説明

抗腫瘍活性を有するインドール誘導体

抗腫瘍活性を有する3H−ベンゾ[e]インドール−4,5−ジオン誘導体、その調製方法およびそれらを含む薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍活性を有する化合物およびその医薬組成物に関する。より正確には、本発明は、転写因子(transcription factor)HIF−1αとそのコアクチベーターp300との間の相互作用を阻害し、それによって、血管内皮細胞増殖因子(VEGF:vascular endothelial cell growth factor)の産生を防止することを通して、腫瘍の増殖および血管新生を妨げることができる3H−ベンゾ[e]インドール−4,5−ジオン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
血管内皮細胞増殖因子は、生理学的および生理病理学的な血管新生の過程で、重要な役割を果たす。VEGF遺伝子の制御には、多くのメカニズムが関わっているが、その基本的な役割を組織酸素分圧が演じており、このことは、in vivoおよびin vitroでの低酸素条件下での、可逆的なVEGF mRNA値の増加によって証明されている。VEGF mRNAの発現増加は、VEGF遺伝子のプロモーター領域の認識部位と結合する転写因子HIF−1(低酸素誘導因子−1)によって、主に仲介される。
【0003】
多くの実験データは、HIF−1が酸素ホメオスタシスの包括的な制御因子であり、HIF−1の活性障害が腫瘍細胞の生存、増殖、浸潤および転移(metastatization)を促進することを示している(1)。したがって、HIF−1活性の抑制に焦点を合わせる治療的戦略により癌患者の生存を向上する可能性が示唆されている(2)。
【0004】
HIF−1は、二量体化して、bHLH−PASドメインを通してDNAと結合するHIF−1αおよびHIF−1βサブユニットからなるヘテロ二量体である(3)。HIF−1αサブユニットの発現は、VHLタンパク質のHIF−1αへの結合によって仲介される、ユビキチン化およびプロテアソーム分解の過程を通して、組織酸素濃度によって厳しく制御される(4)。そのような相互作用は、402および564のプロリン残基でHIF−1αがヒドロキシル化されているときに限り生じる。酸素は、HIF−1αを変換させるプロリルヒドロキシラーゼを制限している基質である(5)。HIF−1αの発現は、酸素濃度が減少するにしたがって指数関数的に増加し、HIF−1の包括的な活性のレベルを左右する。
【0005】
また、HIF−1αのトランス活性化ドメインの機能は、酸素分圧によって制御される負の制御に支配されている。N末端のトランス活性化ドメインは、VHL、およびVHLとHIF−1αの両方に結合するHIF−1抑制因子(FIH−1)によるヒストンデアシラーゼの補充を通して、負に制御される(6)。
【0006】
HIF−1活性化は、VEGFのような遺伝子の転写を促進するHIF−1ドメインの活性化と物理的に相互作用するp300/CBPコアクチベーターの出現を通して生じる(7)。また、p300およびCBPの両方とも、Stat−3、NF−κB、p53などの他の転写因子のコアクチベーターである。
【0007】
p300/CBPとHIF−1の相互作用は、転写にとって不可欠であり、最近の文献では、腫瘍の増殖におけるHIF−1/p300の相互作用の重要性が証明されている(8)。HIF−1αのC末端トランス活性化ドメイン(C−TAD)は、CH1として知られているp300およびCBPドメインと結合する。CBPおよびp300とHIF−1αとの結合は、FIH−1によるC末端の活性化ドメインにおけるアスパラギン803の酸素依存性の水素化を通して負に制御される。したがって、低酸素は、プロテアソーム分解およびHIF−1の転写活性の両方の安定化を引き起こす。
【0008】
HIF−1α TAD−Cとp300またはCBPのCH1ドメインの間の相互作用に関する構造上の詳細が解明されている(9、10)。また、p300/CBPと、Hif−1α活性の負の制御因子と考慮されている(11)CITED2タンパク質(別名p35srj)との間の相互作用に関する詳細についても発表されている。
【0009】
HIF−1活性化は、特に腫瘍進行にとって重要である、血管新生因子、グルコース運搬体、糖分解酵素、生存、遊走および浸潤因子の産生に関わる多くの遺伝子の転写を誘発する。
【0010】
Hif−1αタンパク質の異常発現は、70%を超えるヒトの腫瘍およびこれらの転移で観察され、血管新生および腫瘍進行の増加に関連していた(12〜14)。臨床的実践では、Hif−1αタンパク質の異常発現は、非小細胞肺癌(15)、中咽頭扁平上皮癌(16)、早期子宮頚癌(17)、頭頚部癌(18)、変異型p53卵巣癌(19)、乏突起膠腫(20)およびBCL−2陽性の食道癌(21)などの多くの腫瘍病理における治療の失敗および死亡率の増加に関連していた。
【0011】
HIF−1活性を抑制するための様々なアプローチが文献に記載されている。これらのいくつかは、Hif−1α、またはHif−1αの負の優性型に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotide)の使用を示唆した。
【0012】
薬理学的アプローチのなかで、Hif−1α活性を制御するシグナル伝達に作用するPI3K−mTOR抑制因子(22、23)およびMEKK(24)抑制因子;HSP90シャペロンタンパク質(chaperone protein)の抑制因子(25);細胞の酸化還元状態を変更させるように作用するチオレドキシン還元酵素抑制因子(26);2−メトキシエストラジオール(27)およびエポチロン(28)などの微小管を不安定にさせる分子など、間接的なメカニズムを通して作用するHif−1α活性抑制因子について記載されている。
【0013】
最近、ヌードマウスに移植されたヒト腫瘍でのPX−478(メルファランN−酸化物)によるHif−1α値の構成的および低酸素誘導の抑制について報告された。本化合物は、著しい抗腫瘍作用を示す。しかし、本化合物の作用機序については、未だに完全には明らかにされていない(29)。
【0014】
最後に、ケトミウム属の菌類のジチオジオキソピペラジン代謝物であるケトミンが、Hif−1αのp300への結合を妨げることが報告されている。本化合物は、p300のCH1ドメイン構造を変化させるように作用し、したがって、そのHif−1αとの相互作用を妨げる。腫瘍形成マウスに対するケトミン投与は、腫瘍および腫瘍増殖における低酸素誘導の転写を抑制する(30)。
(従来技術)
Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii(1989),611−14および(1983),(10),1364−6では、3H−ベンゾ[e]インドール o−キノンおよびこれらの化学修飾について述べている。記載の化合物に関する生物活性については報告されていない。
【0015】
ナフトキノンとサイクリックβ−ジカルボニル化合物との反応により得られる3H−ベンゾ[e]インドール o−キノンは、Zhurnal Organikeskoi Khimii (1985),21(6),1315−20に記載されている。記載の化合物に関する生物活性については報告されていない。
【0016】
抗ウイルス性化合物の1−フェニル−2−エトキシカルボニル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドールは、Chem.& Pharm.Bull(1983),31(12),4391−4400に記載されている。
【0017】
ベンゾキノン環がベンゾインドール核の1、2位へ環形成する3H−ベンゾ[e]インドール o−キノンは、Heteocycles(1982),19(11),2019−2025で報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
3H−ベンゾ[e]インドール誘導体が、Chemical & Pharm.Bull.(1983),31(12),4401−8で調製されている。
【0019】
Archives of Biochemistry and Biophysics 429(2004)30−41では、化合物の1−アセチル−8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート、エチル8−ブロモ−2−(ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート、およびエチル8−ブロモ−3−メチル−2−(1−ピペリジニル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレートについて発表している。本化合物は、in vitroでのプロテインチロシンホスファターゼα(PTPα)、およびフィブロネクチン基質上の線維芽細胞の細胞伸展を抑制することが報告されている。本化合物は、還元剤または還元酵素に反応して、無制御および細胞全体を通して分布するという形で、細胞内で過酸化水素を産生することができると考えられている。著者らは、これらの特徴により、本化合物が潜在的に細胞毒性を有するが、臨床候補としては可能性が低いと結論付けている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の開示)
本発明により、今、低酸素(酸素欠乏)の条件下の腫瘍細胞において、3H−ベンゾ[e]インドール−4、5−ジオンの特定の誘導体が、Hif−1αとp300の間の相互作用を抑制し、VEGFの産生を防止できることが発見された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物:
【0022】
【化1】

