抗−TNFα抗体の投与方法

【課題】TNFα活性が有害となる疾患に関する新規治療方法の提供。
【解決手段】ヒト腫瘍壊死因子α(hTNFα)に特異的に結合するヒト抗体、好ましくは組換えヒト抗体を隔週皮下投与する。メトトレキサートと一緒に投与してもよい。抗体はhTNFαに対して高いアフィニティー(例えば、K=10−8M以下)及び遅いhTNFα解離オフレート(Koff=10−3sec−1以下)を有し、インビトロ及びインビボでhTNFα活性を中和する。抗体は完全長抗体またはその抗原結合部分である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
腫瘍壊死因子α(TNFα)は単核細胞やマクロファージを含めた多数の細胞型より産生されるサイトカインであり、元々あるマウス腫瘍の壊死を誘発する能力に基づいて同定された(例えばL.Old,Science,230:630−632(1985)参照)。その後、悪液質に関連するカケクチンと称される因子がTNFαと同一分子であることが分かった。TNFαはショックの媒介に関与している(例えばB.Beutler及びA.Cerami,Annu.Rev.Biochem.,57:505−578(1988)及びB.Beutler及びA.Cerami,Annu.Rev.Immunol.,7:625−655(1989)参照)。更に、TNFαは、敗血症、感染症、自己免疫疾患、移植片拒絶及び移植片−宿主病を含めた他の各種ヒト疾患及び障害の病態生理に関わっている(例えばP.Vasilli,Annu.Rev.Immunol.,10:411−452(1992);K.J.Tracey及びA.Cerami,Annu.Rev.Med.,45:491−503(1994)参照)。
【0003】
ヒトTNFα(hTNFα)が各種のヒト疾患において有害な役割を示すので、hTNFα活性を阻害または拮抗するための治療方法が設計されてきた。特に、hTNFα活性の阻害手段としてhTNFαに結合し、中和する抗体が求められてきた。最初に開発された幾つかの抗体は、hTNFαで免疫化したマウスのリンパ球から作成したハイブリドーマより産生されるマウスモノクローナル抗体(mAb)であった(例えばT.Hahnら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3814−3818(1985);C−M.Liangら,Biochem.Biophys.Res.Commun.,137:847−584(1986);M.Hiraiら,J.Immunol.Methods,96:57−62(1987);B.M.Fendlyら,Hybridoma,6:359−370(1987);A.Mollerら,Cytokine,2:162−169(1990);Moellerらの米国特許第5,231,024号明細書;D.Wallachの欧州特許第186 833号明細書;Oldらの欧州特許出願公開第218868号明細書;A.Moellerらの欧州特許第260610号明細書参照)。前記したマウス抗−hTNFα抗体はしばしばhTNFαに対して高いアフィニティー(例えば、K≦10−9M)を示し、hTNFα活性を中和することができたが、マウス抗体のヒトへの投与に関連する問題、例えば血清半減期が短い、幾つかのヒトエフェクター機能をトリガーできない及びヒトにおけるマウス抗体に対する望ましくない免疫応答("ヒト抗−マウス抗体"(HAMA)反応)があるために前記マウス抗体をインビボで使用することは制限されている。
【0004】
完全マウス抗体のヒトにおける使用に関連する問題を解消する試みにおいて、より"ヒト様"とすべくマウス抗−hTNFα抗体を遺伝工学処理してきた。例えば、抗体鎖の可変領域がマウス由来であり、抗体鎖の定常領域がヒト由来であるキメラ抗体を作成した(D.M.Knightら,Mol.Immunol.,30:1443−1453(1993);P.E.Daddonaらの国際特許出願公開第92/16553号)。更に、抗体可変領域の超可変ドメインがマウス由来であり、残りの可変領域及び抗体の定常領域がヒト由来であるヒト化抗体も作成された(J.R.Adairらの国際特許出願公開第92/11383号)。しかしながら、これらのキメラ抗体及びヒト化抗体は依然として幾つかのマウス配列を保持しているので、これらの抗体は例えば関節リウマチのような慢性疾患のために特に長期間投与したときに望ましくない免疫反応を惹起する恐れがある(例えばM.J.Elliottら,Lancet,344:1125−1127(1994);M.J.Elliotら,Lancet,344:1105−1110(1994)参照)。
【0005】
マウスmAbまたはその誘導体(例えば、キメラまたはヒト化抗体)に対する好ましいhTNFα阻害剤はたとえ長期間使用したときでもHAMA反応を惹起してはならないので、前記阻害剤は好ましくは完全にヒト抗−hTNFα抗体である。hTNFαに対するヒトモノクローナル抗体はヒトハイブリドーマ方法を用いて作成されている(P.Boyleら,Cell.Immunol.,152:556−568(1993);P.Boyleら,Cell.Immunol.,152:569−581(1993);Boyleらの欧州特許出願公開第614984号明細書)。しかしながら、これらのハイブリドーマ由来モノクローナル抗体はhTNFαに対して慣用の方法により計算するには余りに低すぎるアフィニティーしか有していないと報告されており、可溶性hTNFαに結合できず、hTNFα誘導性細胞毒性を中和できない(上掲したBoyleら参照)。更に、ヒトハイブリドーマ技術の成功はhTNFαに対して特異的な自己抗体を産生するリンパ球がヒト末梢血中に自然に存在しているかに依存している。ある研究では、ヒト患者においてhTNFαに対する血清自己抗体が検出され(A.Fomsgarrdら,Scand.J.Immunol.,30:219−223(1989);K.Bendtzenら,Prog.Leukocyte Biol.,10B:447−452(1990))、他の研究では検出されなかった(H−G,Leuschら,J.Immunol.Methods,139:145−147(1991))。
【0006】
天然に存在するヒト抗−hTNFα抗体に代わるものは組換えhTNFα抗体であろう。比較的低いアフィニティー(すなわち、K〜10−7M)及び早いオフレート(すなわち、Koff〜10−2sec−1)でhTNFαに結合する組換えヒト抗体は公知である(A.D.Griffithら,EMBO J.,12:725−734(1993))。しかしながら、この抗体はその解離速度が比較的速いために治療に使用するのには適さないことがある。更に、hTNFα活性を中和せず、むしろ細胞の表面へのhTNFαの結合を高め、hTNFαの内部移行を高める組換えヒト抗−hTNFも公知である(A.Lidburyら,Biotechnol.Ther.,5:27−45(1994);R.Astonらの国際特許出願公開第92/03145号)。
【0007】
可溶性hTNFαに高いアフィニティー及び遅い解離速度で結合し、(インビトロ及びインビボでの)hTNFα誘導性細胞毒性及びhTNFα誘導性細胞活性化を含めたhTNFα活性を中和する能力を有する組換えヒト抗体も公知である(例えば米国特許第6,090,382号明細書)。典型的なプロトコルでは、抗体を毎週静脈投与する。抗体及び/または薬物の毎週投薬はコストがかかり、面倒で、投与回数が多いために副作用の数が増加する。静脈投与には、通常医学的トレーニングを受けた人しか投与できないという制限もある。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、TNFα関連疾患を治療するための、好ましくは皮下ルートを介する隔週投薬レジメン方法を提供する。隔週投薬は毎週投薬に比して総注射回数が少ない、注射部位の反応(例えば、局所痛及び腫脹)の数が少ない、(注射回数を減らしたことにより)患者のコンプライアンスの改善、患者及び医療従事者のコスト負担の軽減を含めた多くの点で有利であり、利点はこれらに限定されない。皮下投薬は治療薬(例えば、ヒトTNFα抗体)を患者自身が投与し得るので有利である。自己投与は患者にとっても医療従事者にとっても便利である。
【0009】
本発明はTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。この方法は患者に対する抗体の隔週皮下注射を含む。好ましくは、前記抗体はヒトTNFαに特異的に結合する組換えヒト抗体である。本発明は更にTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。この方法は、患者に対してヒト抗体を別の治療薬、例えば他の標的に結合する1つ以上の追加抗体(例えば、他のサイトカインに結合する抗体または細胞表面分子に結合する抗体)、1つ以上のサイトカイン、可溶性TNFα受容体(例えば国際特許出願公開第94/06476号参照)及び/またはhTNFα産生または活性を阻害する1つ以上の化学物質(例えば、国際特許出願公開第93/19751号に記載されているシクロヘキサン−イリデン誘導体)、好ましくはメトトレキサートと共に投与する併用療法を利用する。好ましくは、前記抗体はヒトTNFαに特異的に結合する組換えヒト抗体である。本発明の抗体はhTNFαに対して高いアフィニティー及び遅い解離速度で結合し、hTNFα誘導性細胞毒性(インビトロ及びインビボで)及びhTNFα誘導性細胞活性化を含めたhTNFα活性を中和するという特徴を有する。本発明の抗体は完全長抗体(例えば、IgG1またはIgG4抗体)であり得、または抗原結合部分(例えば、Fab、F(ab’)、scFv断片または単一ドメイン)のみを含み得る。本発明の最も好ましい組換え抗体はD2E7と称されるもので、配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメイン及び配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDRドメインを有する(後記配列表参照)。好ましくは、D2E7抗体は配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有する。この抗体は援用により本明細書に含まれるとする米国特許第6,090,382号明細書に記載されている。
【0010】
1実施態様で、本発明はTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。この方法は前記疾患を治療するように抗−TNFα抗体を隔週皮下投与することによりヒトTNFα活性を阻害することを含む。前記疾患は、例えば敗血症、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎及びネフローゼ症候群)、感染症、悪性疾患、移植片拒絶、移植片−宿主病、肺疾患、骨疾患、腸疾患または心疾患であり得る。
【0011】
別の実施態様で、本発明はTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。この方法は前記疾患を治療するように抗−TNFα抗体及びメトトレキサートを皮下投与することによりヒトTNFα活性を阻害することを含む。1つの態様で、メトトレキサートは抗−TNFα抗体と同時に投与される。別の態様で、メトトレキサートは抗−TNFα抗体の投与前に投与される。別の態様では、メトトレキサートは抗−TNFα抗体の投与の後に投与される。
【0012】
好ましい実施態様で、TNFα活性が害となっている疾患を治療するために使用される抗−TNFα抗体はヒト抗−TNFα抗体である。更に好ましくは、治療は単離ヒト抗体またはその抗原結合部分を隔週皮下投与することにより実施される。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分はいずれも表面プラズモン共鳴で測定して1×10−8M以下のK及び1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離し、標準インビトロL929アッセイにおいてヒトTNFα細胞毒性を1×10−7M以下のIC50で中和する。より好ましくは、単離ヒト抗体またはその抗原結合部分は5×10−4−1以下のKoff、更に好ましくは1×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。より好ましくは、単離ヒト抗体またはその抗原結合部分は標準インビトロL929アッセイにおいてヒトTNFα細胞毒性を1×10−8M以下のIC50、より好ましくは1×10−9M以下のIC50、更に好ましくは1×10−10M以下のIC50で中和する。
【0013】
別の実施態様で、本発明は患者に対してヒト抗体またはその抗原結合部分を隔週皮下投与することを含むTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。前記抗体またはその抗原結合部分は好ましくは、
a)表面プラズモン共鳴で測定して1×10−3−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより、または位置No.1、3、4、6、7、8及び/または9において1〜5個の同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより、または位置No.2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/または12において1〜5個の同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する;
という特徴を有する。
【0014】
より好ましくは、抗体またはその抗原結合部分は5×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。更に好ましくは、抗体またはその抗原結合部分は1×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。
【0015】
更に別の態様で、本発明はTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。前記方法は患者に対してヒト抗体またはその抗原結合部分を隔週皮下投与することを含む。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有するLCVR及び配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有するHCVRを含む。より好ましくは、LCVRは更に配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有し、HCVRは更に配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有する。更に好ましくは、LCVRは更に配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有し、HCVRは更に配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有する。
【0016】
更に別の態様で、本発明は単離ヒト抗体またはその抗原結合部分を患者に対して隔週皮下投与することを含むTNFα活性が害となっている疾患の治療方法を提供する。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は配列番号1のアミノ酸配列を含むLCVR及び配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRを含む。ある実施態様では、抗体はIgG1重鎖定常領域またはIgG4定常領域を有する。更に別の実施態様では、抗体はFab断片、F(ab’)断片または単鎖Fv断片である。
【0017】
更に別の態様で、本発明は1つ以上の抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分を患者に対して隔週皮下投与することを含む抗−TNFα抗体の投与が有効な疾患の治療方法を提供する。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は配列番号3、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有するLCVR、または配列番号4、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34及び配列番号35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有するHCVRを含む。
【0018】
本発明の更に別の態様は、医薬組成物を含む製剤を含むキットに関する。前記キットは抗−TNFα抗体及び薬学的に許容され得る担体を含む。前記キットは抗−TNFα抗体の投与が有効である疾患の治療のために医薬組成物の隔週皮下投薬を指示する使用説明書を含む。別の態様で、本発明は抗−TNFα抗体、メトトレキサート及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を含む製剤を含むキットに関する。前記キットは抗−TNFα抗体の投与が有効である疾患の治療のために医薬組成物の隔週皮下投薬を指示する使用説明書を含む。
