説明

感放射線性樹脂組成物の製造方法

【課題】異物を効率よく除去することができ、混入異物の極めて少ない感放射線性樹脂組成物を得ることが可能な感放射線性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】感放射線性樹脂組成物の予備組成物を、フィルター部分で、フィルター有効濾過面積当たりの濾過量を30L/m以下に保持して2回以上繰り返し濾過する工程を含む感放射線性樹脂組成物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細加工に有用なレジストとして好適に使用可能な感放射線性樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工分野において、集積度のより高い集積回路を得るために、リソグラフィーのデザインルール微細化が急速に進行している。このため、微細加工を安定して行うことができるリソグラフィープロセスを開発することが強く要望されている。
【0003】
このような要望に対応するため、化学増幅型レジスト用の感放射線性樹脂組成物が種々開発されている。なお、リソグラフィープロセスにおける微細化の要求の高まりに伴い、これまで無視できた感放射線性樹脂組成物中に不可避的に含有されていた異物についても、現像欠陥発生の回避、半導体デバイスの製造歩留まり向上等のために除去する必要性が生じている。
【0004】
関連する従来技術として、感放射線性樹脂組成物中の異物除去を目的とした濾過方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−311600号公報
【特許文献2】特開2002−311601号公報
【特許文献3】特開2004−53887号公報
【特許文献4】特開2004−195427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、異物を効率よく除去することができ、混入異物の極めて少ない感放射線性樹脂組成物を得ることが可能な感放射線性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を達成すべく、感放射線性樹脂組成物から異物を除去する手法について鋭意検討した結果、被濾過物である感放射線性樹脂組成物の予備組成物を、フィルター有効濾過面積当たりの濾過量を制御するとともに、複数回繰り返して濾過することにより、現像欠陥の発生を大幅に減少させ得る感放射線性樹脂組成物を製造可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、以下に示す感放射線性樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0009】
[1]感放射線性樹脂組成物の予備組成物を、フィルター部分で、フィルター有効濾過面積当たりの濾過量を30L/m以下に保持して2回以上繰り返し濾過する工程を含む感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【0010】
[2]前記予備組成物が、(A)感放射線性酸発生剤、(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂、(C)溶剤、及び(D)酸拡散制御剤、を含有するものである前記[1]に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【0011】
[3]前記(B)樹脂が、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(3)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかの繰り返し単位と、を有する樹脂である前記[1]又は[2]に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【0012】
【化1】

【0013】
前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、下記一般式(2)中の「−OR」に相当する基を除く)を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0014】
【化2】

