説明

情報提供装置、情報提供方法及びプログラム

【課題】ユーザが設定した割込再生に関する情報に基づいて、配信情報を再生できるようにする。
【解決手段】車載器200において、通信部201は、路側無線装置からの配信情報を受信する。記憶装置206は、再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルを記憶する。制御部207は、割込設定テーブルの設定内容の変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける。そして、制御部207は、割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定し、その結果に基づいて、当該情報を再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側無線装置を介して受信した配信情報をユーザに提供する情報提供装置、情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
路側無線装置と車載器との無線通信により、動画、静止画、音声、文字情報など様々な種類の情報を車載器側のユーザに配信するサービスが普及している。配信される情報(配信情報)を提供する情報配信側は、情報受信側(即ち、車載器側)であるユーザに該配信情報を効率的かつ効果的に提供できるような仕組みの実現に取り組んでいる。
【0003】
例えば、迅速な情報提供の観点から、車載器側において、ユーザの取得意思(即ち、配信情報の要求の有無)にかかわらず、配信情報を受信し(いわゆるプッシュ配信)、これを再生する技術は、よく知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−241258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザにとって、情報配信側からの配信情報が必ずしも有益な情報であるといえない場合もある。そのような場合、配信情報が車載器(例えば、カーナビゲーション装置のモニタ等)で割込表示等されると、かえって、ユーザに煩わしさを与えることになる。また、カーナビゲーション機能による動作(例えば、ルート案内等)を妨げるおそれもある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザが設定した割込再生に関する情報に基づいて、配信情報を再生できる情報提供装置、情報提供方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報提供装置は、
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信手段と、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルと、
該割込設定テーブルの設定内容の変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付手段と、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定手段と、
前記割込判定手段の判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記配信情報の優先度を取得する優先度取得手段をさらに備え、
前記割込判定手段は、前記優先度も加味して前記判定を行うのが好ましい。
【0008】
また、前記割込設定テーブルには、文字情報、画像情報及び音声情報毎に割込再生の許可有無が設定されているのが好ましい。
【0009】
また、前記割込設定テーブルには、割込表示する場合の表示時間も設定され、
割込再生する情報が文字情報又は画像情報の場合、前記再生手段は、設定された前記表示時間に従って、当該情報の再生を行うようにしてもよい。
【0010】
また、本発明に係る情報提供方法は、
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信ステップと、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルの設定変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付ステップと、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定ステップと、
前記割込判定ステップでの判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信手段、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルの設定変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付手段、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定手段、及び
前記割込判定手段の判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上の如く、本発明によれば、ユーザが設定した割込再生に関する情報に基づいて、受信した配信情報を再生することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る情報提供装置について、ITS(Intelligent Transport Systems)における車載器を例にして説明する。
【0014】
