成形用金型の製造方法
【課題】原型と砂型に凹凸模様を転写させる部材との間に鋳砂の入り込むことを回避させ、原型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合の発生を防止できる成形用金型の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造するものであって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に前記凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、前記網状部材は、多数の網孔を形成した網目状の可撓性を有する合成樹脂シートから構成させた。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造するものであって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に前記凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、前記網状部材は、多数の網孔を形成した網目状の可撓性を有する合成樹脂シートから構成させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂粒子を発泡成形体に成形する際に使用され、発泡成形体の表面に凹凸模様を形成することができる成形用金型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる発泡成形体は、固定側の第1の成形用金型と、この第1の成形用金型に対して型閉め・型開き方向に移動可能な第2の成形用金型とからなり、型閉め時に目的の発泡成形体の形状と一致する成形空間が形成される成形用金型を用い、前記成形空間内に熱可塑性樹脂の発泡樹脂粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体により成形空間内の発泡樹脂粒子を加熱することにより、発泡樹脂粒子同士を発泡融着させて製造されている。
【0003】
しかし、発泡樹脂粒子同士を発泡融着して製造された発泡成形体の表面には、発泡樹脂粒子の亀甲模様が形成され、これが発泡成形体の外観を損ねるという問題を有していた。
【0004】
このため、凹凸模様を有する成形用金型が広く使用されている。この成形用金型は、その成形面に凹凸模様を形成しておき、この凹凸模様を発泡成形体の表面に転写することによって、発泡樹脂粒子の亀甲模様を目立たせない外観の良好な発泡成形体を製造することができる。
【0005】
従来、凹凸模様を有する成形用金型の製造方法として、例えば特許文献1に開示されているように、先ず、木型(原型)の表面に金網またはパンチングメタルを固定し、該木型を用いて金網またはパンチングメタルから転写した凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いて該砂型から転写した凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する方法が知られている。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3045015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、木型に金網を固定する方法では、金網が編み構造、即ち、網目を構成する線部同士を上下交差するように編み込んで形成された構造であるので、木型と金網との間に金網の線部同士の上下交差による間隙が生じてしまい、この木型を用いて砂型を作製すれば、鋳砂が木型と金網との間隙に入って金網の内側に回り込み、木型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生するという問題がある。
【0008】
また、木型にパンチングメタルを固定する方法では、パンチングメタルが硬質で柔軟性が無いため、木型の曲面形状の成形面や凹形状の角部等に完全に沿わせて固定することが困難であり、曲面形状の成形面や凹形状の角部等が無い比較的単純な形状の木型にしか用いることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、原型と砂型に凹凸模様を転写させる部材との間に鋳砂の入り込むことを回避させ、原型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合の発生を防止できる成形用金型の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造するものであって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に前記凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、前記網状部材として、多数の網孔を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用したことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、網状部材には金網のように網目を構成する線部同士の上下交差がないので、原型に網状部材を密着して固定することができ、原型と網状部材との間に鋳砂の入り込む間隙が生じなくなる。しかも、網状部材として可撓性合成樹脂シートを使用したので、網状部材を原型の成形面に密着して沿うように容易に変形させることができる。
【0012】
また、前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの一方の面において平坦状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定したこと特徴とする。これにより、原型に網状部材をより密着して固定することができる。
