説明

抗アミロイド治療の有効性に対する代用マーカーとしてのアミロイドイメージング

アミロイド症の処置における治療の有効性を決定するための本方法は、式(I)または式(II)または構造1〜45の化合物をそれを必要とする患者に投与すること、および患者をイメージングすることを含む。前記イメージングの後、少なくとも1種の抗アミロイド剤を前記患者に投与する。次いで、式(I)または式(II)または構造1〜45の化合物の有効量を患者に投与し、患者を再びイメージングする。最後に、抗アミロイド剤で処置する前の患者におけるアミロイド沈着のベースラインレベルを、抗アミロイド剤で処置後の患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミロイド症の処置における治療の有効性を決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミロイド症は、一般的にアミロイドと呼ばれるタンパク質材料の、1つまたは多数の器官における細胞外組織の沈着を特徴とする、多様なグループの疾患の過程である。アミロイドは、全体的にはヨウ素とのデンプン様染色反応により(したがって、アミロイドの語があり)、顕微鏡的にはコンゴーレッドで染色した場合のその細胞外分布、ならびに着色のおよび肉眼的な特徴により、かつ電子顕微鏡およびエックス線結晶構造解析により示されるそのタンパク質のフィブリル構造により区別することができる(表1を参照されたい)。例示的なアミロイド症疾患には、アルツハイマー病(「AD」)、ダウン症、2型真性糖尿病、および軽度認知障害(MCI)がある。
【0003】
ADは、記憶の喪失および他の認知障害を特徴とする神経変性疾患である。McKhannら、Neurology、34巻、939頁(1984年)。ADは、米国における最も一般的な認知症の原因である。ADは、40〜50歳程度に若い者が罹患することがあるが、危険な脳の生検なしに病気の存在を判定するのは難しいため、発症の時期は知られていない。ADの有病率は年齢とともに上昇し、罹患した集団は85〜90歳までには40〜50%ほどに到達すると見積もられている。Evansら、JAMA、262巻、2551頁(1989年)、Katzman、Neurology、43巻、13頁(1993年)。
【0004】
神経病理学的に、ADは、他の様々な発見とともに、老人斑(NP)、神経原線維濃縮体(NFT)、およびニューロンの喪失の存在を特徴とする。Mann、Mech.Ageng Dev.、31巻、213頁(1985年)。ADの犠牲者の死後の脳組織の切片は、ADに特徴的な老人斑の細胞外のタンパク様の細胞外コアの形態のアミロイドが存在することを示している。これらの老人斑のアミロイドのコアは、主に、βプリーツシート構造に配置されているβアミロイド(Aβ)と呼ばれるタンパク質から構成されている。
【0005】
ADは、約400万人のアメリカ人が、おそらく世界中では2000〜3000万人が罹患していると考えられている。ADは、先進国では主要な公衆衛生上の問題であることが認められている。ADの分子基盤の進行中の解明から、いくつかの治療上のターゲットが現れている。例えば、AD患者の症候の治療には、4つのコリンエステラーゼ阻害薬である、タクリン(Cognex、Warner-Lambert、Morris Plains、ニュージャージー州)、ドネペジル(Aricept、Eisai,Inc.、Teaneck、ニュージャージー州、およびPfizer,Inc.、New York、ニューヨーク州)、リバスチグミン(Exelon、Novartis、Basel、スイス)、およびガランタミン(Reminyl、Janssen、Titusville、ニュージャージー州)が認可されている。現在開発中の可能性のある新しいAD治療法は、免疫療法、セクレターゼ阻害薬、または抗炎症薬を伴う。しかし、現在までに、認知の低下の原因を修飾することが証明されている薬物は存在しない。
【0006】
抗アミロイド治療を開発する主要な障害物は、免疫療法を抗アミロイド治療として使用することに関する以下の引用文(Hock,C.ら、2003年、Neuron、38巻、547〜554頁)によって例示される:「我々は、脳のAβアミロイド負荷が我々の試験患者で低減したか否かがわからない。この質問に答えるにはin vivoのイメージング技術が必要である」。処置前のアミロイドの負荷を定量する能力、および次いで処置の効果を追跡する能力は、このクラスの薬物の有効な開発に決定的である。本発明は、抗アミロイド治療に対する有効性の代用マーカーとしてアミロイドイメージングを使用する。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、アミロイド症の処置における治療の有効性を決定する方法であって、
(A)かかる決定が必要な患者に、以下の式:
【化1】

【0008】
[式中、
(i)Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、ZがC(R')2である場合、複素環の互変異性体はインドール:
【化2】

【0009】
[式中、R'はHまたは低級アルキル基である]
を形成していてもよく、
(ii)Yは、NR1R2、OR2、またはSR2であり、
(iii)R1は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(iv)R2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(v)R3は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vi)R4は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vii)R5は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(viii)R6は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(ix)R7は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(x)R8は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xi)R9は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xii)R10は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
あるいは、R3〜R10の1つは、Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群から選択され、Wがn=0、1、2、3、4、または5である-(CH2)nであり、Lが:
【化3】

【0010】
[式中、MはTcおよびReからなる群から選択される]
であるW-LまたはV-W-Lの形態のキレート基(キレート化された金属基を含む、または含まない)であることができる]
を有する化合物の有効量を投与するステップと、
(B)前記患者をイメージングするステップと、次いで
(C)少なくとも1種の抗アミロイド剤を、前記患者に投与するステップと、
(D)その後、有効量の式(I)の化合物を、前記患者に投与するステップと、
(E)前記患者をイメージングするステップと、
(F)前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む、方法に関する。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗アミロイド剤は、Aβペプチドに対する抗体を1つまたは複数含む。
【0012】
他の実施形態では、抗アミロイド剤はβ-および/またはγ-セクレターゼの阻害物質を1つまたは複数含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗アミロイド剤は、デコイペプチドなど、Aβ1〜42に結合する小分子を含む。
【0014】
他の実施形態では、アミロイド症はADである。
【0015】
いくつかの実施形態では、アミロイド症はアミロイド沈着障害であり、好ましい実施形態は、アミロイド斑沈着障害であるアミロイド症を包含する。
【0016】
いくつかの実施形態では、イメージングは、ガンマ線イメージング、磁気共鳴イメージング、および磁気共鳴分光法からなる群から選択される。
【0017】
他の実施形態では、イメージングはガンマ線イメージングにより行われ、ガンマ線イメージングはPETまたはSPECTである。
【0018】
いくつかの実施形態では、(I)の化合物は、
【化4】

【0019】
である。
【0020】
他の実施形態では、式(I)の化合物は11C標識を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、抗アミロイド剤は、末梢性シンク物質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、アミロイド症の処置において治療の有効性を決定するための方法に関する。この方法は、代用マーカーとしてアミロイドイメージングを使用することを含む。代用マーカーは、薬物の認可の目的で臨床上のエンドポイントとして臨床の測定の代わりに用いることができる、特殊なタイプの生物マーカーである。したがって、本明細書に記載する方法は、薬物開発の治験で有用である。例えば、コレステロールレベルの測定は、現在認められている動脈硬化の代用マーカーである。さらに、この方法は、患者管理上の決定を助ける上で、臨床的に有用である。その点について、アミロイドの負担を定量的に評価することにより、薬物の投与量または処置の選択に関する臨床上の決断を向上することができる。本発明は、抗アミロイド治療の有効性の代用マーカーとして、アミロイドイメージングを使用することに関する。
【0023】
「アミロイド症」は、アルツハイマー病、ダウン症、2型真性糖尿病、遺伝性脳出血アミロイド症(オランダ人)、アミロイドA(反応性)、続発性アミロイドーシス、MCI、家族性地中海熱、蕁麻疹および聴覚障害を伴う家族性アミロイド腎症(マックルウェルズ症候群)、アミロイドλL鎖またはアミロイドκL鎖(続発性、ミエローマもしくはマクログロブリン血症に関連する)Aβ2M(慢性血液透析)、ATTR(家族性アミロイドポリニューロパチー(ポルトガル人、日本人、スウェーデン人))、家族性アミロイド心筋障害(デンマーク人)、孤立性心臓アミロイド、全身性老年性アミロイドーシス、AIAPPもしくはアミリンインスリノーマ、心房性ナトリウム利尿因子(孤立性心房性アミロイド)、プロカルシトニン(甲状腺の髄様癌)、ゲルゾリン(家族性アミロイドーシス(フィンランド人))、シスタチンC(アミロイド症を伴う遺伝性脳出血(アイスランド人))、Aアポ-A-1(家族性アミロイド性多発性神経障害-アイオワ)、Aアポ-A-II(マウスにおける加速された老化)、フィブリノーゲン関連アミロイド;およびAsorもしくはPr P-27(スクレイピー、クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマンシュトロイスラーシャインカ症候群、ウシ海綿状脳症)、またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子にホモ接合であるヒトの場合、ならびにアポリポタンパク質E4対立遺伝子またはハンチントン病に対するホモ接合型に付随する状態など、アミロイド沈着を伴う疾患に関する。本発明は、アミロイド斑沈着を伴う疾患を包含する。好ましくは、アミロイド沈着を伴う疾患は、ADである。
【0024】
本方法は、抗アミロイド治療の成功を評価する手段を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、抗アミロイド治療の臨床上の成功を評価するための手段を提供する。いくつかの実施形態では、追跡すべき臨床症状が少々あり、またはない、少々罹患している被験者における臨床上の成功を評価するために、本方法を用いることができる。アミロイド症の処置における治療の有効性を決定する基本的な方法は、
(A)その決定を必要とする患者に有効量の以下の式:
【化5】

【0025】
[式中、
(i)Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、ZがC(R')2である場合、複素環の互変異性体はインドール:
【化6】

【0026】
[式中、R'はHまたは低級アルキル基である]
を形成していてもよく、
(ii)Yは、NR1R2、OR2、またはSR2であり、
(iii)R1は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(iv)R2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(v)R3は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vi)R4は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vii)R5は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(viii)R6は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(ix)R7は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(x)R8は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xi)R9は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xii)R10は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
あるいは、R3〜R10の1つは、Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群から選択され、Wがn=0、1、2、3、4、または5である-(CH2)nであり、Lが:
【化7】

【0027】
[式中、MはTcおよびReからなる群から選択される]
である、W-LまたはV-W-Lの形態のキレート基(キレート化された金属基を含む、または含まない)であることができる]
を有し、少なくとも1つの置換基部分は検出可能な標識を含む化合物、ならびにその放射標識された誘導体および製薬上許容される塩を投与するステップと、
(B)前記患者をイメージングするステップと、次いで、
(C)少なくとも1種の抗アミロイド剤を、それを必要とする前記患者に投与するステップと、
(D)その後、有効量の式(I)の化合物を、それを必要とする前記患者に投与するステップと、
(E)前記患者をイメージングするステップと、
(F)少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む。
【0028】
検出可能な標識には、当業者には周知のイメージング技術を用いて検出することができるあらゆる原子または部分が含まれる。典型的には、検出可能な標識には、3H、131I、125I、123I、76Br、75Br、18F、CH2-CH2-X*、O-CH2-CH2-X*、CH2-CH2-CH2-X*、O-CH2-CH2-CH2-X*(式中、X*=131I、123I、76Br、75Br、または18Fである)、19F、125I;低級アルキルからなる群から選択される含炭素置換基;(CH2)nOR'、CF3、CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-X、CH2-CH2-CH2-X、O-CH2-CH2-CH2-X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)R'、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、COOR'、CR'=CR'-Rph、およびCR2'-CR2'-Rphからなる群から選択され、式中、少なくとも1つの炭素が11C、13C、または14C、およびW-L*、またはV-W-L*の形態のキレート基(キレート化された金属基)であり、Vは、-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群から選択され、Wは、n=0、1、2、3、4、または5である-(CH2)nであり、L*は、
【化8】

