説明

投射ユニット

【課題】光源にチップ型LEDを採用することによって装置全体として小型化が図れる投射ユニットを提供する。
【解決手段】本発明は、チップ型LED12と、このチップ型LEDを実装した基板11と、この基板が一端開口側に固定される筒状の筐体16と、筐体内にチップ型LEDに対向して所定の間隔をあけて設けられるマスクフィルム15と、マスクフィルムとチップ型LEDとの間に設けられた集光レンズ13と、筐体の他端開口側に配置した、マスクフィルムを透過した透過光を投射面20に投射して結像させる結像レンズ17と、チップ型LED、集光レンズ及びマスクフィルムを一義的に所定の間隔を維持して固定保持する保持手段14とを具備した投射ユニットを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源にチップ型LEDを用いる投射ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2005-118226号公報(特許文献1)や特開平5−200151号公報(特許文献2)に記載されているような文字や図形を投射面に投射する投射装置が知られている。しかしながら、従来の投射装置は、レーザー光を利用して天井面に投射したり、遊技機の前面ガラスにして投射したりするために、投射装置が遊技機の外に取り付けられており、また大型になっていた。そのため、例えば、パチンコ機のような遊技機の中の空きスペースに組み込んでガラス面や利用者の着衣を投射面にして図形や文字を投射する投射装置の場合、上記従来公知の投射装置は大きすぎて採用できない。
【0003】
そこで、小型化した投射ユニットとして、特開2010-066742号公報(特許文献3)に記載されたものが知られている。この従来の投射ユニットは、平行光を出射する反射型LEDを光源にして光軸長を短くして装置全体として小型化が図れ、遊技機内の空きスペースといった狭いスペースへの組み込みを可能にしたものである。
【0004】
しかしながら、特許文献3の投射ユニットについては、光源が反射型LEDであるため、高輝度発光は可能であるが、発光量の大光量化の点ではさらなる改善が求められていた。特に、カラーマスクフィルムのようなカラー画像の鮮明な投射像を得る必要がある用途では、光源には高輝度発光であると共に大光量発光できるLEDが要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-118226号公報
【特許文献2】特開平5−200151号公報
【特許文献3】特開2010-066742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、光源に大光量の発光が可能なチップ型LEDを採用することによって装置全体として大光量発光と小型化とが共に図れ、遊技機内の空きスペースといった狭いスペースへの組み込みが可能であり、その上に高照度に鮮明な像を投射できる投射ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、チップ型LEDと、前記LEDを実装した基板と、前記基板が一端開口側に固定される筒状の筐体と、前記筐体内に前記チップ型LEDに対向して所定の間隔をあけて設けられるマスクフィルムと、前記マスクフィルムと前記チップ型LEDとの間に設けられた集光レンズと、前記筐体の他端開口側に配置した、前記マスクフィルムを透過した透過光を投射面に投射する結像レンズと、前記チップ型LED、集光レンズ及びマスクフィルムを一義的に所定の間隔を維持して固定保持する保持手段とを具備した投射ユニットである。
【0008】
上記発明の投射ユニットでは、前記マスクフィルムはカラー画像が印画されているカラーフィルムとし、前記チップ型LEDは白色発光するものを採用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の投射ユニットよれば、光源としてのチップ型LEDの出射する光を集光レンズにて集光してマスクフィルムに照射し、マスクフィルムを通過した光を結像レンズにて投射面に投射して結像させることでマスクフィルムに例えばカラー映像のような印刷あるいは描かれた絵や文字の明るい鮮明な像を結像レンズの前方の投射面に拡大して投射し結像させることができる。さらに、チップ型LEDを光源とすることにより小型化して光軸長を短くし、装置全体としての小型化が図れ、遊技機内の空きスペースといった狭いスペースへの組み込みを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の投射ユニットの断面図。
【図2】上記実施の形態の投射ユニットの平面図、正面図及び底面図。
【図3】上記実施の形態の投射ユニットの分解正面図。
【図4】本発明の投射ユニットの使用例としてピンク地に青色の「SR−LED」の文字を印刷したカラーマスクフィルムを採用した投射ユニットによる像投射動作の説明図。
【図5】本発明の実施例と比較例との光学特性のシミュレーション結果の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0012】
