成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法
【課題】成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】圧縮成形用金型10では、金型部材1は凹部1aを有し、金型部材2は凹部1aに対応して設けられた凸部2aを有している。凸部2aは凹部1aの底面と対向する上面2a1に突起部2eを有している。突起部2eは、凸部2aの側面2a2に繋がる側面2e2とキャビティに面する頂面2e1とを有し、かつ上面2a1の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている。
【解決手段】圧縮成形用金型10では、金型部材1は凹部1aを有し、金型部材2は凹部1aに対応して設けられた凸部2aを有している。凸部2aは凹部1aの底面と対向する上面2a1に突起部2eを有している。突起部2eは、凸部2aの側面2a2に繋がる側面2e2とキャビティに面する頂面2e1とを有し、かつ上面2a1の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応から電力を得る燃料電池においては、近年ポ−タブル機器、自動車等の種々の用途への適用が検討されている。燃料電池は、電解質膜、電極およびセパレータからなる基本構成単位、すなわち単位セルが通常直列に数十〜数百セル積層された構造を有する。一般的な燃料電池の製造方法では電解質膜および電極は予め電解質膜/電極接合体(MEA)として形成され、これにセパレータが配置される。セパレータとしては、水素等の燃料と、空気または酸素からなる酸化剤と、セルを冷却するための冷媒とをそれぞれ供給するための流路を少なくとも片面に形成したものが用いられる。
【0003】
セパレータでは、隣接するMEAとの電気的な接続を確保して燃料電池の発電効率を高めるために十分な導電性を備えることが必要であるが、これに加えて、単位セルの積層構造を支えるために十分な機械的強度が必要とされる。また、燃料電池の小型化の要求に伴い近年ではセパレータの薄肉化も求められている。さらに、単位セルの積層構造における単位セル間の接触抵抗を低減するために厚み精度の向上も求められている。
【0004】
従来の燃料電池用セパレータは、樹脂と炭素材料とを含む成形材料を圧縮成形用金型内に投入し加圧することによって成形される。このような燃料電池用セパレータを形成するための成形用金型の構造は従来から各種提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。
【0005】
この圧縮成形用金型には、(1)金型内および成形材料中の空気を効率よく金型外に排出できること、(2)金型内に余分に充填した成形材料を金型外に排出できることが求められる。
【0006】
一般的に、従来の圧縮成形用金型は、図29(a)に示すように、凹部(キャビティ)101aを有する凹型101と、凸部(コア)102aを有する凸型102とから構成されている。そして、上記(1)、(2)を満たすために、凹部101aの側壁と凸部102aの側壁とを対向させたシェアエッジ(図中領域P)が設けられている。
【0007】
このような金型を用いて成形材料120aを成形すると、余剰分の成形材料は凹部101aからフローアウトして、シェアエッジの隙間(クリアランス)へ排出され、かつ金型内および成形材料中の空気も効率よく金型外へ排出され得る。
【0008】
また金型として、図30(a)に示すように、凹部101aを有する金型101と、凹部102aを有する金型102とから構成される合わせ型の圧縮成形用金型もある。この合わせ型の金型では、構造が簡単で、金型全体の厚みを薄くすることもできる。
【特許文献1】特開2001−198921号公報
【特許文献2】特開2003−170459号公報
【特許文献3】特開2004−230788号公報
【特許文献4】特開2004−71334号公報
【特許文献5】特許第3751911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図29(a)に示す従来のシェアエッジ構造の圧縮成形用金型では、図29(b)に示すように成形品120の主表面120Aに交差する方向に樹脂バリが生じる。また図30(a)に示す従来の合わせ型の圧縮成形用金型では、図30(b)に示すように成形品120の主表面120Aに略平行な方向に樹脂バリが生じる。
【0010】
燃料電池において複数枚のセパレータ(成形品)を積み重ねるときには、成形品同士を十分に接触させる必要がある。しかし、図29(b)に示すように成形品120の主表面120Aに交差する方向に樹脂バリが生じていると、成形品120同士を十分に接触させることができないという問題がある。
【0011】
また複数枚のセパレータ(成形品)を積み重ねるときの位置決めの精度は成形品の外周形状により決定される。しかし、図30(b)に示すように成形品120の主表面120Aに略平行な方向に樹脂バリが生じていると、位置決め精度が悪化して精度よく成形品120を積み重ねることができないという問題がある。
【0012】
また成形品の外周部だけでなく、成形品面内の貫通孔等にも上記のような樹脂バリが生じる。よって、貫通孔部分に形成された樹脂バリによって、上記と同様に、成形品同士を十分に接触させることができないという問題もある。
【0013】
また、これらの樹脂バリを取り除くためには、複雑なバリ取り加工工程が必要となる。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の成形用金型は、成形材料を成形するための成形用金型であって、第1の金型部材と、第2の金型部材とを備えている。第1の金型部材は、第1の凹部を有している。第2の金型部材は、第1の凹部に対応して設けられた第1の凸部を有している。第1の凸部は、第1の凹部の底面と対向する上面に突起部を有している。その突起部は、第1の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ上面の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている。
【0015】
本発明の成形用金型によれば、第1の金型部材の凹部と第2の金型部材の凸部とにより成形材料が成形されるため、成形品のバリは当該凸部の上面に交差する方向に生じる。ここで、当該凸部の上面縁部に突起部が設けられているため、その突起部の頂面を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部の上面よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。このため、成形品を積み重ねるときに成形品同士を十分に接触させることが可能となる。また、成形品のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0016】
上記の成形用金型において好ましくは、第1の金型部材は第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、第1の凸部と第1の凹部とを対応させて第1の金型部材と第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、第2の凸部の上面は第1の凹部の底面に対して第1の凸部の上面よりも下側に位置している。
【0017】
これにより、脱型する際に、バリが第1の凸部の上面位置よりもキャビティ側で折れるため、バリが第1の凸部の上面から突き出すことが防止される。
【0018】
上記の成形用金型において好ましくは、第2の金型部材は、第1の凸部の側面と第1の凸部の側面に繋がる突起部の側面とから構成された連結側面を有している。連結側面は、第1の側面部分と、第1の側面部分よりも突起部の頂面側に位置する第2の側面部分とを有している。第1の凹部の底面の垂線に対する第2の側面部分の傾斜角度は、その垂線に対する第1の側面部分の傾斜角度よりも大きい。
【0019】
これにより、成形品が脱型と同時にバリの部分で折れるため、脱型後にバリ部分を取り外す作業が不要となる。
【0020】
上記の成形用金型において好ましくは、第2の金型部材は、第1の凸部の側面と第1の凸部の側面に繋がる突起部の側面とから構成された連結側面を有している。第1の金型部材は第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有している。第2の金型部材は第1の凸部の周囲を取り囲み、かつ第2の凸部に対応して設けられた第2の凹部を有している。第1の凸部と第1の凹部とを対応させて第1の金型部材と第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、連結側面と第2の凸部との最短距離が第2の凸部の上面と第2の凹部の底面との距離よりも小さい。
【0021】
これにより、脱型の際に、第2の凸部の上面と第2の凹部の底面との間よりも連結側面と第2の凸部との間の方が割れやすくなる。このため、脱型の際にバリが第1の凸部の上面から突き出すことが抑制される。
【0022】
本発明の他の成形用金型は、成形材料を成形して成形品を形成するための成形用金型であって、第1の金型部材と、第2の金型部材とを備えている。第1の金型部材は、成形品に孔を形成するための孔形成用凸部およびその孔形成用凸部の周囲を取り囲む凹部を有している。第2の金型部材は、孔形成用凸部に対応して設けられた孔形成用凹部およびその孔形成用凹部の周囲を取り囲む凸部を有している。第2の金型部材の凸部は、凹部の底面に対向する上面に突起部を有している。突起部は、第2の金型部材の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ孔形成用凹部の全周を取り囲むように形成されている。
【0023】
本発明の他の成形用金型によれば、第1の金型部材の孔形成用凸部と第2の金型部材の孔形成用凹部とにより成形材料に孔が成形されるため、成形品のバリは当該孔形成用凸部の上面に交差する方向に生じる。ここで、孔形成用凹部の全周を取り囲むように第2の金型部材の凸部に突起部が設けられているため、その突起部の頂面を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部の上面よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。このため、成形品を積み重ねるときに成形品同士を十分に接触させることが可能となる。また、成形品のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0024】
上記の他の成形用金型において好ましくは、成形品の孔に接続された流路を形成するための流路形成用凸部は、流路が接続される孔を形成するための孔形成用凸部に接続するように第1の金型部材に形成されている。
【0025】
仮に流路と孔とが接続される表面側にバリが生じる場合には、流路と孔との接続部にバリが存在することになり、流路−孔間における流体の流れが阻害される。しかし、上記の他の成形用金型では、流路形成用凸部と孔形成用凸部とが接続される第1の金型部材とは反対側の第2の金型部材に突起部が形成されているため、流路と孔との接続部にバリが生じることはない。よって、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0026】
本発明の燃料電池用セパレータは、マニホールド用の孔とその孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、その燃料電池用セパレータの互いに対向する表面のいずれか一方に、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成されている。
【0027】
本発明の燃料電池用セパレータによれば、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成されている。この凸部はバリであるが、バリの内周側に凹部があるため、バリ発生の起点は凹部の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータの表面から突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータを積み重ねるときに燃料電池用セパレータ同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータのバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータを位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0028】
本発明の他の燃料電池用セパレータは、マニホールド用の孔とその孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、流路の底面は平坦であり、流路が接続された孔の周囲であって流路が形成された面とは反対側の面に孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成されている。
【0029】
本発明の他の燃料電池用セパレータによれば、マニホールド用の孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成されている。この凸部はバリであるが、バリの外周側に凹部があるため、バリ発生の起点は凹部の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータの表面から突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータを積み重ねるときに燃料電池用セパレータ同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータのバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータを位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0030】
