説明

抗マイコバクテリア医薬組成物

本発明は、結核治療のための抗マイコバクテリア作用を有する複合薬および組成物を提供する。
本複合体および組成物には、化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【化1】


および定量の1つ以上の第一選択抗結核薬が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多剤耐性結核や潜伏結核を含む結核を治療するための、有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な塩、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬に関する。
【0002】
さらに、本発明は、1つ以上の製剤上許容可能な賦形剤と混合された、有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な塩と、1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む医薬組成物に関する。本組成物は多剤耐性結核や潜伏結核を含む結核を治療するために用いることができる。
【0003】
さらに、本発明は、多剤耐性結核や潜伏結核を含む結核を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
世界的に、結核は未だ主たる死因の1つである。毎年約8百万人が新規感染し、3百万人が死亡している。約17億人(世界人口の3分の1)が潜伏性マイコバクテリウム−ツベルクローシスに感染していると推定されている(コウチ(Kochi,A.)『Tubercle.』1991年、72、1〜6頁)。潜伏結核の感染者にとって、本疾病が後に再活性化する可能性は2〜23%である(パリッシュ(Parrish,NM.)、ディック(Dick,JD.)、バイサイ(Bishai,WR.)『Trends.Microbial.』1980年、6、107〜112頁)。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染などの免疫が抑制された状態においては、結核再活性化の危険が劇的に高まる。
【0005】
薬剤耐性病原体の出現に伴い、治療の現状は非常に難しくなり、多くの場合、全く有効ではなくなる。多剤耐性結核の治療は難しく、とくに発展途上国においてこの疾病による死亡率は高い。今後20年間で、10億人以上の人間が新たに結核に感染し、そのうち35百万人の人間がこの疾病のために死亡すると予測されている(世界保健機構ファクトシ−トNo.104、抗結核薬開発のための世界協力、結核対策開発科学計画エグゼクティブサマリ、http://www.who.int/inf-fs/en/fact104.html )。HIV合併結核の出現により、この疾病は今日の世界における致死病の1つとして深刻なものとなっている。世界保健機構(WHO)は薬剤耐性菌の拡散を防止するために、結核感染を直ちに管理する必要性を重点的に宣言している。
【0006】
現在の結核治療における問題の1つに、M.ツベルクローシスが休止つまり潜伏状態へと移行することが挙げられる。従って、現行規定の複合薬療法を用いた活性結核の治療において細菌量が相当量減少するのに対して、一定割合の細菌は休止状態へと移行し、いかなる明白な疾病を引き起こすことなく数か月または数年にわたって宿主の体内で生存する。しかしながら、後に細菌が再活性化し、再び活性結核を引き起こすことがある。今日、結核再発は、宿主の体内に生存している潜伏性有機体の再活性化によるものと考えられている (ステッド(Stead、WW.)『Am.Rev.Respir.Dis.』1982年、95、729〜745頁、ステッド、ケルビー(Kerby,GR.)、シュロイター(Schleuter)、ヨーダル(Jordahl,CW.)『Ann.Intern.Med.』1968年、68、731〜745頁)。
【0007】
M.ツベルクローシスに対処するために用いられた最初の薬剤は、M.ツベルクローシスの成長を阻害することが見出されたストレプトマイシン(1944年)であった。過去30年にわたって、以下のような数種類の化合物が臨床診療に導入されてきた。
【0008】
a)長時間作用型リファマイシン(リファペンチン、リファブチン、およびリファラジル等)(ジェイビス(Javis,B.)、ラム(Lamb,HM.)『Drugs』1998年、56、607〜616頁、マクレガー(McGregor,MM.)、オリアロ(Olliaro,P.)、ウォルマランズ(Wolmarans,L.)『Am.J.Respir.Crit.Care Med.』1996年、154、1462〜1467頁、ショーン(Shoen,CM.)、デステファノ(DeStefano,MS.)、シナモン(Cynamon,MH.)『Clin.Infect.Dis.』2000年、30(増刊号3)、S288〜S29頁)
b)フルオロキノロン化合物(レボフロキサシン、モキシフロキサシン、およびガチフロキサシン等)(ジイ(Ji,B)、ルーニス(Lounis,N.)、トルフォット−パーノット(Truffot−Pernot,C.)、グロセット(Grosset)『Antimicrob.Agents Chemother.』1995年、39、1341〜1344頁、ミヤザキ(Miyazaki,E.)、ミヤザキ(Miyazaki,M.)、チェン(Chen,JM.)、チェイソン(Chaisson,RE.)、バイサイ『Antimicrob.Agents Chemother.』1999年、43、85〜89頁、ファン−トムク(Fung−Tomc,J.)、ミナシアン(Minassian,B.)、コレイク(Kolek,B.)、ワショー(Washo,T.)、フクズコ(Huczko,E.)、ボナー(Boner,D.)『Antimicrob.Agents Chemother.』2000年、45、437〜446頁)
c)オキサゾリジノン化合物(シナモン、クレメンス(Klemens,SP.)、シャープ(Sharpe,CA.)、チェース(Chase,SC.)『Antimicrob.Agents Chemother.』1999年、43、1189〜1191頁)
d)ニトロイミダゾピラン(ストローバー(Strover,CK.)、ワレナー(Warrener,P.)、ヴァンデヴァブター(VanDevabter,D.)『Nature』2000年、405、962〜966頁)
しかしながら、これらの化合物はいずれも、多剤耐性および/または潜伏結核を有効に治療する望ましい可能性を示さなかった。
【0009】
リファペンチンおよびリファラジルは、より少ない量(間欠治療)の薬剤投与で結核を有効に治療する。これら2つの薬剤の組合せは、潜伏結核の防止にリファンピシンよりも有効であることが報告されている。しかしながら、これらの薬剤は、リファンピシンと同一のファーマコフォアを有するため、耐性菌に対する活性スペクトルの著しい向上は見られず、M.ツベルクローシスの多剤耐性菌に対して微量ではあまり有効ではない。さらに、これらの化合物の多くは毒性があることが証明されている。
【0010】
結核治療には、p−アミノサリサイクリック酸、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトール、エチオナミド、およびリファンピシン等の数多くの薬剤が単独でまたは組合せて用いられてきた。ストレプトマイシン耐性菌に感染した患者の治療において、これらの薬剤がストレプトマイシンよりも有効であることが見出されたことにより、結核が有効に治療される時代となりつつある。
【0011】
現在の結核治療においては、4つの第一選択薬、すなわちイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドの複合薬が個々に単一薬剤としての調剤物または薬剤量を固定した組合せで投与される。有効な治療のために、急速に増殖するM.ツベルクローシスを殺菌する目的のみならず薬剤耐性の出現を防止する目的で複合薬が用いられる初期または導入期において、上記した4つの第一選択薬が患者に投与される。次いで、間欠的に分裂しているM.ツベルクローシスを殺菌するために滅菌用薬剤、すなわちイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドが投与される維持期に入る(ジンダニ(Jindani,A.)、エイバー(Aber,VR.)、エドワーズ(Edwards,EA.)、ミッチソン(Mitchison,DA.)『Am.Rev.Respir.Dis.』1980年、121、39〜49頁、グロセット(Grosset,J.)『Tubercule』1978年、59、287〜297頁、東アフリカ/英国医学研究協議会研究会『Am.Rev.Respir.Dis.』1977年、115、3〜8頁;シンガポール結核対策協会/英国医学研究協議会『Am.Rev.Respir.Dis.』1979年、119、579〜585頁、英国胸部疾患学会および結核対策協会『Am.Rev.Respir.Dis.』1982年、126、460〜462頁、スナイダー(Snider,DE.)、ロゴウスキー (Rogowski,J.)、ジルスキー(Zierski,M.)、ベック(Bek,E.)、ロング(Long,MW.)『Am.Rev.Respir.Dis.』1982年、125、265〜267頁)。
【0012】
上記第一選択薬の複合薬は共に、感受性M.ツベルクローシス感染に対する治療に4〜6か月間用いられるが、このような複合薬の治療は、特に多剤耐性菌に感染した患者に対して必ずしも成功を収めない。6か月という長期の治療は、しばしば好ましくない副作用を引き起こす。さらに、比較的長期にわたる治療への遵守は低くなるのが一般的である。このような遵守不良は、しばしば治療の失敗、さらには薬剤耐性の進行に繋がる。
【0013】
一方、治療に用いられるサイクロセリン、クロファジミン、およびカプレオマイシン等の第二選択薬は、より高価であり、深刻な副作用を引き起こす可能性があり、第一選択薬に劣る。
【0014】
