手持ち式スプレーボトル電解セルおよび直流・直流変換器
液体リザーバ(12,52,88,510)と、液体出口(14,74,89,508)と、電解セル(18,50,80,406,552,708,804)と、電源(32,402,542)と、直流・直流変換器(1004)とを含む手持ち式スプレーボトル(10,400,500,500’)が提供される。電解セル(18,50,80,406,552,708,804)は、スプレーボトル(10,400,500,500’)によって支えられ、リザーバ(12,52,88,510)と液体出口(14,74,89,508)との間に流体的に連結されている。電源(32,402,542)は、スプレーボトル(10,400,500,500’)によって支えられ、電圧出力を有する。直流・直流変換器(1004)は、電圧出力と電解セル(18,50,80,406,552,708,804)との間に連結され、そして電解セル(18,50,80,406,552,708,804)を活性化するため電源(32,402,542)の電圧出力より大きいステップアップ電圧を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の電気化学的活性化、より具体的には、電解セルと、対応する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電解セルは、流体の1つ以上の特徴を変化させる多種多様の用途で用いられる。たとえば、電解セルは、洗浄/消毒用途、医療産業、および、半導体製造工程で使用されている。電解セルは、種々の他の用途でも使用され、そして異なった構成を有している。
【0003】
洗浄/消毒用途では、電解セルは、陽極電気化学的活性(EA)液体および陰極EA液を作り出すため使用される。陽極EA液は既知の消毒特性を有し、そして陰極EA液は既知の洗浄特性を有する。洗浄システムおよび/または消毒システムの実施例は、2007年8月16日付けで公開された、Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の一態様は手持ち式スプレーボトルに関する。スプレーボトルは、液体リザーバと、液体出口と、電解セルと、電源と、直流・直流変換器とを含む。電解セルは、スプレーボトルによって支えられ、そしてリザーバと液体出口との間に流体的に連結されている。電源は、スプレーボトルによって支えられ、電圧出力を有する。直流・直流変換器は、電圧出力と電解セルとの間に連結され、そして電解セルを活性化するため電源の電圧出力より大きいステップアップ電圧を供給する。
【0005】
開示の別の態様は方法に関する。この方法は、供給液体を手持ち式スプレーボトルのリザーバ内で支えるステップと、スプレーボトルによって支えられている電源からソース電圧を生成するステップと、スプレーボトルによって支えられている直流・直流変換器を介してソース電圧より大きい活性化電圧までソース電圧を増大させるステップと、供給液体をスプレーボトルによって支えられている電解セルの中に通すステップと、電解セルの中を通される供給液体を電気化学的に活性化するため活性化電圧を電解セルの電極に印加するステップと、スプレーボトルから電気化学的に活性化された供給液体を吐出するステップと、を含む。
【0006】
本概要は、詳細な説明の欄でさらに後述される概念の選択を簡略化された形式で紹介するため記載されている。本概要は、請求の範囲に記載された主題の主要な特徴または不可欠な特徴を特定することを意図するものでなく、請求の範囲に記載された主題の権利範囲を決定する手掛かりに用いられることも意図するものでない。請求の範囲に記載された主題は、背景の欄に記載されたいずれかまたはすべての欠点を解決する実施に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の例示的な態様による手持ち式スプレーボトルの簡略化された概要図である。
【図2】イオン選択性膜を有する電解セルの実施例を示す図である。
【図3】開示のさらなる実施例によるイオン選択性膜を有していない電解セルを示す図である。
【図4A】開示の一態様による規則的な格子パターンで複数の直線形アパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図4B】別の実施例による規則的な格子パターンで種々のサイズをもつ複数の曲線形アパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図4C】別の実施例による多種多様の形状およびサイズをもつ複数の不規則的な形および規則的な形をしたアパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図5】1つの例証的な実施例による管状形状を有する電解セルの実施例を示す図である。
【図6】本開示の例示的な態様によるアノードおよびカソードに印加される電圧パターンを示す波形図である。
【図7】たとえば、本明細書中に開示されているいずれかの実施形態に組み込むことができる本開示の実施形態によるインジケータを有するシステムのブロック図である。
【図8A】ボトルによって支えられている液体を照明するインジケータライトを有するスプレーボトルの斜視図である。
【図8B】本開示の代替的な実施形態によるボトルによって支えられている液体を照明するインジケータライトを有するスプレーボトルの斜視図である。
【図8C】図8Bに示されたボトルのヘッド部の背面斜視図である。
【図9A】図8Bに示されたボトルの左側筐体の斜視図である。
【図9B】図8Bに示されたボトルの左側筐体の斜視図である。
【図9C】図8Bに示されたボトルの右側筐体の斜視図である。
【図10】左側筐体に取り付けられた種々のコンポーネントを示す図である。
【図11A】図8Bに示されたボトルによって支えられている液体容器を示す図である。
【図11B】図8Bに示されたボトルによって支えられている液体容器を示す図である。
【図12A】筐体のバレル部に取り付けられたポンプ/セル組立体の部分拡大図である。
【図12B】筐体から取り外されたポンプ/セル組立体の斜視図である。
【図12C】トリガ部が取り外されたポンプ/セル組立体の底面斜視図である。
【図13】図12A〜図12Cに示された組立体の取り付けブラケットの分解斜視図である。
【図14A】図8Bに示されたボトルのトリガ部の斜視図である。
【図14B】図8Bに示されたボトルのトリガ部の斜視図である。
【図15A】トリガ部の上に位置するトリガ・ブーツ部の斜視図である。
【図15B】トリガ部の上に位置するトリガ・ブーツ部の斜視図である。
【図16A】筐体半分の下方区画を詳細に示す図である。
【図16B】図16Aに示された区画内に搭載された回路基板およびバッテリを示す図である。
【図17】本開示の実施例による電解セルを実施する移動式クリーナの斜視図である。
【図18】別の実施形態によるプラットフォームに搭載された電解セルの簡略化されたブロック図である。
【図19】本開示の別の実施形態によるオール・サーフェス・クリーナの斜視図である。
【図20】本開示の例証的な実施例による図8〜図16に示された手持ち式スプレーボトル内の種々の構成部品を制御する制御回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様は液体を電解する方法および装置を対象にする。
【0009】
1. 手持ち式スプレーボトル
電解セルは、多種多様の用途で使用でき、そして、たとえば、手持ち式、移動式、固定式、壁掛け式、電動式、または、非電動式の洗浄/消毒車両、車などでもよい多種多様のタイプの装置に収容できる。本実施例では、電解セルは手持ち式スプレーボトルに組み込まれている。
【0010】
図1は、本開示の例示的な態様による手持ち式スプレーボトル10の簡略化された概略図である。スプレーボトル10は、処理され、その後にノズル14を介して吐出されるべき液体を収容するリザーバ12を含む。実施例では、取り扱われるべき液体は、普通の水道水のような水溶性組成物を含む。
【0011】
スプレーボトル10は、入口フィルタ16と、1つ以上の電解セル18と、管20および22と、ポンプ24と、アクチュエータ26と、スイッチ28と、回路基板および制御電子機器30と、バッテリ32とを含む。図1に示されていないが、管20および22は、たとえば、それぞれにボトル10のネック部およびバレル部内に収容されることがある。キャップ部34は、ボトル10のネック部の周りでリザーバ12を密封する。バッテリ32は、たとえば、使い捨て式バッテリおよび/または充電式バッテリを含むことができ、そして、回路基板および制御電子機器30によって活性化されたとき、電力を電解セル18およびポンプ24に供給することができる。
【0012】
図1に示された例では、アクチュエータ26は、開状態と閉状態との間でモーメンタリスイッチを作動させるトリガ型アクチュエータである。たとえば、ユーザが手動トリガを圧迫状態へ「強く握る」とき、トリガはスイッチを閉状態に作動させる。ユーザが手動トリガを解除するとき、トリガはスイッチを開状態に作動させる。しかし、アクチュエータ26は、代替的な実施形態では他の型を有することが可能であり、そしてさらなる実施形態では取り除くことができる。別個のアクチュエータを欠く実施形態では、スイッチ28はユーザによって直接的に作動されることができる。スイッチ28が開いた非導通状態にあるとき、制御電子機器30は電解セル18およびポンプ24を非活性化する。スイッチ28が閉じた導通状態にあるとき、制御電子機器30は電解セル18およびポンプ24を活性化する。ポンプ24は、リザーバ12からフィルタ16、電解セル18、および管20を介して液体を引き出し、管22およびノズル14から液体を押し出す。噴霧器に依存して、ノズル14は、たとえば、細流を噴射すること、霧をエアゾール化すること、または、噴霧を吐出することを選択するため、調節できる場合と調節できない場合とがある。
【0013】
スイッチ28自体は、図1に示されるように押しボタンスイッチ、トグル、ロッカ、何らかの機械的リンケージのような何らかのアクチュエータ型、および/または、容量性、抵抗性、可塑性、熱性、誘導性などのような何らかの非機械的センサを有することができる。スイッチ28は、瞬時式、単極単投式などの何らかの適当な接点配置を有することができる。
【0014】
代替的な実施形態では、ポンプ24は、手動トリガ型ポジティブ・ディスプレース・ポンプのような機械的ポンプによって置き換えられ、アクチュエータ・トリガ26は機械的作用によってポンプに直接的に作用する。この実施形態では、スイッチ28は、電解セル18を活性化するため、電源スイッチのように、ポンプ24から別個に作動させることができる。さらなる実施形態では、バッテリ32は取り除かれ、電源は、たとえば、電源コード、プラグ、および/または、接点端子などを介して、外部源からスプレーボトル10へ供給される。
【0015】
図1に示された配置は単に非限定的な実施例として記載されている。スプレーボトル10は、何らかの他の構造的および/または機能的配置を有することができる。たとえば、ポンプ24は、リザーバ12からノズル14への流体フローの向きに関して、図1に示されるようにセル18の下流に、または、上流に位置することができる。
【0016】
より詳細に後述されるように、スプレーボトルは、洗浄および/または消毒されるべき表面に噴霧される液体を収容する。非限定的な一実施例では、電解セル18は、出力噴霧として、ボトルから吐出される前に液体を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、たとえば、別個の管および/またはノズルなどを介して、複合混合物として、または、別個の噴霧出力として吐出することができる。図1に示された実施形態では、陽極EA液および陰極EA液は複合混合物として吐出される。スプレーボトルの出力流速が小さく、かつ、間欠的であるため、電解セル18は小型パッケージであることができ、たとえば、パッケージまたはスプレーボトルによって運ばれるバッテリによって給電することが可能となっている。
【0017】
2. 電解セル
電解セルは、少なくとも1つのアノード電極と少なくとも1つのカソード電極との間で流体の両端に電界を印加するため適合した何らかの流体処理セルを含む。電界セルは、何らかの適当な数の電極と、流体を収容する何らかの適当な数の室と、何らかの適当な数の流体入力および流体出力とを有することができる。セルは、何らかの流体(たとえば、液体または気体・液体混合など)を処理するため適合することができる。セルは、アノードとカソードとの間に1つ以上のイオン選択性膜を含むことができ、または、イオン選択性膜を用いることなく構成されることができる。イオン選択性膜を有する電解セルは、本明細書中では、「機能ジェネレータ」と称される。
【0018】
電解セルは、多種多様の用途で使用されることができ、そして、限定されることはないが、図1に関して説明されるようなスプレーボトルのような多種多様の構造体、および/または、2007年8月16日付けで公開されたFieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368号に開示されている構造体を有することができる。よって、電解に関連する種々の要素および工程がスプレーボトルの状況に関連して本明細書中で記載されているが、これらの要素および工程は、他のスプレーボトル以外の用途に適用され、組み込むことができる。
【0019】
3. 膜を有する電解セル
3.1 セル構造体
図2は、たとえば、図1に示されたスプレーボトルで使用することができる電解セル50の実施例を示す概略図である。電解セル50は液体源52から処理されるべき液体を受け入れる。液体源52は、タンク、または、図1のリザーバ12のような他の溶液リザーバを含むことができ、または、外部源から液体を受け取る付属品または他の入口を含むことができる。
【0020】
セル50は、陽イオン交換膜または陰イオン交換膜のようなイオン交換膜58によって分離されている1つ以上のアノード室54および1つ以上のカソード室56(反応室として知られている)を有する。1つ以上のアノード電極60およびカソード電極62(各電極のうちの1つが示されている)は、各アノード室54および各カソード室56にそれぞれ配置されている。アノード電極60およびカソード電極62は、導電性ポリマー、チタン、および/または、プラチナのような貴金属で被覆されたチタン、または、何らかの他の適当な電極材料のような何らかの適当な材料から作ることができる。一実施例では、アノードまたはカソードのうちの少なくとも一方は、少なくとも部分的に、または、完全に導電性ポリマー製である。電極とそれぞれの室とは、何らかの適当な形状および構造を有することができる。たとえば、電極は、平板、同軸状板、ロッド、または、これらの組み合わせでもよい。各電極は、たとえば、中実構造を有してもよく、または、1つ以上のアパーチャを有することができる。一実施例では、各電極は網目として形成される。さらに、複数のセル50は、たとえば、互いに直列または並列に連結することができる。
【0021】
電極60、62は、従来型の電源(図示せず)の互いに反対の性質を持った両端子に電気的に接続されている。イオン交換膜58は、電極60と電極62との間に位置している。電源は、一定直流出力電圧、パルス型またはそれ以外の変調された直流出力電圧、および/または、パルス型またはそれ以外の変調された交流出力電圧をアノード電極およびカソード電極に供給することができる。電源は、適当な出力電圧レベル、電流レベル、デューティサイクル、または、波形をもつことができる。
【0022】
たとえば、一実施形態では、電源は、極板に供給された電圧を比較的安定状態で印加する。電源(および/または制御電子機器)は、電圧および電流出力を制御するためパルス幅変調(PWM)制御スキームを使用する直流・直流変換器を含む。パルス型でも非パルス型でもよく、かつ、他の電圧範囲および電力範囲でもよい他の型の電源もまた使用することができる。パラメータは用途に固有である。
【0023】
動作中に、供給水(または処理されるべき他の液体)は、液体源52からアノード室54およびカソード室56の両方へ供給される。陽イオン交換膜の場合、約5ボルト(V)から約28Vの範囲内の電圧のような直流電圧電位をアノード60とカソード62との間に印加したとき、アノード室54に元々存在している陽イオンはイオン交換膜58を越えてカソード62へ向かって移動し、アノード室54内の陰イオンはアノード60へ向かって移動する。しかし、カソード室56内に存在している陰イオンは陽イオン交換膜を通過できないので、カソード室56の内部に閉じ込められたままである。
【0024】
その結果として、セル50は、少なくとも部分的に電解を利用することにより供給水を電気化学的に活性化し、そして、酸性陽極液組成物70および塩基性陰極液組成物72の形で電気化学的活性化水を生成する。
【0025】
必要に応じて、陽極液および陰極液は、たとえば、電解セルの構造の変更を通じて互いに異なった比率で生成することができる。たとえば、セルは、EA水の基本機能が洗浄である場合、陽極液より多量の陰極液を生成するように構成することができる。代替的に、たとえば、セルは、EA水の基本機能が消毒である場合、陰極液より多量の陽極液を生成するように構成することができる。さらに、それぞれにおける反応種の濃度は変化させることができる。
【0026】
たとえば、セルは、陽極液より多量の陰極液を生成するため、アノード極板に対するカソード極板の比率は3:2とすることができる。各カソード極板は、それぞれのイオン交換膜によって対応するアノード極板から分離されている。よって、2つのアノード室に対し3つのカソード室が存在する。この構成は、およそ陰極液60%対陽極液40%を生成する。他の比率を使用することもできる。
【0027】
3.2 反応の実施例
付加的に、アノード60と接触した水分子は、アノード室54内で酸素(O2)および水素イオン(H+)に電気化学的に酸化され、一方、カソード62と接触した水分子はカソード室56内で水素ガス(H2)および水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元される。アノード室54内の水素イオンは、陽イオン交換膜58を通過して、水素イオンが水素ガスに還元されるカソード室56に入ることが許され、アノード室54内の酸素ガスは供給水を酸化して、陽極液70を形成する。さらに、普通の水道水は、典型的に、塩化ナトリウムおよび/または他の塩化物を含有するので、アノード60は、存在する塩化物を酸化し、塩素ガスを形成する。その結果として、塩化物の実質的な量が生成され、陽極液組成物70のpHは長時間に亘ってますます酸性化する。
【0028】
前述のとおり、カソード62と接触した水分子は、水素ガスおよび水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元され、一方、アノード室54内の陽イオンは、電圧電位が印加されるとき、陽イオン交換膜58を通ってカソード室56に入る。これらの陽イオンは、カソード62で生成された水酸化物イオンとイオン的に結合するため利用可能であり、一方、水素気泡が液体中に形成する。水酸化物イオンの実質的な量がカソード室56内で長時間に亘って蓄積し、そして、陽イオンと反応して塩基性水酸化物を形成する。付加的に、陽イオン交換膜は負に帯電した水酸化物イオンが陽イオン交換膜を通過することを許さないので、水酸化物はカソード室56に閉じ込められたままである。その結果、水酸化物の実質的な量がカソード室56内に生成され、陰極液組成物72のpHは長時間に亘ってますますアルカリ性化する。
【0029】
機能ジェネレータ50内の電解工程は、アノード室54およびカソード室56における反応種の集中と準安定イオンおよびラジカルの形成とを可能にする。
【0030】
電気化学的活性化工程は、(アノード60での)電子求引または(カソード62での)電子導入のいずれかによって典型的に行われ、供給水の物理化学的特性(構造的、エネルギ的、および、触媒的を含む)の変質をもたらす。供給水(陽極液または陰極液)は、電界強度が非常に高いレベルに達する可能性がある電極表面の直ぐ近くで活性化されることが考えられる。この領域は、電気二重層(EDL)と称されてもよい。
【0031】
電気化学的活性化工程が継続する間、水双極子は、一般に電界と整列し、水分子のある割合の水素結合は、その結果として切れる。さらに、単結合された水素原子は、カソード電極62で金属原子(たとえば、プラチナ原子)に結合し、そして、単結合された酸素原子は、アノード電極60で金属原子(たとえば、プラチナ原子)と結合する。これらの結合原子は、さらなる反応に関与するまでそれぞれの電極の表面上で2次元的に拡散する。他の原子および多原子基は、アノード電極60およびカソード電極62の表面に同様に結合することがあり、続いて反応を受けることもある。表面に生成された酸素(O2)および水素(H2)のような分子は、気体として水の液相内の小さい空洞(すなわち、泡)に入ることがあり、および/または、水の液相によって溶媒和されることがある。これらの気相泡は、したがって、供給水の液相の全体に亘って分散されるか、または、そうでなければ、浮遊させられる。
【0032】
気相泡のサイズは、供給水に加えられた圧力、供給水中の塩および他の化合物の組成、電気化学的活性の程度、のような種々の要因に依存して変化することがある。したがって、気相泡は、マクロバブルに限定されることなく、マイクロバブル、ナノバブル、および、これらの混合物を含む多種多様のサイズをもつことがある。マクロバブルを含む実施形態では、発生した泡に関する適当な平均泡径の実施例は、500マイクロメートルから約1ミリメートルまで変動する直径を含む。マイクロバブルを含む実施形態では、発生した泡の適当な平均泡径の実施例は、約1マイクロメートルから約500マイクロメートル未満まで変動する直径を含む。ナノバブルを含む実施形態では、発生した泡に関する適当な平均泡径の実施例は、約1マイクロメートル未満の直径を含み、特に適当な泡径は約500ナノメートル未満である直径を含み、さらにより適当な平均泡径は約100ナノメートル未満である直径を含む。
【0033】
気体・液体界面での表面張力は、表面分子が電極表面にある気体の分子より水中の分子に強く引きつけられるので、アノード電極60の表面およびカソード電極62の表面から遠ざけられる分子間の引力によって生成される。これに対して、水分子のバルクは全方向に均等に引きつけられる。よって、可能な相互作用エネルギを増大させるため、表面張力は、電極表面にある分子を液体のバルクの中へ入れる。
【0034】
気相ナノバブルが発生される実施形態では、ナノバブル(すなわち、直径が約1マイクロメートル未満である泡)に収容される気体は、泡径が小さいにもかかわらず、供給水中で実質的な時間に亘り安定していると考えられる。理論に縛られることを希望しないが、水の表面張力は、気泡の曲面が分子寸法に近づくとき、気体/液体界面において低下すると考えられる。これは、ナノバブルが散逸する自然な傾向を低減する。
【0035】
さらに、ナノバブルの気体/液体界面は、膜58の両端に印加された電圧電位に起因して帯電する。電荷は表面張力に反対向きの力を導入し、さらにナノバブルの散逸を遅らせるか、または、阻止する。界面に同じ電荷が存在することによって、電荷斥力が、表面張力のために表面が最小化する方向とは逆向きに作用するために、見かけの表面張力を低下させる。何らかの効果は、気体/液体界面を好む付加的な帯電材料の存在によって増大するかもしれない。
【0036】
気体/液体界面の自然な状態は負であると思われる。低表面電荷密度および/または高分極率をもつ他のイオン(Cl−、ClO−、HO2−、および、O2など)は、水和電子が行うように、同様に気体/液体界面を好む。水溶性ラジカルもまたこのような界面に存在することを好む。よって、陰極液(すなわち、カソード室56の中を流れる水)に存在するナノバブルは、負に帯電されるが、陽極液(すなわち、アノード室54の中を流れる水)の中のナノバブルは殆ど電荷をもたない(過剰な陽イオンは自然な負電荷を打ち消す)と考えられる。したがって、陰極液ナノバブルは、陽極液と混合するとき、電荷を失わない可能性が高い。
【0037】
加えて、気体分子は、カソード上の過剰な電位のために、(O2−のように)ナノバブルの内部で帯電されることがあり、それによって、ナノバブルの全体的な電荷を増加させる。帯電したナノバブルの気体/液体界面における表面張力は、帯電していないナノバブルに対して相対的に減少しており、それらのサイズは安定化している。このことは、定性的には、帯電した表面が同じ荷電間における斥力を最小化するため膨張する傾向があるのに対して、表面張力が表面を最小化させていると理解できる。電解のため必要とされた過剰な電力損失に起因して、電極表面での上昇した温度は、局部的な気体溶解性を低下させることによりナノバブル形成をさらに増大させることもある。
【0038】
同じ電荷間の斥力は電荷間の距離の二乗に反比例して増加するので、泡径が減少するのにつれて、外向き圧力が増加する。電荷の効果は表面張力の効果を低下させることであり、そして表面張力は、表面を縮小させる傾向があり、これに対し、表面電荷は表面を拡大する傾向がある。よって、これらの反対向きの力が等しいとき、平衡状態に達する。たとえば、気泡(半径r)の内面上での表面電荷密度がФ(e−/m2)であると仮定すると、外向き圧力(Pout)は、ナビエ・ストークス方程式を解くことによって見つけることができ、
Pout=Ф2/2Dε0 (式1)
を与え、式中、Dは気泡の誘電率(1と仮定する)であり、ε0は真空の誘電率(すなわち、8.854pF/m)である。気体上の表面張力による内向き圧力(Pin)は、
Pin=2g/rPout (式2)
であり、式中、gは表面張力(25℃で0.07198ジュール/m2)である。したがって、これらの圧力が等しい場合、気泡の半径は、
r=0.28792ε0/Ф2 (式3)
である。
【0039】
したがって、直径5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルをもつナノバブルに対し、ゼロ過剰内圧の場合の理論電荷密度は、それぞれ、0.20、0.14、0.10、0.06および0.04e−/nm2泡表面積である。このような電荷密度は、電解セル(たとえば、電解セル18)を用いて容易に得られる。ナノバブル半径は、泡上の総電荷が増加するとき、2/3乗まで増加する。平衡状態におけるこれらの状況で、ナノバブル表面のフューエルの実効表面張力はゼロであり、泡中の電荷を帯びた気体の存在が安定したナノバブルのサイズを増加させる。さらなるバブルサイズの縮小は、大気圧より下がる内圧の低下を引き起こすので示唆されない。
【0040】
電解セル(たとえば、電解セル18)内の種々の状況で、ナノバブルは、表面電荷のためにさらに小型の泡に分かれることがある。たとえば、半径rと総電荷qとをもつ泡が、割り当てられた容積および電荷(半径r1/2=r/21/3および電荷q1/2=q/2)をもつ2つの泡に分かれると仮定し、泡間のクーロン相互作用を無視すると、表面張力(ΔEST)および表面電荷(ΔEq)によるエネルギ中の電荷の計算は、
ΔEST=+2(4πγr1/22)−4πγr2=4πγr2(21/3−1) (式3)
かつ、
【数1】
(式4)である。
【0041】
ΔEST+ΔEqが負であるときに現れる全エネルギ電荷が負である場合、泡は準安定であり、
【数2】
(式5)を与え、この式は、半径と電荷密度(Ф)との間の関係を規定し、
【数3】
(式6)である。
【0042】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルをもつナノバブル径に対し、泡分割の場合の理論電荷密度は、それぞれ、0.12、0.08、0.06、0.04および0.03e−/nm2泡表面積である。同じ表面電荷密度に対し、泡径は、典型的に、見かけ上の表面張力をゼロまで低下させるために、バブルを2つに分ける場合よりも約3倍大きい。よって、ナノバブルは、さらなるエネルギ入力が存在しない限り、一般に分かれない。
【0043】
