説明

抗菌性テトラヒドロ−β−カルボリン誘導体

式(I)の化合物、式(I)の化合物を含む医薬組成物および細菌感染症を治療する方法を開示する。
開示された化合物は、PPAT(ホスホパンテテイン アデニルトランスフェラーゼ)の阻害剤であり、細菌、特にPPATに依存する細菌、例えば大腸菌、ヘリコバクター ピロリ、スタフィロコッカス アウレウス等のような種によって引き起こされる疾患の治療および予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPAT阻害剤である組成物ならびにその方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
前世紀において、死の著しい減少に導く抗生物質が開発された。不幸にも、広範囲の使用が抗生物質耐性菌、例えばメチシリン耐性黄色ブトウ球菌(Staphyloccocus aureus)(MRS A)、バンコマイシン耐性腸球菌(enterococci (VRE)およびペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonias)(PRSP)の発生を導いている。
いくつかの細菌は様々な抗生物質に耐性であり、例えばミコバクテリウム結核(Mycobacterium tuberculosis)の菌株は、イソニアジド、リファムピン、エタムブトール、ストレプトマイシン、エチオナミド、カナマイシンおよびリファブチンに耐性である。耐性に加えて、世界規模での旅行が、比較的知られていない細菌を離れた地域から新しい集団へ広げている。さらに、生物兵器としての細菌の脅威がある。これらの細菌は、既存の抗生物質で簡単に処理できない。
【0003】
感染性細菌は、補酵素A(CoA)合成経路を用い、特に経路の最後から2番目の工程において、アデニル部分をアデノシン3リン酸(ATP)から4'-ホスホパンテテインに転移し、デホスホ-CoA(dPCoA)を形成するホスホパンテテイン アデニル トランスフェラーゼ(PPAT)に依存する。PPATは哺乳類の細胞中に存在するが、細菌と哺乳類のPPAT酵素は実質的に1次配列(約18%の同一性)および物理的性質が異なる。したがって、PPATは、新規な抗生物質のための望ましく、選択的な標的を提示する。
【0004】
最近の努力は、大腸菌(E. coli)PPATを阻害する化合物の確認をもたらしている (Leslieら, "Antibacterial Anthranilates with a Novel Mode of Action"; Zhaoら, "Inhibitors of Phosphopantetheine Adenylyltransferase"; 第42回 Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC), San Diego, CA, 2002で提示)。
しかしならが、これらの化合物は、医薬の開発に適さない。さらに、ある場合、その構造がペプチドであり、一方、他の場合、代表化合物が精製されたPPATに対して乏しい活性を示した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、PPATを標的とする新規な抗生物質への必要性があり、それによりPPATに依存する細菌による感染症を治療できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
本発明は特定の2環式のPPAT阻害剤に関する。開示される化合物は、医薬耐性細菌を含む細菌に対して抗生物質活性を有する。したがって、PPAT阻害剤である化合物、開示されるPPAT阻害剤を用いる治療方法、および開示されるPPAT阻害剤を含む医薬組成物が、本発明で提供される。
【0007】
一つの観点において、本発明は、構造式I:
【化1】

で表される化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーもしくはラセミ体の有効量を、細菌感染症の治療が必要な対象に投与することを含む、対象の細菌感染症を治療する方法を提供する。
【0008】
本発明は、細菌感染症、特にCoA生合成経路に依存する細菌により引き起こされる感染症、具体的にはPPAT酵素を発現する細菌により引き起こされる感染症を(治療的または予防的に)治療するのに有用である。
さらに、本発明は、現存の広く使用されている抗生物質と異なる作用機作により作用すると考えられるので、抗生物質耐性を生み出している細菌、特に多剤耐性菌株に対して有用である。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、一般的に、細菌感染症を治療および予防するための、方法、化合物および医薬組成物に関する。特に、本発明は、PPAT阻害剤であるテトラヒドロ-β-カルボリン誘導体に関する。
【0010】
好ましい態様において、本発明の化合物は、構造式I:
【化2】

[式中、
環Aは、置換可能な環原子において任意に置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリール基であり;
Jは、-O-、-S-または-NR2-(ここで、R2は-Hまたは任意に置換されていてもよいC1-C5アルキルである)であるか;または
Jは、-NR2'-(ここで、R2'は任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、へテロアラルキル、C3-C7脂環式基またはC3-C7シクロアルキルである)であり;
R3は、任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、へテロアラルキル、C3-C7脂環式基またはC3-C7シクロアルキルであり;
Lは、-(CH2)-、-(CO)-、-(CS)-、-(SO)-または-(SO2)-であり;
【0011】
R4は、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリール-アリール、アリール-ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、C1-C8脂肪族基、C3-C7シクロアルキル、C5-C7脂環式基または3-7員の非芳香族複素環式基であり;
ここで、R4は、ハロゲン、-(CO)ORa、-(CO)O(CO)Ra、-(CS)ORa、-(SO)ORa、SO3Ra、-OSO3Ra、-P(ORa)2、-(PO)(ORa)2、-O(PO)(ORa)2、-B(ORa)2、-(CO)NRb2、-NRc(CO)Ra、-SO2NRb2または-NRcSO2Raで置換されていてもよく;
【0012】
R5は、-H、-(CO)ORa、-(CO)O(CO)Ra、-(CS)ORa、-(SO)ORa、SO3Ra、-OSO3Ra、-P(ORa)2、-(PO)(ORa)2、-O(PO)(ORa)2、-B(ORa)2、-(CO)NRb2、-NRc(CO)Ra、-SO2NRb2または-NRcSO2Raであり;
R6は、-H、-OH、ハロゲン、または任意に置換されていてもよいC1-C3アルキルもしくはアルコキシであり;
RaおよびRcはそれぞれ独立して、-H、C1-C5アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
Rbはそれぞれ独立して、-H、C1-C5アルキル、アリールもしくはアラルキルであるか、またはNRb2は非芳香族複素環式基である]
で表される化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーもしくはラセミ体である。
【0013】
一つの態様において、構造式Iの環Aは、任意に置換されていてもよいヘテロアール基、例えば、任意に置換されていてもよいピラジル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはイミダゾリル基である。
【0014】
環Aの置換可能な環原子における適当な任意の置換基は、本明細書の以下のアリールおよびヘテロアリール基における置換基を記載しているセクションで与えられる。より好ましくは、環Aは独立して、置換可能な環原子においてR1で任意に置換されていてもよい。
R1はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-ORd、-(CO)Rd、-(CO)ORd、-O(CO)Rd、-(CO)O(CO)Rd、-(CS)ORd、-(SO)ORd、-SO3Rd、-CONRe2、-O(CO)NRe2、-NRf(CO)NRe2、-NRf(CO)ORd、-NRfCORd、-(SO2)NRe2、-NRfSO2Rd、-(CH2)sNRd2、または任意に置換されていてもよいアリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルである。
【0015】
前記において、sは0〜5であり、RdおよびRfはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり、Rcはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルまたはC1-C5アルキルであり、NRe2は非芳香族複素環式基、例えば、ピペリジニル、モルホリニル等である。
より好ましくは、R1はハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-ORd、-(CO)Rd、-(CO)ORd、-O(CO)Rd、-CONRe2、-O(CO)NRe2、-NRf(CO)ORd、-NRfCORd、-(SO2)NRe2、-NRfSO2Rd、-(CH2)sNRd2、または任意に置換されていてもよいアリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルである。さらに好ましくは、R1は-H、-OH、-F、-CH3、-CF3、-OCH3または-OCF3である。最も好ましくは、R1は-Hである。
【0016】
一つの態様において、構造式IのR3は任意に置換されていてもよい、フェニル、ピリジル、ベンゾ[l,3]ジオキソリル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[l,4]ジオキシニル、ピリミジル、ピラジル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ナフチル、キノリニル、ビフェニル、ベンゾピリミジル、ベンゾピラジル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリルまたはベンズイミダゾリル基である。R3によって表される基における適当な任意の置換基は、以下に本明細書で与えられる。
【0017】
より好ましくは、構造式IのR3は、構造式R3-i〜R3-v:
【化3】

の一つで表される。
【0018】
構造式R3-i〜R3-vにおいて、Yは-N-、-CH-または-CR11-であり;Zは-NRz-、-S-または-O-(ここで、Rzは-HまたはC1-C3アルキル、より好ましくは-Hまたはメチル、最も好ましくは-Hである)であり;変数wは0、1、2または3であり;R11はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OR1、-(CO)R1、-(CO)OR1、-O(CO)R1、-(CO)O(CO)R1、-(CS)OR1、-(SO)OR1、-SO3R1、-CONRm2、-O(CO)NRm2、-NRn(CO)NRm2、-NRn(CO)OR1、-NRnCOR1、-(SO2)NRm2、-NRnSO2R1、-(CH2)uNR12、または任意に置換されていてもよいアリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルである。
前記において、uは0〜5であり、R1およびRnはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり、Rmはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであるか、またはNRm2は非芳香族複素環式基である。
【0019】
さらに好ましくは、構造式IのR3は、構造式R3-i'〜R3-v':
【化4】

