説明

情報提供装置及び情報提供方法

【課題】乗員により情報提供手段の動作を認識することができる情報提供装置を提供することである。
【解決手段】車両に設置され、乗員に対し情報を提供する情報提供手段と、乗員が注意を向ける注意対象を推定する注意対象推定手段と、乗員の視認可能なエリアを特定する視認エリア特定手段と、エリア内に情報提供手段を含むか否かを判定する判定手段と、判定手段による判定結果に応じて情報提供手段の動作を制御する動作制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置及び情報提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗員の視線を検出し、当該乗員の視線方向と同じ方向に、エージェントの向きを動作させて、当該エージェントにより音声案内をする車両用エージェント装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−189394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用エージェント装置において、乗員がエージェントを視覚により認識できない方向を向いている状態であっても、エージェントが動作されるため、乗員がエージェントの動作を認識できない可能性があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、乗員により情報提供手段の動作を認識することができる情報提供装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗員の視認可能なエリア内に情報提供手段を含むか否かの判定結果に応じて、情報提供手段を制御することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗員が情報提供手段の動作を視識することができるか否かを確認した上で、情報提供手段を制御するため、乗員が情報提供手段の動作を認識し易くすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】発明の実施形態に係る情報提供装置のブロック図である。
【図2】図1の情報提供装置を搭載する車両の一部の平面図である。
【図3】図1の情報提供装置に格納されるテーブルを示す図である。
【図4】図1の情報提供装置に格納されるテーブルを示す図である。
【図5】図1の情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】発明の他の実施形態に係る情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図7】発明の他の実施形態に係る情報提供装置に格納されるテーブルを示す図である。
【図8】発明の他の実施形態に係る情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図9】発明の他の実施形態に係る情報提供装置に格納されるテーブルを示す図である。
【図10】発明の他の実施形態に係る情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図11】発明の他の実施形態に係る情報提供装置のブロック図である。
【図12】発明の他の実施形態に係る情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は本例の情報提供装置のブロック図を示し、図2は本例の情報提供装置を搭載した車両の一部の平面図を示し、図3及び図4は、本例の情報提供装置に含まれるテーブルを示す。
【0011】
本例の情報提供装置1は、例えば車両10に搭載され、図1に示すように、検出部101、注意対象推定部102、エージェント103、視認識エリア特定部104、判定部105、及び、エージェント制御部106を有する。
【0012】
検出部101は、乗員が注意を向ける注意対象を推定するために用いられる検出部分であって、車両10に搭載されるスイッチや、車両10のドア、車両10の窓、ステアリング等に相当する。また検出部101は、車両内又は車両外に設けられるセンサ、あるいは、車両内及び車両外に設けられるセンサであってもよい。車両内に設けられるセンサは例えば乗員の視線を検出するセンサであり、車外に設けられるセンサは、車両10の周囲の障害物や、信号や広告などの表示部を検出するセンサである。当該センサは、例えば超音波センサ、レーダーセンサを用いてもよく、撮像手段により画像を撮影し、撮像画像を解析することで対象を検出してもよい。すなわち、検出部101は、車両内外において、乗員が注意を向ける対象の動作や制御を検出するものである。
【0013】
注意対象推定部102は、検出部101により検出された情報に基づき、乗員が注意を向ける注意対象を推定する。注意対象推定部102は、図3に示すテーブルを有する。当該テーブルは、検出部101により検出される情報と、注意対象の位置又は方向に関する情報とを対応させたテーブルである。図3において、検出器カテゴリとは、検出器101による検出対象を車両内外の情報で分類したカテゴリである。検出情報は検出器101により検出される情報を示す。推定される注意対象は、検出器101の検出情報に対して、乗員が注意を向ける対象を予め想定した上で、当該検出情報と対応し設定される対象である。例えば、乗員の視線方向が車両10の正面に対して、右10度を向いている場合には、乗員は車両10の右前方を向いている可能性が高いため、図3に示すように、検出情報(視線方向右10度)に対して、注意対象として右前方Aが設定されている。なお、図3の右前方A及び右前方Bは、車両10の正面を基準に右方向に10度、右方向に20度を示している。また例えば、乗員がステアリングを操作し、ステアリングの操舵角が45度である場合には、車両10は右折をしており、乗員は車両10の右前方Aを向いている可能性が高い。そのため、検出情報(操舵角45度)に対して、注意対象を右前方Aが設定されている。
【0014】
そして、注意対象推定部102は、図3のテーブルを参照して、検出部101により検出された情報に対応する注意対象を特定することにより、検出部101の検出情報に基づく注意対象を推定する。以下、図3を用いて具体例を説明する。
【0015】
検出器101が、車両内に設けられたセンサにより、乗員の視線を検出する場合には、注意対象推定部102は、「乗員視線」のカテゴリを選択し、検出器101の検出情報に対応する注意対象を特定する。「乗員視線」のカテゴリにおいて、検出した視線の方向の角度は、車両10の正面を基準とした角度により表されている。
