説明

情報照会システム、情報管理サーバ、情報照会方法及び情報照会プログラム

【課題】
一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた車両情報などの所定の情報を即時に照会できるようにする。
【解決手段】
利用者が発した音声により音声入力された音声情報を無線送信する利用者端末2と、音声情報を受信して音声認識する音声認識装置3と、音声認識された音声情報により所定の情報を検索するデータベース4とを備え、利用者端末2によりデータベース4における検索結果を無線受信して、表検索結果を表示手段2cに表示して利用者に知らせるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた所定の情報を即時に照会できる情報照会システム、情報管理サーバ、情報照会方法及び情報照会プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、駐車違反車両の取り締まりは、巡回中の警察官が違反車両を見つけた際に、その時刻などをチョークで路上に記録し、一定時間以上違法に駐車している違反車両を取り締まることにより行われている。この際、巡回中の警察官は、違反車両の違反履歴や、所有者に関する情報などを即時に知ることができれば、悪質な常習犯かどうかなどに応じて、より適切な対応をとることもできる。また、盗難車と思われる車両や、不正改造車などを見つけた場合にも、その車両に関する情報を即時に取得できれば、より適切に対処することができる。
【0003】
このような状況下、近年のIT技術の発達により、駐車違反の取り締まりや、車両情報の管理などにIT技術を利用することが提案されている。例えば、特許文献1は、車名や車台番号等の車両固有の識別情報を記憶させたICタグを車両に搭載し、ICタグから読み出した識別情報を用いて駐車違反車両を検出する技術を開示する。また、特許文献1では、車両固有の識別情報に対応付けられた自動車車検証情報を、本部センターシステムで検索し、その結果を利用者の端末で確認できるようにすることで、ナンバープレートの不正改ざんや、車検の期限切れを容易に発見できるとされている。
【0004】
特許文献2もICタグを利用した車両情報などの照会手段を開示する。特許文献2は、ICタグから読み取った登録情報をデータベースサーバに送信し、盗難届けの有無や、所有者情報を照会するものである。
【0005】
また、特許文献3に記載されているように、既存の公衆携帯電話網を利用して、車両側から情報を発信することも知られている。特許文献3は、車両事故が発生すると、その事故情報をセンターに通報、記録することで、その後の事故歴の照会を可能とするものである。
【0006】
一方、ICタグなどを車両に搭載しないで車両の管理をしようとするものとして、特許文献4が挙げられる。特許文献4は、自動車などの車両番号を音声入力によりデータ化して登録することで、車両の管理に役立てようとするものである。特許文献4に開示された音声認識装置は、駐車場での車両管理や、迷惑駐車対策などに利用できるとしている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−283376号公報(第4−8頁、図1)
【特許文献2】特開2003−170872号公報(第5−11頁、図1)
【特許文献3】特開2001−109974号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献4】特開2000−250586号公報(第3−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されている技術内容は、全ての車両にICタグを搭載しなければ実現することができない。しかも、駐車違反の取り締まりなどに利用するには、ICタグの車両への搭載を義務付けるなどの法整備も考慮に入れなければならない。すなわち、ICタグが車両の所有者によって取り外されてしまうと、取締りには何の役にも立たなくなってしまう。このように、特許文献1の技術内容を実現するには種々の問題が考えられ、現実的なものではない。また、ICタグを利用するものであるから、端末には当然にICタグの読取手段が必要となる。その上、特許文献1では、駐車違反かどうかの判断は、利用者の端末で行うことを前提としている。このため、特許文献1に開示された技術を実施するには、専用の端末を利用者の人数に応じて新たに用意しなければならない。
【0009】
