説明

情報表示装置及び情報表示プログラム

【課題】複数のタッチ入力に基づき好適な表示制御を行う情報表示装置を提供する。
【解決手段】 マルチタッチ入力パネルからの複数のタッチ入力に基づき制御を行う情報表示装置であって、前記マルチタッチ入力パネルにおける接触点を取得する接触点取得部と、前記接触点取得部によって取得された前記接触点がマルチタッチであるかどうかを判定する判定部と、前記判定部によってマルチタッチであると判定された場合、前記接触点の移動動作を判定するタッチ動作判定部と、前記タッチ動作判定部において判定された移動動作に基づいて複数ページめくりのためのページ数を算出決定するページ数決定部と、前記ページ数決定部によって決定されたページ数に基づいてページめくり処理を行うページめくり処理部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く電子ブック等の情報表示装置に関し、より詳細には、機器において提供される複数ページからなる情報を表示するためのグラフィカルユーザインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
電子ブックが実用化されてから久しい。電子ブックは、テキスト、画像、音声などの情報をハードディスクやフラッシュメモリ、CD−ROM等の記録媒体から読み出し、LCD等の表示部を介してユーザに提示する。複数ページからなる情報を閲覧するという点において、ユーザは、電子ブックを書籍のように利用することができる。
【0003】
また、電子ブックは、記録媒体や表示部の他に操作部を備えており、そのバリエーションは多様である。例えば、操作部の一例としてライトペンやタッチペンがある。近年では、表示部と操作部とが一体となったタッチパネルが主流となっている。ユーザは、情報が表示されるタッチパネルをペンや指などで触れて、直接的に閲覧情報の操作(拡大操作、縮小操作、スクロール操作、回転操作、検索、ページめくり等)を行う。
【0004】
閲覧情報の直接操作を実現するためのデバイスとして、タッチセンサーを備えたタッチパネルがある。
【0005】
さらに、複数ページからなる情報を「ページめくり」によってユーザに閲覧させるインタフェース技術に以下のようなものがある。
【0006】
例えば、特許文献1には、ユーザが必要に応じて指定した情報やメモした情報、入力した画像等を簡易且つユーザが使い易い形態で管理できる電子ブック、ならびに情報表示装置等が開示されている。
【0007】
特に、「ページめくり」については、特許文献1に開示された電子ブックによれば、ユーザはセットされた電子ブックを、実際の本を参照するのと同様の使い勝手で参照することができる。例えば、ユーザが次ページを参照したいと思った場合、ユーザは、画面上の情報表示領域を紙の本のページをめくる時のように人差し指で左から右へなぞる。すると、あたかもページがめくれるようなイメージで表示画面が次ページの内容に更新される。
【0008】
このように、特許文献1に開示された発明によれば、ユーザは、通常の本を扱うのと同様の感覚でページめくり入力が行えるので、操作の習得が容易で使い勝手のよいヒューマンインターフェースを提供できる。
【0009】
また、特許文献2によれば、同時に移動する複数の指示位置の軌跡の組合せにより表現された指示を解釈できるようにする位置情報処理装置等が開示されている。すわなち、タッチパネルなどを用いて、複数箇所の指示位置を同時に検知し、指示位置の移動後に複数箇所の指示位置を再度同時に検知し、現在の各指示位置と直前の指示位置のそれぞれとの距離を求め、注目する現在の指示位置と最も距離の短い直前の指示位置を、その現在の指示位置に対する直前の指示位置として、各指示位置の移動軌跡を取得することで、同時に移動する複数箇所の指示位置の軌跡をそれぞれ識別する。そして、複数箇所の指示位置の軌跡の組み合わせで表現されたユーザの指示を解釈して、指示された操作を実行するものである。
【0010】
特に、「ページめくり」については、特許文献2に開示された位置情報処理装置等によれば、ページめくり操作として解釈される場合の操作例として、例えば、時刻t1において指示位置点At1及び点Bt1とがあり、全指示位置数が2である場合と、時刻t2において指示位置点At2及び点Bt2の他に指示位置点Ct2と点Dt2とがあり、全指示位置数が4の場合とでは、全指示位置数が多い時刻t2の方がページめくり操作における操作対象ページ数が大きいと解釈する等の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−163444号公報