の一つで表される。
【0020】
構造式R3-i'〜R3-v'において、wは0、1、2または3であり、R11はそれぞれ独立して、-OH、-NO2、-F、-Cl、-Br、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、-CF3または-OCF3である。
【0021】
より好ましくは、R11は構造式R11-i〜R11-xxiii:
【化5】

(式中、Rは独立して、-H、アリールもしくはアラルキル、C1-C5アルキルもしくはC1-C5ハロアルキルである)
の一つで表される。
【0022】
なお一層好ましくは、R3は構造式R3a〜R3r
【化6】

の一つで表される。
【0023】
最も好ましくは、R3は構造式R3eで表されるか、またはR3はパーフッ素化フェニルまたはテトラゾールである。
構造式IのR4は、アリール、ヘテロアリール、脂肪族基およびシクロアルキル基における適当な置換基を記載する以下のセクションで記載された置換基で、任意にさらに置換されていてもよい。
より好ましくは、R4は置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、ナフチル、ビフェニル、フェニル-ピリジル、キノリニル、ベンゾピリミジル、ベンゾピラジル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニルもしくはC2-C8アルケニル基である。
【0024】
より好ましくは、R4は、構造式R4-i〜R4-vii:
【化7】

の一つで表される。
【0025】
構造式R4-i〜R4-viiにおいて、mはそれぞれ独立して、0、1、2または3であり、Xは-N-、-CH-または-CR10-であり;環BはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロアルケニルであり;環CおよびDはそれぞれ独立して、アリールまたはヘテロアリールであり;R8は-ORqまたは-NRr2であり;R9は-H、アリール、アラルキルまたはC1-C6脂肪族基であり;R10はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-ORi、-(CO)Ri、-(CO)ORi、-O(CO)Ri、-(CO)O(CO)Ri、-(CS)Ri、-(SO)ORi、-SO3Ri、-CONRj2、-O(CO)NRj2、-NRk(CO)NRj2、-NRk(CO)ORi、-NRkCORi、-(SO2)NRj2、-NRkSO2Ri、-(CH2)tNRj2、または任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであり;変数tは0〜5であり、RiおよびRkはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり;RjおよびRrはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであるか、またはNRj2およびNRr2はそれぞれ独立して、非芳香族複素環式基であり;Rqは-H、または任意に置換されていてもよい、アリール、アロイル、アラルキル、アラルカノイル、C1-C5アルキルもしくはC1-C5アルカノイルである。
【0026】
さらに好ましくは、R4は構造式R4-i'〜R4-vii':
【化8】

の一つで表される。
【0027】
構造式R4-i'〜R4-vii'において、mはそれぞれ独立して、0、1、2または3であり;R8は-OH、C1-C5アルコキシまたはC1-C5アルカノイルオキシであり;R9は-HまたはC1-C6脂肪族基であり;R10はそれぞれ独立して、-OH、-NO2、-F、-Cl、-Br、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、-CF3または-OCF3である。
【0028】
より好ましくは、R4は構造式R10-i〜R10-xix:
【化9】

の一つで置換されたアリール(例えば、フェニル)である。
【0029】
さらに好ましくは、R4は構造式R4a〜R4q
【化10】

の一つで表される。
【0030】
最も好ましくは、R4は構造式R4aもしくはR4bで表されるか、またはR4はテトラゾールで置換されたフェニルである。
R4a〜R4qにおいて、R8は-NRy2、-OH、C1-C5アルコキシまたはC1-C5アルカノイルオキシ(ここで、Ryはそれぞれ独立して、-HまたはC1-C3アルキルである)である。さらに好ましくは、R8は-OHもしくはC1-C4アルコキシ、一層好ましくは-OH、-OCH3もしくは-OCH2CH3である。最も好ましくは、R8はOCH3または-OCH2CH3である。
【0031】
好ましい態様において、R5は、
【化11】

である。
最も好ましい態様において、R5は-Hまたは-CO2Hである。
構造式Iの好ましい態様において、R8は-OH、OCH3または-OCH2CH3である。
【0032】
構造式Iにおいて、R3は構造式R3-i〜R3-vの一つで表されるか、またはR4はR4-i〜R4-viiの一つで表される。より好ましくは、R3は構造式R3-i〜R3-vの一つで表され、R4は構造式R4-i〜R4-viiの一つで表される。
構造式Iのさらにもう一つの態様において、R3は構造式R3-i'〜R3-v'の一つで表されるか、またはR4は構造式R4-i'〜R4-vii'の一つで表される。より好ましくは、R3は構造式R3-i'〜R3-v'の一つで表され、R4は構造式R4-i'〜R4-vii'の一つで表される。
【0033】
もう一つの好ましい態様において、構造式IのR3は、構造式R3a〜R3rの一つで表されるか、またはR4は構造式R4a〜R4qの一つで表される。好ましくは、R3は構造式R3a〜R3rの一つで表され、R4は構造式R4a〜R4qの一つで表される。より好ましくは、R3は構造式R3d、R3eもしくはR3fで表されるか、またはR4は構造式R4a、R4cもしくはR4eで表される。さらに好ましくは、R3は構造式R3d、R3eまたはR3fで表され、R4は構造式R4a、R4cまたはR4eで表される。
【0034】
式Iのもう一つの態様において、環Aはフェニル部分であり;JはN(H)であり;R3は一つ以上のハロゲンまたはテトラゾールで任意に置換されていてもよいフェニルであり;Lは(CO)または(CH2)であり;R4は一つ以上のハロゲン、CO2Hまたはテトラゾールで任意に独立して置換されていてもよいフェニルであり;R5はHである。
【0035】
もう一つの態様において、式Iの化合物は式5の化合物である:
【化12】

(式中、JおよびR3は前で定義されたものと同じであり、Aはジアゾール、ジオキソラン、ジオキサンまたはベンゼン環であり、R'およびR''はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボン酸、アルキル、複素環、ニトリルまたはヒドロキシアミドである)。
【0036】
さらにもう一つの態様において、式Iの化合物は式6の化合物である:
【化13】

(式中、J、R3およびR5は、前記で定義されたものと同じであり、YはC=OまたはCH2であり、Aはジアゾール、ジオキソラン、ジオキサンまたはベンゼン環であり、R'およびR''はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、カルボン酸、アルキル、複素環、ニトリルまたはヒドロキシアミドである)。
【0037】
もう一つの態様において、本発明の化合物は、環Aがアリール部分であり;JがN(H)であり; R3が一つ以上のハロゲンまたはヘテロアリールで任意に置換されていてもよいアリールであり;Lが(CO)または(CH2)であり;R4が一つ以上のハロゲン、CO2Hまたはヘテロアリールで任意に独立して置換されていてもよいフェニルであり;R5がH、アルキル、アルコキシ、CO2HまたはCO2アルキルであり;R6がH、アルキルまたはアルコキシである、式Iの化合物である。
【0038】
さらにもう一つの態様において、本発明の化合物は、環Aがフェニル部分であり;JがN(H)であり;R3が一つ以上のハロゲンまたはテトラゾールで任意に置換されていてもよいフェニルであり;Lが(CO)または(CH2)であり;R4が一つ以上のハロゲン、CO2Hまたはヘテロアリールで任意に独立して置換されていてもよいフェニルであり;R5がHまたはCO2Hであり;R6がHである、式Iの化合物である。
【0039】
もう一つの態様において、本発明の化合物は、環Aがフェニル部分であり;JがN(H)であり;R3がテトラゾールで任意に置換されていてもよいフェニルであり;LがCH2であり;R4が一つ以上のハロゲンで任意に独立して置換されていてもよいフェニルである、式Iの化合物である。
【0040】
その他の態様において、本発明の化合物、方法における化合物、および医薬組成物における化合物は、それぞれ表1で与えられる個々の化合物によって表される。
【0041】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【表1−15】

