説明

感光性黒色ペーストおよびバス電極黒層の形成方法

【課題】安価で、かつ黒色度を損なうことなく電気抵抗の低いプラズマディスプレイのバス電極を形成するのに好適な感光性黒色ペースト組成物および該組成物を用いた黒色電極層の形成方法提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、光重合開始剤(E)、シリコン粉末(F)および黒色顔料(G)を含有することを特徴とする感光性黒色ペースト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称する)の前面基板において、白黒二層構造を有するバス電極の黒層(下層)を形成するのに適した感光性黒色ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回路基板やディスプレイパネルにおけるパターン加工に対して、高密度化および高精細化の要求が高まっている。このような要求が高まっているディスプレイパネルの中でも、特にPDPやフィールドエミッションディスプレイ(以下「FED」ともいう。)などのフラットパネルディスプレイ(以下「FPD」ともいう。)が注目されている。
【0003】
PDPにおいては、コントラストを向上させるために、前面板のバス電極に黒色成分が配合される。バス電極は、単層タイプおよび二層タイプが知られており、単層タイプにおいては銀などの導電成分とともに、黒色成分が含まれる。二層タイプにおいては、銀などの導電成分を含む白色電極と黒色成分を含む黒色電極(黒色バス電極)とが積層される。
【0004】
PDPにおけるコントラストの向上のためには、黒色成分の黒色度が高いことおよび電極の抵抗値が低いことが必要である。黒色電極に通常使用される黒色成分は、銀や銅などの導電性金属よりも抵抗値が高いため、コントラスト向上のための黒色度向上と、電極抵抗値の低減との相反するファクターの両立を図る手段の開発が長く求められている。
【0005】
黒色成分としてのルテニウム酸化物やルテニウム化合物は黒色度が高く、さらに導電性を兼ね備えており、PDPにおける高い黒色度と低いオーミック抵抗値を得るために従来より好適に用いられている。しかしながら、PDPの価格競争力向上のため、より安価な材料の開発が期待されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−11584号公報
【特許文献2】特開2004−53628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
安価材料の開発としては、電極の導電性成分として銀の代わりにアルミニウムを用いることが考えられるが、アルミニウムは電極形成の過程で酸化され、電気抵抗が上昇してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、安価で、かつ黒色度を損なうことなく電気抵抗の低いプラズマディスプレイのバス電極を形成するのに好適な感光性黒色ペースト組成物および該組成物を用いた黒色電極層の形成方法提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った。
本発明は、ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、光重合開始剤(E)、シリコン粉末(F)および黒色顔料(G)を含有することを特徴とする感光性黒色ペースト組成物と該組成物を用いたプラズマディスプレイパネルのバス電極黒層の形成方法とを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、抵抗値が低く、支持体との密着性が良好な高精細なパターンをガラス基板またはシリコン基板上に形成可能な感光性黒色ペースト組成物が提供される。また、本発明によれば、前記感光性黒色ペースト組成物を用いたパターン形成方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る感光性黒色ペースト組成物およびパターン形成方法について、詳細に説明する。なお、以下では、前記感光性黒色ペースト組成物を用いて形成される、露光前の層を「感光性黒色ペースト層」ともいう。
【0012】
〔感光性黒色ペースト組成物〕
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物は、ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、光重合開始剤(E)、シリコン粉末(F)および黒色顔料(G)を含有することを特徴とする感光性黒色ペースト組成物を含むものである。
【0013】
<ガラス粉末(B)>
本発明において、ガラス粉末(B)を用いることが好ましい。ガラス粉末(B)は、本発明に係る感光性黒色ペースト組成物を用いて形成されるパターンの用途(例えば、FPDの部材、電子部品の部材など。)に応じて適宜選択することができる。
【0014】
ガラス粉末(B)の好適な具体例としては、
1.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(PbO−B2O3−SiO2系)、
2.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物(ZnO−B2O3−SiO2系)、
3.酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系)、
4.酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系)、
5.酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素の混合物
(Bi2O3−B2O3−SiO2系)、
6.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素の混合物(ZnO−P2O5−SiO2系)、
7.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化カリウムの混合物(ZnO−B2O3−K2O系)、
8.酸化リン、酸化ホウ素、酸化アルミニウムの混合物
(P2O5−B2O3−Al2O3系)、
9.酸化亜鉛、酸化リン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(ZnO−P2O5−SiO2−Al2O3系)、
10.酸化亜鉛、酸化リン、酸化チタンの混合物(ZnO−P2O5−TiO2系)、
11.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウムの混合物
(ZnO−B2O3−SiO2系−K2O系)、
12.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウムの混合物
(ZnO−B2O3−SiO2−K2O−CaO系)、
13.酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウムの混合物(ZnO−B2O3−SiO2−K2O−CaO−Al2O3系)、
14.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウムの混合物
(B2O3−SiO2−Al2O3系)、