【0019】
本発明の更に別の態様は、抗−TNFα抗体及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を収容してなる前充填注射器を提供する。更に別の態様で、本発明は抗−TNFα抗体、メトトレキサート及び薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を収容してなる前充填注射器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】抗体D2E7を合計で12週間毎週皮下投薬した後(1A)または抗体D2E7及びメトトレキサートを合計で24週間隔週皮下投薬した後(1B)の関節リウマチ(RA)患者のアメリカリウマチ学会20(ACR20)及びACR50応答を示す。これらのデータは隔週投薬が毎週投薬と同じくらい有効であることを示す。
【図2】抗体D2E7及びメトトレキサートを24週間隔週皮下投薬した後のRA患者のACR20、ACR50及びACR70応答を指す。
【図3】抗体D2E7及びメトトレキサートを24週間隔週皮下投薬した後のRA患者の24週間にわたる圧痛のある関節カウント(3A)及び腫脹関節カウント(3B)の経時的変化を示す。
【図4】抗体D2E7及びメトトレキサートを24週間隔週皮下投薬した後のRA患者の短健康調査(SF−36)の結果を示す。RP=肉体的役割;PF=肉体的機能;BP=身体痛み;GH=全身健康状態;V=生命力;SF=社会的機能;RE=感情的役割;ME=精神的健康。
【図5】RA患者に抗体D2E7及びメトトレキサートを1回静注後のACR応答者のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細説明)
本発明は、抗−TNF−α抗体の投与が有効な疾患を治療するようにヒトTNF−αに対して高いアフィニティー、低いオフレート及び高い中和能力で結合する単離ヒト抗体またはその抗原結合部分を投与することを含む前記疾患の治療方法に関する。本発明の各種態様は抗体及び抗体断片並びにその医薬組成物を用いる治療に関する。
【0022】
本発明をより深く理解するために、まず幾つかの用語を定義する。
【0023】
本明細書中、「投薬」は、治療目的を達成する(例えば、TNFα関連疾患を治療する)ための物質(例えば、抗−TNFα抗体)の投与を指す。
【0024】
本明細書中、「隔週投薬レジメン」、「隔週投薬」及び「隔週投与」は、治療目的を達成する(例えば、TNFα関連疾患を治療する)ための物質(例えば、抗−TNFα抗体)の投与クールを指す。隔週投薬レジメンには毎週投薬レジメンは含まれない。好ましくは、物質は9〜19日毎、より好ましくは11〜17日毎、更に好ましくは13〜15日毎、最も好ましくは14日毎に投与される。
【0025】
本明細書中、「併用療法」は、2つ以上の治療薬、例えば抗−TNFα抗体とメトトレキサートの投与を指す。メトトレキサートは抗−TNFα抗体の投与と同時、またはその前またはその後に投与され得る。
【0026】
本明細書中、「ヒトTNFα(本明細書中では、hTNFαと略記し、または単にhTNFと略記する)」は、17kD分泌型及び26kD膜結合型として存在し、その生物学的活性形は非共有結合した17kD分子のトリマーからなる、ヒトサイトカインを指す。TNFαの構造は例えばD.Pennicaら,Nature,312:724−729(1984);J.M.Davisら,Biochemistry,26:1322−1326(1987);及びE.Y.Jonesら,Nature,338:225−228(1989)に記載されている。ヒトTNFαには、一般的組換え発現法により製造され得たり市販されている組換えヒトTNFα(rhTNFα)(ミネソタ州ミネアポリスに所在のR&D Systems,カタログ番号210−TA)も含まれると意図される。
【0027】
本明細書中、「抗体」は、2本の重鎖(H)及び2本の軽鎖(L)がジスルフィド結合により相互に連結している4本のポリペプチド鎖から構成される免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書中、HCVRまたはVHと略記する)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は3つのドメイン、すなわちCH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中、LCVRまたはVLと略記する)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は1つのドメイン、すなわちCLからなる。VH領域及びVL領域は更に相補性決定領域(CDR)と称される複数の超可変領域に細分され、前記CDR領域はフレームワーク領域(FR)と称されるより保存性の領域と散在している。VH及びVLはそれぞれ3つのCDR及び4つのFRから構成され、これらはアミノ末端からカルボキ末端に向かってFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で配置されている。
【0028】
本明細書中、抗体の「抗原結合部分」(または、単に抗体部分と言う)は、抗原(例えば、hTNFα)に特異的に結合する能力を保持している抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は完全長抗体の断片により発揮され得る。抗体の「抗原結合部分」に包含される結合断片の例には、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、CH1ドメインから構成される一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド橋により結合されている2つのFab断片から構成される二価断片であるF(ab’)断片、(iii)VHドメイン及びCH1ドメインから構成されるFd断片、(iv)抗体の単アームのVLドメイン及びVHドメインから構成されるFv断片、(v)VHドメインから構成されるdAb断片(Wardら,Nature,341:544−546(1989))、及び(vi)単離相補性決定領域(CDR)が含まれる。更に、Fv断片の2つのドメイン、すなわちVLドメイン及びVHドメインは、別々の遺伝子によりコードされるが、組換え方法を用いて、それらをVL領域及びVH領域が対をなして一価分子を形成する単一タンパク質鎖として作成し得る合成リンカーにより結合され得る(単鎖Fv(scFv)として公知;例えばBirdら,Science,242:423−426(1988)及びHustonら,Proc.Natl.Acd.Sci.USA,85:5879−5883(1988)参照)。そのような単鎖抗体も抗体の「抗原結合部分」の範囲に包含されると意図される。ダイアボディ(diabody)のような別の形態の単鎖抗体も含まれる。ダイアボディ(diabody)は、VHドメイン及びVLドメインが1本のポリペプチド鎖上で発現するが、同じ鎖上の2つのドメインを対とするには短すぎるリンカーを用いて、前記ドメインと別の鎖の相補性ドメインとの対を形成させ、2つの抗原結合部位を生成する二価両特異性抗体である(例えばP.Holligerら,Proc.Natl.Acd.Sci.USA,90:6444−6448(1993);R.J.Poljakら,Structure,2:1121−1123(1994)参照)。
【0029】
更に、抗体またはその抗原結合部分は、前記抗体または抗体部分を1つ以上の他のタンパク質またはペプチドと共有または非共有結合させて形成したより大きな免疫付着分子の一部であり得る。前記免疫付着分子の例には、テトラマーscFv分子を作成するためのストレプトアビジンコア領域の使用(S.M.Kipriyanovら,Human Antibodies and Hybridomas,6:93−101(1995))及び二価のビオチン化scFv分子を作成するためのシステイン残基、マーカーペプチド及びC末端ポリヒスチジンタグの使用(S.M.Kipriyanovら,Mol.Immunol.,31:1047−1058(1994))が含まれる。Fab及びF(ab’)断片のような抗体部分は慣用の技術、例えば全抗体のそれぞれパパインまたはペプシン消化を用いて全抗体から作成され得る。更に、抗体、抗体部分及び免疫付着分子は本明細書に記載されているように一般的組換えDNA技術を用いて得ることができる。
【0030】
本明細書中、「ヒト抗体」には、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する抗体が含まれると意図される。本発明のヒト抗体は、例えばCDR、特にCDR3中の生殖細胞系免疫グロブリン配列(例えば、インビトロでのランダムまたは部位特異的突然変異によるかまたはインビボでの体細胞突然変異により導入される突然変異)によりコードされないアミノ酸残基を含み得る。しかしながら、本明細書中、「ヒト抗体」はマウスのような別の哺乳動物種の生殖細胞系由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされている抗体を含まないと意図される。
【0031】
本明細書中、「組換えヒト抗体」には、組換え手段により産生、発現、作成または単離されるすべてのヒト抗体、例えば(以下のセクションIIに詳記する)宿主細胞にトランスフェクトした組換え発現ベクターを用いて発現させた抗体、組換え体から単離した抗体、(以下のセクションIIIに詳記する)コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックな動物(例えば、マウス)から単離した抗体(例えばL.D.Taylorら,Nucl.Acids Res.,20:6287−6295(1992)参照);またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNAへのスプライシングを含む他の手段により産生、発現、作成または単離される抗体が含まれると意図される。前記組換えヒト抗体はヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域を有する。しかしながら、ある実施態様では、前記組換えヒト抗体をインビトロ突然変異(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックな動物を使用するときにはインビボ体細胞突然変異)にかけ、よって組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列はヒト生殖細胞系VH及びVL配列に由来し、それらに関連するが、インビボのヒト抗体生殖レパートリーに元々存在しないことがあり得る配列である。
【0032】
本明細書中、「単離抗体」は、別の抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、hTNFαに特異的に結合する単離抗体はhTNFα以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、hTNFαに特異的に結合する単離抗体は(以下に詳記する)他の種由来のTNFα分子のような他の抗原に対する交差反応性を有し得る。更に、単離抗体は他の培養材料及び/または化学物質を実質的に含まないことがある。
【0033】
本明細書中、「中和抗体」(または、hTNFα活性を中和した抗体)は、hTNFαに結合するとhTNFαの生物学的活性を阻害する抗体を指す。hTNFαの生物学的活性の阻害は1つ以上のhTNFα生物学的活性インジケーター、例えば(インビトロまたはインビボでの)hTNFα誘導性細胞毒性、hTNFα誘導性細胞活性化及びhTNFα受容体へのhTNFα結合を測定することにより評価され得る。前記したhTNFα生物学的活性インジケーターは当業界で公知の一般的な幾つかのインビトロまたはインビボアッセイの1つ以上を用いて評価され得る(実施例4参照)。好ましくは、hTNFα活性を中和する抗体の能力はL929細胞に対するhTNFα誘導性細胞毒性の阻害により評価される。hTNFα活性の追加または代替パラメーターとして、hTNFα誘導性細胞活性化の尺度としてのHUVECでのELAM−1のhTNFα誘導性発現を抑制し得る抗体の能力を評価し得る。
【0034】
本明細書中、「表面プラズモン共鳴」は、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を例えばBIAcoreシステム(スウェーデン国ウプサラ及びニュージャージー州ピスカタウェーに所在のPharmacia Biosensor AB)を用いて検出することによりリアルタイム生物特異的相互作用を分析し得る光学現象を指す。詳しい説明については、実施例1及びU.Jonssonら,Ann.Biol.Clin.,51:19−26(1993);U.Jonssonら,Biotechniques,11:620−627(1991);B.Johnssonら,J.Mol.Recognit.,8:125−131(1995);及びB.Johnnsonら,Anal.Biochem.,198:268−277(1991)を参照されたい。
【0035】
本明細書中、「Koff」は抗体/抗原複合体からの抗体の解離のオフレート(オフ速度)定数を指す。
【0036】
本明細書中、「K」は特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を指す。
【0037】
本明細書中、「核酸分子」にはDNA分子及びRNA分子が含まれる。核酸分子は一本鎖または二本鎖のいずれでもよいが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0038】
本明細書中、hTNFに結合する抗体または抗体部分(例えば、VH、VL、CDR3)をコードする核酸に関連して使用される「単離核酸分子」は、前記抗体または抗体部分をコードするヌクレオチド配列がhTNFα以外の抗原に結合する抗体または抗体部分をコードし、天然でヒトゲノムDNA中の核酸に隣接し得る他のヌクレオチド配列を含まない核酸分子を指す。よって、例えば抗−hTNFα抗体のVH領域をコードする本発明の単離核酸はhTNFα以外の抗原に結合する他のVH領域をコードする他の核酸を含まない。
【0039】
本明細書中、「ベクター」は、連結している他の核酸を輸送し得る核酸分子を指す。1タイプのベクターは"プラスミド"であり、これは別のDNAセグメントが連結し得る環状二本鎖DNAループを指す。別のタイプのベクターはウイルスベクターであり、ここでは別のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結し得る。あるベクター(例えば、細菌性複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)は該ベクターを導入した宿主細胞において自己複製し得る。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、よって宿主ゲノムに沿って複製され得る。更に、あるベクターは作動的に連結されている遺伝子を発現し得る。本明細書中、そのようなベクターを「組換え発現ベクター」(または、単に「発現ベクター」)と呼ぶ。通常、組換えDNA技術で使用される発現ベクターはしばしばプラスミドの形態である。本明細書中、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用されているベクター形態であるので同義的に使用され得る。しかしながら、本発明において同等の機能を有する他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルス及びアデノ関連ウイルス)が含まれる。
【0040】
本明細書中、「組換え宿主細胞」(または、単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターを導入した細胞を指すと意図される。前記用語は特定細胞のみならずその細胞の子孫を指すと理解されるべきである。突然変異または環境の影響のために後続世代である修飾が起こり得るので、前記子孫は実際親細胞と同一でないかもしれないが、これも本明細書中の「宿主細胞」の範囲に含まれる。
【0041】
本発明の各種態様を以下に詳記する。
【0042】
I.ヒトTNFαに結合するヒト抗体
本発明は、抗−hTNFα抗体の投与が有効である疾患の治療方法を提供する。この方法は、ヒトhTNFαに対して高いアフィニティー、低いオフレート及び高い中和能力で結合する単離ヒト抗体またはその抗原結合部分の隔週皮下投与を含む。好ましくは、本発明のヒト抗体は組換え中和ヒト抗−hTNFα抗体である。本発明の最も好ましい組換え中和抗体は本明細書においてD2E7(D2E7 VL領域のアミノ酸配列は配列番号1に示す通りであり、D2E7 VH領域のアミノ酸配列は配列番号2に示す通りである)と呼ばれる。D2E7の特性は、援用により本明細書に含まれるとするSalfeldらの米国特許第6,090,382号明細書に記載されている。
【0043】
