説明

抗疲労添加剤としてのコームポリマーの使用

本発明は、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーの、潤滑剤における抗疲労添加剤としての使用に関する。更に本発明は、新規コームポリマー及びその製法ならびに該コームポリマーを有する潤滑油に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗疲労添加剤としてのコームポリマーの使用に関する。更に本発明は、改善した特性を有するコームポリマー及びその製法に関する。更に本発明は、該コームポリマーを含む潤滑油組成物に関する。
【0002】
燃料の節約(石油経済)の理由により近年の研究課題は、燃油のチャーニング損失及び内部摩擦を一層減少させることである。そのため、過去数年間は、使用燃油のより一層少ない粘度及びそれに伴いより一層薄い潤滑フィルム(特に高温で)への傾向が示される。この傾向の不利な結果は、特に使用の際にトランスミッション及びローラーベアリングに増大した損傷が生じるということである。
【0003】
トランスミッションの設計では、全てのスライディング接触部、すなわち歯車装置(gearing)とローラーベアリング(roller bearing)が全ての運転状態で十分に潤滑されていなくてはならない。歯車装置及びローラーベアリングの損傷は、高度な局部応力の結果である。ここで、特にトランスミッションの、特に歯車装置とローラーベアリングの金属表面の欠陥については、2つのグループに区別される:
1:2つの摩擦相手が表面摩耗した後の連続的な表面材料の除去による摩耗又は突発的な材料除去によるスカッフィング。
2:灰斑(gray staining、表面疲労、マイクロピッチング)又はクレーター(下部表面疲労、ピッチング)により目視可能になる疲労。この損傷は、金属格子内の剪断応力により表面下20〜40μm又は100〜500μmで引き起こされるひび割れによる材料の剥離又は破壊によって生じる。
【0004】
前記のようなタイプの損傷は、歯車装置とローラーベアリングに関しては一般に公知であり、かつ例えば文献"Gears-Wear and Damage to Gear Teeth", ISO DIS 10825及びFAG社(シェフラーKG、シュヴァインフールト),2004の"Waelzagerschaeden"[Damage to roller bearings], Publ. No. WL 82102/2 DAに記載されている。
【0005】
歯車装置とローラーベアリングで生じる連続的な表面材料の除去により生じる摩耗は、緩慢な速度で生じ、その場合に潤滑フィルムが薄すぎることによって表面粗さが接触するようになる。このメカニズムにより生じる材料の分解は、例えば、T. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001の図10.10に記載されていて、この場合に、摩耗の著しい兆候を有する歯面が示されている。ローラー体上に筋の形成の形で見られる不均一な摩耗は、FAG社(シェフラーKG、シュヴァインフールト),2004の"Waelzlagerschaeden",Publ. No. WL 82102/2DAの図68に記載されている。
【0006】
潤滑剤は、これが抗摩耗性添加剤を含有し、かつ高粘性である場合に耐摩耗性に関して十分に作用を発揮する。
【0007】
歯面上のスカッフィングは、通常は中程度から高速で生じる。この場合に接触表面は短時間接合され、かつ直ちに互いに再び裂ける。このような損傷の典型的な現像は、例えば、T. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001の図10.11に記載されている。損傷は、相互に咬み合う側面部で生じ、そこでは極めて高い滑り速度が存在する(しばしば歯面の上で)。これは既に1回の過負荷によって誘発され得る突発的に出現する損傷である。同様にスカッフィング損傷は、ローラーベアリングでも生じる。これは特に大きなベアリングで、例えばセメントミルのトランスミッションで観察される。低すぎる運転粘度、高すぎる応力及び/又は極めて高い回転速度により、ローラーと縁(例えば、テーパーになったローラーベアリング)の間に不十分な潤滑剤フィルム形成があり、局所的接合を生じる(FAG社(シェフラーKG),シュヴァインフールト, 2004の図81"Waelzlagerschaeden"、Pub.No.WL 82192/2 DA参照。
【0008】
スカッフィング損傷は、潤滑剤中の極圧(EP)添加剤により5倍以上減少させることができる。
【0009】
項目2で予め記載した材料疲労は、特に灰斑形成又はクレーター形成によって判明する。
【0010】
灰斑形成は、まず金属格子内の表面下20〜40μmで細かい亀裂で開始する。この亀裂は表面へ成長し、材料の破裂を引き起こし、これは目視可能な灰斑として認められる。歯車装置の場合には、事実上全ての速度範囲で歯面に灰斑を観察できる。灰斑は、優先的に滑り接触範囲内で生じ、その際、これは例えばT. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001の図10.13に示されている。ローラーベアリングでも、擦り接触の範囲内で軌道上に極めて平らな突出物が灰斑として生じ、これは例示的にFAG社(シェフラーKG),シュヴァインフールト,2004の"Waelzlagerschaeden"、Pub.No.WL 82192/2 DA、図49に記載されている。
【0011】
クレーター形成は、同様に疲労損傷であり、これは全ての速度範囲で観察され得る。ここでも、損傷形成は、金属格子内の深さ100〜500μmでの亀裂から開始する。この亀裂は最終的に表面へ成長し、破裂後に顕著なクレーターを残す。歯車装置の場合には、これらのクレーターは有利には歯面の真ん中で生じ、かつローラーベアリングの場合には大抵は回転ベアリングリングに出現する。これらの損傷についての図は、特にT. Mang, W.Dresel(eds.): "Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001(図10.14及び図10.15参照)及びFAG社(シェフラーKG),シュヴァインフールト,2004の"Waelzlagerschaeden"、Pub.No.WL 82 102/2DA(図43参照)にある。従って、灰斑形成とは反対に、損傷は転がり接触範囲内に生じる。それというのも、それぞれの場合にそこでは最大の負荷及び最大の負荷変動の振幅が存在するからである。
【0012】
"摩耗"及び"スカッフィング"欠陥とは明らかに異なり、"灰斑"及び"クレーター"の遙かに重大な疲労欠陥は、添加剤、例えば、前記の耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤では、目下のところ目的を定めて影響させることができない(R. M. Mortier, S. T. Orszulik(eds.):"Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London, 第二版、1997;J. Bartz:"Additive fuer Schmierstoffe", Expert-Verlag, Renningen-Malmsheim 1994;T. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubrocants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001参照)。今日までの研究により、灰斑耐性及びクレーター耐性は、潤滑剤の粘度によって影響させることができることだけが示されてきた。この場合、増大した粘度は疲労継続時間において延長作用を有する(U. Schedl:"FVA-Forschungsvorhaben 2/IV;Pittingtest-Einfluss der Schmierstoffs auf die Gruebchenlebensdauer einsatzgehaerteter Zahnraeder im Einstufen- und Lastkollektivversuch", Forschungsvereinigung Antriebstechnik、小冊子530、フランクフルト1997参照)。
【0013】
粘性特性を改善するために、潤滑油、例えば、トランスミッションオイル又はエンジンオイル中で、コモノマー、特に窒素含有又は酸素含有モノマーで部分的に官能化されていてよいポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)が長い間使用されている。このVI改善剤には、ジメチルアミノエチルメタクリレート(E. I. Duppont de Nemours and Co.のUS 2737496)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド(Texaco Inc.のUS4021357)又はヒドロキシエチルメタクリレート(Shell Oil. CoのUS 3249545)で官能化されたポリマーが挙げられる。
【0014】
潤滑油用途のPAMAをベースとするVI改善剤は、常に改善されている。例えば、最近ではブロック様の配列を有するポリマーも潤滑油で使用するために多く記載されている。
【0015】
例えば、Rohm and Haasの出版物US3506574には、PAMAベースポリマーから成る連続ポリマーが記載されていて、これは後続反応においてN−ビニルピロリドンとグラフトされている。
【0016】
市販のVI改善剤の広いクラスは、水素化スチレン−ジエンコポリマー(HSDs)である。これらのHSDsは(−B−A)n星状の形(Shell Oil Company社のUS 4116917)及びA−B−ジブロック及びA−B−A−トリブロックコポリマーの形で(Shell Oil Company社のUS3772196とUS 4788316)存在していてもよい。この場合に、Aは水素化ポリイソブレンから成るブロックを意味し、かつBは、ジビニルベンゼン−架橋ポリスチレンコア又はポリスチレンから成るブロックを意味する。Infineum International Ltd.社(UK、Abingdon)のInfineum SV系には、このタイプの製品が含まれる。通常のスターポリマーはInfineum SV 200、250及び260である。Infineu, SV 150は、ジブロックポリマーである。記載された製品は遊離キャリアーオイル又は溶剤である。特に、Infineum SV 200のようなスターポリマーは、濃厚化作用、粘度指数及び剪断安定性に関して極めて有利である。更なるスターポリマーは、特にWO 2007/025837(RohMax Additives)に記載されている。
【0017】
更に、ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)を使用して粘度指数(VI)を改善することもできる。例えば、Roehm GmbHによるEP0621293とEP0699694には、有利なコームポリマーが記載されている。VIの更なる改善は、特異的パラメーターを保持することにより、WO 2007/003238(RohMax Additives)の教示により達成できる。耐摩耗性添加剤としての効果は、これらの出版物には記載されていない。
【0018】
エンジンオイルにおける煤煙分散(ピストン洗浄)、耐摩耗性特性及び摩擦係数調整に関する有利な特性は、N−ビニル化合物(通常はN−ビニルピロリドン)をPAMAベースポリマーにグラフトすることで通常のPAMA化学で確立できる(Rohm and HaasのDE 1520696及びRohMax AdditivesのWO 2006/007934)。VISCOPLEX(登録商標) 6-950は、RohMax Additives(ダルムシュタット、ドイツ)により市販されている。
【0019】
更に、出版物WO 2001/40339又はRohMax Additives GmbHのDE 102005041528には、それぞれ潤滑油用途のブロックコポリマーとスターブロックコポリマーが記載されていて、これらは特にATRP法により得られている。
【0020】
より低いエネルギー消費につながるVI改善剤の摩耗を低減する付加的機能及び摩擦低減に関するブロック構造の利点は既に説明してある。
【0021】
WO 2004/087850には、優れた摩擦特性を有するブロックコポリマーを含有している潤滑油調製物が記載されている。この場合にブロックコポリマーは摩擦係数調整剤として作用する。
【0022】
WO 2006/105926には、目的を定めて選択されたN/O−機能性モノマーに由来するブロックコポリマーならびに、摩擦係数調整剤及び分散剤としてのその使用が記載されている。
【0023】
RohMax Additives GmbHのWO 2006/007934には、潤滑油調製物、特にエンジンオイルにおける耐摩耗性添加剤としてのグラフトポリマーの使用が記載されている。RohMax Additives GmbHのWO 2005/097956には、同様に、H−架橋を有するグラフトポリマーを含有している潤滑油調製物が耐摩耗性添加剤として記載されている。
【0024】
予め記載したように、添加剤の使用による摩耗又はスカッフィングによる損傷を阻害する試みが今日まで行われてきた。しかし、これまでに材料の疲労は、比較的に高い粘度を有する油の使用によるか、又は歯車装置及び/又はローラーベアリング用の特殊な材料の使用より対抗できるにすぎない。しかし、両方の可能性は不利点を被る。その際、新規材料の使用は高価であり、かつ更なる改善が望ましい。高粘性油の使用は、高い内部摩擦につながり、それにより高い燃料消費を生じる。従って、潤滑剤の粘度の増大と関連せずに抗疲労添加剤として使用できる特別な化合物が役立つであろう。
【0025】
従来技術を考慮して、本発明の対象は材料疲労の減少につながる添加剤(抗疲労添加剤)を提供することであった。これは、特に上記灰斑(gray staining、表面疲労、マイクロピッチング)又はクレーター(下部表面疲労、ピッチング)の形成の減少を達成すべきである。
【0026】
本発明のもう1つの対象は、簡単かつ廉価に製造できる添加剤を提供すべきであり、その際に特に市販されている成分を使用すべきである。これに関連して、新たなプラント又は構造的に費用のかかるプラントを必要とせずに、製造が大工業的に行えるべきである。
【0027】
本発明の更なる目的は、潤滑剤において多数の所望の特性をもたらす添加剤を提供することである。これにより種々の添加剤の数を最小限に抑えることができる。
【0028】
更に、該添加剤は、燃料消費又は潤滑剤の環境相容性にマイナスの効果を示すべきではない。
【0029】
その上、該添加剤は、相応して変性された潤滑油が長期間にわたり使用できるように、使用の間に特に長い耐久性及び僅かな分解を示すべきである。
【0030】
