成形前駆体、RTM成形方法、および繊維強化樹脂成形体
【課題】
従来のRTM成形方法の問題である成形体外縁の端部に関し、成形後のバリ取りのためのNC機械加工などによるコストアップ要因や強化繊維が行き渡らない樹脂リッチ部分の発生による強度低下要因などを排除するために工夫された、樹脂注入成形される前の成形体用強化繊維基材、即ち成形前駆体および該成形前駆体を効果的に適用したRTM成形方法を提供する。
【解決手段】
基材の圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を、外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材にて挟んだ3層構造から構成することや、第2の基材として樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材を用いたりすることにより、成形だけでなく成形体外縁の端部のバリ取りも容易な構造を見出すに至った。
従来のRTM成形方法の問題である成形体外縁の端部に関し、成形後のバリ取りのためのNC機械加工などによるコストアップ要因や強化繊維が行き渡らない樹脂リッチ部分の発生による強度低下要因などを排除するために工夫された、樹脂注入成形される前の成形体用強化繊維基材、即ち成形前駆体および該成形前駆体を効果的に適用したRTM成形方法を提供する。
【解決手段】
基材の圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を、外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材にて挟んだ3層構造から構成することや、第2の基材として樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材を用いたりすることにより、成形だけでなく成形体外縁の端部のバリ取りも容易な構造を見出すに至った。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂(以後、FRPと記す)をRTM(Resin Transfer Molding)成形方法によって成形する際に用いる成形前駆体に関し、特に、樹脂含浸性が良好であるため見含浸部のない品位の良い成形品を短時間で得られ、また、成形後の仕上げ加工を容易にすることも可能な成形前駆体および該成形前駆体を用いる好適なRTM成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FRP、特にCFRP(炭素繊維強化樹脂)は軽量、かつ高い機械的性質を有する複合材料として様々な分野で利用されている。FRP成形方法の一つとして、成形型の成形キャビティに強化繊維基材を配置し、型閉めの後、(場合によっては、型内を減圧して)該型内に液状樹脂を注入し、加熱硬化させるRTM成形法が知られている。
【0003】
RTM成形法では、樹脂を注入させている内に、樹脂の硬化反応が進んで樹脂粘度が上がり、成形品の全域に樹脂が流れないことがある。また、樹脂に遅延剤を添加してゲル化時間を延ばすと、時間が掛かりながらも全域に樹脂を流動させることは可能であるが、所定の樹脂流動に時間がかかったり、樹脂硬化に時間を要したりすることから、生産速度、生産量が低下していた。
【0004】
そこで、樹脂の硬化反応にも依存せず生産速度を向上させるために、樹脂の流動方向に樹脂の注入口を設けることで、到達した樹脂に合わせて、順次注入口より樹脂を供給することで、樹脂を成形品の全域に含浸させる工夫もされている。(例えば、特許文献1)
あるいは、繊維基材内に未硬化の樹脂を含浸させる方法として、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂、又は、金属からなるメッシュ状のシートを、成形型や可撓性のフィルムと繊維シートとの間に介在させて未硬化の樹脂を供給する方法(例えば、特許文献2参照)や、空間内に配置される発泡性材料等のコア材の表面に溝を形成する方法(例えば、特許文献4参照)や、成形型の内面に凹凸を形成する方法(例えば、特許文献2,3参照)、更に積層体の中央部に嵩密度の小さい補強繊維マット層を配置することで樹脂の含浸性を上げる方法(例えば、特許文献4)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−53744号公報
【特許文献2】特開2001−62932号公報
【特許文献3】特表2000−501659号公報
【特許文献4】特開2002−120315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したこれら方法はメッシュ状のシートや、溝、凹凸等を形成した成形型及び可撓性のフィルムや、溝が形成されたコア材を使用しても、繊維シート内に未硬化の樹脂が十分に含浸しない場合があること。また、上述のメッシュ状シートは最終的に除去する必要があるため、製造工程が増加しロスとなる他、必ず表面に配置する必要が有り、除去した後の表面性に問題がある場合があった。さらに、溝や凹凸等を形成された成形型等を用いる場合は、成形型の費用が増加することや、外観意匠性に問題があることもあった。そのほか、溝が形成されたコア材等を用いる場合は、その作製には手間が掛かることから製品のコストアップにつながる場合が多い。
【0006】
また、成形タクトを上げるため、積層体を成形前駆体に賦形したものを配置しRTM成形する方法もあるが、厚みの異なる形状では、積層体の配置に時間を費やしていた。
【0007】
更に、嵩密度の小さい補強繊維マット層を配置する方法だけでは、両面型内に十分な繊維充填ができない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、種々の検討を行った結果、本発明では以下の(1)〜(12)に示す成形前駆体およびRTM成形方法、成形体をもちいることを見出すに至った。
【0009】
(1)外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材の間に、明細書中に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を挟んだ3層構造を有することを特徴とする成形前駆体。
【0010】
(2)前記第1の基材、および前記第3の基材が、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であることを特徴とする前記(1)に記載の成形前駆体。
【0011】
(3)前記第2の基材が、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の成形前駆体。
【0012】
(4)前記第1,前記第2および前記第3の基材の内、少なくとも1つの基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0013】
(5)少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第1の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする前記(4)に記載の成形前駆体。
【0014】
(6)少なくとも前記第2の基材と前記第3の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第3の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする前記(4)または(5)に記載の成形前駆体。
【0015】
(7)発泡体からなるコア材を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0016】
(8)前記発泡体からなるコア材を前記第2の基材に接するように配置したことを特徴とする前記(7)に記載の成形前駆体。
【0017】
(9)前記第2の基材が不織布であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0018】
(10)前記第2の基材の目付が10〜1500g/m2の繊維構造体であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0019】