【0015】
前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、「−OR」に相当する基を除く)を示し、Rは1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよく、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0016】
前記一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の酸解離性基を示す。
【0017】
[4]前記(B)樹脂が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位、及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂である前記[3]に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【0018】
[5]前記(A)感放射線性酸発生剤が、ジアゾメタン化合物及びスルホニウム塩からなるものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【0019】
[6]前記フィルター部分が、ポリプロピレン系樹脂製の複数のフィルターを直列的に連結したフィルター装置である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法によれば、異物を効率よく除去することができ、混入異物の極めて少ない感放射線性樹脂組成物を得ることができる。本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法により製造された感放射線性樹脂組成物をレジストとして使用すれば、現像欠陥の発生を抑制し、半導体デバイスの製造歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例において形成したレジストパターンを模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0023】
1.感放射線性樹脂組成物の製造方法:
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法は、感放射線性樹脂組成物の予備組成物を、フィルター部分で、フィルター有効濾過面積当たりの濾過量を30L/m以下に保持して2回以上繰り返し濾過する工程(濾過工程)を含むものである。以下、その詳細について説明する。
【0024】
[1]フィルター部分:
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法では、感放射線性樹脂組成物の予備組成物をフィルター部分で濾過する。このフィルター部分としては、複数のフィルターを直列的に連結したフィルター装置を用いることが好ましい。また、このフィルター装置では、被濾過物である予備組成物を循環させつつ複数回繰り返して濾過する。このため、フィルター装置は、フィルターの他、予備組成物をフィルターに供給するためのポンプを備えたものであることが好ましい。なお、ポンプの具体例としては、ケミカルポンプ等を挙げることができる。
【0025】
フィルター装置を構成するフィルターの具体例としては、ポリプロピレン系樹脂フィルター、ポリアミド系樹脂フィルター、及びポリエチレン系樹脂フィルター等を挙げることができる。これらのフィルターは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、異なる樹脂からなる複数のフィルターを直列的に連結して使用する場合、いずれのフィルターを先に通過するように連結してもよい。
【0026】
[1−1]ポリアミド系樹脂フィルター:
ポリアミド系樹脂フィルターは、ポリアミド系樹脂を濾材としたフィルターである。ポリアミド系樹脂は、主鎖にアミド結合を有するホモポリマー又はコポリマーであり、具体的にはポリアミド6、ポリアミド66等を挙げることができる。ポリアミド系樹脂フィルターのフィルター孔径は0.02〜0.05μmであることが好ましく、0.02〜0.04μmであることが更に好ましい。フィルター孔径が大き過ぎると、予備組成物中に混在する異物を十分に除去できない場合がある。一方、フィルター孔径が小さ過ぎると、濾過速度が遅くなり過ぎる傾向にある。ポリアミド系樹脂フィルターの具体例としては、以下商品名で「ABD1UND8E」、「ABD1UND7EJ」、「ABD1UND8EJ」(いずれも日本ポール社製)等を挙げることができる。
【0027】
[1−2]ポリエチレン系樹脂フィルター:
ポリエチレン系樹脂フィルターは、ポリエチレン系樹脂を濾材としたフィルターである。ポリエチレン系樹脂は、エチレン単位を主鎖に有するホモポリマー又はコポリマーであり、具体的にはポリエチレン、高密度ポリエチレン等を挙げることができる。ポリエチレン系樹脂フィルターのフィルター孔径は0.03〜0.1μmであることが好ましく、0.03〜0.05μmであることが更に好ましい。フィルター孔径が大き過ぎると、予備組成物中に混在する異物を十分に除去できない場合がある。一方、フィルター孔径が小さ過ぎると、濾過速度が遅くなり過ぎる傾向にある。ポリエチレン系樹脂フィルターの具体例としては、以下商品名で「ABD1UG0037E」、「ABD1UG0038EJ」、「ABD1UG0058EJ」(いずれも日本ポール社製)等を挙げることができる。
【0028】
[1−3]ポリプロピレン系樹脂フィルター:
ポリプロピレン系樹脂フィルターは、ポリプロピレン系樹脂を濾材としたフィルターである。ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単位を主鎖に有するホモポリマー又はコポリマーであり、具体的にはポリプロピレン等を挙げることができる。ポリプロピレン系樹脂フィルターのフィルター孔径は0.02〜0.1μmであることが好ましく、0.02〜0.05μmであることが更に好ましい。フィルター孔径が大き過ぎると、予備組成物中に混在する異物を十分に除去できない場合がある。一方、フィルター孔径が小さ過ぎると、濾過速度が遅くなり過ぎる傾向にある。ポリプロピレン系樹脂フィルターの具体例としては、以下商品名で「FOF70KS−P02R−8」、「FOF70KS−P05R−8」、「FOF70KW−P02R−8」、「FOF70KW−P05R−8」、「FOF70KS−P02R−7」、「FOF70KS−P05R−7」、「FOF70KW−P02R−7」、「FOF70KW−P05R−8」、「FOF70KS―P02R−7」、「FOF70KS−P02J−8」、「FOF70KS−P05J−8」、「FOF70KW−P02J−8」、「FOF70KW−P05J−8」、「FOF70KS−P02J−7」、「FOF70KS−P05J−7」、「FOF70KW−P02J−7」、「FOF70KW−P05J−8」、「FOF70KS―P02J−7」、「FOF50−P05T−2」、「FOF50P02T−2」、「FD05P05F−4」、「FD05P02F−4」、「FD05P10F−4」、「FD10P05F−4」、「FD10P02F−4」、「FD10P10F−4」(いずれもキッツマイクロフィルター社製)等を挙げることができる。
【0029】
[2]濾過工程:
[2−1]予備組成物の濾過量:
濾過工程では、フィルター有効濾過面積当たりの予備組成物の濾過量(以下、単に「予備組成物の濾過量」ともいう)を30L/m以下、好ましくは20L/m以下に保持して予備組成物を濾過する。予備組成物の濾過量を30L/m以下に保持して濾過することにより、異物を効率的に除去することができる。そして、このように濾過することによって製造される感放射線性樹脂組成物をレジストとして使用すれば、形成されるレジストパターンに生ずる現像欠陥を大幅に減少させることができる。
【0030】
本明細書にいう「フィルター有効濾過面積当たりの予備組成物の濾過量(=予備組成物の濾過量)」は、下記式(1)で表すことができる。なお、濾過量は、例えば濾過に使用するフィルター部分を構成するフィルターの本数を変更すること等によって、適宜調節することができる。
「予備組成物の濾過量」=「全調製量」/「フィルターの有効濾過面積」 ・・(1)
【0031】
[2−2]循環濾過:
濾過工程では、フィルター部分で2回以上繰り返し循環させて予備組成物を濾過する(以下、単に「循環濾過」又は「繰り返し濾過」ともいう)。前述のように、予備組成物の濾過量を30L/m以下に保持して予備組成物を濾過することによって、予備組成物に含有される微細な異物を効果的に除去することができるが、更に循環濾過を行うことで、より精密に異物を除去することができる。そして、このように濾過することによって製造される感放射線性樹脂組成物をレジストとして使用すれば、エッチング工程後に実施されるデバイスの通電試験において、電気的ショート等が生ずる可能性が著しく低下する。
【0032】
循環濾過においては、フィルター部分で予備組成物を濾過する回数は2回以上とすることが必要であり、3〜200回濾過することが好ましく、3〜150回濾過することが更に好ましい。濾過する回数が1回のみであると、異物の除去が不十分となる。このため、1回だけ濾過して得られた感放射線性樹脂組成物をレジストとして使用すると、デバイスの通電試験において電気的ショートが生ずる可能性が高まるために好ましくない。なお、200回も濾過すれば異物を十分に除去することができ、濾過回数をそれ以上増やしても異物の除去効果が飛躍的に向上するわけではない。
【0033】
循環濾過の他の条件については、特に制限はない。但し、予備組成物をフィルター部分で濾過する速度(濾過速度)は、濾過線速度で10〜110L/hr・mとすることが好ましく、10〜90L/hr・mとすることが更に好ましい。濾過線速度が10L/hr・m未満であると、予備組成物の溶液粘度が高い場合に、圧力不足で濾過不能となるおそれがある。一方、110L/hr・m超であると、フィルター部分に吸着又は捕捉された異物が、フィルター部分から再脱離してしまうおそれがある。
【0034】
予備組成物をフィルター部分で濾過する際の温度(濾過温度)は、予備組成物の品質を維持する観点から、15〜30℃とすることが好ましく、17〜25℃とすることが更に好ましい。濾過温度が15℃未満であると、予備組成物中で凝集物が発生する場合がある。一方、濾過温度が30℃超であると、予備組成物が変質してしまうおそれがある。
【0035】
[3]感放射線性樹脂組成物の予備組成物:
フィルター部分で濾過する被濾過物である感放射線性樹脂組成物の予備組成物は、通常、液状物である。この予備組成物には、感放射線性樹脂組成物とともに、通常、微細な異物が不可避的に含まれている。なお、感放射線性樹脂組成物の種類や組成については特に限定されない。但し、感放射線性樹脂組成物には、一般的に(A)感放射線性酸発生剤、(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂、(C)溶剤、及び(D)酸拡散制御剤が含有されている。以下、感放射線性樹脂組成物に含まれる各成分の具体例について説明する。
【0036】
[3−1](A)感放射線性酸発生剤:
(A)感放射線性酸発生剤は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、又はFエキシマレーザー等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線等の各種放射線の作用により酸を発生する成分である。(A)感放射線性酸発生剤の好ましい一例としては、ジアゾメタン化合物を挙げることができる。ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。これらのなかでも、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタンを好適に用いることができる。なお、これらのジアゾメタン化合物は、一種単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
また、(A)感放射線性酸発生剤の好ましい他の例としては、下記一般式(5)で表されるスルホニウム塩化合物を挙げることができる。
【0038】
【化3】

