説明

意識低下検出方法及びシステム、居眠り運転防止方法及びシステム、並びにプログラム

【課題】振動の大きい産業用車両や産業機械の運転操作時においても、作業者の意識低下を確実に検出できるようにする。
【解決手段】運転座席1の座面3と背面2との境界部4に設けられた圧力検出手段10により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行い、その移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定し、圧力検出手段10により検出される加圧力が前記閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定して、意識低下信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用車両又は産業機械の作業者の運転操作に伴う物理的な身体の動きの変化から、作業者の意識低下状態を検出する意識低下検出方法及びシステム、それを利用した居眠り運転防止方法及びシステム、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業では、24時間操業の製鉄所や鉱山及び建設現場が多く、居眠り運転防止に関する対策が急務であり、産業用車両や産業機械(以下「産業用車両等」と記する)に適用可能な作業者の意識低下検出が望まれていた。
【0003】
従来、居眠り運転防止としては、運転者の瞳孔の開閉頻度、開閉時間、視線方向等を監視したり、運転者の脳波、脈動、体温等の変化を監視したりすることにより、運転者の意識レベルを検出し、当該運転者に対して警告を促す居眠り運転防止が多数提案されている。
【0004】
しかしながら、製造業等において使用される産業用車両等(ダンプ、クレーン、建設機械等)には、コスト面及び産業用車両等の運転操作時における特殊性の問題から、従来の一般車両用の居眠り運転防止を適用することが困難であった。
【0005】
すなわち、産業用車両等の特殊性として、その運転操作時における振動が大きいことが挙げられる。このために、運転者の瞳孔の開閉頻度、開閉時間、視線方向等を検出して作業者の意識低下を検出することは難しく、誤検出等が生じやすい。
【0006】
また、運転者の脳波、脈動、体温等の変化を検出して作業者の意識レベルを検出する場合、センサ類を作業者の身体に装着する必要がある。しかしながら、作業現場では頻繁に運転室から昇降することもあり、その度にセンサを身体に装着、取り外しする必要が発生するため、産業用車両等には適していない。
【0007】
そこで、特許文献1では、産業用車両又は産業機械を運転操作する作業者の意識低下を検出する意識低下検出装置として、運転座席の座面と背面との境界部に設けられ、意識低下に伴う作業者の後屈に応じた作業者からの加圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段により検出された加圧力の変化が所定値以上である場合に、作業者の意識が低下していると判別し、意識低下信号を出力する判別手段とを備えることが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2007−280051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、単に圧力検出手段により検出された加圧力の変化が所定値以上である場合に作業者の意識が低下していると判別する場合、作業者の体型による検出圧力の強弱、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱、運転姿勢の変化による検出圧力の変動等に対して過検知や未検知が発生することを防止できない。
【0010】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、振動の大きい産業用車両や産業機械の運転操作時において、作業者の体型による検出圧力の強弱、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱、運転姿勢の変化による検出圧力の変動等に対する過検知や未検知を少なくし、作業者の意識低下を確実に検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者等は、振動の大きい産業用車両や産業機械の運転操作時において、作業者の体型による検出圧力の強弱、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱、運転姿勢の変化による検出圧力の変動等に対応すべく、意識低下として判定すべき加圧力の閾値を変動させることに注目した。
以下に、本発明の要旨を述べる。
(1)産業用車両又は産業機械を運転操作する作業者の意識低下を検出する意識低下検出方法であって、
前記産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出する加圧力検出ステップと、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理ステップと、
前記平均化処理ステップでの移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定ステップと、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定ステップと、
