説明

投影装置

【課題】既存のカメラに簡単な方法で取り付け可能な投影装置を提供する。
【解決手段】撮影レンズ3及びこの撮影レンズ3の被写界を観察可能なファインダー光学系8を有する撮像装置(カメラ本体2)の取付部40に取り付けられ、ファインダー光学系8及び撮影レンズ3を介して画像を投影する投影装置50は、取付部40に接続される接続部51aと、画像をファインダー光学系8の結像面に投影するプロジェクタ部60と、プロジェクタ部60の作動を制御する投影側CPU54と、取付部40に接続部51aが接続されたときに、ファインダー光学系8の光軸にプロジェクタ部60の光軸を略一致させる調整機構(第1及び第2の連結部57,58)と、を有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、背面モニタが設けられているものがあり、撮影した画像をこの背面モニタに表示することで、簡単に確認することができる。しかし、このような背面モニタは撮影者が確認するためには十分な大きさではあるが、複数人数で確認する際には小さくて見づらい。そのため、投影装置を内蔵したデジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−205392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像装置を内蔵していないデジタルカメラでは、撮影した画像を投影するために、外付けの投影装置を接続する必要があり、接続が手間であったり、デジタルカメラとは別に、投影機能を有する投影装置を持ち運びしなければならないという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、既存のカメラに簡単な方法で取り付け可能な投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係る投影装置は、撮影レンズ及びこの撮影レンズの被写界を観察可能なファインダー光学系を有する撮像装置の取付部に取り付けられ、ファインダー光学系及び撮影レンズを介して画像を投影する投影装置であって、取付部に接続される接続部と、画像をファインダー光学系の結像面に投影するプロジェクタ部と、プロジェクタ部の作動を制御する投影側CPUと、取付部に接続部が接続されたときに、ファインダー光学系の光軸にプロジェクタ部の光軸を略一致させる調整機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
このような投影装置は、取付部に接続された接続部を介して撮像装置と情報の送受信を行う通信部を有することが好ましい。
【0008】
また、このような投影装置において、投影側CPUは、プロジェクタ部により画像を投影するときに、撮影レンズの絞りを開放させるように構成されることが好ましい。
【0009】
また、このような投影装置において、投影側CPUは、撮像装置から撮像レンズの被写界の輝度分布を取得し、プロジェクタ部の光量を調整するように構成されることが好ましい。
【0010】
また、このような投影装置において、投影側CPUは、撮像装置の画像記録媒体から画像ファイルを読み出して、プロジェクタ部で投影するように構成されることが好ましい。
【0011】
また、このような投影装置において、投影側CPUは、画像ファイルの属性情報に基づいて、プロジェクタ部の光量を調整するように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明を以上のように構成すると、既存のカメラに簡単な方法で取り付け可能な投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】投影装置が取り付けられたカメラシステムの構成を示す説明図である。
【図2】カメラシステムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を用いて、本実施形態に係る投影装置及びこの投影装置が取り付けられる撮像装置の一例であるカメラシステム1の構成について説明する。図1に示すように、カメラシステム1は、カメラ本体2と交換可能な撮影レンズ3とを組み合わせ、撮像部である撮像素子9で撮影を行う撮像装置として機能する、レンズ交換式一眼レフカメラである。
【0015】
