説明

情報配信装置および情報端末装置

【課題】 PCを用いてサイトにアクセスした利用者が簡単な操作で自分の携帯型情報端末にそのサイトのコンテンツを転送することを可能とするシステムを提供する。
【解決手段】 スポット情報を提供するサイトは、利用者の端末上で動作するブラウザ上に、1クリックすることで所定のアドレスのサーバーに処理開始要求とともにスポット情報を送出する機能が埋め込まれたモバイルリンクボタンを提供する。利用者が、ブラウザの表示画面上に表示されたモバイルリンクボタンを1クリックすることで、サーバーは、スポット情報を取得し、さらに、ユーザー認証の為にブラウザからクッキー情報をも取得し、利用者の識別情報に関連付けてスポット情報をデータベースに記録する。利用者は、カーナビゲーション装置からスポット情報の転送要求および識別情報を送出して、ユーザー認証を受けてスポット情報を取得し、ナビゲーションアプリケーションでスポット情報を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置や携帯型コンピュータなどの移動環境で用いられる情報端末の利用者がインターネット上のサイトのコンテンツを取得する為のシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット利用の急速な拡大とともに、インターネットを利用する為の端末も、家庭やオフィス内で用いられるPC(パーソナルコンピュータ)から、さらに、カーナビゲーション装置や携帯型コンピュータなどの移動環境で用いられるもの(このように移動環境で用いられる端末を、以下単に「携帯型情報端末」と記す)にまでその種類が拡大されている。このような携帯型情報端末は、携帯電話、PHSなどのデータ通信機能を持つ無線通信手段を接続可能とし、これらの無線通信手段を利用してインターネットに接続することで、インターネット上のサイトのコンテンツへのアクセスを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−51671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型情報端末からインターネットへアクセスすることは、PCのブラウザ(情報閲覧ソフト)を用いて自宅やオフィス内からアクセスするのと異なり、これら携帯型情報端末特有の性質や、移動環境でアクセスするという特殊な事情から、以下のような不都合な事態を生ずる場合がある。一つには、これら携帯型情報端末は、車載すること或いは携帯で用いるという目的から当然にそのサイズや性能に関する制限を受ける。したがって、家庭やオフィスでPCを使用してサイトの情報を閲覧する場合に比較すると、これら携帯型情報端末でサイトの情報を閲覧する場合には、閲覧により多くの時間や手間がかかることになる。また、一般的に、利用者が移動環境でネット閲覧する場合は、十分な時間的な余裕が得られない場合が多く、このような状況は、これら携帯型情報端末でサイトにアクセスすることをより不都合にする。
【0005】
さらに、移動環境からのアクセスという状況を考慮すると、インターネットへのアクセスはISP(インターネット・サービス・プロバイダ)が提供するアクセスポイントを経由する必要があるので、携帯型情報端末に設定されたアクセスポイントから離れた位置に移動してしまうと電話網の使用料金が高くなってしまうことになる。このことを回避するために、携帯型情報端末の利用者は、より近いアクセスポイントからアクセスするために、携帯型情報端末のアクセスポイントに関する設定を変更する作業を行わなければならないことになる。
【0006】
以上のような、携帯型情報端末でのサイトのアクセスにおける不都合な状況から、携帯型情報端末の利用者が移動環境で十分な量のコンテンツを快適に閲覧しようとする場合には、一旦、家庭やオフィスでPCを用いて所望のサイトにアクセスし、所望のコンテンツをフラッシュメモリカードなどの携帯型情報端末に装着可能な記憶媒体にダウンロードしておくことが必要とされることになる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされた。すなわち本発明の目的は、PCを用いてサイトにアクセスした利用者が簡単な操作で自分の携帯型情報端末にそのサイトのコンテンツを転送することを可能とするシステム、情報配信装置および情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る情報配信装置は、ネットワークを介して接続され、所定のサイトにアクセスする端末からの処理開始要求を検出する検出手段と、所定のサイトが有するコンテンツ情報を受信する情報受信手段と、処理開始要求を送出した端末の識別情報を取得する第1の識別情報取得手段と、情報受信手段によって受信されたコンテンツ情報を、取得した識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備えること特徴とする。端末側から送られてくる識別情報と、送られて来たコンテンツ情報が関連付けられる。したがって、端末側の識別情報が例えば利用者IDであれば、端末の利用者は、自分専用のものとして、情報配信装置内にコンテンツ情報を記憶させておくことができる。