置換ピロール誘導体は他種類の化合物を構成し、抗マイコバクテリア剤として期待されている。多くのピロール誘導体が合成され、抗結核活性について試験されている(デイッダ(Deidda,D.)ら『Antimicrob.Agents Chemother.』1998年、3035〜3037頁、ビアバ(Biava,M.)ら『J.Med.Chem Res.』1999年、19〜34頁、ビアバら『Bioorg.&Med.Chem.Lett.』1999年、9、2983〜2988頁、チェレット(Cerreto,F.)ら『Eur.J.Med.Chem.』1992年、27、701〜708頁、ジレット(Gillet,C.)ら『Eur.J.Med.Chem.−Chimica Therapeutica』1976年、11(2)、173〜181頁、ラグノー(Raagno,R.)ら『Bioorg&Med.Chem.』2000年、8、1423〜1432頁)。動物モデルにおける実験的な結核に対して、ここで開示されている化合物の生体内活性や毒性は報告されておらず、これらの化合物は、薬剤ではなく薬剤候補に過ぎない。すなわち、これらの化合物は商業的関心よりも学術的関心に基づいたものである。
【0015】
よって、結核を防止、治療、および/または減少させ、ならびに/あるいは多剤耐性結核および/または潜伏結核の脅威を排除するために用いることが可能なより新しい療法を発展させることが急務である。
【0016】
代替となる療法は、
a)治療の全体期間を短縮し、および/または全薬剤量を著しく減少させ、
b)多剤耐性結核に対して有効な治療を提供し、
c)潜伏結核に対してより有効な治療を提供し、かつ
d)副作用を最低限に抑制、または防止する、という点を満たすように現行の療法よりも優れていなくてはならない。
【0017】
本発明者らのPCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)において、本発明者らは、M.ツベルクローシスの感受性菌および薬剤耐性菌に対して良い乃至は優れた阻害活性を示すいくつかの置換ピロール誘導体、およびその製剤上許容可能な塩について記載した。M.ツベルクローシスの感受性菌および多剤耐性菌に対して最も活性的ないくつかの化合物のMIC値は、0.12〜0.5μg/mlであった。さらに、いくつかの化合物はM.ツベルクローシスに感染した動物に対して治療上著しい生体内活性を示し、かつ、マウスの場合の致死量50がイソニアジドでは133mg/kgであるのに対して、約700mg/kgであり、安全であることが見出された。さらには、本化合物は優れた薬物動態を有する。PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A)に言及することにより、そのすべての内容は本出願に組み込まれるものである。
【0018】
本発明者らは、PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示した数多くのピロール誘導体がいくつかの第一選択薬と組合せて用いられる場合に相乗効果をもたらし、これによって多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核の新しい治療が提供されることを見出した。ここに記載される治療は、当該分野における公知の薬剤療法よりも優れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
発明の目的
本発明の目的は、多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核を有効に治療するための、PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示した1つ以上のピロール誘導体、および1つ以上の他の抗結核薬を含む複合薬を提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、相乗的に有効な量のPCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および有効な量の1つ以上の第一選択抗結核薬を含む新規の複合薬を提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、または他の関連したマイコバクテリア類の1つ以上の感受性菌および多剤耐性菌を含むがこれらに限定されないマイコバクテリアに感染した状態/細胞に対する阻害および/または治療上有効な、PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示した1つ以上のピロール誘導体、および1つ以上の他の抗結核薬を含む複合薬を提供することにある。
【0022】
本発明のさらなる目的は、結核の有効な治療を提供することにある。
【0023】
本発明のさらなる目的は、治療期間を6か月よりも短縮することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を、治療を必要とする患者に投与することを含む結核治療を提供することにある。
【0025】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を、治療を必要とする患者に投与することを含む、感受性菌および薬剤耐性菌を根絶する結核治療を提供することにある。
【0026】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を、治療を必要とする患者に投与することを含む、感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶する有効な結核治療を提供することにある。
【0027】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を、治療を必要とする患者に投与することを含む、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、または他の関連したマイコバクテリア類等の1つ以上の感受性菌および薬剤耐性菌を根絶する有効な結核治療を提供することにある。
【0028】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療等を必要とする患者に投与することを含む、M.ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類を含むがこれらに限定されない1つ以上の多剤耐性菌を治療および/または阻害する方法を提供することにある。
【0029】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を治療を必要とする患者に投与することを含む治療終了後に結核の再発を防止する方法を提供することにある。
【0030】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を、治療を必要とする患者に投与することを含む治療終了後にM.ツベルクローシス感染の再発を防止する方法を提供することにある。
【0031】
本発明のさらなる目的は、多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核を有効に治療するための、PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を提供することにある。
【0032】
本発明のさらなる目的は、相乗的に有効な量のPCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および有効な量の1つ以上の第一選択抗結核薬から構成される医薬組成物を提供することにある。
【0033】
本発明のさらなる目的は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の1つ以上の感受性菌および多剤耐性菌を含むがこれらに限定されないマイコバクテリアに感染した状態/細胞に対する阻害および/または治療上有効な、PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を提供することにある。
【0034】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む有効な結核治療を提供することにある。
【0035】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、感受性菌および薬剤耐性菌を根絶する結核治療を提供することにある。
【0036】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶する有効な結核治療を提供することにある。
【0037】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、または他の関連したマイコバクテリア類等の1つ以上の感受性菌および薬剤耐性菌を根絶する有効な結核治療を提供することにある。
【0038】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む治療終了後に結核の再発を防止する方法を提供することにある。
【0039】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療を必要とする患者に投与することを含む治療終了後にM.ツベルクローシス感染の再発を防止する方法を提供することにある。
【0040】
本発明のさらなる目的は、PCT出願番号PCT/IN02/00189 (WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物を、治療等を必要とする患者に投与することを含む、M.ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類を含むがこれらに限定されない1つ以上の多剤耐性菌を治療および/または阻害する方法を提供することにある。
【0041】
本発明のさらなる目的は、有効な量のPCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示したピロール誘導体、および有効な量の1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される組成物を調製するプロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0042】
発明の概要
本発明は、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0043】
【化1】

