説明

抗コリン作用薬及びエチプレドノールを含有する医薬組成物

本発明は、抗コリン作用薬とエチプレドノールとを基にした新規な医薬組成物、その製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療のための該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗コリン作用薬及びエチプレドノールを基にした新規な医薬組成物、その製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療での該組成物の使用に関する。
(発明の説明)
本発明は、抗コリン作用薬及びエチプレドノールを基にした新規な医薬組成物、その製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療での該組成物の使用に関する。
驚いたことに、1種以上の抗コリン作用薬をコルチコステロイドのエチプレドノールと一緒に用いると、炎症性又は閉塞性の気道疾患の治療において、予期しなかった有利な治療効果を見出すことができる。この有利な効果を考慮すると、本発明の医薬組成物は、従来の単剤治療で使用したそれぞれの化合物の場合に比べて、少ない投与量で用いることができる。これにより、例えば、コルチコステロイドの投与時に起こる可能性のある望ましくない副作用が低減される。
前述の効果は、2種の有効成分を単一有効成分調剤にして同時に投与する場合、また、別々の調剤にして順次投与する場合のどちらにもみることができる。本発明では、有効成分を単一調剤にして同時に投与する方が好ましい。
本発明の範囲において使用することができる塩1は、チオトロピウム、オキシトロピウム又はイプラトロピウムに加えて、カウンターイオン(アニオン)としての塩化物、臭化物、ヨウ化物、サルフェート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートを含む化合物を意味する。本発明の範囲において、すべての塩1の中で、メタンスルホネート、塩化物、臭化物及びヨウ化物が好ましく、メタンスルホネート及び臭化物が特に重要である。本発明によると、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム及び臭化イプラトロピウムから選択される塩1が極めて重要である。臭化チオトロピウムがなかでもとりわけ好ましく、WO02/30928 A1に開示のごとく、結晶性一水和物の形が特に好ましい。
抗コリン作用薬1は、好ましい実施形態では式1aの化合物から選択され、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、
Aは、下記から選択される二重結合基を示し、


【0004】
【化2】

【0005】
-は、本願明細書で記載した定義を有すればよく、好ましくは塩化物、臭化物又はメタンスルホネートを示し、
1及びR2は同一でも異なっていてもよく、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択される基を示し、ヒドロキシル又はフッ素で置換されていてもよいが、好ましくは未置換のメチルを示し、
3、R4、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2を示し、
7は、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、−CH2−F、−CH2−CH2−F、−O−CH2−F、−O−CH2−CH2−F、−CH2−OH、−CH2−CH2−OH、CF3、−CH2−OMe、−CH2−CH2−OMe、−CH2−OEt、−CH2−CH2−OEt、−O−COMe、−O−COEt、−O−COCF3、−O−COCF3、フッ素、塩素又は臭素を示す。)
式1aの化合物は当該分野において公知である(WO02/32899)。
【0006】
本発明の好ましい実施形態における本発明の方法は、式1aの化合物を投与することを含むもので、医薬的に許容される賦形剤と一緒に投与してもよく、式中、
-が臭化物を示し、
1及びR2は同一でも異なっていてもよく、メチル及びエチルから選択される基を示し、好ましくはメチルを示し、
3、R4、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、メチルオキシ、塩素又はフッ素を示し、
7が、水素、メチル又はフッ素を示す。
一般式1aにおいて、
Aが、下記から選択される二重結合基:
【0007】
【化3】

【0008】
を示す化合物が、本発明の方法においてとりわけ重要である。
式1aの化合物はそれぞれの光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物又はラセミ体の形で投与してもよい。
下記化合物1aが本発明の方法では特に重要である。
− トロペノール2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロマイド及び
− トロペノール2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロマイド。
別の好適な実施形態では、抗コリン作用薬1は、式1bで表される化合物から選択され、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0009】
【化4】

【0010】
(式中、A、X-、R1及びR2は、本願明細書前記記載のとおりの定義を有すればよく、
7、R8、R9、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2を示すが、R7、R8、R9、R10、R11及びR12の少なくとも1つの基は水素でない。)
式1bの化合物は当該分野において公知である(WO02/32898)。
本発明の好ましい実施形態の方法は、式1bにおいて、
Aが、下記から選択される二重結合基を示し、
【0011】
【化5】

【0012】
-が臭化物を示し、
1及びR2は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
7、R8、R9、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素、フッ素、塩素又は臭素、好ましくはフッ素を示すが、R7、R8、R9、R10、R11及びR12基のうち少なくとも1つは水素ではない、化合物を投与することを含むもので、医薬的に許容される賦形剤と一緒に投与してもよい。
下記化合物1bが、本発明の方法において特に重要である。
− トロペノール3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
− スコピン3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
− スコピン4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド、
− スコピン3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド及び
− トロペノール3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1bの化合物がそれぞれの光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物又はラセミ体の形で含有されていてもよい。
別の好適な実施形態では、抗コリン作用薬1は、式1cで表される化合物から選択され、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0013】
【化6】

【0014】
(式中、A及びX-は、本願明細書前記記載のとおりの定義を有すればよく、
15は、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、−CF3、CHF2又はフッ素を示し、
1'及びR2'は同一でも異なっていてもよく、(C1−C5)アルキルを示し、(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1'及びR2'は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
13、R14、R13'及びR14'は同一でも異なっていてもよく、水素、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシ、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示す。)
式1cの化合物は当該分野において公知である(WO03/064419)。
本発明の好ましい実施形態の方法は、式1cにおいて、
Aが、下記から選択される二重結合基を示し
【0015】
【化7】

【0016】
-が塩化物、臭化物及びメタンスルホネートから選択されるアニオン、好ましくは臭化物を示し、
15がヒドロキシル、メチル又はフッ素を示し、好ましくはメチル又はヒドロキシルを示し、
1'及びR2'は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
13、R14、R13'及びR14'は同一でも異なっていてもよく、水素、−CF3、−CHF2又はフッ素を示し、好ましくは水素又はフッ素を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
本発明の別の好ましい実施形態の方法は、式1cにおいて、
Aが、下記から選択される二重結合基を示し




【0017】
【化8】

【0018】
-が臭化物を示し、
15がヒドロキシル又はメチルを示し、好ましくはメチルを示し、
1'及びR2'は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
13、R14、R13'及びR14'は同一でも異なっていてもよく水素又はフッ素を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
下記化合物1cが、本発明の方法において特に重要である。
− トロペノール9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール9-フルオロ-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン9-フルオロ-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール9-メチル-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド及び
− スコピン9-メチル-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1cの化合物がそれぞれの光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物又はラセミ体の形で含有されていてもよい。
別の好適な実施形態では、抗コリン作用薬1は式1dで表される化合物から選択され、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0019】
【化9】

