説明

慢性閉塞性肺疾患の症状を緩和するためのアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液、キット、吸入溶液を中に有する1容器を作成する方法、および、吸入溶液を作成する方法

【課題】慢性閉塞性肺病(COPD)の患者における気管支痙攣を緩和する気管支拡張剤吸入溶液を提供すること。
【解決手段】1容器に、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和するための、治療有効濃度の1単位用量のアルブテロール0.02重量%~0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.001重量%〜0.017重量%からなる既調合、既測量の水性処方物を含み、該溶液が滅菌で抗菌性保存剤非含有溶液であり、さらに、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、該溶液中に初めに存在する前記アルブテロールの95%超、および前記臭化イプラトロピウムの95%超が、依然として該溶液中に残存するような比較的長期の安定性を有することを特徴とする吸入溶液。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慢性閉塞性肺疾患の症状を緩和するためのアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液、キット、吸入溶液を中に有する1容器を作成する方法、および、吸入溶液を作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺病(COPD)は、肺機能に低下を生じる進行の遅い気道疾患であり、十分に可逆的ではない。COPDにおける気道の抑制は、有毒粒子またはガスに対する肺の異常な炎症反応に関連している。米国では、推定1600万名の米国人が何らかの形のCOPDであると診断され、症状があっても診断を受けていない人がさらに1600万名にのぼる。
【0003】
米国国立疾病防疫センター(U.S. Centers for Disease Control and Prevention)によると、COPDは米国で(心臓病、癌、脳卒中に続く)4番目の主な死因であり、年間112,000名の米国人が死に至っている。医療機関の利用の点では、米国においてCOPDで通院する患者数は、1985年から1995年の間に930万名から1600万名に増加している。1995年のCOPDの入院患者数は500,000名と推定される。COPDの罹患率、入院および死亡率は女性より男性のほうが高いが、近年女性の死亡率のほうが急激に増加している。明らかにCOPDは、米国および全世界においてますます健康を脅かしつつある主な要因となっている。
【0004】
従来技術では、しばしば塩化ベンザルコニウム(BAC)などの抗菌剤が、COPD治療に使用される吸入溶液の中に含まれていた。溶液内のBACの存在は、一般的に短期(1用量)の気管支拡張剤の効果には影響しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ケースレポートは、BACを用いたCOPD治療を繰り返し行うと、奇異性気管支収縮を招くおそれがあることを指摘している。また、COPD患者が吸入した場合、BACは用量依存気管支収縮を引き起こす可能性もある。これらの副作用にもかかわらず、市販されている吸入溶液の多くにはBACが含まれている。
【0006】
また、COPD治療薬はしばしば複数の用量単位で販売されており、患者の治療に適した特定の濃度に希釈しなくてはならない。これにはいくつか問題がある。例えば、複数の用量単位から1用量単位を投与する必要があるCOPD治療薬は、適切な調合または希釈の指示書を欠いていることがあり、また、COPD治療薬の準備および使用の指示書は、従いづらかったり紛失しやすかったりする。さらに重大なことは、COPD治療薬をでたらめに希釈したり調合したりすることであり、誤った用量を投与することになりかねない。これは、喘息治療薬の用量の増量に対して抵抗力の少ない患者には特に有害となりうる。不正確な調合はまた、治療の失敗をひきおこしかねず、さらなる治療が必要となり、これにより治療に伴う時間、費用および人件費が増加する。したがって、COPDに伴う症状を緩和するための吸入溶液、システム、キットおよび方法の改善が必要とされる。
【0007】
本発明の1つの目的は、COPDの患者における気管支痙攣を緩和する2種類の気管支拡張剤吸入溶液を提供することである。本発明の他の目的は、COPDの患者における気管支痙攣を緩和する既包装、既滅菌、既調合、既測量のアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液を提供することである。本発明のさらに他の目的は、COPDに伴う気管支痙攣を治療するBAC非含有アルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液を提供することである。本発明のさらに他の目的は、COPDに伴う気管支痙攣を緩和するアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液の調合薬の投与方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、2種類の気管支拡張剤を投与するキットおよび/またはシステムを提供してCOPDに伴う気管支痙攣を緩和することである。本発明のさらに他の目的は、COPDに伴う気管支痙攣を緩和する際に使用するアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液を作る工程を提供することである。本発明のさらに他の目的は、COPDの症状を緩和する際に使用する装置を含む。本発明の他の目的、特徴、利点は、下記の発明の詳細な説明および添付の図面によって当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の吸入溶液を噴霧器で投与する無制限な例を示す。
【図2】本発明の吸入溶液を噴霧器で投与する無制限な例を示す。
【図3】本発明の吸入溶液を噴霧器で投与する無制限な例を示す。
【図4】本発明の吸入溶液を噴霧器で投与する無制限な例を示す。
【図5】一体包装した本発明のキットまたはシステムの無制限な例を示す。
【図6】本発明の吸入システムからなる1つ以上の既充填容器の無制限な例を示す。
【図7】本発明に使用されるラベルの無制限な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
アルブテロール
本発明は、COPDに伴う症状を緩和するアルブテロールの気管支拡張効果に依拠する。
【0010】
ここで使用されるように、「アルブテロール」の用語は、患者に所望の気管支拡張効果を生じ得るあらゆる形のアルブテロールを含むがこれに限定されず、そのような形には、アルブテロールの全ての互変異性形、鏡像異性体、立体異性体、無水物、酸添加塩、塩基塩、溶媒和物、類似体、誘導体が含まれるがこれに限定されない。
【0011】
本発明において、アルブテロールの許容可能な塩類は、塩酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩などを含むことができるが、これに限定されない。これらの塩類は、米国特許第3,644,353号に記述されており、その全文を本願に引用して援用する。
【0012】
本発明において、アルブテロールの好ましい塩は、硫酸塩である。代替的実施形態において、本発明の吸入溶液は、ラセミ酸アルブテロールの硫酸塩からなる。アルブテロール硫酸塩は、実験式C1321NOを持つ比較的選択性の高いベータ2−アドレナリン作動性気管支拡張剤である。アルブテロール硫酸塩の化学名はα−〔(第3ブチルアミノ)メチル〕−4−ヒドロキシ−m−キシレン−α、α’−ジオール硫酸塩(2:1)(塩)であり、確立されている化学構造は次の通りである。
【0013】
【化1】

【0014】
イプラトロピウム
本発明は、COPDに伴う症状を緩和するイプラトロピウムの気管支拡張効果にも依拠する。イプラトロピウムは、抗コリン作動性の気管支拡張剤である。ここで使用されるように、「イプラトロピウム」の用語は、COPDを患う患者に所望の気管支拡張効果を生じ得るあらゆる形のイプラトロピウムを含むがこれに限定されず、そのような形には、イプラトロピウムの全ての互変異性体形、鏡像異性体、立体異性体、無水物、酸添加塩、塩基塩、溶媒和物、類似体、誘導体が含まれるがこれに限定されない。
【0015】
本発明において、イプラトロピウムの許容可能な塩類には、臭化物、塩化物、ヨウ化物などのハロゲン化合塩類を含むことができるが、これに限定されない。これらおよび他の許容可能な塩類は、米国特許第3,505,337号に記述されており、その全文を本願に引用して援用する。
【0016】
本発明の実施形態において、イプラトロピウムの好ましい塩は臭化物であり、化学的には、8−アゾニアビシクロ[3.2.1]−オクタン、3−(3、ヒドロキシル−1−オキソ−2−フェニルプロポキシ)−8メチル−8−(1−メチルエチル)−臭化物、一水和物、(endo, syn)−、(プラスマイナス)−で記述される。臭化イプラトロピウムの分子量は430.4であり、その実験式はC2030BrNO3・HOである。それは、水および低級アルコールに可溶自在であり、エーテル、クロロホルム、フルオロカーボンなどの脂肪親和性溶剤には不溶である。確立されている臭化イプラトロピウムの化学構造は、次の通りである。
【0017】
【化2】