特許文献2に記載の技術も、ICタグを全ての車両に搭載しなければならず、特許文献1と同様の問題が考えられる。また、特許文献2では、ネットワーク接続機能を備えた携帯電話機を端末に利用できるとしているが(段落番号[0118])、ICタグからの情報を読み取る手段が当然に必要となり、一般の携帯電話機をそのまま利用することができないのも特許文献1と同様である。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術も、センターへの通報には、通信装置を備えた専用の車載機を必要とするため、一般の携帯電話機はそのまま利用できず、車載機が搭載されていない車両については全く用をなさないのは、特許文献1や特許文献2と同様である。
【0011】
また、特許文献4は、データ化された情報を、具体的にどのように利用するかまでは開示していない。センター照合部との間で無線通信可能とし、センター照合部に蓄積されたデータを照合して、照合結果を返送すると記載されているに過ぎない(段落番号[0024])。してみれば、車両情報を管理するシステム全体としてみると、引用文献4は、情報入力手段の一つを開示しているに過ぎず、その入力された情報をどのような手段で、どのように利用するかについての検討は一切なされていない。極言すると、特許文献4は、手書による記録を音声入力に置き換えるための音声認識装置について開示するに過ぎないといえる。
【0012】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた車両情報などの所定の情報を即時に照会できる情報照会システム、情報管理サーバ、情報照会方法及び情報照会プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた、本発明に係る情報照会システムは、利用者が発した音声により音声入力された音声情報を無線送信する利用者端末と、前記音声情報を受信して音声認識する音声認識装置と、音声認識された前記音声情報により所定の情報を検索するデータベースとを備えた情報照会システムであって、前記利用者端末は、前記音声情報を音声により入力する手段と、音声入力された前記音声情報を無線送信するとともに、前記データベースにおける検索結果を無線受信する無線通信手段と、前記検索結果を利用者に知らせる手段とを備え、前記音声認識装置は、前記利用者端末から送信された前記音声情報を受信する手段と、前記音声情報を解析して前記音声情報を音声認識する手段と、前記音声情報を音声認識した音声データを前記データベースに送信する手段とを備え、前記データベースは、情報の記憶、書き換えがなされる記憶手段と、前記音声認識装置から送信された前記音声データにより前記記憶手段に記憶された情報を検索する手段と、検索結果を前記利用者端末に送信する手段とを備える構成としてある。
【0014】
これにより、一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた車両情報などの所定の情報を即時に照会できる情報照会システムとすることができる。
【0015】
本発明に係る情報検索システムは、前記利用者端末に携帯電話機を用い、公衆携帯電話網を介して前記音声情報の無線送信と前記検索結果の無線受信とが行われるようにすることができる。これにより、独自の管理サーバを構築するだけで、利用者の発した音声により情報を即時に照会できる情報照会システムとすることができ、専用の利用者端末を新たに用意する必要はない。また、通信手段も既存のインフラ(公衆携帯電話網)を利用するだけでよい。
【0016】
また、前記音声情報を自動車又は自動二輪車の車両番号、又は自転車の防犯登録番号を読み上げた音声とし、前記データベースの記憶手段に記憶された情報を前記自動車、自動二輪車又は自転車についての車両情報とすることや、前記車両情報に、前記自動車、自動二輪車又は自転車の所有者の違反経歴を含ませることで、駐車違反の取り締まりや、盗難車、不正改造車などに、適切に対処できるようにすることができる。
【0017】
一方、本発明に係る情報管理サーバは、利用者が発した音声により音声入力された音声情報を受信して音声認識する音声認識装置と、音声認識された前記音声情報により所定の情報を検索するデータベースとを備えた情報管理サーバであって、前記音声認識装置は、前記音声情報を受信する手段と、前記音声情報を解析して前記音声情報を音声認識する手段と、前記音声情報を音声認識した音声データを前記データベースに送信する手段とを備え、前記データベースは、情報の記憶、書き換えがなされる記憶手段と、前記音声認識装置から送信された前記音声データにより前記記憶手段に記憶された情報を検索する手段と、検索結果を送信する手段とを備える構成としている。
【0018】
本発明に係る情報管理サーバには、一般に用いられている携帯電話機を用い、また、通信手段も既存のインフラ(公衆携帯電話網)を利用するだけでアクセスできる。これにより、一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた所定の情報を即時に照会することができる。
