説明

感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子

【課題】適正感度が高く、屈折率が低くかつ、現像後のパターンの欠けや残渣が少なく、高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供する。
【解決手段】(A)中空又は多孔質粒子と、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物と、下記の樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを含有する感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子。
(C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
(C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
低屈折率膜は、反射防止膜、反射膜、半透過半反射膜、可視光反射赤外線透過膜、赤外線反射可視光透過膜、青色反射膜、緑色反射又は赤色反射膜、輝線カットフィルター、色調補正膜に含まれる光学機能膜として光学部材に形成される。
【0003】
表面形状が平坦な光学部材に限らず、液晶用バックライトの輝度向上レンズフィルムや拡散フィルム、ビデオプロジェクションテレビのスクリーンに用いられるフレネルレンズやレンチキュラーレンズ又はマイクロレンズなどの光学機能部材では、いずれも樹脂材料が微細構造体をもつことで所望の幾何光学的な性能を得ている。これらの微細構造体表面にも低屈折率膜を含む光学機能膜は必要とされている。
【0004】
低屈折率膜を反射防止膜として用いる場合、単層構造の低屈折率膜はそのまま反射防止膜となる。単層構造の反射防止膜の屈折率としては、基材が樹脂材料等の透明材料である場合は、1.2〜1.35の範囲の低屈折率が望まれる。
【0005】
低屈折率膜の代表的な材料には、屈折率が1.35〜1.4のフッ素系高分子材料や、屈折率が1.37〜1.46であるフッ素モノマーの重合体からなる微粒子を融着させた多孔質材料を含む層があるが(例えば、特許文献1参照)、屈折率が1.3以下の材料は得られていない。
【0006】
このような反射率特性に加え、更には製造工程の煩雑さなど多くの課題解決が望まれている。特許文献2及び3には製造工程の煩雑性を解消するため、フォトレジストを用いないパターニング方法として、感光性を備えたシリカ系材料を用いて、それ自体を露光・現像してパターンを形成する方法が記載されているが、パターン形成における適正感度が不充分であるとともに、得られるパターンの屈折率性も不充分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3718031号公報
【特許文献2】特開2010−31222号公報
【特許文献3】特開2010−32996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、適正感度が高く、屈折率が低くかつ、現像後のパターンの欠けや残渣が少なく、高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の手段により前記課題を解決できることができることがわかった。
前記課題を解決するための具体的手段を以下に示す。
【0010】
[1] (A)中空又は多孔質粒子と、
(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物と、
下記の樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを含有する感光性組成物。
(C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
(C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂
[2] 前記中空又は多孔質粒子(A)の屈折率が1.10〜1.40である、上記[1]に記載の感光性組成物。
[3] 前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)が、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する樹脂である、上記[1]又は[2]に記載の感光性組成物。
[4] 前記樹脂(C1)を含有する、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[5] 活性光線又は放射線の照射により前記化合物(B)が発生する活性種がラジカルである、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[6] 前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−1)が、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を含有する、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
一般式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はシロキシ基を表す。
、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
は2価の連結基を表す。
は0〜20の整数を表す。
一般式(2)中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同義である。
は2価の連結基を表す。
はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
[7] 前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位が、下記一般式(3)又は(4)で表される繰り返し単位である、上記[6]に記載の感光性組成物。
【0013】
【化2】

一般式(3)中、R10は水素原子又はアルキル基を表す。
11、R12及びR13はそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
11は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
15は水素原子又はアルキル基を表す。
11はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
一般式(4)中、
12は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
12はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
14はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
10及びR15は、一般式(3)におけるR10及びR15と同義である。
[8] 前記樹脂(C1)が、(I)前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される、少なくとも一つの繰り返し単位、(II)ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位、及び(III)アルカリ可溶性繰り返し単位を含有する、上記[6]又は[7]に記載の感光性組成物。
[9] 前記ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)が、下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表される繰り返し単位であり、かつ前記アルカリ可溶性繰り返し単位(III)が、(メタ)アクリル酸である、上記[8]に記載の感光性組成物。
【0014】
【化3】