図1〜図3を用いて、本発明の第1の実施の形態の投射ユニット10について説明する。本実施の形態の投射ユニット10は、実装基板11、この実装基板11の上に実装されたチップ型LED12、集光レンズ13、この集光レンズ13と一体になり、かつ、集光レンズ13を所定の位置に固定するレンズ固定部材としての集光レンズホルダ14、この集光レンズホルダ14の先端面にて保持されるマスクフィルム15、筐体16、そして結像レンズ17にて構成される。
【0013】
ここでチップ型LEDには、SMD型と呼ばれるものや箱型と呼ばれるものを採用している。すなわち、基板上にLED(発光ダイオード)を緻密に実装して樹脂封止し、その表面を蛍光膜で覆ったような小チップ大光量発光型の白色光を発光するLED発光素子のことである。
【0014】
このようなチップ型LED12を実装基板11上に実装し、このチップ型LED12の周囲を取り囲むようにして実装基板11の上面に筐体16がねじ18にて取り付けられている。111は基板11上のアノード端子、112はカソード端子である。
【0015】
マスクフィルム15には、カラー画像が印画されているカラーフィルムが用いられる。
【0016】
筐体16は下半分が四角筒形の台筒部161、上半分が円筒形の投射筒部162となっている。台筒部161と投射筒部162との接続部分には四角の連通孔163が形成されており、この連通孔163の縁面がマスク支持部164となっていて、カラーのマスクフィルム15の周縁部を支持している。台筒部161の外面の相反対側となる2箇所それぞれにねじ受け部166が形成されている。
【0017】
集光レンズ13と集光レンズホルダ14とは一体ものとして形成されており、集光レンズ13の四隅それぞれの上面側、下面側に一定長の位置決め脚141,142が形成されている。これらの上下各4本ずつの位置決め脚141,142によりレンズ保持手段としての集光レンズホルダ14を構成している。
【0018】
投射ユニット10の組み立てに当たっては、図3に示したように、筐体16の台筒部161内にマスクフィルム15を挿入し、台筒部161の内部上面のマスク支持部164にてマスクフィルム15の四周縁部を支持させ、マスクフィルム15の下側に、集光レンズ13と一体になった集光レンズホルダ14を挿入する。そして、基板11に筐体16の底部のねじ受け部166をねじ18にて固定する。
【0019】
筐体16の上半分の投射筒部162の上部開口面には結像レンズ17を挿入して結像レンズ17の周縁を投射筒部162の内段面部165に接着固定している。尚、この結像レンズ17の固定は接着によるものに限定されることはなく、結像レンズ17を所定の位置に固定できる手段であれば他の手段であってもよい。例えば、特許文献3に記載されている「結像レンズ15」の固定方法のいずれかを採用することができる。
【0020】
図2に詳しいように、集光レンズホルダ14の上下4本ずつの位置決め脚141,142により集光レンズ13はチップ型LED12とマスクフィルム15との間の所定の位置に位置決めされ、またマスクフィルム15は上側の4本の位置決め脚142の上端面によりその四隅が台筒部161の内部上面のマスク支持部164に下側から押し付けられた状態で位置決めされている。尚、集光レンズ13の位置決め手段は、本実施の形態の集光レンズホルダ14の構成に限られるものではなく、例えば、集光レンズ13の上下にそれぞれ所定厚みの四角枠を配置する方法によっても可能であり、集光レンズ13をチップ型LED12とマスクフィルム15との間において一義的に所定の間隔を維持して固定保持することができる保持手段であれば限定されるものではない。その理由については図5を使って後で詳述する。
【0021】
上記の構造の投射ユニット10では、実装基板11のアノード端子111、カソード端子112に給電することによりチップ型LED12を発光させ、このチップ型LED12の光のほぼ全体を集光レンズ13に入射させる。集光レンズ13はチップ型LED12からの光を集光して透過させ、マスクフィルム15のほぼ全面に照射する。集光レンズ13を出射した光はマスクフィルム15を透過して結像レンズ17に至る。結像レンズ17はマスクフィルム15からの光を透過させ、マスクフィルム15に印刷された絵や図形を所定位置の投射面20に結像させる。これにより、マスクフィルム15に印刷された絵や図形15aが投射面20に大きく拡大された投射図形20aになって投射される。尚、図1では投射図形20aに厚みを持たせて表現しているが、これは説明の便宜のためであって、投射文字、図形が実際に厚みを持つことはない。以下の他の図でも同様である。
【0022】