【0019】
本発明に係る情報管理サーバにあっては、より高度のセキュリティ性を確保するために、前記音声認識装置により、前記音声情報の主が情報を照会することが許された者であるかどうかを判断するセキュリティ手段を備えることができる。
【0020】
また、本発明に係る情報照会方法は、利用者が発した音声により、データベースに記憶された情報を照会する情報照会方法であって、利用者が音声を発して音声情報を利用者端末に音声入力するステップ、前記利用者端末が前記音声情報を音声認識装置に無線送信するステップ、前記音声認識装置が前記利用者端末から送信された前記音声情報を受信するステップ、前記音声認識装置における音声認識手段により、前記音声情報を解析して音声認識するステップ、前記音声認識装置における送信手段により、前記音声情報を音声認識した音声データをデータベースに送信するステップ、前記データベースにおける検索手段に前記音声データを入力するステップ、前記データベースにおける記憶手段に記憶された情報を、前記検索手段が前記音声データにより検索するステップ、前記検索手段が検索結果を出力するステップ、前記データベースにおける送信手段により、前記検索結果を前記利用者端末に送信するステップ、前記利用者端末が前記検索結果を無線受信するステップ、前記利用者端末が前記検索結果を利用者に知らせるステップからなる構成とする。これにより、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた所定の情報を即時に照会することができる。
【0021】
また、本発明に係る情報照会プログラムは、利用者が発した音声により音声入力された音声情報を音声認識装置で音声認識し、音声認識された前記音声情報によりデータベースに記憶された情報を照会するためにコンピュータに、利用者端末から送信された前記音声情報を前記音声認識装置が受信するステップ、前記音声認識装置における音声認識手段により、前記音声情報を解析して音声認識するステップ、前記音声認識装置における送信手段により、前記音声情報を音声認識した音声データをデータベースに送信するステップ、前記データベースにおける検索手段に前記音声データを入力するステップ、前記データベースにおける記憶手段に記憶された情報を前記検索手段が前記音声データにより検索するステップ、前記データベースにおける前記検索手段が検索結果を出力するステップ、前記データベースが、前記検索結果を送信するステップを実行させる構成としてある。
【0022】
本発明に係る情報照会プログラムは、主として本発明に係る情報管理サーバを機能させるためのものである。これにより、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた所定の情報を即時に照会することができるように、当該情報管理サーバを機能させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた所定の情報を即時に照会できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る情報照会システムの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態は、自動車の車両番号から車両情報を照会する情報照会システムに適用される。図示する情報照会システム1は、利用者端末としての携帯電話機2と、音声認識装置3、車両情報データベース4、セキュリティ手段7及び通信手段8を備える。情報管理サーバ5は、音声認識装置3、車両情報データベース4、セキュリティ手段7及び通信手段8から構築される。
【0025】
ここで、本発明に係る情報照会システムは、プログラム(ソフトウェア)の命令により情報管理サーバ5を構成するコンピュータで実行される処理、手段、機能により実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理や機能、例えば、携帯電話機2から送信された音声情報の受信、音声認識装置3における音声認識、車両情報データベース4における検索、携帯電話機2への検索結果の送信、セキュリティ手段7によるセキュリティチェックなどを行わせ、情報管理サーバ5による情報の照会が可能となるように、情報管理サーバ5を機能させるためのものである。このように、本発明に係る情報照会システムにおける各処理や手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現されるものである。なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0026】