【0039】
前記一般式(5)中、複数のR12は、相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアルコキシル基を示す。また、複数のdは、相互に独立に、0〜5の整数を示し、Xは1価のアニオンを示す。
【0040】
前記一般式(5)中、Xで表される1価のアニオンの具体例としては、例えば、式「MX」で表されるアニオン(前記式中、Mはホウ素原子、燐原子、砒素原子、又はアンチモン原子を示し、Xはハロゲン原子を示し、iは4〜6の自然数を示す)、ハロゲンアニオン、炭素数1〜20のスルホン酸アニオン、又は炭素数1〜20のカルボン酸アニオン等を挙げることができる。これらのなかでも、Xはスルホン酸アニオンであることが好ましい。なお、前記スルホン酸アニオンと前記カルボン酸アニオンは、それぞれハロゲン原子又はオキソ基で置換されていてもよい。
【0041】
前記一般式(5)で表されるスルホニウム塩化合物の具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウム10−カンファースルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリス(p−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−フルオロフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホネート、(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、(p−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート等を挙げることができる。
【0042】
また、(A)感放射線性酸発生剤の好ましい更に他の例としては、下記一般式(6)で表されるヨードニウム塩化合物を挙げることができる。
【0043】
【化4】

【0044】
前記一般式(6)中、複数のR13は、相互に独立に、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を示し、複数のeは、相互に独立に、0〜5の整数を示し、Xは1価のアニオンを示す。
【0045】
前記一般式(6)中、Xで表される1価のアニオンの具体例としては、前記一般式(5)中のXで表される1価のアニオンの具体例として例示したものと同様のものが例示される。それらのなかでも、Xではスルホン酸アニオンであることが好ましい。
【0046】
前記一般式(6)で表される化合物のうち、Xがスルホン酸アニオンであるものの具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート等の非置換ジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0047】
ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロベンゼンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート等の置換ジフェニルヨードニウム化合物を挙げることができる。
【0048】
これらのなかでも、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(p−フルオロフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、(p−フルオロフェニル)(フェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート等が好ましい。
【0049】
(A)感放射線性酸発生剤の好ましい更に他の例としては、スルホンイミド化合物を挙げることができる。スルホンイミド化合物の具体例としては、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0050】
N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミド;
【0051】
N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド;
【0052】
N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド等を挙げることができる。
【0053】
これらのなかでも、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔(5−メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)スルホニルオキシ〕スクシンイミドが好ましい。これらのスルホンイミド化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
上述の(A)感放射線性酸発生剤は、感放射線性樹脂組成物中に一種以上含有させることができる。上述の(A)感放射線性酸発生剤のなかでも、ジアゾメタン化合物、及び置換又は非置換スルホニウム塩化合物を用いることが好ましく、これらの化合物の二種以上を組み合わせて用いることが更に好ましい。ジアゾメタン化合物は放射線透過率が高く、また焦点がずれたときのパターン形状の劣化、及びパターン線幅の変動が小さいため、焦点深度余裕を大きくする作用を示すものである。このような作用を示すジアゾメタン化合物と、酸発生効率の高いスルホニウム塩化合物と組み合わせて用いることにより、より大きな焦点深度余裕を達成することができる。
【0055】
また、ジアゾメタン化合物と置換又は非置換スルホニウム塩化合物とを組み合わせて用いる場合において、ジアゾメタン化合物とスルホニウム塩化合物の質量比(ジアゾメタン化合物/スルホニウム塩化合物)は、99/1〜5/95であることが好ましく、95/5〜40/60であることが更に好ましく、95/5〜50/50であることが特に好ましい。ジアゾメタン化合物とスルホニウム塩化合物の質量比を上記の範囲内とすると、より良好な焦点深度余裕の改善効果が得られる。
【0056】
(A)感放射線性酸発生剤の含有量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、(B)樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部とすることが好ましく、1.0〜15質量部とすることが更に好ましい。(A)感放射線性酸発生剤の含有量が0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下する傾向にある。一方、20質量部超であると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを形成し難くなる傾向にある。
【0057】
[3−2](B)樹脂:
(B)樹脂は、酸解離性基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂である。この樹脂は、酸解離性基が解離することによりアルカリ可溶性となる。ここでいう「アルカリ不溶性又は難溶性」とは、(B)樹脂を含有する感放射線性樹脂組成物を用いて形成されるレジスト被膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、このレジスト被膜の代わりに(B)樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。また、「アルカリ可溶性」とは、同条件で現像した場合に被膜が実質的に残存しない性質を意味する。
【0058】
(B)樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基又はカルボキシル基等の一種以上の酸性官能基を有するアルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基の水素原子を、酸の存在下で解離することができる一種以上の酸解離性基で置換した、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂等を挙げることができる。
【0059】
(B)樹脂の具体例としては、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」ともいう)と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」ともいう)、及び下記一般式(3)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(3)」ともいう)の少なくともいずれかの繰り返し単位と、を有する樹脂(以下、「(B1)樹脂」ともいう)を挙げることができる。
【0060】
【化5】

【0061】
前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、下記一般式(2)中の「−OR」に相当する基を除く)を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0062】
【化6】

