説明

抗菌性組成物

本発明は、抗菌性組成物、さらに具体的には、キノロンカルボン酸誘導体の組成物に関する。これらの組成物は、溶解性、安定性、および耐性が改善された。これらの組成物は、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する静脈内投与に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノロンカルボン酸誘導体抗菌性化合物およびシクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。これらの組成物は、溶解性、安定性、および耐性が改善された。これらの組成物は、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する静脈内投与に有用である。
【背景技術】
【0002】
一般に、適切な医薬担体システムが、有効な医薬品の安全で効果的な送達の必要条件である。医薬組成物の全体、すなわち医薬担体の中の製剤化された有効な医薬品は、生物学的利用能ならびに有効な薬物の薬物動態および薬力学にも影響を及ぼし得る。したがって、医薬組成物は、安全で効果的な方法で、所望の有効な医薬品を送達するために、入念に開発および製造されることが重要である。
【0003】
細菌感染を治療または予防する抗菌剤の送達は、特別な課題を示し得る。治療効果をもたらすために、この抗菌剤が、標的となる特定の1つまたは複数の微生物に対して十分な時間患者に投与され、血流または標的臓器において最小発育阻止濃度(MIC)を超える全身濃度に達成することが一般に望ましい。したがって、効果的な抗菌プロファイルをインビトロで、別の方法で示す抗菌剤は、インビボ投与のために適切に製剤化されない限り、効果がないかまたはさらに害を及ぼし得る。
【0004】
適切な抗菌性組成物開発の課題は、静脈内投与などの非経口投与のための液体製剤開発に対してさらに複雑になる。薬物を経口でまたは他の手段によって投与することができない場合、例えば、患者が意識不明であるか、または深刻な病気であるか、さもなければ経口で薬物を摂ることができない場合に、有効な薬物の静脈内送達が重要な投与経路になる。たとえ、本発明のピリジンカルボン酸抗菌剤を用いる場合ではなくても、経口の生物学的利用能の低さまたは経口の耐性の低さにより、多くの薬物を経口で送達することができない。多くの場合、静脈内投与に適した組成物の開発は、注入する際の有効な薬物の溶解性、この組成物の化学的および物理的安定性、ならびにこの組成物の耐性の相互作用のバランスをとることを含む多くの複雑な課題をもたらす。例えば、投与前に再構成をするように設計された乾燥粉末または凍結乾燥物(lyophils)の形態の組成物の場合において、溶解性、安定性、および耐性に加えて、他に考慮することとして、この組成物の製造の容易さ、この組成物の保存の便利さ、およびこの組成物の再構成の容易さが含まれる。
【0005】
十分な溶解性がないと、有効な医薬品は静脈内投与に適さない可能性があるので、静脈内投与向きの製品に対して、有効な医薬品の溶解性は、第一に考慮すべき事柄でなくとも、考慮すべき重要な事柄である。安全にかつ便利に投与することができる静脈内投与製剤の量の制限も、実用的製剤開発のパラメータをさらに限定する。有効な医薬品を実用レベルで可溶化することができなければ、この薬物の静脈内投与製剤を開発することは、さらに不可能になる可能性がある。
【0006】
医薬組成物の安定性は、考慮すべき重要な別の事柄である。有効な医薬品の効力が要求されるレベル以上に維持され、かつ製剤全体の完全性が維持され、安全な投与が可能となるように、医薬組成物は十分な化学的および物理的安定性をもたなければならない。潜在的に有害な分解生成物および副製品の形成を最小限にすることが重要である。
【0007】
静脈内投与製剤が、患者の血管および周辺組織に刺激または損傷を与えるべきではないので、医薬組成物の耐性は、さらに別の考慮すべき重要な事柄である。さらに、この組成物は、投与中の過度の静脈不耐性もしくは過度の不快感を引き起こすべきではなく、またはその代わりに、静脈不耐性もしくは不快感を軽減すべきである。
【0008】
医薬組成物は十分な有効性をもつべきである。医薬組成物は、患者への投与を可能にするのに十分な化学的および物理的安定性ももつべきである。医薬組成物は、有用な期間わたって、有効な薬物の効力も維持すべきである。医薬組成物の中の有効な薬物の効力を、例えば、この組成物の中の有効な薬物の濃度またはレベルを、長い時間をかけて、一定に、またはほぼ一定に保つことによって維持することができる。
【0009】
したがって、本発明は前述のおよび他のニーズに取り組む。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、抗菌性組成物、さらに具体的には、キノロンカルボン酸誘導体の組成物に関する。本発明は、キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、ならびにα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。これらの組成物は、静脈内投与または静脈内注射のために、有効な薬物の溶解性が改善され、化学的および物理的安定性が改善され、すなわち有効な薬物および組成物全体の安定性が改善され、かつ耐性が改善された。これらの組成物は、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する静脈内投与または静脈内注射に有用である。
【0011】
一態様において、本発明は、混合前に、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(b)シクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。
【0012】
一態様において、本発明は、混合前に、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、(b)シクロデキストリン、および(c)キレート剤を含む医薬組成物に関する。
【0013】
一態様において、本発明は、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、(b)シクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。
【0014】
一態様において、本発明は、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、(b)シクロデキストリン、および(c)キレート剤を含む医薬組成物に関する。
【0015】
一態様において、本発明は包接錯体を含む医薬組成物に関し、前記包接錯体は、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(b)シクロデキストリンを含む。
【0016】
一態様において、本発明は、(a)包接錯体、ならびに(b)キレート剤を含む医薬組成物に関し、前記包接錯体は、(i)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(ii)シクロデキストリンをさらに含む。
【0017】
一態様において、本発明は、水溶液を含む(水溶液の形態の)医薬組成物に関する。
【0018】
一態様において、本発明は、乾燥混合物を含む(乾燥混合物の形態の)医薬組成物に関する。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物は凍結乾燥物である。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物は凍結乾燥物化により生成される。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物または凍結乾燥物は再構成される。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記医薬組成物は希釈される。
【0019】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンである。
【0020】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンエーテル、β−シクロデキストリンエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択されるβ−シクロデキストリンである。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンはヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンである。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。
【0021】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、次式(3)(β−シクロデキストリン)−OR(3)に相当するβ−シクロデキストリンであり、式中、R残基は水素またはヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよく、β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、式中、Rはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシプロピル、メチル、またはエチルからなる群から選択される。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記R基はヒドロキシプロピルである。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、約0.86〜約1.14の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、約0.59〜約0.73の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する。一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンは、CAS登録番号128446−35−5に相当する。
【0022】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、式1のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体である:
【化1】


式1

式中、nは4、5または6であり;
式1のR、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、OまたはO−(C2−6アルキレン)−SO基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6アルキレン)−SO基であり;ならびに
、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、医薬的に許容可能なカチオンであり、ここで、前記組成物は、薄層クロマトグラフィにより分析すると、非誘導体化シクロデキストリンがないことを示す。
一態様において、R、RおよびRは、各々独立して、O−(C2−6−アルキレン)−SO基である。一態様において、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、O−(CH−SO基であり、式中、mは2、3、4、5または6である。一態様において、R、RおよびRは、各々独立して、O−(CH−SO基であり、式中、mは3または4である。一態様において、R、RおよびRは、独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々−Oである。一態様において、R、RおよびRは、独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々−Oである。一態様において、R、RおよびRは、独立して、各々−O(C2−6−アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々−Oである。一態様において、S、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、H、Li、Na、K、Ca+2、Mg+2またはアンモニウムである。
【0023】
一態様において、本発明の前記スルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンである。一態様において、前記スルホアルキルエーテルβ−シクロデキストリンは、CAS登録番号194615−04−8に相当する。
【0024】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンはγ−シクロデキストリンである。
【0025】
一態様において、本発明は医薬組成物、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルに関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、次式2の構造に相当する:
【化2】


式2

式中、Rは水素原子またはカルボキシル保護基を示し;
は、水酸基、低級アルコキシ基、または置換もしくは非置換アミノ基を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
はハロゲン原子または任意で置換された飽和環状アミノ基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または任意で保護されたアミノ基を示し;
X、YおよびZは、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ窒素原子、−CH=または−CR=(ここで、Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を示す)を示し;
ただし、X、YおよびZの少なくとも1つは窒素原子を示し、かつWは窒素原子または−CR=(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示す)を示し;
ただし、本請求項で定義されるR、R、R、R、R、R、R、R、W、X、Y、およびZは、式2に関して定義される。
一態様において、Rが水素原子を示す時、Rはアミノ基を示し、RおよびRはフッ素原子を示し、Rは水素原子を示し、Xは窒素原子を示し、Yは−CR=(ここで、Rはフッ素原子を示す)を示し、Zは−CH=を示し、かつWは−CR=(ここで、Rは塩素原子を示す)であり、その結果、Rは3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル基ではない。
【0026】
一態様において、本発明は医薬組成物、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルに関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、以下の化合物(A)に相当する:
【化3】