本実施形態において、利用者端末は、音声入力手段2a、無線通信手段2b及び表示手段2cを備えていれば、その他の具体的構成は特に限定されない。利用者端末として携帯電話機2を用いれば、これらの手段2a,2b,2cには、携帯電話機2に備わる一般的な機能をそのまま利用することができる。
【0027】
具体的には、携帯電話機2の機能を次のように利用する。音声入力手段2aは、利用者が発した音声を音声情報として入力するためのものである。このような音声入力手段2aには、携帯電話機2に搭載されているマイクがそのまま利用できる。無線通信手段2bは、音声入力された音声情報を無線で送信したり、車両情報データベース4における検索結果を無線で受信したりするためのものである。このような無線通信手段2bには、携帯電話機2の通信機能がそのまま利用できる。表示手段2cは、車両情報データベース4から送られてきた検索結果を表示して、当該検索結果を利用者に知らせるためのものである。このような表示手段2cには、携帯電話機2に搭載されている液晶ディスプレイなどの表示装置がそのまま利用できる。後述するように、検索結果は音声で利用者に知らせるようにすることもできる。この場合には、携帯電話2に搭載されているスピーカーをそのまま利用すればよい。
【0028】
このように、本実施形態では、一般に使用されている通常の携帯電話機2をそのまま利用者端末として用いることができる。また、利用者端末として携帯電話機2を用いれば、情報管理サーバ5との通信手段として、公衆携帯電話網6をそのまま利用できる。したがって、本実施形態は、独自の情報管理サーバ5を構築するだけで実施でき、専用の利用者端末を新たに用意する必要はない。また、利用者端末(携帯電話2)と情報管理サーバ5との通信も既存のインフラ(公衆携帯電話網6)を利用するだけでよい。
【0029】
音声認識装置3は、携帯電話機2から送信された音声情報を受信する受信手段3aを備える。受信手段3aは、公衆携帯電話網6を介して携帯電話機2と直に通信できるように構成してもよいが、本実施形態では、公衆携帯電話網6と通信する通信手段8を情報管理サーバ5に設け、通信手段8を介在させて音声情報を受信するようにしている。また、音声認識装置3は、携帯電話機2から送信された音声情報を解析して音声認識する音声認識手段3bを備える。音声認識手段3では、入力された音声情報を解析して辞書データとのマッチングを行い、最も適した言葉を認識結果として出力する処理がなされる。また、後述するセキュリティ手段7によるセキュリティチェックのために、例えば、声紋を解析するなどして、音声情報の主が誰であるかを判断する処理がなされる。
【0030】
音声認識の結果、音声情報は、例えば、当該音声情報に含まれる言葉が文字列として認識される。音声認識された音声情報は、後述する車両情報データベース4での検索を実行する際に検索キーとして利用できるように、コード化又はテキスト化される。コード化又はテキスト化された音声情報は、音声データとして車両情報データベース4に送信される。車両情報データベース4への音声データの送信は、送信手段3cにより行われる。
【0031】
車両情報データベース4は、車両情報を記憶させておく記憶手段4aを備える。記憶手段4aでは、逐次入力される車両情報が蓄積され、入力された車両情報の書き換えが必要に応じてなされる。また、必要に応じて、携帯電話機2からの音声入力により、車両情報を追記できるようにしてもよい。車両情報データベース4は、検索手段4bを備える。検索手段4bには、音声認識装置3から送信された音声データが入力される。検索手段4bは、音声データが入力されると、当該音声データにより記憶手段4aに記憶された車両情報を検索する。
【0032】
車両情報としては、例えば、自動車車検証の内容、盗難届けの有無、照会履歴、所有者に関する情報などを記憶させておく。所有者に関する情報には、自動車車検証に記載されている事項以外に違反経歴その他の個人情報を含む。これらの情報は、車両番号(ナンバープレートの番号)と関連づけられ、当該車両番号を検索キーとして検索できるように構築される。車両情報をこのように構築すれば、次の手順にしたがい、車両情報データベース4における検索が実行可能となる。すなわち、利用者が検索対象とする自動車の車両番号を読み上げて、音声情報として携帯電話2に音声入力する。音声認識装置3が当該音声情報を認識して音声データに変換(コード化又はテキスト化)する。当該音声データが検索手段4bに入力されると、記憶手段4aに記憶された車両情報のなかから該当する車両情報が検索結果として出力される。
【0033】