【0015】
一般式(5)〜(7)中、A21、A22及びA23は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子又は−N(R41)−を表し、R41は水素原子又はアルキル基を表す。
21、G22及びG23は、各々独立に、2価の連結基を表す。
21及びZ21は、各々独立に酸素原子、硫黄原子又は−N(R42)−を表し、R42は水素原子又はアルキル基を表す。
21は、酸素原子、硫黄原子、フェニレン基又は−N(R43)−を表し、R43は水素原子又はアルキル基を表す。
21〜R40は、各々独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
[10] 前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)の不飽和価が0.5mmol/g〜2.0mmol/gであり、かつ、酸価が50mgKOH/g〜200mgKOH/gである、上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[11] 前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−1)の屈折率が1.45以上1.50未満である、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[12] 前記中空又は多孔質粒子(A)がシリカ粒子である、上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[13] 前記中空又は多孔質粒子(A)を、溶剤を除く全固形分中で20質量%〜90質量%含む、上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[14] 更に、(D)重合性化合物を含有する、上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[15] 更に、(E)現像性バインダー樹脂を含有する、上記[1]〜[14]のいずれか一項に記載の感光性組成物。
[16] 上記[1]〜[15]のいずれか一項に記載の感光性組成物であるパターン形成材料。
[17] 上記[1]〜[15]のいずれか一項に記載の感光性組成物により形成される感光性膜。
[18] 支持体上に、上記[17]に記載の感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含むパターン形成方法。
[19] 上記[18]に記載のパターン形成方法により得られるパターン膜。
[20] 上記[19]に記載のパターン膜である低屈折率膜。
[21] 上記[20]に記載の低屈折率膜を有する光学デバイス。
[22] 上記[21]に記載の光学デバイスを備えた固体撮像素子。
【0016】
本発明は、更に、下記構成であることも好ましい。
[23] 前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−1)が、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂である、上記[1]、[2]、[4]、[6]、[7]、[11]〜[13]及び[15]に記載の感光性組成物。
[24] 前記化合物(B)が、光酸発生剤である、上記[1]、[2]、[4]、[6]、[7]、[11]〜[13]、[15]及び[23]に記載の感光性組成物。
[25] 前記中空又は多孔質粒子(A)が中空粒子である、上記[1]〜[15]、[23]及び[24]に記載の感光性組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、適正感度が高く、屈折率が低くかつ、現像後のパターンの欠けや残渣が少なく、高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成可能な感光性組成物、パターン形成材料、並びに、これを用いた感光性膜、パターン形成方法、パターン膜、低屈折率膜、光学デバイス、及び、固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に記述する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等を意味する。また本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0019】
本発明の感光性組成物は、(A)中空又は多孔質粒子と、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物と、下記の樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを含有している。
(C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
(C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂
【0020】
本発明の感光性組成物を用いることによって、本発明の効果が得られる理由は定かではないが、中空又は多孔質粒子(A)と、屈折率を低減する機能を有する珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C1)或いは、珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)を含有する混合樹脂(C2)とを使用することによって、得られるパターンの屈折率を充分に低減できるとともに、化合物(B)とを組み合わせて使用することが、パターンが高適正感度で得られることに大きく寄与しているものと考えられる。具体的には、珪素原子やフッ素原子を有する樹脂は分極率が低く、そのような樹脂を用いた場合、感光性組成物の屈折率を下げることができ、その結果該感光性組成物から得られるパターンの屈折率も低減される。高適正感度で得られる要因は、樹脂と基板との相互作用性や、中空又は多孔質粒子との相互作用性が高いことに起因すると推定されるが定かではない。
更に、その作用は不明であるが、中空又は多孔質粒子(A)と樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを組み合わせて使用することが、何らかしらの理由で、パターン欠陥及び現像残渣の抑制、並びに耐侯性の向上に寄与しているものと推察される。特に、樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)に含まれる樹脂(C2−1)が珪素原子を側鎖に含有する場合には、無機素材である珪素原子の存在が、耐侯性の著しい向上に寄与しているものと推察される。
【0021】
本発明に係る感光性組成物は、典型的には、ネガ型の組成物(ネガパターンを形成する組成物)、又は、ポジ型の組成物(ポジパターンを形成する組成物)であり、ネガ型の組成物であることが好ましい。
また、本発明は、上記感光性組成物であるパターン形成材料にも関する。
【0022】
以下、本発明の感光性組成物の各成分について詳述する。
【0023】
[1](A)中空又は多孔質粒子
中空粒子は、内部に空洞を有する構造のものであり、外郭に包囲された空洞を有する粒子を指し、多孔質粒子は、多数の空洞を有する多孔質の粒子を指す。
このような粒子の空隙率は、好ましくは10〜80%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空又は多孔質粒子の空隙率を上述の範囲にすることが、低屈折率化と粒子の耐久性維持の観点で好ましい。
中空又は多孔質粒子は、屈折率を低下しやすい観点から、中空粒子であることがより好ましい。例えば、中空粒子をシリカで構成した場合には、中空シリカ粒子は、屈折率の低い空気(屈折率=1.0)を有しているため、その屈折率は、通常のシリカ(屈折率=1.46)と比較して著しく低くなる。
【0024】
中空粒子の製造方法としては、例えば特開2001−233611号公報に記載されている。また、多孔質粒子の製造方法は、例えば特開2003−327424号、同2003−335515号、同2003−226516号、同2003−238140号等の各公報に記載されている。
【0025】
また、中空又は多孔質粒子は、平均粒子径が1〜200nmであることが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
中空又は多孔質粒子の平均粒子径は、分散した粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。粒子の投影面積を求め、そこから円相当径を求め平均粒径とする(通常、平均粒径を求めるために300個以上の粒子について測定する)。
【0026】
中空又は多孔質粒子の屈折率は、1.10〜1.40が好ましく、更に好ましくは、1.15〜1.35、最も好ましくは1.15〜1.30である。
ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、粒子が中空粒子である場合、中空粒子を形成している外殻のみの屈折率を表すものではない。粒子が多孔質粒子である場合、多孔質粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定することができる。
【0027】
中空又は多孔質粒子は、低屈折率化の観点からは、中空又は多孔質の無機粒子が好ましい。無機の低屈折率粒子としては、フッ化マグネシウムやシリカの粒子が挙げられ、低屈折率性、分散安定性、コストの観点から、シリカ粒子であることがより好ましい。
これらの無機粒子の一次粒子径は、1〜100nmであることが好ましく、1〜60nmであることがより好ましい。
無機粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球形状が最も好ましいが、数珠状、長径と短径の比が1以上の形状、あるいは不定形状であってもよい。
【0028】
無機粒子の比表面積は、10〜2000m/gであることが好ましく、20〜1800m/gであることが更に好ましく、50〜1500m/gであることが最も好ましい。
【0029】
無機粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいは、バインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていても良い。カップリング剤の使用が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
すなわち、無機粒子がシリカ粒子であり、カップリング剤がシラン化合物である場合、シラン化合物とシラノール基との反応により、オルガノシリル基(モノオルガノシリル、ジオルガノシリル、トリオルガノシリル基)がシリカ粒子の表面に結合するものである。表面処理されたシリカ粒子がその表面に有する有機基としては、飽和又は不飽和の炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18のハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。
上記カップリング剤は、無機粒子の表面処理剤として低屈折率膜用塗布液の調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられても、塗布液調製時に更に添加剤として添加してもよい。
無機粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
【0030】
シリカ粒子としては市販されているものを好ましく用いることができる。
例えば日揮触媒化成(株)製スルーリアシリーズ(イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)分散など)、OSCALシリーズ、日産化学(株)製スノーテックスシリーズ(IPA分散、エチレングリコール分散、メチルエチルケトン(MEK)分散、ジメチルアセトアミド分散、MIBK分散、プロピレングリコールモノメチルアセテート分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メタノール分散、酢酸エチル分散、酢酸ブチル分散、キシレン−n−ブタノール分散、トルエン分散など)、日鉄鉱業(株)製シリナックス、扶桑化学工業(株)製PLシリーズ(IPA分散、トルエン分散、プロピレングリコールモノメチルエーテル分散、メチルエチルケトン分散など)、EVONIK社製アエロジルシリーズ(プロピレングリコールアセテート分散、エチレングリコール分散、MIBK分散など)などのシリカ粒子を用いることができる。
【0031】
シリカ粒子を、シリカ粒子と粒子分散剤(粒子分散剤の詳細は後述する)とを含有する分散液として、感光性組成物に添加する場合、シリカ粒子のシリカ分散液中の含有量は、10質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%が更に好ましい。
【0032】
中空又は多孔質粒子は、1種を単独で用いてもよく、或いは2種以上を併用しても良い。2種以上を併用する場合、例えば、中空粒子と多孔質粒子とを併用しても良い。
【0033】
感光性組成物の全固形分に対する中空又は多孔質粒子の含有量は、5質量%〜95質量%であることが好ましく、10質量%〜90質量%であることがより好ましく、20質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
【0034】
感光性組成物を用いて膜を形成する場合、中空又は多孔質粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。1mg/m以上であることによって、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果を確実に得ることができるとともに、100mg/m以下であることによって、膜の表面に微細な凹凸ができて積分反射率が悪化することを抑制できる。
【0035】
[2](A’)粒子分散剤
本発明の感光性組成物は、中空又は多孔質粒子の分散性を向上させる観点から、更に、(A’)粒子分散剤を含有することが好ましい。
【0036】
粒子分散剤としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物などの分散樹脂や、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の化合物を挙げることができるが、樹脂であることが好ましい(以下、これを「分散樹脂」とも言う)。
分散樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0037】
分散樹脂は粒子の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
【0038】
分散樹脂の質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1000〜2×10であることが好ましく、2000〜1×10であることが更に好ましく、5000〜5×10であることが特に好ましい。
【0039】
分散樹脂は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、111、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、森下産業社製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ社製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の分散樹脂等が挙げられる。
【0040】
分散樹脂は、現像性バインダー樹脂(E)において後に説明する一般式(21)〜(23)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを有していてもよい。
また、分散樹脂は、現像性バインダー樹脂(E)において後述する一般式(E−1)で表される化合物を共重合体として使用することにより得られる樹脂であってもよい。
【0041】
また、粒子分散剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性海面活性剤を用いることができる。これらの界面活性剤は市販品でも入手可能であり、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000(日本ルーブリゾール(株)製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(以上、共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(以上、裕商(株)製)等のアニオン系界面活性剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(以上、(株)ADEKA製)、及びイソネットS−20(三洋化成(株)製)が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤も挙げられる。
【0042】
また、ELEBASE BA−100、BA−200、BCP−2、BUB−3、BUB−4、CP−800K、EDP−475、HEB−5、ファインサーフ 270、7045、7085、ブラウノン DSP−12.5、DT−03、L−205、LPE−1007、O−205、S−202、S−204、S−207、S−205T(青木油脂工業)、EMULGEN A−500、PP−290、アミート102、105、302、320、アミノーンPK−02S、エマノーンCH−25、エマルゲン 104P、108、404、408、A−60、A−90、B−66、LS−106、LS−114、レオドール430V、440V、460V、TW−S106、TW−S120V、レオドールスーパー TW−L120(花王)、ニューカルゲン 3000S、フS−3PG、FE−7PG、パイオニン D−6414(竹本油脂)、DYNOL604、オルフィン PD−002W、サーフィノール 2502、440、465、485、61(日信化学工業)等を挙げることができる。
また、フォスファノール ML−200、エマール20T、E−27、ネオペレックスGS、ペレックスNBL、SS−H、SS−L、ポイズ532A、ラムテルASK、E−118B、E−150(花王(株))、EMULSOGEN COL−020、070、080(クラリアント)、プライサーフ A208B、A210B、A210G、A219B、AL、ラベリンFC−45(第一工業製薬)、パイオニン A−24−EA、A−28−B、A−29−M、A−44−B、A−44TW(竹本油脂)、AKYPO RLM100NV、RLM45、RLM45NV、ECT−3、ECT−3NEX、ECT−7、ホステンHLP、HLP−1、HLP−TEA(日本サーファクタント工業)が挙げられる。
これらの粒子分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
感光性組成物における粒子分散剤の含有量は、中空又は多孔質粒子に対して1〜100質量%であることが好ましく、5〜80質量%がより好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。
具体的には、粒子分散剤が分散樹脂である場合、その使用量は、中空又は多孔質粒子に対して、5〜100質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
【0044】
[3](B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物
本発明の感光性組成物は、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物を含有する。
化合物(B)を含有することによって感光性が付与された本発明の感光性組成物は、フォトレジスト、カラーレジスト、光学用コーティング材料等に好適に用いることができるようになる。
化合物(B)としては、感光性組成物がネガ型である場合は光重合開始剤を、感光性組成物がポジ型である場合は光酸発生剤を、それぞれ、好適に挙げることができる。すなわち、上記活性種としては、感光性組成物がネガ型である場合はラジカル、カチオン種又はアニオン種(より好ましくはラジカル又はカチオン種)を、感光性組成物がポジ型である場合は酸を、それぞれ、好適に挙げることができる。
以下、光重合開始剤及び光酸発生剤について、詳細に説明する。
【0045】
[3−1]光重合開始剤
光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましく、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約200〜800nm(300〜450nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0046】
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。すなわち、活性光線又は放射線の照射により化合物(B)が発生する活性種は、ラジカルであることが好ましい。
【0047】
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤においては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物類、ロフィンダイマー類、ベンゾイン類、ケタール類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、有機過酸化物、チオ化合物、ジスルフィド化合物類、アゾ化合物、ホウ酸塩類、無機錯体、クマリン類、ケトン化合物(ベンゾフェノン類、チオキサントン類、チオクロマノン類、アントラキノン類)、芳香族オニウム塩、フルオロアミン化合物類、ケトオキシムエーテル、アセトフェノン類(アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、オキシム誘導体等のオキシム化合物、などが挙げられる。
【0048】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
【0049】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0050】
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
【0051】
ホウ酸塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、及び、Kunz,Martinらの“Rad Tech’98.Proceeding April”、19〜22頁(1998年,Chicago)等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号公報の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
【0052】
また、上記以外のラジカル重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9、9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる
【0053】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾルフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0054】
ラジカル重合開始剤としては、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、及びオキシム化合物からなる群より選択される化合物が更に好ましい。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、及び、オキシム系開始剤、更にオキシム系開始剤として、特開2001−233842号記載の化合物も用いることができる。
【0055】
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。
【0056】
ヒドロキシアセトフェノン化合物は、下記式(V)で表される化合物であることが好ましい。
【0057】
【化4】

【0058】
式(V)中、Rは水素原子、アルキル基(好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基)、又は、2価の有機基を表す。Rが2価の有機基である場合、2個の光活性なヒドロキシアセトフェノン構造(すなわち、一般式(V)で表される化合物から置換基Rを除外した構造)がRを介して連結してなる2量体を表す。R、Rは互いに独立して、水素原子、又は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10のアルキル基)を表す。また、RとRは結合して環(好ましくは炭素数4〜8の環)を形成していてもよい。
上記Rとしてのアルキル基及びアルコキシ基、R及びRとしてのアルキル基、並びに、RとRとが結合して形成される環は、更に置換基を有していてもよい。
【0059】
ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCURE 1173)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルブタン−1−オン、1−(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−オクチルフェニル)プロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−メチルチオフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ジメチルアミノフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−カルボエトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959)などが挙げられる。
また、市販のα−ヒドロキシアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュア184(IRGACURE 184)、ダロキュア1173(DAROCURE 1173)、イルガキュア127(IRGACURE 127)、イルガキュア2959(IRGACURE 2959)、イルガキュア1800(IRGACURE1800)、イルガキュア1870(IRGACURE1870)及びダロキュア4265(DAROCURE4265)の商品名で入手可能な重合開始剤も使用することができる。
【0060】
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819、IRGACURE−819DW,DAROCUR−TPO(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。また特開2009−134098記載のホスフィン系開始剤も適用できる。
【0061】
本発明で光重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0062】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(チバジャパン社製)、IRGACURE−OXE02(チバジャパン社製)、CGI−124(チバジャパン社製)、CGI−242(チバジャパン社製)も好適に用いられる。
更に、特開2007−231000公報、及び、特開2007−322744公報に記載される環状オキシム化合物も好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007−269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(I)で表される化合物が好ましい。なお、オキシム結合のN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0063】
【化5】

【0064】
(式(I)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0065】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0066】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0067】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0068】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0069】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0070】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0071】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0072】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0073】
前記Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0074】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(II)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
【0075】
【化6】

【0076】
前記Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のシクロヘキシレン基、炭素数2〜12のアルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0077】
前記Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0078】
式(I)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0079】
【化7】

【0080】
オキシム化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0081】
【化8】

【0082】
(式(II)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(II)におけるR、A、及びArは、前記式(I)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0083】
前記Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0084】
これらの中でも、Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0085】
前記Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(II)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0086】
【化9】

【0087】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0088】
【化10】

【0089】
更にオキシム化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
【0090】
【化11】

【0091】
(式(III)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(III)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(II)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0092】
以下、好適に用いられるオキシム化合物の具体例(B−1)〜(B−10)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
【化12】

