説明

抗原虫薬イミダゾピリジン化合物

式(I)によって示される化合物:(I)又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。前記化合物は、哺乳類及び鳥類の原虫疾患の治療及び予防に有用である。鳥類のコクシジウム症を制御する方法には、有効量の化合物を単独で、又は1種若しくは複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて投与することが含まれる。鳥類のコクシジウム症を制御する組成物には、前記化合物が単独で、又は1種若しくは複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて含まれる。哺乳類の原虫疾患、たとえば、トキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症などの治療法及び予防法には、前記化合物を単独で、又は1種若しくは複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて投与することが含まれる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類及び鳥類における原虫疾患の治療及び予防に有用なイミダゾピリジンに関する。特に、本発明は、家禽のコクシジウム症の治療及び予防に有用な3置換イミダゾピリジンに関する。本発明の化合物はまた、トキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症を含めた哺乳類の原虫疾患の治療及び予防に有用である。
【背景技術】
【0002】
寄生原虫は、ヒト及び動物両方の様々な種類の感染の原因である。アイメリア属の原虫は、家畜動物によく見られる疾患、コクシジウム症の原因となり、腸及び盲腸に重度の病変をもたらす。この属で最も病原性の高い種には、E.tenella、E.acervulina、E.mitis、E.necatrix、E.brunetti及びE.maximaが含まれる。動物のコクシジウム症は一般的に、動物が汚染した寝わら又は土の上の糞、或いは食餌又は飲み水から感染性生物を摂取することによって広がる。コクシジウム症は、出血、盲腸における血液の蓄積、糞への血液の排泄、衰弱及び消化障害となって表れる。この疾患は動物を死に至らしめることが多いが、重度のコクシジウム感染から生き残った動物でもこの感染のために市場価値が実質的に下がってしまう。したがって、コクシジウム症は、経済的に非常に重大な疾患である。したがって、動物におけるコクシジウム感染を制御し、治療するための新しい方法及び改善策を発見するために、幅広い研究が行われている。
【0003】
家禽産業では、コクシジウム症の流行を制御又は予防するために、鳥の一生のほとんどを通して食餌に抗コクシジウム薬を含めるのが一般的な習慣である。しかし、原因微生物は、継続的に、又は繰り返し特定の抗コクシジウム薬に曝露すると耐性を獲得する危険性がある。さらに、スルファニルアミド、ニトロフラン、キノリン、抗チアミン、ベンゾアミド、及びポリエーテルをベースとした抗生物質などの従来使用されている抗コクシジウム薬は、宿主にとっても毒性があることが多い。したがって、好ましくは現在使用されている薬剤とは異なる化学種の新規抗コクシジウム化合物を同定することが常に必要とされている。
【0004】
寄生虫はまた、様々なヒト疾患の原因であり、その多くは生命を脅かすものである。マラリアは、国際的に大規模な撲滅が試みられているが、相変わらず人間の健康を脅かしている。もう1つの寄生虫による疾患、トリパノソーマ症は、アフリカ、南中央アメリカ、及びメキシコの多くの国々で何百万人もの人々の健康を脅かす危険性を有している。出張旅行及び観光などでこれらの地域を旅行する人はまた、寄生虫による疾患に罹患する危険性がある。アフリカのトリパノソーマ症には2種類あり、睡眠病としても知られている。1種類は、寄生虫トリパノソーマ・ブルセイ・ガンビエンスが原因で、もう1方は、寄生虫トリパノソーマ・ブルセイ・ローデシエンスが原因である。治療を行わずにいると、アフリカ睡眠病は死に至る。トリパノソーマ・クルーズが原因のシャーガス病は、南中央アメリカ及びメキシコの数百万の人々に感染している。シャーガス病を治療しなければ、期待余命の減少が引き起こされ、これもまた死に至る可能性がある。現在のところ、これらの疾患を予防するために有用な薬剤はない。現在使用されている治療法は完全には有効ではなく、患者にも毒性を有する可能性がある。したがって、現在使用されているものよりも効果的で、毒性の少ないヒト用抗寄生虫化合物が必要とされている。
【0005】
寄生虫疾患の危険性は、開発途上国以外にも存在する。ニューモシスチス・カリニ、トキソプラズマ・ゴンヂ及びクリプトスポリジウム種が原因の免疫無防備状態の宿主における日和見感染症は、開発途上国でますます広く流行している。たとえば、寄生虫トキソプラズマ・ゴンヂが原因のトキソプラズマ症は、合衆国を含めた世界中の国々で発見されている。妊娠中の女性及び免疫系が弱っている人々は特に、トキソプラズマが感染すると健康が危険に曝されやすい。重度のトキソプラズマ症は、脳、目及びその他の器官に障害をもたらし得る。薬剤トリスルファピリミジン、スルファジアジン及びピリメタミンといったトキソプラズマ症に現在使用されている治療薬は有効ではなく、宿主に毒性を有する可能性がある。しがって、現在使用されている治療薬よりも効果的で、毒性の少ない、トキソプラズマ症を治療するための治療薬が必要とされている。
【0006】
PCT出願WO03/000682は、下式
【0007】
【化11】

の化合物を開示している。
【0008】
PCT出願WO03/00689は、下式
【0009】
【化12】

の化合物を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、哺乳類及び鳥類における原虫疾患の治療及び予防に有用な3置換イミダゾピリジンを対象とする。本発明はまた、このような化合物を単独で、或いは1種又は複数の抗原虫薬と組み合わせて含む組成物を対象とする。本発明はさらに、この化合物を単独で、或いは1種又は複数の抗原虫薬と組み合わせて、家禽のコクシジウム症を予防し治療するための方法を提供する。本発明の化合物はまた、トキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症を含めた哺乳類の原虫疾患の予防及び治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式(I)の化合物
【0012】
【化13】

(式中、R1は、水素、メチル又はフルオロであり、
2は、水素又はメチルであり、
3は、−L−NRcd
【0013】
【化14】

から選択され、
Lは、−(CRab2〜5−及び
【0014】
【化15】

から選択され、
a及びRbは、水素、OH、F及びC1〜4アルキルから独立に選択され、但しRaがOHであるとき、Cに結合したRbは、水素若しくはC1〜4アルキルであり、
又は、Ra及びRbは、それらが結合したCと一緒になってC3〜6シクロアルキルを形成し、
c及びRdは、水素及びC1〜4アルキルから独立に選択され、
n及びmは、独立して0、1、2、3又は4であり、但しn+m=2、3又は4であり、
qは、1又は2であり、
pは、1、2又は3である。)
又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0015】
本発明は、第1の態様において、R3が−L−NRcdである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0016】
本発明は、第2の態様において、
3が、
【0017】
【化16】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0018】
本発明は、第3の態様において、
3が、
【0019】
【化17】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0020】
本発明は、第4の態様において、
3が、
【0021】
【化18】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0022】
本発明は、第5の態様において、
3が、
【0023】
【化19】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0024】
本発明は、第6の態様において、
3が、
【0025】
【化20】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0026】
本発明は、第7の態様において、
3が、
【0027】
【化21】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0028】
本発明が、第8の態様において、R3がピペリジニルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0029】
本発明は、第9の態様において、R3が[N−(C1〜4)アルキル]ピペリジニルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0030】
本発明は、第10の態様において、R3がピペリジニン−4−イルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0031】
本発明は、第11の態様において、R3が[N−(C1〜4)アルキル]ピペリジニン−4−イルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0032】
本発明は、第12の態様において、R3が[N−メチル]ピペリジン−4−イルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0033】
本発明は、第13の態様において、R3が[N−エチル]ピペリジニン−4−イルである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0034】
本発明は、第14の態様において、R3が−(CRab2−NRcdである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0035】
本発明は、第15の態様において、R3が−(CRab2−CH2−NRcdである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0036】
本発明は、第16態様において、R3が−(COH)Rb−CH2−NRcdである、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0037】
本発明は、第17の態様において、
Lが、
【0038】
【化22】

である、化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【0039】
本発明は、第18の態様において、
Lが−(CRab2〜5−であり、
1個の(CRcd)が1,1−(C3〜6シクロアルキル)を表す、
化学式(I)によって表される化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
式Iの化合物は、哺乳類及び鳥類における原虫疾患の予防及び治療に有用である。本発明の化合物は、トキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症を含めた哺乳類の原虫疾患の予防及び治療に有用である。該化合物はまた、家禽のコクシジウム症の予防及び治療に有用である。
【0041】
本発明は、式(I)の化合物を単独で、又は1種若しくは複数の抗原虫薬若しくは抗コクシジウム薬と組み合わせて含む組成物に関する。
【0042】
本発明には、予防上有効な量又は治療上有効な量の、式(I)の化合物を単独で、又は1種若しくは複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて投与することを含む、家禽のコクシジウム症を治療及び予防する方法が含まれる。
【0043】
本発明には、予防上有効な量又は治療上有効な量の、式(I)の化合物を単独で、又は1種若しくは複数の抗原虫薬と組み合わせて投与することを含む、哺乳類の原虫疾患を治療及び予防する方法も含まれる。
【0044】
特に記載又は指示が無ければ、明細書及び請求の範囲を通じて以下の定義を適用する。
【0045】
「薬剤として許容される担体」という用語は一般的に、安全で、かつ治療する宿主の種に許容されることを意味する。
【0046】
「予防上有効な量」という用語は、疾患、疾病又は病気を予防するために有効な量を意味する。
【0047】
「治療上有効な量」という用語は、疾患、疾病又は病気を治療、治癒又は寛解するために有効な量を意味する。
【0048】
本明細書で使用したように、本発明の化合物について言及する場合は、そのN−オキシド及び塩もまた含むものであることが理解されよう。本発明の化合物の3級アミンは、たとえば、以下の
【0049】
【化23】