【0013】
また、前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの他方の面において凹凸状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定したことを特徴とする。これにより、砂型にシートの網目模様から転写された凹凸模様に加えてシートの各線部の凹凸形状からも凹凸模様を転写することができる。
【0014】
更に、前記シートの他方の面において、各線部は交差部を隆起して凸とし、交差部間を凹としたことを特徴とする。これにより、網目と各線部の交差部とで大きな凹凸差が得られることとなり、砂型に凹凸模様を鮮明に転写することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、原型に網状部材が密着して固定されて鋳砂の入り込む間隙が生じなくなるから、原型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生することがなく、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な成形用金型を製造することができる。また、網状部材を原型の成形面に密着して沿うように容易に変形できるから、三次元形状の複雑な成形面を有する原型にも適用することができる。更に、網状部材により砂型に凹凸模様を鮮明に転写できるから、その砂型を用いて鋳造される成形用金型に凹凸模様を鮮明に転写でき、その成形用金型を用いて形成される発泡成形体に凹凸模様を鮮明に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の成形用金型の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る発泡成形体を成形するための成形用金型は、図1に示すように、一対の成形用金型、即ち、凸型の成形用金型(以下、凸金型と称す)10と凹型の成形用金型(以下、凹金型)20とから構成されている。
【0018】
先ず、凸金型10の製造に当たっては、図2に示す如き、凸金型10に対応する形状の成形面Aを有する凸金型用の木型(原型)30を用意する。木型30は、木材等を用いて適宜の切削工具等による機械加工等により作製されている。
【0019】
次に、図3に示すように、木型30の成形面Aに網状部材40を固定する。網状部材40は、図4及び図5に示すように、全面に亘って多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートで構成されており、網目(網孔41)を凹部とし、網目(網孔41)を構成する各線部42を凸部としている。合成樹脂シートの厚さは、網目(網孔41)が後述する砂型50に凹凸模様の凸部分を成形できる程度の厚さを有していれば良い。
【0020】
網状部材40は、網目(網孔41)を構成する各線部42が、一方の面において平坦状に形成され、かつ、他方の面において凹凸状に形成されており、一方の面が内側となるように木型30に固定されている。網状部材40の他方の面において、網目(網孔41)を構成する各線部42は交差部43を隆起して凸部とし、交差部43間を凹部としている。
【0021】
網状部材40における1つの網孔41の大きさは、通常0.5mm×0.5mm〜5.0mm×5.0mmの範囲、好ましくは1.5mm×1.5mm〜3.5mm×3.5mmの範囲に形成されている。これにより、発泡樹脂粒子の亀甲模様の目立たない発泡成形体を効率よく製造することができる。
【0022】
網状部材40は、木型30が三次元形状の複雑な成形面Aを有していても、木型30の成形面Aに密着して沿うように容易に変形が可能な柔軟性を有しており、その材料としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂又はこれら樹脂の共重合体を挙げることができる。
【0023】
網状部材40は、合成樹脂シートに矩形または円形の孔を打ち抜き、これを延伸加工して形成することができ、網目を構成する各線部42同士が上下に重なり合って交差していない、即ち、網目を構成する各線部42同士の上下交差のない網状体である。これにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士が重なり合って上下交差する部分がないので、木型30に網状部材40を密着して固定でき、木型30と網状部材40との間に不用な間隙が生じることがない。
【0024】
網状部材40は、木型30の成形面Aに対応する形状に切断し、木型30の成形面Aに接着剤等で貼り付けられる。
【0025】
次に、木型30を用いて図6に示す如き砂型50の下型50aを作製する。即ち、図7に示すように、ベース51上に木型30を載置し、木型30が中央に位置するようにその周囲を砂型作製用枠体52で取り囲み、更に、砂型作製用枠体52内に木型30を埋め込むように鋳砂53を充填する。次いで、砂型作製用枠体52内に充填された鋳砂53を炭酸ガス封入によりその形状に固める。その後、砂型作製用枠体52を反転して木型30を抜き取ることにより、空洞部(木型30の反転形状を有する空洞である。)54を有する砂型50の下型50aを作製する。これにより、図6に示すように、砂型50の下型50aにおける木型30の成形面Aと対向する面(成形面)Bには、網状部材40から転写された凹凸模様が形成される。
【0026】
次に、図8に示す如き砂型50の上型50bを作製する。上型50bには、上記下型50aの空洞部54に連通する湯口55が形成されている。この上型50bについては、図示されていないが湯口55を形成するための湯口棒を用いて上記下型50aの場合と同様にして作製される。
【0027】