【0029】
[式中、M*は99mTcである]
である。好ましい実施形態では、検出可能な標識は放射標識である。
【0030】
好ましい実施形態では、検出可能な標識は放射標識である。
【0031】
アミロイドプローブ
本発明のために適しているアミロイドプローブは上記した式(I)を有する化合物である。
【0032】
幾つかの実施形態では、アミロイドイプローブは式(II):
【化9】

【0033】
(式中、
は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり;
RはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロであり;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり;
は水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、ここで前記したアルキル、アルケニルまたはアルキニルは放射性炭素を含むか、またはRが水素もしくは非放射性ハロのときには放射性ハロで置換されており;
ただしRが水素または−OHであり、Rが水素であり、Rが−11CHのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、更にただしRが水素であり、Rが水素であり、Rが−(CH18FのときにはRはC2−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む化合物、或いは前記化合物の放射標識誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物またはプロドラッグである。
【0034】
1実施形態では、式(II)を有する化合物中のRは放射性ハロを含有する。
【0035】
「アルキル」は、直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルが含まれるが、これらに限定されない。用語「低級アルキル」はC1−6アルキルを指す。
【0036】
「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、tert−ブテニル、n−ペンテニル及びn−ヘキセニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む不飽和の直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。その例にはエチニル、プロピニル、イソプロピニル、ブチニル、イソブチニル、tert−ブチニル、ペンチニル及びヘキシニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
「アルコキシ」は、酸素結合を介して結合しているアルキル基を指す。
【0039】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨード基を指す。
【0040】
「放射性ハロ」は、放射性ハロ、すなわち放射性フルオロ、放射性クロロ、放射性ブロモまたは放射性ヨードを指す。
【0041】
別の実施形態において、式(I)を有するチオフラビン化合物は構造1〜45またはその放射標識誘導体からなる群から選択される。
【化10】