【0016】
検出器101が、車両10のステアリングの操舵角を検出するセンサにより、操舵角を検出する場合には、注意対象推定部102は、「ステアリング操作」のカテゴリを選択し、検出器101の検出情報に対応する注意対象を特定する。「ステアリング操作」のカテゴリにおいて、検出したステアリング操舵角は、車両10の正面を基準とした角度により表されている。
【0017】
検出器101が、車両10のインストメンタルパネルに設けられるナビゲーション装置やオーディオ装置のスイッチングの動作を検出するセンサにより、ナビゲーション等の動作を検出する場合には、注意対象推定部102は、「車載器SW操作」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。乗員が、ナビゲーション装置やオーディオ装置などの、インストメンタルパネルの正面部分に設けられるスイッチを操作している場合には、乗員はナビゲーション装置等のディスプレイを注視しているため、「車載器SW操作」のカテゴリにおいて、検出したスイッチ操作には、ディスプレイが注意対象として割当てられている。
【0018】
検出器101が、車両10のドアに設けられる検出センサにより、ドアの開閉動作を検出する場合には、注意対象推定部102は、「車両ドア操作」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。ドアに設けられるセンサが反応する場合には、乗員は動作されるドアを注視しているため、「車両ドア操作」のカテゴリにおいて、検出したドアの開閉動作には、動作するドアが注意対象として割当てられている。
【0019】
検出器101が、車両10の窓の操作を検出するセンサにより、窓の開閉動作を検出する場合には、注意対象推定部102は、「車両窓操作」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。当該センサが反応する場合には、乗員は動作される窓を注視しているため、「車両窓操作」のカテゴリにおいて、検出した窓の開閉動作には、動作する窓が注意対象として割当てられている。
【0020】
検出器101が、車両10のウィンカーの操作を検出するセンサにより、ウィンカーの動作を検出する場合には、注意対象推定部102は、「ウィンカー操作」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。当該センサが反応する場合には、乗員は右前方又は左前方を注視しているため、「ウィンカー操作」のカテゴリにおいて、ウィンカーの操作情報には、右前方A又は左前方Aが注意対象として割当てられている。
【0021】
検出器101が、車両10のドアミラーの操作を検出するセンサにより、ドアミラーの動作を検出する場合には、注意対象推定部102は、「ドアミラー操作」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。当該センサが反応する場合には、乗員は動作するドアミラーを注視しているため、「ドアミラー操作」のカテゴリにおいて、ドアミラーの操作の情報には、左右のドアミラーが注意対象として割当てられている。
【0022】
検出器101が、車両10の外に設けられたセンサにより、車両周囲の障害物を検出する場合には、注意対象推定部102は、「車両周囲の障害物」のカテゴリを選択し、検出情報に対応する注意対象を特定する。当該センサが反応する場合は、乗員に対して、反応した障害物に対して注意を向けるように、エージェント103を動作させた方がよい。そのため、「車両周囲の障害物」のカテゴリにおいて、障害物の方向の情報には、車両10の正面を基準とした角度が注意対象として割当てられている。
【0023】
図1に戻り、エージェント103は、乗員に対して情報を提供するものあって、例えばロボットや、平面動画又は立体動画の画像を表示装置等により二次元のキャラクタ又は三次元ホログラム等により表示したものでもよい。またエージェント103は、スピーカやマイク等を設けてもよく、乗員に対して音声にて話かけることで、乗員とコミュニケーションをとる機能を持たせてもよい。また、エージェント103は、後述するエージェント制御部106の制御に基づき、一定の動作を行う。たとえば、エージェント10が擬人化したロボットにより構成される場合には、当該ロボットの顔が向いている方向が、特定の方向を向く。そのため、エージェント103は、乗員により当該エージェント103の向きを認識できるような形態で、設計される。ここで、乗員により認識されるエージェント103の向きとは、例えば、乗員の視覚により認識されたり、聴覚により認識されたりしてもよい。エージェント103は、車両内に設けられ、例えば、図2に示すように、インストルメンタルパネル上の中央部に設けられる。エージェント103は、予め決まった場所に固定されていてもよく、乗員により設置位置を変えられてもよい。
【0024】
視認エリア特定部104は、検出部101に含まれるセンサ、又は、検出部101とは別のセンサの検出情報から、乗員が向いている方向、又は、乗員の視線方向を特定し、乗員が視認可能なエリアを特定する。ここで、乗員が視認可能なエリアとは、一般的な人の視覚特性による視野の範囲内であって、例えば、人の視線方向を基準に、上側に約60度、下側に約75度、水平方向に約200度により囲われる空間の範囲である。また当該範囲について、当該範囲の中心視に近い程、人による空間分解能が高い。視認可能なエリアは、予め設定されており、エリアの中心となる、乗員が向いている方向、又は、乗員の視線方向が定まれば、対応して定まるエリアである。また視認可能なエリアは、検出対象となる乗員の特性に応じて、設定してもよい。例えば、自分の視認可能なエリアが狭いと感じる乗員は、当該乗員の設定により、視認可能なエリアを調節してもよい。また本例は特定の個人を認識する機能を有している場合には、予め登録された乗員に応じて、視認可能なエリアを設定してもよい。
【0025】
判定部105は、視認可能なエリア内にエージェント103を含むか否かを判定する。エージェント103の設置位置が予め決まっている場合には、判定部105は、視認可能なエリア内に、当該設置位置が含まれる否かより判定する。エージェント103の位置が自由に設定できる場合には、例えばエージェント103に位置センサを設け、判定部105は、視認可能なエリア内に当該位置センサの検出位置を含むか否かにより判定する。そして、視認可能なエリア内にエージェント103を含むと判定された場合には、乗員はエージェント103の動きを視認することができる可能性が高く、一方、視認可能なエリア内にエージェント103を含まないと判定された場合には、乗員はエージェント103の動きを視認することができる可能性が低い。