1つの態様で、本発明は抗−hTNFα抗体の投与が有効である疾患の治療に関する。この治療はD2E7抗体及び抗体部分、D2E7関連抗体及び抗体部分、並びにD2E7と同等の特性(例えば、低い解離速度及び高い中和能力並びにhTNFαに対する高いアフィニティー結合)を有する他のヒト抗体及び抗体部分の隔週皮下投与を含む。1つの実施態様で、本発明は、いずれも表面プラズモン共鳴で測定して1×10−8M以下のK及び1×10−3−1のKoff速度定数でヒトTNFαから解離し且つ標準インビトロL929アッセイにおいてヒトTNFα細胞毒性を1×10−7M以下のIC50で中和する単離ヒト抗体またはその抗原結合部分を用いる治療を提供する。より好ましくは、単離ヒト抗体またはその抗原決定部分は5×10−4−1以下のKoff、更に好ましくは1×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。より好ましくは、単離ヒト抗体またはその抗原決定部分は標準インビトロL929アッセイにおいてヒトTNFα細胞毒性を1×10−8M以下のIC50、より好ましくは1×10−9M以下のIC50、更に好ましくは1×10−10M以下のIC50で中和する。好ましい実施態様では、抗体は単離ヒト組換え抗体またはその抗原結合部分である。
【0044】
抗体重鎖及び軽鎖CDR3ドメインが抗原に対する抗体の結合特異性/アフィニティーにおいて重要な役割を果たすことは当業界で周知である。従って、別の態様で、本発明は、hTNFαの解離について遅い解離速度を有し且つ構造的にD2E7と同一またはD2E7に関連する軽鎖及び重鎖CDR3ドメインを有するヒト抗体を皮下投与することを含む抗−hTNFα抗体の投与が有効である疾患の治療方法に関する。D2E7 VL CDR3のNo.9はKoffを実質的に変化させることなくAlaまたはThrで占められ得る。従って、D2E7 VL CDR3のコンセンサスモチーフはQ−R−Y−N−R−A−P−Y−(T/A)(配列番号3)のアミノ酸配列を含む。更に、D2E7 VH CDR3のNo.12はKoffを実質的に変化させることなくTyrまたはAsnで占められ得る。従って、D2E7 VH CDR3のコンセンサスモチーフはV−S−Y−L−S−T−A−S−S−L−D−(Y/N)(配列番号4)のアミノ酸配列を含む。更に、実施例2に示すように、D2E7重鎖及び軽鎖のCDR3ドメインはKoffを実質的に変化させることなく(VL CDR3の位置No.1、4、5、7または8、またはVH CDR3の位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11を)1つのアラニン残基で置換され得る。更に、当業者には自明のように、D2E7 VL及びVH CDR3ドメインがアラニンで置換され得ることを考えれば、抗体の低いオフレート定数をなお維持しながらCDRドメイン内の他のアミノ酸を置換すること、特に同類アミノ酸置換することが可能である。本明細書中、「同類アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基を類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置換することを指す。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当業界で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。好ましくは、D2E7 VL及び/またはVH CDR3ドメイン内で1〜5個の同類アミノ酸置換を実施する。より好ましくは、D2E7 VL及び/またはVH CDR3ドメイン内で1〜3個の同類アミノ酸置換を実施する。更には、同類アミノ酸置換はhTNFαに結合に重要なアミノ酸の位置で実施してはならない。D2E7 VL CDR3のNo.2及び5並びにD2E7 VH CDR3のNo.1及び7がhTNFαとの相互作用のために重要であるとみられ、よって同類アミノ酸置換はこれらの位置で実施しない(ただし、上記したようにD2E7 VL CDR3のNo.5のアラニン置換は許容され得る)(米国特許第6,090,382号明細書)。
【0045】
従って、別の態様で、本発明は単離ヒト抗体またはその抗原決定部分を隔週皮下投与することにより抗−TNFα抗体の投与が有効な疾患を治療する方法を提供する。前記抗体またはその抗原結合部分は、好ましくは
a)表面プラズモン共鳴で測定して1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより、または位置No.1、3、4、6、7、8及び/または9において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなる配アミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより、または位置No.2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/または12において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する;
という特徴を有する。
【0046】
より好ましくは、抗体またはその抗原決定部分は5×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。更に好ましくは、抗体またはその抗原決定部分は1×10−4−1以下のKoffでヒトTNFαから解離する。
【0047】
更に別の実施態様で、本発明は単離ヒト抗体またはその抗原決定部分を隔週皮下投与することにより抗−TNFα抗体の投与が有効な疾患を治療する方法を提供する。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は好ましくは配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより修飾されてなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有し、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11を単一アラニン置換することにより修飾してなる配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有する。好ましくは、LCVRは更に配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン(すなわち、D2E7 VL CDR2)を有し、HCVRは更に配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン(すなわち、D2E7 VH CDR2)を有する。更に好ましくは、LCVRは更に配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン(すなわち、D2E7 VL CDR1)を有し、HCVRは更に配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン(すなわち、D2E7 VH CDR1)を有する。VLのフレームワーク領域は好ましくはVκIヒト生殖細胞系ファミリー、より好ましくはA20ヒト生殖細胞系Vκ遺伝子、最も好ましくは米国特許第6,090,382号明細書の図1A及び1Bに示すD2E7 VLフレームワーク配列に由来する。VHのフレームワーク領域は好ましくはV3ヒト生殖細胞系ファミリー、より好ましくはDP−31ヒト生殖細胞系VH遺伝子、最も好ましくは米国特許第6,090,382号明細書の図2A及び2Bに示すD2E7 VHフレームワーク配列に由来する。
【0048】
更に別の実施態様では、本発明は単離ヒト抗体またはその抗原決定部分を隔週皮下投与することにより抗−TNFα抗体の投与が有効な疾患を治療する方法を提供する。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)(すなわち、D2E7 VL)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)(すなわち、D2E7 VH)を含む。ある実施態様では、抗体はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域のような重鎖定常領域を含む。好ましくは、重鎖定常領域はIgG1重鎖定常領域またはIgG4重鎖定常領域である。更に、抗体はκ軽鎖定常領域またはλ軽鎖定常領域のいずれかの軽鎖定常領域を含み得る。好ましくは、抗体はκ軽鎖定常領域を含む。或いは、抗体部分は例えばFab断片または単鎖Fv断片であり得る。
【0049】
他の実施態様で、本発明は単離ヒト抗体またはその抗原決定部分を隔週皮下投与することにより抗−TNFα抗体の投与が有効な疾患を治療する方法を提供する。好ましくは、前記抗体またはその抗原結合部分は配列番号3、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有するか、または配列番号4、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34及び配列番号35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有するD2E7関連VL及びVH CDR3ドメイン、例えば抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0050】
本発明の抗体または抗体部分は別の機能分子(例えば、別のペプチドまたはタンパク質)に誘導体化または連結され得る。従って、本発明の抗体及び抗体部分には本明細書に記載されているヒト抗−hTNFα抗体の誘導体形態及び他の方法で修飾されてなる形態(免疫付着分子を含む)が含まれる。例えば、本発明の抗体または抗体部分は1つ以上の他の分子部分、例えば別の抗体(二重特異性抗体またはダイアボディ(diabody))、検出可能物質、細胞毒性剤、薬剤、及び/または抗体または抗体部分と別の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域またはポリヒスチジンタグ)の結合を媒介し得るタンパク質またはペプチドに(化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合または他の方法により)機能的に結合され得る。
【0051】
1タイプの誘導体化抗体は、例えば二重特異性抗体を作成するために同一タイプまたは異なるタイプの2つ以上の抗体を架橋させることにより作成される。好適な架橋剤には、適当なスペーサーにより分離される2つの別々の反応基を有するヘテロ二官能性である架橋剤(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、またはホモ二官能性である架橋剤(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)が含まれる。前記結合剤はイリノイ州ロックフォードに所在のPierce Chemical Companyから市販されている。
【0052】
本発明の抗体または抗体部分を誘導体化するために有用な検出可能物質には蛍光化合物が含まれる。蛍光検出可能物質の例には、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、5−ジメチルアミン−1−ナフタレンスルホニルクロリド、フィコエリトリン等が含まれる。抗体は検出可能酵素、例えばアルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ等を用いても誘導体化され得る。抗体を検出可能酵素を用いて誘導体化するとき、検出可能な反応生成物を生成するために酵素を用いる追加試薬を添加することにより、誘導体が検出される。例えば、検出可能物質としてホースラディッシュペルオキシダーゼが存在するとき、過酸化水素及びジアミノベンジジンの添加により検出可能な発色反応生成物が生ずる。抗体はビオチンを用いても誘導体化され、アビジンまたはストレプトアビジン結合の間接測定により検出し得る。
【0053】
II.抗体の発現
本発明の抗体または抗体部分は、宿主細胞において免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子を組換え発現することにより産生し得る。抗体を組換え発現するためには、軽鎖及び重鎖が宿主細胞中で発現し、好ましくは宿主細胞を培養する培地に分泌するように抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖をコードするDNA断片を有する組換え発現ベクターの1つ以上を宿主細胞にトランスフェクトする。抗体は前記培地から回収し得る。Sambrook,Fritsch及びManiatis編,「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」,第2版,ニューヨークに所在のCold Spring Harbor(1989年)発行;F.M.Ausubelら編,「分子生物学における現在のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」,Greene Publishing Associates(1989年)発行;及びBossらの米国特許第4,816,397号明細書に記載されているような一般的組換えDNA方法を用いて、抗体軽鎖及び重鎖遺伝子を得、前記遺伝子を組換え発現ベクターに加え、前記ベクターを宿主細胞に導入する。
【0054】
D2E7またはD2E7関連抗体を発現させるためには、軽鎖及び重鎖可変領域をコードするDNA断片をまず得る。これらのDNAは、生殖細胞系軽鎖及び重鎖可変配列をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅及び修飾することにより得ることができる。ヒト軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子由来の生殖細胞系DNA配列は当業界で公知である(例えば、いずれも援用により本明細書に含まれるとする、"Vbase"ヒト生殖細胞系配列データーベース;E.A.Kabatら,「免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequence of Proteins of Immunological Interest)」,第5版,米国保健福祉省,NIH Publication No.91−3242;I.M.Tomlinsonら,「ヒト生殖細胞系V配列レパートリーは約50群の異なる超可変ループを有するV配列を示す(The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops))」,J.Mol.Biol.,227:776−798(1992);J.P.L.Coxら,「ヒト生殖細胞系V78セグメントのディレクトリーはその使用において強いバイアスを示す(A Directory of Human Germ-line V78 Segments Reveals a Strong Bias in their Usage)」,Eur.J.Immunol.,24:827−836(1994)も参照)。D2E7またはD2E7関連抗体の重鎖可変領域をコードするDNAを得るためには、ヒト生殖細胞系VH遺伝子のV3ファミリーのメンバーを一般的PCRにより増幅させる。最も好ましくは、DP−31 VH生殖細胞系配列を増幅させる。D2E7またはD2E7関連抗体の軽鎖可変領域をコードするDNA断片を得るためには、ヒト生殖細胞系VH遺伝子のV1ファミリーのメンバーを一般的PCRにより増幅させる。最も好ましくは、A20VL生殖細胞系配列を増幅させる。DP−31生殖細胞系VH及びA20生殖細胞系VL配列を増幅させる際に使用するのに適したPCRプライマーは上掲した文献に記載されているヌクレオチド配列に基づいて一般的方法を用いて設計し得る。
【0055】
生殖細胞系VH及びVL断片が得られたら、本明細書に記載されているD2E7またはD2E7関連アミノ酸配列をコードするように前記配列を変異させる。生殖細胞系VH及びVL DNA配列によりコードされるアミノ酸をまずD2E7またはD2E7関連VH及びVLアミノ酸配列と比較して、生殖細胞系と異なるD2E7またはD2E7関連配列中のアミノ酸残基を同定する。次に、変異させた生殖細胞系配列がD2E7またはD2E7関連アミノ酸配列をコードするように生殖細胞系DNA配列の適当なヌクレオチドを、いずれのヌクレオチドを変化させるべきかを決定するために遺伝子コードを用いて突然変異させる。生殖細胞系の変異誘発はPCR媒介変異誘発(PCR産物が変異を含むように変異ヌクレオチドをPCRブライマーに加える)または部位特異的変異誘発のような一般的方法により実施する。
【0056】
(上記したように生殖細胞系VH及びVL遺伝子を増幅及び変異誘発させることにより)D2E7またはD2E7関連VH及びVLセグメントをコードするDNA断片が得られたら、これらのDNA断片を一般的組換えDNA技術により更に工作して、例えば可変領域遺伝子を完全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子またはscFv遺伝子に変換する。こうした工作では、VL−またはVH−コード化DNA断片を抗体定常領域または可変リンカーのような別のタンパク質をコードする別のDNA断片に作動的に連結する。本明細書中、「作動的に連結」は、2つのDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームを保つようにこれらの2つのDNA断片が連結されていることを意味する。
