情報表示装置
【課題】指やタッチペンなどの指示器が接触した情報表示領域の位置に位置に画像を表示する際の応答性を高めることができる情報表示装置を提供する。
【解決手段】タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部180によって検出された検出位置に対応する画素の集合において、画素を構成する複数のカラーフィルタのうち所定のカラーフィルタに対応する表面電極40aと裏面電極40b(この場合の選択電極)に対して、原色毎に異なるタイミングで白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を印加する。
【解決手段】タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部180によって検出された検出位置に対応する画素の集合において、画素を構成する複数のカラーフィルタのうち所定のカラーフィルタに対応する表面電極40aと裏面電極40b(この場合の選択電極)に対して、原色毎に異なるタイミングで白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が表示される表面基板側に形成される電極と、表面基板に対向する裏面基板側に形成される電極とに電圧を印加することにより、電極間に封入された表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報が表示される情報表示領域を有する透明な表面基板と、前記表面基板に対向する裏面基板との間に、隔壁により互いに隔離された空間(セル)を形成し、電気的に駆動可能な白色又は黒色に着色された表示媒体(例えば、電子粉流体(登録商標))をセル内に1種類以上封入した情報表示装置が知られている。このような情報表示装置では、表面基板側に形成された電極と、裏面基板側に形成された電極とに電圧を印加することによって、白色又は黒色に着色された表示媒体を表面基板側或いは裏面基板側に移動させることにより画像を含む情報を表示する。
【0003】
また、このような情報表示装置において、表示側の表面基板を位置検出電極として兼用させることにより、情報表示領域における指やペンなどの入力手段が接触した位置を検出する機能が付与された情報表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このような情報表示装置では、情報表示領域における入力手段の接触位置を検出した場所に画像を表示する使用方法が可能である。すなわち、紙にペンで描画するようにペンの軌跡を表示するような使用方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134354号公報 第2図など
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した情報表示装置では、使用者にとって紙に実際に描画しているような感覚で使用できるようにするためには、改善の余地が残されていた。そこで、本発明は、指やタッチペンなどの指示器が接触した情報表示領域の位置に位置に画像を表示する際の応答性を高めることができる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の一方に複数並列に形成される細長い帯状の透明な第1電極部と、前記第1電極部に対して交差するように前記一対の基板の他方に複数並列に形成された細長い帯状の透明な第1電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を移動可能な所定回数のパルス状の書き込み電圧を印加する駆動部と、前記基板において情報が表示される情報表示領域に配置され、1画素に対応する複数の原色が周期的に配列された色フィルターと、前記情報表示領域に配置され、前記情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部とを備える情報表示装置であって、前記駆動部は、前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿って配列された前記原色の何れか一つの原色に対応する前記第1電極部及び前記第2電極部に対して、前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、指やタッチペンなどの指示器が接触した情報表示領域の位置に画像を表示する際の応答性を高めることができる情報表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の平面図であり、図2(b)は、幅方向(Y方向)及び高さ方向(Z方向)に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理であるアップデート処理を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理であるタッチ入力処理を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理である追記処理を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理である消去処理を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、タッチ入力処理を説明する模式図である。
【図10】図10は、タッチペンのペン先が情報表示領域に接する領域の時間推移を説明する模式図である。
【図11】図11は、タッチペンのペン先が情報表示領域に接することによって検出された入力領域の時間推移を説明する図である。
【図12】図12は、画素周期2のカラーフィルタに設定される入力領域のひとつを説明する拡大図である。
【図13】図13は、画素周期3の場合、タッチペンのペン先が情報表示領域に接することによって検出された入力領域の時間推移を説明する図である。
【図14】図14は、画素周期3のカラーフィルタに設定される入力領域のひとつを説明する拡大図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動に用いられる駆動波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る情報表示装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0011】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0012】
(1)情報表示装置の概略説明
図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。図1に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100と筐体200とを有する。画像表示パネル100は、情報表示装置10に読み込まれた画像データに基づいて画像を表示する。筐体200は、画像表示パネル100及び画像表示パネル100を駆動する電源やプリント回路基板(PCB)などを収容する。筐体200の側部には、メモリカードのスロット及びUSBインタフェース(不図示)などが設けられてもよい。
【0013】
画像表示パネル100は、表示媒体移動型であり、具体的には、例えば、白色と黒色の電子粉流体(登録商標)などの帯電性粒子を含んだ複数の粒子群が用いられる。画像表示パネル100のサイズは、特に限定されないが、本実施形態では、6インチ〜15インチ程度であるものとして以下説明する。
【0014】
(2)画像表示パネルの構造
以下において、画像表示パネル100の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2(a)は、画像表示パネル100の拡大平面図である。図2(b)は、図2(a)のB−B断面図である。図2(b)は、白色表示媒体90Wが情報表示面側(図中の「目」のマークを参照)に位置している状態を示す。
【0015】
図2(a)及び(b)に示すように、画像表示パネル100は、表面基板20a、裏面基板20b、平坦化層30、表面電極40a、裏面電極40b、隔壁50及びカラーフィルタ110を有する。
【0016】
一対の表面基板20a及び裏面基板20bのうち、表面基板20aは、情報表示面側に形成される。表面基板20aは透明な基板である。表面基板20aは、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものが好ましい。裏面基板20bは、表面基板20aと対向する。本実施形態では、裏面基板20bも透明な基板である。なお、裏面基板20bは必ずしも透明でなくてもよく、一方の基板(表面基板20a)が透明であればよい。
【0017】
表面基板20a及び裏面基板20bは、一対の電極部(表面電極40a,裏面電極40b)に対応して設けられる。具体的には、表面基板20a及び裏面基板20bは、表面電極40a,裏面電極40bよりも外側にそれぞれ設けられる。
【0018】
平坦化層30は、表面基板20aと表面電極40aとの間に形成される。平坦化層30は、表面基板20aの全面を覆っているが、平坦化層30は、表面基板20aを部分的に覆っていてもよい。平坦化層30の表面電極40a側の表面は、平らに形成される。平坦化層30は、透明である。表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bとが含まれる。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、C領域を構成する。C領域を構成する赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、カラー画像の表示に必要な、いわゆる三原色カラー「R(赤)、G(緑)、B(青)」であり、「所定カラー」に相当する。