【0026】
エージェント制御部106は、判定部105による判定結果に応じて、エージェント103を動作させる制御部分である。視認可能なエリア内にエージェント103を含む場合には、乗員が注意対象推定部102により推定された注意対象を向くように、エージェント制御部106は、エージェント103の向きを調整し、エージェント103を当該注意対象の方に向ける。これにより、乗員は、エージェント105の動きを視認識することができる。また乗員が、エージェント105が向いている方向に視線を向けることで、乗員は、注意対象推定部103の注意対象に、視認することができ、注意を向けることができる。
【0027】
一方、視認可能なエリア内にエージェント103を含まない場合には、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させない。そして、エージェント制御部106が、視認可能なエリア内にエージェントを含んだことを確認してから、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させて、エージェント106の向きを注意対象の方向に合わせる。すなわち、乗員がエージェント103の動きを認識することができるまでは、エージェント制御部106はエージェント103の動きの制御を行わない。これにより、乗員がエージェント103の動作を認識できない時には、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させず、乗員がエージェント103の動作を視認できる状態で、エージェント103を動作させる。
【0028】
エージェント制御部106は、図4に示すテーブルを有している。図4に示すように、注意対象とエージェント103の動作は対応づけられており、例えば、「乗員視線」のカテゴリにおいて、注意対象「右前方A」には、「右10度」が対応づけられている。すなわち、エージェント103が右10度、動作すると、エージェント103は、注意対象の方向を向くことになる。
【0029】
そして、エージェント制御部106は、図4のテーブルを参照して、注意対象推定部102により推定された注意対象に対応する、エージェント103の動作を特定し、エージェント103を動作させる。
【0030】
次に、図5を用いて、本例の情報提供装置1の制御手順を説明する。図5は、情報提供装置1の制御手順を示すフローチャートである。
【0031】
まずステップS1にて、検出部101を動作させ、車両内の情報、車両外の情報を検出する。例えば、乗員の視線方向から注意対象を推定する場合には、車両内に設けられる検出部101を用いて、乗員の視線情報を検出する。また、例えば、車両10の周囲の障害物から注意対象を推定する場合には、車両外に設けられる検出部101を用いて、障害物を検出する。
【0032】
ステップS2にて、注意対象推定部102は、検出部101の検出情報に基づき、注意対象を推定できるか否かを判定する。具体的には、注意対象推定部102は、図3に示すテーブルを参照し、当該テーブル内に、検出部101の検出情報を含むか否か判定する。テーブル内に検出部101の検出情報を含む場合には、注意対象推定部102は、当該検出情報に対応する注意対象を特定し、ステップS3に進む。一方、テーブル内に検出部101の検出情報を含まない場合には、注意対象推定部102は、注意対象を推定できないと判断し、ステップS1に戻る。
【0033】
ステップS3にて、視認エリア特定部104は、乗員の視覚情報から視認エリアを特定する。ステップS4にて、判定部105は、視認エリア内にエージェント103を含むか否かを判定する。視認エリア内にエージェント103を含む場合には、ステップS5に進み、視認エリア内にエージェント103を含まない場合には、エージェント103の動作は制御されず、ステップS3に戻る。
【0034】
ステップS5にて、エージェント制御部106は、ステップS2により特定された注意対象に基づき、図4のテーブルを参照し、エージェント103の動作方向を特定する。ステップS6にて、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させて、エージェント103の向きを、ステップS5の動作方向に向ける。
【0035】
これにより、エージェント103は注意対象の方向を向き、乗員はエージェント103が注意方向を向く時の動作を視認することができる。一方、乗員がエージェント103の動作を視認できない場合には、乗員がエージェント103の動作を視認できる状態になるまで、エージェント103は動作されない。
【0036】
上記のように、本例は、乗員が注意を向ける注意対象を推定し、乗員の視認可能なエリアを特定し、当該エリア内にエージェント103を含むか否かの判定結果に応じて、エージェント103の動作を制御する。これにより、本例は、乗員がエージェント103の動作を視識することができるか否かを確認した上で、エージェント103を制御するため、乗員がエージェント103の動作を認識し易くすることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0037】
また本例は、乗員の視認可能なエリア内にエージェント103を含まない場合には、エージェント103を動作させず、乗員の視認可能なエリア内にエージェント103を含む場合に、エージェント103を注意対象の方向に向くよう動作させる。これにより、本例は、乗員がエージェント103を視認できない状態で、エージェント103が動作してしまう可能性を抑制することができるため、乗員がエージェント103の動作を認識し易くすることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0038】
また本例は、車両10の外部情報を検出する検出器101の検出情報に基づいて、注意対象を推定する。これにより、乗員は、障害物などの車両10の外部情報を、エージェント103を通じて認識することができるため、安全性の高い運転環境を提供することができる。
【0039】
なお、本例では、視認可能なエリア内にエージェント103を含むと判断された場合に、エージェント制御部106はエージェント103を動作させるが、視認可能なエリア内にエージェント103を含むと判断されてから、所定期間の経過の後に、エージェント制御部106はエージェント103を動作させてもよい。
【0040】
