説明

感熱性粘着剤組成物及び感熱性粘着ラベルシート

【課題】常温では非粘着性であるが加熱により、粘着性が発現し、粘着性発現後熱源を取り除いても暫くの間粘着性が維持される感熱性粘着組成物及びこの粘着組成物からなる感熱性粘着ラベルシートの提供。
【解決手段】 熱可塑性樹脂と、粘着付与剤と、分散剤を含有する固体可塑剤とからなる感熱性粘着組成物であって、前記分散剤は、重量平均分子量11000〜39000のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする感熱性粘着組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温では非粘着性であるが加熱により、粘着性が発現し、粘着性発現後熱源を取り除いても暫くの間粘着性が維持される感熱性粘着組成物及びこの粘着組成物からなる感熱性粘着ラベルシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ラベル用粘着シートを、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途として使用することが増加している。その記録方式もインクジェット記録方式、感熱記録方式、感圧記録方式等様々な方式がある。従来の一般的な粘着シートは、ラベルの情報記録面とは反対面に、粘着剤層と剥離紙を積層した構成を有しており、貼り合わせ時に剥離紙を剥がし加圧のみで簡便に貼り合わせることのできるため、広く使用されている。しかし、一般的な構成の粘着シートは、剥離紙を剥離して使用するが、剥離された剥離紙は回収されて再利用され難く、ほとんどの場合廃棄処分されている。そこで近年では、常温では粘着性を示さず剥離紙を必要としない感熱性粘着シートが注目されている。
【0003】
また、熱活性粘着剤は、非特許文献1に記載されているように、基本的には熱可塑性樹脂と、固体可塑剤などの熱溶融性物質と、必要に応じて粘着付与剤等とを含有してなるものである。熱可塑性樹脂は、粘着力や接着力を付与するものであり、また熱溶融性物質は、常温では固体であるため樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融して樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させる。また、粘着付与剤は粘着性を向上させる働きもする。熱活性粘着剤中の熱溶融性物質は加熱により溶融した後はゆっくりと結晶化するために、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続させる。
このような利点を有する感熱性粘着材料であっても、従来のものには問題点を有するものもあった。
その問題点の一つとしてブロッキングが挙げられる。ブロッキングは、粘着を意図しないにも拘わらず、粘着性を発現してしまう現象であり、常温よりも高い温度雰囲気下に長時間曝された場合等に誘発することがある。ロール状態又はそれを枚葉に裁断して積み重ねた状態の何れの場合においても、一たびブロッキングが誘発すれば、感熱性粘着剤層と外面(支持体を挟んで感熱性粘着剤層と反対面)とが接着し、紙送りに支障をきたすのみならず、外面の印刷にも悪影響を与えることになる。
【0004】
そこで、ブロッキングを防止する手段として、感熱性粘着剤中に滑性のあるワックスを配合する方法(特許文献1)、固体可塑剤の表面を無機化合物やコロイド粒子で保護し、固体可塑剤の軟化を抑制することでブロッキングを防止する方法(特許文献2、特許文献3、特許文献4)等が開示されている。しかし、ワックスを配合するとブロッキング防止効果が不十分であるばかりか、逆に粘着性の低下をもたらす。固体可塑剤の表面を無機化合物やコロイド粒子で保護すると、固体可塑剤の溶融、拡散に時間がかかり、感熱性粘着剤の粘着性が現れにくく、接着性能が低下する等の問題を生じ、実用上不十分である。また、高融点の可塑剤を用いることによりブロッキングは改良されるが、粘着力の著しい低下をもたらす等の副作用が生じ、実際にはブロッキングが起こらないような低温度条件下で輸送、保管されているのが現状である。
また、特許文献5、特許文献6においては、熱可塑性樹脂として、ガラス転移点が0℃以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体又はガラス転移点が−5℃以上の熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体を除く)等を用いることが提案されている。しかし、これらはステンレス板等に対する粘着力は比較的良好な結果が得られるものの、ダンボールのような粗面被着体に対する粘着力は、未だ実用レベルに達していなかった。特許文献7には、ヒンダードフェノール化合物、ベンゾトリアゾール化合物及び芳香族スルホンアミド化合物を用い、更に、アンダー層に中空率50%の中空粒子を用いた感熱性粘着材料が提案されている。この感熱性粘着材料を用いたものも、ダンボールのような粗面被着体への粘着性とブロッキングに満足できるのではなかった。
また、固形可塑剤の分散剤として、アニオン乳化剤、ノニオン乳化剤、水溶性樹脂等を用いられており、特許文献8ではジオクチルスルフォコハク酸ソーダの例が挙げられているが起泡性に問題がある。更に、特許文献9では固体可塑剤の安息香酸エステルをカルボン酸含有共重合体で分散することが提案されているが、ブロッキング性において実用上満足できるものではなかった。また、特許文献10、特許文献11では、固体可塑剤の分散剤としてポリビニルアルコールを用いているが、ダンボールのような粗面被着体への粘着力について十分と言えるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特公昭62−21835号公報