15.酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ナトリウムの混合物
(B2O3−SiO2−Na2O系)、
が挙げられる。これらの中では、環境に配慮した無鉛ガラスが特に好ましい。
【0015】
ガラス粉末(B)の平均粒子径は、パターンの形状を考慮して適宜選択される。ガラス粉末(B)の50重量%粒子径(D50)は、好ましくは0.2〜5μm、より好ましくは0.2〜4μm、さらに好ましくは0.5〜3.8μmの範囲にある。また、ガラス粉末(B)の10重量%粒子径(D10)は0.05〜0.5μmの範囲にあることが好ましく、90重量%粒子径(D90)は10〜20μmの範囲にあることが好ましい。ガラス粉末(B)の平均粒子径(D50、D10、D90)が前記範囲にあると、露光工程において、露光光が感光性黒色ペースト層の底部まで充分到達し、高精細なパターンを形成することができる。
【0016】
なお、本発明において、50重量%粒子径(D50)、10重量%粒子径(D10)および90重量%粒子径(D90)は、レーザー回折法により、後述する実施例での測定条件下で測定される場合の値である。
【0017】
また、ガラス粉末(B)として、(B1)軟化点が好ましくは350〜700℃、より好ましくは400〜620℃の範囲にあるガラス粉末(以下「ガラス粉末(B1)」ともいう。)を用いることが好ましい。
【0018】
軟化点が上記範囲を下回るガラス粉末を用いると、感光性黒色ペースト層を露光・現像して形成されるパターンを焼成する工程において、アルカリ可溶性樹脂(C)などの有機物質が完全に分解除去されない段階で該ガラス粉末が溶融してしまうため、電極中に該有機物質の一部が残留することがある。その結果、前記電極が着色されて、その光透過率が低下することがある。一方、軟化点が上記範囲を上回るガラス粉末を用いると、感光性黒色ペースト層を露光・現像して形成されるパターンを焼成する工程において、その温度条件が非常に高くなるため、ガラス基板に歪みなどが発生することがある。
【0019】
なお、本発明において、ガラス粉末(B)の軟化点は、DSC測定により、後述する実施例での測定条件下で測定される場合の値である。
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、ガラス粉末(B)の含有量は、該組成物全体に対して、好ましくは0.5〜35重量%、より好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは1.5〜20重量%の範囲にある。
【0020】
特に、ガラス粉末(B)の少なくとも一部がガラス粉末(B1)であることが好ましく、該ガラス粉末(B1)の含有量は、感光性黒色ペースト組成物全体に対して、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは1.5〜20重量%の範囲にある。ガラス粉末(B1)の含有量が前記範囲にあると、FPDの配線を構成する電極などの部材を形成する場合に好適である。
【0021】
<アルカリ可溶性樹脂(C)>
なお、本発明において「アルカリ可溶性」とは、目的とする現像処理が可能な程度に、アルカリ性の現像液に溶解する性質をいう。
アルカリ可溶性樹脂(C)としては、以下のアルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と(メタ)アクリル酸誘導体(C2)との共重合体が好ましい。
≪アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)≫
アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基含有モノマー類;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(α−ヒドロキシメチル)アクリレートなどの水酸基含有モノマー類;
o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類などの、アルカリ可溶性官能基と不飽和結合とを有するモノマーが挙げられる。
【0022】
これらのモノマー(C1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのモノマー(C1)の中では、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0023】
アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)を共重合することにより、樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。このアルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)由来の構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)の全構成単位中、通常は5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜70重量%である。
【0024】
≪(メタ)アクリル酸誘導体(C2)≫
(メタ)アクリル酸誘導体(C2)としては、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)と共重合可能な(メタ)アクリル酸誘導体であれば特に限定されない。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートなどの、上記モノマー(C1)以外の(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0025】
これらのモノマー(C2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明では、(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の代わりに、あるいは(メタ)アクリル酸誘導体(C2)とともに、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー、ベンジル(メタ)アクリレートなどから得られるポリマーの一方の鎖末端に、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマーを用いてもよい。
【0026】
<ラジカル重合開始剤>
上記共重合の際、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。
【0027】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)などのアゾ化合物;t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエートなどのパーオキシエステル類の有機過酸化物が挙げられる。
【0028】
これらのラジカル重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらのラジカル重合開始剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
【0029】