【表1−16】

【表1−17】

【表1−18】

【表1−19】

【表1−20】

【表1−21】

【表1−22】

【0042】
特定の態様において、表1の化合物は、それらを必要とする対象の細菌感染症を治療するために用いることができる。
もう一つの態様において、化合物4、13、22、32、49、67、71および72は、それらを必要とする対象の細菌感染症を治療するために用いることができる。
【0043】
本明細書で用いられるとき、「対象」は、哺乳類、例えばヒト、コンパニオン・アニマル(例えばイヌ、ネコ、トリ、観賞魚、爬虫類等)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ニワトリ、養殖魚等)および実験動物(例えばラット、マウス、モルモット、トリ、観賞魚、爬虫類等)を含む。あるいは、対象は温血動物である。より好ましくは、対象は哺乳類である。最も好ましくは対象はヒトである。
【0044】
治療が必要な対象は、細菌感染症を有する(または細菌が存在する感染環境(例えば病院の中)にさらされている)。そして、その症状は、開示される2環式の誘導体の有効量を投与することにより緩和され得る。例えば、治療が必要な対象は、治療薬として開示される2環式の誘導体が投与され得るための感染症を有している。
もう一つの例において、治療が必要な対象は、開示されるPPAT阻害剤が予防薬とし投与され得るための傷口の開いた外傷もしくはやけどを有しているか、または免疫不全を有している。したがって、対象は治療的または予防的に処置することができる。より好ましくは、対象は治療的に処置される。
【0045】
一般的に、対象は、アロクロマチウム(Allochromatium)、アシネトバクター(Acinetobacter)、バチルス(Bacillus)、カンピロバクター(Campylobacter)、クラミジア(Chlamydia)、クラミドフィラ(Chlamydophila)、クロストリジウム(Clostridium)、シトロバクター(Citrobacter)、エシェリヒア(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、エンテロコッカス(Enterococcus)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、リステリア(Listeria)、モラクセラ(Moraxella)、ミコバクテリウム(Mycobacterium)、ナイセリア(Neisseria)、プロテウス(Proteus)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、セラチア(erratia)、シゲラ(Shigella)、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)、スタフィロコッカス(Staphyloccocus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、シネココッカス(Synechococcus)、ビブリオ(Vibrio)およびエルシナ(Yersina)から選択される属の細菌により引き起こされる細菌感染症に対して治療される。
【0046】
より好ましくは、対象は、アクロマチウム ビノスム(Allochromatium vinosum)、アシネトバクター バウマンニ(Acinetobacter baumanii)、バチルス アンスラシス(Bacillus anthracis)、カンピロバクター ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、クラミジア トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)、クロストリジウム(Clostridium) spp.、シトロバクター(Citrobacter) spp.、大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター(Enterobacter) spp.、エンテロコッカスフェカーリス(Enterococcusfaecalis)、エンテロコッカ フェシウム(Enterococcus faecium)、フランシセラ ツラレンシス(Francisella tularensis)、ヘモフィルス インフルエンザ(Haemophilus influenzas)、ヘリコバクターピロリ(Helicobacterpylori)、クレブシエラ(Klebsiella) spp.、リステリア モイウサイトジネス(Listeria moiwcytogenes)、モラクセラ カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ミコバクテリア チューバキュロウシス(Mycobacterium tuberculosis)、ナイセリア メニンギチジス(Neisseria meningitides)、ナイセリア ゴノロエエ(Neisseria gonorrhoeae)、プロテウス ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス ブルガリス(Proteus vulgaris)、シュードモナス アルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ(Salmonella) spp.、セラチア(Serratia) spp.、シゲラ(Shigella) spp.、ステノトロフォモナス マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、スタフィロコッカス アウレウス(Staphyloccocus aureus)、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphyloccocus epidermidis)、ストレプトコッカス ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、エルシナペスティス(Yersinapestis)およびエルシナ エンテコリチカ(Yersina enterocolitica)等による細菌感染症に対して治療される。
【0047】
好ましくは、対象は、PPATタンパク質を発現する細菌により引き起こされる細菌感染症に対して治療される。本明細書で用いられるとき、PPATタンパク質は、ホスホパンテテイン アデニル トランスフェラーゼ酵素、すなわち系統名ATP:パンテテイン-4'-ホスフェート アデニルトランスフェラーゼ、IUBMB系統的分類EC 2.7.7.3 (International Union of Biochemistry and Molecular Biology,www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/を参照)である。
【0048】
一つの態様において、対象は、真菌感染症、例えば病原性皮膚糸状菌、例えばトリコフィトン(Trichophyton)、輪癬菌(Tinea)、ミクロスポルムン(Microspormn)、エピデルモトフィトン(Epidermophyton)等の属の種;または病原性糸状真菌、例えばアスペルギルス(Aspergillus)、ヒストプラズマ(Histoplasma)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、ミクロスポルムン(Microspormn)等のような属の種;または非糸状真菌、例えば酵母菌、例えばカンジダ(Candida)、マラセジア(Malassezia)、トリコスポロン(Trichosporon)、ロドトルラ(Rhodotorula)、トルロプシス(Torulopsis)、ブラストミセス(Blastomyces)、パラコクシオジオイデス(Paracoccidioides)、コクシジオイデス(Coccidioides)等の属の種により引き起こされた真菌感染症に対しても、同時に治療される。
【0049】
好ましくは、対象は、アスペルギルスまたはトリコフィトンの属の種に起因する真菌感染症に対しても同時に治療される。トリコフィトンの種は、例えば、トリコフィトン メタグルフィテス(T. mentagrophytes)、トリコフィトン ルブルム(T. rubrum)、トリコフィトン シェーンライニ(T. schoenleinii)、トリコフィトン トンスランス(T. tonsurans)、トリコフィトン ベルコースム(T. verrucosum)およびトリコフィトン ビオラセウム(T. violaceum)を含む。
【0050】
アスペルギルスの種は、例えば、アスペルギルス フミガーツス(A. fumigatus)、アスペルギルス フラーブス(A.flavus)、アスペルギルス ニガー(A. niger)、アスペルギルス アムステロダミ(A. amstelodami)、アスペルギルス カンジダス(A. candidus)、アスペルギルス カルネウス(A. carneus)、アスペルギルス ニデュランス(A. nidulans)、アスペルギルス オリーゼ(A oryzae)、アスペルギルス レストリクツス(A. restrictus)、アスペルギルス シドウィ(A. sydowi)、アスペルギルス テレウス(A. terreus)、アスペルギルス ウスツス(A. ustus)、アスペルギルス ベルジコロル(A. versicolor)、アスペルギルス カエシエラス(A. caesiellus)、アスペルギルス クラバタス(A. clavatus)、アスペルギルス アベナセウス(A. avenaceus)およびアスペルギルス デフレクツス(A. deflectus)を含む。
【0051】
より好ましくは、対象は、アスペルギルス フミガーツス、アスペルギルス フラビトス(A. flavits)、アスペルギルス ニガー、アスペルギルス カンステロダミ(A. canstelodami)、アスペルギルス カンジダス、アスペルギルス カルネウス、アスペルギルス ニデュランス、アスペルギルス オリーゼ、アスペルギルス レストリクツス、アスペルギルス シドウィ、アスペルギルス テレウス、アスペルギルス ウスツス、アスペルギルス ベルジコロル、アスペルギルス カエシエラス、アスペルギルス クラバタス、アスペルギルス アベナセウスおよびアスペルギルス デフレクツスから選択されるアスペルギルス属の種により引き起こされる真菌感染症に対して同時に治療的に処置される。対象は、さらに好ましくはアスペルギルス フミガーツスまたはアスペルギルス ニガー、最も好ましくはアスペルギルス フミガーツスにより引き起こされた真菌感染症に対して、同時に治療的に処置される。
【0052】
開示された本発明の化合物の「有効量」は、治療を必要とする対象に投与されたとき、対象の予後を改善する、例えば細菌感染症に伴う対象の1以上の症状の開始を遅らせ、そして/または重症度を減少させる量である。対象に投与される開示された化合物の量は、特定の疾患、投与の様式、もしあれば同時に投与される化合物、対象の身体全体の健康、他の疾患、年齢、性別、遺伝子型(genotype)、体重および薬に対する耐性のような、対象の特徴に依存するであろう。
【0053】
当業者は、これらおよび他の因子により適当な投与量を決定することができるであろう。一般的に、開示された化合物の有効量は、1日当り約0.01 mg/kg〜約100 mg/kg、好ましくは1日当り0.1 mg/kg〜約10 mg/kgの範囲である。
本発明の開示された化合物の投与のための方法は、Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 19版, Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)中に見出すことができ、それらの全部の教示は参照として本明細書中に組み込まれる。
【0054】
開示された化合物の「医薬的に許容される塩」は、イオン結合を含む開示された化合物の生成物であり、それは一般的に開示された化合物を、対象への投与に適した酸または塩基のいずれかと反応させることにより製造される。
【0055】
例えば、アミンまたは他の塩基性基を含む化合物の酸塩は、化合物を、塩化水素、臭化水素、酢酸、過塩素酸等のような適当な有機または無機酸と反応させることにより得ることができる。4級アンモニウム基を有する化合物は、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、アセテート、パークロレート等のような対イオンをも含む。そのような塩の他の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)-酒石酸塩、(-)-酒石酸塩またはラセミ混合物を含むそれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩およびグルタミン酸のようなアミノ酸との塩を含む。