(11)前記第2の基材と、前記第1および前記第3の基材の厚みの割合が10以下であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0020】
(12)前記成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を成形するRTM成形方法であって、前記(1)〜(11)記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とするRTM成形方法。
【0021】
(13)成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂と共に硬化させることによって得られる繊維強化樹脂成形体であって、前記(1)〜(12)記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とする強化樹脂成形体。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る成形前駆体、該成形前駆体を用いたRTM成形方法、および該成形前駆体を用いた繊維強化樹脂成形体によれば、 第2の基材が樹脂の流路を確保するので、含浸性が良好で品位の良い成形体を短時間で成形することができる。
【0023】
また、第1,第2および第3の基材の内、少なくとも1の基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成する成形前駆体とすることで成形前駆体の成形型への位置合わせ精度を要さないため、作業が容易となり、作業者間に品質の差が生じることも防止できる。
【0024】
更に、第2の基材が圧縮性を持っていることから、厚み変化のある形状にも繊維を有効に配置し充填することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明で使用する第1,第3の基材としては、例えば樹脂の含浸されていない強化繊維が集合した基材を用いることができ、その強化繊維としては炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維等が挙げられ、単一繊維のみならず複数の繊維の集合体でも良い。また、これらの形態としては織物や不織布等が挙げられ、これら基材を単層でも複数枚重ねた構成にしても構わない。更に各基材を固着させるための固着材等を使用しても良い。
【0027】
次に第2の基材として、成形品の厚みに追従する特性や賦形性が必要であることから、以下に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である基材を用いることが必要である。
【0028】
ここで言う圧縮特性とは、基材の厚み方向に所定荷重をかけた場合の厚み方向の変形度合いを表しており、次のようにして測定を行う。
【0029】
図13に示すように、評価する基材11を50±3mmの正四角形に裁断し、複数枚を積み重ね20mm±5mmになるように重ね、この時の基材の高さh1を測定する。次に200gの荷重をかけて図14に示すように板厚方向に圧縮せしめこの時の基材高さh2を測定する。この評価を各3回行うことで、h1,h2の平均値を算出した。 こうして得られたh1,h2を用いて圧縮特性Rは次式で計算される。
【0030】
R=(h1−h2)/h1
第2の基材が、上記圧縮特性を有することにより、上下型での圧縮賦形時成形品の厚みに追従する特性や賦形性がえられ、また十分な、繊維間の隙間が保持されるため良好な含浸特性が得られるのである。かかる圧縮特性を有する基材であれば、特に素材や形態は限定されないが、素材の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維やその酸化繊維などの有機繊維等の単一繊維または複数の繊維の集合体が、形態としては織物や不織布等が挙げられる。中でも、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル繊維やその酸化繊維などの不織布が好ましく用いられる。
【0031】
また第1,第3の基材として、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であるものを用いることで、表層に樹脂リッチな部分を形成することが少なくなることから好ましい。また、樹脂の含浸係数が0.1×10−11m2以上0.9×10−10m2以下であれば、内側の樹脂の流動圧に押されて型壁面に密着しやすいので、さらに好ましい。
【0032】
さらに、第2の基材として、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上のものを用いると、成形時に樹脂の未含浸の少ない含浸性の良好な成形体がさらに短時間で得られることから好ましい。また、樹脂の含浸係数としては、1×10−10m2以上50×10−10m2以下であれば、良好な樹脂流動路を確保できるので、さらに好ましい。
【0033】
本発明における樹脂の含浸係数とは、以下の測定法により測定された値のことである。
【0034】
含浸係数の測定方法として一例を説明する。樹脂の含浸過程において、基材に含浸する樹脂の挙動は下式に示すダルシー則に従うことが知られており、含浸速度は以下の式で得られる。
v=(K/μ)×(ΔP/ΔL)・・・(1)
ここで、v(m/s)は含浸速度、K(m2)は含浸係数、μは樹脂粘度(Pa・s)、ΔP(Pa)/ΔL(m)は単位長さ当たりの圧力こう配である。この式を時間t(s)で積分すれば、含浸係数は以下の式で得ることができる。
K=(L×L×μ)/(2×P×t)・・・(2)
ここで、L(m)は樹脂注入口からフローフロント(流動樹脂の先端)までの距離である。(2)式から、樹脂注入口からフローフロントまでの距離とそこへの到達時間、樹脂粘度、成形圧力が分かれば、含浸係数が計算できる。よって含浸係数の測定は、一例として図12に示すような装置を用いて平板のような基本形状に対して含浸係数測定実験を行い、これらを測定することで含浸係数Kが測定できる。
【0035】
本発明では、図12に示す装置を用いて、例えば、幅300mm,長さ950mmに裁断した基材404を1枚準備し、含浸係数測定装置401に配置する。次ぎに図に記載していない透明なアクリル板をその上から配置し、図に記載していないシールにて密閉する。その密閉空間を排出口406を通じて真空ポンプ403にて含浸係数測定装置401内を真空にする。その後、注入口405から測定したい樹脂、もしくは測定したい粘度を有するシリコンオイルを注入することで前記算出に必要な各測定値を得る。
【0036】
本発明では、第1,第2および第3の基材を図4に示すように、上型105と下型106の間に挟んで賦形し成形前駆体を作成する。ここで、第1の基材107および第3の基材109が第2の基材108を挟んだ3層構造になっている部分を有していることが必要であり、第2の基材は、成形品のほぼ全面に配置しても良いし、軽量性を考慮して必要な部分的に限定して配置を行っても良い。また、充填量の観点から第2の基材の目付としては、10〜1500g/m2の範囲とすることが好ましい。
【0037】
また、本発明の整形前駆体には、適宜第1,第2または第3の基材の内部または間にインサート部品を組み込んでも良く、その用途により適宜インサート部品を選択して用いることができる。前記インサート部品の例として、スチールやアルミニウムなどの金属板や、金属柱、金属ボルト、ナット、ヒンジなどの接合用の金属、アルミハニカムコア、あるいはポリウレタン、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル、フェノール、アクリルなどの高分子材料からなるフォーム材やゴム質材、木質材等が挙げられ、主として、釘が効くことや、ネジが立てられる等の接合を目的としたインサート部品、中空構造で軽量化を目的としたインサート部品、振動の減衰を目的としたインサート部品などが好ましく用いられる。
【0038】
本発明の成形前駆体は、例えば、図3に示すような成形・加工後、製品を形成する本体部L1と本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部L2,L3とを含む構造を採ることが好ましい。言い換えると、本体部L1は成形体の主たる構造を形成する部分であり、バリ形成部L2,L3は、成形型を閉じたときに成形型の合わせ目部分に強化繊維基材が挟まりバリを形成する部分のことであり、成形後の最終工程でバリとして除去され本体部L1が製品となる。
