説明

感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性フィルム

【課題】 感光性接着剤として用いることができ、熱硬化時にアウトガスの発生を十分に抑制することができるとともに、硬化後は十分に低い吸湿性、吸水性、及び、透湿度を得ることができ、ガラスとの密着性が良好であり、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 (a)ビスマレイミド化合物、(b)1分子中に2個以上のアリル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000のポリマー又はプレポリマー、(c)有機過酸化物、(d)1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性のエチレン性不飽和化合物、及び、(e)光重合開始剤、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、高密度化に伴い微細化が進行し、電子部品、配線基板に用いられている耐熱性絶縁樹脂には、微細加工化が容易でかつ安価なフォトリソ法を用いてパターン形成可能な感光性の付与が要求されている。そのような材料としては、例えば、配線基板用途で用いられている感光性ソルダーレジストや、フォトビア法に用いる感光性ビルドアップ材等がある。これらの材料としては、例えば、下記特許文献1記載の液状レジストインキ組成物や、下記特許文献2記載の感光性熱硬化性樹脂組成物等の感光性樹脂組成物が知られている。
【0003】
また、下記特許文献3には、カルボキシル基を有するビスフェノールF型エポキシアクリレートオリゴマ、エポキシ樹脂、エラストマ、及びフィラーの混合物系からなるソルダーレジストが開示されている。
【0004】
また、最近では、膜厚均一性に優れ、工程が簡便で取り扱い易く、また溶剤発生が少なく環境に優しいフィルムタイプの感光性樹脂組成物が望まれている。
【0005】
しかしながら、一般的なソルダーレジストに用いられている液状の感光性樹脂組成物は、硬化剤としてのエポキシ樹脂と現像に必要なカルボキシル基を有する樹脂とが常温で反応することを避けるために2液タイプになっており、これをフィルム状にすると保存安定性が悪くなるという欠点を有している。そのため、例えばフィルムの保管条件を冷凍保管にしなければならず、また常温での使用期限が非常に短くなってしまうという問題がある。そこで、常温ではカルボン酸と反応しないブロック型イソシアネートを熱硬化剤に用いた感光性フィルムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−243869号公報
【特許文献2】特開平1−141904号公報
【特許文献3】特開平11−288087号公報
【特許文献4】特開平11−109622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、最近では、感光性フィルムをウェハ等にラミネートし、露光、現像によりパターンを形成したのち、ガラス等の基板に熱圧着し、その後硬化させることでウェハとガラス等とを接着する、感光性接着剤としての感光性フィルムの用途が増加している。このような感光性フィルムには、従来の耐熱性、感光特性の他に、硬化時のアウトガスの発生を極力少なくすることが求められているとともに、低吸水性、低透湿度、及び、ガラス等との密着性などが求められている。
【0008】
しかしながら、感光性接着剤としての用途に、従来のソルダーレジストに用いられているようなエポキシ樹脂を硬化剤に用いた感光性フィルムを用いると、上述したように感光性フィルムの保存安定性が十分に得られず、一方、ブロック型イソシアネートを硬化剤に用いた感光性フィルムを用いると、熱硬化時にブロック剤が脱離して揮発成分が生じるため、硬化時にボイドが発生するという問題がある。また、感光性ポリイミドの適用が考えられるが、この場合にも上記と同様に熱硬化時に縮合反応起因の揮発成分が発生してボイドが発生するという問題がある。
【0009】
更に、アルカリ現像型の感光性樹脂組成物は一般的にカルボン酸を樹脂中に含有しているため、吸湿性、吸水性、透湿度を非感光性の耐熱性樹脂よりも低く抑えることが難しいという問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、感光性接着剤として用いることができ、熱硬化時にアウトガスの発生を十分に抑制することができるとともに、硬化後は十分に低い吸湿性、吸水性、及び、透湿度を得ることができ、ガラスとの密着性が良好であり、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物、並びに、それを用いた感光性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)ビスマレイミド化合物、(b)1分子中に2個以上のアリル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000のポリマー又はプレポリマー、(c)有機過酸化物、(d)1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性のエチレン性不飽和化合物、及び、(e)光重合開始剤、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物を提供する。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(b)成分を含有することにより、アルカリ現像型の感光性樹脂組成物でありながら、十分に低い吸湿性、吸水性、及び透湿度が達成された硬化物を形成することができる。しかし、固くて脆い成分である上記(b)成分が感光性樹脂組成物中に含まれると、その硬化物は脆くなりやすく、金属やガラス等の被着体への密着力が低下する傾向がある。これに対し、本発明の感光性樹脂組成物は、架橋剤としての上記(a)成分を反応促進剤としての上記(c)成分とともに含有することにより、硬化物の脆さを改善することができる。すなわち、熱硬化時に、上記(a)成分であるビスマレイミド化合物と上記(b)成分におけるアリル基とが、加熱により上記(d)成分より発生するラジカルにより反応して架橋構造を形成することで、硬化体の脆さを大幅に改善することができ、良好な密着性を得ることができる。また、本発明の感光性樹脂組成物によれば、上記構成を有することにより、熱硬化時にアウトガスの発生を十分に抑制することができるとともに、良好な保存安定性を示すことができる。更に、本発明の感光性樹脂組成物は、フィルム状に形成することで感光性フィルムとして用いることができるとともに、上記効果を奏することから、感光性接着剤として好適に使用することができる。
【0013】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(f)無機フィラーを更に含有することが好ましい。
【0014】
上記(f)成分を更に含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物は、吸湿性、吸水性、及び透湿度をより十分に低くすることができる。
【0015】
ここで、本発明の感光性樹脂組成物は、当該感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、(b)成分と(f)成分との合計含有量が30〜70質量%、(a)成分の含有量が5〜20質量%であることが好ましい。
【0016】
(b)成分と(f)成分との合計含有量が30〜70質量%であることにより、本発明の感光性樹脂組成物は、より十分に低い吸湿性、吸水性、及び透湿度が達成された硬化物を形成することができる。また、(a)成分の含有量が5〜20質量%であることにより、感光性樹脂組成物の硬化物の脆さを改善することができ、ガラス等の被着体への良好な密着性を得ることができる。