なお、本例において、ステアリングの操舵角に基づいて、注意対象を推定し、エージェント103を当該注意対象の方向に向ける場合には、以下の式に基づき、エージェント103を制御してもよい。
【0041】
ステアリングと操舵角(X)とエージェント103の方向(Y)との間には、式1の関係が成立する。ただしXは0度を基準に右操舵をプラスに、左操舵をマイナスとし、Yは車両前方方向を0度とし右側をプラスに、左側をマイナスとする。
【0042】
Y=α×X (式1)
αは、所定の係数である。
【0043】
(式1)に示されるように、本例は、エージェント103の操舵角に比例してエージェント103の方向を増減するよう、エージェント103を制御する。具体的には、検出部101が操舵角を検出し、注意対象推定部102が操舵角に相当する注意対象を推定する。そして、判定部により、視認エリア内にエージェント103を含むと判定されると、エージェント制御部106は、検出された操舵角を、上記の式(1)に代入して、エージェント103の方向を導き、当該方向を向くように、エージェント103を動作させる。
【0044】
これにより、本例は、ステアリングの操舵角に基づき注意対象を推定し、視認エリア内にエージェント103を含んでいる状態で、当該操舵角に基づきエージェント103を動作させることができる。その結果として、乗員がエージェントの動きを視認し易くすることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。また本例は、図3及び図4に示すテーブルを保持しなくても、上記の制御を行うことができる。
【0045】
また本例において、式1の代わりに式2又は式3を用いてもよい。
【0046】
【数1】

【0047】
【数2】

ただし、β及びγは所定の係数である。
【0048】
なお、本例の検出部101は本発明の「検出手段」に相当し、注意対象推定部102は「注意対象推定手段」に、エージェント103は「情報提供手段」に、視認エリア特定部104は「視認エリア特定手段」に、判定部105は「判定手段」に、エージェント制御部106は「動作制御手段」に相当する。
【0049】
《第2実施形態》
図6は、発明の他の実施形態に係る情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。本例は、上述した第1実施形態に対して、情報提供装置の制御内容の一部が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、上述した記載を適宜援用する。
【0050】
ステップS21及びステップS22は、ステップS1及びステップS2の制御内容と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
ステップS23にて、エージェント制御部106は、エージェント制御部106は、ステップS22により特定された注意対象に基づき、図4のテーブルを参照し、エージェントの動作方向を特定する。ステップS24にて、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させて、エージェント103の向きを、ステップS23の動作方向に向ける。ステップS24による、エージェント103の動作制御は、視認エリア内にエージェント103を含まない場合でも、行われるため、乗員は、ステップS24の動作を視認できない場合もある。
【0052】
ステップS25にて、視認エリア特定部104は、乗員の視覚情報から視認エリアを特定する。ステップS26にて、判定部105は、視認エリア内にエージェント103を含むか否かを判定する。視認エリア内にエージェント103を含む場合には、ステップS27に進み、視認エリア内にエージェント103を含まない場合には、エージェント103の動作は制御されず、ステップS25に戻る。
【0053】
ステップS27にて、ステップS26により視認エリア内にエージェント103を含むと判断された時から、所定時間が経過したか否か判定される。所定期間が経過すると、ステップS28にて、エージェント制御部106は、エージェント103を動作させて、エージェント103を元の方向に戻す。一方、所定期間が経過するまでは、ステップS28の制御は行われず、エージェント制御部106は、ステップS24により動作されたエージェント103の状態を維持する。
【0054】
すなわち、エージェント制御部106は、視認エリア内にエージェント103を含む状態になり、所定期間の経過後に、エージェント103の位置を元の方向に戻し、視認エリア内にエージェント103を含まない状態では、エージェント103の方向を元の方向に戻さない。
【0055】
上記のように、本例はエージェント103が注意方向を向いている状態で、視認エリア内にエージェントを含むと判定した場合には、エージェント103を元の向きに戻し、視認エリア内にエージェントを含まないと判定した場合には、当該状態を維持する。これにより、エージェント103が注意対象を向いている時間を、視認エリア内にエージェント103を含むか否かにより設定することができるため、乗員がエージェント103の動作を認識し易くすることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0056】
なお、所定期間は予め設定される時間であり、例えば、乗員がエージェント103を確認してから、乗員が注意対象の方向に視線を合わせて注意対象を視認することができるまでの時間でもよい。
【0057】
《第3実施形態》
発明の他の実施形態に係る情報提供装置を、図7及び図8を用いて説明する。本例は、上述した第1実施形態に対して、情報提供装置の制御内容の一部が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、上述した記載を適宜援用する。図7は本例の情報提供装置に含まれるテーブルを示す。図8は本例の情報提供装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0058】
エージェント103は、車両10のインストメンタルパネル105上の右側(位置A)、中央(位置B)、左側(位置C)の何れかに置かれ、エージェント103の位置は乗員によって任意に変更できる。そして、検出部101は、エージェント103の位置を検出する。
【0059】
視認エリア特定部104は、注意対象推定部102により推定された注意対象の方向に基づき、視認エリアを特定する。そして、判定部105は、乗員に対する注意対象の方向と、乗員に対するエージェント103の方向とに基づいて、視認エリアにエージェント103を含むか否かを判定する。