【0044】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドからなる群から選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む、抗マイコバクテリア作用を有する複合薬に関する。
【0045】
さらに本発明は、乾式造粒法、湿式造粒法、または直接打錠法を用いて、化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な塩と、
【0046】
【化2】

【0047】
1つ以上の第一選択抗結核薬とを組合せることを含む、抗マイコバクテリア医薬組成物を調製するプロセスを提供する。
【0048】
さらに本発明は、多剤耐性結核や潜伏結核を治療するための、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0049】
【化3】

【0050】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を提供する。
【0051】
さらに本発明は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の感受性菌および多剤耐性菌を含むがこれらに限定されない1つ以上のマイコバクテリアに感染した状態/細胞を治療および/または阻害するための、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0052】
【化4】

【0053】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む、抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
発明の詳細な説明
特に明記されない限り、本明細書において用いられる技術的および科学的用語は、本発明が属する当該分野における当業者に一般的に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および物質はいずれも本発明の実施または試験に用いることが可能である。
【0055】
特に明記されない限り、「含む」、「含有する」、「構成される」、および「有する」等の語は、「含むがこれに限定されない」ことを意味し、含むという述語の主語である一般的記載を、目的語である特定または同等の項目または物質に限定するものとして解釈してはならない。
【0056】
本発明に係る実施形態は互いに排他的ではなく、種々に組合せて実施してもよい。記載される本発明の実施形態および開示される実施例は、添付の請求項に記載される本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではない。
【0057】
本発明のために、以下の用語を以下のように定義する。
【0058】
化合物、複合薬、または組成物「を〜に投与する」、「の投与」、および 「を投与」という語は、化合物、複合薬、組成物、または化合物のプロドラッグを、治療を必要とする患者に提供することを意味するものとして理解されるべきである。
【0059】
本明細書において用いられる「共投与」という語は、複合薬中に存在する個々の化合物を共にまたは別々に投与するという意味を包括するものとして意図されている。「共投与」は、複合薬に含まれる化合物のうち2種類以上の化合物を一緒に投与し、残りの化合物を別々に又は一緒に、もしくはその他の方法で投与するという組合せを包括することができる。各化合物を異なるタイミングおよび異なる経路で別々に投与することも、共投与と見なすことができる。個々の化合物の投与経路が同一の場合、共投与には、複合薬に含まれる2種類以上の化合物を組み合わせて投与することも含まれる。例えば、個々の化合物が全て同一経路(経口投与等)で投与される場合、複合薬中の個々の化合物の1種類以上を、その同一経路での投与に適した剤形に調剤可能である。「共投与」は、複合薬に含まれる1種類以上の化合物を一緒に(単一の剤形等で)または別々に投与することを包含するとも解釈される。
【0060】
本明細書において用いられる「組成物」という語は、特定成分から構成される生成物のみならず、特定成分の組合せにより直接的または間接的に生成されるいずれの生成物も包括するものとして意図されている。「組成物」は、単一の化合物または1つより多い化合物を含んでいてもよい。「組成物」は、1つ以上の有効成分を含んでいてもよい。
【0061】
「根絶」という語は、本発明による治療を受けた対象臓器、すなわち感染した動物またはヒトの肺臓または脾臓において、指定された潜伏期間後に培養可能なマイコバクテリアが存在しないということを意味する。
【0062】
「賦形剤」という語は、充填剤、希釈剤、および担体等の、有効成分ではない医薬生成物または組成物を意味する。医薬組成物の調製に有用な賦形剤は、製剤上許容可能であることが好ましい。
【0063】
本明細書において用いられる「製剤上許容可能」という語は、担体、充填剤、希釈剤、または賦形剤は、調剤される他の成分と併用可能であり、摂取された場合に有害でないということを意味する。
【0064】
「医薬組成物」という語は、1つまたは複数の有効成分、製剤上許容可能な1つまたは複数の賦形剤のみから構成される生成物のみならず、2つ以上の任意の成分の組合せ、複合、または凝集、1つ以上の成分および/または賦形剤の分離、あるいは1つ以上の成分および/または賦形剤の他の種類の反応または相互作用から、直接的または間接的に生成されるいずれの生成物も包括するものとして意図されている。従って、本発明による医薬組成物は、有効成分、1つまたは複数の付加的な有効成分、および製剤上許容可能な賦形剤を混合して生成されるいずれの組成物をも含む。
【0065】
「相乗」または「相乗的」という語は、以下を含むがこれらに限定されない。
【0066】
(i )数量または分量において、特定の化合物、有効成分、または薬剤が1つ以上の他の有効成分、化合物、または薬剤と組合せられる場合、個々に投与する場合に必要となる投薬量よりも少ない投与量で投与可能となること、ならびに/あるいは
(ii)性質/時間において、特定の有効成分、化合物、または薬剤を組合せる場合、個々に投与する場合よりも効力が向上することや、治療期間が短縮すること。
【0067】
PCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)では、抗マイコバクテリア活性を示すピロール誘導体が開示されている。生体内効力および低毒性から明らかとなるように、これらの誘導体は、従来知られている化合物よりも優れていることが見出されている。ここに開示された90余りの化合物の中でも、本出願における化学式(I)に示す化合物としても指定されている、化合物番号12、すなわちN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドおよびその製剤上許容可能な非毒性塩は、M.ツベルクローシスの感受性菌および多剤耐性菌に対して優れた抗マイコバクテリア活性を示すことが見出された。
【0068】
【化5】