図1に示すように、ITSは、道路、駐車場などの車両が通行する場所の近傍に配置された路側無線装置100と、車両に搭載され、路側無線装置100との間で通信してユーザ(車両の乗車者)に交通情報等を提供する車載器200(情報提供装置)と、交通情報などの種々の情報を生成して路側無線装置100に供給する交通情報配信サーバ300と、を備える。車載器200と路側無線装置100との間の通信方法は、プッシュ型同報配信や個別通信で一般的に用いられるDSRC(Dedicated Short Range Communication)の配信方法の一つである。
【0015】
図2に示すように、交通情報配信サーバ300は、入力部301、出力部302、第1の通信制御部303、第2の通信制御部304、記憶装置305、制御部306、ROM(Read Only Memory)307、RAM(Random Access Memory)308、システムバス309を備える。
【0016】
入力部301は、キーボード、マウス、入力インタフェース等を備え、サーバ管理者からの指示入力や種々のデータの入力等を受け付ける。受け付けた情報は、制御部306に供給される。
【0017】
出力部302は、表示装置などから構成され、画像データやメッセージデータなどを表示する。
【0018】
第1の通信制御部303は、電話回線、インターネット等の一般通信網NW1を介して外部装置と交信し、種々の情報を送受信する。
【0019】
第2の通信制御部304は、ITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に接続され、路側無線装置100に交通情報などを送信する。また、第2の通信制御部304は、各路側無線装置100が車載器200との交信などにより得た情報を、ITS通信網NW2を介して受信する。例えば、車載器200から受信した情報は、交通情報を生成するために用いられる。
【0020】
記憶装置305は、ハードディスク装置等を備え、交通情報や広告などを示す画像データ、音声データ、テキストデータ等を格納する。また、記憶装置305は、各路側無線装置100の位置やアドレスの他、各路側無線装置100の近傍の地理情報を記憶する。
【0021】
制御部306は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、交通情報配信サーバ300全体の動作を制御する。また、制御部306は、記憶装置305に格納されている各種情報に基づいて、各路側無線装置100に配信するコンテンツデータを作成し、第2の通信部304を制御してITS通信網NW2を介して各路側無線装置100に配信する。制御部306が生成し送信するコンテンツデータの構成については後述する。
【0022】
ROM307は、交通情報配信サーバ300全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)やプログラム等を記憶する。
【0023】
RAM308は、制御部306のワークエリアとして機能する。
【0024】
システムバス309は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0025】
次に、路側無線装置100の構成について説明する。路側無線装置100は、典型的には道路上や駐車場等に設置されるビーコン等(電波ビーコン、光ビーコン等)の送受信機を備える。
【0026】
路側無線装置100は、ビーコンから交通情報等の配信情報を周囲に発信する。路側無線装置100は、配信情報を交通情報配信サーバ300から受信して記憶し、無線送信する
【0027】
ここで、配信情報は、路側設備からサービス対象車両に対してDSRCで提供される情報であり、配信情報には、現在位置情報、安全運転支援情報、多目的情報、長文読み上げ情報、発話型安全運転支援情報がある。
【0028】
現在位置情報は、ドライバーが現在位置を確認するために最低限必要と考えられる現在走行中の路線のルートマーク等の情報、あるいは、車載器200側で現在走行中の路線・方向を対象とした情報であるか否かが認識できるような路側無線装置100の設置位置の緯度、経度、道路種別等、情報提供サービス対象となる進行方向の方位情報である。
【0029】
安全運転支援情報は、ドライバーの走行が極めて危険な場合または警戒を要する場合に、できるだけ迅速かつ正確に提供しなければならない情報であり、受信後即時発話(出力)する即時型の情報である。安全運転支援情報は、文字、音声又は画像によって提供され、文字情報、音声情報、画像情報、これらの情報の有無フラグを含んでいる。
【0030】
多目的情報は、前方の気象状況や交通状況等の様々な状況を示す情報であり、様々な情報を一旦蓄積後、所定のタイミングで出力するタイプの情報である。多目的情報は、文字、音声、画像によって提供され、文字情報、音声情報、画像情報、これらの情報の有無フラグを含んでいる。多目的情報が出力される所定のタイミングとは、多目的情報には当該情報を再生すべき位置情報を含んでおり、車両が、その位置情報により示される位置に到達した場合に当該情報を再生させる情報である。
【0031】
長文読み上げ情報は、前方で発生している複数の交通状況や気象状況等の様々な状況を示す情報である。長文読み上げ情報は、音声のみによって提供され、音声情報を含み、文字情報、画像情報を含まない。なお、長文読み上げ機能には、前述した安全運転支援情報や多目的情報のように再生すべきタイミングは規定されていないため、他の情報が再生されていない場合に、発話を行なう情報である。
【0032】
