説明

成形装置及び成形方法

【課題】プリフォームの圧縮成形において、成形精度の向上を図る。
【解決手段】成形装置1は、プリフォーム2を間に挟んで圧縮する一対の型10、11と、一対の型10、11のうち少なくとも一方の型の温度を調節する温度調節手段5と、を備える。温度調節手段5は、該温度調節手段によって温度調節される型の成形面においてプリフォーム2の軟化温度以上となる高温領域を、プリフォーム2の圧縮の進行に応じて、プリフォーム2の圧縮開始の際にプリフォーム2と接触する成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームを加熱圧縮して成形し、得られる成形体を冷却固化する成形装置、及び成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばレンズは、ガラスなどの光学材料からなるプリフォームを加熱圧縮して所定のレンズ形状に成形し、得られる成形体を冷却固化して得られる。このような圧縮成形に用いられる成形装置において、成形体の肉厚に応じて型の成形面に温度分布を与えるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載された成形装置は、成形体を冷却する際に型の成形面に温度分布を与え、成形体の薄肉部表面の冷却速度に比べて厚肉部表面の冷却速度を速くしている。それにより、厚肉部におけるヒケの発生を防止して成形精度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−95210号公報
【特許文献2】特開昭63−159227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2は、いずれも、プリフォームを加熱圧縮して得られた成形体を冷却固化する際の型の成形面の温度分布を規定したものであるが、プリフォームを加熱圧縮する際の型の成形面の温度分布が成形精度に及ぼす影響は考慮されていない。
【0006】
プリフォームは、加熱圧縮により、典型的には成形面間を放射状に展延される。その際、例えば光学用レンズ等の成形において成形面が複雑な形状である場合などに、プリフォームの外縁部と型の成形面とが加熱圧縮の初期に接触し、プリフォームの中央部よりも先に軟化して成形面に付着してしまうことで、プリフォームと成形面との間にエア溜まりが生じ、これが窪みとして成形体に残ることがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、プリフォームの圧縮成形において、成形精度の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) プリフォームを間に挟んで圧縮する一対の型と、前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節する温度調節手段と、を備え、前記温度調節手段は、該温度調節手段によって温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形装置。
(2) 一対の型でプリフォームを加熱圧縮して成形する成形方法であって、前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節し、温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プリフォームの圧縮成形において、成形精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、成形装置の一例を示す図。
【図2】図1の成形装置の一対の型及び温度調節手段を示す図。
【図3】図2におけるIII−III線断面を示す図。
【図4】図1の成形装置によってプリフォームを加熱圧縮して成形する工程を示す図。
【図5】図1の成形装置によって成形体を冷却固化する工程を示す図。
【図6】図1の成形装置の変形例であって、その一対の型及び温度調節手段を示す図。
【図7】図6の成形装置によってプリフォームを加熱圧縮して成形する工程を示す図。
【図8】図6の成形装置によって成形体を冷却固化する工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、成形装置の一例を示す。
【0012】
図1に示す成形装置は、ガラスや熱可塑性の透明樹脂などの光学材料からなるプリフォームを所定のレンズ形状に成形し、得られる成形体を冷却固化してレンズを得るものである。
【0013】
成形装置1は、プリフォーム2を間に挟む一対の上型10及び下型11、並びに上型10及び下型11の周囲を囲む胴型17を含む成形型3と、上型10と下型11との間隔を拡縮する駆動手段4と、上型10及び下型11の温度を調節する温度調節手段5と、駆動手段4及び温度調節手段5の動作を制御する制御器6と、を備えている。
【0014】
上型10及び下型11の対向面には、それぞれ成形面が設けられている。上型10の成形面12、及び下型11の成形面13は、プリフォーム2を成形して得るレンズの表裏の光学面の形状を反転した形状とされる。図示の例では、表側の光学面が凹曲面、裏側の光学面が凸曲面のレンズを得るものとして、上型10の成形面12は凸曲面、下型11の成形面13は凹曲面とされている。
【0015】
下型11及び胴型17は、基台7に載置されており、上型10は、駆動手段4により保持されている。駆動手段4は、例えばシリンダ・ピストン等が用いられ、上型10を上下動させる。それにより、上型10の成形面12と、下型11の成形面13との間隔が拡縮される。なお、上型10を上下動させるのに替えて、下型11を上下動させるようにしてもよいし、上型10及び下型11の両方を上下動させるようにしてもよい。