これらの対象ならびに詳しく説明されていないが、本明細書内の導入で議論した関連から容易に推論できるか又は認識できる更なる対象は、請求項1に記載の全ての特徴を有するコームコポリマーの使用により解決される。特に有利な解決法は、請求項7から16に記載のコームポリマーにより提供される。本発明によるコームポリマーの好適な変法は、請求項7もしくは16に戻って参照する従属請求項で保護下にある。コームポリマーの製法に関しては、請求項26は根底にある解決法を提供するのに対して、請求項28は本発明のコームポリマーを有する潤滑油組成物を保護する。
【0031】
従って本発明の対象は、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーの、潤滑剤における抗疲労添加剤としての使用である。
【0032】
意外にも特別な利点は、本発明により提供される特別なコームポリマーにより達成できる。従って本発明の対象は、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーであって、該ポリマーはアルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、少なくとも50%THFの極性及び15〜50ml/gの範囲内の極限粘度を有することを特徴とするコームポリマーにより解決される。
【0033】
更に本発明の対象は、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーであって、該コームポリマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも10質量%、1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%及び少なくとも30%THFの極性を有することを特徴とするコームポリマーを提供する。
【0034】
これにより、予測できない方法で材料疲労の減少を生じる潤滑油用の添加剤(抗疲労添加剤)を提供することに成功した。この場合に、これらの添加剤は予め記載した灰斑(gray staining、表面疲労、マイクロピッチング)もしくはクレーター(下部表面疲労、ピッチング)の形成の減少を達成する。
【0035】
更に、この添加剤は簡単にかつ廉価に製造することができ、その際に、特に市販されている成分を使用することができる。この場合に、新たな又は構造的に費用のかかるプラントを必要とせずに、製造を大工業的に行うことができる。
【0036】
更に、本発明により使用すべきポリマーは特に望ましい特性プロフィールを示す。従って、ポリマーは意外にも剪断安定性に形成できるので、潤滑剤は極めて長い耐久性を有する。更に、本発明により使用すべき添加剤は、潤滑剤において多くの望ましい特性を作用させる。例えば、著しく低い温度特性又は粘度特性を有する本発明のコームポリマーを含む潤滑剤を製造することができる。これにより、種々の添加剤の数を最小限に抑えることができる。更に、本発明のコームポリマーは多くの添加剤を用いて補償される。これにより、潤滑剤を種々の要求に合わせることができる。
【0037】
更に、使用すべき添加剤は燃料消費又は潤滑剤の環境相容性にマイナスの作用を示さない。その上、本発明によるコームポリマーは簡単にかつ廉価に製造でき、その際に特に市販されている成分を使用できる。更に、本発明のコームポリマーは大工業的に製造でき、このために新規又は構造的に費用のかかるプラントを必要としない。
【0038】
本明細書で使用されるコームポリマーという用語は自体公知であり、その際に、ポリマー主鎖(頻繁には骨格又は"バックボーン"とも称される)には、長い側鎖が結合している。この場合には、本発明によるポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する少なくとも1つの繰り返し単位を有する。
【0039】
"主鎖"という用語は、必ずしも主鎖の鎖長が側鎖よりも長いものを意味するわけではない。むしろこの用語は、この鎖の組成物も意味する。一方、側鎖はオレフィン性繰り返し単位、特に、アルケンもしくはアルカジエン、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレンに由来する単位の極めて高い割合を有し、主鎖は、より極性の不飽和モノマーの大部分の割合に由来し、これは他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルを含む。
【0040】
繰り返し単位という用語は、当該分野で広く公知である。該コームポリマーは、有利には、マクロモノマーと低分子モノマーのラジカル重合により得ることができる。この場合に、共有結合の形成下に二重結合が開環する。それに応じて、使用されるモノマーから繰り返し単位が生じる。しかし、本発明のコームポリマーはポリマー類似反応及び/又はグラフト共重合により得ることができる。この場合には、主鎖の反応した繰り返し単位は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位に含まれる。同様に、本発明によるコームポリマーをグラフト共重合により製造する場合にも当てはまる。
【0041】
本発明は、有利に高い油溶性を有するコームポリマーを記載する。油溶性という用語は、基油と本発明によるコームポリマーの混合物(本発明によるコームポリマーの少なくとも0.1質量%、有利には少なくとも0.5質量%を有する)が顕微学的相形成なしに製造できることを意味する。この混合物中では、コームポリマーは分散及び/又は溶解して存在することができる。油溶性は、特に親油性側鎖ならびに基油の割合に依存する。この特性は当業者に公知であり、かつその都度の基油は親油性モノマーの割合により簡単に調節できる。
【0042】
本発明によるコームポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を含む。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーは当該分野で公知である。この繰り返し単位には、ポリオレフィンに由来する少なくとも1つの基が含まれる。ポリオレフィンは当該分野で公知であり、その際にこれは元素の炭素と水素から成るアルケン及び/又はアルカジエン、例えば、C2〜C10−アルケン、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ノルボルネン及び/又はC4〜C10−アルカジエン、例えば、ブタジエン、イソプレン、ノルボルナジエンの重合により得られる。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位には、有利には、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、少なくとも70質量%、特に有利には少なくとも80質量%及びとりわけ有利には少なくとも90質量%のアルケン及び/又はアルカジエンに由来する基が含まれる。この場合に、ポリオレフィン性基は、特に、水素化されて存在していてもよい。アルケン及び/又はアルカジエンに由来する基の他に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、更なる基を含んでいてもよい。これには、共重合可能なモノマーの僅かな割合が属する。このモノマーは自体公知であり、かつ特にアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルが含まれる。共重合可能なモノマーをベースとする基に対するこれらの割合は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、有利には最大で30質量%、特に有利には最大で15質量%である。更に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、出発基及び/又は末端基を含んでいてもよく、これは官能化に使用されるか、又はポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の製造により条件付けられる。この出発基及び/又は末端基の割合は、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の質量に対して、有利には最大で30質量%、特に有利には最大で15質量%である。
【0043】
有利には、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の分子量の数平均は、500〜50000g/molの範囲内、特に有利には700〜10000g/molの範囲内、特に1500〜5500g/molの範囲内、とりわけ有利には4000〜5000g/molの範囲内である。
【0044】
これらの値は、低分子モノマーとマクロ分子のモノマーの共重合によりコームポリマーを製造する場合には、マクロ分子モノマーの特性により生じる。ポリマー類似反応の場合には、この特性は主鎖の反応した繰り返し単位を考慮に入れて、例えば使用したマクロアルコール及び/又はマクロアミンから生じる。グラフト共重合の場合には、主鎖中に組み込まれずに形成されたポリオレフィンの割合からポリオレフィンの分子量分布が推測される。
【0045】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位は、有利には低い溶融温度を有し、その際に、これはDSCにより測定される。ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の溶融温度は、−10℃以下、特に有利には−20℃以下、とりわけ有利には−40℃以下である。DSCによる溶融温度が、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位では測定されないのがとりわけ有利である。
【0046】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位の他に、本発明によるコームポリマーは、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を含む。"低分子"という用語は、コームポリマーの骨格の繰り返し単位の一部が僅かな分子量しか有さないことを明確にする。分子量は、製造に応じて、ポリマーの製造に使用されるモノマーの分子量から生じることができる。低分子繰り返し単位もしくは低分子モノマーの分子量は、有利には最大で400g/mol、特に有利には最大で200g/mol、かつとりわけ有利には最大で150g/molである。これらのモノマーには、特にアルキル(メタ)アクリレート、スチレンモノマー、フマレート、マレエート、ビニルエステル及び/又はビニルエーテルが含まれる。
【0047】
有利な低分子モノマーには、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマー、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、アシル基中に1〜11個の炭素原子を有するビニルエステル、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するビニルエーテル、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレート、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートならびにこれらのモノマーの混合物に由来するものが属する。これらのモノマーは当該分野で広く公知である。
【0048】
8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーの例は、スチレン、側鎖中にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、α−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えば、ビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えば、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレンである。
【0049】
"(メタ)アクリレート"という用語には、アクリレート及びメタクリレートならびにアクリレートとメタクリレートの混合物が含まれる。アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートには、特に飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソ−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−tert−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルチルデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソ−プロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソ−プロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;不飽和アルコールに由来する(メタ)アクリレート、例えば、2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、3−ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが属する。
【0050】
アシル基中に1〜30個の炭素原子を有するビニルエステルの例は、特にビニルホルミエート、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレートであり、有利なビニルエステルは、アシル基中に2〜9個、特に有利には2〜5個の炭素原子を含む。この場合に、アシル基は線状又は分枝状であってよい。
【0051】
アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するビニルエーテルの例は、特に、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテルである。ビニルエーテルは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0052】
(ジ)エステルという表記は、モノエステル、ジエステルならびにエステル、特にフマル酸及び/又はマレイン酸のエステルの混合物に使用できることを意味する。アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する(ジ)アルキルフマレートには、特にモノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、メチルエチルフマレート、モノブチルフマレート、ジブチルフマレート、ジペンチルフマレート及びジヘキシルフマレートが属する。有利な(ジ)アルキルフマレートは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0053】
アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する(ジ)アルキルマレエートには、特にモノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、メチルエチルマレエート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエートが属する。有利な(ジ)アルキルマレエートは、アルコール基中に1〜8個、特に有利には1〜4個の炭素原子を含む。この場合に、アルコール基は線状又は分枝状であってよい。
【0054】
潤滑剤における抗疲労添加剤としての作用に関する意外な利点は、特に、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーを用いて達成することができる。
【0055】
分散性モノマーは、長い間、潤滑油においてポリマー添加剤の官能化に使用され、よって当業者には公知である(R. M. Mortier, S. T. Orszulik (ends.): "Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London第2版、1997参照)。好適に、特に式(I)
【化1】

[式中、
Rは、水素又はメチルであり、
Xは、酸素、硫黄又は式−NH−又はNRaのアミノ基であり、ここで、Raは、1〜10個、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、
1は、2〜50個、特に2〜30個、有利には2〜20個の炭素原子を含む、少なくとも1つ、有利には少なくとも2個のヘテロ原子を有する基であり、
2とR3は、独立に水素又は式−COX'R1'の基であり、ここで、X'は、酸素又は式−NH−又は−NRa'−のアミノ基あり、ここでRa'は、1〜10個、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり、かつR1'は、1〜50個、有利には1〜30個、特に有利には1〜15個の炭素原子を含む基である]
の複素環式ビニル化合物及び/又はエチレン性不飽和、極性エステル化合物を分散性モノマーとして使用できる。
【0056】
"2〜50個の炭素原子を含む基"という用語は、2〜50個の炭素原子を有する有機化合物の基を意味する。類似した定義は、相応の用語にも当てはまる。これには、芳香族及びヘテロ芳香族基ならびにアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルケニル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基ならびにヘテロ脂肪族基が含まれる。この場合に、前記の基は分枝又は非分枝であることができる。更に、これらの基は通常の置換基を有することができる。置換基は、例えば1〜6個の炭素原子を有する線状及び分枝アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−メチルブチル又はヘキシル;シクロアルキル基、例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル;芳香族基、例えば、フェニル又はナフチル;アミノ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基ならびにハロゲニドである。
【0057】
本発明によれば、芳香族基は有利には6〜20個、特に6〜12個の炭素原子を有する多角芳香族化合物の基である。ヘテロ芳香族基はアリール基を特徴とし、その際、少なくとも1つのCH−基はNにより置換されている及び/又は少なくとも2個の隣接するCH基はS、NH又はOにより置換されていて、その際にヘテロ芳香族基は3〜19個の炭素原子を有する。
【0058】
本発明による有利な芳香族基又はヘテロ芳香族基は、ベンゼン、ナフタリン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、チオフェン、フラン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イミダゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,3,4−トリアゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,5−トリフェニル−1,3,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,3,4−テトラゾール、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、インドール、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フラン、イソインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズイソチアゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、ピリジン、ビピリジン、ピラジン、ピラゾール、ピリミジン、ピリダジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,4,5−トリアジン、テトラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、1,5−ナフチリジン、1,6−ナフチリジン、1,7−ナフチリジン、フタラジン、ピリドピリミジン、プリン、プテリジン又はキノリジン、4H−キノリジン、ジフェニルエーテル、アントラセン、ベンゾピロール、ベンゾオキサチアジアゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾピリジン、ベンゾピラジン、ベンゾピラジジン、ベンゾピリミジン、ベンゾトリアジン、インドリジン、ピリドピリジン、イミダゾピリミジン、ピラジノピリミジン、カルバゾール、アシリジン、フェナジン、ベンゾキノリン、フェノキサジン、フェノチアジン、アクリジン、ベンゾプテリジン、フェナントロリン及びフェナントレンから誘導され、これらは場合により置換されていてもよい。
【0059】
有利なアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、2−メチルプロピル基、t−ブチル基、フェニル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、ノニル基、1−デシル基、2−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基及びエイコシル基が属する。
【0060】
有利なシクロアルキル基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が属し、これらは場合により分枝又は非分枝アルキル基で置換されていてもよい。
【0061】
有利なアルカノール基には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メチルプロピオニル基、ブチリル基、バレロイル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、デカノイル基及びドデカノイル基が属する。
【0062】
有利なアルコキシカルボニル基には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、2−メチルヘキシルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基又はドデシルオキシカルボニル基が属する。
【0063】
有利なアルコキシ基には、それらの炭化水素基が上記の有利なアルキル基のうち1つであるアルコキシ基が属する。有利なシクロアルコキシ基には、それらの炭化水素基が上記の有利なシクロアルキル基のうち1つであるシクロアルコキシ基が属する。
【0064】
基R1に含まれる有利なヘテロ原子には、特に酸素、窒素、硫黄、ホウ素、ケイ素及びリンが属し、その際に酸素と窒素が有利である。
【0065】
基R1には、少なくとも1つの、有利には少なくとも2個の、更に有利には少なくとも3個のヘテロ原子が含まれる。
【0066】
有利には、基R1は式(I)のエステル化合物中に、少なくとも2個の異なるヘテロ原子を有する。この場合に、(I)のエステル化合物の少なくとも1つの基R1は、少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの酸素原子を有する。
【0067】
式(I)のエチレン性不飽和の極性エステル化合物の例は、特にアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート及び/又はカルボニル含有(メタ)アクリレートである。
【0068】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートには、特に2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート及び1,10−デカンジオール(メタ)アクリレートが含まれる。
【0069】
好適にはカルボニル含有(メタ)アクリレートには、例えば、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、コハク酸−モノ−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノン、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシペンタデシル)−2−ピロリジノン、N−(3−(メタ)アクリロイルオキシヘプタデシル)−2−ピロリジノン及びN−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エチレン尿素、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0070】
複素環式(メタ)アクリレートには、特に2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリジノン、N−(3−メタクリロイルオキシプロピル)−2−ピロリジノンが含まれる。
【0071】
アミノアルキル(メタ)アクリレートには、特にN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノヘキサデシル(メタ)アクリレートが含まれる。
【0072】
更に、アミノアルキル(メタ)アクリルアミドを分散性モノマーとして使用でき、その例は、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。
【0073】
更に、リン含有、ホウ素含有及び/又はケイ素含有(メタ)アクリレートを分散性モノマーとして使用でき、その例は、2−(ジメチルホスフェート)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスフィット)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート、2−(ジブチルホスホノ)エチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブチレン(メタ)アクリロイルエチルボレート、メチルジエトキシ(メタ)アクリロイルエトキシシラン、ジエチルホスフェートエチル(メタ)アクリレートである。
【0074】
有利な複素環式ビニル化合物には、特に、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾールが含まれ、その際、N−ビニルイミダゾールとN−ビニルピロリドンが特に官能化に有利に使用される。
【0075】
予め記載したモノマーは、個々に又は混合物として使用できる。
【0076】
特に有利なものは、特に2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、コハク酸−モノ−2−メタクリロイルオキシエチルエステル、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−エチレン尿素、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、2−(4−モルホリニル)エチルメタクリレート、ジメチルアミノジグリコールメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート及び/又はジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの使用下に得られるコームポリマーである。特に有利であるのは、予め記載したアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、特にジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの繰り返し単位を有するコームポリマーである。
【0077】
予め記載したエチレン性不飽和モノマーは、個々に又は混合物として使用できる。更に、主鎖の重合の間にモノマー組成物を変化させ、定義づけられた構造、例えばブロックコポリマー又はグラフトポリマーを得ることができる。
【0078】
本発明の特別な1態様によれば、該コームポリマー、特にコームポリマーの主鎖は、−60〜110℃の範囲内、特に−30〜100℃の範囲内、更に有利には0〜90℃の範囲内、とりわけ有利には20〜80℃の範囲内のガラス転移温度を有することができる。このガラス転移温度はDSCにより決定される。ガラス転移温度は、相応のホモポリマーのガラス転移温度により、主鎖中の繰り返し単位の割合を考慮しながら評価される。
【0079】
コームポリマーは、有利にはポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を、該繰り返し単位の全質量に対して10〜80質量%、特に有利には30〜70質量%有する。繰り返し単位の他に、ポリマーは一般に連鎖開始反応及び停止反応により生じ得る更なる出発基及び末端基を含む。当業者には、コームポリマーの多分散度は明白である。従って、数値は全てのコームポリマーにわたる平均値に対して示される。
【0080】