【0057】
VH領域をコードする単離DNAは、VH−コード化DNAを重鎖定常領域(CH1、CH2及びCH3)をコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより完全長重鎖遺伝子に変換し得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当業界で公知である(例えばE.A.Kabatら,「免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Intetest)」,第5版,米国保健福祉省,NIH Publication No.91−3242参照)。これらの領域を含むDNA断片は一般的PCR増幅により得ることができる。重鎖定常領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子の場合には、VH−コード化DNAを重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作動的に連結する。
【0058】
VL領域をコードする単離DNAは、VL−コード化DNAを軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に作動的に連結することにより完全長軽鎖遺伝子(及びFab軽鎖遺伝子)に変換し得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当業界で公知である(例えばE.A.Kabatら,「免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Intetest)」,第5版,米国保健福祉省,NIH Publication No.91−3242参照)。これらの領域を含むDNA断片は一般的PCR増幅により得ることができる。軽鎖定常領域はκまたはλ定常領域であり得るが、最も好ましくはκ定常領域である。
【0059】
scFv遺伝子を作成するためには、VH及びVL配列が隣接単鎖タンパク質として発現され得るように、可変リンカーをコードする、例えばアミノ酸配列(Gly−Ser)をコードする別の断片にVH−及びVL−コード化DNA断片を作動的に連結させる。この場合、VL及びVH領域は可変リンカーにより連結される(例えばBirdら,Science,242:423−426(1988);Hustonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879−5883(1988);McCaffertyら,Nature,348:552−554(1990)参照)。
【0060】
本発明の抗体または抗体部分を発現させるためには、遺伝子を転写及び翻訳調節配列に作動的に連結するように上記のようにして得た部分または完全長軽鎖及び重鎖をコードするDNAを発現ベクターに挿入する。本明細書中、「作動的に連結」は、ベクター内の転写及び翻訳調節配列が抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するという所期の機能を発揮するように抗体遺伝子がベクターに連結されていることを意味する。発現ベクター及び発現調節配列は使用する発現宿主と相容性であるように選択される。抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子を別々のベクターに挿入してもよいが、より一般的には両遺伝子を同じ発現ベクターに挿入する。抗体遺伝子を一般的方法(例えば、抗体遺伝子断片及びベクター上の相補的制限部位の連結、または制限部位が存在しないならば平滑末端連結)により発現ベクターに挿入する。D2E7またはD2E7関連軽鎖または重鎖配列を挿入する前に、発現ベクターが既に抗体定常領域配列を有していてもよい。例えば、D2E7またはD2E7関連VH及びVL配列を完全長抗体遺伝子に変換させるための1つの方法は、VHセグメントがベクター内のCHセグメントに作動的に連結し、VLセグメントがベクター内のCLセグメントに作動的に連結するように重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターに前記配列を挿入することである。この方法に加えて、またはこの方法の代わりに、組換え発現ベクターは宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進する単一ペプチドをコードし得る。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結するように抗体鎖遺伝子をベクターにクローン化し得る。シグナルペプチドは免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種単一ペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってもよい。
【0061】
本発明の組換え発現ベクターは、抗体鎖遺伝子に加えて宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を調節する調節配列を有し得る。「調節配列」にはプロモーター、エンハンサー、及び抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を調節する他の発現調節要素(例えば、ポリアデニル化信号)が含まれると意図される。前記調節配列は、例えばGoeddel,「遺伝子発現方法:酵素学の方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology)185」,カリフォルニア州サンジェゴに所在のAcademic Press(1990年)発行に記載されている。当業者には自明のように、調節配列の選択を含めて発現ベクターの設計は形質転換させる宿主細胞の選択、所望するタンパク質の発現レベル等の因子に依存する。哺乳動物宿主細胞発現のための好ましい調節配列には哺乳動物細胞においてタンパク質を高レベルで発現させるウイルス要素、例えばサイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMVプロモーター/エンハンサー)、シミアンウイルス40(SV40)(例えば、SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))及びポリオーマ由来のプロモーター及び/エンハンサーが含まれる。ウイルス調節要素及びその配列の詳細については、例えばStinskiの米国特許第5,168,062号明細書、Bellらの米国特許第4,510,245号明細書及びSchaffnerらの米国特許第4,968,615号明細書を参照されたい。
【0062】
本発明の組換え発現ベクターは、抗体鎖遺伝子及び調節配列に加えて別の配列、例えば宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起源)及び選択マーカー遺伝子を有し得る。選択マーカー遺伝子により、ベクターを導入した宿主細胞の選択が容易となる(例えば、いずれもAxelらの米国特許第4,399,216号明細書、同第4,634,665号明細書及び同第5,179,017号明細書参照)。例えば、通常選択マーカー遺伝子により、薬物(例えば、G418、ヒグロマイシンまたはメトトレキサート)に対する耐性がベクターが導入されている宿主細胞に対して付与される。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅でdhfr−宿主細胞において使用するため)及びneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
【0063】
軽鎖及び重鎖を発現させるためには、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを一般的方法により宿主細胞にトランスフェクトする。各種形態のトランスフェクションには、外来性DNAを原核または真核細胞に導入するために慣用されている各種技術、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクション等が含まれると解される。理論的には本発明の抗体を原核または真核細胞で発現させることは可能であるが、抗体を真核細胞、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞において発現させることが最も好ましい。なぜならば、真核細胞、特に哺乳動物細胞は原核細胞よりも適正に折りたたまれた免疫学的に活性な抗体を集合、分泌させる可能性が高いからである。活性抗体を高収率で産生させるためには抗体遺伝子の原核細胞発現が有効でないことは報告されている(M.A.Boss及びC.R.Wood,Immunology Today,6:12−13(1985))。
【0064】
本発明の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞には、(例えばR.J.Kaufman及びP.A.Sharp,Mol.Biol.,159:601−621(1982)に記載されているようにDHFR選択マーカーと一緒に使用される、Urlaub及びChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4216−4220(1980)に記載されているdhfr−CHO細胞を含めた)チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)、NS0ミエローマ細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入するとき、宿主細胞において抗体を発現するのに十分な時間、またはより好ましくは宿主細胞を増殖させる培地に抗体を分泌させるのに十分な時間宿主細胞を培養することにより抗体が産生される。前記抗体は一般的タンパク質精製方法を用いて培地から回収され得る。
【0065】
宿主細胞は、Fab断片またはscFv分子のような、無傷の抗体の一部を産生するためにも使用され得る。上記方法に対する改変も本発明の範囲内であると理解されたい。例えば、本発明の抗体の軽鎖または重鎖のいずれか(ただし、両方ではない)をコードするDNAを宿主細胞にトランスフェクトすることが望ましいことがある。hTNFαに結合させるのに必要でない軽鎖及び/または重鎖をコードするDNAの一部または全部を除去するためにも組換えDNA技術が使用され得る。切端DNA分子から発現させた分子も本発明の抗体に包含される。加えて、1本の重鎖及び1本の軽鎖が本発明の抗体である二価抗体並びに1本の重鎖及び1本の軽鎖がhTMFα以外の抗原に対して特異的である二価抗体は、本発明の抗体を一般的化学架橋法により第2抗体に架橋させることにより産生される。
【0066】
本発明の抗体またはその抗原結合部分を組換え発現させるための好ましい系では、抗体重鎖及び抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターをリン酸カルシウム媒介トランスフェクションによりdhfr−CHO細胞に導入する。組換え発現ベクター内で、抗体重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子をそれぞれCMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節要素に作動的に連結させて、遺伝子を高レベルで転写させる。組換え発現ベクターはDHFR遺伝子をも有し、これにより、ベクターをトランスフェクトしたCHO細胞をメトトレキサート選択/増幅を用いて選択し得る。選択した形質転換宿主細胞を抗体重鎖及び軽鎖を発現し得るように培養し、無傷の抗体を培地から回収する。一般的な分子生物学的技術を使用して、組換え発現ベクターを作成し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、抗体を培地から回収する。
【0067】
III.組換えヒト抗体の選択
本発明の組換えヒト抗体は、D2E7抗体またはその抗原結合部分、または本明細書に記載されているD2E7関連抗体に加えて、ヒトリンパ球由来のmRNAから作成したヒトVL及びVH cDNAを用いて構築した組換えコンビナトリアル抗体ライブラリー、好ましくはscFvファージディスプレイライブラリーをスクリーニングすることにより単離し得る。前記ライブラリーの構築及びスクリーニング方法は当業界で公知である。ファージディスプレイライブラリーを構築するための市販キット(例えば、Pharmaciaの組換えファージ抗体システム(Recombinant Phage Antibody System)のカタログ番号27−9400−01及びStratagene SurfZAPTMファージディスプレイキットのカタログ番号240612)に加えて、抗体ディスプレイライブラリーを構築及びスクリーニングする際に使用するために特に改変した方法及び試薬は、例えばLadnerらの米国特許第5,223,409号明細書;Kangらの国際特許出願公開第92/18619号;Dowerらの国際特許出願公開第91/17271号;Winterらの国際特許出願公開第92/20791号;Marklandらの国際特許出願公開第92/15679号;Breitlingらの国際特許出願公開第93/01288号;McCaffertyらの国際特許出願公開第92/01047号;Garrardらの国際特許出願公開第92/09690号;Fuchsら,Bio/Technology,9:1370−1372(1991):Hayら,Hum.Antibod.Hybridomas,3:81−85(1992);Huseら,Science,246:1275−1281(1989);McCaffertyら,Nature,348:552−554(1990);Griffithsら,EMBO J.,12:725−734(1993);Hawkinsら,J.Mol.Biol.,226:889−896(1992);Clacksonら,Nature,352:624−628(1991);Gramら,PNAS,809:3576−3580(1992);Garrardら,Bio/Technology,9:1373−1377(1991);Hoogenboomら,Nuc.Acid Res.,19:4133−4137(1991);及びBarbasら,PNAS,88:7978−7982(1991)に見つけることができる。
【0068】
好ましい実施態様では、hTNFαに対して高いアフィニティー及び低いオフレートを有するヒト抗体を単離するために、hTNFαに対して高いアフィニティー及び低いオフレートを有するマウス抗−hTNFα抗体(例えば、ECACC 87 050801の寄託番号が付与されているバイブリドーマのMAK 195)をまず使用して、Hoogenboomらの国際特許出願公開第93/06213号に記載されているエピトープ刷込み方法を用いてhTNFαに対して同様の結合活性を有するヒト重鎖及び軽鎖配列を選択する。この方法で使用する抗体ライブラリーとしては、McCaffertyらの国際特許出願公開第92/01047号;McCaffertyら,Nature,348:552−554(1990);Griffthsら,EMBO J.,12:725−734(1993)に記載されているように構築し、スクリーニングしたscFvライブラリーが好ましい。前記scFvライブラリーは好ましくは抗原として組換えヒトTNFαを用いてスクリーニングされる。
【0069】
最初のヒトVL及びVHセグメントを選択したら、最初に選択したVL及びVHセグメントの種々の対をhTNFα結合についてスクリーニングする"混合及び整合(mix and match)"実験を実施して、好ましいVL/VH対組合せを選択する。更に、hTNFα結合に対するアフィニティーを改善及び/またはオフレートを低下させるために、好ましいVL/VH対のVL及びVHセグメントを自然免疫応答中の抗体のアフィニティー突然変異に関与するインビボ体細胞突然変異と同様の方法で、好ましくはVH及び/またはVLのCDR3領域の範囲内でランダムに突然変異させる。このインビボアフィニティー突然変異は、VH CDR3またはVL CDR3に相補性であるPCRプライマーを用いてVH及びVL領域を増幅することにより実施され得る。前記プライマーには生じたPCR産物がランダム突然変異をVH及び/またはVL CDR3領域に導入したVH及びVLセグメントをコードするようにある位置の4つのヌクレオチド塩基のランダム混合物を予めスパイクしてある。前記のランダム突然変異したVH及びVLセグメントをhTNFαに対する結合について再度スクリーニングにかけ、hTNFα結合に対して高いアフィニティー及び低いオフレートを示す配列を選択することができる。
【0070】
組換え免疫グロブリンディスプレイライブラリーから本発明の抗−hTNFα抗体をスクリーニングし、単離したら、特定抗体をコードする核酸を(例えば、ファージゲノム由来の)ディスプレイパッケージから回収し、一般的なDNA技術を用いて他の発現ベクターにサブクローン化する。所望により、核酸を更に工作して、(例えば、別の免疫グロブリンドメイン、例えば別の定常領域をコードする核酸に結合させた)本発明の他の抗体形態を作成してもよい。コンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより単離した組換えヒト抗体を発現するために、セクションIIに詳記したように前記抗体をコードするDNAを組換え発現ベクターにクローン化し、哺乳動物宿主細胞に導入する。