(A)
【0027】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である。
【0028】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図1に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である。
【0029】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である。
【0030】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図2に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である。
【0031】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キレート剤はEDTAまたはその塩である。一態様において、前記キレート剤は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびそれらの混合物からなる群から選択されるEDTA塩である。一態様において、前記キレート剤は、EDTA二ナトリウムである。
【0032】
一態様において、本発明は、ポリヒドロキシアミン化合物をさらに含む医薬組成物に関する。一態様において、前記ポリヒドロキシアミン化合物はメグルミンである。
【0033】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、水中のキノロンカルボン酸誘導体と比較して、溶解性において測定可能な改善を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約1mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約2mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約3mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約5mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約10mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約15mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約20mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約25mg/mLの溶解性を有する。一態様において、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約30mg/mLの溶解性を有する。
【0034】
一態様において、本発明は、安定性が改善された医薬組成物に関する。
【0035】
一態様において、本発明は、以下のパラメータの少なくとも1つによって測定した場合、安定性が改善された医薬組成物に関する:
(a)この組成物は、その初期pHの約10%以内にpHを維持する、または
(b)この組成物は、キノロンカルボン酸誘導体の初期量の少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%を保持する、または
(c)この組成物は、米国薬局方収載の<788>注射剤における微粒子物質(Particulate Matter in Injections)に記載される標準的な光遮断型微粒子試験(light obscuration particle test)を用いて測定した場合、1単位容器あたり、この組成物は、10マイクロメートル以上の6000個以下の微粒子を有し、かつ25マイクロメートル以上の600個以下の微粒子を有するような沈殿を形成しない。
一態様において、この組成物が、室温で保管された少なくとも30、69、90、180日、または1年後に、本発明のパラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される。
【0036】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記組成物は、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす。一態様において、前記静脈耐性を、ラットの尾注射モデルにおいて測定する。一態様において、前記組成物を、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。一態様において、本発明は、請求項65の医薬組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも連続2、3、4、または5日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。
【0037】
一態様において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、水中のキノロンカルボン酸誘導体と比較して、溶解性において測定可能な改善を有し、および/またはこの組成物は安定性が完全され、および/またはこの組成物は、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす。
【0038】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)この組成物の全重量と比較して、約0.01重量%〜約50重量%のデラフロキサシン;
(b)この組成物の全重量と比較して、約0.1重量%〜約50重量%のメグルミン;および
(c)この組成物の全重量と比較して、約1重量%〜約50重量%のCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン。
【0039】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)この組成物の全重量と比較して約0.01重量%〜約重量50%のデラフロキサシン;
(b)この組成物の全重量と比較して、約0.1重量%〜約50重量%のメグルミンの;
(c)この組成物の全重量と比較して、約1重量%〜約50重量%のCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン;および
(d)この組成物の全重量と比較して、約0.001重量%〜約0.1重量%のEDTA二ナトリウム。
【0040】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、および
(c)約1000mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン。
【0041】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、
(c)約500mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)0mg〜約4mgのEDTA二ナトリウム。
【0042】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、
(c)約500mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.40mg〜約4mgのEDTA二ナトリウム。
【0043】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約100mgのデラフロキサシン、
(b)約24.4mgのメグルミン、および
(c)約1000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン。
【0044】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約300mgのデラフロキサシン、
(b)約73.2mgのメグルミン、および
(c)約3000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン。
【0045】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約500mgのデラフロキサシン、
(b)約122mgのメグルミン、および
(c)約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン。
【0046】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約100mgのデラフロキサシン、
(b)約19.52mgのメグルミン、
(c)約800mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.44mgのEDTA二ナトリウム。
【0047】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約300mgのデラフロキサシン、
(b)約58.56mgのメグルミン、
(c)約2400mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約1.32mgのEDTA二ナトリウム。
【0048】
一態様において、本発明は、以下を含む医薬組成物に関する:
(a)約500mgのデラフロキサシン、
(b)約97.6mgのメグルミン、
(c)約4000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約2.2mgのEDTA二ナトリウム。
【0049】
一態様において、本発明は、以下を含む水性の医薬組成物に関する:
(a)約20mg/mLのデラフロキサシン、
(b)約4.88mg/mLのメグルミン、
(c)約200mg/mLのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)水。
【0050】
一態様において、本発明は、以下を含む水性の医薬組成物に関する:
(a)約25mg/mLのデラフロキサシン、
(b)約4.88mg/mLのメグルミン、
(c)約200mg/mLのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.11mg/mLのEDTA二ナトリウム、
(e)水。
【0051】
一態様において、本発明は、約9±0.1pH単位のpHを有する上記の任意の医薬組成物に関する。
【0052】
一態様において、本発明は、マンニトールをさらに含む医薬組成物に関する。
【0053】
一態様において、本発明は、単位用量の形態の医薬組成物に関する。
【0054】
一態様において、本発明は、ここで教示される組成物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法に関する。。
【0055】
一態様において、本発明は、本明細書で教示される組成物を、それらを必要とする患者に、例えば、点滴静注バッグを用いて投与することを含む、投与中の静脈不耐性を軽減すると同時に、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法に関する。この組成物は、生理食塩水またはデキストロース担体を含み得る。
【0056】
一態様において、本発明は、請求項1〜90のいずれか1項に記載の医薬組成物および容器を含むキットに関する。この容器は、瓶、バイアル、注射器もしくは点滴バッグであり得るか、またはこの組成物は容器、例えば、瓶、バイアル、注射器もしくは点滴バッグをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロピリジン−2−イル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)の粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明において、驚くべきことに、特定のシクロデキストリン化合物とキノロンカルボン酸誘導体抗菌性化合物との併用が、製品の溶解性、安定性、および耐性の所望のバランスをもたらすことが明らかとなった。最終的な薬品製剤は、溶解性、安定性、および耐性の複雑な相互作用の結果である。
【0059】
本発明は、キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、ならびにβ−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。これらの組成物は、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する静脈内投与または静脈内注射に有用である。静脈内に、または注射として投与される時、これらの組成物は、キノロンカルボン酸の安定性を増加し、キノロンカルボン酸の溶解性を増加し、および患者の耐性を増加した。医薬組成物は、有用な期間、都合よく保存されるのに十分な保存期限をもたなければならないので、安定性の増加は重要である。いくつかのキノロンカルボン酸化合物は、所望の標的濃度で製剤化するのに十分な水溶解度をもたないので、溶解性の増加は重要である。本発明は、本発明を使用しないで、別の方法で達成可能である組成物と比較して、溶解性が増加した組成物を提供する。本発明は、安全で十分耐性のある組成物を提供するので、患者の耐性の増加は重要である。医薬組成物にとって、効果があることが十分なのではなく、有効性が適切な安全性および耐性レベルで達成されることが重要なのである。従って、本発明の組成物は、最先端のものを超える利点を提供する。
【0060】
一実施形態において、本発明は、混合前に、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(b)シクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(b)シクロデキストリンを含む医薬組成物に関する。一実施形態において、この組成物は、キノロンカルボン酸誘導体およびシクロデキストリンを含む。別の実施形態において、この組成物は、キノロンカルボン酸誘導体の医薬的に許容可能な塩およびシクロデキストリンを含む。別の実施形態において、この組成物は、キノロンカルボン酸誘導体の医薬的に許容可能なエステルおよびシクロデキストリンを含む。他の実施形態において、本発明は、包接錯体を含む医薬組成物に関し、前記包接錯体は、(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および(b)シクロデキストリンを含む。一実施形態において、この組成物は、シクロデキストリンの中にキノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルを含む。
【0061】
他の実施形態において、本発明は、水溶液を含む(水溶液の形態の)医薬組成物に関する。
【0062】
他の実施形態において、本発明は、乾燥混合物を含む(乾燥混合物の形態の)医薬組成物に関する。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物は凍結乾燥物である。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物は凍結乾燥物化により生成される。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記乾燥混合物または凍結乾燥物は再構成される。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記医薬組成物はさらに希釈される。
【0063】
一実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態において、このシクロデキストリンの遊離水酸基は、完全にまたは部分的に誘導体化される。別の実施形態において、シクロデキストリンの遊離ヒドロキシルは、完全に誘導体化される。別の実施形態において、シクロデキストリンの遊離ヒドロキシルは、部分的に誘導体化される。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンエーテル、β−シクロデキストリンエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択されるβ−シクロデキストリンである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンはヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、次式(3)に相当するβ−シクロデキストリンである:
(β−シクロデキストリン)−OR
(3)
式中、R残基はヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよく、β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは次式:(β−シクロデキストリン)−ORに相当するβ−シクロデキストリンであり、式中、R残基の全部または一部は、任意で、かつ独立して水素、ヒドロキシアルキル基またはアルキル基である。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは次式(3):(β−シクロデキストリン)−ORに相当するβ−シクロデキストリンであり、式中、R残基の全部または一部は、任意で、かつ独立して、ヒドロキシアルキル基またはアルキル基である。一実施形態において、β−シクロデキストリンは水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、式中、Rはヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシプロピル、メチル、またはエチルからなる群から選択される。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記R基はヒドロキシプロピルである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンは、約0.86〜約1.14の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンは、約0.59〜約0.73の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンは、CAS登録番号128446−35−5に相当する。
【0064】
他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、式1のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体である:
【化4】


式1

式中、nは4、5または6であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、OまたはO−(C2−6アルキレン)−SO基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6アルキレン)−SO基であり;ならびに
、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、医薬的に許容可能なカチオンであり、ここで、前記組成物は、薄層クロマトグラフィにより分析すると、非誘導体化シクロデキストリンがないことを示す。
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRは、各々独立して、O−(C2−6−アルキレン)−SO基である。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、O−(CH−SO基であり、mは2、3、4、5または6である。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRは、各々独立して、O−(CH−SO基であり、mは3または4である。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々Oである。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRは、独立して、前記O−(C2−6アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々Oである。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、式中、R、RおよびRは、各々O(C2−6−アルキレン)−SO基であり;かつR、RおよびRは各々Oである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記スルホアルキルエーテルシクロデキストリンはスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンである。他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記スルホアルキルエーテルβ−シクロデキストリンは、CAS登録番号194615−04−8に相当する。
【0065】
他の実施形態において、本発明は医薬組成物に関し、ここで、前記シクロデキストリンは、γ−シクロデキストリンである。
【0066】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、次式2の構造に相当する:
【化5】


式2

式中、Rは水素原子またはカルボキシル保護基を示し;
は、水酸基、低級アルコキシ基、または置換もしくは非置換アミノ基を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
はハロゲン原子または任意で置換された飽和環状アミノ基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または任意で保護されたアミノ基を示し;
X、YおよびZは、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ窒素原子、−CH=または−CR=(ここで、Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を示す)を示し;
ただし、X、YおよびZの少なくとも1つは窒素原子を示し、かつWは窒素原子または−CR=(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示す)を示し;
ただし、本段落で記載されるR、R、R、R、R、R、R、R、W、X、Y、およびZは、式2に対して定義され、シクロデキストリン、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルに対しては定義されない。
【0067】
一実施形態において、Rが水素原子を示す時、Rはアミノ基を示し、RおよびRはフッ素原子を示し、Rは水素原子を示し、Xは窒素原子を示し、Yは−CR=(ここで、Rはフッ素原子を示す)を示し、Zは−CH=を示し、ならびにWは−CR=(ここで、Rは塩素原子を示す)であり、その結果、Rは3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル基ではない。
【0068】
他の実施形態において、本発明は組成物または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルに関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、以下の化合物(A)に相当する。
【化6】


(A)