特に、20000〜1000000g/mol、特に有利には50000〜500000g/molの範囲内、とりわけ有利には150000〜450000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有するコームポリマーが特に有利である。
【0081】
数平均分子量Mnは、有利には20000〜800000g/mol、特に有利には40000〜200000g/mol、及びとりわけ有利には50000〜150000g/molの範囲内である。
【0082】
更に好適なコームポリマーは、それらの多分散度Mw/Mnが1〜5の範囲内、特に有利には2.5〜4.5の範囲内であるものである。数平均及び重量平均分子量は、公知の方法、例えば、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定できる。この方法は、WO 2007/025837[特許番号PCT/EP 2006/065060で欧州特許庁に2006年8月4日に提出されている]及びWO 2007/03238[特許番号PCT/EP 2007/003213で欧州特許庁に2006年4月7日に提出されている]に記載されている。その際に、ここに記載されている分子量を測定するための方法を開示する目的で本明細書中に組み込むことにする。
【0083】
本発明の特別な実施態様によれば、コームポリマーは特にグラフトにより分散性モノマーで変性させることができる。分散性モノマーとは、粒子、特に煤煙粒子を溶液中に保持できる官能基を有するモノマーであると解釈される。これには、特に酸素−及び窒素官能化モノマー、特に複素環式ビニル化合物に由来する予め説明したモノマーが属する。
【0084】
本発明によるコームポリマーは種々の方法で製造できる。有利な方法は、自体公知の低分子モノマーとマクロ分子モノマーのラジカル共重合である。
【0085】
従って、これらのポリマーは特にラジカル重合により、ならびに制御されたフリーラジカル重合の関連法、例えば、ATRP(=Atom Tranfer Radical Polymerisation:原子移動ラジカル重合)又はRAFT(=Reversible Addition Fragmentation Chain Transfer:可逆的付加開裂連鎖移動)により得られる。
【0086】
通常のフリーラジカル重合は、特にUllmanns's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版に記載されている。一般に、このために重合開始剤ならびに場合により鎖移動剤が使用される。
【0087】
使用可能な開始剤には、特に当該分野で広く公知のアゾ開始剤、例えば、AIBN及び1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、ならびにペルオキシ化合物、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、t−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンパーオキシド、t−ブチルパーオクトエート、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−パーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジクミルパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、前記化合物の2つ以上の混合物ならびに前記化合物と、同様にラジカルを形成できる記載されていない化合物の混合物が属する。鎖移動剤として、特に油溶性メルカプタン、例えば、n−ドデシルメルカプタン又は2−メルカプトエタノール又は、ターピノールのようなテルペンのクラスから成る鎖移動剤が適切である。
【0088】
ATRP−法は自体公知である。この場合に、これは"リビング"ラジカル重合であると想定されるが、メカニズムの記述により制限が行われるべきではない。この方法では、遷移金属化合物と、移動可能な原子基を有する化合物が反応する。この場合に、移動可能な原子基は、遷移金属化合物に移動し、これにより金属は酸化される。この反応の場合に、エチレン性基に付加されるラジカルが形成される。しかし、成長するポリマー鎖に原子基が再び移るように遷移金属化合物への原子基の移動が可逆的であり、それにより制御された重合系が形成される。それに応じて、ポリマーの構造、分子量及び分子量分布が制御される。
【0089】
これらの反応方法は、例えば、J-S. Wang等により、J. Am. Chem. Soc.第117巻、5614〜5615頁(1995)に、またMatyjaszewskiにより、Macromolecules、第28巻、7901〜7910頁(1995)に記載されている。更に、特許明細書WO 96/30421、WO 97/47661、WO 97/18247、WO 98/40415及びWO 99/10387には、予め説明したATRPの変法が開示されている。
【0090】
更に、本発明によるポリマーは例えば、RAFT法により得ることもできる。この方法は、例えば、WO98/01478及びWO 2004/083169に詳しく記載されている。
【0091】
重合は、常圧、減圧又は過圧で実施できる。重合温度は重要ではない。しかし、これは一般に−20℃〜200℃、有利には50℃〜150℃及び特に有利には80℃〜130℃の範囲内である。
【0092】
重合は、溶剤を用いて又は溶剤を用いずに実施できる。この場合に、溶剤という用語は広い意味で解釈される。溶剤の選択は、使用されるモノマーの極性により行われ、その際に、有利には100N−油、ガス軽油及び/又は芳香族炭化水素、例えば、トルエン又はキシレンを使用できる。
【0093】
ラジカル共重合において本発明によるコームポリマーを製造するために使用される低分子モノマーは、一般に市販されている。
【0094】
本発明により使用可能なマクロモノマーは、末端であるのが好ましい正確に1つのラジカル重合可能な二重結合を有するのが有利である。
【0095】
この場合に、二重結合はマクロモノマーの製造により条件付けられて存在する。従って、例えば、イソブチレンのカチオン重合の場合には、末端二重結合を有するポリイソブチレン(PIB)が生じる。
【0096】
更に、官能化ポリオレフィン性基は、適切な反応によりマクロモノマーに変換できる。
【0097】
例えば、少なくとも1つの不飽和エステル基を有する低分子モノマー、例えば、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートで、ポリオレフィンをベースとするマクロアルコール及び/又はマクロアミンにエステル化又はアミノ分解を行うことができる。
【0098】
このエステル化反応は広く公知である。例えば、このために不均一触媒系、例えば、水酸化リチウム/水酸化カルシウム混合物(LiOH/CaO)、純粋な水酸化リチウム(LiOH)、リチウムメタレート(LiOMe)又はナトリウムメタノレート(NaOMe)又は均一触媒系、例えば、イソプロピルチタネート(Ti(OiPr)4)又は酸化ジオクチル錫(Sn(Oct)2O)を使用できる。反応は平衡反応である。従って、通常は遊離した低分子アルコールは例えば蒸留により除去される。
【0099】
更に、このマクロモノマーは例えば、メタクリル酸又は無水メタクリル酸から出発して、直接のエステル化又は直接のアミド化により得られ、有利には酸性触媒の使用下にp−トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸により、又は遊離メタクリル酸から出発してDCC−法(ジシクロヘキシルカルボジイミド)により得られる。
【0100】
更に、存在するアルコール又はアミドは、塩酸、例えば、塩化(メタ)アクリル酸との反応によりマクロモノマーに変換される。
【0101】
更に、マクロアルコールを、カチオン重合されたPIBで生じるように、末端PIB−二重結合の反応により、無水マレイン酸(エン反応)及びそれに続くα,ω−アミノアルコールとの反応により製造できるという可能性もある。
【0102】
更に、適切なマクロモノマーを、末端PIB二重結合とメタクリル酸の反応により、又はスチレン上でのPIB二重結合のフリーデル・クラフツ−アルキル化により得ることもできる。
【0103】
予め記載したマクロモノマーの製造の際に、重合阻害剤、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ−オキシル−ラジカル及び/又はヒドロキノンモノメチルエーテルを使用するのが有利である。
【0104】
予め記載した反応に使用すべきポリオレフィンをベースとするマクロアルコール及び/又はマクロアミンは、公知の方法で製造できる。
【0105】
更に、これらのマクロアルコール及び/又はマクロアミンは、部分的に市販されている。
【0106】
市販されているマクロアミンには、例えばKerocom(登録商標) PIBA 03が含まれる。Kerocom(登録商標) PIBA 03は、約75質量%までがNH2−官能化されたMn=1000g/molのポリイソブチレン(PIB)であり、これは脂肪性炭化水素中約65質量%の濃縮物として、BASF AG(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)社から提供されている。
【0107】
もう1つの製品は、Kraton Liquid(登録商標) L-1203であり、これはそれぞれ約50%のMn=4200g/molの1,2−繰り返し単位と1,4−繰り返し単位を有する、約98質量%までがOH−官能化された水素化ポリブタジエン(オレフィンコポリマーOCPとも称される)である[Kraton Polymers GmbH(エシュボルン、ドイツ)]。
【0108】
水素化ポリブタジエンをベースとする適切なマクロアルコールの更なる提供者は、Total(Paris)の姉妹会社としてのCray Valley(Paris)又はSartomer Company(Exton/PA/USA)である。
【0109】
マクロアミンの製造は、例えば、BASF AGのEP 0244616に記載されている。この場合に、マクロアミンの製造はポリイソブチレンのヒドロホルミル化及びアミン化により行われる。ポリイソブチレンは低温で結晶化を示さないという利点がある。
【0110】
有利なマクロアルコールは、更に公知の特許BASF AGに倣い、高い割合の末端α−二重結合を有する高反応性ポリイソブチレンHR-PIN(EP 0628575)のヒドロホウ素化(WO 2004/067583)によるか、又は酸化に続く水素化(EP 0277345)により製造されてもよい。ヒドロホウ素化は、酸化及び水素化と比較して高いアルコール官能価を提供する。
【0111】
水素化ポリブタジエンをベースとする有利なマクロアルコールは、GB 2270317によりShell International Research Maatschappijにより得られる。約60%以上の1,2−繰り返し単位の高い割合は、著しく低い結晶温度を生じ得る。
【0112】
予め説明したマクロモノマーは、部分的に市販されている。それ例は、例えば Kraton Liquid(登録商標) L-1203から製造されたKraton Liquid(登録商標) L-1253であり、約96質量%までがメタクリレート官能化された水素化ポリブタジエンであり、かつそれぞれ約50%の1,2−繰り返し単位と1,4−繰り返し単位を有する(Kraton Polymers GmbH(エシュボルン、ドイツ))。
【0113】
Kraton(登録商標) L-1253の合成は、GB 2270317によりShell International Research Maatschappijにより行われる。
【0114】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマー及びそれらの製造は、EP 0621293とEP 0699694に記載されている。
【0115】
予め説明したマクロモノマー及び低分子モノマーのフリーラジカル共重合に加えて、本発明のコームポリマーは、ポリマー類似反応により得ることもできる。
【0116】
この場合に、ポリマーは初めに公知の方法で低分子モノマーから製造され、引き続き変換される。この場合に、コームポリマーの骨格は反応性モノマー、例えば、無水マレイン酸、メタクリル酸又はその他のグリシジルメタクリレート及びその他の非反応性単鎖骨格モノマーから合成されてもよい。この場合に、予め説明した開始剤系、例えば、t−ブチルパーベンゾエート又はt−ブチルパー−2−エチルヘキサノエートならびに調節剤、例えば、n−ドデシルメルカプタンを使用してもよい。
【0117】
更なる工程では、例えば、アルコール分解又はアミノ分解において、アームとも称される側鎖が生じてもよい。この反応では、予め説明したマクロアルコール及び/又はマクロアミンを使用してもよい。
【0118】
初めに形成される骨格ポリマーとマクロアルコール及び/又はマクロアミンの反応は、実質的に、予め記載したマクロアルコール及び/又はマクロアミンと低分子量化合物の反応に相応する。
【0119】
マクロアルコール及び/又はマクロアミンは、例えば、骨格ポリマー中に存在する無水マレイン酸又はメタクリル酸官能性に自体公知のグラフト反応で、例えば、p−トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸の触媒下にエステル、アミド又はイミドを生じ、本発明のコームポリマーに変換できる。低分子アルコール及び/又はアミン、例えば、n−ブタノール又はN−(3−アミノプロピル)モルホリンの添加により、特に無水マレイン酸−骨格の場合には、ポリマー類似反応を完全な変換にすることができる。
【0120】
骨格中のグリシジル官能性の場合には、コームポリマーが生じるようにマクロアルコール及び/又はマクロアミンの添加を実施することができる。
【0121】
更に、マクロアルコール及び/又はマクロアミンをポリマー類似アルコール分解により反応させるか、又は単鎖エステル官能性を有する骨格とのアミノ分解により反応させて、コームポリマーを生じることができる。
【0122】
骨格ポリマーと高分子化合物の反応の他に、低分子モノマーと更なる低分子モノマーの反応により得られる適切な官能化ポリマーは、コームポリマーの形成下に反応させることができる。この場合に、初めに製造された骨格ポリマーは、多重グラフト重合の開始剤として使用される多くの官能価を有する。
【0123】
例えば、イソブテンの多重カチオン重合が開始され、これはポリオレフィン側枝を有するコームポリマーを生じる。このようなグラフト共重合には、定義づけられた構造を有するコームポリマーを得るために予め説明したATRP及び/又はRAFT法も適切である。
【0124】
本発明により使用すべきコームポリマーは、本発明の特別な態様によれば僅かな割合のオレフィン性二重結合を有するのが有利である。ヨウ素価は、有利にはコームポリマー1g当たり0.2g以下、特に有利には0.1g以下である。この割合は、DIN53241により、真空中180℃にてキャリアー油と低分子量の残留モノマーを除去した24時間後に決定できる。