【0069】
なお、化学式(I)に示す化合物への言及には、その製剤上許容可能な非毒性酸付加塩も含まれる。適切な塩は、有機酸および無機酸のいずれを用いて生成されてもよく、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルファミック酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸等を用いて生成される塩を含む。
【0070】
治療上有効な量の化学式(I)に示す化合物は、望ましい抗結核特性を有することが見出された。しかしながら、化学式(I)に示す化合物がイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミド等のいくつかの第一選択抗結核薬と共投与される場合に、相乗効果があることが観察されている。相乗効果とは、化学式(I)に示す化合物および1つ以上の上記第一選択抗結核薬を共投与した場合の治療効果が、有効な量の化合物(I)、または、治療上有効な量のこれらの第一選択抗結核薬のいずれかを個々に投与した場合に得られる治療効果よりも大きいことを意味する。さらに、化学式(I)に示す化合物および1つ以上のこれらの第一選択抗結核薬を共投与した場合の治療効果は、第一選択抗結核薬を相互に組合せて投与した場合に得られる治療効果よりも大きい。
【0071】
個々の成分を組合せた場合、個々に投与する場合に必要となる量よりも少ない量で投与可能になるという点において、この相乗効果には利点がある。従って、例えば、最大強度の薬剤量における1つの成分の使用に対して十分に反応しない治療対象に対しても有効な治療を行うことが可能となる。
【0072】
よって、化学式(I)に示す化合物または第一選択抗結核薬を個々に投与した場合、あるいは第一選択抗結核薬を相互に組合せて投与した場合の効果と比較して、化学式(I)に示すピロール化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドの1つ以上を共投与する場合には結核治療を向上する効果が得られることが分かった。
【0073】
化学式(I)に示す化合物または第一選択抗結核薬を個々に投与した場合、あるいは第一選択抗結核薬を相互に組合せて投与した場合の結核の不完全な撲滅に対して、化学式(I)に示すピロール化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドの1つ以上を共投与する場合には結核の根絶する効果が得られることが分かった。
【0074】
「根絶」という語は、本発明による複合薬を用いた治療後に、対象臓器すなわち感染した動物の肺臓または脾臓において、培養可能なマイコバクテリアが観察されないことを意味する。なお、現行の薬剤療法、すなわちエタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、およびリファンピシンといった第一選択抗結核薬の1つ以上の組合せを用いて行われる、感染した動物に対する治療の終了時点では、著しく培養可能な量の結核菌が、対象臓器すなわち肺臓および脾臓から回収される。このことは、以下の表5、6、および7に示されるデータより明らかとなろう。
【0075】
培養可能なマイコバクテリアを計測する方法の1つにおいては、治療終了時点で治療した動物を犠死させ、対象臓器すなわち肺臓および脾臓を無菌状態で取り出し、無菌培地においてホモジナイズし、ホモジネートの10倍の順次希釈液を培地プレートに載置する。元の試験管に残っているホモジネートも総数計測用の培地含有プレートに載置する。潜伏期間後にマイコバクテリアの成長が見られない場合、M.ツベルクローシスを根絶したと考えられる。当業者は、他の公知の方法を用いて、培養可能なマイコバクテリアを計測することもできよう。
【0076】
結核を治療するための現在の療法においては、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、およびエタンブトールを、それぞれ体重1kgあたり25.0mg、20.0mg、150.0mg、100.0mgの量で組合せて、すなわち薬剤全体では295mg/kgの量で投与する(エンクワイア(Enquire,JAF.)、ジャン(Jann,LC.)、シナモン『Antimicrob.Agents Chemother.』2002年、46、1022〜1025頁、アン(Anne,MJ.)、レナーツ(Lenerts,A.)、シャロン(Sharon,EC.)、ケミエレウスキー(Chemielewski,AJ.)、シナモン『Antimicrob.Agents Chemother.』1999年、43、2356〜2360頁、シナモン、クレメンス『Antimicrob.Agents Chemother.』1996年、40、298〜301頁)。一方、本発明に係る一実施形態においては、化学式(I)に示す化合物を第一選択抗結核薬と組合せて用いる療法を、総量295mg/kgよりも少ない量のイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、およびエタンブトールで実現可能である。例えば、一実施形態においては、イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド、およびエタンブトールを、現在の治療において用いられる量よりも少ない総量約200mg/kgで投与してもよい。
【0077】
さらに、個々の成分をより少ない量で投与することによって、多くの場合、副作用を最小限に抑える、または避けることが可能となる。
【0078】
化学式(I)に示す化合物、および1つ以上の公知の第一選択抗結核薬を組合せて共投与することで、従来報告されていない新しい方向が結核治療に加えられる。
【0079】
さらに、上記の組合せにより、M.ツベルクローシスの薬剤耐性菌への反応が調整され、「即効性」が得られる。よって、マイコバクテリアを治療対象から完全かつ有効に撲滅するのに要する時間は、現行実施のように公知の薬剤を単独でまたは相互に組合せて用いた場合に要する時間に比べて著しく短縮される。一実施形態においては、本発明による複合薬を用いた治療に要する時間は、第一選択抗結核薬を組合せた現行規定の療法による治療に要する時間の3分の1であることが分かっている。
【0080】
さらに重要なことには、化学式(I)に示す化合物と、リファンピシンおよびピラジナミド等の公知の抗結核薬とを組合せて投与した場合、化学式(I)に示す化合物の血中Cmax 値は、約12倍の増加となることが本発明者らの研究により見出された。T1/2値およびAUC値も同様に向上したことが観察された。
【0081】
重要なことに、本発明に係る一実施形態において、化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な塩と1つ以上の第一選択抗結核薬とを組合せた場合、治療終了後におけるマイコバクテリア感染の再発を防止することが見出された。
【0082】
別のタイミングや別の経路で各化合物を別々に投与することが好ましい場合がある。従って、組合せられた成分、すなわち化学式(I)に示すピロール誘導体および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬は、実質的に同時またはいずれかの順序で投与されなくてもよい。1つの化合物の薬物動態学的効果のピークが他の化合物の薬物動態学的効果のピークと一致するように投与のタイミングを調整してもよい。
【0083】
全ての有効成分は、順次共投与可能な、別々な個々の剤形に調剤可能である。また、投与経路が同一(経口投与等)の場合、2つ以上の有効な化合物を単一の剤形に調剤し、共投与してもよいが、上記の共投与方法は双方とも同一の治療または療法の一部である。
【0084】
本発明に係る一実施形態において、化学式(I)に示すピロール化合物および第一選択抗結核薬は、適切な剤形で別々に経口共投与される。
【0085】
本発明による調剤物、複合薬、および組成物は、適切な製剤上許容可能な賦形剤を用いて実現される。
【0086】
本結核治療においては、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3− [[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0087】
【化6】

【0088】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、およびエタンブトールのいずれかを含む1つ以上の第一選択抗結核薬を含む抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を、治療を必要とする患者に共投与する。
【0089】
本発明は、さらなる局面において、より短い治療期間で有効な結核治療を提供する。
【0090】
本発明の一実施例においては、治療期間が2〜3か月にまで短縮する。本発明の他の実施例においては、結核を引き起こす感受性菌および薬剤耐性菌が根絶される。感受性菌および薬剤耐性菌の例としては、M.ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類が挙げられる。
【0091】
本発明は、さらなる局面において、治療終了後に結核の再発を防止する方法を提供する。本方法は、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[ [4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0092】
【化7】

【0093】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む、抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を、治療を必要とする患者に共投与することを含む。
【0094】
再発は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の休止状態、つまり潜伏状態にある感受性菌および多剤耐性菌の再活性化により引き起こされることがある。
【0095】
本発明は、さらなる局面において、多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核を治療するための、相乗的に有効な量の化学式(I)に示す化合物N−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、
【0096】
【化8】

【0097】
ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む、相乗的な抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を提供する。
【0098】
本発明は、さらなる局面において、
(i )化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに
(ii)イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を、治療を必要とする患者に定量で共投与することを含む、治療において相乗的に有効な結核治療を実現する。
【0099】
ここで、上記量の(i )単独および上記量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、またはピラジナミド単独では、治療において相乗的に有効なレベルの結核治療を得るのに不十分であるが、上記量の(i )およびイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、またはピラジナミドの1つ以上を組合せた場合の効果は、各量の(i )、およびイソニアジド、リファンピシン、エタンブトールまたはピラジナミドを用いて得られる結核治療の治療効果を合算したレベルよりも優れている。
【0100】
本発明は、さらなる局面において、製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0101】
【化9】

【0102】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む結核治療のための抗マイコバクテリア医薬組成物を提供する。
【0103】
本組成物は、多剤耐性結核および潜伏結核の治療にも用いることが可能である。
【0104】
本発明は、さらなる局面において、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の感受性菌および多剤耐性菌を含むがこれらに限定されない1つ以上のマイコバクテリアに感染した状態/細胞に対する治療および/または阻害のための、製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0105】
【化10】

【0106】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む抗マイコバクテリア医薬組成物を提供する。
【0107】
本発明は、さらなる局面において、製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0108】
【化11】

【0109】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む抗マイコバクテリア医薬組成物を、治療を必要とする患者に共投与することを含む治療終了後に結核感染の再発防止に有用な方法を提供する。
【0110】
再発は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の休止状態、つまり潜伏状態にある感受性菌および多剤耐性菌の再活性化により引き起こされることがある。
【0111】
本発明は、さらなる局面において、1つ以上の製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0112】
【化12】

