体処理装置1の内部で往復搬送している。すなわち、本実施形態では、寄せ動作を行う場合に情報媒体2を往復搬送するための退避路52が形成されている。したがって、例えば、退避路52を形成する代わりに搬送路10を循環路として情報媒体2を装置内で循環させながら寄せ動作を行う構成(循環搬送)と比較して、第一搬送路145および退避路(第二搬送路)52の設置スペースを小さくすることができる。その結果、情報媒体処理装置1を小型化することができる。
【0097】
また、情報媒体処理装置1が小型であっても、情報媒体2を往復搬送させる際に、媒体挿入部3から、情報媒体2の一部が露出することがないため、ユーザの誤操作を防止することができる。
【0098】
また、本実施形態では、搬送基準面15に情報媒体2を寄せる際に、退避路52を利用して情報媒体2を往復搬送しているため、情報媒体2が循環搬送される場合と比較して、搬送基準面15に情報媒体2を寄せる際の情報媒体2の搬送距離を短くすることができる。したがって、情報媒体2の処理時間を短縮することができる。また、本実施形態では、第一搬送路145に4本の搬送ローラ20A〜20Dとパッドローラ22A〜22Dとが配置されているため、平面部と湾曲面部との境界近傍に搬送ローラが配置される構成と比較して、短時間で搬送基準面15に情報媒体2を寄せることができる。
【0099】
本実施形態では、第一搬送路145は、搬送中の情報媒体2が直進可能となるように、略直線状に形成され、退避路52は、第一搬送路145の下方に向かって湾曲するように形成されている。そのため、媒体搬送方向Xにおいて、画像取込装置1を小型化することができる。また、第一搬送路145が略直線状に形成されているため、第一搬送路145で搬送される情報媒体2の破損を防止しやすくなる。ただし、必ずしも第一搬送路145を略直線状に形成しなくても良い。
【0100】
本実施形態では、第一搬送路145と退避路(第二搬送路)52との境界部分に、切替レバー51が配置されている。そのため、搬送手段142によって、往復搬送される際の情報媒体2を退避路52へ確実に案内することができる。
【0101】
本実施形態では、パッドローラ22A〜22Dの他端側は、パッドローラ22A〜22Dの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっている。そのため、情報媒体2が奥側に向かって搬送される場合および手前側に向かって搬送される場合のいずれの場合にも、パッドローラ22A〜22Dの作用で搬送基準面15に向けて情報媒体2を寄せることができる。したがって、短時間で情報媒体2を搬送基準面15に寄せることができる。
【0102】
本実施形態では、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方で情報媒体2が検出されると、シャッター部材12が媒体通過路11を開放して、搬送手段が起動する。すなわち、2個の挿入検出センサー13A、13Bの両方が情報媒体2を検出すると、画像読取装置1への情報媒体2の取り込みが可能となる。そのため、媒体幅方向Yにおいて、情報媒体2の端部が搬送基準面15に近い位置にあるときに、情報媒体2が情報媒体処理装置1に取り込まれる。したがって、本実施形態では、取り込まれた情報媒体2を短時間で搬送基準面15に寄せることができる。
【0103】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0104】
例えば、上述の説明では、情報媒体2を搬送する度毎にスキャナ30Bによって画像データ147を取り込むようにしているが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、1度の搬送で寄せられる距離L1がわかる場合には、最初の搬送の時にのみ画像データ147を取り込むようにしても良い。即ち、最初の搬送の時に取り込んだ画像データ147を使用して基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離L2を算出し、距離L1とL2に基づいて寄せ動作を繰り返す回数(=L2/L1:ただし、小数点以下は切り上げ)を求め、求めた回数だけ搬送を繰り返し行うようにしても良い。これにより、2回目以降の搬送ではスキャナ30Bによって画像データ147を取り込む作業を省略することができ、処理時間を短縮することができる。
【0105】
また、取り付けられた搬送基準面15と磁気ヘッド70との位置関係を予め学習しておいても良い。搬送基準面15と磁気ヘッド70との位置関係を予め学習をしておくことで、オフトラック検出の精度、マージンを向上させることができる。即ち、磁気ヘッド70と搬送路10との位置関係が正確になるので、磁気ヘッド70がMICR文字を確実に検出することができる。
【0106】
また、本実施形態では、基準エッジ2cを搬送基準面15に合わせることで、磁気ヘッド70がMICR文字を磁気検出可能な領域に寄せられるようになっている。ただし、これに限らない。基準エッジ2cと搬送基準面15との間の距離を所定値になる位置に情報媒体2を寄せることで、MICR読取ヘッド6がMICR文字を磁気検出可能な領域に寄せられるようにしても良い。
【0107】
また、上述した実施形態では、回転軸25の他端側は、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に略等しい量変位可能となっている。この他にもたとえば、回転軸25の他端側の、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から手前側への変位量と、奥側への変位量とが異なっていても良い。
【0108】
また、上述した実施形態では、回転軸25の他端側は、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの両側に変位可能となっているが、パッドローラ22A〜22Eの軸方向と媒体幅方向Yとが略一致した状態から媒体搬送方向Xの片側のみに(手前側あるいは奥側のみに)変位可能となっていても良い。
【0109】
上述した実施形態では、軸受27に形成される2個の軸支持部29の間隔は一定になっている。この他にもたとえば、2個の軸支持部29の間隔を調整して、パッドローラ22A〜22Eの、搬送基準面15と逆側の変位量を調整するための変位量調整手段を情報媒体処理装置1が備えていても良い。この場合には、情報媒体2の強度に応じて、パッドローラ22A〜22Eの変位量を設定することができる。すなわち、情報媒体2の強度に応じて、パッドローラ22A〜22Eの傾きを設定することができる。そのため、搬送基準面15に向かう情報媒体2に過剰な負荷がかかるのを防止することができる。したがって、強度の弱い情報媒体2の搬送時の破損を確実に防止することが可能になる。また、強度が比較的強い情報媒体2を短時間で搬送基準面15に寄せることが可能になる。