【特許文献2】特開平6−57223号公報
【特許文献3】特開平6−100847号公報
【特許文献4】特開平6−100848号公報
【特許文献5】特許第2914029号公報
【特許文献6】特開平6−57233号公報
【特許文献7】特開2002−105414号公報
【特許文献8】特開2003−216047号公報
【特許文献9】特開2002−155264号公報
【特許文献10】特開2004−211004号公報
【特許文献11】特開2005−002313号公報
【非特許文献1】「接着便覧」第12版、第(131〜135)頁、昭和55年、高分子刊行会発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来の熱活性粘着組成物に見られる問題を解消し、ダンボールのような粗面被着体への粘着力に優れ、かつブロッキング性も良好な感熱性粘着ラベルシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、熱可塑性樹脂と、粘着付与剤と、分散剤を含有する固体可塑剤とからなる感熱性粘着組成物であって、前記分散剤は、重量平均分子量11000〜39000のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする感熱性粘着組成物に関する。
本発明の第2は、前記ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着組成物に関する。
本発明の第3は、前記分散剤は、前記固体可塑剤100重量部に対して、2〜10重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱性粘着組成物に関する。
本発明の第4は、前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、−65℃以上−5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の感熱性粘着組成物に関する。
本発明の第5は、請求項1〜4の何れかに記載の感熱性粘着組成物が、支持体の第1主面上に積層されてることを特徴とする感熱性粘着ラベルシートに関する。
本発明の第6は、前記感熱性粘着組成物と前記支持体との間に、熱可塑性の樹脂を含有するアンダー層を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の感熱性粘着ラベルシートに関する。
本発明の第7は、前記支持体の第2主面上に、ロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱記録層を更に備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の感熱性粘着ラベルシートに関する。
本発明の第8は、前記支持体の第2主面上に、UVインクによって現像されたインク画像を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の感熱性粘着ラベルシートに関する。
本発明の第9は、感熱性粘着ラベルシートがロール状にに巻き付けられたことを特徴とする請求項5〜8の何れかに記載の感熱性粘着ラベルシートに関する。
本発明の第10は、感熱性粘着ラベルシートが芯材にロール状に巻き付けられたことを特徴とする請求項9に記載の感熱性粘着ラベルシートに関する。
【0008】
以下に、本発明の感熱性粘着ラベルシートに係る特徴について詳細に説明する。
本発明の感熱性粘着ラベルシートは、支持体の片面に熱可塑性樹脂と粘着付与剤及び分散剤を含有する固体可塑剤とからなる感熱性粘着組成物層を設けた感熱性粘着ラベルシートにおいて、該感熱性粘着組成物層中の固体可塑剤の分散剤としてポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量11000〜39000のものを用いたことにより、加熱溶融時に感熱性粘着組成物層が流動しやすくなり、その結果、ダンボール等の粗面被着体に対して密着しやすくなるため、貼り付け後でも粘着力が低下せず、良好な粘着力を示すことが可能となった。
本発明における熱可塑性樹脂、粘着付与剤及び固体可塑剤を主成分とする感熱性粘着組成物層に用いられる熱可塑性樹脂は、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群から選択された少なくとも1種以上の化合物を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、−65℃以上−5℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度が−5℃より高くなると、粘着性が低下し、−65℃より低くなると、耐ブロッキング性が低下する。
【0009】
本発明の感熱性粘着組成物層の塗布量としては、乾燥塗布量で通常5〜35g/m、好ましくは10〜25g/mの範囲で塗布される。感熱性粘着組成物層の塗布量が5g/m未満であると、加熱による接着を行う際に十分な接着力効果が得られない。一方、35g/mを越えると接着力が飽和し経済上好ましくない。
感熱性粘着組成物層中の熱可塑性樹脂の含有率は、好ましくは、15〜50重量%、更に好ましくは、20〜50重量%である。熱可塑性樹脂の含有率が15重量%未満の場合、何れも粘着力の低下となるので望ましくない。
また、熱可塑性樹脂の含有率が50重量%を超えた場合には、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合(ブロッキング)が生じる。