車両情報データベース4は、検索手段4bにより検索された結果を、携帯電話機2に送信する送信手段4cを備える。送信手段4cは、公衆携帯電話網6を介して携帯電話機2と直に通信できるように構成してもよいが、本実施形態では、前述の通信手段8を介在させて携帯電話機2に検索結果を送信するようにしている。検索結果の携帯電話機2への送信は、音声(合成音声)によってもよいが、電子メールなどを利用して、所定のフォーマットにより文字や図表などで送信することもできる。当該フォーマットは、複数用意しておくこともでき、利用者がそのうちの一つを選択するようにしておくこともできる。
【0034】
検索結果が音声で送信される場合、利用者は携帯電話機2のスピーカーから発せられる音声により検索結果を確認できる。また、検索結果を電子メールなどで送信する場合には、利用者は携帯電話機2の表示装置(表示手段2c)に表示された文字や図表などにより検索結果を確認できる。
【0035】
電子メールで検索結果を送信する場合、情報の漏洩防止の観点から、検索結果は暗号処理されるのが好ましい。暗号処理には、例えば、公開鍵暗号方式などの適当な暗号方式を採用することができる。具体的には、検索結果を送信する際に秘密鍵により暗号化し、暗号化された検索結果を復号する公開鍵を携帯電話機2に設定しておくなどすればよい。暗号化処理は、車両情報データベース4で行うようにしてもよいが、別途、暗号化処理手段を情報管理サーバ5に設けることもできる。
【0036】
また、本実施形態では、携帯電話機2の不正使用や、情報管理サーバ5への不正アクセスを防止するためのセキュリティ手段7を備える。セキュリティ手段7としては、暗証番号やパスワードなどが入力されなければ、照会を受け付けないようにするのが最も簡易である。より高度のセキュリティ性を確保するには、音声認識装置3を利用して、例えば次のようなセキュリティ手段7とすることができる。
【0037】
携帯電話機2の発信者番号通知機能を利用するなどして、アクセス中の携帯電話機2をセキュリティ手段7が特定できるようにしておく。一方、利用者は情報管理サーバ5にアクセスし、自己の音声を入力する。当該音声は、携帯電話機2から送信された音声情報について先に説明したのと同様に、音声認識装置3における音声認識手段3bで音声認識される。入力する音声は、例えば、1又は2以上の特定の単語を音声で発するなどして利用者の声紋を解析し、照会の際の音声情報の主が当該利用者であるかどうかの判断ができるものとする。
【0038】
これによりセキュリティ手段7は、当該携帯電話機2からの照会が許される者を登録する。照会が許される者は複数登録できるようにしてもよいが、セキュリティの観点から一人に限定するのが好ましい。以後、セキュリティ手段7は、照会の際の音声情報の主が、当該携帯電話2からの照会が許可された者であるか否かを音声認識手段3bにより判断する。許可された者以外からの照会があった場合、セキュリティ手段7は照会を受け付けない。この際、セキュリティ手段7は、当該携帯電話機2の使用を不正使用とみなして、不正使用の履歴を記録するとともに、所定の手続きをとらなければ、当該携帯電話機2からの照会を受け付けないようにすることもできる。
【0039】
また、このように携帯電話機2を通じて照会が許される者を登録するのではなく、セキュリティ手段7には、ある一つの携帯電話機2と、この携帯電話機2を使って照会することが許される者とを事前に登録しておくこともできる。この場合、セキュリティ手段7は、音声認識手段3bにおける判断の結果、照会の際の音声情報の主が、当該携帯電話2による照会が許された者として事前に登録された者でなければ照会を受け付けない。
【0040】
さらに、上述したものに加え、又は上述したものに代えて、情報管理サーバ5にアクセス可能な携帯電話機2や、情報を照会することができる者を、セキュリティ手段7に事前に登録しておき、登録された携帯電話機2以外によるアクセスや、登録された者以外からの照会を受け付けないようにしておくこともできる。
【0041】
なお、本実施形態では、セキュリティ手段7を通信手段8と音声認識装置3との間に位置させた例を挙げて説明するが、セキュリティ手段7を設ける位置は、セキュリティ手段7に与えるセキュリティ機能、例えば、認証・利用制限、データ改ざん防止、デ−タ漏機防止、不正アクセス防止、暗号化などのセキュリティ機能をどのように備えるかのセキュリティポリシ−によって適宜選択できる。さらに、セキュリティ手段7は、与えられたセキュリティ機能に応じてセキュリティを講じる対象を異ならせ、例えば、音声認識装置3、車両情報データベース4のそれぞれに固有のセキュリティ手段7を設けるなど、複数のセキュリティ手段7を設けることもできる。また、例えば、他の代替手段によって、携帯電話機2の不正使用や、情報管理サーバ5への不正アクセスが防止できる場合などには、セキュリティ手段7は、必要に応じて省略することもできる。
【0042】
次に、前述した情報照会システムを駐車違反の取り締まりに適用する例を挙げて説明する。なお、図2は、本発明に係る情報照会方法の一例における処理の流れを概略的に示す流れ図である。