【0071】
IV.医薬組成物及び医薬投与
本発明の抗体及び抗体部分は、本明細書に記載されている方法(例えば、隔週皮下投薬)のために患者に投与するのに適した医薬組成物に配合され得る。通常、医薬組成物は本発明の抗体(または、抗体部分)及び/またはメトトレキサートに加えて薬学的に許容され得る担体を含む。本明細書中、「薬学的に許容され得る担体」には、生理学的に相容性であり且つ本明細書に記載されている方法のために患者に投与するのに適しているすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌・抗真菌剤、等張性吸収遅延剤等が含まれる。薬学的に許容され得る担体の例には水、食塩液、リン酸緩衝食塩液、デキストロース、グリセロール、エタノール等の1つ以上及びその組合せが含まれる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール)、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを配合することが好ましい。薬学的に許容され得る担体は更に前記抗体または抗体部分の貯蔵寿命または有効性を延長させる補助物質、例えば湿潤または乳化剤、保存剤または緩衝剤を少量含み得る。
【0072】
本発明の組成物は各種形態を採り得る。前記形態としては液体、半固体または固体剤型が例示され、例えば溶液(例えば、注射液または注入液)、分散液、懸濁液、錠剤、ピル剤、散剤、リポソーム及び座剤が含まれる。好ましい形態は意図する投与モード及び治療用途に依存する。典型的な好ましい組成物は、他の抗体を用いてヒトを受動免疫するために使用されているものに類似している組成物のような注射液または注入液の形態である。好ましい投与モードは非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。好ましい実施態様では、抗体は静脈内注射または注入により投与される。別の好ましい実施態様では、抗体は筋肉注射により投与される。特に好ましい実施態様では、抗体は皮下注射(例えば、隔週皮下注射)により投与される。
【0073】
治療用組成物は通常、製造及び貯蔵条件下で無菌且つ安定でなければならない。前記組成物は溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポゾーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序構造として調製され得る。無菌注射液は、必要量の活性化合物(すなわち、抗体または抗体部分)と所要により上記した成分と組み合わせて適当な溶媒に配合し、その後濾過滅菌することにより調製され得る。通常、分散液は塩基性分散媒体及び上記した中からの所要の他の成分を含む滅菌ビヒクル中に活性化合物を配合することにより調製される。無菌注射液を調製するための無菌粉末の場合に好ましい調製方法は、活性成分及び追加の所望成分の粉末を生ずるような予め滅菌濾過した溶液の真空乾燥及び凍結乾燥である。溶液の適当な流動性は、コーティング(例えば、レシチン)を使用することにより、分散液の場合には所要粒径を維持することにより、界面活性剤を使用することにより維持され得る。注射用組成物の吸収性は、組成物中に吸収を遅延させる物質(例えば、モノステアレート塩及びゼラチン)を添加することにより延長し得る。
【0074】
本発明の抗体及び抗体部分は当業界で公知の各種方法により投与され得るが、多くの治療用途に対して好ましい投与ルート/モードは皮下注射である。当業者には自明のように、投与ルート/モードは所望する結果に応じて異なる。ある実施態様では、活性化合物は該化合物を急速放出から保護する担体と一緒に、例えばインプラント、経皮パッチ及びマイクロカプセル化デリバリーシステムを含めた徐放性製剤として調製され得る。生分解性・生体適合性ポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニル、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸が使用され得る。前記製剤を製造するための多くの方法が特許付与されているか通常当業者に公知である。例えば、J.R.Robinson編,「持続性及び徐放性ドラッグデリバリーシステム(Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems)」,ニューヨークに所在のMarcel Dekker,Inc.(1978年)発行参照。
【0075】
ある実施態様では、本発明の抗体または抗体部分は、例えば不活性希釈剤または同化性食用担体と一緒に経口投与され得る。化合物(及び、所望により他の成分)を硬質または軟質ゼラチンカプセルに封入したり、錠剤に圧縮したり、または患者の食事に直接配合してもよい。治療のために経口投与するためには、化合物は賦形剤と一緒に配合され、摂取可能錠剤、バッカル錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤等の形態で使用され得る。本発明の化合物を非経口以外のルートで投与する場合、前記化合物を該化合物の不活化を防ぐ物質でコートしてもまたは前記化合物及び前記物質を一緒に投与してもよい。
【0076】
補助活性化合物も組成物中に配合し得る。ある実施態様では、本発明の抗体または抗体部分を1つ以上の追加治療薬と共に処方及び/または投与される。例えば、本発明の抗−hTNFα抗体または抗体部分はメトトレキサート、他の標的に結合する1つ以上の追加抗体(例えば、他のサイトカインに結合する抗体または細胞表面分子に結合する抗体)、1つ以上のサイトカイン可溶性TNFα受容体(例えば国際特許出願公開第94/06476号参照)及び/またはhTNFα産生または活性を阻害する1つ以上の化学物質(例えば国際特許出願公開第93/19751号に記載されているシクロヘキサン−イリデン誘導体)と共に処方及び/または投与される。更に、1つ以上の本発明の抗体を前記した治療薬の2つ以上と併用してもよい。有利には、前記併用療法により投与する治療薬の用量を減量し、よって各種単一治療薬に伴って起こり得る毒性または合併症を避け得る。本発明の抗体または抗体部分と他の治療薬との併用はサブセクションIVにおいて更に検討する。
【0077】
本発明の抗体または抗体部分と併用され得る関節リウマチ治療薬の非限定例には、非ステロイド消炎剤(NSAID);サイトカイン抑制消炎剤(CASID);CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化抗−TNF−α抗体;Celltech/Bayer);cA2(キメラ抗−TNF−α抗体;Centocor);75kdTNFR−IgG(75kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えばArthritis & Rheumatism,37:S295(1994);J.Invest.Med.,44:235A(1996)参照);55kdTNFR−IgG(55kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);IDEC−CE9.1/SB 210396(非枯渇霊長類化抗−CD4−抗体;IDEC/SmithKline;例えばArthritis & Rheumatism,38:S185(1994)参照);DAB 486−IL−2及び/またはDAB 389−IL−2(IL−2融合タンパク質;Seragen;例えばArthritis & Rheumatism,36:1223(1993)参照);抗−Tac(ヒト化抗−IL−2Rα;Protein Design Labs/Roche);IL−4(消炎サイトカイン;DNAX/Schering);IL−10(SCH−52000;組換えIL−10,消炎サイトカイン;DNAX/Schering);IL−4;IL−10及び/またはIL−1アゴニスト(例えば、アゴニスト抗体);IL−1RA(IL−1受容体アンタゴニスト;Synergen/Amgen);TNF−bp/s−TNFR(可溶性TNF結合タンパク質;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S284(1996);Amer.J.Physiol.,「心臓及び循環生理学(Heart and Circulatory Physiology)」,268:37−42(1995)参照);R97340(ホスホジエステル型IV阻害剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S282(1996)参照);MK−966(COX−2阻害剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S81(1996)参照);イロプロスト(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S82(1996)参照);メトトレキサート;サリドマイド(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S282(1996)参照)及びサリドマイド関連薬(例えば、セルゲン);レフルノミド(消炎サイトカイン阻害剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S131(1996);Inflammation Research,45:103−107(1996)参照);トラネキサム酸(プラスミノーゲン活性剤阻害剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S284(1996)参照);T−614(サイトカイン阻害剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S282(1996)参照);プロスタグランジンE1(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S282(1996)参照);テニダップ(非ステロイド消炎剤;例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S280(1996)参照);ナプロキセン(非ステロイド消炎剤;例えば、Neuro.Report,7:1209−1213(1996)参照);メロキシカム(非ステロイド消炎剤);イブプロフェン(非ステロイド消炎剤);ピロキシカム(非ステロイド消炎剤);ジクロフェナク(非ステロイド消炎剤);インドメタシン(非ステロイド消炎剤);スルファサリジン(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S281(1996)参照);アザチオプリン(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S281(1996)参照);ICE阻害剤(酵素インターロイキン−1β変換酵素の阻害剤);zap−70及び/またはlck阻害剤(チロシンキナーゼzap−70またはlckの阻害剤);VEGF阻害剤及び/またはVEGF−R阻害剤(血管内皮細胞成長因子または血管内皮細胞成長因子受容体の阻害剤;血管形成抑制剤);コルチコステロイド消炎剤(例えば、SB203580);TNF−変換酵素阻害剤;抗−IL−12抗体;インターロイキン−11(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S296(1996)参照);インターロイキン−13(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S308(1996)参照);インターロイキン−17阻害剤(例えばArthritis & Rheumatism,39:9(付録),S120(1996)参照);金;ペニシラミン;クロロキン;ヒドロキシクロロキン;クロラムブシル;シクロホスファミド;シクロスポリン;全リンパ系照射;抗胸腺細胞グロブリン;抗−CD4抗体;CD5−毒素;経口投与されるペプチド及びコラーゲン;ロベンザリットジナトリウム;サイトカイン調節剤(CRA)HP228及びHP466(Houghten Pharmaceutics,Inc.);ICAM−1アンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(ISIS 2302;Isis Pharmaceuticals,Inc.);可溶性補体受容体1(TP10;T Cell Scientics,Inc.);プレドニゾン;オルゴテイン;グリコサミノグリカンポリスルフェート;ミノサイクリン;抗−IL−2R抗体;海洋及び植物脂質(魚及び植物種子脂肪酸;例えばDeLucaら,Rheum.Dis.Clin.North Am.,21:759−777(1995)参照);オーラノフィン;フェニルブタゾン;メクロフェナム酸;フルフェナム酸;静脈投与免疫グロブリン;ジレウトン;マイコフェノール酸(RS−61443);タクロリムス(FK−506);シロリムス(ラパマイシン);アミプリロース(テラフェクチン);クラドリビン(2−クロロデオキシアデノシン);及びアザリジンが含まれる。
【0078】
本発明の抗体または抗体部分と併用され得る炎症性腸疾患治療薬の非限定例には、ブデノシド;上皮成長因子;コルチコステロイド;シクロスポリン;スルファサラジン;アミノサリチレート;6−メルカプトプリン;アザチオプリン;メトロニダゾール;リポキシゲナーゼ阻害剤;メサラジン;オルサラジン;バルサラジド;酸化防止剤;トロンボキサン阻害剤;IL−1受容体アンタゴニスト;抗−IL−1βモノクローナル抗体;抗−IL−6モノクローナル抗体;成長因子;エラスターゼ阻害剤;ピリジニル−イミダゾール化合物;CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化抗−TNFα抗体;Celltech/Bayer);cA2(キメラ抗−TNFα抗体;Centocor);75kdTNFR−IgG(75kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えばArthritis & Rheumatism,37:S295(1994);J.Invest.Med.,44:235A(1996)参照);55kdTNFR−IgG(55kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);インターロイキン−10(SCH 52000;Schering Plough);IL−4;IL−10及び/またはIL−4アゴニスト(例えば、アゴニスト抗体);インターロイキン−11;プレドニゾロン、デキサメタゾンまたはブデソニドのグルクロニド−またはデキストラン−コンジュゲートプロドラッグ;ICAM−1アンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(ISIS 2302;Isis Pharmaceuticals,Inc.);可溶性補体受容体1(TP10;T Cell Sciences,Inc.);徐放性メサラジン;メトトレキサート;血小板活性化因子(PAF)のアンタゴニスト;シプロフロキシン;及びリグノカインが含まれる。
【0079】
本発明の抗体または抗体部分と併用され得る多発性硬化症治療薬の非限定例には、コルチコステロイド;プレドニソロン;メチルプレドニソロン;アザチオプリン;シクロホスファミド;シクロスポリン;メトトレキサート;4−アミノピリジン;チザニジン;インターフェロン−β1a(Avonex(登録商標);Biogen);インターフェロン−β1b(Betaseron(登録商標);Chiron/Berlex);コポリマー1(Cop−1;Copaxone(登録商標);Teva Pharmaceutical Industries,Inc.);高圧酸素;静脈注射免疫グロブリン;クラブリビン;CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化抗−TNFα抗体;Celltech/Bayer);cA2(キメラ抗−TNFα抗体;Centocor);75kdTNFR−IgG(75kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えばArthritis & Rheumatism,37:S295(1994);J.Invest.Med.,44:235A(1996)参照);55kdTNFR−IgG(55kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);IL−10;IL−4;並びにIL−10及び/またはIL−4アゴニスト(例えば、アゴニスト抗体)が含まれる。
【0080】