他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3、5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である。さらに他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図1に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である。
【0069】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である。さらに他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図2に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である。
【0070】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、溶解性において測定可能な改善を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、水中のキノロンカルボン酸誘導体のみと比較して、溶解性において測定可能な改善を有する。
【0071】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約1mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約2mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約3mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約5mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約10mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約15mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約20mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約25mg/mLの溶解性を有する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、前記キノロンカルボン酸誘導体は、25℃で、少なくとも約30mg/mLの溶解性を有する。
【0072】
他の実施形態において、本発明は、安定性が改善された組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、以下のパラメータの少なくとも1つによって測定した場合、安定性が改善された組成物に関する:
(a)この組成物は、その初期pHの約10%以内にpHを維持する、または
(b)この組成物は、キノロンカルボン酸誘導体の初期量の少なくとも約90%、もしくは少なくとも約95%を保持する、または
(c)この組成物は、米国薬局方収載の<788>注射剤における微粒子物質(Particulate Matter in Injections)に記載される標準的な光遮断型微粒子試験(light obscuration particle test)を用いて測定した場合、1単位容器あたり、この組成物は10マイクロメートル以上の6000個以下の微粒子を有し、かつ25マイクロメートル以上の600個以下の微粒子を有するような沈殿を形成しない。
【0073】
本発明の医薬組成物は、患者への投与を可能にするのに十分な化学的および物理的安定性を有し、かつ有用な期間にわたって、有効な医薬品の効力を維持する。一実施形態において、この医薬組成物において、溶液中にこの有効な医薬品を保持することによって、この有効な医薬品またはこの医薬組成物の他の成分の化学的分解を制限することによって、またはこの組成物の物理的分解を制限することによって、キノロンカルボン酸誘導体の活性成分の有効性を維持する。一実施形態において、この組成物はこの薬物の溶解性、この薬物の有効性を保持するか、またはこの薬物もしくはこの組成物の成分を、化学的もしくは物理的分解から保護する。別の実施形態において、この組成物はこの最初の製剤の薬効、またはこの最初の製剤と実質的に似た有効性を保持する。
【0074】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかを、この組成物が室温で保管できた少なくとも30日後に決定する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかを、この組成物が室温で保管できた少なくとも60日後に決定する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかを、この組成物が室温で保管できた少なくとも90日後に決定する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかを、この組成物が室温で保管できた少なくとも180日後に決定する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかを、この組成物が室温で保管できた少なくとも1年後に決定する。
【0075】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物は、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記静脈耐性を、ラットの尾注射モデルにおいて測定する。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。
【0076】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも連続2日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも連続3日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも連続4日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記組成物を、少なくとも連続5日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる。
【0077】
他の実施形態において、本発明は組成物に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸誘導体は、水中のキノロンカルボン酸誘導体と比較して、溶解性において測定可能な改善を有し、および/またはこの組成物は安定性が改善され、および/またはこの組成物は、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす。
【0078】
他の実施形態において、本発明は、(a)デラフロキサシンメグルミン約100mg〜約500mg、および(b)CAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン約1000mg〜約5000mgを含む医薬組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、(a)デラフロキサシンメグルミン約300mg、および(b)CAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン約3000mgを含む医薬組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、混合前に、(a)デラフロキサシンメグルミン約300mg、および(b)CAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン約3000mgを含む医薬組成物に関する。
【0079】
他の実施形態において、本発明は、(a)デラフロキサシンメグルミン約300mg、(b)CAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン約3000mg、および(c)水を含む水性の医薬組成物に関し、ここで、前記組成物は、約25℃において、約15mLの容量およびpH約9を有する。他の実施形態において、本発明は、凍結乾燥物凍結乾燥物の形態の組成物に関する。他の実施形態において、本発明は、マンニトールをさらに含む組成物に関する。
【0080】
他の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の組成物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法に関する。他の実施形態において、本発明は、本明細書に記載の組成物を、それらを必要とする患者に、注入における不快さを軽減すると同時に、投与することを含む、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法に関する。
【0081】
1.定義
ここで使用されるとき、「患者」という用語は、ヒトまたは動物(動物の場合、より一般的には哺乳類)対象を意味する。一般に、患者が、本明細書記載の組成物または方法を必要としている対象である。「必要としている」は、患者が、感染、例えば、微生物感染していると診断されたまたは診断されること、または傷害、内科的治療もしくは外科的治療、または微生物曝露が原因で、患者が感染するリスクがあることを意味し得る。かかる感染は、例えば、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後の肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的治療または侵襲性内科的治療、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、結核、キノロン耐性グラム陽性感染、シプロフロキサシン耐性メチシリン耐性(MRSA)感染、気管支炎、合併性の皮膚および皮膚構造感染(cSSSI)、非合併性皮膚および皮膚構造感染(uSSSI)、市中気道感染、ならびに多剤耐性(MDR)グラム陰性感染が原因であり得る。
【0082】
ここで使用されるとき、「予防する」という用語は、例えば、患者が感染しやすいまたは感染するリスクがある時に、例えば、完全にまたはほぼ完全に感染が生じることを阻止することを意味する。
【0083】
ここで使用されるとき、「リスクを軽減する」という用語は、例えば、患者が感染しやすいまたは感染するリスクがある場合に、例えば、感染が生じる見込みまたは可能性を低下させることを意味する。
【0084】
ここで使用されるとき、「治療する」という用語は、例えば、感染をしている患者における感染を治療する、感染を阻害する、感染の進行を阻む、感染の徴候もしくは影響を緩和する、感染を寛解する、または感染の軽減を引き起こすことを意味する。
【0085】
「予防する」、「リスクを軽減する」、および「治療する」とは、本発明の範囲を限定することを意図せず、これらの用語の中で重複があり得ることを認識すべきである。
【0086】
ここで使用されるとき、「有効量」という用語は、受容患者に与えられる、生物活性、例えば、抗感染活性、例えば、抗菌活性を引き起こすのに十分な、医薬的に有効な化合物、すなわち有効な薬物、例えば、キノロンカルボン酸抗菌剤または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルの量を意味する。
【0087】
「予防的有効量」という用語は、受容患者に与えられる、微生物感染を予防するまたは微生物感染のリスクを軽減するのに十分な、医薬的活性化合物、すなわち有効な薬物、例えば、キノロンカルボン酸抗菌剤の量を意味する。
【0088】
ここで使用されるとき、「医薬的に許容可能」という語句は、過度の毒性、炎症、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに、妥当な利益/リスク比に相応の、正常な医学的判断の範囲内の、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適した化合物、物質、組成物、担体、ならびに/または投与量形態をいう。
【0089】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容可能な塩」という語句は、本開示の化合物の誘導体をいい、ここで、親化合物がその酸または塩基の塩を生成することによって修飾される。医薬的に許容可能な塩の例として、アミン、アルカリなどの塩基性残基の鉱物塩もしくは有機酸塩、またはカルボン酸などの酸性残基の有機塩が挙げられるが、それらに限定されない。医薬的に許容可能な塩には、例えば、毒性のない無機酸または有機酸から形成された親化合物の通常の毒性のない塩、または第4級アンモニウム塩が含まれる。例えば、かかる通常の毒性のない塩には、2−アセトキシ安息香酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリルアルサニル酸、ヘキシルレゾルシン酸、ハイドラバム酸、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフチル酸、窒素酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、サブ酢酸、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫黄酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および普通に存在するアミン酸、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される無機酸および有機酸に由来する塩が含まれるが、それらに限定されない。
【0090】
本発明の医薬的に許容可能な塩を、従来の化学的方法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、かかる塩を、これらの化合物の遊離酸型もしくは遊離塩基型と、水もしくは有機溶媒中の化学量論量の適切な塩基もしくは酸、またはこの2つの混合物とを反応させることにより調製することができる。一実施形態において、非水媒体、例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルは、本発明の化合物の塩を形成するのに有用である。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciencesの18版で見つけられる(Mack Publishing Company,1990)。例えば、塩は、脂肪族アミンを含む、ヒドロキシアミンを含む、およびイミンを含む本発明の化合物の塩酸塩および酢酸塩を含み得るが、それらに限定されない。
【0091】
さらに、本発明の化合物、例えば、化合物の塩は、水和型もしくは非水和(無水)型のいずれかで、または他の溶媒分子を有する溶媒和物として存在し得る。水和物の限定されない例には、一水和物、二水和物などが含まれる。溶媒和物の限定されない例には、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが含まれる。
【0092】
ここで使用されるとき、「医薬的に許容可能なエステル」は、本開示の化合物の誘導体をいい、ここで、この親化合物はカルボン酸のアルコールエステルまたはアルコールのカルボン酸エステルによって修飾される。本発明の化合物も、エステル、例えば、医薬的に許容可能なエステルとして調製することができる。例えば、化合物のカルボン酸官能基を、その対応するエステル、例えば、メチル、エチル、または他のエステルに変換することができる。化合物のアルコール基も、その対応するエステル、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、または他のエステルに変換することができる。
【0093】
ここで使用されるとき、「単位用量」という用語は、その全体が投与されることを意図する医薬組成物の単一用量を意味する。単位用量は、有効な薬物の事前測定した量を投与するのに都合のよい形態である。
【0094】
本明細書において、単数形は、本文が特に明確に指示しない限り、複数形も含む。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。
【0095】
本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび割合は、特に示されない限り、重量による。
【0096】
本明細書全体において、組成物が特定の成分を有する、含む(including)または含む(comprising)ように記載される場合、組成物も、列挙された成分から本質的になる、または列挙された成分からなることを意図する。同様に、方法または工程が特定の工程のステップを有する、含む(「including」)、または含む(「comprising」)ように記載される場合、これらの工程も列挙された処理ステップから本質的になる、または列挙された処理ステップからなる。さらに、ステップの順番または特定の措置を行う順番は、本発明が依然として作動可能である限り重要ではない。さらに、2つ以上のステップまたは措置を、同時に行うことができる。
【0097】
2.本発明の組成物
本発明の組成物は、以下の成分の全てまたはいくつかを含む。これらの組成物を、これらの成分の混合前または混合後のいずれかに定義することができる。
【0098】
適切な成分は、例えば、Eds.R.C.Rowe,et al.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,Fifth Edition, Pharmaceutical Press(2006);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.(Mack Publishing Company,1990);およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,Baltimore,MD:Lippincott Williams & Wilkins,2000に記載されており、これらは参照により本明細書にその全体が組み込まれる。機能的なカテゴリーが、多くのこれらの担体成分を提供することができるとしても、成分は2つ以上の機能的カテゴリーに属することができ、特定の成分のレベルおよび他の成分の存在が、成分の機能的特性をもたらことができることを当業者は認識するので、かかる機能的カテゴリーは、この成分の機能または範囲を限定するようには意図されない。
【0099】
a.キノロンカルボン酸誘導体
本発明の組成物は、抗菌性化合物として、すなわち、本発明の組成物の有効な医薬成分、またはAPIとして、(とりわけ、ピリドンカルボン酸誘導体(pyridonecarboxylic acid derivative)またはピリドンカルボン酸誘導体(pyridone carboxylic acid derivative)として知られる)キノロンカルボン酸誘導体、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルを含む。本発明は、本発明の化合物の任意の1つを合成する方法をさらに提供する。本発明は、本発明の1つまたは複数の化合物および医薬的に許容可能な担体の有効量を含む医薬組成物も提供する。本発明は、これらの化合物、担体、および医薬組成物を作製する方法をさらに提供する。
【0100】
本明細書に有用なキノロンカルボン酸誘導体は、それらの合成、製剤化、および使用を含めて、2000年12月5日に発行されたYazakiらの米国特許第6,156,903号ならびに2001年11月13日および2001年12月11日のその訂正証明書;2000年10月17日に発行されたYazakiらの米国特許第6,133,284号;1999年12月7日に発行されたYazakiらの米国特許第5,998,436号ならびに2001年1月23日、2001年10月30日、および2002年12月17日のその訂正証明書;2006年10月19日に公開されたAbbott研究所の国際公開第2006/110815号;2006年4月20日に公開されたAbbott研究所の国際公開第2006/042034号;2006年2月9日に公開されたAbbott研究所の国際公開第2006/015194号;2001年5月17日に公開された湧永製薬(株)の国際公開第01/34595号;1997年3月27日に公開された湧永製薬(株)の国際公開第97/11068号に記載されており、これらの各々の内容は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0101】
本発明の方法、組成物、および使用に有用なキノロンカルボン酸誘導体、または医薬的に許容可能なその塩、エステルもしくはプロドラッグは、式2に相当する化合物を含む。
【化7】


式2

式中、式2に関して、Rは水素原子またはカルボキシル保護基を示し;
は、水酸基、低級アルコキシ基、または置換もしくは非置換アミノ基を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
は水素原子またはハロゲン原子を示し;
はハロゲン原子または任意で置換された飽和環状アミノ基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または任意で保護されたアミノ基を示し;
X、YおよびZは、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ窒素原子、−CH=または−CR=(ここで、Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を示す)を示し;
ただし、X、YおよびZの少なくとも1つは窒素原子を示し、かつWは窒素原子または−CR=(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示す)を示す。
【0102】
一態様において、Rが水素原子を示す時、Rはアミノ基を示し、RおよびRはフッ素原子を示し、Rは水素原子を示し、Xは窒素原子を示し、Yは−CR=(ここで、Rはフッ素原子を示す)を示し、Zは−CH=を示し、ならびにWは−CR=(ここで、Rは塩素原子を示す)であり、その結果、Rは3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル基ではない。
【0103】
がカルボキシル保護基である時、Rは、対応する遊離カルボキシル基を生成するために、インビボなどで比較的容易に開裂する任意のカルボン酸エステル残基であってもよい。カルボキシル保護基の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびへプチル基などの低級アルキル基;ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、およびヘプテニル基などの低級アルケニル基;ベンジル基などのアラルキル基;およびフェニル基およびナフチル基などのアリール基などの穏やかな条件下で、加水分解、触媒による還元、および他の処理によって除去され得るカルボキシル保護基、ならびにアセトキシメチル基およびピバロイルオキシメチル基などの低級アルカノイルオキシ低級アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル基および1−エトキシカルボニルオキシエチル基などの低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基;メトキシメチル基などの低級アルコキシメチル基;フタリジルなどのラクトニル基;1−ジメチルアミノエチル基などのジ低級アルキルアミノ低級アルキル基;および(5−メチル−2−オキソ−1、3−ジオキソール−4−イル)メチル基などの体内で容易に除去され得るカルボキシル保護基が挙げられる。
【0104】
一実施形態において、式2のRはHである。
【0105】
一実施形態において、式2のRは−NHである。
【0106】
一実施形態において、式2のRはハロゲンである。
【0107】
一実施形態において、式2のRはフッ素である。
【0108】
一実施形態において、式2のRはハロゲンである。
【0109】
一実施形態において、式2のRはフッ素である。
【0110】
一実施形態において、式2のRは置換された環状アミノ基である。
【0111】
一実施形態において、式2のRは次式である:
【化8】

【0112】
一実施形態において、式2のRは水素である。
【0113】
一実施形態において、式2のXは窒素原子である。
【0114】
一実施形態において、式2のYは=CR−である。
【0115】
一実施形態において、式2のRはハロゲンである。
【0116】
一実施形態において、式2のRはフッ素である。
【0117】
一実施形態において、式2のZは=CH−である。
【0118】
一実施形態において、式2のWは=CR−である。
【0119】
一実施形態において、式2のRはハロゲンである。
【0120】
別の実施形態において、式2のRは塩素である。
【0121】
キノロンカルボン酸誘導体、例えば、式2の化学構造に関して、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、A、J、J、J、W、X、Y、Z、e、f、およびgを、便宜上、本明細書で定義する。
【0122】
他の実施形態において、本発明は、式2の化合物に関する方法、組成物、または使用に関し、式中、Wは−CR=であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、または低級アルキル基を示す。
【0123】
他の実施形態において、本発明は、式2のキノロンカルボン酸誘導体に関する方法、組成物、または使用に関し、式中、Rは、次式(a)もしくは(b)によって示される基である。
【化9】