【0056】
カルボン酸または他の酸性官能基を含む化合物の塩は、適当な塩基との反応により製造することができる。そのような医薬的に許容される塩は、アルカリ金属塩(特にナトリウムおよびカリウム)、アルカリ土類金属塩(特にカルシウムおよびマグネシウム)、アルミニウム塩およびアンモニウム塩を含む医薬的に許容されるカチオンを与える塩基を用いて作られ得るし、同様に塩はトリメチルアミン、トリエチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、トリ-(2-ヒドロキシエチル)アミン、プロカイン、ジベンジルピペリジン、N-ベンジル-3-フェネチルアミン、デヒドロアビエチルアミン、N,N'-ビスデヒドロアビエチルアミン、グルカミン、N-メチルグルカミン、コリジン、キニーネ、キノリンのような生理学的に許容される有機塩基、およびリジンおよびアルギニンのような塩基性アミノ酸から作られ得る。
【0057】
ある種の化合物およびそれらの塩は、溶媒和物、例えば水和物の形態でも存在し得るし、本発明は各溶媒和物およびそれらの混合物を含む。
【0058】
本明細書で用いられるとき、「医薬組成物」は、対象への投与に適した形態での開示された化合物を含む配合物である。該医薬組成物は、バルクまたは単位投与量の形態で存在し得る。
単位投与量の形態は、例えばカプセル、IVバッグ、錠剤、エアゾール噴霧器での単回ポンプ(single pump)、またはバイアルのあらゆる種々の形態で存在し得る。単位投与量の組成物中の活性成分の量(すなわち、開示された化合物またはその塩の配合)は有効量であり、関連する特定の処置により変動し得る。患者の年齢および状態により投与量の定期的な変動を行うことが必要であることが理解される。投与量は投与の経路にも依存するであろう。局所、経口、肺、直腸、膣、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内および鼻腔内を含む種々の経路が意図される。
【0059】
本明細書に記載された化合物およびそれらの医薬的に許容される塩は、医薬的に許容される担体または希釈剤と組み合せて医薬製剤中に用いられ得る。適当な医薬的に許容される担体は、不活性な固体の充填剤または希釈剤および無菌の水溶液もしくは有機溶液を含む。
本発明の化合物は、本明細書に記載された範囲での所望の投与量を与えるのに充分な量で、そのような医薬組成物中に存在するであろう。本発明の開示された化合物の製剤化および投与の方法は、前記のRemington: the Science and Practice of Pharmacy中に見出し得る。
【0060】
経口投与のために、開示された化合物またはそれらの塩は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、シロップ、溶液、懸濁液等を形成するために、適当な固体もしくは液体の担体または希釈剤と組み合わされ得る。
【0061】
錠剤、丸剤、カプセル剤等は、約1〜約99重量%の活性成分およびトラカガントゴム、アカシアゴム、トウモロコシ澱粉またはゼラチンのような結合剤;リン酸2カルシウムのような賦形剤;トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉またはアルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤;および/またはショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤を含む。単位投与量形態がカプセルであるとき、それは、上記タイプの物質に加えて、脂肪油のような液体の担体を含み得る。
【0062】
他の種々の物質が、コーティング剤として、または単位投与量の物理的形態を変更するために存在し得る。例えば、錠剤はシェラック、糖または両方で被覆され得る。シロップまたはエリキシルは、活性成分に加えて、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、着色剤ならびにチェリーまたはオレンジ臭のような着香剤等を含み得る。
【0063】
非経口投与のために、開示された化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくは水和物は、注射用溶液または懸濁液を形成するために、無菌の水性または有機媒体と組み合わされ得る。例えば、ゴマもしくはピーナツ油、水性ポリエチレングリコール等の溶液、ならびに化合物の水溶性の医薬的に許容される塩の水溶液が用いられ得る。グリセロール、液体のポリエチレングリコールおよび油状のそれらの混合物中で分散液も製造され得る。保管および使用の通常の条件下で、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む。
【0064】
前記の製剤に加えて、本発明の化合物はデポ製剤としても製剤化され得る。このタイプの適当な製剤は、生体適合性でかつ生分解性の架橋を用いる高分子ヒドロゲル製剤または水に不溶性のポリサッカライド製剤、重合可能なポリエチレンオキサイド製剤、含浸膜(impregnated membranes)等を含む。そのような長い作用の製剤は、埋め込み(implantation)または経皮送達(例えば皮下または筋肉内)、筋肉内注射または経皮パッチにより投与され得る。好ましくは、それらは、作用させる臓器または組織の微環境に埋め込まれるか、または塗られる、例えば開示された化合物を含浸させた膜は、傷口が開いた外傷またはやけどに対して塗られ得る。したがって、例えば、本発明の化合物は適当な高分子性または疎水性の物質で製剤化、例えば許容される油中のエマルジョンもしくはイオン交換樹脂として、またはやや溶けにくい誘導体として、例えばやや溶けにくい塩として製剤化され得る。
【0065】
局所投与のために、適当な製剤は、生物学的適合性の油、ワックス、ゲル、パウダー、ポリマーまたはその他の液体もしくは固体の担体を含み得る。そのような製剤は、作用させる組織に直接塗ることにより投与される。例えば、結膜組織の感染を治療するための液体製剤は、対象の眼に滴下して投与され得るし、クリーム製剤は、外傷部位に投与され得るか、または包帯が製剤で含浸され得る等である。
【0066】
直腸適用のために適当な製剤は、例えば局所用の製剤、坐剤または浣腸剤である。
膣投与のために適当な製剤は、例えば局所用の製剤、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤またはスプレー剤である。
【0067】
さらに、本発明の化合物は、例えば手動ポンプスプレー、ネブライザーまたは加圧定量吸入器からの活性剤を含むエアゾール製剤の投与のような、肺投与により活性剤を送達するために製剤化され得る。このタイプの適当な製剤は、開示された化合物を有効なエアゾールとして維持するために、帯電防止剤のようなその他の作用剤も含み得る。
【0068】
本明細書で用いられる「肺」という語は、その主要な機能が、患者の内部での外的環境でのガス交換、すなわちO2/CO2交換である、あらゆる部分、組織または器官を意味する。一般的に、「肺」は呼吸器の組織を意味する。したがって、「肺投与」の語句は、その主な機能が外的環境でのガス交換である、あらゆる部分、組織または器官(例えば、口、鼻、咽頭、中咽頭、咽喉頭、喉頭、気管、気管竜骨、気管支、細気管支、肺胞)への、本明細書に記載の製剤を投与することを意味する。本発明の目的のため、「肺」は、呼吸器に付随の組織または腔、特に洞を含むことも意味する。
【0069】
エアゾール送達用の医薬送達装置は、本明細書に記載の医薬エアゾール製剤を含む、計量バルブを備えた適当なエアゾールキャニスターおよび該キャニスターの保持と医薬の送達を可能にするように適合された作動装置室を含む。医薬送達装置中のキャニスターは、キャニスターの全容積の約15%より大きい頭隙を有する。多くの場合、溶剤、界面活性剤および噴射剤の混合物中に、肺投与に適したポリマーが溶解、懸濁または乳化される。該混合物は、計量バルブで密封されたキャニスター中、圧力下で保存される。
【0070】
鼻腔投与のために、固体のまたは液体の担体のいずれかが用いられ得る。固体の担体は、例えば約20〜約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末を含み、そのような製剤が鼻腔による迅速な吸引により投与される。液体の担体が用いられる場合、該製剤は、鼻噴霧または点鼻剤として投与され得るし、それは活性成分の油剤または水溶液を含み得る。
【0071】
上記の製剤に加えて、製剤は、任意に一つ以上のさらなる医薬、例えば他の抗生物質、抗炎症剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、免疫調整剤、抗原虫剤、ステロイド剤、うっ血除去剤、気管支拡張剤等を含むか、または同時に投与され得る。
例えば、開示された化合物は、イブプロフェン、プレドニゾン(コルチコステロイド)ペントキシフィリン、アムホテリシンB、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ペニシリン、アムピシリン、アモキシシリン等のような医薬と同時に投与され得る。該製剤は、保存剤、可溶化剤、化学的緩衝剤、界面活性剤、乳化剤、着色剤、着香剤および甘味料も含み得る。
【0072】
例えば、「2環式誘導体」の用語における「誘導体」の語は、共通の核構造を有し、本明細書に記載された種々の基で置換された化合物を意味する。例えば、構造式Iで表される全ての化合物は、テトラヒドロ-β-カルボリン誘導体であり、共通の核として、構造式Iを有する。
【0073】
本明細書に描かれた構造式において、破線は描かれたものまたは部分または基が、分子の残りに結合した結合を示している。例えば、R4-i中の破線は、描かれた基がもう一つの構造式に結合した結合を示している。環中の結合を横切る破線または実線は、例えばR4-iのR11からの実線は、示された結合が環中のあらゆる置換可能な原子に結合し得ることを示している。ジグザグ線は、破線によって表される結合に対して、それぞれの置換基のシスまたはトランス配置のどちらかを示している。
【0074】
「アリール」基の用語は、フェニル、ナフチルおよびアントラシルのような炭素環式芳香族基を意味する。「ヘテロアリール」基の用語は、イミダゾリル、イソイミダゾリル、チエニル、フラニル、ピリジル、ピリミジル、ピラニル、ピラゾリル、ピロリル、ピラジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリルおよびテトラゾリルのような複素芳香族基を意味する。本明細書で用いられるとき、「ヘテロアリール」基は、少なくとも一つのN、SまたはO原子と二つの二重結合を含む炭素環式5員環か、または少なくとも一つのN、SまたはO原子と三つの二重結合を含む炭素環式6員環である。
【0075】
「非芳香族複素環式」の用語は、一般的には一つ以上の環炭素、好ましくは1〜4の環炭素が、N、OまたはSのようなヘテロ原子によってそれぞれ置き換えられた4〜8員、好ましくは5〜6員を有する非芳香族の環系を意味する。
非芳香族複素環の例は、3-テトラヒドロフラニル、2-テトラヒドロピラニル、3-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、[l,3]-ジオキサラニル、[1,3]-ジチオラニル、[l,3]-ジオキサニル、2-テトラヒドロチオフェニル、3-テトラヒドロチオフェニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、4-モオルホリニル、2-チオモルホリニル、3-チオモルホリニル、4-チオモルホリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、4-チアゾリジニル、5-ジアゾロニル、N-置換ジアゾロニルおよび1-フタルイミジニルを含む。
【0076】
開示された化合物は1以上のキラル中心を含み得る。分子中にキラル中心が存在することは立体異性体を生じる。例えば、「エナンチオマー」と呼ばれる一対の光学異性体が、分子中のあるゆるキラル中心に対して存在する。一対のジアステレオマーが、2以上のキラル中心を有する化合物中のあらゆるキラル中心に対して存在する。
例えば、構造式Iにおけるように、構造式が立体化学を明記していない場合、これらの式は、対応する光学異性体のないエナンチオマー、ラセミ混合物、その対応する光学異性体に対して一つのエナンチオマーを豊富に含む混合物、他のジアステレオマーを含まないジアステレオマー、他のジアステレオマー対を含まない一対のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ジアステレオマー対の混合物、一つのジアステレオマーがその他のジアステレオマー(類)に対して豊富にあるジアステレオマーの混合物、および一つのジアステレオマー対がその他のジアステレオマー対(類)に対して豊富にあるジアステレオマー対の混合物を包含することが、理解されるべきである。