【0043】
利用者、すなわち、巡回中の警察官は、違反車両を見つけたら、携帯電話機2により車両情報を照会する。具体的には、次の手順による。利用者は、公衆携帯電話網6を介して情報管理サーバ5にアクセスする。情報管理サーバ5へのアクセスは、通常の通話と同様に、情報管理サーバ5に割り当てられた電話番号を発信するだけでよい。情報管理サーバ5は、必要に応じてアクセス確認の信号を携帯電話機2に送る。このとき、情報管理サーバ5からは、照会のガイダンスメッセージを発するようにしてもよい。情報管理サーバ5へのアクセスが確認されたことにより、照会の準備は完了する。次に、利用者は違反車両の車両番号を読み上げる(S1)。利用者が読み上げた音声は、音声入力手段2aにより音声情報として入力される(S2)。入力された音声情報は、無線通信手段2bにより公衆携帯電話網6を介して情報管理サーバ5に送信される(S3)。
【0044】
この際、利用者から照会のあった日時を、車両情報データベース4の記憶手段4aに記憶しておくのが好ましい。当該日時は、車両情報の一部とする。また、当該日時により、照会から一定時間が経過した後にメッセージを送信するなどして、照会した違反車両を巡回するよう利用者を促すこともできる。また、携帯電話機2がGPS機能を備えていれば、その位置情報を車両情報の一部として、車両情報データベース4に記憶させておくこともできる。車両情報データベース4を、携帯電話機2からの音声入力により車両情報の追記ができるようにしておけば、位置情報その他の情報は音声入力で追記することもできる。
【0045】
情報管理サーバ5は、携帯電話機2から送信された音声情報を通信手段8により受信する(S4)。通信手段8が受信した音声情報は、セキュリティ手段7を経て音声認識装置3に送信される(S5)。音声認識手段3に送信された音声情報は、受信手段3aを経て音声認識手段3bに入力される(S6)。音声認識手段3bは、入力された音声情報を解析して、セキュリティチェックのための音声認識をする(S7)。音声認識手段3bは、セキュリティ手段7に登録されたデータを参照するなどして(S8)、当該音声情報の主が情報を照会することが許された者であるかどうかを判断する(S9)。
【0046】
音声情報の主が照会を許された者でない場合、音声認識手段3bは、その旨をセキュリティ手段7に通知する(S10)。これにより、セキュリティ手段7はセキュリティチェックを行い(S11)、照会を許可しない(NG)。この際、セキュリティ手段7は、音声認識にエラーが発生したとして、利用者に再度の音声入力を促すメッセージを送信するようにしてもよい。エラーメッセージは、例えば、表示手段2cに表示すればよい(S12)。再度の音声入力によっても照会が許可されない場合、セキュリティ手段7は、不正アクセスとみなして履歴を記録するとともに、所定の手続きをとらなければ、アクセス中の携帯電話機2からの照会を受け付けないようにすることもできる。なお、音声入力のリトライ回数は任意に設定できる。また、音声認識手段3bとセキュリティ手段7との間でなされる情報の受け渡しは、受信手段3a及び送信手段3cを介して行われる。
【0047】
一方、音声情報の主が照会を許された者である場合、音声認識手段3bは、その旨をセキュリティ手段7に通知する(S10)。これにより、セキュリティ手段7はセキュリティチェックを行い(S11)、照会を許可する(OK)。照会の許可が得られると、音声認識手段3bは、音声情報にどのような言葉が含まれるかを判断する。音声情報に含まれる言葉は文字列として認識され、音声データに変換(コード化又はテキスト化)される(S13)。変換された当該音声データは、車両情報データベース4での検索を実行する際の検索キーとなる。音声データは、送信手段3cにより車両情報データベース4に送信される(S14)。
【0048】
車両情報データベース4では、検索手段4bに音声データが入力される(S15)。検索手段4bは、音声データが入力されると、記憶手段4aに記憶された車両情報を検索し(S16)、該当する車両情報を検索結果として出力する(S17)。検索手段4bによって検索された結果は、送信手段4cにより通信手段8に送信される(S18)。通信手段8は、公衆携帯電話網6を介して、検索結果を携帯電話2に送信する(S19)。検索結果は、無線通信手段2bで受信される(S20)。検索結果の携帯電話機2への送信は、音声(合成音声)によってもよいが、電子メールなどを利用して、所定のフォーマットにより文字や図表などで送信することもできる。当該フォーマットは、複数用意しておくこともでき、照会の際に利用者がそのうちの一つを選択するようにしておくこともできる。検索結果が電子メールで送信されると、その内容が表示手段2cに表示される(S21)。利用者は、携帯電話機2の表示手段2cに表示された文字や図表などにより検索結果を確認できる(S22)。