【0016】
温度調節手段5は、上型10及び下型11の両方の温度を調節し、詳細は後述するが、上型10の成形面12、及び下型11の成形面13に所望の温度分布を形成可能に構成されている。なお、上型10及び下型11のいずれか一方の温度を調節するものであってもよい。
【0017】
制御器6は、温度調節手段5を動作させて上型10及び下型11を加熱し、併せて駆動手段4を動作させて上型10を降下させる。それにより、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間に挟まれたプリフォーム2が加熱圧縮され、上記のレンズ形状に成形される。そして、制御器6は、温度調節手段5を動作させて上型10及び下型11を冷却する。それにより、上記のレンズ形状に成形された成形体が冷却固化されレンズとなる。
【0018】
図2及び図3は、温度調節手段5及びそれに付随する上型10及び下型11の構成を詳細に示す。
【0019】
温度調節手段5は、上型10及び下型11の温度を上昇させる加熱手段と、上型10及び下型11の温度を降下させる冷却手段と、上型及び下型の温度を検出する温度センサ22とを含んでいる。加熱手段にはヒータが用いられ、ヒータ20は、上型10及び下型11にそれぞれ設けられる。冷却手段には低温のガスが用いられ、上型10及び下型11には、ガスを流通させるガス流通孔15がそれぞれ形成される。また、温度センサ22は、上型10及び下型11にそれぞれ設けられる。なお、冷却手段は、低温のガスを上型10及び下型11に流通させるものに限らず、低温の油などの流体を上型10及び下型11に流通させるものであってもよい。また、加熱手段も、ヒータに限らず、高温のガスや油などの流体を上型10及び下型11に流通させるものであってもよい。加熱手段と冷却手段とを個別に設けることで、加熱と冷却とを複合して行うことができ、上型10及び下型11の温度調節を、より細かにかつ容易に行うことができる。
【0020】
上型10には、複数のヒータ収容孔14及び複数のガス流通孔15が形成されており、また、複数の温度センサ22が埋設されている。これらのヒータ収容孔14及びガス流通孔15並びに温度センサ22は、成形面12に沿って分散して配置されている。図3も参照して、複数のヒータ収容孔14は、成形面12の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。複数のガス流通孔15もまた、成形面12の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。ヒータ収容孔14の列と、ガス流通孔15の列とは交互に配置されている。そして、複数の温度センサ22は、成形面12の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなし、温度センサ22の列は、隣り合うヒータ収容孔14とガス流通孔15の列との間に配置されている
【0021】
各ヒータ収容孔14には、ヒータ20が挿入され、各ガス流通孔15には、ブローノズル21が挿入される。各ヒータ20には、図示しない電源から独立に電力が供給され、各ブローノズル21には、図示しないポンプから独立に低温のガスが供給される。また、各温度センサ22は、成形面12の近傍で上型10の内部の温度を検出する。各ヒータ20への電力の供給、及び各ブローノズル21への低温のガスの供給は、各温度センサ22で検出された上型10の各部の温度に基づいて、制御器6によって制御される。それにより、上型10の成形面12には、所望の温度分布が形成される。
【0022】
同様に、下型11にも、複数のヒータ収容孔14及び複数のガス流通孔15が形成されており、また、複数の温度センサ22が埋設されている。これらのヒータ収容孔14及びガス流通孔15並びに温度センサ22は、成形面13に沿って分散して配置されている。複数のヒータ収容孔14は、成形面13の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。複数のガス流通孔15もまた、成形面13の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。ヒータ収容孔14の列と、ガス流通孔15の列とは交互に配置されている。そして、複数の温度センサ22は、成形面13の中央部を中心とした同心円状に複数の列をなし、温度センサ22の列は、隣り合うヒータ収容孔14とガス流通孔15の列との間に配置されている。
【0023】
各ヒータ収容孔14には、ヒータ20が埋設され、各ガス流通孔15には、ブローノズル21が挿入される。各ヒータ20には、図示しない電源から独立に電力が供給され、各ブローノズル21には、図示しないポンプから独立に低温のガスが供給される。また、各温度センサ22は、成形面13の近傍で下型11の内部の温度を検出する。各ヒータ20への電力の供給、及び各ブローノズル21への低温のガスの供給は、各温度センサ22で検出された下型11の各部の温度に基づいて、制御器6によって制御される。それにより、下型11の成形面13には、所望の温度分布が形成される。
【0024】
図4は、成形装置1によってプリフォーム2を加熱圧縮して成形する工程を示す。図には、各工程での上型10の成形面12の温度分布を併せて示している。
【0025】