【0023】
[式中、
【0024】
【化2】

【0025】
は、単結合または二重結合であり、
XおよびX’は、それぞれ独立して、O、OH、NH、NH2、NH2OHであり、
またはXおよびX’は、窒素であり、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員または10員の複素環または芳香族複素環を形成し、
R1およびR2は、これらが(式(I)の6および7位で)結合している原子と一緒になって、(C1〜C4)アシル、(C1〜C4)アルキルスルホニルアミノまたは(ハロゲン)C1〜C4アルキル、ハロゲン、アミン、モノまたはジ(C1〜C4)アルキルアミン、ヒドロキシル、(C1〜C4)アルコキシル、チオール、(C1〜C4)アルキルチオール、カルバモイル、ニトリル、スルファモイル、フェニルで場合によって置換されている、6員芳香環、または5員もしくは6員芳香族複素環、好ましくは、ベンゼン環を形成し、
R3は、水素;場合によって、−O−、−S−、−N=、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、NHSO2NH−、−NHC(=NH)NH−、−NHC(=NH)−、−NHCSNH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO2−、SO2NH−、−CH=CH−、−C≡C−基で中断されているか、またはハロゲン、−NH2−、−OH、−SH、−OCONH2、−COOH、−SO2NH2、−CONH2、−NHCONH2、−CN、フェニル、5員もしくは6員複素環で置換されている、アシル(C1〜C4)、(C1〜C4)アルキルスルホニル、(C1〜C4)アルキルアミノスルホニル、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキルであり、
R4は、−NR6R7であり、式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素;場合によって、ハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環、特に、モルホリンで置換される、(C1〜C4)アシル、(C1〜C4)アルキルスルホニル、(C1〜C4)アルキルアミノスルホニル、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;−OR6;カルバモイル;場合によって−O−、−S−、−N=、−NH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO2−、−SO2NH−基で中断されているか、あるいはハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環で場合によって置換されている、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;10員までの芳香環または芳香族複素環;5員または10員複素環であり、
R5は、NH2;NR6R7;OR6;場合によって−O−、−S−、−N=、−NH−、−CO−、−COO−基、−CONH−、−SO2−、−SO2NH−で中断されているか、あるいはハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環で置換される、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;10員までの芳香環または芳香族複素環;5員または6員複素環;ウレイドである。]、その塩、異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーを、血管新生の予防、抑制、または遮断を必要とする対象に投与することによって、動物、好ましくはヒトにおける血管新生を予防、抑制、または遮断するための方法を対象とする。
【0026】
特に好ましいのは、X=X’=O(カルボニル基)である化合物(I)である。最も好ましいのは、X=X’=Oであり、
R3が、H、メチル、ベンジル、カルボキシメチル、tert−ブトキシカルボニルメチル、カルバモイルメチルから選択され、
R4が、ヒドロキシ基もしくはアミノ基、または第一級もしくは第二級アミンで場合によって置換される、メチル基またはエチル基であり、
R5がエトキシカルボニルである化合物(I)である。
【0027】
生化学的アッセイおよび細胞アッセイにおいて、本発明の化合物は、それぞれ、HIF−1αとp300との間の相互作用、ならびにVEGFプロモーターの活性化および分泌VEGFの産生を抑制できることが証明された。
【0028】
模式図(Scheme)(1)および(2)は、X=X’=Oであり、式中、XおよびX’がそれぞれジアジンを形成する化合物(I)の合成を示している。
【0029】
【化3】