【0060】
ここで、注意対象の方向は車両の前方をゼロ基準(上下(垂直)方向0度、左右(水平)方向0度)として乗員の位置に対する注意対象の方向を示す角度で表され、エージェント103の方向は車両の前方をゼロ基準(上下方向0度、左右方向0度)として乗員の位置に対するエージェント103の方向を示す角度で表される。
【0061】
乗員の視線方向が注意対象を向いている場合に、視認エリアは、当該視線方向を中心としたエリアに特定される。注意対象の方向を中心とすると、視認エリアに相当する角度の範囲内に、エージェント103が含まれる場合に、乗員がエージェント103を視認できる可能性が高くなる。そして、検出部101により、エージェントの103の位置は検出されている。そのため、注意対象の方向を中心として、視認エリアに相当する角度の範囲内に乗員からエージェント103に向かう方向を含む場合に、判定部105は、エージェント103が視認エリア内にあると判断する。一方、視認エリアに相当する角度の範囲内に乗員からエージェント103に向かう方向を含まない場合には、判定部105は、エージェント103が視認エリア内に含まれないと判断する。
【0062】
上記制御を行うために、本例は、図7に示すテーブルを判定部105に格納する。視認エリア内にエージェント103を含むか否かは、乗員の位置に対するエージェント103の方向と乗員に対する注意対象の方向とにより決まる。そのため、図7に示すように、注意対象の方向とエージェントの位置と判定結果とを対応させて予め設定される。図7の注意対象の方向とは、図3の推定される注意対象を角度で表記したものに相当し、注意対象推定部102により推定可能な注意対象の方向が、図7の注意対象の方向として格納されている。
【0063】
以下具体例を用いて説明する。例えば、注意対象推定部102が、「左前ドアミラー」を注意対象とし、エージェント103が位置Aに置かれている場合を想定する。ただし、左前ドアミラーの注意方向は、左50度、下30度とする。かかる場合に、視認エリア特定部104は、推定された注意対象から、注意対象の方向(左50度 下30度)を特定し、判定部105は図7のテーブルを参照して、判定結果を導く。図7において、注意対象の方向(左50度 下30度)及びエージェントの位置(A)に対応する判定結果は×(NG)となる。そのため、判定部105は、視認エリア内にエージェント103を含まない、と判定する。
【0064】
一方、例えば、注意対象推定部102が、「右前窓」を注意対象とし、エージェント103が位置Bに置かれている場合を想定する。ただし、右前窓の注意方向は、右30度、上10度とする。かかる場合に、視認エリア特定部104は、推定された注意対象から、注意対象の方向(右30度 上10度)を特定し、判定部105は図7のテーブルを参照して、判定結果を導く。図7において、注意対象の方向(右30度 上10度)及びエージェント103の位置(B)に対応する判定結果は○(OK)となる。そのため、判定部105は、視認エリア内にエージェント103を含む、と判定する。
【0065】
次に本例の情報提供装置1の制御手順を、図8を用いて説明する。
【0066】
ステップS31は第1実施形態のステップS1の内容と基本的に同じであるが、ステップS31にて、検出器101は、乗員の視線方向は検出せず、他の車内又は車外の情報を検出する。ステップS32は、第1実施形態のステップS2の内容と同じであり、説明を省略する
ステップS33にて、視認エリア特定部104は、ステップS32により推定された注意対象の方向に基づき、視認エリアを特定する。上記の通り、乗員に対する注意対象の方向は特定されているため、視認エリアは、当該注意対象の方向を基準とする、所定の角度の範囲に相当する。すなわち、本例において、視認エリア特定部104は、乗員の視線方向から視認エリアを特定しない。
【0067】
ステップS34にて、判定部105は、ステップS32により推定された注意対象の方向と、乗員に対するエージェント103の方向とに基づき、図7のテーブルを参照して、視認エリア内にエージェント103を含むか否かを判定する。
【0068】
視認エリア内にエージェント103を含む場合には、ステップS35に進み、エージェント制御部106は、エージェント103の動作を特定し、ステップS36にてエージェント103を動作させる。なお、ステップS35及びステップS36の制御内容は、第1実施形態のステップS5及びステップS6とそれぞれ同内容であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
一方、視認エリア内にエージェント103を含まない場合には、ステップS341に進み、ステップS34により判定結果が出た時から所定期間の経過後に、エージェント制御部106は、ステップS35及びステップS36の制御を行う。所定時間は、予め設定されている時間であり、また推定された注意対象に応じて設定してもよい。例えば乗員の位置から注意対象の位置までの距離が長いほど、当該所定時間を長くしてよく、また、例えば乗員の位置から注意対象の位置までの距離が所定の閾値より長い場合に、所定時間を長くしてもよい。
【0070】
すなわち、判定部105により判定されてからエージェント103の動作までの時間について、視認エリア内にエージェント103を含まない場合の時間の方が視認エリア内にエージェント103を含む場合の時間より長くなり、視認エリア内にエージェント103を含まない場合には、判定してから動作するまでの時間が遅れる。視認エリア内にエージェント103を含まない場合に、判定部105の判定結果の後に、直ぐにエージェント103を動作させると、乗員は当該エージェント103の動作を視認できない可能性高い。しかし、本例では、判定部105の判定結果から所定の期間経過後にエージェント103を動作させるため、乗員がエージェント103の動作を視認できる可能性を高くすることができる。
【0071】
上記のように、本例は、乗員の位置に対する注意対象の方向に基づいて視認エリアを特定し、乗員の位置に対するエージェント103の方向と乗員の位置に対する注意対象の方向に基づいて視認エリア内にエージェント103を含むか否かを判定する。これにより、本例は乗員の視線方向を検出しなくても、視認エリアを特定することができ、視認エリア内にエージェント103を含むか否かを判定することができる。その結果として、乗員がエージェント103の動作を認識し易くすることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0072】