【0049】
このように、巡回中の警察官は、違反車両を見つけた際に、車両番号を音声で読み上げるだけで、当該車両の車両情報を即時に取得することができる。よって、違反車両の違反履歴や、所有者に関する情報などを即時に知ることができ、悪質な常習犯かどうかなどに応じて、より適切な対応をとることができる。
【0050】
また、上述した例は、駐車違反の取り締まりに適用するものであるが、巡回中の警察官が、盗難車と思われる車両や、不正改造車などを見つけた場合、さらには、暴走族などの悪質運転者に対する取締りにも適用でき、当該車両に関する情報や、所有者に関する情報を即時に取得することで、より適切な対処が可能となる。
【0051】
さらに、交通事故発生時などにおいて、事故車両に関する情報や、所有者に関する情報が何らかの理由で入手できず、調書作成などに時間を要して速やかな事故処理ができないと、交通渋滞などを引き起こす原因にもなりかねない。このような場合であっても、事故車両に関する情報や、所有者に関する情報を即時に取得して事故処理を速やかに進めることができる。
【0052】
また、情報管理サーバ5には、複数の利用者が各々に割り当てられた携帯電話機2によりアクセスして、各人が車両情報を照会することができる。したがって、複数の警察官により情報を共有することができ、取り締まりに有効に活用されることが期待できる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、一般の携帯電話機や、公衆携帯電話網などの既存のインフラをそのまま利用して、利用者の発した音声によりデータベースに記憶させた車両情報を即時に照会することができる。また、利用者端末に携帯電話機を用い、公衆携帯電話網を介して音声情報の無線送信と検索結果の無線受信とが行われるようにすることにより、独自の情報管理サーバを構築するだけで、利用者の発した音声により車両情報を即時に照会できる情報照会システムとすることができる。したがって、専用の利用者端末を新たに用意する必要がなく、通信手段も既存のインフラ(公衆携帯電話網)を利用するだけでよい。また、セキュリティ手段7により、音声認識装置3を利用して、音声情報の主が情報を照会することが許された者であるかどうかを判断することで、より高度のセキュリティ性を得ることができる。
【0054】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0055】
すなわち、前述した実施形態では、自動車の車両情報の照会の例を挙げたが、自動二輪車や自転車の車両情報を照会する場合にも当然に適用することができる。この場合、データベースに記憶させておく情報は、自動二輪車の車両番号と当該自動二輪車についての車両情報、自転車の防犯登録番号と当該自転車についての車両情報といった関連付けをもって情報を構築するものとし、自動二輪車の車両番号又は自転車の防犯登録番号を検索キーとして、それらの車両情報が照会できるようにしておけばよい。
【0056】
また、本発明は、車両情報の照会に限らず、種々の情報を即時に照会することにも適用できる。例えば、店頭において店員が商品情報を即時に知りたい場合や、外出先での顧客との商談中に商品在庫や商品情報などを即時に知りたい場合などに、商品名などを音声で入力することで、その商品情報が即時に取得できるようにしたい場合など、広い範囲で適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明に係る情報照会システム、情報管理サーバ、情報照会方法及び情報照会プログラムは、利用者の発した音声により、種々の情報を即時に取得できるようにすることが望まれる分野に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に係る情報照会システムの第一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る情報照会方法の一例における処理の流れを概略的に示す流れ図である。
【符号の説明】
【0059】
1 情報照会システム
2 携帯電話機
2a 音声入力手段
2b 無線送信手段
2c 無線受信手段
2d 表示手段
3 音声認識装置
3a 受信手段
3b 音声認識手段
3c 送信手段
4 車両情報データベース
4a 記憶手段
4b 検索手段
4c 送信手段
5 情報管理サーバ
6 公衆携帯電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が発した音声により音声入力された音声情報を無線送信する利用者端末と、前記音声情報を受信して音声認識する音声認識装置と、音声認識された前記音声情報により所定の情報を検索するデータベースとを備えた情報照会システムであって、