本発明における固体可塑剤は、室温において固体で加熱時に溶融する化合物が用いられ、その融点は、好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、その上限値は200℃程度である。融点が70℃未満であると、感熱性粘着組成物としたときに通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど、保存上の不具合(ブロッキング)が生じる。
また、感熱性粘着組成物の塗布液を支持体に塗布乾燥するときに粘着力が発現するなどの製造上の不具合も生じるときがある。融点が200℃を超えると粘着力を発現させるために大量のエネルギーが必要となり、実用上の不具合が生じる。また、感熱記録紙を支持体として用い大量のエネルギーで粘着力を発現させた場合、感熱記録層が発色することから印字画像が読み取れなくなるという問題がある。
【0010】
感熱性粘着組成物中の固体可塑剤の含有率は、好ましくは、25〜80重量%であり、更に好ましくは、40〜75重量%である。固体可塑剤の含有率が25重量%未満の場合、通常の保存環境下温度で粘着力が発現するなど保存上の不具合(ブロッキング)が生じ、80重量%を超えた場合には、粘着力の低下を来たすことがある。
本発明の感熱粘着組成物層に使用される固体可塑剤の具体例としては、フタル酸ジシクロヘキシル(融点65℃)、フタル酸ジフェニル(融点73℃)、N−シクロへキシル−p−トルエンスルホンアミド(融点86℃)、安息香酸スクロース(融点98℃)、二安息香酸エチレングリコール(融点70℃)、三安息香酸トリメチロールエタン(融点73℃)、四安息香酸ペンタエリトリット(融点95℃)、八酢酸スクロース(融点89℃)、カテコールジベンゾエート(融点86℃)等、更には、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕(融点77℃)、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(融点103℃)等のヒンダードフェノール系化合物、2−[5′−(1″,1″,3″,3″−テトラメチルブチル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点103℃)、2−[3′,5′−ジ−(2″,2″−ジメチルプロピル)−2′−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール(融点80℃)、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点138℃)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(融点155℃)、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点130℃)、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(融点80℃)等のトリアゾール系化合物等が挙げられる。
これらの化合物のうち、加熱後の粘着性の持続時間が長く経時での接着安定性という点から、ヒンダードフェノール系化合物及びトリアゾール系化合物を使用するのが好ましく、感熱粘着組成物層の溶融後のアモルファス化を維持させ更なる粘着性の持続時間を図るために複数を組み合わせて用いてもよい。
これらの固体可塑剤及び化合物は、ボールミル、サンドミル、ペイントシェイカー、ダイノミル、アトライター、ヘンチェルミキサー等の湿式もしくは乾式の粉砕機により微粒化され水分散液として用いられるが、従来公知の方法でマイクロカプセル化して使用することも可能である。固体可塑剤の粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下であるが、実用上からは0.7〜2μmである。
【0011】
本発明に係る感熱性粘着組成物層には、熱可塑性樹脂や固体可塑剤の他に固体可塑剤の過冷却性を促進させ低温環境下で高い粘着力を発現させる過冷却性促進剤を用いることができる。例として、2−ベンジルオキシナフタレンなどのナフトール誘導体、メタターフェニル、アセチルビフェニル、p−ベンジルビフェニル若しくは4−アリルオキシビフェニルなどのビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル若しくはビス(4−メトキシフェニル)エーテルなどのポリエーテル化合物又は炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロルベンジル)エステル若しくはシュウ酸ジ(p−メチルベンジル)エステルなどの炭酸若しくはシュウ酸ジエステル誘導体が挙げられ、これらを2種類以上混合して用いてもよい。なかでもシュウ酸ジベンジル誘導体やビフェニル誘導体が固体可塑剤の過冷却性を促進させる効果がある。
【0012】
本発明の必須成分である固体可塑剤の分散剤としてポリビニルアルコール系樹脂が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、公知の方法で製造されたポリ酢酸ビニルの鹸化物以外に、他の酢酸ビニルエステルと共重合しうる単量体を含有していても良く、このような単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、あるいはその塩、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。また、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピルなどで変性してもよい。好ましいのは、オレフィンスルホン酸あるいはその塩の共重合体であり、固体可塑剤と熱可塑性樹脂との相溶性が良いため、熱溶融時の粘着特性が向上する。