前記意識低下判定ステップにより作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力ステップとを有することを特徴とする意識低下検出方法。
(2)前記平均化処理ステップでは、5分以上、10分以下の時間間隔で移動平均処理を行うことを特徴とする前記(1)に記載の意識低下検出方法。
(3)前記意識低下判定ステップでは、前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上である継続時間が所定時間以上である場合に、作業者の意識が低下していると判定することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の意識低下検出方法。
(4)前記意識低下判定ステップでは、前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上となる回数が所定回数以上である場合に、作業者の意識が低下していると判定することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の意識低下検出方法。
(5)前記産業用車両又は産業機械の速度を検出する速度検出ステップを有し、
前記速度検出ステップにより検出された速度が所定の速度以上の場合に、前記意識低下判定ステップにより作業者の意識の低下を判定することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の意識低下検出方法。
(6)前記産業用車両又は産業機械の加速度を取得する加速度取得ステップを有し、
前記加速度取得ステップにより取得された加速度が所定の加速度以下の場合に、前記意識低下判定ステップにより作業者の意識の低下を判定することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の意識低下検出方法。
(7)前記圧力検出ステップにより検出される加圧力信号のうち、前記産業用車両又は産業機械の固有振動に関する圧力成分をフィルタリングするステップを有することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の意識低下検出方法。
(8)前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の意識低下検出方法で求められる前記意識低下信号に基づき、当該作業者に覚醒を促すことを特徴とする居眠り運転防止方法。
(9)前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の意識低下検出方法で求められる前記意識低下信号に基づき、前記産業用車両又は産業機械の運転速度を減速することを特徴とする居眠り運転防止方法。
(10)産業用車両又は産業機械を運転操作する作業者の意識低下を検出する意識低下検出システムであって、
前記産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理手段と、
前記平均化処理手段での移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定手段と、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定手段により設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定手段と、
前記意識低下判定手段により作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とする意識低下検出システム。
(11)前記(10)に記載の意識低下検出システムで求められる前記意識低下信号に基づき、当該作業者に覚醒を促す覚醒手段を備えたことを特徴とする居眠り運転防止システム。
(12)前記(10)に記載の意識低下検出システムで求められる前記意識低下信号に基づき、前記産業用車両又は産業機械の運転速度を減速する運転制御手段を備えたことを特徴とする居眠り運転防止システム。
(13)産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出し、運転操作する作業者の意識低下を検出するためのプログラムであって、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理と、
前記平均化処理での移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定処理と、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定処理により設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定処理と、
前記意識低下判定処理により作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、意識低下として検出すべき加圧力の閾値を変動させることにより、作業者の体型による検出圧力の強弱、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱、運転姿勢の変化による検出圧力の変動等に対する過検知や未検知を少なくすることができる。これにより、振動の大きい産業用車両や産業機械の運転操作時において、作業者の意識低下を確実に検出することができ、産業用車両等における特殊性に対しても好適な居眠り運転防止方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1(a)は、作業者の意識低下を検出し、作業者に覚醒を促す覚醒及び運転停止制御を実行する居眠り運転防止システムの全体構成を示す図である。本実施形態に係る意識低下検出システムは、産業用車両等の運転座席1の背部2と座部3との境界部4に設けられた圧力検出手段(圧力検出機)10と、圧力検出手段10と接続線50で接続された信号検出装置20とにより構成される。