上記の気相ナノバブルは、泥粒子に付着するため適合するので、泥粒子のイオン電荷を移送する。ナノバブルは、典型的な泥粒子で典型的に見られる疎水性表面に粘着し、好ましい負の自由エネルギ変化と共に、高エネルギの水/疎水性表面界面から水分子を放出する。加えて、ナノバブルは、広がり、疎水性表面と接触することで平坦化し、それによって、ナノバブルの曲率を縮小し、結果的に、表面張力によって引き起こされた内圧の低下を伴う。これは、付加的な好ましい自由エネルギ放出をもたらす。帯電、被覆された泥粒子は、次に、同じような電荷間の斥力によって互いにより容易に分離され、泥粒子はコロイド粒子として溶液中に入る。
【0044】
さらに、粒子の表面上のナノバブルの存在は、電気化学的活性化工程中に同様に発生することがあるミクロンサイズの気相泡による粒子の捕捉を増加させる。表面ナノバブルの存在は、この作用によって捕捉される泥粒子のサイズをさらに縮小する。このような捕捉は、床表面からの泥粒子の除去に役立ち、再堆積を阻止する。さらに、気相ナノバブルで得られる大きい気体/液体表面積対容積の比率のため、この界面に位置している水分子は、水の高い表面張力によって認められるように、より少ない水素結合によって保持される。この他の水分子への水素結合の削減によって、この界面水は、通常の水より反応が早く、他の分子により素早く水素結合し、それによって、より高速な水和を示す。
【0045】
たとえば、効率100%では、1アンペア電流は、1秒当たりに水素(H2)0.5/96,485.3モルを生成するために十分であり、これは1秒当たりに水素(H2)5.18マイクロモルに等しく、対応して、温度0℃かつ圧力1気圧で1秒当たりに気相水素5.18×22.429マイクロリットルに等しい。これは、温度20℃かつ圧力1気圧で1秒当たりに気相水素125マイクロリットルにも等しい。大気中の水素の部分圧力は事実上ゼロであるので、電解溶液中の水素の平衡溶解度は事実上ほぼゼロであり、水素は気体空洞(たとえば、マクロバブル、マイクロバブル、および/または、ナノバブル)の中に保持される。
【0046】
電解溶液の流速が毎分0.12USガロンであると仮定すると、1秒ずつに電解セルの中を流れる水7.571ミリリットルが存在する。したがって、温度20℃かつ気圧1気圧で、電解溶液1リットル毎に収容されている泡の内部に気相水素0.125/7.571リットルが存在する。これは、溶液1リットル当たり気相水素0.0165リットルに等しく、液体表面から逃げる気相水素のいずれよりも少なく、溶液を過飽和させるために溶解する気相水素のいずれよりも少ない。
【0047】
10ナノメートル径ナノバブルの容積は、5.24×10−22リットルであり、疎水性表面に結合するとき、約1.25×10−16平方メートルを覆う。よって、溶液1リットル毎に、(20℃かつ1気圧で)最大約3×10−19個の泡が存在し、すべてを含めた表面被覆能力は約4000平方メートルである。表面層がちょうど1分子の厚さであると仮定すると、これは、50ミリモルを越える活性表面水分子の濃度を与える。ナノバブルがより大きい容積およびより大きい内圧を有する場合でも、この濃度は最大量を表すが、表面被覆の能力は大きいまま保たれる。さらに、ナノバブルが洗浄効果をもつために、泥粒子表面のわずかな割合だけがナノバブルによって被覆される必要がある。
【0048】
したがって、電気化学的活性化工程中に発生された気相ナノバブルは、泥粒子に付着し、泥粒子の電荷を移送するため有益である。結果として得られる帯電され被覆された泥粒子は、泥粒子の同様な電荷間での斥力によって互いにより容易に分離される。泥粒子は、溶液に入り、コロイド懸濁を形成する。さらに、気体/水界面での電荷は表面張力に対向し、それによって、表面張力の効果と結果として生じる接触角度とを減少させる。同様に、泥粒子のナノバブル被覆は、導入されたより大型の浮揚性のある気相マクロバブルおよびマイクロバブルの捕捉を促進する。その上、ナノバブルの大表面積は、適当な分子をより素早く水和させる能力をもつ著しい量のより反応性の高い水を提供する。
【0049】
4. イオン交換膜
前述されているように、イオン交換膜58は、陽イオン交換膜(すなわち、陽子交換膜)または陰イオン交換膜を含むことができる。膜38のための適当な陽イオン交換膜は、部分的および完全にフッ素化されたアイオノマ、多環芳香族アイオノマ、および、これらの組み合わせを含む。膜38のための適当な市販されているアイオノマの実施例は、Delaware、Wilmington所在のE.I. du Pont de Nemours and Companyから商標「NAFION」の名で入手可能であるスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体と、日本国所在の旭硝子株式会社から商標「FLEMION」の名で入手可能であるペルフルオロカルボン酸アイオノマと、日本国所在の旭化学工業株式会社から商標「ACIPLEX」Aciplexの名で入手可能であるペルフルオロスルホン酸アイオノマと、これらの組み合わせとを含む。しかし、いかなるイオン交換膜が他の実施例において使用されてもよい。
【0050】
5. ディスペンサ
陽極EA液出力および陰極EA液出力は、出口、接続具、蛇口、スプレーヘッド部、洗浄/消毒ツールまたはヘッド部などのようなどのような型の1つ以上のディスペンサでも含むことができるディスペンサ74に連結することができる。図1に示された実施例では、ディスペンサ34は、スプレーノズル14を含む。1つずつの出力70および72にディスペンサが存在してもよく、両方の出力のため組み合わされたディスペンサが存在してもよい。
【0051】
一実施例では、陽極液出力および陰極液出力は、ディスペンサ74へ供給される共通した出力ストリーム76の中で混ぜ合わされる。Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368号に記載されているように、陽極液および陰極液は、洗浄装置の分配システム内で、および/または、有益な洗浄および/または消毒特性が少なくとも一時的に維持される間に洗浄中の表面または物の上で一緒に混ぜ合わすことができる。陽極液および陰極液は混ぜ合わされるが、陽極液および陰極液は最初に平衡状態ではないので、強化された洗浄および/または消毒特性を一時的に維持する。
【0052】
たとえば、一実施形態では、陰極EA水および陽極EA水は、2つの液体が一緒に混ぜ合わされるとしても、たとえば、少なくとも30秒間、別個の電気化学的活性化特性を維持する。この時間中に、2つの型の液体の別個の電気化学的活性化特性は直ちに中和しない。これは、各液体の有利な特性が共通の洗浄動作の間に利用されることを可能にする。比較的短期間の後、洗浄中の表面上で混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、実質的に原液体の元のpHおよびORP(たとえば、普通の水道水のpHおよびORP)まで素早く中和する。一実施例では、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、陽極EA液出力および陰極EA液出力が電解セルによって生成された時間から1分未満の時間窓の範囲内で実質的にpH6とpH8との間のpHと、±50mVの間のORPとまで中和する。その後、回収された液体は何らかの適当な方式で処分することが可能である。
【0053】
しかし、他の実施形態では、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、液体の特性に依存して、30秒より長い時間に亘ってpH6とpH8との間の範囲外のpHと±50mVの範囲外のORPとを維持することができ、および/または、1分の範囲外の時間範囲後に中和することができる。
【0054】
6. イオン選択性膜無しの電解セル
図3は、本開示のさらなる実施例によるイオン選択性膜を有していない電解セル80を示す。セル80は、反応室82と、アノード84と、カソード86とを含む。室82は、たとえば、セル80の壁によって、電極84および86が設置されている容器または導管の壁によって、または、電極自体によって画定することができる。アノード84およびカソード86は、導電性ポリマー、チタン、および/または、プラチナのような貴金属で被覆されたチタンのような何らかの適当な材料、または、材料の組み合わせで作られることがある。アノード84およびカソード86は、図1に示されたバッテリ32のような従来型の電源に接続されている。一実施例では、電解セル80は、室82を画定し、そして、手持ち式スプレーボトルまたは移動式床洗浄装置の流路内のような処理されるべき液体の流路内に位置しているこの固有の容器を含む。
【0055】
動作中に、液体は、液体源88によって供給され、電解セル80の反応室82の中へ取り込まれる。図3に示された実施形態では、電解セル80は、アノード84での反応生成物をカソード86での反応生成物から分離するイオン交換膜を含まない。水道水が洗浄に用いるため処理されるべき液体として使用される実施例では、水を室82に取り込み、電圧電位をアノード84とカソード86との間に印加した後、アノード84と接触するか、または、アノード84に近接する水分子は、酸素(O2)および水素イオン(H+)に電気化学的に酸化され、カソード86と接触するか、または、カソード86に近接する水分子は、水素ガス(H2)および水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元される。他の反応も同様に起こることができ、特有の反応は液体の組成物に依存する。両方の電極からの反応生成物は、たとえば、反応生成物を互いに分離する物理的なバリアがないので、(たとえば)酸化された流体89を混合し形成することができる。代替的に、たとえば、アノード84は、アノードとカソードとの間に配置された(図示されない)隔膜のような誘電体バリアを使用することによりカソード84から分離することができる。
【0056】
7. 電極パターンの実施例
前述されているように、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも一方は、静的分散機器のため使用される導電性ポリマーのような導電性ポリマーで少なくとも部分的に、または、全体的に形成することができる。適当な導電性ポリマーの実施例は、米国、Minnesota、Winona所在のRTP Companyから市販されている。たとえば、電極は、101〜106オーム/sqのような表面抵抗率100〜1012オーム/sqを有する導電性プラスチック化合物で形成することができる。しかし、これらの範囲外の表面抵抗率を有する電極は他の実施例で使用することができる。
【0057】
導電性ポリマーを用いて、電極は、何らかの所望の形状に容易に成形できるか、または、そうでなければ、形成できる。たとえば、電極は射出成形することができる。前述されているように、1つ以上の電極は、格子の形をした規則的なサイズの矩形状開口部を用いて網目を形成することができる。しかし、開口部またはアパーチャは、円形、三角形、曲線形、直線形、規則形および/または不規則形のようなどのような形状でもよい。曲線形アパーチャは、少なくとも2つの湾曲したエッジを有する。射出成形されるとき、たとえば、アパーチャの形状およびサイズは、特有のパターンに容易に合わせることができる。しかし、これらのパターンは、本開示の他の実施例では、金属電極に形成することもできる。
【0058】
アパーチャは、電解のための電極の表面積を増大させることのできる寸法及び配置を決定することが可能であり、それによって、処理されている液体中の気泡の発生を促進することができる。
【0059】
図4Aは、本開示の一態様による規則的な格子パターンで複数の直線的な(たとえば、矩形状の)アパーチャ102を有する導電性ポリマー電極100の部分図である。
【0060】
図4Bは、別の実施例による規則的な格子パターンで異なったサイズをもつ複数の曲線形(たとえば、円形)アパーチャ106を有する導電性ポリマー電極104の部分図である。同じ電極内での異なったサイズをもつアパーチャの使用は、電解中にアパーチャのエッジに沿って異なったサイズをもつ気泡の発生を促進することがある。
【0061】
図4Cは、別の実施例による多種多様の形状およびサイズをもつ複数の不規則的および規則的な成形アパーチャ110を有する導電性ポリマー電極108の部分図である。本実施例では、種々のアパーチャ110は種々の開口領域を画定する。アパーチャ110のうちの1つ以上は、電解中にさらなる気泡および反応種の生成を促進すると考えられる点112のような1つ以上の内部点を含むことができる。これらのアパーチャは、180度より大きい少なくとも1つの内角(たとえば、点112で)を有する多角形を形成する。代替的な実施形態では、アパーチャは180度より大きい複数の内角を有する。
【0062】
さらに、電極は、電極表面積をさらに増大させることのできるスパイクまたはバーのような1つ以上の他の不均一な形状特徴を用いて形成することができる。スパイクは、規則的なパターンまたは不規則的なパターンで配置することができ、そして、同じサイズおよび形状を有することができ、または、異なったサイズおよび/または形状を有することができる。
【0063】
たとえば、電解セルは、アノードおよびカソードを含むように構成することができ、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも一方は、第1のサイズ(および/または形状)を有する第1の複数のアパーチャと、第2の異なったサイズ(および/または形状)を有する第2の複数のアパーチャとを備える。一実施例では、電解セルは、アノード電極とカソード電極との間に配置され、それぞれのアノード室およびカソード室を画定するイオン選択性膜をさらに含む。
【0064】
さらなる実施例では、第1の複数のアパーチャおよび第2の複数のアパーチャを備える組のうちの少なくとも2つのアパーチャは、互いに異なった形状(および/またはサイズ)を有する。さらなる実施例では、第1の複数のアパーチャおよび第2の複数のアパーチャを備える組のうちの少なくとも3つのアパーチャは、互いに異なった形状(および/またはサイズ)を有する。
【0065】
第1および第2の複数のアパーチャは、少なくとも1つの湾曲したエッジで形成されている多角形の形状および/または曲線形の形状を有することができる。第1の複数のアパーチャまたは第2の複数のアパーチャのうちの少なくとも一方は、規則的なパターンで、または、不規則的なパターンで配置することができる。
【0066】
第1の複数のアパーチャまたは第2の複数のアパーチャのうちの少なくとも1つのアパーチャは、180度より大きい少なくとも1つの内角をもつ多角形の形状を有することができる。
【0067】
さらなる実施形態では、図4A〜図4Cに示された電極は、導電性金属材料で製造される。たとえば、図4Aに示されるように、電極100は、プラチナのような別の材料でメッキされるか、または、メッキされなくてもよい金属製メッシュで形成することができる。
【0068】
8. 管状電極の実施例
電極自体は、平面極板、同軸状極板、円筒状ロッド、または、これらの組み合わせのような何らかの適当な形状を有することが可能である。図5は、1つの例証的な実施例による管状形状を有する電解セル200の実施例を示す。セル200の一部分は例証の目的のため切り取られている。本実施例では、セル200は、管状筐体202と、管状外側電極204と、0.040インチのような適当な隙間によって外側電極から分離されている管状内側電極206とを有する電解セルである。限定されることなく、0.020インチから0.080インチの範囲内の隙間のような他の隙間サイズが同様に使用できる。内側電極または外側電極のいずれかは、印加された電圧の相対的な特性に依存して、アノード/カソードとしての役目を果たすことができる。
【0069】
一実施例では、外側電極204および内側電極206は、たとえば、図4A〜図4Cに示されているようなアパーチャを含む導電性ポリマー構成物を有する。しかし、一方または両方の電極は、別の実施例では、中実構成物を有することができる。
【0070】
電極206および206は、導電性ポリマー、チタンおよび/またはプラチナのような貴金属で被覆されたチタンのような何らかの適当な材料、または、何らかの他の適当な電極材料から作ることができる。その上、複数のセル200は、たとえば、互いに直列または並列に連結することができる。
【0071】
特定の実施例では、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも1つは、格子の形で規則的なサイズをもつ矩形状開口部を含む金属網目で形成されている。1つの特定の実施例では、網目は、1平方インチ当たりに20×20格子開口部をもつ格子パターンを有する径0.023インチをもつT316ステンレス鋼で形成されている。しかし、他の寸法、配置、および、材料が他の実施例で使用することができる。
【0072】
イオン選択性膜208は、外側電極204と内側電極206との間に配置されている。1つの特定の実施例では、イオン選択性膜は、縦2.55インチおよび横2.55インチに切断され、その後、内側電極206の周りに巻き付けられ、たとえば、3M Companyからの#1357接着剤のような密着性接着剤を用いて繋ぎ目重なり合いで固定されているE.I. du Pont de Nemours and Companyからの「NAFION」を含む。この場合も、他の寸法および材料が他の実施例で使用することができる。
【0073】
本実施例では、管状電極206の内側の空間の容積は、電極204および206とイオン選択性膜208とに沿って、かつ、電極204および206とイオン選択性膜208との間で液体流を促進するために、中実内側コア209によって阻止されている。この液体流は、導電性であり、そして、2つの電極の間で電気回路を完成する。電解セル200は何らかの適当な寸法を有することができる。一実施例では、セル200は、長さ約4インチと、外径約3/4インチとを有することができる。長さおよび寸法は、液体の単位体積当たりに発生させられたバブル、たとえば、ナノバブル、および/または、マイクロバブルの処理時間および量を制御するために、選択することができる。
【0074】
セル200は、セルの一端または両端に適当な接続具を含むことができる。プラスチック製クイック接続具を用いるような何らかの取り付け方法が使用できる。たとえば、1つの接続具は、図1に示されるように、出力管20に接続するように構成することができる。別の接続具は、たとえば、入口フィルタ16または入口管に接続するように構成することができる。別の実施例では、セル200の一端は、図1のリザーバ12から液体を直接的に引き込むために開かれたままである。
【0075】
図5に示された実施例では、セル200は、(電極204または206の一方とイオン選択性膜208との間にある)アノード室に陽極EA液を生成し、(電極204または206のうちのもう一方とイオン選択性膜208との間にある)カソード室に陰極EA液を生成する。陽極EA液流路と陰極EA液流路とは、陽極EA液および陰極EA液が(図1に示された実施例では)管20に入るときに、セル200の出口で一緒になる。その結果として、スプレーボトル10は、ノズル14を通して混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液を吐出する。
【0076】
一実施例では、管20および22の径は小型に保たれるので、ポンプ24および電解セル18(たとえば、図5に示されたセル200)が活性化され、そして、管20および22が電気化学的活性化液体で素早く満たされる。管およびポンプの中に収容された何らかの非活性化液体は少ない容積に保たれる。よって、制御電子機器30がスイッチ28の作動に応答してポンプおよび電解セルを作動させる実施形態では、スプレーボトル10は、要求に応じた形式でノズル14に混ぜ合わされたEA液を生成し、陽極EA液および陰極EA液を貯蔵する中間ステップ無しで、(管20、22およびポンプ24に維持されているものを除いて)収容された陽極EA液および陰極EA液の実質的に全部をボトルから吐出する。スイッチ28が作動されていないとき、ポンプ24は「オフ」状態にあり、電解セル18は非活性化されている。スイッチ28が閉状態に作動されるとき、制御電子機器30はポンプ24を「オン」状態に切り換え、そして電解セル18を活性化する。「オン」状態では、ポンプ24は、セル18および出力ノズル14を介してリザーバ12から水を汲み出す。
【0077】
他の活性化シーケンスは同様に使用することができる。たとえば、制御回路30は、供給水が吐出前により電気化学的に活性化されることを可能にするため、ポンプ24を活性化する前にある期間に亘って電解セル18を活性化するように構成することができる。
セル18からノズル14までの移動時間は非常に短くすることができる。一実施例では、スプレーボトル10は、陽極液体および陰極液体が電解セル18によって生成される起点の非常に短期間に、混ぜ合わされた陽極液体および陰極液体を吐出する。たとえば、混ぜ合わされた液体は、陽極液体および陰極液体が生成された時点から5秒以内、3秒以内、および、1秒以内のような期間内に吐出することができる。
【0078】
9. 制御回路
図1をもう一度参照すると、制御電子機器30は、たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、または、両方の組み合わせで実施することができる何らかの適当な制御回路を含むことができる。
【0079】
制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に給電し制御する電子機器を収容するプリント回路基板を含む。一実施例では、制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に連結されている出力を有する電源を含み、2つの機器に送られる電力を制御する。制御回路30は、たとえば、電解セル18に印加された電圧の極性を、制御回路によって発生された制御信号に応じて選択的に反転する能力をもつHブリッジをさらに含む。たとえば、制御回路30は、デューティサイクル50%で5秒毎のような所定のパターンで極性を交互に入れ替えるように構成することができる。より詳細に後述された別の実施例では、制御回路30は、主として第1の極性をもつ電圧をセルに印加し、そして、非常に短い期間だけ極性を周期的に反転するように構成されている。極性の頻繁な反転は、電極表面上の堆積物のスケール付着または蓄積を削減することができ、電極の寿命を延長することができる自己洗浄機能を電極に提供することができる。
【0080】
手持ち式スプレーボトルの状況では、大型バッテリを携行することは不便である。したがって、ポンプおよびセルへの利用可能な電力は多少制限される。一実施例では、セルの駆動電圧は、約8ボルトから約28ボルトの範囲に入る。しかし、スプレーボトルおよび電解セルを通る典型的な流速はかなり低いので、比較的小さい電流だけがセルを通過する液体を効率的に活性化するために必要である。低い流速を用いると、セル内の滞留時間は比較的長くなる。セルが活性化されている間に液体がセルに滞留する時間が長くなるほど、電気化学的活性化は(実際的な制限内で)より大きくなる。これは、スプレーボトルが、より小容量のバッテリ、および、低電流で所望の出力電圧まで電圧を増大させる直流・直流変換器を利用できることを可能にする。
【0081】
たとえば、スプレーボトルは、出力電圧約3〜9ボルトを有する1つ以上のバッテリを支えることができる。1つの特有の実施例では、スプレーボトルは、1台ずつが約500ミリアンペア時〜約3アンペア時で公称出力電圧1.5ボルトを有する4台のAAバッテリを支えることができる。バッテリが直列接続されている場合、公称出力電圧は、容量約500ミリアンペア時〜約3アンペア時で約6Vである。この電圧は、たとえば、直流・直流変換器を介して範囲18ボルト〜28ボルトまで増大させることができる。よって、所望の電極電圧は十分な電流で達成することができる。
【0082】
別の特有の実施例では、スプレーボトルは、1台ずつが公称出力電圧約1.2ボルトを有する10台のニッケル水素バッテリを支える。バッテリは直列接続されているので、公称出力電圧は容量約1800ミリアンペア時で約10V〜12.5Vである。この電圧は、たとえば、直流・直流変換器を介して、範囲8ボルトから少なくとも28ボルトまで増大/減少させられる。よって、所望の電極電圧は十分な電流で達成することができる。
【0083】
セルを用いて大きい電圧および適当な電流を生成する能力は、普通の水道水がセルを介して増大された洗浄および/または消毒特性を有する液体に変換される用途のために役立つ可能性がある。普通の水道水は、セルの電極の間において、比較的低い導電性を有する。
【0084】
適当な直流・直流変換器の実施例は、米国、New York、Pelham所在のPICO Electronics, Inc.からのシリーズA/SM 表面実装変換器と、ブースト用途において接続されている、米国、Arizona、Phoenix所在のON SemiconductorからのNCP3064 1.5A 増大/減少/反転スイッチング・レギュレータとを含む。
【0085】
一実施例では、制御回路は、電解セルから取り出された感知電流に基づいて直流・直流変換器を制御するので、直流・直流変換器の出力電圧は、セルを通る電流が所定の電流範囲内となるように制御される。たとえば、目標電流取り出しは、1つの特定の実施例では、約400ミリアンペアである。別の実施例では、目標電流は350ミリアンペアである。他の電流および範囲は、代替的な実施形態で使用することができる。所望の電流取り出しは、電解セルの幾何学的性質、処理されている液体の特性、および、結果として得られる電気化学的反応の所望の特性に依存することがある。
【0086】
制御電子機器の実施例を例証するブロック図は図7および図20に関してより詳細に後述される。
【0087】
10. 電解セルのための駆動電圧
前述されているように、電解セルの電極は、セルの特有の用途に依存して多種多様の電圧および電流パターンを用いて駆動できる。電極に印加される電圧極性を周期的に反転することにより電極上のスケール付着を制限することが望ましい。したがって、明細書および請求項で使用されるような用語「アノード」および「カソード」と、用語「陽極」および「陰極」はそれぞれ置き換え可能である。これは、逆帯電したスケール堆積物を防止する傾向がある。
【0088】
一実施例では、電極は、特定の期間(たとえば、約5秒間)に亘って一方の極性で駆動され、次に、ほぼ同じ期間に亘って逆極性で駆動される。陽極EA液および陰極EA液はセルの出口で混ぜ合わされるので、この工程は、実質的に、陽極EA液及び陰極EA液を1対1の割合で生成する。
【0089】
別の実施例では、電極は、複雑な弁調節無しで、各室から実質的に一定の陽極EA液または陰極EA液を生成するため制御される。従来技術の電解システムでは、スケール付着を最小限に抑えるため極性が反転されることを可能にする状態を維持したまま、複雑かつ高価な弁調節がそれぞれの出口を通る一定の陽極液および陰極液を維持するため使用される。たとえば、図2を参照すると、電極に印加される電圧の極性が反転されるとき、アノード60はカソードになり、カソード62はアノードになる。出口70は、陽極液の代わりに陰極液を排出し、出口72は陰極液の代わりに陽極液を排出する。したがって、従来技術のアプローチを用いると、弁調節は、電圧が反転されるとき、出口70をカソード室56に接続し、出口72をアノード室54に接続するため使用することができる。これは、それぞれの出力を通じて、一定の陽極液または陰極液の流れをもたらす。この複雑な弁調節を使用する代わりに、本開示の一実施例は、電極に印加された電圧パターンを通じて実質的に一定の出力を達成する。
【0090】