また、本発明で使用される上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は11000〜39000とする。11000未満の場合には、感熱性粘着組成物層の結着力が弱くなり、ブロッキング性が大きく低下する。一方、39000を超えると、ブロッキング性は優れるものの、ダンボールのような粗面被着体への粘着力が低下し、特に貼り付け後の保管で急激に粘着力を失ってしまう。
また、分散剤の添加量は、固体可塑剤100重量部に対して、2〜10重量部が好ましい。2重量部未満では固体可塑剤の分散不良となり、生産工程でトラブルとなる。一方、10重量部よりも多く添加した場合は、粘着力の低下を引き起こす。
また、ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化率は70%以上が好ましく、70%未満の場合には、自身の水溶性も低下する傾向にあるため、固体可塑剤を分散しにくくなり、分散工程においてトラブルを引き起こし易くなる。
ここで「鹸化率」とは、酢酸ビニル重合体又は共重合体中に存在する水酸基化可能なアセチル基が何%水酸基となったかを示し、酢酸ビニル重合体又は共重合体中に存在する酢酸基が全て水酸基となったときは「鹸化率」100%とする。
【0013】
更に、感熱性粘着組成物層の粘着力を向上させる為に、感熱性粘着組成物層中に粘着付与剤を添加してもよい。
かかる粘着付与剤は、一般的に用いられる種々の化合物が挙げられ、例えば、粘着付与剤であるロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン)又はテルペン系樹脂(テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)、石油系樹脂、フェノール系樹脂及びキシレン系樹脂を用いてもよい。
本発明の感熱性粘着組成物においては、上記成分以外にブロッキング防止のために、酸化チタン、アルミナ、コロイダルシリカ、カオリン、タルク等の無機物や、ステアリン酸金属塩、パラフィン、天然ワックス、合成ワックス、天然油脂、ポリスチレン粉末等の有機物を添加してもよく、更に必要に応じて、分散剤、消泡剤、増粘剤等を使用してもよい。
【0014】
また、本発明の感熱性粘着組成物層と支持体の間のアンダー層において使用される熱可塑性樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−エチレン−アクリル酸エステル共重合体等の樹脂が挙げられる。一方、必要に応じてフィラーを含有することができ、無機又は有機フィラー例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン等の微粉末、中空フィラー等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
本発明の感熱記録層においては、支持体上にロイコ染料及び顕色剤を主成分とする感熱記録層を形成させることができる。
本発明の感熱記録層において用いられるロイコ染料としては、一般にこの種のロイコ系記録材料において知られているロイコ染料が適用され、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等を用いることができる。ロイコ染料の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3′−トリフルオロメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル}安息香酸ラクタム、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシベンゾインドリノピリロスピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロロ−5′−メチルフェニル)フタリド、3−モルホリノ−7−(N−プロピルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジルトリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロロフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−メトキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−p−クロロフェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−(4′−ジメチルアミノ−2′−ベンジルオキシ)−3−(1″−p−ジメチルアミノフェニル−1″−フェニル−1″,3″−ブタジエン−4″−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノフルオレン−9−スピロ−3′−(6′−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス{2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジブロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリドフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−{N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ}−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−{N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ}−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