【0113】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む抗マイコバクテリア医薬組成物を、治療を必要とする患者に共投与することを含む有効な結核治療であり、治療期間を2〜3か月に短縮するのみならず、感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶する結核治療を提供する。
【0114】
本発明は、さらなる局面において、多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核を治療するための、1つ以上の製剤上許容可能な賦形剤と混合された、相乗的に有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0115】
【化13】

【0116】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む相乗的な抗マイコバクテリア医薬組成物を提供する。
【0117】
本発明は、さらなる局面において、製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0118】
【化14】

【0119】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を投与することを含む、M.ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類を含むがこれらに限定されない1つ以上の多剤耐性菌を治療および/または阻害する方法を提供する。
【0120】
本発明は、さらなる局面において、多剤耐性結核および潜伏結核を含む結核を治療するための、1つ以上の製剤上許容可能な賦形剤と混合された、治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩と、
【0121】
【化15】

【0122】
治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドから選択される1つ以上の第一選択抗結核薬との複合薬を含む抗マイコバクテリア医薬組成物を調製するプロセスを提供する。化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬から構成される医薬組成物は、経口投与されることが好ましい。経口投与は、1つ以上の製剤上許容可能な賦形剤と混合した上記成分を含有する錠剤の形態をとるによって可能である。投薬量を正確にし、迅速な分散を可能とし、そして、重要なことに、患者に治療遵守を促すのに、経口用調剤物は有用である。
【0123】
調剤または組成物において利用できる製剤上許容可能な賦形剤としては、酸化防止剤、充填剤、不活性希釈剤、界面活性剤、ならびに潤滑剤および乳濁剤等の従来の添加物の1つ以上が挙げられる。
【0124】
利用可能な酸化防止剤は、アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、フマル酸、リンゴ酸、プロピルガレート、アスコルビン酸ナトリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウム等を含むがこれらに限定されない。
【0125】
利用可能な不活性希釈剤は、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、デキストレート、第2リン酸カルシウム、硬化植物性油、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マンニトール、微結晶性セルロース、ポリメタクリレート、粉末セルロース、アルファ澱粉、ソルビトール、澱粉、および第3リン酸カルシウム等を含むがこれらに限定されない。
【0126】
利用可能な界面活性剤は、ドキュセートナトリウム(ジオクチルナトリウムスルホサクシネート)およびラウリル硫酸ナトリウム等のイオン性界面活性剤、ならびにグリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80等のソルビタン脂肪酸エステル、およびポリビニルアルコール等の非イオン性界面活性剤等を含むがこれらに限定されない。
【0127】
医薬組成物に利用可能な適切な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、硬化植物性油、硬化ヒマシ油、硬化綿実油、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、およびコロイド状二酸化ケイ素等を含むがこれらに限定されない。
【0128】
潤滑剤は、有効な潤滑効果が得られるように選択される。例えば、典型的な調剤物は、0重量%〜10重量%の潤滑剤を含有する。一実施形態においては、調剤物は0.2重量%〜2重量%の潤滑剤を含有する。
【0129】
医薬組成物に利用可能な適切な乳濁剤は、二酸化チタン、タルク、およびコロイド状二酸化ケイ素等を含むがこれらに限定されない。
【0130】
化学式(I)に示す化合物、1つ以上の抗結核化合物、および製剤上許容可能な担体を含む薬剤量固定の組合せにおける医薬組成物は、当該分野における従来の方法を用いて調製可能である。例えば、これらを組合せた錠剤は、以下のような制限されない技術のいずれを用いても調製可能である。
【0131】
i )各有効成分および医薬賦形剤を篩にかけ、次いで、生成された粉末混合物を熱や溶媒なしで圧縮することにより造粒を行う乾式造粒法(リーバーマン(Lieberman,H.A.)編『Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets』第1巻、173頁、マーセル・デッカー(Marcel Dekker)社、1980年)
ii)各有効成分および医薬賦形剤を篩にかけ、次いで、生成された粉末を接着剤を用いて固着させ、向上した流動性および高い粘着力を有する粒状生成物を圧力下で生成する湿式造粒法
iii )予備処理なしに各有効成分および医薬賦形剤を直接打錠する直接打錠法(ランド(Lund,W.)編『The Pharmaceutical Codex, Principle and Practice of Pharmaceutics』10頁、イギリス薬剤師会協議会)
【0132】
本発明の例として、以下のような制限されない混合物を包括する複合薬および医薬組成物が挙げられる。
a)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、およびリファンピシン
b)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、およびイソニアジド
c)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、イソニアジド、およびリファンピシン
d)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、イソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミド
e)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ピラジナミド、およびエタンブトール
f)化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、リファンピシン、およびピラジナミド
【0133】
本発明の他の例として、以下のような制限されない混合物を包括する複合薬および医薬組成物が挙げられる。
a)12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに20.0mg/kgのリファンピシン
b)12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに25.0mg/kgのイソニアジド
c)12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、25.0mg/kgのイソニアジド、ならびに20.0mg/kgのリファンピシン
d)12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、25.0mg/kgのイソニアジド、20.0mg/kgのリファンピシン、ならびに150.0mg/kgのピラジナミド
e)12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、150.0mg/kgのピラジナミド、ならびに100.0mg/kgのエタンブトール
f)3.12mg/kg、6.25mg/kg、または12.5mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、250.0mg/kgのイソニアジド、20.0mg/kgのリファンピシン、ならびに150.0mg/kgのピラジナミド
g)3.12mg/kg、6.25mg/kg、または12.5mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、20.0mg/kgのリファンピシン、ならびに150.0mg/kgのピラジナミド
【0134】
化学式(I)に示す化合物の合成
化学式(I)に示す化合物およびその製剤上許容可能な塩は、言及により本出願に組み込まれるPCT出願番号PCT/IN02/00189(WO04/026828A1)に開示した方法を含むがこれに限定されない公知の方法のいずれを用いても合成可能である。
【0135】
N−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドの調製例を以下に示す。
N−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル)]−2−メチル−5−フェニルピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドの調製
【0136】
工程1
1−(4−クロロフェニル)ペンタン−1,4−ジオン
無水塩化アルミニウム(27.0gm、205.9mmol)を含有する126mlのよく攪拌したクロロベンゼン懸濁液に、オキソペンタノイルクロリド(23.0gm、171.6mmol)を30〜35分間にわたり室温(25〜30℃)で滴下して加えた。反応混合物を同温度で1時間攪拌した。固体氷および塩酸(10ml)を加えて反応混合物を分解した後、析出した固形物を濾過し、濾過物をロータリーエバポレータで脱水してすべての溶媒を取り除いた。残渣物を酢酸エチル(400ml)に溶解し、水(2×100ml)および食塩水(100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて取り除いた。このようにして得られた粗生成物を、クロロホルムを溶出液として用いて、シリカゲル(100〜200mesh)上でクロマトグラフィーにかけ、掲題の化合物8.6gm(24.07%)を得た。
【0137】
工程2
N−(5−メチル−2−フェニルピロリル)−4ピリジルカルボキサミド
ベンゼン(6.0ml)中の1−(クロロフェニル)ペンタン−1,4−ジオン(6.0g、28.50mmol、工程1で得られたもの)およびイソニコチン酸ヒドラジド(4.30gm、31.35mmol)の混合物を、分子篩を通して還流した。2時間後、減圧下でベンゼンを取り除き、残渣物を酢酸エチルに溶解し、水(2×100ml)および食塩水(1×50ml)で洗浄した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて取り除いた。このようにして得られた粗生成物を、クロロホルム中の0.2%メタノールを溶出液として用いて、シリカゲル(100〜200mesh)上でカラム・クロマトグラフィーにかけて精製し、掲題の化合物3.50gm(39.42%)を得た。
【0138】
工程3
N−(3−{[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル}−2−メチル−5−フェニルピロリル)−4−ピリジルカルボキサミド
N−(5−メチル−2−フェニルピロリル)−4−ピリジルカルボキサミド(0.300gm、1.083mmol、工程2で得られたもの)の攪拌したアセトニトリル溶液(5.0ml)に、1−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジン塩酸塩(0.288gm、1.083mmol)、40%ホルムアルデヒド(0.032gm、1.083mmol)、および酢酸(0.09ml)の混合物を滴下して加えた。完全に加えた後、反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物を水酸化ナトリウム(20%水溶液)で中和し、酢酸エチル(2×50ml)を用いて抽出した。
【0139】
結合した酢酸エチル抽出物を、水(2×25ml)および食塩水(1×20ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて取り除いた。この粗生成物を薄層クロマトグラフィーにかけると2つのスポットが示され、これらをシリカゲル(100〜200mesh)上でカラム・クロマトグラフィーにかけて分離した。
【0140】
80%酢酸エチル−ヘキサン混合物を用いて溶出された極性が高い方の化合物は、24.34%(0.130gm)の収率で得られ、以下のような性質を有するN−(3−{[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル}−2−メチル−5−フェニルピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドであると同定された。
【0141】
融点80〜82℃、質量分析:m/z520(M+ 1)
1 HNMR(CDCl3 ,( .)、2:13(s,3H,CH3 )、2.60(bs,4H,2×N−CH2 )、3.18(bs,4H,2×N−CH2 )、3.41(s,2H,N−CH2 )、6.24(s,1H,H−4)、6.97−7.03(4H,m,ArH)、7.22−7.29(m,5H,ArH)、7.53(d,2H,J=6Hz,ピリジル環)、8.50(bs,lH,NHD2 O交換可能)、8.70(d,2H,J=6Hz,ピリジル環)
【0142】
薬理学試験
化学式(I)に示す化合物の基本的な抗マイコバクテリア活性は、同時係属中のPCT出願番号PCT/IN02/00189において報告されている。細菌学的、毒物学的、および薬物動態学的に行われたさらなる研究を以下に記載する。以下に記載する試験に用いられた化学式(I)の化合物は、化学式(I)に示す化合物の塩酸塩(N−(3−[[
4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミド)の塩酸塩)である。
【0143】
試験管内研究
最小発育阻止濃度(MIC)測定のための寒天希釈検査
マイコバクテリア菌株に対する各化合物のMICを、米国臨床研究所規格委員会(NCCLS)のM24−T2推奨に従い寒天希釈法により測定した。化合物をDMSO中に溶解し、2倍に希釈してそれぞれの化合物の10の順次希釈液を得た。適当な量の化合物を、10%のミドルブルック補足オレイン酸−アルブミン−デキストロース(OADC)増菌成分を0.03μg/ml〜16μg/mlの濃度で補足したミドルブルック7H10寒天培地の二重プレートに入れた。0.05%のツイーン80及び10%のADC補足を含むミドルブルック7H9液体培地で供試生物(マイコバクテリア菌株)を培養した。37℃で7日間インキュベートした後、液体培地を濁度1.0マックファーランド標準に調整し、0.10%のツイーン80を含む無菌生理食塩水で生体をさらに10倍に希釈した。結果として得られたマイコバクテリア懸濁液を、薬剤を補足した7H10培地プレートに垂らした(3〜5μl/スポット)。プレートを密封し、3〜4週間垂直にしたまま37℃でインキュベートした。供試生物の増殖を完全に阻害した化合物の最も低い希釈値としてMICを記録した。試験分離株としては、1つ以上の標準的な抗結核剤に対して一般的に感受性/耐性である臨床分離株を用いた。試験のそれぞれの回には、適切な基準菌株及び対照薬剤が用いられた。
【0144】
化学式(I)に示す化合物の抗マイコバクテリア活性
化学式(I)に示す化合物の塩酸塩(N−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドの塩酸塩)によって示された、M.ツベルクローシスの約200の感受性および耐性の臨床分離株に対する試験管内活性を、表1にまとめる。
【0145】
【表1】