【0125】
特に有効なコームポリマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも10質量%、及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%有する。この場合に、数値はコームポリマーの繰り返し単位の全質量に対する。これらの数値は、コームポリマーを製造する際のモノマーの質量比から得られる。更にこれらのコームポリマーは、少なくとも30%THFの極性が卓越している。これらのコームポリマーは新規であり、従って同様に本発明の対象である。これらのコームポリマーは粘度指数改善剤としての作用を示すため、以降VI作用を有するコームポリマーとも称される。これらのコームポリマーは、比較的に高い耐応力性と耐久性の場合に多官能性が卓越している。
【0126】
有利な実施態様では、VI作用を有する該コームポリマーは、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を30〜60質量%、有利には35〜50質量%有していてもよい。これらの数値は、コームポリマーの繰り返し単位の全質量に対する。これらの数値は、コームポリマーを製造する際にモノマーの質量比から得られる。これらのモノマーは予め記載してあるので、これらの態様を参照することができる。
【0127】
スチレンモノマー及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートは予め説明してあり、その際に、n−ブチルメタクリレートは、VI作用を有する本発明の粘度指数を改善するコームポリマーを製造するために特に有利に使用できる。
【0128】
抗疲労添加剤としての作用に関する特別な利点は、特にスチレンに由来する繰り返し単位と、n−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有するVI作用を有するコームポリマーにより達成できる。特に有利であるのは、スチレンに由来する繰り返し単位とn−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位との質量比が4:1〜1.5:1の範囲内であるVI作用を有する特別なコームポリマーである。
【0129】
本発明によるVI−作用を有するコームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有する。これらのモノマーは、予め記載してあり、その際アミノアルキル(メタ)アクリルアミドが特に有利である。分散性モノマーに由来する繰り返し単位の割合は、有利には1〜8質量%、特に有利には2〜4質量%である。この場合に、これらの数値はコームポリマーの繰り返し単位の全質量に対して示される。これらの数値は、コームポリマーを製造する際に、モノマーの質量比から得られる。
【0130】
VI作用を有するコームポリマー中、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比は、有利には30:1〜8:1の範囲内、特に有利には25:1〜10:1の範囲内であるのが有利である。
【0131】
本発明の特別な変法によれば、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量の数平均MnとVI作用を有するコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:10〜1:50の範囲内、特に有利には1:15〜1:45の範囲内である。
【0132】
VI作用を有するコームポリマーは、少なくとも30%THF、有利には少なくとも80%THF、とりわけ有利には少なくとも100%THFの極性を有する。ポリマーの極性は、定義づけられたHPLC−カラム材料のその溶出挙動により決定される。この場合に、コームポリマーをi−オクタン(=非極性溶剤)に溶かし、かつCN−官能化シリカカラムに装填する。引き続き、溶出液が充填ポリマーを十分に再び脱着するようになるまで、THF(テトラヒドロフラン:極性溶剤)の混和により溶出組成物を連続的に変化させる。従って、極性は脱着に必要な溶出液中のTHFの体積比に相応する(Vol% THF、100Vol%イソオクタンから出発して)。少なくとも100%THFの極性は、CN−官能化されたシリカカラム上でのポリマーの粘着がTHFでポリマーを溶出できない程度に大きいことを意味する。極性を決定するための更なる数値は、実施例に記載されている。
【0133】
極性は、特に分散性モノマーの使用、分散性モノマーの組込みの方法、マクロモノマーの割合及び分子量及びコームポリマーの分子量により調節することができる。高い極性は、特にマクロモノマーの高い分子量及び分散性モノマーの高い割合により達成できる。この場合に、ランダムに組み込まれた、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーは、分散性モノマーがグラフトされているコームポリマーよりも優れている。重要な更なる示唆は、添付した実施例から得られる。
【0134】
VI作用を有するコームポリマーの極限粘度は、有利には40〜100ml/gの範囲内、有利には50〜90ml/lの範囲内及び特に有利には55〜70ml/gの範囲内にある。
【0135】
極限粘度は、溶剤としてのクロロホルム中20℃で、ウベローデキャピラリーを用いて決定される。ウベローデキャピラリーの大きさは、純粋な溶剤とポリマー含有溶液の流下時間が、200〜300秒の間であるように選択される。物質濃度β(g/ml)は、ポリマー含有溶液の流下時間が、純粋な溶剤を10%以下だけ上回るように選択される。ポリマー含有溶液及び溶剤の流下時間ならびに溶液中のポリマーの物質濃度から、以下のように極限粘度が計算される:
【数1】

[式中、
ηrel=(tポリマー溶液−t溶剤)/t溶剤
ηspez=tポリマー溶液/t溶剤
t=流下時間(秒)]
意外な利点は、有利にはメチルメタクリレートに由来する繰り返し単位と、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を有するVI作用を有するコームポリマーにより達成される。
【0136】
本発明のもう1つの態様によれば、本発明は新規の特に剪断安定性で、ひいては使用において耐久性のある抗疲労添加剤を提供する。これは同様に本発明の対象でもある。この剪断安定性のコームポリマーは、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、少なくとも50%THFの極性及び20〜50ml/gの範囲内の極限粘度を有する。このコームポリマーは、特に高い耐応力と耐久性が卓越している。その際に、これらは更なる添加剤、例えばVI改善剤と一緒に高い相容性を示す。
【0137】
本発明による剪断安定性のコームポリマーの極性は、少なくとも50%THF、有利には少なくとも80%THF及びとりわけ有利には100%THFである。極性を測定する方法は予め説明してある。更に、これは分散性モノマーの割合及び種類、マクロモノマーの割合及び分子量ならびにコームポリマーの分子量に依存することが固守され、その際、予め説明した関連性は、剪断安定性コームポリマーに関しても当てはまり、かつ重要な示唆は実施例から引用することができる。
【0138】
アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートは、予め説明してあり、その際に、これらの実施態様が参照される。8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位の割合は、剪断安定性コームポリマー中、少なくとも5質量%、特に有利には少なくとも10質量%及びとりわけ有利には15質量%である。この場合に、この数値は、コームポリマーの繰り返し単位の全質量に対して示される。これらの数値はコームポリマーを製造する際のモノマーの質量比から得られる。
【0139】
有利な実施態様によれば、剪断安定性コームポリマーは、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を30〜80質量%、特に有利には40〜70質量%有する。この場合に、これらの数値はコームポリマーの繰り返し単位の全質量に対して示される。これらの数値は、コームポリマーを製造する際にモノマーの質量比から得られる。これらのモノマーは予め記載してあるので、これらの態様を参照することができる。
【0140】
本発明による剪断安定性コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有することができる。これらのモノマーは予め説明してあり、その際に、アミノアルキル(メタ)アクリルアミドが特に有利である。分散性モノマーに由来する繰り返し単位の割合は、本発明の剪断安定性コームポリマー中、有利には少なくとも5質量%、特に有利には少なくとも10質量%、とりわけ有利には少なくとも15質量%である。上限は、特に剪断安定性コームポリマーの油溶性からもたらされ、その際、分散性モノマーに由来する繰り返し単位の割合は、通常は50質量%未満、有利には30質量%未満である。この場合に、これらの数値はコームポリマーの繰り返し単位の質量に対して示される。これらの数値は、コームポリマーを製造する際にモノマーの質量比から得られる。
【0141】
アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比は、剪断安定性コームポリマーの場合に、有利には3:1〜1:2の範囲内、特に有利には2:1〜1:1.5の範囲内である。
【0142】
剪断安定性コームポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比が、8:1〜1:1の範囲内、特に有利には6:1〜2:1の範囲内であることが卓越している。
【0143】
有利には、剪断安定性コームポリマーはメチルメタクリレートに由来する繰り返し単位と、n−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有する。
【0144】
剪断安定性コームポリマーは、15〜50ml/g、有利には20〜40ml/g及びとりわけ有利には22〜35ml/gの極限粘度を有する。極限粘度の決定は、予め記載した方法により、溶剤としてのクロロホルム中20℃でウベローデキャピラリーを用いて行われる。
【0145】
更に、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量の数平均Mnとコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:2〜1:6の範囲内、特に有利には1:3〜1:5の範囲内であるのが有利である。
【0146】
本発明によるコームポリマーは、潤滑油組成物中で使用するのが有利である。潤滑油組成物には、少なくとも1つの潤滑油が含まれる。
【0147】
潤滑油には、鉱油、合成油及び天然油が属する。
【0148】
鉱油は自体公知であり、かつ市販されている。これらは一般に石油又は原油から蒸留及び/又は精留及び場合によっては更なる精製法及び後処理法によって得られ、その際、鉱油の用語には、特に原油又は鉱油の高沸点フラクションが該当する。一般に、鉱油の沸点は5000Paで200℃よりも高く、有利には300℃よりも高い。頁岩油の低温乾留、歴青炭のコークス化、褐炭の空気遮断下での蒸留ならびに歴青炭又は褐炭の水素化による製造も同様に可能である。相応して、鉱油は起源により種々の割合の芳香族、環状、分枝及び線状の炭化水素を有する。
【0149】
一般に、原油又は鉱油中のパラフィンベース、ナフテン系及び芳香族フラクションは区別され、その際、パラフィンベースのフラクションという用語は、長鎖又は高分枝イソアルカンに関し、ナフテン系フラクションはシクロアルカンに関する。更に鉱油は、起源及び後処理に応じて、種々の割合のn−アルカン、低分枝度を有するイソアルカン、いわゆるモノメチル分枝パラフィン及びヘテロ原子、特にO、N及び/又はS(極性はこれらに依存する)を有する化合物を有している。しかし、個々のアルカン分子は、長鎖の分枝基もシクロアルカン基ならびに芳香族フラクションも有することがあるので割り当てが難しい。本発明の目的に、例えば、DIN51378により割り当てを行うことができる。極性フラクションは、ASTM D 2007により決定することもできる。
【0150】
有利な鉱油中のn−アルカンの割合は、3質量%よりも少なく、O、N及び/又はS−含有化合物の割合は、6質量%よりも少ない。芳香族の割合及びモノメチル分枝パラフィンの割合は、一般にそれぞれ0〜40質量%の範囲内にある。重要な1実施態様によれば、鉱油には主として、一般に13を上回る、有利には18を上回る、とりわけ有利には20を上回る炭素原子数を有するナフテン系及びパラフィンベースのアルカンが含まれる。これらの化合物の割合は、それにより限定されるべきではないが、一般に≧60質量%、有利には≧80質量%である。好ましい鉱油は、芳香族の割合0.5〜30質量%、ナフテン系の割合15〜40質量%、パラフィンベースの割合35〜80質量%、n−アルカン3質量%まで、及び極性化合物0.05〜5質量%(それぞれ鉱油の全質量に対して)を有する。
【0151】
慣用の方法、例えば尿素分離及びシリカゲルでの液体クロマトグラフィーを用いて行われる特に有利な鉱油の分析は、例えば次の成分を示す。ここで、パーセントの数値は、それぞれ使用された鉱油の全質量に対して示される:
約18〜31個の炭素原子数を有するn−アルカン:0.7〜1.0%、
約18〜31個の炭素原子数を有する僅かに分枝したアルカン:1.0〜8.0%、
約14〜32個の炭素原子数を有する芳香族化合物:0.4〜10.7%、
約20〜32個の炭素原子数を有するイソアルカン及びシクロアルカン:60.7〜82.4%、
極性化合物:0.1〜0.8%、
残分:6.9〜19.4%。
【0152】
鉱油の改善されたクラス(還元された硫黄含有量、還元された窒素含有量、高い粘度指数、低い流動点)は、鉱油の水素処理により得られる(ヒドロ異性化、水素化分解、水素処理、水素化仕上げ)。この場合に、水素の存在では主に芳香族成分が減り、かつナフテン系のフラクションが形成される。
【0153】
鉱油の分析及び種々の組成物を有する鉱油のリストに関する重要な示唆は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、CD-ROM第5版、1997年Stichwort"潤滑剤及び関連製品"に見出すことができる。
【0154】
合成油には、その他の有機エステル、例えば、ジエステル及びポリエステル、ポリアルキレングリコール、ポリエーテル、合成炭化水素、特にポリオレフィン(その内、ポリαオレフィン(PAO)が有利である)、シリコーン油及びペルフルオロアルキルエーテルが含まれる。更に、気体から液体(GTL)、石炭から液体(CTL)又はバイオマスから液体(BTL)に由来する合成基油を使用することもできる。これらは大抵、鉱油よりも幾分か高価であるが、その性能に関しては利点がある。