【0042】
好ましい実施形態では、アミロイドプローブは{N−メチル−11C}2−[4’−(メチルアミノ)フェニル]6−ヒドロキシベンゾチアゾール(“[11C]PIB”)または{N−メチル−H}2−[4’−(メチルアミノ)フェニル]6−ヒドロキシベンゾチアゾール(“[H]PIB”)である。
【0043】
「有効量」は、所望の効果を生じさせるのに必要な量を指す。「有効量」の例には、インビボまたはインビトロでアミロイド沈着物を検出し、イメージングすることができ;医薬用に許容される程度の毒性及びバイオアベイラビリティーレベルを生じ;及び/またはフィブリル形成を伴う細胞変性及び毒性を予防する量が含まれる。
【0044】
本明細書中で「チオフラビン化合物」、「チオフラビン誘導体」または「アミロイドプローブ」とも呼ばれる式(I)及び(II)有する化合物はそれぞれ(1)インビトロで合成Aβに特異的に結合し、(2)インビボで非妥協血液脳関門を横切ることができるという特徴を有している。
【0045】
式(I)及び(II)並びに構造1〜45を有するチオフラビン化合物及びその放射標識誘導体は、インビボで血液脳関門を横切り、神経突起(拡散性ではない)斑中に沈着したAβ、脳血管アミロイド中に沈着したAβ、及びNFT中に沈着したタンパク質からなるアミロイドに結合する。本発明の化合物は、組織切片中のアミロイドを染色し、インビトロで合成Aβに結合することが公知のチオフラビンS及びTの非4級アミン誘導体である。J.Kelenyi,Histochem.Cytochem.,15:172(1967);Burnsら,J.Path.Bact.,94:337(1967);Gunternら,Experientia,48:8(1992);LeVine,Meth.Enzymol.,309:274(1999)。
【0046】
本発明の方法は、患者の臓器または身体域、好ましくは脳中のアミロイド沈着物の存在及び位置を測定する。本発明の方法は、式(I)または(II)および構造1〜45を有するアミロイドプローブを検出可能量投与することを含む。幾つかの実施形態では、アミロイドプローブは上記した構造1〜45から選択される。アミロイドイプローブは医薬組成物またはその製薬上許容される水溶性塩として患者に対して投与され得る。
【0047】
「製薬上許容される塩」は、本発明の化合物の酸または塩基の塩であり、所望の薬理学的活性を有し且つ生物学的にも他の点でも望ましいものを指す。この塩は酸を用いて形成され得、この中には酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、半硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。塩基塩の例にはアンモニウム塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩;有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩及びN−メチル−D−グルカミン;及びアミノ酸(例えば、アルギニン及びリシン)との塩が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、塩基性窒素含有基はハロゲン化低級アルキル、例えば塩化メチル,エチル,プロピル及びブチル、臭化メチル,エチル,プロピル及びブチル、及びヨウ化メチル,エチル,プロピル及びブチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル,ジエチル,ジブチル及びジアミル;長鎖ハロゲン化物、例えば塩化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、臭化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル、塩化デシル,ラウリル,ミリスチル及びステアリル;及びハロゲン化アルアルキル、例えば臭化フェネチルのような物質を用いて4級化され得る。
【0048】
通常、検出可能に標識されているチオフラビン誘導体の用量は、当業界の医師が調節するために考慮する患者の年齢、状態、性別及び病気の程度;もしあるならば配合禁忌、併用治療;及び他の変数のような要件に依存して変わる。用量は0.001〜10μg/kg、好ましくは0.01〜1.0μg/kgであり得る。
【0049】
被験者に対して局所または全身に投与され得、静脈内、動脈内、鞘内(脊髄液を介して)等に投与され得る。検査しようとする身体部位に応じて皮内または腔内に投与してもよい。化合物がアミロイドと結合するのに十分な時間、例えば30分間〜48時間経過したら、検査しようとする被験者の領域をルーチンのイメージング技術(例えば、MRS/MRI、SPECT、平面シンチレーションイメージング、PET及び任意の新しいイメージング技術)により調べる。正確なプロトコルは必ず上記した患者に特有の因子及び検査しようとする身体部位、使用する標識の投与方法及び標識の種類に応じて異なり、特異的処置は当業者によりルーチンに決定される。脳イメージングのためには、本発明の結合した放射標識チオフラビン誘導体またはアナログの量(全結合または特異的結合)を測定し、患者の小脳に結合した標識チオフラビン誘導体の量と(比として)比較することが好ましい。次いで、この比を年齢を整合させた正常脳の同一比と比較する。
【0050】
本発明のアミロイドプローブを注射用組成物の形態で投与するのが有利であるが、公知のドラッグデリバリーシステム(例えば、経口、直腸内、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、槽内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または滴剤)、または口腔または鼻内スプレーとして)に製剤化してもよい。前記目的のための典型的な組成物は製薬上許容される担体を含む。例えば、組成物は、NaCl含有リン酸バッファー1mlあたり約10mgのヒト血清アルブミン及び約0.5〜500μgの標識チオフラビン誘導体を含み得る。他の製薬上許容される担体には、例えば参照により本明細書に組み入れるREMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,第15版,イーストンに所在のMack Publishing Co.,p.1405−1412及びp.1461−1487(1975年出版)及びTHE NATIONAL FORMULARY XIV.,第14版,ワシントンに所在のAmerican Pharmaceutical Association(1975年出版)に記載されているような水溶液、塩、保存剤、バッファー等を含めた非毒性賦形剤が含まれる。
【0051】
本発明の特に好ましいアミロイドプローブは、インビボでアミロイドに特異的に結合し且つ血液脳関門を横切ることができるだけでなく、適正な用量レベルで非毒性であり、十分な作用期間を有するものである。
【0052】
本発明によれば、式(I)または式(II)或いは構造1〜45の1つを有するアミロイドプローブを含む医薬組成物をアミロイドまたはアミロイドフィブリル形成が予測される被験者、例えばアルツハイマー病またはアミロイド沈着を伴う別の疾患と臨床診断された患者に対して投与する。
【0053】
非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性担体には水、アルコール性/水性溶液、食塩液、非経口ビヒクル(例えば、塩化ナトリウム)、リンガーデキストロース等が含まれる。静脈内ビヒクルには流体及び栄養補液が含まれる。保存剤には抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不活性ガスが含まれる。医薬組成物中の各種成分のpH及び正確な濃度は当業界のルーチンな技量に従って調節される。Goodman and Gilman’s THE PHARMACOLOGICAL BASIS FOR THERAPEUTICS(第7版)を参照されたい。
【0054】
イメージング
本発明はアミロイドプローブを使用し、このアミロイドイプローブはインビボでアミロイド沈着を定量するために非侵襲的ニューロイメージング技術、例えば磁気共鳴分光法(MRS)またはイメージング(MRI);ガンマ線イメージング法、例えば陽電子放射断層撮影法(PET)または単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)と組み合わせて使用される。この方法は、患者をイメージングしてアミロイド沈着のベースラインを確立することを含む。「ベースライン」という用語は、抗アミロイド治療の開始前の患者のアミロイド沈着の量及び分布を意味する。この方法は、さらに、抗アミロイド治療の投与(施与)後の患者の少なくとも1つのイメージングセッションを含む。この方法は、少なくとも1つの抗アミロイド剤による治療前後に患者をイメージングすることを含みうる。
【0055】
用語「インビボイメージング」は、式(I)または(II)或いは構造1〜45の1つの標識チオフラビン誘導体を検出できる方法を指す。ガンマ線イメージングの場合、検査しようとする臓器または領域から発せられる放射線を測定し、全結合としてまたは1つの組織中の全結合を同一のインビボイメージング処置中同一被験者の別の組織における全結合に対して(例えば、割ることにより)正規化した比として表示する。インビボの全結合は、同一量の標識化合物を大過剰の標識されていない以外は化学的に同一の化合物と共に第2注射することにより補正する必要なく、インビボイメージング技術により組織中で検出される全信号として定義される。「被験者」は哺乳動物、好ましくはヒト、最も好ましくはアミロイド沈着を伴う疾患(例えば、AD及び/または認知症)を有していると疑われるヒトである。用語「被験者」及び「患者」は本明細書中で互換可能に使用される。
【0056】
インビボイメージングの目的で、利用可能な検出装置のタイプは所与の標識を選択する際の主要要因である。例えば、本発明の方法におけるインビボイメージングでは放射性同位元素及び18Fが特に適している。使用する装置のタイプにより放射性核種または安定な同位元素が選択される。例えば、選択される放射性核種は所与のタイプの装置により検出可能なタイプの減衰を有するものでなければならない。更に、放射性核種の半減期を考慮する。半減期は、標的による最大摂取時に検出可能であるほど十分に長いが、宿主が有害な照射を受けないように十分に短くなければならない。本発明の放射標識化合物は、放射される適当な波長を有するガンマ線を検出するガンマ線イメージングを用いて検出され得る。ガンマ線イメージング方法にはSPECT及びPETが含まれるが、これらに限定されない。SPECT検出の場合、選択する放射標識が特定の放射を欠くが、140〜200keV範囲で多数の光子を生ずることが好ましい。PET検出の場合、放射標識は、対消磁してPETカメラにより検出される2つの511keVガンマ線を形成する陽電子放出放射性核種(例えば、18F)である。
【0057】
本発明では、アミロイド沈着のインビボイメージング及び定量のために有用なアミロイド結合化合物/プローブを患者に投与する。前記化合物は、非侵襲的ニューロイメージング技術(例えば、 磁気共鳴分光法(MRS)またはイメージング(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)及び単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT))と一緒に使用される。本発明によれば、MRS/MRIのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の一般的な有機化学技術により18Fまたは13Cで標識してもよい。例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられるJ.March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY:REACTIONS,MECHANISMS,AND STRUCTURE,第3版(1985)を参照されたい。また、PETのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の技術により18F、11C、75Brまたは76Brで放射標識してもよく、その内容が参照により本明細書に組み入れられるJ.Fowler及びA.Wolf,POSITRON EMISSION TOMOGRAPHY AND AUTORADIOGRAPHY,M.Phelps,J.Mazziota及びH.Schelbert編,p.391−450,ニューヨークに所在のRaven Press(1986年)出版に記載されている。また、SPECTのためにチオフラビン誘導体を当業界で公知の幾つかの技術により123Iで放射標識してもよい。例えば、その内容が参照により本明細書に組み入れられるKulkarni,Int.J.Rad.Appl.& Inst.(Part B),18:647(1991)を参照されたい。加えて、チオフラビン誘導体を、ヨウ化ジアゾニウムを用いて直接ジアゾ化アミノ誘導体をヨード化することにより(F.Greenbaum,Am.J.Pharm.,108:17(1936)参照);不安定なジアゾ化アミンを安定なトリアゼンに変換することにより;または非放射性ハロゲン化前駆体を当業界で周知の幾つかの方法によりその後ヨード化合物に変換され得る安定なトリアルキル錫誘導体に変換することにより、適当な放射性ヨウ素同位元素で標識してもよい。前記放射性ヨウ素同位元素には131I、125Iまたは123Iが含まれるが、これらに限定されない。Satyamurthy及びBarrio,J.Org.Chem.,48:4394(1983);Goodmanら,J.Org.Chem.,49:2322(1984);Mathisら,J.Labell.Comp.and Radiopharm.,905(1994);Chumpraditら,J.Med.Chem.,34:877(1991);Zhuangら,J.Med.Chem.,37:1406(1994);Chumpraditら,J.Med.Chem.,37:4245(1994)を参照されたい。例えば、チオフラビンまたはそのアナログの安定なトリアゼンまたはトリアルキル錫誘導体を131I、125I、123I、76Br、75Br、18Fまたは19Fを含有するハロゲン化剤と反応させる。チオフラビンまたはそのアナログの安定なトリアルキル錫誘導体は本発明の多くの放射標識化合物を合成するのに有用な新規前駆体である。よって、これらのトリアルキル錫誘導体も本発明の1実施形態である。
【0058】
また、チオフラビン誘導体を公知の金属放射標識(例えば、テクネチウム−99m(99mTc))で放射標識してもよい。金属イオンを結合するリガンドを導入するために置換基は放射標識分野の当業者により過度の実験をすることなく修飾することができる。ここでは、アミロイド沈着物を検出するために金属放射標識チオフラビン誘導体が使用され得る。Tc99mの放射標識誘導体の製造は当業界で公知である。例えば、Zhuangら,“Neutral and stereospecific Tc−99m complexes:[99mTc]N−benzyl−3,4−di−(N−2−mercaptoethyl)−amino−pyrrolidines(P−BAT)”,Nuclear Medicine & Biology,26(2):217−24(1999);Oyaら,“Small and neutral Tc(v)O BAT, bisaminoethanethiol (N2S2) complexes for developing new brain imaging agents”,Nuclear Medicine & Biology,25(2):135−40(1998);及びHomら,“Technetium−99m−labeled receptor−specific small−molecule radiopharmaceuticals:recent developments and encouraging results”,Nuclear Medicine & Biology,24(6):485−98(1997)を参照されたい。
【0059】
本発明の方法では、インビボイメージング及び分光法のために核磁気共鳴分光法により検出可能な同位元素を使用してもよい。磁気共鳴分光法において特に有用な元素には18F及び13Cが含まれる。
【0060】
本発明の目的に適した放射性同位元素にはβ−放出体、γ−放出体、陽電子放出体及びX線放出体が含まれる。放射性同位元素には131I、123I、18F、11C、75Br及び76Brが含まれる。本発明に従って磁気共鳴イメージング(MRI)または分光法(MRS)に使用するのに適した安定な同位元素には18F及び13Cが含まれる。生検または死後組織のホモジネート中のアミロイドをインビトロ定量するのに適した放射性同位元素には125I、14C及びHが含まれる。好ましい放射性標識は、PETインビボイメージングに使用するためには11Cまたは18F、SPECTイメージングに使用するためには123I、MRS/MRIのためには19F、インビボ研究のためにはHまたは14Cである。しかしながら、診断プローブを可視化するための慣用方法が本発明に従って使用され得る。
【0061】
生検組織においてアミロイド沈着を検出する方法に関する本発明の一態様によると、この方法は、ホルマリン固定した組織を、上記に記載した式(I)および(II)または構造1〜45の化合物から選択されるチオフラビンアミロイド結合化合物の溶液とインキュベートすることを含む。好ましくは、溶液は、本発明による、式(I)もしくは(II)または構造1〜45のチオフラビンアミロイド結合性化合物で飽和させた(残りは水である)25〜100%のエタノールである。インキュベーションの際には、化合物は、組織におけるアミロイド沈着を染色し、または標識し、染色または標識された沈着物は、任意の標準の方法により検出し、または視覚化することができる。このような検出手段には、明視野、蛍光、レーザー共焦点、および交差分極の顕微鏡などの、顕微鏡の技術が含まれる。
【0062】
生検組織におけるアミロイドの量を定量する方法は、本発明による標識したチオフラビンの誘導体、または水溶性の非毒性のその塩を、生検または死後組織のホモジネートとインキュベートすることを含む。組織を、当技術分野ではよく知られている方法により、入手し、ホモジナイズする。好ましい標識は放射標識であるが、酵素、化学発光、および免疫蛍光の化合物などの他のラベルが当業者にはよく知られている。好ましい放射標識は、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の化合物の1つに置換している置換基に含まれている125I、14C、または3Hである。アミロイド沈着を含む組織は、本発明のチオフラビンアミロイド結合性化合物の標識した誘導体に結合する。結合している組織を、次いで、ろ過などの当業者には周知のあらゆる機構により非結合の組織から分離する。結合している組織を、次いで、当業者には周知のあらゆる手段により定量することができる。組織に結合している放射標識したチオフラビン誘導体の単位を、次いで、放射標識したチオフラビン誘導体と既知量のアミロイドをインキュベートすることにより生成した検量線と比べることにより、組織100mgあたりのアミロイドのマイクログラムの単位に変換する。
【0063】
式(I)もしくは(II)または構造1〜45の化合物が神経原線維濃縮体を越えてアミロイド斑に特異的に結合する能力は、PETラジオトレース(radiotrace)のin vivoの濃度範囲を含む10nM未満の濃度において特に真実である。このような低濃度では、濃縮体だけを含み斑を含まない脳組織のホモジネートでは、斑も濃縮体も含まない対照の脳組織と比べた場合に意義深い結合は生じない。しかし、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の放射標識した化合物と、斑およびいくつかの濃縮体を主に含む脳組織のホモジネートをインキュベートすると、斑または濃縮体のない対照の組織と比べた場合に結合の著しい増大が生じる。このデータは、これらの化合物は10nM未満の濃度でAβ沈着に特異的であるという有利点を示唆している。このような低濃度はPET試験で、次いで、検出可能であり、Aβ沈着に特異的である式(I)もしくは(II)または構造1〜45の放射標識した化合物を用いたPET検出を可能にしている。このような化合物を使用することにより、斑および脳血管のアミロイドに見出されるものなどの、Aβ沈着におけるPET検出が可能になる。濃縮体形成の前には前頭皮質におけるAβレベルが上昇することが報告されているので、これは、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の放射標識した化合物は、PETトレーサーとして用いると、ADの皮質における最も初期の変化に特異的であることを示唆している。Naslundら、JAMA、283巻、1571頁(2000年)。
【0064】
抗アミロイド治療
アミロイド症の処置における治療の有効性を判定するための本方法は、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の化合物を、それを必要とする患者に投与し、患者をイメージングし、前記イメージングの後、少なくとも1種の抗アミロイド剤/抗アミロイド治療を前記患者に投与することを含む。投与する量、投与経路、および治療の期間は、患者の年齢、体重、および状態に基づいて当業者が決定する。このような決定は、当業者の範囲内である。適切な量には、それだけには限定されない、0.01から100mg/kgが含まれる。適切な投与経路には、それだけには限定されない、経口、皮下、および静脈内が含まれる。適切な治療期間には、それだけには限定されない、無期限に与えて1日あたり1回の投与量から4回の投与量が含まれる。イメージングの適切な回数には、それだけには限定されない、第1の投与直後から、最新の投与後10年までが含まれる。イメージングの好ましい回数は、最新の投与後7日と6カ月との間である。
【0065】
「抗アミロイド剤」または「抗アミロイド治療」は、アミロイド症を処置し、または予防するあらゆる物質または物質の組合せである。アミロイド沈着を伴う疾患であるアミロイド症の例には、アルツハイマー病、ダウン症、2型真性糖尿病、遺伝性脳出血アミロイド症(オランダ人)、アミロイドA(反応性)、続発性アミロイドーシス、MCI、家族性地中海熱、蕁麻疹および聴覚障害を伴う家族性アミロイド腎症(マックルウェルズ症候群)、アミロイドλL鎖またはアミロイドκL鎖(続発性、ミエローマもしくはマクログロブリン血症に関連する)Aβ2M(慢性血液透析)、ATTR(家族性アミロイドポリニューロパチー(ポルトガル人、日本人、スウェーデン人))、家族性アミロイド心筋障害(デンマーク人)、孤立性心臓アミロイド、全身性老年性アミロイドーシス、AIAPPもしくはアミリンインスリノーマ、心房性ナトリウム利尿因子(孤立性心房性アミロイド)、プロカルシトニン(甲状腺の髄様癌)、ゲルゾリン(家族性アミロイドーシス(フィンランド人))、シスタチンC(アミロイド症を伴う遺伝性脳出血(アイスランド人))、Aアポ-A-1(家族性アミロイド性多発性神経障害-アイオワ)、Aアポ-A-II(マウスにおける加速された老化)、フィブリノーゲン関連アミロイド;およびAsorもしくはPr P-27(スクレイピー、クロイツフェルトヤコブ病、ゲルストマンシュトロイスラーシャインカ症候群、ウシ海綿状脳症)、またはアポリポタンパク質E4対立遺伝子にホモ接合であるヒトの場合、ならびにアポリポタンパク質E4対立遺伝子またはハンチントン病に対するホモ接合型に付随する状態が含まれる。本発明は、アミロイド斑沈着を伴う疾患を包含する。好ましくは、アミロイド沈着を伴う疾患は、ADである。
【0066】
「治療」は、疾患を処置および/または予防することを含む。
【0067】
「処置」は、
(i)疾患、障害、および/もしくは病状に罹患しやすくなっていることがあるが、まだそれを有すると診断されていない動物に、疾患、障害、または病状が生じるのを予防すること、
(ii)疾患、障害、もしくは病状を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、ならびに/または、
(iii)疾患、障害、もしくは病状を緩和すること、すなわち、疾患、障害、および/もしくは病状の緩解をもたらすこと
を意味する。
【0068】
「処置する」または「処置」は、必ずしも完全治癒を意味するものではない。疾患のあらゆる望ましくない症状または病理学的作用を、ある程度任意に緩和し、または疾患の進行を遅くすることを、処置と考えることができる。さらに、処置は、患者の全体的な健康の感覚または外見を悪くすることがある行為を含むことができる。例えば、患者に「より病んでいる」感覚を残すことがある、癌患者における化学療法の投与も、やはり処置と考えられる。
【0069】
「予防する」は、生物体がアミロイド沈着を伴う疾患に罹患し、または発症する可能性を低減することを意味する。「予防」は、好ましくは、抗アミロイド剤の投与を受けない対照群に比べて疾患を発症する個体のパーセント値を低減することを意味する。
【0070】
本発明は、抗アミロイド治療に対する有効性の代用マーカーとしての役割を果たすアミロイドイメージングに関する。アミロイド沈着のベースラインを確立するためのアミロイドプローブを投与し、その後患者を抗アミロイド剤で処置する前後に患者をイメージングすることで、抗アミロイド治療の有効性を決定することができる。本方法を用いてあらゆる抗アミロイド治療の有効性を決定することができる、というのは、抗アミロイド治療の前後に、アミロイドプローブを投与することができ、患者をイメージングすることができるからである。本方法は、アミロイド沈着を伴う疾患を処置するのに無効である抗アミロイド治療、およびアミロイド沈着を伴う疾患を処置するのに効果的な抗アミロイド治療を決定することを企図するものである。当業者であれば、好適なプロトコールに従って抗アミロイド治療の状態および投与量を決定することができる。したがって、本発明は、現在知られている抗アミロイド治療、および未だに発見されていない治療の有効性を決定することを企図するものである。例示的な、非制限の抗アミロイド治療を以下に記載する。
【0071】
いくつかの実施形態では、アミロイド症の処置におけるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬の有効性を、本方法により決定する。アセチルコリンエステラーゼ治療は、前脳基底核におけるニューロンのグループの中でも実質的に低下することが同定されたADにおける変性パターンの研究に基づいている。これらの細胞はすべて、伝達物質のアセチルコリンを使用し、これらが減少することは、皮質における前末端で放出されるアセチルコリンが少なくなるということを意味する。タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミンなどのいくつかの薬物が、これらの発見に基づいて開発されており、酵素アセチルコリンエステラーゼを阻害することにより働くことが仮定されている(Ingram,V.、American Scientist、2003年、91(4)巻、312〜321頁)。
【0072】
他の実施形態では、アミロイド症の処置においてアミロイド前駆体タンパク質(APP)の有害なフラグメントの形成の原因となる、抗アミロイド治療の標的酵素の有効性を、本方法により決定する。いくつかの実施形態では、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の有害なフラグメントは、ミスフォールドしたAβペプチドである。例えば、Aβ1〜42フラグメントの過剰生成はADの根本的原因であると考える科学者もいる。Aβ1〜42フラグメントは、β-セクレターゼ酵素(BACE1)(アミノ末端を生成する)およびγ-セクレターゼ酵素(APPのカルボキシル末端を切断する)によるAPPの切断により形成される。これらセクレターゼ酵素の阻害薬を、抗アミロイド治療として用いることができる(Ingram,V.、American Scientist、2003年、91(4)巻、312〜321頁)。
【0073】
いくつかの実施形態では、アミロイド症の処置における免疫療法の戦略の有効性を、本方法により決定することができる。アミロイド斑の位置を特定し破壊するために、患者の免疫システムを使用することによる免疫療法の研究、および多くの免疫療法の戦略を、科学者たちは積極的に追求している。免疫療法の戦略は、受動的でもよく、積極的でもよい。例えば、積極的な免疫療法では、患者はAβペプチドの注射または経鼻の噴霧の適用を受け、抗アミロイドの免疫反応をもたらすことができる。一方、受動的な免疫療法は、βアミロイドに反応してすでに生成された抗血清を使用する代わりにβアミロイドタンパク質をバイパスすることを含むことがある。Aβペプチドに対する抗体を伴う免疫療法は、ADを処置するために研究されている。例えば、AN-1792は、QS-21アジュバントとともに、予め凝集した合成のアミロイド-β(Aβ;長さ1〜42)の調製物である(Hock,C.ら、2003年、Neuron、38巻、547〜554頁)。副作用により臨床試験が一時中止になる前に、約300人のAD患者をこの調製物で処置している(Birmingham,K.およびFrantz,S.、2002年、Nature Medicine、8巻、199〜200頁)。
【0074】
他の実施形態では、アミロイド症の処置における神経保護の戦略の有効性を、本方法により決定する。例えば、患者に高投与量の(1日あたり1000〜2000IU)ビタミンEを投与することを、多くの医師が推奨した。アミロイド症の処置に示されている他のタイプの神経保護の戦略は、高投与量のビタミンC、カルシウムチャンネルモジュレーター、フリーラジカルスカベンジャー、および金属イオンキレート化剤である(Selkoeら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.、2003年、43巻、545〜84頁)。
【0075】
いくつかの実施形態では、アミロイド症の処置における抗炎症薬(NSAID)の戦略の有効性を、本方法により決定する。NSAIDを伴う処置は、Aβペプチドの進行性の蓄積により皮質における細胞の炎症反応が誘発されるという証拠に基づくものである。例示的な抗炎症薬は、プレドニソン、非特異的シクロオキシゲナーゼ阻害薬、およびシクロオキシゲナーゼ2阻害薬である(Clark,Mら、Annals of Internal Medicine、2003年、138(5)巻、400〜410頁、およびHardey、John、Annu.Rev.Med.、2004年、55巻、15〜25頁)。
【0076】
いくつかの実施形態では、それだけには限定されない、3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素阻害薬(スタチン)を含む、コレステロール低下治療の有効性を、本方法により決定する。コレステロール低下薬(スタチンなど)を伴う処置は、スタチンで処置した患者はADの罹患率が低くなり、スタチンはAβの代謝を変更してAβレベルを低下させることができるという疫学的証拠に基づくものである(Wolozin,B(2002年)、Cholesterol and Alzheimer's disease. Biochemical Society Transactions.、30巻、525〜529頁)。例示的なコレステロール低下のスタチンの薬物には、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、およびシンバスタチンが含まれる。他のコレステロール低下薬には、ナイアシン、コレスチラミン、フェノフィブラート、コレセベラム、およびエゼチメベ(ezetimibe)が含まれる。
【0077】
他の実施形態では、アミロイド症の処置における凝集したAβ1〜42の神経毒性を取り除く小分子の有効性を、本方法により決定する。疾患の進行の初期に投与することが好ましいこのような薬物は、いかなる永久の損傷が神経に与えられる前に徐々に蓄積するAβペプチドを「解毒」する(Clark,M.ら、Annals of Internal Medicine、2003年、138(5)巻、400〜410頁)。
【0078】
いくつかの実施形態では、アミロイド症の処置における「デコイペプチド」の有効性を、本方法により決定する。デコイペプチドは、凝集しているAβ1〜42ペプチドに結合し、非毒性の構造を呈させる小分子である。例示的なデコイペプチドは、タンパク質フラグメントの広範なライブラリーからタグの付けられたAβ1〜42と緊密な会合を形成するその能力により選択される、小ペプチド(アミノ酸の長さが5、6、または9個)である(Clark,M.ら、Annals of Internal Medicine、2003年、138(5)巻、400〜410頁)。
【0079】
他の実施形態では、アミロイド症の処置におけるコレステロール恒常性の変調の有効性を、本方法により決定する。コレステロール低下薬を長期的に使用すると、最近ではADの有病率が低下することと関連する。同時に、高コレステロール食は、動物でAβの病態を増大させることが示されており、コレステロール低下薬は、APPトランスジェニックマウスで病態を低減させることが示されている。ADの処置におけるコレステロールの恒常性の変調の効果を研究するために、臨床試験が進行中である(Hardy、John、Annu、Rev.Med.、2004年、55巻、15〜25頁)。
【0080】
m266(DeMattos,RB、Bales,KR、Cummins,DJ、Dodart,JC、Paul,SM、Holtzman,DM、(2001年)「Peripheral anti-A beta antibody alters CNS and plasma A beta clearance and decreases brain A beta burden in a mouse model of Alzheimer's disease」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、98巻、8850〜8855頁)と呼ばれるもののようなある種の抗体、または抗体以外の分子(Matsuoka,Y、Saito,M、LaFrancois,J、Saito,M、Gaynor,K、Olm,V、Wang,L、Casey,E、Lu,Y、Shiratori,C、Lemere,C、Duff,K、(2001年)「Novel therapeutic approach for the treatment of Alzheimer's disease by peripheral administration of agents with an affinity to beta-amyloid」、Journal of Neuroscience.、23巻、29〜33頁)は、血中のAβペプチドと結合し、それにより「末梢性シンク」を作り出し、Aβの平衡を脳から血液に移行し、そこでアミロイドが身体から一掃され得ることにより、脳のアミロイドを低下させると考えられている。このような物質を、本明細書では「末梢性シンク物質」と呼ぶ。
【0081】
抗アミロイド治療の有効性の評価
アミロイド症の処置における治療の有効性を決定するための本方法は、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の化合物を、それを必要とする患者に投与し、患者をイメージングすることを含む。前記イメージングの後、少なくとも1種の抗アミロイド剤を、前記患者に投与する。次いで、式(I)もしくは(II)または構造1〜45の化合物の有効量を患者に投与し、患者を再びイメージングする。最後に、抗アミロイド剤で処置する前の患者におけるアミロイド沈着のベースラインレベルを、抗アミロイド剤で処置後の患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較する。このような比較は、当業者の範囲内である。
【0082】
いくつかの実施形態では、抗アミロイド剤で処置する前の患者におけるアミロイド沈着のレベルは、抗アミロイド剤で処置後の患者におけるアミロイド沈着のレベルよりも高い。このような結果は、抗アミロイド剤/抗アミロイド治療が、アミロイド沈着を伴う疾患の処置において有効であることを示すものである。
【0083】
例えば、AN-1792は、QS-21アジュバントとともに、予め凝集した合成のアミロイド-β(Aβ;長さ1〜42)の調製物である。副作用により臨床試験が一時中止になる前に、約300人のAD患者をこの調製物で処置している(Birmingham,K.およびFrantz,S.、2002年、Nature Medicine、8巻、199〜200頁)。この失敗にもかかわらず、2つの発見によりこの取組みをしのぐ楽観が生じている。第1に、AN-1792処置したAD患者に関して現在発行されている生検の報告のみには、(i)新皮質の広範な領域にAβ斑がほとんどなく、(ii)Aβ斑のない皮質の領域には、密度のある濃縮体、糸屑状構造物、および非免疫のADに類似する脳アミロイド血管症(CAA)が含まれるが、斑に関連した異栄養神経突起およびアストロサイトクラスター(astrocyte cluster)がなく、(iii)斑のないいくつかの領域では、Aβの免疫反応性はミクログリアと関連する、ということを含むいくつかの普通ではない発見があった(Nicoll,J.ら、2003年、Nature Medicine、9巻、448〜452頁)。第2に、30名のAN-1792で処置した患者の小集団において、Aβに対する抗原を産生した患者は、組織アミロイド斑免疫反応性(TAPIR)アッセイで測定して、このような抗体のない患者と比べて、ミニメンタルステート検査、認知症の能力障害評価、およびウエクスラー記憶検査からの視覚性対連合テストの想起の遅延により指摘されるように、著しく遅い認知機能および日常生活の行動の速度低下を示した(Hock,Cら、2003年、Neuron、38巻、547〜554頁)。
【0084】
以前には、ベンゾチアゾールアミロイドイメージングPETトレーサー{N-メチル-11C}2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシベンゾチアゾール([11C]PIB)では、AD患者と対照の被験者との間で保持率に明らかな差が示され、また、[11C]PIB保持率はADの脳におけるアミロイド沈着の既知の局所解剖学に従うことが示されている(Klunkら、2004年、Ann.Neurol.、55(3)巻、306〜19頁)。ベンゾチアゾールアミロイドイメージングプローブが、一般的に抗アミロイド治療によりもたらされる脳のアミロイド沈着における変化に感受性があることがあるか否かを決定するために、AN-1792での免疫化による試験を行った。試験は、{N-メチル-3H}2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシベンゾチアゾール([3H]PIB)の、対照の被験者(n=4)、AD患者(n=5)、およびAN-1792で処置した1症例のAD(2回測定)から得た前頭皮質および小脳のホモジネートに対する結合について行った。例えば、実施例9を参照されたい。AD患者の前頭皮質は、対照の脳に比べて[3H]PIB結合が増大していることを示していた。しかし、AN-1792で処置した脳に対する[3H]PIBの結合は、対照の前頭皮質にわたって増大していなかったことを示していた。これらのデータを合わせると、[11C]PIBなど、PETトレーサーとして有用なベンゾチアゾールアミロイドイメージングプローブは、AN-1792処置により、およびADにおける脳のアミロイド沈着に著しい作用のある他の治療法により引き起こされたADの脳におけるアミロイド沈着における変化を検出することができることが示唆される。
【0085】
状況により他の点が明らかに指示されなければ、単数形の語の定義は、出願に現れる複数形の対応物にあてはまることが推定でき、同様に、複数形の語の定義は、出願に現れる単数形の対応物にあてはまることが推定できる。
【0086】
本発明を説明するために、以下の実施例を示す。しかし、本発明はこれらの実施例に記載する特定の条件および細部に制限されないことを理解すべきである。本明細書を通して、米国特許を含む公的に入手可能な文書に対する任意の、かつすべての参考文献は、本特許出願中に参照として特に組み入れられる。
【0087】
実施例
式(I)及び(II)並びに構造1〜45を有する化合物は当業界で公知の方法により製造され得る。例えば、全文を参照により本明細書に組み入れる国際特許出願公開第02/16333号及び2003年12月25日に公開された米国特許出願公開第2003/0236391号を参照されたい。
【0088】
別段の記載がない限り、合成において使用した試薬はすべてAldrich Chemical Companyから購入し、更に精製することなく使用した。融点はMel−TEMP IIを用いて測定し、補正しなかった。全化合物のH NMRスペクトルは、内部基準としてTMSを用いてBruker 300で測定し、帰属構造と一致した。TLCは、EM Sciences製のSilica Gel 60 F254を用いて実施し、UVランプ下で検出した。フラッシュクロマトグラフィーは、Mallinckrodt Companyから購入したシリカゲル60(230〜400メッシュ)を用いて実施した。逆相TLCはWhiteman Companyから購入した。
【0089】
式(I)を有する化合物を合成するための一般的方法
【化11】