などのN−オキシドを形成することが可能である。
【0050】
「薬剤として許容される塩」とは、薬剤として許容される非毒性の塩基又は酸から調製された塩のことである。本発明の化合物が酸性のとき、対応する塩は無機塩基及び有機塩基を含めた薬剤として許容される非毒性塩基から都合良く調製することができる。このような無機塩基から得られた塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第1及び第2)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第1及び第2)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩である。薬剤として許容される非毒性有機塩基から得られた塩には、1級、2級及び3級アミンの塩、並びに環状アミン及び置換アミン、たとえば自然に生じるアミン及び合成置換アミンが含まれる。塩を形成することができるその他の薬剤として許容される非毒性有機塩基には、イオン交換樹脂、たとえば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミンエタノール、2−ジメチルアミンエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソピロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0051】
本発明の化合物が塩基性のとき、対応する塩は無機酸及び有機酸を含めた薬剤として許容される非毒性酸から都合良く調製することができる。このような酸には、たとえば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0052】
「組成物」という用語には、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物、並びに直接的又は間接的に、任意の2種類以上の成分の組み合わせ、錯体又は凝集によって、或いは1種又は複数の成分の解離によって、或いは1種又は複数の成分間のその他の種類の反応又は相互作用によって生じるいかなる生成物も含まれるものとする。したがって、本発明の組成物には、本発明の化合物を単独で、或いは1種又は複数の抗原虫薬又は抗コクシジウム薬と一緒に、薬剤として許容される単体と混合することによって作製されたいかなる組成物も含まれる。
【0053】
本発明の組成物は、当業界で公知の従来の方法に従って調製することができる。したがって、コクシジウム症を制御するための本発明の組成物は、拡散剤、顆粒、懸濁剤、液剤、プレミックス、カプセル、エマルジョン濃縮物、錠剤、飼料などの製剤にすることができる。本発明の組成物は、本発明の化合物を単独物質として、又はこのような薬剤に通常使用される適切な担体を伴って、又は伴わずに含有することができる。必要であれば、当業界で公知の方法にしたがって、崩壊剤、潤滑剤(sliding agent)、又はコーティング剤などの医薬品添加物を本発明の組成物に添加することができる。コクシジウム症を制御するために本発明の組成物で使用できる担体には、家畜飼料又は飲料水に添加することができれば、制限はない。適切な担体の例には、水、乳糖、蔗糖、タルク、コロイド状シリカ、ペクチン、小麦粉、米糠、コーンフラワー、大豆、油かす、磨砕又は粉末にした穀物及びその他の市販の家畜飼料が含まれる。活性成分の含量又は濃度には特に制限はないが、好ましい含量は約0.1重量%から約99重量%で、より好ましくは約0.1重量%から約50重量%である。
【0054】
「アルキル」並びにアルコキシ、アルカノイル、アルケニル、アルキニルなどの「alk」という接頭語を有するその他の群は、直鎖又は分枝鎖又はそれらを組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、フェニル、ヘキシル、ヘプチルなどが含まれる。
【0055】
「シクロアルキル」という用語は、ヘテロ原子を含有しない炭素環を意味し、単、二及び三環飽和炭素環並びに融合環系が含まれる。このような融合環系には、ベンゼン環などの部分的又は完全に不飽和な1個の環を含めて、ベンゼン融合炭素環などの融合環系を形成することができる。シクロアルキルには、スピロ融合環系などの融合環が含まれる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、インデニル、フルオレニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンなどが含まれる。同様に、「シクロアルケニル」は、ヘテロ原子を含有せず、少なくとも1個の非芳香族C−C二重結合を含有する炭素環を意味し、単、二及び三環部分飽和炭素環並びにベンゾ融合シクロアルケンが含まれる。シクロアルケニルの例には、シクロヘキセニル、インデニルなどが含まれる。
【0056】
本明細書で記載した化合物は、1個又は複数の二重結合を含有してよく、したがって、シス/トランス異性体並びにその他の立体異性体を生じることが可能である。本発明には、このような可能な異性体全て並びにこのような異性体の混合物が含まれる。
【0057】
本明細書で記載した化合物には、1個又は複数の非対称中心を含有することが可能で、したがって、ジアステレオマー及び光学異性体を生じることが可能である。本発明には、このような可能なジアステレオマー全て並びにそれらのラセミ混合物、実質的に純粋に分割されたエナンチオマー、可能な幾何異性体全て並びにそれらの薬剤として許容される塩が含まれる。前記式Iは、特定の位置に限定した立体配置を示していない。本発明には、式Iの立体異性体全て及びそれらの薬剤として許容される塩が含まれる。さらに、立体異性体の混合物並びに単離された特定の立体異性体もまた含まれる。このような化合物の調製に使用した合成方法の行程の間、又は当業者に公知であるラセミ化方法又はエピメリ化方法の使用においては、このような方法の生成物は立体異性体の混合物であり得る。
【0058】
本発明の化合物は、式Iで立体化学を示した中心以外のキラル中心を有してよく、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物として、及び個々のエナンチオマー又はジアステレオマーとして生じることが可能で、このような異性体型並びにこれらの混合物は本発明に含まれる。さらに、本発明の化合物の結晶型のいくつかは、多形として存在することが可能で、それ自体は本発明に含めるものとする。さらに、本発明の化合物のいくつかは、水又は一般的な有機溶媒と共に溶媒化合物を形成することが可能である。このような溶媒化合物は本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
本発明の化合物は、いかなる種においてもコクシジウム症を制御するために使用することができる。「コクシジウム症の制御」及び「コクシジウム症を制御する」という用語には、コクシジウム症を予防するための予防的使用並びに感染が生じた後でコクシジウム症を治療するための使用が含まれる。本発明の化合物は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、エミュー及びダチョウを含めるがそれだけに限定されない、いかなる家禽種においてもコクシジウム症を制御するために使用することができる。本発明の化合物はまた、たとえば、ウシ、イヌ、ヒツジ、ウマ、ヤギ及びブタなどのいかなるその他の種においてもコクシジウム症も制御するために使用することができる。本発明の化合物を使用して、Eimeria acervulina、Eimeria brunetti、Eimeria maxima、Eimeria mitis、Eimeria necatrix、Eimeria tenella、Eimeria meleagrimitis、Eimeria gallopavonis、Eimeria adenoeides、Eimeria dispersaを含めた原因となる任意の原虫種によって引き起こされるコクシジウム症を予防又は治療することができる。
【0060】
コクシジウム症は腸を冒す疾患なので、本発明の化合物は腸管への到達を可能にする方法で投与しなければならない。本発明の化合物は、動物飼料に取り込ませることを含めた当業界で公知の標準的方法によって投与することができる。本発明の化合物はまた、飲料水に取り込ませるなどのその他の方法によって投与することができる。最も好ましい実用方法では、本発明の化合物を飼料に投与する。
【0061】
本発明の化合物を家禽に投与する様々な方法の中で、最も便利なものには、飼料組成物の成分としてそれらを投与する方法が含まれる。微細に粉砕した形態で該化合物を、家禽飼料又はその後その他の成分と混合して最終的に家禽飼料にすることが可能な中間調合物(プレミックス)と機械的に混合することによって、新規化合物を容易に飼料全体に分散させることができる。家禽飼料の一般的な成分には、糖蜜、発酵残留物、挽き割りトウモロコシ、粉砕した押しオーツ麦、小麦ショート及び飼料用小麦、アルファルファ、クローバー及び肉カスと共に骨粉、炭酸カルシウム及びビタミンなどの無機質補助物が含まれる。
【0062】
本発明による化合物を家禽飼料の添加物として使用するときは、一般的に「プレミックス」に組み入れる。該プレミックスは、活性剤又は活性剤類並びに薬剤として許容される担体及び飼料を含有する。該プレミックスは、比較的に濃縮されており、その他の担体、ビタミン、無機質補助物及び飼料で希釈されて最終的動物飼料を形成するのに適合している。中間的な濃度、すなわち、最初のプレミックスと最終動物飼料との間の濃度の活性剤を含有するプレミックスは、業界で時々使用されており、本発明を実施する場合に使用することができる。本発明の化合物を唯一の活性剤としてとして使用するとき、プレミックスは該薬剤を約0.1重量%から約50.0重量%の濃度で含有することが望ましい。好ましいプレミックスは一般的に、本発明の化合物を約0.5重量%から約25.0重量%の濃度で含有する。最終飼料においては、該活性剤の濃度は当業者に公知の様々な要因に左右されるだろう。このような要因には、特定の活性剤の相対効果及び実際的又は潜在的コクシジウム感染の重症度が含まれる。一般的に、唯一の抗コクシジウム薬として本発明の化合物を使用する最終飼料は、前記化合物を約0.002重量%から約0.02重量%、好ましくは約0.002重量%から約0.01重量%で含有する。
【0063】