また燃料電池では、燃料ガスと酸素ガスとが反応することにより水が生成される。このため、流路と孔との接続部にバリがあると、この生成水がバリにより流路から孔へ流れ込み難くなり、流路に溜まる。この溜まった水塊が隣のセルに流入することでガスの流れが不安定となり、電池電圧が乱れる。しかし本発明では、バリとなる凸部は流路が形成された面とは反対側の面に形成されるため、流路と孔との接続部にバリが生じることはない。よって、上記の電池電圧の乱れは生じない。
【0031】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、上記の成形用金型を用いて成形材料を成形する工程を経て燃料電池用セパレータを製造することを特徴とするものである。
【0032】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によれば、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における成形用金型の構成を概略的に示す断面図である。また図2は図1に示す成形用金型の下型(金型部材1)の賦形側の面を示す概略平面図であり、図3は図1に示す成形用金型の上型(金型部材2)の賦形側の面を示す概略平面図である。また図4、図5および図6の各々は図1の領域R1、R3およびR4の各々を拡大して示す断面図である。なお図1の断面は、図2のI−I線、図3のI−I線に沿う断面に対応している。
【0035】
図1〜図3を参照して、本実施の形態の成形用金型10は、成形材料を成形するための成形用金型であって、金型部材1(図2)と、金型部材2(図3)とを有している。金型部材1は、金型部材2と対向する表面に凹部1aを有しており、この凹部1aの周囲を取り囲む凸部1dを有している。金型部材2は、金型部材1と対向する表面に、凹部1aに対応して設けられた凸部2aを有している。また金型部材2は、この凸部2aの周囲を取り囲み、かつ凸部1dに対応して設けられた凹部2dを有している。
【0036】
図4を参照して、凸部2aは、凹部1aの底面1a1と対向する上面2a1を有し、その上面2a1に突起部2eを有している。この突起部2eは、凸部2aの側面2a2に繋がる側面2e2とキャビティに面する頂面2e1とを有し、かつ図3に示すように上面2a1の縁部の全周を取り囲むように形成されている。突起部2eは、上面2a1の縁部の一部を取り囲むように形成されていてもよい。
【0037】
なお、本明細書におけるキャビティとは、成形金型の成形品(たとえば図21〜図23のセパレータ)に該当する空間部分を意味する。
【0038】
図1〜図3を参照して、金型部材1は、成形品に孔を形成するための孔形成用凸部1bと、成形品に別の孔を形成するための孔形成用凹部1cとを有している。金型部材1の凹部1aは、孔形成用凸部1bの周囲を取り囲む凹部であり、また孔形成用凹部1cの周囲を取り囲む凸部でもある。
【0039】
金型部材2は、成形品に孔を形成するための孔形成用凹部2bと、成形品に別の孔を形成するための孔形成用凸部2cとを有している。金型部材2の凸部2aは、孔形成用凹部2bの周囲を取り囲む凸部であり、また孔形成用凸部2cの周囲を取り囲む凹部でもある。
【0040】
図1を参照して、金型部材1の孔形成用凸部1bは金型部材2の孔形成用凹部2bに対応して設けられており、また金型部材1の孔形成用凹部1cは金型部材2の孔形成用凸部2cに対応して設けられている。
【0041】
図5を参照して、金型部材2の凸部2aは、金型部材1の凹部1aの底面1a1に対向する上面2a1に突起部2fを有している。その突起部2fは、凸部2aの側面(孔形成用凹部2bの側面)2a3に繋がる側面2f2を有し、キャビティに面する頂面2f1を有している。また突起部2fは、図3に示すように金型部材2の孔形成用凹部2bの全周を取り囲むように形成されている。
【0042】
図6を参照して、金型部材1の凹部1aは、金型部材2の凸部2aの上面2a1に対向する底面1a1に突起部1fを有している。その突起部1fは、凹部1aの側面(孔形成用凹部1cの側面)1c2に繋がる側面1f2を有し、キャビティに面する頂面1f1を有している。また突起部1fは、図2に示すように金型部材1の孔形成用凹部1cの全周を取り囲むように形成されている。
【0043】
図1〜図3を参照して、金型部材1は、成形品の一方表面に流路を形成するための流路形成用凸部1gを凹部1aの底面1a1に有している。流路形成用凸部1gの両端の各々は、図2に示すように孔形成用凸部1bに接続するように形成されている。この流路形成用凸部1gは、突起部2fが形成された金型部材2とは反対側の金型部材1に形成されている。
【0044】
図1〜図3を参照して、金型部材2も、成形品の他方表面に流路を形成するための流路形成用凸部2gを凸部2aの上面2a1に有している。流路形成用凸部2gの両端の各々は、図3に示すように孔形成用凸部2cに接続するように形成されている。この流路形成用凸部2gは、突起部1fが形成された金型部材1とは反対側の金型部材2に形成されている。
【0045】
図7〜図9は、図1の領域R2を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凹部1aの底面1a1に対する、凸部2aの上面2a1の高さH11と、凸部1dの上面1d1の高さH21との関係に関しては、図7に示すように高さH11と高さH21とが同じ場合と、図8に示すように高さH21が高さH11よりも高い場合と、図9に示すように高さH21が高さH11よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図9に示すように高さH21が高さH11よりも低く、凹部1aの底面1a1に対して凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0046】
図10および図11は、図1の領域R3を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凹部1aの底面1a1に対する、凸部2aの上面2a1の高さH11と、孔形成用凸部1bの上面1b1の高さH22との関係に関しては、図5に示すように高さH11と高さH22とが同じ場合と、図10に示すように高さH22が高さH11よりも高い場合と、図11に示すように高さH22が高さH11よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図11に示すように高さH22が高さH11よりも低く、凹部1aの底面1a1に対して孔形成用凸部1bの上面1b1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、孔形成用凸部1bの上面1b1が凸部2aの上面2a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0047】
図12および図13は、図1の領域R4を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凸部2aの上面2a1に対する、凹部1aの底面1a1の高さH12と、孔形成用凸部2cの上面2c1の高さH23との関係に関しては、図6に示すように高さH12と高さH23とが同じ場合と、図12に示すように高さH23が高さH12よりも高い場合と、図13に示すように高さH23が高さH12よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図13に示すように高さH23が高さH12よりも低く、凸部2aの上面2a1に対して孔形成用凸部2cの上面2c1が凹部1aの底面1a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、孔形成用凸部2cの上面2c1が凹部1aの底面1a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0048】
図14〜図16の各々は、図7〜図9の各々に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。図14〜図16に示すように突起部2eの側面2e2と凸部2aの側面2a2とから構成された連結側面2h1は、その根元(凹部2dの底面2d1)から突起部2eの頂面2e1まで一定の傾斜角度を維持していてもよい。
【0049】
しかし、図17〜図19に示すように連結側面2h1は、その根元(凹部2dの底面2d1)から突起部2eの頂面2e1に至るまでに傾斜角度が変化するように構成されていることが好ましい。具体的には、連結側面2h1は、根元側(凹部2dの底面2d1側)に位置する傾斜角度αの第1の側面部分と、その第1の側面部分よりも突起部2eの頂面2e1側に位置する傾斜角度βの第2の側面部分とを有し、傾斜角度βが傾斜角度αよりも大きいことが好ましい。
【0050】
また傾斜角度αおよびβは0°以上15°以下の範囲内の角度であることが好ましい。傾斜角度αおよびβが15°を超える場合、成形品の外周部またはエッジ部が大きくなる場合があり、成形品のデザインに影響が生じる。さらに傾斜角度αおよびβは0°以上10°以下の範囲内の角度であることがより好ましい。
【0051】
また図5、図10および図11に示す連結側面2h2と、図6、図12および図13に示す連結側面1hとの各々も、図17〜図19に示すのと同様、根元側(凹部2dの底面2d1側または凹部1cの底面1c1側)に位置する傾斜角度αの第1の側面部分と、その第1の側面部分よりも突起部2fの頂面2f1(または突起部1fの頂面1f1)側に位置する傾斜角度βの第2の側面部分とを有し、傾斜角度βが傾斜角度αよりも大きいことが好ましい。また上記と同様の理由により、傾斜角度αおよびβは0°以上15°以下の範囲内の角度であることが好ましく、さらに0°以上10°以下であることがより好ましい。
【0052】
なお傾斜角度α、βは、凹部1aの底面1a1の垂線に対する第1および第2の側面部分のなす角度である。
【0053】
また図14〜図19に示すように突起部2eの高さはたとえば0.3mmである。また図15および図18に示すように高さH22が高さH11よりも高い場合には、突起部2eの頂面2e1と凸部1dの上面1d1との高さの差はたとえば0.4mmである。また図16および図19に示すように高さH22が高さH11よりも低い場合には、突起部2eの頂面2e1と凸部1dの上面1d1との高さの差はたとえば0.2mmである。
【0054】
また図4を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h1と凸部1dとの最短距離b1が凸部1dの上面1d1と凹部2dの底面2d1との距離t2よりも小さいことが好ましい。
【0055】
また図5を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h2と孔形成用凸部1bとの最短距離b2が孔形成用凸部1bの上面1b1と孔形成用凹部2bの底面2b1との距離t3よりも小さいことが好ましい。
【0056】
また図6を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面1hと孔形成用凸部2cとの最短距離b3が孔形成用凸部2cの上面2c1と孔形成用凹部1cの底面1c1との距離t4よりも小さいことが好ましい。
【0057】
なお、金型部材1、2のすべての角部は丸みが付されたラウンド形状を有しており、そのラウンド形状の曲率半径Rは0.1mm以上である。ただし、各部の曲率半径Rがあまりに大きすぎると、それに伴ってセパレータ自体を大きくしなければならないため、セパレータの寸法により各部の曲率半径の上限値が制約される。
【0058】
次に、本実施の形態の各部の寸法について説明する。
図4を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、凸部2aの上面2a1と凹部1aの底面1a1との間隔(成形品の厚み)t1は0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましい。この間隔(成形品の厚み)t1が0.5mm未満の場合、成形することが難しくなり、成形品の強度、ガスリーク性等の信頼性が低くなり成形品として使用できない可能性がある。また、この間隔(成形品の厚み)t1が5.0mmを超える場合、脱型後の冷却時に熱収縮による成形品の反りやクラックの発生等が生じ、また成形品の貫通方向の電気抵抗が高くなる傾向がある。上記の間隔(成形品の厚み)t1は1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
【0059】
また突起部2eの側面2e2と凸部1dの側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b1は0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましい。この距離(成形品のバリの厚み)b1が0.03mm未満の場合、成形材料中の空気の排出が難しくなり、成形品中にボイド等が発生するおそれがある。また、この距離(成形品のバリの厚み)b1が0.15mmを超える場合、成形材料の漏れ出しが量が多くなり、成形品の厚み精度が悪くなる。上記の距離(成形品のバリの厚み)b1は0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。
【0060】
また突起部2eの幅B1は0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。この幅B1が0.1mm未満の場合、成形時に成形材料の水平方向に流れる力が生じ、この力により突起部2eが壊れるおそれがある。また幅B1が0.5mmを超える場合、成形品の外周部または貫通孔部のエッジ部が大きくなる場合があり、成形品のデザインに影響が生じる。上記の幅B1は0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。