【0146】
化学式(I)に示す化合物のマイコバクテリア活性
図1は、M.ツベルクローシスH37Rvに対する、化学式(I)に示す化合物の殺菌曲
線を示す。
【0147】
図2は、化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む組合せの殺菌曲線を示す。
【0148】
図3は、化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む組合せの殺菌曲線を示す。
【0149】
化学式(I)に示す化合物の阻害活性が殺菌力または静菌力を有するかどうかを判定するために、M.ツベルクローシス培養株を、化学式(I)に示す化合物の異なる条件下(MICの1倍、2倍、4倍、8倍、16倍)でインキュベートした。21日間毎日、固定
量(0.1ml)の培養株を全てのフラスコから取り出した。試料を10倍に希釈してミドルブルック7H10培地にスポットし、結核菌を計測した。
【0150】
M.ツベルクローシス数において、治療なしの対照より3logの減少を示す濃度および時間を殺菌力のある濃度とした。化学式(I)に示す化合物は、M.ツベルクローシスに対して、薬剤量によっては殺菌作用を示すことが見出され、MICの8倍および16倍
の濃度において殺菌力がある(生菌数が3log減少)と判定された。生菌数測定法によって判定されるM.ツベルクローシスH37Rv菌株に対する化学式(I)に示す化合物の殺菌曲線を図1に示す。
【0151】
相乗効果研究
複合薬の場合の化学式(I)に示す化合物の相乗効果を、公知の抗結核薬と組合せて、格子状マイクロ液体培地検査で判定した。相乗効果を試験するために、化学式(I)に示す化合物の順次希釈液を、他の抗結核薬剤、すなわちイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびモキシフロキサシンの存在下で、マイコバクテリア培養株に加えた。28日後、異なる複合薬を含むプレート全ての内容物に完全な成長停止が見られた。確認できる成長を示さない複合薬における最も高い希釈値を、その複合薬におけるMIC値とした。各化合物のMICが4倍以上に向上した場合、その化合物には他の薬剤との相乗効果があるとした。
【0152】
表2にまとめるように、化学式(I)に示す化合物は、リファンピシンを用いた場合は試験管内のマイクロ液体培地希釈検査において相乗効果を示し、エタンブトールを用いた場合は相加効果を示し、イソニアジドの存在下では影響を受けないことが分かった。
【0153】
【表2】