【0016】
顕色剤としては、フェノール性化合物、チオフェノール性化合物、チオ尿素誘導体、有機酸及びその金属塩等の電子受容性の化合物を用いることができる。
顕色剤の具体例としては、4,4′−イソプロピリデンビスフェノール、3,4′−イソプロピリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4′−s−ブチリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−t−ブチルフェノール)、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4′−ジフェノールスルホン、4,2′−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサヘプタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル−o−クロロアニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸の亜鉛塩、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸の亜鉛塩、アルミニウム塩、カルシウム塩等の金属塩、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
【0017】
本発明において、感熱記録層を形成するためには、慣用の種々の結着樹脂を用いることができる。結着樹脂としては、ポリビニルアルコール;澱粉及びその誘導体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体の金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の金属塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸ブチル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等の樹脂が挙げられる。
【0018】
また、本発明により感熱記録層を形成させる場合は、填料として種々の熱可融性物質を使用することができる。その具体例として、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸の金属塩類;p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、シュウ酸ジベンジル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタン等が挙げられる。
また、本発明においては、必要に応じ、この種の感熱記録層に慣用される補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤等を併用することができる。この場合、滑剤としては、高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性並びに鉱物性及び石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
本発明の感熱記録層は、一般に知られている方法により形成することができる。
例えば、先ず、ロイコ染料、顕色剤を別々に結合剤水溶液と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が1〜3μmになるまで粉砕分散した後、必要に応じて填料、熱可融性物質(増感剤)分散液等と共に、一定処方で混合して感熱記録層塗布液を調製し、支持体に塗布することによって感熱記録層を形成することができる。
【0019】
本発明において、支持体の第1主面、第2主面とは、支持体の上下(表裏)を示し、第1主面は感熱性粘着組成物層が設けられる面を示し、第2主面とは感熱記録層が設けられる面を示す。
本発明に係わる支持体に好ましく用いられる原紙は、木材パルプと填料を主成分として構成される。木材パルプとしては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等のパルプを含み、必要に応じて従来公知の顔料やバインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤ抄紙機等の各種装置で支持体の製造が可能であり、酸性、中性、アルカリ性で抄造できる。
また、この原紙は、金属ロールと合成樹脂ロールとからなるカレンダー装置をオンマシン処理しても良い。その際、オフマシン処理しても良く、処理後に、更にマシンカレンダー、スーパーカレンダー等でカレンダー処理を施して平坦性をコントロールしても良い。
原紙に含まれる填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料等が挙げられる。
原紙に含まれるサイズ剤としては、例えば、酸性抄紙用ロジンサイズ剤、中性抄紙用変性ロジンサイズ剤、AKD、ASA、カチオンポリマー型サイズ剤等を挙げることができる。また、紙力増強剤は、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド、各種変性デンプン、植物ガム、CMC等が挙げられる。
本発明に係わる支持体としては更に、グラシン紙、アート紙、コーテッド紙、キャスト紙などの一般紙を用いることができ、填料、サイズ剤、紙力増強剤、染料等、通常抄紙で用いられる原材料を必要に応じて使用することが可能である。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等のプラスチックシート、及びこれらの合成繊維からなる合成紙や不織布、又は合成樹脂を紙に片面、又は両面にラミネートしたラミネート紙、金属箔、又は金属箔と紙、蒸着紙、ホログラム処理を施した不透明シート、合成樹脂フィルムとの貼り合わせ品、マイカ紙、ガラスペーパー等も使用可能である。