式(a)

【化10】


式(b)

式中、Aは、酸素原子、硫黄原子またはNR(ここで、Rは水素原子または低級アルキル基を示す)を示し、eは3〜5の数を示し、fは1〜3の数を示し、gは0〜2の数を示し、J、JおよびJは、互いに同じであるかまたは異なってもよく、水素原子、水酸基、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、またはハロゲン原子を示す。
【0124】
他の実施形態において、本発明は、式2のキノロンカルボン酸誘導体に関する方法、組成物、または使用に関し、式中、Rは、式(a)によって示される基である。
【化11】


式(a)

【0125】
他の実施形態において、本発明は、キノロンカルボン酸誘導体1の構造のキノロンカルボン酸誘導体に関する方法、組成物、または使用に関し、ここで、式(a)のeは、3または4である。
【化12】


式(a)

【0126】
他の実施形態において、本発明は、キノロンカルボン酸誘導体1の構造のキノロンカルボン酸誘導体に関する方法、組成物、または使用に関し、
式中、Rは水素原子であり;
は、アミノ基、低級アルキルアミノ基、またはジ低級アルキルアミノ基であり;
はハロゲン原子であり;
はハロゲン原子であり;
は水素原子であり;
Xは窒素原子であり;
YおよびZは、−CH=または−CR=(ここで、Rは低級アルキル基またはハロゲン原子である)であり;ならびに
Wは−CR=(ここで、Rは、ハロゲン原子または低級アルキル基である)である。
【0127】
他の実施形態において、本発明は、キノロンカルボン酸誘導体1の構造のキノロンカルボン酸誘導体に関する方法、組成物、または使用に関し、
式中、Rはアミノ基であり;
はフッ素原子であり;
はフッ素原子であり;
Yは−CF=であり;
Zは−CH=であり;
Wは−CR=(ここで、Rは、塩素原子、臭素原子またはメチル基である)であり;ならびに、
式(a)のeは3である。
【化13】


式(a)

【0128】
キノロンカルボン酸誘導体を記載するために使用する変数は、シクロデキストリンを定義するために使用する変数とは異なることを意図することに留意すべきである。
【0129】
他の実施形態において、本発明は方法、組成物、または使用に関し、ここで、前記キノロンカルボン酸または医薬的に許容可能なその塩、エステル、もしくはプロドラッグは化合物(A)に相当する:
【化14】


式(A)

この前述のキノロンカルボン酸誘導体、化合物(A)は、USAN、デラフロキサシン、公的に開示されたコード名RX−3341、ABT−492及びWQ 3034、ならびに、とりわけ、化学名1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸または1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸としても知られる。この化合物のカルボン酸型は、CAS登録番号189279−58−1に相当する。さらに、上で引用された国際公開第2006/042034号は、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)としても知られるこの化合物の1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩、およびD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)としても知られるこの化合物の1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩の三水和物を開示する。1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩および1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩三水和物は、それぞれCAS登録番号352458−37−8および883105−02−0に相当する。1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールは、CAS登録番号6284−40−8に相当する。1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールは、メグルミンという名前でも知られる。デラフロキサシンのメグルミン塩であるD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩は、デラフロキサシンメグルミンとしても知られる。デラフロキサシンのメグルミン塩の三水和物であるD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物は、デラフロキサシンメグルミン三水和物としても知られる。国際公開第2006/042034号は、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図1に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールの結晶型(国際公開第2006/042034号参照)およびCu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図2に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩三水和物の結晶型(国際公開第2006/042034号参照、これは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる)も開示する。これらの1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール塩は、本明細書において有用である。A.R.Haightらの“Synthesis of the Quinolone ABT−492:Crystallizations for Optimal Processing”,Organic Process Research & Development(2006),10(4),751−756も参照されたい、これは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0130】
さらに、前述の化合物デラフロキサシンの他の医薬的に許容可能な塩は、カリウム塩およびトリス塩を含む。これは、IUPAC名2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオールとして知られるトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの一般的な略語である。
【0131】
キノロンカルボン酸抗菌剤は、この組成物の重量で、約0.01%〜約50%を構成する。さらなる実施形態において、キノロンカルボン酸抗菌剤は、この組成物の重量で、約0.25%〜約20%を構成する。その上さらなる実施形態において、キノロンカルボン酸抗菌剤は、この組成物の重量で、約0.5%〜約10%を構成する。その上さらなる実施形態において、キノロンカルボン酸抗菌剤は、この組成物の重量で、約1%〜約5%を構成する。キノロンカルボン酸抗菌剤の重量パーセンテージを、その親化合物の活性重量に基づいて決定する。言い換えると、当業者に周知の適切な調節および計算を用意に行い、活性重量に基づいて決定することができる。限定されない例として、デラフロキサシンの親の遊離カルボン酸、すなわち1−(6−アミノ−3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸が用いられる場合、その重量は調節されなければならない。なぜなら、ナトリウム塩などの塩が用いられる場合、送達される活性化合物の量が同じでも、この化合物の分子量は約21.9倍増加するからである。
【0132】
有効な医薬品の用量および医薬組成物の投与形態は、目的とする患者または対象および標的化される微生物、例えば、標的細菌性生物によって決まる。
【0133】
さらに以下に記載するように、有効な医薬品を、通常マイクロメートル範囲の小さな均一の粒径に製粉すること、すなわち、微粒子化は、大抵都合がよい。製粉を、当業者に周知の標準的な技術を用いて行なうことができる。一実施形態において、有効な医薬品の有用な粒径範囲は、一般に、約0.01マイクロメートル〜約100マイクロメートルである。別の実施形態において、有効な医薬品の有用な粒径範囲は、約0.1マイクロメートル〜約20マイクロメートルである。別の実施形態において、有効な医薬品の有用な粒径範囲は、約0.5〜約5マイクロメートルである。
【0134】
b.シクロデキストリン
本発明の組成物はシクロデキストリン(時々、“CD”として短縮される)を含む。シクロデキストリンは、5つ以上のα−D−グルコピラノシド単位、すなわち、グルコース単位でできている環状のオリゴ糖である。シクロデキストリンを、酵素変換手段により、デンプンから産生する。6グルコース単位を有するシクロデキストリンは、α−シクロデキストリンと(「α−シクロデキストリン」とも)称される。7グルコース単位を有するシクロデキストリンは、β−シクロデキストリンと(「β−シクロデキストリン」とも)称される。8グルコース単位を有するシクロデキストリンは、γシクロデキストリンと(「γ−シクロデキストリン」とも)称される。シクロデキストリンは、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,Edited by A.H.Kibbe,pages 165−168,American Pharmaceutical Association and Pharmaceutical Press(2000)にさらに記載されており、これは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0135】
環状のオリゴ糖であるシクロデキストリンの医薬製剤における使用について報告された。医薬製品開発の分野における論文は、薬物の溶解性および安定性に関する、および静脈投与製剤の耐性にも関する様々な製剤および技術についても報告した。例えば、2002年6月18日に発行されたMullerらの米国特許第6,407,079 B1号;1999年2月23日に発行されたStellaらの米国特許第5,874,418号;1994年12月27日に発行されたStellaらの米国特許第5,376,645号;1992年7月28日に発行されたStellaらの米国特許第5,134,127号;および1992年1月28日に発行されたYunkerらの米国特許第5,084,276号を参照されたい、これらの各々は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【0136】
しかし、シクロデキストリンは、静脈内投与の医薬組成物を製剤化するための賦形剤として知られるが、自動的に、全てのシクロデキストリンが、所望の製剤の特徴および利点をもたらすのに使用可能となるわけではない。文献に記載されていることに基づいて、特定の薬物製品と共に使用するシクロデキストリンを推測的に選択し、所望の最終結果を得ることはできない。最終的な薬品製剤は、溶解性、安定性、および耐性の複雑な相互作用の結果である。
【0137】
シクロデキストリンは、この組成物の重量で、約0.01%〜約50%を構成する。さらなる実施形態において、キノロンカルボン酸抗菌剤は、この組成物の重量で、約0.25%〜約20%を構成する。
【0138】
一実施形態において、本発明の組成物は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを含む。一実施形態において、本発明の組成物は、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択されるシクロデキストリンを含む。
【0139】
本明細書に有用なβ−シクロデキストリンは、β−シクロデキストリンエーテル、β−シクロデキストリンエステル、およびそれらの混合物を含む。β−シクロデキストリンは、2002年6月18日に発行されたMullerらの米国特許第6,407,079号にさらに記載されており、これは、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。この米国特許第6,407,079号は、次式(3)に相当するこれらのβ−シクロデキストリンについて記載している:
(β−シクロデキストリン)−OR
式(3)
式中、R残基は水素またはヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよく、β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。一実施形態において、R残基はヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよい。別の実施形態において、β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。さらに別の実施形態において、R残基はヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよく、β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。
【0140】
一実施形態において、式3の部分的にエーテル化されたβ−シクロデキストリンを使用し、式中、いくつかのR残基はヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、またはジヒドロキシプロピル基である。任意で、R残基の一部は、例えば、メチルまたはエチル基であってもよい。一実施形態において、ドイツ特許第31 18 218号由来であると知られる、β−シクロデキストリン分子中に7〜14個のメチル基を有する、部分的にメチル化されたβ−シクロデキストリンエーテルは、本発明下では使用しない。一実施形態において、アルキル基(メチル、エチル)のみを含むβ−シクロデキストリンの部分的なエーテルは、(以下に定義される)0.05〜0.2という置換の程度が低い場合、本発明に合致して適し得る。
【0141】
β−シクロデキストリンは、7個の無水グルコース単位からなる環構造を有する化合物であり;これはシクロヘプタアミロースとも称される。7グルコース環の各々は、2−、3−、および6−位に、エーテル化され得る3つの水酸基を含む。本発明に従って使用される部分的にエーテル化されたβ−シクロデキストリン誘導体において、これらの水酸基の一部のみが、ヒドロキシアルキル基および、さらに任意で、アルキル基でエーテル化される。対応するアルキレンオキシドとの反応により行うことができるヒドロキシアルキル基でエーテル化する時、米国特許第3,459,731号のコラム4と比較して、置換の程度は、モル置換(MS)として、すわなち、無水グルコース単位あたりのアルキレンオキシドのモルで表される。本発明に従って使用されるββシクロデキストリンのヒドロキシアルキルエーテルにおいて、モル置換は0.05〜10である。別の実施形態において、モル置換は0.2〜2である。別の実施形態において、モル置換は約0.25〜約1である。
【0142】
アルキル基のエーテル化は、上記のように、完全置換に対して3となる、グルコース単位あたりの置換の程度(DS)として直接表され得る。部分的にエーテル化されたββシクロデキストリンが本発明の中で使用され、これは、ヒドロキシアルキル基に加えて、置換の程度が最高で0.05〜2.0である、アルキル基、特にメチル基またはエチル基も含む。一実施形態において、アルキル基の置換の程度は、0.2〜1.5である。一実施形態において、アルキル基の置換の程度は、約0.5〜約1.2である。
【0143】
一実施形態において、薬物のβ−シクロデキストリンエーテルに対するモル比は、約1:6〜4:1、特に約1:2 〜1:1である。一実施形態において、複合体形成剤が過剰のモル濃度で使用される。
【0144】
有用な複合体形成剤は、特にヒドロキシエチルエーテル、ヒドロキシプロピルエーテルおよびジヒドロキシプロピルエーテル、それらの対応する混合エーテル、ならびにメチル基またはエチル基とさらに混合されたエーテル、例えば、β−シクロデキストリンのメチル−ヒドロキシエチルエーテル、メチル−ヒドロキシプロピルエーテル、エチル−ヒドロキシエチルエーテルおよびエチル−ヒドロキシプロピルエーテルである。
【0145】
β−シクロデキストリンのヒドロキシアルキルエーテルの調製を、米国特許第3,459,731号の方法を用いて行ってもよい。β−シクロデキストリンエーテルの適切な調製法は、J.Sziejtli et al.,Starke 32,165(1980)及びA.P.Croft and R.A.Bartsch,Tetrahedron 39,1417(1983)の中でさらに見つけられ得る。β−シクロデキストリンの混合エーテルを、アルカリ金属水酸化物、水および任意で少なくとも1つの有機溶媒(例えば、ジメトキシエタンまたはイソプロパノール)を含む塩基性液体反応媒体中のβ−シクロデキストリンと、少なくとも2つの異なるヒドロキシアルキル化および任意でアルキル化するエーテル化剤(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、塩化メチルまたは塩化エチル)とを反応させることによって調製することができる。
【0146】
本明細書で有用なβ−シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。
【0147】
本明細書で有用なヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンの例として、7つのグルコース単位を有し、および無水グルコース単位あたりの分子置換が0.86〜1.14であるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのCavitron(登録商標)W7 HP7 Pharma、CAS登録番号128446−35−5、ならびに7つのグルコース単位を有し、および無水グルコース単位あたりの分子置換が0.59〜0.73であるヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンのCavitron(登録商標)W7 HP5 Pharmaが挙げられる。
【0148】
スルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体
本明細書で有用なスルホアルキルエーテルシクロデキストリンは、1999年2月23日に発行されたStellaらの米国特許第5,874,418号;1994年12月27日に発行されたStellaらの米国特許第5,376,645号および2008年5月19日の;その訂正証明書;1992年7月28日に発行されたStellaらの米国特許第5,134,127号(これらの各々は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる)にさらに記載されるスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体を含む。これらの特許は、以下のようにスルホアルキルエーテルシクロデキストリンについて記載している。
【0149】
本発明は、医薬的使用に適したシクロデキストリン誘導体も提供する。これらの誘導体は、非経口的なおよび他の医薬製剤に有用な包接錯体を提供するために、薬物を有する包接剤としての使用に適切である。シクロデキストリン誘導体を生成および単離する手順も提供される。
【0150】
本発明のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体は(C2−6アルキレン)−SO基で機能させられ、したがって、荷電種である。これらの化合物が、非常に低いレベルの毒性を有することが発見された事実は、シクロデキストリン誘導体が、無毒性を維持するために電気的中性を保持しなければならないという従来技術(Pitha,“Amorphous Water−Soluble” “Third International Symposium on Recent Advances in Drug Delivery Systems,Salt Lake City,Utah,Feb.23−27,1987参照)の信念を考慮すると、驚くべきことである。
【0151】
本発明のシクロデキストリン誘導体の高い水溶解度、および結果として生じるそれらの低い腎毒性は、シクロデキストリン誘導体の高いレベルの溶解性を維持するために、誘導体の混合物が使用されるべきであるという米国特許第4,727,064号の開示を考慮すると、さらに驚くべきことである。
【0152】
本発明のスルホアルキルシクロデキストリン誘導体が示す水溶解度は、スルホン酸分子の溶媒和を通じて得られるように思われる。したがって、本発明のシクロデキストリン誘導体の不均一な混合物は、観察される溶媒和の増加が生じるのに必要とされない。スルホアルキルエーテル誘導体の混合物を、本発明に従って使用することができるが、かかる混合物は溶解性の増加に必要とされない。
【0153】
一実施形態において、本発明のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体は、すぐ下に示す式(1)によって代表される構造を有する:
【化15】


