説明

手書き文字入力装置及び手書き文字入力方法

【課題】画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができる手書き文字入力装置及び手書き文字入力方法を提供する。
【解決手段】手書き文字の入力を受ける文字入力部15と、表示部12と、を備え、文字入力部15に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を表示部12に表示し、認識文字と所定の関連性を有する関連文字を表示部12に表示する。これにより、関連性が高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートフォン等の大型の表示部及びタッチパネル部を有する携帯端末に用いて好適な手書き文字入力装置及び手書き文字入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の表示部及びタッチパネル部を有する携帯端末の一つとして、スマートフォンと呼ばれるものがあり、近年、めざましく普及してきている。この種の携帯端末は、携帯電話とPDA(Personal Digital Assistant)を融合させたものであり、携帯電話としての無線通信機能の他に、ワイファイやブルートゥースなどの近距離無線通信機能を有し、さらに、スケジュール機能及び個人情報管理機能などの多種多様な機能も有している。また、この種の携帯端末は、視認性と操作性を高めるために、大型の表示部及びタッチパネル部も有している。また、この種の携帯端末は、手書きによる文字入力も可能となっている。
【0003】
ところで、手書き文字入力において、『あ』と『ぁ』、『C』と『c』などの大文字と小文字では、画数や形状が全く同じになるため、通常の文字認識エンジンの処理だけでは区別することは難しい。そのため、使用頻度の高い大文字を優先して認識させるケースが多い。しかしながら、小文字を入力したい場合でも大文字が認識され易いため、誤認識が頻繁に発生する。このような問題に対し、主に以下に示すようなやり方で誤認識を回避する手段が採られている。
(1)予め複数の認識候補を表示する(その中で小文字も候補に含める)。
【0004】
特許文献1で開示された文字認識後処理装置は、上記(1)に関連する技術を持つものであり、複数個出力する候補の中に所望の文字が含まれるように前記候補を追加できるようにして、文字認識効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−247218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手書き文字入力で認識候補を複数表示する場合、小文字などの使用頻度が低い文字を認識候補として表示するには、たくさんの認識候補を表示する必要があり、画面表示領域の大部分を認識候補が消費してしまうという課題があった。又、一度に表示する認識候補の数を減らした場合、最初に表示されなかった文字については、一覧表から都度選択するという操作が発生するため、入力速度が低下してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができる手書き文字入力装置及び手書き文字入力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の手書き文字入力装置は、手書き文字の入力を受ける文字入力部と、表示部と、を備え、前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示し、前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示する。
【0009】
上記構成によれば、手書き文字入力によって得られた認識文字と共に、認識文字に関連する関連文字を表示する。例えば、認識文字が「あ」の場合、関連文字として「ぁ」を表示する。また、認識文字が「a」の場合、関連文字として「A」を表示する。このようにすることで、関連性が高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。
【0010】
上記構成において、前記表示部に表示された前記認識文字と前記関連文字の内、少なくとも一つが選択された場合、選択された文字を入力されたとする。
【0011】
上記構成によれば、表示部に表示した認識文字と関連文字のなかから選択された1つの文字を入力された文字とする。
【0012】
上記構成において、前記表示部において、前記認識文字は1文字表示され、前記関連文字は1文字表示される。
【0013】
上記構成によれば、認識文字と関連文字をそれぞれ1文字表示するので、使用者は2つの文字の内、1つを選択すれば良いため、画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができる。
【0014】
上記構成において、前記認識文字に小文字が存在する場合、前記関連文字として前記小文字を表示する。
【0015】
上記構成によれば、例えば、英単語の先頭文字を大文字にする場合や、単語内に大文字/小文字の両方が混在する固有名詞(例:「AbcDef」のように、単語の途中で大文字になる場合)などの入力効率を高めることができる。
【0016】