図6は、本開示の例示的な態様によってアノードおよびカソードに印加された電圧パターンを例証する波形図である。実質的に一定であり、比較的正の電圧がアノードに印加され、実質的に一定であり、比較的負の電圧がカソードに印加される。しかし、周期的に、各電圧は、スケールの堆積を防止するため、比較的逆極性に短くパルス化される。本実施例では、時間t0−t1、t2−t3、t4−t5、および、t6−t7から、比較的正の電圧がアノードに印加され、そして比較的負の電圧がカソードに印加される。時間t1−t2、t3−t4、t5−t6、および、t7−t8の間に、各電極に印加される電圧は反転される。反転電圧レベルは、非反転電圧レベルと同じ大きさを有することができるか、または、必要に応じて異なった大きさを有することができる。
【0091】
1つずつの短い極性切り換えの周波数は必要に応じて選択することができる。反転の周波数が増加すると、スケール付着の量が減少する。しかし、電極は、(プラチナ被覆電極の場合に)各反転と共にプラチナ少量を解放することがある。反転の周波数が減少すると、スケール付着は増加することがある。一実施例では、矢印300によって示されるように、反転間の期間は範囲約1秒から約600秒に入る。この範囲外の他の期間もまた使用することができる。
【0092】
電圧が反転される期間もまた必要に応じて選択することができる。一実施例では、矢印302によって表現された反転期間は、範囲約50ミリ秒から約100ミリ秒に入る。この範囲外の他の期間もまた使用することができる。本実施例では、時点t2とt3との間の通常の極性の期間303は、少なくとも900ミリ秒である。
【0093】
同様に、電圧は、周期的または非周期的に選択的に反転させることができる。1つの特有の実施例では、反転間の期間300は1秒であり、波形の各期間の間に、電極間の電圧は、900ミリ秒に亘って通常の極性を使って印加され、その後、100ミリ秒に亘って反転された極性で印加される。
【0094】
これらの範囲を用いると、たとえば、弁調節を必要とすることなく、各アノード室は実質的に一定の陽極EA液出力を生成し、そして各カソード室は実質的に一定の陰極EA液出力を生成する。
【0095】
アノード電極の数がカソード電極の数と異なり、たとえば、3:2の比率である場合、または、アノード電極の表面積がカソード電極の表面積と異なる場合、印加電圧パターンは、生成された液体の洗浄特性または消毒特性を強めるため、陽極液または陰極液のいずれかをより多量に生成するために上記の方式で使用することができる。たとえば、洗浄が強められるべき場合、より多数の電極が(より多くの陰極液を生成するために)比較的負の極性へ駆動可能であり、そして、より少数の電極が(より少ない陽極液を生成するために)比較的正の極性へ駆動可能である。消毒が強められるべき場合、より多数の電極が(より多くの陽極液を生成するために)比較的正の極性へ駆動可能であり、そして、より少数の電極が(より少ない陰極液を生成するために)比較的負の極性へ駆動可能である。
【0096】
陽極液出力および陰極液出力が吐出前に単一出力ストリームに混ぜ合わされる場合、消毒より洗浄を強めるため、または、洗浄より消毒を強めるために、陽極液出力及び陰極液出力の組み合わせを調整することができる。一実施形態では、制御回路は、ユーザが洗浄モードと消毒モードとの間で選択することを可能にするさらなるスイッチを含む。たとえば、図1に示された実施形態では、スプレーボトル10は、ボトルに搭載されているユーザ作動可能洗浄/消毒モードスイッチを含むことができる。
【0097】
本開示の1つの例示的な実施形態では、図1および図8に示された手持ち式スプレーボトルのような手持ち式スプレーボトルは、図5に示されたセル200のような管状電解セルを支える。電解セルは、単位時間当たりに陽極EA液より多量の陰極EA液を発生することによって、強められた洗浄特性を強調するために電圧を使って駆動される。セル200では、外側円筒電極204は、内側円筒電極206より大きい径、したがって、より大きい表面積を有している。強められた洗浄特性を強調するために、制御回路は、セル200を駆動し、その結果、駆動電圧パターンの周期の大半に亘って、外側電極204はカソードとしての役目を果たし、そして内側電極206はアノードとしての役目を果たす。カソードはアノードより大きい表面積を有しているので、セル200は、結合されたセルの出口を通じて、単位時間当たりに陽極液より多量の陰極液を発生する。図6を参照すると、本実施例では、制御回路は、時間t0−t1、t2−t3、t4−t5およびt6−t7から比較的正の電圧をアノード(電極206)に印加し、そして比較的負の電圧をカソード(電極204)に印加する。時間t1−t2、t3−t4、t5−t6およびt7−t8の間に、各電極に印加される電圧は短時間反転される。
【0098】
本実施例では、スプレーボトルは、普通の水道水だけで満たされる。よって、セル200を介して汲み上げられ、セル200を使って電気化学的に活性化された液体は、普通の水道水だけからなる。この水道水は、本明細書中に記載されたように、電気化学的に活性化され、スプレーノズルを介して、混ぜ合わされた陽極液および陰極液ストリームとして吐出される。スプレー出力は、したがって、洗浄特性を強め、陰極液の量は混ぜ合わされたストリーム内で陽極液の量を上回る。強められた消毒特性は、代替的な実施形態において、たとえば、図6に示された波形を使用して、電極204を主としてアノードとし、電極206を主としてカソードとすることにより強調することができる。
【0099】
電極をスケール除去するためのこのような頻繁な短期間の極性反転は、プラチナのような、電極をメッキするためにしばしば使用される材料を、電極表面から落とす傾向を有することがわかった。よって、一実施形態では、電極204および206は、金属電極または導電性プラスチックのようなメッキされていない電極を備える。たとえば、電極はメッキされていない金属製メッシュの電極でもよい。
【0100】
11. 液体の中を照明する状態インジケータライト
11.1 図1および図8〜図16に示されたボトルのための制御回路
本開示の別の態様は、EA液の酸化・還元電位のような電解セルの機能的状態を示唆する人力が知覚できるインジケータの提供に関する。本明細書中に開示されているスプレーボトルおよび/または他の機器は、出力液体の酸化・還元電位の視覚的インジケータを含むように変更することができる。
【0101】
電解セルによって消費される電力のレベルは、セルが正しく動作しているかどうか、したがって、セルによって生成された液体(散布水、EA陽極液、および/または、EA陰極液)が十分なレベルまで電気化学的に活性化されたかどうかを判定するために使用することができる。合理的なレベル未満の電力消費は、超純粋供給水の使用や、水が機能ジェネレータの内部で十分なレベルの電流を導通させない程に、一般に低電解液含有量(たとえば、低ナトリウム/ミネラル含有量)を有している供給水の使用のような種々の電位問題を反映する可能性がある。電流消費は、したがって、たとえば、高レベルまたは低レベルの酸化・還元電位を示唆する可能性がある。同様に、ポンプによって取り出された電流は、ポンプが正しく動作しているかどうか、または、停止しているポンプのような問題が存在するかどうかを示唆するため使用されることがある。
【0102】
図7は、たとえば、本明細書中に開示された実施形態のいずれかに組み込むことができる本開示の実施形態によるインジケータを有しているシステム400のブロック図である。システム400は、(バッテリのような)電源402と、制御電子機器404と、電解セル406と、ポンプ408と、電流センサ410および412と、インジケータライト414および416と、スイッチ418と、トリガ部420とを含む。簡単にするため、電解セル404の液体入力および液体出力は、図7に示されていない。システム400のすべての要素は、たとえば、同じ電源402によって給電されるか、または、2台以上の別個の電源によって給電することができる。
【0103】
制御電子機器404は、システム400の現在動作モードと、トリガ部420のようなユーザ制御入力とに基づいて、電解セル406と、ポンプ408と、インジケータライト414および416との動作状態を制御するため連結されている。本実施例では、スイッチ418は、電源402と制御電子機器404との間に直列に連結され、そして、トリガ部420の状態に依存して、電源402を制御電子機器404の電源入力に連結し、電源入力から切り離すために役立つ。一実施形態では、スイッチ418は、トリガ部420が押圧されたときに閉成し、トリガ部420が解除されたときに開成する瞬時的な、通常開状態のスイッチを含む。
【0104】
代替的な実施例では、スイッチ418は、たとえば、トリガ部420とは別個に作動されるオン/オフ型トグルスイッチとして構成されている。トリガ部420は、制御電子機器404のイネーブル入力に連結されている第2のスイッチを作動させる。他の構成もまた使用することができる。
【0105】
両方の実施形態では、トリガ420が押圧されるとき、制御電子機器404が有効状態にされ、電解セル406およびポンプ408を駆動する適切な電圧出力を発生する。たとえば、制御電子機器404は、本明細書中に記載された電圧パターンのような、電解セル406を駆動する第1の電圧パターンを生成し、そして、ポンプ408を駆動する第2の電圧パターンを生成することができる。トリガ部420が解除されるとき、制御電子機器は電源オフされるか、および/または、そうでなければ、セル406およびポンプ408への出力電圧を無効状態にする。
【0106】
電流センサ410および412は、電解セル406およびポンプ408とそれぞれ電気的に直列に連結され、そして、各電流センサは、セル406またはポンプ406を介して取り出されたそれぞれの電流を表す信号を制御電子機器404に供給する。たとえば、これらの信号はアナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0107】
1つの特有の実施例では、システム400は、電解セル406によって取り出された電流を感知するセンサ410を含むが、ポンプ408によって取り出された電流を感知するセンサ412を含まない。制御電子機器404は、米国、Texas、Dallas所在のTexas Instruments Corporationから入手可能であるDRV8800 フル・ブリッジ・モータ・ドライバを制御する米国、Minnesota、Thief River Falls所在のDigi−Key Corporationから入手可能であるMC9S08SH4CTG−ND マイクロコントローラのようなマイクロコントローラを含む。ドライバ回路は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンに従って電解セル406への出力電圧を駆動するHスイッチを有している。Hスイッチは、セル406によって取り出された電流を感知するためにマイクロコントローラによって使用できる電流感知出力を有している。
【0108】
制御電子機器404は、センサ出力を所定のスレッショルド電流レベルまたは範囲と比較し、そして次に、比較の一方または両方に応じてインジケータ414および416を作動させる。スレッショルド電流レベルまたは範囲は、たとえば、所定の電力消費レベルを表すため選択することができる。
【0109】
インジケータ414および416は1つずつが、LEDのような何らかの視覚的に知覚可能なインジケータを含むことができる。一実施例では、インジケータライト414および416は、異なった動作状態を示唆するために異なった色を有している。たとえば、インジケータライト414は、点灯されたときに、正常な、適切に機能する電解セルおよび/またはポンプを示唆する緑色でもよく、インジケータライト416は、点灯されたときに、電解セルおよび/またはポンプの動作状態における問題を示唆する赤色でもよい。特有の実施例では、ボトルは、ボトルの中に収容された液体を強く照明するために、4個の緑色LED414と、4個の赤色LED416とを収容する。
【0110】
図7に示された実施例では、制御電子機器404は、電流センサ410および/または412によって感知される電流レベルに応じて、インジケータライト414および416を作動させる。たとえば、制御電子機器404は、感知された電流レベルがスレッショルドレベルより上もしくは下であるか、または、範囲内であるかどうかに応じて、インジケータライトの一方または両方をオンにする(または、代替的にオフにする)。インジケータライト414および416は、別個の電源信号と、たとえば、制御電子機器404によって供給される共通接地とによって作動することができる。
【0111】
一実施形態では、制御電子機器404は、セル406の感知された電流レベルがそれぞれのスレッショルドレベルより上であるとき(または、所定の範囲内にあるとき)、緑色インジケータライト414を安定した「オン」状態に点灯し、赤色インジケータライト416をオフにする。これに対して、制御電子機器404は、セル406の感知された電流レベルがそれぞれのスレッショルドレベルより下であるとき、赤色インジケータライト416を安定した「オン」状態に点灯し、緑色インジケータライト414を安定した「オフ」状態にする。
【0112】
制御電子機器404は、ポンプ408によって取り出された電流が所定の範囲外にあるとき、オン状態とオフ状態との間で緑色インジケータライト414を変調する。何らかの適当な範囲が、1.5アンペアと0.1アンペアとの間のようなポンプ電流のため使用できる。他の範囲はさらに使用することができる。さらなる実施例では、制御電子機器404は、セル406およびポンプ408の両方の感知された電流レベルがそれぞれの所定の範囲内にあるとき、緑色インジケータライト414を安定した「オン」状態に点灯し、赤色インジケータライト416をオフにし、そうでない場合、赤色インジケータライト416を点灯し、緑色インジケータライト414をオフにする。
【0113】
別の実施形態では、1台以上のインジケータライトは、感知された電流レベルがスレッショルドレベルより上であるとき、安定した「オン」状態で作動され、そして、電解セル406の感知された電流レベルがスレッショルドレベルより下であるときに問題を示唆するため、選択された周波数で「オン」状態と「オフ」状態との間を循環する。複数のスレッショルドレベルおよび周波数が他の実施形態で使用できる。同様に、複数の別個に制御されたインジケータライトが使用でき、1台ずつが所定の範囲内の動作を示唆する。代替的に、または、付加的に、制御電子機器は、たとえば、1つ以上のスレッショルドまたは範囲に対する感知された電流のレベルに応じて、1台以上のインジケータライトの照明レベルを変更するように構成することができる。さらなる実施例では、別個のインジケータライトは、電解セルおよびポンプの動作状態を別個に示唆するため使用できる。他の構造も同様に使用することができる。
【0114】
11.2 液体の中を通る照明
より詳細に後述されるように、インジケータライト414および/または416は、電解セル404による処理前、および/または、処理後のいずれかに、液体自体を照明するため、(スプレーボトルのような)装置に配置することができる。たとえば、インジケータライトは、点灯されたとき、装置の外部にある視点から液体を通して視覚的に知覚可能である可視波長範囲に光束を発生する。たとえば、液体は、光の少なくとも一部を拡散することがあり、液体自体が照明されているという視覚的な印象を与える。一実施形態では、装置は、液体を収容し、少なくとも透光性であり、そして、照明されたときにインジケータ414および/または416によって生成された光の少なくとも一部を透過するように配置されている材料および/または部分を含む容器、ルーメン、または、他の要素を備える。この容器、ルーメン、または、他の要素は、装置の外部から少なくとも部分的に可視性である。
【0115】
用語「少なくとも透光性」は、透光性と、半透明性と、全透過性と、インジケータから照明する光の少なくとも一部が材料を通して人間によって知覚可能であることを意味するいずれかの用語とを含む。
【0116】
図8〜図16は、電解セルと少なくとも1つのインジケータライトとを有し、インジケータから照明する光の少なくとも一部がボトルの外部にある視点から人間によって知覚可能である手持ち式スプレーボトル500および500’の実施例を示す。図面に表された特有のボトル構成および構造は、非限定的な実施例としてのみ与えられる。同じ符号が同じ要素または類似した要素に対して図8〜図16で使用される。
【0117】
図8Aを参照すると、ボトル500は、ベース部502と、ネック部504と、バレル部またはヘッド部506とを形成する筐体501を含む。バレル部506の先端部は、ノズル508、および、ドリップ/スプラッシュ・ガード部509を含む。ドリップ/スプラッシュ・ガード部509は、たとえば、ユーティリティ・カートにボトル500を掛ける便利なフック部としての機能も果たす。より詳細に後述されるように、筐体501は、たとえば、ねじを用いて一体的に取り付けられた実質的に対称性のある左側および右側をもつクラムシェル型構造を有している。ベース部502は、処理され、その後に、ノズル508を介して吐出される液体のリザーバとしての役目を果たす容器510を収容する。容器510は、ネック部と、ベース部502を通って延在するねじ付き入口(ねじキャップ付き)512とを有し、容器510が液体で満たされることを可能にする。入口512はキャップ・シール部を受承するためねじ山が付けられている。
【0118】
本実施例では、筐体ベース部502の側壁は、周辺付近に複数の開口部または窓520を有し、これらの開口部または窓を通して容器510が見える。本実施例では、開口部520は、開口部の内部に筐体材料が存在しないことによって形成されている。別の実施例では、開口部は少なくとも透明性である材料によって形成されている。図8Bに示された別の実施例では、筐体全体または筐体の一部は少なくとも透明性である。
【0119】
同様に、容器510は少なくとも透明性である材料で形成されている。たとえば、容器510は、透明ポリエステル材料のブロー成形として製造することができる。より詳細に後述されるように、筐体501は、(図7に示されたライト414および416に対応する)複数のLEDインジケータライト594、596を支える回路基板をさらに収容している。ライトは、容器510の底壁を通って容器の中に収容されている液体まで光を透過するため、容器510の底部の下側に位置決めされている。液体は、光の少なくとも一部を拡散させ、液体が照明されている見かけを与える。この照明は、筐体501の外部にある視点から開口部520を通して見ることができる。制御電子機器によって制御される光の色、および/または、オン/オフ変調、強度などの他の照明特徴は、ボトルの機能的な状態の指標をユーザに与えるために開口部510を介して視認可能である。矢印522は、容器510内の液体中を透過され、筐体501内の開口部520を介してボトルの外部から見えるインジケータライトからの照明を表現する。
【0120】
たとえば、液体は、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していることを示すために、緑色LEDで照明することができる。よって、ユーザは、処理され、ノズル508から吐出される液体が、容器510内に収容されている原液体より強化された洗浄および/または消毒特性を有していることを確信することができる。同様に、容器510内の原液体の照明は、まだ処理されていないが、液体が「特別」であり、そして、強化された特性を有しているという印象を与える。
【0121】
同様に、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能しない場合、制御電子機器は赤色LEDを照明し、原液体に赤色の外観を与える。これは、問題が存在し、吐出された液体が強化された洗浄および/または消毒特性を有していないかもしれないという印象をユーザに与える。
【0122】
図8Aに示された実施例では、照明は容器510を通して可視的であり、インジケータライトは、電解セルの上流および/または下流にある何らかの要素を含む、液体入口からボトルおよびノズル508までの流路のいずれかの部分を照明するために配置することができる。筐体は、この照明がユーザによって見ることができるようにどのように変更することもできる。たとえば、液体は、電解セルの出力からノズル508まで延在する放出管内で照明することが可能である。バレル部506は、放出管を露出させるため、開口部を含むように変更することが可能であり、または、管の一部は、たとえば、バレル部506の外側に沿って延在することが可能である。
【0123】
図8Bは、図8Aに示された実施形態の場合に窓520を欠いているボトル500’の斜視図である。本実施例では、筐体501の全体、または、筐体の一部は、少なくとも透明性である。たとえば、筐体501はポリカーボネートで製造することができる。図8Aで使用された符号と同じ符号が同じ要素または類似した要素に対して図8Bで使用される。図8Bにおいて明示されていないが、透明性筐体を用いて、ボトル500’の内部構成部品は、筐体の外部にある視点から筐体501を通して見ることができる。たとえば、容器510(破線で示されている)と容器内に収容されている液体とは、筐体501を通して見ることができる。本実施例では、4個の赤色LED594および4個の緑色LED596(同様に破線で示されている)が存在し、ボトルの各コーナー部においてペアで配置されている。よって、LED594および/または596が点灯されるとき、液体は光の少なくとも一部を拡散させ、照明されている液体の外観を与える。この照明は、照明が「窓」520に限定されないことを除いて、図8Aに示された方式と同じ方式で筐体501の外部にある視点から見ることができる。
【0124】
図8Cは、ボトル501’のバレル部(またはヘッド部)506の背面端の斜視図であり、バッテリ充電器(図示せず)のコードにつながる電源ジャック523を例証する。ボトル500’が充電式バッテリを支える実施例では、これらのバッテリはジャック523を介して再充電することができる。
【0125】
図9〜図16は、図8Bに示されたボトル500’のさらなる細部を例証する。
【0126】
図9Aおよび図9Bは、筐体501の左側501Aの斜視図であり、図9Cは筐体501の右側501Bの斜視図である。
【0127】
左側501Aおよび右側501Bは、互いに装着されたとき、ボトルの種々の要素を収容する複数の区画を形成する。たとえば、筐体ベース部502は、液体容器510(図8A、図8Bに示されている)を収容する第1の区画531と、制御電子機器を支持する回路基板を収容する第2の区画532と、制御電子機器に給電するため複数のバッテリを収容する第3の区画533とを含む。バレル部506は、電解セルおよびポンプを収容する区画534を含む。
【0128】
図10は、筐体501の左側501Aに取り付けられた種々の構成部品を例証する。容器510は区画531に取り付けられ、回路基板540は区画532に取り付けられ、バレル部542は区画533に取り付けられ、ポンプ/セル組立体544は区画534に取り付けられている。容器510、ポンプ/セル組立体、および、ノズル508を接続する種々の管は、図10に示されている。
【0129】
図11Aおよび図11Bは、より詳細に容器510を例証する。図11Aは容器510の斜視図であり、図11Bは筐体501Aに取り付けられた容器510の入口512の部分断面図である。Oリング548は、筐体501Aの内部で入口512のネック部の外径表面を密封する。入口512上のねじは、入口開口部を密封するためキャップ部(図示せず)を受承する。容器510は、容器510から液体を取り出す管(図示せず)を受承する出口549をさらに含む。管は、たとえば、図1に関連して記載されているように入口フィルタを含むことがある。
【0130】
図12Aは、筐体半分501Aのバレル部506に取り付けられたポンプ/セル組立体544の部分拡大図である。図12Bは、筐体から取り外されたポンプ/セル組立体544の斜視図である。図12Cは、トリガ部570が取り外されている組立体の底面斜視図を示す。
【0131】
ポンプ/セル組立体544は、ポンプ550と、ブラケット554内に搭載された電解セル552とを含む。ポンプ550は、容器510の出口549から延在する管(図示せず)へ流体的に連結されている第1のポート555と、別の管(同様に図示せず)を介して電解セル552の入口556へ流体的に連結されている第2のポート555とを有している。
【0132】
電解セル552は、ノズル508へ流体的に連結されている出口557を有している。一実施例では、電解セル552は、図5に関連して説明された管状電解セル200に対応している。しかし、何らかの適当な電解セルが代替的な実施形態で使用可能であり、そしてセルはどのような形状および/または幾何学的性質でも有することができる。たとえば、セルは、図5に示されるように円筒状であるか、または、実質的に平面平行極板である電極を有することができる。Oリング560は、筐体501のためノズル508の付近にシール部を提供する。
【0133】
ボトル500’は、瞬時的な押しボタン式オン/オフ型スイッチ572を作動させるトリガ部570をさらに含む。トリガ部570は、ユーザによって押圧されたとき、ピボット574の周りで作動する。スプリング576(図12Cに示されている)は、通常の解除状態でトリガ部570を付勢し、その結果、スイッチ572は「オフ」状態にある。スイッチ572は、図10に示された回路基板540上の制御電子機器へ接続する電気リード線578を有している。
【0134】
図7に示されたブロック図を参照して説明したように、トリガ部570が押圧されたとき、スイッチ572は「オン」状態へ作動し、それによって、ポンプ550および電解セル552を活性化する制御電子機器に電力を供給する。活性化されたとき、ポンプ550は、容器510から液体を取り出し、電解セル522を介して液体を汲み上げ、電解セル522は組み合わされた陽極EA液および陰極EA液をノズル508へ放出する。ポンプ550および/または電解セル552が適切に機能するとき、制御電子機器は、回路基板またはボトル500’の内外の別の場所に取り付けられているLEDを用いて容器510内の液体をさらに照明する。
【0135】
図13は、ブラケット554をより詳細に例証する。
【0136】
図14Aおよび図14Bは、トリガ部570の斜視図である。トリガ部570は、トリガ部のピボット点を画定する1つ以上のピンを受承するアパーチャ580の組を有している。
【0137】
図15Aおよび図15Bは、トリガ部570の上に位置するトリガ・ブーツ部584の斜視図である。ブーツ部584は、トリガ部570のための保護層を提供し、そしてトリガ部の周辺で筐体501のエッジを密封する。
【0138】
図16Aは、筐体半分501Aの区画532および533を詳細に例証する。図16Bは、区画532内に搭載された回路基板540、および、区画533内に搭載されたバッテリ542を例証する。
【0139】
さらに、回路基板540は、複数の発光ダイオード(LED)594および596を含む。本実施例では、LEDは、LEDから放射する光が容器の底部を通して容器510内の液体を照明するように、回路基板540の上面に位置決めされている。他の配置もまた使用することができる。LEDは、前述されているように、たとえば、異なった動作状態または特徴を示唆するために、異なった色を有し、別個に制御されることが可能である。
【0140】
12. 他の装置において液体の中を通る照明
電解セルおよび(複数の)インジケータライトの特徴および方法のような本明細書中に記載されている特徴および方法は、スプレーボトル、移動式サーフェス・クリーナ、および/または、自立式もしくは壁掛け式電解プラットフォームのような多種多様の装置で使用することができる。たとえば、これらの装置は、移動式ハード・フロア・サーフェス・クリーナ、移動式ソフト・フロア・サーフェス・クリーナ、または、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方または他のサーフェスを洗浄するために適合した移動式サーフェス・クリーナのような移動式サーフェス・クリーナに搭載されて(または外部で)実施することができる。