【0063】
前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、「−OR」に相当する基、を除く)を示し、Rは1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよく、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
前記一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の酸解離性基を示す。
【0065】
前記一般式(1)中のR、及び前記一般式(2)中のRでそれぞれ表される1価の有機基の具体例としては、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、1価の酸素原子含有有機基、1価の窒素原子含有有機基等を挙げることができる。
【0066】
前記「アルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また、前記1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、2,6−キシリル基、3,5−キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等を挙げることができる。
【0067】
前記「1価の酸素原子含有有機基」の具体例としては、カルボキシル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシシクロペンチル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のヒドロキシアルキル基;
【0068】
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシル基;メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜9の直鎖状のアルコキシカルボニルオキシ基;
【0069】
(1−メトキシエトキシ)メチル基、(1−エトキシエトキシ)メチル基、(1−n−プロポキシエトキシ)メチル基、(1−n−ブトキシエトキシ)メチル基、(1−シクロペンチルオキシエトキシ)メチル基、(1−シクロヘキシルオキシエトキシ)メチル基、(1−メトキシプロポキシ)メチル基、(1−エトキシプロポキシ)メチル基等の炭素数3〜11の直鎖状、分岐状若しくは環状の(1−アルコキシアルコキシ)アルキル基;
【0070】
メトキシカルボニルオキシメチル基、エトキシカルボニルオキシメチル基、n−プロポキシカルボニルオキシメチル基、i−プロポキシカルボニルオキシメチル基、n−ブトキシカルボニルオキシメチル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル基、シクロヘキシルオキカルボニルオキシメチル基等の炭素数3〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシアルキル基等を挙げることができる。
【0071】
前記「1価の窒素原子含有有機基」の具体例としては、シアノ基;シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、1−シアノプロピル基、2−シアノプロピル基、3−シアノプロピル基、1−シアノブチル基、2−シアノブチル基、3−シアノブチル基、4−シアノブチル基、3−シアノシクロペンチル基、4−シアノシクロヘキシル基等の炭素数2〜9の直鎖状、分岐状、若しくは環状のシアノアルキル基等を挙げることができる。
【0072】
前記一般式(2)中のRで表される1価の酸解離性基の具体例としては、置換メチル基、1−置換エチル基、1−置換プロピル基、1−置換ブチル基、1−置換ペンチル基、、2−置換ブチル基、2−置換ペンチル基、2−置換ヘキシル基、1−分岐アルキル基、トリオルガノシリル基、トリオルガノゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、1価の環式酸解離性基等を挙げることができる。
【0073】
前記「置換メチル基」の具体例としては、メトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−プロポキシカルボニルメチル基、i−プロポキシカルボニルメチル基、n−ブトキシカルボニルメチル基、t−ブトキシカルボニルメチル基等を挙げることができる。
【0074】
前記「1−置換エチル基」の具体例としては、1−メトキシエチル基、1−メチルチオエチル基、1,1−ジメトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−エチルチオエチル基、1,1−ジエトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−フェノキシエチル基、1−フェニルチオエチル基、1,1−ジフェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−ベンジルチオエチル基、1−シクロプロピルエチル基、1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、1−メトキシカルボニルエチル基、1−エトキシカルボニルエチル基、1−n−プロポキシカルボニルエチル基、1−イソプロポキシカルボニルエチル基、1−n−ブトキシカルボニルエチル基、1−t−ブトキシカルボニルエチル基等を挙げることができる。前記「1−分岐アルキル基」の具体例としては、i−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基等を挙げることができる。
【0075】
前記「1−置換プロピル基」の具体例としては、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、1−n−プロポキシプロピル基等を挙げることができる。
【0076】
前記「1−置換ブチル基」の具体例としては、1−メトキシブチル基、1−エトキシブチル基、1−n−プロポキシブチル基等を挙げることができる。
【0077】
前記「1−置換ペンチル基」の具体例としては、1−メトキシペンチル基、1−エトキシペンチル基、1−n−プロポキシペンチル基等を挙げることができる。
【0078】
前記「2−置換ブチル基」の具体例としては、2−メトキシ−2−ブチル基、2−エトキシ−2−ブチル基、2−n−プロポキシ−2−ブチル基等を挙げることができる。
【0079】
前記「2−置換ペンチル基」の具体例としては、2−メトキシ−2−ペンチル基、2−エトキシ−2−ペンチル基、2−n−プロポキシ−2−ペンチル基等を挙げることができる。
【0080】
前記「2−置換ヘキシル基」の具体例としては、2−メトキシ−2−ヘキシル基、2−エトキシ−2−ヘキシル基、2−n−プロポキシ−2−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0081】
前記「トリオルガノシリル基」の具体例としては、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、メチルジ−i−プロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、メチルジ−t−ブチルシリル基、トリ−t−ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0082】
前記「トリオルガノゲルミル基」の具体例としては、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジ−i−プロピルゲルミル基、トリ−i−プロピルゲルミル基、t−ブチルジメチルゲルミル基、メチルジ−t−ブチルゲルミル基、トリ−t−ブチルゲルミル基、フェニルジメチルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等を挙げることができる。
【0083】
前記「アルコキシカルボニル基」の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。前記「アシル基」の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができる。
【0084】
前記「1価の環式酸解離性基」の具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4−メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、3−ブロモテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3−テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド基等を挙げることができる。
【0085】
これらの1価の酸解離性基のなかでも、t−ブチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基、トリメチルシリル基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基等が好ましい。
【0086】
繰り返し単位(1)の具体例としては、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン等の単量体の重合性不飽和結合が開裂し、これらの単量体が重合することで形成される繰り返し単位を挙げることができる。なお、繰り返し単位(1)は、(B1)樹脂中に一種単独で含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。
【0087】
繰り返し単位(2)の具体例としては、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(メトキシメチル)スチレン、4−(メトキシメチル)−α−スチレン、4−(1−メトキシエチル)スチレン、4−(1−メトキシエチル)−α−スチレン、4−(1−メトキシプロポキシ)スチレン、4−(1−メトキシプロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシプロポキシ)スチレン、4−(1−エトキシプロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン等の単量体の重合性不飽和結合が開裂し、これらの単量体が重合することで形成される繰り返し単位を挙げることができる。なお、繰り返し単位(2)は、(B1)樹脂中に一種単独で含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。
【0088】
繰り返し単位(3)の具体例としては、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸1−メチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸8−メチル−8−トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸8−エチル−8−トリシクロデシル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−テトラシクロドデセニル、(メタ)アクリル酸3−エチル−3−テトラシクロドデセニル等の単量体の重合性不飽和結合が開裂し、これらの単量体が重合することで形成される繰り返し単位を挙げることができる。なお、繰り返し単位(3)は、(B1)樹脂中に一種単独で含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。
【0089】
(B1)樹脂には、上述の繰り返し単位(1)〜(3)以外の繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」ともいう)が更に含まれていてもよい。「他の繰り返し単位」の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン等のビニル芳香族化合物;
【0090】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチルプロピル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1−エチルアダマンチル、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
【0091】
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、けい皮酸等の不飽和カルボン酸(無水物)類;(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−カルボキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸3−カルボキシ−n−プロピル等の不飽和カルボン酸のカルボキシアルキルエステル類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;
【0092】
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド等の不飽和アミド化合物;マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド化合物;N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾール等の他の含窒素ビニル化合物等の単量体の重合性不飽和結合が開裂し、これらの単量体が重合することで形成される繰り返し単位を挙げることができる。なお、「他の繰り返し単位」は、(B1)樹脂中に一種単独で含まれていてもよく、二種以上が含まれていてもよい。
【0093】
(B1)樹脂の好適な具体例としては、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−1−エトキシエトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体/4−1−エトキシエトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/アクリル酸1−メチルシクロペンチル共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/アクリル酸1−エチルシクロペンチル共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸t−ブチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸1−メチルシクロペンチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/アクリル酸1−エチルシクロペンチル/スチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン/2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジアクリレート共重合体等を挙げることができる。これらのなかでも、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−1−エトキシエトキシスチレン共重合体、4−ヒドロキシスチレン/4−t−ブトキシスチレン共重合体/4−1−エトキシエトキシスチレン共重合体が特に好ましい。
【0094】
(B)樹脂における酸解離性基の導入率((B)樹脂中、保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する、酸解離性基の数の割合)は、酸解離性基や、酸解離性基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類等により左右されるため、一概には規定できないが、10〜90%であることが好ましく、15〜90%であることが更に好ましい。
【0095】
(B1)樹脂に含まれる繰り返し単位(1)の割合(繰り返し単位(1)の含有率)は、60〜80モル%であることが好ましく、60〜75モル%であることが更に好ましい。繰り返し単位(1)の含有率が60モル%未満であると、レジストパターンの基板への密着性が低下する傾向にある。一方、繰り返し単位(1)の含有率が80モル%超であると、現像後のコントラストが低下する傾向にある。
【0096】
(B1)樹脂に含まれる繰り返し単位(2)の割合(繰り返し単位(2)の含有率)は、10〜40モル%であることが好ましく、10〜35モル%であることが更に好ましい。繰り返し単位(2)の含有率が10モル%未満であると、解像度が低下する傾向にある。一方、繰り返し単位(2)の含有率が40モル%超であると、レジストパターンの基板への密着性が低下する傾向にある。
【0097】
(B1)樹脂に含まれる繰り返し単位(3)の割合(繰り返し単位(3)の含有率)は、10〜40モル%であることが好ましく、10〜30モル%であることが更に好ましい。繰り返し単位(3)の含有率が10モル%未満であると、解像度が低下する傾向にある。一方、繰り返し単位(3)の含有率が40モル%超であると、ドライエッチング耐性が不十分となるおそれがある。
【0098】
(B1)樹脂に含まれる「他の繰り返し単位」の割合(「他の繰り返し単位」の含有率)は、通常、25モル%以下、好ましくは10モル%以下である。「他の繰り返し単位」の含有率が25モル%超であると、解像度が低下する傾向にある。
【0099】
(B)樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう)は、1,000〜150,000であることが好ましく、3,000〜100,000であることが更に好ましい。また、(B)樹脂のMwと、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、通常、1〜10、好ましくは1〜5である。
【0100】
(B)樹脂は、例えば、繰り返し単位(1)に対応する重合性不飽和単量体を、必要に応じて繰り返し単位(3)に対応する重合性不飽和単量体や、「他の繰り返し単位」に対応する重合性不飽和単量体とともに(共)重合させた後、フェノール性水酸基に一種以上の1価の酸解離性基(R)を導入することによって製造することができる。また(B)樹脂は、例えば、繰り返し単位(1)に対応する重合性不飽和単量体と、繰り返し単位(2)に対応する重合性不飽和単量体とを、必要に応じて繰り返し単位(3)に対応する重合性不飽和単量体や、「他の繰り返し単位」に対応する重合性不飽和単量体とともに共重合すること等によっても製造することができる。なお、(B)樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0101】
[3−3](C)溶剤:
感放射線性樹脂組成物は、通常、(A)感放射線性酸発生剤、(B)樹脂、(D)酸拡散制御剤、及び後述する種々の成分を(C)溶剤に均一に溶解して予備組成物とした後、前述の濾過を行うことにより得ることができる。(C)溶剤の量は、予備組成物中の全固形分の濃度が、通常0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%となるような量である。このような濃度となるように(C)溶剤を使用することにより、円滑に濾過することができる。また、感放射線性樹脂組成物も、通常、全固形分濃度が上記の範囲内となる溶液の状態で使用される。従って、予備組成物の全固形分濃度を、レジスト剤として使用される感放射線性樹脂組成物の全固形分濃度と同じになるように調整して濾過すれば、濾過後の濃度調整が不要となる。
【0102】
(C)溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0103】
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
【0104】
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル等の乳酸エステル類;ぎ酸n−アミル、ぎ酸i−アミル等のぎ酸エステル類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類;プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート等のプロピオン酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
【0105】
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクン等のラクトン類等を挙げることができる。これらの(C)溶剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
[3−4](D)酸拡散制御剤:
感放射線性樹脂組成物に含有される(D)酸拡散制御剤は、露光により(A)感放射線性酸発生剤から発生した酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
【0107】
(D)酸拡散制御剤の好適例として、含窒素有機化合物や感光性塩基性化合物を挙げることができる。含窒素有機化合物の具体例としては、下記一般式(7)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(i)」ともいう)、同一分子内に窒素原子を2個有する化合物(以下、「含窒素化合物(ii)」ともいう)、窒素原子を3個以上有するポリアミノ化合物や重合体(以下、これらをまとめて「含窒素化合物(iii)」ともいう)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、及び含窒素複素環化合物等を挙げることができる。なお、(D)酸拡散制御剤は、単独の化合物であってもよく、二種以上の化合物が含まれる混合物であってもよい。
【0108】
【化7】