<連鎖移動剤>
上記共重合の際、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、t−ドデシルメルカプタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタンが挙げられる。
【0030】
これらの連鎖移動剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの連鎖移動剤の使用量は、上記共重合に使用する全モノマー100重量部に対して、通常は0.1〜10重量部程度である。
【0031】
<アルカリ可溶性樹脂(C)の物性>
アルカリ可溶性樹脂(C)の重量平均分子量(以下「Mw」ともいう。)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値で、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜80000である。Mwは、上記モノマーの共重合割合、連鎖移動剤、重合温度などの条件を適宜選択することにより制御することができる。Mwが前記範囲を上回ると、現像後の膜荒れが発生しやすくなる。また、Mwが前記範囲を下回ると、未露光部の現像液に対する溶解性が低下し、パターンの解像度が低下する場合がある。
【0032】
アルカリ可溶性樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜100℃である。ガラス転移温度が前記範囲を下回ると、塗膜にタックを生じやすく、ハンドリングがしにくい傾向にある。また、ガラス転移温度が前記範囲を上回ると、感光性黒色ペースト層とガラス基板などの支持体との密着性が悪くなり、後述する転写フィルムを用いる場合には、該ペースト層を転写できないことがある。なお、ガラス転移温度は、アルカリ可溶性官能基含有モノマー(C1)および(メタ)アクリル酸誘導体(C2)の量を変更することによって適宜調節することがでる。
【0033】
アルカリ可溶性樹脂(C)の酸価は、好ましくは20〜200mgKOH/g、より好ましくは30〜160mgKOH/gである。酸価が前記範囲を下回ると未露光部をアルカリ現像液で速やかに除去しにくく、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。また、酸価が前記範囲を上回ると、露光光によって硬化した部分もアルカリ現像液に浸食されやすくなり、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。
【0034】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物は、5〜90重量%(5〜89.5重量%)の感光性樹脂成分と95〜10重量%(95〜10.5重量%)の無機粒子とからなることが好ましい。なお、感光性樹脂成分とは、感光性黒色ペースト組成物から無機粒子を除いた部分、すなわち感光性機能を有する有機成分全体をいい、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)などが含まれる。また、無機粒子には、導電成分(A)、ガラス粉末(B)などが含まれる。
【0035】
<多官能(メタ)アクリレート(D)>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、感光性成分が含まれる。前記感光性成分としては、一般的に光不溶化型の成分と光可溶化型の成分とがある。
【0036】
光不溶化型の成分としては、(i)分子内に不飽和基などを1つ以上有する感光性モノマーまたはオリゴマー、(ii)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物、(iii)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などのいわゆるジアゾ樹脂といわれるものなどがある。
【0037】
光可溶化型の成分としては、(iv)ジアゾ化合物と無機酸や有機酸との錯体、(v)キノンジアゾ類、(vi)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させたもの(例えば、フェノール樹脂のナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル。)などがある。
【0038】
本発明においては、上記の全ての成分を用いることができるが、上記無機粒子と混合して簡便に用いることができる点で、上記(i)感光性モノマーまたはオリゴマーに分類される、多官能(メタ)アクリレート(D)が必須成分として用いられる。
【0039】
多官能(メタ)アクリレート(D)としては、例えば、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)タクリレート類;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート類;
上記化合物中の芳香環に結合した水素原子のうち、1〜5個が塩素原子または臭素原子に置換されたモノマーが挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量は、露光光に対する感度の点から、上記感光性樹脂成分全体に対して、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15〜60重量%の範囲にある。多官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成後の部材(例えば、ディスプレイパネル用部材)の形状が劣化することがある。
【0041】
また、本発明の目的を損なわない範囲で、多官能(メタ)アクリレート(D)とともに、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどを用いてもよい。
【0042】
<光重合開始剤(E)>
光重合開始剤(E)としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。また、露光感度を向上させるために、光重合開始剤(E)とともに増感剤を用いてもよい。
【0043】
光重合開始剤(E)としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、カンファーキノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどのカルボニル化合物;
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド系化合物;
ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン;
エオシンやメチレンブルーなどの光還元性の色素と、アスコルビン酸やトリエタノールアミンなどの還元剤との組み合せが挙げられる。これらの光重合開始剤(E)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、光重合開始剤(E)の含有量は、多官能(メタ)アクリレート(D)100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部の範囲にある。光重合開始剤(E)の含有量が前記範囲を上回ると、焼成後の部材(例えば、ディスプレイパネル用部材)の形状が劣化することがある。