【特許文献2】特開2001−290585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、複数のページを一度にめくることはできず、特許文献2に開示された技術においては、複数のページをめくりたい場合に具体的なページ数を簡便に指示することは困難であった。
【0013】
したがって、少なくとも複数のページめくりを実施する際に、より使いやすい電子ブックや情報表示装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明にかかる情報表示装置は、マルチタッチ入力パネルからの複数のタッチ入力に基づき制御を行う情報表示装置であって、前記マルチタッチ入力パネルにおける接触点を取得する接触点取得部と、前記接触点取得部によって取得された前記接触点がマルチタッチであるかどうかを判定するマルチタッチ判定部と、前記マルチタッチ判定部によってマルチタッチであると判定された場合、前記接触点の移動動作を判定するタッチ動作判定部と、前記タッチ動作判定部において判定された移動動作に基づいて複数ページめくりのためのページ数を算出決定するページ数決定部と、前記ページ数決定部によって決定されたページ数に基づいてページめくり処理を行うページめくり処理部とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる情報表示装置は、前記タッチ動作判定部は、一定距離以上の移動動作を検知することにより前記接触点の移動動作を有効なものと判定することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる情報表示装置は、前記タッチ動作判定部は、前記接触点の移動動作による距離を複数の区分に管理し、前記ページ数決定部は、前記複数の区分に応じて割り当てられたページ数を複数ページめくりのためのページ数として算出決定することを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる情報表示プログラムは、マルチタッチ入力パネルからの複数のタッチ入力に基づき制御を行う情報表示装置において実行される情報表示プログラムであって、前記マルチタッチ入力パネルにおける接触点を取得する接触点取得ステップと、前記接触点取得部によって取得された前記接触点がマルチタッチであるかどうかを判定する判定ステップと、前記判定部によってマルチタッチであると判定された場合、前記接触点の移動動作を判定するタッチ動作判定ステップと、前記タッチ動作判定部において判定された移動動作に基づいて複数ページめくりのためのページ数を算出決定するページ数決定ステップと、前記ページ数決定部によって決定されたページ数に基づいてページめくり処理を行うページめくり処理ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる情報表示装置によれば、より簡便に具体的な複数ページを指定してページめくり動作を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態における情報表示装置の外観を説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態における情報表示装置のブロック構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態における情報表示装置の機能構成を説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における情報表示装置における処理の手順を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施形態における情報表示装置における処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態における情報表示装置におけるページめくり動作の例を説明する説明図である。
【図7】本発明の一実施形態における情報表示装置におけるページめくりのためのページ数の決定例を説明する説明図である。
【図8】本発明の他の実施形態における情報表示装置におけるページめくり動作の例を説明する説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態における情報表示装置におけるページめくりの判断例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明にかかる情報表示装置等を実施するための形態について詳述する。