発話型安全運転支援情報は、ドライバーの走行が極めて危険な場合または警戒を要する場合にできるだけ迅速かつ正確に提供しなければならない発話型の情報である。発話形安全運転支援情報は、音声によってのみ提供され、音声情報を含み、文字情報、画像情報を含まない。安全運転支援情報と発話型安全運転支援情報は、迅速かつ正確に提供しなければならないため、受信後、即時再生する情報である。
【0033】
これらの配信情報には、それぞれ、識別子が付与されている。尚、多目的情報は、複数の情報からなる情報群によって構成され、この情報群に1つの識別子が付与されている。この複数の情報の提供情報数をm(mは整数)として、多目的情報は、この提供情報数mも含んでいる。
【0034】
また、配信情報は、路側処理設備と車載器との間で交換するデータの機能的なまとまりである電文という形式で繰り返し(サイクリックに)送信される。電文は、通信に必要なヘッダ情報等も含めて構成され、電文のヘッダ情報には、送信される配信情報の識別子と更新ビットとが含まれる。
【0035】
更新ビットは、配信情報の変化をフラグで示すものであり、繰り返し送信される配信情報が更新されると、更新ビットが反転する。
【0036】
路側無線装置100の近くを通過する車両の車載器200は、路側無線装置100から、この電文を受信して、識別子により、これに含まれる配信情報の種別を判別する。
【0037】
図3に示すように、路側無線装置100は、無線通信部101、通信制御部102、記憶装置103、制御部104、ROM105、RAM106、システムバス107を備える。
【0038】
無線通信部101は、電波信号、光信号等の無線信号により路側無線装置100の近傍を通過する車両に設置された車載器200との間で情報を交信する。例えば、無線通信部101は、交通情報配信サーバ300から提供された識別子が付与された1又は複数の配信情報を車載器200に送信する。また、無線通信部101は、車載器200から送信されてくる車両ID等の情報を受信する。
【0039】
通信制御部102は、ITS通信網NW2を介して交通情報配信サーバ300に接続され、交通情報配信サーバ300から送信される配信情報を受信して、記憶部103に格納する。また、車載器200から取得した情報を交通情報配信サーバ300に送信する。
【0040】
記憶装置103は、通信制御部102によって受信された交通情報配信サーバ300からの配信情報を格納する。
【0041】
制御部104は、CPU等から構成され、路側無線装置100全体の動作を制御する。例えば、制御部104は、記憶装置103に格納されている配信情報を、無線通信部101を制御して車載器200にプッシュ配信する。また、制御部104は、無線通信部101によって受信された車載器200からの情報を記憶装置103に格納する。さらに、制御部104は、トラフィックカウンター(図示せず)などを用いて路側無線装置100周辺の交通情報を生成し、これを記憶装置103に格納したり、あるいは、ITS通信網NW2を介して交通情報配信サーバ300に送信することもできる。
【0042】
ROM105は、路側無線装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)、プログラム、各種のデータを記憶する。RAM106は、制御部104のワークエリアとして機能する。
【0043】
システムバス107は、上記各部の間で命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0044】
次に、車載器200(情報提供装置)の構成について説明する。車載器200は自動車に設置される。本実施形態では、車載器200は、一般的なカーナビゲーション装置と一体に構成され、カーナビゲーション機能と、路側無線装置100からプッシュ配信された配信情報、コンテンツデータ等を再生する機能とを備える。なお、他の実施形態では、カーナビゲーション機能を備えない車載器も採用し得る。
【0045】
車載器200は、自己の位置を測位し、また、路側無線装置100から送信される配信情報を受信する。例えば、車載器200は、測位した自己の位置と、受信した配信情報に含まれる、再生するための地理的な位置(再生位置)とが一致すると、配信情報を再生する。
【0046】
図4に示すように、車載器200は、通信部201、音声処理部202、出力部203、操作部204、I/O(Input/Output)装置205、記憶装置206、制御部207、ROM208、RAM209、システムバス210を備える。
【0047】
通信部201は、GPS(Global Positioning System)モジュール201a、DSRC(Dedicated Short Range Communication)モジュール201bを含む。
【0048】
GPSモジュール201aは、複数のGPS衛星からのGPS電波を受信し、制御部207に供給する。制御部207は、GPSモジュール201aを制御して、車載器200の現在位置を取得できる。
【0049】
DSRCモジュール201bは、DSRC方式により、路側無線装置100と通信する。
【0050】
音声処理部202は、制御部207から入力されたディジタルオーディオ信号をD/Aコンバータ(図示せず)でアナログオーディオ信号に変換して、スピーカ222に出力する。また、音声処理部202は、マイクロフォン223から入力された音声をA/Dコンバータ(図示せず)でディジタルオーディオ信号に変換して、制御部207に入力する。これにより、ユーザは、ナビゲーション、配信情報の音声を聞いたり、音声を入力したりすることができる。
【0051】
出力部203は、モニタを備え、通信部201により取得された配信情報、ナビゲーション画像、テレビ画像、記憶装置206等に予め記憶されたマップ画像などを表示する。
【0052】