【0090】
(式中、
は水素、−OH、−NO、−CN、−COOR、−OCHOR、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシまたはハロであり、Rの原子の1個以上が放射標識原子であり得;
RはC−Cアルキルであり、炭素原子の1個以上が放射標識原子であり得る)
を以下の2つの手順の1つにより加水分解する。
【0091】
加水分解による2−アミノチオフェノールの製造:
6−置換2−アミノベンゾチアゾール(172mmol)を(180gのKOHを180mlの水中に溶解させた)50% KOH及びエチレングリコール(40ml)中に懸濁させる。懸濁液を48時間還流加熱する。室温まで冷却したら、トルエン(300ml)を添加し、反応混合物を酢酸(180ml)で中和する。有機層を分離し、水性層を更にトルエン(200ml)で抽出する。トルエン層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥する。溶媒を蒸発させて、所望生成物を得る。
【0092】
ヒドラジン分解による2−アミノチオフェノールの製造:
6−置換−ベンゾチアゾール(6.7mmol)を無水エタノール(11ml)中に懸濁し、ヒドラジン(2.4ml)を窒素雰囲気下室温で添加する。反応混合物を1時間還流加熱する。溶媒を蒸発させ、残渣を水(10ml)中に溶解し、酢酸を用いてpH5に調節する。沈殿を濾過により集め、水で洗浄して、所望生成物を得る。
【0093】
生じた構造:
【化12】