【0109】
前記一般式(7)中、R14は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、又は置換若しくは非置換のアラルキル基を示す。
【0110】
含窒素化合物(i)の好適例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジ(シクロ)アルキルアミン類;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;トリエタノールアミン等の置換アルキルアミン;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン、2,4,6−トリ−tert−ブチル−N−メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン等の芳香族アミン類等を挙げることができる。
【0111】
含窒素化合物(ii)の好適例としては、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等を挙げることができる。
【0112】
含窒素化合物(iii)の好適例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、2−ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。
【0113】
アミド基含有化合物の好適例としては、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物の他、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等を挙げることができる。
【0114】
ウレア化合物の好適例としては、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
【0115】
含窒素複素環化合物の好適例としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチル−1H−イミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン、2,2’:6’,2”−ターピリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類の他、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0116】
(D)酸拡散制御剤の好適例の一つである感光性塩基性化合物は、露光領域では対応する中性の断片に効率よく分解するが、未露光部では分解せずにそのまま残る成分である。このような感光性塩基性化合物は、非感光性の塩基性化合物に比して露光部(露光領域)に発生する酸を有効活用することができるため、レジストとしての感度を向上させることができる。
【0117】
感光性塩基性化合物の好適例としては、下記一般式(8−1)又は下記一般式(8−2)で表される化合物を挙げることができる。
【0118】
【化8】