【0020】
本発明の感熱記録材料の感熱記録層、中間層、保護層及び感熱粘着層を設ける塗工方法として、通常紙塗工用に用いられているブレードコーター、グラビアコーター、グラビアオフセットコーター、バーコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、コンマコーター、Uコンマコーター、AKKUコーター、スムージングコーター、マイクログラビアコーター、リバースロールコーター、4本あるいは5本ロールコーター、ディップコーター、落下カーテンコーター、スライドコーター、ダイコーター等、若しくはフレキソ、凸版、グラビア、オフセット等の各種印刷機を用いて支持体に塗工、印刷される。支持体に塗工若しくは印刷の際の乾燥条件は使用される固体可塑剤が融解しない温度範囲で乾燥されなければならない。乾燥の手段としては熱風乾燥の他に赤外線、マイクロ波、高周波による熱源を利用した乾燥方法が使用できる。
また本感熱記録材料の感熱性粘着組成物層の反対面(表面)には目的に応じたプレ印刷層も設けることもできるし、センシング手段としてのアイマーク印刷を表面もしくは感熱粘着層面に設けることもできる。双方の印刷はUV印刷、EB印刷、フレキソ印刷等一般的な印刷方法が挙げられる。
更に、本発明に係る感熱性粘着組成物を用いて作製された感熱性粘着ラベルシートは、公知の芯材にロール状に巻き付けられていてもよく、また芯材を用いずにロール状となっていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、分散工程における不具合が無く、ダンボールのような粗面被着体に対して粘着力に優れ、ブロッキング性に優れた感熱性粘着組成物を提供することができた。
また、かかる感熱性粘着組成物を用いて作製された感熱性粘着ラベルシートは、ラベル分野及び環境保全に寄与することができた。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下に示す部及び%は、何れも重量基準である。
【0023】
実施例1
(1)染料分散液の調製
3−ジブチルアミノ−6−メチル−N−7−アニリノフルオラン20部、PVAの10%水溶液20部、水60部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が0.5μmになるまで分散した。
(2)顕色剤分散液の調製
4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン20部、ジ−(p−メチルベンジル)オキサラート10部、炭酸カルシウム10部、PVAの10%水溶液30部、水30部からなる組成物をボールミルで平均粒子径が0.5μmになるまで分散した。
(3)感熱記録層塗工液の調製
染料分散液20部、顕色剤分散液60部、PVA(KL−318、クラレ製)の10%水溶液30部、ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分5%)1部からなる組成物を混合して感熱記録層塗工液を調製した。
(4)保護層塗工液の調製
水酸化アルミニウム分散液(固形分50%)40部、ステアリン酸亜鉛分散液(固形分30%)6部、ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分5%)1部、ジアセトン基を有するPVA(ジアセトンモノマー単位含有量4%、重合度1600、鹸化率98%、信越化学製)10%水溶液200部、アジピン酸ヒドラジド(架橋剤)水溶液(固形分10%)10部、水43部からなる組成物を混合して保護層塗工液を調製した。
(5)感熱記録層及び保護層の塗布
支持体(坪量約60g/mの上質紙)上に染料乾燥付着重量が約0.6g/mになるように感熱記録層塗工液を塗布乾燥し、感熱記録層を形成した。次いで、その上に乾燥付着重量が約3g/mになるように保護層塗工液を塗布乾燥して保護層面の平滑度が5000秒になるようにキャレンダー処理を行った。
(6)固体可塑剤分散液の調製
2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを100部、分散剤であるスルホン酸変性ポリビニルアルコール(日本合成化学製:L−3266、重量平均分子量15000、鹸化率88%)の10%水溶液を25部、界面活性剤Newcol−290M(日本乳化剤製)を0.5部、水200部を均一に混合してボールミルを用いて平均粒子径1.0μmになるまで分散し、固体可塑剤分散液を得た。
分散過程において分散液の状態を目視確認し、更に分散後の分散液の安定性を特殊機化工業製ホモミキサー(10000rpm、5分間)で確認した。
(7)感熱粘着液の調製
熱可塑性樹脂エマルジョンAP5570(アクリル酸−2−エチルヘキシル樹脂主成分、昭和高分子製、固形分55%、Tg−65℃)を100部、粘着付与剤としてE100(テルペンフェノール主成分、荒川化学製 固形分50% 軟化点145℃)を70部、上述の固体可塑剤分散液を540部、水130部の比率で十分に攪拌混合し、感熱粘着液を調製した。
(8)感熱粘着液の塗布
上記(5)の感熱記録層の反対面に感熱粘着液を乾燥付着量が15g/mになるように塗布、乾燥して本発明の感熱記録材料を得た。
【0024】
実施例2
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤を、ポリビニルアルコール(日本合成化学製:GL−05、重量平均分子量11000、鹸化率88%)とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0025】