【0110】
上述した実施形態では、退避路52は、第一搬送路145の手前側から分岐するように形成されている。この他にもたとえば、退避路52は、第一搬送路145の奥側から分岐するように形成されても良い。また、上述した形態では、退避路52は、第一搬送路145の下方に向かって湾曲するように形成されているが、第一搬送路145の上方に向かって湾曲するように形成されても良い。
【0111】
また、上述の実施形態では、媒体挿入部3に挿入検出センサー13を2つ設けていたが、設置数は2つに限るものではなく、例えば図14に示すように、少なくとも搬送基準面15の形成位置の近傍に配置されている挿入検出センサー13Aを有していればその数は特に制限されるものではない。
【0112】
なお、情報媒体処理装置1の奥側に、印字装置(プリンタユニット)やスタンプユニット等が装着されていてもよい。その印字装置等との接続は、情報媒体処理装置1が有する接続フランジとボルト・ナット等の締結部材とを用いて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の情報媒体処理装置の実施形態の一例を示す斜視図であり、搬送路を構成する上搬送ブロックを開けた状態を示している。
【図2】図1に示す情報媒体処理装置において、上搬送ブロックを閉じた動作状態時の断面構成図である。
【図3】図1に示す媒体挿入部内の挿入検出センサーの配置位置を説明するための概略平面図である。
【図4】図1に示す情報媒体処理装置を構成する下搬送ステージのガイド部材を示す斜視図である。
【図5】図1に示すパッドローラおよびその周辺部の構成を示す概略平面図である。
【図6】図5に示すパッドローラの作用を説明するための図であり、(A)は媒体が奥側へ搬送されているときの状態を示し、(B)は媒体が手前側へ搬送されているときの状態を示している。
【図7】図2に示すスキャナと毛ブラシローラとの位置関係を示す模式断面図である。
【図8】図1に示す毛ブラシローラの毛を掻き分ける突起を示す模式図である。
【図9】図1に示す情報媒体処理装置における媒体の幅寄せ動作を説明するための図である。
【図10】図1に示す情報媒体処理装置における媒体の取込時の制御フローを示すフローチャートである。
【図11】図1に示す情報媒体処理装置のブロック図である。
【図12】スキャナによって読み取った画像データを示す図である。
【図13】情報媒体を示す平面図である。
【図14】本発明の情報媒体処理装置の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0114】
2 情報媒体
2c 基準エッジ
3 媒体挿入部(挿入口)
10 搬送路
22 ローラ(パッドローラ)
30 画像読取手段(スキャナ)
52 第二搬送路(退避路)
51 分岐手段
70 磁気ヘッド
140 印字位置
141 寄せ機構
142 搬送手段
143 制御部
145 第一搬送路
147 情報媒体の画像データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路に設けられ、前記MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッドと、前記搬送路に設けられ、前記情報媒体の画像を読み取る画像読取手段と、前記搬送路に設けられ、前記情報媒体を前記磁気ヘッドの磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段と、前記画像読取手段が読み取った画像に基づいて前記情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて前記印字位置が前記磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部を備え、前記所定量離れている場合、前記搬送手段が前記情報媒体を搬送しながら前記磁気検出可能な領域に寄せることを特徴とする情報媒体処理装置。
【請求項2】
前記寄せ機構は、搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持されたローラであることを特徴とする請求項1記載の情報媒体処理装置。
【請求項3】
前記搬送路は、前記情報媒体を挿入口側から搬送する第一搬送路と、前記情報媒体を逆方向に搬送した際、該情報媒体を搬送する第二搬送路とを有し、前記第一搬送路と前記第二搬送路とを分岐する分岐手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の情報媒体処理装置。
【請求項1】
所定の印字位置にMICR文字が印刷された情報媒体が搬送される搬送路と、前記搬送路に設けられ、前記MICR文字の磁気を検出する磁気ヘッドと、前記搬送路に設けられ、前記情報媒体の画像を読み取る画像読取手段と、前記搬送路に設けられ、前記情報媒体を前記磁気ヘッドの磁気検出可能な領域へ寄せる寄せ機構を有する搬送手段と、前記画像読取手段が読み取った画像に基づいて前記情報媒体の基準エッジを検出し、この基準エッジに基づいて前記印字位置が前記磁気ヘッドの磁気検出可能な領域から予め定めた所定量離れているか否かを判断する制御部を備え、前記所定量離れている場合、前記搬送手段が前記情報媒体を搬送しながら前記磁気検出可能な領域に寄せることを特徴とする情報媒体処理装置。
【請求項2】
前記寄せ機構は、搬送方向の順方向及び逆方向に応じて変位自在に支持されたローラであることを特徴とする請求項1記載の情報媒体処理装置。
【請求項3】
前記搬送路は、前記情報媒体を挿入口側から搬送する第一搬送路と、前記情報媒体を逆方向に搬送した際、該情報媒体を搬送する第二搬送路とを有し、前記第一搬送路と前記第二搬送路とを分岐する分岐手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の情報媒体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−294941(P2009−294941A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148397(P2008−148397)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
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