【0009】
また、本発明の実施形態に係る情報配信装置は、情報端末からのアクセスを検出するアクセス検出手段と、アクセスした情報端末の識別情報を取得する第2の識別情報取得手段と、記憶手段に、第2の識別情報取得手段により取得した識別情報に関連付けて記憶されるコンテンツ情報を、アクセスした情報端末に提供する情報提供手段と、をさらに備えていてもよい。アクセスしてくる情報端末側に対して、情報配信装置内に記憶されたコンテンツ情報から、識別情報で特定されるコンテンツ情報を提供することができる。
【0010】
ここで、情報配信装置は、コンテンツ情報を所定フォーマットのデータに変換するデータ変換手段をさらに備えることが好ましい。このことにより、コンテンツ情報を、アクセスしてくる情報端末側に適したフォーマット、例えばモバイルウェブ、POIXなどに変換することができる。
【0011】
また、情報提供手段は、記憶手段に記憶されたコンテンツ情報の内、情報端末に対して既に転送済みであるコンテンツ情報を除いた差分情報のみを提供する手段を有することが好ましい。このことにより、新しい情報のみを情報端末に対して提供することができる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、ネットワークを介して接続され、各識別情報に関連付けてコンテンツ情報が記憶される情報配信装置に対してアクセス可能な情報端末装置が提供される。本発明の実施形態に係る情報端末装置は、情報配信装置へのアクセス時に該情報端末装置側を識別する為の識別情報を送信する識別情報送信手段と、送信した識別情報に対応して情報配信装置から送られてくるコンテンツ情報を受信する情報受信手段とを備えることを特徴とする。この情報端末装置は、情報配信装置に記憶されるコンテンツ情報のうち、情報端末装置側から送信する識別情報で特定される情報を受信することができる。
【0013】
受信されたコンテンツ情報が、該コンテンツ情報の提供元のサイトに関する位置情報を含む場合において、情報端末装置は、地図データと、地図データと受信された位置情報とを合成して該情報端末装置の表示画面上に表示する表示制御手段を備えることが好ましい。このことにより、表示画面上に地図を表示するとともに、地図上にサイトの位置を表示できることになる。
【0014】
また、受信された位置情報に基づいてルート計算を行うルート計算手段をさらに備える構成であれば、受信したコンテンツ情報の提供元までの経路を知ることもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の情報配信システムによれば、PCを用いてサイトにアクセスした利用者が簡単な操作で自分の携帯型情報端末にそのサイトのコンテンツを転送することを可能とするシステムが提供される。携帯型情報端末の利用者は、自宅のPCなどの端末を利用してサイトにアクセスしてモバイルリンクボタンをクリックすることで、携帯型情報端末側でインターネット上のサイトにアクセスして情報を検索することなしに、すなわち携帯型情報端末側でインターネット上の情報を特別な作業をすることなく、所望のサイトの情報を携帯型情報端末側で取得することができる。したがって、携帯型情報端末側の利用者は、移動環境という不都合な環境下であっても、自宅やオフィスなどでの快適な環境下でPCを用いてネット閲覧したのと同様の効果を得ることができる。
【0016】
また、取得したスポット情報を利用し、携帯型情報端末側で地図上にそのスポットの位置を表示させて確認したり、ナビゲーションアプリケーションで利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の情報配信システム全体の構成を示す図である。
【図2】利用者、サイト、およびサーバー間でのデータ送受信の動きを説明する為の図である。
【図3】図4とともに、図1の情報配信システムにおける動作を詳細に表すフローチャートである。
【図4】図3とともに、図1の情報配信システムにおける動作を詳細に表すフローチャートである。
【図5】ユーザーIDおよびパスワードの入力を促す画面を表す図である。
【図6】ユーザー属性データを登録する為の案内画面を表す図である。
【図7】図6の画面に続く画面としての、登録内容を案内する画面を表す図である。