【0021】
図1に、本発明の一実施形態における情報表示装置の外観を示す。情報表示装置100は、筐体部101とディスプレイ102と筐体101の左右側部に設けられたハードウェアボタン103a及び103bとからなる。ディスプレイ102は液晶ディスプレイ(LCD)等で構成され、後述するように文字や画像など様々な情報を表示することができる。また、ディスプレイ102にメニューボタンやソフトウェアキーボードを表示させ、これを指ないしタッチペン(不図示)等で触れることにより情報表示装置への指示(コマンド)とすることができる。この点で上記ハードウェアボタン103a及び103bは必須の構成要素ではないが、本発明の説明の便宜上、一定の機能を担うボタンとして説明する。もちろん、これらハードウェアボタン103a及び103bを、ディスプレイ102の一部に表示させたメニューボタンで代替させることも可能である。
【0022】
また、ディスプレイ102には、マルチタッチ入力パネルが含まれており、タッチ入力パネル上でのタッチ入力位置座標が入力デバイスインタフェース(不図示)を介して情報表示装置100の処理系(CPU)へ送信され処理される。そして、このマルチタッチ入力パネルは、パネルに対する複数の接触点を同時に感知することができるよう構成されている。この検出(センサ)については様々な方法で実現することができ、必ずしも接触センサに限られず、例えば、光学式のセンサを利用してパネルに対する指示点を抽出することも可能である。さらに、センサには、接触式のセンサや光学式のセンサのほか、人の肌の接触を感知する静電容量方式のセンサを用いることも可能である。
【0023】
また、図1には現れていないが、情報表示装置100は、多くの携帯情報端末に装備されているようにマイク及びスピーカを備えることもできる。この場合にはマイクより拾ったユーザの声などを判別して入力コマンドとすることも可能である。
【0024】
図2に、本発明にかかる情報表示装置100を構成するハードウェアのブロック図を例示する。情報表示装置100の動作は、以下に説明するハードウェアの個々の動作、及びこれらの連携動作によって実現されている。
【0025】
情報表示装置100は、大別すると、ハードウェアボタン103a、103b、ディスプレイ102に設けられたマルチタッチ入力パネル、及びマイク等で構成される入力部201と、プログラムやデータ等を記憶するためのハードディスク、RAM及び/又はROM等で構成される記憶部202と、プログラムによって様々な数値計算や論理演算を行うCPUによって構成される中央処理部203と、ディスプレイ102等で構成される表示部204と、チップや電気系統等の制御を行うための制御部205と、インターネットにアクセスするためのスロットや光通信を行うためのポート、及び通信インタフェースから構成される通信インタフェース部206と、スピーカやバイブレーション等の出力部207と、時刻等を計時するための計時部208と、必要に応じて温度や湿度、機器姿勢や光量等を計測するためのセンサ部209と、装置内の各モジュールに電源を供給するための電源部210とからなり、これらのモジュールは必要に応じて適宜通信バスや給電線(図6においては、便宜上各線が適宜区分された結線211としてひとまとめにあらわす)によって接続されている。
【0026】
また、本発明の実施に必要なプログラムないしソフトウェアは、通常、記憶部202にけるハードディスクディスク等にインストールないし記憶され、プログラムないしソフトウェアの実行時には、必要に応じて記憶部202内のメモリにその全部又は一部のソフトウェアモジュールとして読み出され、CPU203において演算実行される。
【0027】
なお、演算実行は必ずCPU等の中央処理部203で行われる必要はなく、図示しないディジタルシグナルプロセッサ(DSP)等の補助演算装置を用いることもできる。
【0028】
図3に、本発明にかかる情報表示装置の機能的な構成を説明するブロック図を示す。
【0029】
図3において、接触点取得部301は、マルチタッチ入力パネルに対するペンや指などの接触を検知して、検地した点を座標として取得する。なお、ペンや指などでマルチタッチ入力パネルを複数点接触した場合には、複数の座標点が取得される。また、指の腹でパネルに触れた場合、パネルのデバイス構成に依存して接触点取得部301は一定の接触領域を検出する。この場合には、その領域の重心点を算出して接触座標とすることができる。
【0030】