【0014】
さらに、意識が低下している作業者に覚醒を促すための覚醒手段としての警告装置30及び運転操作中の産業用車両等の運転速度を減速し停止するための運転制御手段としての運転停止制御装置40を含めることにより、居眠り運転防止システムが構成されている(図1(a)参照)。
【0015】
本実施形態に係る居眠り運転防止システムは、意識低下検出システムにより検出された作業者の意識低下(眠気、居眠り等)に対し、覚醒手段による覚醒及び運転制御手段による運転停止制御を実行し、意識低下状態からの正常な意識状態への復帰及び事故防止等の安全性の確保を行うものである。
【0016】
本実施形態の圧力検出手段10について説明する。圧力検出手段10は、図1(b)に示すように、圧力検出部101と、圧力検出部101を運転座席1の背部(背面)2と座部(座面)3との境界部4に設置するための支持体102及びこの支持体102から延びる固定部材103とにより構成される。本実施形態では、圧力検出部101として空気動圧センサを適用しているが、その他に圧電素子等を用いることも可能である。
【0017】
支持体102は、背部2に後屈する作業者の腰椎に対応する位置に圧力検出部101が配設されるように、当該圧力検出部101の配設角度、高さ等に応じた形状とされている。また、支持体102は、境界部4に配置されることを考慮して、台形形状に形成することが好ましい。支持体102は、木材や金属等の剛性体で形成してもよいが、作業者に対して不快感を与えないために、スポンジや発泡材等の柔軟性のある材質で構成することが好ましい。
【0018】
固定部材103は、圧力検出手段10を運転座席1に固定するために、運転座席1の背部2と座部3との間の間隙(境界部4)に圧入可能な薄板状に形成されている。
【0019】
このようにした圧力検出手段10は、その支持体102が運転座席1の境界部4にて背部2及び座部3に挟み込まれるように配設され、固定部材103によって運転座席1に固定されることによって、運転操作の際に振動が大きい産業用車両等に対しても安定して運転座席1に固定されるとともに、運転座席1への設置作業及び取り外し作業が容易となる。
【0020】
次に、本実施形態の意識低下検出の検出原理について説明する。本実施形態の意識低下検出方法は、産業用車両等の一般車両とは異なる上述した特殊性に鑑み、意識低下に伴う作業者の後屈を検出することで、作業者の意識の低下を検出する。
【0021】
すなわち、図2(a)に示すように、産業用車両等を運転操作する作業者Sは、産業用車両等に加わる振動に対応するため、運転座席1の背部2に接することなく、背部2と離間した状態となっていることが多い。このとき、作業者Sが圧力検出手段10に当接していないか、若しくは、作業者Sが圧力検出手段10に当接しているが、圧力検出手段10に対して作業者Sからの加圧力がほとんど加わっていない状態となる。
【0022】
または、図2(c)に示すように、作業者Sの体型や運転姿勢によっては、作業者Sが圧力検出手段10に接触している状態となっていることもある。このとき、作業者Sが圧力検出手段10に当接しているため、圧力検出手段10には作業者Sからの加圧力が加わっている状態となる。
【0023】
図2(a)又は図2(c)の状態で運転操作していた作業者Sの意識が低下すると、当該作業者Sは、図2(b)に示すように運転座席1に対して背部2方向に後屈する。より具体的に説明すると、意識低下に伴って作業者Sの腰椎付近が身体の力が緩むように運転座席1に対して背部2方向に後屈し、作業者Sが圧力検出手段10の当接面101aに当接し、圧力検出手段10に圧力が加わる。または、図2(c)に示すように、作業者Sの体型や運転姿勢により最初から接触している状態においては、圧力検出手段10にさらなる圧力が加わる。本実施形態では、この意識低下に伴う作業者Sの後屈を、運転座席1の境界部4に設けられた圧力検出手段10に対する加圧力として検出する。
【0024】
このように本実施形態に係る意識低下検出方法は、産業用車両等の運転操作中に作業者Sの意識が眠気等により低下した場合、その意識低下によって身体の緊張、すなわち、作業者Sの身体における腰椎付近の緊張が解かれ、作業者Sの腰椎が後屈することに着目し、作業者Sの後方へ後屈を検出することによって、当該作業者Sの意識低下を検出する。
【0025】
したがって、本実施形態に係る意識低下検出方法では、運転座席1の背部2に接することなく、又は作業者Sの体型や運転姿勢により最初から接触している状態においても、運転操作している作業者Sの意識が低下することにより、当該作業者Sの腰椎付近が後屈し、作業者Sの背中が背部2に当接することなく圧力検出手段10に対して加圧力を加える場合の他に、作業者Sの背中が先に背部2に当接しても、その後当該意識低下による身体の緊張の解放により、当該業者Sの腰椎付近は必然的に後方若しくは下方に後屈することから、当該作業者Sの意識低下(後屈)を検出することが可能である。
【0026】