【0019】
図2(a)に示されるように、表面基板20a側からの平面視において、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは規則性を持って配列されている。具体的には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、平面視において格子状に形成された隔壁50に囲まれた領域に配置されている。隔壁50に囲まれた領域において、図2の紙面において、左上に赤フィルタ110Rが配置され、右上に緑フィルタ110Gが配置され、左下に青フィルタ110Bが配置されている。右下の領域には、カラーフィルタ110が配置されない透明領域110Wが形成されている。透明領域110Wは、W領域を構成する。透明領域110W領域には、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって、黒色、白色、及び黒色と白色の中間色が表示される。
【0020】
図2(b)に示されるように、白色表示媒体90Wが表面基板20a側の青フィルタ110Bに対応する位置にある場合、観察者には青色が表示されていると視認される。その他の色についても同様である。
【0021】
表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。更に、カラーフィルタ110のの裏面電極40b側には、平坦化層30が形成されている。そのため、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔が一定に保たれる。平坦化層30を形成することによって、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔を一定に保つことができ、表示媒体100の応答性を均一にできる。カラーフィルタ110は、例えば、表面基板20a上にカラーフィルタレジストを塗布したり、カラーインクを印刷することによって形成される。
【0022】
表面電極40aは、表面基板20a側に形成される透明な電極である。表面電極40aは、表面基板20aの内側の表面に形成されている。裏面電極40bは、裏面基板20b側に形成される電極である。裏面電極40bは裏面基板20bの内側に形成されている。表面電極40a及び裏面電極40bは、細長い帯状の電極であり、互いに交差(実施形態では、直交する)するように配設、つまり、マトリックス状に配設されており、画像表示パネル100では、パッシブマトリックス駆動方式が用いられる。
【0023】
具体的には、表面電極40aは、画像表示パネル100の長さ方向(X方向)に沿って複数配設される。一方、裏面電極40bは、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に沿って複数配設される。本実施形態において、表面電極40aは、所定方向に配設された第1電極を構成し、裏面電極40bは、所定方向と交差する方向に配設された第2電極を構成する。表面電極40aと裏面電極40bとが交差するそれぞれの部分が、画素に対応する。
【0024】
隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間に形成される。隔壁50は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bが封入される空間Sを仕切る。隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間の空間を確保するために設けられる。空間Sには、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bの他に、気体(例えば、空気)が封入されている。隔壁50は、表面基板20a側からの視点において格子状に形成される。格子状とは、所定の空間が形成されるように、周期的に配置されていればよい。空間Sは真空にすることもできる。
【0025】
なお、上述した表面基板20a、裏面基板20b、表面電極40a、裏面電極40b及び隔壁50としては、上述した特開2008−158509号公報などに記載されている材料を適宜用いることができる。また、平坦化層30としては、例えば、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマーなどの透明性を有する高分子を用いることができる。
【0026】
また、画像表示パネル100は、有色層70及び散乱層80を有する。有色層70は、裏面基板20bの外側に形成される。裏面基板20bの外側とは、表面基板20a側とは反対側をいう。有色層70は、裏面基板20bの外側の表面上に形成されている。なお、有色層70は、表面基板20a側からの視点において、隔壁50と対応する部分に形成されていてもよい。
【0027】
散乱層80は、表面基板20aの外側に形成されている。表面基板20aの外側とは、裏面基板20b側とは反対側をいう。散乱層80は、表面基板20a上に形成されている。散乱層80は、光を散乱する。散乱層80は、光を散乱すれば、散乱方法は問わない。例えば、散乱層80の表面に凹凸を有することにより、光を散乱させる。
【0028】
なお、図2(b)に示されるように、画像表示パネル100において、表面基板20aと、表面電極40aと、カラーフィルタ90とを含み、パネルPと表す。パネルPは、平坦化層30及び散乱層70を含んでもよい。パネルPは、表面基板20a側から白色表示媒体80との間にある部材によって構成される。
【0029】
白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、表面電極40aと裏面電極40bとの間に封入される。例えば、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群である白色表示媒体90W及び正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群である黒色表示媒体90Bは、表面電極40a及び裏面電極40bを介して電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。つまり、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、それぞれ異なる極性の帯電性を有し、電気的に駆動可能である。具体的には、表面電極40aと裏面電極40bとに電圧を印加することによって、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、何れかの電極に向けて移動する。
【0030】
本実施形態では、表面電極40aに正の電圧を印加すると、白色表示媒体90Wが表面電極40a側に移動し、黒色表示媒体90Bが裏面電極40b側に移動する。一方、表面電極40aに負の電圧を印加すると、黒色表示媒体90Bが表面電極40a側に移動し、白色表示媒体90Wが裏面電極40b側に移動する。
【0031】
本実施形態では、白色表示媒体90Wは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練する。得られた溶融混練物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して、負帯電性の白色粒子群(白色表示媒体90W)を得ることができる。
【0032】
また、黒色表示媒体90Bは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させる。分散させた液に、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させる。その後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させる。その液を、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製))を0.5%添加した精製水に懸濁させる。懸濁液をろ過し、得られた粒子を乾燥させる。得られた乾燥物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級することによって、黒色粒子群(黒色表示媒体90B)を得ることができる。
【0033】
(3)情報表示装置のブロック構成
図3は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。図4は、情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【0034】
(3.1)ハードウェア構成
図3に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアとして、電源部210、PCB220、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225B及びTCP230を備える。
【0035】
電源部210は、バッテリ、またはAC電源と交直電圧変換器とによって構成される。PCB220(プリント回路基板)には、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225Bが搭載される。