実施例3
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤を、ポリビニルアルコール(重量平均分子量39000、鹸化率88%)とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0026】
実施例4
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤を、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(日本合成化学製:Z−100、重量平均分子量29000、鹸化率99%)とした点以外は、実施例2と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0027】
実施例5
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤の水溶液を100部とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0028】
実施例6
実施例1の(7)熱可塑性樹脂エマルジョンを、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルアクリレート/スチレンの共重合体エマルジョン(昭和高分子製:固形分濃度55.4%、Tg−5℃)とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0029】
実施例7
(9)中空フィラー分散液の調製
プラスチック球状中空粒子マツモトマイクロスフェアーR−300(アクリロニトリル/メタクリロニトリル/イソボニルメタクリレート共重合体、固形分濃度33%、平均粒子径3.0μm、中空率90%、松本油脂製)24部、界面活性剤ダプロW−77(エレメンティスジャパン製)1.6部、水74.4部を攪拌分散して中空フィラー分散液を調製した。
(10)アンダー液の調製
熱可塑性樹脂エマルジョンAP5570(アクリル酸−2−エチルヘキシル樹脂主成分、昭和高分子製、固形分65%、Tg−65℃)36部、中空フィラー分散液160部を攪拌してアンダー液を調製した。
実施例1の支持体と感熱粘着層の間に、アンダー層として乾燥付着量4g/mになるように上記のアンダー液を塗布、乾燥した点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0030】
実施例8
実施例2の支持体と感熱粘着層の間に、アンダー層として乾燥付着量4g/mになるように上記のアンダー液を塗布、乾燥した点以外は実施例2と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0031】
実施例9
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤をポリビニルアルコール(クラレ製:PVA−103、重量平均分子量15000、鹸化率99%)とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0032】
実施例10
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤をポリビニルアルコール(クラレ製:PVA−205、重量平均分子量27000、鹸化率88%)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0033】
実施例11
実施例1の(7)熱可塑性樹脂エマルジョンをエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(住友化学製:FREX751、固形分50重量%、Tg−15℃)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0034】
実施例12
実施例1の(6)固体可塑剤を4,4′−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)(大内新興化学工業製:ノクラック300)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0035】
実施例13
実施例1の(6)固体可塑剤をトリス(p−t−ブトキシフェニル)ホスフィン(北興化学工業製:TTBPP)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0036】
実施例14
実施例1の(7)粘着付与剤をE720(特殊ロジンエステル主成分、荒川化学製、軟化点100℃)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0037】
実施例15
実施例1の(7)粘着付与剤をLP−325(テルペンフェノール主成分、ハリマ化成製、軟化点130℃)とした点以外は実施例7と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0038】
比較例1
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤をポリビニルアルコール(重量平均分子量8000、鹸化率88%)とした点以外は実施例1と同様にして本発明の感熱記録材料を得た。
【0039】
比較例2
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤をイタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ製:KL−318、重量平均分子量80000、鹸化率88%)とした点以外は実施例1と同様にして比較例の感熱記録材料を得た。