撮影レンズ3は、フォーカスレンズ、ズームレンズおよび防振レンズを含むレンズ群4、絞り5、カメラシステム1の振れを検出する角速度センサ6、レンズ群4を駆動する不図示の駆動装置等を備える。角速度センサ6は、少なくとも光軸に直交する2軸周りの角速度を検出する。駆動装置は、例えば振動波モータ、VCMにより構成される複数のモータを有し、フォーカスレンズを光軸方向に駆動し、防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動する。また、撮影レンズ3は、この撮影レンズ3の全体を制御すると共に、カメラ本体2と協働するレンズCPU7を有する。
【0016】
カメラ本体2は、撮影レンズ3からの光束を反射してファインダー光学系8に導く反射位置と、撮影レンズ3からの光束がCCDまたはCMOSなどから構成される撮像素子9に入射するように退避する退避位置とで揺動するメインミラー10を備える。このメインミラー10の一部の領域は半透過領域となっており、カメラ本体2は、この半透過領域を透過した光束を焦点検出センサ11へ反射するサブミラー12を備える。このサブミラー12は、メインミラー10に連動して揺動し、メインミラー10が退避位置をとるときには、サブミラー12も光束から退避する。なお、焦点検出センサ11は、位相差方式により入射する光束の焦点状態を検出する。
【0017】
反射位置にあるメインミラー10で反射された光束は、焦点板13、ペンタプリズム14を介してファインダー光学系8へ導かれる。このファインダー光学系8は、複数のレンズから構成されており、ユーザはファインダー光学系8により被写界を確認することができる。
【0018】
また、ペンタプリズム14を透過する光束の一部は測光センサ15に導かれる。測光センサ15は、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより、被写界の輝度分布を計測する。
【0019】
メインミラー10が退避位置にあるときには、撮影レンズ3からの光束は、ローパスフィルター19を介して撮像素子9に入射する。撮像素子9の近傍には撮像基板20が設けられており、撮像基板20の後方には外部に面して背面モニタ21が設けられている。また、カメラ本体2は、撮影レンズ3のマウント部近傍で撮影レンズ3と干渉しない位置に、被写界の音を取り込むマイク17と、ファインダー光学系8の近傍にビープ音などを発するスピーカ18を備える。
【0020】
カメラ本体2の上部には、閃光装置等の外部機器を取り付けるための取付部40が設けられいる。この取付部40は、アクセサリーシュー(もしくはホットシュー)と呼ばれ、取り付けられた閃光装置に電力を供給するとともに、閃光タイミングの信号を、このカメラ本体2から閃光装置に送信するように構成されている。本実施形態においては、この取付部40に投影装置50が取り付けられるように構成されている。
【0021】
投影装置50は、カメラ本体2の取付部40に、この投影装置50を接続するための接続部51aが設けられた第1筐体51と、この第1筐体51から後方に伸びる第2筐体52と、第2筐体52から下方に伸びる第3筐体53と、から構成される。なお、第1筐体51と第2筐体52との間は前後方向に延び縮みする第1連結部57で接続され、第2筐体52と第3筐体53とは、上下方向に延び縮みする第2連結部58で接続されている。
【0022】
第1及び第2連結部57,58は、例えば、複数の筒状部材を入れ子式に組み合わせて伸縮するように構成しても良いし、一方の筐体にボルトを固定し、他方に筐体にナットを固定して、このナットをボルトに対して螺合することにより、伸縮させるように構成することも可能である。また、この第1及び第2連結部57,58にラチェット機構を用いて、伸縮した位置で連結する筐体を固定するように構成することも可能である。
【0023】
また、この投影装置50には、光源61と、この光源61からの光を略平行光束に変換する集光レンズ62と、集光レンズ62から出射した光を透過して液晶デバイス(LCOS等)やDMD等のライトバルブ64に導くとともに、このライトバルブ64で反射した光を反射する偏光分離面63aが形成された偏光ビームスプリッタ63と、偏光ビームスプリッタ63で反射した光を集光してライトバルブ64の像を結像する投影レンズ65と、投影レンズ65からの光を反射して、カメラ本体2のファインダー光学系8に導くミラー66と、からなるプロジェクタ部60が配置されている。このプロジェクタ部60は、本実施形態においては、第2筐体52及び第3筐体53に配置されている。また、この投影装置50の第1筐体51には、カメラ本体2に設けられた通信部31と通信をするための投影側通信部55、及び、この投影側通信部55を介してカメラ本体CPU27と通信をするとともに、光源61やライトバルブ64の制御を行う投影側CPU54が設けられている。また、第3筐体53の背面部には、この投影装置50を操作するための表示装置やスイッチからなる入出力部59が設けられている。