【0020】
(式中、X-は本願明細書前記記載のとおりの定義を有すればよく、
D及びBは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一であるとよく、−O、−S、−NH、−CH2、−CH=CH又は−N(C1−C4アルキル)−を示し、
16は、水素、ヒドロキシル、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、−(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−O−(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−(C1−C4)アルキレン−OH、−CF3、CHF2、−(C1−C4)アルキレン−(C1−C4)アルキルオキシ、−O−CO(C1−C4)アルキル、−O−CO(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキル、−O−COCF3又はハロゲンを示し、
1”及びR2”は同一でも異なっていてもよく、−(C1−C5)アルキルを示し、−(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1”及びR2”は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
17、R18、R17'及びR18'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示し、
x及びRx'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示すか、あるいはRx及びRx'は一緒になって単結合又は−O、−S、−NH、−CH2、−CH2−CH2−、−N(C1−C4アルキル)、−CH(C1−C4アルキル)−及び−C(C1−C4アルキル)2からなるブリッジから選択される橋架け基を示す。)
式1dの化合物は当該分野で公知である(WO03/064418)。
【0021】
本発明の好ましい別の実施形態の方法は、式1dにおいて、
-が塩化物、臭化物又はメタンスルホネート、好ましくは臭化物を示し、
D及びBは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一であるとよく、−O、−S、−NH又は−CH=CH−を示し、
16が、水素、ヒドロキシル、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、−CF3、CHF2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
1”及びR2”は同一でも異なっていてもよく、(C1−C4)アルキルを示し、ヒドロキシル、フッ素、塩素又は臭素で置換されていてもよく、あるいは、R1”及びR2”は一緒になって−(C3−C4)アルキレンブリッジを示し、
17、R18、R17'及びR18'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示し、
x及びRx'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2、フッ素、塩素又は臭素を示すか、あるいはRx及びRx'は一緒になって単結合又は−O、−S、−NH−及び−CH2−からなるブリッジから選択される橋架け基を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0022】
別の好ましい実施形態の方法は、式1dにおいて、
-が塩化物、臭化物又はメタンスルホネート、好ましくは臭化物を示し、
D及びBは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一であるとよく、−S又は−CH=CH−を示し、
16が、水素、ヒドロキシル又はメチルを示し、
1”及びR2”は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチルを示し、
17、R18、R17'及びR18'は同一でも異なっていてもよく、水素、−CF3又はフッ素を示し、好ましくは水素を示し、
x及びRx'は同一でも異なっていてもよく、水素、−CF3又はフッ素、好ましくは水素を示すか、あるいはRx及びRx'は一緒になって単結合又は橋架け基−O−を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態の方法は、式1dにおいて、
-が臭化物を示し、
D及びBが−CH=CH−を示し、
16が、水素、ヒドロキシル又はメチルを示し、
1”及びR2”がメチルを示し、
17、R18、R17'及びR18'は同一でも異なっていてもよく、水素又はフッ素、好ましくは水素を示し、
x及びRx'は同一でも異なっていてもよく、水素又はフッ素、好ましくは水素を示すか、あるいはRx及びRx'は一緒になって単結合又は橋架け基−O−を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
下記化合物1dが本発明の方法においてとりわけ重要である。
【0024】
− シクロプロピルトロピンベンジル酸エステルメトブロマイド、
− シクロプロピルトロピン2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロマイド、
− シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− シクロプロピルトロピン9-メチル-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− シクロプロピルトロピン9-メチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− シクロプロピルトロピン9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド及び
− シクロプロピルトロピンメチル4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1dの化合物がそれぞれの光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物又はラセミ体の形で含有されていてもよい。
さらに別の好適な実施形態では、抗コリン作用薬1は式1eで表される化合物から選択され、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
【0025】
【化10】

【0026】
(式中、X-は本願明細書前記記載のとおりの定義を有すればよく、
A’は、下記から選択される二重結合基を示し、
【0027】
【化11】

【0028】
19は、ヒドロキシル、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、−CF3、CHF2又はフッ素を示し、
1'''及びR2'''は同一でも異なっていてもよく、(C1−C5)アルキルを示し、(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1'''及びR2'''は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
20、R21、R20'及びR21'は同一でも異なっていてもよく、水素、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示す。)
式1eの化合物は当該分野では公知である(WO03/064417)。
本発明の好ましい実施形態の方法は、式1eにおいて、
A’が下記から選択される二重結合基を示し、
【0029】
【化12】

【0030】
-が塩化物、臭化物又はメタンスルホネート、好ましくは臭化物を示し、
19がヒドロキシル又はメチルを示し、
1'''及びR2'''は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
20、R21、R20'及びR21'は同一でも異なっていてもよく、水素、−CF3、−CHF2又はフッ素、好ましくは水素又はフッ素を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
本発明の別の好ましい実施形態の方法は、式1eにおいて、
A’が下記から選択される二重結合基を示し、
【0031】
【化13】

【0032】
-が臭化物を示し、
19がヒドロキシル又はメチル、好ましくはメチルを示し、
1'''及びR2'''は同一でも異なっていてもよく、メチル又はエチル、好ましくはメチルを示し、
3、R4、R3'及びR4'は同一でも異なっていてもよく、水素又はフッ素を表す化合物を投与することを含み、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい。
下記化合物1eが本発明の方法においてとりわけ重要である。
− トロペノール9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール9-メチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− スコピン9-メチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール9-エチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド、
− トロペノール9-ジフルオロメチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド及び
− スコピン9-ヒドロキシメチル-キサンテン-9-カルボン酸エステルメトブロマイド。
本発明の医薬組成物は、式1eの化合物がそれぞれの光学異性体、個々の鏡像異性体の混合物又はラセミ体の形で含有されていてもよい。
本発明の範囲において、抗コリン作用薬1という用語は、好ましくは、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩及びイプラトロピウム塩から選択される塩を示し、特に好ましくはチオトロピウム塩を示す。前記塩のなかで、カチオンのチオトロピウム、オキシトロピウム及びイプラトロピウムは薬理学的な有効成分である。本特許出願の範囲では、前記カチオンに明確に言及する場合は数字1’を使って、又は下記式のカチオンで示す。
【0033】
【化14】