【0141】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、面を走行するように構成された移動式本体部を有している移動式サーフェス・クリーナのような本明細書中に記載された特徴および方法を使用することができる種々の装置を開示する。移動式本体部は、水道水のような洗浄液を収容するタンクと、液体ディスペンサと、タンクから液体ディスペンサまでの流路とを有している。電解セルは流路内に連結されている。電解セルは、イオン交換膜によって分離されたアノード室およびカソード室を有し、そして、機能ジェネレータの中を通過した水道水を電気化学的に活性化する。
【0142】
機能ジェネレータは、水道水を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、洗浄および/または消毒される表面に別々に塗布することができるか、または、陽極EAおよび陰極EAの合成液を形成するために装置内部で組み合わせることができ、そして、たとえば、洗浄ヘッド部を介して一緒に吐出することができる。
【0143】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、本明細書中で開示された種々の構造的要素および工程が別個にまたは一緒に利用されることができる他の構造体をさらに開示する。たとえば、Fieldらは、陽極EA液および陰極EA液を発生する壁掛け式プラットフォームを開示する。
【0144】
これらの装置のいずれかは、電解セルの機能的動作状態または動作特性の視覚的指標を提供するように構成することができ、インジケータの点灯は、装置の外部にある視点から液体を通して見ることができる。インジケータライトは、観測者の直接的視線にあることが必要とされるのではなく、見えないことがある。たとえば、照明は、たとえば、液体による光の拡散および/または回折に起因して見えるかもしれない。
【0145】
一実施例では、壁掛け式プラットフォームは、電解セルと、プラットフォームの入口から、電解セルを介して、プラットフォームの出口までの液体流路を支持する。流路の少なくとも一部は少なくとも透明性であり、プラットフォームの外部から見える。プラットフォームは、たとえば、プラットフォームの管および/またはリザーバのような流路の少なくとも一部に沿って液体を照明する図7に示されたインジケータライトのようなインジケータライトをさらに含む。
【0146】
13. 移動式サーフェス・クリーナ
電解セルの特徴および方法のような本明細書中に記載されている特徴および方法は、スプレーボトル、移動式サーフェス・クリーナ、および/または、自立式もしくは壁掛け式電解プラットフォームのような多種多様の装置で使用することができる。たとえば、これらの装置は、たとえば、移動式ハード・フロア・サーフェス・クリーナ、移動式ソフト・フロア・サーフェス・クリーナ、または、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方または他のサーフェスを洗浄するために適合した移動式サーフェス・クリーナのような移動式サーフェス・クリーナに搭載されて(または外部で)実施することができる。
【0147】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、面を走行するように構成された移動式本体部を有している移動式サーフェス・クリーナのような本明細書中に記載された特徴および方法を使用することができる種々の装置を開示する。移動式本体部は、水道水のような洗浄液を収容するタンクと、液体ディスペンサと、タンクから液体ディスペンサまでの流路とを有している。電解セルは流路内に連結されている。電解セルは、イオン交換膜によって分離されたアノード室およびカソード室を有し、そして、機能ジェネレータの中を通過した水道水を電気化学的に活性化する。
【0148】
機能ジェネレータは、水道水を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、洗浄および/または消毒される表面に別々に塗布することができるか、または、陽極EAおよび陰極EAの合成液を形成するために装置内部で組み合わせることができ、そして、たとえば、洗浄ヘッド部を介して一緒に吐出することができる。
【0149】
図17は、前述の特徴および/または方法のうちの1つ以上が実施できるFieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号に開示された移動式ハードおよび/またはソフト・フロア・サーフェス・クリーナ700の実施例を例証する。図17は、開位置にある蓋を有しているクリーナ700の斜視図である。
【0150】
本実施例では、クリーナ700は、コンクリート、タイル、ビニル、テラゾなどのようなハード・フロア・サーフェスを洗浄するため使用されるウォーク・ビハインド式クリーナであり、他の実施例では、クリーナ700は、本明細書中に記載されているように洗浄および/または消毒動作を実行するライド・オン式、取り付け式、または、牽引式クリーナとして構成することができる。さらなる実施例では、クリーナ700は、カーペットのようなソフト・フロア、または、さらなる実施形態では、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方を洗浄するため適合することができる。クリーナ700は、バッテリのような搭載電源によって、または、電気コードを介して給電される電動モータを含むことがある。代替的に、たとえば、内燃機関は、単独で、または、電動モータと組み合わせて使用することができる。
【0151】
クリーナ700は、一般に、ベース部702と、蝶番(図示せず)によってベース部702の片側に沿って装着されている蓋704とを含み、その結果、蓋704はベース部702の内部へのアクセスを提供するため、回動させることができる。ベース部702は、液体、または、処理されて洗浄および/または消毒作業中にフロア・サーフェスに塗布されるべき(普通の水道水のような)主要な洗浄および/または消毒液体成分を収容するためのタンク706を含む。代替的に、たとえば、液体は、タンク706内に収容される前に、クリーナ700の内部または外部で処理することができる。その上、クリーナ700は、洗浄されているフロアに塗布される前の液体を処理する電解セル708を含む。処理された液体は、たとえば、そのまま直接的に、および/または、洗浄ヘッド部710を介して、フロアに塗布することができる。フロアに塗布される処理済み液体は、陽極EA液ストリームと、陰極EA液ストリームと、陽極EA液ストリームおよび陰極EA液ストリームの両方と、および/または、組み合わされた陽極EA液ストリームおよび陰極EA液ストリームとを含むことができる。セル408は、イオン選択性膜を含むことができ、または、イオン選択性膜無しで構成することができる。
【0152】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、本明細書中で開示された種々の構造的要素および工程が別個にまたは一緒に利用されることができる他の構造体をさらに開示する。たとえば、Fieldらは、陽極EA液および陰極EA液を発生する壁掛け式プラットフォームを開示する。このプラットフォームは、たとえば、本明細書中に開示されているような制御電圧パターンを使って制御されることができる。
【0153】
14. 壁掛け式プラットフォーム
たとえば、図18は、例示的な実施形態によるプラットフォーム802に搭載された洗浄液ジェネレータ800の簡略化されたブロック図を例証する。プラットフォーム802は、フロア、壁、ベンチ、もしくは、他の面上、手で保持されるか、オペレータもしくは車両によって搬送されるか、(洗浄もしくは保守台車またはモップバケツによって支えられるような)別の機器に装着されるか、または、人によって携行される設備に搭載されるか、または、配置されるように構成することができる。1つの特定の実施形態では、プラットフォーム802は、モップバケツ、移動式洗浄機械などのような洗浄機器に洗浄液および/または消毒液を取り込むため設備の壁に搭載される。
【0154】
プラットフォーム802は、液体源から水道水のような液体を受承する入口803を含む。代替的に、たとえば、プラットフォーム802は、処理されるべき液体の供給源を保持するためタンクを含むことができる。プラットフォーム802は、(前述されている電解セルおよび制御回路のような)1つ以上の電解セル804および制御回路806をさらに含む。(1つ以上の)電解セル804は、本明細書中に記載されている構造体のうちのいずれか、または、何らかの他の適当な構造体を有することができる。プラットフォーム802は、限定されることなく、本明細書中に開示された機器または構成部品のような何らかの他の機器または構成部品をさらに含むことができる。
【0155】
電解セル804の出力からの(1つ以上の)流路は、陽極EA液および陰極EA液を別個に、および/または、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液を出口808を介して吐出するように構成することができる。未使用の陽極液または陰極液は、たとえば、プラットフォーム802上の廃棄タンク、または、ドレイン出口へ向けることができる。陽極EA液および陰極EA液の両方が出口808を介して吐出される実施形態では、出口は、別個の陽極液ポートおよび陰極液ポートと、および/または、組み合わされたポートとを有することができ、前述されているように、たとえば、陰極液および陽極液の混ぜ合わされた混合物を放出する。さらに、本明細書中の実施形態のいずれかは、電解セルによる陽極生成液および/または陰極生成液を収容する1つ以上の蓄積タンクを含むことができる。
【0156】
1つの特定の実施形態では、電解セル804は、少なくとも1つのイオン選択性膜によって分離されている少なくとも1つのアノードおよび少なくとも1つカソードを含み、1つ以上のアノード室およびカソード室を形成する。出口808は、たとえば、流体弁調節無しで、アノード室およびカソード室にそれぞれ流体的に連結されている別個の陽極流ポートおよび陰極流ポートを有している。制御回路806は、各陽極流ポートが実質的に一定の陽極EA液出力を供給し、そして各陰極流ポートが実質的に一定の陰極EA液出力を供給するように、図6に関連して説明された電圧パターンを用いてアノードおよびカソードを活性化する。実質的に一定の、比較的正の電圧はアノードに印加され、実質的に一定の、比較的負の電圧はカソードに印加される。周期的に各電圧は、スケール付着堆積物を防止するため比較的逆極性に短くパルス化される。
【0157】
アノード電極の数がカソード電極の数と異なり、たとえば、3:2の比率である場合、または、アノード電極の表面積がカソード電極の表面積と異なる場合、印加電圧パターンは、生成された液体の洗浄特性または消毒特性を強めるため、陽極液または陰極液のいずれかをより多量に生成するために上記の方式で使用することができる。他の比率が使用されることもまた可能である。プラットフォーム802は、必要に応じて、スイッチの状態に依存してより多量の陽極液または陰極液を生成するように各電極に印加される電圧パターンを選択的に反転するため制御回路を作動させるスイッチまたは他のユーザ入力機器810をさらに含むことができる。
【0158】
15. オール・サーフェス・クリーナ
図19は、米国特許第6,425,958号により詳細に記載されている全サーフェス洗浄組立体980の斜視図である。洗浄組立体980は、電極付きの1つ以上の電解セルを含む液体分配路と、限定されることはないが、図1に関して図示され記載されているように本明細書中に記載されているような制御回路と、または、たとえば、本明細書中に開示されている他の実施形態のいずれかを含むように変更することができる。
【0159】
洗浄組立体980は、以下の流体、すなわち、陽極EA水、陰極EA水、混ぜ合わされた陽極EA水および陰極EA水、または、他の電気的帯電液体のうちの1つ以上を洗浄されているフロアへ放出し、そして、場合によりフロアから回収するように構成することができる。たとえば、水以外の液体、または、水に加えて液体を使用することができる。
【0160】
洗浄組立体980は、たとえば、少なくとも1つのハード・サーフェスを有している洗面所またはいずれか他の部屋内のハード・サーフェスを洗浄するため使用することができる。洗浄組立体980は、米国特許第6,425,958号に記載されているように、洗浄機器と、サーフェスを洗浄するため洗浄機器と共に使用される付属品とを含む。洗浄組立体980は、筐体981と、ハンドル部982と、ホイール部983と、ドレインホース部984と、種々の付属品とを含む。付属品は、伸縮式ハンドル部986と、2部品二重曲げワンド部の第1の部品987および第2の部品988と、真空ホース部、ブロアホース部、スプレーホース部、ブロア・ホース・ノズル、スプレーガン、スキージ・フロア・ツール付属品、ガルパ・ツール、および、タンク・フィル・ホース部(組立体980のポートに連結することができる)を含む図19に示されない種々の付加的な付属品とを有しているフロア・ブラシ985を含むことができる。組立体は、タンクまたは着脱式液体容器と、回収タンクまたは着脱式回収液体容器とを支える筐体を有している。洗浄組立体980は、スプレーホース部を介して表面に洗浄液を噴霧することにより表面を洗浄するため使用される。ブロアホース部は、その後、表面をブロー乾燥し、所定の方向に表面上の流体をブローするために使用される。真空ホース部は、表面から洗浄機器980内の回収タンクへ流体を吸引するため使用され、それによって、表面を洗浄する。洗浄組立体980と共に用いられる真空ホース部、ブロアホース部、スプレーホース部、および、他の付属品は、容易な移動のため洗浄機器980と共に搬送することができる。
【0161】
付加的に、図8〜図16に示された実施形態と同様に、図17〜図19に記載され、または、図17〜19と共に記載された装置のいずれかは、電解セル404による処理前および/または処理後のいずれかに、液体自体を照明するために装置に位置決めされている(図7のブロック図に示された)1台以上のインジケータライト414および/または416を含むことができる。たとえば、インジケータライトは、点灯されたとき、装置の外部にある視点から液体を通して視覚的に知覚可能である可視波長範囲内に光束を発生する。たとえば、液体は、光の少なくとも一部を拡散し、液体自体が照明されているという視覚的印象を与える。一実施形態では、装置は、液体を収容し、少なくとも透明性であり、点灯されたときにインジケータ414および/または416によって生成された光の少なくとも一部を透過するように配置されている材料および/または部分を含む容器、ルーメン、または、他の要素を備える。この容器、ルーメン、または、他の要素は、装置の外部から少なくとも部分的に可視性である。
【0162】
16. 図8〜図16に示されたスプレーボトルのための制御回路
図20は、本開示の例証的な実施例による図8〜図16に示された手持ち式スプレーボトル500、500’内の種々の構成部品を制御する制御回路を示すブロック図である。制御回路の主要な構成部品は、マイクロコントローラ1000と、直流・直流変換器1004と、出力ドライバ回路1006とを含む。
【0163】
種々の構成部品への電力は、たとえば、図16Bに示されるように、ボトルによって支えられたバッテリパック542によって供給される。特定の実施例では、バッテリパック542は、1台ずつが公称出力電圧約1.2ボルトを有する10台のニッケル水素バッテリを含む。バッテリは直列接続されているので、公称出力電圧は容量約1800ミリアンペア時で約10V〜12.5Vである。(たとえば、図8Aおよび図8Bに示された)手動トリガ部570、572は、バッテリパック542から12ボルト出力電圧を電圧レギュレータ1003および直流・直流変換器1004に選択的に供給する。Fairchaild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータのような何らかの適当な電圧レギュレータを使用できる。特有の実施例では、電圧レギュレータ1003は、制御回路内の種々の電気的構成部品に給電するため5ボルト出力電圧を供給する。
【0164】
直流・直流変換器1004は、電解セル522の電極間に印加されるべき出力電圧を発生する。変換器は、電解セルを介して所望の電流が取り出されるようにドライバ電圧を増大または減少させるため、マイクロコントローラによって制御される。特有の実施例では、ポンプ550が容器510からセル552を介して出力ノズル508(図8Aおよび8B)へ水を汲み出すとき、変換器1004は、電解セル552を介して取り出される電流約400ミリアンペアを得るために、8ボルトから28ボルト(以上)の範囲の間で電圧を増大または減少させる。所要電圧は、一部でセルの電極間の水の導電率に依存する。
【0165】
特有の実施例では、直流・直流変換器1004は、ブースト用途において接続されている、米国、New York、Pelham所在のPICO Electronics, Inc.からのシリーズA/SM 表面実装変換器を含む。別の実施例では、変換器1004は、米国、Arizona、Phoenix所在のON SemiconductorからのNCP3064 1.5A増大/減少/反転スイッチング・レギュレータを含む。他の回路は代替的な実施形態で使用することができる。
【0166】
出力ドライバ回路1006は、マイクロコントローラ1000によって発生された制御信号に応じて、電解セル522に印加される駆動電圧の極性を選択的に反転する。たとえば、マイクロコントローラ1000は、図6に関して図示され、および/または、記載されているように、所定のパターンで極性を交互に入れ替えるように構成することができる。出力ドライバ1006は、出力電圧をポンプ550へさらに供給することができる。代替的に、たとえば、ポンプ550は、トリガ・スイッチ570、572の出力から直接的にポンプの出力電圧を受け取ることができる。
【0167】
特有の実施例では、出力ドライバ回路1006は、米国、Texas、DallasのTexas Instruments Corporationから入手可能であるDRV8800フル・ブリッジ・モータ・ドライバ回路を含む。他の回路は代替的な実施形態で使用することも可能である。ドライバ回路1006は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンに従って電解セル552への出力電圧を駆動するHスイッチを有している。Hスイッチは、セル552によって取り出された電流を感知するためにマイクロコントローラによって使用することができる電流感知出力をさらに有していることがある。センス抵抗器RSENSEは、感知された電流を表し、フィードバック電圧としてマイクロコントローラ1000に使用される電圧を発生する。マイクロコントローラ1000は、フィードバック電圧を監視し、所望の電流取り出しを維持するように適当な駆動電圧を出力するために変換器1004を制御する。
【0168】
マイクロコントローラ1000は、電解セル552および/またはポンプ550が適切に動作していることを検証するためにフィードバック電圧をさらに監視する。前述されているように、マイクロコントローラ1000は、出力ドライバ回路1006によって感知された電流レベルに応じてLED594および596を作動させることができる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、感知された電流レベルがスレッショルドレベルの上もしくは下であるか、または、範囲内に含まれるかどうかに応じて、LED594および596の組の一方または両方をオフに(または、代替的にオンに)することができる。
【0169】
特有の実施形態では、マイクロコントローラ1000は、米国、Minnesota、Thief River Falls所在のDigi−Key Corporationから入手可能であるMC9S08SH4CTG−NDマイクロコントローラのような何らかの適当なマイクロコントローラを含むことができる。
【0170】
図20に示された実施例では、回路の照明制御部分は、出力抵抗器R1およびR2と、プルアップ抵抗器R3と、赤色LEDダイオードD1〜D4と、プルダウン・トランジスタQ1とによって形成された第1の赤色LED制御レッグを含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ1を選択的にオンおよびオフにすることにより、赤色LEDD1〜D4を選択的にオンおよびオフにする第1の制御出力を有している。回路の照明制御部分は、プルアップ抵抗器R4と、緑色LEDダイオードD5〜D8と、プルダウン・トランジスタQ2とによって形成された第2の緑色LED制御レッグをさらに含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ2をオンとオフにすることにより、緑色LEDD5〜D8を選択的にオンとオフにする第2の制御出力を有している。
【0171】
制御回路は、マイクロコントローラ1000を再プログラミングする入力を供給する制御ヘッダ部1002をさらに含む。
【0172】
1つの特有の実施例では、要素1000、1002、1003、1004、1006、R1〜R4、D1〜D8、および、Q1〜Q2は、図16Bに示されるように回路基板540に存在する。
【0173】
さらに、図20に示された制御回路は、図8Cに示された電源ジャック523を介して受け取られたエネルギを使ってバッテリパック542内のバッテリを充電する充電回路(図示せず)を含むことができる。
【0174】
本明細書中に記載された制御機能のうちの1つ以上は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアなど、または、これらの組み合わせで実施することができる。このようなソフトウェア、ファームウェアなどは、メモリ機器のようなコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶される。ディスク機器、ソリッドステート機器、フラッシュメモリ、RAM、ROM、集積回路上のレジスタの組などのようないずれかのコンピュータ読み取り可能なメモリ機器が使用できる。
【0175】
本開示は、1つ以上の実施形態を参照して記載されているが、当業者は、開示内容および/または請求項に記載された事項の精神および範囲から逸脱することなく、変更が形式および細部の点で行われてもよいことを認識する。
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体の電気化学的活性化、より具体的には、電解セルと、対応する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
電解セルは、流体の1つ以上の特徴を変化させる多種多様の用途で用いられる。たとえば、電解セルは、洗浄/消毒用途、医療産業、および、半導体製造工程で使用されている。電解セルは、種々の他の用途でも使用され、そして異なった構成を有している。
【0003】
洗浄/消毒用途では、電解セルは、陽極電気化学的活性(EA)液体および陰極EA液を作り出すため使用される。陽極EA液は既知の消毒特性を有し、そして陰極EA液は既知の洗浄特性を有する。洗浄システムおよび/または消毒システムの実施例は、2007年8月16日付けで公開された、Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示の一態様は手持ち式スプレーボトルに関する。スプレーボトルは、液体リザーバと、液体出口と、電解セルと、電源と、直流・直流変換器とを含む。電解セルは、スプレーボトルによって支えられ、そしてリザーバと液体出口との間に流体的に連結されている。電源は、スプレーボトルによって支えられ、電圧出力を有する。直流・直流変換器は、電圧出力と電解セルとの間に連結され、そして電解セルを活性化するため電源の電圧出力より大きいステップアップ電圧を供給する。
【0005】
開示の別の態様は方法に関する。この方法は、供給液体を手持ち式スプレーボトルのリザーバ内で支えるステップと、スプレーボトルによって支えられている電源からソース電圧を生成するステップと、スプレーボトルによって支えられている直流・直流変換器を介してソース電圧より大きい活性化電圧までソース電圧を増大させるステップと、供給液体をスプレーボトルによって支えられている電解セルの中に通すステップと、電解セルの中を通される供給液体を電気化学的に活性化するため活性化電圧を電解セルの電極に印加するステップと、スプレーボトルから電気化学的に活性化された供給液体を吐出するステップと、を含む。
【0006】
本概要は、詳細な説明の欄でさらに後述される概念の選択を簡略化された形式で紹介するため記載されている。本概要は、請求の範囲に記載された主題の主要な特徴または不可欠な特徴を特定することを意図するものでなく、請求の範囲に記載された主題の権利範囲を決定する手掛かりに用いられることも意図するものでない。請求の範囲に記載された主題は、背景の欄に記載されたいずれかまたはすべての欠点を解決する実施に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の例示的な態様による手持ち式スプレーボトルの簡略化された概要図である。
【図2】イオン選択性膜を有する電解セルの実施例を示す図である。
【図3】開示のさらなる実施例によるイオン選択性膜を有していない電解セルを示す図である。
【図4A】開示の一態様による規則的な格子パターンで複数の直線形アパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図4B】別の実施例による規則的な格子パターンで種々のサイズをもつ複数の曲線形アパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図4C】別の実施例による多種多様の形状およびサイズをもつ複数の不規則的な形および規則的な形をしたアパーチャを有する導電性ポリマー電極の部分図である。
【図5】1つの例証的な実施例による管状形状を有する電解セルの実施例を示す図である。
【図6】本開示の例示的な態様によるアノードおよびカソードに印加される電圧パターンを示す波形図である。
【図7】たとえば、本明細書中に開示されているいずれかの実施形態に組み込むことができる本開示の実施形態によるインジケータを有するシステムのブロック図である。
【図8A】ボトルによって支えられている液体を照明するインジケータライトを有するスプレーボトルの斜視図である。
【図8B】本開示の代替的な実施形態によるボトルによって支えられている液体を照明するインジケータライトを有するスプレーボトルの斜視図である。
【図8C】図8Bに示されたボトルのヘッド部の背面斜視図である。
【図9A】図8Bに示されたボトルの左側筐体の斜視図である。
【図9B】図8Bに示されたボトルの左側筐体の斜視図である。
【図9C】図8Bに示されたボトルの右側筐体の斜視図である。
【図10】左側筐体に取り付けられた種々のコンポーネントを示す図である。
【図11A】図8Bに示されたボトルによって支えられている液体容器を示す図である。
【図11B】図8Bに示されたボトルによって支えられている液体容器を示す図である。
【図12A】筐体のバレル部に取り付けられたポンプ/セル組立体の部分拡大図である。
【図12B】筐体から取り外されたポンプ/セル組立体の斜視図である。
【図12C】トリガ部が取り外されたポンプ/セル組立体の底面斜視図である。
【図13】図12A〜図12Cに示された組立体の取り付けブラケットの分解斜視図である。
【図14A】図8Bに示されたボトルのトリガ部の斜視図である。
【図14B】図8Bに示されたボトルのトリガ部の斜視図である。
【図15A】トリガ部の上に位置するトリガ・ブーツ部の斜視図である。
【図15B】トリガ部の上に位置するトリガ・ブーツ部の斜視図である。