マルチタッチ判定部302は、マルチタッチ入力パネルに対する接触がシングル(単一点)かマルチ(複数点)かを判定する。さきほど述べたように、指の腹でパネルを接触した場合に一定の領域として検出されるパネルデバイスの場合には、それぞれの領域の重心点を算出して単数か複数かを判断する。
【0031】
タッチ動作判定部303は、接触点取得部301で取得された接触点の動きをマルチタッチ判定部302で判定された単数又は複数の接触点ごとに追跡し、その軌跡に基づいてタッチ動作を判定する。例えば、単数の指でパネルにタッチした場合はその接触位置を座標として記憶する。また、指をパネルに接触させたまま上下左右いずれかの方向にスライドさせた場合には、単位時間ごとのタッチ位置を座標として記録し、現時点におけるタッチ位置座標とともにタッチ動作の奇跡として管理する。そして、最初の接触位置から現時点におけるタッチ位置までの距離を単位時間ごとに計測し、一定の閾値を越えた場合等にページ数決定部304(後述)に通知する。
【0032】
ページ数決定部304は、タッチ動作判定部303から一定の閾値を越えたタッチ動作があったことを通知され、タッチ動作に応じたページめくりのためのページ数を決定する。その決定方法については後述する。ページ数決定部304においてページ数が決定されると、ページ数を数値データとしてページ処理部305(後述)へ通知する。
【0033】
ページ処理部305は、ページ処理部304から通知されたページ数に基づいてページめくり動作を実行する。
【0034】
次に、図4〜図5のフローチャートを用いて、本発明にかかる情報表示装置等の実施形態における動作を説明する。
【0035】
図4に示すフローチャートは、おもに、マルチタッチ入力パネルに複数タッチ入力があった場合の動作の概略を示す。本発明にかかる情報表示装置等では、マルチタッチ入力パネルに対し、複数のペンないし指によるタッチ入力があった場合に、複数のページめくり動作を実行させることが大きな特徴となっている。この場合、タッチ入力ではあるが、複数のペンないし指によるタッチ入力ではない場合の動作には様々なバリエーションがあり、例えば、図4に示すように、特に複数ページめくり動作に関しては何もしないという処理が挙げられる(S403において、No)。あるいは、後述するように、単数のペンないし指によるタッチ入力があった場合には、1ページのみページめくりを行うということにしても良い。さらに、単数のペンないし指によるタッチ入力があった場合であって、一定長以下/未満のスライド(タッチしたままの移動)であった場合には、紙面(画面)のスクロール動作であると解して、画面スクロール処理を実行することとしてもよい。
かかる意味において、図4に示すフローチャートは、複数ページめくり動作の概要である。
【0036】
まず、S401において処理を開始すると、S402に進み、マルチタッチ入力パネルの接触点を検出する。これは、接触点取得部301において処理される。マルチタッチ入力パネルに対する接触(入力)が検出されると、S403に進み、複数ページめくりに対する指示であるかどうかが判断される。これは、マルチタッチ判定部302とタッチ動作判定部303との連係動作によって実現される。例えば、本発明においては、複数ページめくりを行う場合には、マルチタッチ入力パネルに対して少なくとも2以上の接触(入力)必要とするので、マルチタッチ判定部302において、接触が単数か複数かが判断され、タッチ動作判定部303がそれらの接触動作(例えば、どの程度スライドさせたかなど)を判定する。具体例として、図7(A)を参照して説明すると、まず、2つの接触点703がマルチタッチ入力パネル701に接触されると図中の位置を座標として検出される。さらに接触点703の移動(図中向かって右方向)にともなって、最初の接触点からの距離が逐次算出される。このとき、移動距離をいくつかに区分し(例えば、図7(A)におけるH1、H2、H3、H4、H5)、スライド中の接触点703がどの区分にあるのかを監視することもできる。
【0037】
そうして、一例として、一定距離以上のスライド移動ののち接触が解除されたとき(ペンや指がパネルから離れたとき)、複数ページめくりの指示があったものと解釈する(S403において、Yes)。
【0038】
なお、ページめくりの方向は、スライド方向と一致させることができる。例えば、横書きの電子ブックでは、左から右へのスライドがページを増大させる方向へのページめくりとなる。また、縦書きの電子ブックでは、右から左へのスライドがページを増大させる方向へのページめくりとなる。
もちろん、書籍の構成によって、この他の組み合わせを採用することもできる。
【0039】
