説明

成膜装置

【課題】基板に蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜装置10は、基板Sを収容する処理チャンバ12と、基板Sを保持するステージ14と、蒸着材料を含むガスGを基板Sに噴き付ける複数のノズル16cを有する蒸着ヘッド18cとを備える。ノズル16cはY方向に沿って配列される。成膜装置10は、ノズル16cに対して相対的に基板SがY方向と交差するX方向に沿って移動するように、蒸着ヘッド18c及びステージ14の少なくとも一方を駆動する駆動装置22と、Y方向に沿った基板Sの側面SaとX方向に沿った基板Sの側面Sbとを覆う枠Fとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子を製造する際に、ガラス基板上に有機材料を蒸着する成膜装置が用いられている。成膜装置としては、1つのノズルから有機材料を含むガスを噴き出すポイントソース型の成膜装置と、アレイ状に配列された複数のノズルから有機材料を含むガスを噴き出すリニアソース型の成膜装置とが知られている。リニアソース型の成膜装置では、ステージ上のガラス基板を、複数のノズルの配列方向と交差する方向に移動させて蒸着を行う(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−88490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記成膜装置では、ガラス基板の周縁部において蒸着された有機膜の膜厚が、ガラス基板の中心部において蒸着された有機膜の膜厚に比べて小さくなってしまうことを見出した。これは、ガラス基板の周縁部とステージによって段差が形成され、当該段差によって、ノズルとステージ又はガラス基板との間の距離が変化し、ノズルから噴き出すガスの流れ(ガスの噴き出し角度等)が変化してしまうためと考えられる。ガラス基板の周縁部において有機膜の膜厚均一性が低下すると、製造される有機EL素子の製造歩留まりが低くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものであり、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明の一側面に係る成膜装置は、基板を収容する処理チャンバと、前記基板を保持するステージと、蒸着材料を含むガスを前記基板に噴き付ける複数のノズルを有する蒸着ヘッドであり、前記複数のノズルが第1の方向に沿って配列される、前記蒸着ヘッドと、前記複数のノズルに対して相対的に前記基板が前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って移動するように、前記蒸着ヘッド及び前記ステージの少なくとも一方を駆動する駆動装置と、前記第1の方向に沿った前記基板の側面と前記第2の方向に沿った前記基板の側面とを覆う枠とを備える。
【0007】
この成膜装置では、複数のノズルが配列される第1の方向に沿った基板の側面を枠が覆っている。このため、複数のノズルに対して相対的に基板が第2の方向に沿って移動した場合に、第1の方向に沿った基板の側面において、枠によって基板とステージとの間の段差が小さくなる。よって、第1の方向に沿った基板の側面を複数のノズルが通過する際に、複数のノズルから噴き出すガスの流れ(ガスの噴き出し角度等)が変化し難くなる。また、第2の方向に沿った基板の側面においても、枠によって基板とステージとの間の段差が小さくなるので、複数のノズルから噴き出すガスの流れが変化し難くなる。したがって、上記成膜装置では、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる。
【0008】
前記枠が、前記基板の周囲全体を取り囲んでもよい。この場合、基板の周囲全体において、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる。
【0009】
前記枠の表面が、前記基板の成膜面を延長した仮想面に沿うように設定されてもよい。この場合、基板の側面において、ノズルと基板との間の距離とノズルと枠との間の距離が略一定になる。その結果、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を更に向上させることができる。
【0010】