【図16A】筐体半分の下方区画を詳細に示す図である。
【図16B】図16Aに示された区画内に搭載された回路基板およびバッテリを示す図である。
【図17】本開示の実施例による電解セルを実施する移動式クリーナの斜視図である。
【図18】別の実施形態によるプラットフォームに搭載された電解セルの簡略化されたブロック図である。
【図19】本開示の別の実施形態によるオール・サーフェス・クリーナの斜視図である。
【図20】本開示の例証的な実施例による図8〜図16に示された手持ち式スプレーボトル内の種々の構成部品を制御する制御回路を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の一態様は液体を電解する方法および装置を対象にする。
【0009】
1. 手持ち式スプレーボトル
電解セルは、多種多様の用途で使用でき、そして、たとえば、手持ち式、移動式、固定式、壁掛け式、電動式、または、非電動式の洗浄/消毒車両、車などでもよい多種多様のタイプの装置に収容できる。本実施例では、電解セルは手持ち式スプレーボトルに組み込まれている。
【0010】
図1は、本開示の例示的な態様による手持ち式スプレーボトル10の簡略化された概略図である。スプレーボトル10は、処理され、その後にノズル14を介して吐出されるべき液体を収容するリザーバ12を含む。実施例では、取り扱われるべき液体は、普通の水道水のような水溶性組成物を含む。
【0011】
スプレーボトル10は、入口フィルタ16と、1つ以上の電解セル18と、管20および22と、ポンプ24と、アクチュエータ26と、スイッチ28と、回路基板および制御電子機器30と、バッテリ32とを含む。図1に示されていないが、管20および22は、たとえば、それぞれにボトル10のネック部およびバレル部内に収容されることがある。キャップ部34は、ボトル10のネック部の周りでリザーバ12を密封する。バッテリ32は、たとえば、使い捨て式バッテリおよび/または充電式バッテリを含むことができ、そして、回路基板および制御電子機器30によって活性化されたとき、電力を電解セル18およびポンプ24に供給することができる。
【0012】
図1に示された例では、アクチュエータ26は、開状態と閉状態との間でモーメンタリスイッチを作動させるトリガ型アクチュエータである。たとえば、ユーザが手動トリガを圧迫状態へ「強く握る」とき、トリガはスイッチを閉状態に作動させる。ユーザが手動トリガを解除するとき、トリガはスイッチを開状態に作動させる。しかし、アクチュエータ26は、代替的な実施形態では他の型を有することが可能であり、そしてさらなる実施形態では取り除くことができる。別個のアクチュエータを欠く実施形態では、スイッチ28はユーザによって直接的に作動されることができる。スイッチ28が開いた非導通状態にあるとき、制御電子機器30は電解セル18およびポンプ24を非活性化する。スイッチ28が閉じた導通状態にあるとき、制御電子機器30は電解セル18およびポンプ24を活性化する。ポンプ24は、リザーバ12からフィルタ16、電解セル18、および管20を介して液体を引き出し、管22およびノズル14から液体を押し出す。噴霧器に依存して、ノズル14は、たとえば、細流を噴射すること、霧をエアゾール化すること、または、噴霧を吐出することを選択するため、調節できる場合と調節できない場合とがある。
【0013】
スイッチ28自体は、図1に示されるように押しボタンスイッチ、トグル、ロッカ、何らかの機械的リンケージのような何らかのアクチュエータ型、および/または、容量性、抵抗性、可塑性、熱性、誘導性などのような何らかの非機械的センサを有することができる。スイッチ28は、瞬時式、単極単投式などの何らかの適当な接点配置を有することができる。
【0014】
代替的な実施形態では、ポンプ24は、手動トリガ型ポジティブ・ディスプレース・ポンプのような機械的ポンプによって置き換えられ、アクチュエータ・トリガ26は機械的作用によってポンプに直接的に作用する。この実施形態では、スイッチ28は、電解セル18を活性化するため、電源スイッチのように、ポンプ24から別個に作動させることができる。さらなる実施形態では、バッテリ32は取り除かれ、電源は、たとえば、電源コード、プラグ、および/または、接点端子などを介して、外部源からスプレーボトル10へ供給される。
【0015】
図1に示された配置は単に非限定的な実施例として記載されている。スプレーボトル10は、何らかの他の構造的および/または機能的配置を有することができる。たとえば、ポンプ24は、リザーバ12からノズル14への流体フローの向きに関して、図1に示されるようにセル18の下流に、または、上流に位置することができる。
【0016】
より詳細に後述されるように、スプレーボトルは、洗浄および/または消毒されるべき表面に噴霧される液体を収容する。非限定的な一実施例では、電解セル18は、出力噴霧として、ボトルから吐出される前に液体を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、たとえば、別個の管および/またはノズルなどを介して、複合混合物として、または、別個の噴霧出力として吐出することができる。図1に示された実施形態では、陽極EA液および陰極EA液は複合混合物として吐出される。スプレーボトルの出力流速が小さく、かつ、間欠的であるため、電解セル18は小型パッケージであることができ、たとえば、パッケージまたはスプレーボトルによって運ばれるバッテリによって給電することが可能となっている。
【0017】
2. 電解セル
電解セルは、少なくとも1つのアノード電極と少なくとも1つのカソード電極との間で流体の両端に電界を印加するため適合した何らかの流体処理セルを含む。電界セルは、何らかの適当な数の電極と、流体を収容する何らかの適当な数の室と、何らかの適当な数の流体入力および流体出力とを有することができる。セルは、何らかの流体(たとえば、液体または気体・液体混合など)を処理するため適合することができる。セルは、アノードとカソードとの間に1つ以上のイオン選択性膜を含むことができ、または、イオン選択性膜を用いることなく構成されることができる。イオン選択性膜を有する電解セルは、本明細書中では、「機能ジェネレータ」と称される。
【0018】
電解セルは、多種多様の用途で使用されることができ、そして、限定されることはないが、図1に関して説明されるようなスプレーボトルのような多種多様の構造体、および/または、2007年8月16日付けで公開されたFieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368号に開示されている構造体を有することができる。よって、電解に関連する種々の要素および工程がスプレーボトルの状況に関連して本明細書中で記載されているが、これらの要素および工程は、他のスプレーボトル以外の用途に適用され、組み込むことができる。
【0019】
3. 膜を有する電解セル
3.1 セル構造体
図2は、たとえば、図1に示されたスプレーボトルで使用することができる電解セル50の実施例を示す概略図である。電解セル50は液体源52から処理されるべき液体を受け入れる。液体源52は、タンク、または、図1のリザーバ12のような他の溶液リザーバを含むことができ、または、外部源から液体を受け取る付属品または他の入口を含むことができる。
【0020】
セル50は、陽イオン交換膜または陰イオン交換膜のようなイオン交換膜58によって分離されている1つ以上のアノード室54および1つ以上のカソード室56(反応室として知られている)を有する。1つ以上のアノード電極60およびカソード電極62(各電極のうちの1つが示されている)は、各アノード室54および各カソード室56にそれぞれ配置されている。アノード電極60およびカソード電極62は、導電性ポリマー、チタン、および/または、プラチナのような貴金属で被覆されたチタン、または、何らかの他の適当な電極材料のような何らかの適当な材料から作ることができる。一実施例では、アノードまたはカソードのうちの少なくとも一方は、少なくとも部分的に、または、完全に導電性ポリマー製である。電極とそれぞれの室とは、何らかの適当な形状および構造を有することができる。たとえば、電極は、平板、同軸状板、ロッド、または、これらの組み合わせでもよい。各電極は、たとえば、中実構造を有してもよく、または、1つ以上のアパーチャを有することができる。一実施例では、各電極は網目として形成される。さらに、複数のセル50は、たとえば、互いに直列または並列に連結することができる。
【0021】
電極60、62は、従来型の電源(図示せず)の互いに反対の性質を持った両端子に電気的に接続されている。イオン交換膜58は、電極60と電極62との間に位置している。電源は、一定直流出力電圧、パルス型またはそれ以外の変調された直流出力電圧、および/または、パルス型またはそれ以外の変調された交流出力電圧をアノード電極およびカソード電極に供給することができる。電源は、適当な出力電圧レベル、電流レベル、デューティサイクル、または、波形をもつことができる。
【0022】
たとえば、一実施形態では、電源は、極板に供給された電圧を比較的安定状態で印加する。電源(および/または制御電子機器)は、電圧および電流出力を制御するためパルス幅変調(PWM)制御スキームを使用する直流・直流変換器を含む。パルス型でも非パルス型でもよく、かつ、他の電圧範囲および電力範囲でもよい他の型の電源もまた使用することができる。パラメータは用途に固有である。
【0023】
動作中に、供給水(または処理されるべき他の液体)は、液体源52からアノード室54およびカソード室56の両方へ供給される。陽イオン交換膜の場合、約5ボルト(V)から約28Vの範囲内の電圧のような直流電圧電位をアノード60とカソード62との間に印加したとき、アノード室54に元々存在している陽イオンはイオン交換膜58を越えてカソード62へ向かって移動し、アノード室54内の陰イオンはアノード60へ向かって移動する。しかし、カソード室56内に存在している陰イオンは陽イオン交換膜を通過できないので、カソード室56の内部に閉じ込められたままである。
【0024】
その結果として、セル50は、少なくとも部分的に電解を利用することにより供給水を電気化学的に活性化し、そして、酸性陽極液組成物70および塩基性陰極液組成物72の形で電気化学的活性化水を生成する。
【0025】
必要に応じて、陽極液および陰極液は、たとえば、電解セルの構造の変更を通じて互いに異なった比率で生成することができる。たとえば、セルは、EA水の基本機能が洗浄である場合、陽極液より多量の陰極液を生成するように構成することができる。代替的に、たとえば、セルは、EA水の基本機能が消毒である場合、陰極液より多量の陽極液を生成するように構成することができる。さらに、それぞれにおける反応種の濃度は変化させることができる。
【0026】
たとえば、セルは、陽極液より多量の陰極液を生成するため、アノード極板に対するカソード極板の比率は3:2とすることができる。各カソード極板は、それぞれのイオン交換膜によって対応するアノード極板から分離されている。よって、2つのアノード室に対し3つのカソード室が存在する。この構成は、およそ陰極液60%対陽極液40%を生成する。他の比率を使用することもできる。
【0027】
3.2 反応の実施例
付加的に、アノード60と接触した水分子は、アノード室54内で酸素(O2)および水素イオン(H+)に電気化学的に酸化され、一方、カソード62と接触した水分子はカソード室56内で水素ガス(H2)および水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元される。アノード室54内の水素イオンは、陽イオン交換膜58を通過して、水素イオンが水素ガスに還元されるカソード室56に入ることが許され、アノード室54内の酸素ガスは供給水を酸化して、陽極液70を形成する。さらに、普通の水道水は、典型的に、塩化ナトリウムおよび/または他の塩化物を含有するので、アノード60は、存在する塩化物を酸化し、塩素ガスを形成する。その結果として、塩化物の実質的な量が生成され、陽極液組成物70のpHは長時間に亘ってますます酸性化する。
【0028】
前述のとおり、カソード62と接触した水分子は、水素ガスおよび水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元され、一方、アノード室54内の陽イオンは、電圧電位が印加されるとき、陽イオン交換膜58を通ってカソード室56に入る。これらの陽イオンは、カソード62で生成された水酸化物イオンとイオン的に結合するため利用可能であり、一方、水素気泡が液体中に形成する。水酸化物イオンの実質的な量がカソード室56内で長時間に亘って蓄積し、そして、陽イオンと反応して塩基性水酸化物を形成する。付加的に、陽イオン交換膜は負に帯電した水酸化物イオンが陽イオン交換膜を通過することを許さないので、水酸化物はカソード室56に閉じ込められたままである。その結果、水酸化物の実質的な量がカソード室56内に生成され、陰極液組成物72のpHは長時間に亘ってますますアルカリ性化する。
【0029】
機能ジェネレータ50内の電解工程は、アノード室54およびカソード室56における反応種の集中と準安定イオンおよびラジカルの形成とを可能にする。
【0030】
電気化学的活性化工程は、(アノード60での)電子求引または(カソード62での)電子導入のいずれかによって典型的に行われ、供給水の物理化学的特性(構造的、エネルギ的、および、触媒的を含む)の変質をもたらす。供給水(陽極液または陰極液)は、電界強度が非常に高いレベルに達する可能性がある電極表面の直ぐ近くで活性化されることが考えられる。この領域は、電気二重層(EDL)と称されてもよい。
【0031】
電気化学的活性化工程が継続する間、水双極子は、一般に電界と整列し、水分子のある割合の水素結合は、その結果として切れる。さらに、単結合された水素原子は、カソード電極62で金属原子(たとえば、プラチナ原子)に結合し、そして、単結合された酸素原子は、アノード電極60で金属原子(たとえば、プラチナ原子)と結合する。これらの結合原子は、さらなる反応に関与するまでそれぞれの電極の表面上で2次元的に拡散する。他の原子および多原子基は、アノード電極60およびカソード電極62の表面に同様に結合することがあり、続いて反応を受けることもある。表面に生成された酸素(O2)および水素(H2)のような分子は、気体として水の液相内の小さい空洞(すなわち、泡)に入ることがあり、および/または、水の液相によって溶媒和されることがある。これらの気相泡は、したがって、供給水の液相の全体に亘って分散されるか、または、そうでなければ、浮遊させられる。
【0032】
気相泡のサイズは、供給水に加えられた圧力、供給水中の塩および他の化合物の組成、電気化学的活性の程度、のような種々の要因に依存して変化することがある。したがって、気相泡は、マクロバブルに限定されることなく、マイクロバブル、ナノバブル、および、これらの混合物を含む多種多様のサイズをもつことがある。マクロバブルを含む実施形態では、発生した泡に関する適当な平均泡径の実施例は、500マイクロメートルから約1ミリメートルまで変動する直径を含む。マイクロバブルを含む実施形態では、発生した泡の適当な平均泡径の実施例は、約1マイクロメートルから約500マイクロメートル未満まで変動する直径を含む。ナノバブルを含む実施形態では、発生した泡に関する適当な平均泡径の実施例は、約1マイクロメートル未満の直径を含み、特に適当な泡径は約500ナノメートル未満である直径を含み、さらにより適当な平均泡径は約100ナノメートル未満である直径を含む。
【0033】
気体・液体界面での表面張力は、表面分子が電極表面にある気体の分子より水中の分子に強く引きつけられるので、アノード電極60の表面およびカソード電極62の表面から遠ざけられる分子間の引力によって生成される。これに対して、水分子のバルクは全方向に均等に引きつけられる。よって、可能な相互作用エネルギを増大させるため、表面張力は、電極表面にある分子を液体のバルクの中へ入れる。
【0034】
気相ナノバブルが発生される実施形態では、ナノバブル(すなわち、直径が約1マイクロメートル未満である泡)に収容される気体は、泡径が小さいにもかかわらず、供給水中で実質的な時間に亘り安定していると考えられる。理論に縛られることを希望しないが、水の表面張力は、気泡の曲面が分子寸法に近づくとき、気体/液体界面において低下すると考えられる。これは、ナノバブルが散逸する自然な傾向を低減する。
【0035】
さらに、ナノバブルの気体/液体界面は、膜58の両端に印加された電圧電位に起因して帯電する。電荷は表面張力に反対向きの力を導入し、さらにナノバブルの散逸を遅らせるか、または、阻止する。界面に同じ電荷が存在することによって、電荷斥力が、表面張力のために表面が最小化する方向とは逆向きに作用するために、見かけの表面張力を低下させる。何らかの効果は、気体/液体界面を好む付加的な帯電材料の存在によって増大するかもしれない。
【0036】
気体/液体界面の自然な状態は負であると思われる。低表面電荷密度および/または高分極率をもつ他のイオン(Cl−、ClO−、HO2−、および、O2など)は、水和電子が行うように、同様に気体/液体界面を好む。水溶性ラジカルもまたこのような界面に存在することを好む。よって、陰極液(すなわち、カソード室56の中を流れる水)に存在するナノバブルは、負に帯電されるが、陽極液(すなわち、アノード室54の中を流れる水)の中のナノバブルは殆ど電荷をもたない(過剰な陽イオンは自然な負電荷を打ち消す)と考えられる。したがって、陰極液ナノバブルは、陽極液と混合するとき、電荷を失わない可能性が高い。
【0037】
加えて、気体分子は、カソード上の過剰な電位のために、(O2−のように)ナノバブルの内部で帯電されることがあり、それによって、ナノバブルの全体的な電荷を増加させる。帯電したナノバブルの気体/液体界面における表面張力は、帯電していないナノバブルに対して相対的に減少しており、それらのサイズは安定化している。このことは、定性的には、帯電した表面が同じ荷電間における斥力を最小化するため膨張する傾向があるのに対して、表面張力が表面を最小化させていると理解できる。電解のため必要とされた過剰な電力損失に起因して、電極表面での上昇した温度は、局部的な気体溶解性を低下させることによりナノバブル形成をさらに増大させることもある。
【0038】
同じ電荷間の斥力は電荷間の距離の二乗に反比例して増加するので、泡径が減少するのにつれて、外向き圧力が増加する。電荷の効果は表面張力の効果を低下させることであり、そして表面張力は、表面を縮小させる傾向があり、これに対し、表面電荷は表面を拡大する傾向がある。よって、これらの反対向きの力が等しいとき、平衡状態に達する。たとえば、気泡(半径r)の内面上での表面電荷密度がФ(e−/m2)であると仮定すると、外向き圧力(Pout)は、ナビエ・ストークス方程式を解くことによって見つけることができ、
Pout=Ф2/2Dε0 (式1)
を与え、式中、Dは気泡の誘電率(1と仮定する)であり、ε0は真空の誘電率(すなわち、8.854pF/m)である。気体上の表面張力による内向き圧力(Pin)は、
Pin=2g/rPout (式2)
であり、式中、gは表面張力(25℃で0.07198ジュール/m2)である。したがって、これらの圧力が等しい場合、気泡の半径は、
r=0.28792ε0/Ф2 (式3)
である。
【0039】
したがって、直径5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルをもつナノバブルに対し、ゼロ過剰内圧の場合の理論電荷密度は、それぞれ、0.20、0.14、0.10、0.06および0.04e−/nm2泡表面積である。このような電荷密度は、電解セル(たとえば、電解セル18)を用いて容易に得られる。ナノバブル半径は、泡上の総電荷が増加するとき、2/3乗まで増加する。平衡状態におけるこれらの状況で、ナノバブル表面のフューエルの実効表面張力はゼロであり、泡中の電荷を帯びた気体の存在が安定したナノバブルのサイズを増加させる。さらなるバブルサイズの縮小は、大気圧より下がる内圧の低下を引き起こすので示唆されない。
【0040】
電解セル(たとえば、電解セル18)内の種々の状況で、ナノバブルは、表面電荷のためにさらに小型の泡に分かれることがある。たとえば、半径rと総電荷qとをもつ泡が、割り当てられた容積および電荷(半径r1/2=r/21/3および電荷q1/2=q/2)をもつ2つの泡に分かれると仮定し、泡間のクーロン相互作用を無視すると、表面張力(ΔEST)および表面電荷(ΔEq)によるエネルギ中の電荷の計算は、
ΔEST=+2(4πγr1/22)−4πγr2=4πγr2(21/3−1) (式3)
かつ、
【数1】
(式4)である。
【0041】
ΔEST+ΔEqが負であるときに現れる全エネルギ電荷が負である場合、泡は準安定であり、
【数2】
(式5)を与え、この式は、半径と電荷密度(Ф)との間の関係を規定し、
【数3】
(式6)である。
【0042】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルをもつナノバブル径に対し、泡分割の場合の理論電荷密度は、それぞれ、0.12、0.08、0.06、0.04および0.03e−/nm2泡表面積である。同じ表面電荷密度に対し、泡径は、典型的に、見かけ上の表面張力をゼロまで低下させるために、バブルを2つに分ける場合よりも約3倍大きい。よって、ナノバブルは、さらなるエネルギ入力が存在しない限り、一般に分かれない。
【0043】
上記の気相ナノバブルは、泥粒子に付着するため適合するので、泥粒子のイオン電荷を移送する。ナノバブルは、典型的な泥粒子で典型的に見られる疎水性表面に粘着し、好ましい負の自由エネルギ変化と共に、高エネルギの水/疎水性表面界面から水分子を放出する。加えて、ナノバブルは、広がり、疎水性表面と接触することで平坦化し、それによって、ナノバブルの曲率を縮小し、結果的に、表面張力によって引き起こされた内圧の低下を伴う。これは、付加的な好ましい自由エネルギ放出をもたらす。帯電、被覆された泥粒子は、次に、同じような電荷間の斥力によって互いにより容易に分離され、泥粒子はコロイド粒子として溶液中に入る。
【0044】
さらに、粒子の表面上のナノバブルの存在は、電気化学的活性化工程中に同様に発生することがあるミクロンサイズの気相泡による粒子の捕捉を増加させる。表面ナノバブルの存在は、この作用によって捕捉される泥粒子のサイズをさらに縮小する。このような捕捉は、床表面からの泥粒子の除去に役立ち、再堆積を阻止する。さらに、気相ナノバブルで得られる大きい気体/液体表面積対容積の比率のため、この界面に位置している水分子は、水の高い表面張力によって認められるように、より少ない水素結合によって保持される。この他の水分子への水素結合の削減によって、この界面水は、通常の水より反応が早く、他の分子により素早く水素結合し、それによって、より高速な水和を示す。
【0045】
たとえば、効率100%では、1アンペア電流は、1秒当たりに水素(H2)0.5/96,485.3モルを生成するために十分であり、これは1秒当たりに水素(H2)5.18マイクロモルに等しく、対応して、温度0℃かつ圧力1気圧で1秒当たりに気相水素5.18×22.429マイクロリットルに等しい。これは、温度20℃かつ圧力1気圧で1秒当たりに気相水素125マイクロリットルにも等しい。大気中の水素の部分圧力は事実上ゼロであるので、電解溶液中の水素の平衡溶解度は事実上ほぼゼロであり、水素は気体空洞(たとえば、マクロバブル、マイクロバブル、および/または、ナノバブル)の中に保持される。
【0046】
電解溶液の流速が毎分0.12USガロンであると仮定すると、1秒ずつに電解セルの中を流れる水7.571ミリリットルが存在する。したがって、温度20℃かつ気圧1気圧で、電解溶液1リットル毎に収容されている泡の内部に気相水素0.125/7.571リットルが存在する。これは、溶液1リットル当たり気相水素0.0165リットルに等しく、液体表面から逃げる気相水素のいずれよりも少なく、溶液を過飽和させるために溶解する気相水素のいずれよりも少ない。
【0047】
10ナノメートル径ナノバブルの容積は、5.24×10−22リットルであり、疎水性表面に結合するとき、約1.25×10−16平方メートルを覆う。よって、溶液1リットル毎に、(20℃かつ1気圧で)最大約3×10−19個の泡が存在し、すべてを含めた表面被覆能力は約4000平方メートルである。表面層がちょうど1分子の厚さであると仮定すると、これは、50ミリモルを越える活性表面水分子の濃度を与える。ナノバブルがより大きい容積およびより大きい内圧を有する場合でも、この濃度は最大量を表すが、表面被覆の能力は大きいまま保たれる。さらに、ナノバブルが洗浄効果をもつために、泥粒子表面のわずかな割合だけがナノバブルによって被覆される必要がある。
【0048】
したがって、電気化学的活性化工程中に発生された気相ナノバブルは、泥粒子に付着し、泥粒子の電荷を移送するため有益である。結果として得られる帯電され被覆された泥粒子は、泥粒子の同様な電荷間での斥力によって互いにより容易に分離される。泥粒子は、溶液に入り、コロイド懸濁を形成する。さらに、気体/水界面での電荷は表面張力に対向し、それによって、表面張力の効果と結果として生じる接触角度とを減少させる。同様に、泥粒子のナノバブル被覆は、導入されたより大型の浮揚性のある気相マクロバブルおよびマイクロバブルの捕捉を促進する。その上、ナノバブルの大表面積は、適当な分子をより素早く水和させる能力をもつ著しい量のより反応性の高い水を提供する。
【0049】
4. イオン交換膜
前述されているように、イオン交換膜58は、陽イオン交換膜(すなわち、陽子交換膜)または陰イオン交換膜を含むことができる。膜38のための適当な陽イオン交換膜は、部分的および完全にフッ素化されたアイオノマ、多環芳香族アイオノマ、および、これらの組み合わせを含む。膜38のための適当な市販されているアイオノマの実施例は、Delaware、Wilmington所在のE.I. du Pont de Nemours and Companyから商標「NAFION」の名で入手可能であるスルホン化テトラフルオロエチレン共重合体と、日本国所在の旭硝子株式会社から商標「FLEMION」の名で入手可能であるペルフルオロカルボン酸アイオノマと、日本国所在の旭化学工業株式会社から商標「ACIPLEX」Aciplexの名で入手可能であるペルフルオロスルホン酸アイオノマと、これらの組み合わせとを含む。しかし、いかなるイオン交換膜が他の実施例において使用されてもよい。
【0050】
5. ディスペンサ
陽極EA液出力および陰極EA液出力は、出口、接続具、蛇口、スプレーヘッド部、洗浄/消毒ツールまたはヘッド部などのようなどのような型の1つ以上のディスペンサでも含むことができるディスペンサ74に連結することができる。図1に示された実施例では、ディスペンサ34は、スプレーノズル14を含む。1つずつの出力70および72にディスペンサが存在してもよく、両方の出力のため組み合わされたディスペンサが存在してもよい。
【0051】
一実施例では、陽極液出力および陰極液出力は、ディスペンサ74へ供給される共通した出力ストリーム76の中で混ぜ合わされる。Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368号に記載されているように、陽極液および陰極液は、洗浄装置の分配システム内で、および/または、有益な洗浄および/または消毒特性が少なくとも一時的に維持される間に洗浄中の表面または物の上で一緒に混ぜ合わすことができる。陽極液および陰極液は混ぜ合わされるが、陽極液および陰極液は最初に平衡状態ではないので、強化された洗浄および/または消毒特性を一時的に維持する。
【0052】