次に、作製した下型50aと上型50bとを組み合わせて砂型50を構成し、この砂型50を用いて鋳造することにより、凸金型10を作製する。即ち、図9に示すように、砂型50の下型50aの上側に上型50bを組み合わせ、上型50bの湯口55から溶融金属を空洞部54内に流し込み、その溶融金属を凝固させて凸金型10を鋳造する。これにより、図8に示すように、凸金型10における砂型50の成形面Bと対向する面(成形面)Cには、砂型50から転写された凹凸模様が形成される。凸金型10にはアルミニウム、アルミニウム合金等が材料として用いられる。尚、凸金型10には図示されていないが発泡成形体を形成する際に発泡樹脂粒子を蒸気加熱させるための水蒸気を導入するための蒸気孔が適宜ピッチで多数形成されている。
【0028】
以上、凸金型10の製造方法について説明したが、凹金型20も凸金型10の場合と同様にして製造する。
【0029】
即ち、図10に示すように、凹金型20に対応する形状を有する木型60を用意する。木型60は、木材等を用いて適宜の切削工具等による機械加工等により作製されている。
【0030】
次に、図11に示すように、木型60の内面(成形面)Dに網状部材40を接着剤等で貼り付けて固定する。
【0031】
次に、図示されていないが木型60を用いて凸金型10の場合と同様にして砂型を作製する。これにより、砂型における木型60の成形面Dと対応する面(成形面)には、網状部材40から転写された凹凸模様が形成される。
【0032】
次に、図示されていないが作製された砂型を用いて鋳造することにより、凹金型20を鋳造する。これにより、凹金型20における砂型の成形面に対応する面(成形面)Eには、砂型から転写された凹凸模様が形成される。凹金型20には凸金型10と同様にアルミニウム、アルミニウム合金等が材料として用いられる。尚、凹金型20には、図示されていないが発泡成形体を形成する際に発泡樹脂粒子を蒸気加熱させるための水蒸気を導入するための蒸気孔が適宜ピッチで多数形成されている。
【0033】
以上により、図1に示す如き、凸金型10と凹金型20を製造する。そして、図12に示すように、凸金型10を凹金型20に嵌合して型締めし、両金型10,20間に形成される形成空間3内に発泡樹脂粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体によりキャビティ3内の発泡樹脂粒子を加熱・発泡融着させて発泡成形体を形成することにより、発泡成形体の表面に両金型10,20から凹凸模様を転写させる。
【0034】
本実施形態によれば、凸金型10の原型である木型30の成形面Aに多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用した網状部材40を固定したことにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士の上下交差がないから、木型30に網状部材40が密着して固定され、木型30と網状部材40との間に間隙が生じる虞を回避することができる。このため、木型30を用いて砂型50を作製すれば、木型30と網状部材40との間に鋳砂53が入り込むことがないので、木型30の抜き取り時の砂型50の崩れ等の不具合が発生することがない。これにより、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な凸金型10を製造することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、凹金型20の原型である木型60の成形面Dに多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用した網状部材40を固定したことにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士の上下交差がないので、木型60に網状部材40が密着して固定され、木型60と網状部材40との間に間隙が生じる虞を回避することができる。このため、木型60を用いて砂型を作製すれば、木型60と網状部材40との間に鋳砂が入り込むことがないので、木型60の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生することがない。これにより、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な凹金型20を製造することができる。
【0036】
更に、本実施形態によれば、網状部材40の網目(網孔41)を構成する各線部42が他方の面において凹凸状に形成したことにより、砂型50に網状部材50の網目模様から転写される凹凸模様に加えて各線部42の凹凸形状からも凹凸模様を転写することができる。しかも、網状部材40の他方の面において、網目(網孔41)を構成する各線部42は交差部43を隆起して凸部とし、交差部43間を凹部としたから、網目(網孔41)と各線部42の交差部43との間に大きな凹凸差が得られることとなり、砂型に凹凸模様が深くはっきりと転写される。これにより、その砂型を用いて鋳造される両金型10,20に凹凸模様が鮮明に転写され、その両金型10,20を用いて形成される発泡成形体に凹凸模様を鮮明に形成させることができるという利点がある。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、凸金型10及び凹金型20の原型である木型30及び60の成形面A及びDの全面に網状部材40を固定しているが、木型30及び60の成形面A及びDの一部に網状部材40を固定するようにしても良い。
【0038】
また、前記実施形態においては、網状部材40は木型30及び60に固定する側の一方の面のみが平坦状であるが、網状部材40は他方の面も平坦状でも良い。
【0039】
更に、網状部材40の網目(網孔41)の形状は、特に限定されるものではなく、矩形、円形等のいずれかを選んで使用できる。従って、矩形の網目を使用した場合、網目を構成する各線部の幅は網目の縦横方向において一定であるが、円形の網目を使用した場合、網目を構成する各線部の幅は網目の縦横方向において変化する。