【0155】
天然油は、動物油又は植物油であり、例えば、牛脚油又はホホバ油である。
【0156】
潤滑油調製物用の基油は、API(American Petroleum Institute)によるグループに分けられる。鉱油は、グループI(水素処理なし)及び、飽和度、硫黄含有量及び粘度指数に応じてグループIIとIII(両方とも水素処理あり)に分けられる。PAOsは、グループIVに相応する。その他の基油は全て、グループVにまとめられる。
【0157】
これらの潤滑油は混合物として使用でき、多方面で市販されている。
【0158】
潤滑油組成物中のコームポリマーの濃度は、該組成物の全質量に対して有利には0.1〜40質量%の範囲内、特に有利には0.2〜20質量%の範囲内、とりわけ有利には0.5〜10質量%の範囲内である。
【0159】
前記の成分の他に、潤滑油組成物は、他の添加剤及び添加物を含有することができる。これらの添加剤は、特にアルコール基中に1〜30個の炭素原子を有する線状ポリアルキル(メタ)アクリレート(PAMA)をベースとすることができる。これらの添加剤には、特にDI-添加剤(分散剤、洗浄剤、脱泡剤、腐食防止剤、抗酸化剤、耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤、摩擦係数調整剤)、流動点改質剤(特に有利には、アルコール基中に1〜30個の炭素原子を有するポリアルキル(メタ)アクリレートをベースとする)及び/又は染料が属する。
【0160】
更に、ここで記載した潤滑油組成物は、本発明によるコームポリマーの他に通常のVI−改善剤との混合物の形で存在することもできる。これらには、特に水素化スチレン−ジエン−コポリマー(Shell Oil Company社のHSD、US4116917、US3772196及びUS4788316)、特にブタジエンとイソプレンをベースとするもの、またオレフィンコポリマー(OCP、K. Marsden: "Literature Review of OCP Viscosity Modifiers"、Lubrication Science 1(1988), 2650)、特にポリ(エチレン−コプロピレン)タイプのもの(しばしばこれは分散作用を有するN/O官能性の形でも存在する)、又はPAMA(これは通常はN−官能性の形で存在し、更に分散剤、防錆添加剤及び/又は摩擦係数調整剤として付加的な特性(booster)を有する)が属する。
【0161】
潤滑油、特にエンジンオイル用のVI−改善剤及び流動点改善剤の調合は、例えば、T. Mang, W. Dresel(eds.):"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001;R. M. Mortier, S. T. Orszulik(eds.):"Chemistry and Technology of Lubricants", Blackie Academic & Professional, London 1992;又はJ. Bartz:"Additive fuer schmierstoffe"、Expert-Verlag, Renningen-Malmsheim 1994に記載されている。
【0162】
好適な分散剤には、特にポリ(イソブチレン)誘導体、例えばポリ(イソブチレン)スクシンイミド(PIBSI);N/O官能性を有するエチレン−プロピレン−オリゴマーが含まれる。
【0163】
特に有利な洗浄剤には、特に金属含有化合物、例えば、フェノレート;サリシレート;チオホスホネート、特にチオピロホスホネート、チオフスホネート及びホスホネート;スルホネート及びカーボネートが属する。金属として、これらの化合物は特にカルシウム、マグネシウム及びバリウムを含有する。これらの化合物は有利には中性又は過塩基性で使用できる。
【0164】
特に有利であるのは、その他の消泡剤であり、その際、これは多くの場合にシリコーン含有消泡剤とシリコーン不含消泡剤に分けられる。シリコーン含有消泡剤には、特に線状ポリ(ジメチルシロキサン)及び環状ポリ(ジメチルシロキサン)が含まれる。シリコーン不含消泡剤として、多くの場合にポリエーテル、例えば、ポリ(エチレングリコール)又はトリブチルホスフェートが使用される。
【0165】
特別な1実施態様によれば、本発明による潤滑油組成物は、腐食防止剤を有することができる。これらは、多くの場合に錆止め添加剤と金属不動態化剤/不活性化剤に分けられる。錆止め添加剤として、特にスルホネート、例えば、石油スルホネート又は(多くの場合に多塩基化された)合成アルキルベンゼンスルホネート、例えば、ジノニルナフテンスルホネート;カルボン酸誘導体、例えば、ラノリン(羊毛油)、酸化パラフィン、亜鉛ナフテネート、アルキル化コハク酸、4−ノニルフェノキシ−酢酸、アミド及びイミド(N−アシルサルコシン、イミダゾリン誘導体);アミン中和モノ−及びジアルキルリン酸エステル;モルホリン;ジシクロヘキシルアミン又はジエタノールアミンを使用できる。金属不動態化剤/活性剤には、特にベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジアルキル−2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、N,N'−ジサリシリデンエチレンジアミン、N,N'−ジサリシリデンプロピレンジアミン;亜鉛ジアルキルジチオホスフェート及びジアルキルジチオカルバメートが含まれる。
【0166】
添加剤の更に有利なグループは、抗酸化剤である。抗酸化剤には、例えば、フェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール(2,6-DTB)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);芳香族アミン、特にアルキル化ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PNA)、ポリマー2,2,4−トリメチル−ジヒドロキノン(TMQ);硫黄及びリン含有化合物、例えば、金属ジチオホスフェート、例えば、亜鉛ジチオホスフェート(ZnDTP)、"OOS−トリエステル"=ジチオリン酸と、オレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル(燃焼において無灰)からの活性化二重結合の反応生成物、有機硫黄化合物、例えば、ジアルキルスルフィド、ジアリールスルフィド、ポリスルフィド、変性チオール、チオフェン誘導体、キサンタン、チオグリコール、チオアルデヒド、硫黄含有カルボン酸;複素環式硫黄/窒素−化合物、特にジアルキルジメルカプトチアジアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール;亜鉛及びメチレン−ビス(ジアルキルジチオカルバメート);有機リン化合物、例えば、トリアリール及びトリアルキルホスフィット;有機銅化合物ならびに過塩基性カルシウム及びマグネシウム塩基化フェノレート及びサリシレートが属する。
【0167】
有利な耐摩耗性添加剤(AW)及び極圧添加剤(EP)には、特にリン化合物、例えば、トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、例えば、トリクレシルホスフェート、アミン中和モノ−及びジアルキルリン酸エステル、エトキシル化モノ−及びジアルキルリン酸エステル、ホスフィット、ホスホネート、ホスフィン;硫黄及びリン含有化合物、例えば、金属ジチオホスフェート、例えば、亜鉛C3〜12−ジアルキルジチオホスフェート(ZnDTPs)、アンモニウムジアルキルジチオホスフェート、アンチモンジアルキルジチオホスフェート、モリブデンジアルキルジチオホスフェート、鉛ジアルキルジチオホスフェート、"OOSトリエステル"= ジチオリン酸と、オレフィン、シクロペンタジエン、ノルボルナジエン、α−ピネン、ポリブテン、アクリル酸エステル、マレイン酸エステル、トリフェニルホスホロチオネート(TPPT)からの活性化二重結合の反応生成物;硫黄及び窒素含有化合物、例えば、亜鉛ビス(アミルジチオカルバメート)又はメチレンビス(ジ−n−ブチルジチオカルバメート);硫黄元素を有する硫黄化合物及びH2S−硫化炭化水素(ジイソブチレン、テルペン);硫化グリセリド及び脂肪酸エステル;多塩基化スルホネート;塩素化合物、又はグラファイト又はモリブデンジスルフィドのような固体が属する。
【0168】
更に有利な添加剤のグループは、摩擦係数調整剤である。摩擦係数調整剤として、特に機械的作用化合物、例えば、モリブデンジスルフィド、グラファイト(フッ素化されたものを含む)、ポリ(トリフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリイミド;吸着層を形成する化合物、例えば、長鎖カルボン酸、脂肪酸エステル、エーテル、アルコール、アミン、アミド、イミド;トライボケミカル反応により層を形成する化合物、例えば、飽和脂肪酸、リン酸及びチオリン酸エステル、キサントゲネート、硫化脂肪酸;ポリマー様層を形成する化合物、例えば、エトキシル化ジカルボン酸部分エステル、ジアルキルフタル酸エステル、メタクリレート、不飽和脂肪酸、硫化オレフィン又は有機金属化合物、例えば、モリブデン化合物(モリブデンジチオホスフェート及びモリブデンジチオカルバメートMoDTC)及びZnDTPs、銅含有有機化合物とのそれらの組合せが使用される。
【0169】
予め記載した化合物の幾つかは、多数の機能を満たす。ZnDTPは、例えば主に耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤であるが、抗酸化剤及び腐食防止剤(ここでは、金属不動態化剤/不活性化剤)の特徴も有する。
【0170】
先に説明した添加剤は、より詳細には特にT. Mang、W. Dresel(eds.);"Lubricants and Lubrication", Wiley-VCH, Weinheim 2001; R. M. Mortier, S.T. Orszulik(eds.);"Chemistry and Technology of Lubricants"に記載されている。
【0171】
有利な潤滑油組成物は、ASTMD445により40℃で測定される10〜120mm2/sの範囲内、特に有利には22〜100mm2/sの範囲内の粘度を有する。100℃で測定される動的粘度KV100は、有利には少なくとも5.5mm2/s、より有利には少なくとも5.6mm2/s及びとりわけ有利には少なくとも5.8mm2/sである。
【0172】
本発明の特別な態様では、有利な潤滑油組成物は、ASTM D 2270により測定した粘度指数100〜400、より有利には150〜350の範囲内、最も有利には175〜275の範囲内を有する。
【0173】
150℃で測定して、少なくとも2.4mPas、特に有利には少なくとも2.6mPasの高温高剪断粘度HTHSを有する更なる潤滑油組成物は特に有利である。100℃で測定した高温高剪断粘度HTHSは、有利には最大で10mPas、特に有利には最大で7mPas、とりわけ有利には最大で5mPasである。100℃と150℃で測定した高温高剪断粘度HTHSの差(HTHS100−HTHS150)は、有利には最大で4mPas、特に有利には最大で3.3mPas、とりわけ有利には最大で2.5mPasである。100℃での高温高剪断粘度の、150℃での高温高剪断粘度に対する比HTHS100/HTHS150は、有利には最大で2.0、特に有利には最大で1.9である。ASTM D4683によるそれぞれの温度で高温高剪断粘度HTHSを測定できる。
【0174】
好適な変法によれば、ASTM D2603 Ref.B(12.5分の超音波処理)による永久剪断安定性指数(PSSI)は、35以下、特に有利には20以下であることができる。DIN 51381(30サイクルBosch-Pump)による永久剪断安定性指数(PSSI)が、最大で5、有利には最大で2、特に有利には最大で1である更なる潤滑油組成物を有するのが有利である。
【0175】
本発明の潤滑剤は、特にトランスミッションオイル、エンジンオイル又はハイドロリックオイルとして使用できる。意外な利点は、この潤滑剤をマニュアル、自動マニュアル、ダブルクラッチ又はダイレクト−シフトギアボックス(DSG)、オートマチック及び連続可変トランスミッション(CVC)として使用する場合に達成できる。更に、本発明の潤滑剤は、特にトランスファーケース及びアクセル又はディファレンシャルギヤーにおいて使用できる。
【0176】
本発明のコームポリマーは、潤滑剤において抗疲労添加剤として作用する。意外にも、これらの添加剤はトランスミッション、エンジン又は油圧系の寿命を延ばすことができるように、材料の疲労を妨げることが分かっている。この発見は、様々な方法により達成できる。潤滑油調製物の疲労時間(耐クレーター性)の決定は、歯車装置又はローラーベアリングの方法により行うことができる。以下のこの方法は、幅広いヘルツ圧を網羅する。
【0177】
疲労時間(回転数)は、例えば、DIN 51350-1により標準化したフォアボール装置(VKA、four-ball apparatus)において決定でき、その際、負荷下に回転ボールは三つの同種の回転ボールに同様に押し当てられる。Volkswagen AG社の試験方法VW-PV-1444が用いられる("Crater resistence of components with rolling friction-pitting test", VW-PV-1444, フォルクスワーゲン社)。
【0178】
試験温度は120℃である。4.8kNの負荷及び4000rpmの回転速度で、7.67GPaの最大ヘルツ圧でピッチポイントの速度(巻き込み速度)5.684m/sが生じた。試験体のロールオーバー周波数の周波数帯において、0.25gを上回る振動が記録されるとすぐに疲労が開始した(重力加速度g=9.81m/s2)。これは、一般に回転経路に直径1〜2mmのクレーターを示す。この試験を以後VKA試験と称することにする。
【0179】
更に、本発明はFAG FE8−試験により疲労を決定できる。このために、FAG(シェフラーKG、シュヴァインフルト)のDIN51819-1によるによるFE8ローラーベアリング潤滑剤−試験装置を使用できる。ここでは、互いに一緒に装填された2つの円柱形のスラストころ軸受の疲労時間(時)を、VW-PV-1483試験法に相応して試験した["ローラーベアリング疲労試験におけるクレーター耐性試験"VW-PV-1483、フォルクスワーゲン社、2006年9月草案;フォルクスワーゲン社のマニュアルトランスミッション用にはオイル基準物の成分VW TL52512/2005、ダブル−クラッチトランスミッション用にはVW TL52182/2005]。0.1〜0.3μmの算術的粗さを有するベアリングワッシャーを使用した。