本発明の抗体または抗体部分と併用され得る敗血症治療薬の非限定例には、高張性食塩液;抗生物質;静脈注射γ−グロブリン;連続血液濾過;カルバペネム(例えば、メロペネム);TNFα、IL−1β、IL−6及び/またはIL−8のようなサイトカインのアンタゴニスト;CDP−571/BAY−10−3356(ヒト抗−TNFα抗体:Celltech/Bayer);cA2(キメラ抗TNFα抗体;Centocor);75kdTNFR−IgG(75kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えばArthritis & Rheumatism,37:S295(1994);J.Invest.Med.,44:235A(1996)参照);55kdTNFR−IgG(55kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche);サイトカイン調節剤(CRA)HP228及びHP466(Houghten Pharmaceuticals,Inc.);SK&F 107647(低分子ペプチド;SmithKleine Beecham);四価グアニルヒドラゾンCNI−1493(Picower Institute);組織因子経路阻害剤(TFPI;Chiron);PHP(化学改質したヘモグロブリン;APEX Bioscience);ジエチレントリアミンペンタ酢酸−鉄(III)複合体(DTPA鉄(III);Molichem Medicines)を含めた鉄キレーター及びキレート;リソフィリン(合成小分子メチルキサンチン;Cell Therapeutics,Inc.);PGG−グルカン(水溶性β1,3グルカン;Alpha−Beta Technology);脂質で再構成したアポリポタンパク質A−1;キラルヒドロキサム酸(脂質A生合成を抑制する合成抗菌剤);抗−内毒素抗体;E5531(合成脂質Aアンタゴニスト;Eisai America,Inc.);rBPI21(ヒト殺菌剤/浸透性増加タンパク質の組換えN末端断片);及び合成抗−エンドトキシンペプチド(SAEP;Bios Ynth Research Laboratories)が含まれる。
【0081】
本発明の抗体または抗体部分と併用され得る成人呼吸窮迫症候群(ARDS)治療薬の非限定例には、抗−IL−8抗体;界面活性剤補充療法;CDP−571/BAY−10−3356(ヒト化抗−TNFα抗体;Celltech/Bayer);cA2(キメラ抗−TNFα抗体;Centocor);75kdTNFR−IgG(75kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Immunex;例えばArthritis & Rheumatism,37:S295(1994);J.Invest.Med.,44:235A(1996)参照);及び55kdTNFR−IgG(55kD TNF受容体−IgG融合タンパク質;Hoffmann−LaRoche)が含まれる。
【0082】
本発明の医薬組成物は「治療有効量」または「予防有効量」の本発明の抗体または抗体部分を含み得る。「治療有効量」は必要な用量及び期間所望の治療結果を得るために有効な量を指す。前記抗体または抗体部分の治療有効量は病気の状態、患者の年令、性別及び体重、患者において所望応答を惹起する抗体または抗体部分の能力のような各種因子により変更され得る。治療有効量は、抗体または抗体部分の治療効果がその有毒または有害効果を越える量でもある。「予防有効量」は必要な用量及び期間所望の予防結果を得るために有効な量を指す。典型的には、予防有効量は病気の発症前または初期段階に患者に使用するので、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
【0083】
投薬レジメンは最適な所望応答(例えば、治療または予防応答)を与えるように調節され得る。例えば、大量用量を1回投与してもよく、分割量を時間をかけて複数回投与してもよく、または用量を治療状況の緊急性に応じて減量または増量させてもよい。投与を容易とし、用量を均一性とするための剤型で非経口組成物を処方することが特に有利である。本明細書中、単位剤型は治療しようとする哺乳動物患者の単位用量として適当な物理的にばらばらの単位を指す。各単位剤型は所望の治療効果を得るように算出した所定量の活性化合物及び所要の医薬担体を含む。本発明の単位剤型の仕様は、(a)活性化合物の独自特性及び達成しようとする特定の治療または予防効果並びに(b)患者の感受性の治療のための活性化合物のようにコンパウンディングの分野に固有の制限により決められ、これらに直接依存する。
【0084】
本発明の抗体または抗体部分の治療または予防有効量の非限定例は10〜100mg、より好ましくは20〜80mg、最も好ましくは約40mgである。用量は改善しようとする状態のタイプ及び重篤度により変更し得ることに注目されたい。更に、任意の特定の患者について、患者の必要性及び組成物を投与するかまたはその投与を監督している人の専門的判断に従って特定の投薬レジメンを経時的に調節することができること及び本明細書に記載されている投薬レジメンは単なる例示にすぎず、本発明の組成物の範囲を限定しないことを理解されたい。
【0085】
V.本発明の抗体の使用
hTNFαへの結合能力に基づいて、本発明の抗−hTNFα抗体またはその一部は(例えば、血清または血漿のような生物学的サンプル中の)hTNFαを酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または組織免疫組織化学のような慣用のイムノアッセイを用いて検出するために使用することができる。本発明は、生物学的サンプルを本発明の抗体または抗体部分と接触させ、hTNFαに結合する抗体(または抗体部分)または非結合抗体(または抗体部分)を検出して生物学的サンプル中のhTNFαを検出することを含む生物学的サンプル中のhTNFαの検出方法を提供する。結合または非結合抗体の検出を容易にするために前記抗体を直接または間接的に検出可能物質で標識する。好適な検出可能物質には各種酵素、接合団、蛍光材料、発光材料及び放射性材料が含まれる。好適な酵素の例にはホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエストラーゼが含まれ、好適な結合団複合体の例にはストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが含まれ、好適な蛍光材料の例にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが含まれ、好適な発光材料の例にはルミノールが含まれ、好適な放射性材料の例には125I、131I、35SまたはHが含まれる。
【0086】
抗体を標識する代わりに、検出可能物質で標識したrhTNFα標準及び非標識抗−hTNFα抗体を用いる競合イムノアッセイにより生物学的流体中のhTNFαをアッセイすることができる。このアッセイでは、生物学的サンプル、標識rhTNFα標準及び抗−hTNFα抗体を混合し、非標識抗体に結合した標識rhTNFα標準の量を測定する。生物学的サンプル中のhTNFαの量は抗−hTNFα抗体に結合した標識rhTNFα標準の量に逆比例する。
【0087】
本発明のD2E7抗体はいずれかのTNFαに結合し得るので、このD2E7はヒト以外の種のTNFα、特に霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル及びアカゲザル)、ブタ及びマウスのTNFαを検出するためにも使用し得る。
【0088】
本発明の抗体及び抗体部分はインビトロ及びインビボでhTNFα活性を中和し得る(米国特許第6,090,382号明細書参照)。更に、本発明の少なくとも幾つかの抗体、例えばD2E7は他の種のhTNFα活性を中和し得る。従って、本発明の抗体及び抗体部分は、例えばhTNFαを含む細胞培養物、ヒト、または本発明の抗体と交差反応するTNFαを有する他の哺乳動物(例えば、チンパンジー、ヒヒ、マーモセット、カニクイザル、アカゲザル、ブタまたはマウス)においてhTNFα活性を阻害するために使用され得る。1実施態様で、本発明は、TNFα活性が阻害されるようにTNFαを本発明の抗体または抗体部分と接触させることを含むTNFα活性の阻害方法を提供する。好ましくは、TNFαはヒトTNFαである。例えば、TNFαを含有するかまたは含有すると疑われる細胞培養物では、本発明の抗体または抗体部分を培地に添加して培養物中のhTNFαを阻害することができる。
【0089】
好ましい実施態様では、本発明は、抗−TNFα抗体の投与が有効である疾患が治療されるように患者に対して本発明の抗体または抗体部分を隔週皮下投与することを含む前記疾患の治療方法を提供する。特に好ましい実施態様では、前記抗体は隔週スケジュールで皮下投与する。別の特に好ましい実施態様では、抗体をメトトレキサートの投与前、その間またはその後に皮下投与する。好ましくは、患者はヒト患者である。或いは、患者は本発明の抗体と交差反応するTNFαを発現する哺乳動物であり得る。更に、患者は(例えば、hTNFαを投与するかまたはhTNFα導入遺伝子を発現させることにより)hTNFαを導入した哺乳動物であり得る。本発明の抗体は(以下に詳記する)治療目的でヒト患者に投与され得る。更に、本発明の抗体は獣医目的またはヒト疾患の動物モデルとして抗体と交差反応するTNFαを発現する非ヒト哺乳動物(例えば、霊長類、ブタまたはマウス)に投与され得る。後者に関して、前記動物モデルは本発明の抗体の治療効果を評価する(例えば、投与量及び投与計画を試験する)ために使用され得る。
【0090】
本明細書中、「抗−TNFα抗体の投与が有効である疾患」は、病気を患っている患者におけるTNFαの存在が判明していたりまたはTNFαの存在が病気の病態生理に関与するかまたは病気を悪化させる因子であると疑われている疾患または他の病気、または別の抗−TNFα抗体またはその生物学的活性部分が疾患を治療するために使用して成功したことが判明している疾患または他の病気を含むと意図される。従って、TNFα活性が有害である疾患とはTNFα活性を阻害すると病気の症状及び/または進行を改善すると予想される疾患である。前記疾患は、例えば病気を患っている患者の生体流中のTNFα濃度の増加(例えば、患者の血清、血漿、滑液等のTNFα濃度の増加)により明らかとなり得る。こうしてTNFα濃度の増加は例えば上記した抗−TNFα抗体を用いて検出し得る。TNFα活性が害となっている疾患は多数ある。特定疾患の治療における本発明の抗体及び抗体部分の使用について以下検討する。
【0091】
(A)敗血症
腫瘍壊死因子は、緊張低下、心筋抑圧、血管漏出症候群、臓器壊死、毒性二次メディエータの放出の刺激及び凝固カスケードの活性化を含む生物学的効果を示し、敗血症の生理病態生理において確立された役割を有している(例えばK.J.Tracey及びA.Cerami,Annu.Rev.Med.,45:491−503(1994);D.Russell及びR.C.Thompson,Curr.Opin.Biotech.,4:714−721(1993)参照)。従って、本発明のヒト抗体及び抗体部分は敗血症性ショック、内毒素ショック、グラム陰性菌敗血症及び毒素ショック症候群を含めた臨床状態の敗血症を治療するために使用することができる。
【0092】
更に、敗血症を治療するために、本発明の抗−TNFα抗体または抗体部分を敗血症を更に回復させ得る追加治療薬の1つ以上、例えばインターロイキン−1阻害剤(例えば国際特許出願公開第92/16221号及び同第92/17583号に記載されているもの)、サイトカインインターロイキン−6(例えば国際特許出願公開第93/11793号参照)または血小板活性化因子アンタゴニスト(例えば欧州特許出願公開第374510号明細書参照)と共に投与し得る。
【0093】
加えて、好ましい実施態様において、本発明の抗−TNFα抗体または抗体部分は治療時に500pg/ml以上、より好ましくは1000pg/ml以上のIL−6血清または血漿濃度を有する敗血症患者のサブグループ内のヒト患者に投与される(L.Daumらの国際特許出願公開第95/20978号参照)。
【0094】
(B)自己免疫疾患
腫瘍壊死因子は各種自己免疫疾患の病態生理における役割に関与している。例えば、TNFαは関節リウマチにおける組織炎症の活性化及び関節の破壊に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami;W.P.Arend及びJ−M.Dayer,Arth.Rheum.,38:151−160(1995);R.A.Favaら,Clin.Exp.Immunol.,94:261−266(1993)参照)。TNFαはまた糖尿病において膵島細胞の死の促進及びンスリン耐性の媒介に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami;国際特許出願公開第94/08609号参照)。TNFαはまた多発性硬化症において乏突起神経膠細胞への細胞毒性の媒介及び炎症性プラークの誘発に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。キメラ及びヒト化マウス抗−TNFα抗体は関節リウマチの治療についての臨床試験を受けている(例えばM.J.Elliottら,Lancet,344:1125−1127(1994);M.J.Elliottら,Lancet,344:1105−1110(1994);E.C.Rankinら,Br.J.Rheumatol.,34:334−342(1995)参照)。
【0095】
本発明のヒト抗体及び抗体部分は自己免疫疾患、特に炎症を伴う自己免疫疾患、例えば関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、痛風関節炎、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎及びネフローゼ症候群を治療するために使用され得る。典型的には、抗体または抗体部分は全身に投与されるが、ある疾患に対しては抗体または抗体部分の炎症部位への局所投与(例えば、単独でまたは国際特許出願公開第93/19751号に記載されているシクロヘキサン−イリデン誘導体と組み合わせて、関節リウマチの関節への局所投与または糖尿病性潰瘍への局所投与)が有効であり得る。
【0096】
(C)感染症
腫瘍壊死因子は各種感染症で見られる生物学的効果の媒介に関与している。例えば、TNFαはマラリアにおいて脳炎症、毛細血管血栓及び梗塞の媒介に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。TNFαはまた髄膜炎における脳炎症の媒介、血管−脳関門の損傷の誘発、敗血症ショック症候群の引き金及び静脈梗塞の活性化に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。TNFαはまた後天性免疫不全症候群(AIDS)における悪液質の誘導、ウイルス増殖の刺激及び中枢神経系損傷の媒介に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。従って、本発明の抗体及び抗体部分は、細菌性髄膜炎(例えば欧州特許出願公開第585705号明細書参照)、大脳マラリア、AIDS及びAIDS関連複合症候群(ARC)(例えば欧州特許出願公開第230574号明細書)を含めた感染症及び移植に続発するサイトメガロウイルス感染(例えばE.Fietzeら,Transplantation,58:675−680(1994)参照)の治療に使用し得る。本発明の抗体及び抗体部分はまた感染(例えば、インフルエンザ)による発熱や筋肉痛、インフルエンザ)及び感染に続発する(例えば、AIDSまたはARCに続発する)悪液質を含めた感染症に関連する症状を緩和するために使用し得る。
【0097】
(D)移植
腫瘍壊死因子は、同種移植片拒絶及び移植片対宿主疾患(GVHD)の主要メディエーターとして、及びT細胞受容体CD3複合体に対するラット抗体OKT3を腎移植片の拒絶を抑えるために使用したときに見られる副作用の媒介に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami;J.D.Easonら,Transplantation,59:300−305(1995);M.Suthanthiran及び;T.B.Strom,New Engl.J.Med.,331:365−375(1994)参照)。従って、本発明の抗体及び抗体部分は、同種移植片や異種移植片の拒絶を含めた移植片拒絶を抑制するために、及びGVHDを抑制するために使用し得る。前記抗体または抗体部分は単独でも使用し得るが、同種移植片に対する免疫応答を抑制したりGVHDを抑制する他の薬物の1つ以上と組合せて使用し得る。例えば、1実施態様では、本発明の抗体または抗体部分はOKT3−誘発反応を抑制するためにOKT3と併用される。別の実施態様では、前記抗体または抗体部分は免疫応答の調節に関わる他の標的に対する1つ以上の抗体、例えば細胞表面分子CD25(インターロイキン−2受容体α)、CD11a(LFA−1)、CD54(ICAM−1)、CD4、CD45、CD28/CTLA4、CD80(B7−1)及び/またはCD86(B7−2)と併用される。別の実施態様では、本発明の抗体または抗体部分は1つ以上の一般的な免疫抑制剤、例えばシクロスポリンAまたはFK506と併用される。
【0098】
(E)悪性疾患
腫瘍壊死因子は、悪性疾患において悪液質の誘導、腫瘍増殖の刺激、転移可能性の上昇及び細胞毒性の媒介に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。従って、本発明の抗体及び抗体部分は悪性疾患の治療、腫瘍増殖または転移の抑制及び/または悪性疾患に続発する悪液質の緩和の際に使用し得る。前記抗体または抗体部分は腫瘍部位に対して全身的または局所的に投与し得る。