【図8】属性データの登録画面を表す図である。
【図9】カーナビゲーション装置で、サーバーのデータベースに記録されたスポット情報を取得する場合における、データ送受信の動きを表す図である。
【図10】カーナビゲーション装置で、サーバーのデータベースに記録されたスポット情報を取得する場合における、処理の詳細を表すフローチャートである。
【図11】ナビゲーションアプリケーションのメニュー画面において、スポット情報を検索する際の表示画面を表す図である。
【図12】ナビゲーションアプリケーションにおいて、検索されたスポットの位置をルート計算する際の表示画面を表す図である。
【図13】ナビゲーションアプリケーションにおいて、検索されたスポットのスポット情報を表示する際の表示画面を表す図である。
【図14】スマートプルアプリケーションをダウンロードする際の処理を説明する為の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の情報配信システム全体の構成を示す図1を参照して、本発明の情報配信システム100の利用形態を説明する。図1において、カーナビゲーション装置70(または携帯型コンピュータ90)と、利用者Aの自宅内に設置されたPC10の双方の所有者である利用者Aは、カーナビゲーション装置70を搭載する自動車で向かう目的地の一つとして考えているスポット、例えば、レストランCが運営するサイトにアクセスしている。PC10のブラウザ(情報閲覧ソフトウエア)上には、あるレストラン(以下、レストランCと記す)のサイトの表示画面30が表示されている。表示画面30には、レストランCに関する情報であるコンテンツ31に加えて、レストランCに関するスポット情報を、所定のURL(Uniform Resource Locator)にあるサーバー50へ転送する処理の実行開始を受け付ける為のボタン32(以下、本明細書においてこのボタンをモバイルリンクボタン32という)が提供されている。レストランCのスポット情報を、自分のカーナビゲーション装置70でも利用したいと希望した利用者Aは、PC10のブラウザ上に表示されているモバイルリンクボタン32を、PC10のポインタ、例えばマウスを用いてクリックする。利用者Aがモバイルリンクボタン32をクリックすることで、所定のURLのサーバー50に対して、レストランCのスポット情報の転送が行われる。転送されるスポット情報は、例えば、レストランCの位置データ(緯度、経度)、スポット名称、営業時間、定休日、電話番号、分類コードなどである。なお、図3および図4のフローチャートを参照して後に詳述するように、この段階でサーバー50は、PC10のブラウザから利用者Aに関する識別情報を取得してユーザー認証を行う。また、利用者Aは、レストランCのスポット情報のみでなくその他所望のサイトにアクセスし、それらのサイトで提供されるモバイルリンクボタン32をクリックし、他のスポットに関するスポット情報もサーバー50に転送することができる。
【0019】
一方、利用者Aが自動車に乗りナビゲーション装置70が起動されると、カーナビゲーション装置70のダウンロード用ソフトウエアは、カーナビゲーション装置70に接続された携帯電話71を介して、サーバー50にアクセスし、利用者Aの識別情報を用い、サーバー50にあらかじめ転送済みのスポット情報等を自動的にダウンロードする。すなわち、利用者Aは、自宅でPC10を用いて所望のサイトにアクセスし、そのサイトでモバイルリンクボタン32をクリックしておけば、カーナビゲーション装置70等の情報端末装置からサーバー50にアクセスするだけで、自動的にそのサイトに関するスポット情報等をダウンロードすることができる。カーナビゲーション装置70において、ダウンロードされたスポット情報は、カーナビゲーション装置70のナビゲーションアプリケーションによって利用され、地図上にレストランCの位置を表示し、またレストランCを目的地としてルート計算をする為に使用される。
【0020】
なお、カーナビゲーション装置70は、GPSレシーバ、地図データ、ナビゲーションアプリケーションを実行するCPU、メモリ、フラッシュカードなどの記憶装置、携帯電話と接続する為のインタフェース、及びユーザインタフェースなどのハードウエアの構成要素から成る。また、ナビゲーションアプリケーションは、GPSレシーバによる測位結果および地図データによるマップマッチング機能に基づいて自車位置を推定するとともに、ユーザインタフェースを介して設定された目的地までのルート表示を行うルート計算機能などを有する。なお、これらハードウエアの構成要素は、一般的に知られるもので良い為、特に図示はしていない。
【0021】