たとえば、一実施形態では、陰極EA水および陽極EA水は、2つの液体が一緒に混ぜ合わされるとしても、たとえば、少なくとも30秒間、別個の電気化学的活性化特性を維持する。この時間中に、2つの型の液体の別個の電気化学的活性化特性は直ちに中和しない。これは、各液体の有利な特性が共通の洗浄動作の間に利用されることを可能にする。比較的短期間の後、洗浄中の表面上で混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、実質的に原液体の元のpHおよびORP(たとえば、普通の水道水のpHおよびORP)まで素早く中和する。一実施例では、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、陽極EA液出力および陰極EA液出力が電解セルによって生成された時間から1分未満の時間窓の範囲内で実質的にpH6とpH8との間のpHと、±50mVの間のORPとまで中和する。その後、回収された液体は何らかの適当な方式で処分することが可能である。
【0053】
しかし、他の実施形態では、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液は、液体の特性に依存して、30秒より長い時間に亘ってpH6とpH8との間の範囲外のpHと±50mVの範囲外のORPとを維持することができ、および/または、1分の範囲外の時間範囲後に中和することができる。
【0054】
6. イオン選択性膜無しの電解セル
図3は、本開示のさらなる実施例によるイオン選択性膜を有していない電解セル80を示す。セル80は、反応室82と、アノード84と、カソード86とを含む。室82は、たとえば、セル80の壁によって、電極84および86が設置されている容器または導管の壁によって、または、電極自体によって画定することができる。アノード84およびカソード86は、導電性ポリマー、チタン、および/または、プラチナのような貴金属で被覆されたチタンのような何らかの適当な材料、または、材料の組み合わせで作られることがある。アノード84およびカソード86は、図1に示されたバッテリ32のような従来型の電源に接続されている。一実施例では、電解セル80は、室82を画定し、そして、手持ち式スプレーボトルまたは移動式床洗浄装置の流路内のような処理されるべき液体の流路内に位置しているこの固有の容器を含む。
【0055】
動作中に、液体は、液体源88によって供給され、電解セル80の反応室82の中へ取り込まれる。図3に示された実施形態では、電解セル80は、アノード84での反応生成物をカソード86での反応生成物から分離するイオン交換膜を含まない。水道水が洗浄に用いるため処理されるべき液体として使用される実施例では、水を室82に取り込み、電圧電位をアノード84とカソード86との間に印加した後、アノード84と接触するか、または、アノード84に近接する水分子は、酸素(O2)および水素イオン(H+)に電気化学的に酸化され、カソード86と接触するか、または、カソード86に近接する水分子は、水素ガス(H2)および水酸化物イオン(OH−)に電気化学的に還元される。他の反応も同様に起こることができ、特有の反応は液体の組成物に依存する。両方の電極からの反応生成物は、たとえば、反応生成物を互いに分離する物理的なバリアがないので、(たとえば)酸化された流体89を混合し形成することができる。代替的に、たとえば、アノード84は、アノードとカソードとの間に配置された(図示されない)隔膜のような誘電体バリアを使用することによりカソード84から分離することができる。
【0056】
7. 電極パターンの実施例
前述されているように、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも一方は、静的分散機器のため使用される導電性ポリマーのような導電性ポリマーで少なくとも部分的に、または、全体的に形成することができる。適当な導電性ポリマーの実施例は、米国、Minnesota、Winona所在のRTP Companyから市販されている。たとえば、電極は、101〜106オーム/sqのような表面抵抗率100〜1012オーム/sqを有する導電性プラスチック化合物で形成することができる。しかし、これらの範囲外の表面抵抗率を有する電極は他の実施例で使用することができる。
【0057】
導電性ポリマーを用いて、電極は、何らかの所望の形状に容易に成形できるか、または、そうでなければ、形成できる。たとえば、電極は射出成形することができる。前述されているように、1つ以上の電極は、格子の形をした規則的なサイズの矩形状開口部を用いて網目を形成することができる。しかし、開口部またはアパーチャは、円形、三角形、曲線形、直線形、規則形および/または不規則形のようなどのような形状でもよい。曲線形アパーチャは、少なくとも2つの湾曲したエッジを有する。射出成形されるとき、たとえば、アパーチャの形状およびサイズは、特有のパターンに容易に合わせることができる。しかし、これらのパターンは、本開示の他の実施例では、金属電極に形成することもできる。
【0058】
アパーチャは、電解のための電極の表面積を増大させることのできる寸法及び配置を決定することが可能であり、それによって、処理されている液体中の気泡の発生を促進することができる。
【0059】
図4Aは、本開示の一態様による規則的な格子パターンで複数の直線的な(たとえば、矩形状の)アパーチャ102を有する導電性ポリマー電極100の部分図である。
【0060】
図4Bは、別の実施例による規則的な格子パターンで異なったサイズをもつ複数の曲線形(たとえば、円形)アパーチャ106を有する導電性ポリマー電極104の部分図である。同じ電極内での異なったサイズをもつアパーチャの使用は、電解中にアパーチャのエッジに沿って異なったサイズをもつ気泡の発生を促進することがある。
【0061】
図4Cは、別の実施例による多種多様の形状およびサイズをもつ複数の不規則的および規則的な成形アパーチャ110を有する導電性ポリマー電極108の部分図である。本実施例では、種々のアパーチャ110は種々の開口領域を画定する。アパーチャ110のうちの1つ以上は、電解中にさらなる気泡および反応種の生成を促進すると考えられる点112のような1つ以上の内部点を含むことができる。これらのアパーチャは、180度より大きい少なくとも1つの内角(たとえば、点112で)を有する多角形を形成する。代替的な実施形態では、アパーチャは180度より大きい複数の内角を有する。
【0062】
さらに、電極は、電極表面積をさらに増大させることのできるスパイクまたはバーのような1つ以上の他の不均一な形状特徴を用いて形成することができる。スパイクは、規則的なパターンまたは不規則的なパターンで配置することができ、そして、同じサイズおよび形状を有することができ、または、異なったサイズおよび/または形状を有することができる。
【0063】
たとえば、電解セルは、アノードおよびカソードを含むように構成することができ、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも一方は、第1のサイズ(および/または形状)を有する第1の複数のアパーチャと、第2の異なったサイズ(および/または形状)を有する第2の複数のアパーチャとを備える。一実施例では、電解セルは、アノード電極とカソード電極との間に配置され、それぞれのアノード室およびカソード室を画定するイオン選択性膜をさらに含む。
【0064】
さらなる実施例では、第1の複数のアパーチャおよび第2の複数のアパーチャを備える組のうちの少なくとも2つのアパーチャは、互いに異なった形状(および/またはサイズ)を有する。さらなる実施例では、第1の複数のアパーチャおよび第2の複数のアパーチャを備える組のうちの少なくとも3つのアパーチャは、互いに異なった形状(および/またはサイズ)を有する。
【0065】
第1および第2の複数のアパーチャは、少なくとも1つの湾曲したエッジで形成されている多角形の形状および/または曲線形の形状を有することができる。第1の複数のアパーチャまたは第2の複数のアパーチャのうちの少なくとも一方は、規則的なパターンで、または、不規則的なパターンで配置することができる。
【0066】
第1の複数のアパーチャまたは第2の複数のアパーチャのうちの少なくとも1つのアパーチャは、180度より大きい少なくとも1つの内角をもつ多角形の形状を有することができる。
【0067】
さらなる実施形態では、図4A〜図4Cに示された電極は、導電性金属材料で製造される。たとえば、図4Aに示されるように、電極100は、プラチナのような別の材料でメッキされるか、または、メッキされなくてもよい金属製メッシュで形成することができる。
【0068】
8. 管状電極の実施例
電極自体は、平面極板、同軸状極板、円筒状ロッド、または、これらの組み合わせのような何らかの適当な形状を有することが可能である。図5は、1つの例証的な実施例による管状形状を有する電解セル200の実施例を示す。セル200の一部分は例証の目的のため切り取られている。本実施例では、セル200は、管状筐体202と、管状外側電極204と、0.040インチのような適当な隙間によって外側電極から分離されている管状内側電極206とを有する電解セルである。限定されることなく、0.020インチから0.080インチの範囲内の隙間のような他の隙間サイズが同様に使用できる。内側電極または外側電極のいずれかは、印加された電圧の相対的な特性に依存して、アノード/カソードとしての役目を果たすことができる。
【0069】
一実施例では、外側電極204および内側電極206は、たとえば、図4A〜図4Cに示されているようなアパーチャを含む導電性ポリマー構成物を有する。しかし、一方または両方の電極は、別の実施例では、中実構成物を有することができる。
【0070】
電極206および206は、導電性ポリマー、チタンおよび/またはプラチナのような貴金属で被覆されたチタンのような何らかの適当な材料、または、何らかの他の適当な電極材料から作ることができる。その上、複数のセル200は、たとえば、互いに直列または並列に連結することができる。
【0071】
特定の実施例では、アノード電極またはカソード電極のうちの少なくとも1つは、格子の形で規則的なサイズをもつ矩形状開口部を含む金属網目で形成されている。1つの特定の実施例では、網目は、1平方インチ当たりに20×20格子開口部をもつ格子パターンを有する径0.023インチをもつT316ステンレス鋼で形成されている。しかし、他の寸法、配置、および、材料が他の実施例で使用することができる。
【0072】
イオン選択性膜208は、外側電極204と内側電極206との間に配置されている。1つの特定の実施例では、イオン選択性膜は、縦2.55インチおよび横2.55インチに切断され、その後、内側電極206の周りに巻き付けられ、たとえば、3M Companyからの#1357接着剤のような密着性接着剤を用いて繋ぎ目重なり合いで固定されているE.I. du Pont de Nemours and Companyからの「NAFION」を含む。この場合も、他の寸法および材料が他の実施例で使用することができる。
【0073】
本実施例では、管状電極206の内側の空間の容積は、電極204および206とイオン選択性膜208とに沿って、かつ、電極204および206とイオン選択性膜208との間で液体流を促進するために、中実内側コア209によって阻止されている。この液体流は、導電性であり、そして、2つの電極の間で電気回路を完成する。電解セル200は何らかの適当な寸法を有することができる。一実施例では、セル200は、長さ約4インチと、外径約3/4インチとを有することができる。長さおよび寸法は、液体の単位体積当たりに発生させられたバブル、たとえば、ナノバブル、および/または、マイクロバブルの処理時間および量を制御するために、選択することができる。
【0074】
セル200は、セルの一端または両端に適当な接続具を含むことができる。プラスチック製クイック接続具を用いるような何らかの取り付け方法が使用できる。たとえば、1つの接続具は、図1に示されるように、出力管20に接続するように構成することができる。別の接続具は、たとえば、入口フィルタ16または入口管に接続するように構成することができる。別の実施例では、セル200の一端は、図1のリザーバ12から液体を直接的に引き込むために開かれたままである。
【0075】
図5に示された実施例では、セル200は、(電極204または206の一方とイオン選択性膜208との間にある)アノード室に陽極EA液を生成し、(電極204または206のうちのもう一方とイオン選択性膜208との間にある)カソード室に陰極EA液を生成する。陽極EA液流路と陰極EA液流路とは、陽極EA液および陰極EA液が(図1に示された実施例では)管20に入るときに、セル200の出口で一緒になる。その結果として、スプレーボトル10は、ノズル14を通して混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液を吐出する。
【0076】
一実施例では、管20および22の径は小型に保たれるので、ポンプ24および電解セル18(たとえば、図5に示されたセル200)が活性化され、そして、管20および22が電気化学的活性化液体で素早く満たされる。管およびポンプの中に収容された何らかの非活性化液体は少ない容積に保たれる。よって、制御電子機器30がスイッチ28の作動に応答してポンプおよび電解セルを作動させる実施形態では、スプレーボトル10は、要求に応じた形式でノズル14に混ぜ合わされたEA液を生成し、陽極EA液および陰極EA液を貯蔵する中間ステップ無しで、(管20、22およびポンプ24に維持されているものを除いて)収容された陽極EA液および陰極EA液の実質的に全部をボトルから吐出する。スイッチ28が作動されていないとき、ポンプ24は「オフ」状態にあり、電解セル18は非活性化されている。スイッチ28が閉状態に作動されるとき、制御電子機器30はポンプ24を「オン」状態に切り換え、そして電解セル18を活性化する。「オン」状態では、ポンプ24は、セル18および出力ノズル14を介してリザーバ12から水を汲み出す。
【0077】
他の活性化シーケンスは同様に使用することができる。たとえば、制御回路30は、供給水が吐出前により電気化学的に活性化されることを可能にするため、ポンプ24を活性化する前にある期間に亘って電解セル18を活性化するように構成することができる。
セル18からノズル14までの移動時間は非常に短くすることができる。一実施例では、スプレーボトル10は、陽極液体および陰極液体が電解セル18によって生成される起点の非常に短期間に、混ぜ合わされた陽極液体および陰極液体を吐出する。たとえば、混ぜ合わされた液体は、陽極液体および陰極液体が生成された時点から5秒以内、3秒以内、および、1秒以内のような期間内に吐出することができる。
【0078】
9. 制御回路
図1をもう一度参照すると、制御電子機器30は、たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、または、両方の組み合わせで実施することができる何らかの適当な制御回路を含むことができる。
【0079】
制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に給電し制御する電子機器を収容するプリント回路基板を含む。一実施例では、制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に連結されている出力を有する電源を含み、2つの機器に送られる電力を制御する。制御回路30は、たとえば、電解セル18に印加された電圧の極性を、制御回路によって発生された制御信号に応じて選択的に反転する能力をもつHブリッジをさらに含む。たとえば、制御回路30は、デューティサイクル50%で5秒毎のような所定のパターンで極性を交互に入れ替えるように構成することができる。より詳細に後述された別の実施例では、制御回路30は、主として第1の極性をもつ電圧をセルに印加し、そして、非常に短い期間だけ極性を周期的に反転するように構成されている。極性の頻繁な反転は、電極表面上の堆積物のスケール付着または蓄積を削減することができ、電極の寿命を延長することができる自己洗浄機能を電極に提供することができる。
【0080】
手持ち式スプレーボトルの状況では、大型バッテリを携行することは不便である。したがって、ポンプおよびセルへの利用可能な電力は多少制限される。一実施例では、セルの駆動電圧は、約8ボルトから約28ボルトの範囲に入る。しかし、スプレーボトルおよび電解セルを通る典型的な流速はかなり低いので、比較的小さい電流だけがセルを通過する液体を効率的に活性化するために必要である。低い流速を用いると、セル内の滞留時間は比較的長くなる。セルが活性化されている間に液体がセルに滞留する時間が長くなるほど、電気化学的活性化は(実際的な制限内で)より大きくなる。これは、スプレーボトルが、より小容量のバッテリ、および、低電流で所望の出力電圧まで電圧を増大させる直流・直流変換器を利用できることを可能にする。
【0081】
たとえば、スプレーボトルは、出力電圧約3〜9ボルトを有する1つ以上のバッテリを支えることができる。1つの特有の実施例では、スプレーボトルは、1台ずつが約500ミリアンペア時〜約3アンペア時で公称出力電圧1.5ボルトを有する4台のAAバッテリを支えることができる。バッテリが直列接続されている場合、公称出力電圧は、容量約500ミリアンペア時〜約3アンペア時で約6Vである。この電圧は、たとえば、直流・直流変換器を介して範囲18ボルト〜28ボルトまで増大させることができる。よって、所望の電極電圧は十分な電流で達成することができる。
【0082】
別の特有の実施例では、スプレーボトルは、1台ずつが公称出力電圧約1.2ボルトを有する10台のニッケル水素バッテリを支える。バッテリは直列接続されているので、公称出力電圧は容量約1800ミリアンペア時で約10V〜12.5Vである。この電圧は、たとえば、直流・直流変換器を介して、範囲8ボルトから少なくとも28ボルトまで増大/減少させられる。よって、所望の電極電圧は十分な電流で達成することができる。
【0083】
セルを用いて大きい電圧および適当な電流を生成する能力は、普通の水道水がセルを介して増大された洗浄および/または消毒特性を有する液体に変換される用途のために役立つ可能性がある。普通の水道水は、セルの電極の間において、比較的低い導電性を有する。
【0084】
適当な直流・直流変換器の実施例は、米国、New York、Pelham所在のPICO Electronics, Inc.からのシリーズA/SM 表面実装変換器と、ブースト用途において接続されている、米国、Arizona、Phoenix所在のON SemiconductorからのNCP3064 1.5A 増大/減少/反転スイッチング・レギュレータとを含む。
【0085】
一実施例では、制御回路は、電解セルから取り出された感知電流に基づいて直流・直流変換器を制御するので、直流・直流変換器の出力電圧は、セルを通る電流が所定の電流範囲内となるように制御される。たとえば、目標電流取り出しは、1つの特定の実施例では、約400ミリアンペアである。別の実施例では、目標電流は350ミリアンペアである。他の電流および範囲は、代替的な実施形態で使用することができる。所望の電流取り出しは、電解セルの幾何学的性質、処理されている液体の特性、および、結果として得られる電気化学的反応の所望の特性に依存することがある。
【0086】
制御電子機器の実施例を例証するブロック図は図7および図20に関してより詳細に後述される。
【0087】
10. 電解セルのための駆動電圧
前述されているように、電解セルの電極は、セルの特有の用途に依存して多種多様の電圧および電流パターンを用いて駆動できる。電極に印加される電圧極性を周期的に反転することにより電極上のスケール付着を制限することが望ましい。したがって、明細書および請求項で使用されるような用語「アノード」および「カソード」と、用語「陽極」および「陰極」はそれぞれ置き換え可能である。これは、逆帯電したスケール堆積物を防止する傾向がある。
【0088】
一実施例では、電極は、特定の期間(たとえば、約5秒間)に亘って一方の極性で駆動され、次に、ほぼ同じ期間に亘って逆極性で駆動される。陽極EA液および陰極EA液はセルの出口で混ぜ合わされるので、この工程は、実質的に、陽極EA液及び陰極EA液を1対1の割合で生成する。
【0089】
別の実施例では、電極は、複雑な弁調節無しで、各室から実質的に一定の陽極EA液または陰極EA液を生成するため制御される。従来技術の電解システムでは、スケール付着を最小限に抑えるため極性が反転されることを可能にする状態を維持したまま、複雑かつ高価な弁調節がそれぞれの出口を通る一定の陽極液および陰極液を維持するため使用される。たとえば、図2を参照すると、電極に印加される電圧の極性が反転されるとき、アノード60はカソードになり、カソード62はアノードになる。出口70は、陽極液の代わりに陰極液を排出し、出口72は陰極液の代わりに陽極液を排出する。したがって、従来技術のアプローチを用いると、弁調節は、電圧が反転されるとき、出口70をカソード室56に接続し、出口72をアノード室54に接続するため使用することができる。これは、それぞれの出力を通じて、一定の陽極液または陰極液の流れをもたらす。この複雑な弁調節を使用する代わりに、本開示の一実施例は、電極に印加された電圧パターンを通じて実質的に一定の出力を達成する。
【0090】
図6は、本開示の例示的な態様によってアノードおよびカソードに印加された電圧パターンを例証する波形図である。実質的に一定であり、比較的正の電圧がアノードに印加され、実質的に一定であり、比較的負の電圧がカソードに印加される。しかし、周期的に、各電圧は、スケールの堆積を防止するため、比較的逆極性に短くパルス化される。本実施例では、時間t0−t1、t2−t3、t4−t5、および、t6−t7から、比較的正の電圧がアノードに印加され、そして比較的負の電圧がカソードに印加される。時間t1−t2、t3−t4、t5−t6、および、t7−t8の間に、各電極に印加される電圧は反転される。反転電圧レベルは、非反転電圧レベルと同じ大きさを有することができるか、または、必要に応じて異なった大きさを有することができる。
【0091】
1つずつの短い極性切り換えの周波数は必要に応じて選択することができる。反転の周波数が増加すると、スケール付着の量が減少する。しかし、電極は、(プラチナ被覆電極の場合に)各反転と共にプラチナ少量を解放することがある。反転の周波数が減少すると、スケール付着は増加することがある。一実施例では、矢印300によって示されるように、反転間の期間は範囲約1秒から約600秒に入る。この範囲外の他の期間もまた使用することができる。
【0092】
電圧が反転される期間もまた必要に応じて選択することができる。一実施例では、矢印302によって表現された反転期間は、範囲約50ミリ秒から約100ミリ秒に入る。この範囲外の他の期間もまた使用することができる。本実施例では、時点t2とt3との間の通常の極性の期間303は、少なくとも900ミリ秒である。
【0093】
同様に、電圧は、周期的または非周期的に選択的に反転させることができる。1つの特有の実施例では、反転間の期間300は1秒であり、波形の各期間の間に、電極間の電圧は、900ミリ秒に亘って通常の極性を使って印加され、その後、100ミリ秒に亘って反転された極性で印加される。
【0094】
これらの範囲を用いると、たとえば、弁調節を必要とすることなく、各アノード室は実質的に一定の陽極EA液出力を生成し、そして各カソード室は実質的に一定の陰極EA液出力を生成する。
【0095】
アノード電極の数がカソード電極の数と異なり、たとえば、3:2の比率である場合、または、アノード電極の表面積がカソード電極の表面積と異なる場合、印加電圧パターンは、生成された液体の洗浄特性または消毒特性を強めるため、陽極液または陰極液のいずれかをより多量に生成するために上記の方式で使用することができる。たとえば、洗浄が強められるべき場合、より多数の電極が(より多くの陰極液を生成するために)比較的負の極性へ駆動可能であり、そして、より少数の電極が(より少ない陽極液を生成するために)比較的正の極性へ駆動可能である。消毒が強められるべき場合、より多数の電極が(より多くの陽極液を生成するために)比較的正の極性へ駆動可能であり、そして、より少数の電極が(より少ない陰極液を生成するために)比較的負の極性へ駆動可能である。
【0096】
陽極液出力および陰極液出力が吐出前に単一出力ストリームに混ぜ合わされる場合、消毒より洗浄を強めるため、または、洗浄より消毒を強めるために、陽極液出力及び陰極液出力の組み合わせを調整することができる。一実施形態では、制御回路は、ユーザが洗浄モードと消毒モードとの間で選択することを可能にするさらなるスイッチを含む。たとえば、図1に示された実施形態では、スプレーボトル10は、ボトルに搭載されているユーザ作動可能洗浄/消毒モードスイッチを含むことができる。
【0097】
本開示の1つの例示的な実施形態では、図1および図8に示された手持ち式スプレーボトルのような手持ち式スプレーボトルは、図5に示されたセル200のような管状電解セルを支える。電解セルは、単位時間当たりに陽極EA液より多量の陰極EA液を発生することによって、強められた洗浄特性を強調するために電圧を使って駆動される。セル200では、外側円筒電極204は、内側円筒電極206より大きい径、したがって、より大きい表面積を有している。強められた洗浄特性を強調するために、制御回路は、セル200を駆動し、その結果、駆動電圧パターンの周期の大半に亘って、外側電極204はカソードとしての役目を果たし、そして内側電極206はアノードとしての役目を果たす。カソードはアノードより大きい表面積を有しているので、セル200は、結合されたセルの出口を通じて、単位時間当たりに陽極液より多量の陰極液を発生する。図6を参照すると、本実施例では、制御回路は、時間t0−t1、t2−t3、t4−t5およびt6−t7から比較的正の電圧をアノード(電極206)に印加し、そして比較的負の電圧をカソード(電極204)に印加する。時間t1−t2、t3−t4、t5−t6およびt7−t8の間に、各電極に印加される電圧は短時間反転される。
【0098】
本実施例では、スプレーボトルは、普通の水道水だけで満たされる。よって、セル200を介して汲み上げられ、セル200を使って電気化学的に活性化された液体は、普通の水道水だけからなる。この水道水は、本明細書中に記載されたように、電気化学的に活性化され、スプレーノズルを介して、混ぜ合わされた陽極液および陰極液ストリームとして吐出される。スプレー出力は、したがって、洗浄特性を強め、陰極液の量は混ぜ合わされたストリーム内で陽極液の量を上回る。強められた消毒特性は、代替的な実施形態において、たとえば、図6に示された波形を使用して、電極204を主としてアノードとし、電極206を主としてカソードとすることにより強調することができる。
【0099】
電極をスケール除去するためのこのような頻繁な短期間の極性反転は、プラチナのような、電極をメッキするためにしばしば使用される材料を、電極表面から落とす傾向を有することがわかった。よって、一実施形態では、電極204および206は、金属電極または導電性プラスチックのようなメッキされていない電極を備える。たとえば、電極はメッキされていない金属製メッシュの電極でもよい。
【0100】
11. 液体の中を照明する状態インジケータライト
11.1 図1および図8〜図16に示されたボトルのための制御回路
本開示の別の態様は、EA液の酸化・還元電位のような電解セルの機能的状態を示唆する人力が知覚できるインジケータの提供に関する。本明細書中に開示されているスプレーボトルおよび/または他の機器は、出力液体の酸化・還元電位の視覚的インジケータを含むように変更することができる。
【0101】
電解セルによって消費される電力のレベルは、セルが正しく動作しているかどうか、したがって、セルによって生成された液体(散布水、EA陽極液、および/または、EA陰極液)が十分なレベルまで電気化学的に活性化されたかどうかを判定するために使用することができる。合理的なレベル未満の電力消費は、超純粋供給水の使用や、水が機能ジェネレータの内部で十分なレベルの電流を導通させない程に、一般に低電解液含有量(たとえば、低ナトリウム/ミネラル含有量)を有している供給水の使用のような種々の電位問題を反映する可能性がある。電流消費は、したがって、たとえば、高レベルまたは低レベルの酸化・還元電位を示唆する可能性がある。同様に、ポンプによって取り出された電流は、ポンプが正しく動作しているかどうか、または、停止しているポンプのような問題が存在するかどうかを示唆するため使用されることがある。