【0018】
本発明において、アルブテロールおよびイプラトロピウムは、水または薬事上許容可能な量の浸透性薬剤からなる他の水溶液を含みこれに限定されないさまざまな薬事上許容可能な媒介物で提供できる。
【0019】
他の実施形態において、本発明の吸入溶剤は、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる。ここで使用されるように、「治療有効量のアルブテロールおよび/またはイプラトロピウム」の表現は、両構成薬剤の業界および/または法的規格に基づいた安全かつ許容可能な量を意味する。このような量は、効果的に気管支拡張を誘発し、かつ/またはCOPD患者の気管支痙攣を緩和するのに充分である。
【0020】
本発明の吸入溶液において、治療有効量のアルブテロールは、約0.63mg〜約4.2mgのアルブテロールを有することができる。ここで、アルブテロールの効力は、約0.75mg〜約5mgのアルブテロール硫酸塩に相当する。他の実施形態において、治療有効量のアルブテロールは、約2.5mgのアルブテロールを有してもよい。
【0021】
本発明の他の代替的実施形態において、治療有効量のアルブテロールは、約0.60mg〜約5.0mgのアルブテロールを有することができ、これには次の中間領域のアルブテロールが含まれる:約0.60mg〜約0.70mg、約0.71mg〜約0.80mg、約0.81mg〜約0.90mg、約0.91mg〜約1.00mg、約1.01mg〜約1.10mg、約1.11mg〜約1.20mg、約1.21mg〜約1.30mg、約1.31mg〜約1.40mg、約1.41mg〜約1.50mg、約1.51mg〜約1.60mg、約1.61mg〜約1.70mg、約1.71mg〜約1.80mg、約1.81mg〜約1.90mg、約1.91mg〜約2.00mg、約2.01mg〜約2.10mg、約2.11mg〜約2.20mg、約2.21mg〜約2.30mg、約2.31mg〜約2.40mg、約2.41mg〜約2.50mg、約2.51mg〜約2.60mg、約2.61mg〜約2.70mg、約2.71mg〜約2.80mg、約2.81mg〜約2.90mg、約2.91mg〜約3.00mg、約3.01mg〜約3.10mg、約3.11mg〜約3.20mg、約3.21mg〜約3.30mg、約3.31mg〜約3.40mg、約3.41mg〜約3.50mg、約3.51mg〜約3.60mg、約3.61mg〜約3.70mg、約3.71mg〜約3.80mg、約3.81mg〜約3.90mg、約3.91mg〜約4.0mg、約4.01mg〜約4.10mg、約4.11mg〜約4.20mg、約4.21mg〜約4.30mg、約4.31mg〜約4.40mg、約4.41mg〜約4.50mg、約4.51mg〜約4.60mg、約4.61mg〜約4.70mg、約4.71mg〜約4.80mg、約4.81mg〜約4.90mg、約4.91mg〜約5.00mg。
【0022】
本発明の他の代替的実施形態において、治療有効量のアルブテロールは、約0.75mg〜約5.0mgのアルブテロール硫酸塩を有することができ、これには次の中間量が含まれる:約0.75mg〜約0.80mg、約0.81mg〜約0.90mg、約0.91mg〜1.00mg、約1.01mg〜約1.10mg、約1.11mg〜約1.20mg、約1.21mg〜約1.30mg、約1.31mg〜約1.40mg、約1.41mg〜約1.50mg、約1.51mg〜約1.60mg、約1.61mg〜約1.70mg、約1.71mg〜約1.80mg、約1.81mg〜約1.90mg、約1.91mg〜約2.00mg、約2.01mg〜約2.10mg、約2.11mg〜約2.20mg、約2.21mg〜約2.30mg、約2.31mg〜約2.40mg、約2.41mg〜約2.50mg、約2.51mg〜約2.60mg、約2.61mg〜約2.70mg、約2.71mg〜約2.80mg、約2.81mg〜約2.90mg、約2.91mg〜約3.00mg、約3.01mg〜約3.10mg、約3.11mg〜約3.20mg、約3.21mg〜約3.30mg、約3.31mg〜約3.40mg、約3.41mg〜約3.50mg、約3.51mg〜約3.60mg、約3.61mg〜約3.70mg、約3.71mg〜約3.80mg、約3.81mg〜約3.90mg、約3.91mg〜約4.0mg、約4.01mg〜約4.10mg、約4.11mg〜約4.20mg、約4.21mg〜約4.30mg、約4.31mg〜約4.40mg、約4.41mg〜約4.50mg、約4.51mg〜約4.60mg、約4.61mg〜約4.70mg、約4.71mg〜約4.80mg、約4.81mg〜約4.90mg、約4.91mg〜約5.00mg。
【0023】
本発明の他の代替的実施形態において、治療有効量のアルブテロールは重量で約0.020%〜約0.14%のアルブテロールを有することができ、これには次の中間領域が含まれる:約0.020重量%〜約0.029重量%、約0.030重量%〜約0.039重量%、約0.040重量%〜約0.049重量%、約0.050重量%〜約0.059重量%、約0.060重量%〜約0.069重量%、約0.070重量%〜約0.079重量%、約0.080重量%〜約0.089重量%、約0.090重量%〜約0.099重量%、約0.10重量%〜約0.14重量%。
【0024】
本発明のさらに他の代替実施形態において、治療有効量のアルブテロールは重量で約0.025%〜約0.17%のアルブテロール硫酸塩を有することができ、これには次の中間領域が含まれる:約0.025重量%〜約0.029重量%、約0.030重量%〜約0.039重量%、約0.040重量%〜約0.049重量%、約0.050重量%〜約0.059重量%、約0.060重量%〜約0.069重量%、約0.070重量%〜約0.079重量%、約0.080重量%〜約0.089重量%、約0.090重量%〜約0.099重量%、約0.10重量%〜約0.17重量%。
【0025】
本発明の他の代替的実施形態において、治療有効量の臭化イプラトロピウムは約0.01mg〜約1.0mgの臭化イプラトロピウムを有することができる。このような治療有効量には、次の中間領域の臭化イプラトロピウムが含まれる:約0.01mg〜約0.02mg、約0.02mg〜約0.04mg、約0.05mg〜約0.07mg、約0.08mg〜約0.10mg、約0.11mg〜約0.13mg、約0.14mg〜約0.16mg、約0.17mg〜約0.19mg、約0.20mg〜約0.22mg、約0.23mg〜約0.25mg、約0.26mg〜約0.28mg、約0.29mg〜約0.31mg、約0.32mg〜約0.34mg、約0.35mg〜約0.37mg、約0.36mg〜約0.38mg、約0.39mg〜約0.41mg、約0.42mg〜約0.44mg、約0.45mg〜約0.47mg、約0.48mg〜約0.50mg、約0.51mg〜約0.53mg、約0.54mg〜約0.56mg、約0.57mg〜約0.59mg、約0.60mg〜約0.62mg、約0.63mg〜約0.65mg、約0.66mg〜約0.68mg、約0.69mg〜約0.71mg、約0.72mg〜約0.74mg、約0.75mg〜約0.77mg、約0.79mg〜約0.81mg、約0.82mg〜約0.84mg、約0.85mg〜約0.87mg、約0.88mg〜約0.91mg、約0.92mg〜約0.94mg、約0.95mg〜約0.97mg、約0.98mg〜約1.00mg。
【0026】
本発明の他の代替実施形態において、治療有効量のイプラトロピウムは、重量で約0.001%〜約0.030%の臭化イプラトロピウムを有してもよく、これには、次の中間領域の臭化イプラトロピウムが含まれる:約0.001重量%〜約0.005重量%、約0.006重量%〜約0.010重量%、約0.011重量%〜約0.015重量%、約0.016重量%〜約0.020重量%、約0.021重量%〜約0.025重量%、約0.026重量%〜約0.030重量%。
【0027】
ほとんどの薬事的な吸入溶液には抗菌剤BACが含まれている。これらの溶液の問題の1つは、その溶液が短い間隔で繰り返し投与された場合、BACによって奇異性気管支収縮が生じるおそれがあることである。また、患者が吸入した場合、BACによって用量依存気管支収縮が生じる可能性もあるという問題もある。本発明の吸入溶液は、BACを含まずに提供できるので、吸入溶液が短期間で繰り返し投与される緊急状況下では、特に適切となる。また、BAC非含有の吸入溶液を患者に投与することで、BACによる有害影響に伴う障害が低減される。さらに、BACによる毒性や他の副作用も減少する。
【0028】
また、本発明の吸入溶液は、既滅菌の単位用量の治療薬として提供できるので、溶液にBACを含む必要がなくなる。さらに、表1に示すように、(治療有効量のアルブテロール硫酸塩および臭化イプラトロピウムからなる)本発明の調合薬は、既滅菌の形で安定した吸入溶液を提供するため、長期にわたって(例えば棚に)保管できる。
【0029】
【表1】