本発明は、式(I)の化合物を唯一の抗コクシジウム薬として、並びに1種又は複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて使用することを企図する。このような組み合わせに使用するために適切な抗コクシジウム薬には、アンプロリウム、エトパベート、クロピドール、メチルクロピンドール、デコキネート、ジニトルミド、ハロフジノン、ラサロシド、マズラマイシン、モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロベニジン、サリノマイシン、センズラマイシン及びジクラズリルが含まれるが、それらだけに限定はされない。式(I)の化合物を1種又は複数の抗コクシジウム薬と組み合わせて使用するときの濃度は、本発明の化合物を単独で投与するときの濃度よりも低い濃度で投与することが可能で、たとえば、最終飼料に含有される式(I)の化合物は、約0.0001重量%から約0.02重量%、好ましくは約0.0005重量%から約0.005重量%であることが可能である。同様に、組み合わせる他の抗コクシジウム薬は、単独で投与するとき本発明の化合物に通常用いる量より少ない量で使用することが可能である。式(I)の化合物及び1種又は複数の抗コクシジウム薬を含む組成物は、家禽及び前述したようなその他の種におけるコクシジウム症を予防又は治療するために薬剤に調合することが可能である。
【0064】
本発明の組成物は、抗コクシジウム薬に加えて、通常飼料又は飲料水に入れて家禽に投与する治療薬又は栄養剤、たとえば、抗寄生虫薬、抗菌剤、及び成長促進剤を含有することができる。
【0065】
式Iの化合物はまた、哺乳類における寄生虫疾患の治療に有用である。これらの疾患には、トキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症が含まれる。「トキソプラズマ症の制御」及び「トキソプラズマ症を制御する」という用語には、トキソプラズマ症を予防するための予防的使用並びに感染発生後トキソプラズマ症を治療するための使用が含まれる。「マラリアの制御」及び「マラリアを制御する」という用語には、マラリアを予防するための予防的使用並びに感染発生後マラリアを治療するための使用が含まれる。「アフリカトリパノソーマ症の制御」及び「アフリカトリパノソーマ症を制御する」という用語には、アフリカトリパノソーマ症を予防するための予防的使用並びに感染発生後アフリカトリパノソーマ症を治療するための使用が含まれる。「シャーガス病の制御」及び「シャーガス病を制御する」という用語には、シャーガス病を予防するための予防的使用並びに感染発生後シャーガス病を治療するための使用が含まれる。「日和見感染症の制御」及び「日和見感染症を制御する」という用語には、日和見感染症を予防するための予防的使用並びに感染発生後日和見感染症を治療するための使用が含まれる。
【0066】
本発明には、哺乳類のトキソプラズマ症、マラリア、アフリカトリパノソーマ症、シャーガス病及び日和見感染症を制御する方法であって、前記疾患又は状態を制御するために有効な量で式Iの化合物を投与することを含む方法が含まれる。
【0067】
本発明の化合物の用量は、疾患の種類、患者の年齢及び全身状態、投与する特定の化合物、及び薬剤によって受ける毒性又は逆作用の存在又は程度を含めた多くの要因によって変化させることができる。適切な用量範囲の代表的な例は、約0.025mgの定量から約1000mgまでと低い。しかし、投与する用量は通常医師の判断に任される。
【0068】
治療及び予防の方法は、式Iの化合物の非経口的送達によって実施することができる。本明細書では、「非経口的」という用語には、静脈内、筋肉内又は腹腔内投与が含まれる。本発明はまた、式Iの化合物を皮下、鼻腔内、直腸内、皮内又は膣内経路から送達することによって実施することができる。
【0069】
式Iの化合物はまた、吸入によって投与することができる。「吸入」とは、鼻腔内及び経口吸入投与を意味する。このような投与に適切な剤形、たとえば、エアロゾル製剤又は定量噴霧式吸入器は、従来の技術によって調製することができる。
【0070】
本発明はまた、式Iの化合物及び薬剤として許容される担体を含む哺乳類患者のための医薬組成物に関する。式Iの化合物はまた、1種又は複数のその他の治療活性化合物、又は予防活性化合物と組み合わせて医薬組成物に含めることができる。たとえば、本発明の組成物には、式Iの化合物及びその他の抗原虫薬を含む抗原虫化合物の組み合わせを含めることができる。
【0071】
使用した医薬品担体は、たとえば、固体、液体又は気体のいずれかであってよい。固形担体の例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが含まれる。液体担体の例は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、水などである。気体担体の例には、二酸化炭素及び窒素が含まれる。
【0072】
同様に、担体又は希釈剤には、当業界で周知の徐放物質、たとえば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルを単独で、又は蝋と共に含めることができる。
【0073】
哺乳類患者のために様々な医薬剤形を使用することができる。固形剤形を経口投与用に使用する場合、錠剤、硬ゼラチンカプセル、トローチ又はロゼンジの形態に製剤することができる。固体担体の量は大きく変えられるが、一般的には約0.025mgから約1gで、固体担体の量によって所望する錠剤、硬ゼラチンカプセル、トローチ又はロゼンジの大きさに違いが生じる。したがって、錠剤、硬ゼラチンカプセル、トローチ又はロゼンジは、本発明の化合物をたとえば、0.025mg、0.05mg、0.1mg。0.5mg、1mg、5mg、10mg、25mg、100mg、250mg、500mg又は1000mg有すると都合がよい。錠剤、硬ゼラチンカプセル、トローチ又はロゼンジは、1日に1回、2回又は3回投与すると都合がよい。
【0074】
液体剤形を経口投与用に所望する場合、一般的にシロップ、乳剤、軟ゼラチンカプセル、懸濁剤又は液剤の形態に調製する。非経口用剤形を使用するときは、該薬剤は固形又は液体剤形であることが可能であり、直接投与するために製剤することも、又は再構成に適するようにすることも可能である。
【0075】
局所投与剤形もまた、含まれる。局所投与剤形の例には、固体、液体及び半固体がある。固体には、散布剤、湿布剤などが含まれる。液体には、液剤、懸濁剤及び乳剤が含まれる。半固体には、クリーム、軟膏、ジェルなどが含まれる。
【0076】
局所的に使用する式Iの化合物の量は、もちろん、選択した化合物、症状の特性及び重症度によって変わるので、医師の判断に従って変化させることができる。式Iの化合物の代表的な局所投与量は、約0.01mgの低用量から2.0gの高用量までであり、1日に1回から4回、好ましくは1回から2回投与する。
【0077】
局所的に使用するとき、本発明の化合物は約0.001%w/vから約10%w/wで含めることができる。
【0078】
本発明による滴剤には、滅菌又は非滅菌水性又は油性溶液又は懸濁液を含めることが可能で、場合によっては殺菌剤及び/又は殺真菌剤及び/又はその他の適切な保存剤を含め、場合によっては界面活性剤を含めた適切な水性溶液に活性成分を溶解することよって調製することが可能である。次に、得られた溶液は濾過によって透明にして、適切な容器へ移すことが可能で、その後密封して、加圧滅菌するか、又は98〜100℃で1時間半維持することによって滅菌する。或いは、該溶液は、濾過によって滅菌し、無菌的に容器に移すことが可能である。滴剤に含めるために適した殺菌剤及び殺真菌剤の例としては、硝酸又は酢酸フェニル水銀(0,002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)及び酢酸クロルヘキシジン(0.01%)がある。油性溶液の調製に適した溶媒には、グリセロール、希釈アルコール及びプロピレングリコールが含まれる。
【0079】
本発明によるローションには、皮膚又は目に適用するために適したものが含まれる。眼用ローションには、場合によって殺菌剤を含有する滅菌水性溶液を含めることが可能で、滴剤の調製と同様の方法によって調製することができる。皮膚に適用するためのローション及びリニメント剤にはまた、乾燥を早めたり、皮膚を冷却したりする薬剤、たとえば、アルコール又はアセトン、及び/又はグリセロールなどの保湿剤、又はヒマシ油又はラッカセイ油などの油を含めることができる。
【0080】
本発明によるクリーム、軟膏又はペースト剤は、外部適用するための半固形製剤型活性成分である。それらは、微細に分割した、又は粉末化した形態の活性成分を、単独或いは水性又は非水性液体の溶液又は懸濁液として、油脂性基剤又は非油脂性基剤と混合することによって形成することができる。該基剤には、硬、軟又は液体パラフィン、グリセロール、ビーズワックス、金属石けんなどの炭化水素、粘質物、アーモンド油、トウモロコシ油、落花生油、ヒマシ油又はオリーブ油などの天然由来の油、羊毛脂又はその誘導体、又はポリエチレングリコール又はマクロゲルなどのアルコールと一緒にしたステアリン酸又はオレイン酸などの脂肪酸を含めることができる。該調製物には、陰イオン、陽イオン又は非イオン性界面活性剤などの任意の適切な界面活性剤、たとえば、ソルビタンエステル又はそれらのポリオキシエチレン誘導体を組み込むことができる。天然ゴム、セルロース誘導体又はシリカなどの無機物質などの懸濁剤、及びラノリンなどのその他の成分もまた含めることができる。
【0081】
本発明の化合物は、以下のインビボにおける抗コクシジウム測定によって評価することができる。
【0082】
インビボにおける抗コクシジウム測定法:
1日齢の白色レグホン鶏は商用孵化場から入手し、飼育室で馴化させる。3日目に、試験動物を体重によって選択し、羽翼に金属片を付け、実験期間中無作為に投薬飼料又は対照飼料を与えた。処理毎に2羽のトリを1連又は2連で使用する。24時間前投薬を行った後、各連の1羽にEimeria acervulinaを感染させ、もう1羽の鶏にE.tenellaを感染させる。両方のEimeria種は、抗コクシジウム生成物に感受性であり、実験室条件下で25年間維持されている。接種材料は、水道水に懸濁した胞子形成嚢包体から構成され、1羽当たり0.25mlの用量割合で投与する。接種材料の濃度は、低レベルから中レベルの感染を引き起こすように、既に行った用量測定によって選択する。この実験のE.acervulinaの方については、感染後5日目に終了し、E.tenellaは6日目に終了する。測定する変数は、体重増加、飼料消費量及び嚢包体産生数である。E.tenella病変評点はまた、基礎的情報として記録する。嚢包体産生数を少なくとも80%減少させる処理は活性があると見なし、50〜79%は部分的に活性があり、<50%は活性が乏しいと見なす。体重増加及び飼料消費量の数字が同じ部類について、治療間の差を産生が良好、かなり良好、又は乏しいで区別する。
【0083】
本発明の化合物は、以下に提供した一般的なスキーム並びに実施例で提供した方法によって調製することができる。
【0084】
【化24】