【0094】
の5−置換−2−アミノ−1−チオフェノールを下記方法により構造:
【化13】

【0095】
(式中、Rは水素であり、R及びRは独立して水素、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルである)
を有する安息香酸にカップリングさせる。
【0096】
5−置換2−アミノチオフェノール(4.0mmol)、安息香酸(4.0mmol)及びポリリン酸(PPA)(10g)の混合物を220℃に4時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、10% 炭酸カリウム溶液(〜400ml)に注ぐ。沈殿を減圧下で濾過により集めて、所望生成物を得た。この生成物はフラッシュクロマトグラフィーまたは再結晶化により精製され得る。
【0097】
水素は下記反応により非放射性ハロまたは放射性ハロで置換され得る。
【0098】
密封バイアル中の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解させた)クロラタミンT溶液及び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を添加する。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチする。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させる。6位の置換基の種類に応じては保護基を使用しなければならないことがある。例えば、6−ヒドロキシ基はメタンスルホニル(メシルオキシ)誘導体として保護される。メタンスルホニル基を脱保護するためには、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加する。混合物を50℃で2時間加熱する。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填する。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させる。溶液を窒素流により300μlまで濃縮し、粗な生成物をMeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分は1.0ml/分、6分からは2.0ml/分とする;保持時間23.6)を溶離液とし、Phenomenex ODSカラムを用いるHPLCにより精製する。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填する。エタノール(1ml)で溶離して、約1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得る。
【0099】
及び/またはRが水素の場合、R及びRは以下の条件下でハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニルと反応させることによりC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルに変換され得る。
【0100】
ジアルキル化のためには、6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(0.59mmol)を無水DMSO(2ml)中に含む溶液にハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニル(2.09mmol)及びKCO(500mg,3.75mmol)を添加する。反応混合物を140℃で16時間加熱する。室温まで冷却したら、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチル(3×10ml)で抽出する。有機層を合わせ、溶媒を蒸発させる。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の6−置換ジメチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾールを得る。
【0101】
モノアルキル化のためには、6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(0.013mmol)を無水DMSO(0.5ml)中に含む溶液にハロゲン化アルキル、アルケニルまたはアルキニル(0.027mmol)及び無水KCO(100mg,0.75mmol)を添加する。反応混合物を100℃で16時間加熱する。室温まで冷却したら、反応混合物を直接順相分取TLCにより精製して、所望の6−置換−2−(4’−メチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾール誘導体を得る。
【0102】
が水素または非放射性ハロであり、RがC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、前記したアルキル、アルケニルまたはアルキニルが放射性炭素を含んでいるかまたは放射性ハロで置換されている場合、化合物は以下のシーケンスの1つにより合成され得る。
【0103】
放射性炭素の取り込み:
CTI/Siemens RDS 112陰イオンサイクロトロンを用い、1% 酸素ガスを含有する窒素ガス(14)ターゲットに11MeV 陽子の40μA ビーム電流を60分間照射することにより約1Ciの[11C]二酸化炭素を生じさせる。まず[11C]二酸化炭素を水素化アルミニウムリチウムをTHF中に含む飽和溶液と反応させた後還流温度でヨウ化水素酸を添加してヨウ化[11C]メチルを生成することにより、[11C]二酸化炭素をヨウ化[11C]メチルに変換する。ヨウ化[11C]メチルを放射標識のための前駆体を収容している反応バイアルに窒素ガス流で運ぶ。前駆体の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(〜3.7μmoles)をDMSO(400μl)中に溶解する。乾燥KOH(10mg)を添加し、3ml容量のV型バイアルを5分間回転させる。キャリアを添加していないヨウ化[11C]メチルを室温において溶液中に30ml/分で通す。反応物を油浴を用いて95℃で5分間加熱する。反応生成物を60% アセトニトリル/40% トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)(流速は、0〜7分間は5ml/分、その後7〜30分間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Prodigy ODS−Prepカラムを用いる半分取HPLCにより精製する。[N−メチル−11C]6−置換2−(4’−メチルアミノフェニル)−ベンゾチアゾールを含有する画分を(約15分で)集め、水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させる。C18 SepPakを水(10ml)で洗浄し、生成物を滅菌バイアル中に無水エタノール(1ml)及び生理食塩液(14ml)を順次用いて溶離させた。65/35 アセトニトリル/トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)を溶離液とし、Prodigy ODS(3)分析カラムを用いる分析HPLCにより測定して(k’=4.4)、放射化学的純度及び化学的純度は>95%である。合成終了時、放射化学的収率はヨウ化[11C]メチルに基づいてEOSで平均17%であり、比放射能は平均約160GBq/μmol(4.3Ci/μmol)である。
【0104】
放射性ハロゲンの取り込み:
【化14】

【0105】
THF(8ml)中の6−置換2−(4’−アミノフェニル)−ベンゾチアゾール(上記したように6−置換基の種類に応じて保護基が必要な場合がある)(0.22mmol)、NaH(4.2mmol)及び2−(−3−ブロモプロポキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(0.22mmol)の混合物を23時間還流加熱する。溶媒を蒸留により除去し、残渣を酢酸エチル及び水中に溶解し、有機層を分離し、水性層を酢酸エチル(10ml×6)で抽出する。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発乾固する。残渣をAcOH/THF/HO溶液(5ml,4/2/1)に添加し、100℃に4時間加熱する。溶媒を蒸発により除去し、残渣を酢酸エチル(〜10ml)中に溶解し、NaHCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発乾固すると残渣が生ずる。この残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製して、所望の6−置換2−(4’−(3”−ヒドロキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(45%)を得る。
【0106】
6−置換2−(4’−(3”−ヒドロキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(0.052mmol)及びEtN(0.5ml)をアセトン(5ml)中に溶解して含む溶液に(Boc)O(50mg,0.22mmol)を添加する。反応混合物を室温で6時間撹拌した後、塩化トシル(20mg,0.11mmol)を添加する。反応混合物を室温で更に24時間撹拌する。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し、NaCO溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)により精製して、所望の6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール(13%)を得る。その後、この6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールを下記する一般的方法により放射性フッ素化する。
【0107】
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイクロトロンターゲットに20μA ビーム電流で11MeV 陽子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μl)中Kryptofix 222(22.3mg)及びKCO(7.9mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移す。アセトニトリルを1mlずつ添加しながら、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固する。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中の6−置換2−(4’−(3”−トルエンスルホノキシプロピルアミン)−フェニル)−ベンゾチアゾール(3mg)を添加し、反応バイアルを密封し、85℃に30分間加熱する。反応バイアルにMeOH/濃HCl(2/1 v/v)(0.5ml)を添加し、バイアルを120℃で10分間加熱する。加熱した後、2M 酢酸ナトリウムバッファー(0.3ml)を反応溶液に添加し、次いで40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、15分間は5ml/分、その後分離の残り時間は8ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製する。生成物の[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールは〜20分で約16mlの容量で溶離する。[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾールを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させる。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で洗浄し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアルに溶離させる。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈する。120分の放射合成(減衰を補正せず)の終了時、[F−18]6−置換2−(4’−(3”−フルオロプロピルアミノ)−フェニル)−ベンゾチアゾール生成物が2〜12%の放射化学的収率、1500Ci/mmolの平均比放射能で得られる。
【実施例1】
【0108】
[N−メチル−11C]2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−メトキシ−ベンゾチアゾールはスキームIに従って合成した。
【0109】
スキーム1
【化15】