前記第1の方向における前記蒸着ヘッドの長さが、前記第1の方向における前記基板の長さよりも大きくてもよい。この場合、第2の方向に沿った基板の側面において、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を更に向上させることができる。
【0011】
前記第1の方向における前記蒸着ヘッドの長さが、前記第1の方向における前記枠の長さ以下であってもよい。この場合、基板及び枠ではなく処理チャンバに蒸着材料が付着することを抑制できる。このため、処理チャンバ内の汚染が抑制され、処理チャンバのメンテナンス頻度を少なくすることができる。また、蒸着材料の使用量も抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板に蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる成膜装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る成膜装置を模式的に示す図である。
【図2】図1のZ方向から見た成膜装置の一部を模式的に示す図である。
【図3】図1のX方向から見た成膜装置の一部を模式的に示す図である。
【図4】ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布モデルの一例を模式的に示す図である。
【図5】ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布の一例を示すグラフである。
【図6】ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布の一例を模式的に示す図である。
【図7】ノズルと基板との間のギャップ値と片側クリアランス値との関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態に係る成膜装置を用いて製造される有機EL素子の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る成膜装置を模式的に示す図である。図2は、図1のZ方向から見た成膜装置の一部を模式的に示す図である。図1及び図2には、XYZ直交座標系が示されている。
【0016】
図1に示される成膜装置10は、基板Sを収容する処理チャンバ12と、基板Sを保持するステージ14とを備える。基板Sは、例えばガラス基板等の透明基板である。基板Sの形状は、例えば矩形である。基板Sの一方の面(成膜面)は例えば鉛直方向において下を向いている。すなわち、成膜装置10はフェースダウン型の成膜装置である。処理チャンバ12には、配管12gを介して真空ポンプ15が接続されている。真空ポンプ15により、処理チャンバ12内を減圧することができる。ステージ14は、基板Sを保持する静電チャックを内蔵してもよい。
【0017】
成膜装置10は、蒸着材料を含むガスGを基板Sに噴き付ける複数のノズル16cを有する蒸着ヘッド18cを備える。成膜装置10は、ノズル16cと同様の構造を有するノズル16a,16b,16d,16e,16fをそれぞれ有する蒸着ヘッド18a,18b,18d,18e,18fを備えてもよい。ノズル16a,16b,16d,16e,16fからは、ノズル16cから噴き出す蒸着材料とは別の蒸着材料であって、かつ、互いに異なる蒸着材料が噴き出してもよい。これにより、基板S上に複数種類の膜を連続的に蒸着させることができる。
【0018】
蒸着ヘッド18a〜18fには、処理チャンバ12外に配置されたガス供給源20a〜20fがそれぞれ配管12a〜12fを介して接続されている。例えば、ガス供給源20cからガスGがノズル16cに供給される。ノズル16a〜16fは、図2に示されるようにそれぞれY方向(第1の方向)に沿って配列される。すなわち、成膜装置10は、いわゆるリニアソース型の成膜装置である。ノズル16a〜16fの先端には例えば円形の開口が形成されている。この開口から蒸着材料を含むガスが放出される。ノズル16a〜16fの開口上には、蒸着材料を遮断可能なシャッター17a〜17fがそれぞれ配置されてもよい。図1ではシャッター17cが開いているので、ノズル16cの開口から噴き出すガスGは基板Sに到達する。シャッター17a,17b,17d,17e,17fは閉じているので、ノズル16a,16b,16d,16e,16fの開口から噴き出すガスは基板Sに到達しない。シャッター17a〜17fは、処理チャンバ12に接続されており、例えばY方向に沿った回転軸を中心に回転する。これにより、シャッター17a〜17fを、必要に応じてノズル16a〜16fの開口上に配置したり当該開口上から退避させたりすることができる。