下型11の成形面13にプリフォーム2が載置される。下型11の成形面13は凹曲面であり、プリフォーム2は下型11の成形面13の中央部に位置する。そして、上型10が降下され、プリフォーム2は上型10の成形面12と下型11の成形面13との間に挟まれる。上型10の成形面12は、その中央部でプリフォーム2に接触し、また、下型11の成形面13も、その中央部でプリフォーム2に接触している。上型10の成形面12は、その中央部が、プリフォームの軟化温度(ガラス転移点)Tg以上の高温領域とされる。同様に、下型11の成形面13もまた、その中央部が、プリフォームの軟化温度Tg以上の高温領域とされる。(FIG.4A)
【0026】
上型10が降下され、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間でプリフォーム2が加熱圧縮される。プリフォーム2は、加熱圧縮により、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間で放射状に展延される。プリフォーム2の圧縮の進行に応じ、上型10の成形面12の高温領域は、その中央部を中心として外径側に向けて次第に拡大される。かかる温度分布の変化は、温度調整手段5によって形成され、例えば、同心円状に複数の列をなして上型10に設けられた複数のヒータ20(図2参照)への電力の供給を、成形面12の略中央部に最も近い列から外径側の列へと順に開始することで形成できる。また、上型10に設けられた複数のヒータ20の全てに電力を供給しつつ、同心円状に複数の列をなして上型10に設けられた複数のガス流通孔15(図2参照)への低温のガスの供給を、成形面12の略中央部に最も近い列から外径側の例へと順に停止することでも形成できる。それによれば、上型10の各部の昇温に要する時間を短縮することができる。同様にして、下型11の成形面13の高温領域もまた、プリフォーム2の圧縮の進行に応じ、その中央部を中心として外径側に向けて次第に拡大される。プリフォーム2は、その中央部が外縁部に先んじて軟化し、中央部から外縁部に向けて次第に両成形面12、13に付着する。それにより、プリフォーム2と両成形面12、13との間にエア溜まりが生じることが防止される。(FIG.4B)
【0027】
上型10及び下型11並びに胴型17で囲まれるキャビティの全体にプリフォーム2が行き渡り、プリフォーム2の加熱圧縮による成形が完了すると、上型10の降下が停止される。その状態で、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、その全体が高温領域となっている。(FIG.4C)
【0028】
以上の工程において、上型10の成形面12及び下型11の成形面13の各々の高温領域は、成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とされる。成形面間の距離が小さいところ程、そこにおけるプリフォーム2の肉厚も小さく、冷めやすい。そこで、両成形面12、13の各々の高温領域の温度分布を、成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とすることで、プリフォーム2の軟化された部分を略均一な温度とし、歪が生じるのを抑制して成形精度を高めることができる。図示の例では、上型10の成形面12は凸曲面、下型11の成形面13は凹曲面とされており、成形面間の距離は、中央部ほど小さくなっている。そこで、両成形面12、13の各々の高温領域の温度分布は、中央部ほど高温となる温度分布となる。かかる温度分布は、温度調整手段5によって形成される。特に、レンズ形状は、典型的には回転対象であるので、同心円状に複数の列をなして上型10及び下型11にそれぞれ設けられた複数のヒータ20及び複数のガス流通孔15により、容易に形成できる。
【0029】
図5は、成形装置1によって成形体を冷却固化する工程を示す。図には、成形体を冷却固化する工程での上型10の成形面12の温度分布を併せて示している。
【0030】
プリフォーム2が上述した成形工程を経て所定のレンズ形状に成形されてなる成形体8を、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間に挟んだ状態で冷却して固化させる。その際、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布とされる。成形面間の距離が大きいところ程、そこにおける成形体8の肉厚も大きく、冷めにくい。そこで、両成形面12、13の各々の温度分布を、成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布とすることで、成形体8を、全体にわたって略均一な速度で冷却させることができ、成形体8に局所的なヒケが生じるのを抑制して成形精度を高めることができる。図示の例では、上型10の成形面12は凸曲面、下型11の成形面13は凹曲面とされており、成形面間の距離は、外縁部ほど大きくなっている。そこで、両成形面12、13の各々の温度分布は、外縁部ほど低温となる温度分布となる。かかる温度分布は、温度調整手段5によって形成される。特に、レンズ形状は、典型的には回転対象であるので、同心円状に複数の列をなして上型10及び下型11にそれぞれ設けられた複数のヒータ20及び複数のガス流通孔15(図2参照)により、容易に形成できる。また、かかる温度分布によって、成形体8の冷却効率の向上も図れる。
【0031】
図6は、成形装置1の変形例を示す。なお、上述した成形装置1と共通する要素には共通の符号を付することにより、説明を省略し、又は簡略する。
【0032】