【0094】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び405nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0095】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜300,000であることがより好ましく、10000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0096】
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤としては、例えば、紫外線等のエネルギー線を受けることにより光カチオン重合を開始させる物質を生成する化合物であれば良く、オニウム塩が好ましく、芳香族オニウム塩がより好ましく、アリールスルホニウム塩及びアリールヨウドニウム塩が更に好ましい。
【0097】
オニウム塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4−メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル]スルフィド、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル]スルフィド、η5−2,4−(シクロペンタジエニル)[1,2,3,4,5,6−η]−(メチルエチル)−ベンゼン]−鉄(1+)等が挙げられる。アニオンの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロホスフェート(PF)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl)、過塩素酸イオン(ClO)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CFSO)、フルオロスルホン酸イオン(FSO)、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸アニオン、トリニトロトルエンスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
【0098】
特に、芳香族オニウム塩の具体例としては、特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報などに記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭56−55420号公報、特開昭55−125105号公報などに記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭50−158698号公報などに記載のVA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報などに記載のオキソスルホキソニウム塩、特開昭49−17040号公報などに記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4,139,655号明細書に記載のチオビリリウム塩、鉄/アレン錯体、アルミニウム錯体/光分解ケイ素化合物系開始剤、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、o−ニトロベンジルエステル化合物、イミドスルホネート化合物、ビススルホニルジアゾメタン化合物、オキシムスルホネート化合物を挙げることができる。
【0099】
本発明で用いることができる光カチオン重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物を広く採用することができる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。これらの化合物は、THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN Voi.71 No.11,1998年、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、に記載の光カチオン重合開始剤と同様、公知の方法にて容易に合成することができる。
【0100】
光カチオン重合開始剤の市販品としては、UVI−6950、UVI−6970、UVI−6974、UVI−6990、UVI−6992、(以上、ユニオンカーバイド社製)、アデカオプトマーSP−150、SP−151、SP−170、SP−171、SP−172(以上、(株)ADEKA製)、Irgacure 261、IRGACURE OXE01、IRGACURE CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311、CGI−263、CGI−268、CGI−1397、CGI−1325、CGI−1380、CGI−1311(以上、チバスペシャリティ・ケミカルズ社製)、CI−2481、CI−2624、CI−2639、CI−2064(以上、日本曹達(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(以上、サートマー社製)、DTS−102、DTS−103、NAT−103、NDS−103、TPS−103、MDS−103、MPI−103、BBI−103(以上、みどり化学(株)製)、PCI−061T、PCI−062T、PCI−020T、PCI−022T(以上、日本化薬(株)製)、PHOTOINITIATOR 2074(ローディア社製)、UR−1104、UR−1105、UR−1106、UR−1107、UR−1113、UR−1114、UR−1115、UR−1118、UR−1200、UR−1201、UR−1202、UR−1203、UR−1204、UR−1205、UR−1207、UR−1401、UR−1402、UR−1403、UR−M1010、UR−M1011、UR−M10112、UR−SAIT01、UR−SAIT02、UR−SAIT03、UR−SAIT04、UR−SAIT05、UR−SAIT06、UR−SAIT07、UR−SAIT08、UR−SAIT09、UR−SAIT10、UR−SAIT11、UR−SAIT12、UR−SAIT13、UR−SAIT14、UR−SAIT15、UR−SAIT16、UR−SAIT22、UR−SAIT30(以上、URAY社製)などを挙げることができる。これらのうち、UVI−6970、UVI−6974、アデカオプトマーSP−170、SP−171、SP−172、CD−1012、MPI−103は、これらを含有してなる組成物により高い光硬化感度を発現させることができる。上記の光カチオン重合開始剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0101】
光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を自由に組み合わせても良い。
【0102】
[3−2]光酸発生剤
光酸発生剤としては、上記光カチオン重合開始剤を用いることができるが、好ましくはオニウム塩の対アニオンがスルホネートの場合である。
【0103】
本発明の感光性組成物の全固形分に対する化合物(B)の添加量は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。
【0104】
[4](C1)樹脂又は(C2)混合樹脂
本発明の感光性組成物は、低屈折率化の観点から、下記の樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)を、必須成分として含有する。
(C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
(C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂
樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)としては、感光性組成物がネガ型である場合は、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する樹脂を、感光性組成物がポジ型である場合は、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂を、それぞれ、挙げることができる。また活性種は、前述の化合物(B)が発生する活性種である。樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)としては、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する樹脂であること、すなわち、感光性組成物がネガ型であることが好ましい。
【0105】
以下、樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)について、詳細に説明する。なお本発明の感光性組成物は、樹脂(C1)を含有することが好ましい。
【0106】
[4−1](C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
【0107】
樹脂(C1)のうち最も鎖長の長い主鎖は、炭素原子のみで構成されるか、又は酸素原子若しくは窒素原子で連結された構造を有する。
【0108】
樹脂(C1)の重合は、反応点からの分類で連鎖重合、逐次重合、リビング重合など、反応機構の分類から付加重合、重縮合、重付加、付加縮合など、更に化学反応種の分類からラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、開環重合などが知られており、一般公知なものを適用することができる。
樹脂(C1)が共重合体を形成する場合には、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合などを任意に選択することができる。
【0109】
フッ素原子を側鎖に含有する樹脂としては、フッ素原子を側鎖に有する繰り返し単位を含有する樹脂である限り特に限定されないが、下記に示すものを好適に使用することができる。
【0110】
低屈折率化のためには含フッ素モノマーを用いることが有効である。低屈折率化の実現のため含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体、あるいは含フッ素モノマーと非フッ素モノマーとの共重合体の使用が好ましい。
【0111】
含フッ素モノマーとしては下記のものが挙げられる。
【0112】
【化13】

【0113】
上記式中、nは整数を表す。
【0114】
【化14】

【0115】
以下に上記フッ素モノマーから得られる重合体構造を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0116】
【化15】

【0117】
(但し、l+m+nが1〜6の条件で、lは0〜5の整数であり、mは1〜4の整数であり、nは0〜1の整数であり、そしてRはF又はCFである。)
【0118】
【化16】

【0119】
(但し、R及びRは、それぞれ独立に、F又はCFである。)
【0120】
【化17】

【0121】
珪素原子を側鎖に含有する樹脂としては、珪素原子を側鎖に有する繰り返し単位を含有する樹脂である限り特に限定されない。
【0122】
樹脂(C1)に含有される、珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する繰り返し単位は、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0123】
【化18】

【0124】
一般式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はシロキシ基を表す。
、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
は2価の連結基を表す。
は0〜20の整数を表す。
一般式(2)中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同義である。
は2価の連結基を表す。
はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
【0125】
、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
、R及びRで表されるアリール基としては、炭素数5〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜8のアリール基がより好ましい。
これらアルキル基及びアリール基は、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい。
最も好ましいのはR及びRが水素原子を表し、Rが水素原子又はアルキル基である場合である。
【0126】
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はシロキシ基を表す。シロキシ基とは、任意の置換基を有するシリル基の珪素原子が、酸素原子を介して結合する1価の置換基である。
及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
及びRで表されるシロキシ基は−OSi(R51)(R52)(R53)で表される構造であり、R51、R52及びR53はそれぞれ独立に、アルキル基又はアルケニル基を表す。R51、R52及びR53で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。R51、R52及びR53で表されるアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、ビニル基が最も好ましい。
【0127】
、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。R、R及びRで表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
、R及びRで表されるシロキシ基は−OSi(R51)(R52)(R53)で表される構造であり、その定義及び好ましい範囲は、前述のR及びRで表されるシロキシ基と同様である。
【0128】
及びXは2価の連結基を表す。X及びXで表される2価の連結基としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、−OC(O)−、−C(O)O―、−C(O)N(R15)―及びこれらを組み合わせてなる連結基(総炭素数が好ましくは1〜20であり、総炭素数1〜15であることがより好ましく、総炭素数2〜10であることが更に好ましい)などが挙げられる。R15は水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)を表し、水素原子であることが好ましい。
及びXで表される2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基及びこれらの2つ以上を組み合わせて形成される基が好ましい。
Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表し、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH−基、−(CH−基、−(CH−基がより好ましい。
及びXとしての2価の連結基に含まれるアルキレン基は、水酸基やトリアルキルシリル基(好ましくは、トリメチルシリル基)で置換されていてもよい。
【0129】
は0〜20の整数を表し、好ましくは0〜10の整数であり、より好ましくは0〜5の整数である。
【0130】
はフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、炭素数1〜20のフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10のフッ素原子で置換されたアルキル基であることがより好ましい。Rで表されるフッ素原子で置換されたアルキル基におけるフッ素原子の数は、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15である。
【0131】
更に上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び一般式(2)で表される繰り返し単位はそれぞれ、下記一般式(3)で表される繰り返し単位及び一般式(4)で表される繰り返し単位であることが合成の簡便性の観点から好ましい。
【0132】
【化19】

【0133】
一般式(3)中、R10は水素原子又はアルキル基を表す。
11、R12及びR13はそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
11は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
15は水素原子又はアルキル基を表す。
11はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
一般式(4)中、
12は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
12はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
14はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
10及びR15は、一般式(3)におけるR10及びR15と同義である。
【0134】
一般式(3)中、R10は水素原子又はアルキル基を表す。R10で表されるアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい。R10で表されるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0135】
11、R12及びR13はそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。R11、R12及びR13で表される、アルキル基及びシロキシ基の好ましい範囲は、前述のR、R及びRで表されるアルキル基及びシロキシ基の好ましい範囲と同様である。
【0136】
11は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。R15は水素原子又はアルキル基を表し、好ましい範囲は前述と同様である。A11は、好ましくは酸素原子又は−N(R15)−であり、より好ましくは酸素原子である。
【0137】
11はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。Y11は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。またY11に含まれるアルキレン基は、水酸基で置換されていてもよい。
【0138】
一般式(4)中、A12は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。A12は、好ましくは酸素原子又は−N(R15)−であり、より好ましくは酸素原子である。
12はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。Y12は、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。またY12に含まれるアルキレン基は、フッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは、トリフルオロメチル基)で置換されていてもよい。
14はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R14で表される、フッ素原子で置換されたアルキル基の好ましい範囲は、前述のRで表されるフッ素原子で置換されたアルキル基と同様である。
10及びR15は、一般式(3)におけるR10及びR15と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0139】
一般式(1)で表される繰り返し単位として、具体的には下記の繰り返し単位が挙げられる。
【0140】
【化20】