【0040】
[実施例1]
250mm×250mm×100mmの凸形状を有する木型の成形面(外面)に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmの上下交差のないHDPE樹脂網(トリカル〈登録商標〉網N−2:タキロン株式会社製)を接着剤で固定し、得られた木型を砂型作製用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作し、その砂型を組み合わせた成形空間内に溶融アルミニウムを流し込み、アルミニウムからなる厚み10mmの鋳物を作製した。該鋳物の凹凸模様を有する成形面に径0.8mmの蒸気孔を25mmピッチでドリルにより開けて凸型の成形用金型を製作した。このようにして得た凸型の成形用金型を発泡成形機のコア金型として組み込んだ。
【0041】
次いで、300mm×300mm×150mmの凹型用の木型の成形面(内面)に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのHDPE樹脂網(トリカル〈登録商標〉網N−2:タキロン株式会社製)を接着剤で固定し、得られた木型を砂型製作用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作し、砂型を組み合わせた形成空間内に溶融アルミニウムを流し込み、アルミニウムによる厚み10mmの鋳物を製作した。該鋳物の凹凸模様を有する成形面に径0.8mmの蒸気孔を25mmピッチでドリルにより開けて凹型の成形用金型を製作した。このようにして得た凹型の成形用金型を前記発泡成形機のキャビティ金型として組み込んだ。
【0042】
次いで、スチレン改質ポリエチレン系樹脂の予備発泡樹脂粒子(ピオセラン〈登録商標〉:積水化成品工業株式会社製、発泡倍数:30倍)を充填機から前記発泡成形機のコア金型とキャビティ金型との間隙を3mmとした状態で成形空間にクラッキング充填した後、コア、キャビティ両金型を型締めし、下記の条件で成形した。
【0043】
〔成形条件〕
一方加熱:0.8MPa
逆一方加熱:0.8MPa
両面加熱:1.0MPa
水冷:20s
放冷:100s
【0044】
以上のようにして得られた発泡成形体は、全面に1.8mm×1.8mmの大きさの金型模様(凹凸模様)が表面に転写され、発泡樹脂粒子の亀甲模様が目立たない美麗な外観と良好な感触を有するものであった。
【0045】
[比較例1]
実施例1で示した木型の成形面に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのHDPE樹脂製で上下交差する網を接着剤で固定し、得られた木型を砂型製作用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作したが、網と木型の間隙部に鋳物砂が入り込み木型の抜き取り時に砂型が崩れ、砂型に網から凹凸模様を転写することができなかった。
【0046】
[比較例2]
実施例1で示した木型の成形面に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのパンチングメタルを接着剤で固定しようとしたが、パンチングメタルは硬度が高く、木型の曲面形状等に上手く沿わず砂型が作製できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態における成形用金型の型開き状態を示す断面図である。
【図2】実施形態における凸型用の木型(原型)を示す断面図である。
【図3】実施形態における凸型用の木型に網状部材を固定した状態を示す断面図である。
【図4】実施形態における網状部材を示す説明図である。
【図5】(a)は図4のa−a線における断面図、(b)は図4のb−b線における断面図である。
【図6】実施形態における凸型用の砂型の下型を示す断面図である。
【図7】実施形態における凸型用の砂型の下型を作製する工程の説明図である。
【図8】実施形態における凸型用の砂型の上型を示す断面図である。
【図9】実施形態における凸型用の砂型を示す断面図である。
【図10】実施形態における凹型用の木型(原型)を示す断面図である。
【図11】実施形態における凹型用の木型に網状部材を固定した状態を示す断面図である。
【図12】実施形態における成形用金型の型締め状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10…凸型の成形用金型(凸金型)、20…凹型の成形用金型(凹金型)、30…木型(凸金型用の原型)、40…網状部材、41…網孔(網目)、42…線部、43…交差部、50…砂型、50a…砂型の下型、50b…砂型の上型、51…ベース、52…砂型作製用枠体、53…鋳砂、54…空洞部、55…湯口、60…凸型用の木型(凹金型用の原型)、A〜E…成形面
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる発泡樹脂粒子を発泡成形体に成形する際に使用され、発泡成形体の表面に凹凸模様を形成することができる成形用金型の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる発泡成形体は、固定側の第1の成形用金型と、この第1の成形用金型に対して型閉め・型開き方向に移動可能な第2の成形用金型とからなり、型閉め時に目的の発泡成形体の形状と一致する成形空間が形成される成形用金型を用い、前記成形空間内に熱可塑性樹脂の発泡樹脂粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体により成形空間内の発泡樹脂粒子を加熱することにより、発泡樹脂粒子同士を発泡融着させて製造されている。
【0003】