【0077】
単独またはより大きい部分の一部(例えば、アラルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アルキルアミノカルボニル、ハロアルキル)として用いられる「アルキル」の用語は、完全に飽和した、直鎖または分枝鎖状の非芳香族炭化水素である。一般的に、直鎖または分枝鎖状のアルキル基は、別に特定されていなければ、1〜約10の炭素原子、好ましくは1〜約5の炭素原子を有する。適当な直鎖または分枝鎖状のアルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、w-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルを含む。C1-C10の直鎖または分枝鎖状のアルキル基、もしくはC3-C8の環状アルキル基も「低級アルキル」基として意味され得る。「アルコキシ」基は、介在する酸素原子を通して結合されるアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、2-プロピルオキシ、tert-ブトキシ、2-ブチルオキシ、3-ペンチルオキシ等を意味する。
【0078】
本明細書で用いられるとき、「任意にハロゲン化されたアルキル」および「任意にハロゲン化されたアルコキシ」の用語は、一つ以上の-F、-Cl、-Brまたは-Iで置換されたそれぞれの基を含む。
【0079】
本明細書で用いられるとき、「アルカノイル」、「アロイル」等の用語は、介在するカルボニルを通して結合されたそれぞれの基、例えば-(CO)CH2CH3、ベンゾイル等を示す。本明細書で用いられるとき、「アルカノイルオキシ」、「アロイルオキシ」等の用語は、介在するカルボキシレートを通して結合されたそれぞれの基、例えば-O(CO)CH2CH3、-O(CO)C6H5等を示す。
【0080】
「シクロアルキル基」の用語は、3〜約10の炭素原子、好ましくは3〜約7の炭素原子を有する環状アルキル基である。適当なシクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。「シクロアルコキシ」基は、介在する酸素原子を通して結合されたシクロアルキル基、例えばシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等を意味する。
【0081】
[脂肪族基」の用語は、1以上の炭素-炭素不飽和ユニット、すなわち炭素-炭素二重または三重結合を含む分枝鎖および直鎖状のアルキル基を含む。脂環式基は、環状の脂肪族基、例えばシクロヘキセニルまたはシクロペンテニルである。
【0082】
「アラルキル」、「ヘテロアラルキル」、「シクロアルキルアルキル」、「脂環式アルキル」および「非芳香族複素環アルキル」は、アルキル鎖を通して結合した、それぞれ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、脂環式基および非芳香族複素環式基、例えばベンジル、-CH2-CH2-ピリジン、(3-シクロヘキシル)プロピル等を意味する。
【0083】
本明細書で用いられるとき、ビアリール、ビヘテロアリール、アリール-ヘテロアリールおよびヘテロアリール-アリールは、一つの共有結合によって結合した二つのアリール基、一つの共有結合によって結合した二つのヘテロアリール基、一つの共有結合によって結合したアリールとヘテロアリール基、および一つの共有結合によって結合したヘテロアリールとアリール基をそれぞれ示す。
ビアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリール-アリールおよびアリール-ヘテロアリールの基は、ビフェニル、ビピリジル、ピリミジル-フェニル、およびフェニル-ピリジルをそれぞれ含む。ビアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリール-アリールまたはアリール-ヘテロアリールの基が、構造式IにおけるR4の定義としての置換基であるとき、最初に列挙された基は分子の残り、すなわち構造式I中の「L」に結合する。例えば、構造式I中のR4がフェニル-ピリジル基のとき、フェニル-ピリジル基のフェニルがLに結合する。
【0084】
「非環式」基は、環を含まない置換基である。「単環式」基は、ただ一つの環のみ、例えば、もう一つの環に縮合しないフェニル環を含む。「多環式」基は、多数の縮合した環を含む基、例えばナフチルである。
「置換可能な原子」は、ただ一つの共有結合により水素原子に結合している窒素または炭素のようなあらゆる原子であり、この場合、水素原子がもう一つの基で置き換えられ得る。芳香族環中の「置換可能な環原子」は、ただ一つの共有結合により水素原子に結合しているあらゆる原子、例えば炭素または窒素であり、この場合、水素原子がもう一つの基で置き換えられ得る。
【0085】
適当な置換基は、開示された化合物の医薬的な活性を実質的に妨害しないものである。化合物または基は、同一または異なり得る1以上の置換基を有し得る。アルキル、脂肪族基、シクロアルキル、脂環式基、非芳香族複素環式、アリールまたはヘテロアリールの基中の置換可能な炭素原子に対する適当な置換基の例は、-OH、ハロゲン(-Br、-Cl、-Iおよび-F)、-R、-OR、-CH2R、-CH2CH2R、-OCH2R、-CH2OR、-CH2CH2OR、-CH2OC(O)R、-O-COR、-COR、-SR、-SCH2R、-CH2SR、-SOR、-SO2R、-CN、-NO2、-COOH、-SO3H、-NH2、-NHR、-N(R)2、-COOR、-CH2COOR、-CH2CH2COOR、-CHO、-CONH2、-CONHR、-CON(R)2、-NHCOR、-NRCOR、-NHCONH2、-NHCONRH、-NHCON(R)2、-NRCONH2、-NRCONRH、-NRCON(R)2、-C(=NH)-NH2、-C(=NH)-NHR、-C(=NH)-N(R)2、-C(=NR)-NH2、-C(=NR)-NHR、-C(=NR)-N(R)2、-NH-C(=NH)-NH2、-NH-C(=NH)-NHR、-NH-C(=NH)-N(R)2、-NH-C(=NR)-NH2、-NH-C(=NR)-NHR、-NH-C(=NR)-N(R)2、-NRH-C(=NH)-NH2、-NR-C(=NH)-NHR、-NR-C(=NH)-N(R)2、-NR-C(=NR)-NH2、-NR-C(=NR)-NHR、-NR-C(=NR)-N(R)2、-SO2NH2、-SO2NHR、-SO2NR2、-SH、-SOkR(kは0、1または2である)および-NH-C(=NH)-NH2を含む。
【0086】
Rはそれぞれ独立して、任意に置換されていてもよい、アルキル、シクロアルキル、ベンジル、芳香族、ヘテロ芳香族またはN-アニリニル基である。好ましくは、Rは置換されていない。さらに、-N(R)2は一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニルおよびチオモルホリニルのような、置換または無置換の複素環式基も形成し得る。Rによって表される基における置換基の例は、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルを含む。
【0087】
複素環式基またはヘテロ芳香族基の窒素上の適当な置換基は、-R'、-N(R')2、-C(O)R'、-CO2R、-C(O)C(O)R'、-C(O)CH2C(O)R'、-SO2R'、-SO2N(R')2、-C(=S)N(R')2、-C(=NH)-N(R')2および-NR'SO2R'(ここで、R'は、水素、任意に置換されていてもよい、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、フェニル、フェノキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ヘテロ芳香族または複素環式基である)を含む。
R'で表される基における置換基の例は、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノカルボニル、ハロゲン、アルキル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルオキシ、アルコキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ヒドロキシ、ハロアルコキシまたはハロアルキルを含む。好ましくは、R'は置換されていない。
【0088】
有利には、本発明は疾患を治療するために消費者によって用いられるためのキットも提供する。キットは、a)抗生物質および医薬的に許容される担体、媒体または希釈剤を含む医薬組成物、および、任意に、b)特定の疾患を治療するために医薬組成物を用いる方法を記載している使用説明書を含む。使用説明書は、キットが、抗生物質投与に伴う副作用の付随の障害を実質的に減じながら疾患を治療することを目的とすることも示し得る。
【0089】
即時適用で用いられる「キット」は、分割されたボトルまたは分割されたフォイルポケットのような単位投与量形態を含むための容器を含む。容器は、医薬的に許容される物質から作られる当該技術で公知のあらゆる慣用の形または形態、例えば紙またはダンボール箱、ガラス製もしくはプラスチック製のボトルまたはジャー、再密封可能なバッグ(例えば、異なる容器への配置のための錠剤の「詰め替え(refill)」を入れるため)、または治療スケジュールに従ってパックから押し出すための個々の投与量を有するブリスターパックであり得る。
用いられる容器は、関与する正確な投与量形態に依存し得る。例えば、一般に、慣用のダンボール箱は、液体の懸濁液を入れるために用いられないであろう。単一の投与量形態を販売するための単一の包装中に、1以上の容器が一緒に用いられることもある。例えば、錠剤がボトルに入れられ、それが次いで箱の中に入れられ得る。
【0090】
そのようなキットの例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装産業でよく知られおり、医薬的な単位投与量形態(錠剤、カプセル等)の包装のために広く用いられている。一般的に、ブリスターパックは、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的堅い物質のシートからなる。包装工程の間、プラスチックホイル中に収納部が形成される。収納部はパックされる個々の錠剤またはカプセルの大きさおよび形を有するか、またはパックされる多数の錠剤および/またはカプセルを収容する大きさおよび形を有し得る。次に、錠剤またはカプセルが、それに応じて該収納部に置かれ、比較的堅い物質のシートが、収納部が形成された方向から反対側のホイルの表面でプラスチックホイルに対して封がされる。その結果、錠剤またはカプセルは、プラスチックホイルとシートの間の収納部に、要望どおりに、個々に封がされるか、または一括して封がされる。好ましくは、シートの強度は、収納部に手で圧力をかけることにより、収納部の場所で開口部が形成されることにより、錠剤またはカプセルがブリスターパックから取り出され得るような強度である。次いで、錠剤またはカプセルが前記開口部から取り出され得る。
【0091】
記憶補助の書面を提供することが所望されることがあり、ここで、記憶補助の書面は、医者、薬剤師または対象に対する情報および指示を含むタイプのものであり、例えば、錠剤またはカプセルに隣接した数字の形態であり、それにより、該数字が、そのように特定された錠剤またはカプセルを摂取すべきレジメンの日数に対応するか、または同じタイプの情報を含むカードに対応する。そのような記憶補助のもう一つの例は、例えば、次のような、「第1週、月曜日、火曜日、」・・・等・・・「第2週、月曜日、火曜日、・・・」等がカードに印刷されたカレンダーである。記憶補助のその他の変形は、容易に明らかであろう。「1日用量」は、その日に摂取されるただ一つの錠剤もしくはカプセルまたはいくつかの錠剤もしくはカプセルであり得る。
【0092】
キットのもう一つの具体的な態様は、1日の用量を一つずつ分配するように設計されたでディスペンサーである。好ましくは、ディスペンサーはレジメンのコンプライアンスをさらに容易にするように記憶補助を備えている。そのような記憶補助の例は、分配された1日の用量の数を示す機械式カウンターである。そのような記憶補助のもう一つの例は、例えば、最後の1日の用量が摂取された日を出力する、そして/または次の用量が摂取されるべき日を思い出させる、液晶表示、または音声注意信号と組み合わされた電池式マイクロチップメモリーである。
【実施例】
【0093】
例示
実施例1:構造式IのPPAT阻害剤の合成:
【化14】