式1

式中、nは4、5または6であり;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、OまたはO−(C2−6アルキレン)−SO基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、O−(C2−6アルキレン)−SO基、例えば、O−(CH−SO基であり、式中、mは2〜6、例えば、2〜4であり(例えば、OCHCHCHSOまたはOCHCHCHCHSO);ならびに
、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、例えば、H、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属(例えば、Ca+2、Mg+2)、アンモニウムイオンならびにアミンカチオン、例えば、C1−6アルキルアミン、ピペリジン、ピラジン、C1−6アルカノールアミンおよびC4−8シクロアルカノールアミンのカチオンを含む医薬的に許容可能なカチオンである。
【0154】
別の実施形態(2)において:
はO−(C2−6アルキレン)−SO基、例えば、O−(CH−SO基、(例えば、OCHCHCHSOまたはOCHCHCHCHSO)であり;
〜RはOであり;ならびに
〜Sは上記の式1に対して定義したものである。
【0155】
別の実施形態(3)において:
、RおよびRは、各々独立して、O−(C2−6アルキレン)−SO基、例えば、O−(CH−SO基、(例えば、OCHCHCHSOまたはOCHCHCHCHSO)であり;
〜RはOであり;ならびに
〜Sは上記の式1に対して定義したものである。
【0156】
別の実施形態(4)において:
〜Rは、上記の実施形態(2)または(3)で定義したものであり;
4、およびRの少なくとも1つは、O−C2−6−アルキレン−SO基、例えば、O−(CHSO基(例えば、OCHCHCHSOまたはOCHCHCHCHSO)であり;
、RおよびRはOであり;ならびに
〜Sは上記の式1に対して定義したものである。
【0157】
別の実施形態(6)において:
、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、O−(C2−6−アルキレン)−SO基、例えば、O−(CH−SO基(例えば、OCHCHCHSOまたはOCHCHCHCHSO)であり;
、RおよびRはOであり;ならびに
〜Sは上記の式1に対して定義したものである。
【0158】
本明細書の中の(例えば、O−(C2−6−アルキレン)SO基またはアルキルアミンにおける)「アルキレン」および「アルキル」という用語は、それぞれ、直鎖および分枝状の両方の、飽和および不飽和の(すなわち、1つの2重結合を含む)二価のアルキレン基ならびに一価のアルキル基を含む。同様に、本明細書の中の「アルカノール」という用語は、直鎖および分枝状の両方の、アルカノール基の飽和および不飽和アルキル成分を含み、その中で、水酸基は、このアルキル部分のどの位置に位置してもよい。「シクロアルカノール」という用語は、(例えば、メチルまたはエチルによって)置換されていないまたは置換された環状アルコールを含む。
【0159】
一実施形態において、本発明は、式(1)で提示される構造を有するシクロデキストリン誘導体の混合物を含む組成物を提供し、この組成物は、全体的に、シクロデキストリン1分子あたり平均で少なくとも1つおよび最高で3n+6のアルキルスルホン酸部分を含む。本発明は、本質的に、シクロデキストリン誘導体の唯一の単一型を含む組成物も提供する。
【0160】
一実施形態において、本発明のシクロデキストリン誘導体を、第1級水酸基の少なくとも1つの位置で置換するか(すなわち、R〜Rの少なくとも1つは置換基である)、または第1級水酸基および3位の水酸基の両方の位置で置換する(すなわち、R〜Rの少なくとも1つおよびR、RおよびRの少なくとも1つは置換基である)。別の実施形態において、2位の水酸基における置換は、理論的に可能であるが、本発明の製品において実質的であるようには思えない。本発明のシクロデキストリン誘導体を、(下で議論されるように、)精製組成物として、例えば、少なくとも95重量%の(1つまたは複数の)シクロデキストリン誘導体を含む組成物として得、置換は、そのシクロデキストリン分子の少なくともの第1級水酸基(すなわち、式(1)のR、RまたはR、300MHz H NMRによって測定される)において起こる。一実施形態において、少なくとも98重量%の(1つまたは複数の)シクロデキストリン誘導体を含む精製組成物を得ることができる。
【0161】
一実施形態において、これは、シクロデキストリンとスルホン反応物との反応の反応製品のみを得ることを報告する米国特許第3,426,011号の開示と対比されるべきである。この米国特許第3,426,011号の中の反応製品は、相当の量の不飽和シクロデキストリン出発原料を含む。
【0162】
本発明の組成物の一実施形態において、未反応のシクロデキストリンを実質的に除去し、残りの不純物(すわなち、組成物の5重量%以下)は、シクロデキストリン誘導体を含む組成物の性能に対して重要ではない。
【0163】
シクロデキストリンを記載するために使用される変数は、キノロンカルボン酸誘導体を定義するために使用される変数と区別されることを意図することに留意すべきである。
【0164】
より高度に置換された本発明のアルキルスルホン酸シクロデキストリン誘導体が、溶解性の顕著な増加の特徴、および低い毒性に加えて、膜破壊を引き起こさない有利な特性を有することが発見された。赤血球細胞の溶血試験において、より高度に置換されたシクロデキストリン誘導体は、ごくわずかの膜破壊を示した。一置換のシクロデキストリン誘導体は、ヒドロキシプロピル誘導体とほとんど同じ量の膜破壊を引き起こした。
【0165】
一実施形態において、改善された特徴は、例えば、非経口投与によって患者に投与される組成物に対して、5%以下、例えば、2%未満の未反応のβ−シクロデキストリンを含む本発明の精製組成物によって達成される。一実施形態において、若干多い量の未反応のβ−シクロデキストリンを含む組成物は、経口投与に有用である。
【0166】
経口製剤で使用する場合、スルホアルキルエーテルシクロデキストリン調製における残りのβ−シクロデキストリンの許容度は、より広範になり得る。β−シクロデキストリンの経口吸収を、(経口吸収を仮にも行う場合)時々、制限することができ、排泄物の中へのβ−シクロデキストリンの除去が、いかなる腎臓毒性をも防ぐ。しかし、経口製剤において許容されるβ−シクロデキストリンのレベルは、なお、この物質の他の特徴、特に、その固有の水溶解度によって決まる。
【0167】
一実施形態において、たとえ、未反応β−シクロデキストリンが最高で約50%の量で含まれていても、本発明のスルホアルキルエーテルシクロデキストリンを、経口製剤のために使用してもよい。一実施形態において、この量を40%未満に限定する。一実施形態において、この量を約25%未満に限定する。
【0168】
シクロデキストリン(CD)誘導体の調製
記載したシクロデキストリン誘導体を、一般に、適切な温度、例えば、70℃〜80℃で、塩基性水溶液にこのシクロデキストリンを溶解することによって調製してもよい。例えば、本明細書の実施形態のシクロデキストリン誘導体を調製するために、存在する第1級CD水酸基のモル数に対応する適切なアルキルスルホン量を、不均一相を最大限に確実に接触させるために激しく撹拌しながら加える。
【0169】
本明細書の実施形態のシクロデキストリン誘導体を調製するために、使用するCDのモル数に対応するアルキルスルホンのモル量を使用する。当業者が容易に決定することができるように、本明細書の実施形態のシクロデキストリン誘導体を調製するために、上記の量の間のアルキルスルホン量を使用する。本発明によって提供する他のシクロデキストリン誘導体を、変更すべきところは変更して調製する。
【0170】
アルキルスルホンが無くなったことを示す単相となる結果まで、これらの混合物は反応させる。この反応混合物を当量の水で希釈し、塩酸などの酸で中和する。その後、不純物を除去するために、この溶液を透析し、限外濾過により、この溶液を濃縮する。
【0171】
その後、未反応のシクロデキストリンを除去するために、濃縮した溶液をイオン交換クロマトグラフィにかけ、その後、凍結乾燥し、所望の製品を得る。
【0172】
本発明で使用するCDは、周知の方法によって、例えば、シクロデキストリン−グルカノトランスフェラーゼ(CGTase,E.C.,2.4.1.19.)をデンプンに作用させることによって得られる任意のCDであってもよい。したがって、本明細書のCDは、6つのグルコース単位が、α−1,4結合を通じて共に結合しているα−CD、7つのグルコース単位が共に結合しているβ−CD、もしくは8つのグルコース単位が共に結合しているγ−CD、またはそれらの混合物を意味する。一実施形態において、β−CDは、広範な有用性を有する部分的に誘導体化された製品の産生に有用である。
【0173】
本明細書で留意され、求められるシクロデキストリン誘導体によって決まるので、最適量は幾分か反応物質濃度によって決まる可能性はあるが、誘導体化剤として使用されるアルキルスルホン量は、このCDに存在する第1級水酸基の数に基づいて、約1モル当量を超えるべきではない。水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを、促進剤として使用してもよい。一実施形態において、水酸化ナトリウムは、コストが低いので有用である。その量は約30モル当量を超えなければならず、好ましくは、80〜200モル当量の範囲であるべきであり、反応物濃度を、10%(重量/重量)を超える高いレベル、好ましくは40〜60%(重量/重量)の範囲で設定する。部分的アルキル化に対して実質的に不活性な任意の溶媒を、反応媒体として使用してもよい。典型例として、水、DMF、DMSO、およびそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、水のみを使用することは、後処理を簡単にする。アルキルスルホンおよびアルカリの種類および濃度は、この反応に重要な意味をもたない。しかし、この反応を、習慣に従って、10℃〜80℃で、1時間、または20℃〜50℃で、5〜20時間撹拌しながら行う。
【0174】
一般的に当該技術分野で使用される技術を用いて、反応混合物から目的化合物を単離および精製してもよい。これらの技術には、有機溶媒を用いた抽出、透析、活性炭、シリカゲル、酸化アルミニウムおよび他の吸着剤を用いた吸着クロマトグラフィ、担体として、クロスリンクされたデキストリン、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体、および他のクロスリンクされた重合体を用いるクロマトグラフィ、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0175】
本明細書に有用なスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体には、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンを含むスルホブチルエーテルシクロデキストリンが含まれる。
【0176】
本明細書に有用なスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体の例として、カプチソール、CAS登録番号194615−04−8が挙げられる。
【0177】
このシクロデキストリンは、組成物の重量で約1%〜約50%を含む。さらなる実施形態において、このシクロデキストリンは、この組成物の重量で約5%〜約40%を構成する。さらなる実施形態において、このシクロデキストリンは、この組成物の重量で約10%〜約30%を構成する。さらなる実施形態において、このシクロデキストリンは、この組成物の重量で約15%〜約25%を構成する。
【0178】
C.水
一実施形態において、本発明の組成物は、約0.1%〜約99.9%の水を含み、さらなる実施形態において、約1〜約99%の水を、さらなる実施形態において、約5%〜約95%の水を、さらなる実施形態において、約10%〜90%の水を含む。組成物の定義において、水の量は、「q.s.」または「Q.S.」として指定することができ、これは最終組成物または100%の量をもたらすのに十分であることを意味する。
【0179】
d.糖および糖アルコール
本発明の組成物を、さらに凍結乾燥物で作製する時、糖、糖アルコール、またはそれらの混合物をさらに含むことができる。理論に制限されることなく、これらの糖および糖アルコールは、凍結乾燥物化の工程の間、凍結乾燥物の形成に役立つと考えられている。一般的に、凍結乾燥物を、例えば、凍結乾燥などにより、適切な条件下で、この組成物を乾燥することによって作製する。糖の限定されない例として、マンノース、ショ糖、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、およびそれらの混合物が挙げられる。糖アルコールの限定されない例として、マンニトールおよびキシリトールならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0180】
一実施形態において、この組成物は、約0.1%〜約50%の糖および糖アルコールを含む。
【0181】
e.ポリヒドロキシアミン化合物
一実施形態において、本発明の組成物は、ポリヒドロキシアミン化合物を含む。このポリヒドロキシアミン化合物は、本発明の組成物のポリヒドロキシ化合物から分離され、本発明の組成物のポリヒドロキシ化合物を含まない。このポリヒドロキシアミン化合物は、一般に、2つ以上のヒドロキシ置換基、および少なくとも1つのアミン(置換型または非置換型のいずれかの)置換基を有するC〜Cの直鎖状の、分枝状の、または環状の化合物である。
【0182】
さらなる実施形態において、ポリヒドロキシアミン化合物はメグルミンである。メグルミンは、CAS登録番号6284−40−8に相当し、メグルミン、USP;1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール;N−メチル−D−グルカミン;グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,D−(8Cl);ソルビトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−(6Cl);1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール;1−デオキシ−1−メチルアミノソルビトール;D−(−)−N−メチルグルカミン;メグルミン;メチルグルカミン;メチルグルカミン;N−メチル−D(−)−グルカミン;N−メチル−D−グルカミン;N−メチルグルカミン;N−メチルソルビチルアミン;NSC 52907;NSC 7391としても知られる。メグルミンは、CA指標名D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−(9Cl)も有する。メグルミンの化学式は、以下の通りである:
【化16】