イミダゾピリジン中間体Iは、エタノールなどの溶媒中で還流することによって、ブロモケトンと2−アミノ−4−ヒドロキシメチルピリジンなどの2−アミノピリジンとを環化することによって作成することができた。ブロモケトンは、塩化メチレン及び四塩化炭素などの溶媒中でテトラ−n−ブチルアンモニウム3臭化物などの臭素化剤でケトンを臭素化することよって作成することができた。前記で使用したケトンは、様々な方法によって作成することができた。一般的な方法では、4−メチルピリミジン類縁体及びリチウムジイソプロピルアミドから生じた陰イオンをテトラヒドロフランなどの溶媒中でメチル4−フルオロベンゾエートなどのエステルと結合させることができた。
【0085】
【化25】

前記に示した4−{7−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−3−イル}ピリミジン−2−アミン及び4−{7−(2−ジメチルアミノ−1,1−ジメチルエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}ピリミジン−2−アミンは、アルコール基を対応するメシレートへ変換して、ニトリル陰イオンによってメシレート基を置換して、その後ニトリル基をアミンへ還元し、アミンの還元的アミノ化によってジメチルアミノ基を作成することによって、実施例1、2及び3で説明したように、中間体Iから作製した。
【0086】
【化26】

イミダゾピリジンの異なる調製方法を前記に示した。この方法は実施例5で詳細に説明する。α−ブロモケトン及びO−メチルヒドロキシルアミンから作製したオキシムは、カリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下で、ピリジン類縁体と共に環化する。得られたイミダゾピリジンは、酢酸−硫酸などの試薬で3位をアシル化し、DMF−DMA次いでグアニジン及びナトリウムメトキシドなどの塩基で処理して、前記に示した核構造37を形成することができる。CBZ基を脱保護した後、ピペリジン窒素をアルキル化することによって所望する生成物を得る。
【0087】
【化27】

中間体Iを二酸化マンガンで酸化しアルデヒドを得て、ホルムアルデヒドで濃縮して、水素化ホウ素ナトリウムで還元して、アミノアルコールを得ることができた。ピリミジン基のスルフィドは、前述の実例で示したようにスルホンを酸化し、アンモニアでスルホンを置換することによって所望するアミノ基に変換することができた。
【0088】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供したものであり、どのような方法によっても本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0089】
4−[7−(2−アミノエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(24)
【0090】
【化28】