【0034】
化合物1に言及する場合、当然のことながら成分1’への言及も含むものである。
特に記載のない限り、使用するアルキル基は炭素原子1〜5個を有する分岐又は分岐していないアルキル基である。メチル、エチル、プロピル又はブチルが例示される。メチル、エチル、プロピル又はブチル基は、Me、Et、Prop又はBuと略して記載する場合もある。特に記載のない限り、プロピル及びブチルの定義には当該基の存在可能な異性体の形をすべて含む。即ち、例えばプロピルの場合は、n-プロピル及びイソプロピル、ブチルの場合はイソブチル、セカンダリーブチル、ターシャリーブチル等が含まれる。
特に記載のない限り、使用するシクロアルキル基は炭素原子3〜6個を有する脂環式基である。シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が挙げられる。本発明では、シクロプロピルが本発明の範囲において特に重要である。
特に記載のない限り、使用するアルキレン基は炭素原子1〜5個を有する分岐及び分岐していない二重結合のアルキルブリッジである。例として、メチレン、エチレン、プロピレン又はブチレンが挙げられる。
特に記載のない限り、使用するアルキレン−ハロゲン基とは、炭素原子1〜4個を有する分岐及び分岐していない二重結合のアルキルブリッジが、ハロゲンでモノ置換、ジ置換又はトリ置換(好ましくはジ置換)されているものである。したがって、特に記載のない限り、アルキレン−OH基は、炭素原子1〜4個を有する分岐及び分岐していない二重結合のアルキルブリッジが、ヒドロキシルでモノ置換、ジ置換又はトリ置換(好ましくはモノ置換)されているものである。
【0035】
特に記載のない限り、使用するアルキルオキシ基は、炭素原子1〜5個を有する分岐及び分岐していないアルキル基が酸素原子を介して結合したものである。例としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシが挙げられる。メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシ基は、MeO、EtO、PropO又はBuOと略して記載することもある。特に記載のない限り、プロピルオキシ及びブチルオキシの定義には当該基の存在可能な異性体の形をすべて含む。即ち、例えばプロピルオキシの場合は、n-プロピルオキシ及びイソプロピルオキシ、ブチルオキシの場合はイソブチルオキシ、セカンダリーブチルオキシ、ターシャリーブチルオキシ等が含まれる。本発明の範囲において、アルコキシという用語をアルキルオキシという用語の代わりに使用する場合もある。したがって、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ又はブチルオキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシと呼ぶこともできる。
特に記載のない限り、使用するアルキレン−アルキルオキシ基とは、炭素原子1〜5個を有する分岐及び分岐していない二重結合のアルキルブリッジが、アルキルオキシ基でモノ置換、ジ置換又はトリ置換(好ましくはモノ置換)されているものである。
特に記載のない限り、使用する-O-CO-アルキル基とは、炭素原子1〜4個を有する分岐及び分岐していないアルキル基がエステル基を介して結合したものである。アルキル基はエステル基のカルボニル炭素に直接結合している。-O-CO-アルキル-ハロゲン基という用語についても、同様に解釈すべきである。-O-CO-CF3基は、トリフルオロアセテートを表す。
本発明の範囲におけるハロゲンは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表す。特に記載のない限り、フッ素及び臭素が好ましいハロゲンである。CO基とはカルボニル基を示す。
【0036】
「治療上の有効量」という用語は、研究者又は臨床医が求めている、組織、器官、動物又はヒトの生物学的反応又は医学的反応を顕在化させる医薬品又は薬剤の量を意味する。
本発明の範囲では、前記抗コリン作用薬1と一緒にコルチコステロイドのエチプレドノールを使用する。本発明の範囲において、エチプレドノール2に言及する場合は、エチプレドノールから形成することができる塩又は誘導体が含まれる。可能な塩又は誘導体の例としては、ナトリウム塩、スルホベンゾエート、ホスフェート、イソニコチネート、アセテート、プロピオネート、燐酸二水素塩、パルミテート、ピバレート又はフロエートが挙げられる。また、エチプレドノール2は、水和物の形で存在してもよい。
本発明の組成物は、好ましくは、式2aで示されるようなエチプレドノール-ジクロロアセテート(当該分野ではBNP-166として知られている)の状態でエチプレドノールを含むものであり、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物又は溶媒和物、水和物の状態であってもよい。
【0037】
【化15】