【0183】
一実施形態において、ポリヒドロキシアミン化合物は、この組成物の重量で約0.1%〜約50%を構成する。さらなる実施形態において、ポリヒドロキシアミン化合物は、この組成物の重量で約0.25%〜約20%を構成する。さらなる実施形態において、ポリヒドロキシアミン化合物は、この組成物の重量で約0.5%〜約10%を構成する。さらなる実施形態において、ポリヒドロキシアミン化合物は、この組成物の重量で約1%〜約5%を構成する。
【0184】
f.キレート剤
本発明の組成物は、キレート剤をさらに含むことができる。本明細書記載のシクロデキストリン、ポリヒドロキシアミン化合物、または任意の他の成分がキレート化特性も有することができたとしても、このキレート剤は、本明細書記載のシクロデキストリン、ポリヒドロキシアミン化合物、または任意の他の成分を排除するものとして本明細書で定義する。本明細書で有用なキレート剤の例として、エチレンジアミン四酢酸としても知られるEDTA、またはその塩が挙げられる。有用な塩には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびそれらの塩の混合物が含まれる。塩の混合物または混合塩の例として、EDTAの一ナトリウム一カルシウム塩が挙げられる。EDTA二ナトリウムとしても知られる、EDTAの二ナトリウム塩は、本明細書で有用であることが判明した。便宜上、EDTA二ナトリウムを、本発明の組成物の製剤化において使用する水溶液として最初に、別々に調製することができる。
【0185】
一実施形態において、EDTA二ナトリウムは、この組成物の重量で約0.0010%〜約0.10%を構成する。さらなる実施形態において、EDTA二ナトリウムは、この組成物の重量で約0.0050%〜約0.050%を構成する。さらなる実施形態において、EDTA二ナトリウムは、この組成物の重量で約0.010%〜約0.020%を構成する。他の実施形態において、EDTA二ナトリウムは、この組成物の約0.010%、またはこの組成物の約0.011%、またはこの組成物の約0.012%、またはこの組成物の約0.013%、またはこの組成物の約0.014%、またはこの組成物の約0.015%、またはこの組成物の約0.016%、またはこの組成物の約0.017%、またはこの組成物の約0.018%、またはこの組成物の約0.019%、またはこの組成物の約0.020%を構成する。本明細書記載のEDTA二ナトリウムのこれらの重量パーセンテージは、エチレンジアミン四酢酸に基づく。
【0186】
g.pH調整剤およびこの組成物のpH
本発明の組成物は、この組成物のpHを調整または調節する様々な物質をさらに含むことができる。かかる物質は、酸、塩基、緩衝系などを含む。かかるpH調整剤の限定されない例として、例えば、塩酸および水酸化ナトリウムが挙げられる。他の有用な物質の例として、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、およびリジンが挙げられる。さらに、上記などのポリヒドロキシアミン化合物を、pH調整剤として使用することができる。さらに具体的には、ポリヒドロキシアミン化合物、メグルミンを、pH調整剤として使用することができる。
【0187】
本発明の組成物は、本発明の組成物が患者または対象に投与するのに適するようにpHを有するべきである。この組成物は、pH約7〜pH約11のpHを有する。さらなる実施形態において、この組成物は、pH約8〜pH約10のpHを有する。さらなる実施形態において、この組成物は、pH約8.5〜pH約9.5のpHを有する。さらなる実施形態において、この組成物は、pH約8.8〜pH約9.2のpHを有する。さらなる実施形態において、この組成物は、pH約9.0のpHを有する。
【0188】
h.追加成分
本発明の組成物は、医薬製剤業で知られる多種多様な賦形剤から選択される1つまたは複数の追加成分をさらに含むことができる。錠剤またはカプセルの所望の特性に従って、本発明の組成物の調製において、それらの既知の使用法に基づいて、多数の構成要素を単独でまたは組み合わせて選択することができる。かかる構成要素には、溶媒(例えば、エタノール);染料;ワックス、ゼラチン;保存剤(例えば、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、および安息香酸カリウム);酸化防止剤(例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、ならびに酢酸トコフェノールなどのビタミンEおよびビタミンEエステル);界面活性剤;UV−吸収剤などが含まれるが、それらに限定されない。
【0189】
一実施形態において、本発明の組成物は、担体を含む。この担体は、医薬的に許容可能な濃度で、デキストロース溶液または生理食塩水であり得る。担体を含むこの組成物を、i.v. 点滴バッグによって患者に投与することができる。
【0190】
3.処理
本発明の組成物を、従来の設備および混合技術を用いて作製する。
【0191】
凍結乾燥としても知られる凍結乾燥物化は、物質から、液体、一般に、水および他の比較的揮発性の溶媒を除去するための脱水工程である。物質を凍結し、その後、必要に応じて、周囲の圧力を減少させ、十分に加熱し、この物質中の凍結される流動性のある水および他の溶媒を固相から気相に直接昇華させることによって、凍結乾燥を行う。
【0192】
4.パッケージ
本発明の組成物を、液体または凍結乾燥物保存のためのバイアルなどの標準的な、市販の容器にパッケージすることができる。一般に、このバイアルはガラスである。このガラスは、無色または有色、透明または琥珀色であり得る。(スクリューキャップで閉じる)スクリューバイアル、(栓で閉じる)リップバイアル、または(ゴム栓および金属のキャップで閉じる)クリンプバイアルなどの様々な種類の閉鎖システムを使用することができる。
【0193】
さらに、再構成された凍結乾燥物を含む本発明の組成物を、静脈送達バッグまたは瓶の中でさらに希釈することができる。
【0194】
本発明は、キノロンカルボン酸誘導体またはそれを含む組成物の、対象への投与を簡略化することができるキットを含む。一実施形態において、本発明のキットは、単位用量形態のキノロンカルボン酸誘導体を含む。一実施形態において、この単位用量形態は無菌であり、有効量のキノロンカルボン酸誘導体および生理的に許容可能な担体もしくは媒体を含むことができる容器である。生理的に許容可能な担体は、医薬的に許容可能な濃度で生理食塩水およびデキストロース溶液を含む。かかる組成物を、点滴静注バッグの中に含めることができる。このキットは、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減するために、キノロンカルボン酸誘導体を使用することを説明する標識もしくは印刷された使用説明書をさらに含むことができる。本発明のキットは、これらの単位用量形態を投与するのに有用な道具をさらに含むことができる。かかる道具の例として、瓶、バイアル、注射器および点滴バッグが挙げられるが、それらに限定されない。道具の他の例として、パッチ、吸入器、およびかん腸用バッグが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、これらの単位用量形態を投与するのに有用な道具は容器である。
【0195】
5.感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する用量および方法
本発明の組成物は、例えば、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後の肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的治療または侵襲性内科的治療、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、結核、キノロン耐性グラム陽性感染、シプロフロキサシン耐性メチシリン耐性(MRSA)感染、気管支炎、合併性の皮膚および皮膚構造感染(cSSSI)、非合併性皮膚および皮膚構造感染(uSSSI)、市中気道感染、ならびに多剤耐性(MDR)グラム陰性感染が原因である感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減するのに有用である。
【0196】
活性化合物の用量および投与形態、例えば、注射、点滴などは、対象とする患者または対象および標的化される微生物、例えば、標的細菌性生物によって決まる。投与方法は、L.S.Goodman,et al.,The Pharmacological Basis of Therapeutics,201−26 (5th ed.1975)に記載されており、この全体の内容は、本明細書にその全体が組み込まれる。
【0197】
組成物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与量単位形態で製剤化され得る。投与量単位形態は、単一投与量として治療される対象に適する物理的に分離した単位をいう;各単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与量単位形態の規格は、活性化合物の固有の特徴、達成される治療効果、およびかかる活性化合物の個人の治療のための配合における、当該技術分野に固有の制限によって決定づけられ、直接決まる。さらに、投与は、ボーラスの定期的な注射によって、または、外部の容器(例えば、点滴バッグ)から、静脈内、筋肉内もしくは腹腔内投与により継続的に行われ得る。
【0198】
この活性化合物を移植手順の一部として使用する場合、提供者から組織または臓器を除去する前に、この活性化合物を、移植する生体組織または臓器に供給することができる。この化合物を提供者の宿主に供給することができる。あるいは、またはさらに、提供者から除去した時点で、臓器または生体組織を、この活性化合物を含む保存溶液に入れることができる。全ての場合において、本明細書記載のおよび/または当該技術分野で知られた任意の方法および製剤を用いて、この活性化合物を、組織への注射によって目的とする組織に直接投与することができる、または非経口投与によって全身に供給することができる。この薬物が組織または臓器の保存溶液の一部を含む場合、任意の市販の保存溶液を使用して、利益を得ることができる。例えば、当該技術分野で知られる有用な溶液として、コリンズ液、ウィスコンシン溶液、ベルザー液、ユーロコリンズ液および乳酸リンゲル液が挙げられる。
【0199】
本発明の方法と併せて、薬理ゲノミクス(すなわち、個人の遺伝子型と、外来性の化合物または薬物に対するその個人の反応との間の関係の研究)を検討することができる。治療上の代謝の違いが、薬理学的に有効な薬物の用量と血液濃度との間の関係を変えることによって、深刻な毒性または治療不全をもたらし得る。したがって、薬物を投与するかどうか、ならびにこの薬物を用いた治療の投与量および/または治療規制を目的に合わせるかどうかを決定することにおいて、医師または臨床医は、関連する薬理ゲノミクス研究において得られる知識の適用を考慮することができる。
【0200】
一般に、活性化合物の有効投与量は、1日あたり約0.1〜約100mg/kg(体重)の範囲にある。一実施形態において、この量は、1日あたり約1.0〜約50mg/kg(体重)の範囲にある。投与される量は、患者の全体的な健康状態、送達される化合物の関連する生物学的有効性、薬物の製剤化、この製剤の中の賦形剤の存在および種類、投与経路、ならびに治療される感染、予防される感染、リスクが軽減される感染などの変数によっても決まる可能性がある。投与する初期投与量を、所望の血液レベルまたは組織レベルを急速に達成するために、上記の上のレベルを越えて増やすことができ、またはこの初期投与量を、最適な投与量よりも少なくすることができる。
【0201】
活性化合物の限定されない用量は、1用量あたり約0.1〜約1500mgを構成する。患者への便利な投与の単位用量として製剤化することができる用量の限定されない例として、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg、約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、約1000mg、約1025mg、約1050mg、約1075mg、約1100mg、約1125mg、約1150mg、約1175mg、約1200mg、約1225mg、約1250mg、約1275mg、約1300mg、約1325mg、約1350mg、約1375mg、約1400mg、約1425mg、約1450mg、約1475mg、約1500mgが挙げられる。前述の用量は、本発明の方法に従って、本発明の化合物を投与するのに有用である。前述の用量は、本発明のキノロンカルボン酸誘導体、特に、デラフロキサシンという名前で知られる化合物、および医薬的に許容可能なその塩、エステルおよびプロドラッグを投与するのに特に有用である。
【0202】
一般に、当業者によって理解されるように、投与量を有効な医薬品について記載する場合、この投与量を、この親または有効な部分に基づいて与える。したがって、この親または有効な部分の塩、水和物、または別の型を使用する場合、用量とは、送達されるこの親または有効な部分に基づいて言われるものであるが、この化合物の重量における対応する調節が行われる。限定されない例として、所望の親または有効な部分が分子量250を有するモノカルボン酸である場合、かつこの酸の一ナトリウム塩が同じ投与量で送達されることが望ましい場合、一ナトリウム塩が分子量約272(すなわち、−1Hまたは1.008原子質量単位および+1Naまたは22.99原子質量単位)を有することを認識して、調節を行う。したがって、この親または有効な化合物の投与量250mgは、一ナトリウム塩約272mgに相当し、この親または有効な化合物250mgも送達する。別の言い方をすると、一ナトリウム塩約272mgは、この親または有効な化合物の投与量250mgに等しい。
【0203】
一実施形態において、本発明の組成物は、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減することを必要としている患者における感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する薬剤の製造に有用である。別の実施形態において、デラフロキサシン、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルは、感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減することを必要としている患者における感染を治療する、感染を予防する、または感染のリスクを軽減する薬剤の製造に有用である。かかる感染は、例えば、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後の肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的治療または侵襲性内科的治療、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、結核、キノロン耐性グラム陽性感染、シプロフロキサシン耐性メチシリン耐性(MRSA)感染、気管支炎、合併性の皮膚および皮膚構造感染(cSSSI)、非合併性皮膚および皮膚構造感染(uSSSI)、市中気道感染、ならびに多剤耐性(MDR)グラム陰性感染が原因であり得る。
【0204】
限定されない例としてデラフロキサシンを用いる、本発明の方法に有用な組成物の例として、デラフロキサシン、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル約300mgが含まれ得る。
【0205】
6.実施例
以下の例は、本発明の範囲の中の実施形態についてさらに記載し、明らかにする。これらの実施例は単なる説明の目的として与えられ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、それらの多くの変更が可能であるので、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0206】
構成要素を、化学名、USP名、またはCTFA名によって同定する。
【0207】
以下の製剤を、当業者に周知の技術および道具を組み合わせて使用することにより調製する。
【0208】
微生物感染、例えば、合併症のない皮膚感染、皮膚組織および軟組感染、合併症のある皮膚感染を含む皮膚感染、例えば、市中感染の肺炎、院内で起こる(病院感染型)肺炎、病院感染型市中肺炎、ウイルス感染後の肺炎を含む肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的治療または侵襲性内科的治療、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、結核を治療する、それらの感染を予防する、またはそれらの感染リスクを軽減するために、これらの製剤は、患者への点滴またはボーラスのいずれか、注射などの静脈内投与に有用である。さらに具体的には、この製剤は、患者に行われる外科的または侵襲的医療処置による感染のリスクの軽減または感染の予防に有用であり、このような場合、この製剤は、外科的または侵襲的医療処置のちょうど1時間前にまたは最高で約1時間前に投与され得る。
【0209】
実施例1.
【表1】