【0119】
前記一般式(8−1)中、R15〜R17は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基若しくは非置換の脂環式炭化水素基を示す。また、前記一般式(8−2)中、R18及びR19は、相互に独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、又は置換若しくは非置換の脂環式炭化水素基を示す。更に、前記一般式(8−1)及び(8−2)中、Zは、相互に独立に、「OH」、「R20」、又は「R20COO」(但し、「R20」は1価の有機基を示す)として表されるアニオンを示す。
【0120】
前記一般式(8−1)中のR15〜R17、並びに前記一般式(8−2)中のR18及びR19で表される「置換又は非置換の炭素数1〜10のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、t−ブトキシ基、t−ブトキシカルボニルメチルオキシ基等を挙げることができる。前記一般式(8−1)中のR15〜R17、並びに前記一般式(8−2)中のR18及びR19は、相互に独立に、水素原子又はt−ブチル基であることが好ましい。
【0121】
前記一般式(8−1)及び(8−2)中のZの例示のうち、「R20」及び「R20COO」で表されるアニオン中の「R20」で表される「1価の有機基」としては、例えば、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基等を挙げることができる。
【0122】
前記一般式(8−1)及び一般式(8−2)中、Zで表されるアニオンは、OH、CHCOO、及び下記式(9)で表されるアニオン群から選択されるいずれかのアニオンであることが好ましい。
【0123】
【化9】

【0124】
感光性塩基性化合物の好適例としては、前記一般式(8−1)で表されるトリフェニルスルホニウム化合物であって、そのアニオン部(Z)が、OH、CHCOO、及び下記式(10)で表されるアニオン群から選択されるいずれかである化合物を挙げることができる。
【0125】
【化10】