段階1:4−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン(2)
空気撹拌器、加熱マントル、温度計及び還流冷却器を備えた22L丸底フラスコに、トルエン(12L)、2−メルカプト−4−メチルピリミジン塩酸塩(1)(900g、5.53mol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.07kg、8.30mol)及びN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.61kg、12.7mol)を添加した。この反応混合物を還流させて3.5時間加熱し、次にこの赤色溶液を減圧下で濃縮して、トルエン、メタノール及びいくらかのN,N−ジメチルホルムアミドを除去した。次に、残渣を酢酸エチル(2L)、水(2L)及び十分な10%(w/v)2硫化ナトリウム水溶液で処理して、pHを4.5にした。混合後、有機層を別の容器にサイホンで吸い上げ、水層はさらに酢酸エチル(2x2L)で抽出した。有機抽出物全てを一緒にして、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮し、赤色油状物約1Lを得て、次に真空蒸留によって<1mmHgで精製した。蒸留した画分は以下の通りである。T=30℃〜50℃、酢酸エチル及びN,N−ジメチルホルムアミド約100mL、T=60℃〜70℃:生成物436.8g+N,N−ジメチルホルムアミド14.5g、T=68℃〜72℃、純生成物267.4g。各画分の特性及び純度は1H NMRで測定した。画分2及び3を一緒にして、さらに精製することなく次段階で使用した。2の収率:704.2g(91%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ、2.38(s、3H)、2.49(s、3H)、6.75(d、J=5.2Hz、1H)、8.29(d、J=5.2Hz、1H)。MS(ESI+)141.1。
【0091】
段階2:2−[メチルチオ]ピリミジン−4−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノン+エノール互変異性体(3)。
【0092】
磁気撹拌棒、温度計及び窒素吸入口を備えた3首の50mL丸底フラスコ内で、スルフィド2(1.00g、7.13mmol)をテトラヒドロフラン15mLに溶解した。この溶液をドライアイス/イソプロパノール槽内で窒素下において−78℃で撹拌した。次に、反応温度を<65℃に維持しながらリチウムジイソプロピルアミド(15mmol、ヘプタン/テトラヒドロフラン/エチルベンゼンに溶かした2.0M溶液7.5mL)を少量ずつ添加した。さらに1時間<75℃で撹拌した後、反応温度を<55℃に維持しながら、冷却したメチル4−フルオロベンゾエート(1.21g、7.85mmol)のテトラヒドロフラン溶液をこの反応混合物に15分かけて添加漏斗を介して滴下して処理した。この反応混合物を一晩撹拌しながら室温まで温め、次に飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3x50mL)で抽出した。有機抽出物を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮し、粗固形物2.15gを得て、ペンタン(50mL)で磨砕して濾過した。真空下において50℃で一晩乾燥した後で残存する固形物(1.05g)はHPLCでは純度77%であり、さらには精製しなかった。3の収率:809mg(43%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δエノール互変異性体(大部分):2.60(s、3H)、5.91(s、1H)、6.63(d、J=5.6Hz、1H)、7.14(m、2H)、7.82(m、2H)、8.29(d、J=5.2Hz、1H);ケトン互変異性体(小部分):2.51(s、3H)、4.34(s、2H)、6.97(d、J=4.8Hz、1H)、7.14(m、2H)、8.07(m、2H)、8.45(d、J=5.2Hz、1H)。MS(ESI+)263.1。
【0093】
段階3:2−ブロモ−2−[2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]−1−(4−フルオロフェニル)エタノン(4)。
【0094】
空気撹拌器及び窒素吸入口を備えた12L丸底フラスコ内でケトン/エノール混合物3(219g、0.833mol)を四塩化炭素(1.5L)中でスラリー状にした。次にテトラ−n−ブチルアンモニウム3臭化物(402g、0.883mol)を3回に分けて添加し、次いで塩化ナトリウム(3L)を添加した。窒素下において室温で2時間撹拌した後、この反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3L)で希釈し、さらに30分間撹拌した。次に水層をサイホンで取り出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して暗赤色の濃厚な油状物を得て、さらに精製はしなかった。4の推定収率:284g(100%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ2.43(s、3H)、6.19(s、1H)、7.09(t、J=8.4Hz、2H)、7.35(d、J=4.8Hz、1H)、8.01(m、2H)、8.51(m、1H)。MS(2AWS1)(ESI+)341.0。
【0095】
段階4:{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−7−イル}メタノール(5)。
【0096】
空気撹拌器、温度計及び窒素吸入口を備えた12L丸底フラスコ内で、臭化物4(前段階の収率100%をベースとした推定量、284g、0.833mol)をエタノール(3L)に懸濁した。次に、2−アミノ−4−ヒドロキシメチルピリジン(103g、0.833mol)及び4Åモレキュラーシーブ(300mL、真空炉内において175度で一晩活性化する)をこの反応混合物に添加し、その後一晩60℃で加熱した。その後、熱いうちに反応混合物を濾過してモレキュラーシーブを除去し、得られた濾液を室温まで冷却した。次に、濾液から沈殿した固形物をガラス漏斗で収集した。この固形物は1H NMRによって純度95%の生成物であることがわかった。真空炉内において40℃で一晩乾燥させた後、92gの5が得られた(画分番号1)。次に得られた濾液を減圧下で濃縮して褐色油状物を得て、その後エタノール(200mL)で磨砕した。得られた沈殿物をガラス漏斗で収集し、1H NMRによって所望する生成物及び2−アミノ−4−ヒドロキシメチルピリジン(又はそのHBr塩)の混合物であることがわかった。濾過ケークを水(500mL)で洗浄し、その後真空炉内において50℃で3時間乾燥させた。該濾過ケークは濾液及び洗浄液と再度一緒にすると結晶化し、ガラス漏斗で濾過し、次に空気乾燥して、次いでペンタン(500mL)で洗浄した。真空炉内において40℃で一晩乾燥させた後、41gの5が得られた(画分番号2)。5の収率:133g(2段階で43%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ2.56(s、3H)、4.60(s、2H)、6.85(d、J=5.2Hz、1H)、7.07(d、J=7.2Hz、1H)、7.27(t、J=8.8Hz、2H)、7.62(m、3H)、8.43(d、J=5.2Hz、1H)、9.30(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)367.2。
【0097】
段階5:{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−7−イル}(メタンスルホニルオキシ)メタン(6)。
【0098】
空気攪拌器、窒素吸入口、温度計及び添加用漏斗を備えた2Lの3首丸底フラスコにイミダゾピリジン5(161g、0.439mol)を添加した。その後、テトラヒドロフラン(500mL)及びトリエチルアミン(66.7g、0.659mol)を添加した。次に、この反応混合物を氷水浴中で5℃まで冷却した。次に、塩化メタンスルホニル(55.4g、0.484mol)を滴下し、その間反応温度は<15℃に維持した。一旦添加が完了したら、氷浴を取り除き、この反応混合物を室温で1時間撹拌した。次に、この反応混合物を水(500mL)で希釈して、別の漏斗に移し、次いで酢酸エチル(2x500mL)で抽出した。次に、水層を飽和塩化ナトリウム溶液(500mL)で希釈して、さらに酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機画分全てを収集し、硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮し、固形物を得て、ペンタン(500mL)で磨砕して残存する溶媒を除去し、真空炉内において40℃で一晩乾燥した。6の収率:165.2g(85%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)2.64(s、3H)、3.07(s、3H)、5.32(s、2H)、6.82(d、J=5.2Hz、1H)、7.03(dd、J=7.2、1.6Hz、1H)、7.14(t、J=8.4Hz、2H)、7.61(m、2H)、7.73(s、1H)、8.32(d、J=5.6Hz、1H)、9.59(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)445.2。
【0099】
段階6:{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−7−イル}アセトニトリル(7)。
【0100】
1.0L丸底フラスコにメシレート6(7.40g、16.6mmol)、塩化メチレン(200mL)及びn−Bu4NCN(4.47g、16.6mmol)を添加した。室温で12時間撹拌した後、この反応混合物をシリカプラグに添加してヘプタン500mL、次に酢酸エチル:ヘプタン50:50、2L、次いで酢酸エチル4.0Lでクロマトグラフィーを行い、500mLの画分を収集した。所望する生成物を含有する画分(3から5)を収集し、減圧下で濃縮した。7の収率4.20g(67%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ2.65(s、3H)、3.88(s、2H)、6.83(d、J=5.5Hz、1H)、6.95(dd、J=7.5、2.0Hz、1H)、7.15(t、J=8.8Hz、2H)、7.62(m、2H)、7.69(s、1H)、8.32(d、J=5.0Hz、1H)、9.61(d、J=7.5Hz、1H)。MS(ESI+)376.2。
【0101】
段階7:{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メタンスルホニル)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}アセトニトリル(22)。
【0102】
スルフィド7(1.00g、2.66mmol)を含有する500mL丸底フラスコにメタノール(150mL)、次いでオキソン(10.0g、16.4mmol)の水溶液150mL、次いでアセトン(150mL)さらにアセトン(150mL)を添加した。室温で6時間撹拌した後、この反応混合物を別の漏斗に注ぎ、次いで水(250mL)で希釈し、次に酢酸エチル250mLで抽出して、次に水層をさらに酢酸エチル2x100mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、次いで減圧下で濃縮した。22の収率:980mg(91%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ3.40(s、3H)、3.91(s、2H)、7.07(d、J=7.6Hz、1H)、7.20(t、J=8.2Hz、2H)、7.31(d、J=5.6Hz、1H)、7.61(m、2H)、7.77(s、1H)、8.54(d、J=5.6Hz、1H)、9.92(d、J=7.6Hz、1H)。MS(ESI+)408.2。
【0103】
段階8:2{2−(4−フルオロフェニル)−3−[2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}エタンアミン(23)。
【0104】
ニトリル22(980mg、2.41mmol)を含有する300mL耐圧瓶にエタノール(18mL)、クロロホルム(2mL)次いでPtO2(200mg、0.881mmol)を添加した。次にこの耐圧瓶に栓をして、水素50psiを添加し、この反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後さらにPtO2(500mg、1.14mmol)を添加して、この耐圧瓶にさらに水素50psiを添加し、次いで栓をして、この反応混合物を室温で3時間撹拌した。この時点で、TLC分析によって反応が完了していることが示された。次に、この反応混合物を連続的に045□m Gelman nylon acrodiscで濾過した。次に、該濾液を減圧下で濃縮して、さらに精製することなく次段階に進めた。23の粗収率:1.20g(121%)。MS(ESI+)412.2。
【0105】
段階9:4[7−(2−アミノエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−アミン(24)。
【0106】
300mL耐圧瓶にスルホン23(1.20g粗生成物、理論的には1.00g、2.41mmol)次いでTHF(50mL)を添加し、次にドライアイス/イソプロパノール槽で−40℃まで冷却した。次に過剰なアンモニアガス(19.1g)をこの反応混合物に20分かけて吹き込んだ。その後この圧力瓶に栓をして、この反応混合物を撹拌しながら6時間室温まで温めた。次に、この反応混合物を減圧下で濃縮して、次いで最小量のCH2Cl2に溶解し、その後Isco Redisep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で塩化メチレン100%から開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。24の収率:214mg(2段階で26%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ2.87(t、J=7.0Hz、2H)、3.08(t、J=7.0Hz、2H)、5.14(bs、2H)、6.53(d、J=5.0Hz、1H)、6.82(dd、J=7.0、1.5Hz、1H)、7.14(m、2H)、7.51(s、1H)、7.65(m、2H)、8.13(d、J=5.5Hz、1H)、9.45(d、J=7.0Hz、1H)。MS(ESI+)349.3。
【実施例2】
【0107】
4{7−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}−ピリミジン−2−アミン(25)
【0108】
【化29】

段階1:4−{7−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}ピリミジン−2−アミン(25)
実施例1段階9の生成物(30mg、0.086mmol)を含有するPyrex−Plus試験管28mLにメタノール(1.0mL)を添加し、次に酢酸(33□L)、次にホルムアルデヒド(37%水溶液28mg、0.34mmol)、次にNaBH3CN(THFに溶かした1.0M溶液431□L、0.431mmol)を添加し、室温で12時間撹拌した。実施例1段階9の生成物(70mg、0.20mmol)を含有する別のPyrex−Plus試験管28mLにメタノール(2.0mL)を添加し、次に酢酸(67□L)、次にホルムアルデヒド(37%水溶液65mg、0.80mmol)、次にNaBH3CN(THFに溶かした1.0M溶液1.00mL、1.00mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。次に、既に調製した粗生成物50mgと共に両方の混合物を一緒にし、その後減圧下で濃縮して、次に最小量の塩化メチレンに溶解し、その後Isco RediSep順相シリカカートリッジ40gに直接注入し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮し、ジメチルアミン25、110mgを得た。この試料をメタノール4mLに溶解し、HPLCカラムに4x1.0mLを注入して、メタノール40%メタノール及び水60%で開始し、メタノール100%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。25の単離量:68mg。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ2.33(s、6H)、2.64(t、J=7.8Hz、2H)、2.89(t、J=7.8Hz、2H)、5.11(bs、2H)、6.52(d、J=5.5Hz、1H)、6.83(dd、J=7.0、2.0Hz、1H)、7.14(m、2H)、7.52(dd、J=1.8、0.5Hz、1H)、7.65(m、2H)、8.12(d、J=5.5Hz、1H)、9.44(dd、J=7.5、0.5Hz、1H)。MS(ESI+)377.4。
【実施例3】
【0109】
4−[7−(2−アミノ−1,1−ジメチルエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−アミン(28)
【0110】
【化30】