【0141】
一般式(2)で表される繰り返し単位として、具体的には下記の繰り返し単位が挙げられる。
【0142】
【化21】

【0143】
樹脂(C1)は、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物の作用によって、アルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂である。
アルカリ現像液に対する溶解性の変化は、アルカリ現像液に対する溶解性が減少する場合であっても、逆に溶解性が増大する場合であっても良い。
【0144】
アルカリ現像液に対する溶解性が減少する例としては、樹脂(C1)中のラジカル重合性基又はカチオン重合性基が、ラジカル又はカチオン重合によってポリマー架橋が起こり、アルカリ不溶となる硬化反応が挙げられる。
【0145】
アルカリ現像液に対する溶解性が増大する例としては、樹脂(C1)中の脱離基で保護されたアルカリ可溶性基が、光酸発生剤から発生した酸によって脱保護され、アルカリ可溶性基が出現することによる極性変換が挙げられる。
【0146】
高感度及び高解像度の観点から、ラジカル又はカチオン重合を利用し、活性光線又は放射線の照射により発生したラジカル又はカチオンによって、樹脂(C1)のラジカル又はカチオン重合反応が進行し、樹脂(C1)のアルカリ現像液に対する溶解性が減少することが好ましい。
【0147】
更に樹脂(C1)は、(I)前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される、少なくとも一つの繰り返し単位、(II)ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位、及び(III)アルカリ可溶性繰り返し単位を含有することが、高感度硬化性と残渣の少ないアルカリ現像性を両立するために好ましい。
【0148】
前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される、少なくとも一つの繰り返し単位(I)は、樹脂(C1)の低屈折率化に寄与する。更に耐候性の観点から樹脂(C1)は、珪素原子を側鎖に含有する、すなわち一般式(1)又は(3)で表される繰り返し単位を含有することがより好ましい。
繰り返し単位(I)の樹脂(C1)における含有量は、樹脂(C1)中の全繰り返し単位に対し、1モル%〜90モル%であることが好ましく、10モル%〜70モル%がより好ましく、20モル%〜60モル%であることが最も好ましい。
【0149】
ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)は、酸又はラジカルの作用によりポリマー分子間に架橋が生じ、ゲル化することでアルカリ現像液に対する溶解性の減少に寄与する。
【0150】
ラジカル重合性繰り返し単位としては、側鎖にフッ素原子又は珪素原子を有するとともに、ラジカル重合性基を有する化合物と反応して結合可能な樹脂に、該ラジカル重合性基を有する化合物を反応させることにより、樹脂に導入することが好ましい。例えば、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物や、アリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に、遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に、多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に、水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことでラジカル重合性繰り返し単位を有する樹脂(C1)を得ることができる。
【0151】
中でも、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に、(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の一般式(21)〜(23)で表される構造単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことでラジカル重合性繰り返し単位を有する樹脂(C1)を得るのがより好ましい。
【0152】
カチオン重合性繰り返し単位として、カチオン重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、エポキシ基、オキセタン基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。
【0153】
カチオン重合性基を有する樹脂(C1)を得るには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーを得る際の単量体成分が前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0154】
ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)は、具体的には下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表されることが好ましい。
【0155】
【化22】

【0156】
前記一般式(5)〜(7)中、A21、A22及びA23は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子又は−N(R41)−を表し、R41は水素原子又はアルキル基を表す。
21、G22及びG23は、各々独立に、2価の連結基を表す。
21及びZ21は、各々独立に酸素原子、硫黄原子又は−N(R42)−を表し、R42は水素原子又はアルキル基を表す。
21は、酸素原子、硫黄原子、フェニレン基又は−N(R43)−を表し、R43は水素原子又はアルキル基を表す。
21〜R40は、各々独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
【0157】
前記一般式(5)において、R21〜R23は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R21〜R23で表される1価の有機基としては、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)などが挙げられ、アルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、R21及びR22は水素原子であることが好ましく、R23は水素原子又はメチル基であることが好ましい。
24〜R26は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R24としては、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)などが挙げられ、アルキル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子等が挙げられる。中でも、R24は、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましい。また、R25及びR26は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは炭素数6〜20)、置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が更に好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0158】
21は、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R41)−を表し、X21は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R42)−を表す。ここで、R41及びR42の定義及び好ましい範囲は、前述のR15の定義及び好ましい範囲と同様である。A21及びX21は、酸素原子であることが好ましい。
21は、2価の連結基を表す。G21で表される2価の連結基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、置換基を有していてもよい2価の芳香族基、−OC(O)−、−C(O)O―、−N(R44)−及びこれらを組み合わせてなる連結基(総炭素数が好ましくは1〜20であり、総炭素数1〜15であることがより好ましく、総炭素数2〜10であることが更に好ましい)が好ましい。R44の定義及び好ましい範囲は、前述のR15の定義及び好ましい範囲と同様である。G21としてより好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有していてもよい2価の芳香族基、−OC(O)−、−C(O)O―、−N(R44)−及びこれらを組み合わせてなる連結基が挙げられ、中でも、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有していてもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有していてもよい2価の芳香族基、−OC(O)−、−C(O)O―、−N(R44)−及びこれらを組み合わせてなる連結基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
【0159】
ここで、G21における置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましく、水酸基が好ましい。
【0160】
前記一般式(6)において、R27〜R29は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R27〜R29の好ましい範囲は、前述のR21〜R23の好ましい範囲と同様である。
30〜R32は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R30〜R32としては、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、置換基を有していてもよいアリール基(好ましくは炭素数6〜20)、置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入しうる置換基としては、一般式(5)においてR21〜R23に導入しうる置換基として挙げたものが同様に例示される。
【0161】
22は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R41)−を表す。ここで、R41の定義及び好ましい範囲は、前述のR15の定義及び好ましい範囲と同様である。
22は、2価の連結基を表す。G22で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲は、前述のG21で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
21は、酸素原子、硫黄原子、−N(R43)−又はフェニレン基を表す。ここで、R43は、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)を表す。Y21で表されるフェニレン基は置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0162】
前記一般式(7)において、R33〜R35は各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R33〜R35の好ましい範囲は、前述のR21〜R23の好ましい範囲と同様である。
36〜R40は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。R36〜R40の具体例及び好ましい範囲は、R30〜R32の具体例及び好ましい範囲と同様である。
23は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R41)−を表し、Z21は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R42)−を表す。R41及びR42としては、一般式(5)におけるR41及びR42と同様のものが挙げられる。
【0163】
23は、2価の連結基を表す。G23で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲は、前述のG22で表される2価の連結基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
【0164】
前記一般式(5)〜(7)で表される繰り返し単位は、硬化性向上及びパターン形成性の観点から、樹脂(C1)中の全繰り返し単位に対し、1モル%以上70モル%以下の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは5モル%以上60モル%以下の範囲であり、更に好ましくは10モル%以上60モル%以下の範囲である。
【0165】
前記一般式(5)〜(7)で表される繰り返し単位を有するポリマーの合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中でも、同公報中の合成方法1)を用いることが好ましい。
【0166】
ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)の樹脂(C1)における含有量は、高感度化や硬化したパターンの欠けを抑制するために、樹脂(C1)中の全繰り返し単位に対し、1モル%〜70モル%であることが好ましく、5モル%〜60モル%がより好ましく、10モル%〜60モル%であることが最も好ましい。
【0167】
アルカリ可溶性繰り返し単位(III)としては、アルカリの作用によってアニオンを形成する置換基を有していれば、従来公知のものを使用することができる。
【0168】
前記置換基としては、特に制限されないが、例えば、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、より好ましくは酸基である。
酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー及び/又は重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。
なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー、酸性度の高い活性メチレン基を有するエチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリラート等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸、エチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリラートが好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合後に酸基を付与しうるモノマーを用いる場合において、重合後に酸基を付与するための処理としては、ポリマー側鎖の極性基の一部を、ポリマー反応により変性する処理が挙げられる。
【0169】
また、アルカリの作用によって加水分解して酸基を発生するラクトンや、アルカリによって活性水素が引き抜かれアニオンを形成しうる1,3−ジカルボニル化合物も用いることができる。
【0170】
アルカリ可溶性繰り返し単位(III)の樹脂(C1)における含有量は、アルカリ現像性を可能にし、未露光部への中空又は多孔質粒子が付着することによる残渣の抑制のために、樹脂(C1)中の全繰り返し単位に対し、1モル%〜60モル%であることが好ましく、5モル%〜50モル%がより好ましく、10モル%〜40モル%であることが最も好ましい。
樹脂(C1)は前記繰り返し単位(I)〜(III)の3成分のみからなる(すなわち、樹脂(C1)中の全繰り返し単位に対する、前記繰り返し単位(I)〜(III)の含有量の合計が100モル%である)ことも好ましい。
【0171】
樹脂(C1)の不飽和価は、0.1mmol/g〜7.0mmol/gであることが好ましく、より好ましくは0.2mmol/g〜5.0mmol/gであり、最も好ましくは0.5mmol/g〜2.0mmol/gの範囲である。この範囲とすることで、硬化性と現像性を両立することができる。不飽和価とはポリマー1g中に含まれる重合性不飽和結合のミリモル数を示す。
【0172】
樹脂(C1)の酸価は、10mgKOH/g〜300mgKOH/gであることが好ましく、更に好ましくは20mgKOH/g〜250mgKOH/gであり、最も好ましくは50mgKOH/g〜200mgKOH/gである。この範囲とすることで現像性が良好となり、未露光部への中空又は多孔質粒子による残渣を抑制することができる。
【0173】
樹脂(C1)の屈折率は1.30以上1.50未満、好ましくは1.40以上1.50未満、更に好ましくは1.45以上1.50未満であることが、光反応性組成物の屈折率を低減することができる観点から好ましい。このような屈折率を実現するためには、高分子の中に芳香環や、環状構造を有さないものが好ましい。
【0174】
樹脂(C1)は、基盤凹凸への埋め込み性を勘案して質量平均分子量が3,000〜100,000が好ましく、更に好ましくは5,000〜50,000であり、最も好ましくは7,000〜35,000の範囲である。
【0175】
以下に樹脂(C1)の具体的化合物例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0176】
【化23】

