説明

感光性着色組成物およびカラーフィルタ

【課題】着色材濃度、感光性、画像部の耐溶剤性、保存安定性を両立する感光性着色組成物、及び該組成物を用いて形成されるカラーフィルタを提供する。
【解決手段】感光性着色組成物は、感光性樹脂と着色材とを含有する。前記樹脂は、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と、(a1)以外の重合性モノマー(a2)とを重合してなる共重合体(A)に、下記一般式(1)で表される化合物を反応させてなるものである。 該感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを有するカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色組成物に関する。特に液晶表示装置や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタにおいて、赤、緑、青、イエロー、オレンジ、シアン、マゼンタ等の各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックス等の形成に有用な、高い感光性を持つ感光性着色組成物に関する。また、本発明は、該感光性着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものからなっている。フィルタセグメントは、数ミクロン〜数100ミクロンと微細であり、色相毎に所定の配列で整然と配置されている。
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極および配向膜の性能を充分得るためには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。
【0003】
このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色材とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。顔料分散法の場合、感光性樹脂溶液中に顔料を分散した感光性着色組成物(顔料レジスト材)をガラス等の透明基板に塗布し、乾燥により溶剤を除去した後、一つのフィルタ色のパターン露光を行い、次いで未露光部を現像工程で除去して1色目のパターンを形成、必要に応じて加熱等の処理を加えた後、同様の操作を全フィルタ色について順次繰り返すことによりカラーフィルタを製造することができる。
【0004】
顔料を含む感光性着色組成物を用いたフィルタセグメント形成において、高い感光性、画像部の耐溶剤性、及び着色組成物の保存安定性は重要な特性である。近年では、より色濃度の高いカラーフィルタや光学濃度(OD値)の高いブラックマトリクスの要求が高まっており、感光性着色組成物における着色材濃度が高くなる傾向にある。しかし、着色材濃度が上昇すると、着色材自身の光吸収の増加により露光部の十分な硬化が得られないため感光性、画像部の耐溶剤性の低下を引き起こす。また、露光部において十分な硬化を得るために、光硬化成分を増加させると、相対的に着色組成物の保存安定性に寄与する成分の減少により、保存安定性が悪化する。このように、着色材濃度の上昇に伴い、感光性着色組成物に求められる特性である感光性、画像部の耐溶剤性、保存安定性の維持が困難になっている。
【0005】
このような問題を解決するために1つの水酸基当たり1つのエチレン性不飽和二重結合を導入した感光性樹脂を用いたカラーフィルタ用感光性着色組成物が知られている。しかしながら、カラーフィルタやブラックマトリクスに求められる要求性能の高まりは急速であり、現状では、前記カラーフィルタ用感光性着色組成物で着色材濃度、感光性、画像部の耐溶剤性、保存安定性を両立することが不可能となっている。そこで、筆者らは鋭意研究した結果、1つの水酸基当たり2つのエチレン性不飽和二重結合を導入した感光性樹脂を用いたカラーフィルタ用感光性着色組成物によって着色材濃度、感光性、画像部の耐溶剤性、保存安定性を両立することできることを発見した。
【特許文献1】特開2005−156930公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来の感光性着色組成物では両立できなかった、高い着色材濃度における高い感光性、画像部の耐溶剤性、保存安定性を両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、感光性樹脂と着色材とを含む感光性着色組成物であって、感光性樹脂が、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と、(a1)以外の重合性モノマー(a2)とを重合してなる共重合体(A)中の水酸基に、下記一般式(1)で表される化合物中のイソシアネート基を反応させてなることを特徴とする。
一般式(1)
【化1】

(但し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。また、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
また、本発明の感光性着色組成物は、感光性樹脂における二重結合当量が200〜800であることを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタは、前記感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の感光性着色組成物は、水酸基を有する重合性モノマーを構成単位として含む共重合体に、1つの水酸基との反応を介して2つのエチレン性不飽和結合を導入した感光性樹脂を含むため、高い着色材濃度においても高い感光性を有し、かつ優れた耐溶剤性及び保存安定性を有するという利点がある。また、感光性が高いため少ない光量にて充分に硬化し、生産性にも優れている。
よって、本発明の感光性着色組成物を用いてフィルタセグメントを形成することにより、安定して高品質の透過型・反射型のカラー液晶表示装置ならびに固体撮像素子の色分解用カラーフィルタを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、本発明の感光性着色組成物について説明する。
本発明の感光性着色組成物は感光性樹脂と着色材とを含むものであって、感光性樹脂が、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と、(a1)以外の重合性モノマー(a2)とを重合してなる共重合体(A)中の水酸基に、下記一般式(1)で表される化合物中のイソシアネート基を反応させてなる。
一般式(1)
【化2】