また本例は、判定部105により判定されてからエージェント103を動作するまでの時間について、視認エリア内にエージェント103を含む場合の時間より、視認エリア内にエージェント103を含まない場合の時間の方が長くなるよう、設定する。これにより、乗員がエージェントの103の動作を視認できる可能性を高めることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0073】
なお、ステップS341の所定時間は、乗員に対する注意対象の方向と乗員に対するエージェントの方向との角度差に応じて設定してもよく、例えば、角度差が大きいほど、所定の時間を長くしてもよい。一般的な人の視覚特性として、中心視から遠ざかるほど、空間分解能が低下する。そして、エージェント103が視線方向から遠い位置にある程、乗員がエージェントを視認する可能性が低下する。そのため本例は、以下の式4に基づき、所定時間を設定する。
【0074】
T=a×x+b×y (式4)
Tは所定の時間、a及びbは所定の係数(ただし、aとbは等しい値としない。)、xは注意対象の方向とエージェントの方向との角度差(水平方向)、yは注意対象の方向とエージェントの方向との角度差(垂直方向)を示す。
【0075】
式4において、垂直方向と水平方向で別の値の係数としているのは、人の視野角の広さが垂直方向と水平方向とで異なるためであり、aの値よりbの値の方を大きい値にすることが好ましい。
【0076】
また本例は、図8に示す制御手順に限定されず、図5又は図6に示す制御手順により制御を行ってもよい。
【0077】
《第4実施形態》
発明の他の実施形態に係る情報提供装置を、図9を用いて説明する。本例は、上述した第1実施形態に対して、情報提供装置の制御内容の一部が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、上述した記載を適宜援用する。図9は本例の情報提供装置1に含まれるテーブルを示す。
【0078】
検出部101は、車両内又は車両外であって、複数の種類の情報を検出する。例えば、検出器101は、車両外に設けられているセンサから車両10の周囲の障害物の情報と、車両10の窓に設けられているセンサから窓の操作に関する情報とを検出する。
【0079】
注意対象推定部102は、図9に示すテーブルを有する。当該テーブルは、第1実施形態に係る図3のテーブルの内容に加えて、各検出器カテゴリに対応する優先順位を有している。優先順位は、車両周囲の障害物のカテゴリに対応する順位が最も高く、次に、ウィンカー操作のカテゴリに相当する順位、次にステアリング操作のカテゴリに相当する順位であり、最も低い順位は、乗員視線のカテゴリに相当する順位である。注意対象推定部102は、図9のテーブルを参照し、検出部101により検出された複数の種類の情報から、それぞれの注意対象を推定する。そして、複数の注意対象を推定する場合には、注意対象推定部102は、それぞれの注意対象の優先順位の中で、最も高い優先順位の注意対象を、エージェント103が向くべき方向の注意対象として決定する。これにより、注意対象推定部102は、複数の検出情報から、優先順位に基づき注意対象を推定する。
【0080】
そして、エージェント103が注意対象推定部102により優先順位に応じて推定された注意対象の方向を向くように、エージェント制御部106は、エージェントの103の動作を制御する。
【0081】
次に、図10を用いて、本例の情報提供装置1の制御手順を説明する。図10は、本例の情報提供装置1の制御手順を示すフローチャートである。
【0082】
ステップS41にて、検出部101は、センサを作動させて、複数の種類の情報を検出する。ステップS42にて、注意対象推定部102は、図9のテーブルを参照し、複数の種類の情報から、それぞれの情報に対応する注意対象を推定する。そして、少なくとも一つの注意情報が推定できる場合には、ステップS43に進み、注意対象を推定できない場合には、ステップS41に戻る。
【0083】
ステップS43にて、注意対象推定部102は、複数の注意対象が推定できるか否かを判断する。推定できる注意対象が1つの場合には、ステップS45に進む。一方、複数の注意対象が推定できる場合には、ステップS44に進む。そして、ステップS44にて、注意対象推定部102は、図9のテーブルを参照し、それぞれの注意対象に対応する優先順位の中から最も優先順位の高い注意対象を決定する。
【0084】
すなわち、ステップS43及びステップS44の制御処理により、ステップS45以降の制御対象となる注意対象が決定する。
【0085】
ステップS45〜ステップS48の制御内容は、第1実施形態の図5に示すステップS3〜ステップS6の制御内容と同じであるため、説明は省略する。
【0086】
上記のように、本例は、検出器101が複数の情報を検出する場合には、当該複数の情報に対応した優先順位に基づき注意対象を推定する。これにより、検出器101が様々な情報を検出する場合に、乗員の注意が集中しやすい対象に対してエージェント103の動作を合わせることができる。
【0087】
《第5実施形態》
発明の他の実施形態に係る情報提供装置を、図11を用いて説明する。本例は、上述した第1実施形態に対して、記憶部501を有する点が異なる。これ以外の構成で上述した第1実施形態と同じ構成は、上述した記載を適宜援用する。図11は本例の情報提供装置1のブロック図を示す。
【0088】
情報提供装置1は、記憶部501を有する、記憶部501は、例えばメモリなどの記憶装置であり、注意対象推定部102により推定された注意対象を記憶する。
【0089】
ところで、上述した通り、例えば第1の実施形態において、エージェント制御部106は、視認エリア内にエージェント103を含むか否かの判定結果に応じて、エージェント103の方向を注意対象に合わせる動作制御を行う。そして視認エリア内にエージェント103を含まない場合には、エージェント制御部106はエージェント103を動作させずに待機させる。そのため、情報提供装置1は、少なくとも動作制御を終了するまでは、エージェント103の動作制御の対象となる注意対象を保持する必要がある。そしてエージェント103の動作をせずに待機している状態で、検出器101が新たな情報を検出する場合には、注意対象推定部102が新たな推定対象を推定することが考えられる。
【0090】
本例は、推定対象に対してエージェント103を制御している時に、新たな注意対象を推定する場合には、当該新たな推定情報を記憶部501に記憶する。そして、エージェント制御部106は、新たな注意対象の前に推定された注意対象に基づく制御の後に、記憶部501の新たな注意対象に向けてエージェント103を動作させる。これにより、制御処理中又は制御待機中に、新たな注意対象を推定する場合に、当該新たな注意対象が、エージェント制御部106による制御対象から漏れることを防ぐことができる。