複数ページめくりの指示があったと解釈された場合には、S404に進み、めくるべきページの数を算出する。この算出方法は、上述したように、パネルに対する接触点の移動距離に応じて算出することができる。例えば、さきほどの図7(A)を用いて説明すれば、スライド移動距離がH1の区分に収まるものであった場合には2ページ、H2の区分に収まるものであった場合には4ページ、H3の区分に収まるものであった場合には6ページというように、スライド移動距離とページめくりされるページ数との関係を決定してもよい。この場合の移動距離区分とページめくり量との関係は下表のとおりである。
【0040】
【表1】

ここで、H1〜H5の区分数は可変であり、H1〜H5のそれぞれの区分長はそれぞれ等しいものであっても、異なるものであってもよい。例えば、H1〜H5のそれぞれの区分長を異ならせる場合、H1<H2<H3<H4<H5のように設定することができる。また、それぞれの区分に応じたページめくり量も上の表のように2ページから2ページずつ増やすこととしてもよいし、2、4、8、16、32というように2の倍数になるような他の設定にしても良い。
【0041】
さらに、上表は単に複数の指で操作した場合のページめくり量(ページ数)を例示したが、指を2本で操作した場合と3本で操作した場合とでページめくり量を異ならせることとしてもよい。一般には、最小の移動距離区分(H1)に対して、指2本で操作した場合には2ページおくり、指3本で操作した場合には3ページおくりというように設定することができる。この場合の移動距離区分とページめくり量との関係は下表のとおりである。
【0042】
【表2】

ただし、fは画面に対する有効接点数(指の数)である。
【0043】
あるいは、下表のように、最初の移動区分H1における移動はページおくり指示とは判断せず、他の処理(例えば、スクロール処理)に割り当ててもよい。
【表3】

ここで、p<q<r<sである。
【0044】
さらに、上表のページめくり量については、画面に対する有効接点数(指の数)fに比例するよう、一例として下表のとおり割り当てることもできる。
【表4】

【0045】
めくるべきページ数が算出されると、S405に進み、ページめくり処理が行われ、フローは終了する(S406)。なお、図4においては、S403において「複数」ページめくりではないと判断された場合にはただちに処理を終了することとしているが、既に述べたように、単数ページ指示であった場合には1ページのみのページめくり処理を実行することもできる。
【0046】
図5に示すフローチャートは、複数ページめくり指示の判断を高速化する機能を含む他の動作フローである。つまり、ここでは、図7(A)に示すように、予め定められた領域702(例えば、パネルの下方領域)において複数接触があった場合に複数ページめくり指示であると判断することで、判断の高速化を図っている。すわなち、この領域702外で複数の接触を検出した場合であっても、移動距離等の判定は行わない。
【0047】
一方で、パネルに対する接触が複数接触(マルチタッチ)でなかった場合、例えばシングルタッチであった場合においても複数ページめくり以外の処理を割り当てることで電子ブックに対する操作性を向上させている。さらに、複数ページめくり指示であった場合であって移動距離を計測する際においても、マルチタッチによる他のコマンド(一例として、ピンチイン・ピンチアウト)との区別が明確に行われるように処理されている。
【0048】
S501において処理が開始されると、S502に進み、マルチタッチ入力パネルの接触及び移動を検出する。これらは、接触点取得部301、タッチ動作判定部303で実行される。次に、S503に進み、S502において検出された接触がマルチタッチか否かが判断される。
【0049】
S503においてマルチタッチでないと判断された場合、ここではシングルタッチとみなして、S505へ進み、さらに一定以上の横(縦)移動距離を検出したかどうかが判断される。もし、S505においてYesの場合は、S506へ進み、1ページのページおくりを実行する。また、S505においてNoの場合は、紙面(画面)内スクロールと判断して、移動距離に応じたスクロール処理を実行する(S509)。
【0050】
S503においてマルチタッチであると判断された場合、S504に進み、接触点が予め定められた領域内にあるかどうか(エリア判定領域内かどうか)が判断される。S504における判断の趣旨と動作内容は既に述べたとおりである。S504においてNoならS502に復帰するが、S504においてYesならば、S507に進み、複数接触(例えば、2点間)の距離が等しいまま移動がなされているか否かが判断される。もし、ここで複数接触の距離が変化している(例えば開いている)ならば(S507において、No)、ピンチアウト操作であると解釈して紙面(画面)ズーム処理を行う(S511)。