【0030】
安定性データ
*ラベルに記載のパーセンテージ(アルブテロール硫酸塩0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.017重量%)
【0031】
以上述べたように、ここで提供される配合物は安定している。例えば、ここで提供される配合物は、約15℃〜約30℃で保存され、比較的長期間安定を保つ。一実施形態において、配合物は25℃で保存される。他の実施形態において、ここでの安定した配合物は、長期間一定の温度において、例えばアルブテロールやイプラトロピウムといった有効成分の初回量の80%、85%、90%、または95%より多くを含んでいてもよい。したがって、例えば、25℃で30日間安定を保つ配合物は、25℃での保管後30日で、配合物内に存在する有効成分の初回量の80%、85%、90%、または95%より多くを含むことになる。
【0032】
他の実施形態において、ここでの配合物は、25℃で1か2または3年を超える期間(すなわち貯蔵寿命)保存された場合にこれを必要とする被験者への投与に適しているという点で、長期保存の期間中安定を保つ。例えば、ここでの他の実施形態において、アレニウスの動力学理論(Arrhemnius Kinetics)を用いた場合、推定>80%または>85%または>90%または>95%の気管支拡張剤がこのような保存後に残留する。この配合物の安定した他の成分は、下記の表2および3に示すように、経時的に現われる副生成物または分解生成物の観点で示すことができる。
【0033】
【表2】

【0034】
ND=非検出
【0035】
【表3】

【0036】
ND=非検出
【0037】
一実施形態において、ここでの配合物は、米国公衆衛生協会(America Public Health Association『APHA』)が示した色彩測定テストに基づくと、少なくとも実質的に透明である。本発明の他の実施形態において、ここでの配合物の25℃における24ヵ月までのAPHA色彩結果は、APHA基準に基づいて0〜5単位(大部分は0単位)であった。
【0038】
一実施形態において、本発明のプロセスは、1瓶あたり約2.5mg〜約2.75mgのアルブテロール内容物を有する配合物を提供する。他の代替的実施形態において、本発明のプロセスは、1瓶あたり約0.45〜0.55mgのイプラトロピウム内容物を有する配合物を提供する。さらに他の代替的実施形態において、本発明のプロセスは、各瓶に平均充填量約2.84〜約3.30mlを提供する。他の代替的実施形態において、本発明の配合物は、次のものを含むこれに限定されない最小量の汚染物質を含んでいてもよい。
【0039】
【表4】

【0040】
他の代替的実施形態において、本発明の配合物は、次のものを含むこれに限定されない最小量の粒子状物質を含んでいてもよい。すなわち、NMT約1000〜5000、好ましくは約3800粒子/瓶>2Φm、NMT約10〜100、好ましくは約80粒子/瓶>10Φm、またはNMT約1〜5、好ましくは約3粒子/瓶>25Φmである。
【0041】
既滅菌吸入溶液の他の恩恵は、投与時に患者の体内に混入物が入り込む可能性を低減し、それによって患者の日和見感染の確率を少なくすることである。
【0042】
COPDの投薬療法の非遵守や投薬ミスは、無視できない問題である。これらの問題は、COPD患者に既包装、既調合、既測量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを投与することで大幅に削減することができる。これらの成分をこの方法で投与することにより、適正な用量を準備する際の利便性が向上し、混同することがなくなるので、COPDの治療は簡潔になる。こういった利点は、治療薬がしばしば複数の用量単位で販売され、患者の治療に適した特定の濃度に希釈しなくてはならない場合に特に有意となる。先に述べたように、これは、いくつかの問題を有している。
【0043】
本発明は、既包装、既調合、既測量の、かつ/または単位用量に分けられた治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムの両方を投与することで上記の問題を克服している。一実施形態では、本発明は、1つ以上の既充填容器を有する。1つ以上の容器は、それぞれCOPD治療のための治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる1単位用量の水溶液を有する。このような方法で吸入溶液を提供することで、COPD治療薬を希釈または調合して治療用の適切な用量を得る必要性がなくなる。また、特に薬局で調合してもらう必要もないため、投薬ミスの確率を減らすことができる。さらに、既調合かつ即用式の吸入溶液を提供することで、交差汚染の危険性が減少し、投薬の無駄が省ける。
【0044】
本発明の他の特徴は、従来のCOPD治療と比較してユーザ遵守性および生活の質を向上したことである。いかなるCOPD治療薬でも、その遵守のレベルはいくぶんユーザのモチベーションや薬剤を投薬する個人の技量に依存しているが、それにもかかわらず、治療薬が投与される際の簡易性や投薬を受ける意欲といった要因を管理することにより、遵守性を向上することができる。
【0045】
本発明は、簡便、迅速かつ確実なCOPD治療薬を提供し、明確に従来のCOPD治療薬を改善する。また、本発明は、COPD治療のために1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる既調合、既測量の吸入溶液を有する1つ以上の投薬容器を提供することで、ユーザ遵守を容易にするよう構成されている。このような容器は、COPDを治療する方法で利用されてもよいし、COPD治療のためのシステムおよび/またはキットに組み込まれてもよい。
【0046】
一代替的実施形態において、本発明は、1つの容器に入った1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる既滅菌、既調合、既測量、BAC非含有の吸入溶液である。各単位用量容器は、既滅菌水溶液中に3.0mg/3ml(アルブテロール2.5mgに相当)のアルブテロール硫酸塩および0.5mgの臭化イプラトロピウムを有する。塩化ナトリウムを添加して溶液をアイソトニックにしてもよいし、また、塩酸を添加して溶液のpHを約4.0に調整してもよい。本発明の吸入溶液は、EDTAのようなキレート剤を含んでも含まなくてもよい。
【0047】
他の代替的実施形態において、本発明の吸入溶液は、約0.20〜約0.5mgの臭化イプラトロピウムおよび約0.75mg/3ml〜約3.0mg/3mlのアルブテロール硫酸塩からなる3mlの既滅菌、BAC非含有の噴霧器用溶液として供給できる。噴霧器用溶液は、単位用量の低密度ポリエチレン(LDPE)容器に入れられる。単位用量容器をそれぞれ金属箔の袋に収めてもよいし、また、各金属箔の袋には5つ以上の単位用量容器を収めてもよい。単位用量容器を収めた各金属箔の袋は、棚用カートンに収めてもよい。
【0048】
本発明は、COPDの段階0から3を含むが、これに限定されない様々な段階を治療するためのアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液を提供する。COPDの様々な段階に関連するいくつかの特徴を表5に示す。この表における情報は、説明目的のみに呈示するものである。発明の範囲を制限することは意図されていない。
【0049】
【表5】