【0210】
上記の製剤の表に基づいて、以下の示された成分mgを、規定の投与量で送達する。
【表2】

【0211】
以下の組成物は、微生物感染を治療する、微生物感染を予防する、または微生物感染のリスクを軽減する、患者への静脈内投与に有用である。
【0212】
実施例2.
【表3】

【0213】
*さらなる製剤において、加えるEDTA溶液の量を、0.15mg/mLまで増加させる。
【0214】
以下の組成物は、微生物感染を治療する、微生物感染を予防する、または微生物感染のリスクを軽減する、患者への静脈内投与に有用である。
【0215】
上記の製剤の表に基づいて、以下の示されたmgの成分を、規定の投与量で送達する。
【表4】

【0216】
実施例3.静脈内投与のために再構成をする凍結乾燥品凍結乾燥品
製剤も、凍結乾燥品凍結乾燥品として調製することができる。例えば、上記の実施例1および2の製剤も、凍結乾燥物として調製することができる。これを、溶液を凍結乾燥物凍結乾燥物バイアルの中に滅菌濾過し、その後、従来のフリーズ・ドライ技術を用いて、これらのバイアルをフリーズ・ドライすることによって達成する。
【0217】
かかる製剤を、水または別の適切な水性に基づく溶液で再構成する。これらの凍結乾燥品凍結乾燥品は、この製剤を保存するのに小型で便利な形態である。
【0218】
実施例4.溶解性
本発明の組成物中の有効なキノロンカルボン酸抗菌剤の溶解性を評価する。
【0219】
常温の、平衡状態での溶解性の測定に際し、評価する、試験する過剰のキノロンカルボン酸抗菌化合物を試験媒体と混合する。初期pHを記録し、その後、塩酸または水酸化ナトリウムのいずれかを用いて、pHを試験の目的pHに調節する。試料を、25℃で、24〜72時間、200rpmの回転シェーカーに置き、一般に、各試料に対して多数の時点をとり、平衡状態に達したことを確かめる。各時点についてアリコートを取り、10分間、14Krpmで遠心分離する。上清を穏やかに取り、そのpHを測定する。その後、HPLC解析のために、試料をメタノールで稀釈した。
【0220】
4℃での溶解性を測定するために、常温での溶解性試験に用いた上清の試料を、4℃に置く。一般に、多数の時点をとり、平衡状態に達したことを確かめる。この試料をさらに冷やしたまま、各時点についてアリコートを取り、10分間、14Krpmで遠心分離する。上清を穏やかに取り、この試料を常温まで温め、そのpHを測定する。その後、HPLC解析のために、試料をメタノールで稀釈する。
【0221】
本発明以外の組成物と比較して、キノロンカルボン酸抗菌剤として、本発明の組成物は向上した溶解性をもたらす、すなわち溶解性が増加したことが判明した。
【0222】
実施例5.安定性
本発明の組成物の安定性を評価する。
【0223】
−20℃、4℃、40℃、および55℃、ならびに常温で、試料の安定性試験を行う。この試料を、Gray Bromobutyl 39フッ素処理した重合体の蓋(Wheaton)を有する20mLの血清クリンプバイアル(Wheaton)に入れる。pH、濃度、および安定性プロファイルを、10日目、1か月目、2か月目、および3ヶ月目に測定する。解析前に、氷が無くなるまで常温で溶解し、その後、10分間、37℃の水槽に入れることにより、−20℃の試料を溶解する。その後、簡単に(約15秒)試料を振盪するかまたはかき混ぜ、全ての個体が溶解していることを確かめる。
【0224】
本発明以外の組成物と比較して、本発明の組成物は、安定性が増加した組成物を提供することが判明した。
【0225】
実施例6.静脈耐性
本発明の組成物の静脈耐性を、インビボの、ラットの尾注射モデルにおいて評価することができる。静脈耐性を試験するために、ぜん動ポンプを用いて、ラットの尾の1つの静脈に所望の組成物を注入する。最高で連続約5日まで、組成物を注入する。毎日の各々の注入は、10mL/kg/時の速度で、約1時間にわたる。ラットの尾の状態を、評価尺度を用いて、視覚的に評価する。組成物の静脈耐性を、ラットの尾の状態およびこの組成物を注入することができる連続日数から評価する。言い換えると、4日間連続してうまく注入することができる組成物は、2日間のみ連続してうまく注入することができる組成物よりも、よりよい静脈耐性を有する。適切な対照組成物も評価することができる。本発明以外の組成物と比較して、本発明の組成物は、耐性が向上した、すなわち、静脈耐性が増加したことが判明した。
【0226】
静脈耐性の測定に際し、ラットを、温めるために加熱ランプ下に置く。Advance Infusion System(CellPoint Scientific)を用いて、注入の間、これらのラットが動かないようにする。このラットを、三角形の6ミルのポリエチレン袋(DecapiCone,Braintree Scientific)の中に入れる。その後、袋詰めにしたこのげっ歯類を、シリコンチューブで作られた3つの身体拘束バンドを用いて、注入用デーブル(15 3/4“×15 3/4”)の上に抑えながら置く。Abbocath−T(G720−A01,IV535−24,24G×3/4“,Abbott,Ireland)留置カテーテルを、右または左のいずれかの尾の側脈に置き、外科用テープ(3M,Hypoallergenic Micropure)を用いて、挿入部分の場所を固定する。カテーテルへの血液のフラッシュバックにより、正確な位置を確認する。5mLの注射器に取り付け、投薬液で前もって刺激した16“IV増設セット(Baxter,2C5643)を、留置カテーテルに取り付け、外科用テープを用いてその場所を固定する。Harvard Apparatusの注入ポンプにより、1時間、ゆっくり、化合物を注入する。注入後、ガーゼで軽く押さえながら、外科用テープを除去し、カテーテルをゆっくり挿入部位から取り除く。温かい水で洗浄することにより、尾に残っている血液をきれいにする。その後、Decapi−Cone袋から、これらのラットを出し、ケージに戻す。
【0227】
参照による組み込み
本明細書で参照した訂正証明書、特許出願書類、科学論文、政府の報告書、ウェブサイト、および他の参考文献を含む特許書類の各々の全開示は、全ての目的のために、その全体が参照により組み込まれる。
【0228】
同等物
本発明を、本発明の趣旨または本質的な特徴を逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書記載の発明において、限定的というよりむしろ、全ての点で、例示的であると考えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および
(b)シクロデキストリン
を混合前に含む医薬組成物。
【請求項2】
(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、
(b)シクロデキストリン、および
(c)キレート剤
を混合前に含む医薬組成物。
【請求項3】
(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および
(b)シクロデキストリン
を含む医薬組成物。
【請求項4】
(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、
(b)シクロデキストリン、および
(c)キレート剤
を含む医薬組成物。
【請求項5】
包接錯体を含む医薬組成物であって、前記包接錯体は、
(a)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および
(b)シクロデキストリン
を含む。
【請求項6】
(a)包接錯体、ならびに
(b)キレート剤
を含む医薬組成物であって、前記包接錯体は、
(i)キノロンカルボン酸誘導体または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル、および
(ii)シクロデキストリン
をさらに含む。
【請求項7】
水溶液を含む(水溶液の形態の)、請求項4〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
乾燥混合物を含む(乾燥混合物の形態の)、請求項4〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記乾燥混合物が凍結乾燥物である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記乾燥混合物が凍結乾燥により生成される、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記乾燥混合物または凍結乾燥物が再構成される、請求項8または9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が希釈される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記シクロデキストリンがβ−シクロデキストリンである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリンエーテル、β−シクロデキストリンエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択されるβ−シクロデキストリンである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記シクロデキストリンがヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンである、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリンがヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンである、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記シクロデキストリンが、次式(3)に相当するβ−シクロデキストリンである、請求項15に記載の医薬組成物。
(β−シクロデキストリン)−OR
(3)