【0038】
本発明の組成物は、1種以上の抗コリン作用薬1、好ましくは1種の抗コリン作用薬と共にエチプレドノール2のみを有効成分として含むことが好ましいと解釈される。
本発明の1及び2の医薬組成物は吸入による投与が好ましい。好適なカプセルに充填した適当な吸入可能粉末(インハレット)を最適な粉末吸入器を用いて投与することができる。あるいは、好適な吸入用エアロゾルに適用して吸入することができる。また、例えば、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物を噴射剤ガスとして含有する、吸入用エアロゾルも挙げることができる。また、この医薬品は、1及び2を含む医薬組成物の好適な溶液を用いて吸入することもできる。
そこで、態様の1つとして、本発明は1及び2の組合せを含む医薬組成物に関する。
別の態様においては、本発明は、塩1を1種以上とエチプレドノール2とを含む医薬組成物に関するもので、溶媒和物又は水和物の状態であってもよい。有効成分を単一製剤内に混合してもよいし、あるいは2つの別々の調剤に含有してもよい。有効成分1及び2を単一製剤に含む医薬組成物の方が本発明では好ましい。
【0039】
さらに別の態様では、本発明は、治療上有効量の1及び2に加えて、製薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関するものである。もう1つの態様では、本発明は、治療上有効量の1及び2の他に製薬学的に許容される賦形剤を含まない医薬組成物に関する。
さらに、本発明は、炎症性及び/又は閉塞性の気道疾患、とりわけ喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を同時投与又は順次投与により治療するための、治療上有効量の1及び2を含む医薬組成物を調製するために1及び2を使用することに関する。さらに、本発明の医薬組成物を用いて、例えば、嚢胞性繊維症又はアレルギー性肺胞炎(農夫肺)を同時投与又は順次投与により治療するための医薬品を調製することができる。本発明による有効成分の組合せは、治療上の観点からステロイドによる治療に禁忌を示す場合についてのみ、使用しない。
さらに本発明は、炎症性及び/又は閉塞性の気道疾患、とりわけ喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を同時投与又は順次投与により治療するために、1及び2の前記医薬組成物組合せの治療上有効量を同時又は順次使用することに関するものであるが、ステロイドによる治療に治療的観点から禁忌を示さないことが前提となる。例えば、嚢胞性繊維症又はアレルギー性肺胞炎(農夫肺)の治療のために、前記1及び2の医薬組成物組合せの治療上有効量を同時又は順次使用することに関するものである
【0040】
本発明の1及び2の有効成分組合せにおいて、成分1及び2は鏡像異性体、鏡像異性体の混合物又はラセミ化合物の状態で存在してもよい。
本発明の有効成分組合せにおいて使用できる有効成分1及び2の比率は様々である。有効成分1及び2は、溶媒和物又は水和物の形で存在してもよい。1及び2の化合物の選択次第で、それぞれの化合物の分子量の差やそれらの効力の違いを基準として本発明の範囲内で用いることができる質量比は変化する。基本的には、本発明の医薬組成物は、化合物1及び2を質量比で1:300〜50:1の範囲、好ましくは1:250〜40:1の範囲の割合で含むとよい。化合物1としてのチオトロピウム塩とエチプレドノール2とを含むとりわけ好ましい医薬組成物では、チオトロピウム1’と2が1:150〜30:1、より好ましくは1:50〜20:1の割合で存在する範囲に、前記質量比があると特に好ましい。
本発明の範囲を限定するものではないが、例えば、本発明の1及び2の好ましい組合せには、チオトロピウム1’及びエチプレドノール2が以下の質量比で含まれるとよい。1:50、1:49、1:48、1:47、1:46、1:45、1:44、1:43、1:42、1:41、1:40、1:39、1:38、1:37、1:36、1:35、1:34、1:33、1:32、1:31、1:30、1:29、1:28、1:27、1:26、1:25、1:24、1:23、1:22、1:21、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1。
【0041】
1と2の組合せを含む本発明の医薬組成物は、通常、1回の投与ごとに1及び2を併せて1〜10000μg、好ましくは0.1〜2000μg、より好ましくは1〜1000μg、さらに好ましくは5〜500μg、さらに本発明によると好ましくは10〜300μg、より好ましくは20〜200μgの投与量になるようにして投与する。例えば、本発明による1と2との組合せには、1回の投与での投与量の合計が約20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg、260μg、265μg、270μg、275μg等となるような量のカチオン1’と2が含有される。このような投与量範囲において、有効成分1’及び2が前記記載の質量比で存在すればよい。
【0042】
本発明の範囲を限定するものではないが、例えば、本発明による1と2との組合せにおいて、カチオン1’とエチプレドノール2とが、5μgの1’と25μgの2、5μgの1’と50μgの2、5μgの1’と100μgの2、5μgの1’と125μgの2、5μgの1’と200μgの2、5μgの1’と250μgの2、10μgの1’と25μgの2、10μgの1’と50μgの2、10μgの1’と100μgの2、10μgの1’と125μgの2、10μgの1’と200μgの2、10μgの1’と250μgの2、18μgの1’と25μgの2、18μgの1’と50μgの2、18μgの1’と100μgの2、18μgの1’と125μgの2、18μgの1’と200μgの2、18μgの1’と250μgの2、20μgの1’と25μgの2、20μgの1’と50μgの2、20μgの1’と100μgの2、20μgの1’と125μgの2、20μgの1’と200μgの2、20μgの1’と250μgの2、36μgの1’と25μgの2、36μgの1’と50μgの2、36μgの1’と100μgの2、36μgの1’と125μgの2、36μgの1’と200μgの2、36μgの1’と250μgの2、40μgの1’と25μgの2、40μgの1’と50μgの2、40μgの1’と100μgの2、40μgの1’と125μgの2、40μgの1’と200μgの2、40μgの1’と250μgの2で、1回の投与ごとに投与されるような量で含まれているとよい。
【0043】
本発明による1及び2の有効成分組合せは、吸入による投与が好ましい。そのためには、成分1及び2は吸入に適した形態で利用できなければならない。吸入用調剤としては吸入可能粉末、噴射剤含有定量エアロゾル又は噴射剤を含有しない吸入可能な溶液が挙げられる。有効成分1及び2の組合せを含有する本発明の吸入粉末は、有効成分のみから構成されていてもよいし、あるいは、有効成分と医薬的に許容される賦形剤との混合物で構成されていてもよい。本発明の範囲において、噴射剤を含有しない吸入可能な溶液という用語は、濃縮物又は直ぐに使用できる無菌吸入液が挙げられる。本発明によるこれらの製剤は、有効成分1及び2の組合せを、1つの調剤中に一緒に含有させるか、又は2つの別個の調剤に含有させるかのいずれでもよい。本発明の範囲において使用できるこうした製剤については、明細書の次のパートでより詳細に説明する。
A)本発明による有効成分1及び2の組合せを含む吸入可能な粉末:
本発明による吸入粉末は、1及び2のみを含むか、又は、1及び2を医薬的に許容される適当な賦形剤と共に含むかのいずれでもよい。
有効成分1及び2が医薬的に許容される賦形剤と共に存在する場合、以下の医薬的に許容される賦形剤を使用して本発明による吸入粉末を調製することができる。単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖類及び多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール類(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)あるいは、これら賦形剤の混合物。好ましくは、単糖類又は二糖類が使用され、なかでもラクトース又はグルコースの使用が好ましく、限定はされないが、その水和物の形が特に好ましい。本発明の目的にとって、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、ラクトース一水和物が最も好ましい。
【0044】
本発明による吸入粉末の範囲において、賦形剤の最大平均粒径は250μmまで、好ましくは10〜150μm、最も好ましくは15〜80μmの範囲である。上記の賦形剤に平均粒径1〜9μmのより微細な賦形剤画分を添加することが適切と考えられる場合もあろう。より微細な賦形剤も、本願明細書中で前記に列挙した使用可能な賦形剤の群から選択される。最終的に、本発明の吸入粉末を調製するために、微粉化した有効成分1及び2、好ましくは平均粒径0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmの有効成分1及び2を、賦形剤混合物に添加する。粉砕及び微粉化を行い、最後に成分を混合することによる、本発明の吸入粉末の製造方法については従来技術より公知である。本発明の吸入粉末は、1及び2の両方を含む単一の粉体混合物、あるいは、1と2のみをそれぞれ含有する別個の吸入粉末の形態のどちらかに調製及び投与が可能である。
本発明の吸入粉末は、従来技術から公知の吸入器を用いて投与することができる。1及び2に加えて医薬的に許容される賦形剤を含む本発明の吸入粉末は、例えば、US4570630Aに記載されているような計量チャンバーを用いた供給源から一回分の投与量を放出する吸入器によって、あるいは、DE3625685Aに記載されているような他の手段によって投与することができる。好ましくは、1と2とに加えて医薬的に許容される賦形剤を含む本発明の吸入粉末をカプセルに充填(所謂インハレット(inhalettes)形成)し、例えばWO94/28958に記載されているような吸入器で使用する。
図1に、本発明の医薬組成物をインハレットにして使用するための特に好ましい吸入器を示す。
【0045】
図1の吸入器は、2個の窓2を含むハウジング1と、空気導入口を有し、スクリーンハウジング4を介して固定されたスクリーン5を備えたデッキ3と、デッキ3に連結し、2本の尖ったピン7を備えバネ8に対して可動型の押しボタン9を有する吸入チャンバー6と、スピンドル10を介してハウジング1、デッキ3及びカバー11と連結し、跳ね上げ式で開閉可能なマウスピース12と、カプセルチャンバー6を中心とした中央領域で、スクリーンハウジング4及びスクリーン5の下に位置する、直径1mm未満の3個の穴13とによって特徴づけられる。