【0061】
また突起部2eの高さh1は0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。この高さh1が0.1mm未満の場合、成形品のバリが成形品の表面より高くなる場合が生じ、この場合バリ取り加工が必要になる。また高さh1が0.5mmを超える場合、成形時に成形材料の水平方向に流れる力が生じ、この力により突起部2eが壊れるおそれがある。この高さh1は0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0062】
図5を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、突起部1fの側面1f2と凹部1aの側面(孔形成用凹部1cの側面)1c2の側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b3は、上記の最短距離(成形品のバリの厚み)b1と同様の理由により、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。また突起部1fの幅B3は、上記の突起部2eの幅B1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。突起部1fの高さh3は、上記の突起部2eの高さh1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0063】
図6を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、突起部2fの側面2f2と孔形成用凸部1bの側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b2は、上記の最短距離(成形品のバリの厚み)b1と同様の理由により、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。また突起部2fの幅B2は、上記の突起部2eの幅B1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。突起部2fの高さh2は、上記の突起部2eの高さh1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0064】
次に、本実施の形態における圧縮成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。
【0065】
図20は、本発明の一実施の形態における成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法を示す概略断面図である。図20を参照して、成形材料20aが、例えば導電性炭素材料と樹脂バインダーとを少なくとも含むように準備される。樹脂バインダーは、例えば熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との少なくともいずれかを含んでいる。この成形材料は、粉末状、粒子状、ペレット状等であってもよく、またシート形状であってもよい。
【0066】
上記の炭素材料としては、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。これらの炭素材料は単独で、もしくは2種以上を組合せて用いることができる。これらの炭素材料の粉粒体の形状に特に制限はなく、箔状、鱗片状、板状、針状、球状、無定形等の何れであってもよい。また、黒鉛を化学処理して得られる膨張黒鉛も使用することができる。導電性を考慮すれば、より少量で高度の導電性を有するセパレータが得られるという点で、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛が好ましい。
【0067】
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂は1種類の樹脂からなるもののみではなく、2種類以上の樹脂を混合したものも使用することができる。
【0068】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素樹脂、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエステル・ポリエステルエラストマー、ポリエステル・ポリエーテルエラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂と同様に、熱可塑性樹脂も1種類の樹脂からなるもののみではなく、2種類以上の樹脂を混合したものも使用することができる。さらに熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合したものも使用することができる。
【0069】
この成形材料20aが成形用金型10に投入され、金型部材1と金型部材2との間で加圧される。この際、金型部材1、2は熱盤(図示せず)により加熱されており、この金型部材1、2を介して成形材料20aが加熱される。この加熱加圧により、樹脂バインダーに熱硬化性樹脂が用いられている場合には、その熱硬化性樹脂が固化する。この後、金型10から燃料電池用セパレータ(成形品)20が取り出される。また樹脂バインダーに熱可塑性樹脂が用いられている場合には、上記の加熱加圧により、その熱可塑性樹脂は溶融する。
【0070】
樹脂バインダーに熱可塑性樹脂が用いられている場合には、引き続いて、金型部材1、2が冷却盤(図示せず)により冷却される。この冷却の際にも、成形材料20aは金型部材1と金型部材2との間で加圧されている。この冷却加圧により溶融状態にあった熱可塑性樹脂が固化する。この後、金型10から燃料電池用セパレータ(成形品)20が取り出される。
【0071】
上記のように樹脂バインダーが熱硬化性樹脂よりなる場合は、成形材料20aが成形用金型10で加熱加圧されて燃料電池用セパレータ(成形品)20が得られるが、樹脂バインダーが熱可塑性樹脂よりなる場合または熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂よりなる場合は、成形材料20aが成形用金型10で加熱加圧および冷却加圧されて燃料電池用セパレータ(成形品)20が得られる。
【0072】
上記の圧縮成形を経て得られた本実施の形態の燃料電池用セパレータ20は、例えば図21〜図26に示す形状を有している。
【0073】
図21および図22の各々は燃料電池用セパレータ20の一方表面および他方表面の各々の構成を概略的に示す平面図であり、図23は図21および図22のXXIII−XXIII線に沿う概略断面図である。図24および図25の各々は、図23の領域Q1および領域Q2の各々を拡大して示す概略断面図である。図26は、図21のXXVI−XXVI線に沿う概略断面図である。
【0074】
図21および図22を参照して、燃料電池用セパレータ20は、略矩形状の平面形状を有している。この燃料電池用セパレータ20の一方表面21Aには、図21に示すように、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むよう段部21eが形成されている。この段部21eは、図23〜図25に示すように、外周側の凸部21e1と内周側の凹部21e2とから構成されている。この外周側の凸部21e1は、いわゆるバリである。
【0075】
図21および図22を参照して、燃料電池用セパレータ20は、マニホールド用の孔21b、21cと、ガス流路21gとを有している。図21に示すように燃料電池用セパレータ20の一方表面21Aに形成されたガス流路21gの両端の各々は、マニホールド用の孔21bにそれぞれ接続されている。また図22に示すように燃料電池用セパレータ20の他方表面21Bに形成されたガス流路21gの両端の各々は、マニホールド用の孔21cにそれぞれ接続されている。
【0076】
この一方表面21Aに形成されたガス流路21gおよび他方表面21Bに形成されたガス流路21gのいずれの底面も平坦である。
【0077】
また、マニホールド用の孔21cに接続するガス流路21gが形成された一方表面21Aとは反対側(裏面側)の他方表面21Bには、マニホールド用の孔21cの周囲を取り囲むように段部21fが形成されている。この段部21fは、図23および図24に示すように、内周側の凸部21f1と外周側の凹部21f2とにより構成されている。
【0078】
また、マニホールド用の孔21bに接続するガス流路21gが形成された他方表面21Bとは反対側(裏面側)の一方表面21Aには、マニホールド用の孔21bの周囲を取り囲むように段部21fが形成されている。この段部21fは、図23および図25に示すように、内周側の凸部21f1と外周側の凹部21f2とにより構成されている。
【0079】
図26を参照して、マニホールド用の孔21bおよび21cのいずれの周囲に形成される凸部21f1の高さhは、ガス流路21gの深さDよりも小さい。
【0080】
上記のようにして得られた本実施の形態の燃料電池用セパレータ20を用いて燃料電池を製造することができる。燃料電池セルは、燃料電池用セパレータ20と電解質膜/膜接合体とを有している。電解質膜/膜接合体は、例えば燃料極、酸化剤極および固体高分子電解質膜からなっている。1対の燃料電池用セパレータ20、20が電解質膜/膜接合体を挟むように配置されることで、固体高分子型の燃料電池セルが構成されている。本実施の形態の燃料電池は、単一の燃料電池セルより構成されていても利用可能であるが、発電性能を高める目的で通常は該燃料電池セルが複数個直列に配置された燃料電池スタックとされている。
【0081】
本実施の形態で得られる燃料電池用セパレータ20は、上記の固体高分子型の燃料電池のほかに、ヒドラジン型、直接メタノール型、アルカリ型、リン酸型等の種々の燃料電池に対して好適に適用され得る。
【0082】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の成形用金型10によれば、図1および図4に示すように、金型部材1の凹部1aと金型部材2の凸部2aとにより成形材料が成形されるため、成形品のバリは当該凸部2aの上面2a1に交差する方向(図1および図4中の上方向)に生じる。ここで、当該凸部2aの上面2a1縁部に突起部2eが設けられているため、その突起部の頂面2e1を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部2aの上面2a1よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部2aの上面2a1から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。
【0083】
従来例では、図27に示すように、成形品121の表面121Aを起点S1としてバリとなる凸部121eが生じるため、バリとなる凸部121eの高さhだけ凸部121eは表面121Aから突き出すことになる。一方、本実施の形態では、図28に示すように、成形品20の縁部を取り囲むように形成された凹部21e2の底面を起点S2としてバリとなる凸部21e1が生じるため、このバリとなる凸部21e1が表面21Aから突き出すことが抑制される。これにより、本実施の形態では、成形品20を積み重ねるときに、バリとなる凸部21e1に邪魔されることなく、成形品20同士を十分に接触させることが可能となる。
【0084】
また、図23に示すように、成形品20のバリは当該上面21Aに略平行な方向(図23中の左右方向)に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部2aの上面2a1から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0085】
また本実施の形態の成形用金型10では、図1、図5および図6に示すように、孔形成用凹部2b、1cの各々の周囲にも突起部2f、1fの各々が設けられているため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、仮にガス流路とマニホールド用の孔とが接続される側にバリが生じる場合には、ガス流路とマニホールド用の孔との間にバリが存在することになり、流路−孔間における流体の流れが阻害される。しかし本実施の形態では、図2および図3に示すように、孔形成用凸部1bに接続する流路形成用凸部1gが形成された金型部材1とは反対側の金型部材2に、孔形成用凹部2bの周囲を取り囲むように突起部2fが形成されている。このように流路形成用凸部1gと突起部2fとが互いに反対側の金型部材に形成されているため、ガス流路とマニホールド用の孔との接続部にバリが生じることはない。よって、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0087】
また図2および図3に示すように、孔形成用凸部2cに接続する流路形成用凸部2gが形成された金型部材2とは反対側の金型部材1に、孔形成用凹部1cの周囲を取り囲むように突起部1fが形成されている。このように、上記と同様、流路形成用凸部1gと突起部2fとが互いに反対側の金型部材に形成されているため、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0088】
また本実施の形態の成形用金型10では、図9に示すように、凹部1aの底面1a1に対して凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合には、図16に示すように連結側面2h1と凸部1dとの間の最短距離の部分は、常に突起部2eの高さの範囲内に位置する。これにより、脱型する際にこの最短距離の部分でバリが折れることになるため、バリが凸部2aの上面2a1よりも上方へ突き出すことは防止される。また図11および図13の場合も上記と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また本実施の形態の成形用金型10では、図17〜図19に示すように、連結側面2h1が傾斜角度αを有する第1の側面部分と、傾斜角度βを有する第2の側面部分とを有する場合には、脱型の際に、小さい傾斜角度αの第1の側面部分では金型部材2が金型部材1から抜け難く、かつ大きな傾斜角度βの第2の側面部分では金型部材2が金型部材1から抜け易くなる。これにより、脱型と同時に、第1の側面部分と第2の側面部分との境界位置からバリが折れる。このため、脱型後にバリ部分を取り外す作業が不要となる。