【0030】
他の実施態様では、本発明は、以下からなる群から選択される、抗腫瘍活性を有する3H−ベンゾ[e]インドール−4,5−ジオン誘導体を提供する。
【0031】
− エチル 8−ブロモ−3−tert−ブトキシカルボニルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−カルボキシメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−カルバモイルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,11−トリアザシクロペンタ[l]フェナントレン−3−カルボキシレート;
− エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,13−トリアザベンゾ[a]シクロペンタ[c]アントラセン−3−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−メチルピペラジン−1’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
− エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−アミノエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート。
【0032】
更なる態様によれば、本発明は、薬学的に許容できる賦形剤と共に少なくとも1種の式(I)の化合物の有効量を含む薬剤組成物に関する。本組成は、固形、半固形または液状、好ましくは、溶液、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、シロップ、坐剤、エアロゾルまたは徐放性システムの形にすることができる。本組成物は、異なる経路、特に経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、直腸および鼻腔内の経路を通して投与することができる。非経口投与が好ましい。活性成分の用量は、治療する疾患の種類、重症度および病期、ならびに患者の体重、性別および年齢と共に、特定の選択した化合物の医療−毒物的および薬物動態的特性にしたがって、当業者によって決定されるであろう。0.1から100mg/kg/日までの範囲の用量が一般に受け入れられるであろう。
【0033】
単位用量あたりの活性成分量は、形状および投与経路、使用化合物、治療する疾患によるが、原則として、一般に0.1〜1000mg、好ましくは1〜600mgで変化する。
【0034】
薬剤組成物の調製の原則および方法は、当業者に知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science,Mack Publishing Company,Easton(PA)に記載されている。
【0035】
更に他の実施態様では、本発明は、腫瘍および転移を治療する方法を提供し、本方法は、対象、好ましくはヒト対象に、治療に応じて、式(I)の化合物またはその医薬組成物の有効量を投与することを含む。本発明にしたがって治療することが好ましい腫瘍は、肺癌、乳癌、前立腺癌、神経芽細胞腫(neuroblastoma)、多形性神経膠芽細胞腫(glioblastoma mulforme)、黒色腫、中枢神経系腫瘍、中咽頭扁平上皮癌(oropharyngeal squamous call cancer)、子宮頚癌(cervial cancer)、卵巣癌、食道癌(esophageal cancer)、腎臓癌、結腸癌(colon cancer)、頭頚部癌および乏突起膠腫(oligodendrima)などである。
【実施例】
【0036】
本発明は、以下の実施例によって更に例示される。
実施例
調製1:6−ブロモ−1,2−ナフトキノン
【0037】
【化4】

【0038】
方法A
1,6−ジブロモ−2−ナフトール(20g、0.0662モル)のCH2Cl2(200ml)溶液に、一滴ずつ、撹拌しながら90%HNO3(9.39ml、0.1988モル)を加えた(40分)。添加が完了した後、本溶液を15分間撹拌したままにして、次に、H2O(200ml)を加えた。有機相を分離し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。固形残渣をトルエン(40ml)に懸濁させ、混合物を90℃で1時間撹拌したままにした。冷却後、固体を収集し、40〜60℃の石油エーテルで洗い、40℃の真空下で乾燥させ、7.99g(収率51%)の生成物を得た(赤/オレンジ色の固体)。
【0039】
1H NMR(DMSO−d6):δ7.90(1H,d,J=1.79Hz);7.84(1H,d,J=8.21);7.77(1H,dd,J=1.79,8.21);7.62(1H,d,J=10.19);6.46(1H,d,J=10.19)。
【0040】
方法B
窒素雰囲気下で、フレミー塩(Fremy’s salt)(10g、0.0373モル)およびKH2PO4(77g、0.5658モル)のH2O溶液(1.14l)に、一滴ずつ撹拌しながら6−ブロモ−2−ナフトール(3.032g、0.0132モル)のCH2Cl2(150ml)溶液を加えた。窒素雰囲気下で21時間二相系を撹拌した後に、有機相を分離し、H2O(3×40ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。固形残渣をEt2O(20ml)に懸濁させ、混合物を1時間撹拌したままにした。固体を収集し、Et2Oおよびヘキサンで洗浄し、1.253g(収率40%)の生成物(茶色の固体)を得た。
【0041】
方法C
t−BuOOHのデカン(1.1ml、0.006モル)溶液、無水CH2Cl2(60ml)および4Åモレキュラーシーブ(molecular sieve)(1g)を窒素雰囲気下で丸底フラスコに入れた。2つ目の丸底フラスコにおいて、窒素雰囲気下で、6−ブロモ−2−ナフトール(0.23g、0.001モル)およびTi(OPr−i)4(0.001モル、0.31ml)の無水CH2Cl2(50ml)の溶液を調製した。次に、窒素雰囲気下で、ナフトール−チタン錯体を一滴ずつ、撹拌しながら過酸化水素溶液に加えた(5時間)。添加が完了した後、混合物を1時間撹拌したままにして、次に、シリカゲルカラムを通して濾過した。減圧下で、溶媒を蒸発させ、固形残渣を回収し、50℃の真空下で乾燥させ、0.043g(収率18%)の生成物(茶色の固体)を得た。
【0042】
調製2:6−ブロモ−3−ニトロ−1,2−ナフトキノン
【0043】
【化5】

【0044】
6−ブロモ−1,2−ナフトキノン(5.2g、0.0219モル)の70%NHO3(10ml)懸濁液を、50℃で5分間撹拌し続けた。氷を加えた後、混合物を室温で1時間撹拌したままにした。固体を収集し、H2Oで繰り返し洗浄し、40℃の真空下で乾燥させ、5.81g(収率94%)の生成物(赤/オレンジ色の固体)を得た。
【0045】
1H NMR(DMSO−d6):δ8.61(1H,s);8.18(1H,d,J=1.37Hz);7.95(2H,m)。
【0046】
調製3:エチル2−(7−ブロモ−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロナフタレン−1−イル)−3−ヒドロキシブト−2−エノエート
【0047】
【化6】

【0048】
6−ブロモ−3−ニトロ−1,2−ナフトキノン(9.62g、0.0341モル)の無水THF(60ml)溶液に、撹拌しながら、アセト酢酸エチル(4.78ml、0.0375モル)およびピペリジン(0.33ml、0.003モル)を加えた。添加が完了した後、得られた溶液を室温で1時間15分撹拌し続けた。圧力下で、溶媒を除去し、油残渣をEt2O(150ml)で取り出した。不溶物を除去した後、濾液をH2O(2×150ml)および10%NaCl(50ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固して、12.98g(収率92%)の生成物(暗赤色の油)を得た。
【0049】
LC−MS:411、9、[M−H]-
1H NMR(DMSO−d6)(エノール/ケト85:15混合物;エノール型のシグナルは報告あり):δ13.17(1H,s);10.24〜9.96(2H,s);8.12(1H,d,J=9.04Hz);7.80(1H,d,J=1.67);7.69(1H,dd,J=1.67,9.04);4.09(2H,q,J=7.04);1.66(3H,s);1.01(3H,t,J=7.04)。
実施例1
エチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0050】
【化7】