【0091】
なお、本例の記憶部501は本発明の「記憶手段」に相当する。
【0092】
《第6実施形態》
発明の他の実施形態に係る情報提供装置を、図11及び図12を用いて説明する。本例は、上述した第5実施形態に対して、制御内容の一部が異なる。これ以外の構成で上述した第5実施形態と同じ構成は、上述した記載を適宜援用する。図12は本例の情報提供装置1の制御手順を示すフローチャートである。
【0093】
図11に示すように、記憶部501は、注意対象推定部102により推定された注意対象を記憶する。記憶部501により記憶される注意対象の数は、予め設定されている。以下本例は、記憶部501により記憶される注意対象の数を1個とする。
【0094】
また実施形態4と同様に、注意対象には図9に示すように、優先順位が付与されている。そして、記憶部501には、優先順位の高い注意対象が優先して記憶される。
【0095】
エージェント制御部106は、エージェント103を制御している最中に、注意対象推定部102により注意対象が推定された場合に、記憶部501の記憶状態及び注意対象の優先順位に応じて、推定された注意対象を記憶する。記憶部501に注意対象が記憶されていない場合には、エージェン制御部106は注意対象を記憶部501に記憶する。一方、記憶部501に既に注意対象が記憶されている場合には、エージェント制御部は注意対象の優先順位に応じて、記憶部501に注意対象を記憶する。
【0096】
記憶部501に既に注意対象が記憶されている状態で、新たな注意対象が推定された場合に、エージェント制御部106は、図9のテーブルを参照し、
記憶された注意対象の優先順位と、新たに推定された注意対象の優先順位を比較する。新たに推定された注意対象の方が高い場合には、記憶部501に記憶されている注意対象の情報を更新し、新たに推定された注意対象を記憶部501に記憶する。一方、既に記憶されていた注意対象の優先順位の方が高い場合には、新たに推定された注意対象を破棄する。
【0097】
次に、図12を用いて、本例の情報提供装置1の制御手順を説明する。本例では、図5に示す制御手順に対して、ステップS2とステップS3との間に、図12に示す制御手順を加えている。他のステップに関しては、図5の制御手順と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
ステップS2により、注意対象推定部102が注意対象を推定すると、ステップS201にて、エージェント制御部106は、エージェント103を制御している否かを判定する。エージェント103の制御中とは、図5のステップS3〜ステップS6に示す制御を行っている場合に相当する。そして、エージェント103を制御していない場合には、図5のステップS3に進み、エージェント103を制御している場合には、ステップS202に進む。
【0099】
ステップS202にて、エージェント制御部106は記憶部501に、既に注意対象が記憶されているか否かを判定する。ここで、ステップS202にて記憶部に記憶されている注意対象とは、現在、制御対象となっている注意対象とは異なり、現在の制御が終了した後であり、次の制御の際に制御対象の候補となる注意対象である。そして、注意対象が記憶部501に記憶されていない場合は、記憶部501に注意対象を記憶する(ステップS203)。注意対象が記憶部501に記憶されていない場合は、次の制御の候補になっている注意対象が記憶部501に記憶されていない状態であり、新たな注意対象を記憶部501に記憶する。一方、注意対象が記憶部501に記憶されている場合には、ステップS204に進む。
【0100】
ステップS204にて、エージェント制御部106は、記憶部501に既に記憶さている注意対象の優先順位と、新たに推定された注意対象の優先順位とを比較する。例えば、図9を参照し、記憶部501に記憶されている注意対象が乗員の視線に関する情報から推定された注意対象であり、新たな推定された注意対象が車両窓操作に関する情報から推定された注意対象である場合には、記憶部501に記憶されている注意対象の優先順位(優先順位:8)の方が、新たに推定された注意対象の優先順位(優先順位:5)より低くなる。また記憶部501に記憶されている注意対象がウィンカー操作に関する情報から推定された注意対象であり、新たな推定された注意対象が車両ドア操作に関する情報から推定された注意対象である場合には、記憶部501に記憶されている注意対象の優先順位(優先順位:2)の方が、新たに推定された注意対象の優先順位(優先順位:4)より高くなる。
【0101】
次に、記憶部501に既に記憶さている注意対象の優先順位の方が低い場合には、ステップS205にて、エージェント制御部106は、記憶部205に記憶されている注意対象を削除し、新たな注意対象を記憶部205に記憶することにより、記憶部205の注意対象を更新させ、ステップS3に進む。
【0102】
一方、記憶部501に既に記憶さている注意対象の優先順位の方が高い場合には、ステップS206にて、エージェント制御部106は、新たに推定された注意対象を破棄し、記憶部205の注意対象を更新させることなく、ステップ3へ進む。
【0103】
そして、ステップS3〜ステップS6の制御処理が行われる。第1の実施形態では、ステップS6の制御処理が終了すると、全体の処理を終了させているが、本例では、ステップS6の後に、エージェント制御部106は記憶部501に注意対象が記憶されているか否かを判定する。そして、記憶部501に注意対象が記憶されている場合には、エージェント制御部106は記憶部501の注意対象を用いて、ステップS3〜ステップS6の処理を繰り返す。これにより、エージェント制御部106は記憶部501に記憶されている注意対象に向けてエージェント103を動作させる。一方、記憶部501に注意対象が記憶されていない場合には、エージェント制御部106は全体の処理を終了する。
【0104】
上記のように、本例はエージェント制御部106によりエージェント103を制御している時に、注意対象推定部102により新たな注意対象を推定する場合には、当該新たな注意対象を記憶部501に記憶し、エージェント103の制御の後に、前記注意対象に向けて前記エージェント103を動作させる。これにより、制御処理中に、新たな注意対象を推定する場合に、当該新たな注意対象が、エージェント制御部106による制御対象から漏れることを防ぐことができる。
【0105】