【0017】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、(g)カルボキシル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000の感光性プレポリマー又は非感光性ポリマーを更に含有することが好ましい。
【0018】
上記(g)成分を更に含有することにより、本発明の感光性樹脂組成物は容易にフィルム状に形成することが可能となる。
【0019】
ここで、上記(g)成分の酸価は、20〜150mgKOH/gであることが好ましい。(g)成分の酸化が上記範囲内であることにより、感光性樹脂組成物を有機又は無機のアルカリ現像液でより効率的に現像することが可能となる。
【0020】
また、本発明の感光性樹脂組成物において、上記(d)成分は、ウレタン結合を有するものであることが好ましい。
【0021】
(d)成分がウレタン結合を有するものであることにより、(d)成分は良好な可とう性及び密着性を発揮することができ、感光性樹脂組成物は、硬化物の低吸湿性、低吸水性及び低透湿度と、ガラス等の被着体への良好な密着性とをより高い水準で両立することができる。
【0022】
ここで、かかる効果をより十分に得る観点から、上記(d)成分は、ジオール化合物と、有機ジイソシアネートと、(メタ)アクリロイルオキシ基及び1つの水酸基を有する化合物とを反応させて得られるものであることが好ましい。
【0023】
また、同様の観点から、上記(d)成分は、ジオール化合物と有機ジイソシアネートとを反応させて得られる化合物の末端に、下記一般式(1−1)で表わされる基を導入してなるものであることが好ましい。
【化1】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示す。]
【0024】
更に、上述したウレタン結合を有する(d)成分の中でも、硬化物の低吸湿性、低吸水性及び低透湿度と、ガラス等の被着体への密着性とをより向上させる観点から、上記(d)成分は、下記一般式(1)で表わされるものであることが好ましい。
【化2】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示し、Rは前記ジオール化合物の両末端からヒドロキシル基が脱離した2価の残基を示し、Rは前記有機イソシアネートからイソシアネート基が脱離した2価の有機基を示し、nは繰り返し数を表わす1以上の整数を示す。なお、、R及びRのそれぞれは同一でも異なっていてもよい。]
【0025】
なお、これらの構成を有する(d)成分において、上記効果をより十分に得る観点から、上記ジオール化合物は、ポリカーボネートジオールを含むことが好ましい。
【0026】
このような(d)成分は、水素結合に起因する強い凝集力を有しているため、同様に水素結合で引き合う力が強い(a)成分におけるマレイミド構造と相互作用し、特にガラス等の被着体への密着性が相乗的に向上しているものと発明者らは考える。
【0027】
更に、本発明の感光性樹脂組成物は、その硬化後の透湿度が、JIS Z 0208に記載された測定法により25℃、90%RHの条件で測定した場合に400×10−6g・m/m以下であり、且つ、硬化後の吸水率が、23℃の純水中に24時間浸漬した場合に1.2%以下であることが好ましい。
【0028】
本発明はまた、支持体と、該支持体上に形成された上記本発明の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備えることを特徴とする感光性フィルムを提供する。
【0029】
かかる感光性フィルムは、上記本発明の感光性樹脂組成物を用いて構成されていることから、熱硬化時にアウトガスの発生を十分に抑制することができるとともに、硬化後は十分に低い吸湿性、吸水性、及び、透湿度を得ることができ、ガラスとの密着性が良好であり、且つ、良好な保存安定性を示すことができる。また、上記効果を奏することから、本発明の感光性フィルムは、感光性接着剤として好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、感光性接着剤として用いることができ、熱硬化時にアウトガスの発生を十分に抑制することができるとともに、硬化後は十分に低い吸湿性、吸水性、及び、透湿度を得ることができ、ガラスとの密着性が良好であり、且つ、保存安定性が良好な感光性樹脂組成物、並びに、それを用いた感光性フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、場合により図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
まず、本発明の感光性樹脂組成物について説明する。
【0033】
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)ビスマレイミド化合物、(b)1分子中に2個以上のアリル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000のポリマー又はプレポリマー、(c)有機過酸化物、(d)1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性のエチレン性不飽和化合物、及び、(e)光重合開始剤、を含有することを特徴とするものである。
【0034】
以下、本発明の感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく説明する。
【0035】
(a)成分であるビスマレイミド化合物は、加熱によりそれ自体が架橋する熱硬化剤であり、熱を加えることにより高分子網目を形成する性質を有する。かかる(a)ビスマレイミド化合物は、分子中にマレイミド基を2個以上含有するものであり、例えば、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−m−トルイレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−[3,3’−ジメチル−ビフェニレン]ビスマレイミド、N,N’−4,4’−[3,3’−ジメチルジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N’−4,4’−[3,3’−ジエチルジフェニルメタン]ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−3,3’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−t−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−s−ブチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]デカン、1,1−ビス[2−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)−5−t−ブチルフェニル]−2−メチルプロパン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン]、4,4’−メチレン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン]、4,4’−メチレン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2,6−ジ−s−ブチルベンゼン]、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(