【0051】
エチル2−(7−ブロモ−3,4−ジヒドロキシ−2−ニトロナフタレン−1−イル)−3−ヒドロキシブト−2−エノエート(562mg、1.363mmol)の氷酢酸(glacial AcOH)(6ml)溶液に、撹拌しながらZn(357mg、5.46mmol)を加えた。得られた懸濁液を、撹拌しながら90℃で6時間加熱した。冷却後、固体を収集し、H2O(12ml)に懸濁させ、混合物を室温で24時間撹拌したままにした。固体を収集し、H2Oで洗浄し、40℃の真空下で乾燥させ、AcOEt(4ml)に懸濁させた。混合液を5分間還流させた後に冷却し、その後、固体を収集し、AcOEtで洗い、40℃の真空下で乾燥し、319mg(収率65%)の生成物を得た(赤色の固体)。
【0052】
1H NMR(DMSO−d6):δ13.05(1H,s);8.79(1H,d,J=1.83Hz);7.78(1H,d,J=8.26);7.59(1H,dd,J=1.83,8.26);4.34(2H,q,J=7.11);2.46(3H,s);1.36(3H,t,J=7.11)。
実施例2
エチル8−ブロモ−2−ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0053】
【化8】

【0054】
エチル8−ブロモ−2,3−ジメチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(100mg、0.266mmol)のCCl4(8ml)懸濁液に室温で撹拌を続けながらN−ブロモスクシンイミド(50mg、0.2809mmol)および過酸化ベンゾイル(1mg、0.004mmol)を加えた。得られた懸濁液を、撹拌しながら6時間加熱して還流させた。冷却後、固体を濾過し、減圧下で濾液を蒸発乾固した。残渣をEt2Oでとり、固体を収集して59mg(収率49%)の生成物(赤色の固体)を得た。
【0055】
1H NMR(DMSO−d6):δ8.40(1H,d,J=1.79Hz);7.82(1H,d,J=8.29);7.63(1H,dd,J=1.79,8.29);4.98(2H,s);4.42(2H,q,J=7.08);3.99(3H,s);1.40(3H,t,J=7.08)。
実施例3
エチル8−ブロモ−2,3−ジメチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0056】
【化9】

【0057】
実施例1のエチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(1.43g、3.948mmol)、K2CO3(2.73g、19.7525mmol)およびCH3I(1.23ml、19.7525mmol)の乾燥DMF(140ml)懸濁液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら60℃で3時間加熱した。冷却後、無機固体を濾過し、濾液をH2O(140ml)で希釈し、室温で2時間撹拌したままにした。沈降した固体を収集し、繰り返しH2Oで洗浄し、40℃の真空下で乾燥させ、溶出剤として石油エーテル(bp40〜60℃)/AcOEt(1/1)を使用して、シリカゲル上でクロマトグラフィーを行った。得られた固体を、AcOEt(6ml)に懸濁させ、混合物を加熱して5分間還流させた。冷却後、固体を収集し、AcOEtおよび石油エーテル(40〜60℃)で洗浄し、40℃の真空下で乾燥させ、445mg(収率30%)の生成物(赤色の固体)を得た。
【0058】
元素分析
計算値 C54.27%、H3.75%、N3.72%、Br21.24%
実測値 C54.11%、H3.72%、N3.78%、Br21.08%
LC−MS:378、1、MH+
1H NMR(DMSO−d6):δ8.31(1H,d,J=1.84Hz);7.78(1H,d,J=8.23);7,59(1H,dd,J=1.84,8.23);4.37(2H,q,J=7.12);3.90(3H,s);2.43(3H,s);1.37(3H,t,J=7.12)。
実施例4
エチル8−ブロモ−3−メチル−2−(モルホリン−4’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0059】
【化10】

【0060】
実施例2のエチル8−ブロモ−2−ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(86mg、0.183mmol)およびモルホリン(32μl、0.367mmol)の無水トルエン(4ml)溶液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら50℃で30分間加熱した。冷却後、沈降した固体を濾過し、濾液は減圧下で蒸発乾固した。油残渣は、EtOH(0.2ml)とH2O(0.2ml)の混合液による処理で凝固させた。固体を収集し、EtOH/H2O(1/1)で洗浄し、40℃の真空下で乾燥させ、44mg(収率50%)の生成物(黄色の固体)を得た。
【0061】
元素分析
計算値 C54.68%、H4.59%、N6.07%、Br17.32%
実測値 C55.93%、H5.11%、N5.41%、Br16.36%
1H NMR(DMSO−d6):δ8.05(1H,d,J=1.01Hz);7.79(1H,d,J=8.29);7.60(1H,dd,J=1.01,8.29);4.39(2H,q,J=6.98);4.00(3H,s);3.71(2H,s);3.54(4H,m);2.41(4H,m);1.38(3H,t,J=6.98)。
実施例5
エチル8−ブロモ−2−ジメチルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0062】
【化11】

【0063】
実施例2のエチル8−ブロモ−2−ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(57mg、0.125mmol)の無水THF(2ml)溶液に、撹拌しながら窒素雰囲気下で、2MジメチルアミンのTHF(125μl、0.25mmol)溶液を加えた。得られた懸濁液を、撹拌しながら50℃で30分間加熱した。固体を濾過し、減圧下で濾液を蒸発乾固した。半流動性の残渣を、無水EtOH(0.4ml)で溶解し、混合液を室温で終夜撹拌したままにした。沈降した固体を収集し、Et2Oで洗浄し、40℃の真空下で乾燥し、44mg(収率84%)の生成物を得た(赤色の固体)。
【0064】
元素分析
計算値 C54.3%、H4.57%、N6.68%、Br19.05%
実測値 C53.61%、H4.61%、N6.27%、Br17.26%
1H NMR(DMSO−d6):δ8.05(1H,d,J=1.78Hz);7.80(1H,d,J=8.29);7.60(1H,dd,J=1.78,8.29);4.39(2H,q,J=7.10);3.98(3H,s);3.62(2H,s);2.19(6H,s);1.38(3H,t,J=7.10)。
実施例6
エチル8−ブロモ−2−イソプロピルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0065】
【化12】