図6に示す成形装置101は、プリフォーム2を成形して、表裏の光学面がいずれも凸曲面のレンズを得るものである。よって、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、いずれも凹曲面とされている。
【0033】
図7は、成形装置101によってプリフォーム2を加熱圧縮して成形する工程を示す。図には、各工程での上型10の成形面12の温度分布を併せて示している。
【0034】
下型11の成形面13にプリフォーム2が載置される。下型11の成形面13は凹曲面であり、プリフォーム2は下型11の成形面13の中央部に位置する。そして、上型10が降下され、プリフォーム2は上型10の成形面12と下型11の成形面13との間に挟まれる。上型10の成形面12は、その中央部でプリフォーム2に接触し、また、下型11の成形面13も、その中央部でプリフォーム2に接触している。上型10の成形面12は、その中央部が、プリフォーム2の軟化温度(ガラス転移点)Tg以上の高温領域とされる。同様に、下型11の成形面13もまた、その中央部が、プリフォーム2の軟化温度Tg以上の高温領域とされる。(FIG.7A)
【0035】
上型10が降下され、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間でプリフォーム2が加熱圧縮される。プリフォーム2は、加熱圧縮により、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間で放射状に展延される。プリフォーム2の圧縮の進行に応じ、上型10の成形面12の高温領域は、その中央部を中心として外径側に向けて次第に拡大される。下型11の成形面13の高温領域もまた、プリフォーム2の圧縮の進行に応じ、その中央部を中心として外径側に向けて次第に拡大される。プリフォーム2は、その中央部が外縁部に先んじて軟化し、中央部から外縁部に向けて次第に両成形面12、13に付着する。(FIG.7B)
【0036】
上型10及び下型11並びに胴型17で囲まれるキャビティの全体にプリフォーム2が行き渡り、プリフォーム2の加熱圧縮による成形が完了すると、上型10の降下が停止される。その状態で、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、その全体が高温領域となっている。(FIG.7C)
【0037】
以上の工程において、上型10の成形面12及び下型11の成形面13の各々の高温領域は、成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とされる。図示の例では、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、いずれも凹曲面とされており、成形面間の距離は、外縁部ほど小さくなっている。そこで、両成形面12、13の各々の高温領域の温度分布は、外縁部ほど高温となる温度分布となる。
【0038】
図8は、成形装置101によって成形体8を冷却固化する工程を示す。図には、成形体8を冷却固化する工程での上型10の成形面12の温度分布を併せて示している。
【0039】
成形体8を、上型10の成形面12と下型11の成形面13との間に挟んだ状態で冷却して固化させる。その際、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布とされる。図示の例では、上型10の成形面12及び下型11の成形面13は、いずれも凹曲面とされており、成形面間の距離は、中央部ほど大きくなっている。そこで、両成形面12、13の各々の温度分布は、中央部ほど低温となる温度分布となる。
【0040】
上述した例は、いずれもプリフォームを成形してレンズを得るものであるが、本発明は、レンズに限らず、プリフォームを種々の形状の成形体に成形するものに適用可能である。
【0041】
以上説明したように、本明細書には、プリフォームを間に挟んで圧縮する一対の型と、前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節する温度調節手段と、を備え、前記温度調節手段は、該温度調節手段によって温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形装置が開示されている。
【0042】
また、本明細書に開示された成形装置は、前記温度調節手段が、前記高温領域の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とする。
【0043】
また、本明細書に開示された成形装置は、前記温度調節手段が、該温度調節手段によって温度調節される型に設けられた複数の加熱手段を含み、前記複数の加熱手段は、前記温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の前記接触部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。
【0044】
また、本明細書に開示された成形装置は、前記温度調節手段が、該温度調節手段によって温度調節される前記成形型に設けられた複数の冷却手段を更に含み、前記複数の冷却手段は、前記温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の前記接触部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている。
【0045】