図2〜図8は、利用者Aが、あるサイトにアクセスしてモバイルリンクボタン32をクリックし、それによりそのサイトのスポット情報がサーバー50に転送されるまでの一連の処理の詳細を説明する為の図である。これらの図を参照して、PC10、サイトおよびサーバー50それぞれの動作の詳細を説明する。なお以下では、利用者AがアクセスするのはレストランCが運営するサイトであるものとして説明を行う。
【0022】
図2は、利用者A(利用者AのPC10など)、レストランCのサイト、およびサーバー50間でのデータ送受信の動きを説明する為の図である。利用者Aは、自宅のPC10を使用して情報の取得を希望するレストランCのサイトにアクセスし、PC10のブラウザ上にサイトのコンテンツを表示させ、ブラウザの表示画面上に表示されているモバイルリンクボタン32をクリックする(図2(a))。モバイルリンクボタン32には、サーバー50側のプログラム、例えばCGI(Common Gateway Interface)スクリプトを起動するためのURLが指定されているとともに、そのパラメータとしてレストランCのスポット情報が、例えばHTML形式でコード化されて付属している。なお、CGIとは、一般的に知られるように、ブラウザからの要求によってサーバー50のようなウェブサーバー側でプログラムを起動し、ウェブサーバーとブラウザ間でデータを交換するための規約をいう。CGIスクリプトは、ウェブサーバー側が起動させるプログラムである。
【0023】
利用者Aによってモバイルリンクボタン32がクリックされ、サーバー50に対してモバイルリンクボタン32で指定されたURLの要求が送られると、サーバー50では、そのURLに対応するCGIスクリプトが起動される。CGIスクリプトが起動すると、サーバー50からPC10のブラウザ側に、ユーザーIDとパスワードが要求される(図2(b)の矢印55)。このとき、利用者Aは、PC10のブラウザ画面上に表示されるIDとパスワードの入力要求にしたがってIDとパスワードを入力し(矢印11)、サーバー50に対して利用者Aの登録を行うことができる。このように、一度、サーバー50に利用者登録を行うことにより、利用者Aは、次回以降、いずれかのサイトにアクセスしてそのサイトのモバイルリンクボタン32をクリックしてサーバー50にスポット情報の転送を行うときに、ブラウザ上でユーザーIDとパスワードを入力する必要を無くすることができる。
【0024】
サーバー50は、さらにPC10のブラウザに対して、モバイルリンクボタン32のクリックを了承するかの確認の要求を発する(矢印56)。それに応じて、利用者Aは、PC10のブラウザ上でその確認要求に対してクリックを了承する為の入力を行う。クリックの了承が得られると、サーバー50は、PC10のブラウザから、CGIスクリプト起動のURLのパラメータとして同時に送られて来ているスポット情報を、利用者Aの識別情報に関連付けてデータベース51に記録する。
【0025】
図3および図4は、以上図2を参照して説明した動作に関する詳細を表すフローチャートである。モバイルリンクボタン32がクリックされると(S1)、PC10のブラウザから、ログインを行うサーバー50に対してプログラム(CGIスクリプト)を起動する為のURLの要求が行われる(S2)。具体的には、モバイルリンクボタン32には、サーバー50のCGIスクリプトが起動するURLが埋め込まれている。サーバー50においてプログラム(CGIスクリプト)が起動すると、サーバー50は、PC10のブラウザに対して利用者Aの認証情報(IDおよびパスワード)があるかどうかを照会する(S3)。なお、ステップS3における認証情報の照会は、例えば、サーバーとブラウザ間で情報を管理する為のいわゆるクッキー(cookie)機能を利用し、サーバー50がPC10のブラウザに対してクッキー情報(認証情報)を照会することで行うことができる。
【0026】
利用者Aが既に一度、いずれかのサイトにアクセスしてモバイルリンクボタン32をクリックしサーバー50にスポット情報の転送を行ったことがある場合、サーバー50からPC10のブラウザに対してはクッキー情報が送られているのでブラウザ側でそのクッキー情報を保存していれば、サーバー50はブラウザからクッキー情報を得ることができる。このような場合であって、サーバー50で認証(クッキー)情報が確認された場合(S3:YES)、クッキー情報に含まれるユーザーIDとパスワードが、サーバー50で受信される(S4)。次に、サーバー50は、クッキー機能としてあらかじめ登録してある識別情報(ユーザーIDおよびパスワード)を照会し(S5)、既に登録済みのユーザーであることの認証を行う(S6)。
【0027】