【0066】
実施例2のエチル8−ブロモ−2−ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(995mg、1.749mmol)およびイソプロピルアミン(0.3ml、3.492mmol)の無水トルエン(40ml)溶液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら50℃で4時間加熱した。溶媒は減圧下で蒸発乾固し、固形残渣は2%NaHCO3(15ml)およびH2Oで洗浄した。次に、固体を40℃の真空下で乾燥させ、溶出剤としてCH2Cl2およびAcOEtを使用して、シリカゲル上でクロマトグラフィーを行った。得られた固体は、AcOEt(2.8ml)から結晶化させ、617mg(収率56%)の生成物を得た(赤/オレンジ色の固体)。
【0067】
元素分析
計算値 C55.44%、H4.89%、N6.47%、Br18.44%
実測値 C55.69%、H4.91%、N6.55%、Br18.26%
LC−MS:433、0、MH+
1H NMR(DMSO−d6):δ8.22(1H,d,J=1.82Hz);7.79(1H,d,J=8.08);7.60(1H,dd,J=1.82,8.08);4.38(2H,q,J=7.12);3.99(3H,s);3.86(2H,s);2.75(1H,六重線(set),J=6.23);1.86〜1.76(1H,s);1.38(3H,t,J=7.12);1,02(6H,d,J=6.23)。
実施例7
エチル8−ブロモ−3−第三ブトキシカルボニルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0068】
【化13】

【0069】
実施例1のエチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(0.3g、0.8mmol)、第三ブチルブロモアセテート(0.3ml、1.8mmol)およびK2CO3(0.257g、1.8mmol)の乾燥DMF(10ml)懸濁液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら60℃で3時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣はH2O(30ml)とAcOEt(30ml)の間で分配した。有機相を分離し、H2O(2×30ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。残渣は、溶出剤としてヘキサン/AcOEt(1/1)を使用して、シリカゲルで濾過した。得られた油をヘキサン(200ml)に懸濁させ、混合液を室温で4日間撹拌したままにした。油はゆっくりと凝固し、得られた固体を収集し、ヘキサンで洗浄し、0.169g(収率43%)の生成物(茶色の固体)を得た。
【0070】
m.p.105〜108℃(分解点)
元素分析
計算値 C55.47%、H4.66%、N2.94%、Br16.78%
実測値 C55.46%、H4.67%、N3.02%、Br16.54%
1H NMR(DMSO−d6):δ8.35(1H,d,J=1.74Hz);7.79(1H,d,J=8.07);7.63(1H,dd,J=1.74,8.07);5.18(2H,s);4.39(2H,q,J=7.11);2.40(3H,s);1.45(9H,s);1.38(3H,t,J=7.11)。
実施例8
エチル8−ブロモ−3−カルボキシメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0071】
【化14】

【0072】
実施例7のエチル8−ブロモ−3−第三ブトキシカルボニルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(0.14g、0.3mmol)およびトリフルオロ酢酸(2ml)の無水CH2Cl2(10ml)溶液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら室温で5時間30分放置した。溶媒を減圧下で蒸発させ、固形残渣はEt2O(5ml)に懸濁させ、混合物を室温で30分間撹拌したままにした。固体を収集し、ヘキサンで洗浄し、0.052g(収率42%)の生成物を得た(赤色の固体)。
m.p.197〜200℃(分解点)
元素分析
計算値 C51.45%、H3.36%、N3.33%、Br19.01%
実測値 C50.38%、H3.39%、N3.27%、Br18.04%
1H NMR(DMSO−d6):δ13.60〜12.90(1H,s);8.34(1H,d,J=1.69Hz);7.79(1H,d,J=8.27);7.63(1H,dd,J=1.69,8.27);5.20(2H,s);4.39(2H,q,J=7.11);2.41(3H,s);1.38(3H,t,J=7.11)。
実施例9
エチル8−ブロモ−3−カルバモイルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
【0073】
【化15】

【0074】
実施例1のエチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(0.3g、0.8mmol)、2―ブロモアセトアミド(0.124g、0.9mmol)、K2CO3(0.229g、1.6mmol)およびKI(0.027g、0.16mmol)の乾燥DMF(10ml)懸濁液を、窒素雰囲気下で、撹拌しながら室温で7時間30分放置した。混合液をH2O(10ml)で希釈し、固体を収集し、H2Oで洗浄し、真空下の室温で乾燥させた。本固体の無水EtOH(50ml)懸濁液を撹拌しながら1時間還流させた。本懸濁液を熱濾過(hot filter)し、固体を収集し、ヘキサンで洗浄して0.081g(収率23%)の生成物(茶色の固体)を得た。
【0075】
m.p.>250℃
元素分析
計算値 C51.57%、H3.61%、N6.68%、Br19.06%
実測値 C51.26%、H3.53%、N6.60%、Br19.07%
1H NMR(DMSO−d6):δ8.33(1H,d,J=1.73Hz);7.79(1H,d,J=8.27);7.71(1H,s);7.62(1H,dd,J=1.73,8.27);7.33(1H,s);5.11(2H,s);4.39(2H,q,J=7.09);2.36(3H,s);1.37(3H,t,J=7.09)。
実施例10
エチル5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,11−トリアザシクロペンタ[l]フェナントレン−3−カルボキシレート
【0076】
【化16】

【0077】
実施例1のエチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(0.3g、0.8mmol)、エチレンジアミン(0.08ml、1.2mmol)および氷酢酸(3滴)のEtOH(20ml)溶液を撹拌しながら5時間還流させた。冷却後、得られた溶液を減圧下で蒸発乾固し、固体残渣は、溶出剤としてヘキサン/AcOEt(1/1)を使用してシリカゲル上で濾過した。得られた固体を40℃の真空下で乾燥し、0.157g(収率52%)の生成物(黄色の固体)を得た。
【0078】
m.p.158〜160℃(分解点)
元素分析
計算値 C56.27%、H3.67%、N10.94%、Br20.80%
実測値 C55.78%、H3.85%、N10.28%、Br18.52%
LC−MS:384.1、MH+
1H NMR(DMSO−d6):δ13.25(1H,s);9.69(1H,d,J=1.83Hz);9.09(1H,d,J=8.76);9.01(1H,d,J=1.98);8.98(1H,d,J=1.98);7.82(1H,dd,J=1.83,8.76);4.41(2H,q,J=7.07);2.73(3H,s);1.43(3H,t,J=7.07)。
実施例11
エチル5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,13−トリアザベンゾ[a]シクロペンタ[c]アントラセン−3−カルボキシレート
【0079】
【化17】