【0154】
単独または組合せにおける生体内効果研究
化学式(I)に示す化合物の効力を、肺結核のマウルモデルを用いてさらに評価した。マイコバクテリウム−ツベルクローシス培養株を、0.05%のツイーン80および10%のADC補足を含むミドルブルック7H9液体培地を用いて、37℃で7日間培養した。動物に接種するため、液体培養株を短時間の超音波処理および沈降分離で細分化し、1×107 CFU' s/0.2mlの濃度になるまで7H9液体培地で適切に希釈した。
【0155】
小型分離ケージ(病原体なし、生物学的安全性レベル3環境)で飼育した生後4週間の雌の非近交系スイスアルビノマウスが研究を通して使用された。後尾の血管に細分化したM.ツベルクローシスの懸濁液を0.2ml静脈内接種することで感染させた。感染したマウスを無作為に6匹毎のグループに分けた。感染後14日目に治療を開始した。治療には、化学式(I)に示す化合物およびイソニアジドを無菌水に溶解したもの、ならびにリファンピシンを10%のDMSOに溶解して水で希釈したものを用いた。薬剤は、毎朝投与前に調製した。治療は、1週間あたり5日間、1か月の間行われた。全ての薬剤を強制飼養で投与し、投与量は体重1kgあたり50mg、25mg、12.5mgとした。対照グループの感染したが治療されないマウスは治療開始時(初期対照)又は治療期間終了時(後期対照)に死亡させた。最後の薬剤投与を行った5日後にマウスを頚部脱臼で犠死させた。脾臓及び右肺臓を無菌状態で取り除き、組織均質化装置でホモジナイズした。ホモジネートの10倍の順次希釈液を少なくとも4〜6つ、選択したミドルブルック7H11の寒天二重プレートに入れた。37℃で4週間インキュベートした後、菌集落数を記録した。生菌細胞数はlog10の値に変換した。対照との比較において、生菌数2logの減少を示した化合物は大幅な効果を有すると考えられた。
【0156】
化学式(I)に示す化合物の単独治療、ならびにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミド等の第一選択抗結核薬との組合せにおける活性を評価するために、生体内長期実験を行った。これらの研究において、異なる組合せの効力を、治療後1か月、2か月、3か月等の異なる時点において評価した。
【0157】
生体内効力研究の結果
表3に示すように、化学式(I)に示す化合物で単独治療を行った場合、対象臓器における生菌は対照動物と比較して著しく(>2log)減少したことが観察された。
【0158】
M.ツベルクローシスの感受性菌/耐性菌に感染した動物において、化学式(I)に示す化合物の場合、体重1kgあたり12.5mgの薬剤量で治療された動物の臓器には2logの減少が見られたのに対して、イソニアジドの場合、感受性菌では25mg/kg以上の濃度で細菌数に同等の減少が見られたが、耐性菌では50mg/kgとなるまで効果がなかった。
【0159】
さらに、化学式(I)に示す化合物を用いた治療の長期的効果(2〜3か月)を判定するための研究において、対象臓器にマイコバクテリア数の減少が見られた。3か月治療した動物の33%で、マイコバクテリアの完全除去が見られた。それぞれの結果を、表4および表5にまとめる。
【0160】
【表3】

【0161】
【表4】

【0162】
【表5】

【0163】
薬物動態学的研究
化学式(I)に示す化合物によって得られ維持される生物学的利用能性および血漿レベルを判定するために、この化合物の薬物動態学的な予備研究をマウスおよびイヌを用いて行った。
【0164】
表6にまとめる本研究の結果では、化学式(I)に示す化合物は、生物学的利用能(56.40%)であり、イソニアジドよりも良い半減期およびCmax を有し、濃度>MIC
値の血漿状態をより長い時間維持することが示された。
【0165】
【表6】

【0166】
毒性研究
化学式(I)に示す化合物の急毒性は、齧歯動物を用いて経口投与により判定された。致死量50はマウスでは700mg/kg、ラットでは793mg/kgであり、イソニアジドの致死量50よりも良いことが分かった。結果を表7にまとめる。
【0167】
【表7】

【0168】
さらに、化学式(I)に示す化合物は、エームス(Ames)変異原性試験に用いられる全ての細菌株に対して非変異原性であることが見出された。
【0169】
化学式(I)に示す化合物および1つ以上の抗結核薬を含む組合せの抗マイコバクテリア活性に関する実験
【0170】
複合薬の試験管内活性
化学式(I)に示す化合物および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬の殺菌効果を、治療に要する薬剤量および時間の点から判定した。
【0171】
化学式(I)に示す化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドの複合薬(LIRZ)は、10日目にMICの8倍および16倍でマイコバクテリア殺菌効果を発揮した(図2)のに対して、化学式(I)に示す化合物を含まないイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドの複合薬(IRZ)は、20日目になってから殺菌効果を示した。
【0172】
生菌数測定法により判定される、M.ツベルクローシスに対する、化学式 (I)に示す化合物および公知の抗結核薬(イソニアジド(I)、リファンピシン(R)、およびピラジナミド(Z))の複合薬の殺菌曲線を、図2に示す。
【0173】
さらに、化学式(I)に示す化合物、ならびにリファンピシンおよびピラジナミド(イソニアジドなし)の、化合物「A」を構成する複合薬において、マイコバクテリア殺菌活性の同等の効果が観察された。この複合薬は、14日目にMICの8倍および16倍でマイコバクテリア殺菌活性を示した。
【0174】
生菌数測定法により判定される、M.ツベルクローシスに対する、化学式 (I)に示す化合物および公知の抗結核薬(リファンピシン(R)およびピラジナミド(Z))の、イソニアジドを含まない複合薬の殺菌曲線を、図3に示す。
【0175】
複合薬の生体内活性
化学式(I)に示す化合物および1つ以上の第一選択抗結核薬を含む複合薬を用いて治療したマウスでは、試験された組合せ全てにおいて結核菌数の著しい減少が観察された。化合物(I)ならびにイソニアジドおよびリファンピシンの複合薬、化合物(I)ならびにイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドの複合薬等の、化学式(I)に示す化合物および2つまたは3つの抗結核薬を含む複合薬を用いて治療した動物では、1か月後の減少幅が最大となった。
【0176】
治療1か月後のマウスモデルにおける化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む複合薬において観察される生体内効力を、表8にまとめる。
【0177】
さらに、M.ツベルクローシスの感受性菌/耐性菌に感染し、化学式(I)に示す化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミド等の2つまたは3つの公知の抗結核化合物の複合薬を用いて治療した66%の動物の臓器において、2か月の治療で菌成長停止となった。
【0178】
治療2か月後のマウスモデルにおける化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む複合薬において観察される生体内効力を、表9にまとめる。
【0179】
さらに、M.ツベルクローシスの感受性菌/耐性菌に感染し、化学式(I)に示す化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミド等の2つまたは3つの公知の抗結核化合物の複合薬を用いて治療した動物において、3か月の治療で完全な菌成長停止が見られた。
【0180】
治療3か月後のマウスモデルにおける化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む複合薬において観察される生体内効力を、表10にまとめる。
【0181】
重要なことに、より少ない薬剤量(12.5mg/kg、6.25mg/kg、および3.12mg/kg)の化学式(I)に示す化合物、ならびに公知の抗結核薬(イソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミド)の複合薬は、優れた生体内効力を示し、治療2か月後で、M.ツベルクローシスの感受性菌/耐性菌に感染した動物の臓器を完全に滅菌することが見出された。結果を表11に示す。
【0182】
【表8】

【0183】
【表9】

【0184】
【表10】

【0185】
【表11】

【0186】
さらに、化学式(I)に示す化合物とイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドとの複合薬を用いて、感染した動物を継続治療した場合の生体内効力を、表12にまとめる。
【0187】
表13に示すように、化学式(I)に示す化合物、ならびに2つの公知の抗結核化合物、すなわちリファンピシンおよびピラジナミドを含む他の複合薬を用いて、マウスを2か月間治療した場合の生体内効力は、対象臓器からマイコバクテリア数を減少させるのに有効であることが見出された。
【0188】
【表12】