段階1:2−{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルスルファニル)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}−2−メチルプロパンニトリル(8)。
【0111】
500mL丸底フラスコにニトリル7(3.70g、9.85mmol)及びTHF(200mL)を添加し、該フラスコを氷水浴中で冷却した。次に、水素化ナトリウム(鉱物油に60%w/wで溶かした試料1.18g、29.6mmol)を小分けして添加し、次にヨウ化メチル(3.08g、21.7mmol)を添加した。この反応混合物を室温まで温めた。30分撹拌後、この反応を水100mLで停止し、次に酢酸エチル3x200mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮した。得られた残渣を最小量の塩化メチレンに溶解して、次にシリカプラグに添加してヘプタン1.0L、次いで酢酸エチル:ヘプタン50:50、2.0Lでクロマトグラフィーを行い、500mLの画分を収集した。所望する生成物を含有する画分(2から4)を収集し、減圧下で濃縮した。8の収率:3.21g(81%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.80(s、6H)、2.64(s、3H)、6.82(d、J=5.6Hz、1H)、7.11(d、J=7.3Hz、1H)、7.14(t、J=8.6Hz、2H)、7.61(m、2H)、7.77(s、1H)、8.31(d、J=5.6Hz、1H)、9.61(d、J=7.4Hz、1H)。MS(ESI+)404.2。
【0112】
段階2:2−{2−(4−フルオロフェニル)−3−[2−(メチルスルファニル)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}−2−メチルプロパンニトリル(26)。
【0113】
1.0L丸底フラスコにスルフィド8(2.20g、5.45mmol)、次いでメタノール(100mL)、次いでオキソン(10.0g、16.4mmol)の水溶液100mL、次いでアセトン(100mL)を添加した。室温で12時間撹拌した後、この反応混合物を別の漏斗に注ぎ、次いで水(100mL)で希釈し、次に酢酸エチル4x200mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、次いで減圧下で濃縮した。26の収率:2.10g(89%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.84(s、6H)、3.43(s、3H)、7.25(m、3H)、7.34、(d、J=5.5Hz、1H)、7.65(m、2H)、7.90(dd、J=2.0、1.0Hz、1H)、8.57(d、J=5.5Hz、1H)、9.97(dd、J=7.5、1.0Hz、1H)。MS(ESI+)436.2。
【0114】
段階3:2−[3−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−2−メチルプロパンニトリル(27)。
【0115】
300mL耐圧瓶にスルホン26(1.10g、2.53mmol)次いでTHF(50mL)を添加し、次にドライアイス/イソプロパノール槽で−40℃まで冷却した。次に過剰なアンモニアガス(49g)をこの反応混合物に20分かけて吹き込んだ。その後この耐圧瓶に栓をして、この反応混合物を撹拌しながら72時間室温まで温めた。この反応混合物を水(200mL)で希釈して、次に酢酸エチル3x200mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、次いで減圧下で濃縮した。27の収率:750mg(80%)。1H NMR (500 MHz、CDCl3)δ1.82(s、6H)、5.15(bs、2H)、6.56(d、J=5.5Hz、1H)、7.09(dd、J=7.5、2.0Hz、1H)、7.15(t、J=8.8Hz、2H)、7.66(m、2H)、7.77(d、J=2.0、1.0Hz、1H)、8.17(d、J=5.5Hz、1H)、9.45(dd、J=7.5、1.0Hz、1H)。MS(ESI+)373.4。
【0116】
段階4:4−[7−(2−アミノ−1,1−ジメチルエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(28)。
【0117】
THF(25mL)に溶かしたニトリル27(700mg、1.88mmol)を含有する100mL丸底フラスコに水素化アルミニウムリチウム(285mg、7.52mmol)を添加した。室温で45分間撹拌した後、この反応混合物を1.0Lエルレンマイヤーフラスコに注ぎ、酢酸エチル200mL、水10mL、硫酸ナトリウム及び過剰なNa2SO410H2O:セライト2:1で反応を止めた。この混合物を濾過し、次いで減圧下で濃縮して、その後最小量のCH2Cl2に溶解し、次にIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isc OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。28の収率:196mg(28%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.38(s、6H)、2.89(s、2H)、5.14(bs、2H)、6.54(d、J=5.5Hz、1H)、6.97(dd、J=7.5、2.0Hz、1H)、7.14(m、2H)、7.65(m、3H)、8.13(d、J=5.5Hz、1H)、9.46(dd、J=7.5、0.5Hz、1H)。MS(ESI+)377.2。
【実施例4】
【0118】
4−[7−(2−ジメチルアミノ−1,1−ジメチルエチル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(29)
【0119】
【化31】

アミン28(実施例3、170mg、0.452mmol)を含有するPyrex−Plus試験管28mLにメタノール(2.0mL)を添加し、次に酢酸(170□L)、次にホルムアルデヒド(37%水溶液110mg、1.35mmol)、次にNaBH3CN(1.0MのTHF溶液2.26mL、2.26mmol)を添加した。室温で1時間撹拌した後、この反応混合物をIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに直接注入し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮し、ジメチルアミン29、140mgを得た。この試料をメタノール5mLに溶解し、HPLCカラムで、5x1.0mLを注入して、メタノール40%及び水60%で開始し、メタノール100%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。29の収率:104mg(57%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.39(s、6H)、2.15(s、6H)、2.54(s、2H)、5.11(bs、2H)、6.54(d、J=5.5Hz、1H)、7.06(dd、J=7.3、2.0Hz、1H)、7.13(m、2H)、7.67(m、3H)、8.12(d、J=5.5Hz、1H)、9.44(dd、J=7.3、0.5Hz、1H)。MS(ESI+)405.3。
【実施例5】
【0120】
4−{2−(4−フルオロフェニル)−7−(ピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル}ピリミジン−2−アミン(38)
【0121】
【化32】