しかし、発泡樹脂粒子同士を発泡融着して製造された発泡成形体の表面には、発泡樹脂粒子の亀甲模様が形成され、これが発泡成形体の外観を損ねるという問題を有していた。
【0004】
このため、凹凸模様を有する成形用金型が広く使用されている。この成形用金型は、その成形面に凹凸模様を形成しておき、この凹凸模様を発泡成形体の表面に転写することによって、発泡樹脂粒子の亀甲模様を目立たせない外観の良好な発泡成形体を製造することができる。
【0005】
従来、凹凸模様を有する成形用金型の製造方法として、例えば特許文献1に開示されているように、先ず、木型(原型)の表面に金網またはパンチングメタルを固定し、該木型を用いて金網またはパンチングメタルから転写した凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いて該砂型から転写した凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する方法が知られている。
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3045015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、木型に金網を固定する方法では、金網が編み構造、即ち、網目を構成する線部同士を上下交差するように編み込んで形成された構造であるので、木型と金網との間に金網の線部同士の上下交差による間隙が生じてしまい、この木型を用いて砂型を作製すれば、鋳砂が木型と金網との間隙に入って金網の内側に回り込み、木型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生するという問題がある。
【0008】
また、木型にパンチングメタルを固定する方法では、パンチングメタルが硬質で柔軟性が無いため、木型の曲面形状の成形面や凹形状の角部等に完全に沿わせて固定することが困難であり、曲面形状の成形面や凹形状の角部等が無い比較的単純な形状の木型にしか用いることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、原型と砂型に凹凸模様を転写させる部材との間に鋳砂の入り込むことを回避させ、原型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合の発生を防止できる成形用金型の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造するものであって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に前記凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、前記網状部材として、多数の網孔を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用したことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、網状部材には金網のように網目を構成する線部同士の上下交差がないので、原型に網状部材を密着して固定することができ、原型と網状部材との間に鋳砂の入り込む間隙が生じなくなる。しかも、網状部材として可撓性合成樹脂シートを使用したので、網状部材を原型の成形面に密着して沿うように容易に変形させることができる。
【0012】
また、前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの一方の面において平坦状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定したこと特徴とする。これにより、原型に網状部材をより密着して固定することができる。
【0013】
また、前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの他方の面において凹凸状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定したことを特徴とする。これにより、砂型にシートの網目模様から転写された凹凸模様に加えてシートの各線部の凹凸形状からも凹凸模様を転写することができる。
【0014】
更に、前記シートの他方の面において、各線部は交差部を隆起して凸とし、交差部間を凹としたことを特徴とする。これにより、網目と各線部の交差部とで大きな凹凸差が得られることとなり、砂型に凹凸模様を鮮明に転写することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、原型に網状部材が密着して固定されて鋳砂の入り込む間隙が生じなくなるから、原型の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生することがなく、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な成形用金型を製造することができる。また、網状部材を原型の成形面に密着して沿うように容易に変形できるから、三次元形状の複雑な成形面を有する原型にも適用することができる。更に、網状部材により砂型に凹凸模様を鮮明に転写できるから、その砂型を用いて鋳造される成形用金型に凹凸模様を鮮明に転写でき、その成形用金型を用いて形成される発泡成形体に凹凸模様を鮮明に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の成形用金型の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明に係る発泡成形体を成形するための成形用金型は、図1に示すように、一対の成形用金型、即ち、凸型の成形用金型(以下、凸金型と称す)10と凹型の成形用金型(以下、凹金型)20とから構成されている。
【0018】