空気は主にヒンジ近傍のデッキ3とベース1の間から吸入器に流入する。この領域ではデッキの幅の方が狭いので、空気が流入するスリットが形成される。さらに、空気は逆流し、導入管からカプセルチャンバー6に入り込む。この空気の流れはさらにフィルター及びフィルターホルダを通ってマウスピースに流れる。一部の少量の空気がマウスピースとデッキとの間に入り、フィルターホルダとデッキの間を通って本流へと合流する。製造上の公差があるため、フィルターホルダとデッキ間の実際のスリット幅により上記の空気の流れは幾分不確定である。ツール類が新品か再生品であるかによって、吸入器の流動抵抗値は目標値から少々ずれることもある。このずれを修正するために、デッキには、カプセルチャンバー6を中心とした中央領域で、かつスクリーンハウジング4及びスクリーン5の下に位置するところに、直径1mm未満の3個の穴13がある。これらの穴13を通って空気はベースから空気流の主流へと流れこみ、吸入器の流動抵抗をわずかに下げる。平均流動抵抗が目標値と一致するようにツール内に適切なインサートを設けることによって穴13の実際の直径を設定することができる。
前記の好ましい使用のために、本発明による吸入粉末をカプセル(吸入器)に充填する場合、各カプセルの吸入粉末の充填量は、1〜30mg、好ましくは3〜20mg、より好ましくは5〜10mgが推奨される。本発明によれば、前記1’及び2の1回の投与量を一緒又は別個のいずれかでカプセル内に収容する。
【0046】
B)有効成分1及び2の組合せを含む、噴射剤ガス駆動型吸入エアロゾル:
本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルには、有効成分1及び2が噴射剤ガス中に溶解されているか、あるいは分散状態で含まれる。1及び2は別々の調剤又は単一製剤中に存在させることができ、その中で1及び2は、それぞれが溶解または分散されているか、あるいは成分の中の1つ又は2つのみが溶解され他の成分が分散されているかのいずれかである。本発明の吸入エアロゾルの調製に使用できる噴射剤ガスについては従来技術から既知である。n−プロパン、n−ブタン又はイソブタン等の炭化水素化合物、及び、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体等のハロ炭化水素化合物から、適当な噴射剤ガスが選択される。上記噴射剤ガスは単独で、又はその混合物として使用できる。特に好ましい噴射剤ガスは、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。
また、本発明の噴射剤駆動型吸入エアロゾルには、補助溶剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤等の他の成分も含ませることができる。これらの成分はすべて、当分野において公知である。
本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルには、有効成分1及び/又は2を5質量%まで含有させるとよい。例えば、本発明のエアロゾルは、有効成分1及び/又は2を0.002〜5質量%、0.01〜3質量%、0.015〜2質量%、0.1〜2質量%、0.5〜2質量%又は0.5〜1質量%含む。
有効成分1及び/又は2が分散状態で存在する場合は、該有効成分粒子の平均粒子径は10μmまでが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは1〜5μmである。
【0047】
前述の本発明による噴射剤駆動型吸入エアロゾルは、当該分野において公知の吸入器(定量噴霧吸入器(MDI))を用いて投与することができる。従って、本発明の別の態様としては、前述の噴射剤駆動型エアロゾルを投与するのに適した1種以上の吸入器と組み合わせた、噴射剤駆動型エアロゾル状態の医薬組成物に関する。更に、本発明は、本発明による前記噴射剤ガス含有エアロゾルを収容することを特徴とする吸入器に関するものである。また、本発明は、適切なバルブが設けられ、適当な吸入器で使用可能であり、かつ、本発明による上記噴射剤ガス含有吸入エアロゾルの1種を収容する、カートリッジに関する。好適なカートリッジ、さらには本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルをカートリッジに充填する方法については、従来技術から公知である。
C)本発明による有効成分1及び2の組合せを含む、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液:
本発明の有効成分組合せは、噴射剤を含有しない吸入用溶液及び懸濁液の状態で使用することがとりわけ好ましい。使用する溶媒は、水性又はアルコール性がよく、好ましくはエタノール性溶液である。溶媒としては水を単独で用いるか、水とエタノールとの混合物がよい。水に対するエタノールの相対的割合は限定されないが、その最大値は70容量%まで、より好ましくは60容量%まで、最も好ましくは30容量%までである。残りの容量は水で構成される。有効成分1及び2を別個に又は一緒に含有する溶液又は懸濁液は、そのpH値を適当な酸を用いてpH2〜7、好ましくはpH2〜5に調整する。pH値は無機酸又は有機酸から選択される酸を用いて調整すればよい。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。推奨される無機酸は塩酸及び硫酸である。また、有効成分の一方とともに酸付加塩をすでに形成している酸を使用することも可能である。有機酸の中では、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望であれば、上記の酸の混合物を用いることもでき、特に、酸性化特性に加えて、例えば香料、酸化防止剤又は錯化剤としての特性を有する酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸等の場合は、混合して用いるとよい。本発明によると、塩酸を用いてpH値を調整することが特に好ましい。
【0048】
本発明では、エデト酸(EDTA)又はその公知の塩の1つであるエデト酸ナトリウムを安定剤又は錯化剤として添加することは、本発明の処方においては不要である。実施形態によっては、この化合物を1種以上含んでもよい場合もある。推奨実施形態は、エデト酸ナトリウムを基準とした含有量が、100mg/100ml未満、好ましくは50mg/100ml未満、さらに好ましくは20mg/100ml未満である。一般に、エデト酸ナトリウムの含有量が0〜10mg/100mlの範囲となる吸入液が好ましい。
本発明の噴射剤を含有しない吸入液には、補助溶剤及び/又は他の賦形剤を添加することができる。好ましい補助溶剤は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含むもので、例えばアルコール類、特にイソプロピルアルコール、グリコール類、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールと、ポリオキシエチレンアルコール類とポリオキシエチレン脂肪酸エステル類である。本明細書における賦形剤及び添加剤という用語は、それ自体は活性物質ではないが、活性物質を含む調剤の定性的特性を改善するために薬理学的に好適な溶媒中で1種またはそれより多くの活性物質と共に処方できる、薬理的に許容される任意の物質を意味する。これらの物質は薬理的作用を持たないことが好ましいが、所望の療法との関連において容易に認識できるような薬理作用は持たないか、少なくとも望ましくない薬理作用を有していないことが好ましい。賦形剤及び添加剤としては、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ポリソルベートなどのソルビタンエステル類、ポリビニルピロリドンなどの界面活性剤、他の安定剤、錯化剤、最終的な医薬製剤の品質保持期間を保証又は延長する酸化防止剤及び/又は防腐剤、香味付与剤、ビタミン類及び/又は当分野で公知の他の添加剤が挙げられる。また、添加剤には、例えば塩化ナトリウムなどの医薬的に許容される塩も等張剤として挙げられる。
好ましい賦形剤としては、例えば、pHの調整に使用されていないことを前提としたアスコルビン酸、さらにはビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び人体内で産生する同様なビタミン類及びプロビタミン類等の酸化防止剤が挙げられる。
【0049】
防腐剤を使用して病原体による汚染から調剤を保護することができる。適当な防腐剤は当該分野において公知のものであり、特に当該分野において既知の濃度の、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。上記防腐剤は、好ましくは50mg/100mlまで、より好ましくは5〜20mg/100mlの濃度で存在していることが好ましい。
好ましい調剤は、溶剤としての水及び有効成分1と2との組合せのほかに、塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムのみを含むものである。エデト酸ナトリウムを含有させない推奨実施形態もある。
本発明の噴射剤を含有しない吸入液は、特別に、必要とされる治療用量である少量の液体調剤を数秒間以内で霧状にして治療用吸入に適したエアロゾルを生成することができるタイプの吸入器を用いて投与される。本発明の範囲内において、100μL未満、好ましくは50μL未満、より好ましくは10〜30μLの量の有効成分溶液を、好ましくは1回のスプレー操作で霧状にすることができ、その結果、平均粒径が20μm未満、好ましくは10μm未満のエアロゾルを生成させ、エアロゾルの吸入されうる部分が治療上の有効量に相当するように生成させることのできる噴霧器が好ましい噴霧器である。
吸入用液状医薬組成物の定量を噴射剤を使用せずに放出するタイプの装置については、例えば国際特許出願WO91/14468及びWO97/12687(特に図6a及び図6b参照)に記載されている。これらに記載されているネブライザー(装置)は、Respimat(登録商標)という名称で知られている。
【0050】
このネブライザー(Respimat(登録商標))を効果的に利用して、有効成分1及び2の組合せを含む本発明の吸入エアロゾルを生成することができる。この装置の形状は円筒形で、長さ9〜15cm及び幅2〜4cmそこそこの取扱い易いサイズであるために、患者は常に携行することができる。このネブライザーは、高圧を利用して小さなノズルから所定量の医薬製剤を噴霧して、吸入エアロゾルを生成するものである。
好ましい噴霧器は、上部ハウジング部と、ポンプハウジングと、ノズルと、ロック機構と、バネハウジングと、バネと、貯蔵容器から実質的になり、
− 上部ハウジング部内に固定され、その一端にはノズル又はノズル装置を備えたノズル本体を含むポンプハウジング、
− バルブ本体を備えた中空プランジャー、
− 中空プランジャーが中に固定され、上部ハウジング部に配置された動力取り出しフランジ、
− 上部ハウジング部に位置するロック機構、
− 内部にバネを収容し、回転軸受けによって上部ハウジング部に回動可能に取り付けられているバネハウジング、
− バネハウジング上に軸方向に取り付けられている下部ハウジング部、によって特徴づけられる。