【0039】
このように、本体部とバリ形成部とを含む成形前駆体として、第1,第2および第3の基材の内、少なくとも1つの基材がバリ形成部まで延在していることが好ましく、また、第2の基材がバリ形成部まで延在していることが、成形後のバリ除去の容易さの観点からより好ましく、バリ形成部において第1の基材もしくは第3の基材が第2の基材の少なくとも1部を覆っていることが外観の連続性を保つ上でさらに好ましい。このバリ部への延在させる長さとしては、3〜100mmが材料効率の観点から好ましく、5〜30mmがより好ましい。なお、延在しない基材については、本体部の外縁部より0〜100mm小さいことが配置の観点から好ましく、3〜30mmがより好ましい。
【0040】
次に成形体にコア材を用いる場合、図6に示すように上型205と下型206の間に挟まれる成形前駆体としては、第1の基材207および第3の基材209が第2の基材208を挟んだ3層構造になっている部分を有していることが必要であり、例えば、その成形前駆体の外側にコア材210が配置される時、第2の基材208は、コア材210の周囲に存在するように配置していることが好ましい。また、図7に示すように、第2の基材208に接するようにコア材210を配置することで、コア材210が露出しないようにしても構わない。更に、図8に示すように、第2の基材212の内側にコア材210が覆われていても構わない。コア材としては、発泡体が好ましく用いられる。
【0041】
また、下記の式で表される第1と第3の基材および第2の基材の厚み比率Ttが本体部において10以下になるようにすることが外観の良好な成形品を得る観点から好ましい。
【0042】
Tt =(T1+T3)/T2
Tt:厚み比率
T1:第1の基材の厚み
T2:第2の基材の厚み
T3:第3の基材の厚み
なお本発明の成形前駆体を用いる成形法は、例えば、VaRTM成形等にも用いることが出きるが、特にRTM成形に好適である。
【0043】
RTM成形に本発明の成形前駆体を適用する場合は、成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体とする。ここで使用する成形型は、例えば上型と下型を組み合わせた成形金型であり、上型が金型昇降装置に取り付けられる。下型には成形前駆体を配置する。この成形前駆体は、事前に成形型に納まりやすいように強化繊維基材を製品形状に賦形することを目的とした賦形型により作製する。成形型の材質としてはFRP、鋳鋼、構造用炭素鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、ニッケル電鋳、銅電鋳などが挙げられる。成形に用いられる樹脂としては、特に規定しないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂,アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0044】
本発明で得られるFRP成形体の用途としては、建築材料等の一般産業用途のほか、軽量で高い物性が要求される、航空機や自動車、船舶、自転車等の輸送機器などが挙げられる。なかでも、高い表面品位を要求される自動車エンジンフード、トランクリッド等の自動車用外板用途に用いるのに適している。
【実施例】
【0045】
以下に、より具体的な実施例について説明する。
【0046】
基材A:
炭素繊維織物、東レ(株)製CO6343B(織り組織:平織り、織物目付:198g/m2、強化繊維:T300B−3K、弾性率:230GPa、強度:3530MPa、繊度:198tex、フィラメント数:3000本)に予め融点71℃の樹脂(エポキシ変性熱可塑樹脂)を10±3g/m2付着させた基材。
【0047】
基材B:
炭素繊維織物、東レ(株)製BT70−30(織り組織:平織り、織物目付:317g/m2、強化繊維:T700SC−12K、弾性率:230GPa、強度:4900MPa、繊度:800tex、フィラメント数:12000本)に予め融点71℃の樹脂(エポキシ変性熱可塑樹脂)を5±3g/m2付着させた基材。
【0048】
基材C:
耐炎糸不織布、トラスコ中山(株)製カーボンフェルト50CF(布帛の形態:フェルト状不織布、目付:680g/m2)。
【0049】
樹脂a:東レ製 エポキシ樹脂 TR−C35
主剤: エピコート”828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ樹脂)
硬化剤:東レ(株)ブレンド TR−C35H(イミダゾール誘導体)
混合比:主剤:硬化剤=10:1。
【0050】
(実施例1)
図9に示すように全周にT1=3.4mmとなる膨らみを持ち、L1=500mm,L2=20mm,L3=20mm,T2=2.0mmとなる断面を持つ賦形型を準備した。
【0051】
第1の基材として、基材Aを(0/90)/(±45)の2Ply構成を準備し、図9に示す賦形型下型301の本体部長さL1より片側約10mm長くなるようにパターンを裁断した。次に第2の基材として、基材Cを1層準備し、図9に示す賦形型下型の本体部L1より片側18mm長くなるようにパターンを裁断した。続いて、第3の基材として基材Aを(±45)/(0/90)の2Ply構成を準備し、図9に示す賦形型下型301の本体部長さL1より約5mm短くなるようにパターンを裁断した。
【0052】
この時、基材Cの圧縮特性を測定したところ、39.3%であった。また、含浸係数を図12に示す装置により、3回の測定の平均値により測定を行った。測定に際して、成形温度100℃での樹脂aの粘度と常温でほぼ同等の液体を用いて、常温で測定を行ったところ、
基材Aの含浸係数K=0.6×10-10 m2
基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0053】
これら第1〜第3の基材を、第1の基材/第2の基材/第3の基材の順に積層した後に、賦形型下型301に配置し、上型302を閉じた。これら賦形型は、100℃に温調されており、型を閉じた状態で5分間保持した後に型を開けて、成形前駆体を取り出した。
【0054】
次にこの成形前駆体を図示しないが図9とほぼ同形状の断面形状を持つ成形型の下型にセットし上型を閉じた。この成形型は100℃で保持されており、この状態で、樹脂aを図示しない樹脂注入機で注入した後で15分間保持した後に成形型を開けて成形品を得た。
【0055】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、また全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。
【0056】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約2分で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
【0057】
(実施例2)
実施例1における、第1の基材として基材Bを(0/90)の1Ply,第2の基材として、基材Cを1ply,。続いて、第3の基材として基材Aを(0/90)の1Plyとした以外は、同じ方法を用いて成形体を得た。
【0058】
なお、この時測定した基材Cの圧縮特性は、39.3%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、
基材Aの含浸係数K=0.6×10-10 m2
基材Bの含浸係数K=0.66×10-10m2
基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0059】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。
【0060】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、1分20秒で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
(実施例3)