また本例は、注意対象推定部102により新たな注意対象を推定する場合には、記憶部501に記憶されている注意対象の優先順位と当該新たな注意対象の優先順位とを比較し、比較結果に応じて、記憶部501の注意対象を更新する。これにより、エージェント103の制御中に、制御対象の注意対象以外の、複数の注意対象が推定された場合に、当該複数の注意対象を処理することができる。また本例は、記憶部501の容量に限りがある状況において、注意対象の優先順位に応じて制御処理を行うため、乗員に対してエージェント103を適切に動作させることができ、乗員はエージェント103に対して親近感を感じることができる。
【0106】
なお、本例において、記憶部501は1つの注意対象を記憶するが、複数の注意対象を記憶してもよい。記憶部501が複数の注意対象を記憶する場合には、記憶された複数の注意対象の優先順位と、新たに推定された注意対象の優先順位とを比較し、比較結果に応じて、適宜、記憶部501を更新させればよい。
【符号の説明】
【0107】
1…情報提供装置
10…車両
101…検出部
102…注意推定部
103…エージェント
104…視認エリア特定部
105…判定部
106…エージェント制御部
501…記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置され、乗員に対し情報を提供する情報提供手段と、
前記乗員が注意を向ける注意対象を推定する注意対象推定手段と、
乗員の視認可能なエリアを特定する視認エリア特定手段と、
前記エリア内に前記情報提供手段を含むか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記情報提供手段の動作を制御する動作制御手段とを備える
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、
前記判定手段が前記エリア内に前記情報提供手段を含まないと判定した場合には、前記情報提供手段を動作させず、
前記判定手段が前記エリア内に前記情報提供手段を含むと判定した場合には、前記情報提供手段を前記注意対象に向けて動作させる
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記動作制御手段は、
前記情報提供手段が前記注意対象を向いている状態で、
前記判定手段が前記エリア内に前記情報提供手段を含むと判定した場合には、所定時間の経過後に前記情報提供手段を元の向きに戻し、
前記判定手段が前記エリア内に前記情報提供手段を含まないと判定した場合には、前記状態を維持する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記乗員の動作情報、又は、前記車両の外部情報を検出する検出手段をさらに備え、
前記注意対象推定手段は、前記検出手段により検出された情報に基づいて、前記注意対象を推定する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記注意対象推定手段は、
前記検出手段により検出される情報と前記注意対象とを対応づけるテーブルを有し、
前記テーブルを参照して、前記検出手段により検出される情報に基づく前記注意対象を推定する
ことを特徴とする請求項4記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記車両のステアリングの操舵角を検出し、
前記注意対象推定手段は、前記操舵角に基づき前記注意対象を推定する
ことを特徴とする請求項4又は5記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記乗員の視線方向を検出し、
前記注意対象推定手段は、前記視線方向に基づき前記注意対象を推定する
ことを特徴とする請求項4又は5記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記視認エリア特定手段は、前記乗員の位置に対する前記注意対象の方向に基づいて前記エリアを特定し、
前記判定手段は、前記乗員の位置に対する前記情報提供手段の方向と前記注意対象の方向とに基づいて、前記エリア内に前記情報提供手段を含むか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記注意対象推定手段は、
前記検出手段により検出される複数の情報に優先順位を付けて前記テーブルに格納し、
前記検出手段が前記複数の情報を検出する場合には、前記優先順位に基づき前記注意対象を推定する
ことを特徴とする請求項5記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記注意対象を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記情報提供手段を制御している時に、前記注意対象推定手段により新たな前記注意対象を推定する場合には、前記新たな注意対象を前記記憶手段に記憶し、前記情報提供手段の制御の後に、前記新たな注意対象に向けて前記情報提供手段を動作させる
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記注意対象を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記動作制御手段は、
前記注意対象推定手段により新たな前記注意対象を推定する場合には、前記記憶手段に記憶されている注意対象の前記優先順位と、前記新たな注意対象の前記優先順位とを比較し、比較結果に応じて前記記憶手段に記憶されている注意対象を更新し、更新された前記注意対象に向けて前記情報提供手段を動作させる
ことを特徴とする請求項9記載の情報提供装置。
【請求項12】
車両に設置される情報提供手段により、乗員に対し情報を提供する工程と、
前記乗員が注意を向ける注意対象を推定する工程と
乗員の視認可能なエリアを特定する工程と、
前記エリア内に前記情報提供手段を含むか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定結果に応じて前記情報提供手段の動作を制御する工程とを含む
ことを特徴とする情報提供方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−258108(P2011−258108A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133876(P2010−133876)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】