【0099】
(F)肺疾患
腫瘍壊死因子は、白血球−内皮細胞活性化の刺激、肺細胞への細胞毒性の指向及び血管漏出症候群の誘発を含めて、成人呼吸窮迫症候群の病態生理に関与している(例えば上掲したTracey及びCerami参照)。従って、本発明の抗体及び抗体部分は成人呼吸窮迫症候群(例えば国際特許出願公開第91/04054号参照)、ショック肺、慢性肺炎症性疾患、肺サルコイドーシス、肺線維症及びケイ肺症を含めた各種肺疾患を治療するために使用し得る。前記抗体または抗体部分は肺表面に対して全身的または局所的、例えばエアゾールとして投与し得る。
【0100】
(G)腸疾患
腫瘍壊死因子は炎症性腸疾患の病態生理に関与している(例えばK.J.Tracyら,Science,234:470−474(1986);X−M,Sunら,J.Clin.Invest.,81:1328−1331(1988);T.T.MacDonaldら,Clin.Exp.Immunol.,81:301−305(1990)参照)。キメラマウス抗−hTNFα抗体はクローン病の治療についての臨床試験を受けている(H.M.vanDullemenら,Gastroenterology,109:129−135(1995))。本発明のヒト抗体及び抗体部分はまたクローン病や潰瘍性結腸炎の2つの症候群を含む腸疾患、例えば突発性炎症性腸疾患を治療するためにも使用し得る。
【0101】
(H)心疾患
本発明の抗体及び抗体部分はまた虚血性心疾患(例えば欧州特許出願公開第453898号明細書参照)及び心不全(心筋の衰弱)(例えば国際特許出願公開第94/20139号参照)を含めた各種心疾患を治療するために使用し得る。
【0102】
(I)その他
本発明の抗体及び抗体部分はTNFα活性が有害である各種の他の疾患を治療するためにも使用し得る。TNFα活性が病態生理に関与し、よって本発明の抗体または抗体部分を用いて治療され得る他の疾患及び病気の例には、炎症性骨疾患及び骨吸収疾患(例えばD.R.Bertoliniら,Nature,319:516−518(1986);A.Konigら,J.Bone Miner.Res.,3:621−627(1988);U.H.Lerner及びA.Ohlin,J.Bone Miner.Res.,8:147−155(1993);及びG.Shankar及びP.H.Stern,Bone,14:871−876(1993)参照);アルコール性肝炎(例えばC.J.McClain及びD.A.Cohen,Hepatology,9:349−351(1989);M.E.Felverら,Alcohol.Clin.Exp.Res.,14:255−259(1990);及びJ.Hansenら,Hepatology,20:461−474(1994)参照)及びウイルス肝炎(例えばN.Sheronら,J.Hepatol.,12:241−245(1981);M.J.Hussainら,J.Clin.Pathol.,47:1112−1115(1991)参照)を含めた肝炎;凝固障害(例えばT.van der Pollら,N.Engl.J.Med.,322:1622−1357(1990);及びT.van der Pollら,Prog.Clin.Biol.Res.,367:55−60(1991)参照);火傷(例えばB.P.Giroirら,Am.J.Physiol.,267:H118−124(1994)及びX.S.Liuら,Burns,20:40−44(1994)参照);再灌流障害(例えばW.E.Scalesら,Am.J.Physiol.,267:G1122−1127(1994);C.Serrickら,Transplantations,58:1158−1162(1994)及びY.M.Yaoら,Resuscitation,29:157−168(1995)参照);ケロイド形成(例えばR.L.McCauleyら,J.Clin.Immunol.,12:300−308参照);瘢痕組織形成;及び発熱が含まれる。
【実施例】
【0103】
下記実施例により本発明を更に説明する。これらの実施例は限定的に解釈されるべきではない。本明細書中で引用した参考文献、特許明細書及び特許出願公開明細書すべての開示内容は援用により本明細書に含まれるとする。
【実施例1】
【0104】
抗−TNFα抗体を用いる治療
皮下投与後のD2E7効果:
本研究では、24人の活動性RA患者に0.5mg/kgのD2E7(n=18)またはプラセボ(n=6)を3ヶ月間毎週皮下注射することにより治療した。本研究に参加した患者は、平均10.1年間罹患しており、病気活動度スコア(DAS)は4.87であり、及び研究開始前のDMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬)の経験は平均3.4種類であり、これらはかなりの病気活動度を反映する。応答者(レスポンダー)はD2E7による非盲検治療を継続したが、0.5mg/kg用量に応答しなかったり0.5mg/kg用量でDAS応答を失った患者には研究の第12週目以降に1mg/kgに増量し皮下注射した。
【0105】
最初に参加した患者は薬物を最高60回注射され、よって60週間投薬治療を受けた。皮下注射による効果は静注による効果と同等であった。治療の第1週の間に、患者の78%までがDAS及びACR20応答に達した。0.5mg/kg/週のD2E7を皮下投与すると12週間でベースラインに比較して腫脹関節(SWJ)カウントは54%、圧痛のある関節カウント(TJC)は61%、CRPは39%低下した。これに対して、プラセボ群ではすべてのパラメーターが増加した。本研究のプラセボーコントロール期間の終了後、患者は最高14ヶ月まで効果を持続させながら治療を継続した。これらの結果から、0.5mg/kg/週のD2E7の皮下投与は良好な局所許容度で安全に自己投与し得ることが分かる。
【0106】
D2E7及びメトトレキサートの投与:
本研究では、患者に対して、進行中のメトトレキサート(MTX)による治療に加えてプラセボまたは1mg/kg用量のD2E7を皮下または静脈注射した。54人の患者が本研究に参加し、18人の患者にD2E7を静脈投与及びプラセボを皮下投与し、18人の患者にプラセボを静脈投与及びD2E7を皮下投与し、18人の患者にプラセボを静脈投与及び皮下投与した。これらの患者には、1回目の投薬から4週間経過後に盲検での応答状態を失った後にのみ2回目の投薬を行った。その後、すべての患者に対して非盲検的にD2E7を隔週皮下投与した。
【0107】
本研究の研究患者群は、人口統計学的には平均11.1年のRA罹患期間、平均3.6種類のDMARD(MTX以外)への事前暴露及び研究開始時4.81の平均DASを有していた。29日目までにDAS基準による応答に達したのはD2E7を静脈注射した患者の72%及びD2E7を皮下注射した患者の44%であったのに対して、プラセボ治療患者ではたった28%であった(図5参照)。本研究の応答者のうち、プラセボ治療患者の28%がACR20応答を29日目まで維持したのに対して、D2E7を静脈注射した患者の72%及びD2E7を皮下注射した患者67%がACR20応答を29日目まで維持し、これらの患者は1〜3月間応答を維持した。
【実施例2】
【0108】
皮下投与した抗−TNFα抗体の全身用量
D2E7の毎週皮下投与:
本研究には284人のRA患者が参加し、皮下投与されるD2E7の最適全身用量を決定するために計画された。無作為に割り当てた患者に対し、12週間にわたり毎週20、40若しくは80mgのD2E7またはプラセボを投与した。その後、プラセボ治療患者には40mg D2E7/週の投与に盲検的に切り替えた。
【0109】
20mgでは患者の約49%がACR20に達し、40mgでは患者の55%がACR20に達し、80mgでは患者の54%がACR20に達したのに対して、プラセボ投与患者では10%のみがACR20に達した(図1A参照)。20mgでは患者の約23%がACR50に達し、40mgでは患者の27%がACR50に達し、80mgでは患者の20%がACR50に達したのに対して、プラセボ投与患者では2%のみがACR50に達した。これらのデータは、D2E7の皮下投与、特に40mg/週の皮下投与により良好な応答が得られることを示している。
【実施例3】
【0110】
抗TNFα抗体の隔週皮下投与
D2E7の隔週皮下投与:
MTXに対して部分応答を示したRA患者に対してMTX治療を継続させると共にプラセボまたは各種の用量レベルのD2E7を最高24週間隔週皮下投与した後の臨床効果、安全性、免疫原性及び耐性を調べた。
【0111】
研究計画:
MTXに対して不十分な効果または耐性を示したRA患者を対象に、プラセボ対照二重盲検無作為化多施設研究を実施した。トライアルの過程中、患者には下記の選択基準(インクルージョン クライテリア)で特定した用量と共に安定用量のMTXの投与を継続した。
【0112】
本研究は2つの部分、すなわち1)DMARD(MTXを除く)を退薬させるための1回目の投薬前の4週間の"ウオッシュアウト期間"及び2)プラセボまたは(全身用量として)20、40もしくは80mgのD2E7を最高24週間隔週皮下投与するように67人の患者を4群の1つに無作為に割り当てる"プラセボ対照期間"から構成した。各用量の治験薬を1.6mlずつ2回皮下注射して投与した。患者への1回目の投薬は患者のトレーニングの一部として医療従事者が投与した。その後、患者は、研究において、トレーニングを受けた人の直接監視下で、最初の4週間、自己投与した。その後、研究場所以外の場所で、患者、患者が指定したトレーニングを受けた人または医療従事者が、投薬を実施した。4または5週間分の薬剤を、各臨床評価後に調剤した。患者の関節を1、2、3、4、6、8、12、16、20及び24週目に連続して検査した。この検査は治療担当医とは別の盲検査定者により行った。
【0113】
本研究には271人のRA患者が参加した。本研究の集団は北米の中程度乃至重篤なRA患者の代表であり、約70%が女性で、40歳以上が優勢であった。前記集団は当業者に公知の所定の選択基準及び除外基準を用いて選択した。例えば、患者はアメリカリウマチ学会(American College of Rheumatology;ACR)基準(表A参照)の1987年改定版に規定するRAの診断を受けていなければならない。
【0114】
結果:
図1B及び図2〜4は、24週間でRAの兆候及び症状を軽減させる点でメトトレキサートと組み合わせたD2E7の隔週皮下治療がプラセボに比して非常に優れていることを示している。3種すべての用量のD2E7は毎週投与したプラセボに比して統計上有意により有効であった。更に、40mg及び80mgのD2E7は20mgの用量に比してより有効であった。
【0115】
均等物
当業者は、日常の試験を用いて本明細書に記載されている本発明の特定実施態様に対する多くの均等物を認識したり、確認することができるであろう。前記均等物は上記請求の範囲に包含されると解される。
【0116】
【表1】

【0117】
【化1】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者におけるTNFα抗体で治療可能な疾患の治療方法であつて、治療を要するヒト患者に対して抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分を含む組成物を前記疾患を治療するような隔週投薬レジメで投与することを特徴とする前記方法。
【請求項2】
投与が皮下注射によることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項3】
抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分がヒト抗−TNFα抗体であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の方法。
【請求項4】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が、いずれも表面プラズモン共鳴で測定して1×10−8M以下のK及び1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離し、標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−7M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項5】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が5×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項6】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が1×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項7】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−8M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項8】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−9M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項9】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−10M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項10】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が組換え抗体またはその組換え抗原結合部分であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の方法。
【請求項11】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してヒト抗−TNFα抗体を含む組成物を隔週投薬レジメで投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は、
a)表面プラズモン共鳴で測定して1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより、または位置No.1、3、4、6、7、8及び/または9において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより、または位置No.2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/または12において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する;
という特徴を有することを特徴とする前記方法。
【請求項12】
投与が皮下によることを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。
【請求項13】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が5×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第11項に記載の方法。
【請求項14】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してヒト抗−TNFα抗体を含む組成物を隔週投薬レジメで皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は、配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有し且つ配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項15】
ヒト抗体またはその抗原結合部分のLCVRが更に配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有し、HCVRが更に配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有することを特徴とする請求の範囲第14項に記載の方法。
【請求項16】
ヒト抗体またはその抗原結合部分のLCVRが更に配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有し、HCVRが更に配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有することを特徴とする請求の範囲第14項に記載の方法。
【請求項17】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してヒト抗−TNFα抗体を含む組成物を隔週投薬レジメで皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項18】
ヒト抗体がIgG1重鎖定常領域を有することを特徴とする請求の範囲第17項に記載の方法。