上記構成において、前記認識文字に大文字が存在する場合、前記関連文字として前記大文字を表示する。
【0017】
上記構成によれば、認識文字に小文字が存在する場合と同様に、入力効率を高めることができる。
【0018】
上記構成において、前記認識文字に濁点文字が存在する場合、前記関連文字として前記濁点文字を表示し、前記認識文字に濁点の無い文字が存在する場合、前記関連文字として前記濁点の無い文字を表示する。
【0019】
上記構成によれば、例えば、濁点文字と濁点無しの文字を連続入力する場合において、文字の補正機能などで先に入力された濁点文字に自動補正されるケースで自動補正された文字の修正が容易になり、入力効率向上が図れる。
【0020】
上記構成において、前記認識文字に半濁点文字が存在する場合、前記関連文字として前記半濁点文字を表示し、前記認識文字に半濁点の無い文字が存在する場合、前記関連文字として前記半濁点の無い文字を表示する。
【0021】
上記構成によれば、例えば、半濁点文字と濁点無しの文字を連続入力する場合において、文字の補正機能などで先に入力された半濁点文字に自動補正されるケースで自動補正された文字の修正が容易になり、入力効率向上が図れる。
【0022】
上記構成において、前記認識文字に半角文字が存在する場合、前記関連文字として前記半角文字を表示し、前記認識文字に全角文字が存在する場合、前記関連文字として前記全角文字を表示する。
【0023】
上記構成によれば、例えば、文字入力を全角と半角に切り替えたい時に、切り替え毎に全角/半角の切り替えを指定する操作(ボタン選択等)を行う必要がなくなり、入力効率向上が図れる。
【0024】
上記構成において、前記認識文字に形状が類似した形状類似文字が存在する場合、前記関連文字として前記形状類似文字を表示する。
【0025】
上記構成によれば、例えば、”。” 、”○” 、”0” 、”O”のように、文字形状が略同じである文字の入力効率を高めることができる。
【0026】
上記構成において、前記関連文字が選択された場合、選択された前記関連文字の関連性情報を保持しておき、続けて入力される手書き文字を認識した認識文字に対して生成される複数の関連文字を表示する際、表示の優先順位を、保持されている前記関連性情報に応じて変える。
【0027】
上記構成によれば、例えば、半角文字が選択されると、半角の関連文字を優先的に表示するように表示順を変更するので、入力効率向上が図れる。
【0028】
本発明の手書き文字入力法は、手書き文字の入力を受ける文字入力部と、表示部と、を備える手書き文字入力装置において用いる手書き文字入力方法であって、前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示するステップと、前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示するステップと、を備える。
【0029】
上記方法によれば、手書き文字入力によって得られた認識文字と共に、認識文字に関連する関連文字を表示する。例えば、認識文字が「あ」の場合、関連文字として「ぁ」を表示する。また、認識文字が「a」の場合、関連文字として「A」を表示する。このようにすることで、関連性が高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。
【0030】
本発明の手書き文字入力プログラムは、手書き文字の入力を受ける文字入力部と、表示部と、を備える手書き文字入力装置において実行可能な手書き文字入力プログラムであって、前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示するステップと、前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示するステップと、を備える。
【0031】
上記プログラムによれば、手書き文字入力によって得られた認識文字と共に、認識文字に関連する関連文字を表示する。例えば、認識文字が「あ」の場合、関連文字として「ぁ」を表示する。また、認識文字が「a」の場合、関連文字として「A」を表示する。このようにすることで、関連性が高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る手書き文字入力装置の機能を示すブロック図
【図2】図1の手書き文字入力装置を備えたスマートフォンの一例の概観を示す斜視図
【図3】図1の手書き文字入力装置を備えたスマートフォンの液晶表示装置における表示部の液晶パネルとタッチパネル部のタッチパネルの断面を示す図
【図4】図1の手書き文字入力装置の表示部に表示される画面イメージを示す図
【図5】図1の手書き文字入力装置の動作を説明するためのフローチャート
【図6】図1の手書き文字入力装置において、図4の手書き入力領域に文字を手書き入力したときの認識文字と関連文字の一例を示す図
【図7】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に小文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図
【図8】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に大文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図