【0094】
CH2Cl2 中のアミン 1 の撹拌溶液に、アルデヒド 2、続いてTFAを加える。得られる溶液を還流で一晩加熱する。濃縮後、形成される固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して、3 を得る。3 をバイアル中でDMF、ベンズアルデヒド 4 と一緒に室温で撹拌し、AcOH、続いてNaBH(OAc)3を添加する。得られる溶液を50℃で一晩加熱する。反応を完了させるために過剰のベンズアルデヒドを加えてもよい。反応混合物をEtOAc中に採取し、飽和NaHCO3、食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、5 を得、それをフラッシュクロマトグラフィーでさらに精製する。
【0095】
実施例2:PPAT阻害剤 2-(4-(2H-テトラゾール-5-イル)ベンジル)-1-(2,3-ジクロロフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドールの合成:
【化15】

【0096】
ジクロロエタン(100 mL)中のトリプタミン (3.2g, 20 mmol)の撹拌溶液に、2,3-ジクロロベンズアルデヒド (3.5g, 20mmol)、続いてTFA (0.5mL)を加えた。得られた溶液を還流で一晩加熱した。濃縮後、形成された固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥し、定量的な収率で、淡黄色の固体として 1 を得た。
【0097】
ねじぶたをした15 mLのバイアルに、1 (316 mg, 1.0 mmol)、DMF (5 mL)、4-シアノベンズアルデヒド (300mg, 2.3 mmol)およびAcOH (200 μL)を室温で加えた.この溶液にNaBH(OAc)3 (640 mg, 3 mmol)を加えた。得られた溶液を50℃で一晩加熱した。溶液にさらなる4-シアノベンズアルデヒド (200mg, 1.5 mmol)およびNaBH(OAc)3 (210 mg, 1mmol)を加えた。50℃で一晩加熱後、溶液をEtOAc (50 mL)中に採取した。有機溶液を飽和NaHCO3 (25 mL)、食塩水 (10 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、フラッシュクロマトグラフィー(アセトン:ヘキサン = 20: 80)で精製後、白色の固体として 3 (260mg, 60%)を得た。
【0098】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.70 (m, 1H), 2.83 (m, 2H), 3.05 (dt, 1H), 3.60および3.86 (2つのd, 2H, J = 14Hz), 5.37 (s, 1H), 7.1-7.6 (1組のm, 11H); LC/MS ES- 430 (M-1); >95% 純度
【0099】
ねじぶたをした15 mLのバイアルに、2 (140mg, 0.32 mmol)、続いてMeOH (5 mL)を入れた。これにNaN3 (150mg, 2.5 mmol)、続いてZnBr2 (225mg, 1 mmol)を加えた。懸濁液を100℃で一晩加熱した。さらなるNaN3 (150mg, 2.5 mmol)を加え、続いて100℃で一晩加熱した。濃縮後、残渣を1N HCl、続いてCHCl3で摩砕し、乾燥して固体を得、それをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)で精製し、淡黄色の固体として 3 (100mg, 70%)を得た。
【0100】
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 2.61および2.85 (2つのm, 2H + 2H), 3.64および3.80 (2つのd, 2H J = 13.6Hz), 5.31 (s, 1H), 6.9-8.0 (1組のm, 11H): LC/MS ES- 473 (M-1), ES+ 475 (M+1), >95% 純度
【0101】
実施例3:PPAT阻害剤 1-(3-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル)-2-(2,3-ジクロロベンジル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドールの合成:
【化16】

【0102】
ジクロロエタン(50 mL)中のトリプタミン(1.60g, 10 mmol)の撹拌溶液に、3-シアノベンズアルデヒド (1.31g, 10mmol)、続いてTFA (0.25mL)を加えた。得られた溶液を還流で一晩加熱した。濃縮後、固体を濾過器で単離し、ヘキサンで洗浄し、乾燥し、淡黄色の固体として、定量的な収率で 1 を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 2.87 (m, 2H), 3.17 (m, 2H), 5.52 (s, 1H), 7.0-7.7 (1組のm, 8H), 10.65 (s, 1H); LC/MS; ES+ 274 (M+1), >95% 純度.
【0103】
ねじぶたをした3つの15 mLのバイアルに、1 (450mg/それぞれ, 1.7 mmol/それぞれ)、続いてn-BuOH/H2O (3 m/3 mL それぞれ)を入れた。これにNaN3 (130mg, 2.0 mmol)、続いてZnBr2 (450mg, 2 mmol)を加えた。懸濁液を130℃で一晩加熱した。H2Oおよびヘキサンの添加後、固体を濾過器で単離し、乾燥し、白色の固体として 2 (1.50g 合計, 95%)を得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 0.83 (t, 1H, J = 7.2Hz), 1.27 (m, 1H), 2.80 (m, 2H), 3.18 (m, 2H), 5.45 (s, 1H), 6.9-8.0 (1組のm, 8H), 10. 60 (s, 1H); ES+ 317 (M+1), ES- 315 (M-1), >95% 純度.
【0104】
ねじぶたをした15 mLのバイアルに、2 (160 mg, 0.5 mmol)、続いてDMF/DCM (2 mL/6 mL)、2,3-ジクロロベンズアルデヒド (153mg, 0.9 mmol)およびAcOH (200 μL)を室温で入れた。この溶液にNaBH(OAc)3 (250 mg, 1.2 mmol)を加えた。得られた溶液を40℃で一晩加熱した。溶液をH2O (20 mL)中に注ぎ、固体を形成させ、それを集め、ヘキサンで洗浄し、乾燥し、クロマトグラフィー(DCM: MeOH = 95:5)により精製後、黄色の固体として 3 (130mg, 55%)を得た。
1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 3.16 (m, 2H), 3.35および3.60 (2つのm, 2H), 4.33 (ABq, 2H, J = 14.4Hz), 5.63 (s, 1H), 7.0-8.1 (1組のm, 11H); LC/MS ES+ 475 (M+1) ES- 473 (M-1) >95% 純度
【0105】
実施例4:細菌は、抗生物質の一般的な標的のPPATに依存する
coaD (あるいは、kdtE)と呼ばれるPPATの遺伝子が確認されている:その教示の全てが本明細書に参照として組み込まれる、Geerlofら, "Purification and characterization of Phosphopantetheine Adenylyltransferase from E. Coli" J. Biol. Chem., 1999, 274(38), pp. 27105-11を参照。その遺伝子配列が、BLAST(登録商標)(http://www.ncbi.nkri.nih.gov/BLAST/でオンライン入手可能な、Basic Local Alignment Search Tool)を用いて、様々な細菌および哺乳類で検索された。その結果を表2に示す。
【0106】
【表2】