【0019】
ガスGに含まれる蒸着材料は、気化した1種類又は複数種類の有機材料であってもよい。ガスGは不活性ガスを含んでもよい。例えば、ガス供給源20a〜20fにおいて、固体の有機材料を加熱して気化させ、不活性ガスにより蒸気材料を搬送する。不活性ガスとしては、例えばAr等の希ガスや窒素等が挙げられる。不活性ガスは、気化した有機材料を搬送するキャリアガスとしての役割を果たす。基板S上には、シャドウマスクを配置してもよい。これにより、基板Sの一方の面において所望の場所に所望の有機材料が選択的に蒸着され、有機膜が形成される。シャドウマスクは、例えば、成膜装置10に基板Sを導入する前にアライナーによって基板Sと位置合わせされる。シャドウマスクの厚みは例えば0.1〜0.2mm程度である。
【0020】
成膜装置10は、Y方向と交差するX方向(第2の方向)にステージ14を駆動する駆動装置22を備える。これにより、ノズル16a〜16fに対して相対的に基板SがX方向に沿って移動する。基板Sは、X方向に移動することによって、ノズル16a〜16fの開口に順番に対向配置されることとなる。矢印Aはステージ14の移動方向を示す。ステージ14は、例えば支持部14aによってレール24に接続されている。レール24は処理チャンバ12に接続されている。この場合、駆動装置22によってステージ14及び支持部14aはレール24上をスライドするように移動する。基板Sは、処理チャンバ12に形成されたゲートバルブ26aを通って処理チャンバ12内に導入可能であり、処理チャンバ12に形成されたゲートバルブ26bを通って処理チャンバ12外に搬出可能である。
【0021】
成膜装置10は、図2に示されるように、Y方向に沿った基板Sの側面SaとX方向に沿った基板Sの側面Sbとを覆う枠Fを備える。枠Fは、基板Sの周囲全体を取り囲んでいるが、一部破断していてもよい。枠Fの形状は、例えば板状である。枠Fは、ステージ14と別体である。このため、枠Fが汚れた場合でも交換可能である。枠Fは、例えばガラス、金属等からなる。金属としては、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。枠Fは、基板Sと同じ材料からなってもよい。この場合、枠Fが蒸着処理に与える影響が小さくなる。枠Fの厚みは、例えば0.5〜0.7mmである。基板S上に設けられるシャドウマスクを枠F上にも設けてもよい。これにより、蒸着材料が枠Fに付着して枠Fが汚染されることを抑制できる。
【0022】
X方向(基板Sの長手方向)における基板Sの長さX2は例えば920mm以上であり、Y方向(短手方向)における基板Sの長さY3は例えば730mm以上である(図2参照)。X方向における枠Fの長さX1は、X方向における基板Sの長さX2より大きい。Y方向における蒸着ヘッド18cの長さY2は、Y方向における基板Sの長さY3より大きい。Y方向における蒸着ヘッド18cの長さY2は、Y方向における枠Fの長さY1以下である。
【0023】
本実施形態の成膜装置10では、Y方向に沿った基板Sの側面Saを枠Fが覆っている。このため、ノズル16cに対して相対的に基板SがX方向に沿って移動した場合に、基板Sの側面Saにおいて、枠Fによって基板Sとステージ14との間の段差が小さくなる。よって、基板Sの側面Saをノズル16cが通過する際に、ノズル16cから噴き出すガスGの流れが変化し難くなる。また、X方向に沿った基板Sの側面Sbにおいても、枠Fによって基板Sとステージ14との間の段差が小さくなるので、ノズル16cから噴き出すガスGの流れが変化し難くなる。したがって、成膜装置10では、基板Sに蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる。さらに、ガスGが複数種類の蒸着材料を含む場合には、蒸着される膜中の混合比率の深さ分布を均一化することができる。
【0024】
また、枠Fが基板Sの周囲全体を取り囲む場合、基板Sの周囲全体において、基板Sに蒸着される膜の膜厚均一性を向上させることができる。さらに、枠Fの表面が基板Sの成膜面を延長した仮想面に沿うように設定されていると、基板Sの側面Sa,Sbにおいて、ノズル16cと基板Sとの間の距離とノズル16cと枠Fとの間の距離が略一定になる。その結果、基板Sに蒸着される膜の膜厚均一性を更に向上させることができる。基板Sの成膜面を延長した仮想面に沿うように枠Fの表面を設定するためには、基板Sの厚み方向における枠Fの厚みをS基板の厚みと同じにしてもよい。