【0110】
CTI/Siemens RDS 112陰イオンサイクロトロンを用い、1% 酸素ガスを含有する窒素ガス(14)ターゲットに11MeV 陽子の40μA ビーム電流を60分間照射することにより約1Ciの[11C]二酸化炭素を生じさせた。まず[11C]二酸化炭素を水素化アルミニウムリチウムをTHF中に含む飽和溶液と反応させた後還流温度でヨウ化水素酸を添加してヨウ化[11C]メチルを生成することにより、[11C]二酸化炭素をヨウ化[11C]メチルに変換した。ヨウ化[11C]メチルを放射標識のための前駆体を収容している反応バイアルに窒素ガス流で運んだ。前駆体の6−CHO−BTA−1(1.0mg,3.7μmol)をDMSO(400μl)中に溶解した。乾燥KOH(10mg)を添加し、3ml容量のV型バイアルを5分間回転させた。キャリアを添加していないヨウ化[11C]メチルを室温において溶液中に30ml/分で通した。反応物を油浴を用いて95℃で5分間加熱した。反応生成物を60% アセトニトリル/40% トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)(流速は、0〜7分間は5ml/分、その後7〜30分間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Prodigy ODS−Prepカラムを用いる半分取HPLCにより精製した。[N−メチル−11C]2−(4’−ジメチルアミノフェニル)−6−メトキシ−ベンゾチアゾールを含有する画分を(約15分で)集め、水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。C18 SepPakを水(10ml)で洗浄し、生成物を滅菌バイアル中に無水エタノール(1ml)及び生理食塩液(14ml)を順次用いて溶離させた。65/35 アセトニトリル/トリエチルアンモニウムホスフェートバッファー(pH7.2)を溶離液とし、Prodigy ODS(3)分析カラムを用いる分析HPLCにより測定して(k’=4.4)、放射化学的純度及び化学的純度は>95%であった。合成終了時、放射化学的収率はヨウ化[11C]メチルに基づいてEOSで平均17%であり、比放射能は平均約160GBq/μmol(4.3Ci/μmol)であった。
【実施例2】
【0111】
2−(3’−125I−ヨード−4’−アミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールはスキームIIに従った合成した。
【0112】
スキームII
【化16】

【0113】
密閉バイアル中の2−(4’−アミノフェニル)−6−メタンスルホノキシ−ベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解させた)クロラミンT溶液び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で室温で2.5時間撹拌した後、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させた。メタンスルホニル基を脱保護するために、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加した。混合物を50℃で2時間加熱した。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填した。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させた。溶液を窒素流を用いて300μlまで濃縮し、粗な生成物をMeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分間は1.0ml/分、6分からは2.0ml/分とした;保持時間23.6)を溶離液とし、Phenomenex ODSカラムを用いるHPLCにより精製した。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填した。エタノール(1ml)で溶離して、約1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得た。
【0114】
123I放射性ヨウ素化誘導体の製造は上に概説した合成と同様に進める。例えば、合成方法において[125I]ヨウ化ナトリウムを[123I]ヨウ化ナトリウムに代えると123I放射性ヨウ素化化合物が得られる。1つの放射性ハロ原子を別のものに置換することは当業界で公知である。例えば、C.A.Mathis,S.E.Taylor,A.Biegon,J.D.Enas,[125I]5−Iodo−6−nitroquipazine:a potent and selective ligand for the 5−hydroxytryptamine uptake complex I.In vitro studies,Brain Research,619:229−235(1993);W.Jagust,J.L.Eberling,J.A.Roberts,K.M.Brennan,S.M.Hanrahan,H.VanBrocklin,A.Biegon,C.A.Mathis,In vivo imaging of the 5−hydroxytryptamine reuptake site in primate brain using SPECT and [123I]5−iodo−6−nitroquipazine,European Journal of Pharmacolgy,242:189−193(1993);W.J.Jagust,J.L.Eberling,A.Biegon,S.E.Taylor,H.VanBrocklin,S.Jordan,S.M.Hanrahan,J.A.Roberts,K.M.Brennan,C.A.Mathis,[Iodine−123]5−Iodo−6−Nitroquipazine:SPECT Radiotracer to Image the Serotonin Transporter,Journal of Nuclear Medicine,37:1207−1214(1996)を参照されたい。
【実施例3】
【0115】
2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールをスキームIIIに従って合成した。
【0116】
スキームIII
【化17】

【0117】
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイトロトロンターゲットに20μAのビーム電流で11MeV 光子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μL)中CsCO(2mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移した。アセトニトリルを1mlずつ用いて、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固した。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中6−MOMO−BT−3’−Cl−4’−NO(6mg)を添加し、反応バイアルを密封し、120℃に20分間加熱した。(この第1放射合成ステップでの放射性化学物質の取り込みは約20%の可溶化[F−18]フロリドであった)。粗な反応混合物に水(8ml)及びジエチルエーテル(6ml)を添加し、混合物を振とうし、分離した。エーテル相を除去し、アルゴン流下120℃で蒸発乾固した。乾燥サンプルに無水EtOH(0.5ml)を酢酸銅(II)(3mg)及びNaBH(8mg)と一緒に添加した。還元反応を室温で10分間実施した(還元ステップの粗収率は約40%であった)。反応混合物に水(8ml)及びジエチルエーテル(6ml)を添加し、混合物を振とうし、エーテル相を分離した。ジエチルエーテル相をアルゴン流下120℃で乾燥した。反応バイアルにCHI(30マイクロモル)及び乾燥KOH(20mg)を含有するDMSO(700ul)を添加した。反応バイアルを120℃で10分間加熱した。MeOH/濃HCl溶液(2:1,700ul)を添加し、120℃で15分間加熱した。加熱した後、反応溶液に2M 酢酸ナトリウムバッファー(1ml)を添加し、次いで35% アセトニトリル/65% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、2分間は5ml/分、その後の分離の残り時間は15ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製した。生成物の2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールが〜15分で約16mlの容量で溶離した。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で希釈し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアル中に溶離させた。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈した。120分間の放射合成(減衰を補正せず)の終了時、2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オール生成物が0.5%(n=4)の放射化学的収率、1000Ci/mmolの平均比放射能で得られた。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールの放射化学的純度及び化学的純度を、40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS(3) C18カラム(5μm,250×4.6mm)を用い、350nmでUV検出する放射性−HPLCにより調べた。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールは、2ml/分の流速で〜11分間の保持時間を有していた(k’=5.5)。放射化学的純度は>99%、化学的純度は>90%であった。2−(3−18F−フルオロ−4−メチルアミノ−フェニル)−ベンゾチアゾル−6−オールの放射化学的同一性を、真正(冷)標準物質を同時注射する最終放射性化学生成物の品質対照サンプルを用いる逆相ラジオHPLCにより確認した。
【実施例4】
【0118】
2−[4−(3−18F−フルオロ−プロピルアミノ)−フェニル]−ベンゾチアゾル−6−オールをスキームIVに従って合成した。
【0119】
スキームIV
【化18】

【0120】
95% [O−18]濃縮水(0.35ml)を含有しているサイクロトロンターゲットに20μA ビーム電流で11MeV 陽子を60分間照射し、内容物をアセトニトリル(57μL)中Kryptofix 222(22.3mg)及びKCO(7.9mg)を収容している5ml容量の反応バイアルに移した。アセトニトリルを1mlずつ添加して、溶液をアルゴン流下110℃で3回蒸発乾固した。乾燥[F−18]フロリドにDMSO(1ml)中6−MOMO−BTA−N−Pr−Ots(3mg)を添加し、反応バイアルを密封し、85℃に30分間加熱した。反応バイアルにMeOH/濃HCl(2/1 v/v)(0.5ml)を添加し、バイアルを120℃で10分間加熱した。加熱後、反応溶液に2M 酢酸ナトリウムバッファー(0.3ml)を添加し、次いで40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)(流速は、15分間は5ml/分、分離の残り時間は8ml/分に上げた)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS−prep C18カラム(10μm,250×10mm)を用いる半分取HPLCにより精製した。生成物の[F−18]6−HO−BTA−N−PrFが〜20分に約16mlの容量で溶離した。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFを含有する画分を水(50ml)で希釈し、Waters C18 SepPak Plusカートリッジを介して溶離させた。次いで、SepPakカートリッジを水(10ml)で洗浄し、生成物を無水エタノール(1ml)を用いて滅菌バイアルに溶離させた。溶液を動物への静脈注射用滅菌生理食塩液(10ml)で希釈した。120分の放射合成(減衰を補正せず)終了時、[F−18]6−HO−BTA−N−PrF生成物が8±4%(n=8)の放射化学的収率、1500Ci/mmolの平均比放射能で得られた。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFの放射化学的純度及び化学的純度を、40% アセトニトリル/60% 60mM トリエチルアミンホスフェートバッファー(v/v)(pH7.2)を溶離液とし、Phenomenex Prodigy ODS(3) C18カラム(5μm,250×4.6mm)を用い、350nmでUV検出するラジオHPLCにより評価した。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFは、2ml/分の流速で〜12分の保持時間を有していた(k’=6.1)。放射化学的純度は>99%、化学的純度は>90%であった。[F−18]6−HO−BTA−N−PrFの放射化学的同一性を、最終放射化学生成物の品質対照サンプルを真正(冷)標準物質と同時注射して確認した。
【実施例5】
【0121】
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの合成
【化19】

【0122】
4−メトキシ−4’−ニトロベンズアニリドの製造
p−アニシジン(1.0g,8.1mmol)を無水ピリジン(15ml)中に溶解し、4−ニトロベンゾイルクロリド(1.5g,8.1mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間放置した。反応混合物を水に注ぎ、沈澱を真空下で濾液と一緒に集め、5% 炭酸水素ナトリウム(2×10ml)で洗浄した。生成物を更に精製することなく次ステップで使用した。HNMR(300MHz,DMSO−d) δ:10.46(s,1H,NH),8.37(d,J=5.5Hz,2H,H−3’,5’),8.17(d,J=6.3Hz,2H,H−2’,6’),7.48(d,J=6.6Hz,2H),6.97(d,J=6.5Hz,2H),3.75(s,3H,MeO)。
【0123】
4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリドの製造
クロロベンゼン(15ml)中の4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリン(1.0g,3.7mmol)及びラヴェッソン試薬(0.89g,2.2mmol,0.6eq.)の混合物を4時間還流加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、生成物(820mg,77.4%)を橙色固体として得た。HNMR(300MHz,DMSO−d) δ:8.29(d,2H,H−3’,5’),8.00(d,J=8.5Hz,2H,H−2’,6’),7.76(d,2H),7.03(d,J=8.4Hz,2H),3.808.37(d,J=5.5Hz,2H,H−3’,5’),8.17(d,J=6.3Hz,2H,H−2’,6’),7.48(d,J=6.6Hz,2H),6.97(d,J=6.5Hz,2H),3.75(s,3H,MeO).(s,3H,MeO)。
【0124】
6−メトキシ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾチアゾールの製造
4−メトキシ−4’−ニトロチオベンズアニリド(0.5g,1.74mmol)を少量(〜0.5ml)のエタノールで湿らせ、30% 水酸化ナトリウム水溶液(556mg,13.9mmol,8eq.)を添加した。混合物を水で希釈すると、10% 水性水酸化ナトリウムの最終溶液/懸濁液が生じた。この混合物のアリコートを、ヘキサシアノ鉄カリウム(2.29g,6.9mmol,4eq.)を水(5ml)中に含む撹拌溶液に80〜90℃で1分間隔で添加した。反応混合物を更に0.5時間加熱した後、放冷した。沈殿を真空下での濾過により集め、水で洗浄し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、生成物(130mg,26%)を得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ:8.45(m,4H),8.07(d,J=8.5Hz,1H,H−4),7.69(s,1H,H−7),7.22(d,J=9.0Hz,1H,H−5),3.90(s,3H,MeO)。
【0125】
6−メトキシ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾチアゾールの製造
沸騰エタノール中の6−メトキシ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾチアゾール(22mg,0.077mmol)及び塩化錫(II)(132mg,0.45mmol)の混合物を窒素下で4時間撹拌した。エタノールを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し1N 水酸化ナトリウム(2ml)及び水(5ml)で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて、生成物(19mg,97%)を黄色固体として得た。
【0126】
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールの製造
雰囲気下で2−(4’−アミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(22mg,0.09mmol)を氷酢酸(2.0ml)中に含む溶液にCHCl中1M ヨードクロリド溶液(0.10ml,0.10mmol,1.2eq.)を注入した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。氷酢酸を減圧下で除去し、残渣をCHCl中に溶解した。溶液をNaHCOで中和した後、水性層を分離し、CHClで抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)により精製して、2−(4’−アミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(25mg,76%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.35(d,J=2.0Hz,1H),7.87(dd,J=2.0Hz,J=9.0Hz,1H),7.31(d,J=2.2Hz,1H),7.04(dd,J=2.2Hz,J=9.0Hz,1H),6.76(d,J=9.0Hz,1H),3.87(s,3H)。
【0127】
2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−アミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(5)(8.0mg,0.02mmol)をCHCl(2.0ml)中に含む溶液にCHCl中1M BBr溶液(0.20ml,0.20mmol)をN雰囲気下で注入した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。反応物を水でクエンチした後、混合物をNaHCOで中和した。水性層を酢酸エチル(3×3ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥した。次いで、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)により精製して、2−(3’−ヨード−4’−アミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(4.5mg,58%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ (ppm):8.69(s,1H),8.34(d,J=2.0Hz,1H),7.77(dd,J=2.0Hz,J=8.4Hz,1H),7.76(d,J=8.8Hz,1H),7.40(d,J=2.4Hz,1H),7.02(dd,J=2.5Hz,J=8.8 Hz,1H),6.94(d,J=8.5Hz,1H),5.47(br.,2H)。HRMS m/z 367.9483(C13OSIについて計算したM 367.9480)。
【実施例6】
【0128】
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの合成
【化20】