【図9】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に濁点文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図
【図10】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に半濁点文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図
【図11】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に半角文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図
【図12】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に全角文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図
【図13】図1の手書き文字入力装置において、認識文字に形状が類似した形状類似文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図
【図14】本発明の実施の形態2に係る手書き文字入力装置の機能を示すブロック図
【図15】図14の手書き文字入力装置において、関連文字の表示順序変更処理の一例を示す図
【図16】図1又は図14の手書き文字入力装置の手書き入力領域に文字入力するための2つのマスを設けた例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る手書き文字入力装置の機能を示すブロック図である。また、図2は、本実施の形態に係る手書き文字入力装置を備えたスマートフォンの一例の概観を示す斜視図である。まず図2を参照して本実施の形態の手書き文字入力装置1を備えたスマートフォン20について説明する。スマートフォン20は、カード型の筐体21と、筐体21の内部に設けられた回路基板22と、回路基板22上に構成された無線回路部23と、筐体21の一方の面側に設けられ、携帯電話としての無線通信機能の使用時における各種表示、スケジュール機能、個人情報管理機能及び手書き文字入力機能等の使用時における各種表示を行うための液晶表示装置24とを備える。
【0036】
液晶表示装置24は、図示せぬ表示部とタッチパネル部とから構成される。図3は、表示部の液晶パネルとタッチパネル部のタッチパネルの断面を示す図である。同図に示すように、液晶パネル241とタッチパネル242は、タッチパネル242が上側になるように積層配置されている。表示部は、入力された表示情報に応じた画像を液晶パネル241に表示する。タッチパネル部は、タッチパネル242で人の指やペンの接触を検出し、タッチパネル242で検出された指やペンの接触位置に応じた位置情報を出力する。
【0037】
次に、図1において、本実施の形態の手書き文字入力装置1は、入力受付部2と、座標情報通知部3と、文字認識部4と、パラメータ設定部5と、認識候補格納部6と、認識候補表示文字列生成部7と、関連性判断部8と、関連性範囲設定部9と、関連文字表示文字列生成部10と、画面表示制御部11と、表示部12とを備える。入力受付部2と座標情報通知部3は、上述した液晶表示装置24のタッチパネル部で構成される。また、入力受付部2と座標情報通知部3は、文字入力部15を構成する。表示部12は、上述した液晶表示装置24の表示部で構成される。
【0038】
入力受付部2は、文字を手書きで入力するためのものであり、筆跡に応じた手書き情報を出力する。手書きによる文字の入力には、上述したように人の手の指またはペンが用いられる。座標情報通知部3は、入力受付部2から出力される手書き情報に応じた筆跡用座標データを出力する。文字認識部4は、文字認識用エンジンを有し、この文字認識用エンジンのパラメータがパラメータ設定部5にて設定される。文字認識部4は、座標情報通知部3から出力された筆跡用座標データを取り込み、パラメータ設定部5にて設定されたパラメータを基に、入力受付部2に入力された手書き文字を認識する。そして、認識した認識文字を出力する。この場合、文字認識部4は、文字認識毎に認識した文字を出力する。認識候補格納部6は、文字認識部4が出力した認識文字を格納する。
【0039】
認識候補表示文字列生成部7は、認識候補格納部6に格納された全ての認識文字から文字列を生成して出力する。この場合、認識候補格納部6に格納された認識文字が1つしかない場合はその認識文字のみを出力する。関連性判断部8は、関連性範囲設定部9で設定された関連性範囲に基づき、認識候補格納部6に格納された認識文字と所定の関連性を有する関連文字を判断し、所定の関連性を有する関連文字を出力する。関連文字表示文字列生成部10は、関連性判断部8で関連性があると判断された関連文字から文字列を生成して出力する。画面表示制御部11は、認識候補表示文字列生成部7で生成された認識候補の文字列のそれぞれと、関連文字表示文字列生成部10で生成された関連文字の文字列のそれぞれとを対応付けて表示部12に表示する。
【0040】