【0080】
実施例1のエチル8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート(0.3g、0.8mmol)、1,2−フェニレンジアミン(0.134g、1.2mmol)および氷酢酸(3滴)のEtOH(20ml)溶液を撹拌しながら7時間還流させた。冷却後、固体を収集し、Et2Oおよびヘキサンで洗浄して0.313g(収率87%)の生成物(黄色の固体)を得た。
【0081】
m.p.234〜235℃(分解点)
元素分析
計算値 C60.84%、H3.71%、N9.68%、Br18.40%
実測値 C60.76%、H3.70%、N9.52%、Br17.98%
1H NMR(DMSO−d6):δ13.29(1H,s);9.56(1H,d,J=1.92Hz);9.21(1H,d,J=8.67);8.33(1H,m);8.28(1H,m);7.97(2H,m);7.84(1H,dd,J=1.92,8.67);4.41(2H,q,J=7.09);2.73(3H,s);1.44(3H,t,J=7.09)。
実施例12
上記の実施例に記載の手順と同様な手順の後、以下の化合物を調製した。
【0082】
a)エチル 8−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
b)エチル 8−ブロモ−2−ジエチルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
c)エチル 8−ブロモ−2−メチル−3−ベンジル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
d)エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−メチルピペラジン−1’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
e)エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
f)エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
g)エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−アミノエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
実施例13
Biot−Hif−1α786-826/GST−p300323/423の阻害のための第一の生化学的アッセイ
蛍光アッセイ(DELFIA(商標))を使用して、Hif−1αとp300の間の相互作用を阻害、抑制する化合物の能力について化合物を評価した。Freedman SJら、Nature Structural Biology 2003,10(7),504−512に記載の手順を適切に変更した。
【0083】
化合物は、上記の実施例に記載される合成法を使用して得た。
【0084】
C末端の786〜826のアミノ酸に対応するヒトのビオチン標識されたHif−1α断片(ビオチン標識されたHif−1α786826)は、AnaSpee Inc(米国、カリフォルニア州、サンノゼ)から入手し、更なる精製は行わずに使用した。
【0085】
GST−p300323-423断片の発現のための構築物で大腸菌のBL21(DE3)株を形質転換させた。構築物は、DNA配列が、アミノ酸323から423までの範囲のp300領域をコードする、発現ベクターpGEX−4T−1(Amersham No.27−45−80−01)でのクローニングによって入手した。本DNA配列はPCR(ポリメラーゼ連鎖反応法)によって得た。このタンパク質領域は、1mMイソプロプル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導した。細菌は適切な緩衝液(50mM トリス*HCl pH8.00、100mM NaCl、0.1mM ZnSO4、1mM DTT、0.1mg/mlリゾチームおよびコンプリートEDTA−フリープロテアーゼインヒビターカクテル錠剤[Complete EDTA−free Protease Inhibitor Cocktail Tablets:Roche,カタログ番号1873580]の錠剤)の存在下の超音波処理によって溶解し、可溶性画分に存在するGST融合タンパク質は、グルタチオン−セファロース4B樹脂(Glutathione−Sepharose 4B resin:Amersham Biosciences;no.27−4574−01)で精製した。タンパク質の最終濃度は、Bioradアッセイによるブラッドフォード(Bradford)法(Bradford M.,Anal.Biochem.,72,248,(1976))にしたがって測定した。試料の純度は、SDS−PAGEによって評価した。試料は、50%グリセロール中で、−80℃で保存した。
【0086】
本アッセイは、次のようにNUNC Maxisorp 96ウェルプレートを使用して実施した。
【0087】
PBS緩衝液中(リン酸緩衝食塩水、10mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウム、pH7.4)の最終濃度が1μg/mlになるように、C96 NUNC Maxisorpプレート(Nunc、製品番号446612)を、ストレプトアビジン(Sigma、製品番号S4762)と終夜インキュベートした。引き続いて、それぞれのウェルを300μlのTBST緩衝液(50mMトリス*HCl pH8.0、150mM NaCl、0.05%(v/v)Tween20)で3回洗浄した。次に、10nMのビオチン標識されたHif−1α786826を含むTBSB(50mMトリスHCl pH8.0、150mM NaCl、5%(w/v)BSA(Sigma、製品番号A2153))の溶液100μlを、各ウェルに加え、25℃で1時間インキュベートした。各プレートの最後の列には、TBSB緩衝液のみを加えた。引き続いて、各ウェルを300μlのTBST緩衝液で3回洗浄した。このように調製したプレートが、アッセイのプレートである。
【0088】
これとは別に、DMSOで溶解して10μMの濃度にした各試験化合物10μlを各ウェルが含むようにプレート(ドータープレート)を調製した。本プレートに、インキュベーション緩衝液(TBSBに0.1%(v/v)Tween20、0.5mM DTT、10μM ZnCl2を加えたもの)で希釈した111pMのGST−p300323-423溶液100μlを加え、全体を混合した。ドータープレートに含まれる本混合液100μlを直ちにアッセイプレートに移した。
【0089】
各ドータープレートは、最後の2列のウェルを除いて、10μMの濃度で80種の異なる化合物で調製し、各ウェルに10μlのDMSOを加えた。これら2列は、陽性対照(列11、+Hif−1)および陰性対照(列12、−Hif−1)とした。
【0090】