先ず、凸金型10の製造に当たっては、図2に示す如き、凸金型10に対応する形状の成形面Aを有する凸金型用の木型(原型)30を用意する。木型30は、木材等を用いて適宜の切削工具等による機械加工等により作製されている。
【0019】
次に、図3に示すように、木型30の成形面Aに網状部材40を固定する。網状部材40は、図4及び図5に示すように、全面に亘って多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートで構成されており、網目(網孔41)を凹部とし、網目(網孔41)を構成する各線部42を凸部としている。合成樹脂シートの厚さは、網目(網孔41)が後述する砂型50に凹凸模様の凸部分を成形できる程度の厚さを有していれば良い。
【0020】
網状部材40は、網目(網孔41)を構成する各線部42が、一方の面において平坦状に形成され、かつ、他方の面において凹凸状に形成されており、一方の面が内側となるように木型30に固定されている。網状部材40の他方の面において、網目(網孔41)を構成する各線部42は交差部43を隆起して凸部とし、交差部43間を凹部としている。
【0021】
網状部材40における1つの網孔41の大きさは、通常0.5mm×0.5mm〜5.0mm×5.0mmの範囲、好ましくは1.5mm×1.5mm〜3.5mm×3.5mmの範囲に形成されている。これにより、発泡樹脂粒子の亀甲模様の目立たない発泡成形体を効率よく製造することができる。
【0022】
網状部材40は、木型30が三次元形状の複雑な成形面Aを有していても、木型30の成形面Aに密着して沿うように容易に変形が可能な柔軟性を有しており、その材料としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の樹脂又はこれら樹脂の共重合体を挙げることができる。
【0023】
網状部材40は、合成樹脂シートに矩形または円形の孔を打ち抜き、これを延伸加工して形成することができ、網目を構成する各線部42同士が上下に重なり合って交差していない、即ち、網目を構成する各線部42同士の上下交差のない網状体である。これにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士が重なり合って上下交差する部分がないので、木型30に網状部材40を密着して固定でき、木型30と網状部材40との間に不用な間隙が生じることがない。
【0024】
網状部材40は、木型30の成形面Aに対応する形状に切断し、木型30の成形面Aに接着剤等で貼り付けられる。
【0025】
次に、木型30を用いて図6に示す如き砂型50の下型50aを作製する。即ち、図7に示すように、ベース51上に木型30を載置し、木型30が中央に位置するようにその周囲を砂型作製用枠体52で取り囲み、更に、砂型作製用枠体52内に木型30を埋め込むように鋳砂53を充填する。次いで、砂型作製用枠体52内に充填された鋳砂53を炭酸ガス封入によりその形状に固める。その後、砂型作製用枠体52を反転して木型30を抜き取ることにより、空洞部(木型30の反転形状を有する空洞である。)54を有する砂型50の下型50aを作製する。これにより、図6に示すように、砂型50の下型50aにおける木型30の成形面Aと対向する面(成形面)Bには、網状部材40から転写された凹凸模様が形成される。
【0026】
次に、図8に示す如き砂型50の上型50bを作製する。上型50bには、上記下型50aの空洞部54に連通する湯口55が形成されている。この上型50bについては、図示されていないが湯口55を形成するための湯口棒を用いて上記下型50aの場合と同様にして作製される。
【0027】
次に、作製した下型50aと上型50bとを組み合わせて砂型50を構成し、この砂型50を用いて鋳造することにより、凸金型10を作製する。即ち、図9に示すように、砂型50の下型50aの上側に上型50bを組み合わせ、上型50bの湯口55から溶融金属を空洞部54内に流し込み、その溶融金属を凝固させて凸金型10を鋳造する。これにより、図8に示すように、凸金型10における砂型50の成形面Bと対向する面(成形面)Cには、砂型50から転写された凹凸模様が形成される。凸金型10にはアルミニウム、アルミニウム合金等が材料として用いられる。尚、凸金型10には図示されていないが発泡成形体を形成する際に発泡樹脂粒子を蒸気加熱させるための水蒸気を導入するための蒸気孔が適宜ピッチで多数形成されている。
【0028】
以上、凸金型10の製造方法について説明したが、凹金型20も凸金型10の場合と同様にして製造する。
【0029】
即ち、図10に示すように、凹金型20に対応する形状を有する木型60を用意する。木型60は、木材等を用いて適宜の切削工具等による機械加工等により作製されている。
【0030】
次に、図11に示すように、木型60の内面(成形面)Dに網状部材40を接着剤等で貼り付けて固定する。
【0031】
次に、図示されていないが木型60を用いて凸金型10の場合と同様にして砂型を作製する。これにより、砂型における木型60の成形面Dと対応する面(成形面)には、網状部材40から転写された凹凸模様が形成される。
【0032】
次に、図示されていないが作製された砂型を用いて鋳造することにより、凹金型20を鋳造する。これにより、凹金型20における砂型の成形面に対応する面(成形面)Eには、砂型から転写された凹凸模様が形成される。凹金型20には凸金型10と同様にアルミニウム、アルミニウム合金等が材料として用いられる。尚、凹金型20には、図示されていないが発泡成形体を形成する際に発泡樹脂粒子を蒸気加熱させるための水蒸気を導入するための蒸気孔が適宜ピッチで多数形成されている。
【0033】
以上により、図1に示す如き、凸金型10と凹金型20を製造する。そして、図12に示すように、凸金型10を凹金型20に嵌合して型締めし、両金型10,20間に形成される形成空間3内に発泡樹脂粒子を充填し、水蒸気等の加熱媒体によりキャビティ3内の発泡樹脂粒子を加熱・発泡融着させて発泡成形体を形成することにより、発泡成形体の表面に両金型10,20から凹凸模様を転写させる。