【0050】
本発明では、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムが投与されることにより、気管支拡張を誘発し、かつ/またはCOPDに伴う気管支痙攣を緩和する。そのような量のアルブテロールおよびイプラトロピウムは、気管支痙攣の兆候が出た後に患者に投与してCOPDに起因する呼吸困難を低減してもよい。他の実施形態では、アルブテロールおよびイプラトロピウムを予防的に投与し、COPDの進行を防いでもよい。
【0051】
投与するアルブテロールおよびイプラトロピウムの分量は、個人ごとに決定され、少なくとも患者の体格、治療する症状の重症度、目標とする結果をいくぶん考慮することによって決定される。実際の用量(1回に投与されるアルブテロールおよびイプラトロピウムの分量)および1日の投与回数は、吸入器、噴霧器、経口投与などの投与方法により異なる。例えば、約2.5mgのアルブテロールおよび約0.5mgの臭化イプラトロピウムを1日4回噴霧器で投与し、必要に応じて1日3mlの用量を2回まで追加することを許可すると、ほとんどの患者に所望の気管支拡張効果を充分生み出すことができるであろう。
【0052】
さらに本発明のアルブテロールおよびイプラトロピウム吸入溶液は、1種類以上の他の薬剤とともに投与することができる。例えば、テオフィリンまたはテルブタリンなどの抗喘息薬や、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェンなどの抗ヒスタミン剤や鎮静剤を、治療有効量のアルブテロールの投与と同時に、または近い時間に投与できる。本発明の薬剤および1種類以上の薬剤は、1つの調合薬として投与してもよいし、2つの別の物質として投与してもよい。本発明によると、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムは、単独であれ他の薬剤との組み合わせであれ、必要に応じて個人に定期的に投与してCOPDの症状を低減することができる。
【0053】
他の代替的実施形態において、本発明の吸入溶液は、噴霧器で投与できる。このような噴霧器には、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、呼吸作動噴霧器が含まれるが、これに限定されない。噴霧器には、充分な空気流を有するエアコンプレッサに接続されたジェット噴霧器が好ましい。噴霧器には、マウスピースまたは適切なフェースマスクが備え付けられている。特に、PRONEB(商標)コンプレッサに接続された(フェースマスクまたはマウスピース付き)Pari−LC−Plus(商標)噴霧器を使用して本発明の吸入溶液を患者に供給できる。
【0054】
代替的実施形態において、本発明のシステムおよび/またはキットは、COPD治療のための治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる吸入溶液を、既包装、既測量、既調合および/または1単位用量の形で有する。吸入溶液は、既滅菌および/またはBAC非含有であってもよい。
【0055】
他の実施形態において、本発明は1つ以上の既充填投薬容器を組み立て、保管するシステムおよび/またはキットを提供し、各容器は既調合、既測量の吸入溶液を有する。吸入溶液は、1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる。このようなシステムおよび/またはキットは、容器を既包装の形で提供してもよい。1つ以上の容器は、LDPEなどの半透過性プラスチックを含むがこれに限定されないプラスチックで構成できる。また、容器は、Twist−Flex(商標)の先端を有していてもよく、この先端は握りやすいつまみ状の取っ手からなるので、例えば手で取っ手をひねることにより容器を開けることができる。
【0056】
Twist−Flex(商標)の先端は、溶液の投薬を容易にし、こぼれを防止し、先端を切り取りとるなどして容器を開ける必要がなくなることで交差汚染を削減する、といった点で有利である。1つ以上の半透過性の1単位用量容器は、アルミニウム箔の袋に包装済みであってもよく、箔は、環境汚染物質や光に対して保護バリアの役割を果たす。このようなバリアは、吸入溶液の貯蔵寿命と安定性を向上させる。
【0057】
他の代替的実施形態において、本発明は、COPD患者に適した既包装吸入システムおよび/またはキットを有する。このような既包装システムおよび/またはキットは、次のものからなる:(a)1以上の1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウム、(b)COPD治療薬として単位用量を使用する上での投与指示書、(c)1以上の単位用量のアルブテロールおよびイプラトロピウムをあらかじめ充填した投薬容器。
【0058】
他の代替的実施形態において、本発明の既包装吸入システムおよび/またはキットは、COPDに伴う気管支痙攣を治療するための治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを有する1本以上の既調合、既測量の1単位容量瓶、および当該瓶を使用する上での指示書を提供する。
【0059】
一代替的実施形態において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和するための既包装治療システムおよび/またはキットを対象とし、既包装治療システムは、(a)1つ以上の投薬容器であって、1つ以上の容器はそれぞれ、治療有効量の単位用量のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムからなる約3mlの既滅菌で塩化ベンザルコニウム非含有の既調合、既測量の吸入水溶液であらかじめ充填され、アルブテロールの用量は約2.5mgであり、臭化イプラトロピウムの用量は約0.5mgであって、1つ以上の容器内の各吸入溶液は噴霧器での噴霧に適しており、1つ以上の容器内の各吸入溶液は長い貯蔵寿命を有する1つ以上の投薬容器と、(b)表示付きの1つ以上のラベルであって、表示は1つ以上の容器内の各吸入溶液に関係する有効用量、投与、禁忌、有害反応のデータを有するラベルとからなり、(c)禁忌のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液がアトロピンおよびその派生物に対して過敏症の者には禁忌であることを示すデータを有し、(d)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、狭隅角緑内障の促進または悪化、急激な目の痛み、目のかすみ、奇異性気管支痙攣、喘ぎ、慢性閉塞性肺疾患の症状の増悪、眠気、うずき、紅潮、上部呼吸器感染、動悸、味覚錯乱、心拍の上昇、静脈洞炎、背中痛、咽喉炎が生じうることを示すデータを有する。
【0060】
用量および投与のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の推奨用量が、噴霧によって1日4回投与される3mlの水溶液においてアルブテロール約2.5mg、臭化イプラトロピウム約0.5mgであって、必要に応じて1日2回まで推奨用量の追加が許可されることを示すデータを有していもよい。また、有害反応のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に吸入溶液に対する即時型過敏反応が生じうることを示すデータを有していてもよく、前記過敏反応には、じんましん、血管性浮腫、発疹、掻痒、口咽頭浮腫、気管支痙攣、アナフィラキシーが含まれる。さらに、有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に皮膚の発疹、掻痒、じんましんを含むアレルギー型反応が生じうることを示すデータを有していてもよい。有害反応のデータはさらに、吸入溶液の投与後に生じうる1つ以上の有害事象のリストを示すデータを有していてもよく、前記有害事象には、胸の痛み、下痢、消化不良、吐き気、足の痙攣、気管支炎、肺病、咽頭炎、肺炎、尿路感染症が含まれる。
【0061】