【0177】
【化24】

【0178】
【化25】

【0179】
[4−2](C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂
【0180】
珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)としては、珪素原子又はフッ素原子を側鎖に有する繰り返し単位を含有する樹脂である限り特に限定されないが、前述の樹脂(C1)で説明した一般式(1)〜(4)のいずれかで表される繰り返し単位(すなわち、前述の繰り返し単位(I))を含有する樹脂であることが好ましい。繰り返し単位(I)の樹脂(C2−1)における含有量は、繰り返し単位(I)の樹脂(C1)における含有量と同様であり、その他に含みうる繰り返し単位としては公知のものが適用可能である。樹脂(C2−1)は、好ましくは前述のラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)を更に含有する樹脂であり、繰り返し単位(II)の樹脂(C2−1)における含有量は、繰り返し単位(II)の樹脂(C1)における含有量と同様である。また樹脂(C2−1)の屈折率範囲は、樹脂(C1)における屈折率範囲と同様である。
【0181】
活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)は、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂であれば特に限定されないが、好ましくは前述のラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)及びアルカリ可溶性繰り返し単位(III)を含有する樹脂である。繰り返し単位(II)及び繰り返し単位(III)の樹脂(C2−2)における含有量は、繰り返し単位(II)及び繰り返し単位(III)の樹脂(C1)における含有量とそれぞれ同様であり、その他に含みうる繰り返し単位としては公知のものが適用可能である。樹脂(C2−2)における不飽和価及び酸価は、前述の樹脂(C1)における不飽和価及び酸価と同様である。
【0182】
樹脂(C2−1)及び樹脂(C2−2)の質量平均分子量は、前述の樹脂(C1)の質量平均分子量とそれぞれ同様である。混合樹脂(C2)における、樹脂(C2−1)及び樹脂(C2−2)のブレンド比は、質量比で10/90〜70/30であることが好ましく、15/85〜60/40であることがより好ましい。
【0183】
[5](D)重合性化合物
本発明の感光性組成物は更に、重合性化合物を含有することが、特に適正感度の向上の観点で好ましい。前記(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物が重合開始能を有することから、本発明の感光性組成物は、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物の機能により(D)重合性化合物が重合硬化して硬化膜を形成しうる。
本発明の感光性組成物に用いることができる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0184】
本発明に好適に用いられる(D)重合性化合物について、より具体的に説明する。
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物を使用することも可能である。
【0185】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0186】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0187】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0188】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報に記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報に記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報に記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0189】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
なかでも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなど、後述する実施例において使用される多官能重合性化合物を好ましいものとして挙げることができる。
【0190】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(I)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0191】
CH=C(R31)COOCHCH(R32)OH (I)
(ただし、一般式(I)中、R31及びR32は、それぞれ、H又はCHを示す。)
【0192】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0193】
中でも、重合性化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましく、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがより好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
【0194】
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(以上、山陽国策パルプ社製)、UA−7200(新中村化学社製)、A−TMM−3LM−N(新中村化学社製)、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(以上、共栄社製)などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適である。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物類は、前記多官能アルコールの一部のヒドロキシ基を(メタ)アクリレート化し、残ったヒドロキシ基に酸無水物を付加反応させてカルボキシ基とするなどの方法で得られる。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシ基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシ基含有5官能アクリレートを含むTO−1382などが挙げられる。
【0195】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、感光性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、感光性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料、染料)等、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0196】
重合性化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性組成物における(D)重合性化合物の含有量は、該組成物の固形分に対し0.1〜30質量%が好ましく、0.2〜20質量%がより好ましく、0.3〜15質量%が更に好ましい。
【0197】
[6](E)現像性バインダー樹脂
本発明の感光性組成物は更に、(E)現像性バインダー樹脂を含有してもよい。本発明の感光性組成物は、中空又は多孔質粒子を塗膜上に分散させ、かつ、未露光部分の中空又は多孔質粒子を現像させるための樹脂(以下、現像性バインダー樹脂)を少なくとも一種含有することが好ましい。
現像性バインダー樹脂(E)としては、感光性組成物がネガ型である場合は、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する現像性バインダー樹脂を、感光性組成物がポジ型である場合は、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する現像性バインダー樹脂を、それぞれ、挙げることができる。
以下、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する現像性バインダー樹脂、及び、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する現像性バインダー樹脂について、詳細に説明する。
【0198】
[6−1]活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する現像性バインダー樹脂
活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する現像性バインダー樹脂(E)としては、アルカリ可溶性であるとともに、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する樹脂であれば特には限定されないが、耐熱性、現像性、硬化性、入手性等の観点から選ばれることが好ましい。ここで、「アルカリ可溶性」とは、アルカリ現像液に対して可溶性を示すことのみならず、アルカリ現像液に対して膨潤性を示すことも含まれる。
【0199】
つまり、現像性バインダー樹脂(E)は、皮膜形成性を更に向上させるものとしてだけでなく、アルカリ現像液に対する現像性を一層得るものとして使用される。
このような現像性バインダー樹脂(E)は、アルカリ可溶性基を有するバインダー樹脂であることが好ましい。
【0200】
アルカリ可溶性基としては、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、より好ましくは酸基である。酸基としては、カルボキシル基、活性メチレン基、リン酸基、スルホン酸基が好ましく、カルボキシル基、活性メチレン基が更に好ましく、カルボキシル基が特に好ましい。
酸基としての、具体例、現像性バインダー樹脂への酸基の導入方法としては、樹脂(C1)のアルカリ可溶性繰り返し単位(III)で説明したものと同様である。
【0201】
現像性バインダー樹脂(E)は、線状有機高分子重合体を用いることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、本発明の感光性組成物から得られる膜のアルカリ現像をより良好に可能とするために、先ず、アルカリ現像液(典型的には、弱アルカリ水)に可溶性又は膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
【0202】
このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。また、線状有機高分子重合体としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0227]〜[0234]段落に記載の重合体が挙げられる。
【0203】
上記線状有機高分子重合体は、下記に示すような重合性モノマーを、従来公知の方法でラジカル重合又はカチオン重合させることで得ることができる。
【0204】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、また、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、現像性バインダー樹脂(E)としては、側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体を用いることもできる。この他に、水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0205】
上述のように、線状有機高分子重合体が共重合体である場合、上記のカルボキシル基を有するモノマーや酸無水物を有するモノマーと共重合されるモノマーとしては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
【0206】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
【0207】
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0208】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
【0209】
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0210】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0211】
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
【0212】
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
【0213】
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
【0214】
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0215】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0216】
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
【0217】
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー、例えば、特開2002−309057号公報、特開2002−311569号公報等に記載されている化合物を挙げることができる。
【0218】
これらの中で、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、好適である。
【0219】
また、欧州特許第993966号明細書、欧州特許第1204000号明細書、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0220】
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。
また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0221】
また、上記の中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基とを有する(メタ)アクリル樹脂、特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、この二重結合が重合性基として機能するため、後述するように、現像性バインダー樹脂(E)として好ましい。
【0222】
これらのバインダー樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0223】
また、上述のようなバインダー樹脂は従来公知の方法により合成できる。
合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
【0224】
また、バインダー樹脂を合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部〜20質量部使用される。
【0225】
上述したものの他、現像性バインダー樹脂(E)の前提となるアルカリ可溶性の線状有機高分子重合体としては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、このような線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0226】
これら各種アルカリ可溶性のバインダー樹脂の中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0227】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0228】
また、現像性バインダー樹脂(E)は、重合性基を有していても有していなくても良いが、活性種の作用により樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性を一層減少させるべく、重合性基を有することが好ましい。
【0229】
重合性基としては、特に制限されないが、不飽和基(不飽和二重結合など)、エポシキ基、オキセタン基等を挙げることができ、不飽和基であることが好ましい。
【0230】
また、バインダー樹脂に重合性基を導入するには、例えば、重合後に重合性基を付与しうるモノマーを用いて、上述したようなアルカリ可溶性バインダー樹脂を重合し、重合後に、重合性基を付与するための処理を施すことにより行うことができる。
【0231】
重合性基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物や、アリルアルコール、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等の不飽和アルコールを反応させた樹脂、水酸基を有するカルボキシル基含有樹脂に、遊離イソシアネート基含有不飽和化合物、不飽和酸無水物を反応させた樹脂、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との付加反応物に、多塩基酸無水物を反応させた樹脂、共役ジエン共重合体と不飽和ジカルボン酸無水物との付加反応物に、水酸基含有重合性モノマーを反応させた樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで不飽和基を生成させた樹脂等が代表的な樹脂として挙げられる。
【0232】
中でも、カルボキシル基含有樹脂に、グリシジル(メタ)クリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和化合物を反応させた樹脂、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系化合物を重合させた樹脂に、(メタ)アクリル酸−2−イソシアネートエチル等の遊離イソシアネート基を有する(メタ)アクリル酸エステルを反応させた樹脂、後述の一般式(21)〜(23)で表される構造単位を有する樹脂、塩基処理によって脱離反応が生起され不飽和基を与える特定官能基を有する樹脂を合成し、該樹脂に塩基処理を施すことで、アルカリ可溶性基を維持しつつ、不飽和基を生成させた樹脂等がより好ましい。
【0233】
重合性基を有するアルカリ可溶性バインダー樹脂は、下記一般式(21)〜(23)のいずれかで表される構造単位から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0234】
【化26】

【0235】
前記一般式(21)〜(23)において、A、A、及びAは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、R21は置換基を有してもよいアルキル基を表す。G、G、及びGは、各々独立に、2価の連結基を表す。X及びZは、各々独立に酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表し、R22は置換基を有してもよいアルキル基を表す。Yは、酸素原子、硫黄原子、置換基を有してもよいフェニレン基、又は−N(R23)−を表し、R23は置換基を有してもよいアルキル基を表す。R〜R20は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。
【0236】
前記一般式(21)において、R〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、Rとしては、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、R、Rは、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有しもよいアリール基が好ましい。ここで、導入しうる置換基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロピオキシカルボニル基、メチル基、エチル基、フェニル基等が挙げられる。
【0237】
は、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。ここで、R21、R22としては、置換基を有してもよいアルキル基が挙げられる。
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
【0238】
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0239】
前記一般式(22)において、R〜Rは各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R、Rは水素原子が好ましく、Rは水素原子、メチル基が好ましい。
10〜R12は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。R10〜R12としては、具体的には例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
ここで、導入可能な置換基としては、一般式(21)において挙げたものが同様に例示される。
【0240】
は、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、又は、−N(R21)−を表し、ここで、R21としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
Yは、酸素原子、硫黄原子、−N(R23)−又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。ここで、R23としては、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられる。
【0241】
前記一般式(23)において、R13〜R15は各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、中でも、R13、R14は水素原子が好ましく、R15は水素原子、メチル基が好ましい。
16〜R20は、各々独立に、水素原子又は1価の置換基を表すが、R16〜R20は、例えば、水素原子、ハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、中でも、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。導入しうる置換基としては、一般式(1)においてあげたものが例示される。
は、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R21)−を表し、Zは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R22)−を表す。R21、R22としては、一般式(21)におけるのと同様のものが挙げられる。
【0242】
は、2価の連結基を表すが、置換基を有してもよいアルキレン基が好ましい。好ましくは、炭素数1〜20の置換基を有してもよいアルキレン基、炭素数3〜20の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜20の置換基を有してもよい芳香族基などが挙げられ、中でも、置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖状或いは分岐アルキレン基、炭素数3〜10の置換基を有してもよいシクロアルキレン基、炭素数6〜12の置換基を有してもよい芳香族基が強度、現像性等の性能上、好ましい。
ここで、Gにおける置換基としては、水素原子がヘテロ原子に結合した基の中でも水酸基を除くもの、例えば、アミノ基、チオール基、カルボキシル基を含まないものが好ましい。
【0243】
前記一般式(21)〜(23)で表される構造単位は、硬化性向上及び現像残渣低減の観点から、1分子中に20モル%以上95モル%未満の範囲で含まれる化合物が好ましい。より好ましくは、25モル%〜90モル%未満である。更に好ましくは30モル%以上85モル%未満の範囲である。
【0244】
前記一般式(21)〜(23)で表される構造単位を有するポリマーの合成は、特開2003−262958号公報の段落番号[0027]〜[0057]に記載の合成方法に基づいて行なうことができる。この中でも、同公報中の合成方法1)を用いることが好ましい。
【0245】
現像性バインダー樹脂(E)は、架橋効率を向上させるために、重合性基として、カチオン重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、エポキシ基、オキセタン基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。
【0246】
アルカリ可溶性のバインダー樹脂にエポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合すればよい。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(又はm−、又はp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性のバインダー樹脂を得る際の単量体成分が前記エポキシ基を導入するための単量体をも含む場合、その含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%であるのがよい。
【0247】
以上、本発明における現像性バインダー樹脂(E)の好ましい形態としての、アルカリ可溶性基を有するバインダー樹脂について説明したが、アルカリ可溶性基が酸基である場合、現像性バインダー樹脂(E)の酸価としては30〜300mgKOH/gが好ましく、50〜200mgKOH/gがより好ましく、70〜160mgKOH/gが特に好ましい。酸価がこの範囲にあるとパターン形成時に現像残渣がより残りにくく、かつ塗布均一性がより良好となる。
また、現像性バインダー樹脂が重合性基を有する場合であって、重合性基が不飽和基である場合、光感度向上の観点から、現像性バインダー樹脂(E)の不飽和価は、0.5mmol/g以上が好ましく、更に0.7mmol/g以上が好ましく、1.0mmol/g以上が最も好ましい。
ここで、不飽和価とは、バインダーポリマー1gあたりの不飽和結合のミリモル数を意味する。
現像性バインダー樹脂(E)の不飽和当量を0.5mmol/g以上とすることにより、つまり、この樹脂中において不飽和二重結合数が増加することにより、光重合性、感度が向上し、更に、この重合性向上により、支持体などの固体表面への密着性や含有する中空又は多孔質粒子の固定化性も向上し、結果として、現像におけるパターン膜中の中空又は多孔質粒子の欠損が少なく、テーパー状ないし矩形状の断面形状を有するパターンが得られ易い傾向となり、好ましい。
【0248】
現像性バインダー樹脂(E)は、シアノ基を有していても良く、具体的には、シアノ基を含有する繰り返し単位を有していても良い。この場合、現像性バインダー樹脂(E)は、下記一般式(III)で表されるシアノ基を含有する繰り返し単位を有することが好ましい。
【0249】
【化27】