図10に示すように全周にT1=5mmとなる膨らみを持ち、L1=500mm,L2=20mm,L3=20mm,L4=300mm,T2=2.6mm,T3=9mmとなる断面を持つ賦形型を準備した。
【0061】
第1の基材として、基材Bを(0/90)/(±45)の2Ply構成を準備し、図10に示す賦形型下型301の本体部長さL1より片側約10mm長くなるようにパターンを裁断した。次に第2の基材として、基材Cを1層準備し、賦形型下型303の本体部L1より片側約3mm長くなるようにパターンを裁断した。続いて、第3の基材として基材Bを(±45)/(0/90)の2Ply構成を準備し、図10に示す賦形型下型303の本体部長さL1より約5mm短くなるようにパターンを裁断した。
【0062】
この時、この時測定した基材Cの圧縮特性は、39.3%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0063】
これら第1〜第3の基材を、第1の基材/第2の基材/第3の基材の順に積層した後に、
第2の基材の2層の中間に図11に示すような配置でコア材308としてコア材aを配置した。この時のコア材308の長さは、290mmとした。賦形型下型303に配置し、上型304を閉じた。これら賦形型は、100℃に温調されており、型を閉じた状態で5分間保持した後に型を開けて、成形前駆体を取り出した。
【0064】
次にこの成形前駆体を図示しないが図10とほぼ同形状の断面形状を持つ成形型の下型にセットし上型を閉じた。この成形型は100℃で保持されており、この状態で、樹脂aを図示しない樹脂注入機で注入した後で15分間保持した後に成形型を開けて成形品を得た。
【0065】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。また、コア材308の周囲の繊維配向においても良好で樹脂リッチのほとんどない成形体であった。
【0066】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約2分で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
【0067】
(比較例1)
実施例1の第2の基材として、基材Aを(0/90)の4Ply構成にした以外は同じ方法を用いて成形体を得た。なお、この時測定した基材Aの圧縮特性は、26.8%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、基材Aの含浸係数K=0.68×10-10m2であった。
【0068】
得られた成形体は、部分的に樹脂のみ含浸部を持ち、また全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部に繊維の配向が十分行えていない樹脂リッチの部分を多く持ったものであった。更には、成形体の中央部に樹脂含浸性の悪い部分を持っていた。
【0069】
続いて、外周にあるバリ部を簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約1分で容易にバリ取りを行うことができたが、前記膨らみ部にクラックやカケの発生した成形体となった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上述べたように、本発明の成形方法によれば、積層構成の中に所定の圧縮特性を持つ構成を用いることで、厚み方向に変化のある形状に対しても特別な構成を用いることなく容易に賦形を行うことが出来、かつ成形後の端部におけるバリの処理も容易に行うことができる。また、同時に樹脂流動層ともなることから含浸性の優れた成形体を得ることができることから、安価な成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来の成形体の斜視図である。
【図2】図1の成形体のA−A断面図である。
【図3】本発明の成形前駆体の断面図である。
【図4】本発明における基材の積層説明図である。
【図5】本発明における成形体構造図である。
【図6】本発明における基材の積層説明図である。
【図7】本発明における基材の積層説明図である。
【図8】本発明における基材の積層説明図である。
【図9】本発明における型構造説明図である。
【図10】本発明における型構造説明図である。
【図11】本発明における積層構造説明図である。
【図12】本発明における含浸係数測定装置構造図である。
【図13】本発明における基材の圧縮特性測定説明図(圧縮前)である。
【図14】本発明における基材の圧縮特性測定説明図(圧縮後)である。
【符号の説明】
【0072】
11: 圧縮特性を測定する基材
101 繊維強化樹脂成形体
102 強化繊維基材
103 樹脂リッチ部分
105:成形型(上型)
106:成形型(下型)
107:第1の基材
108:第2の基材
109:第3の基材
205:成形型(上型)
206:成形型(下型)
207:第1の基材
208:第2の基材
209:第3の基材
210:コア材
211:第3の基材
212:第2の基材
301:成形型(下型)
302:成形型(上型)
303:成形型(下型)
304:成形型(上型)
305:第1の基材
306:第2の基材
307:第3の基材
308:コア材
401:樹脂含浸係数測定装置
402:樹脂タンク
403:真空ポンプ
404:基材
405:注入口
406:排出口
h1: 圧縮前の積層基材高さ
h2: 圧縮後の積層基材高さ
W: 圧縮荷重
L1: 本体部
L2: バリ形成部
L3: バリ形成部
L4: サンドイッチ部
L5: コア部
T1: 成形体端部厚み
T2: 成形体本体部厚み
T3: 成形体サンドイッチ部厚み
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂(以後、FRPと記す)をRTM(Resin Transfer Molding)成形方法によって成形する際に用いる成形前駆体に関し、特に、樹脂含浸性が良好であるため見含浸部のない品位の良い成形品を短時間で得られ、また、成形後の仕上げ加工を容易にすることも可能な成形前駆体および該成形前駆体を用いる好適なRTM成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FRP、特にCFRP(炭素繊維強化樹脂)は軽量、かつ高い機械的性質を有する複合材料として様々な分野で利用されている。FRP成形方法の一つとして、成形型の成形キャビティに強化繊維基材を配置し、型閉めの後、(場合によっては、型内を減圧して)該型内に液状樹脂を注入し、加熱硬化させるRTM成形法が知られている。
【0003】
RTM成形法では、樹脂を注入させている内に、樹脂の硬化反応が進んで樹脂粘度が上がり、成形品の全域に樹脂が流れないことがある。また、樹脂に遅延剤を添加してゲル化時間を延ばすと、時間が掛かりながらも全域に樹脂を流動させることは可能であるが、所定の樹脂流動に時間がかかったり、樹脂硬化に時間を要したりすることから、生産速度、生産量が低下していた。
【0004】
そこで、樹脂の硬化反応にも依存せず生産速度を向上させるために、樹脂の流動方向に樹脂の注入口を設けることで、到達した樹脂に合わせて、順次注入口より樹脂を供給することで、樹脂を成形品の全域に含浸させる工夫もされている。(例えば、特許文献1)
あるいは、繊維基材内に未硬化の樹脂を含浸させる方法として、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の熱可塑性樹脂、又は、金属からなるメッシュ状のシートを、成形型や可撓性のフィルムと繊維シートとの間に介在させて未硬化の樹脂を供給する方法(例えば、特許文献2参照)や、空間内に配置される発泡性材料等のコア材の表面に溝を形成する方法(例えば、特許文献4参照)や、成形型の内面に凹凸を形成する方法(例えば、特許文献2,3参照)、更に積層体の中央部に嵩密度の小さい補強繊維マット層を配置することで樹脂の含浸性を上げる方法(例えば、特許文献4)等が知られている。
【特許文献1】特開2003−53744号公報
【特許文献2】特開2001−62932号公報
【特許文献3】特表2000−501659号公報