他の代替的実施形態において、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支痙攣を治療するための本発明の既包装治療システムおよび/またはキットは、(a)1つ以上の投薬容器であって、1つ以上の容器はそれぞれ3mlの既滅菌で安定した既調合、既測量の塩化ベンザルコニウム非含有の吸入水溶液であらかじめ充填され、吸入溶液は塩化ナトリウム、水、エデト酸二ナトリウム、吸入溶液のpHを約4に調整するための酸、治療有効量の単位用量のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムで構成され、アルブテロール量は約2.50mg、臭化イプラトロピウム量は約0.5mgであって、1つ以上の容器内の各吸入溶液は噴霧器での噴霧に適しており、前記吸入溶液は長い貯蔵寿命を有する1つ以上の投薬容器と、(b)表示付きの1つ以上のラベルであって、表示は1つ以上の容器内の各吸入溶液に関係する有効性、用量、投与、禁忌、有害反応の情報を有する1つ以上のラベルとを備えていてもよく、(c)用量および投与のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の推奨用量が、噴霧によって1日4回投与される3mlの水溶液においてアルブテロール約2.5mg、臭化イプラトロピウム約0.5mgであって、必要に応じて1日2回まで推奨用量の追加が許可されることを示すデータを有し、(d)禁忌のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液がアトロピンおよびその派生物に対して過敏症の者には禁忌であることを示すデータを有し、(e)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に吸入溶液に対する即時型過敏反応が生じうることを示すデータを有し、前記過敏反応には、じんましん、血管性浮腫、発疹、掻痒、口咽頭浮腫、気管支痙攣、アナフィラキシーが含まれ、(f)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後にアレルギー型反応が生じうることを示すデータを有し、前記アレルギー型反応には、皮膚の発疹、掻痒、じんましんが含まれ、(g)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、狭隅角緑内障の促進または悪化、急激な目の痛み、目のかすみ、奇異性気管支痙攣、喘ぎ、慢性閉塞性肺疾患の症状の増悪、眠気、うずき、紅潮、上部呼吸器感染、動悸、味覚錯乱、心拍の上昇、静脈洞炎、背中痛、咽喉炎が生じうることを示すデータを有し、(h)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に生じうる1つ以上の有害事象のリストを含み、有害事象には、胸の痛み、下痢、消化不良、吐き気、足の痙攣、気管支炎、肺病、咽頭炎、肺炎、尿路感染症が含まれる。
【0062】
既包装吸入システムおよび/またはキットは、1本以上の既包装の単位用量瓶を収めた箱、または、1本以上の単位用量瓶からなる個々のパッケージまたは袋を収めた箱を含みこれに限定されない数々の形態のうちの1つで提供できる。例えば、一体化されたCOPD患者治療用既包装システムおよび/またはキットの実施形態を図5に示す。具体的には、図5は、サポートパッケージ(10)を示している。サポートパッケージ(10)は、箱、カートンまたは他の密閉容器を含むことができるが、これに限定されない。サポートパッケージは、1つ以上の既包装、既充填の投薬容器(21〜25)を有する。各容器は、既調合、既測量の吸入溶液を有する。吸入溶液は、COPD治療用の単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる。吸入溶液は既滅菌および/またはBAC非含有の形で提供してもよい。
【0063】
また、サポートパッケージ(10)には、1枚以上のラベル(13)を組み込むことができる。1枚以上のラベル(13)は、吸入溶液が気管支痙攣などのCOPDに伴う症状を緩和するために使用できることを示した表示(14)を有していてもよい。さらに、ラベルは、そのような症状を緩和するために吸入溶液を使用する上での指示を与える表示(15)を有していてもよい。ここで使用される「表示」は、文言、写真、図、符号および/または形状を含むが、これに限定されない。1枚以上のラベル(13)に表示される表示の無制限な例を図7に示す。1枚以上のラベルは、サポートパッケージ(10)の1面以上の表面か別のシート、またはそれら両方の上に配置することができる。また、サポートパッケージ(10)には、包装材を中に密封するための蓋(16)が組み込まれていてもよい。
【0064】
さらに、本発明のシステムおよび/またはキットは、また、ユーザ遵守を容易にするよう構成されたラベルおよび/または指示書を含むことができる。たとえば、実施形態において、本発明のシステムおよび/またはキットは、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる既滅菌、既調合、既測量の単位用量の吸入溶液を有する1本以上の既包装瓶を収めた包装材を有する。包装材は、さらに、各瓶が気管支痙攣などのCOPDに伴う症状の緩和のために噴霧器で使用できることを示したラベルを有してもよい。このような指示書には、噴霧器治療1回ごとの用量に関する指示や、噴霧器などによる投与に関する指示も含むことができる。指示書は、包装材の1面以上の表面上に配置されてもよいし、別のシートまたはそれらの両方の上に表示されてもよい。
【0065】
また、本発明は、気管支痙攣などのCOPDに伴う症状を治療する方法も対象としており、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを単位用量として投与することができる。このような単位用量は、噴霧器用治療薬の形で提供できる。
【0066】
他の実施形態において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和する方法を対象とし、前記方法は、(a)1つ以上の投薬容器であって、1つ以上の容器はそれぞれ、治療有効量の単位用量のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムからなる約3mlの既滅菌で塩化ベンザルコニウム非含有の既調合、既測量の吸入水溶液であらかじめ充填され、アルブテロール量は約2.5mg、臭化イプラトロピウム量は約0.5mgであって、1つ以上の容器内の各吸入溶液は噴霧器での噴霧に適しており、1つ以上の容器内の各吸入溶液は長い貯蔵寿命を有する1つ以上の投薬容器、からなる既包装治療システムを患者に提供するステップと、(b)1つ以上の容器内の各吸入溶液に関係する用量、投与、禁忌、有害反応のデータを患者または既包装治療システムの服用者に提供するステップとからなり、(c)禁忌のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液がアトロピンおよびその派生物に対して過敏症の者には禁忌であることを示すデータを有し、(d)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、狭隅角緑内障の促進または悪化、急激な目の痛み、目のかすみ、奇異性気管支痙攣、喘ぎ、慢性閉塞性肺疾患の症状の増悪、眠気、うずき、紅潮、上部呼吸器感染、動悸、味覚錯乱、心拍の上昇、静脈洞炎、背中痛、咽喉炎が生じうることを示すデータを有する。
【0067】
本発明の方法において、用量および投与のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の推奨用量が、噴霧によって1日4回投与される3mlの水溶液においてアルブテロール約2.5mg、臭化イプラトロピウム0.5mgであって、必要に応じて1日2回まで推奨用量の追加が許可されることを、患者または服用者に通知してもよい。また、有害反応は、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に吸入溶液に対する即時型過敏反応が生じうることを患者または服用者に通知してもよく、前記過敏反応には、じんましん、血管性浮腫、発疹、掻痒、口咽頭浮腫、気管支痙攣、アナフィラキシーが含まれる。さらに、有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、皮膚の発疹、掻痒、じんましんを含むアレルギー型反応が生じうることを患者または服用者に通知してもよい。また、有害反応のデータは、吸入溶液の投与後に生じうる1つ以上の有害事象のあらかじめ印刷されたリストを含んでいてもよく、前記有害事象には、胸の痛み、下痢、消化不良、吐き気、足の痙攣、気管支炎、肺病、咽頭炎、肺炎、尿路感染症が含まれる。
【0068】
他の代替的実施形態において、本発明は、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和する方法を対象とし、前記方法は、(a)1つ以上の投薬容器であって、1つ以上の容器はそれぞれ約3mlの既滅菌で安定した既調合、既測量の塩化ベンザルコニウム非含有の吸入水溶液であらかじめ充填され、吸入溶液は水、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、吸入溶液のpHを約4に調整するための酸、治療有効量の単位用量のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムで構成され、アルブテロール量は約2.50mg/3ml、臭化イプラトロピウム量は約0.5mg/3mlであって、1つ以上の容器内の各吸入溶液は噴霧器での噴霧に適している1つ以上の投薬容器、からなる既包装治療システムを患者に提供するステップと、(b)1つ以上の容器内の各吸入溶液に関係する有効性、用量、投与、禁忌、有害反応のデータを患者または既包装治療システムの服用者に提供するステップとからなり、(c)用量および投与のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の推奨用量が、噴霧によって1日4回投与される3mlの水溶液においてアルブテロール約2.5mg、臭化イプラトロピウム0.5mgであって、必要に応じて1日2回まで推奨用量の追加が許可されることを患者または服用者に通知し、(d)禁忌のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液がアトロピンおよびその派生物に対して過敏症の者には禁忌であることを示す情報を有し、(e)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に1つ以上の容器内の吸入溶液に対する即時型過敏反応が生じうることを患者または服用者に通知し、前記過敏反応には、じんましん、血管性浮腫、発疹、掻痒、口咽頭浮腫、気管支痙攣、アナフィラキシーが含まれ、(f)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、皮膚の発疹、掻痒、じんましんを含む、予想されるアレルギー型反応が生じうることを患者または服用者に通知し、(g)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の吸入溶液の投与後に、狭隅角緑内障の促進または悪化、急激な目の痛み、目のかすみ、奇異性気管支痙攣、喘ぎ、慢性閉塞性肺疾患の症状の増悪、眠気、うずき、紅潮、上部呼吸器感染、動悸、味覚錯乱、心拍の上昇、静脈洞炎、背中痛、咽喉炎が生じうることを患者または服用者に通知し、(h)有害反応のデータは、1つ以上の容器内の各吸入溶液の投与後に生じうる1つ以上の有害事象のあらかじめ印刷されたリストを含み、有害事象には、胸の痛み、下痢、消化不良、吐き気、足の痙攣、気管支炎、肺病、咽頭炎、肺炎、尿路感染症が含まれる。
【0069】
代替的実施形態において、本発明の方法は、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを患者に投与するステップを有する。また、このような溶液は既包装、既調合、既測量であって、BAC非含有および/または既滅菌であってもよい。さらに、このような溶液は、1単位用量瓶に収められていてもよい。
【0070】
他の代替的実施形態において、本発明の方法は、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる吸入溶液を必要な患者に投与するステップを有する。吸入溶液は、噴霧器、より好ましくは充分な空気流を有するエアコンプレッサに接続されたジェット噴霧器で投与される。
【0071】
さらに他の代替的実施形態において、図1〜4を参照すると、本発明の方法は、次のステップからなる:(1)治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる吸入溶液(1)を噴霧器カップ(2)に入れる。噴霧器は、圧縮ガスシリンダまたは電気駆動コンプレッサに取り付けることにより動力を得る。(2)「T」アダプタ(3)を用いて噴霧器カップの蓋(4)をマウスピース(5)またはフェースマスク(6)に嵌める。(3)吸入溶液(1)をガスジェットの速力で汲み上げ、エアゾール状に細かくする。(4)マウスピース(5)またはフェースマスク(6)を通じてエアゾールを気管支痙攣に苦しむ患者(7)に送り込む。(5)患者は、噴霧器室(8)に霧が形成されなくなるまで呼吸を続ける。これには約5〜15分かかる。
【0072】
代替的実施形態において、患者の通常の開始用量は、アルブテロール約2.50mgおよびイプラトロピウム0.5mgであってもよく、必要に応じて1日3回または4回噴霧にて投与される。これらの量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを投与するために、1本の単位用量瓶の全内容物(例えば、3.0mg/3mlのアルブテロール硫酸塩および0.5mg/3mlの臭化イプラトロピウム)が使用できる。アルブテロールおよびイプラトロピウムが5〜15分間にわたって供給されるように、噴霧器の流量を調整するのが好ましい。
【0073】
さらに、代替的実施形態において、本発明の方法は、次のステップからなる:(1)イプラトロピウムまたはアルブテロールからなる1種類以上の溶液を希釈することにより、治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる吸入溶液を準備する。(2)吸入溶液を必要とする患者に投与する。
【0074】
また、本発明は、1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる既包装、既滅菌、既調合、既測量および/またはBAC非含有の吸入溶液を作る工程を提供する。このような実施形態において、本発明の方法は、次のステップのうちの少なくとも1つからなる:(1)水などの担体に少なくとも治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを添加する。(2)溶液を滅菌し、容器を密封する。浸透性調整剤を添加し、溶液の等浸透圧性を調整してもよい。好ましくは、本発明の溶液は、アイソトニックであり、浸透性調整剤を添加して溶液の等浸透圧性を約280から約320mOsm/kgに調整してもよい。さらに、酸(例えば、塩酸)を添加することにより、溶液のpHを約3.0から約5.0、好ましくは約4.0のレベルに調整してもよい。
【0075】
他の実施形態において、本発明の吸入溶液を作る工程は、次のステップのうちの少なくとも1つからなる:(1)水などの担体に少なくとも治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを添加する、(2)調合した薬剤を容器に入れ、蒸気滅菌または技術的に周知の他の滅菌方法で滅菌する。アルブテロールおよびイプラトロピウムが調合された薬剤は、それぞれ瓶に充填された後、包装、保管され、かつ/または直接使用される。ここで、完成した調合薬は、安定しており、滅菌済みであるため、必要に応じてそれぞれ1単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムを含む複数の調合薬に分けることが可能である。
【0076】
使用する浸透性調整剤には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびこれらの混合物が含まれるが、これに限定されない。また、他の浸透性調整剤には、マンニトール、グリセロール、ブドウ糖およびこれらの混合物が含まれるがこれに限定されない。代替的実施形態において、本発明は、約0.4から約1.0重量パーセントのイオン塩を有していてもよい。好ましくは、本発明は0.9重量%の浸透性調整剤を有する。
【0077】
代替的実施形態において、本発明の吸入溶液は、次のように準備される:(1)ステンレス鋼調合タンクを底部排出管および混合のための3本のミキサーに嵌める。(2)18℃〜25℃の温度で必要量の約95%の米国薬局方(USP)浄化水のタンクを充填する。混ぜながら、(3)米国薬局方(USP)EDTA、塩酸、および少なくとも治療有効量のアルブテロール硫酸塩USPおよび臭化イプラトロピウムをタンクに加える。(4)全ての化学物質が融けるまで混ぜ続ける。(5)必要に応じて米国薬局方(USP)浄化水を添加して最終量を調整し、アブテロールおよび臭化イプラトロピウム調合薬を完成させる。
【0078】
アルブテロールおよびイプラトロピウム調合薬は、調合タンクから清潔な供給ラインを通して形成−充填−密封(FFS)マシンに直接汲み出される。アルブテロールおよびイプラトロピウム調合薬は、0.2ミクロンの滅菌カートリッジフィルターを通って貯蔵タンクに入り、第2の0.2ミクロンの滅菌カートリッジフィルターを通って既滅菌エアシャワー室内の充填ノズルに達した後、低密度ポリエチレン(LDPE)で形成された瓶に入れられる。
【0079】
アルブテロールおよびイプラトロピウム調合薬は、既滅菌の状態で瓶に充填され、各瓶は1単位用量の治療有効量のアルブテロールを含む。充填された瓶は、次いで密封される。FFSマシンは、無菌状態の連続作業で瓶を形成、充填、密封することにより、既滅菌製品を完成させる。例えば、1枚が既充填瓶5本からなるシート(図6)が、自動包装機で上包装されて1個の保護ラミネート箔の袋になっていてもよい。次いで、このような袋6〜12個が1棚用カートンとして包装され、患者のCOPD治療のための既包装治療システムを形成することができる。適切なラベルおよび指示書が棚カートン内に加えられてもよい。
【0080】
また、本発明は、次のステップからなる単位用量噴霧器用溶液を形成する方法も対象としている:(1)治療有効量のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムを含む調合薬を、薬事上許容可能な担体内に準備する。調合薬は噴霧器での噴霧に適している。
【0081】
代替的実施形態において、本発明は、また、気管支痙攣などのCOPDに伴う症状を緩和する際に使用する装置を有する。このような装置は、ラベルや書面による指示をはじめ、表示を表面に組み込んだ他のあらゆる形をとることができる。この装置は、COPDに伴う症状に苦しむ患者を1瓶に入った単位用量の治療有効量のアルブテロールおよびイプラトロピウムからなる少なくとも1つの既包装、既滅菌、既調合、既測量および/またはBAC非含有吸入溶液で治療することができることを示す表示を有していてもよい。吸入溶液は噴霧器での噴霧に適している。また、この装置は、患者の症状を治療するために吸入溶液を利用する上での指示を与える表示を有していてもよい。
【0082】