次に、サーバー50は、利用者Aに対してモバイルリンクボタン32のクリックを了承するか否かの確認の為の入力を促す為のデータを、PCのブラウザに対して送信する(S7)。ステップS8において、PC10のブラウザでは、ステップS7の処理で送られてきたデータに対応し、クリックを了承する旨を記述したデータをサーバー50に対して送信する。サーバー50側では、そのデータを受信する(S9)。
【0028】
次に、サーバー50は、データベース格納処理の為のプログラムを起動し(S10)、CGIスクリプト起動の為のURLのパラメータのデータとして送られてきていたスポット情報を、ユーザーID毎に分類してデータベース51に記録する。
【0029】
一方、ステップS3において、PC10のブラウザからクッキー情報が得られない場合は、利用者Aがモバイルリンクボタン32によるスポット情報転送のサービスを初めて利用するユーザーであるか、或いは初めてではないが利用者AがPC10のブラウザでクッキー情報を保存する為の設定を行っていない場合である。このような場合であって、ステップS2においてクッキー情報が得られないと(S2:NO)、サーバー50のプログラムは、PC10のブラウザの画面上にユーザーIDとパスワードの入力を促す為の表示を行う。ユーザーIDとパスワードの入力を促す表示の例を図5に示す。なお、図5にしめされるようにここでは、ユーザーIDの一例として、電子メールアドレス(Eメールアドレス)を使用することが可能となっている。
【0030】
利用者Aが、モバイルリンクボタン32による情報転送の利用経験があり、利用者Aの属性データがサーバー50に登録されている場合には(S13:YES)、利用者AはID入力画面57上でユーザーIDおよびパスワードを入力する(S14)。ここで、利用者Aは、次回以降、ユーザーIDとパスワードの入力せず(すなわち、クッキー情報を保存して)、上述のステップS3〜S6で行われたように自動的に利用者認証を行いたい場合には、チェックボックス57aをチェックする。利用者Aによって送信ボタン57bがクリックされると(S15:YES)、利用者AがID入力画面57で入力した内容がサーバー50に送信される。
【0031】
サーバー50側では、チェックボックス57aがチェックされているか否かが判定される(S16)。チェックボックス57aがチェックされている場合には(S16:YES)、利用者AがID入力画面57上で入力したパスワードと、サーバー50が独自に発行するユーザー情報が、クッキー情報(認識情報)としてPC10のブラウザに送信される(S17)。PC10のブラウザでは、受信したクッキー情報がハードディスクなどの記憶装置に保存される(S18)。次回のボタン押下時、処理はステップS4に進み、サーバー50は、PC10のブラウザからクッキー情報を受信する。
【0032】
ステップS16において、チェックボックス57aがチェックされていない場合には(S16:NO)、処理はステップS6に進み、クッキー機能として、利用者AがID入力画面57で入力したユーザーIDおよびパスワードによる利用者認証が行われる。
【0033】
一方、利用者Aが、モバイルリンクボタン32によるスポット情報転送の利用が始めてである場合には、属性データはサーバー50に登録されていないので(S13:NO)、利用者Aは、ID入力画面57上で、キャンセルボタン57cをクリックする。サーバー50のプログラムによってキャンセルボタン57cのクリックが認識されると(S19:YES)、サーバー50はPC10のブラウザの画面上に、ユーザー属性データを登録する為の案内画面59(図6参照)を表示させる(S20)。
【0034】
案内画面59上で、利用者Aが「会員登録のページへ」と記されたポインタ59aをクリックすると、PC10のブラウザには登録内容を案内する画面60(図7参照)が表示される。図7に示すように画面60では、登録の了承が促され(S23)、利用者Aは、登録を行う場合には「了承する」とかかれたボックス60aをクリックする。なお、「了承しない」と記されたボックス60bをクリックすることで処理を終了させることができる。
【0035】
利用者Aが、「了承する」と書かれたボックス60aをクリックすることで処理はステップ24に進み、PC10のブラウザには属性データ登録画面58(図8参照)が表示される。利用者Aは、属性データ登録画面58上で必要事項を入力し(S25)、その後、登録画面58上の送信ボタン58bをクリックする(S26)。送信ボタン58bのクリックによって登録画面58で入力された属性データが、サーバー50に転送される(S27)。
【0036】
サーバー50のプログラムは、送信された属性データを処理し(S28)、ユーザー情報を付加して新たにデータベース51に記録しデータベース作成を行う(S29)。次に、サーバー50は、データベースへの登録が完了した旨をPC10の利用者Aに対して送出を始める(S30)。ステップS31では、サーバー50からPC10のブラウザに対して、登録を完了する旨を記述したHTML形式のデータが送信され、それによってPC10のブラウザ上には登録が完了した旨の表示が行われ、利用者Aは登録が完了したことを認識する。その後、処理は、ステップS14からの処理に移る。