【0180】
120℃で測定した。60kNの負荷及び500rpmの回転速度で、1.445GPaの最大ヘルツ圧でピッチポイントの速度(巻き込み速度)1.885m/sが生じた。疲労は、トルク(すなわち、摩擦モーメント)が10%を上回って増大するとすぐに起こった。すなわち、1つだけの円柱形のスラストころ軸受の場合でさえも疲労が生じた。
【0181】
原則的に、ローラーベアリング潤滑剤−試験装置FE8は、ZF Friedrichshafen AG社のより厳密な方法ZF-702-232/2003によっても行うことができる("ZF Bearing Pitting Test", ZF-702-232、ZF Friedrichshafen AG社、2004年参照)。
【0182】
11個のボール(変法では3個のボールだけを有する)を有するボールベアリングをベースとするIP 305/79による工業で広く普及しているUnistell Machineは、ベアリングの疲労時間を決定する他の方法を提供する。
【0183】
更に、DIN51354によるFZG社(Institute for Machine Elements-Gear Research Center of the Technical University of Munich)の歯車応力試験器を使用することができる。この試験器では、疲労時間(時)は、特殊なPT-C(Pitting test type C)歯車装置を用いて決定される。この方法は、FVA情報誌2/IVに記載されている(U. Schedl:"FVA-Forschungsvorhaben 2/IV:Pittingtest-Einfluss der Schmierstoffs auf die Gruebchenlebensdauer einsatzgehaerteter Zahnraeder im Einstufen-und Lastkollektiv-versuch", Forschungsvereinigung Antriebstechnik、小冊子530,フランクフルト1997年;"Pittingtest-Einfluss der Schmierstoffs auf die Gruebchenlebensdauer einsatzgehaerter Zahnraeder im Einstufen- und Lastkollektivvershch", FVA情報誌2/IV、Forschungsvereinigung Antriebstechnik、フランクフルト1997年参照)。
【0184】
120℃で測定した。負荷段階10(すなわちトルク373 Nm)及び1450rpmの回転速度で、1.834GPaの最大ヘルツ圧で、ピッチポイントの速度(巻き込み速度)5.678m/sが生じた。全面積に5mm2以上クレーターが観察された場合に疲労が生じた。この方法は以後、FZG PT-C10/120と称される。
【0185】
DIN 51354-1によるFZG歯車応力試験器における更に発展した実施の似た試験歯車装置PTX-Cの利用は、疲労時間の改善された再現性と比較可能性を生じた。この方法は、FVA情報誌371に記載されている(T. Radev:"FVA-Forschungsvorhaben 371:Entwicklung eines praxisnahen Pittingtests", Forschungsverreinigung Antriebstechnik、小冊子710、フランクフルト2003年;"Development of a Practice Relevant Pitting Test", FVA 情報誌371、Forschungs-verreinigung Antriebstechnik、フランクフルト2006年参照)。
【0186】
90℃で測定した。負荷段階(すなわち、373Nmのトルク)及び1450rpmの回転速度では、2.240GPaの最大ヘルツ圧でピッチポイントの速度5.678m/sが生じた。全面積に5mm2以上クレーターが観察された場合に疲労が生じた。この方法は以後、FZG PTX-C 10/90試験と称される。
【0187】
本発明を以降、実施例と比較例を用いて説明するが、本発明は制限を受けるわけではない。
【0188】
マクロモノマーの製造
マクロアルコールとして、平均モル質量Mn=4800g/molのヒドロキシエチル末端化された水素化ポリブタジエンを使用した。マクロモノマーのビニル含有量は55%、水素化度は>98.5%及び−OH官能性は>90%であった。これらの全ての数値は、H-NMR(核磁気共鳴)により決定した。
【0189】
サーベル撹拌機、給気管、調整装置付き熱電対、加熱マントル、4mmラシヒリングを有する充填カラム、水蒸気分配器、トップサーモメター、還流冷却器及び基質冷却器が備わった2リットル撹拌容器中に、60℃で撹拌することによりマクロアルコール1200gをMMA400g中に溶かした。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルラジカル32mgとヒドロキノンモノメチルエーテル320mgをこの溶液に加えた。安定化のために空気を通しながらMMAが還流するまで加熱(約110℃の塔底温度)した後に、共沸乾燥するためにMMA約20gを留去した。95℃まで冷却した後に、LiOH0.30gを添加し、かつ還流するまで再び加熱した。約1時間の反応時間の後に、メタノール形成により塔頂温度は約64℃まで下がった。形成されたメタノール/MMA共沸混合物を約100℃の一定した塔頂温度が再び達成されるまで常に留去した。この温度では、該混合物は更に数時間後反応することができた。更に処理するために、真空下にMMAの塊を取り出し、かつ引き続き粘性の"粗マクロモノマー"をKPE 100N-油514.3gの添加により希釈した。不溶性触媒の残分を圧濾過により分離した(Seitz T 1000デプスフィルター)。これは油中約1650gのマクロモノマー溶液を生じた。下記のコームポリマー合成に持ち込まれたKPE 100N-油の含有量を相応して考慮に入れた。
【0190】
グラジエントHPLCによる極性の決定
ポリマーの極性は、定義付けられたHPLC−カラム材料のその溶出挙動により決定さした。この場合に、特定のポリマー量をi−オクタン(=非極性溶剤)に溶かし、かつCN−官能化シリカカラム(ヌクレオシルCN-25)に装填した。更なる試験期間内に、溶出液が充填ポリマーを十分に再び脱着するようになるまで、テトラヒドロフランTHFの混和により溶出組成物を連続的に変化させた。従って、求められた極性は脱着に必要な溶出液中のTHFの体積比に相応する。
【0191】
装置:Agilent社の液体クロマトグラフィー、シリーズ1200を使用した。これは次のものから成っている:ミキサー、溶剤脱気装置、オートサンプラー、カラムオーブン及びダイオードアレイ検出器が備わった2個の対になったHPCLポンプ。ポリマー検出のために、Alltech社製の2000型蒸発光散乱検出器を使用した。カラム材料として、市販されているヌクレオシル−CN型(カラムサイズ250×4mm、多孔度10μm)のHPLCカラムを使用した。両方の溶剤i−オクタンとTHFをMerck社からHPLC品質で取り寄せ、かつ更に精製せずに使用した。
【0192】
方法:
ポリマーを物質濃度5g/lでTHF中に溶かした。それぞれの測定の前に、カラムを純粋なi−オクタンで少なくとも5分間濯いだ。測定のために、10μlをカラム上のオートサンプラーにより注入した。試料の注入の後に、もう一度1ml/分の流量で、純粋なi−オクタンで更に2分間溶出し、引き続き、1分間あたり5体積%のTHFを添加した。開始後22分間で、溶出液はTHFだけから成っていた。THFで1分間定組成溶離した後に、0.1分以内に流れは純粋なi−オクタンに戻った。
【0193】
評価:評価のために、ピーク最大の溶出時間を使用したが、系の体積(カラムと連結管の体積)をTHFの割合を計算に入れなくてはならなかった。記載されていた試験構成では、系の体積は2.50mlであった(従って、使用される流量が1ml/分である場合には、22.50分)。従って、溶出に必要なTHFの割合を以下のように計算した:
%THF=(t溶出−t−t均一濃度)*THF−グラジエント/分、
従って7.32分の溶出時間の場合、次のように計算される:
%THF=(7.32分−2.50分−2.00分)×5%/分=14.10%THF。
【0194】
本発明の幾つかのポリマーは、純粋なTHFで溶出されなかった。それらの吸着力は、純粋なTHFでの脱着が不可能であるほど強かった。従って、それらの極性値は>100%であった。
【0195】
略語
以下の説明には、次の略語を使用した:
MM1:上記マクロアルコールのメタクリル酸エステル
AMA1:合成イソ-C13アルコールのメタクリル酸エステル、イソ割合>60%
AMA:線状C12〜C14アルコールのメタクリル酸エステル
BMA:n−ブチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
Sty:スチレン
DMAEMA:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPMAm:N,N−ジメチルアミノメタクリルアミド
NVP:N−ビニルピロリドン
BDtBPB:2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン
DDM:ドデシルメルカプタン
tBPO:t−ブチルパーオクトエート
tBPB:t−ブチルパーベンゾエート
CuCl:酸化銅(I)
PMDETA:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン
EBiB:エチル−2−ブロム−2−メチルプロピオネート
MOEMA:モルホリノエチルメタクリレート。
【0196】
比較例1
温度計、加熱マントル、窒素供給管、撹拌機及び還流冷却器を備えた4つ首丸底フラスコ中に、AMA1704.8g、KPE100N-油89.91g及びDDM9.87gを予め装入した。撹拌及び窒素を導入しながら、110℃まで加熱した。110℃の内部温度が達成された後に、tBPO1.76gとKPE100N-油5.29gから成る溶液を以下のように3時間以内に計量供給した:初期溶液の5%を1時間以内、溶液の25%を2時間以内及び溶液の70%を3時間以内。内部温度を110℃で一定に保持した。供給の45分後に、もう一度tBPO1.41gを添加し、かつ110℃で更に60分間後撹拌した。粘性溶液800gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に、予め記載した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0197】
比較例2
まずベースポリマーを製造した。モノマー混合物29.4g(AMA75%とMMA25%)とDDM0.0883gを100N-油265gと一緒に、サーベル撹拌機、冷却器、温度計、供給ポンプ及び窒素供給管を備えた2リットル−4つ首丸底フラスコ中に充填した。この装置を不活性化し、かつ油浴を用いて100℃まで加熱した。反応フラスコ中の混合物が100℃に達した後に、tBPO2.26gを添加した。同時に、上記のモノマー混合物706g、DDM2.12g及びtBPO19.8gから成る混合物を、105℃で3.5時間以内に均一に計量供給した。供給の2時間後に、もう一度tBPO1.47gを105℃で添加した。透明な粘性溶液1000gが得られた。得られたベースポリマー溶液1000gをNVP22.7gと混合し、かつ130℃でtBPB1.89gを添加した。初めの供給の1時間、2時間及び3時間後に、tBPO0.947gをそれぞれ130℃で後から投入した。更に1時間撹拌した後に、100N-油を73.5%の固形分まで希釈した。透明で黒く赤みを帯びた粘性溶液が得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0198】
比較例3
滴下漏斗、サーベル撹拌機、冷却器、温度計及び窒素供給管を備えた2リットル−4つ首丸底フラスコから成る装置を使用した。まず、AMA463g、100N-油56g、CuCl1.5g及びPMDETA2.7gを反応フラスコ中に予め装入し、かつ撹拌下に不活性化した。均一な混合物が存在した。それというのも、錯化触媒は不完全にしか溶けなかったからである。加熱過程の間に、約65℃でEBiB6.1gで反応を開始した。認識可能な発熱反応の後に、95℃で2時間反応させた。初めに使用したAMAの約90%の転化率で、これにMOEMA37.5gを5分以内に滴下し、かつ更に95℃で4時間反応させた。引き続き、この混合物を100N-油で50%まで希釈し、かつCuClを除去するために、圧濾過した(Seitz T1000 10μmデプスフィルター)。50%濃度の赤みを帯びた溶液が得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0199】
例1
ビーカーガラス中で以下の反応混合物を調合した:油中70%濃度のマクロモノマー溶液90.0g、AMA0.3g、BMA12.6g、Sty68.7g、MMA0.3g、DMAEMA5.1g、Shell Risella 907(軽ナフテン系/パラフィン基油)65.0g及びKPE100N-油8.0g。サーベル撹拌機、窒素供給管、温度計、調節された油浴及び還流冷却器を備えた500ml−4つ首丸底フラスコ中に、反応混合物50gを予め装入し、かつ撹拌下に120℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために反応フラスコを介して窒素を通導した。120℃が達成された後に、BDtBPB0.06gを反応フラスコ中に添加し、同時に残りの反応混合物とBDtBPB0.24gから成る供給を開始した。供給時間は3時間であり、反応温度は120℃で一定であった。供給の2時間及び5時間後に、もう一度BDtBPB0.30gをそれぞれ添加し、かつ翌日にフラスコの内容物を油の添加により40%の固形分に希釈した。高粘性の透明な溶液375gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0200】
例2
ビーカーガラス中で以下の反応混合物を調合した:油中70%濃度のマクロモノマー溶液94.3g、AMA0.3g、BMA12.6g、Sty65.7g、MMA0.3g、DMAEMAm5.1g、Shell Risella 907(軽ナフテン系/パラフィン基油)65.0g及びKPE100N-油6.7g。サーベル撹拌機、窒素供給管、温度計、調節された油浴及び還流冷却器を備えた500ml−4つ首丸底フラスコ中に、反応混合物50gを予め装入し、かつ撹拌下に120℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために反応フラスコを介して窒素を通導した。120℃が達成された後に、BDtBPB0.06gを反応フラスコ中に添加し、同時に残りの反応混合物とBDtBPB0.24gから成る供給を開始した。供給時間は3時間であり、反応温度は120℃で一定であった。供給の2時間及び5時間後に、もう一度BDtBPB0.30gをそれぞれ添加し、かつ翌日にフラスコの内容物を油の添加により40%の固形分に希釈した。高粘性の透明な溶液375gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0201】