段階1:2−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)エタノンO−メチルオキシム(30)
2.0L丸底フラスコに4−フルオロフェンアシルブロミド(97.6g、450mmol)、次いでメタノール(750mL)、次にO−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(75.1g、899mol)を添加し、この混合物を65℃で2時間加熱した。次に、この反応混合物を減圧下で濃縮して、アセトン(750mL)及び臭化リチウム(195g、2.25mol)を添加し、60℃で15時間加熱した。次に、この反応混合物を減圧下で濃縮して、塩化メチレン1.0Lに懸濁し、水3x200mLで洗浄した。その後水層抽出物を収集し、塩化メチレン2x200mLで逆抽出した。次に有機抽出物全てを収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮して、O−メチルオキシム30を得た。30の収率:92.3g(83%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ4.10(s、3H)、4.35(s、2H)、7.11(t、J=8.8Hz、2H)、7.72(m、2H)。MS(ESI+)246.0。
【0122】
段階2:4−ピペリジン−4−イルピリジン(32)
この化合物は、ChemBridge Corp.、San Diego、CAから市販されている。
【0123】
段階3:ベンジル4−ピリジン−4−イルピペリジン−1−カルボキシレート(33)。
【0124】
10mL丸底フラスコにピペリジン32(500mg、3.08mmol)、次いでトリエチルアミン(314mg、3.10mmol)、次いでCbzCl(529mg、3.10mmol)を添加し、この反応混合物を室温で12時間撹拌した。その後、この反応混合物をNaHCO3の飽和水溶液50mLに注ぎ、塩化メチレン3x50mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮し、さらには精製しなかった。33の粗収率:900mg(99%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.87(m、2H)、2.30(m、2H)、2.69(m、1H)、2.91(bs、2H)、4.37(bs、2H)、5.17(m、2H)、7.13(d、J=6.3Hz、2H)、7.39(m、5H)、8.54(d、J=6.3Hz、2H)。
【0125】
段階4:ベンジル4[2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(34)。
【0126】
500mL丸底フラスコに粗ピリジン33(8.20g、27.7mmol)、アセトン(300mL)及びO−メチルオキシム30(6.8g、27.7mmol)を添加し、該反応混合物を室温で12時間撹拌し、その後薄層クロマトグラフィー検査によってピリジニル塩の形成が完了していることを示した。次に、この反応物を500mL丸底フラスコ内において減圧下で濃縮して、メタノール(200mL)、既に調製した他のピリジニル塩(600mg)及びカリウムtert−ブトキシド(3.90g、34.6mmol)を添加した。得られた混合物を65℃で4時間加熱した。次に、得られた混合物をNaHCO3の飽和水溶液400mLに注ぎ、塩化メチレン3x250mLで抽出した。有機画分を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮して、次に最小量のCH2Cl2に溶解して、その後Isco RediSep順相シリカカートリッジ3x40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。不純物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮して、次に最小量のCH2Cl2に溶解して、Isco RediSep順相シリカカートリッジ2x40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、100%ヘプタンで開始して、100%酢酸エチルで終了する勾配を使用して精製した。この方法を残存する不純物について1回繰り返した。34の収率:3.10g(26%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ1.50(m、2H)、1.76(m、2H)、2.55(m、1H)、2.77(bs、2H)、4.45(bs、2H)、5.04(s、2H)、6.48(d、J=5.3Hz、1H)、6.96(t、J=8.8Hz、2H)、7.24(m、6H)、7.57(s、1H)、7.76(m、2H)、7.86(d、J=7.1Hz、1H)。MS(ESI+)430.2。
【0127】
段階5:ベンジル4−[3−アセチル−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(35)。
【0128】
イミダゾピリジン34(290mg、0.675mmol)を250mL丸底フラスコ内で酢酸(50mL)に溶解した。次に、硫酸3滴を添加し、この反応物を140℃で24時間加熱した。その後、この反応物を減圧下で濃縮して、次に酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム溶液の両方で希釈して、酢酸エチルで繰り返し抽出した。有機画分を収集し、硫酸ナトリウムで乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮した。次に、粗生成物を塩化メチレン5mLに溶解し、次にIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、ヘプタン100%で開始し、酢酸エチル100%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。35の収率:180mg(56%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.67(m、2H)、1.92(m、2H)、2.17(s、3H)、2.81(m、1H)、2.93(bs、2H)、4.38(bs、2H)、5.16(s、2H)、6.48(d、J=7.2Hz、1H)、6.96(t、J=8.8Hz、2H)、7.24(m、5H)、7.57(s、1H)、7.76(m、2H)、7.86(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)472.2。
【0129】
段階6:ベンジル4−[3−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]ピペリジン−1−カルボキシレート(37)。
【0130】
28mL Pyrex Plus試験管にケトン35(420mg、0.89mmol)、DMFDMA(530mg、4.45mmol)及びトルエン(10mL)を添加した。該反応物を100℃で7時間加熱して、その後さらにDMFDMA(530mg、4.45mmol)を添加して、この反応物を100℃でさらに12時間加熱した。次に、この反応物を減圧下で濃縮して、次いで1−プロパノール(20mL)に溶解した。次に、この反応物にグアニジン−HCl(128mg、1.34mmol)及びナトリウムメトキシド(メタノールに溶かした25%(w/w)溶液305□L、1.34mmol)を添加して、該反応物を80℃で18時間加熱した。次にこの反応物を減圧下で濃縮して、次にCH2Cl210mLに溶解し、その後Isco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、ヘプタン100%で開始し、酢酸エチル100%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。37の収率:190mg(2段階で41%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.62(m、2H)、1.88(m、2H)、2.74(m、1H)、2.91(m、2H)、4.34(bs、2H)、5.14(s、2H)、5.21(s、2H)、6.48(d、J=5.2Hz、1H)、6.74(d、J=7.2Hz、1H)、7.09(t、J=8.8Hz、2H)、7.34(m、5H)、7.44(bs、1H)、7.60(m、2H)、8.08(d、J=5.2Hz、1H)、9.40(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)523.7。
【0131】
段階7:4[2−(4−フルオロフェニル)−7−(ピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(38)。
【0132】
炭酸ベンジル37(190mg、0.36mmol)を28mLPyrex Plus試験管内でCH3CN(5mL)中でスラリー状にした。その後TMSI(720mg、3.6mmol)を添加して、この反応を室温で2時間撹拌した。次に、この反応を減圧下で濃縮した。次に、粗生成物をCH2Cl210mLに溶解し、メタノールを数滴添加し、次にIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で塩化メチレン100%から開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。38の収率:140mg(100%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.67(m、2H)、1.84(m、2H)、2.67(m、1H)、2.74(m、2H)、3.18(m、2H)、5.03(s、2H)、6.44(d、J=5.2Hz、1H)、6.77(d、J=7.2Hz、1H)、7.05(t、J=8.8Hz、2H)、7.43(bs、1H)、7.56(m、2H)、8.04(d、J=5.2Hz、1H)、9.36(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)389.2。
【実施例6】
【0133】
4[2−(4−フルオロフェニル)1−7−(1−メチルピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(39)。
【0134】
【化33】

段階1:4−[2−(4−フルオロフェニル)1−7−(1−メチルピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(39)。
【0135】
N−プロチオピペリジン38(140mg、0.36mmol)を含有する反応試験管28mLにメタノール(7mL)、ホルムアルデヒド(37%水溶液88mg、1.1mmol)、次に酢酸(180□L)、次にNaBH3CN(THFに溶かした1.0M溶液4.0mL、4.0mmol)を添加し、この反応を室温で20分間撹拌した。次に、該反応物をIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに直接注入し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。その後、所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。次に、粗生成物(110mg、76%)をDMSO3mLに溶解し、0.5mLずつ増量しながらsemi−prep逆相HPLCカラムに注入し、メタノール20%及び水80%で開始し、メタノール100%で終了する勾配を使用して精製した。所望する純生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。39の収率:60mg(41%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ1.89(m、4H)、2.08(t、J=11.6Hz、2H)、2.33(s、3H)、2.56(m、1H)、3.00(bd、J=11.6Hz、2H)、5.11(s、2H)、6.49(d、J=5.4Hz、1H)、6.82(d、J=7.4Hz、1H)、7.10(t、J=8.8Hz、2H)、7.49(bs、1H)、7.61(m、2H)、8.09(d、J=5.4Hz、1H)、9.41(d、J=7.4Hz、1H)。MS(ESI+)403.2。
【実施例7】
【0136】
1−[3−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−2−(ジメチルアミノ)エタノール(44)。
【0137】
【化34】