操作部204は、タッチパネル式入力装置などから構成され、ユーザによる指示入力に基づいて指示入力信号を生成して、制御部207に供給する。
【0053】
I/O装置205は、DVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)ドライブを含み、所定の地図情報(マップデータ)などを納めたDVD−ROMやCD−ROMからデータを読み出して制御部207に入力する。また、I/O装置205は、速度センサ、走行距離センサ、方向センサ、ブレーキセンサ等のセンサ群225の検出信号を取得し、制御部207に供給する。
【0054】
記憶装置206は、ハードディスクドライブ(HDD)を含み、路線無線装置100からの配信情報、所定の地図情報や各種設定情報などを記憶する。記憶装置206は、メモリカードなどの他のメモリを備えていてもよい。制御部207は、地図情報を記憶したDVD−ROM等の記憶媒体から随時この地図情報を読み出してもよいし、記録媒体から予めこの地図情報を読み出して記憶装置206に書き込んでおいてもよい。
【0055】
制御部207は、CPU等から構成され、車載器200全体の動作を制御する。例えば、制御部207は、GPSモジュール201aを介して受信したGPS信号に基づいて、車載器200(自車)の現在位置を測位する。また、制御部207は、センサ群225に含まれている方向センサの出力をI/O装置205を介して取り込み、現在の自車の進行方向を取得する。また、制御部207は、走行距離センサの出力から、自車の走行距離を求める。
【0056】
また、制御部207は、DSRCモジュール201bを介して路側無線装置100から電文を受信する。
【0057】
この電文は繰り返し送信されるため、制御部207は、電文のヘッダ情報に含まれている更新ビットをチェックすることにより、配信情報の変化を判別する。
【0058】
また、制御部207は、受信した電文から配信情報を取り出し、電文のヘッダに含まれている識別子に基づいて、電文に含まれている配信情報の種類を判別する。また、制御部207は、配信情報に含まれている有無フラグに基づいて、配信情報が画像情報、文字情報、音声情報を含むか否かを判定する。
【0059】
また、制御部207は、受信した配信情報が即時型でない場合には、割込設定の状態にに基づいて、当該配信情報(より詳細には、配信情報に含まれる情報(文字情報、画像情報、音声情報))を再生する。割込設定の詳細は後述する。なお、制御部207は、コプロセッサ等を備えてもよい。
【0060】
ROM208は、車載器200全体の動作制御に必要なオペレーティングシステム(OS)、プログラム、各種のデータ等を記憶する。
【0061】
RAM209は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、通信部201により取得された配信情報、DVD−ROMから読み出したデータ等が保持される。また、制御部207は、RAM209をワークメモリとして使用する。
【0062】
システムバス210は、上記各部を相互に接続し、命令やデータを転送するための伝送経路である。
【0063】
以上にように構成される車載器200(情報提供装置)は、配信情報を予めユーザが設定した割込設定の状態に基づいて再生できる点に大きな特徴を有する。以下、かかる特徴について詳細に説明する。
【0064】
制御部207は、路側無線装置100から電文を受信すると、受信した電文から配信情報を取り出し、電文のヘッダに含まれている識別子に基づいて、電文に含まれている配信情報の種類を判別する。
【0065】
また、制御部207は、配信情報の優先度も取得する。制御部207は、電文のヘッダに含まれる情報、配信情報の種類、配信情報に含まれる情報等に基づいて、当該配信情報の優先度を判定する。本実施形態では、配信情報の優先度は、“最優先”、“優先”、“通常”の三つに分類している。“最優先”の配信情報とは、安全走行の観点からドライバーに迅速かつ正確に提供しなければならない即時型の情報であり、例えば、安全運転支援情報や発話型安全運転支援情報がこれに該当する。“優先”の配信情報とは、緊急性は低いものの、安全走行の観点からドライバーに認識させる必要性が高い情報である。“通常”の配信情報とは、緊急的な情報ではなく、快適走行を支援する、サービス的な情報(例えば、駐車場情報等)である。
【0066】
受信した配信情報の優先度が、“最優先”である場合、制御部207は、当該配信情報に含まれる情報(文字情報、画像情報又は音声情報)を直ちに再生する(即ち、音声処理部202又は出力部203から出力する。)。これにより、例えば、図6に示すように、ルート案内中であっても、緊急性のある情報が、モニタに割込表示されることになる。但し、“最優先”に属する他の情報が再生中である場合には、その終了後に再生される。
【0067】
受信した配信情報の優先度が、“最優先”以外である場合、制御部207は、当該配信情報に再生条件が設定されている否かを判定する。再生条件とは、当該配信情報を再生すべきタイミングについての条件であり、例えば、再生するための地理的な位置情報等がこれに該当する。再生条件が設定されている場合、制御部207は、即時の再生を行わず、当該再生条件が成立するまで、当該配信情報を記憶装置206に保存する。再生条件が設定されていない場合又は再生条件が成立した場合、制御部207は、予めユーザが設定した割込設定の状態に基づいて、当該配信情報を再生する。
【0068】