図3(a)は、図2(a)に示した作業者Sの意識低下に伴う圧力検出手段10への加圧力の変化例を示す特性図である。PAは基準圧力、Pxは閾値圧力、PBは検出された加圧力(計測圧力)である。圧力変化量ΔP(PB−PA)が閾値圧力Px以上である場合、作業者の意識状態が正常状態から眠気や居眠り等の意識低下状態に遷移したと判定することができる。すなわち、作業者Sの意識が低下することにより、当該作業者Sの身体の緊張が解かれ、上述したように作業者Sの腰椎付近が後屈し、圧力検出手段10に閾値圧力Px以上の加圧力を加えることになるので、作業者Sの意識低下を検出することができる。
【0027】
図3(b)は、図2(b)に示した作業者Sの意識低下に伴う圧力検出手段10への加圧力の変化例を示す特性図である。PCは基準圧力、P'xは閾値圧力、PDは検出された加圧力(計測圧力)である。圧力変化量ΔP(PD−PC)と基準圧力PCとの合計圧力が、閾値圧力P'x以上である場合、作業者の意識状態が正常状態から眠気や居眠り等の意識低下状態に遷移したと判定することができる。すなわち、作業者Sの意識が低下することにより、当該作業者Sの身体の緊張が解かれ、上述したように作業者Sの腰椎付近が後屈し、圧力検出手段10に閾値圧力P'x以上の加圧力を加えることになるので、作業者Sの意識低下を検出することができる。
【0028】
このように基準圧力PA及びPCは、作業者Sの体型、運転姿勢の個人差、運転姿勢の変化等で常に変動していることから、ある一定時間、例えば10分程度の基準圧力を平均値化し、閾値圧力を変動させることで当該作業者Sの意識が低下したときの圧力変化を分離することが可能となる。
【0029】
また、誤検出を防止するために、圧力変化量ΔP(PB)が閾値圧力Px以上となっている継続時間Δt(t2−t1)が所定時間(tx)以上である場合に、作業者Sの意識が低下していると判定することが好ましい。つまり、作業者Sの後屈による検出圧力PBが単に閾値圧力Px以上であっても、正常な意識状態にある作業者Sが圧力検出手段10に加圧力を及ぼすような動作(産業用車両等に加わる振動によって作業者Sと圧力検出手段10とが当接して、加圧力を及ぼす場合等)も考えられ、意識低下に伴う作業者Sの身体の緊張が所定時間継続して解かれた状態であることをその判定条件として適用することで、より正確な意識低下検出を実現できる。圧力変化量ΔP(PD)についても同じである。
【0030】
さらに、誤検出を防止するために、圧力変化量ΔP(PB)が閾値圧力Px以上となる回数nが所定回数(nx)以上である場合に、作業者Sの意識が低下していると判定することが好ましい。つまり、作業者Sの後屈による検出圧力PBが単に閾値圧力Px以上であっても、正常な意識状態にある作業者Sが圧力検出手段10に加圧力を及ぼすような動作(産業用車両等に加わる振動によって作業者Sと圧力検出手段10とが当接して、加圧力を及ぼす場合等)も考えられ、意識低下に伴う作業者Sの身体の緊張が所定回数連続して解かれた状態であることをその判定条件として適用することで、より正確な意識低下検出を実現できる。圧力変化量ΔP(PD)についても同じである。
【0031】
このように、本実施形態では、作業者Sの腰椎付近が運転座席1に対して背部2方向に後屈して、圧力検出手段10に加圧力が加わっている状態が、閾値以上であって、かつ所定時間継続及び/又は所定回数検知している場合に作業者Sの意識が低下していると判定する。
【0032】
次に、本実施形態の信号検出装置20について説明する。図4は、図1に示した信号検出装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。信号検出装置20は、圧力検出手段10からの圧力検出信号を電気信号に変換する圧電変換回路201、圧電変換回路201から出力された電気信号に含まれる産業用車両等に加わる振動(固有振動)に対応する圧力成分を当該電気信号から除去してCPU203に出力するローパスフィルタ202、ローパスフィルタ202から出力された電気信号に基づいて、作業者の意識低下を判定し、判定結果に応じて意識低下信号出力回路204に意識低下信号の出力を指示するとともに信号検出装置20全体の制御を行うCPU203とを備える。
【0033】
さらに、信号検出装置20は、作業者Sが運転操作する産業用車両等に設けられた車速検出手段からの速度信号を受信して、当該車両のスペードレベルを検出するスピードレベル検出回路205、スピードレベル検出回路205からの出力信号に基づいて当該産業用車両等の加速度を算出する加速度演算回路206を備える。
【0034】
本実施形態では、ローパスフィルタ202により、圧電変換回路201から出力された電気信号に含まれる産業用車両等の固有振動に応じた圧力成分を除去することにより、作業者Sの意識低下検出の精度を向上させることができる。
【0035】
また、スピードレベル検出回路205により検出された車両のスピードレベルを意識低下検出における判定要素として考慮することで、誤検出を防止する。具体的には、スピードレベルが低い場合には、車両の運転開始動作時又は停止動作時であると推定され、運転開始動作時又は停止動作時において、作業者Sが居眠りを起こすことは考えにくい。したがって、このような場合の誤検出を防止するため、圧力検出手段10に対する加圧力が閾値以上であっても、作業者Sの意識が低下していると判定しないように、産業用車両のスピードレベルをその判定条件として考慮する。また、作業者が圧力検出手段10に接している状態での運転操作は、低速における低振動の他に、車両後進の際の後方確認(振り返り動作)やパネル等の操作による作業者の体重移動が考えられ、これらの誤検出の要因も車両のスピードレベル検出により排除することが可能である。