4−マレイミドフェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、4,4’−メチレンビス[1−(マレイミドフェノキシ)−2−ノニルベンゼン]、4,4’−(1−メチルエチリデン)−ビス[1−(マレイミドフェノキシ)−2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)ベンゼン]、4,4’−(2−エチルヘキシリデン)−ビス[1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン]、4,4’−(1−メチルヘプチリデン)−ビス[1−(マレイミドフェノキシ)−ベンゼン]、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス[1−(マレイミドフェノキシ)−3−メチルベンゼン]、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−エチル−4−4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−エチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[3−メチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[3−エチル−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、3,8−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−トリシクロ−[5,2,1,02.6]デカン、4,8−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−トリシクロ−[5,2,1,02.6]デカン、3,9−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−トリシクロ−[5,2,1,02.6]デカン、4,9−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−トリシクロ−[5,2,1,02.6]デカン、1,8ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メンタン、1,8ビス[3−メチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メンタン、1,8−ビス[3,5−ジメチル−4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メンタンなどを挙げることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
(b)成分である、1分子中に2個以上のアリル基を有し、重量平均分子量(Mw)が3000〜50000のポリマー又はプレポリマーとしては、例えば、ジアリルフタレートプレポリマー又はジアリルイソフタレートプレポリマー類が好適に用いられ、このような(b)成分としては、例えば、ダイソー(株)製のダイソー・ダップA、ダイソー・ダップK、ダイソー・イソダップ等が挙げられる。また、(b)成分としては、特に重量平均分子量が5000〜20000であるジアリルイソフタレートプレポリマーが好ましい。
【0037】
(c)成分である有機過酸化物は、架橋開始剤として機能するものであり、かかる(c)成分としては、例えば、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などの有機過酸化物が好適に用いられ、反応を開始させたい温度にてラジカルを発生するものを選定することが望ましい。また、(c)成分としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド等も用いることができるが、これらは上述した好適な有機過酸化物と比較して、分解温度が低く、保存安定性、硬化物性に劣る傾向があることから好ましくない。
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物における(c)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対して0.5〜50質量部とすることが好ましく、2〜25質量部とすることがより好ましい。(c)成分の含有量が0.5質量部未満であると短時間で硬化が完了しにくくなり硬化物が不均一となる傾向がある。一方、含有量が50質量部を越えると硬化時に発泡したり、分解せずに残留した有機過酸化物により硬化物性が低下する傾向がある。
【0039】
(d)成分である、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性のエチレン性不飽和化合物としては、分子中に更にウレタン結合を有するものが好ましい。分子中に更にウレタン結合を有する(d)成分としては、1分子中に2つの水酸基を有するジオール化合物と、有機ジイソシアネートと、(メタ)アクリロイルオキシ基及び1つの水酸基を有する化合物とを反応させて得られるもの、又は、ジオール化合物と有機ジイソシアネートとを反応させて得られる化合物の末端に、下記一般式(1−1)で表わされる基を導入してなるものが好ましく、これらの中でも下記一般式(1)で表わされるものが特に好ましい。
【化3】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示す。]
【化4】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示し、Rは前記ジオール化合物の両末端からヒドロキシル基が脱離した2価の残基を示し、Rは前記有機イソシアネートからイソシアネート基が脱離した2価の有機基を示し、nは繰り返し数を表わす1以上の整数を示す。なお、、R及びRのそれぞれは同一でも異なっていてもよい。]
【0040】
上記Rで表わされる不飽和有機基としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレートが反応したジメチレンアクリレート基(−COOCCH=CH)、ヒドロキシプロピルアクリレートが反応したトリメチレンアクリレート基、ヒドロキシブチルアクリレートが反応したテトラメチレンアクリレート基、ヒドロキシエチルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシジメチレン−アクリレート基(−(CHCOOCOOCCH=CH)、ヒドロキシプロピルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシトリメチレン−アクリレート基、ヒドロキシブチルアクリレート・カプロラクトン付加物が反応したペンタメチレンカルボニルオキシテトラメチレン−アクリレート基等のカプロラクトン付加物又は酸化アルキレン付加物が反応した基、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化エチレン付加物が反応したジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−COCOOCCH=CH)、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化プロピレン付加物が反応したメチルジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−C(CH)OCOOCCH=CH)、ヒドロキシエチルアクリレート・酸化ブチレン付加物が反応したエチルジメチレンオキシジメチレン−アクリレート基(−C(C)OCOOCCH=CH)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが反応した1,4−シクロヘキサンジメチレン−アクリレート基(−CH10CHOOCCH=CH)等が挙げられる。