【0024】
この投影装置50は、カメラ本体2の取付部40に接続部51aが接続されたときに、プロジェクタ部60の光軸とファインダー光学系8の光軸とが略同一直線上に一致するとともに、ファインダー光学系8の結像面と投影レンズ65によるライトバルブ64の結像面とが略一致するように構成されている。なお、ミラー66で反射した光がファインダー光学系8に入射するように、第3筐体53の前面部には、窓53aが形成されている。また、ファインダー光学系8及びプロジェクタ部60の光軸を一致させるために、第1接続部57及び第2接続部58からなる調整機構を伸縮させて調整を行うように構成されている。
【0025】
このような投影装置50において、光源61から放射された照明光は、集光レンズ62で集光されて略平行光に変換された後、偏光ビームスプリッタ63に入射する。そして、この偏光ビームスプリッタ63に入射した光のうち、S偏光成分の光は偏光分離面63aで反射してこの偏光ビームスプリッタ63から外部に放射され、P偏光成分の光は偏光分離面63aを透過してライトバルブ64に照射される。
【0026】
本実施形態に係るライトバルブ64を、シリコン基板とガラス基板との間に液晶を介在させた液晶パネル(LCOS)であるとして説明する。このライトバルブ64のシリコン基板上にはTFT等のスイッチング素子や電極が画素の各サブピクセルに対応して設けられている。また、シリコン基板の最表面には光を反射させるアルミ層が形成されている。そして、透明電極が形成されたガラス基板との間に介在する液晶層を電気的に駆動して映像を表示させることができる。不図示の駆動回路から入力される映像信号のレベルに基づいてライトバルブ64の各画素に設けられた電極への電圧の印加を制御することにより、映像信号のレベルに応じてライトバルブ64の各電極に電圧が印加されると、液晶層の液晶分子の配列が変化してこの液晶層が位相板の役目を果たすようになる。その結果、電圧印加状態に応じた映像パターンがライトバルブ64に形成され、空間光変調が行われる。すなわち、ライトバルブ64のガラス基板側から入射したP偏光成分の光は、シリコン基板側の反射面(アルミ層)で反射されて再びガラス基板から射出されるが、その間に白画素部に入射したP偏光成分の光は偏光方向が90°回転されてS偏光成分の光に変調(偏光変換)される。一方、黒画素部に入射したP偏光成分の光は偏光状態が変化せず、P偏光成分のまま射出される。なお、ライトバルブ64は、カラーフィルタを備えたカラー表示のLCOSを用いることで、カラー画像の表示が可能になる。
【0027】
そして、このライトバルブ64で反射した光は、再び偏光ビームスプリッタ63に入射する。ここで、ライトバルブ64の黒画素部を透過したP偏光成分の光のほとんどは、偏光分離面63aを透過して光源61側へと戻る。一方、ライトバルブ64の白画素部で変調されて射出されたS偏光成分の光は偏光分離面63aで反射した後この偏光ビームスプリッタ63から射出され、投影レンズ65によりファインダー光学系8に投影される。その結果、ライトバルブ64に表示された画像がファインダー光学系8の結像面上に形成される。
【0028】
このライトバルブ64の画像は、ファインダー光学系8を介してペンタプリズム14を透過し、メインミラー10で反射されて撮影レンズ3により投影される。そのため、この撮影レンズ3の物体側焦点面にライトバルブ64の画像が形成される。
【0029】
なお、プロジェクタ部60によるライトバルブ64の画像の投影位置と、ファインダー光学系8の結像面との調整は、例えば、投影レンズ65により行うことができる。また、この投影レンズ65に変倍機能を持たせ、ファインダー光学系8に投影される画像の倍率を変化可能に構成することも可能である。
【0030】
また、この投影装置50は、第1筐体51に対して、第2及び第3筐体52,53を、揺動軸56を中心に上下方向に揺動可能に構成されている。そのため、この投影装置50がカメラ本体2に取り付けられた状態でも、第2及び第3筐体52,53を上方に揺動させることにより、ファインダー光学系8を介して被写界を観察することができる。
【0031】
図2は、本実施形態に係るカメラシステム1のブロック図である。カメラ本体CPU27により、このカメラシステム1の全体の制御が行われる。また、撮像基板20は、撮像素子9を駆動する駆動回路23、撮像素子9の出力をデジタル信号に変換するA/D変換回路24、ASICで構成される画像処理制御回路25および撮像素子9からの信号の高周波成分を抽出するコントラストAF回路26などを有している。