25℃で1時間インキュベートした後、各ウェルを300μlのTBST緩衝液(50mMトリスHCl pH8.0、150mM NaCl、0.05%(v/v)Tween20)で3回洗浄した。次に、10μM ZnCl2を含むTBST緩衝液100μlに溶解した、ユーロピウムで標識した抗GST抗体60.8ng(DELFIA Eu−N1標識、Perkin Elmer、製品番号AD0251)を各ウェルに加えた。室温で1時間インキュベートした後、各ウェルを300μlのTBST緩衝液で3回洗浄し、次に、100μlのシグナル増幅溶液(Enhancement Solution、Perkin Elmer、製品番号1244−105)を加えた。
【0091】
次に、時間分解能について、プレートを蛍光モード(fluorescence mode)のFUSIONアルファ−FP−HTリーダー(Perkin Elmer)を用いて読み取った。
【0092】
化合物の活性は、以下のように算出した。本プレート試験における列12の陰性対照の平均蛍光値(fluorescence mean value)を他のすべてのウェルの蛍光値から差し引いた。次に、個々の各ウェルにおいて得られた蛍光値を、列11の陽性対照の平均蛍光値(最大シグナル値100%を表す)で割り、百分率で表した。抑制値(inhibition value)は、各ウェルごとに算出したシグナル割合の100に対する差として表した。
【0093】
各列90μMから0.178μMの範囲で10段階に化合物の濃度が異なるドータープレートを使用して、IC50値(シグナルを50%抑制するために必要な化合物の濃度)が得られる用量反応曲線を算出することができた。溶媒のみを含む列11および12は対照であった。
【0094】
本発明のいくつかの化合物から得られたIC50値を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
ホタルルシフェラーゼ(firefly Luciferase)の翻訳領域がラットVEGF遺伝子プロモーターの制御下にある、ベクターを安定して発現させるために、前述のHif−1α/p300アッセイにおいて抑制活性を有する化合物について、遺伝子改変ヒト肝臓癌Hep3B細胞(Hep3B−VEGFルシフェラーゼ)に関する細胞試験を使用して評価した。
【0098】
デフェロキサミン(低酸素を誘導する)を使用したHif−1の誘導により、VEGFプロモーターの活性化を通したルシフェラーゼ転写が誘導されるというように、次々に、ルシフェラーゼの活性増加の原因になり、このことは市販のキットによって測定することができる。Hif−1α/p300錯体を阻止する化合物は、Hif依存性のルシフェラーゼ活性化を阻害し、その結果として、ルシフェラーゼの活性を減少させる。したがって、本アッセイは、VEGF産生およびその後の腫瘍の血管新生にとって不可欠である、VEGFプロモーターに対する化合物の活性を評価することを可能にする。
【0099】
Hep3B−VEGFルシフェラーゼ細胞系は、以下の手順にしたがって入手した。
【0100】
ヒト肝臓癌細胞Hep−3B(ATCC参照番号HB−8064)を、2mlのDMEM/10%FCS中に2.5×105細胞/ウェルの濃度で6ウェルプレートに播き、次の日にFugene6(Roche Biochemicals(登録商標))を使用してトランスフェクトした。各ウェルにおいて、トランスフェクション混合液は、6μlのトランスフェクション試薬Fugene6、1μgのpxp2−VEGFルシフェラーゼレポータープラスミド(VEGFラットプロモーター、NCBI GenBankアクセッション番号U22373[Levyら、J.Biol.Chem.270(22),13333−13340.1995])、およびネオマイシンに対して細胞を耐性にする10ngのpcDNA3.1(+)プラスミド(INVITROGEN)を含んでいた。トランスフェクションは、製造業者の指示通りに実施した。
【0101】
適した細胞集団(表現型がネオマイシンに耐性である)を、「希釈限界(dilution limit)」手順(Sambrook J.、Fritsch E.F.およびManiatis T.(1989)Molecular Cloning,A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratories)に基づくクローニングによるアプローチを用いて選択した。その後のルシフェラーゼ発現/活性「ルシフェラーゼアッセイ」、および上澄み「ELISA分泌VEGF試験(ELISA secreted VEGF test)」における分泌VEGFの定量化のためのアッセイを、安定してトランスフェクトされた選択細胞によって実施した。
【0102】
以下の実験プロトコールを使用した。
【0103】
第1日目。Hep−3B−VEGFルシフェラーゼ細胞を、1×104細胞/ウェル/125μlの溶媒の密度で96ウェル「ブランク」プレート(Greiner製)に播き、付着するように恒温装置(37℃/5%CO2)に終夜放置した。
【0104】
第2日目。化合物の「3.2×希釈標準溶液」75μl(DMSO濃度が1.6%v/vになるように事前に調製された)を、細胞に加えた(分容積/ウェル=200μl、化合物の部分濃度=1.2×、DMSOの部分濃度=0.6%)。恒温装置における1時間のインキュベーションの後、6×(600μM)のデフェロキサミン原液を40μl/ウェル加えることによって、化学的に低酸素を誘導した(最終量/ウェル=240μl、化合物の最終濃度=1×、DMSOの最終濃度=0.5%、デフェロキサミンの最終濃度=1×約100μM)。次に、プレートを更に18〜20時間恒温装置にかけた。
【0105】
第3日目。「ルシフェラーゼアッセイ」および「分泌VEGF ELISA試験」は、次のように実施した。
【0106】
「分泌VEGF ELISA試験」
分泌VEGFの定量化は、キットの「DuoSet Elisa Developmentシステム、ヒトVEGF」キット(R&D Systems)を使用して実施した。Hep3B/VEGFルシフェラーゼクローンの細胞を含む「ブランク」96ウェルプレートからの100μl/ウェルの上澄みを、(Maxisorp)の透明96ウェルプレートに移し、キットの製造業者の指示にしたがってアッセイを行った。
【0107】
「ルシフェラーゼアッセイ」
ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現の定量化は、Bright Glo Reagent(Promega)によって実施した。上澄みを取り除き、PBSで1回洗浄した後、40μl/ウェルのBright Glo Reagentを、Hep3B/VEGFルシフェラーゼ細胞を含むブランク96ウェルプレートに加えた。レポーター遺伝子の発現レベルは、照度計(luminometer)でプレートを読み取ることによって測定した。
【0108】
本発明の化合物におけるIC50値(ルシフェラーゼシグナルの50%の抑制または分泌VEGFの50%の減少を引き起こす化合物の濃度)を表2に示す。
【0109】
【表3】