図4は、手書き文字入力装置1の表示部12に表示される画面イメージを示す図である。同図において、表示部12には、本文領域30、予測候補領域31、手書き入力領域32、各種ボタン33の各領域が設定される。手書き入力領域32は、文字入力するための1つの入力枠321を有しており、この入力枠321に1文字ずつ手書き入力する。各種ボタン33は、文字削除用のクリアボタン331、かな漢字の変換用の変換ボタン332、全半角切替え用の全半角切替ボタン333、カーソル左移動用の左移動カーソルボタン334、カーソル右移動用の右移動カーソルボタン335、及び、入力確定用の確定ボタン336である。
【0041】
次に、本実施の形態の手書き文字入力装置1の動作について説明する。
図5は、本実施の形態の手書き文字入力装置1の動作を説明するためのフローチャートである。同図において、文字認識部4は、筆跡入力があるかどうか判定する(ステップS1)。文字認識部4は、座標情報通知部3からの筆跡用座標データを取得することで筆跡入力ありと判断する。文字認識部4は、筆跡入力なしと判断すると(ステップS1で「No」と判断すると)、ステップS1の判定を繰り返す。これに対して、筆跡入力ありと判断すると(ステップS1で「Yes」と判断すると)、筆跡用座標データを基に文字認識処理を行い、認識した認識文字を認識候補格納部6に格納する(ステップS2)。この場合、文字認識部4が1つの文字を認識する毎に、認識文字が認識候補格納部6に格納される。認識候補格納部6に格納された認識文字は認識候補表示文字列生成部7で認識文字の文字列が生成される。
【0042】
一方、認識候補格納部6に格納された複数の認識文字のそれぞれに対して、関連性判断部8が、関連性範囲設定部9で設定された関連性範囲に適合する関連文字を判断する。すなわち、関連性判断部8は、各認識文字に対して、関連する関連文字があるかどうか判定する(ステップS3)。関連性判断部8は、現在の認識文字に対して、関連する関連文字がないと判断すると(ステップS3で「No」と判断すると)、次の認識文字に対して、関連する関連文字があるかどうか判定する。関連性判断部8は、現在の認識文字に対して、関連する関連文字があると判断すると(ステップS3で「Yes」と判断すると)、その関連文字を関連文字表示文字列生成部10に出力する。このように関連性判断部8は、各認識文字に対して、関連する関連文字があるかどうか判定し、関連する関連文字があれば、それを関連文字表示文字列生成部10に出力する。
【0043】
関連文字表示文字列生成部10で関連文字の文字列が生成される。画面表示制御部11は、関連文字表示文字列生成部10で生成された関連文字の文字列と認識候補表示文字列生成部7で生成された認識文字の文字列との間で組となる文字同士(すなわち、認識文字とそれに関連する関連文字の組)を設定し(ステップS4)、表示部12に表示する(ステップS5)。
【0044】
次に、本実施の形態の手書き文字入力装置1の関連性判断処理について説明する。
【0045】
(関連性判断処理(I))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(I)について説明する。
図6は、手書き入力領域32に文字を手書き入力したときの認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32に文字(この場合、「ウ」という文字)を手書き入力することで、認識文字と関連文字が手書き入力領域23の空き領域(図面に向かって左側の領域)に表示される。この例では、認識文字40が大文字の「ウ」であり、関連文字41が小文字の「ゥ」である。このように、関連性か高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。なお、認識文字と関連文字の表示順序に制限はなく、最終的に両方とも表示されれば良いので、任意である。
【0046】
(関連性判断処理(II))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(II)について説明する。
図7は、認識文字に小文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32にアルファベットの「U」を手書き入力すると、「U」と認識される。この認識文字40の「U」には小文字の「u」があるので、認識文字40の「U」に関連する関連文字41として「u」が表示される。なお、図示しないが、同様にしてひらがなの「あ」を手書き入力すると、「あ」と認識される。この認識文字40の「あ」には小文字の「ぁ」があるので、認識文字40の「あ」に関連する関連文字41として「ぁ」が表示される。このように、認識文字に小文字が存在する場合、関連文字として認識文字の小文字を表示することで、例えば、英単語の先頭文字を大文字にする場合や、単語内に大文字と小文字の両方が混在する固有名詞(例:「AbcDef」のように、単語の途中で大文字になる場合)などの入力効率を高めることができる。
【0047】
(関連性判断処理(III))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(III)について説明する。