【0045】
<シリコン粒子(F)>
本発明で使用されるシリコン粒子は50重量%粒子径が1〜10μm、好ましくは2 〜5μm、最高粒子径は505〜100μmである。
シリコン粒子の純度は99%以上であり、必要に応じて表面処理がされていてもよい。
シリコン粒子の含有量はガラス成分100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは2〜60重量部である。
【0046】
<黒色顔料(G)>
本発明で用いることのできる黒色顔料としては、酸化チタン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウムおよびそれらの複合酸化物を挙げることができる。黒色顔料の50重量%粒子径は0.01〜2.0μm、好ましくは0.05〜1.5μmである。
黒色顔料の含有量はガラス成分100重量部に対して、通常5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部である。
【0047】
本発明の感光性黒色ペースト組成物においては、必要に応じて上記(B)〜(G)成分に加えて導電性成分(A)を含有することができる。
<導電成分(A)>
導電性成分としては、銀、金、アルミニウム、ニッケル、銅などの球状粒子やフレーク、これらの金属を含む合金粉末を挙げることができ、これらのうちでも銀またはアルミニウム粉末が好ましい。
導電性成分は50重量%粒子径(以下「D50」ともいう。)は、通常2.0〜20μm、好ましくはD50が2.5〜18μm、より好ましくはD50が3.0〜15μmである。
導電性成分がフレークの場合には、平均厚さが0.1〜1μm、好ましくは0.15〜0.9μm、より好ましくは0.15〜0.8μmの範囲にある。
【0048】
D50または平均厚さが上記範囲を上回る導電性成分を用いると、高精細なパターンを形成することが困難になることがある。
【0049】
なお、本発明において、50重量%粒子径(D50)は、レーザー回折法により、後述する実施例での測定条件下で測定される場合の値である。また、平均厚さは、SEM観察により、後述する実施例での測定条件下で測定される場合の値である。
【0050】
導電性成分は脂肪酸により包接されたものを使用することもできる。
例えばFPDの配線を構成する電極を形成する場合には、前記例示のフレーク状アルミニウム粉末が好適に用いられるが、特に、JIS K 5906に記載の方法に従って測定されるリーフィング価が小さい(またはリーフィング価がない)、ノンリーフィング型フレーク状アルミニウム粉末が好適に用いられる。また、前記例示のフレーク状アルミニウム粉末は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
上記脂肪酸としては、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。これらの脂肪酸の中では、オレイン酸は効率的にアルミニウム粉末を包接および/または修飾することができる。オレイン酸などの脂肪酸を用いて、上記フレーク状アルミニウム粉末を包接および/または修飾することで、ノンリーフィング型のフレーク状アルミニウム粉末を容易に得ることができる。そして、このようなノンリーフィング型のフレーク状アルミニウム粉末を用いることで、感光性黒色ペースト層中に該アルミニウム粉末をより均一に分散することが可能となる。このため、このようにして得られる感光性黒色ペースト層は露光光を反射することなく(すなわち、透過率が向上する)、良好にパターン形成することができる。
【0052】
本発明の感光性黒色ペースト組成物においては、さらに以下の添加剤を必要において含有することができる。
<シランカップリング剤>
本発明で使用することのできるシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができ、特に好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、シランカップリング剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.05〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部の範囲にある。
【0053】
<増感剤>
増感剤としては、例えば、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールが挙げられる。
【0054】
これらの増感剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても用いられるものもあり、光重合開始剤との組み合せにより、増感剤であるか光重合開始剤であるかが決定される。
【0055】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、増感剤の含有量は、上記無機粒子100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部の範囲にある。増感剤の含有量が前記範囲を下回ると、光感度を向上させる効果が発揮されないことがあり、増感剤の含有量が前記範囲を上回ると、露光部の残存率が小さくなり過ぎることがある。
【0056】
<添加剤>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶媒、密着助剤、溶解促進剤、増感助剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、およびアルカリ可溶性樹脂の沈降防止剤、ならびにレベリング剤などの添加剤を添加してもよい。
【0057】
<重合禁止剤>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールが挙げられる。
【0058】
重合禁止剤は、感光性黒色ペースト組成物全体に対して、好ましくは0.001〜1重量%の範囲となる量で添加することができる。
<酸化防止剤>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、保存時におけるアルカリ可溶性樹脂(C)の酸化を防ぐために、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトが挙げられる。
【0059】
酸化防止剤は、感光性黒色ペースト組成物全体に対して、好ましくは0.001〜1重量%の範囲となる量で添加することができる。
<有機溶媒>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、その粘度を調整するために、有機溶媒を加えてもよい。有機溶媒としては、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネニルアセテート、リモネン、カルベオール、カルビニルアセテート、シトロネロール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メトキシプロピルアセテート、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸が挙げられる。これらの有機溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