【0034】
本実施形態によれば、凸金型10の原型である木型30の成形面Aに多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用した網状部材40を固定したことにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士の上下交差がないから、木型30に網状部材40が密着して固定され、木型30と網状部材40との間に間隙が生じる虞を回避することができる。このため、木型30を用いて砂型50を作製すれば、木型30と網状部材40との間に鋳砂53が入り込むことがないので、木型30の抜き取り時の砂型50の崩れ等の不具合が発生することがない。これにより、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な凸金型10を製造することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、凹金型20の原型である木型60の成形面Dに多数の網孔41を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用した網状部材40を固定したことにより、網状部材40には金網のように網目を構成する各線部同士の上下交差がないので、木型60に網状部材40が密着して固定され、木型60と網状部材40との間に間隙が生じる虞を回避することができる。このため、木型60を用いて砂型を作製すれば、木型60と網状部材40との間に鋳砂が入り込むことがないので、木型60の抜き取り時の砂型の崩れ等の不具合が発生することがない。これにより、成形面に有する凹凸模様が極めて良好な凹金型20を製造することができる。
【0036】
更に、本実施形態によれば、網状部材40の網目(網孔41)を構成する各線部42が他方の面において凹凸状に形成したことにより、砂型50に網状部材50の網目模様から転写される凹凸模様に加えて各線部42の凹凸形状からも凹凸模様を転写することができる。しかも、網状部材40の他方の面において、網目(網孔41)を構成する各線部42は交差部43を隆起して凸部とし、交差部43間を凹部としたから、網目(網孔41)と各線部42の交差部43との間に大きな凹凸差が得られることとなり、砂型に凹凸模様が深くはっきりと転写される。これにより、その砂型を用いて鋳造される両金型10,20に凹凸模様が鮮明に転写され、その両金型10,20を用いて形成される発泡成形体に凹凸模様を鮮明に形成させることができるという利点がある。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、前記実施形態においては、凸金型10及び凹金型20の原型である木型30及び60の成形面A及びDの全面に網状部材40を固定しているが、木型30及び60の成形面A及びDの一部に網状部材40を固定するようにしても良い。
【0038】
また、前記実施形態においては、網状部材40は木型30及び60に固定する側の一方の面のみが平坦状であるが、網状部材40は他方の面も平坦状でも良い。
【0039】
更に、網状部材40の網目(網孔41)の形状は、特に限定されるものではなく、矩形、円形等のいずれかを選んで使用できる。従って、矩形の網目を使用した場合、網目を構成する各線部の幅は網目の縦横方向において一定であるが、円形の網目を使用した場合、網目を構成する各線部の幅は網目の縦横方向において変化する。
【0040】
[実施例1]
250mm×250mm×100mmの凸形状を有する木型の成形面(外面)に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmの上下交差のないHDPE樹脂網(トリカル〈登録商標〉網N−2:タキロン株式会社製)を接着剤で固定し、得られた木型を砂型作製用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作し、その砂型を組み合わせた成形空間内に溶融アルミニウムを流し込み、アルミニウムからなる厚み10mmの鋳物を作製した。該鋳物の凹凸模様を有する成形面に径0.8mmの蒸気孔を25mmピッチでドリルにより開けて凸型の成形用金型を製作した。このようにして得た凸型の成形用金型を発泡成形機のコア金型として組み込んだ。
【0041】
次いで、300mm×300mm×150mmの凹型用の木型の成形面(内面)に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのHDPE樹脂網(トリカル〈登録商標〉網N−2:タキロン株式会社製)を接着剤で固定し、得られた木型を砂型製作用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作し、砂型を組み合わせた形成空間内に溶融アルミニウムを流し込み、アルミニウムによる厚み10mmの鋳物を製作した。該鋳物の凹凸模様を有する成形面に径0.8mmの蒸気孔を25mmピッチでドリルにより開けて凹型の成形用金型を製作した。このようにして得た凹型の成形用金型を前記発泡成形機のキャビティ金型として組み込んだ。
【0042】
次いで、スチレン改質ポリエチレン系樹脂の予備発泡樹脂粒子(ピオセラン〈登録商標〉:積水化成品工業株式会社製、発泡倍数:30倍)を充填機から前記発泡成形機のコア金型とキャビティ金型との間隙を3mmとした状態で成形空間にクラッキング充填した後、コア、キャビティ両金型を型締めし、下記の条件で成形した。
【0043】
〔成形条件〕
一方加熱:0.8MPa
逆一方加熱:0.8MPa
両面加熱:1.0MPa
水冷:20s
放冷:100s
【0044】