(式中、R残基は水素またはヒドロキシアルキル基であり、R残基の一部は任意でアルキル基であってもよく、前記β−シクロデキストリンエーテルは、水100mL中に1.8gを超える水溶解度を有する。)
【請求項20】
Rがヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ジヒドロキシプロピル、メチル、またはエチルからなる群から選択される、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記R基がヒドロキシプロピルである、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、約0.86〜約1.14の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記ヒドロキシ−プロピルβ−シクロデキストリンが、約0.59〜約0.73
の、無水グルコース単位あたりの分子置換を有する、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが、CAS登録番号128446−35−5に相当する、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記シクロデキストリンが式1のスルホアルキルエーテルシクロデキストリン誘導体である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【化1】


式1
式中、nは、4、5または6であり;
式1のR、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立して、OまたはO−(C2−6アルキレン)−SO基であり、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6アルキレン)−SO基であり;ならびに
、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、医薬的に許容可能なカチオンであり、ここで、前記組成物は、薄層クロマトグラフィにより分析すると、非誘導体化シクロデキストリンがないことを示す。
【請求項26】
式中、R、RおよびRは、各々独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、O−(CH−SO基であり、mは2、3、4、5または6である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
式中、R、RおよびRは、各々独立して、O−(CH−SO基であり、mは3または4である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;および
、RおよびRは、各々−Oである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
式中、R、RおよびRの少なくとも1つは、独立して、前記O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;および
、RおよびRは、各々−Oである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項31】
式中、R、RおよびRは、各々、O−(C2−6−アルキレン)−SO基であり;ならびに、
、RおよびRは、各々−Oである、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項32】
式中、S、S、S、S、S、S、S、SおよびSは、各々独立して、H、Li、Na、K、Ca+2、Mg+2またはアンモニウムである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記スルホアルキルエーテルシクロデキストリンが、スルホブチルエーテルβ−シクロデキストリンである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項34】
式中、前記スルホアルキルエーテルβ−シクロデキストリンが、CAS登録番号194615−04−8に相当する、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記キノロンカルボン酸誘導体が次式2の構造に相当する、請求項1〜35のいずれか1項に記載の医薬組成物、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル。
【化2】


式2

式中、Rは、水素原子またはカルボキシル保護基を示し;
は、水酸基、低級アルコキシ基、または置換もしくは非置換アミノ基を示し;
は、水素原子またはハロゲン原子を示し;
は、水素原子またはハロゲン原子を示し;
は、ハロゲン原子または任意で置換された飽和環状アミノ基を示し;
は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または任意に保護されたアミノ基を示し;
X、YおよびZは、同じであるかまたは異なってもよく、それぞれ窒素原子、−CH=または−CR=(ここで、Rは低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を示す)を示し;
ただし、X、YおよびZの少なくとも1つは窒素原子を示し、かつWは窒素原子または−CR=(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示す)を示し;
ただし、本請求項で定義されるR、R、R、R、R、R、R、R、W、X、Y、およびZは、式2に関して定義される。
【請求項37】
請求項36に記載の医薬組成物、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステルであって、
ただし、Rが水素原子を示す時、Rはアミノ基を示し、RおよびRはフッ素原子を示し、Rは水素原子を示し、Xは窒素原子を示し、Yは−CR=(ここで、Rはフッ素原子を示す)を示し、Zは−CH=を示し、ならびにWは−CR=(ここで、Rは塩素原子を示す)であり、その結果、Rは3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル基ではない。
【請求項38】
前記キノロンカルボン酸誘導体が以下の化合物(A)に相当する、請求項1〜36のいずれか1項に記載の医薬組成物、または医薬的に許容可能なその塩もしくはエステル。
【化3】


(A)

【請求項39】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−、1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図1に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸塩(塩)である、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、D−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、Cu−Ka放射を用いて約25℃で測定した時、図2に示す粉末回折パターンによって特徴づけられる結晶のD−グルシトール,1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−,1−(6−アミノ−3,5ジフルオロ−2−ピリジニル)−8−クロロ−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3−ヒドロキシ−1−アゼチジニル)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸三水和物(塩)である、請求項41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記キレート剤がEDTAまたはその塩である、請求項2、4、または6〜42のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記キレート剤が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、およびそれらの混合物からなる群から選択されるEDTA塩である、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記キレート剤が、EDTA二ナトリウムである、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項46】
ポリヒドロキシアミン化合物をさらに含む、請求項1〜45のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記ポリヒドロキシアミン化合物がメグルミンである、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、水中のキノロンカルボン酸誘導体と比較して、溶解性において測定可能な改善を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約1mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約2mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約3mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約5mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約10mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約15mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約20mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約25mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、25℃で、少なくとも約30mg/mLの溶解性を有する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
安定性が改善された、請求項1〜57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
以下のパラメータの少なくとも1つによって測定した場合、安定性が改善された、請求項58に記載の医薬組成物:
(a)前記組成物は、その初期pHの約10%以内にpHを維持する、または
(b)前記組成物は、前記キノロンカルボン酸誘導体の初期量の少なくとも約90%を保持する、または
(c)前記組成物は、注射における粒子状物質のUSP788節に記載の標準的な光遮断型微粒子試験(light obscuration particle test)を用いて測定した場合、1単位容器あたり、前記組成物は10マイクロメートル以上の6000個以下の微粒子を有し、かつ25マイクロメートル以上の600個以下の微粒子を有するような沈殿を形成しない。
【請求項60】
前記組成物が室温で保管できた少なくとも30日後に、前記パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記組成物が室温で保管できた少なくとも60日後に、前記パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記組成物が室温で保管できた少なくとも90日後に、前記パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記組成物が室温で保管できた少なくとも180日後に、前記パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項64】
前記組成物が室温で保管できた少なくとも1年後に、前記パラメータ(a)、(b)、または(c)のいずれかが決定される、請求項59に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記組成物が、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす、請求項1〜64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記静脈耐性が、ラットの尾注射モデルにおいて測定される、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記組成物を、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記組成物を、少なくとも連続2日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記組成物を、少なくとも連続3日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記組成物を、少なくとも連続4日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記組成物を、少なくとも連続5日目に、少なくとも1時間、10mL/kg/時の速度で、ラットの尾注射モデルに注入することができる、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記キノロンカルボン酸誘導体が、水中のキノロンカルボン酸誘導体と比較して、溶解性において測定可能な改善を有し、および/または前記組成物は安定性が完全され、および/または前記組成物は、静脈耐性において測定可能な増加をもたらす、請求項1〜47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項73】
(a)前記組成物の全重量と比較して、約0.01重量%〜約50重量%のデラフロキサシン;
(b)前記組成物の全重量と比較して、約0.1重量%〜約50重量%のメグルミン;および
(c)前記組成物の全重量と比較して、約1重量%〜約50重量%のCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、
を含む医薬組成物。
【請求項74】
(a)前記組成物の全重量と比較して、約0.01重量%〜約50重量%のデラフロキサシン;
(b)前記組成物の全重量と比較して、約0.1重量%〜約50重量%のメグルミン;
(c)前記組成物の全重量と比較して、約1重量%〜約50重量%のCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン;および
(d)前記組成物の全重量と比較して、約0.001重量%〜約0.10重量%のEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項75】
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、および
(c)約1000mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、
を含む医薬組成物。
【請求項76】
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、
(c)約500mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)0mg〜約4mgのEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項77】
(a)約100mg〜約500mgのデラフロキサシン、
(b)約15mg〜約125mgのメグルミン、
(c)約500mg〜約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.40mg〜約4mgのEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項78】
(a)約100mgのデラフロキサシン、
(b)約24.4mgのメグルミン、および
(c)約1000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、
を含む医薬組成物。
【請求項79】
(a)約300mgのデラフロキサシン、
(b)約73.2mgのメグルミン、および
(c)約3000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、
を含む医薬組成物。
【請求項80】
(a)約500mgのデラフロキサシン、
(b)約122mgのメグルミン、および
(c)約5000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、
を含む医薬組成物。
【請求項81】
(a)約100mgのデラフロキサシン、
(b)約19.52mgのメグルミン、
(c)約800mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.44mgのEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項82】
(a)約300mgのデラフロキサシン、
(b)約58.56mgのメグルミン、
(c)約2400mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約1.32mgのEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項83】
(a)約500mgのデラフロキサシン、
(b)約97.6mgのメグルミン、
(c)約4000mgのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約2.2mgのEDTA二ナトリウム、
を含む医薬組成物。
【請求項84】
(a)約20mg/mLのデラフロキサシン、
(b)約4.88mg/mLのメグルミン、
(c)約200mg/mLのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)水、
を含む水性の医薬組成物。
【請求項85】
約9±0.1pH単位のpHを有する、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
(a)約25mg/mLのデラフロキサシン、
(b)約4.88mg/mLのメグルミン、
(c)約200mg/mLのCAS登録番号194615−04−8に相当するスルホブチルエーテルβ−シクロデキストリン、および
(d)約0.11mg/mLのEDTA二ナトリウム、
(e)水、
を含む水性の医薬組成物。
【請求項87】
約9±0.1pH単位のpHを有する、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
凍結乾燥物の形態の、請求項73〜83のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項89】
マンニトールをさらに含む、請求項73〜88のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項90】
単位用量の形態の、請求項73〜89のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項91】
請求項1〜91のいずれか1項に記載の組成物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法。
【請求項92】
請求項1〜91のいずれか1項に記載の組成物を、それらを必要とする患者に投与することを含む、投与中の静脈不耐性を軽減すると同時に、細菌感染を治療する、細菌感染を予防する、または細菌感染のリスクを軽減する方法。
【請求項93】
前記組成物が、点滴静注バッグを用いて患者に投与される、請求項91または92のいずれかに記載の方法。
【請求項94】
前記組成物が、生理食塩水またはデキストロース担体を含む、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
請求項1〜90のいずれか1項に記載の医薬組成物および容器を含むキット。
【請求項96】
前記容器が、瓶、バイアル、注射器もしくは点滴バッグである、請求項94に記載のキット。
【請求項97】
瓶、バイアル、注射器もしくは点滴バッグをさらに含む、請求項94に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−508757(P2012−508757A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536469(P2011−536469)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064220
【国際公開番号】WO2010/056872
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511118805)リブ−エックス ファーマシューティカルズ インク (2)
【Fターム(参考)】