本発明の吸入溶液の有効性および安全性を評価するため、二重盲目式の無作為陽性比較実験を行った。研究のデザイン、結果および結論は、以下に詳細に述べる。
【0083】
患者
初めに総計863名の患者が実験のために無作為化され登録された。表6に記載された基準を満たす患者を、登録に適格なものとした。
【0084】
【表6】

【0085】
包含/排除基準
【0086】
管理
個々の薬剤とイプラトロピウムおよびアルブテロールの混合薬の用量は、下の表7に示される通りであった。全ての研究薬剤は、1日4回(理想的には6時間おきに)Pari LC Plus(商標)噴霧器およびPari Proneb(商標)コンプレッサを用いた吸入によって投与された。実験中、気管支拡張剤の併用は制限された。経口および吸入によるステロイドの使用は、服用が一定である場合に限り、実験中にわたって許可された。
【0087】
【表7】

【0088】
有効性に関する結果
無作為化され治療を開始した患者863名のうち、289名が時期尚早に実験から離脱し、うち28名は包含/排除基準を満たしておらず、不適切に登録されていた。総計663名の患者が、本発明の吸入溶液と少なくとも他の1種類の研究薬剤の両方の投与を受け、少なくとも1回の服用後FEV測定を終了した。大部分の患者が3種類の研究薬剤すべての治療を終了したため、被験者の貢献により、主要解析の各ポーションにおいて647例の評価可能な比較例が得られた。
【0089】
主要有効性変数は、実験のクロスオーバーフェーズ中の服用前から服用後3時間以内に測定したピークFEVまでの変化量であった。表8に見られるように、FEVの平均増加量は、単独で使用されたいずれの薬剤よりもアルブテロールおよびイプラトロピウム混合薬のほうが有意に高かった。混合薬の改善率は、アルブテロール単独に対して23.6%、イプラトロピウム単独に対して37.2%であった。FEV反応の時間推移を、表9に示す。
【0090】
【表8】

【0091】
クロスオーバーフェーズにおける有効性の結果
【0092】
【表9】

【0093】
平均FEV1変化量−14日目に測定
【0094】
実験のパラレルフェーズ中、患者はグループに分かれ、実験の最終6週間、3種類の研究薬剤のうち1種類のみを自己投与した。パラレルフェーズの結果は、クロスオーバーフェーズと本質的に同一の結果となった。アルブテロールおよびイプラトロピウム混合薬のピークFEV反応は、クロスオーバーフェーズ中に見られたものと同じ規模で各成分薬剤単独の場合を上回った。
【0095】
安全性/認容性
アルブテロールおよびイプラトロピウム混合薬に関する有害反応が、上記の臨床実験から評価された。1%以上の患者から報告された治療により発生した有害事象を薬剤ごとに表10にまとめた。ここに見られるように、患者の体内組織における有害事象の発生率に関して、アルブテロールおよびイプラトロピウム混合薬と個々の薬剤の間に差異はない。
【0096】
【表10】