【0090】
またこの第1の側面部分と第2の側面部分との境界位置は、連結側面2h1と凸部1dとの間の最短距離となる部分に設けられていることが好ましい。
【0091】
また本実施の形態の成形用金型10では、図4に示すように、金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h1と凸部1dとの最短距離b1が凸部1dの上面1d1と凹部2dの底面2d1との距離t2よりも小さい場合には、距離t2の部分よりも最短距離b1の部分が脱型の際に割れやすくなる。仮に脱型の際に距離t2の部分で成形品が割れた場合には、成形品には図中上方向および横方向に大きく突き出したバリが生じることになる。しかし、図4の構成では、脱型の際に、最短距離b1の部分で成形品が割れるため、脱型後に生じるバリを小さくでき、バリが凸部2aの上面2a1から上方へ突き出すことが抑制される。
【0092】
図5において連結側面2h2と凸部1bとの最短距離b2が孔形成用凸部1bの上面1b1と孔形成用凹部2bの底面2b1との距離t3よりも小さい場合、および図6において連結側面1hと孔形成用凸部2cとの最短距離b3が孔形成用凸部2cの上面2c1と孔形成用凹部1cの底面1c1との距離t4よりも小さい場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
【0093】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20では、図21に示すように、燃料電池用セパレータ20の縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部21e1で内周側が凹部21e2よりなる段部21eが形成されている。この凸部21e1はバリであるが、バリの内周側に凹部21e2があるため、図28に示すようにバリ発生の起点S2は凹部21e2の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータ20の表面21Aから突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータ20を積み重ねるときに燃料電池用セパレータ20同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータ20のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータ20を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが燃料電池用セパレータ20の表面21Aから突き出すことを抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0094】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20では、図21および図22に示すように、マニホールド用の孔21bまたは21cを取り囲むように、内周側が凸部21f1で外周側が凹部21f2よりなる段部21fが形成されている。このため、上記と同様、バリである凸部21f1が燃料電池用セパレータ20の表面21Aまたは21Bから突き出すことは抑制される。よって、上記と同様の効果が得られる。
【0095】
また燃料電池では、燃料ガスから水が生成される。このため、ガス流路21gとマニホールド用の孔21b、21cとの接続部にバリがあると、この生成水がバリによりガス流路21gからマニホールド用の孔21b、21cへ流れ込み難くなり、ガス流路21gに溜まる。この溜まった水塊が隣のセルに流入することで燃料ガスの流れが不安定となり、電池電圧が乱れる。しかし本実施の形態では、図26に示すように、バリとなる凸部21f1はガス流路21gが形成された面とは反対側の面に形成されるため、ガス流路21gとマニホールド用の孔21b、21cとの接続部にバリが生じることはない。よって、上記の電池電圧の乱れは生じない。
【0096】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20の製造方法によれば、成形品20同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品20を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【0097】
なお、本実施の形態における金型は圧縮成形用の金型であってもよく、射出圧縮成形用の金型であってもよい。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、電気自動車用電源、ポータブル電源、非常用電源等に対して適用されるリン酸型燃料電池、ダイレクトメタノ−ル型燃料電池、固体高分子型燃料電池等の燃料電池に対して使用可能な燃料電池用セパレータの製造方法およびそれに用いられる成形用金型に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施の形態における成形用金型の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す成形用金型の下型(金型部材1)の賦形側の面を示す概略平面図である。
【図3】図1に示す成形用金型の上型(金型部材2)の賦形側の面を示す概略平面図である。
【図4】図1の領域R1を拡大して示す断面図である。
【図5】図1の領域R3を拡大して示す断面図である。
【図6】図1の領域R4を拡大して示す断面図である。
【図7】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21と高さH11とが同じである場合を示す図である。
【図8】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21が高さH11よりも高い場合を示す図である。
【図9】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21が高さH11よりも低い場合を示す図である。
【図10】図1の領域R3を拡大して示す断面図であり、高さH22が高さH11よりも高い場合を示す図である。
【図11】図1の領域R3を拡大して示す断面図であり、高さH22が高さH11よりも低い場合を示す図である。
【図12】図1の領域R4を拡大して示す断面図であり、高さH23が高さH12よりも高い場合を示す図である。
【図13】図1の領域R4を拡大して示す断面図であり、高さH23が高さH12よりも低い場合を示す図である。
【図14】図7に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図15】図8に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図16】図9に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図17】図7に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図18】図8に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図19】図9に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態における成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法を示す概略断面図である。
【図21】燃料電池用セパレータ20の一方表面の構成を概略的に示す平面図である。
【図22】燃料電池用セパレータ20の他方表面の構成を概略的に示す平面図である。
【図23】図21および図22のXXIII−XXIII線に沿う概略断面図である。
【図24】図23の領域Q1を拡大して示す概略断面図である。
【図25】図23の領域Q2を拡大して示す概略断面図である。
【図26】図21のXXVI−XXVI線に沿う概略断面図である。
【図27】従来例の燃料電池用セパレータにおいてバリが燃料電池用セパレータの表面より上方に突き出す様子を説明するための燃料電池用セパレータの部分断面図である。
【図28】本発明の一実施の形態における燃料電池用セパレータにおいてバリが燃料電池用セパレータの表面より上方に突き出すことを抑制できることを説明するための燃料電池用セパレータの部分断面図である。
【図29】従来のシェアエッジ構造の圧縮成形用金型の構成(a)と、それにより成形された成形品の構成(b)を示す断面図である。
【図30】従来の合わせ型の圧縮成形用金型の構成(a)と、それにより成形された成形品の構成(b)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 金型部材、1a,1c,2d 凹部、1a1,1c1,2b1,2d1 底面、1b1,1d1,2a1,2c1 上面、1b,2c 孔形成用凸部、1c,2b 孔形成用凹部、1d,2a 凸部、1f,2e,2f 突起部、1c2,1f2,2a2,2a3,2e2,2f2 側面、1f1,2e1,2f1 頂面、1g,2g 流路形成用凸部、1h,2h1,2h2 連結側面、2 金型部材、10 成形用金型、20 燃料電池用セパレータ(成形品)、20a 成形材料、21A 一方表面、21B 他方表面、21b,21c マニホールド用の孔、21e,21f 段部、21e1,21f1 凸部、21e2,21f2 凹部、21g ガス流路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応から電力を得る燃料電池においては、近年ポ−タブル機器、自動車等の種々の用途への適用が検討されている。燃料電池は、電解質膜、電極およびセパレータからなる基本構成単位、すなわち単位セルが通常直列に数十〜数百セル積層された構造を有する。一般的な燃料電池の製造方法では電解質膜および電極は予め電解質膜/電極接合体(MEA)として形成され、これにセパレータが配置される。セパレータとしては、水素等の燃料と、空気または酸素からなる酸化剤と、セルを冷却するための冷媒とをそれぞれ供給するための流路を少なくとも片面に形成したものが用いられる。
【0003】
セパレータでは、隣接するMEAとの電気的な接続を確保して燃料電池の発電効率を高めるために十分な導電性を備えることが必要であるが、これに加えて、単位セルの積層構造を支えるために十分な機械的強度が必要とされる。また、燃料電池の小型化の要求に伴い近年ではセパレータの薄肉化も求められている。さらに、単位セルの積層構造における単位セル間の接触抵抗を低減するために厚み精度の向上も求められている。
【0004】
従来の燃料電池用セパレータは、樹脂と炭素材料とを含む成形材料を圧縮成形用金型内に投入し加圧することによって成形される。このような燃料電池用セパレータを形成するための成形用金型の構造は従来から各種提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。
【0005】
この圧縮成形用金型には、(1)金型内および成形材料中の空気を効率よく金型外に排出できること、(2)金型内に余分に充填した成形材料を金型外に排出できることが求められる。
【0006】
一般的に、従来の圧縮成形用金型は、図29(a)に示すように、凹部(キャビティ)101aを有する凹型101と、凸部(コア)102aを有する凸型102とから構成されている。そして、上記(1)、(2)を満たすために、凹部101aの側壁と凸部102aの側壁とを対向させたシェアエッジ(図中領域P)が設けられている。
【0007】
このような金型を用いて成形材料120aを成形すると、余剰分の成形材料は凹部101aからフローアウトして、シェアエッジの隙間(クリアランス)へ排出され、かつ金型内および成形材料中の空気も効率よく金型外へ排出され得る。
【0008】
また金型として、図30(a)に示すように、凹部101aを有する金型101と、凹部102aを有する金型102とから構成される合わせ型の圧縮成形用金型もある。この合わせ型の金型では、構造が簡単で、金型全体の厚みを薄くすることもできる。
【特許文献1】特開2001−198921号公報
【特許文献2】特開2003−170459号公報
【特許文献3】特開2004−230788号公報
【特許文献4】特開2004−71334号公報
【特許文献5】特許第3751911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図29(a)に示す従来のシェアエッジ構造の圧縮成形用金型では、図29(b)に示すように成形品120の主表面120Aに交差する方向に樹脂バリが生じる。また図30(a)に示す従来の合わせ型の圧縮成形用金型では、図30(b)に示すように成形品120の主表面120Aに略平行な方向に樹脂バリが生じる。
【0010】
燃料電池において複数枚のセパレータ(成形品)を積み重ねるときには、成形品同士を十分に接触させる必要がある。しかし、図29(b)に示すように成形品120の主表面120Aに交差する方向に樹脂バリが生じていると、成形品120同士を十分に接触させることができないという問題がある。
【0011】
また複数枚のセパレータ(成形品)を積み重ねるときの位置決めの精度は成形品の外周形状により決定される。しかし、図30(b)に示すように成形品120の主表面120Aに略平行な方向に樹脂バリが生じていると、位置決め精度が悪化して精度よく成形品120を積み重ねることができないという問題がある。