バルブ本体を備えた中空プランジャーは、WO97/12687に開示の装置に対応する。中空プランジャーは、ポンプハウジングのシリンダ内に一部が突き出ており、シリンダ内で軸方向に移動可能である。特に図1乃至図4、とりわけ図3、及びそれに関連する説明部分に記載されている。バネが作動した瞬間に、バルブ本体を備えた中空プランジャーは、その高圧末端において、流体、即ち計量した有効成分溶液に対して5〜60Mpa(約50〜600bar)、好ましくは10〜60Mpa(約100〜600bar)の圧力を及ぼす。1回のスプレーによる量は、好ましくは10〜50μL、特に好ましくは10〜20μLで、最も好ましくは15μLである。
【0051】
バルブ本体は、好ましくは、バルブ本体に面した中空プランジャーの端部に取り付けられる。
ノズル本体内のノズルは微細構造を有することが好ましく、即ち、マイクロテクノロジーによって作製されたものであることが好ましい。微細構造を有するノズル本体については、例えばWO94/07607に開示されており、この明細書の内容、特に図1及びその関連説明の内容を本願明細書に引用する。
ノズル本体は、例えば、強固に結合した2枚のガラス及び/又はシリコンシートからなり、2枚のうちの少なくとも1枚には、1本以上の微細構造により作製された溝があり、この溝によってノズル入口端部とノズル出口端部はつながっている。ノズル出口端部には、深さ2〜10μmで幅5〜15μm、好ましくは深さが4.5〜6.5μmで、長さが7〜9μmの少なくとも1個の円形又は非円形開口部がある。
ノズル開口部が複数個、好ましくは2個ある場合、ノズル本体内におけるノズルのスプレー方向は互いに平行に延びてもよいし、あるいはノズル開口方向に互いに対して傾斜させることも可能である。出口端部に少なくとも2つのノズル開口部を有するノズル本体において、スプレー方向は、互いに対して20〜160度、好ましくは60〜150度、最も好ましくは80〜100度の角度がよい。ノズル開口部同士は、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μm、最も好ましくは30〜70μmの間隔をおいて配置される。50μmの間隔が最も好ましい。したがって、スプレー方向はノズル開口部近傍でぶつかることになる。
【0052】
液状医薬調剤は、600barまでの導入圧力、好ましくは200〜300barの導入圧力でノズル本体に突き当たり、ノズル開口部を通って霧化され吸入エアロゾル状態になる。エアロゾルの好ましい粒径または液滴の径は20μmまで、好ましくは3〜10μmである。
ロック機構は、力学的エネルギーを保存するためのバネ、好ましくは円筒状の圧縮コイルバネを有する。このバネは作動部材としての動力取出しフランジに作用するが、フランジの移動はロック部材の位置によって決まる。この動力取出しフランジの移動は、上部および下部の止め(stop)によって正確に定められている。上部ハウジング部が下部ハウジング部内のバネハウジングと反対に回転する際に発生する外部トルクによって、動力増速機、例えば螺旋状スラストギアを介してバネを偏向することが好ましい。この場合、上部ハウジング部及び動力取出しフランジは、単一又は多数のV字型ギアを有する。
噛合するロック面を有するロック部材は、動力取出しフランジの回りにリング状に配置されている。ロック部材は、例えば、本質的に径方向に弾性変形するプラスチックまたは金属製のリングからなる。このリングは、噴霧器の軸に対して直角をなす面に配置される。バネの偏向により、ロック部材のロック表面は動力取出しフランジの通路内に移動し、バネが緩まないようにする。ロック部材はボタンによって作動する。この作動ボタンはロック部材に接続又は連結している。ロック機構を作動させるには、作動ボタンをリング状平面に水平に動かし、好ましくは噴霧器内に移動させる。これによって変形性リングはリング状平面方向に変形する。ロック機構の構成に関する詳細は、WO97/20590に記載されている。
【0053】
バネハウジングの上から下部ハウジング部は軸方向にはめこまれ、マウント(mounting)、スピンドルの駆動装置及び流体用貯蔵容器を収容する。
噴霧器を作動させると、上部ハウジング部は下部ハウジング部に対して相対的に回転し、下部ハウジング部はバネハウジングを一緒に回転させる。結果として、バネは螺旋状スラストギアによって圧縮、偏向され、ロック機構が自動的に嵌合する。回転角は360度分の整数度、例えば180度が好ましい。バネが偏向されると同時に、上部ハウジング部における動力取出し部が所定の距離だけ移動し、中空プランジャーがポンプハウジング内のシリンダ内部に引き戻され、その結果として、流体の一部が貯蔵容器から吸い出され、ノズル前方の高圧チャンバーに送りこまれる。
所望であれば、噴霧用の流体を収容する多数の交換可能な貯蔵容器を順番に噴霧器に押し込み、連続的に使用することもできる。貯蔵容器には、本発明による水性エアロゾル調剤が収容される。
噴霧工程は、作動ボタンを軽く押すことにより開始される。この結果、ロック機構により動力取出し部材用の通路が開かれる。偏向したバネによって、ポンプハウジングのシリンダ内にプランジャーが押し込まれる。流体が霧状になって噴霧器のノズルから放出される。
構造についての更なる詳細については、PCT出願WO97/12683及びWO97/20590に開示されており、これらを本願明細書に引用する。
【0054】
噴霧器(ネブライザー)の構成部品は、その目的に適した材料で作られる。噴霧器のハウジング、さらには操作上許されるならば他の部品も同様に、例えば射出成型によって好ましくはプラスチックで作製される。医療目的から生理学的に安全な材料を用いる。
WO97/12687の図6a/図6bは、本願出願明細書に引用により記載を含むものとするが、本発明による水性エアロゾル調剤の吸入に有利に使用できるネブライザー(Respimat(登録商標))を示す。
WO97/12687の図6aは、バネが偏向した状態の噴霧器全体の長手方向断面図であり、一方、WO97/12687の図6bは、バネが緩んだ状態の噴霧器全体の長手方向断面図である。上部ハウジング部(51)はポンプハウジング(52)を収容し、その端部には噴霧器ノズル用のホルダ(53)が取付けられている。ホルダにはノズル本体(54)及びフィルタ(55)がある。ロック機構の動力取出しフランジ(56)内に固定された中空プランジャー(57)は、ポンプハウジングのシリンダ内にその一部が突き出している。中空プランジャーは、その端部においてバルブ本体(58)を担持する。中空プランジャーは、封止手段(59)によって封止される。上部ハウジング部内には止め(60)があり、バネが緩んでいる状態の時には動力取出しフランジが止めに突き合わさる。動力取出しフランジ上には止め(61)があり、バネが偏向すると動力取出しフランジがこの止めに突き合わさる。バネの偏向後、ロック部材(62)は、上部ハウジング部内の止め(61)と支持体(63)との間を移動する。作動ボタン(64)がロック部材に連結している。上部ハウジング部は、マウスピース(65)で終端しており、またその上に配置できる保護カバー(66)によって封止される。
【0055】
圧縮バネ(68)を備えたバネハウジング(67)は、カチッとはまる爪(69)及び回転軸受けによって上部ハウジング部に回動自在に取付けられている。下部ハウジング部(70)はバネハウジングの上からかぶせられている。バネハウジング内部には、噴霧する流体(72)用の交換可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器はストッパー(73)により封止され、ストッパーを介して中空プランジャーは貯蔵容器内に突き出し、かつその端部が流体中に浸漬される(有効成分溶液の供給)。
機械的カウンタ用のスピンドル(74)は、バネハウジングのカバー内に取付けられている。上部ハウジング部に面したスピンドルの端部には、駆動ピニオン(75)がある。スライダ(76)がスピンドル上に配置されている。
上記ネブライザーは、本発明のエアロゾル調剤を噴霧するのに好適で、吸入に適したエアロゾルを生成する。
本発明の調剤を上記方法(Respimat(登録商標))を用いて噴霧する場合、吸入器の全操作(スプレー作動)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の達成状態で、放出される量が、25%以下、好ましくは20%以下の許容差を含んだ規定量に相当するとよい。好ましくは1回ごとのスプレー動作で、5〜30mg、最も好ましくは5〜20mgの調剤が規定量として放出されることが好ましい。
【0056】
しかしながら、本発明の製剤は、上記以外の吸入器、例えば、ジェット流吸入器又は他の据え置き型噴霧器等によっても噴霧することができる。
従って、更なる本発明の態様は、上記のような噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬調剤の投与に適した装置、好ましくはRespimat(登録商標)と組み合わせた、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬調剤に関する。好ましくは、Respimat(登録商標)という名称で公知の装置と組み合わせた、本発明による有効成分1及び2の組合せを特徴とする、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液に関する。さらに、本発明は、本願明細書で前述したような本発明の噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液を収容することを特徴とする、前記吸入用装置、好ましくはRespimat(登録商標)に関するものである。
本発明による噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液は、濃縮物又は直ぐに使用できる無菌吸入溶液もしくは懸濁液、ならびにRespimat(登録商標)用に設計された上記溶液及び懸濁液の状態とすることができる。濃縮物の場合、例えば等張性の生理食塩水を添加することによって直ぐに使用可能な製剤を作成できる。直ぐに使用できる無菌製剤は、ベンチュリの原理又は他の原理によって超音波又は圧縮空気を用いて吸入性エアロゾルを生成するエネルギー駆動型の固定式又は持運び可能なネブライザーを使用して投与することができる。
従って、本発明の別の態様は、濃縮物又は直ぐに使用可能な無菌製剤の形態をとる、前述の噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬組成物に関するもので、この溶液の投与に適した装置、即ち、ベンチュリの原理または他の方法によって超音波又は圧縮空気を用いて吸入性エアロゾルを生成する、エネルギー駆動式の自立型又は持運び可能なネブライザーであることを特徴とする装置と組み合わせた医薬組成物に関する。
以下の実施例は本発明をより詳細に一例を挙げて説明することを意図するもので、本発明の範囲を以下の実施形態に限定するものではない。
処方例
A)吸入粉末
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
【表5】