ここで、ユーザによる割込設定について説明する。車載器200のユーザ(例えば、ドライバー)は、出力部203のモニタに表示される割込設定画面(図5参照)を介して、受信した配信情報の割込再生についての設定を行う。割込設定画面は、ユーザによるタッチ操作等により、ナビゲーション画面から1又は複数の画面を遷移することで表示される。割込設定画面の表示の要求があると、制御部207は、記憶装置206に記録されている割込設定テーブルを読み出し、その内容を基にして、図5に示す割込設定画面を生成し、モニタに出力させる。
【0069】
割込設定テーブルには、ユーザが設定した割込再生の許可有無(ON(する)又はOFF(しない))が、情報の種別(文字情報、画像情報、音声情報)毎に格納されている。また、割り込み表示する時間(割込表示時間)が格納されている(本実施形態では、10秒、15秒、20秒又は無制限の何れか)。
【0070】
ユーザは、モニタに表示された割込設定画面を見て、現在の設定状態を確認し、設定変更したい場合には、操作部204を介した操作(タッチ操作等)により所望の設定に変更することができる。変更後、「戻る」ボタンを押下操作すると、遷移前の画面が表示されると共に、制御部207は、割込設定テーブルの内容をユーザが入力した変更内容に更新し、記憶装置206に保存する。
【0071】
制御部207は、優先度が“最優先”でない配信情報についての再生手順を上記割込設定テーブルの内容と、当該配信情報の優先度(即ち、“優先”又は“通常”)とに基づいて決定する。以下、かかる再生手順の決定について詳細に説明する。
【0072】
割込設定テーブルにおいて、割込許可が“ON”に設定されている情報種(文字情報、画像情報、音声情報)が存在し、かつ、その情報種に対応する情報が当該配信情報に含まれている場合、制御部207は、優先度にかかわらず、当該情報を直ちに再生する(再生条件が設定されている場合には、その成立が前提となる)。但し、再生しようとする情報の優先度と同等以上の優先度を有する情報が再生中である場合は、その再生が終了するまで待機となる。また、文字情報又は画像情報を割込再生する場合の再生時間は、割込設定テーブルに設定されている割込表示時間に従う。
【0073】
一方、割込許可が“OFF”に設定されている情報種に対応する情報については、割込再生をすることができない。つまり、カーナビゲーション機能が動作している状態(例えば、ルート案内等)や他の配信情報が再生されている状態等(以下、このような状態を「出力処理状態」と称す)では、再生することができない。この場合、制御部207は、優先度が“優先”の情報については、現在の出力処理状態の終了後に再生する(但し、再生条件が設定されている場合には、その成立が維持されていることが前提となる)。一方、優先度が“通常”の情報については、再生を行わない。
【0074】
続いて、本実施形態の車載器200が行う割込再生処理の手順について、図7のフローチャートに沿って説明する。
【0075】
この割込再生処理では、優先度が“最優先”以外である配信情報についての再生処理がが実行される。割込再生処理は、所定時間毎に起動し、以下に示す一連の処理を実行する。
【0076】
先ず、制御部207は、記憶装置206から保存されている配信情報を取り出す(ステップS101)、制御部207は、当該配信情報の再生条件が成立しているか否かを判定する(ステップS102)。当該配信情報に再生条件が設定されていない場合(即ち、再生タイミングについて指定がない場合)は、再生条件は成立していると判定される。
【0077】
再生条件が成立していない場合(ステップS102でNO)は、本処理を抜ける。一方、再生条件が成立している場合(ステップS102でYES)は、制御部207は、記憶装置206から割込設定テーブルを読み出し、各情報種(文字情報、画像情報、音声情報)毎の割込許可状況をチェックする。
【0078】
当該配信情報に含まれる情報の種類について、割込許可が“ON”に設定されている場合(ステップS103でYES)、制御部207は、当該情報を直ちに再生する(ステップS104)。この場合、当該情報が音声情報ならば、スピーカ222を介して音声が出力される。また、当該情報が文字情報又は画像情報ならば、出力部203のモニタに文字又は画像が出力(表示)される。但し、当該情報の優先度と同等以上の優先度を有する情報が再生中である場合は、その再生の終了後に再生される。また、文字情報又は画像情報の割込再生となる場合、その再生(表示)時間は、割込設定テーブルに設定されている割込表示時間となる。
【0079】
一方、当該配信情報に含まれる情報の種類について、割込許可が“OFF”に設定されている場合(ステップS103でNO)、制御部207は、当該配信情報の優先度をチェックする(ステップS105)。当該配信情報の優先度が“優先”の場合(ステップS105でYES)、制御部207は、当該情報を現在の出力処理状態の終了後に再生する(ステップS106)。なお、出力処理状態でない場合には、制御部207は、当該情報を直ちに出力する。一方、当該配信情報の優先度が“優先”でない場合(即ち、“通常”である場合)(ステップS105でNO)、当該情報の再生は行われない。
【0080】
以上のように本実施形態の車載器200によれば、ユーザは、配信情報の割込再生について、許可するか否かを情報の種類別(文字情報、画像情報、音声情報)に設定することができる。そして、カーナビゲーション機能が動作中である場合や他の配信情報に係る情報が再生中である場合等では、ユーザの設定状況に基づいて、割込再生の制御が行われる。これにより、ルート案内等、ドライバーに必要な情報が提供されている最中に、優先度が低い情報(例えば、駐車場情報等)が割込再生されてしまう不都合を回避できる。
【0081】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