【0032】
画像処理制御回路25は、デジタル信号に変換された画像信号に対してホワイトバランス調整、シャープネス調整、ガンマ補正、階調調整などの画像処理を施すと共に、JPEGなどの画像圧縮を行って画像ファイルを生成する。また、画像処理制御回路25は、画像信号から各種収差判定を行い、撮影した画像の収差に関する情報をカメラ本体CPU27に出力する。例えば、倍率色収差が発生している場合、R,G,Bのそれぞれのエッジの位置がずれてしまう。この色毎のエッジのずれ量を検出することにより、倍率色収差量を検出することができる。
【0033】
画像処理制御回路25により生成された画像ファイルは、画像記録媒体37に記憶される。この画像記録媒体37は、カメラ本体2に対して着脱可能なフラッシュメモリなどの記録媒体であっても良いし、カメラ本体2に内蔵されるSSD(Solid State Drive)などの記録媒体であっても良い。
【0034】
画像処理を施された画像信号は、背面モニタ制御回路28の制御により、背面モニタ21に表示される。この背面モニタ21に撮影直後に撮影された画像信号を所定時間表示すれば、画像記録媒体37に記録された画像ファイルに対応する画像をユーザに視認させることができる。また、撮像素子9が連続的に光電変換する被写界像を、画像記録媒体37に記録することなく背面モニタ21に逐次表示すればライブビュー表示を実現できる。さらに、撮像素子9が連続的に光電変換する被写界像を、例えばMPEGなどの動画圧縮処理を画像処理制御回路25で施して画像記録媒体37に記録すれば、動画撮影を実現することができる。このとき、マイク17で収集した被写界の音声も圧縮処理して、動画データに同期させて記録する。生成される動画像のフレームレートは、例えば30fpsなど、複数のフレームレートから選択されて設定される。
【0035】
コントラストAF回路26は、撮像素子9からの撮像信号の高周波成分を抽出してAF評価値信号を生成し、これが最大になるフォーカスレンズ位置を検出する。具体的には、画像処理制御回路25から入力される画像信号から、バンドパスフィルタを用いて所定の高周波成分を抽出し、ピークホールド、積分等の検波処理を行ってAF評価値信号を生成する。生成したAF評価値信号は、カメラ本体CPU27に出力する。
【0036】
レンズCPU7は、角速度センサ6で検出した手振れをキャンセルするように、撮影レンズ3内の防振レンズを光軸方向とは異なる方向に駆動して光学式手振れ補正を実現している。手振れ補正はこのような光学式手振れ補正に限らず、撮像素子9に駆動機構を付与して、光軸方向とは異なる方向に駆動して手振れをキャンセルする撮像素子駆動式手振れ補正を採用することもできる。さらには、画像処理制御回路25から出力された複数枚の画像間の動きベクトルを算出し、算出した画像間の動きベクトルをキャンセルするように画像読み出し位置を制御して手振れをキャンセルする電子式手振れ補正を採用することもできる。光学式手振れ補正および撮像素子駆動式手振れ補正は特に静止画撮影に好適であり、動画撮影にも適用される。電子式手振れ補正は動画撮影に好適である。これらの方式は、選択的、追加的に採用され得る。
【0037】
また、カメラ本体CPU27は、レンズCPU7と連携し、焦点検出センサ11の出力に応じて撮影レンズ3を構成するフォーカスレンズの作動を制御することによりAF動作を行う。さらに、カメラ本体CPU27は、撮影レンズ3を構成するズームレンズの状態(焦点距離)や、この撮影レンズ3自体の情報(例えば、広角レンズ、望遠レンズ、マクロレンズ等のレンズ種別)をレンズCPU7を介して取得することができる。
【0038】
測光センサ15は、上述のように、撮影レンズ3へ入射する光束を複数の領域ごとに測光することにより被写界の輝度分布を計測するが、計測結果はカメラ本体CPU27に出力する。カメラ本体CPU27では、選択された測光モードに応じて露出値を算出する。測光モードとしては、明るい部分と暗い部分のバランスを取る分割測光モード、画面中央を適正露出とする中央重点測光モード、選択したフォーカスポイントの狭領域を適正露出とするスポット測光モードなどが選択され得る。
【0039】
フラッシュROM29は、EEPROM(登録商標)であり、カメラシステム1を動作させるプログラムのほか、各種調整値、設定値を記憶する記憶装置である。また、RAM30は、フラッシュROM29に記憶されたプログラムが展開され、カメラ本体CPU27が高速にアクセスできるDRAMなどの高速RAMである。特に頻繁に参照される各種調整値、設定値などもフラッシュROM29からコピーされ、カメラ本体CPU27からのアクセスを容易にする。