【特許文献4】特開2002−120315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したこれら方法はメッシュ状のシートや、溝、凹凸等を形成した成形型及び可撓性のフィルムや、溝が形成されたコア材を使用しても、繊維シート内に未硬化の樹脂が十分に含浸しない場合があること。また、上述のメッシュ状シートは最終的に除去する必要があるため、製造工程が増加しロスとなる他、必ず表面に配置する必要が有り、除去した後の表面性に問題がある場合があった。さらに、溝や凹凸等を形成された成形型等を用いる場合は、成形型の費用が増加することや、外観意匠性に問題があることもあった。そのほか、溝が形成されたコア材等を用いる場合は、その作製には手間が掛かることから製品のコストアップにつながる場合が多い。
【0006】
また、成形タクトを上げるため、積層体を成形前駆体に賦形したものを配置しRTM成形する方法もあるが、厚みの異なる形状では、積層体の配置に時間を費やしていた。
【0007】
更に、嵩密度の小さい補強繊維マット層を配置する方法だけでは、両面型内に十分な繊維充填ができない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、種々の検討を行った結果、本発明では以下の(1)〜(12)に示す成形前駆体およびRTM成形方法、成形体をもちいることを見出すに至った。
【0009】
(1)外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材の間に、明細書中に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を挟んだ3層構造を有することを特徴とする成形前駆体。
【0010】
(2)前記第1の基材、および前記第3の基材が、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であることを特徴とする前記(1)に記載の成形前駆体。
【0011】
(3)前記第2の基材が、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の成形前駆体。
【0012】
(4)前記第1,前記第2および前記第3の基材の内、少なくとも1つの基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0013】
(5)少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第1の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする前記(4)に記載の成形前駆体。
【0014】
(6)少なくとも前記第2の基材と前記第3の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第3の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする前記(4)または(5)に記載の成形前駆体。
【0015】
(7)発泡体からなるコア材を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0016】
(8)前記発泡体からなるコア材を前記第2の基材に接するように配置したことを特徴とする前記(7)に記載の成形前駆体。
【0017】
(9)前記第2の基材が不織布であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0018】
(10)前記第2の基材の目付が10〜1500g/m2の繊維構造体であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0019】
(11)前記第2の基材と、前記第1および前記第3の基材の厚みの割合が10以下であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の成形前駆体。
【0020】
(12)前記成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を成形するRTM成形方法であって、前記(1)〜(11)記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とするRTM成形方法。
【0021】
(13)成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂と共に硬化させることによって得られる繊維強化樹脂成形体であって、前記(1)〜(12)記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とする強化樹脂成形体。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る成形前駆体、該成形前駆体を用いたRTM成形方法、および該成形前駆体を用いた繊維強化樹脂成形体によれば、 第2の基材が樹脂の流路を確保するので、含浸性が良好で品位の良い成形体を短時間で成形することができる。
【0023】
また、第1,第2および第3の基材の内、少なくとも1の基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成する成形前駆体とすることで成形前駆体の成形型への位置合わせ精度を要さないため、作業が容易となり、作業者間に品質の差が生じることも防止できる。
【0024】
更に、第2の基材が圧縮性を持っていることから、厚み変化のある形状にも繊維を有効に配置し充填することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明で使用する第1,第3の基材としては、例えば樹脂の含浸されていない強化繊維が集合した基材を用いることができ、その強化繊維としては炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維等が挙げられ、単一繊維のみならず複数の繊維の集合体でも良い。また、これらの形態としては織物や不織布等が挙げられ、これら基材を単層でも複数枚重ねた構成にしても構わない。更に各基材を固着させるための固着材等を使用しても良い。
【0027】
次に第2の基材として、成形品の厚みに追従する特性や賦形性が必要であることから、以下に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である基材を用いることが必要である。
【0028】
ここで言う圧縮特性とは、基材の厚み方向に所定荷重をかけた場合の厚み方向の変形度合いを表しており、次のようにして測定を行う。
【0029】
図13に示すように、評価する基材11を50±3mmの正四角形に裁断し、複数枚を積み重ね20mm±5mmになるように重ね、この時の基材の高さh1を測定する。次に200gの荷重をかけて図14に示すように板厚方向に圧縮せしめこの時の基材高さh2を測定する。この評価を各3回行うことで、h1,h2の平均値を算出した。 こうして得られたh1,h2を用いて圧縮特性Rは次式で計算される。
【0030】
R=(h1−h2)/h1
第2の基材が、上記圧縮特性を有することにより、上下型での圧縮賦形時成形品の厚みに追従する特性や賦形性がえられ、また十分な、繊維間の隙間が保持されるため良好な含浸特性が得られるのである。かかる圧縮特性を有する基材であれば、特に素材や形態は限定されないが、素材の例としては、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、あるいはアラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維やその酸化繊維などの有機繊維等の単一繊維または複数の繊維の集合体が、形態としては織物や不織布等が挙げられる。中でも、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアクリロニトリル繊維やその酸化繊維などの不織布が好ましく用いられる。
【0031】
また第1,第3の基材として、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であるものを用いることで、表層に樹脂リッチな部分を形成することが少なくなることから好ましい。また、樹脂の含浸係数が0.1×10−11m2以上0.9×10−10m2以下であれば、内側の樹脂の流動圧に押されて型壁面に密着しやすいので、さらに好ましい。