【0110】
【表4】

【0111】
文献リスト
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗腫瘍治療用組成物を調製するための、一般式(I)の化合物
【化1】

[式中、
【化2】

は、単結合または二重結合であり、
XおよびX’は、それぞれ独立して、O、OH、NH、NH2、NH2OHであり、
またはXおよびX’は、窒素であり、これらが結合している炭素原子と一緒になって、6員または10員の複素環または芳香族複素環を形成し、
R1およびR2は、これらが(式(I)の6および7位で)結合している原子と一緒になって、(C1〜C4)アシル、(C1〜C4)アルキルスルホニルアミノまたは(ハロゲン)C1〜C4アルキル、ハロゲン、アミン、モノまたはジ(C1〜C4)アルキルアミン、ヒドロキシル、(C1〜C4)アルコキシル、チオール、(C1〜C4)アルキルチオール、カルバモイル、ニトリル、スルファモイル、フェニルで場合によって置換されている、6員芳香環または5員もしくは6員芳香族複素環、好ましくは、ベンゼン環を形成し、
R3は、水素;場合によって−O−、−S−、−N=、−NH−、−NHCONH−、−NHCOO−、NHSO2NH−、−NHC(=NH)NH−、NHC(=NH)−、−NHCSNH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO2−、SO2NH−、−CH=CH−、−C≡C−基で中断されているか、またはハロゲン、−NH2、−OH、−SH、−OCONH2、−COOH、−SO2NH2、−CONH2、−NHCONH2、−CN、フェニル、5員もしくは6員複素環で場合によって置換されている、アシル(C1〜C4)、(C1〜C4)アルキルスルホニル、(C1〜C4)アルキルアミノスルホニル、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキルであり、
R4は、−NR6R7であり、式中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素;場合によってハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環、特に、モルホリンで置換される、(C1〜C4)アシル、(C1〜C4)アルキルスルホニル、(C1〜C4)アルキルアミノスルホニル、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;−OR6;カルバモイル;場合によって−O−、−S−、−N=、−NH−、−CO−、−COO−、−CONH−、−SO2−、−SO2NH−基で中断されているか、あるいはハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環で置換されている、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;10員までの芳香環または芳香族複素環;5員または10員複素環であり、
R5は、NH2;NR6R7;OR6;場合によって−O−、−S−、−N=、−NH−、−CO−、−COO−基、−CONH−、−SO2−、−SO2NH−で中断されているか、あるいはハロゲン、アミン、ヒドロキシル、チオール、カルバモイル、ニトリル、フェニルまたは5員もしくは6員複素環で置換される、直鎖もしくは分枝(C1〜C4)アルキル;10員までの芳香環または芳香族複素環;5員または6員複素環;ウレイドである。]、
その塩、異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーの使用。
【請求項2】
R1およびR2が、ハロゲンで置換されていてもよいベンゼン環を形成する、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項3】
XおよびX’が、窒素であり、これらが結合している炭素原子と一緒になって、ジアジンまたはベンゾジアジンを形成する、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項4】
X=X’=Oである化合物(I)の、請求項1または2に記載の使用。
【請求項5】
X=X’=Oであり、
R3が、H、メチル、ベンジル、カルボキシメチル、第三ブトキシカルボニルメチル、カルバモイルメチルから選択され、
R4が、ヒドロキシ基もしくはアミノ基、または第一級もしくは第二級アミンで置換されていていてもよい、メチル基またはエチル基であり、
R5がエトキシカルボニルである、化合物(I)の、請求項1または2に記載の使用。
【請求項6】
エチル 8−ブロモ−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−ブロモメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2,3−ジメチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(モルホリン−4’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−ジメチルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−イソプロピルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−tert−ブトキシカルボニルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−カルボキシメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−カルバモイルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,11−トリアザシクロペンタ[l]フェナントレン−3−カルボキシレート;
エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,13−トリアザベンゾ[a]シクロペンタ[c]アントラセン−3−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−ヒドロキシメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−ジエチルアミノメチル−3−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−2−メチル−3−ベンジル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−メチルピペラジン−1’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−アミノエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
からなる群より選択される化合物(I)の、請求項1から5に記載の使用。
【請求項7】
肺癌、乳癌、前立腺癌、神経芽細胞腫、多形性神経膠芽細胞腫、黒色腫、中枢神経系腫瘍、中咽頭扁平上皮癌、子宮頚癌、卵巣癌、食道癌、腎臓癌、結腸癌、頭頚部癌および乏突起膠腫の治療用の抗腫瘍治療用組成物を調製するための、請求項1から6に記載の化合物(I)の使用。
【請求項8】
腫瘍患者おける血管新生を予防、抑制、または遮断する目的で治療用組成物を調製するための、請求項1から6に記載の化合物(I)の使用。
【請求項9】
腫瘍の増殖および転移を抑制する目的で治療用組成物を調製するための、請求項1から6に記載の化合物(I)の使用。
【請求項10】
エチル 8−ブロモ−3−tert−ブトキシカルボニルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート;
エチル 8−ブロモ−3−カルボキシメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
エチル 8−ブロモ−3−カルバモイルメチル−2−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,11−トリアザシクロペンタ[l]フェナントレン−3−カルボキシレート
エチル 5−ブロモ−2−メチル−1H−1,8,13−トリアザベンゾ[a]シクロペンタ[c]アントラセン−3−カルボキシレート
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−メチルピペラジン−1’−イル)メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
エチル 8−ブロモ−3−メチル−2−(4’−(2−アミノエチル)−ピペラジン−1’−イル)−メチル−4,5−ジオキソ−4,5−ジヒドロ−3H−ベンゾ[e]インドール−1−カルボキシレート
からなる群から選択される抗腫瘍化合物。
【請求項11】
薬学的に許容できる担体または賦形剤と共に、請求項1から6に記載の式(I)の化合物を含む治療用組成物。
【請求項12】
非経口投与のための、請求項11に記載の治療用組成物。

【公表番号】特表2008−525356(P2008−525356A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547363(P2007−547363)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013886
【国際公開番号】WO2006/066923
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(507207030)チェル テラペウティクス ユーロペ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (4)
【氏名又は名称原語表記】CELL THERAPEUTICS EUROPE S.R.L.
【Fターム(参考)】