【0051】
S507においてYesならば、S508に進み、一定の横(縦)移動距離を検出し、一定の移動距離が算出されれば(S508において、Yes)、S510に進み、その距離に応じた複数ページめくりを行う。一方で、一定の横(縦)移動距離を検出しないまま接触が解除されたならば(S508において、No)、S509に進み、紙面(画面)内スクロールと判断して、移動距離に応じたスクロール処理を実行する。
【0052】
図6は、以上説明したページめくりについて、1ページのみのページめくり動作(A)と複数ページめくり動作(B)の画面上の動作イメージを説明した説明図である。
【0053】
図6(A)において、シングルタッチで画面上をスライドさせた場合には、一定距離のスライドを検出したのちにスライド方向にページめくり処理が行われる。また、図6(B)において、マルチタッチで画面上をスライドさせた場合には、一定距離のスライドを検出したのちにその距離に応じたページ数を算出し、スライド方向にページめくり処理が行われる。図6(A)(B)に示すように、画面の右下にページ折れのイメージを描画してページが実際にめくられている様子が分かるような画像処理を行うと、より好適である。
【0054】
図7は、接触位置をスライドさせる場合の距離とページめくりされるページ数との対応関係を説明する説明図であるが、図7(A)についてはすでに説明したとおりである。図7(B)は、図7(A)とは異なる他の実装形態を説明している。
【0055】
図7(B)は、画面上のタッチ移動を2軸に沿って行った際により効率的な複数ページおくりが可能であることを示している。つまり、図7(B)においては、画面にタッチされた指705a等は、いったん縦軸に705bまで一定距離スライドさせて、次に、705bから横軸に一定距離スライドさせることで、ページめくり量をより大きなレンジで抽出可能になっている。すわなち、縦軸には、移動距離区分V1、V2、V3が割り当てられ、横軸には、移動距離区分H1、H2、H3、H4、H5が割り当てられている。そうして、V1、V2、V3には、例えば、x1(1倍)、x2(2倍)、x3(3倍)等の倍数がそれぞれ割り当てられて、H1〜H5には、例えば、H1<H2<H3<H4<H5となるようにページ数が割り当てられている。
【0056】
そうすると、最初に縦軸でのスライドを行う際に、V1の区分内で縦方向のスライドから横方向へのスライドに切り替えた場合には、最終的に横軸でのスライドで決定されるページ数の1倍のページ数をめくるべきページ数として決定される。
【0057】
次に、最初に縦軸でのスライドを行う際に、V2の区分内で縦方向のスライドから横方向へのスライドに切り替えた場合には、最終的に横軸でのスライドで決定されるページ数の2倍のページ数をめくるべきページ数として決定される。
【0058】
同様に、最初に縦軸でのスライドを行う際に、V3の区分内で縦方向のスライドから横方向へのスライドに切り替えた場合には、最終的に横軸でのスライドで決定されるページ数の3倍のページ数をめくるべきページ数として決定される。
【0059】
以上のように、2軸にわたって2種類の情報を割り当てれば、ページ数の非常に多い電子ブックのあらゆるページ箇所を頻繁に行き来する必要がある場合などにも好適な操作性を提供することができる。
【0060】
図8は、複数ページめくりについて、スライド距離に応じてページ量をリアルタイムに予告表示する例を説明する説明図である。図8(A)〜(C)は、複数ページめくりの一連の動作を示している。最初に図8(A)において、一定の移動距離が検出されて複数ページめくりと判断されたときに、最初の移動区分内にあるときには、そこで接触を解除した場合に何ページめくられるかが数字(2)と画面右下の画像処理(2ページ分のページめくれ)で示されている。引き続いてスライドを継続して次の移動区分に移行すると(図8(B))、そこで接触を解除した場合に何ページめくられるかが数字(4)と画面右下の画像処理(4ページ分のページめくれ)で示されている。そうして、さらにスライドを継続して次の移動区分に移行すると(図8(C))、そこで接触を解除した場合に何ページめくられるかが数字(6)と画面右下の画像処理(6ページ分のページめくれ)で示されている。数字による表示及び画像処理による表示は、いずれか一方による表示であってもよい。
【0061】
このような視覚的な処理をリアルタイムに行うと、ユーザに対していっそう好適な操作性を提供することができる。