【0250】
一般式(III)に於いて、
c31は、水素原子、アルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
c32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。これら基は、シアノ基で置換されていても良い。
但し、Rc31、Rc32の少なくとも一つはシアノ基を含む。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0251】
一般式(III)に於ける、Rc32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
c32は無置換のアルキル基が好ましい。
c3の2価の連結基は、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、エステル結合(−COO−で表される基)が好ましい。
【0252】
一般式(III)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(CIII−1)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
【0253】
【化28】

【0254】
一般式(CIII−1)中、Rは炭化水素基を表す。Rc31は、一般式(CIII)のRc31と同義である。但し、Rc31、Rの少なくとも一つがシアノ基を含む。
【0255】
の炭化水素基としては、鎖状又は、環状構造が挙げられる。環状構造を有する場合の具体例として、単環又は多環のシクロアルキル基(炭素数3〜12が好ましく、より好ましくは炭素数3〜7)、単環又は多環のシクロアルケニル基(炭素数3〜12が好ましい)、より好ましくは炭素数6〜12)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜12)などが挙げられる。
【0256】
シクロアルキル基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、架橋環式炭化水素環としては、2環式炭化水素環、3環式炭化水素環、4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、例えば5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
【0257】
これらの炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としては、臭素原子、塩素原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基、シアノ基が挙げられる。好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基は更に置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、臭素原子、塩素原子、アルキル基、水素原子が置換されたヒドロキシル基、水素原子が置換されたアミノ基を挙げることができる。
【0258】
前記水素原子の置換基としては、たとえばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0259】
以下に、一般式(III)で表される、シアノ基を含有する繰り返し単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない(具体例中、Raは、水素原子、アルキル基、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。)
【0260】
【化29】

【0261】
シアノ基を含有する繰り返し単位の含有量は、現像性バインダー樹脂(E)の全繰り返し単位に対して、10〜80モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることが更に好ましい。
【0262】
また、現像性バインダー樹脂は、下記一般式(E−1)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を共重合体として使用することにより得られる樹脂であっても良い。
【0263】
【化30】

【0264】
式(E−1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭化水素基を表す。R及びRとしての炭化水素基は、炭素数1〜15の炭化水素基であることが好ましく、更に置換基を有していても良い。
【0265】
本発明の感光性組成物は、上記一般式(E−1)で示される化合物を共重合体として使用することにより得られる樹脂を含有することにより、該組成物を用いて形成された硬化塗膜の耐熱性及び透明性がより向上する。
前記エーテルダイマーを示す前記一般式(E−1)中、R及びRで表される炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル基等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。
これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素を含む基が耐熱性の点で好ましい。
なお、R及びRは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0266】
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0267】
現像性バインダー樹脂は、上記一般式(E−1)で示される化合物に対応する繰り返し単位を有していても有していなくてもよいが、有する場合、上記一般式(E−1)で示される化合物に対応する繰り返し単位の含有量は、現像性バインダー樹脂の全繰り返し単位に対して、0.1〜50モル%であることが好ましく、0.1〜30モル%であることが更に好ましい。
[6−2]活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する現像性バインダー樹脂
活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する現像性バインダー樹脂(E)は、アルカリ不溶性であるとともに、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂であり、公知のものをいずれも使用できる。
【0268】
以上、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する現像性バインダー樹脂、及び、活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する現像性バインダー樹脂について説明したが、現像性バインダー樹脂(E)の質量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、1000〜2×10であることが好ましく、2000〜1×10であることが更に好ましく、5000〜5×10であることが特に好ましい。
【0269】
現像性バインダー樹脂(E)を用いる場合の含有量は、感光性組成物の全固形分に対し、1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
【0270】
また、現像性バインダー樹脂は、屈折率が1.55以下であることが好ましく、更に好ましくは1.50以下であり、最も好ましくは1.48以下である。これにより、得られるパターンの屈折率をより確実に低下することができる。
【0271】
現像性バインダー樹脂の具体例として、下記バインダー樹脂(E−1)〜(E−7)を挙げるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。各ユニットに示されている数値は、樹脂分子中の各ユニットモル分率を表す。
【0272】
【化31】