【0102】
図7は、たとえば、本明細書中に開示された実施形態のいずれかに組み込むことができる本開示の実施形態によるインジケータを有しているシステム400のブロック図である。システム400は、(バッテリのような)電源402と、制御電子機器404と、電解セル406と、ポンプ408と、電流センサ410および412と、インジケータライト414および416と、スイッチ418と、トリガ部420とを含む。簡単にするため、電解セル404の液体入力および液体出力は、図7に示されていない。システム400のすべての要素は、たとえば、同じ電源402によって給電されるか、または、2台以上の別個の電源によって給電することができる。
【0103】
制御電子機器404は、システム400の現在動作モードと、トリガ部420のようなユーザ制御入力とに基づいて、電解セル406と、ポンプ408と、インジケータライト414および416との動作状態を制御するため連結されている。本実施例では、スイッチ418は、電源402と制御電子機器404との間に直列に連結され、そして、トリガ部420の状態に依存して、電源402を制御電子機器404の電源入力に連結し、電源入力から切り離すために役立つ。一実施形態では、スイッチ418は、トリガ部420が押圧されたときに閉成し、トリガ部420が解除されたときに開成する瞬時的な、通常開状態のスイッチを含む。
【0104】
代替的な実施例では、スイッチ418は、たとえば、トリガ部420とは別個に作動されるオン/オフ型トグルスイッチとして構成されている。トリガ部420は、制御電子機器404のイネーブル入力に連結されている第2のスイッチを作動させる。他の構成もまた使用することができる。
【0105】
両方の実施形態では、トリガ420が押圧されるとき、制御電子機器404が有効状態にされ、電解セル406およびポンプ408を駆動する適切な電圧出力を発生する。たとえば、制御電子機器404は、本明細書中に記載された電圧パターンのような、電解セル406を駆動する第1の電圧パターンを生成し、そして、ポンプ408を駆動する第2の電圧パターンを生成することができる。トリガ部420が解除されるとき、制御電子機器は電源オフされるか、および/または、そうでなければ、セル406およびポンプ408への出力電圧を無効状態にする。
【0106】
電流センサ410および412は、電解セル406およびポンプ408とそれぞれ電気的に直列に連結され、そして、各電流センサは、セル406またはポンプ406を介して取り出されたそれぞれの電流を表す信号を制御電子機器404に供給する。たとえば、これらの信号はアナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0107】
1つの特有の実施例では、システム400は、電解セル406によって取り出された電流を感知するセンサ410を含むが、ポンプ408によって取り出された電流を感知するセンサ412を含まない。制御電子機器404は、米国、Texas、Dallas所在のTexas Instruments Corporationから入手可能であるDRV8800 フル・ブリッジ・モータ・ドライバを制御する米国、Minnesota、Thief River Falls所在のDigi−Key Corporationから入手可能であるMC9S08SH4CTG−ND マイクロコントローラのようなマイクロコントローラを含む。ドライバ回路は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンに従って電解セル406への出力電圧を駆動するHスイッチを有している。Hスイッチは、セル406によって取り出された電流を感知するためにマイクロコントローラによって使用できる電流感知出力を有している。
【0108】
制御電子機器404は、センサ出力を所定のスレッショルド電流レベルまたは範囲と比較し、そして次に、比較の一方または両方に応じてインジケータ414および416を作動させる。スレッショルド電流レベルまたは範囲は、たとえば、所定の電力消費レベルを表すため選択することができる。
【0109】
インジケータ414および416は1つずつが、LEDのような何らかの視覚的に知覚可能なインジケータを含むことができる。一実施例では、インジケータライト414および416は、異なった動作状態を示唆するために異なった色を有している。たとえば、インジケータライト414は、点灯されたときに、正常な、適切に機能する電解セルおよび/またはポンプを示唆する緑色でもよく、インジケータライト416は、点灯されたときに、電解セルおよび/またはポンプの動作状態における問題を示唆する赤色でもよい。特有の実施例では、ボトルは、ボトルの中に収容された液体を強く照明するために、4個の緑色LED414と、4個の赤色LED416とを収容する。
【0110】
図7に示された実施例では、制御電子機器404は、電流センサ410および/または412によって感知される電流レベルに応じて、インジケータライト414および416を作動させる。たとえば、制御電子機器404は、感知された電流レベルがスレッショルドレベルより上もしくは下であるか、または、範囲内であるかどうかに応じて、インジケータライトの一方または両方をオンにする(または、代替的にオフにする)。インジケータライト414および416は、別個の電源信号と、たとえば、制御電子機器404によって供給される共通接地とによって作動することができる。
【0111】
一実施形態では、制御電子機器404は、セル406の感知された電流レベルがそれぞれのスレッショルドレベルより上であるとき(または、所定の範囲内にあるとき)、緑色インジケータライト414を安定した「オン」状態に点灯し、赤色インジケータライト416をオフにする。これに対して、制御電子機器404は、セル406の感知された電流レベルがそれぞれのスレッショルドレベルより下であるとき、赤色インジケータライト416を安定した「オン」状態に点灯し、緑色インジケータライト414を安定した「オフ」状態にする。
【0112】
制御電子機器404は、ポンプ408によって取り出された電流が所定の範囲外にあるとき、オン状態とオフ状態との間で緑色インジケータライト414を変調する。何らかの適当な範囲が、1.5アンペアと0.1アンペアとの間のようなポンプ電流のため使用できる。他の範囲はさらに使用することができる。さらなる実施例では、制御電子機器404は、セル406およびポンプ408の両方の感知された電流レベルがそれぞれの所定の範囲内にあるとき、緑色インジケータライト414を安定した「オン」状態に点灯し、赤色インジケータライト416をオフにし、そうでない場合、赤色インジケータライト416を点灯し、緑色インジケータライト414をオフにする。
【0113】
別の実施形態では、1台以上のインジケータライトは、感知された電流レベルがスレッショルドレベルより上であるとき、安定した「オン」状態で作動され、そして、電解セル406の感知された電流レベルがスレッショルドレベルより下であるときに問題を示唆するため、選択された周波数で「オン」状態と「オフ」状態との間を循環する。複数のスレッショルドレベルおよび周波数が他の実施形態で使用できる。同様に、複数の別個に制御されたインジケータライトが使用でき、1台ずつが所定の範囲内の動作を示唆する。代替的に、または、付加的に、制御電子機器は、たとえば、1つ以上のスレッショルドまたは範囲に対する感知された電流のレベルに応じて、1台以上のインジケータライトの照明レベルを変更するように構成することができる。さらなる実施例では、別個のインジケータライトは、電解セルおよびポンプの動作状態を別個に示唆するため使用できる。他の構造も同様に使用することができる。
【0114】
11.2 液体の中を通る照明
より詳細に後述されるように、インジケータライト414および/または416は、電解セル404による処理前、および/または、処理後のいずれかに、液体自体を照明するため、(スプレーボトルのような)装置に配置することができる。たとえば、インジケータライトは、点灯されたとき、装置の外部にある視点から液体を通して視覚的に知覚可能である可視波長範囲に光束を発生する。たとえば、液体は、光の少なくとも一部を拡散することがあり、液体自体が照明されているという視覚的な印象を与える。一実施形態では、装置は、液体を収容し、少なくとも透光性であり、そして、照明されたときにインジケータ414および/または416によって生成された光の少なくとも一部を透過するように配置されている材料および/または部分を含む容器、ルーメン、または、他の要素を備える。この容器、ルーメン、または、他の要素は、装置の外部から少なくとも部分的に可視性である。
【0115】
用語「少なくとも透光性」は、透光性と、半透明性と、全透過性と、インジケータから照明する光の少なくとも一部が材料を通して人間によって知覚可能であることを意味するいずれかの用語とを含む。
【0116】
図8〜図16は、電解セルと少なくとも1つのインジケータライトとを有し、インジケータから照明する光の少なくとも一部がボトルの外部にある視点から人間によって知覚可能である手持ち式スプレーボトル500および500’の実施例を示す。図面に表された特有のボトル構成および構造は、非限定的な実施例としてのみ与えられる。同じ符号が同じ要素または類似した要素に対して図8〜図16で使用される。
【0117】
図8Aを参照すると、ボトル500は、ベース部502と、ネック部504と、バレル部またはヘッド部506とを形成する筐体501を含む。バレル部506の先端部は、ノズル508、および、ドリップ/スプラッシュ・ガード部509を含む。ドリップ/スプラッシュ・ガード部509は、たとえば、ユーティリティ・カートにボトル500を掛ける便利なフック部としての機能も果たす。より詳細に後述されるように、筐体501は、たとえば、ねじを用いて一体的に取り付けられた実質的に対称性のある左側および右側をもつクラムシェル型構造を有している。ベース部502は、処理され、その後に、ノズル508を介して吐出される液体のリザーバとしての役目を果たす容器510を収容する。容器510は、ネック部と、ベース部502を通って延在するねじ付き入口(ねじキャップ付き)512とを有し、容器510が液体で満たされることを可能にする。入口512はキャップ・シール部を受承するためねじ山が付けられている。
【0118】
本実施例では、筐体ベース部502の側壁は、周辺付近に複数の開口部または窓520を有し、これらの開口部または窓を通して容器510が見える。本実施例では、開口部520は、開口部の内部に筐体材料が存在しないことによって形成されている。別の実施例では、開口部は少なくとも透明性である材料によって形成されている。図8Bに示された別の実施例では、筐体全体または筐体の一部は少なくとも透明性である。
【0119】
同様に、容器510は少なくとも透明性である材料で形成されている。たとえば、容器510は、透明ポリエステル材料のブロー成形として製造することができる。より詳細に後述されるように、筐体501は、(図7に示されたライト414および416に対応する)複数のLEDインジケータライト594、596を支える回路基板をさらに収容している。ライトは、容器510の底壁を通って容器の中に収容されている液体まで光を透過するため、容器510の底部の下側に位置決めされている。液体は、光の少なくとも一部を拡散させ、液体が照明されている見かけを与える。この照明は、筐体501の外部にある視点から開口部520を通して見ることができる。制御電子機器によって制御される光の色、および/または、オン/オフ変調、強度などの他の照明特徴は、ボトルの機能的な状態の指標をユーザに与えるために開口部510を介して視認可能である。矢印522は、容器510内の液体中を透過され、筐体501内の開口部520を介してボトルの外部から見えるインジケータライトからの照明を表現する。
【0120】
たとえば、液体は、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していることを示すために、緑色LEDで照明することができる。よって、ユーザは、処理され、ノズル508から吐出される液体が、容器510内に収容されている原液体より強化された洗浄および/または消毒特性を有していることを確信することができる。同様に、容器510内の原液体の照明は、まだ処理されていないが、液体が「特別」であり、そして、強化された特性を有しているという印象を与える。
【0121】
同様に、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能しない場合、制御電子機器は赤色LEDを照明し、原液体に赤色の外観を与える。これは、問題が存在し、吐出された液体が強化された洗浄および/または消毒特性を有していないかもしれないという印象をユーザに与える。
【0122】
図8Aに示された実施例では、照明は容器510を通して可視的であり、インジケータライトは、電解セルの上流および/または下流にある何らかの要素を含む、液体入口からボトルおよびノズル508までの流路のいずれかの部分を照明するために配置することができる。筐体は、この照明がユーザによって見ることができるようにどのように変更することもできる。たとえば、液体は、電解セルの出力からノズル508まで延在する放出管内で照明することが可能である。バレル部506は、放出管を露出させるため、開口部を含むように変更することが可能であり、または、管の一部は、たとえば、バレル部506の外側に沿って延在することが可能である。
【0123】
図8Bは、図8Aに示された実施形態の場合に窓520を欠いているボトル500’の斜視図である。本実施例では、筐体501の全体、または、筐体の一部は、少なくとも透明性である。たとえば、筐体501はポリカーボネートで製造することができる。図8Aで使用された符号と同じ符号が同じ要素または類似した要素に対して図8Bで使用される。図8Bにおいて明示されていないが、透明性筐体を用いて、ボトル500’の内部構成部品は、筐体の外部にある視点から筐体501を通して見ることができる。たとえば、容器510(破線で示されている)と容器内に収容されている液体とは、筐体501を通して見ることができる。本実施例では、4個の赤色LED594および4個の緑色LED596(同様に破線で示されている)が存在し、ボトルの各コーナー部においてペアで配置されている。よって、LED594および/または596が点灯されるとき、液体は光の少なくとも一部を拡散させ、照明されている液体の外観を与える。この照明は、照明が「窓」520に限定されないことを除いて、図8Aに示された方式と同じ方式で筐体501の外部にある視点から見ることができる。
【0124】
図8Cは、ボトル501’のバレル部(またはヘッド部)506の背面端の斜視図であり、バッテリ充電器(図示せず)のコードにつながる電源ジャック523を例証する。ボトル500’が充電式バッテリを支える実施例では、これらのバッテリはジャック523を介して再充電することができる。
【0125】
図9〜図16は、図8Bに示されたボトル500’のさらなる細部を例証する。
【0126】
図9Aおよび図9Bは、筐体501の左側501Aの斜視図であり、図9Cは筐体501の右側501Bの斜視図である。
【0127】
左側501Aおよび右側501Bは、互いに装着されたとき、ボトルの種々の要素を収容する複数の区画を形成する。たとえば、筐体ベース部502は、液体容器510(図8A、図8Bに示されている)を収容する第1の区画531と、制御電子機器を支持する回路基板を収容する第2の区画532と、制御電子機器に給電するため複数のバッテリを収容する第3の区画533とを含む。バレル部506は、電解セルおよびポンプを収容する区画534を含む。
【0128】
図10は、筐体501の左側501Aに取り付けられた種々の構成部品を例証する。容器510は区画531に取り付けられ、回路基板540は区画532に取り付けられ、バレル部542は区画533に取り付けられ、ポンプ/セル組立体544は区画534に取り付けられている。容器510、ポンプ/セル組立体、および、ノズル508を接続する種々の管は、図10に示されている。
【0129】
図11Aおよび図11Bは、より詳細に容器510を例証する。図11Aは容器510の斜視図であり、図11Bは筐体501Aに取り付けられた容器510の入口512の部分断面図である。Oリング548は、筐体501Aの内部で入口512のネック部の外径表面を密封する。入口512上のねじは、入口開口部を密封するためキャップ部(図示せず)を受承する。容器510は、容器510から液体を取り出す管(図示せず)を受承する出口549をさらに含む。管は、たとえば、図1に関連して記載されているように入口フィルタを含むことがある。
【0130】
図12Aは、筐体半分501Aのバレル部506に取り付けられたポンプ/セル組立体544の部分拡大図である。図12Bは、筐体から取り外されたポンプ/セル組立体544の斜視図である。図12Cは、トリガ部570が取り外されている組立体の底面斜視図を示す。
【0131】
ポンプ/セル組立体544は、ポンプ550と、ブラケット554内に搭載された電解セル552とを含む。ポンプ550は、容器510の出口549から延在する管(図示せず)へ流体的に連結されている第1のポート555と、別の管(同様に図示せず)を介して電解セル552の入口556へ流体的に連結されている第2のポート555とを有している。
【0132】
電解セル552は、ノズル508へ流体的に連結されている出口557を有している。一実施例では、電解セル552は、図5に関連して説明された管状電解セル200に対応している。しかし、何らかの適当な電解セルが代替的な実施形態で使用可能であり、そしてセルはどのような形状および/または幾何学的性質でも有することができる。たとえば、セルは、図5に示されるように円筒状であるか、または、実質的に平面平行極板である電極を有することができる。Oリング560は、筐体501のためノズル508の付近にシール部を提供する。
【0133】
ボトル500’は、瞬時的な押しボタン式オン/オフ型スイッチ572を作動させるトリガ部570をさらに含む。トリガ部570は、ユーザによって押圧されたとき、ピボット574の周りで作動する。スプリング576(図12Cに示されている)は、通常の解除状態でトリガ部570を付勢し、その結果、スイッチ572は「オフ」状態にある。スイッチ572は、図10に示された回路基板540上の制御電子機器へ接続する電気リード線578を有している。
【0134】
図7に示されたブロック図を参照して説明したように、トリガ部570が押圧されたとき、スイッチ572は「オン」状態へ作動し、それによって、ポンプ550および電解セル552を活性化する制御電子機器に電力を供給する。活性化されたとき、ポンプ550は、容器510から液体を取り出し、電解セル522を介して液体を汲み上げ、電解セル522は組み合わされた陽極EA液および陰極EA液をノズル508へ放出する。ポンプ550および/または電解セル552が適切に機能するとき、制御電子機器は、回路基板またはボトル500’の内外の別の場所に取り付けられているLEDを用いて容器510内の液体をさらに照明する。
【0135】
図13は、ブラケット554をより詳細に例証する。
【0136】
図14Aおよび図14Bは、トリガ部570の斜視図である。トリガ部570は、トリガ部のピボット点を画定する1つ以上のピンを受承するアパーチャ580の組を有している。
【0137】
図15Aおよび図15Bは、トリガ部570の上に位置するトリガ・ブーツ部584の斜視図である。ブーツ部584は、トリガ部570のための保護層を提供し、そしてトリガ部の周辺で筐体501のエッジを密封する。
【0138】
図16Aは、筐体半分501Aの区画532および533を詳細に例証する。図16Bは、区画532内に搭載された回路基板540、および、区画533内に搭載されたバッテリ542を例証する。
【0139】
さらに、回路基板540は、複数の発光ダイオード(LED)594および596を含む。本実施例では、LEDは、LEDから放射する光が容器の底部を通して容器510内の液体を照明するように、回路基板540の上面に位置決めされている。他の配置もまた使用することができる。LEDは、前述されているように、たとえば、異なった動作状態または特徴を示唆するために、異なった色を有し、別個に制御されることが可能である。
【0140】
12. 他の装置において液体の中を通る照明
電解セルおよび(複数の)インジケータライトの特徴および方法のような本明細書中に記載されている特徴および方法は、スプレーボトル、移動式サーフェス・クリーナ、および/または、自立式もしくは壁掛け式電解プラットフォームのような多種多様の装置で使用することができる。たとえば、これらの装置は、移動式ハード・フロア・サーフェス・クリーナ、移動式ソフト・フロア・サーフェス・クリーナ、または、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方または他のサーフェスを洗浄するために適合した移動式サーフェス・クリーナのような移動式サーフェス・クリーナに搭載されて(または外部で)実施することができる。
【0141】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、面を走行するように構成された移動式本体部を有している移動式サーフェス・クリーナのような本明細書中に記載された特徴および方法を使用することができる種々の装置を開示する。移動式本体部は、水道水のような洗浄液を収容するタンクと、液体ディスペンサと、タンクから液体ディスペンサまでの流路とを有している。電解セルは流路内に連結されている。電解セルは、イオン交換膜によって分離されたアノード室およびカソード室を有し、そして、機能ジェネレータの中を通過した水道水を電気化学的に活性化する。
【0142】
機能ジェネレータは、水道水を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、洗浄および/または消毒される表面に別々に塗布することができるか、または、陽極EAおよび陰極EAの合成液を形成するために装置内部で組み合わせることができ、そして、たとえば、洗浄ヘッド部を介して一緒に吐出することができる。
【0143】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、本明細書中で開示された種々の構造的要素および工程が別個にまたは一緒に利用されることができる他の構造体をさらに開示する。たとえば、Fieldらは、陽極EA液および陰極EA液を発生する壁掛け式プラットフォームを開示する。
【0144】
これらの装置のいずれかは、電解セルの機能的動作状態または動作特性の視覚的指標を提供するように構成することができ、インジケータの点灯は、装置の外部にある視点から液体を通して見ることができる。インジケータライトは、観測者の直接的視線にあることが必要とされるのではなく、見えないことがある。たとえば、照明は、たとえば、液体による光の拡散および/または回折に起因して見えるかもしれない。
【0145】
一実施例では、壁掛け式プラットフォームは、電解セルと、プラットフォームの入口から、電解セルを介して、プラットフォームの出口までの液体流路を支持する。流路の少なくとも一部は少なくとも透明性であり、プラットフォームの外部から見える。プラットフォームは、たとえば、プラットフォームの管および/またはリザーバのような流路の少なくとも一部に沿って液体を照明する図7に示されたインジケータライトのようなインジケータライトをさらに含む。
【0146】
13. 移動式サーフェス・クリーナ
電解セルの特徴および方法のような本明細書中に記載されている特徴および方法は、スプレーボトル、移動式サーフェス・クリーナ、および/または、自立式もしくは壁掛け式電解プラットフォームのような多種多様の装置で使用することができる。たとえば、これらの装置は、たとえば、移動式ハード・フロア・サーフェス・クリーナ、移動式ソフト・フロア・サーフェス・クリーナ、または、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方または他のサーフェスを洗浄するために適合した移動式サーフェス・クリーナのような移動式サーフェス・クリーナに搭載されて(または外部で)実施することができる。
【0147】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、面を走行するように構成された移動式本体部を有している移動式サーフェス・クリーナのような本明細書中に記載された特徴および方法を使用することができる種々の装置を開示する。移動式本体部は、水道水のような洗浄液を収容するタンクと、液体ディスペンサと、タンクから液体ディスペンサまでの流路とを有している。電解セルは流路内に連結されている。電解セルは、イオン交換膜によって分離されたアノード室およびカソード室を有し、そして、機能ジェネレータの中を通過した水道水を電気化学的に活性化する。
【0148】
機能ジェネレータは、水道水を陽極EA液および陰極EA液に変換する。陽極EA液および陰極EA液は、洗浄および/または消毒される表面に別々に塗布することができるか、または、陽極EAおよび陰極EAの合成液を形成するために装置内部で組み合わせることができ、そして、たとえば、洗浄ヘッド部を介して一緒に吐出することができる。
【0149】
図17は、前述の特徴および/または方法のうちの1つ以上が実施できるFieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号に開示された移動式ハードおよび/またはソフト・フロア・サーフェス・クリーナ700の実施例を例証する。図17は、開位置にある蓋を有しているクリーナ700の斜視図である。
【0150】
本実施例では、クリーナ700は、コンクリート、タイル、ビニル、テラゾなどのようなハード・フロア・サーフェスを洗浄するため使用されるウォーク・ビハインド式クリーナであり、他の実施例では、クリーナ700は、本明細書中に記載されているように洗浄および/または消毒動作を実行するライド・オン式、取り付け式、または、牽引式クリーナとして構成することができる。さらなる実施例では、クリーナ700は、カーペットのようなソフト・フロア、または、さらなる実施形態では、ハード・フロアおよびソフト・フロアの両方を洗浄するため適合することができる。クリーナ700は、バッテリのような搭載電源によって、または、電気コードを介して給電される電動モータを含むことがある。代替的に、たとえば、内燃機関は、単独で、または、電動モータと組み合わせて使用することができる。
【0151】
クリーナ700は、一般に、ベース部702と、蝶番(図示せず)によってベース部702の片側に沿って装着されている蓋704とを含み、その結果、蓋704はベース部702の内部へのアクセスを提供するため、回動させることができる。ベース部702は、液体、または、処理されて洗浄および/または消毒作業中にフロア・サーフェスに塗布されるべき(普通の水道水のような)主要な洗浄および/または消毒液体成分を収容するためのタンク706を含む。代替的に、たとえば、液体は、タンク706内に収容される前に、クリーナ700の内部または外部で処理することができる。その上、クリーナ700は、洗浄されているフロアに塗布される前の液体を処理する電解セル708を含む。処理された液体は、たとえば、そのまま直接的に、および/または、洗浄ヘッド部710を介して、フロアに塗布することができる。フロアに塗布される処理済み液体は、陽極EA液ストリームと、陰極EA液ストリームと、陽極EA液ストリームおよび陰極EA液ストリームの両方と、および/または、組み合わされた陽極EA液ストリームおよび陰極EA液ストリームとを含むことができる。セル408は、イオン選択性膜を含むことができ、または、イオン選択性膜無しで構成することができる。