【0040】
比較例3
実施例1の(6)固体可塑剤の分散剤をイタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ製:KL−318、重量平均分子量80000、鹸化率88%)とした点以外は実施例7と同様にして感熱記録材料を得た。
【0041】
<粘着力>
本実施例及び比較例で作製された感熱記録材料について、作製後に、標準状態(23℃65%)で1日保管したものと40℃Dry環境で7日間保管したものを幅4cm、長さ10cmの大きさにカットして、サーマルヘッド(TEC社製TH−0976SP)8dot/mm、抵抗500Ω、全ドット通電で、活性エネルギー26.0mJ/mm、印字スピード100mm/秒、直径1cmのプラテンロールを圧力6kgf/lineの条件で、感熱粘着層面をサーマルヘッドに接触させて活性化した。
次いで、ダンボールに加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付けて、2分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。その時の粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔でデータを読み取り平均化した数値を示し、下記表1の様なランクで評価した。なお、この試験は標準状態(23℃65%)で実施した。
<ブロッキング性>
同一サンプルの感熱記録層の保護層面と感熱性粘着組成物層面とを接触させ、200g/cmの圧力で50℃、Dry条件下で24時間試験した後、室温で放置後サンプルを剥がし、その時のブロッキング性を下記表2の様なランクで評価した。なお、「引っ掛かり」「剥離音」「点状転写」「ハガレ」の順にブロッキングの程度が重くなった状態を指しており、「引っ掛かり」とは、粘着性を持たせていないときにも軽くくっつくことを指し、その中の「自重」とは、軽くくっついた場合でも、2枚重ねて上の紙だけを持ったら自然に剥がれ落ちる程度の状態を指す。また、「剥離音」とは、くっついた状態から剥がそうとしたときに音が出ることを指し、「点状転写」とは、感熱性粘着層が裏面に点状に転写している状態を指し、「ハガレ」とは、感熱性粘着層が裏面と貼り付いてしまって、感熱性粘着層が剥れてしまうか、又は裏面の紙が剥れてしまう(破れる)現象のことを指す。
実施例1〜15及び比較例1〜3について、固体可塑剤の分散性、ダンボールへの粘着力及びブロッキング性について測定した結果及び評価結果を表3に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表3の結果から、実施例1〜15の本発明の感熱性粘着組成物及びそれを用いた感熱性粘着ラベルシートは、比較例1に比べて固体可塑剤の分散性が良好であり、また、比較例1〜3に比べて、ブロッキング性を保持したまま、ダンボールへ貼り合わせ後も経時での粘着力の低下が見られない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、粘着付与剤と、分散剤を含有する固体可塑剤とからなる感熱性粘着組成物であって、前記分散剤は、重量平均分子量11000〜39000のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする感熱性粘着組成物。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化率が70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の感熱性粘着組成物。
【請求項3】
前記分散剤は、前記固体可塑剤100重量部に対して2〜10重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱性粘着組成物。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂のガラス転移点は、−65℃以上−5℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の感熱性粘着組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の感熱性粘着組成物が、支持体の第1主面上に積層されていることを特徴とする感熱性粘着ラベルシート。
【請求項6】
前記感熱性粘着組成物と前記支持体との間に、熱可塑性の樹脂を含有するアンダー層を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載の感熱性粘着ラベルシート。
【請求項7】
前記支持体の第2主面上に、ロイコ染料と顕色剤とを含有する感熱記録層を更に備えたことを特徴とする請求項5又は6に記載の感熱性粘着ラベルシート。
【請求項8】
前記支持体の第2主面上に、UVインクによって現像されたインク画像を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の感熱性粘着ラベルシート。
【請求項9】
感熱性粘着ラベルシートがロール状に巻き付けられたことを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の感熱性粘着ラベルシート。
【請求項10】
感熱性粘着ラベルシートが芯材にロール状に巻き付けられたことを特徴とする請求項9記載の感熱性粘着ラベルシート。

【公開番号】特開2007−106988(P2007−106988A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245395(P2006−245395)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】