【0036】
また、加速度演算回路206により信号検出装置20に加わる加速度、すなわち、産業用車両等の加速に伴う加速度をスピードレベル検出回路205からの速度データを微分して算出し、意識低下検出における判定要素として考慮することで、誤検出を防止する。上述したように、運転操作している作業者Sの意識低下に伴う当該作業者Sの後屈に応じた加圧力を検出することにより作業者Sの意識低下を検出するのであるが、産業用車両等が加速している場合では、作業者Sは運転座席1の後方、すなわち、背部2に向かって引っ張られるように力を受け、作業者Sが圧力検出手段10に接し、圧力検出手段10が作業者Sから加圧力を受けることになる。このため、作業者Sの意識が正常であっても、加速による圧力検出手段10は、作業者Sからの加圧力を検出することになるので、信号検出装置20は、作業者Sの意識が低下しているものと判定してしまう。そこで、加速度演算回路206により加速度を算出し、加速度が所定の加速度以下である場合に、作業者Sの意識低下を判定することで、正確な作業者Sの意識低下を検出可能としている。なお、本実施形態では、速度データから加速度を算出する加速度演算回路206を適用しているが、例えば加速度センサを信号検出装置20に適用し、直接加速度を検出して取得するように構成することも可能である。
【0037】
図5に、図4に示したハードウェア構成により実現される信号検出装置20の機能構成を示す。301はフィルタリング部であり、圧力検出手段10により検出された加圧力信号のうち、産業用車両等の固有振動に関する圧力成分をフィルタリングする。
【0038】
302は平均化処理部であり、圧力検出手段10より検出され、フィルタリング部301によりフィルタリングされた加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う。
【0039】
303は閾値設定部であり、平均化処理部302での移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する。具体的には、移動平均処理により算出された加圧力に対応する所定の定数値を求め、その所定の定数値と基準となる加圧力の値とを乗算した値を閾値とする。
【0040】
304は速度検出部であり、産業用車両等の速度を検出する。305は加速度算出部であり、速度検出部304により検出された速度に基づいて産業用車両等の加速度を算出する。
【0041】
306は意識低下判定部であり、後述する図6のフローチャートに従って、作業者の意識の低下を判定する。307は信号出力部であり、意識低下判定部306により作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する。
【0042】
以下、図6に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の意識低下検出の処理遷移を詳細に説明する。信号検出装置20は、産業用車両等の始動(エンジン始動、電源投入等)又は作業者Sが信号検出装置20に対して検出開始操作を行うことにより、意識低下検出を開始する(ステップS100)。
【0043】
運転座席1の境界部4に設けられた圧力検出手段10は、随時、信号検出装置20に接続線50を介して検出信号を出力する。信号検出装置20では、この圧力検出手段10からの検出信号を受信して、圧電変換回路201で当該検出信号を電気信号に変換して、ローパスフィルタ202に出力する(ステップS101)。
【0044】
ローパスフィルタ202は、圧電変換回路201から出力された電気信号に含まれる産業用車両等に加わる振動(固有振動)に対応する圧力成分を除去(フィルタリング)する(ステップS102)。産業用車両等の固有振動数は約3Hz〜4Hzであり、圧電変換回路201から出力された電気信号には、この固有振動に係る圧力成分が含まれることになる。そこで、作業者Sの意識低下に伴う圧力検出手段10への加圧力の周波数をより正確に検出するために、ローパスフィルタ202は電気信号に含まれる固有振動に係る圧力成分をカットしてCPU203に出力する。具体的に、本実施形態では、1Hz以下の周波数の電気信号のみを抽出しCPU203に出力する。これは、作業者Sの意識低下に伴う無意識に近い状態での作業者Sの圧力検出手段10への加圧力の周波数は、産業用車両等の固有振動数よりも小さいと推測されることから、電気信号における1Hz以下の成分のみをCPU203に出力している。
【0045】
また、スピードレベル検出回路205からの運転操作中の産業用車両等の速度に関する信号を随時受信して車両のスピードレベルを検出し、車両速度の閾値(所定の速度)と比較する(ステップ103)。その結果、車両速度が閾値以上である場合、次のステップS104に進む。一方、車両速度が閾値を下回る場合は、ステップS101に戻る。これは、低速度で行われる車両後進時の後方確認のための作業者Sの振り返り動作や、発進直後に行うパネル等の操作による作業者の体重移動による誤検出を防止するためである。
【0046】
ステップS104では、加速度演算回路206で算出された加速度を、加速度の閾値(所定の加速度)と比較する。その結果、加速度が閾値以下である場合、次のステップS105に進む。加速度が閾値を上回る場合は、産業用車両等の加速に伴う作業者Sの後方への体重移動等があるので当該作業者Sの意識は正常であると考えられることから、ステップS101に戻る。