【0032】
さらに、第2の基材として、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上のものを用いると、成形時に樹脂の未含浸の少ない含浸性の良好な成形体がさらに短時間で得られることから好ましい。また、樹脂の含浸係数としては、1×10−10m2以上50×10−10m2以下であれば、良好な樹脂流動路を確保できるので、さらに好ましい。
【0033】
本発明における樹脂の含浸係数とは、以下の測定法により測定された値のことである。
【0034】
含浸係数の測定方法として一例を説明する。樹脂の含浸過程において、基材に含浸する樹脂の挙動は下式に示すダルシー則に従うことが知られており、含浸速度は以下の式で得られる。
v=(K/μ)×(ΔP/ΔL)・・・(1)
ここで、v(m/s)は含浸速度、K(m2)は含浸係数、μは樹脂粘度(Pa・s)、ΔP(Pa)/ΔL(m)は単位長さ当たりの圧力こう配である。この式を時間t(s)で積分すれば、含浸係数は以下の式で得ることができる。
K=(L×L×μ)/(2×P×t)・・・(2)
ここで、L(m)は樹脂注入口からフローフロント(流動樹脂の先端)までの距離である。(2)式から、樹脂注入口からフローフロントまでの距離とそこへの到達時間、樹脂粘度、成形圧力が分かれば、含浸係数が計算できる。よって含浸係数の測定は、一例として図12に示すような装置を用いて平板のような基本形状に対して含浸係数測定実験を行い、これらを測定することで含浸係数Kが測定できる。
【0035】
本発明では、図12に示す装置を用いて、例えば、幅300mm,長さ950mmに裁断した基材404を1枚準備し、含浸係数測定装置401に配置する。次ぎに図に記載していない透明なアクリル板をその上から配置し、図に記載していないシールにて密閉する。その密閉空間を排出口406を通じて真空ポンプ403にて含浸係数測定装置401内を真空にする。その後、注入口405から測定したい樹脂、もしくは測定したい粘度を有するシリコンオイルを注入することで前記算出に必要な各測定値を得る。
【0036】
本発明では、第1,第2および第3の基材を図4に示すように、上型105と下型106の間に挟んで賦形し成形前駆体を作成する。ここで、第1の基材107および第3の基材109が第2の基材108を挟んだ3層構造になっている部分を有していることが必要であり、第2の基材は、成形品のほぼ全面に配置しても良いし、軽量性を考慮して必要な部分的に限定して配置を行っても良い。また、充填量の観点から第2の基材の目付としては、10〜1500g/m2の範囲とすることが好ましい。
【0037】
また、本発明の整形前駆体には、適宜第1,第2または第3の基材の内部または間にインサート部品を組み込んでも良く、その用途により適宜インサート部品を選択して用いることができる。前記インサート部品の例として、スチールやアルミニウムなどの金属板や、金属柱、金属ボルト、ナット、ヒンジなどの接合用の金属、アルミハニカムコア、あるいはポリウレタン、ポリスチレン、ポリイミド、塩化ビニル、フェノール、アクリルなどの高分子材料からなるフォーム材やゴム質材、木質材等が挙げられ、主として、釘が効くことや、ネジが立てられる等の接合を目的としたインサート部品、中空構造で軽量化を目的としたインサート部品、振動の減衰を目的としたインサート部品などが好ましく用いられる。
【0038】
本発明の成形前駆体は、例えば、図3に示すような成形・加工後、製品を形成する本体部L1と本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部L2,L3とを含む構造を採ることが好ましい。言い換えると、本体部L1は成形体の主たる構造を形成する部分であり、バリ形成部L2,L3は、成形型を閉じたときに成形型の合わせ目部分に強化繊維基材が挟まりバリを形成する部分のことであり、成形後の最終工程でバリとして除去され本体部L1が製品となる。
【0039】
このように、本体部とバリ形成部とを含む成形前駆体として、第1,第2および第3の基材の内、少なくとも1つの基材がバリ形成部まで延在していることが好ましく、また、第2の基材がバリ形成部まで延在していることが、成形後のバリ除去の容易さの観点からより好ましく、バリ形成部において第1の基材もしくは第3の基材が第2の基材の少なくとも1部を覆っていることが外観の連続性を保つ上でさらに好ましい。このバリ部への延在させる長さとしては、3〜100mmが材料効率の観点から好ましく、5〜30mmがより好ましい。なお、延在しない基材については、本体部の外縁部より0〜100mm小さいことが配置の観点から好ましく、3〜30mmがより好ましい。
【0040】
次に成形体にコア材を用いる場合、図6に示すように上型205と下型206の間に挟まれる成形前駆体としては、第1の基材207および第3の基材209が第2の基材208を挟んだ3層構造になっている部分を有していることが必要であり、例えば、その成形前駆体の外側にコア材210が配置される時、第2の基材208は、コア材210の周囲に存在するように配置していることが好ましい。また、図7に示すように、第2の基材208に接するようにコア材210を配置することで、コア材210が露出しないようにしても構わない。更に、図8に示すように、第2の基材212の内側にコア材210が覆われていても構わない。コア材としては、発泡体が好ましく用いられる。
【0041】
また、下記の式で表される第1と第3の基材および第2の基材の厚み比率Ttが本体部において10以下になるようにすることが外観の良好な成形品を得る観点から好ましい。
【0042】
Tt =(T1+T3)/T2
Tt:厚み比率
T1:第1の基材の厚み
T2:第2の基材の厚み
T3:第3の基材の厚み
なお本発明の成形前駆体を用いる成形法は、例えば、VaRTM成形等にも用いることが出きるが、特にRTM成形に好適である。
【0043】
RTM成形に本発明の成形前駆体を適用する場合は、成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体とする。ここで使用する成形型は、例えば上型と下型を組み合わせた成形金型であり、上型が金型昇降装置に取り付けられる。下型には成形前駆体を配置する。この成形前駆体は、事前に成形型に納まりやすいように強化繊維基材を製品形状に賦形することを目的とした賦形型により作製する。成形型の材質としてはFRP、鋳鋼、構造用炭素鋼、アルミニウム合金、亜鉛合金、ニッケル電鋳、銅電鋳などが挙げられる。成形に用いられる樹脂としては、特に規定しないが、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられ、さらには、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂,アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂も使用可能である。
【0044】
本発明で得られるFRP成形体の用途としては、建築材料等の一般産業用途のほか、軽量で高い物性が要求される、航空機や自動車、船舶、自転車等の輸送機器などが挙げられる。なかでも、高い表面品位を要求される自動車エンジンフード、トランクリッド等の自動車用外板用途に用いるのに適している。
【実施例】
【0045】
以下に、より具体的な実施例について説明する。
【0046】
基材A:
炭素繊維織物、東レ(株)製CO6343B(織り組織:平織り、織物目付:198g/m2、強化繊維:T300B−3K、弾性率:230GPa、強度:3530MPa、繊度:198tex、フィラメント数:3000本)に予め融点71℃の樹脂(エポキシ変性熱可塑樹脂)を10±3g/m2付着させた基材。
【0047】
基材B:
炭素繊維織物、東レ(株)製BT70−30(織り組織:平織り、織物目付:317g/m2、強化繊維:T700SC−12K、弾性率:230GPa、強度:4900MPa、繊度:800tex、フィラメント数:12000本)に予め融点71℃の樹脂(エポキシ変性熱可塑樹脂)を5±3g/m2付着させた基材。
【0048】
基材C:
耐炎糸不織布、トラスコ中山(株)製カーボンフェルト50CF(布帛の形態:フェルト状不織布、目付:680g/m2)。