【0036】
DC−DCコンバータ221は、電源部210から供給された電源を用いて、画像表示パネル100を駆動する複数の直流電圧を生成する。具体的には、DC−DCコンバータ221は、高電圧(HV)及び3種類の中間電圧(MV1,MV2,MV3)を生成する。なお、これらの電圧は以下の関係を満たす。
【0037】
MV1=HV−MHV
MV2=MHV−MLV
MV3=MLV ここで、HV>MHV>MLV>0
【0038】
TCP230(テープキャリアパッケージ)は、画像表示パネル100に取り付けられている。TCP230は、画像表示パネル100を駆動するドライバIC170(図3において不図示、図4参照)を実装し、コネクタ225A,225Bと接続される。
【0039】
コンデンサ223A〜223Dは、ノイズ除去及び電源の安定化のために設けられる。コンデンサは、コネクタ毎に挿入され、PCB220上において可能な限りコネクタ225A,225Bに近い位置に挿入される。具体的には、コンデンサ223A,223Bは、コネクタ225Aの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。コンデンサ223C,223Dは、コネクタ225Bの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。
【0040】
(3.2)論理ブロック構成
図4に示すように、情報表示装置10は、画像表示モジュール300、CPU400及び共通プラットフォーム500に区分することができる。
【0041】
画像表示モジュール300は、表面電極40a及び裏面電極40bに電圧を印加することによって白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動する。本実施形態において、画像表示モジュール300は駆動部を構成する。
【0042】
画像表示モジュール300は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動するために必要なデバイスによって構成される。具体的には、画像表示モジュール300は、ロジックコントローラ150、高圧電源160、画像表示パネル100、ドライバIC170及び位置検出部180によって構成される。
【0043】
ロジックコントローラ150は、CPU400からの制御に基づいてドライバIC170を制御する。具体的には、ロジックコントローラ150は、画像表示パネル100に適切な画像を表示させるために必要な処理が記憶されたチップによって構成される。
【0044】
高圧電源160は、DC−DCコンバータ221(図3参照)によって生成された複数の電圧をドライバIC170に供給する。
【0045】
ドライバIC170は、画像表示パネル100を駆動するICによって構成される。ドライバIC170は、ロジックコントローラ150からの制御に基づいて、高圧電源160から供給された複数の電圧のうち何れかの電圧を選択し、当該電圧値のパルスを出力する。
【0046】
位置検出部180は、タッチペンとタッチパネルとから構成される。画像表示パネル100の表面基板20aの観察側の表面がタッチペン或いは使用者の手指によって接触されると、タッチパネルによって接触位置が検出される。位置検出部180による画像表示パネル100上の接触位置は、CPU400上で動作するデバイスドライバを介して検出される。
【0047】
位置検出部180、画像表示パネル100、及びCPU400上で動作するデバイスドライバは、情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部を構成する。情報表示領域への接触位置を検出する具体的な方法としては、例えば、本願出願人によって既に出願されている、特開2008−176213号公報、特開2009−134354号公報等の方法などを適用可能である。
【0048】
CPU400上では、ユーザアプリケーション、画像処理アプリケーション及びシステムアプリケーション(例えば、外部との通信アプリケーション)が動作する。また、CPU400上では、オペレーティングシステム(例えば、Linux)及びオペレーティングシステムに対応した各種のデバイスドライバが動作する。CPU400としては、1チップのマイコンなどを用いることができる。
【0049】
共通プラットフォーム500は、位置検出部180、画像表示モジュール300及びCPU400上で動作するオペレーティングシステム及びデバイスドライバによって構成される。また、情報表示装置10は、各種メモリ(SDカードなど)へのアクセス機能、USBインタフェース及びBluetoothを搭載することもできる。
【0050】
(4)情報表示装置の基本処理
図5〜図8は、情報表示装置10において実行される基本的な駆動処理を説明するフローチャートである。基本的な駆動処理には、アップデート処理、タッチ入力処理、追記処理、消去処理がある。
【0051】
(4−1)アップデート処理
図5は、アップデート処理を説明するフローチャートである。情報表示装置10は、アップデート処理によって、現在表示されている情報に換えて新たな情報を表示する。電源部210からの電源の供給がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、現在表示されている情報を消去する処理(Erase processという、後述する)を実行する。消去の後、表示前処理(Pre-processという)を実行する。続いて、新たな情報を表示する描画処理(Draw process 1 という)を実行する。描画処理の後、表示後処理(Post-processという)を実行する。以上の一連の処理が実行されると、情報表示装置10の画像表示パネル100には、新たな情報が表示される。なお、アップデート処理において、表示前処理及び表示後処理は、実行しなくてもよい。
【0052】
(4−2)タッチ入力処理
図6はタッチ入力処理を説明するフローチャートである。タッチ入力処理では、図5に示したフローチャートにおける描画処理の代わりに、現在表示されている情報に換えて、或いは現在表示されている情報に加えてタッチ入力によって入力された情報を表示する処理(Touch input processという)を実行する。これにより、情報表示装置10の画像表示パネル100には、タッチ入力によって入力された新たな情報が表示される。
【0053】
(4−3)追記処理
図7は、追記処理を説明するフローチャートである。追記処理では、現在表示されている情報に加えて、新たな情報が追加して表示される。電源がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、現在表示されている情報に加えて新たな情報を追加して表示する、或いは現在表示されている情報に加えてタッチ入力によって入力された情報を表示する追記処理(Draw process 2 という)を実行する。追記処理の後、表示後処理(Post-processという)を実行する。以上の一連の処理が実行されると、情報表示装置10の画像表示パネル100には、予め表示されていた情報に、新たな情報が追加して表示される。
【0054】
(4−4)消去処理
図8は、消去処理を説明するフローチャートである。消去処理では、情報表示装置10の画像表示パネル100に表示されている情報が消去される。電源がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、消去処理(Erase processという)を実行する。
【0055】
(5)タッチ入力処理の詳細な説明
(5−1)タッチ入力処理(画素周期2)
図9は、タッチ入力処理を説明する模式図である。図10は、位置検出部180を構成するタッチペン181のペン先が情報表示領域に接する領域の時間推移を説明する模式図である。図10は、時刻が時刻t1〜t4と変化したときに、ペン先が領域A1〜領域A4のように推移することを示している。時刻t1〜t4の間隔は、位置検出部における検出間隔を示す。図11は、位置検出部により各時刻(t1〜t4)に検出された情報表示領域に対応する入力領域S1〜S4の時刻t5における様子を示す模式図である。図11では、ペン先の軌跡に対応する画素についてのみ記載されているが、実際には、図11において白抜きで示した画素にも画像が表示されている。
【0056】
実施形態として示す情報表示装置10では、赤フィルタ110R,緑フィルタ110G,青フィルタ110B,透明領域110Wが1画素を形成している。実施形態では、検出されたペン先の領域A1を含む所定の入力領域S1において、赤フィルタ110Rと緑フィルタ110Gとが画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に繰り返し配列されている。また、赤フィルタ110Rと青フィルタ110Bとが長さ方向(X方向)に繰り返し配列されている。Y方向であれば、「R」、「G」、「R」、「G」、…、X方向であれば、「R」、「B」、「R」、「B」、…と繰り返される。従って、このような「R」、「G」、「B」の配列を「画素周期2」の配列という。
【0057】
タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部((タッチペン/タッチパネル)180によって検出された画像表示パネル100における検出位置に対応する領域内の表面電極40aと裏面電極40bを、画素を構成する複数のカラーフィルタの繰り返し数、すなわち画素周期に分けて選択し、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を印加する。