(但し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。また、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0010】
共重合体(A)を構成する、水酸基を有する重合性モノマー(a1)とは、水酸基及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0011】
共重合体(A)を構成する、他の重合性モノマー(a2)とは、エチレン性不飽和二重結合を有し、かつ水酸基を有しない(a1)以外の化合物であり、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と共重合可能な重合性モノマーである。
例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノールのエチレン オキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノール のエチレンオキサイド(EO)またはプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;N−ビニルピロリドン;スチレンおよびその誘導体、α−メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のその他のビニル化合物、およびポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマーなどのマクロモノマー類などが挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0012】
また、共重合体(A)を構成する、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と他の重合性モノマー(a2)との共重合比は、5〜95重量%:95〜5重量%であることが好ましく、20〜80重量%:80〜20重量%であることがより好ましい。
水酸基を有する重合性モノマー(a1)の共重合比が5重量%未満の場合は、感光性樹脂を導入できるエチレン性不飽和二重結合の数が少なく、結果として十分な感度を得ることができない。95重量%を越える場合は、多くのエチレン性不飽和二重結合を導入することが可能となるが、他の重合性モノマー(a2)の比率が低くなるため、保存安定性(分散安定性)、溶解性、耐溶剤性等の物性を維持することが困難となる。
【0013】
なお、共重合体(A)を構成する他の重合性モノマー(a2)としてパラクミルフェノール のエチレンオキサイド(EO)またはプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレートを用いることが保存安定性の点で好ましく、共重合体(A)中に共重合比として5〜50重量%含むことがより好ましい。
【0014】
共重合体(A)の合成は、開始剤の存在下、不活性ガス気流下、一般的には50〜150℃で2〜10時間かけて行われる。また、共重合体(A)の合成は、必要に応じて溶剤の存在下で行っても差し支えない。
開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。開始剤は、(a1)と(a2)からなる重合性モノマー100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。
【0015】
溶剤としては、水および/または水混和性有機溶剤、またはエチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル;シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;キシレン、エチルベンゼンなどを用いることができる。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。
【0016】
感光性樹脂は、上記反応により得られた共重合体(A)中の水酸基に、下記一般式(1)で表される化合物中のイソシアネート基を反応させて得られる。
一般式(1)
【化3】