【0012】
また成形品の外周部だけでなく、成形品面内の貫通孔等にも上記のような樹脂バリが生じる。よって、貫通孔部分に形成された樹脂バリによって、上記と同様に、成形品同士を十分に接触させることができないという問題もある。
【0013】
また、これらの樹脂バリを取り除くためには、複雑なバリ取り加工工程が必要となる。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の成形用金型は、成形材料を成形するための成形用金型であって、第1の金型部材と、第2の金型部材とを備えている。第1の金型部材は、第1の凹部を有している。第2の金型部材は、第1の凹部に対応して設けられた第1の凸部を有している。第1の凸部は、第1の凹部の底面と対向する上面に突起部を有している。その突起部は、第1の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ上面の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている。
【0015】
本発明の成形用金型によれば、第1の金型部材の凹部と第2の金型部材の凸部とにより成形材料が成形されるため、成形品のバリは当該凸部の上面に交差する方向に生じる。ここで、当該凸部の上面縁部に突起部が設けられているため、その突起部の頂面を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部の上面よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。このため、成形品を積み重ねるときに成形品同士を十分に接触させることが可能となる。また、成形品のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0016】
上記の成形用金型において好ましくは、第1の金型部材は第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、第1の凸部と第1の凹部とを対応させて第1の金型部材と第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、第2の凸部の上面は第1の凹部の底面に対して第1の凸部の上面よりも下側に位置している。
【0017】
これにより、脱型する際に、バリが第1の凸部の上面位置よりもキャビティ側で折れるため、バリが第1の凸部の上面から突き出すことが防止される。
【0018】
上記の成形用金型において好ましくは、第2の金型部材は、第1の凸部の側面と第1の凸部の側面に繋がる突起部の側面とから構成された連結側面を有している。連結側面は、第1の側面部分と、第1の側面部分よりも突起部の頂面側に位置する第2の側面部分とを有している。第1の凹部の底面の垂線に対する第2の側面部分の傾斜角度は、その垂線に対する第1の側面部分の傾斜角度よりも大きい。
【0019】
これにより、成形品が脱型と同時にバリの部分で折れるため、脱型後にバリ部分を取り外す作業が不要となる。
【0020】
上記の成形用金型において好ましくは、第2の金型部材は、第1の凸部の側面と第1の凸部の側面に繋がる突起部の側面とから構成された連結側面を有している。第1の金型部材は第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有している。第2の金型部材は第1の凸部の周囲を取り囲み、かつ第2の凸部に対応して設けられた第2の凹部を有している。第1の凸部と第1の凹部とを対応させて第1の金型部材と第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、連結側面と第2の凸部との最短距離が第2の凸部の上面と第2の凹部の底面との距離よりも小さい。
【0021】
これにより、脱型の際に、第2の凸部の上面と第2の凹部の底面との間よりも連結側面と第2の凸部との間の方が割れやすくなる。このため、脱型の際にバリが第1の凸部の上面から突き出すことが抑制される。
【0022】
本発明の他の成形用金型は、成形材料を成形して成形品を形成するための成形用金型であって、第1の金型部材と、第2の金型部材とを備えている。第1の金型部材は、成形品に孔を形成するための孔形成用凸部およびその孔形成用凸部の周囲を取り囲む凹部を有している。第2の金型部材は、孔形成用凸部に対応して設けられた孔形成用凹部およびその孔形成用凹部の周囲を取り囲む凸部を有している。第2の金型部材の凸部は、凹部の底面に対向する上面に突起部を有している。突起部は、第2の金型部材の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ孔形成用凹部の全周を取り囲むように形成されている。
【0023】
本発明の他の成形用金型によれば、第1の金型部材の孔形成用凸部と第2の金型部材の孔形成用凹部とにより成形材料に孔が成形されるため、成形品のバリは当該孔形成用凸部の上面に交差する方向に生じる。ここで、孔形成用凹部の全周を取り囲むように第2の金型部材の凸部に突起部が設けられているため、その突起部の頂面を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部の上面よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。このため、成形品を積み重ねるときに成形品同士を十分に接触させることが可能となる。また、成形品のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0024】
上記の他の成形用金型において好ましくは、成形品の孔に接続された流路を形成するための流路形成用凸部は、流路が接続される孔を形成するための孔形成用凸部に接続するように第1の金型部材に形成されている。
【0025】
仮に流路と孔とが接続される表面側にバリが生じる場合には、流路と孔との接続部にバリが存在することになり、流路−孔間における流体の流れが阻害される。しかし、上記の他の成形用金型では、流路形成用凸部と孔形成用凸部とが接続される第1の金型部材とは反対側の第2の金型部材に突起部が形成されているため、流路と孔との接続部にバリが生じることはない。よって、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0026】
本発明の燃料電池用セパレータは、マニホールド用の孔とその孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、その燃料電池用セパレータの互いに対向する表面のいずれか一方に、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成されている。
【0027】
本発明の燃料電池用セパレータによれば、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成されている。この凸部はバリであるが、バリの内周側に凹部があるため、バリ発生の起点は凹部の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータの表面から突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータを積み重ねるときに燃料電池用セパレータ同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータのバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータを位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0028】
本発明の他の燃料電池用セパレータは、マニホールド用の孔とその孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、流路の底面は平坦であり、流路が接続された孔の周囲であって流路が形成された面とは反対側の面に孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成されている。
【0029】
本発明の他の燃料電池用セパレータによれば、マニホールド用の孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成されている。この凸部はバリであるが、バリの外周側に凹部があるため、バリ発生の起点は凹部の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータの表面から突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータを積み重ねるときに燃料電池用セパレータ同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータのバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータを位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部の上面から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0030】
また燃料電池では、燃料ガスと酸素ガスとが反応することにより水が生成される。このため、流路と孔との接続部にバリがあると、この生成水がバリにより流路から孔へ流れ込み難くなり、流路に溜まる。この溜まった水塊が隣のセルに流入することでガスの流れが不安定となり、電池電圧が乱れる。しかし本発明では、バリとなる凸部は流路が形成された面とは反対側の面に形成されるため、流路と孔との接続部にバリが生じることはない。よって、上記の電池電圧の乱れは生じない。
【0031】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、上記の成形用金型を用いて成形材料を成形する工程を経て燃料電池用セパレータを製造することを特徴とするものである。
【0032】
本発明の燃料電池用セパレータの製造方法によれば、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば、成形品同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な成形用金型、燃料電池用セパレータおよびその製造方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における成形用金型の構成を概略的に示す断面図である。また図2は図1に示す成形用金型の下型(金型部材1)の賦形側の面を示す概略平面図であり、図3は図1に示す成形用金型の上型(金型部材2)の賦形側の面を示す概略平面図である。また図4、図5および図6の各々は図1の領域R1、R3およびR4の各々を拡大して示す断面図である。なお図1の断面は、図2のI−I線、図3のI−I線に沿う断面に対応している。
【0035】
図1〜図3を参照して、本実施の形態の成形用金型10は、成形材料を成形するための成形用金型であって、金型部材1(図2)と、金型部材2(図3)とを有している。金型部材1は、金型部材2と対向する表面に凹部1aを有しており、この凹部1aの周囲を取り囲む凸部1dを有している。金型部材2は、金型部材1と対向する表面に、凹部1aに対応して設けられた凸部2aを有している。また金型部材2は、この凸部2aの周囲を取り囲み、かつ凸部1dに対応して設けられた凹部2dを有している。
【0036】
図4を参照して、凸部2aは、凹部1aの底面1a1と対向する上面2a1を有し、その上面2a1に突起部2eを有している。この突起部2eは、凸部2aの側面2a2に繋がる側面2e2とキャビティに面する頂面2e1とを有し、かつ図3に示すように上面2a1の縁部の全周を取り囲むように形成されている。突起部2eは、上面2a1の縁部の一部を取り囲むように形成されていてもよい。
【0037】
なお、本明細書におけるキャビティとは、成形金型の成形品(たとえば図21〜図23のセパレータ)に該当する空間部分を意味する。
【0038】
図1〜図3を参照して、金型部材1は、成形品に孔を形成するための孔形成用凸部1bと、成形品に別の孔を形成するための孔形成用凹部1cとを有している。金型部材1の凹部1aは、孔形成用凸部1bの周囲を取り囲む凹部であり、また孔形成用凹部1cの周囲を取り囲む凸部でもある。
【0039】
金型部材2は、成形品に孔を形成するための孔形成用凹部2bと、成形品に別の孔を形成するための孔形成用凸部2cとを有している。金型部材2の凸部2aは、孔形成用凹部2bの周囲を取り囲む凸部であり、また孔形成用凸部2cの周囲を取り囲む凹部でもある。
【0040】
図1を参照して、金型部材1の孔形成用凸部1bは金型部材2の孔形成用凹部2bに対応して設けられており、また金型部材1の孔形成用凹部1cは金型部材2の孔形成用凸部2cに対応して設けられている。
【0041】
図5を参照して、金型部材2の凸部2aは、金型部材1の凹部1aの底面1a1に対向する上面2a1に突起部2fを有している。その突起部2fは、凸部2aの側面(孔形成用凹部2bの側面)2a3に繋がる側面2f2を有し、キャビティに面する頂面2f1を有している。また突起部2fは、図3に示すように金型部材2の孔形成用凹部2bの全周を取り囲むように形成されている。
【0042】
図6を参照して、金型部材1の凹部1aは、金型部材2の凸部2aの上面2a1に対向する底面1a1に突起部1fを有している。その突起部1fは、凹部1aの側面(孔形成用凹部1cの側面)1c2に繋がる側面1f2を有し、キャビティに面する頂面1f1を有している。また突起部1fは、図2に示すように金型部材1の孔形成用凹部1cの全周を取り囲むように形成されている。
【0043】
図1〜図3を参照して、金型部材1は、成形品の一方表面に流路を形成するための流路形成用凸部1gを凹部1aの底面1a1に有している。流路形成用凸部1gの両端の各々は、図2に示すように孔形成用凸部1bに接続するように形成されている。この流路形成用凸部1gは、突起部2fが形成された金型部材2とは反対側の金型部材1に形成されている。