【0058】
図12は、入力領域のひとつ(S1)を拡大した拡大図である。説明のため、図12では、赤フィルタ110Rを「R」、緑フィルタ110Gを「G」、青フィルタ110Bを「B」と表す。ロジックコントローラ150は、入力領域S1内において、2段階に分けて表面電極40aと裏面電極40bを選択する。すなわち、ロジックコントローラ150は、ステップ1において、表面電極41aと裏面電極41bとを選択して電圧を印加し、ステップ2において、表面電極42aと裏面電極42bとを選択して電圧を印加する。
【0059】
ロジックコントローラ150は、実施形態では、所定のカラーフィルタに対応する表面電極40aと裏面電極40bに対して、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を順次印加する。
【0060】
図12を用いて説明したように、入力領域S1内において、段階的に選択された表面電極40a及び裏面電極40bに電圧を印加し、更に、検出された領域に対して順次この処理を実行することにより、図11に示すような軌跡が表示される。印加する電圧の波形については後述する。
【0061】
(5−2)タッチ入力処理(画素周期3)
本実施形態では、例えば、ほかのカラーフィルタであっても適用できる。例えば、W領域を含まない3原色フィルタを用いることもできる。以下、図13,図14を用いて、画素周期3のカラーフィルタを使用した場合の、タッチ入力処理について説明する。図13は、赤フィルタR,緑フィルタG,青フィルタBがX方向及びY方向にこの順番に配列されたフィルタである。このような配列を画素周期3の配列という。
【0062】
図13は、位置検出部により各時刻(t1〜t4)に検出された情報表示領域に対応する入力領域S11〜S14の時刻t5における様子を示す模式図である。
【0063】
図14(a)〜(c)は、入力領域のひとつ(S11)を拡大した拡大図である。ロジックコントローラ150は、入力領域S11内において、図14(a)、(b)、(c)の3段階に分けて表面電極40aと裏面電極40bを選択する。すなわち、ロジックコントローラ150は、ステップ11において、表面電極142a,143aと裏面電極141b,144bとを選択して電圧を印加し、ステップ12において、表面電極141a,143aと裏面電極142b,145bとを選択して電圧を印加し、ステップ13において、表面電極141a,142aと裏面電極143b,146bとを選択して電圧を印加する。
【0064】
図14を用いて説明したように、入力領域S1内において、画素周期における繰り返し数に分けて段階的に表面電極及び裏面電極を選択して電圧を印加することにより、図13に示すような軌跡が表示される。印加する電圧の波形については後述する。
【0065】
(5−3)タッチ入力処理における印加電圧
上述したタッチ入力処理において、画像表示モジュール300によって電極間に印加される電圧について説明する。実施形態において、駆動電圧には、HV、MHV、MLV、0(但し、HV>MHV>MLV>0)の4種類が設定されている。例えば、裏面電極40bの電位がHVに設定され、表面電極40aの電位がMHVに設定されることにより、電極間に中間電位MV1(HV−MHV)が印加される。表面電極40aの電位がMHVに設定され、裏面電極40bの電位がMLVに設定されることにより、電極間に中間電位MV2(MHV−MLV)が印加される。裏面電極40bの電位がMLVに設定され、表面電極40aの電位がグランド電位に設定されることにより、電極間に中間電位MV3(MLV)が印加される。
【0066】
(5−4)タッチ入力処理の駆動波形
図12は、タッチ入力処理において用いられる駆動波形の一例を示す図である。タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部(タッチペン/タッチパネル)180によって検出された画像表示パネル100における検出位置に対応する表面電極40aと裏面電極40b(この場合の選択電極)に対して、以下に説明するパルスセットP7を発生する。ロジックコントローラ150は、選択電極に対して、電位−HV、パルス幅TTon1のパルスをパルス間隔TToff1でNT回発生する。このとき、発生するパルスの回数kが増すに連れてパルス幅TTonkをパルス幅TTon1よりも長くするとともに、パルス間隔TToffkをパルス間隔TToff1よりも短くするように制御する。実施形態におけるTTon1、TToff1、NDの値を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
非選択電極の電位差の極性は、描画する画像パターンによって変更することができる。、また、ロジックコントローラ150は、非選択電極に対して、パルスセットP8を発生する。すなわち、電位−MV1(又は−MV3)、パルス幅TT1on1のパルスをパルス間隔TT1off1でNT1回発生する。このとき、発生するパルスの回数kが増すに連れてパルス幅TT1onkをパルス幅TT1on1よりも長くするとともに、パルス間隔TToffkをパルス間隔TToff1よりも短くするように制御する。
【0069】
(6)作用・効果
実施形態の情報表示装置10によれば、ロジックコントローラ150は、少なくともタッチペン/タッチパネル、画像表示パネル100などによって構成される位置検出部によって検出された検出位置に対応する領域(図11におけるS1〜S4)において、画素を構成する複数のカラーフィルタ110(赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B、透明領域W)に対して、裏面電極40bの配列方向(すなわちX方向)に沿った配列周期の順に、表面電極40a及び裏面電極40b対して白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧を異なるタイミングで印加する。
【0070】
これにより、最初に検出された領域に対応する入力領域S1の全ての画素の色を再現した後、次に検出された領域に対応する画素集合S2の全画素の色を再現する場合に比べて、ペン先の軌跡が表示されるまでのタイムラグを縮めることができる。従って、情報表示領域が接触された位置に画像を表示する際の応答性を高めることができ、使用者は、紙に実際に描画している感覚に近い感覚で使用できる。
【0071】
(7)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0072】
例えば、複数のカラーフィルタ110(赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B、透明領域W)の配列は、図2,図10などに記載された配列に限定されない。いわゆる、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などであってもよい。
【0073】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…情報表示装置、 20a…表面基板、 20b…裏面基板、 30…平坦化層、 40a…表面電極、 40b…裏面電極、 50…隔壁、 70…有色層、 80…散乱層、 90B…黒色表示媒体、 90W…白色表示媒体、 100…画像表示パネル、 110R…赤フィルタ、 110G…緑フィルタ、 110B…青フィルタ、 150…ロジックコントローラ、 160…高圧電源、 170…ドライバIC、 180…位置検出部、 200…筐体、 210…電源部、 220…PCB、 221…DCコンバータ、 223A〜223D…コンデンサ、 225A,225B…コネクタ、 230…TCP、 300…画像表示モジュール、 400…CPU、 500…共通プラットフォーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が表示される表面基板側に形成される電極と、表面基板に対向する裏面基板側に形成される電極とに電圧を印加することにより、電極間に封入された表示媒体を駆動させて情報を表示する情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報が表示される情報表示領域を有する透明な表面基板と、前記表面基板に対向する裏面基板との間に、隔壁により互いに隔離された空間(セル)を形成し、電気的に駆動可能な白色又は黒色に着色された表示媒体(例えば、電子粉流体(登録商標))をセル内に1種類以上封入した情報表示装置が知られている。このような情報表示装置では、表面基板側に形成された電極と、裏面基板側に形成された電極とに電圧を印加することによって、白色又は黒色に着色された表示媒体を表面基板側或いは裏面基板側に移動させることにより画像を含む情報を表示する。
【0003】
また、このような情報表示装置において、表示側の表面基板を位置検出電極として兼用させることにより、情報表示領域における指やペンなどの入力手段が接触した位置を検出する機能が付与された情報表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このような情報表示装置では、情報表示領域における入力手段の接触位置を検出した場所に画像を表示する使用方法が可能である。すなわち、紙にペンで描画するようにペンの軌跡を表示するような使用方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−134354号公報 第2図など