【0097】
有害事象報告
(治療グループの1%以上に発生した有害事象で、混合薬が最も高い割合を示した箇所)
【0098】
アルブテロールおよびイプラトロピウム混合薬を用いて治療したうち1%を超える患者が報告した他の有害反応として、便秘と声変わりがあった。ここに示した図および添付は、説明目的のみに呈示されるものである。これらは、発明の範囲を制限するものではない。さらに、ここに記述した現在の好ましい実施形態の様々な変更や変形は、当該技術における技術者には明白である。かかる変更および変形は本発明の精神および範囲から逸脱することなく、かつ付随する利点を減ずることなく行われる。したがって、かかる変更および変形は、添付のクレームによって網羅されるものとする。また、発明はここに述べた要素を適確にかつ本質的に有し、ここに適切に述べた発明は、ここに具体的に開示していないいかなる要素が不在であっても実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1容器に、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和するための、治療有効濃度の1単位用量のアルブテロール0.02重量%〜0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.001重量%〜0.017重量%からなる既調合、既測量の水性処方物を含み、該溶液が滅菌で抗菌性保存剤非含有溶液であり、さらに、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、該溶液中に初めに存在する前記アルブテロールの95%超、および前記臭化イプラトロピウムの95%超が、依然として該溶液中に残存するような比較的長期の安定性を有することを特徴とする吸入溶液。
【請求項2】
前記吸入溶液は、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後、アルブテロールの分解に関連する分解産物を含有せず、該分解産物が、5−2−((1,1−ジメチルエチル)アミノ−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、ビス−(2−ヒドロキシ)−5−(2−tert−ブチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)フェニルメチルエーテル、2−tert−ブチルアミノ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチルフェニル)−エタノール、tert−ブチルアミノ−3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルアセトフェノン、tert−ブチルアミノ−4−ヒドロキシメチルアセトフェノン、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、および1−(5−クロロ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールで構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項3】
前記吸入溶液は、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後、臭化イプラトロピウムの分解に関連する分解産物を含有せず、該分解産物が、トロパ酸、8S−イプラトロピウムブロミド、N−イソプロピル−ノルアトロピン、イプラトロピウムアルコール、およびアトロパ酸で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項4】
前記吸入溶液は、塩化ベンザルコニウム非含有溶液であることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項5】
前記吸入溶液のpHは、3.0〜4.0の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項6】
前記吸入溶液のpHは、4.0であることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項7】
前記アルブテロールは、酸添加塩の形であることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項8】
前記アルブテロールの酸添加塩は、アルブテロール硫酸塩であることを特徴とする請求項7記載の吸入溶液。
【請求項9】
前記アルブテロールは、ラセミ混合物の形であることを特徴とする請求項1記載の吸入溶液。
【請求項10】
慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支痙攣を緩和するためのキットであって、
治療有効濃度の1単位用量のアルブテロール0.02重量%〜0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.001重量%〜0.017重量%からなる既調合、既測量の噴霧可能な吸入水溶液をそれぞれが含む1つ以上の単一投薬容器を含み、
該溶液が滅菌で抗菌性保存剤非含有溶液であり、さらに、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、該溶液中に初めに存在する前記アルブテロールの95%超、および前記臭化イプラトロピウムの95%超が、依然として該溶液中に残存するような比較的長期の安定性を有することを特徴とするキット。
【請求項11】
前記吸入溶液は、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、アルブテロールの分解に関連する分解産物を含有せず、該分解産物が、5−2−((1,1−ジメチルエチル)アミノ−1−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、ビス−(2−ヒドロキシ)−5−(2−tert−ブチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)フェニルメチルエーテル、2−tert−ブチルアミノ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシメチルフェニル)エタノール、tert−ブチルアミノ−3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルアセトフェノン、tert−ブチルアミノ−4−ヒドロキシメチルアセトフェノン、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、および1−(5−クロロ−4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールで構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項12】
前記吸入溶液は、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、臭化イプラトロピウムの分解に関連する分解産物を含有せず、該分解産物が、トロパ酸、8S−イプラトロピウムブロミド、N−イソプロピル−ノルアトロピン、イプラトロピウムアルコール、およびアトロパ酸で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項13】
前記吸入溶液は、塩化ベンザルコニウム非含有溶液であることを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項14】
前記吸入溶液を使用して慢性閉塞性肺疾患を患う患者における気管支痙攣を緩和できることを示すラベルを、さらに有することを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項15】
前記吸入溶液を使用して慢性閉塞性肺疾患に伴う気管支痙攣を緩和するための指示書をさらに有することを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項16】
前記1つ以上の容器は、同一の袋または箱内に包装されることを特徴とする請求項10記載のキット。
【請求項17】
前記1つ以上の容器は、半透性の合成樹脂からなり、アルミニウム箔の袋内に包装されることを特徴とする請求項16記載のキット。
【請求項18】
慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支痙攣を治療するための既調合、既測量の吸入溶液を中に有する1容器を作成する方法であって、
(a)治療有効濃度の1単位用量のアルブテロール0.02重量%〜0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.001重量%〜0.017重量%を媒介物に入れ、吸入溶液を生成する、入れるステップと、
(b)前記吸入溶液が滅菌で抗菌性保存剤非含有溶液であり、さらに、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、該溶液中に初めに存在する前記アルブテロールの95%超、および前記臭化イプラトロピウムの95%超が、依然として残存するような比較的長期の安定性を有するように、該吸入溶液を1容器で提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
塩酸を添加して前記吸入溶液のpHを3.0〜4.0のレベルに調整するステップをさらに有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
浸透性調整剤を添加して、前記吸入溶液の等浸透圧性を調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記浸透性調整剤は塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびこれらの混合物で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記吸入溶液をフィルターに通すことによって滅菌するステップをさらに有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記吸入溶液を蒸気滅菌によって滅菌するステップをさらに有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項24】
塩酸を添加して、前記吸入溶液のpHを3.5に調整するステップをさらに有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項25】
1単位用量の吸入溶液をそれぞれが含む1容器で提供される、慢性閉塞性肺疾患を患う患者において気管支拡張を誘発するかまたは気管支痙攣を緩和するための既包装の安定した既測量、既調合の吸入水溶液を作成する方法であって、
a)水、EDTA、塩酸、浸透性調整剤、アルブテロール硫酸塩、および臭化イプラトロピウムをステンレス鋼のタンク内で18℃〜25℃の間の温度で混合して、以下の特徴:
i)該吸入溶液中のアルブテロールおよび臭化イプラトロピウムの最終濃度はアルブテロール0.06重量%〜0.1重量%、イプラトロピウム0.03重量%〜0.1重量%の範囲内であり、
ii)該溶液のpHが3.0〜4.0になるように充分な塩酸が存在し、且つ
iii)該溶液の等浸透圧性が280〜320mOsm/kgになるように充分な浸透性調整剤が存在する、を有する吸入溶液を生成する、混合するステップと、
b)前記吸入溶液を少なくとも1つの滅菌フィルターを通して製袋充填(FFS)機に入れるステップと、
c)前記吸入溶液を1つ以上の低密度ポリエチレン投薬容器に滅菌充填するステップであって、各容器は治療有効濃度の単位用量のアルブテロール0.02重量%〜0.083重量%および臭化イプラトロピウム0.001重量%〜0.017重量%からなる3mlの既滅菌、既調合、既測量の吸入水溶液で充填されるステップと、
d)前記吸入溶液が入った前記1つ以上の投薬容器をそれぞれ滅菌密封するステップと
からなり、該1つ以上の投薬容器内の前記吸入溶液が滅菌で抗菌性保存剤非含有溶液であり、さらに、25℃の温度で12ヶ月の貯蔵の後でも、該溶液中に初めに存在する前記アルブテロールの95%超、および前記臭化イプラトロピウムの95%超が、依然として該溶液中に残存するような比較的長期の安定性を有することを特徴とする方法。
【請求項26】
前記アルブテロールは、酸添加塩の形であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記アルブテロールの酸添加塩は、アルブテロール硫酸塩であることを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記アルブテロールは、ラセミ混合物の形であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記浸透性調整剤は塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化亜鉛、塩化カルシウム、およびこれらの混合物で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記浸透性調整剤は、塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記浸透性調整剤はマンニトール、グリセロール、ブドウ糖、およびこれらの混合物で構成されるグループから選択されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の投薬容器内の吸入溶液は、0.4重量%〜1.0重量%のイオン塩を有することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項33】
前記1つ以上の投薬容器内の吸入溶液は、0.9%の浸透性調整剤を有することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記1つ以上の投薬容器をアルミニウム箔の袋内に包装するステップをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項35】
前記滅菌フィルターは、0.2ミクロンの滅菌カートリッジフィルターであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項36】
前記吸入溶液を第2の滅菌フィルターに通すステップをさらに有することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項37】
前記第2の滅菌フィルターは、0.2ミクロンの滅菌カートリッジであることを特徴とする請求項36記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−184937(P2010−184937A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125727(P2010−125727)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【分割の表示】特願2003−539509(P2003−539509)の分割
【原出願日】平成14年10月18日(2002.10.18)
【出願人】(502087035)デイ エルピー (4)
【Fターム(参考)】