【0189】
【表13】

【0190】
複合薬の薬物動態学的研究
化学式(I)に示す化合物とリファンピシンおよびピラジナミドとの複合薬によって得られ維持される生物学的利用能性および血漿レベルを判定するために、これらの化合物の組合せの薬物動態学的な予備研究をマウスおよびイヌを用いて行った。
【0191】
表14にまとめる本研究の結果では、化学式(I)に示す化合物、ならびにリファンピシンおよびピラジナミドの複合薬を投与した場合、化学式(I)に示す化合物の血中Cmax 値は約12倍の増加することが示されている。T1/2およびAUC値においても同様の向上が観察されている。結果を表14にまとめる。
【0192】
【表14】

【0193】
複合薬の急毒性研究
化学式(I)に示す化合物、ならびにイソニアジド、リファンピシン、およびピラジナミドの複合薬を、スイスアルビノマウスに単一経口薬剤として投与した。マウスを14日間、観察した。臨床症状や死亡は何も観察されなかった。15日目にマウスを犠死させたが、臓器に病理学上の変化は何も見られなかった。得られた予備研究結果を、表15にまとめる。
【0194】
【表15】

【0195】
さらに、化学式(I)に示す化合物および公知の第一選択抗結核薬を含む複合薬は、生体内小核試験において陰性であり、よって非遺伝毒性であることが見出された。
【0196】
以上に示したように、化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミド等の現行規定の第一選択抗結核薬を組合せてなる本発明の複合薬および医薬組成物は、
a)潜伏結核および多剤耐性結核を含む結核に対して、現行規定の薬剤を用いた場合よりも優れた、高度に有効な治療を提供すること、
b)現行規定の薬剤とは異なり、本複合薬および組成物は、マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の感受性菌および多剤耐性菌を含むがこれらに限定されないマイコバクテリアに感染した状態/細胞に対する阻害および/または治療に高度に有効であること、
c)現行規定の薬剤とは異なり、本複合薬および組成物は、治療終了後にM.ツベルクローシス感染の再発防止に高度に有効であること、
d)「即効性」が得られるため、マイコバクテリアを治療対象から完全かつ有効に撲滅するのに要する時間は、現行実施のように公知の薬剤を単独でまたは相互に組合せて用いた場合に要する時間に比べて著しく短縮され、ここで、感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶するために、本複合薬または医薬組成物を用いた治療に要する時間は、現行規定の薬剤を用いた治療に要する時間の3分の1であること、
e)治療上有効な量の化学式(I)に示す化合物は、イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミド等の現行規定の第一選択抗結核薬のいくつかと共投与した場合に相乗効果をもたらし、ここで、相乗効果は、有効な量の化合物(I)、または、治療上有効な量の上記第一選択抗結核薬のいずれかを個々に投与した場合に得られる治療効果よりも大きく、化学式 (I)に示す化合物およびこれらの第一選択抗結核薬を共投与した場合の治療効果は、第一選択抗結核薬を相互に組合せて投与した場合に得られる治療効果よりも大きいこと、
f)個々の成分を組合せた場合、個々に投与する場合に必要となる量よりも少ない量で投与できるようになるという点において、この相乗効果には利点があるために、例えば、最大強度の薬剤量における1つの成分の使用に対して十分に反応しない治療対象に対しても治療が有効となること、および/または
g)組合せ効果が相加的である場合よりも相対的に少ない量で個々の成分を投与できるために、現行において行われている治療に伴う副作用が最小限に抑制されること、が十分に明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】図1は、M.ツベルクローシスH37Rvに対する、化学式(I)に示す化合物の殺菌曲線を示す。
【図2】図2は、化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む組合せの殺菌曲線を示す。
【図3】図3は、化学式(I)に示す化合物および公知の抗結核薬を含む組合せの殺菌曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効な量の化学式(I)に示すN−(3−[[4−(3−トリフルオロメチルフェニル)ピペラジニル]メチル]−2−メチル−5−フェニル−ピロリル)−4−ピリジルカルボキサミドまたはその製剤上許容可能な毒性塩、
【化1】

ならびに治療上有効な量のイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、およびピラジナミドからなる群から選択される1つ以上の第一選択抗結核薬を含む、抗マイコバクテリア作用を有する複合薬。
【請求項2】
製剤上許容可能な賦形剤と混合された請求項1に記載の抗マイコバクテリア作用を有する複合薬を含む抗マイコバクテリア医薬組成物。
【請求項3】
前記製剤上許容可能な賦形剤は、酸化防止剤、不活性希釈剤、界面活性剤、潤滑剤、および乳濁剤から選択される請求項2に記載の抗マイコバクテリア医薬組成物。
【請求項4】
有効な結核治療に有用な、請求項1に記載の抗マイコバクテリア作用を有する複合薬。
【請求項5】
マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の感受性菌および多剤耐性菌から選択されるマイコバクテリアに感染した状態/細胞を治療する請求項1に記載の抗マイコバクテリア作用を有する複合薬。
【請求項6】
有効な結核治療に有用な、請求項2に記載の抗マイコバクテリア医薬組成物。
【請求項7】
マイコバクテリウム−ツベルクローシス、マイコバクテリウムアビウム−イントラセルラー複合体、M.フォーツイタム、M.カンサシ、および他の関連したマイコバクテリア類の感受性菌および多剤耐性菌から選択されるマイコバクテリアに感染した状態/細胞を治療する請求項2に記載の抗マイコバクテリア組成物。
【請求項8】
治療完了時に感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶している請求項1に記載の抗マイコバクテリア作用を有する複合薬。
【請求項9】
治療完了時に感受性および薬剤耐性のM.ツベルクローシスを根絶している請求項2に記載の抗マイコバクテリア医薬組成物。
【請求項10】
乾式造粒法、湿式造粒法、または直接打錠法を用いて、化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な塩と、
【化2】

1つ以上の第一選択抗結核薬とを組合せることを含む、抗マイコバクテリア医薬組成物を調製するプロセス。
【請求項11】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、およびリファンピシ
ンを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項12】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、およびイソニアジド
を含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項13】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびにイソニアジ
ドおよびリファンピシンを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項14】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびにイソニアジ
ド、リファンピシン、およびピラジナミドを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項15】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびにピラジナミ
ドおよびエタンブトールを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項16】
化学式(I)に示す化合物またはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびにリファンピ
シンおよびピラジナミドを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項17】
12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに20.0mg/kgのリファンピシンを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項18】
12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに25.0mg/kgのイソニアジドを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項19】
12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに25.0mg/kgのイソニアジドおよび20.0mg/kgのリファンピシンを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項20】
12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに25.0mg/kgのイソニアジド、20.0mg/kgのリファンピシン、および150.0mg/kgのピラジナミドを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項21】
12.5mg/kgまたは25.0mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに150.0mg/kgのピラジナミドおよび100.0mg/kgのエタンブトールを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項22】
3.12mg/kg、6.25mg/kg、または12.5mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに250.0mg/kgのイソニアジド、20.0mg/kgのリファンピシン、および150.0mg/kgのピラジナミドを含む請求項1に記載の複合薬。
【請求項23】
3.12mg/kg、6.25mg/kg、または12.5mg/kgの化学式(I)に示す化合物あるいはその製剤上許容可能な非毒性塩、ならびに20.0mg/kgのリファンピシンおよび150.0mg/kgのピラジナミドを含む請求項1に記載の複合薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−537242(P2007−537242A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512723(P2007−512723)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000266
【国際公開番号】WO2005/107809
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(502425916)ルピン・リミテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】LUPIN LIMITED
【Fターム(参考)】