【0037】
図9は、利用者Aが所有する自動車に搭載されるカーナビゲーション装置70が、図3および図4を参照して上述した処理によって、サーバー50のデータベース51に格納されたスポット情報を取得する場合における、データ送受信の動きを表す図である。また、図10はその詳細を示すフローチャートである。カーナビゲーション装置70では、電源が投入されるとブラウザもしくはメーラーが起動し、携帯電話71を介してインターネットとの接続が行われると、サーバー50からのデータをダウンロードするためのダウンロード用ソフトウエアが起動するように構成されている。このダウンロード用ソフトウエアは、あらかじめこのダウンロード用ソフトウエアに登録された利用者AのユーザーIDおよびパスワードを用いて、自動的にサーバー50からスポット情報を取得するように構成されたスマートプル型のソフトウエアである。以下、このダウンロード用ソフトウエアを、スマートプルアプリケーションと記す。
【0038】
図9(a)において、スマートプルアプリケーションがサーバー50へログインしスポット情報の転送を要求すると(矢印73)、サーバー50からは、ユーザーIDとパスワードの要求が返送される(矢印61)。スマートプルアプリケーションがユーザーIDとパスワードを送信することで(矢印74)、サーバー50においてそのユーザーIDとパスワードとに基づくユーザー認証が行われる。図9(b)において、サーバー50でユーザー認証が行われると、データベース51の中の利用者AのユーザーIDに関連付けられているスポット情報が携帯電話71を介してカーナビゲーション装置70に転送される。なお、サーバー50では、ユーザーIDに関連付けられたスポット情報を転送するに当たって、既に利用者Aに対して転送済みのスポット情報に関してはフラグを立てるようにすることで、利用者Aからの転送要求に対して前回ダウンロードした内容とは異なる部分の情報である差分情報が転送されるようにする。
【0039】
図10のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。始めにステップS51において、カーナビゲーション装置70においてブラウザもしくはメーラーを起動し、インターネット接続が達成される(S52)。次に、スマートプルアプリケーションが起動し(S53)、サーバー50へログオンされる(S54)。次に、ステップS55では、スマートプルアプリケーションからサーバー50に対して、ファイルの転送要求が送出される。
【0040】
ステップS56において、サーバー50側で動作するプログラムからスマートプルアプリケーションに対して、スマートプルアプリケーションIDとパスワードが要求される。スマートプルアプリケーションは、あらかじめスマートプルアプリケーションに書き込まれ保有しているユーザーIDとパスワードを、サーバー50に対して送出する(S57)。サーバー50は、スマートプルアプリケーションから受信したユーザーIDとパスワードに基づくユーザー認証を行う(S58)。ステップS58においてユーザー認証がなされると、サーバー50では、データベース51から、受信したユーザーIDが付加されているものが検索される(S59)。データベース51に、受信したユーザーIDに対応するユーザーIDが発見されると(S60)、データベース51内の、受信したユーザーIDに関連付けられたファイル(スポット情報)について、フラグの有無が識別される(S61)。このフラグは、ユーザーIDに関連付けられたファイルに関して、既に転送が行われた事を識別する為に、サーバー50のプログラムによって付加されるものである。なお、サーバー50は、スポット情報を、カーナビゲーション装置等の携帯型情報端末での利用に適した位置情報記述フォーマット、例えば、POIX(Point Of Interest eXchange Language)に変換してデータベース51内に格納している。なお、このフォーマットはPOIX以外にも、モバイルウェブ、XML(eXtensible Markup Language)その他携帯型情報端末で利用可能なあらゆるフォーマットを用いることが可能となっている。
【0041】