【0273】
<その他の成分>
感光性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。
以下、感光性組成物が含有しうる任意成分について説明する。
【0274】
[7](F)増感剤
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤又は酸発生剤等のラジカル発生効率の向上、酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0275】
感光性組成物に用いられる増感剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0101〕〜〔0154〕に記載される化合物が挙げられる。
感光性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始分解効率の観点から、感光性組成物中の全固形分に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0276】
[8](H)重合禁止剤
本発明の感光性組成物においては、感光性組成物の製造中或いは保存中において、(D)重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の(H)重合禁止剤を添加してもよい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
【0277】
(H)重合禁止剤の添加量は、感光性組成物中の全固形分に対し、0.0005質量%〜5質量%であることが好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光性組成物中の全固形分に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0278】
[9](J)有機溶剤
本発明の感光性組成物は、一般には、有機溶剤を含有する。
有機溶剤は、各成分の溶解性や感光性組成物の塗布性を満足すれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、及び安全性を考慮して選ばれることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0187〕に記載の各種溶剤が挙げられる。
【0279】
有機溶剤の具体例としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0280】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME:別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA:別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0281】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、及びバインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0282】
有機溶剤の感光性組成物中における含有量としては、塗布性の観点から、組成物中の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%になる量がより好ましく、10質量%〜50質量%になる量が更に好ましい。
【0283】
[10](K)密着促進剤
本発明の感光性組成物においては、形成された硬化膜の支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着促進剤を添加することができる。密着促進剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
【0284】
シラン系カップリング剤としては、例えば、特開2008−32803号公報の段落番号〔0185〕に記載の化合物が挙げられる。
なかでも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
本発明の感光性組成物は、密着促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、密着促進剤の添加量は、感光性組成物中の全固形分に対して、0.5質量%〜30質量%が好ましく、0.7質量%〜20質量%がより好ましい。
【0285】
[11](L)界面活性剤
本発明の感光性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0286】
特に、本発明の感光性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する感光性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0287】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性組成物中における溶解性も良好である。
【0288】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0289】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0290】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0291】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0292】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
感光性組成物は、界面活性剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、界面活性剤の含有量は、本発明の感光性組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
【0293】
[12](M)その他の添加剤
更に、本発明の感光性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0294】
以上述べたように、本発明の感光性組成物は、(A)中空又は多孔質粒子と、(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物と、樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを含有することにより、珪素原子又はフッ素原子が樹脂の側鎖に存在すること、活性種(好ましくは、酸又はラジカル)の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化することから、屈折率が低く、低露光においても十分な反応性を有し、パターンの欠けなどの欠陥が少なく、更に現像残渣が少なく、高温高湿化でも屈折率上昇の見られない、パターニング可能な低屈折率材料を提供することができる。特に、本発明の低屈折率材料は、アルカリ現像液によるパターニングにおいて好ましく用いられる。
【0295】
[13]パターン形成方法
本発明のパターン形成方法は、感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含む。
ここで、感光性膜は、本発明の感光性組成物から形成される。
また、本発明は、このパターン形成方法により得られるパターン膜にも関する。
本発明の感光性組成物から形成される感光性膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、感光性組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法等の任意の方法により、基板(支持体)に塗布した後、溶媒を必要に応じて加熱処理で除去して塗膜(感光性膜)を形成し、プリベーク処理を施すことにより形成することができる。
基板としては、シリコンウエハ基板、SiOウエハ基板、SiNウエハ基板、ガラス基板、又は、これらの表面に各種金属層が形成された基板や、プラスチックフィルム、マイクロレンズ、イメージセンサー用オンチップカラーフィルターが塗布された基板などを挙げることができる。
【0296】
基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法、スキャン法が好ましい。特に好ましくは、スピンコーティング法である。スピンコーティング法については、市販の装置を使用できる。例えば、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。
【0297】
スピンコート条件としてはいずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、直径300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶媒のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
【0298】
なお、本発明の感光性組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の感光性組成物に含まれる溶剤として前掲した溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0299】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の感光性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、感光性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、感光性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0300】
プリベーク処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)等が好ましく使用できる。ファーネスとしては、Cxシリーズ(東京エレクトロン製)等が好ましく使用できる。上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、60℃〜150℃(好ましくは60℃〜120℃)で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
【0301】
感光性膜を露光する工程は、必要に応じてマスクを介して行われる。
この露光に適用し得る活性光線又は放射線としては、赤外光、g線、h線、i線、KrF光、ArF光、X線、電子線等を挙げることができる。露光量、感度、解像度の観点から、i線、KrF光、ArF光、電子線が好ましく、更に汎用性の観点から、i線、KrF光が最も好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm〜10000mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。KrF光を用いる場合は、30mJ/cm〜300mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
また、露光した組成物層は、必要に応じて、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
【0302】
続いて、露光後の組成物層に対し、前記感光性膜の露光部を現像してパターン膜を得る(現像工程)現像液にて現像を行う(現像工程)。これにより、ネガ型若しくはポジ型のパターン(レジストパターン)を形成することができる。
【0303】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの0.3質量%の水溶液が望ましい。
【0304】
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。現像時間は、感光性組成物の組成によって異なるが、通常、25℃で30〜120秒間程度である。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液を感光性膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液が感光性膜に与える圧力が小さくなり、感光性膜・パターン膜が不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
【0305】
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
【0306】
現像の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含むことが好ましい。
【0307】
リンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0308】
リンス工程においては、現像を行ったウェハをリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(Post Bake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、パターン膜を、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により加熱することにより行うことができる
このポストベークにおいて、加熱温度は、通常、120〜250℃、好ましくは160〜230℃である。また加熱時間は、加熱手段により異なるが、ホットプレート上で加熱する場合、通常、5〜30分間程度であり、オーブン中で加熱する場合、通常、30〜90分間程度である。
また、ポストベークに際しては、2回以上加熱するステップベーク法等を採用することもできる。
【0309】
現像工程後、必要に応じて、形成されたパターン膜に対し後加熱及び/又は後露光を行い、パターン膜の硬化を更に促進させてもよい(硬膜処理による後硬化工程)。
これにより、耐光性、耐気候性、膜強度が向上し、更に低屈折率性も向上させることができる場合がある。
【0310】
硬膜処理とは、基板上のパターン膜を更に硬化し、膜に溶媒耐性などを、より与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが好ましい。例えば、樹脂に残存する重合性基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜600℃、より好ましくは200〜500℃、特に好ましくは200℃〜450℃で、好ましくは1分〜3時間、より好ましくは1分〜2時間、特に好ましくは1分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行ってもよい。
【0311】
また、本発明では加熱処理ではなく、光照射や放射線照射などの高エネルギー線を照射することで、重合体中に、依然、残存する重合性基間の重合反応を起こして硬膜してもよい。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0.1〜50keVが好ましく、より好ましくは0.2〜30keV、特に好ましくは0.5〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0.01〜5μC/cm、より好ましくは0.01〜2μC/cm、特に好ましくは0.01〜1μC/cmである。電子線を照射する際の基板温度は0〜500℃が好ましく、より好ましくは20〜450℃、特に好ましくは20〜400℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。
重合体の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。
【0312】
高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は160〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明の重合物の酸化を防止するという観点から、基板周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
【0313】
加熱処理と光照射や放射線照射などの高エネルギー線処理照射を、同時に又は順次行うことにより硬膜してもよい。
【0314】
膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。
【0315】
本発明の感光性組成物の用途は特に限定されないが、上記したように、低屈折率膜を作製するために使用することが好ましい。
よって、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法により得られるパターン膜である低屈折率膜にも関する。
更に、本発明は、上記低屈折率膜を有する光学デバイスにも関する。
また、本発明は、このような光学デバイスを備えた固体撮像素子にも関する。
以下、このような低屈折率膜(例えば、反射防止膜)について詳述する。ただし、低屈折率膜における下記の各種物性の好ましい範囲は、特に低屈折率膜の用途においては好ましい範囲であるものの、その用途に限られたものではない。
【0316】
<低屈折率膜>
上述した組成物を用いて得られるパターン膜は、優れた低屈折率性を示す。具体的には、パターン膜の屈折率(波長633nm、測定温度25℃)は、1.35以下であることが好ましく、1.23〜1.34であることがより好ましく、1.24〜1.30であることが特に好ましい。上記範囲内であれば、後述する反射防止膜として有用である。
【0317】
<反射防止膜>
上述した本発明の組成物を用いて得られるパターン膜の好適な使用態様として、反射防止膜が挙げられる。特に、光学デバイス(例えば、イメージセンサ用マイクロレンズ、プラズマディスプレイパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスなど)用の反射防止膜として好適である。
反射防止膜として使用した場合の反射率は低いほど好ましい。具体的には、450〜650nmの波長領域での鏡面平均反射率が3%以下であることが好ましく、2%以下であることが更に好ましく、1%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは0である。
反射防止膜のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。なお、反射率は小さければ小さいほど好ましく、最も好ましくは0である。
【0318】
上述した膜を単層型の反射防止膜として用いる場合には、透明基板の屈折率をnGとすると、反射防止膜の屈折率nは√nG、すなわち透明基板の屈折率に対して1/2乗であることが好ましい。例えば、光学ガラスの屈折率は1.47〜1.92(波長633nm、測定温度25℃)であるので、その光学ガラス上に形成される単層の反射防止膜のnは1.21〜1.38であることが好ましい。なお、その際の反射防止膜の膜厚は10nm〜10μmであることが好ましい。
【0319】
上述した膜を、多層型の反射防止膜として用いる場合には、該膜を低屈折率層として使用し、例えば、その膜の下に、高屈折率層、ハードコート層、及び透明基板を含むことができる。このとき、基板の上に、ハードコート層を設けずに、直接、高屈折率層を形成してもよい。また、高屈折率層と低屈折率層の間、又は、高屈折率層とハードコート層の間に、更に中屈折率層を設けてもよい。
以下に、多層型の場合の各層について詳述する。
【0320】
(1)低屈折率層
低屈折率層は、上述のように本発明の組成物を用いて得られるパターン膜から構成される。低屈折率層の屈折率及び厚さについて説明する。
【0321】
(i)屈折率
本発明の組成物を用いて得られるパターン膜の屈折率(波長633nm、測定温度25℃)、即ち、低屈折率膜(低屈折率層ともいう)の屈折率を1.35以下とすることが好ましい。この理由は、低屈折率膜の屈折率が1.35以下であることにより、高屈折率膜(高屈折率層ともいう)と組み合わせた場合に、反射防止効果を確実に発現させることができるためである。
低屈折率膜の屈折率を1.34以下とするのがより好ましく、1.33以下とするのが更に好ましい。なお、低屈折率膜を複数層設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していればよい。
【0322】
また、低屈折率層を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差が0.05以上であることにより、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られやすく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.8の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.7の範囲内の値とするのが更に好ましい。
【0323】
(ii)厚さ
低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、20〜300nmであることが好ましい。低屈折率層の厚さが20nm以上となると、下地としての高屈折率膜に対する密着力が確実に得られ、一方、厚さが300nm以下となると、光干渉が生じにくく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、低屈折率層の厚さを20〜250nmとするのがより好ましく、20〜200nmとするのが更に好ましい。なお、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを20〜300nmとすればよい。
【0324】
(2)高屈折率層
高屈折率層を形成するための硬化性組成物としては、特に制限されるものでないが、膜形成成分として、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シアネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シロキサン樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを含むことが好ましい。これらの樹脂であれば、高屈折率層として、強固な薄膜を形成することができ、結果として、反射防止膜の耐擦傷性を著しく向上させることができる。
しかしながら、通常、これらの樹脂単独での屈折率は1.45〜1.62であり、高い反射防止性能を得るには十分で無い場合がある。そのため、高屈折率の無機粒子、例えば金属酸化物粒子を配合することにより、屈折率1.70〜2.20とすることが好ましい。また、硬化形態としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化できる硬化性組成物を用いることができるが、より好適には生産性の良好な紫外線硬化性組成物が用いられる。
【0325】
高屈折率層の厚さは特に制限されないが、例えば、20〜30,000nmであることが好ましい。高屈折率層の厚さが20nm以上となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基板に対する密着力がより確実に得られやすく、一方、厚さが30,000nm以下となると、光干渉が生じにくく、反射防止効果がより確実に得られやすい。従って、高屈折率層の厚さを20〜1,000nmとするのがより好ましく、50〜500nmとするのが更に好ましい。また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを20〜30,000nmとすればよい。なお、高屈折率層と基板との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを20〜300nmとすることができる。
【0326】
(3)ハードコート層
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層の構成材料については特に制限されるものでない。このような材料としては、シロキサン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0327】
また、ハードコート層の厚さについても特に制限されるものではないが、1〜50μmとするのが好ましく、5〜10μmとするのがより好ましい。ハードコート層の厚さが1μm以上となると、反射防止膜の基板に対する密着力をより確実に向上しやすく、一方、厚さが50μm以下であると、均一に形成しやすい。
【0328】
(4)基板
本発明の低屈折率膜に用いる基板の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)等からなる透明基板及びシリコンウエハを挙げることができる。これらの基板を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、液晶表示装置におけるカラーフィルターあるいは撮影素子等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
【0329】
本発明の組成物を使用して得られるパターン膜は、光学デバイス(例えば、マイクロレンズ)用の表面保護膜、位相差膜としても用いることができる。
【0330】
本発明の組成物は、特に、マイクロレンズ(ここで、マイクロレンズの概念は、マイクロレンズアレイの概念を含む)の被覆用途として、好適に使用することができる。
【0331】
本発明のパターン形成方法から得られるパターン膜は、本発明の感光性組成物を用いて形成されており、屈折率が低く、パターン欠陥及び現像残渣が少なく、また高耐侯性で形成されているので、マイクロレンズや固体撮像素子用以外の他の用途にも好適に使用される。他の用途としては、例えば、各種のOA機器、液晶テレビ、携帯電話、プロジェクター等の液晶表示素子、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等のオンチップカラーフィルターの結像光学系、光ファイバコネクタ等の特に光の反射を抑制したい領域に設けられる膜、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合材料、印刷インキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、プリント基板用レジスト、半導体製造用レジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト等、絶縁材、ホログラム材料、ウエハレベルレンズ本体或いはレンズ用遮光膜の形成材料、導波路用材料、オーバーコート剤、接着剤、粘着剤、粘接着剤、剥離コート剤等が挙げられ、これら種々の用途に利用することができる。
【0332】
特に、本発明のパターン形成方法を用いてマイクロレンズの表面に本発明のパターン膜を形成することにより、上記特性を有する膜が表面に被覆された高精細なマイクロレンズを高い製品歩留りで簡便に形成することができる。
【実施例】
【0333】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により制約されるものではない。
【0334】
1.樹脂(C1)としての樹脂1の合成
300mLの3つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)5.30gを加え、窒素雰囲気下、80℃で加温した。これにメタクリル酸(トリメチルシリル)メチル5.2g、メタクリル酸8.1g、アゾ系熱重合開始剤V−601(和光純薬製)0.23gとPGME47.7gの均一溶液を4時間かけて滴下した。更に2時間80℃で加熱攪拌したのち、窒素フローを止めて更に90℃で2時間加熱攪拌した。GPC測定(ポリスチレン換算)によりこのポリマーの質量平均分子量は20337、数平均分子量は9823であった。
空気下で一晩放置したのち、前記ポリマー溶液にメタクリル酸グリシジル4.9g、ジメチルドデシルアミン0.54g、p−メトキシフェノール0.036g加えて90℃で10時間加熱攪拌した。1HNMRにより、メタクリル酸グリシジルが消費されていることを確認した。GPC測定(ポリスチレン換算)によりこのポリマーの質量平均分子量は32155、数平均分子量は11113であった。
酸価は酸価滴定によって求めこのポリマーのKOH換算の酸価は、88.7mgKOH/gであった。またこのポリマーの不飽和価は、1.75mmol/gであり、屈折率は1.490であった。なおポリマーの屈折率は次の方法で測定した。プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した、ポリマー濃度10質量%のポリマー溶液を、シリコンウエハ上に塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱してポリマー膜を得た。この基板をジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製エリプソメトリー(VASE)を用いて、このポリマー膜における波長633nmで測定した値を屈折率とした。
【0335】
【化32】