【0047】
ステップS105では、CPU203が、ローパスフィルタ202から出力された電気信号に基づいて、検出された加圧力の決定を行う。検出加圧力は、作業者Sの体型、運転姿勢の個人差、運転姿勢の変化等により変動していることから、ある一定時間、例えば5分〜10分の間隔で移動平均処理を行うことが好ましい。5分〜10分の間隔としたので、移動平均処理する間隔が5分以下である場合は過検知が多くなり、10分以上である場合は未検知が多くなるためである。
【0048】
次に、CPU203は、平均化処理された圧力の増減に応じて、対応する所定の定数値を求め、所定の定数値と基準となる加圧力の値とを乗算した値を閾値として決定する(ステップS106)。
【0049】
次に、圧力検出手段10により検出される加圧力が、ステップ106で設定された加圧力の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS107)。その結果、検出圧力が閾値以上である場合、次のステップS108に進む。一方、検出圧力が閾値を下回る場合は、作業者Sの意識低下はないとしてステップS101に戻る。
【0050】
ステップS108では、CPU203が、ステップ106で検出圧力が閾値以上である状態の継続時間が所定時間以上であるか否か判定する。その結果、継続時間が所定時間以上である場合、次のステップ109に進む。一方、継続時間が所定時間を下回る場合は、作業者Sの意識低下はないとしてステップS101に戻る。
【0051】
ステップS109では、検出圧力≧閾値が所定時間以上継続する状態と、次の検出圧力≧閾値が所定時間以上継続する状態との間隔(検知間隔)が所定時間以内であるか否かを判定する。その結果、検知間隔が所定時間以内である場合、さらに次のステップ109に進む。一方、検知間隔が所定時間以内でない場合は、作業者Sの意識低下はないとしてステップS101に戻る。
【0052】
ステップS110では、ステップS109での検知回数をカウントし、所定回数以上発生したか否かを判定する。その結果、カウント数が所定回数以上である場合、作業者Sの意識が低下しているとして、ステップ111に進み、意識低下信号を出力する。一方、カウント数が所定回数を下回る場合は、作業者Sの意識低下はないとしてステップS101に戻る。
【0053】
以上のように、CPU203は、作業者Sの意識低下を検出し、意識低下信号出力回路204に対して意識低下信号の出力要請を行う。これを受けて、意識低下信号出力回路204が、覚醒手段としての警告装置30に当該意識低下信号を出力することにより、作業者Sへの覚醒を促す。また、運転制御手段としての運転停止制御装置40に当該意識低下信号を出力することにより、運転停止制御装置40は、例えば、自動的に産業用車両の回転速度を低下させて減速させたり、停止させたりする等の運転停止制御を産業用車両等に対して行う。
【0054】
なお、本実施形態では、意識低下信号出力回路204が意識低下信号を出力しているが、これは、覚醒手段である警告装置30として多様な形態が考えられるため、多様な異なるデータ形式に応じた意識低下信号を出力するためである。したがって、CPU203が判定結果に応じて意識低下信号を警告装置30に対して直接出力する構成としてもよい。また、CPU203は、意識低下が検出された場合に、意識低下信号出力回路204に意識低下信号の出力を指示しているが、逆に、上述の意識低下検出処理において、作業者Sの意識低下を検出できなかった場合に、意識低下信号出力回路204に対して、当該意識低下信号の出力を禁止する出力禁止信号を出力するように構成することも可能である。運転停止制御装置40もまた同様である。
【0055】
図7は、本実施形態の産業用車両等の低速度における誤検出及び車両後進時の後方確認のための作業者Sの振り返り動作やパネル等の操作による作業者の体重移動による誤検出を防止する実測値を示すグラフである。図7(a)は、ローパスフィルタ202から出力される車両の固有振動数がカットされた1Hz以下の周波数成分の検出圧力を示すグラフである。図7(b)は、スピードレベル検出回路205から出力された車両のスピードレベルを示すグラフである。同図に示すように、閾値圧力Px以上の検出圧力が所定時間以上継続している場合であって、車両のスピードレベルが閾値Vx以上である場合に、作業者Sの意識低下を検出する。
【0056】
具体的に説明すると、図7の時刻Aでは、検出圧力PBが閾値圧力Pxを超えたものの、図7(b)における産業用車両等のスピードレベルがVxを超えていない(低速)ため、CPU203は、意識低下として検出しない。また、図7の時刻Bでは、検出圧力PBが閾値圧力Pxを超え、かつ図7(b)における産業用車両等のスピードレベルがVxを超えているが、検出圧力PB(圧力変化量ΔP)が閾値圧力Px以上となっている継続時間Δtが所定時間tx以上でないため、CPU203は意識低下として検出しない。
【0057】
図7の時刻C及びDでは、検出圧力PBが閾値圧力Pxを超え、かつ図7(b)における産業用車両等のスピードレベルがVxを超えており、さらに、検出圧力PB(圧力変化量ΔP)が閾値圧力Px以上となっている継続時間Δtが所定時間tx以上であるので、CPU203は、この図7の時刻C及びDにおける波形を意識低下として検出する。
【0058】
(実施例)