ステップS62において、フラグの無いファイル、すなわち差分情報が選択された後、スマートプルアプリケーションに対して選択されたファイルが送出される。スマートプルアプリケーションは、サーバー51からファイルを受信し(S63)、カーナビゲーション装置70の表示画面上のデスクトップに、受信されたファイルの件数を表示する(S64)。次に、スマートプルアプリケーションは、表示画面上に、受信したファイルを取得するかどうかを尋ねるメッセージを表示して、カーナビゲーション装置70の利用者からの確認の入力を促す(S65)。利用者がカーナビゲーション装置70のユーザーインタフェースを介して、ファイルの取得を了承する旨のOKボタンをクリックすると(S66)、登録リスト中(すなわち、カーナビゲーション装置70の記憶装置)にファイルが格納される(S67)。
【0042】
カーナビゲーション装置70で得られたスポット情報の、ナビゲーションアプリケーションにおける利用について、図11〜図13を参照して説明する。図11は、ナビゲーションアプリケーションのメニュー画面77を表している。図11(a)は、利用者Aが、ダウンロードした情報を閲覧すべく、カーナビゲーション装置70のユーザインタフェースである操作キーを操作して、メニュー画面77の“目的地”の項目77aをセレクトし、かつ、“お気に入り”または“登録リスト”の項目77bをセレクトした状態を示している。このことにより、スポット情報のうちの分類コードにしたがって仕分けされたデータが図11(b)のように表示される。図11(b)に示されるように、分類コードによって、“カー&ドライブ”、“遊ぶ”、及び“食べる”の項目に仕分けされている。
【0043】
図11(c)は、“食べる”の項目77cがセレクトされた後の画面を表している。分類コードの下位のカテゴリーにしたがって“ファーストフード”、“すし屋”、および“中華料理”の項目に仕分けされて表示される。ここで、“中華料理”の項目77dがセレクトされると、アイウエオ順又はアルファベット順に表示される中華料理店のスポット名称が、図11(d)のように表示される。
【0044】
図12は、図11(d)で表示されたレストランを目的地としてルート計算が行われるときの表示画面を表している。利用者Aが目的のレストランが表示されている画面で、スポット名称部分77eをセレクトすると(図12(a))、ナビゲーションアプリケーションは、そのレストランの位置データ(緯度、経度)と地図データとを利用して、地図画面に十字キー77fでレストランの場所を指し示す。利用者Aがここで操作キーを操作することにより、目的地設定が行われ、ルート計算が行われる。
【0045】
一方、図13は、図11(d)で表示されたレストランのスポット情報を表示させる場合を示している。図13(a)に示されるように、メニュー画面上に置かれている“ガイド”項目77gがセレクトされると、そのレストランのスポット情報が表示される。
【0046】
図14は、カーナビゲーション装置70がスマートプルアプリケーションを有しない場合に、カーナビゲーション装置メーカなどが運営するサイトで提供している、スマートプルアプリケーションの無償ダウンロードサービスを利用して、スマートプルアプリケーションをダウンロードする場合を表している。図14(a)は、カーナビゲーションメーカが運営するサイトの画面130を表している。画面130には、さまざまなコンテンツとともに、スマートプルアプリケーションをダウンロードする為の、ボタン131が表示されている。このサイトにアクセスする利用者は、ボタン131をクリックすることで、スマートプルアプリケーションをダウンロードすることができる。ダウンロードが終了し、スマートプルアプリケーションのインストールが開始されると、ユーザー属性データの登録を促す画面132が表示され、利用者Aが画面132にしたがってユーザー属性データの入力を行うと、スマートプルアプリケーションにこれらのユーザー属性データが格納される。格納されたユーザー属性データは、スマートプルアプリケーションが起動されて、サーバー50に対してスポット情報転送の要求を送出する際、ユーザー認証を受ける為に使用される。
【0047】
以上の実施形態の説明では、利用者Aがカーナビゲーション装置70を使用してスポット情報を利用する場合に関して説明を行ったが、図1にも示したように、利用者Aがスポット情報を利用する携帯型情報端末が、携帯型コンピュータ90であっても、カーナビゲーション装置70に関し以上説明したことと同様の機能が実現可能であることはいうまでもない。
【0048】
IrDAなどの赤外線通信機能を有する複数の携帯型情報端末間では、一つの携帯型情報端末側で取得したスポット情報を共有することが可能になる。
【0049】
また、上述した実施形態に関し様々な変形や置換をおこなうことができることはいうまでもない。例えば、上述の実施形態は、利用者がモバイルリンクボタンで提供される機能を利用して、あらかじめサーバーに対して情報を収集しておくというものであった。しかしながら、サーバー50が、有用なスポット情報等と、利用者の識別情報とが関連付けられたデータベースを、利用者による収集を要することなく、自ら有し、有用なスポット情報の提供を行う構成の実施形態も考えられる。この場合も、カーナビゲーション装置は、スマートプルアプリケーションによって、サーバーのデータベースから自動的に有用なスポット情報を取得することができる。