【0107】
PPATが、様々な細菌病原体を通して高度に保存されていることが分かる。したがって、PPATは抗生物質の一般的な標的である。さらに、PPATは哺乳類の細胞中に存在するけれども、哺乳類の配列は充分に異なっており、開示されたPPAT阻害剤が細菌のPPATに選択的になり得ることを示している。
【0108】
PPATの遺伝子、coaDは、対立遺伝子交換(allelic exchange)により様々な細菌から分裂している:例えば、前記のGeerlofらのもの、およびそれらの全ての教示が本明細書に参照として組み込まれる、Freibergら, 2001. "Identification of novel essential Escherichia coli genes conserved among pathogenic bacteria" J Mol Microbiol Biotechnol 2001, 3, pp 483-9を参照。
複合増殖培地中での大腸菌、バチルス ズブチリス、スタフィロコッカス アウレウスおよびスタフィロコッカス ニューモニエの生存が研究される。coaD遺伝子なしで改質された細菌が生存できないことは、PPATが細菌の生存のために必要であり、したがって抗生物質の潜在的な標的であることを示している。
【0109】
外因性のデホスホ-CoAおよび/またはCoAを含む培地中での大腸菌の生存のさらなる実験が試験され得る。ヒト細胞を含む哺乳類は、環境から捕捉したパントテネート(ビタミンB5)からCoAを作ることができる。したがって、ヒト被検体において、ヒト細胞/組織は、CoAを合成することができない細菌へCoAを供給することが可能である。外因性デホスホ-CoAおよび/またはCoAを含む培地中で改質された大腸菌が生存できないことは、PPATが抗菌性の標的になり得ることをさらに示している。
【0110】
実施例5:PPAT阻害のカイネティックアッセイ
PPATに対する開示された化合物のIC50 (50%での阻害濃度)値が、化合物の0.003〜200μg/mlの範囲の種々の濃度で測定され得る。IC50 値 >200を有する化合物は、異なるアッセイ法を用いて測定可能なIC50を有し得る。これらの阻害アッセイは、前記のスクリーニング アッセイと同様の方法を用いて、96-ウエル アッセイ プレート中で行われ得る。
反応緩衝液は、100μlの全容積中に、20mM Hepes (pH 7.5)、l00mM NaCl、1mM MgCl2、0.5mM DTT、0.006% Brij 35、10% グリセロール、25μM PPT、0.5mM ATP、0.2ユニットのピロホスファターゼ、200ngのPPATを含むべきである。反応は2分間行われ、次いで150mlマラカイトグリーン試薬で停止される。10分の発色後、650nmで吸収が測定される。IC50は、データをXLfit (ID Business Solutions Inc., Cambridge, MA)を用いる4パラメータ法に適合して決定される。IC50 値は、酵素的反応の50%阻害を与える化合物の濃度として曲線から誘導される。
【0111】
IC50 アッセイを行うために、精製されたPPATが必要とされる。大腸菌PPAT遺伝子が、pET28a発現ベクター(Novagen, Inc., Madison, WT)にクローン化され、大腸菌BL21(DE3)細胞に発現される。クロマトグラフ精製法は、以下のように、Q-セファロース、ゲル濾過およびMonoQクロマトグラフィーを用いる。該方法は、前記のGeerlofらに詳細に記載されている。
【0112】
各細胞ペレットを4倍の容積の細胞溶解緩衝液(50mM KH2PO4 pH 8.0, l00mM NaCl, 2mM EGTA, および10% グリセロール)に懸濁する。細胞をMicrofluidics細胞粉砕器に4回通すことにより粉砕し、細胞溶解物を3,000 gで20分間遠心分離すべきである。次いで、上澄み液を、前もって平衡化されたQ-セファロース カラム(l0mM Tris-HCl pH 8.0, 0.lmM EGTA, 1mM PMSF, l00mM NaCl, 10% グリセロール, 0.1% p-メルカプトエタノール, および0.02% Brij 35)にかける。PPATを平衡緩衝液中のNaCl勾配(0.1〜1M)で溶出する。大きなピークフラクションを溜めて、濃縮し、次いでSephacryl S200 HRカラム(l0mM Tris-HCl pH 7.5, 150mM NaCl, 0.lmM EGTA, 0.lmM PMSF, 10% グリセロール, 0.1% β-メルカプトエタノール, および0.02% Brij 35)にかける。PPATを同じ緩衝液で溶出する。大きなピークフラクションを溜めて、前もって平衡化したMonoQカラム(l0mM Tris-HCl, pH 7.0, 0.lmM EGTA, 0.lmM PMSF, 10% グリセロール, 0.1% β-メルカプトエタノール, および0.02% Brij 35)に充填する。PPATを100mM〜l000mMまでのNaClの勾配で溶出すべきである。ピークフラクションを溜めて、保存緩衝液(l0mM MOPS pH7.0,150mM NaCl, 0.lmM EGTA, 50% グリセロール, 0.02% Brij 35)中で透析し、次いで-20℃で保存する。本発明の化合物のこれらの実験のデータを表3に示す。
【0113】
【表3−1】