段階1:2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−カルブアルデヒド(40)。
【0138】
1.0mL丸底フラスコにアルコール5(3.66g、9.99mol)、塩化メチレン(750mL)及びMnO2(21.7g、250mmol)を添加した。室温で5時間撹拌した後、この反応物をセライトパッドに注ぎ、次に反応フラスコを塩化メチレン750mL及び酢酸エチル500mLで洗浄し、洗浄液をまたセライトで濾過した。次に、該濾液を減圧下で濃縮し真空下で乾燥して、さらに精製はしなかった。40の収率:2.39g(66%)。1H NMR(500MHz、CDCl3)δ2.65(s、3H)、6.87(d、J=5.5Hz、1H)、7.17(t、J=9.0Hz、2H)、7.51(d、J=7.5Hz、1H)、7.65(m、2H)、8.27(s、1H)、8.40(d、J=5.5Hz、1H)、9.54(d、J=7.5Hz、1H)、10.08(s、1H)。MS(ESI+)365.2。
【0139】
段階2:2−(4−フルオロフェニル)−7−(3−メチル−1,3−オキサゾリジン−5−イル)−3−[2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン(41)。
【0140】
ディーンスタークトラップを備えた250mL丸底フラスコにアルデヒド40(1.44g、3.95mmol)、トルエン(120mL)、サルコシン(710mg、7.97mmol)及びパラホルムアルデヒド(600mg、20.0mmol)を添加し、この反応物を還流しながら12時間加熱し、次に減圧下で濃縮し、最小量のアセトンに溶解して、シリカカートリッジ5gで濾過して、次いでアセトン80mLで洗浄した。次に、該濾液を減圧下で濃縮して、さらには精製しなかった。41の収率:1.65g(98%)。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ2.63(bs、6H)、2.94(m、1H)、3.55(m、1H)、4.65(m、1H)、4.69(m、1H)、5.18(m、1H)、6.80(d、J=5.4Hz、1H)、6.97(d、J=7.6Hz、1H)、7.13(t、J=8.4Hz、2H)、7.61(m、2H)、7.69(s、1H)、8.29(d、J=5.4Hz、1H)、9.56(d、J=7.6Hz、1H)。MS(ESI+)410.2(MS条件下では、アミナール結合は切断され、代わりに、得られた7−C(OH)HCH2N(Me)H生成物からM+1ピークが認められる)。
【0141】
段階3:{2−(4−フルオロフェニル)−3−[(2−メチルチオ)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル}−2−(ジメチルアミノ)エタノール(42)。
【0142】
100mL丸底フラスコにオキサゾリジン41(1.65g、3.91mmol)、エタノール(50mL)及び水素化ホウ素ナトリウム(450mg、11.9mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。その後、この反応をNH4Cl20%水溶液16mLで停止し、減圧下で濃縮して、次に水で希釈し、炭酸カリウムの水溶液で中和した。その後、この溶液を塩化メチレン(3x50mL)で抽出した。次に有機抽出物を収集し、Na2SO4で乾燥して、濾過して、減圧下で濃縮して、(ジメチルアミノ)エタノール42(粗収率:1.31g、78%)を得た。次に、粗生成物を最小量のCH2Cl2に溶解し、次にIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。42の収率:1.01g(2段階で60%)。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ2.21(s、6H)、2.49(m、2H)、2.58(s、3H)、4.77(m、1H)、5.40(bs、1H)、6.86(d、J=5.6Hz、1H)、7.16(dd、J=7.2、1.6Hz、1H)、7.29(t、J=8.8Hz、2H)、7.64(m、3H)、8.45(d、J=5.6Hz、1H)、9.32(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)424.2。
【0143】
段階4:2−(4−フルオロフェニル)−3−[2−(メチルスルホニル)ピリミジン−4−イル]イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル−2−(ジメチルアミノ)エタノール(43)。
【0144】
スルフィド7(720mg、1.70mmol)を含有する100mL丸底フラスコにメタノール(20mL)、次いで水(20mL)に溶かしたオキソン(3.14g、5.10mmol)の溶液、次いでアセトン(20mL)を添加した。室温で12時間撹拌した後、この反応物をドライアイス/イソプロパノール槽で−20℃未満に冷却し、次いでSO2を5分間泡立てた。次に該反応物を減圧下で濃縮して有機溶媒を除去し、得られた水性混合物を炭酸カリウム水溶液で中和した。得られた水性溶液を酢酸エチルに徹底的に抽出し、有機画分を収集し、MgSO4で乾燥し、濾過して減圧下で濃縮して、スルホン生成物はさらには精製しなかった。43の収率:470mg(61%)。1H NMR(400 MHz、DMSO−d6)δ2.30(s、6H)、2.49(m、2H)、3.47(s、3H)、4.85(m、1H)、5.60(m、1H)、7.25(d、J=7.4Hz、1H)、7.33(t、J=8.8Hz、2H)、7.37(d、J=5.6Hz、1H)、7.71(m、3H)、8.80(d、J=5.6Hz、1H)、9.51(d、J=7.4Hz、1H)。MS(ESI+)456.2。
【0145】
段階5:1−[3−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロフェニル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル]−2−(ジメチルアミノ)エタノール(44)。
【0146】
スルホン43(320mg、0.703mmol)を含有する耐圧瓶にテトラヒドロフラン(40mL)を添加し、次にドライアイス/イソプロパノール槽で<−40℃まで冷却した。アンモニアガス(5.3g、0.31mol)を該反応物で泡立てた。その後この圧力瓶に栓をして、この反応物を撹拌しながら12時間室温まで温めた。次に、圧力を緩めて、この反応物を減圧下で濃縮して、最小量のCH2Cl2に溶解し、次にIsco RediSep順相シリカカートリッジ40gに添加し、Isco OptiX10 CombiFlash装置で、塩化メチレン100%で開始し、塩化メチレン90%、メタノール9%、濃縮水酸化アンモニウム1%で終了する勾配を使用して精製した。所望する生成物を含有する画分を収集し、減圧下で濃縮した。44の収率:158mg(57%)。1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ2.21(s、6H)、2.49(m、2H)、4.77(m、1H)、5.38(m、1H)、6.31(d、J=5.4Hz、1H)、6.83(bs、2H)、7.04(dd、J=7.2、1.6Hz、1H)、7.28(t、J=8.8Hz、2H)、7.60(s、1H)、7.65(m、2H)、8.10(d、J=5.4Hz、1H)、9.48(d、J=7.2Hz、1H)。MS(ESI+)393.2。
【実施例8】
【0147】
4[2−(4−フルオロフェニル)−1−7−(1−メチル−1−オキシピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(45)。
【0148】
【化35】

前記で例示したN−オキシドは、無水ジクロロメタンに溶かした4[2−(4−フルオロフェニル)1−7−(1−メチルピペリジン−4−イル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]ピリミジン−2−アミン(39)の溶液を窒素下で0℃で1等量の3−クロロペルオキシ安息香酸で処理することによって調製することができる。得られた溶液を0℃で15分間撹拌し、留去して前記の実施例で示したように精製し、N−オキシド45を得た。
【0149】
以下の化合物は、実施例8で例示したものと同様の方法によって調製することができる。
【実施例9】
【0150】
【化36】

【実施例10】
【0151】
【化37】

【実施例11】
【0152】
【化38】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

(式中、R1は、水素、メチル又はフルオロであり、
2は、水素又はメチルであり、
3は、−L−NRcd
【化2】

から選択され、
Lは、−(CRab2〜5−及び
【化3】

から選択され、
a及びRbは、水素、OH、F及びC1〜4アルキルから独立に選択され、但しRaがOHであるとき、Cに結合したRbは、水素又はC1〜4アルキルであり、
又はRa及びRbは、それらが結合したCと一緒になってC3〜6シクロアルキルを形成し、
c及びRdは、水素及びC1〜4アルキルから独立に選択され、
n及びmは、独立して0、1、2、3又は4であり、但しn+m=2、3又は4であり、
qは1又は2であり、
pは1、2又は3である。)
又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項2】
3が−L−NRcdである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項3】
3が、
【化4】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項4】
3が、
【化5】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項5】
3が、
【化6】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項6】
3が、
【化7】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項7】
3が、
【化8】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項8】
3が、
【化9】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項9】
3が−(CRab2−NRcdである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項10】
3が−CRab−CH2−NRcdである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項11】
3が−(COH)Rb−CH2−NRcdである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項12】
3がピペリジニルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項13】
3が[N−(C1〜4)アルキル]ピペリジニルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項14】
3がピペリジン−4−イルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項15】
3が[N−(C1〜4)アルキル]ピペリジン−4−イルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項16】
3が[N−メチル]ピペリジン−4−イルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項17】
3が[N−エチル]ピペリジン−4−イルである、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項18】
Lが、
【化10】

である、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項19】
Lが−(CRab2〜5−であり、
1個の(CRcd)が1,1−(C3〜6シクロアルキル)を表す、
請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項20】

【表1】


の化合物又は薬剤として許容されるそれらの塩若しくはN−オキシド。
【請求項21】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1に記載の化合物を鳥類に投与することを含む、前記鳥類のコクシジウム症を制御する方法。
【請求項22】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1に記載の化合物及び第2の抗コクシジウム薬を含む抗コクシジウム薬の組み合わせを鳥類に投与することを含む、前記鳥類のコクシジウム症を制御する方法。
【請求項23】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、クロピドール、メチルクロピンドール、デコキネート、ジニトルミド、ハロフジノン、ラサロシド、マズラマイシン、モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロベニジン、サリノマイシン、センズラマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、ラサロシド、モネンシン、サリノマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む、コクシジウム症を制御するための組成物。
【請求項26】
第2の抗コクシジウム薬をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、クロピドール、メチルクロピンドール、デコキネート、ジニトルミド、ハロフジノン、ラサロシド、マズラマイシン、モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロベニジン、サリノマイシン、センズラマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、ラサロシド、モネンシン、サリノマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記担体が鳥類用飼料である、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
第2の抗コクシジウム薬をさらに含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、クロピドール、メチルクロピンドール、デコキネート、ジニトルミド、ハロフジノン、ラサロシド、マズラマイシン、モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロベニジン、サリノマイシン、センズラマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、ラサロシド、モネンシン、サリノマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記担体が鳥類用飼料プレミックスである、請求項25に記載の組成物。
【請求項34】
第2の抗コクシジウム薬をさらに含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、クロピドール、メチルクロピンドール、デコキネート、ジニトルミド、ハロフジノン、ラサロシド、マズラマイシン、モネンシン、ナラシン、ナイカルバジン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ロベニジン、サリノマイシン、センズラマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記第2の抗コクシジウム薬が、アンプロリウム、エトパベート、ラサロシド、モネンシン、サリノマイシン及びジクラズリルから成る群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む、マラリアを制御する組成物。
【請求項38】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1の化合物を哺乳類患者に投与することを含む、前記哺乳類患者のマラリアを制御する方法。
【請求項39】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む、アフリカトリパノソーマ症を制御する組成物。
【請求項40】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1の化合物を哺乳類患者に投与することを含む、前記哺乳類患者のアフリカトリパノソーマ症を制御する方法。
【請求項41】
請求項1に記載の化合物及び薬剤として許容される担体とを含む、シャーガス病を制御する組成物。
【請求項42】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1の化合物を哺乳類患者に投与することを含む、前記哺乳類患者のシャーガス病を制御する方法。
【請求項43】
治療上有効な量又は予防上有効な量の、請求項1の化合物を患者に投与することを含む、前記哺乳類患者のトキソプラズマ症を制御する方法。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物と薬剤として許容される担体とを含む、トキソプラズマ症を制御する組成物。

【公表番号】特表2006−520819(P2006−520819A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508940(P2006−508940)
【出願日】平成16年3月2日(2004.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/006153
【国際公開番号】WO2004/080390
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
PYREX
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】