図8は、従来(特許文献1)の実施例の結果を示す特性図であり、横軸が時間、縦軸が加圧力を示す。閾値圧力Px(Y2)が一定のため、図2(c)に示す作業者Sのように予め圧力検出手段10に接している状態で運転している場合に、検出圧力(Y1)が大きくなる等、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱や運転姿勢の変化による検出圧力の変動に対して過敏に反応してしまう可能性がある。つまり、作業者Sは、図2(c)のように予め圧力検出手段10に接している状態で運転しており、作業者Sから検出された検出圧力PB(Y1)は、一定値である閾値圧力Px(Y2)を上回りやすくなり、結果的に意識低下として検出する信号(Y3)が増え、即ち、過剰検知が発生する状態となる。
【0059】
それに対して、図9は、本発明を適用した場合の実施例の結果を示す図である。作業者の体型による検出圧力の強弱、運転姿勢の個人差による検出圧力の強弱、運転姿勢の変化による検出圧力の変動に対して、閾値圧力Pxを変動させることで、的確な意識低下の判定を行っているのがわかる。具体的には、実施例で、作業者Sは、図2(c)のように予め圧力検出手段10に接している状態で運転しており、検出圧力PB(Y4)は常に変動している。その変動量を一定時間、例えば10分間の平均値を取りながらその増減圧力を、閾値圧力Px(Y5)に増減させることで、当該作業者Sの意識が低下したときの圧力変化を分離することが可能となり、意識低下として検出する信号(Y6)の検知精度が向上する。
【0060】
このように、本発明を適用した意識低下検出システムは、運転座席1の背面2座面3との間の境界部4に設けられた圧力検出手段10により、意識低下に伴う作業者Sの後屈に応じた作業者Sからの加圧力を検出することにより、作業者Sの意識低下を判定している。このため、運転操作の際に比較的大きな振動を伴う産業用車両や産業機械であっても、作業者Sの意識低下を正確に検出でき、意識低下を検出する意識低下検出装置を用いることで、産業用車両等における特殊性に対しても適用可能な居眠り運転防止装置を実現することが可能となる。
【0061】
また、本発明を適用した意識低下検出システムを用いた居眠り運転防止システムは、覚醒手段及び運転制御手段を備え、作業者に対する覚醒及び事故防止を図っているが、覚醒手段のみを備えるように構成し、意識低下状態にある作業者の意識を正常に復帰させることでも、事故を防止する手段として十分に機能する。
【0062】
(他の実施例)
他の実施例として、平均化処理する時間間隔を変えて、過検率及び未検率がどのように変わるかを調べた結果を表1に示す。時間間隔が5分より短いと未検率が増加し、10分より長いと過検率が増加する。時間間隔を5分以上、10分以下にすることにより、過検率と未検率の発生を10%以下にすることができる。
【0063】
【表1】

【0064】
上述した信号検出装置20の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置或いはシステム内のコンピュータに対し、上記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU或いはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。プログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を適用した居眠り運転防止システムを説明するための図であり、(a)が居眠り運転防止システムの全体構成を示す図、(b)が圧力検出手段の設置状態を示す側面図である。
【図2】本発明を適用した意識低下検出の検出原理を説明するための模式図であり、作業者と圧力検出手段との関係を示す図である。
【図3】作業者の意識低下に伴う圧力検出手段への加圧力の変化例を示す特性図である。
【図4】実施形態に係る信号検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る信号検出装置の機能構成を示す図である。
【図6】実施形態における意識低下検出の処理遷移を詳細するためのフローチャートである。
【図7】意識低下検出の検出基本原理を示す特性図である。
【図8】従来例における実測値を示す特性図である。
【図9】本発明の実施例における実測値を示す特性図である。
【符号の説明】
【0066】
10 圧力検出手段
20 信号検出装置
30 警告装置
40 運転停止制御装置
50 接続線
101 圧力検出部
102 支持体
103 固定部材
201 圧電変換回路
202 ローパスフィルタ
203 CPU(演算部)
204 意識低下信号出力回路
205 スピードレベル検出回路
206 加速度演算回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用車両又は産業機械を運転操作する作業者の意識低下を検出する意識低下検出方法であって、
前記産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出する加圧力検出ステップと、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理ステップと、
前記平均化処理ステップでの移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定ステップと、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定ステップと、