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した情報表示装置では、使用者にとって紙に実際に描画しているような感覚で使用できるようにするためには、改善の余地が残されていた。そこで、本発明は、指やタッチペンなどの指示器が接触した情報表示領域の位置に位置に画像を表示する際の応答性を高めることができる情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板の一方に複数並列に形成される細長い帯状の透明な第1電極部と、前記第1電極部に対して交差するように前記一対の基板の他方に複数並列に形成された細長い帯状の透明な第1電極部と、前記第1電極部と前記第2電極部との間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を移動可能な所定回数のパルス状の書き込み電圧を印加する駆動部と、前記基板において情報が表示される情報表示領域に配置され、1画素に対応する複数の原色が周期的に配列された色フィルターと、前記情報表示領域に配置され、前記情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部とを備える情報表示装置であって、前記駆動部は、前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿って配列された前記原色の何れか一つの原色に対応する前記第1電極部及び前記第2電極部に対して、前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加することを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、指やタッチペンなどの指示器が接触した情報表示領域の位置に画像を表示する際の応答性を高めることができる情報表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の平面図であり、図2(b)は、幅方向(Y方向)及び高さ方向(Z方向)に沿った断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態に係る情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理であるアップデート処理を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理であるタッチ入力処理を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理である追記処理を説明するフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動処理である消去処理を説明するフローチャートである。
【図9】図9は、タッチ入力処理を説明する模式図である。
【図10】図10は、タッチペンのペン先が情報表示領域に接する領域の時間推移を説明する模式図である。
【図11】図11は、タッチペンのペン先が情報表示領域に接することによって検出された入力領域の時間推移を説明する図である。
【図12】図12は、画素周期2のカラーフィルタに設定される入力領域のひとつを説明する拡大図である。
【図13】図13は、画素周期3の場合、タッチペンのペン先が情報表示領域に接することによって検出された入力領域の時間推移を説明する図である。
【図14】図14は、画素周期3のカラーフィルタに設定される入力領域のひとつを説明する拡大図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に係る画像表示パネル100の駆動に用いられる駆動波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る情報表示装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0011】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0012】
(1)情報表示装置の概略説明
図1は、本実施形態に係る情報表示装置10の概略斜視図である。図1に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100と筐体200とを有する。画像表示パネル100は、情報表示装置10に読み込まれた画像データに基づいて画像を表示する。筐体200は、画像表示パネル100及び画像表示パネル100を駆動する電源やプリント回路基板(PCB)などを収容する。筐体200の側部には、メモリカードのスロット及びUSBインタフェース(不図示)などが設けられてもよい。
【0013】
画像表示パネル100は、表示媒体移動型であり、具体的には、例えば、白色と黒色の電子粉流体(登録商標)などの帯電性粒子を含んだ複数の粒子群が用いられる。画像表示パネル100のサイズは、特に限定されないが、本実施形態では、6インチ〜15インチ程度であるものとして以下説明する。
【0014】
(2)画像表示パネルの構造
以下において、画像表示パネル100の概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2(a)は、画像表示パネル100の拡大平面図である。図2(b)は、図2(a)のB−B断面図である。図2(b)は、白色表示媒体90Wが情報表示面側(図中の「目」のマークを参照)に位置している状態を示す。
【0015】
図2(a)及び(b)に示すように、画像表示パネル100は、表面基板20a、裏面基板20b、平坦化層30、表面電極40a、裏面電極40b、隔壁50及びカラーフィルタ110を有する。
【0016】
一対の表面基板20a及び裏面基板20bのうち、表面基板20aは、情報表示面側に形成される。表面基板20aは透明な基板である。表面基板20aは、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものが好ましい。裏面基板20bは、表面基板20aと対向する。本実施形態では、裏面基板20bも透明な基板である。なお、裏面基板20bは必ずしも透明でなくてもよく、一方の基板(表面基板20a)が透明であればよい。
【0017】
表面基板20a及び裏面基板20bは、一対の電極部(表面電極40a,裏面電極40b)に対応して設けられる。具体的には、表面基板20a及び裏面基板20bは、表面電極40a,裏面電極40bよりも外側にそれぞれ設けられる。
【0018】
平坦化層30は、表面基板20aと表面電極40aとの間に形成される。平坦化層30は、表面基板20aの全面を覆っているが、平坦化層30は、表面基板20aを部分的に覆っていてもよい。平坦化層30の表面電極40a側の表面は、平らに形成される。平坦化層30は、透明である。表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bとが含まれる。カラーフィルタ110には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、C領域を構成する。C領域を構成する赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、カラー画像の表示に必要な、いわゆる三原色カラー「R(赤)、G(緑)、B(青)」であり、「所定カラー」に相当する。
【0019】
図2(a)に示されるように、表面基板20a側からの平面視において、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは規則性を持って配列されている。具体的には、赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110Bは、平面視において格子状に形成された隔壁50に囲まれた領域に配置されている。隔壁50に囲まれた領域において、図2の紙面において、左上に赤フィルタ110Rが配置され、右上に緑フィルタ110Gが配置され、左下に青フィルタ110Bが配置されている。右下の領域には、カラーフィルタ110が配置されない透明領域110Wが形成されている。透明領域110Wは、W領域を構成する。透明領域110W領域には、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bによって、黒色、白色、及び黒色と白色の中間色が表示される。
【0020】
図2(b)に示されるように、白色表示媒体90Wが表面基板20a側の青フィルタ110Bに対応する位置にある場合、観察者には青色が表示されていると視認される。その他の色についても同様である。
【0021】
表面基板20aの裏面電極40b側には、カラーフィルタ110が形成されている。更に、カラーフィルタ110のの裏面電極40b側には、平坦化層30が形成されている。そのため、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔が一定に保たれる。平坦化層30を形成することによって、表面電極40aと裏面電極40bとの間隔を一定に保つことができ、表示媒体100の応答性を均一にできる。カラーフィルタ110は、例えば、表面基板20a上にカラーフィルタレジストを塗布したり、カラーインクを印刷することによって形成される。
【0022】