(但し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。また、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【0017】
一般式(1)に表される化合物中のエチレン性不飽和二重結合は、共重合体(A)中の(a1)由来の水酸基を介して感光性樹脂に導入される。感光性樹脂におけるエチレン性不飽和二重結合の量は「二重結合当量」により示される。二重結合当量とは、下記式で定義され、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものである。[材料繰り返し構成単位の分子量]と[繰り返し構成単位中の二重結合の数]は、共重合体(A)の合成材料とその配合量に基づいて計算により得られる。同じ分子量の感光性樹脂であれば、二重結合当量の数値が小さいほど二重結合の導入量が多くなる。
[二重結合当量]=[繰り返し構成単位の分子量]/[繰り返し構成単位中の二重結合の数]
【0018】
本発明における感光性樹脂の二重結合当量は200〜800であることが好ましい。感光性樹脂の二重結合当量が200未満の場合は、エチレン性不飽和二重結合を導入させる水酸基を有する重合性モノマー(a1)の比率が高くなり、分散性等の維持に寄与する他の重合性モノマー(a2)の比率が低下するため、保存安定性(分散安定性)、溶解性、耐溶剤性等の効果が低下し、二重結合当量が800を越える場合は、感光性が低下する傾向がある。
また、感光性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色材の分散性が良好な点から、好ましくは2000〜200000、より好ましくは5000〜100000である。
【0019】
共重合体(A)と一般式(1)で表される化合物との反応は、一般式(1)で表される化合物を、少量の触媒の存在下、共重合体(A)溶液中に滴下することにより行なわれる。触媒としては、ラウリン酸ジブチル錫等が挙げられ、また、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、2,3−ジ−tert−ブチルp−クレゾール等の重合禁止剤が必要に応じて使用される。
【0020】
本発明に係る感光性着色組成物は、前記感光性樹脂と着色材とを含むものである。着色材としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、本発明の感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0021】
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
【0022】
イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等の黄色顔料を用いることができる。
【0023】
オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment orange 36、43、51、55、59、61、71、73等のオレンジ色顔料を用いることができる。
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0024】
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等の青色顔料を用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red144、146、177、169、81等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
【0025】
また、樹脂ブラックマトリクス用の黒色色素としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的にはC.I. Pigment black6、7、12、20、31、32等が挙げられ、なかでもカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。
その他無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感光性、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
本発明の感光性着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0026】
本発明の感光性着色組成物には、現像液に対する溶解性や耐性をコントロールするために、非感光性樹脂、その前駆体またはそれらの混合物を含有させることができる。
非感光性樹脂とは、エチレン性不飽和二重結合を有しない、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の透明樹脂である。このような非感光性樹脂には、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が含まれる。
非感光性樹脂の前駆体としては、紫外線照射により硬化して非感光性樹脂を生成するモノマーおよびオリゴマーが含まれる。これらは単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
【0027】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0028】
モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0029】
本発明の感光性着色組成物(レジスト材)は溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調整することができる。着色レジスト材は、感光性樹脂と、必要に応じて用いられるモノマーや光重合剤等のその他の成分の混合物中に、着色材を分散させたものである。
本発明の感光性着色組成物は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター、ペイントコンディショナー等の各種分散手段を用い、感光性樹脂中に単独または2種以上の着色材を微細に分散することによって製造することができる。
【0030】
感光性樹脂に着色材を分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を感光性樹脂中に分散してなる感光性着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0031】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の感光性樹脂への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などが用いられる。また、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート、エチレンオ
キサイド/プロピレンオキサイド付加物等が用いられる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。
【0033】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
本発明の感光性着色組成物には溶剤を含有させることができる。溶剤を含有させると、着色材が充分に感光性樹脂中に分散でき、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することが容易になる。
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0035】
本発明の感光性着色組成物には、多官能モノマーを添加することができる。
多官能性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル等が代表例に挙げられる。多官能性モノマーは、感光性着色組成物の感光性アップの観点から、エチレン性不飽和二重結合を3〜12個有することが好ましい。多官能性モノマーは単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
【0036】
また、本発明の感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0037】
本発明の感光性着色組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0038】
上記光重合開始剤は、単独であるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0039】
着色材は、感光性着色組成物中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましい。また、着色材は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含有され、その残部は感光性樹脂、多官能性単量体等により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
本発明の感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0040】
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、本発明の感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを有するカラーフィルタである。カラーフィルタには、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する加法混色型、または少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する減法混色型のものがある。
【0041】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により、本発明の感光性着色組成物を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0042】
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントを形成は、下記の方法で行う。すなわち、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0043】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光による感光性を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0044】
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフィー法の他に、電着法、転写法などにより製造することができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
(合成例1)
反応容器にシクロヘキサノン360部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 25.2部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
9.9部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 40.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は1000であった。
【0046】
(合成例2)
反応容器にシクロヘキサノン1000部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 234.6部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 8.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
156.5部
ラウリン酸ジブチル錫 1.2部
シクロヘキサノン 500.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は180であった。
【0047】
(合成例3)
反応容器にシクロヘキサノン560部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 60.0部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
52.5部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 150.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は270であった。
【0048】
(合成例4)
反応容器にシクロヘキサノン420部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 34.9部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
24.9部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 80.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は455であった。
【0049】
(合成例5)
反応容器にシクロヘキサノン350部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 26.9部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
13.2部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 40.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は800であった。
【0050】
(合成例6)
反応容器にシクロヘキサノン560部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 73.6部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
42.5部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 128.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は318であった。
【0051】
(合成例7)
反応容器にシクロヘキサノン420部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 39.4部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
19.8部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 80.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は552であった。
【0052】
(合成例8)
反応容器にシクロヘキサノン560部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
ベンジルメタアクリレート 30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 60.0部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
1,1(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート
52.5部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 150.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は270であった。
【0053】
(合成例9)
反応容器にシクロヘキサノン360部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
グリセロールモノメタクリレート 25.2部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。