【0041】
また、分子中に更にウレタン結合を有する(d)成分において、上記ジオール化合物は、ポリカーボネートジオールを含むことが好ましい。
【0042】
上記一般式(1)で表わされるウレタン結合を有する(d)エチレン性不飽和化合物としては、ジオール化合物、アクリル酸誘導体及びポリイソシアネート化合物を必須成分としてなるエチレン性不飽和基を有するウレタン化合物を全て適用することができる。また、要求される特性によって使用する(d)成分は適宜変えることができる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
また、(d)成分としては、上述したようなウレタン(メタ)アクリレートのほか、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、ビスフェノールAのポリエチレングリコールあるいはプロピレングリコール付加物のモノ又は多官能(メタ)アルリレート類、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のモノあるいは多官能(メタ)アクリレート類、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
(e)成分である光重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−モルホリノフェノン)−ブタノン−1,2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0045】
また、本発明の感光性樹脂組成物層は、(f)無機フィラーを更に含有することが好ましい。(f)成分である無機フィラーとしては、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤を使用することができる。これらは、分散性、沈降性を改善する目的で、表面処理としてカップリング処理等が施されたものであることが望ましい。
【0046】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、フィルム状に形成した場合のフィルム性(フィルム状の形態を保持する特性)を向上させる観点から、高分子量成分を更に含有することが好ましい。なお、フィルム性の向上と同時に良好なアルカリ現像性を得る観点から、高分子量成分としては、(g)カルボキシル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000の感光性プレポリマー又は非感光性ポリマーを用いることが好ましい。
【0047】
(g)成分のうち、カルボキシル基を有する感光性プレポリマーとしては、重量平均分子量が3000〜50000のものであって、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とのエステル化物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物を付加した付加反応物等が好適に用いられる。
【0048】
ここで、上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビスフェノール型エポキシ化合物が適しており、具体的には、ZAR−1035、ZFR−1185(以上、日本化薬社製)、GY−260、GY−255、XB−2615(以上、チバ・ガイギー社製)等のビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、臭素化ビスフェノールA型、アミノ基含有、脂環式あるいはポリブタジエン変性等のエポキシ化合物が好適に用いられる。また、上記エポキシ化合物としては、フェノール、クレゾール、ハロゲン化フェノール又はアルキルフェノール類とホルムアルデヒドとを酸性触媒下で反応して得られるノボラック類と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られるノボラック型エポキシ化合物も適しており、具体的には、PCR−1050(日本化薬社製)、YDCN−701、YDCN−704、YDPN−638、YDPN−602(以上、東都化成社製)、DEN−431、DEN−439(以上、ダウ・ケミカル社製)、EPN−1299(チバ・ガイギー社製)、N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150、VH−4240(以上、大日本インキ化学工業社製)、EOCN−120、BREN(以上、日本化薬社製)等が挙げられる。また、上述したビスフェノール型、ノボラック型エポキシ化合物以外にも、例えば、サリチルアルデヒド−フェノールあるいはクレゾール型エポキシ化合物(日本化薬社製、商品名:EPPN502H、FAE2500等)が好適に用いられる。また、例えば、エピコート828、エピコート1007、エピコート807(以上、油化シェル社製)、エピクロン840、エピクロン860、エピクロン3050(以上、大日本インキ化学工業社製)、DER−330、DER−337、DER−361(以上、ダウ・ケミカル社製)、セロキサイド2021(ダイセル化学工業社製)、TETRAD−X、TETRAD−C(以上、三菱ガス化学社製)、EPB−13、EPB−27(以上、日本曹達社製)、あるいは特開平8−260008号公報に記してあるポリアミド、ポリアミドイミド系エポキシ化合物も使用できる。更に、これらの混合物あるいはブロック共重合物も使用できる。
【0049】
上記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸;クロトン酸;ケイ皮酸;飽和又は不飽和多塩基酸無水物と、1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類、あるいは、飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類との反応物などが挙げられる。上記反応物として具体的には、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸又はコハク酸と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレートとを常法により等モル比で反応させて得られる反応物が挙げられる。これらの不飽和モノカルボン酸は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらの中ではアクリル酸が特に好ましい。
【0050】
上記飽和又は不飽和多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、トリメリット酸等の無水物が用いられる。
【0051】
(g)成分のうち、カルボキシル基を有する非感光性ポリマーとしては、カルボキシル基を有する重量平均分子量が3000〜50000のポリマーが用いられ、例えば、アクリルポリマー、フェノキシポリマー等が挙げられる。
【0052】
ここで、上記アクリルポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、ケイヒ酸、クロトン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を持つビニル重合性単量体と、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドン、α−メチルスチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート等のビニル重合性単量体とを、有機溶剤中でアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、過酸化ベンゾイル等の重合開始剤を用いて一般的な溶液重合により重合して得られるものを用いることができる。