有機溶媒は、感光性黒色ペースト組成物全体に対して、好ましくは15〜40重量%の範囲となる量で添加することができる。
【0061】
<溶解促進剤>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物には、後述する現像液への充分な溶解性を発現させる目的で、溶解促進剤を添加してもよい。溶解促進剤としては、界面活性剤が好ましく用いられる。このような界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸が挙げられる。
【0062】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製「SH−28PA」、「SH−190」、「SH−193」、「SZ−6032」、「SF−8428」、「DC−57」、「DC−190」;信越化学工業(株)製「KP341」;新秋田化成(株)製「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」が挙げられる。
【0063】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類が挙げられる。
【0064】
ノニオン系界面活性剤の市販品としては、例えば、花王(株)製「エマルゲンA−60」、「A−90」、「A−550」、「B−66」、「PP−99」;共栄社化学(株)製「(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57」、「同No.90」が挙げられる。
【0065】
脂肪酸としては、例えば、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ぺラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセレン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸が挙げられる。
【0066】
これらの界面活性剤の中では、現像時に未露光部の除去が容易であることから、ノニオン系界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアリールエーテル類がより好ましく、該ポリオキシエチレンアリールエーテル類の中では、下記式(1)で表される化合物が特に好ましい。
【0067】
【化1】

【0068】
上記式(1)中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、好ましくはメチル基であり;pは1〜5の整数であり;sは1〜5の整数、好ましくは2であり;tは1〜100の整数、好ましくは10〜20の整数である。
【0069】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物において、溶解促進剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(C)100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜15重量部、特に好ましくは0.1〜10重量部の範囲にある。溶解促進剤の含有量が前記範囲にあると、後述する現像液への溶解性に優れた感光性黒色ペースト組成物が得られる。
【0070】
<感光性黒色ペースト組成物の調製>
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物は、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)および光重合開始剤(E)と、ガラス粉末(B)、シリコン粒子(F)、黒色顔料(G)などの無機粒子および有機溶媒などの添加剤とを所定の組成比となるように調合した後、3本ロールや混練機で均質に混合分散して調製される。
【0071】
本発明に係る感光性黒色ペースト組成物の粘度は、上記無機粒子、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加量によって適宜調整することができるが、100〜50000cps(センチ・ポイズ)の範囲にあることが好ましい。
【0072】
上記感光性黒色ペースト組成物は、上記感光性黒色ペースト組成物からなる感光性黒色ペースト層を基板上に形成する工程(感光性黒色ペースト層形成工程)で得られる感光性黒色ペースト層において、膜厚5μmで波長365nmの光に対する透過率が0.1%以上となることが好ましい。膜厚5μmで波長365nmの光に対する透過率が0.1%未満となる場合、フォトリソグラフィー法によるパターン形成は困難となることがある。
【0073】
〔パターン形成方法〕
本発明に係るパターン形成方法は、上記感光性黒色ペースト組成物からなる感光性黒色ペースト層を基板上に形成する工程(感光性黒色ペースト層形成工程)、該感光性黒色ペースト層を露光処理してパターンの潜像を形成する工程(露光工程)、該感光性黒色ペースト層を現像処理してパターンを形成する工程(現像工程)、および該パターンを焼成処理する工程(焼成工程)を含むことを特徴とする。
【0074】
<黒色電極形成工程>
本工程では、上記感光性黒色ペースト組成物からなる感光性黒色ペースト層を基板上に形成する。感光性黒色ペースト層の形成方法としては、例えば、(i)上記感光性黒色ペースト組成物を基板上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて形成する方法、(ii)上記感光性黒色ペースト組成物を支持フィルム上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させて得られる感光性黒色ペースト層を有する転写フィルムを用いて、基板上に該ペースト層を転写する方法などが挙げられる。
【0075】
(i)上記感光性黒色ペースト組成物を基板上に塗布する方法としては、膜厚が大きく(例えば20μm以上)、かつ均一性に優れた塗膜を効率よく形成することができる方法であれば特に限定されない。例えば、ナイフコータによる塗布方法、ロールコータによる塗布方法、ドクターブレードによる塗布方法、カーテンコータによる塗布方法、ダイコータによる塗布方法、ワイヤーコータによる塗布方法、スクリーン印刷装置によるスクリーン印刷法が挙げられる。
【0076】
塗膜の乾燥条件は、乾燥後における有機溶媒の残存割合が2重量%以内となるように適宜調整すればよく、例えば、乾燥温度が50〜150℃、乾燥時間が0.5〜60分程度である。
【0077】
上記のようにして形成された感光性黒色ペースト層の膜厚は、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜200μmである。なお、感光性黒色ペースト組成物の塗布をn回繰り返すことで、n層(nは2以上の整数を示す。)の感光性黒色ペースト層を有する積層体を形成してもよい。
【0078】
(ii)上記感光性黒色ペースト層を有する転写フィルムを用いた転写工程の一例を以下に示す。基板と感光性黒色ペースト層とが接するように、基板と転写フィルムとを重ね合わせ、該転写フィルムを加熱ローラなどにより熱圧着した後、該ペースト層から支持フィルムを剥離除去する。これにより、基板上に感光性黒色ペースト層が転写されて密着した状態となる。