【0025】
また、Y方向における蒸着ヘッド18cの長さY2が、Y方向における基板Sの長さY3よりも大きい場合、基板Sの側面Sbにおいて、基板Sに蒸着される膜の膜厚均一性を更に向上させることができる。さらに、Y方向における蒸着ヘッド18cの長さY2が、Y方向における枠Fの長さY1以下である場合、基板S及び枠Fではなく処理チャンバ12に蒸着材料が付着することを抑制できる。このため、処理チャンバ12内の汚染が抑制され、処理チャンバ12のメンテナンス頻度を少なくすることができる。また、蒸着材料の使用量も抑制することができる。基板Sとノズル16cとの間のギャップ30を狭くすると、枠Fの長さY1を蒸着ヘッド18cの長さY2に近づけても高い膜厚均一性を維持することができる。
【0026】
図3は、図1のX方向から見た成膜装置の一部を模式的に示す図である。図3には、XYZ直交座標系が示されている。図3に示されるように、蒸着ヘッド18cのノズル16cから噴き出すガスGが基板S及び枠Fに到達すると、膜36が基板S及び枠F上に形成される。膜36の厚みDは、基板S及び枠F上及び枠Fの外側に位置する片側クリアランス領域32上において略一定である。片側クリアランス領域32から外側では膜36の厚みDは徐々に小さくなる。片側クリアランス領域32の外側には、最も外側のノズル16cの位置まで延びるマージン領域34がある。マージン領域34は、加工精度や取り付け誤差等に起因する成膜装置10の個体差(機差)を吸収可能である。なお、片側クリアランス領域32及びマージン領域34を含む枠Fよりも外側の領域では、膜36は基板S及び枠F上には形成されずに、例えば処理チャンバ12等に付着する。
【0027】
図4は、ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布モデルの一例を模式的に示す図である。図4に示されるように、単一のノズル16cから噴き出す蒸着材料の強度Z(X)は以下の式(1)で表される。式(1)中のθは以下の式(2)で表される。
Z(X)=Zcosθ … (1)
θ=arctan(X/h) … (2)
Xは、ノズル16cの軸線方向からの距離(変位)を示す。蒸着材料の強度Z(X)は、変位Xにおける蒸着材料の量に対応する。ZはX=0の場合のZ(X)の値を示す。θは、ノズル16cの軸線方向に対するノズル16cの噴き出し角度を表す。nはノズル16cの開口の寸法に対応するパラメータである。hは、基板S及び枠Fを含む仮想基板S1とノズル16cとの間のギャップ30を表す。
【0028】
図5は、ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布の一例を示すグラフである。図5に示されるのは、図4に示される空間分布モデルにおいて、n=7の場合の蒸着材料の空間分布である。横軸は変位X(mm)を示す。縦軸は蒸着材料の強度Z(X)(%)を示す。
【0029】
図6は、ノズルから噴き出す蒸着材料の空間分布の一例を模式的に示す図である。図6では、1次元的に配列された複数のノズル16cに対して図4に示される空間分布モデルを適用した場合の結果が示されている。図6に示される蒸着材料の強度Z(X)は、蒸着される膜の膜厚分布に対応している。仮想基板S1上の蒸着材料の強度Z(X)は所定範囲D内に収まっており、仮想基板S1に蒸着される膜の膜厚均一性が高いことが分かる。図4に示されるモデルにおいて、θを小さくするようにノズル16cの開口の寸法を変化させると、図6に示される蒸着材料の強度Z(X)において両端の傾斜が急になる。その結果、蒸着ヘッド18cの長さを短くできることになり、蒸着材料の使用量が減少する。また、処理チャンバ12内の汚染が抑制され、処理チャンバ12のメンテナンス頻度を少なくすることができる。θを小さくするためには、例えば、ノズル16cの開口の寸法を小さくしてもよい。
【0030】
図7は、ノズルと基板との間のギャップ値と片側クリアランス値との関係を示すグラフである。横軸は、図3のギャップ30に対応するギャップ値(mm)を示す。縦軸は、図3の片側クリアランス領域32の幅に対応する片側クリアランス値(mm)を示す。図7のグラフでは、n=7,8,9,11の場合について、ギャップ値に対する片側クリアランス値がプロットされている。片側クリアランス値は、蒸着材料の強度Z(X)が所定の閾値(例えば中心点の強度Z(X)が0.25%以内に保たれる値である)となる場合の値である。図7のグラフによれば、ギャップ値を大きくすると片側クリアランス値も大きくなることが分かる。なお、蒸着材料の強度Z(X)における0.25〜99.75%の部分を用いてプロットを行った(図5参照)。すなわち、X=0付近の99.75〜100%及び0〜0.25%を除去してプロットを行った。