【0062】
【表6】

【0063】
【表7】

【0064】
【表8】

【0065】
【表9】

【0066】
【表10】





【0067】
【表11】

【0068】
【表12】

【0069】
【表13】

【0070】
【表14】

【0071】
【表15】



【0072】
【表16】

【0073】
【表17】

【0074】
【表18】

B)噴射剤ガス含有吸入用エアロゾル
【0075】
【表19】

【0076】
【表20】





【0077】
【表21】

【0078】
【表22】

【0079】
【表23】

【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の医薬組成物をインハレットにして使用するための特に好ましい吸入器を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の抗コリン薬1をエチプレドノール2と共に含有することを特徴とする医薬組成物であって、エチプレドノール2は鏡像異性体、鏡像異性体の混合物又はラセミ体の状態であってもよく、また、溶媒和物又は水和物の形でもよく、また、医薬的に許容される賦形剤を共に含有していてもよい医薬組成物。
【請求項2】
前記有効成分1及び2が単一調剤中に一緒に存在するか、又は、2種の別々の調剤に含まれるかのいずれかである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記有効成分1が、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩又はイプラトロピウム塩からなる群から、好ましくは、チオトロピウム塩から選択されることを特徴とする請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記有効成分1が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホネート、サルフェート又はp−トルエンスルホネートの状態、好ましくは臭化物の状態で存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記有効成分1が式1aで表される化合物:
【化1】