【0152】
Fieldらによる米国特許出願公開第2007/0186368(A1)号は、本明細書中で開示された種々の構造的要素および工程が別個にまたは一緒に利用されることができる他の構造体をさらに開示する。たとえば、Fieldらは、陽極EA液および陰極EA液を発生する壁掛け式プラットフォームを開示する。このプラットフォームは、たとえば、本明細書中に開示されているような制御電圧パターンを使って制御されることができる。
【0153】
14. 壁掛け式プラットフォーム
たとえば、図18は、例示的な実施形態によるプラットフォーム802に搭載された洗浄液ジェネレータ800の簡略化されたブロック図を例証する。プラットフォーム802は、フロア、壁、ベンチ、もしくは、他の面上、手で保持されるか、オペレータもしくは車両によって搬送されるか、(洗浄もしくは保守台車またはモップバケツによって支えられるような)別の機器に装着されるか、または、人によって携行される設備に搭載されるか、または、配置されるように構成することができる。1つの特定の実施形態では、プラットフォーム802は、モップバケツ、移動式洗浄機械などのような洗浄機器に洗浄液および/または消毒液を取り込むため設備の壁に搭載される。
【0154】
プラットフォーム802は、液体源から水道水のような液体を受承する入口803を含む。代替的に、たとえば、プラットフォーム802は、処理されるべき液体の供給源を保持するためタンクを含むことができる。プラットフォーム802は、(前述されている電解セルおよび制御回路のような)1つ以上の電解セル804および制御回路806をさらに含む。(1つ以上の)電解セル804は、本明細書中に記載されている構造体のうちのいずれか、または、何らかの他の適当な構造体を有することができる。プラットフォーム802は、限定されることなく、本明細書中に開示された機器または構成部品のような何らかの他の機器または構成部品をさらに含むことができる。
【0155】
電解セル804の出力からの(1つ以上の)流路は、陽極EA液および陰極EA液を別個に、および/または、混ぜ合わされた陽極EA液および陰極EA液を出口808を介して吐出するように構成することができる。未使用の陽極液または陰極液は、たとえば、プラットフォーム802上の廃棄タンク、または、ドレイン出口へ向けることができる。陽極EA液および陰極EA液の両方が出口808を介して吐出される実施形態では、出口は、別個の陽極液ポートおよび陰極液ポートと、および/または、組み合わされたポートとを有することができ、前述されているように、たとえば、陰極液および陽極液の混ぜ合わされた混合物を放出する。さらに、本明細書中の実施形態のいずれかは、電解セルによる陽極生成液および/または陰極生成液を収容する1つ以上の蓄積タンクを含むことができる。
【0156】
1つの特定の実施形態では、電解セル804は、少なくとも1つのイオン選択性膜によって分離されている少なくとも1つのアノードおよび少なくとも1つカソードを含み、1つ以上のアノード室およびカソード室を形成する。出口808は、たとえば、流体弁調節無しで、アノード室およびカソード室にそれぞれ流体的に連結されている別個の陽極流ポートおよび陰極流ポートを有している。制御回路806は、各陽極流ポートが実質的に一定の陽極EA液出力を供給し、そして各陰極流ポートが実質的に一定の陰極EA液出力を供給するように、図6に関連して説明された電圧パターンを用いてアノードおよびカソードを活性化する。実質的に一定の、比較的正の電圧はアノードに印加され、実質的に一定の、比較的負の電圧はカソードに印加される。周期的に各電圧は、スケール付着堆積物を防止するため比較的逆極性に短くパルス化される。
【0157】
アノード電極の数がカソード電極の数と異なり、たとえば、3:2の比率である場合、または、アノード電極の表面積がカソード電極の表面積と異なる場合、印加電圧パターンは、生成された液体の洗浄特性または消毒特性を強めるため、陽極液または陰極液のいずれかをより多量に生成するために上記の方式で使用することができる。他の比率が使用されることもまた可能である。プラットフォーム802は、必要に応じて、スイッチの状態に依存してより多量の陽極液または陰極液を生成するように各電極に印加される電圧パターンを選択的に反転するため制御回路を作動させるスイッチまたは他のユーザ入力機器810をさらに含むことができる。
【0158】
15. オール・サーフェス・クリーナ
図19は、米国特許第6,425,958号により詳細に記載されている全サーフェス洗浄組立体980の斜視図である。洗浄組立体980は、電極付きの1つ以上の電解セルを含む液体分配路と、限定されることはないが、図1に関して図示され記載されているように本明細書中に記載されているような制御回路と、または、たとえば、本明細書中に開示されている他の実施形態のいずれかを含むように変更することができる。
【0159】
洗浄組立体980は、以下の流体、すなわち、陽極EA水、陰極EA水、混ぜ合わされた陽極EA水および陰極EA水、または、他の電気的帯電液体のうちの1つ以上を洗浄されているフロアへ放出し、そして、場合によりフロアから回収するように構成することができる。たとえば、水以外の液体、または、水に加えて液体を使用することができる。
【0160】
洗浄組立体980は、たとえば、少なくとも1つのハード・サーフェスを有している洗面所またはいずれか他の部屋内のハード・サーフェスを洗浄するため使用することができる。洗浄組立体980は、米国特許第6,425,958号に記載されているように、洗浄機器と、サーフェスを洗浄するため洗浄機器と共に使用される付属品とを含む。洗浄組立体980は、筐体981と、ハンドル部982と、ホイール部983と、ドレインホース部984と、種々の付属品とを含む。付属品は、伸縮式ハンドル部986と、2部品二重曲げワンド部の第1の部品987および第2の部品988と、真空ホース部、ブロアホース部、スプレーホース部、ブロア・ホース・ノズル、スプレーガン、スキージ・フロア・ツール付属品、ガルパ・ツール、および、タンク・フィル・ホース部(組立体980のポートに連結することができる)を含む図19に示されない種々の付加的な付属品とを有しているフロア・ブラシ985を含むことができる。組立体は、タンクまたは着脱式液体容器と、回収タンクまたは着脱式回収液体容器とを支える筐体を有している。洗浄組立体980は、スプレーホース部を介して表面に洗浄液を噴霧することにより表面を洗浄するため使用される。ブロアホース部は、その後、表面をブロー乾燥し、所定の方向に表面上の流体をブローするために使用される。真空ホース部は、表面から洗浄機器980内の回収タンクへ流体を吸引するため使用され、それによって、表面を洗浄する。洗浄組立体980と共に用いられる真空ホース部、ブロアホース部、スプレーホース部、および、他の付属品は、容易な移動のため洗浄機器980と共に搬送することができる。
【0161】
付加的に、図8〜図16に示された実施形態と同様に、図17〜図19に記載され、または、図17〜19と共に記載された装置のいずれかは、電解セル404による処理前および/または処理後のいずれかに、液体自体を照明するために装置に位置決めされている(図7のブロック図に示された)1台以上のインジケータライト414および/または416を含むことができる。たとえば、インジケータライトは、点灯されたとき、装置の外部にある視点から液体を通して視覚的に知覚可能である可視波長範囲内に光束を発生する。たとえば、液体は、光の少なくとも一部を拡散し、液体自体が照明されているという視覚的印象を与える。一実施形態では、装置は、液体を収容し、少なくとも透明性であり、点灯されたときにインジケータ414および/または416によって生成された光の少なくとも一部を透過するように配置されている材料および/または部分を含む容器、ルーメン、または、他の要素を備える。この容器、ルーメン、または、他の要素は、装置の外部から少なくとも部分的に可視性である。
【0162】
16. 図8〜図16に示されたスプレーボトルのための制御回路
図20は、本開示の例証的な実施例による図8〜図16に示された手持ち式スプレーボトル500、500’内の種々の構成部品を制御する制御回路を示すブロック図である。制御回路の主要な構成部品は、マイクロコントローラ1000と、直流・直流変換器1004と、出力ドライバ回路1006とを含む。
【0163】
種々の構成部品への電力は、たとえば、図16Bに示されるように、ボトルによって支えられたバッテリパック542によって供給される。特定の実施例では、バッテリパック542は、1台ずつが公称出力電圧約1.2ボルトを有する10台のニッケル水素バッテリを含む。バッテリは直列接続されているので、公称出力電圧は容量約1800ミリアンペア時で約10V〜12.5Vである。(たとえば、図8Aおよび図8Bに示された)手動トリガ部570、572は、バッテリパック542から12ボルト出力電圧を電圧レギュレータ1003および直流・直流変換器1004に選択的に供給する。Fairchaild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータのような何らかの適当な電圧レギュレータを使用できる。特有の実施例では、電圧レギュレータ1003は、制御回路内の種々の電気的構成部品に給電するため5ボルト出力電圧を供給する。
【0164】
直流・直流変換器1004は、電解セル522の電極間に印加されるべき出力電圧を発生する。変換器は、電解セルを介して所望の電流が取り出されるようにドライバ電圧を増大または減少させるため、マイクロコントローラによって制御される。特有の実施例では、ポンプ550が容器510からセル552を介して出力ノズル508(図8Aおよび8B)へ水を汲み出すとき、変換器1004は、電解セル552を介して取り出される電流約400ミリアンペアを得るために、8ボルトから28ボルト(以上)の範囲の間で電圧を増大または減少させる。所要電圧は、一部でセルの電極間の水の導電率に依存する。
【0165】
特有の実施例では、直流・直流変換器1004は、ブースト用途において接続されている、米国、New York、Pelham所在のPICO Electronics, Inc.からのシリーズA/SM 表面実装変換器を含む。別の実施例では、変換器1004は、米国、Arizona、Phoenix所在のON SemiconductorからのNCP3064 1.5A増大/減少/反転スイッチング・レギュレータを含む。他の回路は代替的な実施形態で使用することができる。
【0166】
出力ドライバ回路1006は、マイクロコントローラ1000によって発生された制御信号に応じて、電解セル522に印加される駆動電圧の極性を選択的に反転する。たとえば、マイクロコントローラ1000は、図6に関して図示され、および/または、記載されているように、所定のパターンで極性を交互に入れ替えるように構成することができる。出力ドライバ1006は、出力電圧をポンプ550へさらに供給することができる。代替的に、たとえば、ポンプ550は、トリガ・スイッチ570、572の出力から直接的にポンプの出力電圧を受け取ることができる。
【0167】
特有の実施例では、出力ドライバ回路1006は、米国、Texas、DallasのTexas Instruments Corporationから入手可能であるDRV8800フル・ブリッジ・モータ・ドライバ回路を含む。他の回路は代替的な実施形態で使用することも可能である。ドライバ回路1006は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンに従って電解セル552への出力電圧を駆動するHスイッチを有している。Hスイッチは、セル552によって取り出された電流を感知するためにマイクロコントローラによって使用することができる電流感知出力をさらに有していることがある。センス抵抗器RSENSEは、感知された電流を表し、フィードバック電圧としてマイクロコントローラ1000に使用される電圧を発生する。マイクロコントローラ1000は、フィードバック電圧を監視し、所望の電流取り出しを維持するように適当な駆動電圧を出力するために変換器1004を制御する。
【0168】
マイクロコントローラ1000は、電解セル552および/またはポンプ550が適切に動作していることを検証するためにフィードバック電圧をさらに監視する。前述されているように、マイクロコントローラ1000は、出力ドライバ回路1006によって感知された電流レベルに応じてLED594および596を作動させることができる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、感知された電流レベルがスレッショルドレベルの上もしくは下であるか、または、範囲内に含まれるかどうかに応じて、LED594および596の組の一方または両方をオフに(または、代替的にオンに)することができる。
【0169】
特有の実施形態では、マイクロコントローラ1000は、米国、Minnesota、Thief River Falls所在のDigi−Key Corporationから入手可能であるMC9S08SH4CTG−NDマイクロコントローラのような何らかの適当なマイクロコントローラを含むことができる。
【0170】
図20に示された実施例では、回路の照明制御部分は、出力抵抗器R1およびR2と、プルアップ抵抗器R3と、赤色LEDダイオードD1〜D4と、プルダウン・トランジスタQ1とによって形成された第1の赤色LED制御レッグを含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ1を選択的にオンおよびオフにすることにより、赤色LEDD1〜D4を選択的にオンおよびオフにする第1の制御出力を有している。回路の照明制御部分は、プルアップ抵抗器R4と、緑色LEDダイオードD5〜D8と、プルダウン・トランジスタQ2とによって形成された第2の緑色LED制御レッグをさらに含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ2をオンとオフにすることにより、緑色LEDD5〜D8を選択的にオンとオフにする第2の制御出力を有している。
【0171】
制御回路は、マイクロコントローラ1000を再プログラミングする入力を供給する制御ヘッダ部1002をさらに含む。
【0172】
1つの特有の実施例では、要素1000、1002、1003、1004、1006、R1〜R4、D1〜D8、および、Q1〜Q2は、図16Bに示されるように回路基板540に存在する。
【0173】
さらに、図20に示された制御回路は、図8Cに示された電源ジャック523を介して受け取られたエネルギを使ってバッテリパック542内のバッテリを充電する充電回路(図示せず)を含むことができる。
【0174】
本明細書中に記載された制御機能のうちの1つ以上は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアなど、または、これらの組み合わせで実施することができる。このようなソフトウェア、ファームウェアなどは、メモリ機器のようなコンピュータ読み取り可能な媒体に記憶される。ディスク機器、ソリッドステート機器、フラッシュメモリ、RAM、ROM、集積回路上のレジスタの組などのようないずれかのコンピュータ読み取り可能なメモリ機器が使用できる。
【0175】
本開示は、1つ以上の実施形態を参照して記載されているが、当業者は、開示内容および/または請求項に記載された事項の精神および範囲から逸脱することなく、変更が形式および細部の点で行われてもよいことを認識する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体リザーバと、
液体出口と、
ボトルによって支えられ、前記リザーバと前記液体出口との間に流体的に連結されている電解セルと、
スプレーボトルによって支えられ、電圧出力を有している電源と、
前記電圧出力と前記電解セルとの間に連結され、前記電解セルを活性化するために前記電源の前記電圧出力より大きい増大された電圧を供給する直流・直流変換器と、
前記増大された電圧が、前記電解セルを介して取り出される感知された電流に応じて変化するレベルを有するように前記直流・直流変換器を制御するとともに、前記電解セルによって取り出される電流が所定の範囲内となるように前記増大された電圧を制御するように構成されたコントローラと、
を含む、手持ち式スプレーボトル。
【請求項2】
前記電源の前記電圧出力は10ボルトから12.5ボルトの範囲を有し、
前記増大された電圧は少なくとも24ボルトである、
請求項1に記載された手持ち式スプレーボトル。
【請求項3】
前記電源は少なくとも1台のバッテリを含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項4】
前記少なくとも1台のバッテリは少なくとも1台の充電式バッテリを含む、請求項3に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項5】
前記ボトルによって支えられ、前記液体リザーバから前記電解セルを介して前記液体出口まで液体を汲み上げるために連結されているポンプをさらに含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項6】
前記電解セルは、アノード電極とカソード電極との間に配置され、アノード室およびカソード室をそれぞれ画定するイオン選択性膜を含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項7】
前記電解セルから前記液体出力までの流路であって、前記液体出力から吐出される陽極液および陰極液の混合液を形成するために、前記アノード室から生成された陽極液の流れと前記カソード室から生成された陰極液の流れとを混合する流路をさらに含む、請求項6に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項8】
前記流路は、前記陽極液および前記陰極液が前記電解セルによって生成された時点から3秒の範囲内で、前記液体出力から、前記陽極液および前記陰極液の混合液を吐出するように構成されている、請求項7に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項9】
前記電解セルから前記液体出力までの流路であって、前記アノード室から生成された陽極液の流れと、前記カソード室から生成された陰極液の流れとをスプレー出力を介して別個に吐出するように構成されている流路をさらに含む、請求項6に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項10】
供給液体を手持ち式スプレーボトルのリザーバ内で支えるステップと、
前記スプレーボトルによって支えられている電源からソース電圧を生成するステップと、
前記スプレーボトルによって支えられている直流・直流変換器を介して前記ソース電圧より大きい活性化電圧まで前記ソース電圧を増大させるステップと、
前記供給液体を前記スプレーボトルによって支えられている電解セルの中に通すステップと、
前記電解セルの中に通される前記供給液体を電気化学的に活性化するため前記活性化電圧を前記電解セルの電極に印加するステップと、
前記電解セルによって取り出される電流が所定の範囲内となるように前記活性化電圧を制御するコントローラを用いて、前記活性化電圧が、前記電解セルを介して取り出される感知された電流に応じて変化するレベルを有するように前記直流・直流変換器を制御するステップと、
前記スプレーボトルから電気化学的に活性化された前記供給液体を吐出するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ソース電圧は10ボルトから12.5ボルトの範囲を有し、
前記活性化電圧は少なくとも24ボルトである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電源は少なくとも1台のバッテリを含む、請求項10に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項13】
前記少なくとも1台のバッテリは少なくとも1台の充電式バッテリを含む、請求項12に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項14】
吐出するステップは、前記スプレーボトルによって支えられ、前記リザーバから前記電解セルを介してノズルまで前記供給液体を汲み上げるポンプを前記電源によって活性化するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記供給液体を前記電解セルの中に通すステップは、少なくとも1つのカソード電極と少なくとも1つのアノード電極との間に配置されている少なくとも1つのイオン交換膜を用いて、前記供給液体の少なくとも2つの部分の分離を維持するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記スプレーボトルから吐出される陽極液および陰極液の混合液を形成するために、前記電解セルのアノード室から生成された陽極液の流れと前記電解セルのカソード室から生成された陰極液の流れとを混合するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項1】
液体リザーバと、
液体出口と、
ボトルによって支えられ、前記リザーバと前記液体出口との間に流体的に連結されている電解セルと、
スプレーボトルによって支えられ、電圧出力を有している電源と、
前記電圧出力と前記電解セルとの間に連結され、前記電解セルを活性化するために前記電源の前記電圧出力より大きい増大された電圧を供給する直流・直流変換器と、
前記増大された電圧が、前記電解セルを介して取り出される感知された電流に応じて変化するレベルを有するように前記直流・直流変換器を制御するとともに、前記電解セルによって取り出される電流が所定の範囲内となるように前記増大された電圧を制御するように構成されたコントローラと、
を含む、手持ち式スプレーボトル。
【請求項2】
前記電源の前記電圧出力は10ボルトから12.5ボルトの範囲を有し、
前記増大された電圧は少なくとも24ボルトである、
請求項1に記載された手持ち式スプレーボトル。
【請求項3】
前記電源は少なくとも1台のバッテリを含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項4】
前記少なくとも1台のバッテリは少なくとも1台の充電式バッテリを含む、請求項3に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項5】
前記ボトルによって支えられ、前記液体リザーバから前記電解セルを介して前記液体出口まで液体を汲み上げるために連結されているポンプをさらに含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項6】
前記電解セルは、アノード電極とカソード電極との間に配置され、アノード室およびカソード室をそれぞれ画定するイオン選択性膜を含む、請求項1に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項7】
前記電解セルから前記液体出力までの流路であって、前記液体出力から吐出される陽極液および陰極液の混合液を形成するために、前記アノード室から生成された陽極液の流れと前記カソード室から生成された陰極液の流れとを混合する流路をさらに含む、請求項6に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項8】
前記流路は、前記陽極液および前記陰極液が前記電解セルによって生成された時点から3秒の範囲内で、前記液体出力から、前記陽極液および前記陰極液の混合液を吐出するように構成されている、請求項7に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項9】
前記電解セルから前記液体出力までの流路であって、前記アノード室から生成された陽極液の流れと、前記カソード室から生成された陰極液の流れとをスプレー出力を介して別個に吐出するように構成されている流路をさらに含む、請求項6に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項10】
供給液体を手持ち式スプレーボトルのリザーバ内で支えるステップと、
前記スプレーボトルによって支えられている電源からソース電圧を生成するステップと、
前記スプレーボトルによって支えられている直流・直流変換器を介して前記ソース電圧より大きい活性化電圧まで前記ソース電圧を増大させるステップと、
前記供給液体を前記スプレーボトルによって支えられている電解セルの中に通すステップと、
前記電解セルの中に通される前記供給液体を電気化学的に活性化するため前記活性化電圧を前記電解セルの電極に印加するステップと、
前記電解セルによって取り出される電流が所定の範囲内となるように前記活性化電圧を制御するコントローラを用いて、前記活性化電圧が、前記電解セルを介して取り出される感知された電流に応じて変化するレベルを有するように前記直流・直流変換器を制御するステップと、
前記スプレーボトルから電気化学的に活性化された前記供給液体を吐出するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ソース電圧は10ボルトから12.5ボルトの範囲を有し、
前記活性化電圧は少なくとも24ボルトである、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電源は少なくとも1台のバッテリを含む、請求項10に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項13】
前記少なくとも1台のバッテリは少なくとも1台の充電式バッテリを含む、請求項12に記載の手持ち式スプレーボトル。
【請求項14】
吐出するステップは、前記スプレーボトルによって支えられ、前記リザーバから前記電解セルを介してノズルまで前記供給液体を汲み上げるポンプを前記電源によって活性化するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記供給液体を前記電解セルの中に通すステップは、少なくとも1つのカソード電極と少なくとも1つのアノード電極との間に配置されている少なくとも1つのイオン交換膜を用いて、前記供給液体の少なくとも2つの部分の分離を維持するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記スプレーボトルから吐出される陽極液および陰極液の混合液を形成するために、前記電解セルのアノード室から生成された陽極液の流れと前記電解セルのカソード室から生成された陰極液の流れとを混合するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2011−527380(P2011−527380A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514856(P2011−514856)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/048008
【国際公開番号】WO2009/155545
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508074594)テナント カンパニー (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/048008
【国際公開番号】WO2009/155545
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(508074594)テナント カンパニー (17)
【Fターム(参考)】
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