前記利用者端末は、前記音声情報を音声により入力する手段と、音声入力された前記音声情報を無線送信するとともに、前記データベースにおける検索結果を無線受信する無線通信手段と、前記検索結果を利用者に知らせる手段とを備え、
前記音声認識装置は、前記利用者端末から送信された前記音声情報を受信する手段と、前記音声情報を解析して前記音声情報を音声認識する手段と、前記音声情報を音声認識した音声データを前記データベースに送信する手段とを備え、
前記データベースは、情報の記憶、書き換えがなされる記憶手段と、前記音声認識装置から送信された前記音声データにより前記記憶手段に記憶された情報を検索する手段と、検索結果を前記利用者端末に送信する手段とを備えることを特徴とする情報照会システム。
【請求項2】
前記利用者端末は携帯電話機であり、公衆携帯電話網を介して前記音声情報の無線送信と前記検索結果の無線受信とが行われる請求項1に記載の情報照会システム。
【請求項3】
前記音声情報が自動車又は自動二輪車の車両番号、又は自転車の防犯登録番号を読み上げた音声であり、前記データベースの記憶手段に記憶された情報が前記自動車、自動二輪車又は自転車についての車両情報である請求項1又は2に記載の情報照会システム。
【請求項4】
前記車両情報には、前記自動車、自動二輪車又は自転車の所有者の違反経歴を含む請求項3記載の情報照会システム。
【請求項5】
利用者が発した音声により音声入力された音声情報を受信して音声認識する音声認識装置と、音声認識された前記音声情報により所定の情報を検索するデータベースとを備えた情報管理サーバであって、
前記音声認識装置は、前記音声情報を受信する手段と、前記音声情報を解析して前記音声情報を音声認識する手段と、前記音声情報を音声認識した音声データを前記データベースに送信する手段とを備え、
前記データベースは、情報の記憶、書き換えがなされる記憶手段と、前記音声認識装置から送信された前記音声データにより前記記憶手段に記憶された情報を検索する手段と、検索結果を送信する手段とを備えることを特徴とする情報管理サーバ。
【請求項6】
前記音声認識装置により、前記音声情報の主が情報を照会することが許された者であるかどうかを判断するセキュリティ手段を備えた請求項5に記載の情報管理サーバ。
【請求項7】
利用者が発した音声により、データベースに記憶された情報を照会する情報照会方法であって、
利用者が音声を発して音声情報を利用者端末に音声入力するステップ、
前記利用者端末が前記音声情報を音声認識装置に無線送信するステップ、
前記音声認識装置が前記利用者端末から送信された前記音声情報を受信するステップ、
前記音声認識装置における音声認識手段により、前記音声情報を解析して音声認識するステップ、
前記音声認識装置における送信手段により、前記音声情報を音声認識した音声データをデータベースに送信するステップ、
前記データベースにおける検索手段に前記音声データを入力するステップ、
前記データベースにおける記憶手段に記憶された情報を、前記検索手段が前記音声データにより検索するステップ、
前記検索手段が検索結果を出力するステップ、
前記データベースにおける送信手段により、前記検索結果を前記利用者端末に送信するステップ、
前記利用者端末が前記検索結果を無線受信するステップ、
前記利用者端末が前記検索結果を利用者に知らせるステップ
からなることを特徴とする情報照会方法。
【請求項8】
利用者が発した音声により音声入力された音声情報を音声認識装置で音声認識し、音声認識された前記音声情報によりデータベースに記憶された情報を照会するためにコンピュータに、
利用者端末から送信された前記音声情報を前記音声認識装置が受信するステップ、
前記音声認識装置における音声認識手段により、前記音声情報を解析して音声認識するステップ、
前記音声認識装置における送信手段により、前記音声情報を音声認識した音声データをデータベースに送信するステップ、
前記データベースにおける検索手段に前記音声データを入力するステップ、
前記データベースにおける記憶手段に記憶された情報を前記検索手段が前記音声データにより検索するステップ、
前記データベースにおける前記検索手段が検索結果を出力するステップ、
前記データベースが、前記検索結果を送信するステップ
を実行させるための情報照会プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−39681(P2006−39681A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214812(P2004−214812)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】