(式中、
Aは、下記から選択される二重結合基を示し、
【化2】

-は、前記記載の定義を表してもよく、好ましくは塩化物、臭化物又はメタンスルホネートを示し、
1及びR2は同一でも異なっていてもよく、メチル、エチル、n−プロピル及びイソプロピルから選択される基を示し、ヒドロキシル又はフッ素で置換されていてもよいが、好ましくは未置換のメチルを示し、
3、R4、R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2を示し、
7は、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、−CH2−F、−CH2−CH2−F、−O−CH2−F、−O−CH2−CH2−F、−CH2−OH、−CH2−CH2−OH、CF3、−CH2−OMe、−CH2−CH2−OMe、−CH2−OEt、−CH2−CH2−OEt、−O−COMe、−O−COEt、−O−COCF3、−O−COCF3、フッ素、塩素又は臭素を示す)から選択されることを特徴とし、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記有効成分1が式1bで表される化合物:
【化3】

(式中、A、X-、R1及びR2は、請求項5記載の定義を有してもよく、
7、R8、R9、R10、R11及びR12は同一でも異なっていてもよく、水素、メチル、エチル、メチルオキシ、エチルオキシ、ヒドロキシル、フッ素、塩素、臭素、CN、CF3又はNO2を示すが、R7、R8、R9、R10、R11及びR12のうち、少なくとも1つは水素ではない)から選択されることを特徴とし、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記有効成分1が式1cで表される化合物:
【化4】

(式中、A及びX-は、請求項5記載の定義を有し、
15は、水素、ヒドロキシル、メチル、エチル、−CF3、CHF2又はフッ素を示し、
1'及びR2'は同一でも異なっていてもよく、(C1−C5)アルキルを示し、(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1'及びR2'は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
13、R14、R13'及びR14'は同一でも異なっていてもよく、水素、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示す)から選択されることを特徴とし、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記有効成分1が式1dで表される化合物:
【化5】

(式中、X-は請求項5記載の定義を有し、
D及びBは同一でも異なっていてもよいが、好ましくは同一であるとよく、−O、−S、−NH、−CH2、−CH=CH又は−N(C1−C4アルキル)−を示し、
16は、水素、ヒドロキシル、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、−(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−O−(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−(C1−C4)アルキレン−OH、−CF3、CHF2、−(C1−C4)アルキレン−(C1−C4)アルキルオキシ、−O−CO(C1−C4)アルキル、−O−CO(C1−C4)アルキレン−ハロゲン、−(C1−C4)アルキレン−(C3−C6)シクロアルキル、−O−COCF3又はハロゲンを示し、
1”及びR2”は同一でも異なっていてもよく、−(C1−C5)アルキルを示し、−(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1”及びR2”は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
17、R18、R17'及びR18'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示し、
x及びRx'は同一でも異なっていてもよく、水素、(C1−C4)アルキル、(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示すか、あるいはRx及びRx'は一緒になって単結合又は−O、−S、−NH、−CH2、−CH2−CH2−、−N(C1−C4アルキル)、−CH(C1−C4アルキル)−及び−C(C1−C4アルキル)2からなるブリッジから選択される橋架け基を示す)から選択されることを特徴とし、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記有効成分1が式1eで表される化合物:
【化6】

(式中、X-は請求項5記載の定義を有し、
A’は、下記から選択される二重結合基を示し、
【化7】

19は、ヒドロキシル、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、−CF3、CHF2又はフッ素を示し、
1'''及びR2'''は同一でも異なっていてもよく、(C1−C5)アルキルを示し、(C3−C6)シクロアルキル、ヒドロキシル又はハロゲンで置換されていてもよく、あるいは、R1'''及びR2'''は一緒になって−(C3−C5)アルキレンブリッジを示し、
20、R21、R20'及びR21'は同一でも異なっていてもよく、水素、−(C1−C4)アルキル、−(C1−C4)アルキルオキシ、ヒドロキシル、−CF3、−CHF2、CN、NO2又はハロゲンを示す)から選択されることを特徴とし、医薬的に許容される賦形剤と一緒であってもよい、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記有効成分1の2に対する質量比が1:300〜50:1の範囲、好ましくは1:250〜40:1の範囲である、請求項1〜9のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
1回の投与量が、前記有効成分1及び2を併せて0.01〜10,000μg、好ましくは0.1〜2000μgに相当する、請求項1〜10のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が吸入に適した調剤形態であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、吸入可能な粉末、噴射剤含有定量エアロゾル及び噴射剤を含まない吸入溶液又は懸濁液から選択される調剤であることを特徴とする、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類、多価アルコール類、塩類、またはこれらの賦形剤の混合物から選択される医薬的に許容される好適な賦形剤と共に前記有効成分1及び2を含有する吸入可能な粉末であることを特徴とする請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記賦形剤の最大平均粒径が250μmまで、好ましくは10〜150μmである、請求項14記載の吸入粉末。
【請求項16】
請求項14又は15記載の吸入可能な粉末を含有することを特徴とするカプセル。
【請求項17】
前記有効成分1及び2のみを成分として含有する吸入可能な粉末であることを特徴とする、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物が、前記有効成分1及び2を溶解又は分散状態で含む、噴射剤含有吸入エアロゾルであることを特徴とする、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記噴射剤含有吸入エアロゾルが、噴射剤ガスとして、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタン等の炭化水素化合物あるいはメタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体等のハロ炭化水素化合物を含む、請求項18記載の噴射剤含有吸入エアロゾル。
【請求項20】
前記噴射剤ガスがTG134a、TG227又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項19記載の噴射剤含有吸入エアロゾル。
【請求項21】
前記噴射剤ガス含有吸入エアロゾルが、補助溶剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節手段から選択される他の成分を1種以上含んでもよい、請求項18、19又は20のいずれか1項記載の噴射剤含有吸入エアロゾル。
【請求項22】
前記噴射剤ガス含有吸入エアロゾルが、前記有効成分1及び/又は2を5質量%まで含有することができる、請求項18〜21のいずれか1項記載の噴射剤含有吸入エアロゾル。
【請求項23】
前記医薬組成物が、水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を溶媒として含有する、噴射剤を含まない吸入溶液又は懸濁液であることを特徴とする、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項24】
pH値が2〜7、好ましくは2〜5であることを特徴とする請求項23記載の吸入溶液又は懸濁液。
【請求項25】
前記pHの調整を、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及びプロピオン酸から選択される酸又はこれらの混合物によって行うことを特徴とする、請求項24記載の吸入溶液又は懸濁液。
【請求項26】
前記吸入溶液又は懸濁液が他の補助溶剤及び/又は賦形剤を含んでもよい、請求項13〜25のいずれか1項記載の吸入溶液又は懸濁液。
【請求項27】
炎症性又は閉塞性の気道疾患の治療用医薬品を製造するための、請求項1〜26のいずれか1項記載の組成物の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2008−530177(P2008−530177A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555589(P2007−555589)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050901
【国際公開番号】WO2006/087316
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】