【0049】
樹脂a:東レ製 エポキシ樹脂 TR−C35
主剤: エピコート”828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ樹脂)
硬化剤:東レ(株)ブレンド TR−C35H(イミダゾール誘導体)
混合比:主剤:硬化剤=10:1。
【0050】
(実施例1)
図9に示すように全周にT1=3.4mmとなる膨らみを持ち、L1=500mm,L2=20mm,L3=20mm,T2=2.0mmとなる断面を持つ賦形型を準備した。
【0051】
第1の基材として、基材Aを(0/90)/(±45)の2Ply構成を準備し、図9に示す賦形型下型301の本体部長さL1より片側約10mm長くなるようにパターンを裁断した。次に第2の基材として、基材Cを1層準備し、図9に示す賦形型下型の本体部L1より片側18mm長くなるようにパターンを裁断した。続いて、第3の基材として基材Aを(±45)/(0/90)の2Ply構成を準備し、図9に示す賦形型下型301の本体部長さL1より約5mm短くなるようにパターンを裁断した。
【0052】
この時、基材Cの圧縮特性を測定したところ、39.3%であった。また、含浸係数を図12に示す装置により、3回の測定の平均値により測定を行った。測定に際して、成形温度100℃での樹脂aの粘度と常温でほぼ同等の液体を用いて、常温で測定を行ったところ、
基材Aの含浸係数K=0.6×10-10 m2
基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0053】
これら第1〜第3の基材を、第1の基材/第2の基材/第3の基材の順に積層した後に、賦形型下型301に配置し、上型302を閉じた。これら賦形型は、100℃に温調されており、型を閉じた状態で5分間保持した後に型を開けて、成形前駆体を取り出した。
【0054】
次にこの成形前駆体を図示しないが図9とほぼ同形状の断面形状を持つ成形型の下型にセットし上型を閉じた。この成形型は100℃で保持されており、この状態で、樹脂aを図示しない樹脂注入機で注入した後で15分間保持した後に成形型を開けて成形品を得た。
【0055】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、また全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。
【0056】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約2分で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
【0057】
(実施例2)
実施例1における、第1の基材として基材Bを(0/90)の1Ply,第2の基材として、基材Cを1ply,。続いて、第3の基材として基材Aを(0/90)の1Plyとした以外は、同じ方法を用いて成形体を得た。
【0058】
なお、この時測定した基材Cの圧縮特性は、39.3%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、
基材Aの含浸係数K=0.6×10-10 m2
基材Bの含浸係数K=0.66×10-10m2
基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0059】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。
【0060】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、1分20秒で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
(実施例3)
図10に示すように全周にT1=5mmとなる膨らみを持ち、L1=500mm,L2=20mm,L3=20mm,L4=300mm,T2=2.6mm,T3=9mmとなる断面を持つ賦形型を準備した。
【0061】
第1の基材として、基材Bを(0/90)/(±45)の2Ply構成を準備し、図10に示す賦形型下型301の本体部長さL1より片側約10mm長くなるようにパターンを裁断した。次に第2の基材として、基材Cを1層準備し、賦形型下型303の本体部L1より片側約3mm長くなるようにパターンを裁断した。続いて、第3の基材として基材Bを(±45)/(0/90)の2Ply構成を準備し、図10に示す賦形型下型303の本体部長さL1より約5mm短くなるようにパターンを裁断した。
【0062】
この時、この時測定した基材Cの圧縮特性は、39.3%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、基材Cの含浸係数K=3.6×10-10m2であった。
【0063】
これら第1〜第3の基材を、第1の基材/第2の基材/第3の基材の順に積層した後に、
第2の基材の2層の中間に図11に示すような配置でコア材308としてコア材aを配置した。この時のコア材308の長さは、290mmとした。賦形型下型303に配置し、上型304を閉じた。これら賦形型は、100℃に温調されており、型を閉じた状態で5分間保持した後に型を開けて、成形前駆体を取り出した。
【0064】
次にこの成形前駆体を図示しないが図10とほぼ同形状の断面形状を持つ成形型の下型にセットし上型を閉じた。この成形型は100℃で保持されており、この状態で、樹脂aを図示しない樹脂注入機で注入した後で15分間保持した後に成形型を開けて成形品を得た。
【0065】
得られた成形体は、樹脂含浸の良好な外観を有する物であり、全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部にも繊維の配向を持った、樹脂リッチの極めて少ない物であった。また、コア材308の周囲の繊維配向においても良好で樹脂リッチのほとんどない成形体であった。
【0066】
続いて、外周にあるバリ部は、第1と第2の基材と樹脂からなる薄いFRPであるため、簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約2分で容易にバリ取りを行うことができ、NC等の大がかりな装置を必要とせず仕上げ加工を行うことができた。
【0067】
(比較例1)
実施例1の第2の基材として、基材Aを(0/90)の4Ply構成にした以外は同じ方法を用いて成形体を得た。なお、この時測定した基材Aの圧縮特性は、26.8%であった。また、実施例1と同様に含浸係数を測定したところ、基材Aの含浸係数K=0.68×10-10m2であった。
【0068】
得られた成形体は、部分的に樹脂のみ含浸部を持ち、また全周に設けられたT1の厚みの膨らみ部に繊維の配向が十分行えていない樹脂リッチの部分を多く持ったものであった。更には、成形体の中央部に樹脂含浸性の悪い部分を持っていた。
【0069】
続いて、外周にあるバリ部を簡単なバリ取り工具およびサンディングツールにてバリ取り加工を行ったところ、約1分で容易にバリ取りを行うことができたが、前記膨らみ部にクラックやカケの発生した成形体となった。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上述べたように、本発明の成形方法によれば、積層構成の中に所定の圧縮特性を持つ構成を用いることで、厚み方向に変化のある形状に対しても特別な構成を用いることなく容易に賦形を行うことが出来、かつ成形後の端部におけるバリの処理も容易に行うことができる。また、同時に樹脂流動層ともなることから含浸性の優れた成形体を得ることができることから、安価な成形体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】従来の成形体の斜視図である。
【図2】図1の成形体のA−A断面図である。
【図3】本発明の成形前駆体の断面図である。
【図4】本発明における基材の積層説明図である。
【図5】本発明における成形体構造図である。
【図6】本発明における基材の積層説明図である。
【図7】本発明における基材の積層説明図である。
【図8】本発明における基材の積層説明図である。
【図9】本発明における型構造説明図である。
【図10】本発明における型構造説明図である。
【図11】本発明における積層構造説明図である。