【表3−2】

【表3−3】

【表3−4】

【0114】
実施例6:薬物耐性細菌に対する、開示されたPPAT阻害剤の抗生物質活性の測定
効力、スペクトル、標的特異性および血清の影響を、MIC(最小阻害濃度)を測定することにより評価する。病原菌のパネルに対して、増殖を完全に阻害する化合物の一連の2倍希釈において、最も低い濃度はμg/mLである。細菌のパネルを含む菌株は、American Type Culture Collection (ATCC, Manassas, VA)から入手するか、またはPPATの異なるレベルを発現するように遺伝子組み換えされる。ATCC菌株は、次の:大腸菌(ATCC 35218)、スタフィロコッカス アウレウス(ATCC 700699)およびエンテロコッカスフェシウム(ATCC 700221)を含む。その他の菌株は、内因性PPATが崩壊され、誘発性プロモータ、Pspaceの制御下、PPATで補完された、スタフィロコッカス アウレウス RN4220、大腸菌 WO-0159、大腸菌 WO-0153およびバチルス ズブチリス BD170を含む。
【0115】
MICアッセイは、増殖培地として、血清含有および血清不含の両Tryptic Soy ブロスおよびMueller Hinton ブロスが用いられるのを除いて、基本的には、本明細書にその全ての教示が参照として組み込まれる、NCCLS勧告(National Center for Clinical Laboratory Standards, 1997, (Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria the Grow Aerobically), 第4版;承認標準NCCLS document M7-A4. NCCLS, Wayne, PA.)に記載されたようにして行われる。試験された濃度範囲は200〜0.39 mcg/mlである。50倍の濃度の所望の最終濃度が、96-ウエル マイクロタイター プレート中、2倍連続希釈により行われ、その後、2 μLがアッセイプレートに移される。細胞を適当な培地中で増殖し、また0.001の最終OD600に希釈し、その後、98 μLをアッセイプレートに播種する。各アッセイウエル中の最終容積は100 μLである。37℃で一晩インキュベートした後、アッセイプレートを読み取る。MICは、>80% 増殖阻害を生じる最小濃度として測定する。
【0116】
関連出願
この出願は、「抗菌性テトラヒドロ-β-カルボリン誘導体(ANTIBIOTIC TETRAHYDRO-BETA-CARBOLINE DERIVATIVES)」の題名で2007年11月30日に出願された、代理人事件覚書(Attorney Docket)番号NPZ-006-1の米国仮出願番号60/991,520の優先権を主張する。この明細書を通じて引用されるあらゆる特許、特許出願および参照文献の内容は、そっくりそのまま参照として本明細書に組み込まれる。
【0117】
政府支援
この発明はNational Institutes of Healthからの政府支援で行われた。政府が本発明の一定の権利を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
環Aは、置換可能な環原子において任意に置換されていてもよい、アリールまたはヘテロアリール基であり;
Jは、-O-、-S-または-NR2-(ここで、R2は-Hまたは任意に置換されていてもよいC1-C5アルキルである)であるか;または
Jは、-NR2'-(ここで、R2'は任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、へテロアラルキル、C3-C7脂環式基またはC3-C7シクロアルキルである)であり;
R3は、任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、へテロアラルキル、C3-C7脂環式基またはC3-C7シクロアルキルであり;
Lは、-(CH2)-、-(CO)-、-(CS)-、-(SO)-または-(SO2)-であり;
R4は、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、ビヘテロアリール、ヘテロアリール-アリール、アリール-ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、C1-C8脂肪族基、C3-C7シクロアルキル、C5-C7脂環式基または3-7員の非芳香族複素環式基であり;
ここで、R4は、ハロゲン、-(CO)ORa、-(CO)O(CO)Ra、-(CS)ORa、-(SO)ORa、SO3Ra、-OSO3Ra、-P(ORa)2、-(PO)(ORa)2、-O(PO)(ORa)2、-B(ORa)2、-(CO)NRb2、-NRc(CO)Ra、-SO2NRb2または-NRcSO2Raで置換されていてもよく;
R5は、-H、-(CO)ORa、-(CO)O(CO)Ra、-(CS)ORa、-(SO)ORa、SO3Ra、-OSO3Ra、-P(ORa)2、-(PO)(ORa)2、-O(PO)(ORa)2、-B(ORa)2、-(CO)NRb2、-NRc(CO)Ra、-SO2NRb2または-NRcSO2Raであり;
R6は、-H、-OH、ハロゲン、または任意に置換されていてもよいC1-C3アルキルもしくはアルコキシであり;
RaおよびRcはそれぞれ独立して、-H、C1-C5アルキル、アリールまたはアラルキルであり;
Rbはそれぞれ独立して、-H、C1-C5アルキル、アリールもしくはアラルキルであるか、またはNRb2は非芳香族複素環式基である]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物、水和物、エナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーもしくはラセミ体。
【請求項2】
環Aが置換可能な環原子においてR1で任意に置換されていてもよく、R1がそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-ORd、-(CO)Rd、-(CO)ORd、-O(CO)Rd、-(CO)O(CO)Rd、-(CS)ORd、-(SO)ORd、-SO3Rd、-CONRe2、-O(CO)NRe2、-NRf(CO)NRe2、-NRf(CO)ORd、-NRfCORd、-(SO2)NRe2、-NRfSO2Rd、-(CH2)sNRd2、または任意に置換されていてもよいアリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルである(ここで、RdおよびRfはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり、Reはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルまたはC1-C5アルキルであるか、またはNRe2は、非芳香族複素環式基であり、sは0〜5である)、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
環Aが、任意に置換されていてもよい、フェニル、ピラジル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはイミダゾリル基である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が、任意に置換されていてもよい、フェニル、ピリジル、ベンゾ[l,3]ジオキソリル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[l,4]ジオキシン、ピリミジル、ピラジル、フラニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ナフチル、キノリニル、ビフェニル、ベンゾピリミジル、ベンゾピラジル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリルまたはベンズイミダゾリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、置換された、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、ナフチル、ビフェニル、フェニル-ピリジル、ビピリジル、キノリニル、ベンゾピリミジル、ベンゾピラジル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、またはC2-C8アルケニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R4が、構造式R4-i〜R4-vii:
【化2】

(式中、
mはそれぞれ独立して、0、1、2または3であり;
Xは-N-、-CH-または-CR10-であり;
環BはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロアルケニルであり;
環CおよびDは、それぞれ独立して、アリールまたはヘテロアリールであり;
R8は-ORqまたは-NRr2であり;
R9は-H、アリール、アラルキルまたはC1-C6脂肪族基であり;
R10はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-ORi、-(CO)Ri、-(CO)ORi、-O(CO)Ri、-(CO)O(CO)Ri、-(CS)Ri、-(SO)ORi、-SO3Ri、-CONRj2、-O(CO)NRj2、-NRk(CO)NRj2、-NRk(CO)ORi、-NRkCORi、-(SO2)NRj2、-NRkSO2Ri、-(CH2)tNRj2、または任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであり;
RiおよびRkは、それぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり;
RjおよびRrは、それぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであるか、またはNRj2およびNRr2は、それぞれ独立して、非芳香族複素環式基であり;
Rqは、-H、または任意に置換されていてもよい、アリール、アロイル、アラルキル、アラルカノイル、C1-C5アルキルもしくはC1-C5アルカノイルであり;
tは0〜5である)
の一つで表される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R4が、構造式R4-i'〜R4-vii':
【化3】

(式中、
mはそれぞれ独立して、0、1、2または3であり;
R8は-OH、C1-C5アルコキシまたはC1-C5アルカノイルオキシであり;
R9は-HまたはC1-C6脂肪族基であり;
R10はそれぞれ独立して、-OH、-NO2、-F、-Cl、-Br、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、-CF3または-OCF3である)
の一つで表される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R3が、構造式R3-i〜R3-v:
【化4】

(式中、
Yは-N-、-CH-または-CR11-であり;
Zは-NRz-、-S-または-O-(ここで、Rzは-HまたはC1-C3アルキルである)であり;
変数wは0、1、2または3であり;
R11はそれぞれ独立して、ハロゲン、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、-OR1、-(CO)R1、-(CO)OR1、-O(CO)R1、-(CO)O(CO)R1、-(CS)OR1、-(SO)OR1、-SO3R1、-CONRm2、-O(CO)NRm2、-NRn(CO)NRm2、-NRn(CO)OR1、-NRnCOR1、-(SO2)NRm2、-NRnSO2R1、-(CH2)uNR12、または任意に置換されていてもよい、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであり;
uは0〜5であり、
R1およびRnは、それぞれ独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルであり;
Rmはそれぞれ独立して、-H、アリール、アラルキルもしくはC1-C5アルキルであるか、またはNRm2は非芳香族複素環式基である)
の一つで表される、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
R3が、構造式R3-i'〜R3-v':
【化5】

(式中、
wは0、1、2または3であり;
R11はそれぞれ独立して、-OH、-NO2、-F、-Cl、-Br、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、-CF3または-OCF3である)
の一つで表される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R4が、構造式R10-i〜R10-xix:
【化6】

の一つで置換されたフェニルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項11】
R11が、構造式R11-i〜R11-xxiii:
【化7】

(式中、Rは独立して、-H、アリール、アラルキル、C1-C5アルキルまたはC1-C5ハロアルキルである)
の一つで表される、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
R3が、構造式R3a〜R3r
【化8】

の一つで表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R4が、構造式R4a〜R4q
【化9】

[式中、R8は、-NRy2、-OH、C1-C5アルコキシまたはC1-C5アルカノイルオキシ(ここで、Ryはそれぞれ独立して、-HまたはC1-C3アルキルである)である]
の一つで表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
R3が構造式R3a〜R3rの一つで表され、
R4が構造式R4a〜R4qの一つで表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R5が、
【化10】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
環Aがアリール部分であり;JがN(H)であり;R3が一つ以上のハロゲンまたはヘテロアリールで任意に置換されていてもよいアリールであり;Lが(CO)または(CH2)であり;R4が一つ以上のハロゲン、CO2Hまたはヘテロアリールで任意に独立して置換されていてもよいフェニルであり;R5がH、アルキル、アルコキシ、CO2HまたはCO2アルキルであり;R6がH、アルキルまたはアルコキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
環Aがフェニル部分であり;JがN(H)であり;R3が一つ以上のハロゲンまたはテトラゾールで任意に置換されていてもよいフェニルであり;Lが(CO)または(CH2)であり;R4が一つ以上のハロゲン、CO2Hまたはヘテロアリールで任意に独立して置換されていてもよいフェニルであり;R5がH、CO2HまたはCO2アルキルであり;R6がHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
環Aがフェニル部分であり;JがN(H)であり;R3がテトラゾールで任意に置換されていてもよいフェニルであり;LがCH2であり;R4が一つ以上のハロゲンで任意に独立して置換されていてもよいフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
式Iの化合物が、表1に示される個々の化合物からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の有効量を、細菌感染症の治療を必要とする対象に投与することを含む、対象の細菌感染症を治療する方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物が表1に示される個々の化合物からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象がヒトである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
感染症が、ホスホパンテテイン アデニルトランスフェラーゼを発現する細菌により引き起こされる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
感染症が、アシネトバクター、バチルス、カンピロバクター、クラミジア、クラミドフィラ、クロストリジウム、シトロバクター、エシェリヒア、エンテロバクター、エンテロコッカス、フランシセラ、ヘモフィルス、ヘリコバクター、クレブシエラ、リステリア、モラクセラ、ミコバクテリウム、ナイセリア、プロテウス、シュードモナス、サルモネラ、セラチア、シゲラ、ステノトロフォモナス、スタフィロコッカス、ストレプトコッカスおよびエルシナから選択される属の細菌により引き起こされる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2011−518108(P2011−518108A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536160(P2010−536160)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/084832
【国際公開番号】WO2009/102377
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(508041758)ビオタ サイエンティフィック マネージメント ピーティーワイ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】