【0079】
上記支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有するとともに可撓性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。支持フィルムを形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフロロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースが挙げられる。
【0080】
転写条件としては、例えば、加熱ローラの表面温度が10〜200℃、加熱ローラによるロール圧が0.5〜10kg/cm2、加熱ローラの移動速度が0.1〜10m/分である。また、上記基板は予熱されていてもよく、その予熱温度は、例えば40〜140℃である。
【0081】
本発明で用いられる基板としては、例えば、ガラス、セラミック、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族アミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの絶縁性材料からなる板状部材が挙げられる。これらの中では、耐熱性を有するガラス基板を用いることが好ましい。
【0082】
<露光工程>
本工程では、上記感光性黒色ペースト層形成工程により基板上に感光性黒色ペースト層を形成した後、露光装置を用いて露光を行う。具体的には、感光性黒色ペースト層に、露光用マスクを介して、紫外線などの露光光を選択的に照射して、該ペースト層にパターンの潜像を形成する。
【0083】
露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法を採用することができる。フォトマスクの露光パターンは、目的によって異なるが、例えば10〜500μm幅のストライプまたは格子である。
【0084】
また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色の可視光レーザー光、Arイオンレーザーなどで直接描画する方法を用いてもよい。
露光装置としては、平行光露光機、散乱光露光機、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性黒色ペースト層を形成した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0085】
露光光としては、例えば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光が挙げられるが、これらの中では紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプなどが挙げられる。これらの中では超高圧水銀灯が好適である。
【0086】
露光条件は、塗布厚みによって異なるが、例えば1〜100mW/cm2出力の超高圧水銀灯を用いて0.05〜1分間露光を行う。この場合、波長フィルターを用いて露光光の波長領域を狭くすることによって、光の散乱を抑制し、パターン形成性を向上させることができる。具体的には、i線(365nm)の光をカットするフィルター、あるいは、i線およびh線(405nm)の光をカットするフィルターを用いて、パターン形成性を向上させることができる。
【0087】
<現像工程>
本工程では、上記露光後、露光部と非露光部との現像液に対する溶解度差を利用して、感光性黒色ペースト層を現像してパターンを形成する。現像方法(例えば、浸漬法、揺動法、シャワー法、スプレー法、パドル法、ブラシ法など)および現像処理条件(例えば、現像液の種類・組成・濃度、現像時間、現像温度など)などは、感光性黒色ペースト層の種類に応じて適宜選択、設定すればよい。
【0088】
現像工程で用いられる現像液としては、感光性黒色ペースト層中の有機成分を溶解可能な有機溶媒が使用できる。また、前記有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性黒色ペースト層中にカルボキシル基などの酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。
【0089】
上記感光性黒色ペースト層には、ガラス粉末(B)、シリコン粒子(F)、黒色顔料(G)および場合により導電性成分(A)などの無機粒子が含まれている。このような無機粒子はアルカリ可溶性樹脂(C)により均一に分散されているため、該樹脂(C)を現像液で溶解して洗浄することにより、該無機粒子も同時に除去される。
【0090】
上記アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられる。
【0091】
上記アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、通常は0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部(未露光部)が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターンを剥離させ、あるいは非可溶部(露光部)を腐食するおそれがある。
【0092】
また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
上記アルカリ水溶液には、ノニオン系界面活性剤や有機溶媒などの添加剤が含有されていてもよい。なお、アルカリ現像液による現像処理がなされた後は、通常は水洗処理が施される。
【0093】
<焼成工程>
本工程では、現像工程により形成されたパターンに含まれる有機物質を焼失させるために、焼成炉にて該パターンを焼成処理する。
【0094】
焼成雰囲気は、感光性黒色ペースト組成物や基板の種類によって異なるが、空気、オゾン、窒素、水素などの雰囲気中で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。
【0095】
焼成処理条件は、パターン中の有機物質が焼失されることが必要であるため、通常は、焼成温度が300〜1000℃、焼成時間が10〜90分間程度である。例えば、ガラス基板上にパターンを形成する場合は、焼成温度が350〜600℃、焼成時間が10〜60分程度である。
【0096】
<加熱工程>
上記感光性黒色ペースト層形成、露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥または予備反応の目的で、50〜300℃の加熱工程を導入してもよい。
【0097】
〔FPD用部材などの製造〕
上記工程を含む本発明に係るパターン形成方法を用いることにより、ディスプレイパネル(FPDなど)の配線を構成する部材(電極など)、電子部品の高度実装材料の部材(回路パターンなど)、および太陽電池部材の部材(配線パターンなど)を形成することができる。特に、本発明に係るパターン形成方法を用いることにより、PDPなどのFPDを好適に製造にすることができる。
特に本発明の感光性黒色ペースト組成物は、PDPの前面板の白黒二層構造の電極における黒層を形成するのに好適に用いることができる。
【実施例】