以上のようにして得られた発泡成形体は、全面に1.8mm×1.8mmの大きさの金型模様(凹凸模様)が表面に転写され、発泡樹脂粒子の亀甲模様が目立たない美麗な外観と良好な感触を有するものであった。
【0045】
[比較例1]
実施例1で示した木型の成形面に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのHDPE樹脂製で上下交差する網を接着剤で固定し、得られた木型を砂型製作用枠体内に収めてその木型を埋め込むように砂型作製用枠体内に鋳砂(三河珪砂特7号70メッシュ:三河珪砂株式会社製)を充填し、その鋳砂を炭酸ガス封入により一体化させて砂型を製作したが、網と木型の間隙部に鋳物砂が入り込み木型の抜き取り時に砂型が崩れ、砂型に網から凹凸模様を転写することができなかった。
【0046】
[比較例2]
実施例1で示した木型の成形面に網孔の大きさ1.8mm×1.8mmのパンチングメタルを接着剤で固定しようとしたが、パンチングメタルは硬度が高く、木型の曲面形状等に上手く沿わず砂型が作製できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施形態における成形用金型の型開き状態を示す断面図である。
【図2】実施形態における凸型用の木型(原型)を示す断面図である。
【図3】実施形態における凸型用の木型に網状部材を固定した状態を示す断面図である。
【図4】実施形態における網状部材を示す説明図である。
【図5】(a)は図4のa−a線における断面図、(b)は図4のb−b線における断面図である。
【図6】実施形態における凸型用の砂型の下型を示す断面図である。
【図7】実施形態における凸型用の砂型の下型を作製する工程の説明図である。
【図8】実施形態における凸型用の砂型の上型を示す断面図である。
【図9】実施形態における凸型用の砂型を示す断面図である。
【図10】実施形態における凹型用の木型(原型)を示す断面図である。
【図11】実施形態における凹型用の木型に網状部材を固定した状態を示す断面図である。
【図12】実施形態における成形用金型の型締め状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10…凸型の成形用金型(凸金型)、20…凹型の成形用金型(凹金型)、30…木型(凸金型用の原型)、40…網状部材、41…網孔(網目)、42…線部、43…交差部、50…砂型、50a…砂型の下型、50b…砂型の上型、51…ベース、52…砂型作製用枠体、53…鋳砂、54…空洞部、55…湯口、60…凸型用の木型(凹金型用の原型)、A〜E…成形面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造する方法であって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、
前記網状部材として、多数の網孔を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用することを特徴とする成形用金型の製造方法。
【請求項2】
前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの一方の面において平坦状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定させることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型の製造方法。
【請求項3】
前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの他方の面において凹凸状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形用金型の製造方法。
【請求項4】
前記シートの他方の面において、各線部は交差部を隆起して凸とし、交差部間を凹としたことを特徴とする請求項3に記載の成形用金型の製造方法。
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる発泡成形体を成形するための成形用金型を製造する方法であって、原型の成形面の全面又は一部に網状部材を固定し、該原型を用いてその成形面に凹凸模様を有する砂型を作製し、更に、前記砂型を用いてその成形面に凹凸模様を有する成形用金型を鋳造する成形用金型の製造方法において、
前記網状部材として、多数の網孔を有する網目状の可撓性合成樹脂シートを使用することを特徴とする成形用金型の製造方法。
【請求項2】
前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの一方の面において平坦状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定させることを特徴とする請求項1に記載の成形用金型の製造方法。
【請求項3】
前記シートはその網目を構成する各線部が該シートの他方の面において凹凸状に形成されたものであり、該シートを前記一方の面が内側となるように原型に固定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形用金型の製造方法。
【請求項4】
前記シートの他方の面において、各線部は交差部を隆起して凸とし、交差部間を凹としたことを特徴とする請求項3に記載の成形用金型の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−231633(P2006−231633A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47758(P2005−47758)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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