【0044】
図1〜図3を参照して、金型部材2も、成形品の他方表面に流路を形成するための流路形成用凸部2gを凸部2aの上面2a1に有している。流路形成用凸部2gの両端の各々は、図3に示すように孔形成用凸部2cに接続するように形成されている。この流路形成用凸部2gは、突起部1fが形成された金型部材1とは反対側の金型部材2に形成されている。
【0045】
図7〜図9は、図1の領域R2を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凹部1aの底面1a1に対する、凸部2aの上面2a1の高さH11と、凸部1dの上面1d1の高さH21との関係に関しては、図7に示すように高さH11と高さH21とが同じ場合と、図8に示すように高さH21が高さH11よりも高い場合と、図9に示すように高さH21が高さH11よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図9に示すように高さH21が高さH11よりも低く、凹部1aの底面1a1に対して凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0046】
図10および図11は、図1の領域R3を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凹部1aの底面1a1に対する、凸部2aの上面2a1の高さH11と、孔形成用凸部1bの上面1b1の高さH22との関係に関しては、図5に示すように高さH11と高さH22とが同じ場合と、図10に示すように高さH22が高さH11よりも高い場合と、図11に示すように高さH22が高さH11よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図11に示すように高さH22が高さH11よりも低く、凹部1aの底面1a1に対して孔形成用凸部1bの上面1b1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、孔形成用凸部1bの上面1b1が凸部2aの上面2a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0047】
図12および図13は、図1の領域R4を拡大して示す断面図である。
図1に示す成形用金型10において、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、凸部2aの上面2a1に対する、凹部1aの底面1a1の高さH12と、孔形成用凸部2cの上面2c1の高さH23との関係に関しては、図6に示すように高さH12と高さH23とが同じ場合と、図12に示すように高さH23が高さH12よりも高い場合と、図13に示すように高さH23が高さH12よりも低い場合とがある。これらの場合のうち、図13に示すように高さH23が高さH12よりも低く、凸部2aの上面2a1に対して孔形成用凸部2cの上面2c1が凹部1aの底面1a1よりも低い場合が特に好ましい。この場合、孔形成用凸部2cの上面2c1が凹部1aの底面1a1よりも0.05mm以上0.3mm以下低いことが好ましい。
【0048】
図14〜図16の各々は、図7〜図9の各々に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。図14〜図16に示すように突起部2eの側面2e2と凸部2aの側面2a2とから構成された連結側面2h1は、その根元(凹部2dの底面2d1)から突起部2eの頂面2e1まで一定の傾斜角度を維持していてもよい。
【0049】
しかし、図17〜図19に示すように連結側面2h1は、その根元(凹部2dの底面2d1)から突起部2eの頂面2e1に至るまでに傾斜角度が変化するように構成されていることが好ましい。具体的には、連結側面2h1は、根元側(凹部2dの底面2d1側)に位置する傾斜角度αの第1の側面部分と、その第1の側面部分よりも突起部2eの頂面2e1側に位置する傾斜角度βの第2の側面部分とを有し、傾斜角度βが傾斜角度αよりも大きいことが好ましい。
【0050】
また傾斜角度αおよびβは0°以上15°以下の範囲内の角度であることが好ましい。傾斜角度αおよびβが15°を超える場合、成形品の外周部またはエッジ部が大きくなる場合があり、成形品のデザインに影響が生じる。さらに傾斜角度αおよびβは0°以上10°以下の範囲内の角度であることがより好ましい。
【0051】
また図5、図10および図11に示す連結側面2h2と、図6、図12および図13に示す連結側面1hとの各々も、図17〜図19に示すのと同様、根元側(凹部2dの底面2d1側または凹部1cの底面1c1側)に位置する傾斜角度αの第1の側面部分と、その第1の側面部分よりも突起部2fの頂面2f1(または突起部1fの頂面1f1)側に位置する傾斜角度βの第2の側面部分とを有し、傾斜角度βが傾斜角度αよりも大きいことが好ましい。また上記と同様の理由により、傾斜角度αおよびβは0°以上15°以下の範囲内の角度であることが好ましく、さらに0°以上10°以下であることがより好ましい。
【0052】
なお傾斜角度α、βは、凹部1aの底面1a1の垂線に対する第1および第2の側面部分のなす角度である。
【0053】
また図14〜図19に示すように突起部2eの高さはたとえば0.3mmである。また図15および図18に示すように高さH22が高さH11よりも高い場合には、突起部2eの頂面2e1と凸部1dの上面1d1との高さの差はたとえば0.4mmである。また図16および図19に示すように高さH22が高さH11よりも低い場合には、突起部2eの頂面2e1と凸部1dの上面1d1との高さの差はたとえば0.2mmである。
【0054】
また図4を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h1と凸部1dとの最短距離b1が凸部1dの上面1d1と凹部2dの底面2d1との距離t2よりも小さいことが好ましい。
【0055】
また図5を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h2と孔形成用凸部1bとの最短距離b2が孔形成用凸部1bの上面1b1と孔形成用凹部2bの底面2b1との距離t3よりも小さいことが好ましい。
【0056】
また図6を参照して、凹部1aと凸部2aとを対応させて金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面1hと孔形成用凸部2cとの最短距離b3が孔形成用凸部2cの上面2c1と孔形成用凹部1cの底面1c1との距離t4よりも小さいことが好ましい。
【0057】
なお、金型部材1、2のすべての角部は丸みが付されたラウンド形状を有しており、そのラウンド形状の曲率半径Rは0.1mm以上である。ただし、各部の曲率半径Rがあまりに大きすぎると、それに伴ってセパレータ自体を大きくしなければならないため、セパレータの寸法により各部の曲率半径の上限値が制約される。
【0058】
次に、本実施の形態の各部の寸法について説明する。
図4を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、凸部2aの上面2a1と凹部1aの底面1a1との間隔(成形品の厚み)t1は0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましい。この間隔(成形品の厚み)t1が0.5mm未満の場合、成形することが難しくなり、成形品の強度、ガスリーク性等の信頼性が低くなり成形品として使用できない可能性がある。また、この間隔(成形品の厚み)t1が5.0mmを超える場合、脱型後の冷却時に熱収縮による成形品の反りやクラックの発生等が生じ、また成形品の貫通方向の電気抵抗が高くなる傾向がある。上記の間隔(成形品の厚み)t1は1.0mm以上3.0mm以下であることがより好ましい。
【0059】
また突起部2eの側面2e2と凸部1dの側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b1は0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましい。この距離(成形品のバリの厚み)b1が0.03mm未満の場合、成形材料中の空気の排出が難しくなり、成形品中にボイド等が発生するおそれがある。また、この距離(成形品のバリの厚み)b1が0.15mmを超える場合、成形材料の漏れ出しが量が多くなり、成形品の厚み精度が悪くなる。上記の距離(成形品のバリの厚み)b1は0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。
【0060】
また突起部2eの幅B1は0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。この幅B1が0.1mm未満の場合、成形時に成形材料の水平方向に流れる力が生じ、この力により突起部2eが壊れるおそれがある。また幅B1が0.5mmを超える場合、成形品の外周部または貫通孔部のエッジ部が大きくなる場合があり、成形品のデザインに影響が生じる。上記の幅B1は0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。
【0061】
また突起部2eの高さh1は0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。この高さh1が0.1mm未満の場合、成形品のバリが成形品の表面より高くなる場合が生じ、この場合バリ取り加工が必要になる。また高さh1が0.5mmを超える場合、成形時に成形材料の水平方向に流れる力が生じ、この力により突起部2eが壊れるおそれがある。この高さh1は0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0062】
図5を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、突起部1fの側面1f2と凹部1aの側面(孔形成用凹部1cの側面)1c2の側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b3は、上記の最短距離(成形品のバリの厚み)b1と同様の理由により、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。また突起部1fの幅B3は、上記の突起部2eの幅B1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。突起部1fの高さh3は、上記の突起部2eの高さh1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0063】
図6を参照して、金型部材1と2とを重ね合わせた状態における、突起部2fの側面2f2と孔形成用凸部1bの側面との最短距離(成形品のバリの厚み)b2は、上記の最短距離(成形品のバリの厚み)b1と同様の理由により、0.03mm以上0.15mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。また突起部2fの幅B2は、上記の突起部2eの幅B1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。突起部2fの高さh2は、上記の突起部2eの高さh1と同様の理由により、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。
【0064】
次に、本実施の形態における圧縮成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。
【0065】
図20は、本発明の一実施の形態における成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法を示す概略断面図である。図20を参照して、成形材料20aが、例えば導電性炭素材料と樹脂バインダーとを少なくとも含むように準備される。樹脂バインダーは、例えば熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との少なくともいずれかを含んでいる。この成形材料は、粉末状、粒子状、ペレット状等であってもよく、またシート形状であってもよい。
【0066】
上記の炭素材料としては、例えば人造黒鉛、天然黒鉛、ガラス状カーボン、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。これらの炭素材料は単独で、もしくは2種以上を組合せて用いることができる。これらの炭素材料の粉粒体の形状に特に制限はなく、箔状、鱗片状、板状、針状、球状、無定形等の何れであってもよい。また、黒鉛を化学処理して得られる膨張黒鉛も使用することができる。導電性を考慮すれば、より少量で高度の導電性を有するセパレータが得られるという点で、人造黒鉛、天然黒鉛、膨張黒鉛が好ましい。
【0067】
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂は1種類の樹脂からなるもののみではなく、2種類以上の樹脂を混合したものも使用することができる。
【0068】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素樹脂、全芳香族ポリエステル、半芳香族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリエステル・ポリエステルエラストマー、ポリエステル・ポリエーテルエラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂と同様に、熱可塑性樹脂も1種類の樹脂からなるもののみではなく、2種類以上の樹脂を混合したものも使用することができる。さらに熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを複合したものも使用することができる。