【0336】
樹脂2〜14も同様の方法で合成した。以下の表1に樹脂1〜14の構造、各ユニットのモル分率、質量平均分子量、数平均分子量、酸価、不飽和価及び屈折率を示す。
【0337】
【表1】

【0338】
【表2】

【0339】
【表3】

【0340】
また、上述の樹脂(C2−1)に対応する樹脂として以下の樹脂Aを、上述の樹脂(C2−2)に対応する樹脂として以下の樹脂aを、混合樹脂(C2)において使用した。
【0341】
【化33】

【0342】
比較樹脂として下記ポリマーを使用した。
【0343】
【化34】

【0344】
光重合開始剤はチバジャパン社製の下記化合物を使用した。
【0345】
【化35】

【0346】
重合性化合物は下記化合物を使用した。
【0347】
【化36】

【0348】
現像性バインダー樹脂は下記のものを使用した。
【0349】
【化37】

【0350】
2.感光性組成物の調製
下記に示す成分量の成分を混合し、混合液を孔径0.2μmのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過して、実施例1−1の感光性組成物を調液した。
・中空又は多孔質粒子(中空シリカ(屈折率:1.20):スルーリア2320(日揮触媒化成(株)製品、20質量%メチルイソブチルケトン分散液)) 262.5質量部
・光重合開始剤 (B)−1 3.8質量部
・樹脂1(20質量%PGME溶液) 93.8質量部
・溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA) 140質量部
【0351】
3.低屈折率透明パターンの作製
上記で得られた感光性組成物をシリコンウエハ上にスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して膜厚0.3μmの感光性膜を得た。
次いで、得られた感光性膜に対し、i線ステッパーFPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、365nmの波長で、0.5ミクロンスクエアから100ミクロンスクエアまでのサイズが異なるドットアレイパターンのマスクを介して露光した。
前記露光後の感光性膜に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにて水を用いてリンスを行い、更に純水にて水洗し、膜厚0.1μmの透明パターンを得た。
【0352】
4.評価
4−1.適正感度
1.0μmスクエアパターンマスクから忠実に1.0μmスクエアのパターンを形成できる感度を適正感度とした。
【0353】
4−2.パターン欠陥及び残渣評価
適正感度において得られた透明パターンの形状を測長SEM(S−7800H、(株)日立製作所製)を用いてシリコンウエハー上から30000倍で観察した。得られたドットパターンを観察して、下記のような評価基準でパターン欠陥の評価を行った。
パターンの欠けが全くみられない:○
パターンの欠けが少し見られる(1パターンあたり1〜2個):△
パターンの欠けが著しく見られる(1パターンあたり3個以上):×
また、パターン周辺の残渣は、下記のような評価基準で行った。
全くみられない:○
少し見られる(1〜10個/μm):△
著しく見られる(11個以上/μm):×
【0354】
4−3.低屈折率透明パターンの屈折率の測定
上記4−2で得られた感光性組成物をシリコンウエハ上に塗布し、その後、ホットプレート上で100℃で2分間加熱して透明膜を得た。この基板をジェー・エー・ウーラム・ジャパン社製エリプソメトリー(VASE)を用いて、この透明膜における波長633nm、25℃で測定した値を屈折率とした。
それぞれの結果を表2に示した。
【0355】
4−4.耐候性
上記4−2で得られたパターンを、60℃,85%RHの調温、調湿されたサーモセルコで3日間放置し、4−3と同様の方法で屈折率を測定した。
フレッシュと比較して、屈折率変化が
0.5%未満の場合を○、
0.5%以上1%未満の場合を△、
1%以上の場合を×
とした。
【0356】
<実施例1−1〜実施例1−18、比較例1−1〜比較例1−5>
表2に示す種類及び成分量の各成分を使用した以外は実施例1−1と同様に、実施例1−2〜1−18、比較例1−1〜比較例1−5の組成物を調製した。これら組成物についても、実施例1−1と同様に評価を行い、その結果を表2にまとめた。
【0357】
<実施例2−1〜実施例2−16、比較例2−1〜比較例2−5>
実施例1−1の感光性組成物の調整において、スルーリア2320の代わりに、PMA−ST(日産化学社製、多孔質シリカ(屈折率:1.27)の30質量%分散液)を使用した以外は、実施例1−1と同様にして実施例2−1の組成物を調整した。また表3に示す種類及び成分量の各成分を使用した以外は実施例2−1と同様に、実施例2−2〜2−16、比較例2−1〜比較例2−5の組成物を調製した。これら組成物についても、実施例1−1と同様に評価を行い、その結果を表3にまとめた。
なお以上の実施例及び比較例において、樹脂A、樹脂a及び比較樹脂1〜3は、樹脂(C1)と同様に、20質量%PGME溶液として使用した。
【0358】
【表4】

【0359】
【表5】

【0360】
【表6】

【0361】
【表7】

【0362】
【表8】

【0363】
【表9】

【0364】
なお適正感度の結果における“現像流れ”は、現像時にシリコンウエハ上の全ての膜が溶解した状態を意味し、“現像不可”は、現像時にシリコンウエハ上の全ての膜が残存していた状態を意味する。比較例1−2、比較例1−4、比較例1−5、比較例2−2、比較例2−4、及び比較例2−5のパターン欠陥、残渣及び耐侯性に関しては、パターン形成が出来なかったため測定出来なかった。
【0365】
上記実施例で使用した中空又は多孔質粒子以外にも、スノーテックス MIBK−SD−L(日産化学社製の多孔質シリカ(屈折率1.26)の30質量%分散液)や、PL−2L−PGME(扶桑化学社製の多孔質シリカ(屈折率1.26)の20質量%分散液)も使用可能であり、上記と同様の効果が得られた。
【0366】
表2及び表3の結果より本発明による感光性組成物を使用した場合、適正感度が高く、屈折率が低くかつ、現像後のパターンの欠けや残渣が少なく、高温高湿下での屈折率変化が小さく、耐候性に優れた性能を示すパターンを形成できることがわかる。また、フッ素原子を側鎖に含有した樹脂11を使用した実施例1−11と比較して、珪素原子を側鎖に含有した樹脂を使用したその他実施例は、耐侯性が優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)中空又は多孔質粒子と、
(B)活性光線又は放射線の照射により活性種を発生する化合物と、
下記の樹脂(C1)又は混合樹脂(C2)とを含有する感光性組成物。
(C1)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有し、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂
(C2)珪素原子又はフッ素原子を側鎖に含有する樹脂(C2−1)と、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する樹脂(C2−2)とを含有する混合樹脂
【請求項2】
前記中空又は多孔質粒子(A)の屈折率が1.10〜1.40である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)が、前記活性種の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が減少する樹脂である、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
前記樹脂(C1)を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
活性光線又は放射線の照射により前記化合物(B)が発生する活性種がラジカルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−1)が、下記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【化1】

一般式(1)中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はシロキシ基を表す。
、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
は2価の連結基を表す。
は0〜20の整数を表す。
一般式(2)中、R、R及びRは、一般式(1)におけるR、R及びRと同義である。
は2価の連結基を表す。
はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
【請求項7】
前記一般式(1)又は(2)で表される繰り返し単位が、下記一般式(3)又は(4)で表される繰り返し単位である、請求項6に記載の感光性組成物。
【化2】

一般式(3)中、R10は水素原子又はアルキル基を表す。
11、R12及びR13はそれぞれ独立に、アルキル基又はシロキシ基を表す。
11は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
15は水素原子又はアルキル基を表す。
11はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
一般式(4)中、
12は酸素原子、硫黄原子又は−N(R15)−を表す。
12はアルキレン基、アルキレンオキシ基又はこれらの組み合わせを表す。
14はフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
10及びR15は、一般式(3)におけるR10及びR15と同義である。
【請求項8】
前記樹脂(C1)が、(I)前記一般式(1)〜(4)のいずれかで表される、少なくとも一つの繰り返し単位、(II)ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位、及び(III)アルカリ可溶性繰り返し単位を含有する、請求項6又は7に記載の感光性組成物。
【請求項9】
前記ラジカル又はカチオン重合性繰り返し単位(II)が、下記一般式(5)〜(7)のいずれかで表される繰り返し単位であり、かつ前記アルカリ可溶性繰り返し単位(III)が、(メタ)アクリル酸である、請求項8に記載の感光性組成物。
【化3】

一般式(5)〜(7)中、A21、A22及びA23は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子又は−N(R41)−を表し、R41は水素原子又はアルキル基を表す。
21、G22及びG23は、各々独立に、2価の連結基を表す。
21及びZ21は、各々独立に酸素原子、硫黄原子又は−N(R42)−を表し、R42は水素原子又はアルキル基を表す。
21は、酸素原子、硫黄原子、フェニレン基又は−N(R43)−を表し、R43は水素原子又はアルキル基を表す。
21〜R40は、各々独立に水素原子又は1価の有機基を表す。
【請求項10】
前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−2)の不飽和価が0.5mmol/g〜2.0mmol/gであり、かつ、酸価が50mgKOH/g〜200mgKOH/gである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項11】
前記樹脂(C1)又は樹脂(C2−1)の屈折率が1.45以上1.50未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項12】
前記中空又は多孔質粒子(A)がシリカ粒子である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項13】
前記中空又は多孔質粒子(A)を、溶剤を除く全固形分中で20質量%〜90質量%含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項14】
更に、(D)重合性化合物を含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項15】
更に、(E)現像性バインダー樹脂を含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の感光性組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の感光性組成物であるパターン形成材料。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の感光性組成物により形成される感光性膜。
【請求項18】
支持体上に、請求項17に記載の感光性膜を形成する工程、前記感光性膜を露光する工程、及び、アルカリ現像液により現像してパターン膜を得る現像工程を含むパターン形成方法。
【請求項19】
請求項18に記載のパターン形成方法により得られるパターン膜。
【請求項20】
請求項19に記載のパターン膜である低屈折率膜。
【請求項21】
請求項20に記載の低屈折率膜を有する光学デバイス。
【請求項22】
請求項21に記載の光学デバイスを備えた固体撮像素子。

【公開番号】特開2012−13962(P2012−13962A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150639(P2010−150639)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】