また、本明細書に開示された成形装置は、前記温度調節手段が、該温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布として、前記プリフォームが成形されてなる成形体を冷却固化する。
【0046】
また、本明細書に開示された成形装置は、光学材料からなるプリフォームを所定のレンズ形状に成形する。
【0047】
また、本明細書には、一対の型でプリフォームを加熱圧縮して成形する成形方法であって、前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節し、温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形方法が開示されている。
【0048】
また、本明細書に開示された成形方法は、前記高温領域の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とする。
【0049】
また、本明細書に開示された成形方法は、温度調節される前記型の前記成形面の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布として、前記プリフォームが成形されてなる成形体を冷却固化する。
【0050】
また、本明細書に開示された成形方法は、光学材料からなるプリフォームを所定のレンズ形状に成形する。
【符号の説明】
【0051】
1 成形装置
2 プリフォーム
3 成形型
4 駆動手段
5 温度調節手段
6 制御器
7 基台
8 成形体
10 上型
11 下型
12 成形面
13 成形面
14 ヒータ収容孔
15 ガス流通孔
16 センサ収容孔
17 胴型
20 ヒータ
21 ブローノズル
22 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォームを間に挟んで圧縮する一対の型と、
前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節する温度調節手段と、
を備え、
前記温度調節手段は、該温度調節手段によって温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置であって、
前記温度調節手段は、前記高温領域の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とする成形装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の成形装置であって、
前記温度調節手段は、該温度調節手段によって温度調節される型に設けられた複数の加熱手段を含み、
前記複数の加熱手段は、前記温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の前記接触部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている成形装置。
【請求項4】
請求項3に記載の成形装置であって、
前記温度調節手段は、該温度調節手段によって温度調節される前記成形型に設けられた複数の冷却手段をさらに含み、
前記複数の冷却手段は、前記温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の前記接触部を中心とした同心円状に複数の列をなして配置されている成形装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形装置であって、
前記温度調節手段が、該温度調節手段によって温度調節される前記型の前記成形面の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布として、前記プリフォームが成形されてなる成形体を冷却固化する成形装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の成形装置であって、
光学材料からなるプリフォームを所定のレンズ形状に成形する成形装置。
【請求項7】
一対の型でプリフォームを加熱圧縮して成形する成形方法であって、
前記一対の型のうち少なくとも一方の型の温度を調節し、温度調節される型の成形面において前記プリフォームの軟化温度以上となる高温領域を、前記プリフォームの圧縮の進行に応じて、前記プリフォームの圧縮開始の際に前記プリフォームと接触する前記成形面の接触部を中心に外径側に向けて次第に拡大させる成形方法。
【請求項8】
請求項7に記載の成形方法であって、
前記高温領域の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が小さい程に高温となる温度分布とする成形方法。
【請求項9】
請求項8に記載の成形方法であって、
温度調節される前記型の前記成形面の温度分布を、前記一対の型の成形面間の距離が大きい程に低温となる温度分布として、前記プリフォームが成形されてなる成形体を冷却固化する成形方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の成形方法であって、
光学材料からなるプリフォームを所定のレンズ形状に成形する成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−41213(P2012−41213A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181982(P2010−181982)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】