【図12】本発明における含浸係数測定装置構造図である。
【図13】本発明における基材の圧縮特性測定説明図(圧縮前)である。
【図14】本発明における基材の圧縮特性測定説明図(圧縮後)である。
【符号の説明】
【0072】
11: 圧縮特性を測定する基材
101 繊維強化樹脂成形体
102 強化繊維基材
103 樹脂リッチ部分
105:成形型(上型)
106:成形型(下型)
107:第1の基材
108:第2の基材
109:第3の基材
205:成形型(上型)
206:成形型(下型)
207:第1の基材
208:第2の基材
209:第3の基材
210:コア材
211:第3の基材
212:第2の基材
301:成形型(下型)
302:成形型(上型)
303:成形型(下型)
304:成形型(上型)
305:第1の基材
306:第2の基材
307:第3の基材
308:コア材
401:樹脂含浸係数測定装置
402:樹脂タンク
403:真空ポンプ
404:基材
405:注入口
406:排出口
h1: 圧縮前の積層基材高さ
h2: 圧縮後の積層基材高さ
W: 圧縮荷重
L1: 本体部
L2: バリ形成部
L3: バリ形成部
L4: サンドイッチ部
L5: コア部
T1: 成形体端部厚み
T2: 成形体本体部厚み
T3: 成形体サンドイッチ部厚み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材の間に、明細書中に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を挟んだ3層構造を有することを特徴とする成形前駆体。
【請求項2】
前記第1の基材、および前記第3の基材が、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形前駆体。
【請求項3】
前記第2の基材が、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形前駆体。
【請求項4】
前記第1,前記第2および前記第3の基材の内、少なくとも1つの基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成することを特徴とする特許請求項1〜3のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項5】
少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第1の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の成形前駆体。
【請求項6】
少なくとも前記第2の基材と前記第3の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第3の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の成形前駆体。
【請求項7】
発泡体からなるコア材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項8】
前記発泡体からなるコア材を前記第2の基材に接するように配置したことを特徴とする請求項7に記載の成形前駆体。
【請求項9】
前記第2の基材が不織布であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項10】
前記第2の基材の目付が10〜1500g/m2の繊維構造体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項11】
前記第2の基材と、前記第1および前記第3の基材の厚みの割合が10以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項12】
前記成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を成形するRTM成形方法であって、請求項1〜11記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とするRTM成形方法。
【請求項13】
成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂と共に硬化させることによって得られる繊維強化樹脂成形体であって、請求項1〜12記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とする強化樹脂成形体。
【請求項1】
外表面を形成する第1の基材と内部面を形成する第3の基材の間に、明細書中に規定する圧縮特性が35%〜80%の範囲である第2の基材を挟んだ3層構造を有することを特徴とする成形前駆体。
【請求項2】
前記第1の基材、および前記第3の基材が、樹脂の含浸係数が0.9×10−10m2以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形前駆体。
【請求項3】
前記第2の基材が、樹脂の含浸係数が1×10−10m2以上である基材であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形前駆体。
【請求項4】
前記第1,前記第2および前記第3の基材の内、少なくとも1つの基材が成形・加工後、製品を形成する本体部の縁から外方に連続して延び成形後バリとなるバリ形成部を構成することを特徴とする特許請求項1〜3のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項5】
少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第1の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の成形前駆体。
【請求項6】
少なくとも前記第2の基材と前記第3の基材が、前記バリ形成部を構成し、前記バリ形成部において前記第3の基材が前記第2の基材の少なくとも一部を被覆するように配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の成形前駆体。
【請求項7】
発泡体からなるコア材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項8】
前記発泡体からなるコア材を前記第2の基材に接するように配置したことを特徴とする請求項7に記載の成形前駆体。
【請求項9】
前記第2の基材が不織布であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項10】
前記第2の基材の目付が10〜1500g/m2の繊維構造体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項11】
前記第2の基材と、前記第1および前記第3の基材の厚みの割合が10以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形前駆体。
【請求項12】
前記成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂を前記成形型内に注入し硬化させることによって繊維強化樹脂成形体を成形するRTM成形方法であって、請求項1〜11記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とするRTM成形方法。
【請求項13】
成形前駆体を成形型内に配置し、樹脂と共に硬化させることによって得られる繊維強化樹脂成形体であって、請求項1〜12記載のいずれかの成形前駆体を用いていることを特徴とする強化樹脂成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−196685(P2007−196685A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353765(P2006−353765)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
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