【0053】
これら(g)成分である感光性プレポリマー、又は非感光性ポリマーの酸価は、用いるアルカリ現像液により異なるが、アルカリ現像性と電気特性との特性バランス上、30〜150mgKOH/gであることが好ましく、50〜120mgKOH/gであることがより好ましい。また、(g)成分を含有してなる感光性樹脂組成物の固形分全体の酸価は、10〜80mgKOH/gであることが好ましく、20〜60mgKOH/gであることがより好ましい。
【0054】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、密着性をより向上させる観点から、メラミン、トリアジン化合物及びその誘導体等の材料を含有させることが望ましい。かかる材料としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン−フェノール−ホルマリン樹脂、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、C11Z−AZINE、2MA−OK(以上、四国化成工業社製)等が挙げられる。また、エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類を用いることもできる。これらの材料は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として0.1〜10質量%の含有量となるように使用することが好ましい。
【0055】
更に、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じてフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオジングリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの着色剤等を添加することもできる。また、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト、エアロジル、アミドワックス等のチキソ性付与剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤のような添加剤類を添加することもできる。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類、ベンジルアルコール、シクロヘキサン等の炭化水素類、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−1−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルヘキシルケトン、エチルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−2−ペンタノン、6−ヒドロキシ−2−ヘキサノン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類及びそのアセテートジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート、ジプロピレングリコールアルキルエーテル類、トルエン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル等のカルボン酸エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、炭酸プロピレンなどの溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して粘度を調整することができる。また、固形分30〜70質量%程度の塗布液として支持体に塗布し、感光性フィルムを形成することができる。
【0057】
本発明の感光性樹脂組成物において、各成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、(b)成分と(f)成分との合計含有量が30〜70質量%、(a)成分の含有量が5〜20質量%であることが好ましい。ここで、(d)成分の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として10〜40質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。(d)成分の含有量が10質量%未満であると露光時に良好な感度、解像度が得られなくなる傾向があり、40質量%を超えるとフィルムタックが大きくなり過ぎる傾向がある。
【0058】
本発明の感光性樹脂組成物が(g)成分を含有する場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、5〜30質量%であることが好ましい。なお、(d)成分として比較的分子量の大きい成分を用いている場合は、(d)成分によって良好なフィルム性が得られるため、(g)成分の含有量は少なくすることができる。一方、(d)成分として比較的分子量の小さい成分を用いている場合は、良好なフィルム性を得るために、(g)成分の含有量は多くすることが好ましい。
【0059】
次に、本発明の感光性フィルムについて説明する。
【0060】
図1は、本発明の感光性フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示した感光性フィルム1は、支持体10上に感光層14が積層された構造を有する。感光層14は、上述した本発明の感光性樹脂組成物からなる層である。なお、感光層14上には、該感光層を被覆する保護フィルム(図示せず)を更に備えていてもよい。
【0061】
感光層14は、本発明の感光性樹脂組成物を上記溶剤又は混合溶剤に溶解して固形分30〜70質量%程度の塗布液とした後に、かかる塗布液を支持体上に塗布して形成することが好ましい。ここで、塗布液の塗布方法としては、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法を採用することができる。また、溶剤の除去は、例えば、70〜150℃の温度で5〜30分間程度処理することで行うことができる。なお、感光層14中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0062】
感光層14の厚みは、用途により異なるが、溶剤を除去した乾燥後の厚みで、5〜100μmであることが好ましく、20〜60μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では基板等に感光層14を積層する際に不具合が発生しやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像度が低下する傾向がある。
【0063】
支持体10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムなどが挙げられる。
【0064】
支持体14の厚みは、5〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。この厚みが5μm未満では現像前に支持体を剥離する際に当該支持体が破れやすくなる傾向があり、また、100μmを超えると解像度及び可とう性が低下する傾向がある。
【0065】