【0098】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例における「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。
まず、物性の測定方法および評価方法について説明する。
【0099】
〔粒度分布(50重量%粒子径またはD50)の測定方法〕
アルミニウム粉末およびガラス粉末の50重量%粒子径(D50)は、回折式粒度分布測定装置(島津製作所(株)製「SALD−2000J」)により測定した値である。
〔粉末の平均厚さの測定方法〕
アルミニウム粉末の平均厚さは、電子顕微鏡装置(SEM)(日立テクノロジー(株)製「S−4300」)により100個実測した平均値である。
【0100】
〔軟化点の測定方法〕
ガラス粉末の軟化点は、示差走査熱量計(DSC)(TA Instruments製「2910、モジュレイテッドDSC」)により測定した値である。
〔重量平均分子量(Mw)および重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、Mw/Mnと呼称する。)の測定方法〕
MwおよびMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製「HLC−8220GPC」)により測定したポリスチレン換算の値である。なお、GPC測定は、GPCカラムとして東ソー(株)製「TSKguardcolumn SuperHZM−M」を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒、測定温度40℃の条件で行った。
【0101】
〔電気抵抗測定の評価方法〕
体積抵抗[μΩ・cm]は、ガラス基板上にアルミニウムペースト組成物を塗布して焼成することにより、該ガラス基板上に膜厚5μmの膜を形成して、NPS社製の「Resistivity Proccessor ModelΣ5」を用いて荷重100g、23℃の測定条件で評価した。
【0102】
〔現像後および焼成後のパターンの評価方法〕
現像後および焼成後の試験片を切断して、パターン切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製「S4200」)で観察してパターンの幅および高さを計測し、それぞれを下記基準で評価した。なお、所望の規格は、パターンの幅が100μm、上層と下層の高さの合計が5μm、間隔が100μmである。
A:所望の規格のもの。
B:所望の規格から±5%以内のもの。
C:所望の規格から±5%を超えて±10%以内のもの。
D:所望の規格から±10%を超えるもの
【0103】
〔焼成後のパターン密着性評価〕
焼成後の試験片に対して、パターンと支持体であるガラス基板との密着性評価を、以下のようにして行った。なお、所望の規格は、パターンの幅が100μm、上層と下層の高さの合計が5μm、間隔100μmである。
セロテープ(登録商標:ニチバン社製)を、試験片を構成する支持体表面に加熱ローラにより熱圧着した。圧着条件は、加熱ローラの表面温度を23℃、ロール圧を4kg/cm2、加熱ローラの移動速度を0.5m/分とした。これにより、支持体の表面にセロテープ(登録商標:ニチバン社製)が転写されて密着した状態となった。このセロテープ(登録商標:ニチバン社製)を支持体より剥離することでパターンの密着性を評価した。
○:パターン剥れが基材と下層および上層と下層との間なし。
×:パターン剥れが基材と下層および上層と下層との間なし。
【0104】
〔合成例1〕
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート15g、メタクリル酸22g、2−エチルヘキシルメタクリレート31g、エトキシメタクリレート30g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製)2gを攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、ジヒドロターピネオール150g部中で均一になるまで攪拌した。
次いで、上記単量体を80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合させた後、室温まで冷却して樹脂(1)を得た。この樹脂(1)の重合率は99%であり、樹脂(1)の重量平均分子量は25000(Mw/Mn=1.8)。
【0105】
〔合成例2〕
2−ヒドロキシエチルメタクリレート15g、メタクリル酸15g、n−ブチルメタクリレート40g、2−エチルヘキシルメタクリレート27g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1g、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(堺化学工業(株)製)2gを攪拌機付きオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下において、ジヒドロターピネオール150g部中で均一になるまで攪拌した。
次いで、上記単量体を80℃で4時間重合させ、さらに100℃で1時間重合させた後、室温まで冷却してアルカリ可溶性樹脂(1)を得た。このアルカリ可溶性樹脂(2)の重合率は98%であり、アルカリ可溶性樹脂(2)の重量平均分子量は20000(Mw/Mn=1.6)であった。
【0106】
〔樹脂成分の調製〕
表3に示す組成の有機成分(1)〜(6)を調製した。
[実施例1]
(1)バス電極上層(白色層)用
表1に示すアルミニウム粉末A1(40g)、表2に示すガラス粉末B2(5g)および表4に示す感光性樹脂成分(2)(53g)、ヒドロキシプロピルセルロース(2g)を混練機で混練して、感光性黒色ペースト組成物(以下「感光性黒色ペースト」ともいう。)を調製した。
上記感光性黒色ペーストを325メッシュのスクリーンを用いて、試験片(150mm×150mm×1.8mm)であるガラス基板上に100mm角の大きさにベタに印刷し、100℃で20分間保持して乾燥し、感光性黒色ペースト層を形成した。
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅100μm、パターン間隔100μm)を用いて、25mW/cm2出力の超高圧水銀灯により、上面から感光性黒色ペースト層を紫外線露光した。露光量は1000mJ/cm2であった。
次に、露光後の感光性黒色ペースト層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで60秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に格子状の硬化パターンを形成した。この現像後の硬化パターンを上記評価方法により評価した。結果を表6に示す。
次に、得られた硬化パターンを600℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後の電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表6に示す。なお、感光性黒色ペースト層の膜厚は、4μm±1μmの範囲にあった。
【0107】
(2)バス電極下層(黒色層)用