図8は、認識文字に大文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32にカタカナの「ッ」を手書き入力すると、「ッ」と認識される。この認識文字40の「ッ」には大文字の「ツ」があるので、認識文字40の「ッ」に関連する関連文字41として「ツ」が表示される。なお、図示しないが、同様にしてアルファベットの「a」を手書き入力すると、「a」と認識される。この認識文字40の「a」には大文字の「A」があるので、認識文字40の「a」に関連する関連文字41として「A」が表示される。このように、認識文字に大文字が存在する場合、関連文字として認識文字の大文字を表示する。
【0048】
(関連性判断処理(IV))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(IV)について説明する。
図9は、認識文字に濁点文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32にひらがなの「く」を手書き入力すると、「く」と認識される。この認識文字40の「く」には濁点文字の「ぐ」があるので、認識文字40の「く」に関連する関連文字41として「ぐ」が表示される。なお、図示しないが、同様にしてひらがなの「は」を手書き入力すると、「は」と認識される。この認識文字40の「は」には濁点文字の「ば」があるので、認識文字40の「は」に関連する関連文字41として「ば」が表示される。また、図示しないが、同様にしてカタカナの「パ」を手書き入力すると、「パ」と認識される。この認識文字40の「パ」には濁点文字の「バ」があるので、認識文字40の「パ」に関連する関連文字41として「バ」が表示される。このように、認識文字に濁点文字が存在する場合、関連文字として濁点文字を表示する。なお、認識文字に濁点の無い文字が存在する場合は、関連文字として濁点の無い文字を表示する。
【0049】
(関連性判断処理(V))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(V)について説明する。
図10は、認識文字に半濁点文字が存在するときの認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32にひらがなの「は」を手書き入力すると、「は」と認識される。この認識文字40の「は」には半濁点文字の「ぱ」があるので、認識文字40の「は」に関連する関連文字41として「ぱ」が表示される。なお、図示しないが、手書き入力領域32にカタカナの「ブ」を手書き入力すると、「ブ」と認識される。この認識文字40の「ブ」には半濁点文字の「プ」があるので、認識文字40の「ブ」に関連する関連文字41として「プ」が表示される。このようにすることで、例えば、半濁点文字と濁点無しの文字を連続入力する場合、文字の補正機能などで先に入力された半濁点文字に自動補正されるケースで自動補正された文字の修正が容易になり、入力効率を高めることができる。このように、認識文字に半濁点文字が存在する場合、関連文字として半濁点文字を表示する。なお、認識文字に半濁点の無い文字が存在する場合は、関連文字として半濁点の無い文字を表示する。
【0050】
(関連性判断処理(VI))
手書き文字入力装置1の関連性判断処理(VI)について説明する。
図11は、認識文字に半角文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図である。また、図12は、認識文字に全角文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図である。なお、半角文字とは1バイト文字で、全角文字とは2バイト文字である。
【0051】
図11において、手書き入力領域32にアルファベットの「P」を手書き入力すると、「P」と認識される。この認識文字40の「P」には半角文字の「P」があるので、認識文字40の「P」に関連する関連文字41として「P」が表示される。なお、図示しないが、手書き入力領域32にアルファベットの「A」を手書き入力すると、「A」と認識される。この認識文字40の「A」には半角文字の「A」があるので、認識文字40の「A」に関連する関連文字41として「A」が表示される。また、図示しないが、手書き入力領域32にカタカナの「サ」を手書き入力すると、「サ」と認識される。この認識文字40の「サ」には半角文字の「サ」があるので、認識文字40の「サ」に関連する関連文字41として「サ」が表示される。このようにすることで、例えば、入力文字を全角⇔半角に切り替えたいときに、切り替え毎に全角/半角の切り替えを指定する操作(ボタン選択等)を行う必要が無くなり、入力効率を高めることができる。このように、認識文字に半角文字が存在する場合、関連文字として半角文字を表示する。
【0052】
図12において、手書き入力領域32にカタカナの「パ」を手書き入力すると、「パ」と認識される。この認識文字40の「パ」には全角文字の「パ」があるので、認識文字40の「パ」に関連する関連文字41として「パ」が表示される。このように、認識文字に全角文字が存在する場合は、関連文字として全角文字を表示する。
【0053】
(関連性判断処理(VII)
本実施の形態の手書き文字入力装置1の関連性判断処理(VII)について説明する。