【0069】
この成形材料20aが成形用金型10に投入され、金型部材1と金型部材2との間で加圧される。この際、金型部材1、2は熱盤(図示せず)により加熱されており、この金型部材1、2を介して成形材料20aが加熱される。この加熱加圧により、樹脂バインダーに熱硬化性樹脂が用いられている場合には、その熱硬化性樹脂が固化する。この後、金型10から燃料電池用セパレータ(成形品)20が取り出される。また樹脂バインダーに熱可塑性樹脂が用いられている場合には、上記の加熱加圧により、その熱可塑性樹脂は溶融する。
【0070】
樹脂バインダーに熱可塑性樹脂が用いられている場合には、引き続いて、金型部材1、2が冷却盤(図示せず)により冷却される。この冷却の際にも、成形材料20aは金型部材1と金型部材2との間で加圧されている。この冷却加圧により溶融状態にあった熱可塑性樹脂が固化する。この後、金型10から燃料電池用セパレータ(成形品)20が取り出される。
【0071】
上記のように樹脂バインダーが熱硬化性樹脂よりなる場合は、成形材料20aが成形用金型10で加熱加圧されて燃料電池用セパレータ(成形品)20が得られるが、樹脂バインダーが熱可塑性樹脂よりなる場合または熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂よりなる場合は、成形材料20aが成形用金型10で加熱加圧および冷却加圧されて燃料電池用セパレータ(成形品)20が得られる。
【0072】
上記の圧縮成形を経て得られた本実施の形態の燃料電池用セパレータ20は、例えば図21〜図26に示す形状を有している。
【0073】
図21および図22の各々は燃料電池用セパレータ20の一方表面および他方表面の各々の構成を概略的に示す平面図であり、図23は図21および図22のXXIII−XXIII線に沿う概略断面図である。図24および図25の各々は、図23の領域Q1および領域Q2の各々を拡大して示す概略断面図である。図26は、図21のXXVI−XXVI線に沿う概略断面図である。
【0074】
図21および図22を参照して、燃料電池用セパレータ20は、略矩形状の平面形状を有している。この燃料電池用セパレータ20の一方表面21Aには、図21に示すように、燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むよう段部21eが形成されている。この段部21eは、図23〜図25に示すように、外周側の凸部21e1と内周側の凹部21e2とから構成されている。この外周側の凸部21e1は、いわゆるバリである。
【0075】
図21および図22を参照して、燃料電池用セパレータ20は、マニホールド用の孔21b、21cと、ガス流路21gとを有している。図21に示すように燃料電池用セパレータ20の一方表面21Aに形成されたガス流路21gの両端の各々は、マニホールド用の孔21bにそれぞれ接続されている。また図22に示すように燃料電池用セパレータ20の他方表面21Bに形成されたガス流路21gの両端の各々は、マニホールド用の孔21cにそれぞれ接続されている。
【0076】
この一方表面21Aに形成されたガス流路21gおよび他方表面21Bに形成されたガス流路21gのいずれの底面も平坦である。
【0077】
また、マニホールド用の孔21cに接続するガス流路21gが形成された一方表面21Aとは反対側(裏面側)の他方表面21Bには、マニホールド用の孔21cの周囲を取り囲むように段部21fが形成されている。この段部21fは、図23および図24に示すように、内周側の凸部21f1と外周側の凹部21f2とにより構成されている。
【0078】
また、マニホールド用の孔21bに接続するガス流路21gが形成された他方表面21Bとは反対側(裏面側)の一方表面21Aには、マニホールド用の孔21bの周囲を取り囲むように段部21fが形成されている。この段部21fは、図23および図25に示すように、内周側の凸部21f1と外周側の凹部21f2とにより構成されている。
【0079】
図26を参照して、マニホールド用の孔21bおよび21cのいずれの周囲に形成される凸部21f1の高さhは、ガス流路21gの深さDよりも小さい。
【0080】
上記のようにして得られた本実施の形態の燃料電池用セパレータ20を用いて燃料電池を製造することができる。燃料電池セルは、燃料電池用セパレータ20と電解質膜/膜接合体とを有している。電解質膜/膜接合体は、例えば燃料極、酸化剤極および固体高分子電解質膜からなっている。1対の燃料電池用セパレータ20、20が電解質膜/膜接合体を挟むように配置されることで、固体高分子型の燃料電池セルが構成されている。本実施の形態の燃料電池は、単一の燃料電池セルより構成されていても利用可能であるが、発電性能を高める目的で通常は該燃料電池セルが複数個直列に配置された燃料電池スタックとされている。
【0081】
本実施の形態で得られる燃料電池用セパレータ20は、上記の固体高分子型の燃料電池のほかに、ヒドラジン型、直接メタノール型、アルカリ型、リン酸型等の種々の燃料電池に対して好適に適用され得る。
【0082】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の成形用金型10によれば、図1および図4に示すように、金型部材1の凹部1aと金型部材2の凸部2aとにより成形材料が成形されるため、成形品のバリは当該凸部2aの上面2a1に交差する方向(図1および図4中の上方向)に生じる。ここで、当該凸部2aの上面2a1縁部に突起部2eが設けられているため、その突起部の頂面2e1を起点としてバリが生じる。これにより、バリの生じる起点を当該凸部2aの上面2a1よりキャビティ側にすることができるため、バリが当該凸部2aの上面2a1から突き出すことを従来例よりも抑制することができる。
【0083】
従来例では、図27に示すように、成形品121の表面121Aを起点S1としてバリとなる凸部121eが生じるため、バリとなる凸部121eの高さhだけ凸部121eは表面121Aから突き出すことになる。一方、本実施の形態では、図28に示すように、成形品20の縁部を取り囲むように形成された凹部21e2の底面を起点S2としてバリとなる凸部21e1が生じるため、このバリとなる凸部21e1が表面21Aから突き出すことが抑制される。これにより、本実施の形態では、成形品20を積み重ねるときに、バリとなる凸部21e1に邪魔されることなく、成形品20同士を十分に接触させることが可能となる。
【0084】
また、図23に示すように、成形品20のバリは当該上面21Aに略平行な方向(図23中の左右方向)に生じないため、良好な精度で成形品を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが当該凸部2aの上面2a1から突き出すことを従来例よりも抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0085】
また本実施の形態の成形用金型10では、図1、図5および図6に示すように、孔形成用凹部2b、1cの各々の周囲にも突起部2f、1fの各々が設けられているため、上記と同様の効果を得ることができる。
【0086】
また、仮にガス流路とマニホールド用の孔とが接続される側にバリが生じる場合には、ガス流路とマニホールド用の孔との間にバリが存在することになり、流路−孔間における流体の流れが阻害される。しかし本実施の形態では、図2および図3に示すように、孔形成用凸部1bに接続する流路形成用凸部1gが形成された金型部材1とは反対側の金型部材2に、孔形成用凹部2bの周囲を取り囲むように突起部2fが形成されている。このように流路形成用凸部1gと突起部2fとが互いに反対側の金型部材に形成されているため、ガス流路とマニホールド用の孔との接続部にバリが生じることはない。よって、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0087】
また図2および図3に示すように、孔形成用凸部2cに接続する流路形成用凸部2gが形成された金型部材2とは反対側の金型部材1に、孔形成用凹部1cの周囲を取り囲むように突起部1fが形成されている。このように、上記と同様、流路形成用凸部1gと突起部2fとが互いに反対側の金型部材に形成されているため、バリにより流体の流れが阻害されることはない。
【0088】
また本実施の形態の成形用金型10では、図9に示すように、凹部1aの底面1a1に対して凸部1dの上面1d1が凸部2aの上面2a1よりも低い場合には、図16に示すように連結側面2h1と凸部1dとの間の最短距離の部分は、常に突起部2eの高さの範囲内に位置する。これにより、脱型する際にこの最短距離の部分でバリが折れることになるため、バリが凸部2aの上面2a1よりも上方へ突き出すことは防止される。また図11および図13の場合も上記と同様の効果を得ることができる。
【0089】
また本実施の形態の成形用金型10では、図17〜図19に示すように、連結側面2h1が傾斜角度αを有する第1の側面部分と、傾斜角度βを有する第2の側面部分とを有する場合には、脱型の際に、小さい傾斜角度αの第1の側面部分では金型部材2が金型部材1から抜け難く、かつ大きな傾斜角度βの第2の側面部分では金型部材2が金型部材1から抜け易くなる。これにより、脱型と同時に、第1の側面部分と第2の側面部分との境界位置からバリが折れる。このため、脱型後にバリ部分を取り外す作業が不要となる。
【0090】
またこの第1の側面部分と第2の側面部分との境界位置は、連結側面2h1と凸部1dとの間の最短距離となる部分に設けられていることが好ましい。
【0091】
また本実施の形態の成形用金型10では、図4に示すように、金型部材1と金型部材2とを重ね合わせた状態で、連結側面2h1と凸部1dとの最短距離b1が凸部1dの上面1d1と凹部2dの底面2d1との距離t2よりも小さい場合には、距離t2の部分よりも最短距離b1の部分が脱型の際に割れやすくなる。仮に脱型の際に距離t2の部分で成形品が割れた場合には、成形品には図中上方向および横方向に大きく突き出したバリが生じることになる。しかし、図4の構成では、脱型の際に、最短距離b1の部分で成形品が割れるため、脱型後に生じるバリを小さくでき、バリが凸部2aの上面2a1から上方へ突き出すことが抑制される。
【0092】
図5において連結側面2h2と凸部1bとの最短距離b2が孔形成用凸部1bの上面1b1と孔形成用凹部2bの底面2b1との距離t3よりも小さい場合、および図6において連結側面1hと孔形成用凸部2cとの最短距離b3が孔形成用凸部2cの上面2c1と孔形成用凹部1cの底面1c1との距離t4よりも小さい場合も、上記と同様の効果を得ることができる。
【0093】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20では、図21に示すように、燃料電池用セパレータ20の縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部21e1で内周側が凹部21e2よりなる段部21eが形成されている。この凸部21e1はバリであるが、バリの内周側に凹部21e2があるため、図28に示すようにバリ発生の起点S2は凹部21e2の底面からとなる。このため、バリが燃料電池用セパレータ20の表面21Aから突き出すことは抑制される。このため、燃料電池用セパレータ20を積み重ねるときに燃料電池用セパレータ20同士を十分に接触させることが可能となる。また、燃料電池用セパレータ20のバリは当該上面に略平行な方向に生じないため、良好な精度で燃料電池用セパレータ20を位置決めして積み重ねることが可能となる。またバリが燃料電池用セパレータ20の表面21Aから突き出すことを抑制することができるため、複雑なバリ取り加工が不要となる。
【0094】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20では、図21および図22に示すように、マニホールド用の孔21bまたは21cを取り囲むように、内周側が凸部21f1で外周側が凹部21f2よりなる段部21fが形成されている。このため、上記と同様、バリである凸部21f1が燃料電池用セパレータ20の表面21Aまたは21Bから突き出すことは抑制される。よって、上記と同様の効果が得られる。
【0095】
また燃料電池では、燃料ガスから水が生成される。このため、ガス流路21gとマニホールド用の孔21b、21cとの接続部にバリがあると、この生成水がバリによりガス流路21gからマニホールド用の孔21b、21cへ流れ込み難くなり、ガス流路21gに溜まる。この溜まった水塊が隣のセルに流入することで燃料ガスの流れが不安定となり、電池電圧が乱れる。しかし本実施の形態では、図26に示すように、バリとなる凸部21f1はガス流路21gが形成された面とは反対側の面に形成されるため、ガス流路21gとマニホールド用の孔21b、21cとの接続部にバリが生じることはない。よって、上記の電池電圧の乱れは生じない。
【0096】
また本実施の形態の燃料電池用セパレータ20の製造方法によれば、成形品20同士を十分に接触させることができ、かつ良好な精度で成形品20を位置決めして積み重ねることができ、かつ複雑なバリ取り加工が不要な燃料電池用セパレータを製造することができる。
【0097】
なお、本実施の形態における金型は圧縮成形用の金型であってもよく、射出圧縮成形用の金型であってもよい。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、電気自動車用電源、ポータブル電源、非常用電源等に対して適用されるリン酸型燃料電池、ダイレクトメタノ−ル型燃料電池、固体高分子型燃料電池等の燃料電池に対して使用可能な燃料電池用セパレータの製造方法およびそれに用いられる成形用金型に特に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施の形態における成形用金型の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1に示す成形用金型の下型(金型部材1)の賦形側の面を示す概略平面図である。