次に、図4を用いて本実施の形態の投射ユニット10の使用例を説明する。図4(a)に示すように、マスクフィルム15には、ピンク地に青色で「SR−LED」の文字が描かれた図形15aが印刷されているとする。白色のチップ型LED12を発光させると、チップ型LED12からの光が集光レンズ13に入射して集光され、束になった光が集光レンズ13から出光してマスクフィルム15に照射される。マスクフィルム15を透過した光は、マスクフィルム15の各部の色の透過光となり、結像レンズ17に入射する。そして結像レンズ17が投射面20にこの透過光を結像させる。これにより、図4(b)に示すように、投射面20にピンク地に青色の「SR−LED」の文字が描かれた投射像20aが結像する。
【0023】
このように、本実施の形態の投射ユニットによれば、チップ型LEDを光源とする投射ユニットに採用することにより、大光量発光の光源を備えながらもユニットサイズの小型化が図れ、狭い空間からでも高輝度で鮮明な図形等のカラー画像を投射面に投射して結像させることができる投射ユニットを提供することができる。
【0024】
尚、上の実施の形態ではチップ型LED12に白色発光のものを採用したが、マスクフィルムに文字部分だけ穴をあけ、文字の穴の部分を通過する光だけを結像レンズ17にて投射面20に結像させる構成を採用することもできる。そしてその場合には、チップ型LED12には大発光量の単色発光のものを採用することが可能である。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例の投射ユニットと比較例1,2との光学特性についてシミュレーションした結果を説明する。図5(a)に本発明の実施例の投射ユニット、図5(b)に比較例1としてチップ型LEDから集光レンズまでの距離を実施例のものよりも長くした投射ユニット、図5(c)に比較例2としてチップ型LEDから集光レンズまでの距離を実施例のものよりも短くした投射ユニットを設定し、実施例、比較例1,2についてマスクフィルムの位置での照度分布をシミュレーションした。
【0026】
実施例の投射ユニットの場合、チップ型LEDからの光のほぼ全体が集光レンズの入射面の全面に亘って入射するので、チップ型LEDの光のほぼ全光量を集光してマスクフィルムのほぼ全面に対して放射することができている。この結果、投射ユニットとして結像レンズから出光する光量も大きく、必要な明るさとコントラストの投射像が得られることが分かった。
【0027】
これに対して、比較例1の投射ユニットではチップ型LEDから集光レンズの入射面までの距離が大きいためにチップ型LEDからの光が大きく広がり、外周部の光が集光レンズに入射しないで外部に放散している。このために、集光レンズに入射する光量が低下する。同時に、集光レンズとマスクフィルムとの距離が短くなるために集光レンズから放射される光がマスクフィルムの全体に拡がらしない。この結果、集光レンズから放射される光量が低下し、またマスクフィルムの位置では四隅において光が当たらない影となる部分が発生している。そして、投射ユニットとしても、結像レンズから出光する光量が低下し、必要な明るさとコントラストの投射像が得られないことが分かった。
【0028】
また比較例2の投射ユニットでは、チップ型LED12から集光レンズ13の入射面までの距離が短いため、逆に集光レンズ13からマスクフィルム15までの距離が大きくなっている。このため、集光レンズ13から放射される光がマスクフィルム15に到達するまでに拡散し、マスクフィルム15に到達する光量が低下する。このために、集光レンズ13から放射される光量が低下し、投射ユニットとして結像レンズ17から出光する光量も低下し、必要な明るさとコントラストの投射像で得られないことが分かった。
【符号の説明】
【0029】
10 投射ユニット
11 実装基板
12 チップ型LED
13 集光レンズ
14 集光レンズホルダ
15 マスクフィルム
15a 図形
16 筐体
161 台筒部
162 投射筒部
17 結像レンズ
19 光軸
20 投射面
20a 投射像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ型LEDと、
前記LEDを実装した基板と、
前記基板が一端開口側に固定される筒状の筐体と、
前記筐体内に前記チップ型LEDに対向して所定の間隔をあけて設けられるマスクフィルムと、
前記マスクフィルムと前記チップ型LEDとの間に設けられた集光レンズと、
前記筐体の他端開口側に配置した、前記マスクフィルムを透過した透過光を投射面に投射する結像レンズと、
前記チップ型LED、集光レンズ及びマスクフィルムを一義的に所定の間隔を維持して固定保持する保持手段とを具備したことを特徴とする投射ユニット。
【請求項2】
前記マスクフィルムはカラーフィルムであり、前記チップ型LEDは白色発光するものであることを特徴とする請求項1に記載の投射ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−227189(P2011−227189A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94948(P2010−94948)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(591244292)株式会社 パールライティング (36)
【Fターム(参考)】