感光性フィルム1が保護フィルムを有する場合、当該保護フィルムとしては、感光層14と支持体10との間の接着力よりも、感光層14と保護フィルムとの間の接着力が小さくなるようなフィルムを用いることが好ましく、また、低フィッシュアイのフィルムを用いることが好ましい。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の不活性なポリオレフィンフィルム等が挙げられるが、感光層14からの剥離性の見地から、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0066】
また、本発明の感光性フィルム1は、感光層14、支持体10及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
【0067】
本発明の感光性フィルム1は、例えば、そのままの状態で又は保護フィルムを積層したものを円筒状の巻芯に巻き取った状態で貯蔵することができる。この際、支持体10が外側になるようにロール状に巻き取られることが好ましい。また、ロール状に巻き取った感光性フィルム1の端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。また、梱包方法としては、透湿性の低いブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0068】
巻芯の材質としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチック等が挙げられる。
【0069】
次に本発明の感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法について説明する。
【0070】
上記レジストパターンの形成方法は、感光性フィルム1を、感光層14、支持体10の順に回路形成用基板上に積層する積層工程と、活性光線を、感光層14の所定部分に照射して、感光層14に光硬化部を形成させる露光工程と、光硬化部以外の感光層14を除去する現像工程と、を含む方法である。
【0071】
積層工程において、感光層14をウェハ又は回路基板上に積層する方法としては、感光層14上に保護フィルムが存在している場合には、該保護フィルムを除去した後、感光層14を40〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度の圧力で圧着することにより積層する方法等が挙げられ、減圧下で積層することも可能である。なお、回路形成用基板の積層される表面は通常金属面であるが、特に制限されない。また、積層性を更に向上させるために、回路形成用基板の予熱処理を行ってもよい。
【0072】
次に、露光工程は、上記積層工程で積層が完了した感光層14に対して、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線を画像状に照射し、感光層14に光硬化部を形成させることによって行われる。このとき、活性光線は支持体10を通して照射してもよく、支持体10を感光層14から剥離して照射してもよい。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線や可視光等を有効に放射するものが用いられる。また、レーザー直接描画露光法にも使用される。
【0073】
次に、現像工程では、上記露光工程後、感光層14上に支持体10がある場合にはこの支持体10を除去し、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部(光硬化部)を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。
【0074】
アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜3質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。上記アルカリ性水溶液の温度は、感光層の現像性に合わせて調節される。また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。また、現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0075】
また、現像工程後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより、レジストパターンを更に硬化してもよい。
【0076】
以上、本発明の感光性フィルムを用いたレジストパターンの形成方法及びパターン形成後のレジスト硬化について説明したが、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性フィルムは、感光性接着剤としての使用が可能であり、上述のようにしてレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンが形成された基板と、ガラス等の別の基板とを圧着し、レジストパターンを熱硬化することで両基板を接着することができる。また、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性フィルムは、リジッド、フレキシブルプリント配線板、BGA、CSP、及びTCP等のパッケージ用のソルダーレジスト、あるいは、多層材のビルドアップ材としても有用である。更に、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性フィルムは、塗料、ガラス、セラミック、プラスチック、紙等のコーティング材にも使用することができる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
<ウレタン結合含有エチレン性不飽和化合物の合成>
攪拌機、温度計、冷却管及び空気導入管付き反応容器に空気を導入させた後、ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業(株)製、商品名:プラクセルCD205PL、重量平均分子量500)196.8質量部、ジメチロールブタン酸(三菱化学(株)製)58.3質量部、ジエチレングリコール(日曹丸善ケミカル(株)製)37.6質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(三菱化学(株)製)148.1質量部、p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)0.55質量部、ジブチル錫ラウレート(東京ファインケミカル(株)製、L101)0.55質量部及びメチルエチルケトン(東燃化学(株)製)110.2質量部を仕込み、空気気流下で65℃まで攪拌しながら昇温した。
【0079】
次に、滴下容器にトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(ヒュルスジャパン社製、商品名:VESTANAT TMDI)305.9質量部を仕込み、反応容器温度を65±3℃に保持した状態で、3時間かけて反応容器に均一に滴下した。滴下終了後、滴下容器をメチルエチルケトン76.5質量部を用いて洗浄し、洗浄液は反応容器にそのまま投入した。さらに攪拌しながら2時間保温した後、反応容器温度を75℃に昇温した。
【0080】
その後、赤外分光光度計を用いてイソシアネート基を示す赤外吸収スペクトルのピークの消失を確認できるまで、75±3℃で攪拌保温を続けた。75℃に昇温してからおよそ6〜8時間でイソシアネート基のピークが消失した。このピークの消失を確認した後、反応容器温度を60℃まで降温し、メタノール(和光純薬工業(株)製)9.3質量部を添加し、60±3℃で30分保温した。その後、メチルエチルケトンを56.4質量部添加し、(d)成分としての透明なウレタン樹脂含有溶液を得た。これを合成樹脂(1)とする。なお、このウレタン樹脂含有溶液中の固形分は75.6質量%であり、固形分の酸価は22.2mgKOH/gであり、溶液の粘度は1810cpであった。