2−メタクロイルエチルイソシアネート 6.4部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 120.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は1916であった。
【0054】
(合成例10)
反応容器にシクロヘキサノン560部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 30.0部
パラクミルフェノール エチレン オキサイド変性アクリレート
30.0部
メチルメタクリレート 30.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 47.8部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン55部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
次に、得られた共重合体溶液338部に対して、下記化合物の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
2−メタクロイルエチルイソシアネート 14.8部
ラウリン酸ジブチル錫 0.4部
シクロヘキサノン 100.0部
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して感光性樹脂溶液を調製した。得られた感光性樹脂の重量平均分子量は20000、二重結合当量は800であった。
【0055】
[実施例1]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで10時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散体を作製した。
ジケトピロロピロール系顔料(C.I.Pigment Red 254) 8.0部 (チバガイギー社製「イルガフォーレッドB−CF」)
アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Red 177) 4.0部 (チバガイギー社製「クロモフタールレッドA2B」)
アントラキノン系顔料(C.I.Pigment Yellow 199) 2.0部 (チバガイギー社製「クロモフタールエローGT-AD」)
リン酸エステル系顔料分散剤 2.0部 (ビックケミー社製「BYK111」)
合成例1で調整した感光性樹脂溶液 20.00部
シクロヘキサノン 64.00部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、感光性着色組成物(赤色レジスト材)を得た。
上記の顔料分散体 50.0部
合成例1で調整した感光性樹脂溶液 15.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 5.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー907」) 1.8部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
シクロヘキサノン 28.0部
【0056】
[実施例2]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例2で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
[実施例3]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例3で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
【0057】
[実施例4]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例4で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
[実施例5]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例5で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
【0058】
[実施例6]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例6で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
[実施例7]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例7で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
[実施例8]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例8で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
【0059】
[比較例1]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例9で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
[比較例2]
合成例1で調整した感光性樹脂溶液に代えて、合成例10で調製した感光性樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同様にして赤色レジスト材を作成した。
【0060】
実施例及び比較例で得られたレジスト材について、下記の方法で感光性、保存安定性及び耐溶剤性を評価し、結果を表1に示した。
【0061】
(感光性評価)
透明ガラス基板上にレジスト材を塗布し、乾燥膜厚1.0μmの塗膜を形成した。70℃20分間のプリベークを行った後、50μmの細線パターンを露光するマスクを介して紫外線露光した。10mJ/cm2〜200mJ/cm2までの間の8水準の露光量で露光を行った。露光後、アルカリ現像液にて120秒間現像して、ストライプ形状のフィルタセグメントを形成した。
得られたフィルタセグメントの膜厚を未露光・未現像部分を100とした時の各露光量水準での露光・現像後の残膜率を算出し、得られた残膜率曲線から、残膜率が飽和に達する露光量を飽和露光量、そのときの残膜率を飽和残膜率と定めた。
飽和露光量が50mJ/cm2以下の場合◎、50mJ/cm2より大きく100mJ/cm2以下の場合○、100mJ/cm2より大きく150mJ/cm2以下の場合△、150mJ/cm2より大きい場合×とした。
また、飽和残膜率90%以上の場合◎、飽和残膜率80%以上90%未満の場合○、飽和残膜率70%以上80%未満の場合△、70%未満の場合×とした。
【0062】
(耐溶剤性評価)
スピンコーターを用い、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にレジスト材を塗布して塗布基板を得た。次に、70℃で20分乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、ストライプ形状のマスクを介して積算光量150mJで紫外線露光を行った。露光後、アルカリ現像液にて120秒間現像して、基板上にストライプ形状の各色フィルタセグメントを形成した。現像した基板は、230℃で60分間加熱処理した。なお、アルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム1.5重量%炭酸水素ナトリウム0.5重量% 陰イオン系界面活性剤(花王社製「ペリレックスNBL」)8.0重量%および水90重量%からなるものを用いた。
基板の一部をN−メチルピロリドン(NMP)に60分間浸漬後、浸漬部分と未浸漬部分の色度をC光源を用いた顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)により測定し、色差(ΔE)を算出した。また、光学顕微鏡によりパターン表面の状態(外観)を観察した。
変化が認められなかったものを○、僅かだがクラック等が認められたものを△、ひどいクラック等が認められたものを×とした。結果を表1に示す。
【0063】
(保存安定性評価)
レジスト材の作成後、室温下で1日静置後、および40℃、7日間保存後の粘度を、東機産業製TVE−20L型にて測定し、増粘率を求めた。増粘率は下記式で定義される。
[増粘率%]=[[40℃、7日間保存後の粘度]/[室温、1日静置後の粘度]−1]×100
増粘率が20%以下の場合○、20%より大きく50%以下の場合△、50%より大きい場合×とした。
【0064】
【表1】

【0065】
表1に示すように、従来のカラーフィルタ用感光性着色組成物である比較例1及び2で得られたレジスト材を用いてフィルタセグメントを形成した場合、飽和露光量が高く、飽和残膜率は低い、すなわち感度が低かった。また、NMP浸漬による色差が大きく外観も不良であり、耐溶剤性が低かった。
これに対して、実施例1〜8で得られたレジスト材を用いてフィルタセグメントを形成した場合、低い飽和露光量、高い飽和残膜率であり、感度が高かった。また、色差は小さく、外観も良好で、耐溶剤性が高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂と着色材とを含む感光性着色組成物であって、感光性樹脂が、水酸基を有する重合性モノマー(a1)と、(a1)以外の重合性モノマー(a2)とを重合してなる共重合体(A)中の水酸基に、下記一般式(1)で表される化合物中のイソシアネート基を反応させてなることを特徴とする感光性着色組成物。
一般式(1)
【化1】

(但し、R、Rはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。また、Rは水素原子、C〜Cのアルキル基を表す。)
【請求項2】
感光性樹脂の二重結合当量が200〜800であることを特徴とする請求項1に記載の感光性着色組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感光性着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを有することを特徴とするカラーフィルタ。

【公開番号】特開2007−206654(P2007−206654A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29028(P2006−29028)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】