【請求項19】
ヒト抗体がIgG4重鎖定常領域を有することを特徴とする請求の範囲第17項に記載の方法。
【請求項20】
ヒト抗体がFab断片であることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の方法。
【請求項21】
ヒト抗体が単鎖Fv断片であることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の方法。
【請求項22】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してヒト抗−TNFα抗体を含む組成物を隔週投薬レジメで皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分が配列番号3、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有し、または配列番号4、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項23】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してヒト抗−TNFα抗体を含む組成物を隔週投薬レジメで皮下投与することを含み、前記ヒト抗体が抗体D2E7またはその抗原結合部分であることを特徴とする前記方法。
【請求項24】
a)抗−TNFα抗体及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物、及びb)抗−TNFα抗体またはその結合部分がその治療に有効な疾患を治療するために前記医薬組成物の隔週投薬を指示する使用説明書を含む製剤を含むことを特徴とするキット。
【請求項25】
抗体が請求の範囲第2項〜第22項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合部分からなることを特徴とする請求の範囲第24項に記載のキット。
【請求項26】
抗−TNFα抗体及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物が収容されていることを特徴とする前充填注射器。
【請求項27】
ヒト抗体が請求の範囲第2項〜第22項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合部分からなることを特徴とする請求の範囲第26項に記載の注射器。
【請求項28】
抗−TNFα抗体またはその結合部分がその治療に有効な疾患の治療方法であって、前記疾患を治療するように前記ヒト患者に対して抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分及びメトトレキサートを含む組成物を皮下投与することを特徴とする前記方法。
【請求項29】
メトトレキサートを抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分の投与と同時に投与することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項30】
メトトレキサートを抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分を投与する前に投与することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項31】
メトトレキサートを抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分を投与した後に投与することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項32】
抗−TNFα抗体がヒト抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分であることを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項33】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が、いずれも表面プラズモン共鳴で測定して1×10−8M以下のK及び1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離し、標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−7M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項34】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が5×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項35】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が1×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項36】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−8M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項37】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−9M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項38】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が標準インビトロL929アッセイでヒトTNFα細胞毒性を1×10−10M以下のIC50で中和することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項39】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が組換え抗体またはその抗原結合部分であることを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項40】
ヒト抗体またはその抗原結合部分がヒト臍静脈内皮細胞でのELAM−1のヒトTNFα誘導発現を抑制することを特徴とする請求の範囲第28項に記載の方法。
【請求項41】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してメトトレキサートを投与し、ヒト抗−TNFα抗体を皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は、
a)表面プラズモン共鳴で測定して1×10−3−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより、または位置No.1、3、4、6、7、8及び/または9において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより、または位置No.2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/または12において1〜5個同類アミノ酸置換することにより修飾してなる配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する;
という特徴を有することを特徴とする前記方法。
【請求項42】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が5×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第41項に記載の方法。
【請求項43】
ヒト抗体またはその抗原結合部分が1×10−4−1以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離することを特徴とする請求の範囲第41項に記載の方法。
【請求項44】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してメトトレキサートを投与し、ヒト抗−TNFα抗体を皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は配列番号3のアミノ酸配列を含むか、または配列番号3のアミノ酸配列を、位置No.1、4、5、7または8において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有し且つ配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または配列番号4のアミノ酸配列を、位置No.2、3、4、5、6、8、9、10または11において単一アラニン置換することにより修飾してなるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項45】
ヒト抗体またはその抗原結合部分のLCVRが更に配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有し、HCVRが更に配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有することを特徴とする請求の範囲第44項に記載の方法。
【請求項46】
ヒト抗体またはその抗原結合部分のLCVRが更に配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有し、HCVRが更に配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有することを特徴とする請求の範囲第44項に記載の方法。
【請求項47】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してメトトレキサートを投与し、ヒト抗−TNFα抗体を皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分は配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)を有し且つ配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項48】
ヒト抗体がIgG1重鎖定常領域を有することを特徴とする請求の範囲第47項に記載の方法。
【請求項49】
ヒト抗体がIgG4重鎖定常領域を有することを特徴とする請求の範囲第47項に記載の方法。
【請求項50】
ヒト抗体がFab断片であることを特徴とする請求の範囲第47項に記載の方法。
【請求項51】
ヒト抗体が単鎖Fv断片であることを特徴とする請求の範囲第47項に記載の方法。
【請求項52】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してメトトレキサートを投与し、ヒト抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分を皮下投与することを含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合部分が配列番号3、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25及び配列番号26からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する軽鎖可変領域(LCVR)を有し、または配列番号4、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号34からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3ドメインを有する重鎖可変領域(HCVR)を有することを特徴とする前記方法。
【請求項53】
TNFα活性が有害な疾患を患っているヒト患者におけるヒトTNFα活性の阻害方法であって、前記ヒト患者に対してメトトレキサートを投与し、ヒト抗−TNFα抗体を皮下投与することを含み、前記ヒト抗体が抗体D2E7またはその抗原結合部分であることを特徴とする前記方法。
【請求項54】
a)抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分、メトトレキサート及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物、及びb)TNFα活性が有害な疾患を治療するために患者に対して前記医薬組成物の皮下投薬を指示する使用説明書を含む製剤を含むことを特徴とするキット。
【請求項55】
抗体が請求の範囲第32項〜第51項のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合部分からなることを特徴とする請求の範囲第54項に記載のキット。
【請求項56】
抗−TNFα抗体、メトトレキサート及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物が収容されていることを特徴とする前充填注射器。
【請求項57】
抗体が請求の範囲第32項〜第52項のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合部分からなることを特徴とする請求の範囲第56項に記載の注射器。
【請求項58】
疾患が敗血症であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項59】
ヒト患者に対して抗体をサイトカインインターロイキン−6(IL−6)と一緒に投与するかまたはヒト患者に対して抗体を500pg/ml以上の血清または血漿濃度のIL−6と一緒に投与することを特徴する請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項60】
疾患が自己免疫疾患であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項61】
自己免疫疾患が関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎及び痛風関節炎からなる群から選択されることを特徴とする請求の範囲第60項に記載の方法。
【請求項62】
自己免疫疾患が関節リウマチであることを特徴とする請求の範囲第61項に記載の方法。
【請求項63】
自己免疫疾患がアレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫性ブドウ膜炎及びネフローゼ症候群からなる群から選択されることを特徴とする請求の範囲第60項に記載の方法。
【請求項64】
疾患が感染症であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項65】
疾患が移植片拒絶または移植片対宿主病であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項66】
疾患が悪性疾患であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項67】
疾患が肺疾患であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項68】
疾患が腸疾患であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項69】
疾患が心疾患であることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項70】
疾患が炎症性骨疾患、骨吸収疾患、アルコール性肝炎、ウイルス肝炎、凝固障害、火傷、再灌流障害、ケロイド形成、瘢痕組織形成及び発熱からなる群から選択されることを特徴とする請求の範囲第1項または第28項に記載の方法。
【請求項71】
a)抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物、b)メトトレキサート及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物、及びc)患者に対して抗−TNFα抗体医薬組成物を皮下投薬し、前記抗−TNFα抗体医薬組成物の投与前、同時またはその後にメトトレキサート医薬組成物の投薬を指示する使用説明書を含むことを特徴とするキット。
【請求項72】
抗−TNFα抗体またはその抗原結合部分がD2E7またはその抗原結合部分であることを特徴とする請求の範囲第71項に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100311(P2013−100311A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−121(P2013−121)
【出願日】平成25年1月4日(2013.1.4)
【分割の表示】特願2009−54241(P2009−54241)の分割
【原出願日】平成14年6月5日(2002.6.5)
【出願人】(503448572)アボツト・バイオテクノロジー・リミテツド (30)
【Fターム(参考)】