前記意識低下判定ステップにより作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力ステップとを有することを特徴とする意識低下検出方法。
【請求項2】
前記平均化処理ステップでは、5分以上、10分以下の時間間隔で移動平均処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の意識低下検出方法。
【請求項3】
前記意識低下判定ステップでは、前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上である継続時間が所定時間以上である場合に、作業者の意識が低下していると判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の意識低下検出方法。
【請求項4】
前記意識低下判定ステップでは、前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定ステップにより設定された閾値以上となる回数が所定回数以上である場合に、作業者の意識が低下していると判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の意識低下検出方法。
【請求項5】
前記産業用車両又は産業機械の速度を検出する速度検出ステップを有し、
前記速度検出ステップにより検出された速度が所定の速度以上の場合に、前記意識低下判定ステップにより作業者の意識の低下を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の意識低下検出方法。
【請求項6】
前記産業用車両又は産業機械の加速度を取得する加速度取得ステップを有し、
前記加速度取得ステップにより取得された加速度が所定の加速度以下の場合に、前記意識低下判定ステップにより作業者の意識の低下を判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の意識低下検出方法。
【請求項7】
前記圧力検出ステップにより検出される加圧力信号のうち、前記産業用車両又は産業機械の固有振動に関する圧力成分をフィルタリングするステップを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の意識低下検出方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の意識低下検出方法で求められる前記意識低下信号に基づき、当該作業者に覚醒を促すことを特徴とする居眠り運転防止方法。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の意識低下検出方法で求められる前記意識低下信号に基づき、前記産業用車両又は産業機械の運転速度を減速することを特徴とする居眠り運転防止方法。
【請求項10】
産業用車両又は産業機械を運転操作する作業者の意識低下を検出する意識低下検出システムであって、
前記産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理手段と、
前記平均化処理手段での移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定手段と、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定手段により設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定手段と、
前記意識低下判定手段により作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力手段とを備えたことを特徴とする意識低下検出システム。
【請求項11】
請求項10に記載の意識低下検出システムで求められる前記意識低下信号に基づき、当該作業者に覚醒を促す覚醒手段を備えたことを特徴とする居眠り運転防止システム。
【請求項12】
請求項10に記載の意識低下検出システムで求められる前記意識低下信号に基づき、前記産業用車両又は産業機械の運転速度を減速する運転制御手段を備えたことを特徴とする居眠り運転防止システム。
【請求項13】
産業用車両又は産業機械の運転座席の座面と背面との境界部に設けられた圧力検出手段により加圧力を検出し、運転操作する作業者の意識低下を検出するためのプログラムであって、
前記圧力検出手段により検出された加圧力に対して所定時間の移動平均処理を行う平均化処理と、
前記平均化処理での移動平均処理により算出された加圧力に応じて閾値を設定する閾値設定処理と、
前記圧力検出手段により検出される加圧力が前記閾値設定処理により設定された閾値以上である場合に作業者の意識が低下していると判定する意識低下判定処理と、
前記意識低下判定処理により作業者の意識が低下していると判定された場合に意識低下信号を出力する信号出力処理とをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−26610(P2010−26610A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184317(P2008−184317)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(599011377)株式会社アルメディオ (14)
【Fターム(参考)】