【図3】図1に示す成形用金型の上型(金型部材2)の賦形側の面を示す概略平面図である。
【図4】図1の領域R1を拡大して示す断面図である。
【図5】図1の領域R3を拡大して示す断面図である。
【図6】図1の領域R4を拡大して示す断面図である。
【図7】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21と高さH11とが同じである場合を示す図である。
【図8】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21が高さH11よりも高い場合を示す図である。
【図9】図1の領域R2を拡大して示す断面図であり、高さH21が高さH11よりも低い場合を示す図である。
【図10】図1の領域R3を拡大して示す断面図であり、高さH22が高さH11よりも高い場合を示す図である。
【図11】図1の領域R3を拡大して示す断面図であり、高さH22が高さH11よりも低い場合を示す図である。
【図12】図1の領域R4を拡大して示す断面図であり、高さH23が高さH12よりも高い場合を示す図である。
【図13】図1の領域R4を拡大して示す断面図であり、高さH23が高さH12よりも低い場合を示す図である。
【図14】図7に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図15】図8に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図16】図9に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図である。
【図17】図7に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図18】図8に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図19】図9に示す突起部2e付近を拡大して示す断面図であり、連結側面が傾斜角度の異なる第1および第2の側面部分を有する構成を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態における成形用金型を用いた燃料電池用セパレータの製造方法を示す概略断面図である。
【図21】燃料電池用セパレータ20の一方表面の構成を概略的に示す平面図である。
【図22】燃料電池用セパレータ20の他方表面の構成を概略的に示す平面図である。
【図23】図21および図22のXXIII−XXIII線に沿う概略断面図である。
【図24】図23の領域Q1を拡大して示す概略断面図である。
【図25】図23の領域Q2を拡大して示す概略断面図である。
【図26】図21のXXVI−XXVI線に沿う概略断面図である。
【図27】従来例の燃料電池用セパレータにおいてバリが燃料電池用セパレータの表面より上方に突き出す様子を説明するための燃料電池用セパレータの部分断面図である。
【図28】本発明の一実施の形態における燃料電池用セパレータにおいてバリが燃料電池用セパレータの表面より上方に突き出すことを抑制できることを説明するための燃料電池用セパレータの部分断面図である。
【図29】従来のシェアエッジ構造の圧縮成形用金型の構成(a)と、それにより成形された成形品の構成(b)を示す断面図である。
【図30】従来の合わせ型の圧縮成形用金型の構成(a)と、それにより成形された成形品の構成(b)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 金型部材、1a,1c,2d 凹部、1a1,1c1,2b1,2d1 底面、1b1,1d1,2a1,2c1 上面、1b,2c 孔形成用凸部、1c,2b 孔形成用凹部、1d,2a 凸部、1f,2e,2f 突起部、1c2,1f2,2a2,2a3,2e2,2f2 側面、1f1,2e1,2f1 頂面、1g,2g 流路形成用凸部、1h,2h1,2h2 連結側面、2 金型部材、10 成形用金型、20 燃料電池用セパレータ(成形品)、20a 成形材料、21A 一方表面、21B 他方表面、21b,21c マニホールド用の孔、21e,21f 段部、21e1,21f1 凸部、21e2,21f2 凹部、21g ガス流路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を成形するための成形用金型であって、
第1の凹部を有する第1の金型部材と、
前記第1の凹部に対応して設けられた第1の凸部を有する第2の金型部材とを備え、
前記第1の凸部は、前記第1の凹部の底面と対向する上面に突起部を有し、
前記突起部は、前記第1の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ前記上面の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている、成形用金型。
【請求項2】
前記第1の金型部材は前記第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、
前記第1の凸部と前記第1の凹部とを対応させて前記第1の金型部材と前記第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、前記第2の凸部の上面は前記第1の凹部の底面に対して前記第1の凸部の上面よりも下側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の成形用金型。
【請求項3】
前記第2の金型部材は、前記第1の凸部の側面と前記第1の凸部の側面に繋がる前記突起部の側面とから構成された連結側面を有し、
前記連結側面は、第1の側面部分と、前記第1の側面部分よりも前記突起部の頂面側に位置する第2の側面部分とを有し、
前記第1の凹部の底面の垂線に対する前記第2の側面部分の傾斜角度は、前記垂線に対する前記第1の側面部分の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の成形用金型。
【請求項4】
前記第2の金型部材は、前記第1の凸部の側面と前記第1の凸部の側面に繋がる前記突起部の側面とから構成された連結側面を有し、
前記第1の金型部材は前記第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、
前記第2の金型部材は前記第1の凸部の周囲を取り囲み、かつ前記第2の凸部に対応して設けられた第2の凹部を有しており、
前記第1の凸部と前記第1の凹部とを対応させて前記第1の金型部材と前記第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、前記連結側面と前記第2の凸部との最短距離が前記第2の凸部の上面と前記第2の凹部の底面との距離よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の成形用金型。
【請求項5】
成形材料を成形して成形品を形成するための成形用金型であって、
前記成形品に孔を形成するための孔形成用凸部および前記孔形成用凸部の周囲を取り囲む凹部を有する第1の金型部材と、
前記孔形成用凸部に対応して設けられた孔形成用凹部および前記孔形成用凹部の周囲を取り囲む凸部を有する第2の金型部材とを備え、
前記第2の金型部材の前記凸部は、前記凹部の底面に対向する上面に突起部を有し、
前記突起部は、前記第2の金型部材の前記凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ前記孔形成用凹部の全周を取り囲むように形成されている、成形用金型。
【請求項6】
前記成形品の前記孔に接続された流路を形成するための流路形成用凸部は、前記流路が接続される前記孔を形成するための前記孔形成用凸部に接続するように前記第1の金型部材に形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の成形用金型。
【請求項7】
マニホールド用の孔と前記孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、
前記燃料電池用セパレータの互いに対向する表面のいずれか一方に、前記燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成された、燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
マニホールド用の孔と前記孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、
前記流路の底面は平坦であり、前記流路が接続された前記孔の周囲であって前記流路が形成された面とは反対側の面に前記孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成された、燃料電池用セパレータ。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の成形用金型を用いて成形材料を成形する工程を経て燃料電池用セパレータを製造することを特徴とする、燃料電池用セパレータの製造方法。
【請求項1】
成形材料を成形するための成形用金型であって、
第1の凹部を有する第1の金型部材と、
前記第1の凹部に対応して設けられた第1の凸部を有する第2の金型部材とを備え、
前記第1の凸部は、前記第1の凹部の底面と対向する上面に突起部を有し、
前記突起部は、前記第1の凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ前記上面の縁部の一部または全周を取り囲むように形成されている、成形用金型。
【請求項2】
前記第1の金型部材は前記第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、
前記第1の凸部と前記第1の凹部とを対応させて前記第1の金型部材と前記第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、前記第2の凸部の上面は前記第1の凹部の底面に対して前記第1の凸部の上面よりも下側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の成形用金型。
【請求項3】
前記第2の金型部材は、前記第1の凸部の側面と前記第1の凸部の側面に繋がる前記突起部の側面とから構成された連結側面を有し、
前記連結側面は、第1の側面部分と、前記第1の側面部分よりも前記突起部の頂面側に位置する第2の側面部分とを有し、
前記第1の凹部の底面の垂線に対する前記第2の側面部分の傾斜角度は、前記垂線に対する前記第1の側面部分の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の成形用金型。
【請求項4】
前記第2の金型部材は、前記第1の凸部の側面と前記第1の凸部の側面に繋がる前記突起部の側面とから構成された連結側面を有し、
前記第1の金型部材は前記第1の凹部の周囲を取り囲む第2の凸部を有し、
前記第2の金型部材は前記第1の凸部の周囲を取り囲み、かつ前記第2の凸部に対応して設けられた第2の凹部を有しており、
前記第1の凸部と前記第1の凹部とを対応させて前記第1の金型部材と前記第2の金型部材とを重ね合わせた状態で、前記連結側面と前記第2の凸部との最短距離が前記第2の凸部の上面と前記第2の凹部の底面との距離よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の成形用金型。
【請求項5】
成形材料を成形して成形品を形成するための成形用金型であって、
前記成形品に孔を形成するための孔形成用凸部および前記孔形成用凸部の周囲を取り囲む凹部を有する第1の金型部材と、
前記孔形成用凸部に対応して設けられた孔形成用凹部および前記孔形成用凹部の周囲を取り囲む凸部を有する第2の金型部材とを備え、
前記第2の金型部材の前記凸部は、前記凹部の底面に対向する上面に突起部を有し、
前記突起部は、前記第2の金型部材の前記凸部の側面に繋がる側面とキャビティに面する頂面とを有し、かつ前記孔形成用凹部の全周を取り囲むように形成されている、成形用金型。
【請求項6】
前記成形品の前記孔に接続された流路を形成するための流路形成用凸部は、前記流路が接続される前記孔を形成するための前記孔形成用凸部に接続するように前記第1の金型部材に形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の成形用金型。
【請求項7】
マニホールド用の孔と前記孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、
前記燃料電池用セパレータの互いに対向する表面のいずれか一方に、前記燃料電池用セパレータの縁部全周を取り囲むように、外周側が凸部で内周側が凹部よりなる段部が形成された、燃料電池用セパレータ。
【請求項8】
マニホールド用の孔と前記孔に接続された流路とを有する燃料電池用セパレータであって、
前記流路の底面は平坦であり、前記流路が接続された前記孔の周囲であって前記流路が形成された面とは反対側の面に前記孔を取り囲むように、内周側が凸部で外周側が凹部よりなる段部が形成された、燃料電池用セパレータ。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかに記載の成形用金型を用いて成形材料を成形する工程を経て燃料電池用セパレータを製造することを特徴とする、燃料電池用セパレータの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2008−30313(P2008−30313A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206528(P2006−206528)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】
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