表3に示す無機顔料粉末C1(18g)、表2に示すガラス粉末B1(40g)および表4に示す感光性樹脂成分(1)(40g)、ヒドロキシプロピルセルロース(2g)を混練機で混練して、感光性黒色ペースト組成物(以下「感光性黒色ペースト」ともいう。)を調製した。
上記感光性黒色ペーストを400メッシュのスクリーンを用いて、試験片(150mm×150mm×1.8mm)であるガラス基板上に100mm角の大きさにベタに印刷し、100℃で20分間保持して乾燥し、感光性黒色ペースト層を形成した。
次に、ネガ型クロムマスク(パターン幅100μm、パターン間隔100μm)を用いて、25mW/cm2出力の超高圧水銀灯により、上面から感光性黒色ペースト層を紫外線露光した。露光量は1000mJ/cm2であった。
次に、露光後の感光性黒色ペースト層に、23℃に保持した炭酸ナトリウムの0.5%水溶液を、シャワーで60秒間かけることにより現像した。その後、シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に格子状の硬化パターンを形成した。この現像後の硬化パターンを上記評価方法により評価した。
次に、得られた硬化パターンを600℃で30分間焼成して電極パターンを形成した。この焼成後の電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表6に示す。なお、感光性黒色ペースト層の膜厚は、1μm±0.5μmの範囲にあった。
【0108】
[実施例2〜10]
(1)バス電極上層(白色層)用
表1に示すアルミニウム粉末、表2に示すガラス粉末および表4に示す感光性樹脂成分を用いて表5に示す組成で感光性黒色ペーストを調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性黒色ペースト層、硬化パターン、電極パターンを順次形成した。次いで、硬化パターンおよび電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表6に示す。なお、実施例2〜10の何れにおいても感光性黒色ペースト層の膜厚は、4μm±1μmの範囲にあった。
(2)バス電極下層(黒色層)用
表2に示すガラス粉末、表3に示す黒色顔料粉末および表4に示す感光性樹脂成分を用いて感光性黒色ペーストを調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性黒色ペースト層、硬化パターン、電極パターンを順次形成した。次いで、硬化パターンおよび電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表6に示す。なお、実施例2〜10の何れにおいても感光性黒色ペースト層の膜厚は、1μm±0.5μmの範囲にあった。
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】




【0112】
【表4】

【0113】
SDPPA:コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
TMP:トリメチロールプロパン(プロピオンオキサイド変性)トリアクリレート
MTPMP:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン−1−オン
DETX:2,4−ジエチルチオキサントン
BHHD:1,7−ビス(4−ヒドロキシフェノール)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース
DTNOL:ジヒドロターピネオール



















【0114】
【表5】




【0115】
【表6】

【0116】
表6に示すように、現像後および焼成後のパターン評価では、実施例1、2および4〜8が特に優れていた。実施例3および9は優れていた。実施例10は良好であった。焼成後の密着性評価では、実施例1〜10は良好であった。体積抵抗の評価では、実施例1〜10は18〜25mΩ/□の範囲に入った。
【0117】
[比較例1および参考例1]
(1)バス電極上層(白色層)用
表1に示すアルミニウム粉末、表2に示すガラス粉末および表4に示す感光性樹脂成分を用いて表7の組成で感光性黒色ペーストを調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性黒色ペースト層、硬化パターン、電極パターンを順次形成した。次いで、硬化パターンおよび電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表8に示す。なお、実施例1〜10の何れにおいても感光性黒色ペースト層の膜厚は、5μm±1μmの範囲にあった。
(2)バス電極下層(黒色層)用
表2に示すガラス粉末、表3に示す無機顔料粉末および表4に示す感光性樹脂成分を用いて表7の組成で感光性黒色ペーストを調製したこと以外は実施例1と同様にして、ガラス基板上に感光性黒色ペースト層、硬化パターン、電極パターンを順次形成した。次いで、硬化パターンおよび電極パターンを上記評価方法により評価した。結果を表8に示す。なお、比較例1および参考例1の何れにおいても感光性黒色ペースト層の膜厚は、1μm±0.5μmの範囲にあった。
【0118】
【表7】

【0119】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス粉末(B)、アルカリ可溶性樹脂(C)、多官能(メタ)アクリレート(D)、
光重合開始剤(E)、シリコン粉末(F)および黒色顔料(G)を含有することを特徴とする感光性黒色ペースト組成物。
【請求項2】
黒色顔料(G)が酸化チタン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウムおよびそれらの複合酸化物から選ばれることを特徴とする請求項1記載の感光性黒色ペースト組成物。
【請求項3】
シリコン粒子の50重量%粒子径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の感光性黒色ペースト組成物。
【請求項4】
ガラス粉末(B)が50重量%粒子径が0.2〜4.0μm、軟化点が350〜700℃であることを特徴とする請求項1記載の感光性黒色ペースト組成物。
【請求項5】
さらに、50重量%粒子径が2.0〜20.0μm、かつ平均厚さが0.1〜1.0μmの範囲にあるフレーク状アルミニウム粉末(A)を含有してもよいことを特徴とする請求項1に記載の感光性黒色ペースト組成物。
【請求項6】
基板上に請求項1〜5いずれか記載の感光性黒色ペーストを塗布し、露光してパターンを形成した後、該パターンを焼成することを特徴とする黒色電極層の形成方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の感光性黒色ペースト組成物を基板上に塗布し、パターンを形成した後、焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの白黒構造を有するバス電極の黒色層の形成方法。

【公開番号】特開2011−29113(P2011−29113A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176281(P2009−176281)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】