【0081】
[実施例1〜5及び比較例1〜4]
まず、表1に示す各成分を同表に示す配合比(質量基準)で混合することにより、感光性樹脂組成物溶液を得た。なお、上記配合比は、メチルエチルケトン及びジメチルホルムアミド以外は固形分の質量を基準としたものである。また、表1中、(a)成分としてのビスマレイミド化合物は、大和化成工業(株)製のBMI−4000(商品名)であり、(b)成分としてのジアリルフタレートプレポリマーは、ダイソー(株)製のダイソー・ダップK(商品名)であり、(c)成分としての有機過酸化物は、日本油脂(株)製のパーヘキシン25B(商品名)であり、(d−1)成分としてのエチレン性不飽和化合物は、上記合成樹脂(1)であり、(d−2)成分としてのエチレン性不飽和化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであり、(d−3)成分としてのエチレン性不飽和化合物は、新中村化学工業(株)製のBPE−500(商品名)であり、(e)成分としての光重合開始剤は、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のI−651(商品名)であり、(f)成分としての無機フィラーは、SiO粒子(粒径0.5〜10μm、シランカップリング剤処理)であり、(g−1)成分としてのカルボキシル基含有感光性プレポリマーは、テトラヒドロキシ無水フタル酸変性エポキシアクリレート(商品名:ZFR−1158、酸価60mgKOH/g、日本化薬(株)製)であり、(g−2)成分としてのカルボキシル基含有ポリマーは、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/スチレン共重合体(質量比:15/40/30/15、重量平均分子量70,000、酸価100mgKOH/g)であり、(h−1)成分としての熱硬化性成分は、ブロック型イソシアネート(商品名:BL−3175、住化バイエルウレタン(株)製)であり、(h−2)成分としての熱硬化性成分は、エポキシ樹脂(商品名:ESLV−80XY、新日鐵化学(株)製)である。
【0082】
【表1】



【0083】
次に、これらの感光性樹脂組成物溶液を、それぞれ別々に支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:G2−16、帝人社製)上に均一に塗布し、熱風対流式乾燥機を用いて95℃で10分間乾燥することで溶剤を除去して感光層を形成した。感光層の乾燥後の膜厚は30μmであった。
【0084】
続いて、感光層の支持体と接している側とは反対側の表面上に、ポリエチレンフィルム(商品名:NF−15、タマポリ社製)を保護フィルムとして貼り合わせ、感光性フィルムを得た。
【0085】
[特性評価試験]
(解像度の評価)
まず、6インチサイズのベタウェハ(シリコンウェハ)上に感光性ポリイミドPIX−1400(商品名、日立化成デュポンマイクロシステムズ(株)製)を2μmの膜厚で形成したものを評価基板として用意した。次に、実施例1〜5及び比較例1〜4の感光性フィルムからポリエチレンフィルムを剥離した後、これを感光層が評価基板に接触するようにプレス式真空ラミネータ(名機製作所社製、商品名:MVLP−500)を用いて、上板温度50℃、下板温度50℃、真空度5hPa以下、プレス時間30秒の条件で評価基板上に熱圧着し、室温で1時間以上放置して評価用積層体を得た。
【0086】
次に、得られた評価用積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム上から、解像度評価用ネガとして、ライン幅/スペース幅が50/50〜200/200(単位:μm)の配線パターンを有するネガマスクパターンを密着させ、EXM−1201型露光機((株)オーク製作所製)を使用して、21段ステップタブレット(イーストマンコダック(株)製)の現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行い、感光層に露光部を形成した。
【0087】
露光後から室温で10分間放置した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、30℃の2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド(TMAH)現像液で未露光部の感光層を60秒間スプレー現像した。
【0088】
現像後、紫外線照射装置((株)オーク製作所製)を使用して、1J/cmの紫外線照射を行い、さらに160℃で60分間加熱処理を行い、永久マスクレジストパターンを形成したウェハ基板を得た。形成したレジストパターンを実体顕微鏡により観察し、細線のライン幅の最も小さい値を測定し、解像度として評価した。その結果、実施例1〜5及び比較例1〜4のいずれの感光性フィルムにおいても、解像度が100μm以下となり、十分な解像度を有していることが確認された。
【0089】
(吸水率の評価)
まず、予め質量を測定したステンレス鋼SUS304からなる100mm×200mmのステンレス板の両面に、実施例1〜5及び比較例1〜4の感光性フィルムを全面に形成し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上から、EXM−1201型露光機((株)オーク製作所製)を使用して、21段ステップタブレット(イーストマンコダック(株)製)の現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行い、感光層を硬化させた。
【0090】
露光後から室温で10分間放置した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、紫外線照射装置((株)オーク製作所製)を使用して、1J/cmの紫外線照射を行い、さらに160℃で60分間加熱処理を行い、感光層を熱硬化させて評価用積層体を作製した。この評価用積層体の質量を80℃で30分間乾燥した後に測定し、これを23℃の純水中に24時間浸漬することで感光層の硬化物を吸水させ、純水から基板を取り出して表面についた水滴を拭き取り、吸水後の評価用積層体の質量を測定した。
【0091】
ステンレス板の質量をA(質量部)、吸水前の評価用積層体の質量をB(質量部)、吸水後の評価用積層体の質量をC(質量部)として、下記式:
X={(C−B)/(B−A)}×100
により感光層の硬化物の吸水率X(%)を求めた。その結果を表2に示す。
【0092】
(吸湿率の評価)
上記吸水率の評価と同様の手順で評価用積層体を準備した。この評価用積層体を、85℃、85%RHの環境下で24時間放置することで感光層の硬化物を吸湿させた後、表面についた水滴を拭き取り、吸湿後の評価用積層体の質量を測定した。
【0093】
ステンレス板の質量をA(質量部)、吸湿前の評価用積層体の質量をB(質量部)、吸湿後の評価用積層体の質量をD(質量部)として、下記式:
Y={(D−B)/(B−A)}×100
により感光層の硬化物の吸湿率Y(%)を求めた。その結果を表2に示す。
【0094】
(透湿度の評価)
上記吸水率の評価と同様の手順で硬化させたレジストの硬化膜を準備した。こうして得られたレジストの硬化膜の透湿度を、JIS Z 0208に記載された測定法により25℃、90%RHの条件で測定した。その結果を表2に示す。
【0095】
(密着性及びアウトガスの評価)
上記解像度の評価と同様の手順で評価用積層体を準備した。この評価用積層体のポリエチレンテレフタレートフィルム上から、EXM−1201型露光機((株)オーク製作所製)を使用して、21段ステップタブレット(イーストマンコダック(株)製)の現像後の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行い、感光層を硬化させた。