【0062】
なお、図7において、予め定められた領域702(例えば、パネルの下方領域)内で複数接触があった場合に複数ページめくり指示であると判断する方法について説明したが、本発明は、必ずしもこれに限定されるものではなく、全領域において複数の接触があったときに、どれとどれが複数ページめくり指示であって、その接触がノイズ(例えば、単に指を画面に載せているだけ)なのかを判断することも可能である。具体的には次のような判断方法を用いることができる。
【0063】
例えば、図9Aにおいては、全領域に3点の接触がある(9a、9b、9c)。ここでは、9a及び9bは、2本の指でページめくりを指示しようとしているのであり、9cは単に親指などを画面に載せているだけであるとする。
このとき、2点以上の接触点が全領域内にあり、これらのうち、移動しないかあるいは移動したとしてもその移動量が所定の閾値未満である点の停滞時間をカウントする。そして、ある一定時間以上停滞した点(図中、9c)は指示のための接触ではないと判断し、他の点(図中、9a及び9b)についてはページめくりのための指示であると判断する。
9aと9bとの間の距離が等しいまま(あるいは一定距離以下を保ったまま)移動した場合は、複数ページめくり指示であると判断してページめくり処理を実行し、距離が変化する(あるいは単位時間あたりの変化量が一定量以上になる)場合には、ピンチイン/アウトの処理をする。なお、指示のための接触ではないと判断された点(9c)がその後動いた場合は、停滞時間のカウントはリセットされる。
【0064】
次に、図9Bにおいては、全領域に2点の接触がある(9d、9e)。ここでは、9eを動かさず、9dを意図的にスライドさせるものとする。この場合には、9eは一定時間以上停滞する点であるため、9dをスライドさせてもピンチアウトにならずにシングルタッチと同様の処理が実行される。
【0065】
さらに、図9Bの場合において、9eが画面上に置かれて一定時間を経過しないのに9dが移動した場合には、ピンチアウトと判断されてしまう場合がある。かかる場合にもユーザの指示を正しく解釈するために、次のような処理アルゴリズムを採用することができる。
(1)複数の接触点が画面上にある場合に、動いた点に注目する。
(2)そのうちの2以上の点の間の距離が等しいまま移動した場合は、複数ページめくりの処理をする。
(3)2以上の点が移動する場合であって、これらの点の間の距離が変化する場合は、ピンチイン/アウトの処理をする。
(4)1点しか動かなかった場合は、通常のシングルタッチの処理をする。
【0066】
以上、具体例に基づき、本発明にかかる情報表示装置の実施形態を説明したが、本発明の実施形態としては一つの機器からなる装置に限定されるものではなく、複数の機器から構成されるシステム、方法、プログラム、もしくはプログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、ハードディスク、メモリカード)等としての実施態様をとることも可能である。
【0067】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されず、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であっても良い。
【0068】
さらに、本発明にかかる情報表示装置へのプログラムの提供方法として、クライアントコンピュータ等に実装されたブラウザを用いてインターネット上のサイトにアクセスし、当該サイトからネットワークを介して本発明にかかる情報表示方法を実施するコンピュータプログラムをダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、プログラムは、必ずしもコンピュータのメインボード上のCPUにおいて全て実施される必要はなく、コンピュータに付加された拡張ボードや拡張ユニットにおけるCPUやDSPによってその全部または一部が実施されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 情報表示装置
101 筐体部
102 ディスプレイ
201 入力部
202 記憶部
203 中央処理部
204 表示部
205 制御部
206 通信インタフェース部
207 出力部
208 計時部
209 センサ部
210 電源部
211 結線(バス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチタッチ入力パネルからの複数のタッチ入力に基づき制御を行う情報表示装置であって、