【0031】
図8は、本実施形態に係る成膜装置を用いて製造される有機EL素子の一例を模式的に示す図である。図8に示される有機EL素子50は、基板S上に形成された陽極52と陰極54とを備えている。陽極52と陰極54との間には、発光層56が設けられている。発光層56と陽極52との間にはホール輸送層58が設けられている。発光層56と陰極54との間には電子輸送層60が設けられている。発光層56は、非発光層56a、青発光層56b、赤発光層56c及び緑発光層56dを備えている。非発光層56a、青発光層56b、赤発光層56c及び緑発光層56dは、ホール輸送層58から電子輸送層60に向かってこの順に設けられている。陽極52と陰極54との間には、配線を介して電源62が接続されている。電源62により電流が発光層56に注入されると、発光層56から放出された光64が陽極52及び基板Sを通過して外部に放出される。
【0032】
ホール輸送層58、非発光層56a、青発光層56b、赤発光層56c、緑発光層56d及び電子輸送層60は、成膜装置10により形成可能である。この場合、これら6層を形成するための6種類の蒸着材料をノズル16a〜16fからそれぞれ供給する。成膜装置10を用いると膜厚均一性の高い6層が形成されるので、良好な特性を有する有機EL素子50を製造することができる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0034】
例えば、成膜装置10は、フェースアップ型の成膜装置であってもよい。すなわち、基板Sの一方の面(成膜面)が鉛直方向において上を向いてもよい。また、成膜装置10を用いて、有機EL素子50以外のデバイスを製造することもできる。そのようなデバイスとしては、例えば半導体デバイス、太陽電池、光デバイス、電子デバイス等が挙げられる。さらに、ステージ14に対して蒸着ヘッド18cをX方向に駆動してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10…成膜装置、12…処理チャンバ、14…ステージ、16a〜16f…ノズル、18a〜18f…蒸着ヘッド、22…駆動装置、F…枠、G…蒸着材料を含むガス、S…基板、Sa…第1の方向に沿った基板の側面、Sb…第2の方向に沿った基板の側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容する処理チャンバと、
前記基板を保持するステージと、
蒸着材料を含むガスを前記基板に噴き付ける複数のノズルを有する蒸着ヘッドであり、前記複数のノズルが第1の方向に沿って配列される、前記蒸着ヘッドと、
前記複数のノズルに対して相対的に前記基板が前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って移動するように、前記蒸着ヘッド及び前記ステージの少なくとも一方を駆動する駆動装置と、
前記第1の方向に沿った前記基板の側面と前記第2の方向に沿った前記基板の側面とを覆う枠と、
を備える、成膜装置。
【請求項2】
前記枠が、前記基板の周囲全体を取り囲む、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記枠の表面が、前記基板の成膜面を延長した仮想面に沿うように設定されている、請求項1又は2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記第1の方向における前記蒸着ヘッドの長さが、前記第1の方向における前記基板の長さよりも大きい、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記第1の方向における前記蒸着ヘッドの長さが、前記第1の方向における前記枠の長さ以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−241237(P2012−241237A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112672(P2011−112672)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】