図13は、認識文字に形状が類似した形状類似文字が存在する場合の認識文字と関連文字の一例を示す図である。同図において、手書き入力領域32に図形の「○」を手書き入力すると、「○」と認識される。この認識文字40の「○(マル)」には形状類似文字の「0(ゼロ)」があるので、認識文字40の「○」に関連する関連文字41として「0」が表示される。なお、他の場合として、認識文字40の「。」に関連する関連文字41として「○」、認識文字40の「0」に関連する関連文字41として「O(アルファベット)」もある。このように、「。」、「○」、「0」、「O」のように、文字形状が略同じである文字の入力効率を高めることができる。
【0054】
このように本実施の形態に係る手書き文字入力装置1によれば、手書き文字の入力を受ける文字入力部15と、表示部12と、を備え、文字入力部15に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を表示部12に表示し、認識文字と所定の関連性を有する関連文字を表示部12に表示するので、関連性が高いことによって区別して認識することが困難な文字を複数表示して、使用者に選択させることで、入力効率を高めることができる。
【0055】
また、文字入力において、表示部12に表示された認識文字と関連文字の内、少なくとも1つが選択された場合、選択された文字を入力されたとする。この際、表示部12において、認識文字を1文字表示し、関連文字を1文字表示する。認識文字と関連文字をそれぞれ1文字表示することで、使用者は2つの文字の内、1つを選択すれば良いため、画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができる。
【0056】
また、認識文字に小文字が存在する場合、関連文字として小文字を表示し、認識文字に大文字が存在する場合、関連文字として大文字を表示する。
【0057】
また、認識文字に濁点文字が存在する場合、関連文字として濁点文字を表示し、認識文字に濁点の無い文字が存在する場合、関連文字として濁点の無い文字を表示する。
【0058】
また、認識文字に半濁点文字が存在する場合、関連文字として半濁点文字を表示し、認識文字に半濁点の無い文字が存在する場合、関連文字として半濁点の無い文字を表示する。
【0059】
また、認識文字に半角文字が存在する場合、関連文字として半角文字を表示し、認識文字に全角文字が存在する場合、関連文字として全角文字を表示する。
【0060】
また、認識文字に形状が類似した形状類似文字が存在する場合、関連文字として形状類似文字を表示する。
【0061】
(実施の形態2)
図14は、本発明の実施の形態2に係る手書き文字入力装置の機能を示すブロック図である。なお、図14において前述した図1と共通する部分には同一の符号を付けてその説明を省略する。図14において、本発明の実施の形態2に係る手書き文字入力装置13は、関連文字の関連性情報を保持する関連性情報保持部14を備える。関連文字表示文字列生成部10は、関連性情報保持部14が保持する関連性情報に応じて関連文字を表示する優先順位を変える。
【0062】
図15は、関連文字の表示順序変更処理の一例を示す図である。この例では、関連文字のみ表示されるものとする。図15において、手書き入力領域32にカタカナの「ウ」を手書き入力することで、関連文字として全角カタカナの濁点文字「ヴ」と全角小文字の「ゥ」が表示される。次に、手書き入力領域32にアルファベットの「T」を手書き入力することで、関連文字として全角英小文字「t」と半角英大文字「T」が表示される。ここで、関連文字の半角英大文字「T」を選択すると(例えばタップすると)、関連性情報保持部14から、半角英大文字「T」の関連性情報が関連文字表示文字列生成部10へ出力される。関連文字表示文字列生成部10は、次の手書き入力から関連文字の表示順序を変更する。すなわち、関連文字として半角文字を優先して表示する。例えば、手書き入力領域32にアルファベットの「V」を手書き入力すると、関連文字として半角英大文字「V」と半角英小文字「v」が表示される。このように、関連文字として半角文字が優先して表示される。
【0063】
このように本実施の形態に係る手書き文字入力装置13によれば、関連文字が選択された場合、選択された関連文字の関連性情報を保持しておき、続けて入力される手書き文字を認識した認識文字に対して生成される複数の関連文字を表示する際、表示の優先順位を、保持されている関連性情報に応じて変える。したがって、例えば、半角文字が選択されると、半角の関連文字を優先的に表示するように表示順を変更するので、入力効率向上が図れる。
【0064】
なお、上記実施の形態1及び2では、手書き入力領域32に、文字入力するための1つの入力枠321を設けたが、1つの限定されるものではない。図16に、2つの入力枠321,322を設けた例を示す。
【0065】
また、上記実施の形態1及び2の手書き文字入力装置1,13それぞれの関連性判断処理を記述したプログラムを、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することが可能である。
【0066】
ここで、本願と基礎出願との対応関係を以下の表1に示しておく。
【0067】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、画面表示領域における認識候補の占有率を低く抑えることができるとともに、入力効率を高めることができるといった効果を有し、スマートフォン等の大型の表示部及びタッチパネル部を有する携帯端末への適用が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1,13 手書き文字入力装置