表面電極40aは、表面基板20a側に形成される透明な電極である。表面電極40aは、表面基板20aの内側の表面に形成されている。裏面電極40bは、裏面基板20b側に形成される電極である。裏面電極40bは裏面基板20bの内側に形成されている。表面電極40a及び裏面電極40bは、細長い帯状の電極であり、互いに交差(実施形態では、直交する)するように配設、つまり、マトリックス状に配設されており、画像表示パネル100では、パッシブマトリックス駆動方式が用いられる。
【0023】
具体的には、表面電極40aは、画像表示パネル100の長さ方向(X方向)に沿って複数配設される。一方、裏面電極40bは、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に沿って複数配設される。本実施形態において、表面電極40aは、所定方向に配設された第1電極を構成し、裏面電極40bは、所定方向と交差する方向に配設された第2電極を構成する。表面電極40aと裏面電極40bとが交差するそれぞれの部分が、画素に対応する。
【0024】
隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間に形成される。隔壁50は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bが封入される空間Sを仕切る。隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間の空間を確保するために設けられる。空間Sには、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bの他に、気体(例えば、空気)が封入されている。隔壁50は、表面基板20a側からの視点において格子状に形成される。格子状とは、所定の空間が形成されるように、周期的に配置されていればよい。空間Sは真空にすることもできる。
【0025】
なお、上述した表面基板20a、裏面基板20b、表面電極40a、裏面電極40b及び隔壁50としては、上述した特開2008−158509号公報などに記載されている材料を適宜用いることができる。また、平坦化層30としては、例えば、エポキシ系ポリマー、アクリル系ポリマーなどの透明性を有する高分子を用いることができる。
【0026】
また、画像表示パネル100は、有色層70及び散乱層80を有する。有色層70は、裏面基板20bの外側に形成される。裏面基板20bの外側とは、表面基板20a側とは反対側をいう。有色層70は、裏面基板20bの外側の表面上に形成されている。なお、有色層70は、表面基板20a側からの視点において、隔壁50と対応する部分に形成されていてもよい。
【0027】
散乱層80は、表面基板20aの外側に形成されている。表面基板20aの外側とは、裏面基板20b側とは反対側をいう。散乱層80は、表面基板20a上に形成されている。散乱層80は、光を散乱する。散乱層80は、光を散乱すれば、散乱方法は問わない。例えば、散乱層80の表面に凹凸を有することにより、光を散乱させる。
【0028】
なお、図2(b)に示されるように、画像表示パネル100において、表面基板20aと、表面電極40aと、カラーフィルタ90とを含み、パネルPと表す。パネルPは、平坦化層30及び散乱層70を含んでもよい。パネルPは、表面基板20a側から白色表示媒体80との間にある部材によって構成される。
【0029】
白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、表面電極40aと裏面電極40bとの間に封入される。例えば、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群である白色表示媒体90W及び正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群である黒色表示媒体90Bは、表面電極40a及び裏面電極40bを介して電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する。つまり、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、それぞれ異なる極性の帯電性を有し、電気的に駆動可能である。具体的には、表面電極40aと裏面電極40bとに電圧を印加することによって、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、何れかの電極に向けて移動する。
【0030】
本実施形態では、表面電極40aに正の電圧を印加すると、白色表示媒体90Wが表面電極40a側に移動し、黒色表示媒体90Bが裏面電極40b側に移動する。一方、表面電極40aに負の電圧を印加すると、黒色表示媒体90Bが表面電極40a側に移動し、白色表示媒体90Wが裏面電極40b側に移動する。
【0031】
本実施形態では、白色表示媒体90Wは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練する。得られた溶融混練物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して、負帯電性の白色粒子群(白色表示媒体90W)を得ることができる。
【0032】
また、黒色表示媒体90Bは、例えば、以下に示す製法や材料によって製造される。まず、メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させる。分散させた液に、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させる。その後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させる。その液を、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製))を0.5%添加した精製水に懸濁させる。懸濁液をろ過し、得られた粒子を乾燥させる。得られた乾燥物をジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕する。この粉砕物を分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級することによって、黒色粒子群(黒色表示媒体90B)を得ることができる。
【0033】
(3)情報表示装置のブロック構成
図3は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアのブロック構成図である。図4は、情報表示装置10の論理ブロック構成図である。
【0034】
(3.1)ハードウェア構成
図3に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100の駆動に関連するハードウェアとして、電源部210、PCB220、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225B及びTCP230を備える。
【0035】
電源部210は、バッテリ、またはAC電源と交直電圧変換器とによって構成される。PCB220(プリント回路基板)には、DC−DCコンバータ221、コンデンサ223A〜223D、コネクタ225A,225Bが搭載される。
【0036】
DC−DCコンバータ221は、電源部210から供給された電源を用いて、画像表示パネル100を駆動する複数の直流電圧を生成する。具体的には、DC−DCコンバータ221は、高電圧(HV)及び3種類の中間電圧(MV1,MV2,MV3)を生成する。なお、これらの電圧は以下の関係を満たす。
【0037】
MV1=HV−MHV
MV2=MHV−MLV
MV3=MLV ここで、HV>MHV>MLV>0
【0038】
TCP230(テープキャリアパッケージ)は、画像表示パネル100に取り付けられている。TCP230は、画像表示パネル100を駆動するドライバIC170(図3において不図示、図4参照)を実装し、コネクタ225A,225Bと接続される。
【0039】
コンデンサ223A〜223Dは、ノイズ除去及び電源の安定化のために設けられる。コンデンサは、コネクタ毎に挿入され、PCB220上において可能な限りコネクタ225A,225Bに近い位置に挿入される。具体的には、コンデンサ223A,223Bは、コネクタ225Aの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。コンデンサ223C,223Dは、コネクタ225Bの電源ライン(HV、MHV,MLV)とGNDとの間に挿入される。
【0040】
(3.2)論理ブロック構成
図4に示すように、情報表示装置10は、画像表示モジュール300、CPU400及び共通プラットフォーム500に区分することができる。
【0041】
画像表示モジュール300は、表面電極40a及び裏面電極40bに電圧を印加することによって白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動する。本実施形態において、画像表示モジュール300は駆動部を構成する。
【0042】
画像表示モジュール300は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動するために必要なデバイスによって構成される。具体的には、画像表示モジュール300は、ロジックコントローラ150、高圧電源160、画像表示パネル100、ドライバIC170及び位置検出部180によって構成される。
【0043】