【0050】
また、サーバー50には情報配信システム100を利用する利用者の識別情報として、電子メールアドレス等の情報が格納されるので、識別情報を利用して、サーバー50から利用者の携帯型情報端末或いはPCに対して、レストランや旅館などの店舗情報を、店舗運営者の広告またはセールスプロモーションとして自動的に配信するサービスの為の広告配信システムを構成することが可能である。特に、サーバー50内のデータベース51には、情報配信システム100の利用者を特定できる識別情報毎に、利用者が収集した店舗情報が履歴として格納されるので、格納された情報に基づいて利用者の嗜好を判断して、利用者にとって価値の高い内容の広告を配信することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 パーソナルコンピュータ(PC)
30 サイトの画面
32 モバイルリンクボタン
50 サーバー
51 データベース
70 カーナビゲーション装置
71 携帯電話
90 携帯型コンンピュータ
91 携帯電話
100 情報配信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続され、所定のサイトにアクセスする端末からの処理開始要求を検出する検出手段と、
前記所定のサイトが有するコンテンツ情報を受信する情報受信手段と、
前記処理開始要求を送出した端末の識別情報を取得する第1の識別情報取得手段と、
前記情報受信手段によって受信されたコンテンツ情報を、取得した前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段と、
を備えること特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
情報端末からのアクセスを検出するアクセス検出手段と、
アクセスした前記情報端末の識別情報を取得する第2の識別情報取得手段と、
前記記憶手段に、前記第2の識別情報取得手段により取得した識別情報に関連付けて記憶されるコンテンツ情報を、前記アクセスした情報端末に提供する情報提供手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
前記コンテンツ情報を所定フォーマットのデータに変換するデータ変換手段をさらに備えること、を特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項4】
前記情報提供手段は、前記記憶手段に記憶されたコンテンツ情報の内、前記情報端末に対して既に転送済みであるコンテンツ情報を除いた差分情報のみを提供する手段を有すること、を特徴とする請求項2または請求項3のいずれか一項に記載の情報配信装置。
【請求項5】
ネットワークを介して接続され、各識別情報に関連付けてコンテンツ情報が記憶される情報配信装置に対してアクセス可能な情報端末装置であって、
前記情報配信装置へのアクセス時に該情報端末装置側を識別する為の識別情報を送信する識別情報送信手段と、
前記送信した識別情報に対応して前記情報配信装置から送られてくるコンテンツ情報を受信する情報受信手段と、
を備えることを特徴とする情報端末装置。
【請求項6】
受信された前記コンテンツ情報は、該コンテンツ情報の提供元のサイトに関する位置情報を含み、
前記情報端末装置は、さらに、
地図データと、
前記地図データと受信された前記位置情報とを合成して該情報端末装置の表示画面上に表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の情報端末装置。
【請求項7】
受信された前記位置情報に基づいてルート計算を行うルート計算手段をさらに備えること、を特徴とする請求項6に記載の情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−44158(P2011−44158A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213765(P2010−213765)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2001−21644(P2001−21644)の分割
【原出願日】平成13年1月30日(2001.1.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】