2 入力受付部
3 座標情報通知部
4 文字認識部
5 パラメータ設定部
6 認識候補格納部
7 認識候補表示文字列生成部
8 関連性判断部
9 関連性範囲設定部
10 関連文字表示文字列生成部
11 画面表示制御部
12 表示部
14 関連性情報保持部
15 文字入力部
20 スマートフォン
21 筐体
22 回路基板
23 無線回路部
24 液晶表示装置
30 本文領域
31 予測候補領域
32 手書き入力領域
33 各種ボタン
40 認識文字
41 関連文字
241 液晶パネル
242 タッチパネル
331 クリアボタン
332 かな漢字の変換用の変換ボタン
333 全半角切替え用の全半角切替ボタン
334 カーソル左移動用の左移動カーソルボタン
335 カーソル右移動用の右移動カーソルボタン
336 入力確定用の確定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書き文字の入力を受ける文字入力部と、
表示部と、を備え、
前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示し、
前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示する
手書き文字入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手書き文字入力装置であって、
前記表示部に表示された前記認識文字と前記関連文字の内、少なくとも一つが選択された場合、選択された文字を入力されたとする
手書き文字入力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の手書き文字入力装置であって、
前記表示部において、前記認識文字は1文字表示され、前記関連文字は1文字表示される
手書き文字入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に小文字が存在する場合、前記関連文字として前記小文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に大文字が存在する場合、前記関連文字として前記大文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に濁点文字が存在する場合、前記関連文字として前記濁点文字を表示し、
前記認識文字に濁点の無い文字が存在する場合、前記関連文字として前記濁点の無い文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に半濁点文字が存在する場合、前記関連文字として前記半濁点文字を表示し、
前記認識文字に半濁点の無い文字が存在する場合、前記関連文字として前記半濁点の無い文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に半角文字が存在する場合、前記関連文字として前記半角文字を表示し、
前記認識文字に全角文字が存在する場合、前記関連文字として前記全角文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記認識文字に形状が類似した形状類似文字が存在する場合、前記関連文字として前記形状類似文字を表示する
手書き文字入力装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の手書き文字入力装置であって、
前記関連文字が選択された場合、選択された前記関連文字の関連性情報を保持しておき、続けて入力される手書き文字を認識した認識文字に対して生成される複数の関連文字を表示する際、表示の優先順位を、保持されている前記関連性情報に応じて変える
手書き文字入力装置。
【請求項11】
手書き文字の入力を受ける文字入力部と、
表示部と、を備える手書き文字入力装置において用いる手書き文字入力方法であって、
前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示するステップと、
前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示するステップと、
を備える手書き文字入力方法。
【請求項12】
手書き文字の入力を受ける文字入力部と、
表示部と、を備える手書き文字入力装置において実行可能な手書き文字入力プログラムであって、
前記文字入力部に入力された手書き文字を認識し、認識した認識文字を前記表示部に表示するステップと、
前記認識文字と所定の関連性を有する関連文字を前記表示部に表示するステップと、
を備える手書き文字入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−238294(P2012−238294A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146166(P2011−146166)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】