【0126】
(D)酸拡散制御剤の含有量は、(B)樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、0.005〜5質量部であることが特に好ましい。(D)酸拡散制御剤の含有量が15質量部超であると、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する場合がある。一方、含有量が0.001質量部未満であると、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下する場合がある。
【0127】
[3−5]添加剤:
感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤を配合することができる。界面活性剤は、塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を示す成分である。界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン−n−オクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン−n−ノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等を挙げることができる。また、界面活性剤の市販品としては、以下商品名で、「エフトップEF301」、「同EF303」、「同EF352」(以上、トーケムプロダクツ社製);「メガファックスF171」、「同F173」(以上、大日本インキ化学工業社製);「フロラードFC430」、「同FC431」(以上、住友スリーエム社製)、「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「同SC101」、「同SC102」、「同SC103」、「同SC104」、「同SC105」、「同SC106」(以上、旭硝子社製);「KP341」(信越化学工業社製)、「ポリフローN2.75」、「同N2.95」(以上、共栄社化学社製)等を挙げることができる。界面活性剤の配合量は、(B)樹脂100質量部に対して、好ましくは2質量部以下である。
【0128】
増感剤の具体例としては、ローズベンガル類等を挙げることができる。増感剤の配合量は、(B)樹脂100質量部に対して、好ましくは50質量部以下である。また、感放射線性樹脂組成物に染料及び/又は顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて露光時のハレーションの影響を緩和できることができる。染料の具体例としては、アントラセンカルボン酸、アントラセン−9−カルボン酸メトキシカルボニルメチル、アントラセン−9−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、9−メトキシカルボニルメチルアントラセン、9−t−ブトキシカルボニルメチルアントラセン等のアントラセン誘導体類;N−(メトキシカルボニルメチル)カルバゾール、N−(t−ブトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−カルバゾイル酢酸等のカルバゾール誘導体類;ベンゾフェノン−2−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、ベンゾフェノン−4−カルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル等のベンゾフェノン誘導体類等を挙げることができる。なお、これらの染料は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。更に、感放射線性樹脂組成物に接着助剤を配合することにより、基板とレジスト被膜の接着性をより向上させることができる。
【0129】
なお、上記の各種添加剤以外の成分として、4−ヒドロキシ−4’−メチルカルコン等のハレーション防止剤、形状改良剤、保存安定剤、消泡剤等を配合することもできる。
【0130】
2.レジストパターンの形成方法:
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法によって製造された感放射線性樹脂組成物を使用したレジストパターン形成方法の一例について説明する。レジストパターンを形成するには、先ず、通常液状の感放射線性樹脂組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、シリコンウエハー、アルミニウムで被覆されたウエハー等の基板上に塗布してレジスト被膜を形成する。次いで、必要に応じて70〜160℃程度の温度で予め加熱処理(以下、「PB」ともいう)した後、所定のマスクパターンを介して選択的に露光する。
【0131】
露光に際して使用する放射線の種類は、(A)感放射線性酸発生剤の種類に応じて適宜選択される。具体的には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、及びFエキシマレーザー(波長157nm)等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等から適宜選択して使用することができる。なかでも、KrFエキシマレーザー(波長248nm)等の遠紫外線が好ましい。露光量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定される。
【0132】
高精度の微細パターンを安定して形成するために、露光後に、70〜160℃程度の温度で30秒以上加熱処理(以下、「PEB」ともいう)することが好ましい。PEBの温度が70℃未満であると、基板の種類に応じて感度のバラツキが広がる場合がある。
【0133】
露光後(又は必要に応じて行われるPEB後)、アルカリ現像液を使用し、通常10〜50℃で10〜200秒間、好ましくは15〜30℃で15〜100秒間、更に好ましくは20〜25℃で15〜90秒間現像することにより、所定のレジストパターンを形成することができる。アルカリ現像液としては、例えばテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類等のアルカリ性化合物を、通常、1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%の濃度となるよう溶解したアルカリ性水溶液が使用される。また、このアルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適宜添加することもできる。なお、レジストパターンの形成に際しては、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、レジスト被膜上に保護膜を設けることも好ましい。
【実施例】
【0134】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶剤:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。
【0135】
(合成例1:樹脂(B−1)の合成)
Mwが12,000のポリ(p−ヒドロキシスチレン)24gをジオキサン100gに溶解して得られた溶液を、窒素ガスにより30分間バブリングした。その後、この溶液に、エチルビニルエーテル5g、触媒としてp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加して得られた反応溶液を、室温で12時間反応させた。次いで、この反応溶液を1%のアンモニア水溶液中に滴下した。生じた沈殿物を濾別した後、減圧下、50℃で一晩乾燥することにより樹脂(B−1)を得た。得られた樹脂(B−1)の、Mwは15,000、Mw/Mnは1.7であった。また、13C−NMR分析の結果、得られた樹脂(B−1)は、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)中のフェノール性水酸基における水素原子の35モル%が1−エトキシエチル基で置換された構造を有する共重合体であった。
【0136】
(合成例2:樹脂(B−2)の合成)
p−アセトキシスチレン101g、p−t−ブトキシスチレン50g、AIBN6g、及びt−ドデシルメルカプタン1gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル160gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持して16時間重合させた。反応溶液をn−ヘキサン2000g中に滴下して生成した沈殿物を、減圧下、50℃で3時間乾燥した。乾燥した沈殿物190gを、プロピレングリコールモノメチルエーテル150gに溶解した後、メタノール300g、トリエチルアミン80g、及び水15gを加えて、沸点にて還流させながら8時間加水分解反応を行なった。加水分解反応後、溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去して得られた固形物を、固形分濃度が20%となるようにアセトンに再溶解した後、水2000g中に滴下した。生成した沈殿物(白色粉末)を濾別した後、減圧下、50℃で一晩乾燥することにより樹脂(B−2)を得た。得られた樹脂(B−2)の、Mwは16,000、Mw/Mnは1.7であった。また、13C−NMR分析の結果、p−ヒドロキシスチレンとp−t−ブトキシスチレンとの共重合モル比は、72:28であった。
【0137】
(合成例3:樹脂(B−3)の合成)
4−ヒドロキシスチレンと4−t−ブトキシスチレンの共重合物(4−ヒドロキシスチレン:4−t−ブトキシスチレン(モル比)=90:10、商品名「VPT1503S」日本曹達社製)25gを、酢酸n−ブチル100gに溶解して得られた溶液を、窒素ガスにより30分間バブリングした。その後、この溶液にエチルビニルエーテル3.3g、触媒として4−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩1gを添加して得られた反応溶液を、室温で12時間反応させた。次いで、この反応溶液を1%のアンモニア水溶液中に滴下した。生じた沈殿物を濾別した後、減圧下、50℃で一晩乾燥することにより樹脂(B−3)を得た。得られた樹脂(B−2)の、Mwは13,000、Mw/Mnは1.01であった。また、13C−NMR分析の結果、得られた樹脂(B−3)は、4−ヒドロキシスチレン単位:フェノール性水酸基の水素原子がエトキシエチル基で置換された単位:4−t−ブトキシスチレン単位=67:23:10(モル比)の共重合体であった。
【0138】
(合成例4:樹脂(B−4)の合成)
p−アセトキシスチレン100g、アクリル酸t−ブチル25g、スチレン18g、アゾビスイソブチロニトリル6g、t−ドデシルメルカプタン1g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル260gを使用して重合反応を行ったこと、並びに乾燥した沈殿物135g、プロピレングリコールモノメチルエーテル150g、メタノール300g、トリエチルアミン80g、及び水15gを使用して加水分解反応を行ったこと以外は、前述の合成例2と同様にして樹脂(B−4)を得た。得られた樹脂(B−4)の、Mwは11,500、Mw/Mnは1.6であった。また、13C−NMR分析の結果、得られた樹脂(B−4)は、p−ヒドロキシスチレン単位:アクリル酸t−ブチル単位:スチレン単位=61:19:20(モル比)の共重合体であった。
【0139】
(合成例5:樹脂(B−5)の合成)
p−アセトキシスチレン154g、スチレン7g、p−t−ブトキシスチレン53g、アゾビスイソブチロニトリル9g、t−ドデシルメルカプタン7g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル260gを使用して重合反応を行ったこと、並びに乾燥した沈殿物215g、プロピレングリコールモノメチルエーテル260g、メタノール300g、トリエチルアミン80g、及び水15gを使用して加水分解反応を行ったこと以外は、前述の合成例2と同様にして樹脂(B−5)を得た。得られた樹脂(B−5)の、Mwは16,000、Mw/Mnは1.7であった。また、13C−NMR分析の結果、得られた樹脂(B−5)は、p−ヒドロキシスチレン単位:スチレン単位:p−t−ブトキシスチレン単位=72:5:23(モル比)の共重合体であった。
【0140】
(実施例1)
樹脂(B−1)50部、樹脂(B−2)50部、感放射線性酸発生剤(A−1)7部、感放射線性酸発生剤(A−2)1部、溶剤(C−1)190部、溶剤(C−2)430部、及び酸拡散制御剤(D−1)0.7部を混合して予備組成物を調製した。調製した予備組成物を、ポリプロピレン系樹脂フィルター(商品名「FOF50―P02T−2」、キッツマイクロフィルター社製、フィルター径:0.02μm、ポリプロピレン製、有効濾過面積:0.38m)を2本連結したフィルター装置を使用し、20L/mの濾過量で100回繰り返し濾過して感放射線性樹脂組成物を得た。なお、濾過に際してはケミカルポンプ(型式「DP−10F」、yamada社製)を循環用のポンプとして使用し、濾過温度を23℃、濾過速度(線速度)を65L/mhrに設定した。また、フィルター有効濾過面積当たりの感放射線性樹脂組成物の予備組成物の濾過量が20L/mとなるように、予備組成物の仕込み量(15.2L)を設定した。
【0141】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
表1に示す配合処方により予備組成物を調製したこと、及び表1に示す予備組成物の仕込み量、濾過量、及び濾過回数で濾過を行ったこと以外は、前述の実施例1と同様の操作により感放射線性樹脂組成物を得た。なお、それぞれの実施例及び比較例で用いた各成分は、以下に示す通りである。
【0142】
<(A)感放射線性酸発生剤>
A−1:ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン
A−2:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
A−3:トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート
【0143】
<(C)溶剤>
C−1:乳酸エチル
C−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0144】
<(D)酸拡散制御剤>
D−1:トリオクチルアミン
D−2:トリフェニルスルホニウムサリチレート
【0145】
【表1】