【0040】
背面モニタ制御回路28は、上述のように画像処理された画像の他、フラッシュROM29から読み出したメニュー設定画面およびユーザガイド画面を背面モニタ21へ表示する表示制御を行う。また、背面モニタ21の表面にはタッチパネルセンサが積層されており、ユーザが背面モニタ21のメニュー項目等を視認しつつタッチパネルセンサを操作したときには、その座標とその座標に対応して表示されていたメニュー項目をカメラ本体CPU27へ出力する。
【0041】
レリーズSW32は、2段式のスイッチである。ユーザがレリーズSW32を半押しすると、オートフォーカス、測光などの撮影準備動作を行う。さらにユーザがレリーズSW32を全押しすると、カメラ本体CPU27は、静止画、動画の撮影動作を開始する。
【0042】
通信部31は、前述のように投影装置50の投影側通信部55と通信するものである。また、カメラ本体CPU27は、レンズCPU7および投影側CPU54と協働してカメラシステム1の全体を制御する。
【0043】
投影装置50が取付部40に取り付けられると、投影側CPU54は、取付部40から電力の供給を受けて作動するとともに、投影側通信部55を介してカメラ本体CPU27と通信を行う。この投影側CPU54は、カメラ本体2の画像記録媒体37に記憶されている画像ファイル(静止画及び動画)を読み出し、この画像ファイルの画像をライトバルブ64を介してプロジェクタ部60によりファインダー光学系8に投影するように構成されている。なお、画像記録媒体37に記憶されている画像ファイルの選択は、例えば、投影側通信部55を介して画像記録媒体37に記録されている画像ファイルのリストを取得し、入出力部59の表示装置に表示し、スイッチで選択させるように構成されている。
【0044】
上述のように、投影装置50により、ファインダー光学系8に投影されたライトバルブ64の画像は、カメラ本体2に取り付けられた撮影レンズ3を介して投影されるように構成されている。このとき、カメラ本体CPU27は、レンズCPU7と連携し、焦点検出センサ11の出力に応じて撮影レンズ3を構成するフォーカスレンズの作動を制御することによりAF動作を行うため、例えば、壁等に投影する場合には、このカメラ本体CPU27のAF動作により、投影しようとする壁に撮影レンズ3の焦点が合うことになる。そのため、投影装置50の画像の焦点もこの壁に合わせることができ、鮮明な映像が投影されることになる。
【0045】
また、投影装置50からの光を効率良く投影するために、撮影レンズ3の絞り5は開放の状態にすることが好ましい。そのため、この絞り5の作動を、カメラ本体CPU27からレンズCPU7を介して制御できる場合には、投影側CPU54は、プロジェクタ部60を介して画像を投影するときに、絞り5が開放するように自動的に調整するように構成されている。
【0046】
また、撮影レンズ3の被写界の輝度分布は、測光センサ15を介してカメラ本体CPU27で測定されている。そのため、投影側CPU54は、カメラ本体CPU27から被写界の輝度分布の情報を取得し、光源61の光量を調整するように構成されている。例えば、被写界の輝度分布が明るいときは、光源61の光量を大きくして、明るい画像を投影し、反対に被写界の輝度分布が暗いときは、光源61の光量を小さくして電力消費を抑えるように制御する。同様に、投影側CPU54は、カメラ本体CPU27からホワイトバランスの情報を取得し、光源61から放射される光の色温度を調整するように構成することもできる。また、投影側CPU54は、投影しようとする画像ファイルに含まれる属性情報(例えば、Exif情報)に基づいて、光源61の光量や色温度を調整するように構成しても良い。
【0047】