ロジックコントローラ150は、CPU400からの制御に基づいてドライバIC170を制御する。具体的には、ロジックコントローラ150は、画像表示パネル100に適切な画像を表示させるために必要な処理が記憶されたチップによって構成される。
【0044】
高圧電源160は、DC−DCコンバータ221(図3参照)によって生成された複数の電圧をドライバIC170に供給する。
【0045】
ドライバIC170は、画像表示パネル100を駆動するICによって構成される。ドライバIC170は、ロジックコントローラ150からの制御に基づいて、高圧電源160から供給された複数の電圧のうち何れかの電圧を選択し、当該電圧値のパルスを出力する。
【0046】
位置検出部180は、タッチペンとタッチパネルとから構成される。画像表示パネル100の表面基板20aの観察側の表面がタッチペン或いは使用者の手指によって接触されると、タッチパネルによって接触位置が検出される。位置検出部180による画像表示パネル100上の接触位置は、CPU400上で動作するデバイスドライバを介して検出される。
【0047】
位置検出部180、画像表示パネル100、及びCPU400上で動作するデバイスドライバは、情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部を構成する。情報表示領域への接触位置を検出する具体的な方法としては、例えば、本願出願人によって既に出願されている、特開2008−176213号公報、特開2009−134354号公報等の方法などを適用可能である。
【0048】
CPU400上では、ユーザアプリケーション、画像処理アプリケーション及びシステムアプリケーション(例えば、外部との通信アプリケーション)が動作する。また、CPU400上では、オペレーティングシステム(例えば、Linux)及びオペレーティングシステムに対応した各種のデバイスドライバが動作する。CPU400としては、1チップのマイコンなどを用いることができる。
【0049】
共通プラットフォーム500は、位置検出部180、画像表示モジュール300及びCPU400上で動作するオペレーティングシステム及びデバイスドライバによって構成される。また、情報表示装置10は、各種メモリ(SDカードなど)へのアクセス機能、USBインタフェース及びBluetoothを搭載することもできる。
【0050】
(4)情報表示装置の基本処理
図5〜図8は、情報表示装置10において実行される基本的な駆動処理を説明するフローチャートである。基本的な駆動処理には、アップデート処理、タッチ入力処理、追記処理、消去処理がある。
【0051】
(4−1)アップデート処理
図5は、アップデート処理を説明するフローチャートである。情報表示装置10は、アップデート処理によって、現在表示されている情報に換えて新たな情報を表示する。電源部210からの電源の供給がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、現在表示されている情報を消去する処理(Erase processという、後述する)を実行する。消去の後、表示前処理(Pre-processという)を実行する。続いて、新たな情報を表示する描画処理(Draw process 1 という)を実行する。描画処理の後、表示後処理(Post-processという)を実行する。以上の一連の処理が実行されると、情報表示装置10の画像表示パネル100には、新たな情報が表示される。なお、アップデート処理において、表示前処理及び表示後処理は、実行しなくてもよい。
【0052】
(4−2)タッチ入力処理
図6はタッチ入力処理を説明するフローチャートである。タッチ入力処理では、図5に示したフローチャートにおける描画処理の代わりに、現在表示されている情報に換えて、或いは現在表示されている情報に加えてタッチ入力によって入力された情報を表示する処理(Touch input processという)を実行する。これにより、情報表示装置10の画像表示パネル100には、タッチ入力によって入力された新たな情報が表示される。
【0053】
(4−3)追記処理
図7は、追記処理を説明するフローチャートである。追記処理では、現在表示されている情報に加えて、新たな情報が追加して表示される。電源がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、現在表示されている情報に加えて新たな情報を追加して表示する、或いは現在表示されている情報に加えてタッチ入力によって入力された情報を表示する追記処理(Draw process 2 という)を実行する。追記処理の後、表示後処理(Post-processという)を実行する。以上の一連の処理が実行されると、情報表示装置10の画像表示パネル100には、予め表示されていた情報に、新たな情報が追加して表示される。
【0054】
(4−4)消去処理
図8は、消去処理を説明するフローチャートである。消去処理では、情報表示装置10の画像表示パネル100に表示されている情報が消去される。電源がオンに設定されると、ロジックコントローラ150は、消去処理(Erase processという)を実行する。
【0055】
(5)タッチ入力処理の詳細な説明
(5−1)タッチ入力処理(画素周期2)
図9は、タッチ入力処理を説明する模式図である。図10は、位置検出部180を構成するタッチペン181のペン先が情報表示領域に接する領域の時間推移を説明する模式図である。図10は、時刻が時刻t1〜t4と変化したときに、ペン先が領域A1〜領域A4のように推移することを示している。時刻t1〜t4の間隔は、位置検出部における検出間隔を示す。図11は、位置検出部により各時刻(t1〜t4)に検出された情報表示領域に対応する入力領域S1〜S4の時刻t5における様子を示す模式図である。図11では、ペン先の軌跡に対応する画素についてのみ記載されているが、実際には、図11において白抜きで示した画素にも画像が表示されている。
【0056】
実施形態として示す情報表示装置10では、赤フィルタ110R,緑フィルタ110G,青フィルタ110B,透明領域110Wが1画素を形成している。実施形態では、検出されたペン先の領域A1を含む所定の入力領域S1において、赤フィルタ110Rと緑フィルタ110Gとが画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に繰り返し配列されている。また、赤フィルタ110Rと青フィルタ110Bとが長さ方向(X方向)に繰り返し配列されている。Y方向であれば、「R」、「G」、「R」、「G」、…、X方向であれば、「R」、「B」、「R」、「B」、…と繰り返される。従って、このような「R」、「G」、「B」の配列を「画素周期2」の配列という。
【0057】
タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部((タッチペン/タッチパネル)180によって検出された画像表示パネル100における検出位置に対応する領域内の表面電極40aと裏面電極40bを、画素を構成する複数のカラーフィルタの繰り返し数、すなわち画素周期に分けて選択し、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を印加する。
【0058】
図12は、入力領域のひとつ(S1)を拡大した拡大図である。説明のため、図12では、赤フィルタ110Rを「R」、緑フィルタ110Gを「G」、青フィルタ110Bを「B」と表す。ロジックコントローラ150は、入力領域S1内において、2段階に分けて表面電極40aと裏面電極40bを選択する。すなわち、ロジックコントローラ150は、ステップ1において、表面電極41aと裏面電極41bとを選択して電圧を印加し、ステップ2において、表面電極42aと裏面電極42bとを選択して電圧を印加する。
【0059】
ロジックコントローラ150は、実施形態では、所定のカラーフィルタに対応する表面電極40aと裏面電極40bに対して、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧(HV)を順次印加する。
【0060】
図12を用いて説明したように、入力領域S1内において、段階的に選択された表面電極40a及び裏面電極40bに電圧を印加し、更に、検出された領域に対して順次この処理を実行することにより、図11に示すような軌跡が表示される。印加する電圧の波形については後述する。
【0061】
(5−2)タッチ入力処理(画素周期3)
本実施形態では、例えば、ほかのカラーフィルタであっても適用できる。例えば、W領域を含まない3原色フィルタを用いることもできる。以下、図13,図14を用いて、画素周期3のカラーフィルタを使用した場合の、タッチ入力処理について説明する。図13は、赤フィルタR,緑フィルタG,青フィルタBがX方向及びY方向にこの順番に配列されたフィルタである。このような配列を画素周期3の配列という。
【0062】
図13は、位置検出部により各時刻(t1〜t4)に検出された情報表示領域に対応する入力領域S11〜S14の時刻t5における様子を示す模式図である。
【0063】
図14(a)〜(c)は、入力領域のひとつ(S11)を拡大した拡大図である。ロジックコントローラ150は、入力領域S11内において、図14(a)、(b)、(c)の3段階に分けて表面電極40aと裏面電極40bを選択する。すなわち、ロジックコントローラ150は、ステップ11において、表面電極142a,143aと裏面電極141b,144bとを選択して電圧を印加し、ステップ12において、表面電極141a,143aと裏面電極142b,145bとを選択して電圧を印加し、ステップ13において、表面電極141a,142aと裏面電極143b,146bとを選択して電圧を印加する。