【0146】
(評価:スカム欠陥数の測定)
実施例及び比較例で得た感放射線性樹脂組成物(溶液)を、プレベーク(PB)後の膜厚が0.70μmとなるように所定の基板上にスピン塗布した後、90℃で90秒間プレベーク(PB)を行った。次に、露光装置を使用して30mJ/cmの露光量で露光した後、100℃で90秒間露光後ベーク(PEB)を行った。次いで、コーター・デベロッパーを使用し、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃で60秒間、浸漬法により現像した。純水で洗浄した後、乾燥して、図1に示すような、未露光部10と露光部20を有するレジストパターンが形成されたウエハーを得た。欠陥検査装置を使用して、ウエハー面内に発生したスカム欠陥数を測定した。スカム欠陥数の測定結果を表1に示す。「スカム欠陥」とは、アルカリ現像液に難溶性であり、現像後に露光部に存在する欠陥を意味する。この「スカム欠陥」は、デバイスの歩留まりを低下させる原因となるものである。なお、使用した基板及び装置の詳細を以下に示す。
【0147】
<基板>
直径200mmのシリコンウエハー上に有機下層膜(商品名「DUV42」、ブリューワーサイエンス社製)を形成した基板(厚み:550オングストローム、焼成条件:205℃×60秒)
【0148】
<露光装置>
KrFエキシマレーザースキャナー(商品名「NSR S203B」、ニコン社製、光学条件:NA=0.68、2/3−Annu.σ=0.75)
【0149】
<コーター・デベロッパー>
商品名「KLA2351」、KLA−Tencor社製
【0150】
<欠陥測定装置>
商品名「KLA2351」、KLA−Tencor社製
【0151】
【表2】

【0152】
表1及び表2に示す結果から、予備組成物の濾過量を30L/m以下に保持するとともに、予備組成物を濾過装置により繰り返し濾過することにより得られた感放射線性樹脂組成物を使用してレジストパターンを形成すると、スカム欠陥の発生が大幅に減少することが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の感放射線性樹脂組成物の製造方法によって製造された感放射線性樹脂組成物を用いれば、スカム欠陥の発生が極めて少なく、高品質なレジストパターンを製造することができる。
【符号の説明】
【0154】
10:未露光部、20:露光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感放射線性樹脂組成物の予備組成物を、フィルター部分で、フィルター有効濾過面積当たりの濾過量を30L/m以下に保持して2回以上繰り返し濾過する工程を含む感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記予備組成物が、
(A)感放射線性酸発生剤、
(B)酸解離性基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂、
(C)溶剤、及び
(D)酸拡散制御剤、
を含有するものである請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記(B)樹脂が、
下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、
下記一般式(2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(3)で表される繰り返し単位の少なくともいずれかの繰り返し単位と、
を有する樹脂である請求項1又は2に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【化1】

(前記一般式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、下記一般式(2)中の「−OR」に相当する基を除く)を示し、mは0〜3の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい)
【化2】

(前記一般式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の有機基(但し、「−OR」に相当する基を除く)を示し、Rは1価の酸解離性基を示し、pは0〜3の整数を示し、qは1〜3の整数を示す。但し、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよく、Rが複数存在する場合は、複数のRは相互に同一であっても異なっていてもよい)
(前記一般式(3)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは1価の酸解離性基を示す)
【請求項4】
前記(B)樹脂が、前記一般式(1)で表される繰り返し単位、及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する樹脂である請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(A)感放射線性酸発生剤が、ジアゾメタン化合物及びスルホニウム塩からなるものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記フィルター部分が、ポリプロピレン系樹脂製の複数のフィルターを直列的に連結したフィルター装置である請求項1〜5のいずれか一項に記載の感放射線性樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−243866(P2010−243866A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93616(P2009−93616)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】