【0129】
6−メトキシ−2−(4−メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾールの製造
4−メチルアミノ安息香酸(11.5g,76.2mmol)及び5−メトキシ−2−アミノチオフェノール(12.5g,80mmol)の混合物をN雰囲気下PPA(〜30g)中で170℃に1.5時間加熱した。次いで、反応混合物を室温まで冷却し、10% KCO溶液に注いだ。沈澱を減圧下で濾過した。粗な生成物をアセトン/水及びTHF/水から2回再結晶化した後、活性炭で処理して、6−メトキシ−2−(4−メチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール(4.6g,21%)を黄色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ:7.84(d,J=8.7Hz,2H,H−2’6’),7.78(dd,J=8.8Hz,J=1.3Hz,1H,H−4),7.52(d,J=2.4Hz,1H,H−7),7.05(dd,J=8.8Hz,J=2.4Hz,H−5),6.70(d,J=7.6Hz,2H,H−3’5’),5.62(s,1H,NH),3.88(s,3H,OCH),2.85(d,J=6.2Hz,3H,NCH)。
【0130】
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(20mg,0.074mmol)を氷酢酸(2ml)中に溶解して含む溶液にN下でIcl(90μl,0.15mmol,1.2eq,CHCl中1M)を添加した。。反応物を室温で18時間攪拌した。次いで、氷酢酸を減圧下で除去した。残渣をCHCl中に溶解し、NaHCOで中和した。水性層をCHClで抽出し、有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を分取TLC(ヘキサン:EA=2:1)により精製して、2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(8mg,27%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.39(d,J=2.0Hz,1H),7.88(d,J=9.0Hz,1H),7.33(d,J=2.2Hz,1H),7.06(dd,J=2.2Hz,J=9.0Hz,1H),6.58(d,J=9.0Hz,1H),3.89(s,3H,OCH)。
【0131】
2−(3’−ヨード−4’−メチルアミノ−フェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(12mg,0.03mmol)をCHCl(4ml)中に溶解して含む溶液にN下でBBr(400μl,0.4mmol,CHCl中1M)を添加した。反応物を室温で18時間攪拌した。次いで、水を添加して反応をクエンチし、溶液をNaHCOで中和し、酢酸エチル(3×5ml)で抽出した。有機層を合わせ、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣を分取TLC(ヘキサン:EA=7:3)により精製して、2−(4’−メチルアミノ−3’−ヨードフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(5mg,43%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ:(ppm):8.37(d,H=2.0Hz,1H),7.88(dd,J=2.0Hz,J=8.4Hz,1H),7.83(d,J=8.8Hz,1H),7.28(d,J=2.4Hz,1H),6.96(dd,J=2.5Hz,J=8.8Hz,1H),6.58(d,J=8.5Hz,1H),2.96(s,3H,CH)。
【実施例7】
【0132】
125I]6−OH−BTA−0−3’−Iの放射合成
【化21】

【0133】
2−(4’−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メトキシベンゾチアゾール(400mg,1.5mmol)をCHCl(10ml)中に含む懸濁液にBBr(CHCl中1M,10ml,10mmol)を添加した。反応混合物を室温で24時間攪拌した。次いで、反応物を水でクエンチし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)により精製して、生成物を黄色固体(210mg,55%)として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ(ppm):9.02(s,OH),8.41(d,J=9.1Hz,1H),8.33(d,J=9.1Hz,1H),7.96(d,J=8.6Hz,1H),7.53(d,J=2.4Hz,1H),7.15(dd,J=8.6Hz,J=2.4Hz,1H)。
【0134】
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(50mg,0.18mmol)を無水アセトン(7ml)中に溶解して含む溶液に粉末状KCO(100mg,0.72mmol)及びMsCl(200ul)を添加した。2時間攪拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、2−(4−ニトロフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(44mg,68%)を薄黄色固体として得た。HNMR(300MHz,アセトン−d) δ(ppm):8.50−8.40(m,4H),8.29(d,J=2.3Hz,1H),8.23(d,J=8.9Hz,1H),7.61(dd,J=2.3Hz,J=8.9Hz,1H)。
【0135】
2−(4’−アミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾールの製造
2−(4’−ニトロフェニル)−6−メチルスルヘキシベンゾチアゾール(35mg,0.10mmol)をエタノール(10ml)中に溶解して含む溶液にSnCl・2HO(50mg)を添加した。反応混合物を1.5時間還流加熱した。次いで、溶媒を減圧下で除去した。残渣を酢酸エチル(10ml)中に溶解し、1N NaOH及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させて、2−(4’−アミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(21mg,65%)を薄褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):8.02(d,J=6.2Hz,1H),7.92(d,J=8.7Hz,2H),7.84(d,J=2.4Hz,1H),7.38(dd,J=2.4Hz,J=6.2Hz,1H),6.78(d,J=8.7Hz,2H),2.21(s,3H,CH)。
【実施例8】
【0136】
125I]6−OH−BTA−1−3’−Iの放射合成
【化22】

【0137】
2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−ヒドロキシベンゾチアゾール(300mg,1.17mmol)をCHCl(20mml)中に溶解して含む溶液にEtN(2ml)及びトリフルオロ酢酸(1.5ml)を添加した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解し、NaHCO溶液、ブライン及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をKCOで予備乾燥したアセトン(20ml)中に溶解し、粉末状KCO(1.0g)及びMsCl(400mg,3.49mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で攪拌し、出発材料が消失するまでTLCでモニターした。次いで、残渣を濾過した。濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(30ml)中に溶解し、NaHCO溶液、ブライン及び水で洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をEtOH中に溶解し、NaBHを添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残渣を水中に溶解し、酢酸エチル(20ml×3)で抽出し、抽出物を合わせ、MgSOで乾燥した。溶媒を蒸発させた後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8:1)により精製して、生成物(184mg,47.0%)を褐色固体として得た。HNMR(300MHz,CDCl) δ(ppm):7.94(d,J=8.8Hz,1H),7.87(d,J=8.7Hz,2H),7.77(d,J=2.3Hz,1H),7.30(dd,J=8.8Hz,J=2.3Hz,1H),6.63(d,J=8.7Hz,2H),3.16(s,CH),2.89(s,NCH)。
【0138】
放射標識のための一般的方法:
密封バイアル中の2−(4’−アミノフェニル)−6−メタンスルホノキシベンゾチアゾールまたは2−(4’−メチルアミノフェニル)−6−メチルスルホキシベンゾチアゾール(1mg)を酢酸(250μl)中に含む溶液に40μlの(28mgを500μlの酢酸中に溶解した)クロラタミンT溶液及び27μl(約5mCi)の[125I]ヨウ化ナトリウム(比放射能2,175Ci/mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で2.5時間撹拌し、飽和硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。水(20ml)で希釈した後、反応混合物をC8 Plus SepPakに充填し、メタノール(2ml)で溶離させた。メタンスルホニル基を脱保護するために、放射性ヨウ素化中間体の溶離溶液に1M NaOH(0.5ml)を添加した。混合物を50℃に2時間加熱した。1M 酢酸(500μl)でクエンチした後、反応混合物を水(40ml)で希釈し、C8 Plus SepPakに充填した。約3mCiの放射能を有する放射性ヨウ素化生成物をメタノール(2ml)を用いてSepPakから溶離させた。溶液を窒素流により300μlに濃縮し、粗な生成物をPhenomenex ODSカラム(MeCN/TEAバッファー(pH7.5)(35:65;流速は、4分までは0.5ml/分、4〜6分は1.0ml/分、6分後からは2.0ml/分;保持時間23.6)を用いるHPLCにより精製した。集めた画分をC8 Plus SepPakに充填した。エタノール(1ml)で溶離して、1mCiの最終放射性ヨウ素化生成物を得た。
【実施例9】
【0139】
AN-1792ワクチンでの処置はアミロイドトレーサーであるPIBの脳ホモジネートへの結合を低下させる
ベンゾチアゾールアミロイドイメージングPETトレーサー{N-メチル-11C}2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシベンゾチアゾール([11C]PIB)は、AD患者と対照の被験者との間の保持率において明らかな差を示す。この[11C]PIB保持は、ADの脳におけるアミロイド沈着の既知の局所解剖学に従う(Klunkら、2004年、Ann.Neurol.、55(3)巻、306〜19頁)。本ベンゾチアゾールアミロイドイメージングプローブが、一般的に抗アミロイド治療により引き起こされる脳のアミロイド沈着における変化に感受性があるか否かを決定するために、{N-メチル-3H}2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシ-ベンゾチアゾール([3H]PIB)の、2つのAN-1792処置したADの症例からの死後の脳のホモジネートに対する結合について試験を行った。対照の脳(n=4)、ADの脳(n=5)、およびAN-1792の治験からの2つの脳から、前頭の、側頭の、および頭頂の皮質ならびに小脳の凍結ブロックを得た(Ferrerら、2004年、Brain Pathology、14巻、11〜20頁、Masliahら、2005年、Neurology、64巻、129〜131頁)。ブロックを切片にし(40mm)、2切片ごとに、Aβ40もしくはAβ42に特異的な抗体、またはコンゴーレッドの蛍光誘導体であるX-34(βシートに特異的である)で組織学的分析にかけた。間の切片を合わせ、プロテアーゼ阻害物質を含むTris緩衝化食塩水でホモジナイズした。アリコートをAβELISAにかけ、別のアリコートを、リン酸緩衝化食塩水で希釈後、[3H]PIB結合についてアッセイした(組織100mgを、1nM[3H]PIBとインキュベートし、ろ過し、洗浄し、計測して結合している[3H]PIBを決定した)。
【0140】
神経病理学的には、これらの脳では、いくつかの皮質の領域において斑が限局的に非存在であるのが際立っていた(図2〜4)。Masliahの症例は(症例#5180)、斑がないのが際立っており(図2〜4)、Aβおよび[3H]PIB結合の基底レベルを示していた(図5)。Ferrerの症例では(症例#572)、前頭皮質における斑の沈着に最も明らかな減少が示され(図3および4)、これはAβおよび[3H]PIB結合のレベルが低下したことと相関していた(図5)。
【0141】
これらの発見は、以下の結論を支持している:
1.PIB結合は、AN-1792処置した症例においてアミロイド負荷が減少した証拠を提供する。
【0142】
2.PIB結合の減少は、斑が除去された組織学的証拠、およびAβが除去されたELISAの証拠と相関する。
【0143】
3.抗アミロイド治療がもたらすin vivoのアミロイド負荷の低下を検出するのは可能なはずである。
【0144】
さらに、アミロイド排除の限局性の性質は、脳全体をモニターすることを意味し、PETイメージングはこれに大変適している。
【0145】
本明細書に開示した、本発明の明細書および実行を考慮すると、当業者には、本発明の他の実施形態は明らかであろう。本明細書は例示的にすぎないとみなされ、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲により示すものとする。
【0146】
本明細書および以下の特許請求の範囲で用いる、「1つの(a)」「1つの(an)」、および「1つの(one)」などの単数形の冠詞は、単数または複数を意味するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】1nMの{N-メチル-3H}2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシベンゾチアゾール(「[3H]PIB」)の、対照の脳(Cntl;n=4;白棒;丸)、ADの脳(AD;n=5;黒棒;四角)、およびAN-1792処置したAD症例(n=1繰り返し×1;斜線棒;三角)の、前頭皮質(Fr)および小脳(Cb)に対する結合を示す図である。結果は、AN-1792ワクチンで処置すると、アミロイドトレーサーである2-[4'-(メチルアミノ)フェニル]6-ヒドロキシ-ベンゾチアゾール(「PIB」)の脳ホモジネートに対する結合を低下させることを示している。
【図2】代表的な末期のAD患者(C、F)に比べた、AD患者572(A、D)および5180(B、E)の側頭皮質におけるβプリーツシートの、Aβ42免疫反応性(ir)、およびX-34組織蛍光標識を示す図である。スケールバー=200μm。症例572において斑のない大きな領域をアスタリスクで印してある。症例5180には斑がないが、X-34により染色されるいくつかの神経原線維濃縮体および神経突起の因子が示されている。
【図3】代表的な末期のアルツハイマー病患者に比べた、患者572(A、D)および5180(B、E)の前頭皮質におけるβプリーツシートの、Aβ42免疫反応性、およびX-34組織蛍光標識を示す図である。スケールバー=200μm。症例572において斑のない領域をアスタリスクで印してある。症例5180には斑がないが、X-34により染色されるいくつかの神経原線維濃縮体が示されている(図4を参照されたい)。
【図4】患者572および5180における、βプリーツシート含有の神経原線維濃縮体、糸屑状構造物、異栄養神経突起、および老人斑のX-34染色を示す図である。患者5180には神経突起因子が大量にあるが斑がないことに留意されたい。X-34染色した因子の排除された領域をアスタリスクで印してある。これらの排除された領域は、AN-1792処置前に、斑が存在したことを強力に示唆している。スケールバー=100μm。
【図5】上のグラフは572および5180の症例における、前頭の、頭頂の、側頭の、および小脳の皮質におけるAβ42に対するELISAのデータを示す図である。これらは、高齢の対照およびADの被験者の前頭の、頭頂の、および側頭の皮質について公開されているデータと比較している(Naslundら、2000年、Jama、283巻、1571〜1577頁)。下のグラフは、高齢の対照(n=4)およびADの被験者(n=5)の同領域に対する[3H]PIB結合と比べた、572および5180の症例における、前頭の、頭頂の、側頭の、および小脳の皮質における[3H]PIB結合を示す図である。[3H]PIB結合は、図2〜4のELISAおよび組織学的なデータと相関が良好であることに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミロイド症の処置における治療の有効性を決定する方法であって、
(A)かかる決定が必要な患者に、以下の式:
【化1】