【0064】
図14を用いて説明したように、入力領域S1内において、画素周期における繰り返し数に分けて段階的に表面電極及び裏面電極を選択して電圧を印加することにより、図13に示すような軌跡が表示される。印加する電圧の波形については後述する。
【0065】
(5−3)タッチ入力処理における印加電圧
上述したタッチ入力処理において、画像表示モジュール300によって電極間に印加される電圧について説明する。実施形態において、駆動電圧には、HV、MHV、MLV、0(但し、HV>MHV>MLV>0)の4種類が設定されている。例えば、裏面電極40bの電位がHVに設定され、表面電極40aの電位がMHVに設定されることにより、電極間に中間電位MV1(HV−MHV)が印加される。表面電極40aの電位がMHVに設定され、裏面電極40bの電位がMLVに設定されることにより、電極間に中間電位MV2(MHV−MLV)が印加される。裏面電極40bの電位がMLVに設定され、表面電極40aの電位がグランド電位に設定されることにより、電極間に中間電位MV3(MLV)が印加される。
【0066】
(5−4)タッチ入力処理の駆動波形
図12は、タッチ入力処理において用いられる駆動波形の一例を示す図である。タッチ入力処理では、ロジックコントローラ150は、少なくとも位置検出部(タッチペン/タッチパネル)180によって検出された画像表示パネル100における検出位置に対応する表面電極40aと裏面電極40b(この場合の選択電極)に対して、以下に説明するパルスセットP7を発生する。ロジックコントローラ150は、選択電極に対して、電位−HV、パルス幅TTon1のパルスをパルス間隔TToff1でNT回発生する。このとき、発生するパルスの回数kが増すに連れてパルス幅TTonkをパルス幅TTon1よりも長くするとともに、パルス間隔TToffkをパルス間隔TToff1よりも短くするように制御する。実施形態におけるTTon1、TToff1、NDの値を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
非選択電極の電位差の極性は、描画する画像パターンによって変更することができる。、また、ロジックコントローラ150は、非選択電極に対して、パルスセットP8を発生する。すなわち、電位−MV1(又は−MV3)、パルス幅TT1on1のパルスをパルス間隔TT1off1でNT1回発生する。このとき、発生するパルスの回数kが増すに連れてパルス幅TT1onkをパルス幅TT1on1よりも長くするとともに、パルス間隔TToffkをパルス間隔TToff1よりも短くするように制御する。
【0069】
(6)作用・効果
実施形態の情報表示装置10によれば、ロジックコントローラ150は、少なくともタッチペン/タッチパネル、画像表示パネル100などによって構成される位置検出部によって検出された検出位置に対応する領域(図11におけるS1〜S4)において、画素を構成する複数のカラーフィルタ110(赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B、透明領域W)に対して、裏面電極40bの配列方向(すなわちX方向)に沿った配列周期の順に、表面電極40a及び裏面電極40b対して白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bを駆動可能な書き込み電圧を異なるタイミングで印加する。
【0070】
これにより、最初に検出された領域に対応する入力領域S1の全ての画素の色を再現した後、次に検出された領域に対応する画素集合S2の全画素の色を再現する場合に比べて、ペン先の軌跡が表示されるまでのタイムラグを縮めることができる。従って、情報表示領域が接触された位置に画像を表示する際の応答性を高めることができ、使用者は、紙に実際に描画している感覚に近い感覚で使用できる。
【0071】
(7)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0072】
例えば、複数のカラーフィルタ110(赤フィルタ110R、緑フィルタ110G、青フィルタ110B、透明領域W)の配列は、図2,図10などに記載された配列に限定されない。いわゆる、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などであってもよい。
【0073】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0074】
10…情報表示装置、 20a…表面基板、 20b…裏面基板、 30…平坦化層、 40a…表面電極、 40b…裏面電極、 50…隔壁、 70…有色層、 80…散乱層、 90B…黒色表示媒体、 90W…白色表示媒体、 100…画像表示パネル、 110R…赤フィルタ、 110G…緑フィルタ、 110B…青フィルタ、 150…ロジックコントローラ、 160…高圧電源、 170…ドライバIC、 180…位置検出部、 200…筐体、 210…電源部、 220…PCB、 221…DCコンバータ、 223A〜223D…コンデンサ、 225A,225B…コネクタ、 230…TCP、 300…画像表示モジュール、 400…CPU、 500…共通プラットフォーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な一対の基板と、
前記一対の基板の一方に複数並列に形成される細長い帯状の透明な第1電極部と、
前記第1電極部に対して交差するように前記一対の基板の他方に複数並列に形成された細長い帯状の透明な第1電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、
前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を移動可能な所定回数のパルス状の書き込み電圧を印加する駆動部と、
前記基板において情報が表示される情報表示領域に配置され、1画素に対応する複数の原色が周期的に配列された色フィルターと、
前記情報表示領域に配置され、前記情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部と
を備える情報表示装置であって、
前記駆動部は、
前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿って配列された前記原色の何れか一つの原色に対応する前記第1電極部及び前記第2電極部に対して、前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加する情報表示装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿った前記原色の配列周期の順に、前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加する請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項1】
少なくとも一方が透明な一対の基板と、
前記一対の基板の一方に複数並列に形成される細長い帯状の透明な第1電極部と、
前記第1電極部に対して交差するように前記一対の基板の他方に複数並列に形成された細長い帯状の透明な第1電極部と、
前記第1電極部と前記第2電極部との間に封入され、電界が与えられることによって何れかの電極に向けて移動する表示媒体と、
前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を移動可能な所定回数のパルス状の書き込み電圧を印加する駆動部と、
前記基板において情報が表示される情報表示領域に配置され、1画素に対応する複数の原色が周期的に配列された色フィルターと、
前記情報表示領域に配置され、前記情報表示領域が接触された接触位置を検出する位置検出部と
を備える情報表示装置であって、
前記駆動部は、
前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿って配列された前記原色の何れか一つの原色に対応する前記第1電極部及び前記第2電極部に対して、前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加する情報表示装置。
【請求項2】
前記駆動部は、
前記情報表示領域の、少なくとも位置検出部によって接触されたことが検出された領域において、前記第1電極部又は前記第2電極部の配列方向に沿った前記原色の配列周期の順に、前記第1電極部及び前記第2電極部に対して前記表示媒体を駆動可能な書き込み電圧を印加する請求項1に記載の情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−209326(P2011−209326A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73896(P2010−73896)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.Bluetooth
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.Bluetooth
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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