例えば、上記実施形態では、ユーザは、文字情報、画像情報及び音声情報毎に割込許可についての設定ができるが、設定対象となる情報の種別はこれに限定されない。例えば、動画情報、静止画情報等、さらに情報の種類を細分化し、それぞれについて割込許可の有無が設定できるようにしてもよい。
【0083】
また、“最優先”の配信情報に係る情報を割込再生する場合にも、割込設定テーブルに設定された割込表示時間を使用してもよい。
【0084】
また、音声情報が出力されている際(即ち、出力処理中)、再生しようとする情報が文字情報又は画像情報である場合、あるいは、これとは逆に、文字情報又は画像情報について出力処理中であって、再生しようとする情報が音声情報である場合では、割込設定の状態にかかわらず、直ちに再生できる仕様にしてもよい。
【0085】
また、車載器200を装置の全部又は一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical Disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、車載器200として動作させ、あるいは、車載器200が行う工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載器が含まれるITSの全体構成を説明するための図である。
【図2】交通情報配信サーバの構成を説明するための図である。
【図3】路側無線装置の構成を説明するための図である。
【図4】車載器の構成を説明するための図である。
【図5】割込設定画面の一例を示す図である。
【図6】最優先の配信情報が割込表示された様子を示す図である。
【図7】割込再生処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
100 路側無線装置
101 無線通信部
102 通信制御部
103 記憶装置
104 制御部
105 ROM
106 RAM
107 システムバス
200 車載器
201 通信部
201a GPSモジュール
201b DSRCモジュール
202 音声処理部
203 出力部
204 操作部
205 I/O装置
206 記憶装置
207 制御部
208 ROM
209 RAM
210 システムバス
225 センサ群
300 交通情報配信サーバ
301 入力部
302 出力部
303 第1の通信制御部
304 第2の通信制御部
305 記憶装置
306 制御部
307 ROM
308 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信手段と、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルと、
該割込設定テーブルの設定内容の変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付手段と、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定手段と、
前記割込判定手段の判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生手段と、を備える、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記配信情報の優先度を取得する優先度取得手段をさらに備え、
前記割込判定手段は、前記優先度も加味して前記判定を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記割込設定テーブルには、文字情報、画像情報及び音声情報毎に割込再生の許可有無が設定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記割込設定テーブルには、割込表示する場合の表示時間も設定され、
割込再生する情報が文字情報又は画像情報の場合、前記再生手段は、設定された前記表示時間に従って、当該情報の再生を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信ステップと、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルの設定変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付ステップと、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定ステップと、
前記割込判定ステップでの判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生ステップと、を有する、
ことを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
コンピュータを、
路側無線装置から配信された配信情報を受信する受信手段、
再生対象となる情報の種類毎に割込再生の許可有無が設定された割込設定テーブルの設定変更について、ユーザからの指示入力を受け付ける割込設定受付手段、
前記割込設定テーブルの設定内容に基づいて、受信した配信情報に含まれる情報が割込再生の対象となるか否かを判定する割込判定手段、及び
前記割込判定手段の判定結果に基づいて、当該情報を再生する再生手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−98756(P2009−98756A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267274(P2007−267274)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】