前記マルチタッチ入力パネルにおける接触点を取得する接触点取得部と、
前記接触点取得部によって取得された前記接触点がマルチタッチであるかどうかを判定するマルチタッチ判定部と、
前記マルチタッチ判定部によってマルチタッチであると判定された場合、前記接触点の移動動作を判定するタッチ動作判定部と、
前記タッチ動作判定部において判定された移動動作に基づいて複数ページめくりのためのページ数を算出決定するページ数決定部と、
前記ページ数決定部によって決定されたページ数に基づいてページめくり処理を行うページめくり処理部と
を備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記タッチ動作判定部は、一定距離以上の移動動作を検知することにより前記接触点の移動動作を有効なものと判定することを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記タッチ動作判定部は、前記接触点の移動動作による距離を複数の区分に管理し、前記ページ数決定部は、前記複数の区分に応じて割り当てられたページ数を複数ページめくりのためのページ数として算出決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記マルチタッチ判定部はマルチタッチでないと判定された場合にはシングルタッチであると判断し、前記タッチ動作判定部は前記接触点の移動動作による一定距離以上の移動動作を検知することにより前記接触点の移動動作を有効なものと判定し、前記ページめくり処理部は前記タッチ動作判定部の判定を受けて1ページのページめくり処理を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記マルチタッチ判定部は、予め定められた領域内でマルチタッチのみを複数ページめくりのための有効な指示と判定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記タッチ動作判定部は、一定距離未満の移動動作を検知した場合には、画面に対するスクロール指示と判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項7】
前記タッチ動作判定部は、前記接触点の移動動作による距離を、異なる長さを有する複数の区分に管理し、前記ページ数決定部は、前記複数の区分に応じて割り当てられたページ数を複数ページめくりのためのページ数として算出決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項8】
前記タッチ動作判定部は、前記接触点の移動動作による距離を2方向の移動動作に対してそれぞれ複数の区分に管理し、前記ページ数決定部は、前記2方向の移動動作に対するそれぞれの複数区分に応じて割り当てられたページ数を複数ページめくりのためのページ数として算出決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項9】
マルチタッチ入力パネルからの複数のタッチ入力に基づき制御を行う情報表示装置において実行される情報表示プログラムであって、
前記マルチタッチ入力パネルにおける接触点を取得する接触点取得ステップと、
前記接触点取得部によって取得された前記接触点がマルチタッチであるかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定部によってマルチタッチであると判定された場合、前記接触点の移動動作を判定するタッチ動作判定ステップと、
前記タッチ動作判定部において判定された移動動作に基づいて複数ページめくりのためのページ数を算出決定するページ数決定ステップと、
前記ページ数決定部によって決定されたページ数に基づいてページめくり処理を行うページめくり処理ステップと
を有することを特徴とする情報表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−64092(P2012−64092A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209014(P2010−209014)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【特許番号】特許第4701314号(P4701314)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(501089302)株式会社ヤッパ (14)
【Fターム(参考)】