[式中、
(i)Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、ZがC(R')2である場合、複素環の互変異性体はインドール:
【化2】

[式中、R'はHまたは低級アルキル基である]
を形成していてもよく、
(ii)Yは、NR1R2、OR2、またはSR2であり、
(iii)R1は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(iv)R2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(v)R3は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vi)R4は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vii)R5は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(viii)R6は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(ix)R7は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(x)R8は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xi)R9は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xii)R10は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
あるいは、R3〜R10の1つは、Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群から選択され、Wがn=0、1、2、3、4、または5である-(CH2)nであり、Lが:
【化3】

[式中、MはTcおよびReからなる群から選択される]
であるW-LまたはV-W-Lの形態のキレート基(キレート化された金属基を含む、または含まない)であることができる]
を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む化合物、またはその放射標識された誘導体もしくは製薬上許容される塩の有効量を投与するステップと、
(B)前記患者をイメージングするステップと、次いで
(C)少なくとも1種の抗アミロイド剤を、前記患者に投与するステップと、
(D)その後、有効量の式(I)の化合物を、前記患者に投与するステップと、
(E)前記患者をイメージングするステップと、
(F)前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
抗アミロイド剤が、Aβペプチドに対する1種または複数の抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗アミロイド剤が、β-および/またはγ-セクレターゼの1種または複数の阻害物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
抗アミロイド剤がAβ1〜42に結合する小分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
抗アミロイド剤がデコイペプチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アミロイド症がADである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イメージングが、ガンマ線イメージング、磁気共鳴イメージング、および磁気共鳴分光法からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
イメージングがガンマ線イメージングにより行われ、ガンマ線イメージングがPETまたはSPECTである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物が:
【化4】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式(I)の化合物が11C標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
抗アミロイド剤が末梢性シンク物質である、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
抗アミロイド治療の有効性を決定するための代用マーカーとして使用するための薬物を製造するための、以下の式:
【化5】

[式中、
(i)Zは、S、NR'、O、またはC(R')2であり、ZがC(R')2である場合、複素環の互変異性体はインドール:
【化6】

[式中、R'はHまたは低級アルキル基である]
を形成していてもよく、
(ii)Yは、NR1R2、OR2、またはSR2であり、
(iii)R1は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(iv)R2は、H、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、(C=O)-R'、Rph、および(CH2)nRph(式中、n=1、2、3、または4であり、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基は以下でR3〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)からなる群から選択され、
(v)R3は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vi)R4は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(vii)R5は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(viii)R6は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(ix)R7は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(x)R8は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xi)R9は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
(xii)R10は、H、F、Cl、Br、I、低級アルキル基、(CH2)nOR'(式中、n=1、2、または3である)、CF3、CH2-CH2X、O-CH2-CH2X、CH2-CH2-CH2X、O-CH2-CH2-CH2X(式中、X=F、Cl、Br、またはIである)、CN、(C=O)-R'、N(R')2、NO2、(C=O)N(R')2、O(CO)R'、OR'、SR'、COOR'、Rph、CR'=CR'-Rph、CR2'-CR2'-Rph(式中、Rphは非置換または置換されているフェニル基を表し、このフェニルの置換基はR1〜R10について定義された非フェニル置換基から選択され、R'はHまたは低級アルキル基である)、ならびにトリ-アルキルスズからなる群から選択され、
あるいは、R3〜R10の1つは、Vが-COO-、-CO-、-CH2O-、および-CH2NH-からなる群から選択され、Wがn=0、1、2、3、4、または5である-(CH2)nであり、Lが:
【化7】

[式中、MはTcおよびReからなる群から選択される]
である、W-LまたはV-W-Lの形態のキレート基(キレート化された金属基を含む、または含まない)であることができる]
を有し、置換基部分の少なくとも1つが検出可能な標識を含む、化合物、またはその放射標識された誘導体もしくは製薬上許容される塩。
【請求項13】
アミロイド症の処置における治療の有効性を決定する方法であって、
(A)請求項12に記載の化合物を投与した患者をイメージングするステップと、
(B)少なくとも1種の抗アミロイド剤を、前記患者に投与するステップと、
(C)その後、請求項12に記載の化合物の第2の投与量を投与した患者をイメージングするステップと、
(D)前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
患者をアミロイド沈着を伴う疾患の前駆として同定する方法であって、
(A)かかる同定を必要とする患者に、有効量の式(II):
【化8】

[式中、
R1は、水素、-OH、-NO2、-CN、-COOR、-OCH2OR、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6アルコキシ、またはハロであり、
Rは、C1〜C6アルキルであり、
R2は、水素またはハロであり、
R3は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、ここでこのアルキル、アルケニル、またはアルキニルは放射性の炭素を含むか、またはR2が水素または非放射性のハロの場合は放射性のハロで置換されており、
ただし、R1が水素または-OHであり、R2が水素であり、R4が-11CH3である場合には、R3は、C2〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、
さらに、R1が水素であり、R2が水素であり、R4が-(CH2)318Fである場合には、R3は、C2〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、この場合少なくとも1つの置換基部分は検出可能な標識を含む]
の化合物またはこの化合物の放射標識された誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグを投与するステップと、
(B)前記患者をイメージングするステップと、次いで
(C)少なくとも1種の抗アミロイド剤を前記患者に投与するステップと、
(D)その後、有効量の式(II)の化合物を前記患者に投与するステップと、
(E)前記患者をイメージングするステップと、
(F)前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
式(I)のアミロイドイメージング剤が、構造1〜45または放射標識されたその誘導体からなる群から選択され、この化合物は少なくとも1つの検出可能な標識を含む、請求項1に記載の方法。
【化9】




【請求項16】
抗アミロイド療法の有効性を決定するための代用マーカーとして使用するための薬剤を製造するための、式(II):
【化10】

[式中、
R1は、水素、-OH、-NO2、-CN、-COOR、-OCH2OR、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6アルコキシ、またはハロであり、
Rは、C1〜C6アルキルであり、
R2は、水素またはハロであり、
R3は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、
R4は、水素、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、ここでこのアルキル、アルケニル、またはアルキニルは放射性の炭素を含むか、またはR2が水素または非放射性のハロの場合は放射性のハロで置換されており、
ただし、R1が水素または-OHであり、R2が水素であり、R4が-11CH3である場合には、R3は、C2〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、
さらに、R1が水素であり、R2が水素であり、R4が-(CH2)318Fである場合には、R3は、C2〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、またはC2〜C6アルキニルであり、この場合少なくとも1つの置換基部分は検出可能な標識を含む]
の化合物またはこの化合物の放射標識された誘導体、製薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項17】
構造1〜45の1つである、請求項12に記載の化合物。
【化11】




【請求項18】
アミロイド症の処置における治療の有効性を決定する方法であって、
(A)請求項16に記載の化合物を投与した患者をイメージングするステップと、次いで
(B)少なくとも1種の抗アミロイド剤を前記患者に投与するステップと、
(C)その後、請求項16に記載の化合物の第2の投与量を投与した患者をイメージングするステップと、
(D)前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置する前の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルを、前記少なくとも1種の抗アミロイド剤で処置した後の前記患者におけるアミロイド沈着のレベルと比較するステップと
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−505115(P2008−505115A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519500(P2007−519500)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/023617
【国際公開番号】WO2006/014381
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504279968)ユニバーシティー オブ ピッツバーグ (24)
【Fターム(参考)】