なお、以上の説明の投影装置50は、カメラ本体CPU27との通信を、カメラ本体2の取付部40を介して行うように構成した場合について説明したが、カメラ本体2に対する投影装置50の接続機能(固定機能)及び投影装置50に対する電力供給機能だけをこの取付部40に持たせ、投影装置50の投影側CPU54とカメラ本体CPU27との通信は、別の経路(例えば、カメラ本体2と投影装置50とを繋ぐケーブル)により行うように構成することも可能である。また、この投影装置50に電源を持たせることにより、カメラ本体2から電源供給を受けなくても作動させることができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る投影装置50によると、画像を投影する機能を有しないカメラ本体2においても、このカメラ本体2に設けられた閃光装置等の外部機器を接続するための取付部(アクセサリーシューまたはホットシュー)40にこの投影装置50を取り付けることにより、画像記録媒体37に記憶されている画像ファイルを簡単に投影することができるので、このカメラ本体2で撮影された画像を複数人数で確認することが容易になる。このとき、画像を投影するための光学系の一部をカメラ本体2に取り付けられた撮影レンズ3を用いるため、投影装置50の光学系の構成を簡単にし、小型化・軽量化が可能となる。また、壁等の投影領域に対する焦点の調節や、投影領域の明るさ等をカメラ本体2の機能を用いて行うことができるため、投影装置50の構成を簡単にすることもできる。
【0049】
また、カメラ本体2の種類により、取付部40とファインダー光学系8との相対位置が異なる場合があるが、第1筐体51及び第2筐体52を連結する第1連結部57と、第2筐体52及び第3筐体53を連結する第2連結部58とを伸縮させることにより、ファインダー光学系8とプロジェクタ部60の光軸の調整を容易に行うことができる。なお、第1筐体51に対して第2筐体52を左右方向に相対移動可能に構成することにより、取付部40とファインダー光学系8の左右方向の相対位置も調整することができる。
【0050】
なお、以上の説明では、カメラ本体2に対して撮影レンズ3が交換可能なカメラシステム1について説明したが、本実施形態に係る投影装置50は、カメラ本体2に対して撮影レンズ3が一体に取り付けられたカメラシステム1にも取り付けることが可能である。また同様に、本実施形態に係る投影装置50は、メインミラー10を有しないカメラシステム1に取り付けることも可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 カメラシステム 2 カメラ本体(撮像装置3) 3 撮影レンズ
8 ファインダー光学系 40 取付部 50 投影装置
51a 接続部 54 投影側CPU 55 投影側通信部
57 第1連結部(調整機構) 58 第2連結部(調整機構)
60 プロジェクタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズ及びこの撮影レンズの被写界を観察可能なファインダー光学系を有する撮像装置の取付部に取り付けられ、前記ファインダー光学系及び前記撮影レンズを介して画像を投影する投影装置であって、
前記取付部に接続される接続部と、
前記画像を前記ファインダー光学系の結像面に投影するプロジェクタ部と、
前記プロジェクタ部の作動を制御する投影側CPUと、
前記取付部に前記接続部が接続されたときに、前記ファインダー光学系の光軸に前記プロジェクタ部の光軸を略一致させる調整機構と、を有することを特徴とする投影装置。
【請求項2】
前記取付部に接続された前記接続部を介して前記撮像装置と情報の送受信を行う通信部を有することを特徴とする請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記投影側CPUは、前記プロジェクタ部により前記画像を投影するときに、前記撮影レンズの絞りを開放させるように構成されることを特徴とする請求項2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記投影側CPUは、前記撮像装置から前記撮像レンズの被写界の輝度分布を取得し、前記プロジェクタ部の光量を調整するように構成されることを特徴とする請求項2または3に記載の投影装置。
【請求項5】
前記投影側CPUは、前記撮像装置の画像記録媒体から画像ファイルを読み出して、前記プロジェクタ部で投影するように構成されることを特徴とする請求項2〜3のいずれか一項に記載の投影装置。
【請求項6】
前記投影側CPUは、前記画像ファイルの属性情報に基づいて、前記プロジェクタ部の光量を調整するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の投影装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−208328(P2012−208328A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74148(P2011−74148)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】