例3
ビーカーガラス中で以下の反応混合物を調合した:油中70%濃度のマクロモノマー溶液90.0g、BMA27.0g、Sty60.0g、Shell Risella 907(軽ナフテン系/パラフィン基油)65.0g及びKPE100N-油8.0g。サーベル撹拌機、窒素供給管、温度計、調節された油浴及び還流冷却器を備えた500ml−4つ首丸底フラスコ中に、反応混合物50gを予め装入し、かつ撹拌下に120℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために反応フラスコを介して窒素を通導した。120℃が達成された後に、BDtBPB0.09gを反応フラスコ中に添加し、同時に残りの反応混合物とBDtBPB0.36gから成る供給を開始した。供給時間は3時間であり、反応温度は120℃で一定であった。供給の2時間後に、もう一度BDtBPB0.30gを添加した。供給の5時間後に130℃まで加熱し、NVP5.3gを撹拌しながら投入し、かつ5分後にtBPB0.39gを添加した。はじめのtBPB添加から1、2及び3時間後に、もう一度tBPB0.19gを後から投入した。反応終了後、油で40%の固形分に希釈した。高粘性の黒く濁った溶液380gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0202】
例4
サーベル撹拌機、窒素供給管、温度計、調節された油浴及び還流冷却器を備えた500ml−4つ首丸底フラスコ中に、油中70%濃度のマクロモノマー溶液107.1g、AMA44.1g、BMA0.3g、Sty0.3g、MMA0.3g、DMAPMAm30.0g、100N-油25.6g及びDDM1.50gを予め装入し、かつ撹拌下に110℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために反応フラスコを介して窒素を通導した。内部温度110℃が達成された後に、BDtBPB0.30gとKPE100N-油5.70gから成る溶液を3時間以内に計量供給した。供給の1時間及び2時間後に、100℃でtBPO0.30gをそれぞれ後から供給した。粘性溶液約210gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0203】
例5
サーベル撹拌機、窒素供給管、温度計、調節された油浴及び還流冷却器を備えた500ml−4つ首丸底フラスコ中に、油中70%濃度のマクロモノマー溶液171.4g、AMA14.1g、BMA0.3g、Sty0.3g、MMA0.3g、DMAPMAm15.0g、100N-油7.2g及びDDM1.20gを予め装入し、かつ撹拌下に110℃まで加熱した。加熱段階の間に、不活性化のために反応フラスコを介して窒素を通導した。内部温度110℃が達成された後に、BDtBPB0.30gとKPE100N-油5.70gから成る溶液を3時間以内に計量供給した。供給の1時間及び2時間後に、100℃でtBPO0.30gをそれぞれ後から供給した。粘性溶液約210gが得られた。ポリマーの極限粘度と極性を決定し、その際に予め説明した方法で得られた結果を表1に示してある。
【0204】
表1:製造したポリマーの特性
【表1】

【0205】
コームポリマーの評価
KV40=22.32cSt、KV100=4.654cSt及びVI=128であり、完全に乳化しているが、しかしVI改善剤不含のベース液体を含有するAPI(American Petroleum Institute)グループIIIの基油及びDI−Paket("dispersant inhibitor package")を含有する分散剤、洗浄剤、脱泡剤、腐食防止剤、抗酸化剤、耐摩耗性添加剤及び極圧添加剤、摩擦係数調整剤を使用した。
【0206】
得られたポリマーは、予め説明したベース液体中で、KV100=6.5cSt(ASTM D445)に調節した。通常の調製物サイズKV40と粘度指数VI(ASTM 2270)を決定し、得られた値は表2から引用できる。
【0207】
表2:潤滑油調製物中の合成ポリマーの粘性データ
【表2】

【0208】
疲労期間(回転数)をDIN513501により標準化したフォアボール装置(VKA、four-ball apparatus)において決定し、その際に、圧力下に回転ボールを3つの同種の回転ボールに押し当てた。Voklswagen AG社の試験規定VW PV 1444を使用した。
【0209】
測定温度は120℃であった。4.8kNの負荷及び4000rpmの回転速度で、7.67GPaの最大ヘルツ圧でピッチポイントの速度(巻き込み速度)5.684m/sが生じた。試験体のロールオーバー周波数の周波数帯において、振動センサーが0.25gを上回る振動を記録するとすぐに疲労が開始した(重力加速度g=9.81m/s2)。これは、一般に回転経路に直径1〜2mmのクレーターを示す。
【0210】
疲労期間の決定は、同じ振動条件で複数(有利には5〜10回)の試験を必要とした。疲労期間は、相加平均値でもワイブル統計を用いた場合でも不信頼性(unreliability)Uの平均疲労期間であった。通常、Uは50%(又は10%)である。すなわち、全ての試料の50%は、所定の時間値までに疲労を示した。混同しないために、不信頼性は通常90%(又は95%)である統計的信頼性(信頼度)を有する。
【0211】
持続性、すなわち材料疲労損傷が開始するまでの回転数が大きいほど、試験オイル中で示されたポリマーの作用は一層良好になる。得られたデータは表3に示してある。
【0212】
表3:疲労挙動における試験結果
【表3】

【0213】
表3に示された結果は、本発明による分散性コームポリマーが、例えば、ローラーベアリングの寿命において優れたプラスの作用を及ぼすことを明らかに証明している。本発明によるコームポリマーの使用により、41%までの寿命の延長が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーを、潤滑剤における抗疲労添加剤として用いる使用。
【請求項2】
コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
分散性モノマーは、複素環式ビニル化合物及び/又はアミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート及び/又はカルボニル含有(メタ)アクリレートを含む、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
コームポリマーは、20000〜1000000g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
コームポリマーは、10000〜800000g/molの範囲内の数平均分子量Mnを有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
潤滑剤は、トランスミッションオイル、エンジンオイル又はハイドロリックオイルである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーにおいて、該コームポリマーは、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位、少なくとも50%THFの極性及び15〜50ml/gの範囲内の極限粘度を有することを特徴とする、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマー。
【請求項8】
コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも10質量%有する、請求項7に記載のコームポリマー。
【請求項9】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量の数平均Mnとコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:3〜1:5の範囲内である、請求項7又は8に記載のコームポリマー。
【請求項10】
コームポリマーは、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%有する、請求項7から9までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項11】
コームポリマーは、ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を30〜80質量%有する、請求項7から10までのいずれか1項の記載のコームポリマー。
【請求項12】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比は、6:1〜2:1の範囲内である、請求項7から11までのいずれか1項の記載のコームポリマー。
【請求項13】
アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比は、2:1〜1:1.5の範囲内である、請求項7から12までのいずれか1項の記載のコームポリマー。
【請求項14】
コームポリマーは、メチルメタクリレートに由来する繰返単位と、n−ブチルメタクリレートに由来する繰り返し単位を有する、請求項7から13までのいずれか1項の記載のコームポリマー。
【請求項15】
コームポリマーは、分散性モノマーとしてのアミノアルキル(メタ)アクリルアミドに由来する単位を有する、請求項7から14までのいずれか1項の記載のコームポリマー。
【請求項16】
主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマーにおいて、該コームポリマーは、8〜17個の炭素原子を有するスチレンモノマーに由来する繰り返し単位を少なくとも10質量%、1〜6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を少なくとも5質量%及び少なくとも30%THFの極性を有することを特徴とする、主鎖中に少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と、500g/mol未満の分子量を有する低分子モノマーに由来する繰り返し単位を有するコームポリマー。
【請求項17】
コームポリマーは、少なくとも80%THFの極性を有する、請求項16に記載のコームポリマー。
【請求項18】
コームポリマーは、40〜100ml/gの範囲内の極限粘度数を有する、請求項16又は17に記載のコームポリマー。
【請求項19】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量の数平均Mnとコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:10〜1:50の範囲内である、請求項16から18までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項20】
コームポリマーは、分散性モノマーに由来する繰り返し単位を1〜8質量%有する、請求項18に記載のコームポリマー。
【請求項21】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーの分子量の数平均Mnとコームポリマーの分子量の数平均Mnとの比は、1:10〜1:50の範囲内である、請求項16から20までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項22】
コームポリマーは、少なくとも500g/molの分子量を有するポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位を30〜60質量%有する、請求項16から21までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項23】
ポリオレフィンをベースとするマクロモノマーに由来する繰り返し単位と分散性モノマーに由来する繰り返し単位との質量比は、30:1〜8:1の範囲内である、請求項16から22までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項24】
コームポリマーは、分散性モノマーとしてのアミノアルキル(メタ)アクリルアミドに由来する単位を有する、請求項16から23までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項25】
コームポリマーは、メチルメタクリレートに由来する繰り返し単位と、アルコール基中に8〜30個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する繰り返し単位を有する、請求項16から24までのいずれか1項に記載のコームポリマー。
【請求項26】
請求項7から25までのいずれか1項に記載のコームポリマーを製造する方法において、マクロモノマーと低分子モノマーを共重合することを特徴とする、請求項7から25までの少なくとも1項に記載のコームポリマーを製造する方法。
【請求項27】
共重合は、フリーラジカル重合により行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項7から25までのいずれか1項に記載のコームポリマーを有している潤滑油調製物。
【請求項29】
ASTM D2603Ref.BによるPSSIは、35以下である、請求項28に記載の潤滑油調製物。

【公表番号】特表2012−520359(P2012−520359A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553384(P2011−553384)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052361
【国際公開番号】WO2010/102903
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(399020957)エボニック ローマックス アディティヴス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (38)
【氏名又は名称原語表記】Evonik RohMax Additives GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee, D−64293 Darmstadt, Germany
【Fターム(参考)】