【0096】
露光後から室温で10分間放置した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、30℃の2.38%テトラメチルアンモニウムハイドロオキシド(TMAH)現像液で未露光部の感光層を60秒間スプレー現像して、レジストが形成されたウェハを得た。
【0097】
現像後、ウェハを3.2mm×3.2mm角にダイシングし、これを10mm×10mm角のガラスに130℃で10秒間圧着した。次いで、紫外線照射装置((株)オーク製作所製)を使用して、1J/cmの紫外線照射を行った後、さらに160℃で60分間加熱処理を行い、ウェハとガラスとを接着して密着性評価用試料を得た。
【0098】
密着性は、上記密着性評価用試料におけるウェハとガラスとの間の接着強度(MPa)を、ダイボンディングテスター(レスカ(株)製)を用いて、測定高さ50μm、測定速度50μm/秒、室温で測定することで求めた。その結果を表2に示す。
【0099】
なお、上記ガラスに代えてガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(両面に銅箔層(厚さ18μm)を有する、日立化成工業株式会社製のMCL−E−679(商品名))を用いた場合でも、密着性の値は同様の結果であった。
【0100】
また、上記密着性評価用試料において、ウェハとガラスとの間にボイドの発生があるかどうかを実体顕微鏡を用いて観察し、以下の評価基準にて評価した。その結果を表2に示す。なお、ボイドの発生が認められなければ、感光層の硬化時にアウトガスが発生しなかったこととなる。
○:ボイドの発生が認められなかった
×:ボイドの発生が認められた
【0101】
(保存安定性の評価)
実施例1〜5及び比較例1〜4の感光性フィルムを、23℃、60%RHの環境下で30日間放置した。放置後の感光性フィルムを用いて、上記解像度の評価と同様の手順で露光、現像、UV照射及び加熱処理を行い、永久マスクレジストパターンを形成したウェハ基板を得た。形成したレジストパターンを実体顕微鏡により観察し、以下の評価基準にて評価した。その結果を表2に示す。
○:未露光部分に樹脂残りが認められなかった
×:未露光部分に樹脂残りが認められた
【0102】
【表2】



【0103】
表2に示した結果から明らかなように、本発明の感光性フィルム(実施例1〜5)によれば、紫外線照射時及び熱硬化時にアウトガスの発生が無く、吸湿性、吸水性及び透湿度が十分に低く、ガラス及び金属との密着性が良好であり、十分な解像度が得られ、且つ、保存安定性が良好であることが確認された。したがって、本発明の感光性フィルムは、感光性接着剤としての使用が可能であり、更にリジッド、フレキシブルプリント配線板、BGA、CSP、及びTCP等のパッケージ用のソルダーレジスト、あるいは、多層材のビルドアップ材としても有用である。また、本発明の感光性フィルムは、塗料、ガラス、セラミック、プラスチック、紙等のコーティング材にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の感光性フィルムの好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0105】
1…感光性フィルム、10…支持体、14…感光層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビスマレイミド化合物、(b)1分子中に2個以上のアリル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000のポリマー又はプレポリマー、(c)有機過酸化物、(d)1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する光重合性のエチレン性不飽和化合物、及び、(e)光重合開始剤、を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
(f)無機フィラーを更に含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、前記(b)成分と前記(f)成分との合計含有量が30〜70質量%、前記(a)成分の含有量が5〜20質量%であることを特徴とする請求項2記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(g)カルボキシル基を有し、重量平均分子量が3000〜50000の感光性プレポリマー又は非感光性ポリマーを更に含有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(g)成分の酸価が20〜150mgKOH/gであることを特徴とする請求項4記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(d)成分が、ウレタン結合を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(d)成分が、ジオール化合物と、有機ジイソシアネートと、(メタ)アクリロイルオキシ基及び1つの水酸基を有する化合物とを反応させて得られるものであることを特徴とする請求項6記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(d)成分が、ジオール化合物と有機ジイソシアネートとを反応させて得られる化合物の末端に、下記一般式(1−1)で表わされる基を導入してなるものであることを特徴とする請求項6又は7記載の感光性樹脂組成物。
【化1】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示す。]
【請求項9】
前記(d)成分が、下記一般式(1)で表わされるものであることを特徴とする請求項7又は8記載の感光性樹脂組成物。
【化2】



[式中、Rは二重結合を1以上含む不飽和有機基を示し、Rは前記ジオール化合物の両末端からヒドロキシル基が脱離した2価の残基を示し、Rは前記有機イソシアネートからイソシアネート基が脱離した2価の有機基を示し、nは繰り返し数を表わす1以上の整数を示す。なお、R、R及びRのそれぞれは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項10】
前記ジオール化合物が、ポリカーボネートジオールを含むことを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
硬化後の透湿度が、JIS Z 0208に記載された測定法により25℃、90%RHの条件で測定した場合に400×10−6g・m/m以下であり、且つ、硬化後の吸水率が、23℃の純水中に24時間浸漬した場合に1.2%以下であることを特徴とする請求項1〜10のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
支持体と、該支持体上に形成された請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層と、を備えることを特徴とする感光性フィルム。


【図1】
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【公開番号】特開2006−323089(P2006−323089A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145616(P2005−145616)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】