説明

抗菌防カビ剤及びそれを配合した使途ごとの二次製品

【課題】安全無害で徐放性・永続性な抗菌防カビ剤を提供する。
【解決手段】下記一般式で表されるジまたはトリカルボニル化合物が、銅または亜鉛に配位している金属錯体。一般式 HC{C(O)R{C(O)OR(式中、l,m,nは何れも1以上で合計4である)この化合物を配合した塗料、繊維処理剤、切削油、防臭剤、入浴剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は 医療施設・食品加工場などを 衛生的に良好な状態とする為施される 抗菌防カビ剤について 使途に合わせ 適合した性能・処方・用法を提供するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来 医療施設・食品加工場において 衛生状況を改善する為に 大別して 次の5種の薬剤が採用されていた。
▲1▼過酸化物、 ▲2▼石炭酸系化合物、 ▲3▼ハロゲン系有機化合物、 ▲4▼砒素系有機化合物、 ▲5▼水銀、銀などの 必須ではない金属とその化合物
しかし それらは 少量且つ短期間の使用では 害も少なく有益であるが、効果が持続しない故に 頻繁に施す必要があり、常用すれば 蓄積毒や環境汚染の副作用の虞がある。
従って 常用しても安全無害で 且つ持続性のある抗菌防カビ剤の開発が待たれていた。
【課題を解決する為の手段】
【0003】
安全無害である為に 抗菌防カビ元素として 必須ミネラルのみを採用する事により、蓄積毒にも環境汚染にも成らず、程々の溶解度を選ぶ事により 徐放性・持続性もある、安全無害で永続な抗菌防カビ剤を得る。
【発明の効果】
【0004】
必須ミネラルとして 銅及び亜鉛を採用する事で 充分な抗菌防カビ効果が得られ、且つ 誤って生体内に摂取される事が有っても 必須ながら不足に成り易い銅と亜鉛はサプリメントとして積極的に摂取を促される程であるから、なんら案ずることは無い。
【0005】
錯体の配位子の一般式のlが1でm+nが3の場合トリカルボニル化合物であり、lが2でm+nが2の場合ジカルボニル化合物であるが、m,nの数は1又は2であり、l,m,nの和が4である化合物。
【0006】
錯体配位子一般式のR,Rの炭素数を選択する事により 分散媒体に対する溶解度・親和度 更に 電解度を調整する事ができ、徐放性・永続性を調節する事が可能である。
【発明を実施する為の最良の形態】
【0007】
,Rを構成する炭化水素基として 炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基が良く、アルキル基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミルなど、アリール基としてフェニル、2,3又4−メチルフェニルなど、アラルキル基としてベンジル、フェネチルなどが最良である。
【実施例1】
【0008】
アセチルアセトンをHacacとして 錯体Cu(acac)を数%配合した水性硬化型塗料。
この場合採用した塗料は アクリルモノマーを水中へ分散した 一般的水性塗料であるが塗装され造膜後縮合を開始し、充分乾燥された数日後には 不溶・不融な塗膜を形成する。塗膜内に包含された薬剤は 塗膜に保護され 徐々に溶出するため その薬効である抗菌防かび性能を永続する事が可能である。此れは 木造家屋の床下・厨房・浴室・北側外壁など木部の耐用年数の延長や 畜舎などの臭気やカビを防ぎたい場合に有効である。
【実施例2】
【0009】
アセチルアセトンをHacacとして 錯体Zn(acac)を数%配合した水性繊維処理剤。
この場合も採用した繊維処理剤は アクリルモノマーを水中へ分散した 一般的繊維処理剤であるが、分散質の内容を対象繊維の性状に対応して選択して 素繊維の交点へ付着し硬化した後は 繊維製品の寸法・形状を保つのみでなく 風合いと共に薬剤の諸機能を永続的に発揮するものである。此れを フィルターとして用いた場合 その寿命を延長するのみでなく 通過後の流体へ 抗菌防カビの機能付与するにも有効である。
【実施例3】
【0010】
アセト酢酸エチルをHetacとして 錯体Cu(etac)を数%配合した水性切削油。
切削油は その目的から 切削対象物保護の為に諸物質を含み それが腐敗菌の栄養源となって 腐敗し易い物である。腐敗した切削油は 切削対象物を腐食し 作業環境を甚だ損ね 廃棄処分にも幾多の困難があり その防腐対策は重要である。
【実施例4】
【0011】
アセト酢酸エチルをHetacとして 錯体Zn(etac)を数%配合した水性防臭剤。
臭気は 菌やカビの繁殖により発生する場合が多く 何らその栄養源が無くとも 其処に空気・湿気と温度があれば 必ず菌やカビが繁殖し臭気が生まれる。まして其処にペットが居たら 臭気の発生は当然で 此れは 安全無害な対策として有効である。
【実施例5】
【0012】
ジエチルアセチルマロナートをHacdemとして 錯体Zn(acdem)を数%配合した入浴剤。ペットの皮膚疾患に亜鉛製剤が有効である報告を良く目にするが、ペットへ施療するのは 一般人には大変難しい行為である。ペットを入浴させることはペットも喜びそれ程困難ではない。ペット用入浴剤に亜鉛製剤が配合されれば 治療・防臭に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式で表されるジ又はトリカルボニル化合物が 銅又は亜鉛イオンに配位して成る 金属錯体である抗菌防カビ剤。
C{C(O)R{C(O)OR………l,m,nの数は何れも1以上で且つ合計4である。
【請求項2】
請求項1に記載の抗菌防カビ剤を配合した塗料
【請求項3】
請求項1に記載の抗菌防カビ剤を配合した繊維処理剤
【請求項4】
請求項1に記載の抗菌防カビ剤を配合した切削油
【請求項5】
請求項1に記載の抗菌防カビ剤を配合した防臭剤
【請求項6】
請求項1に記載の抗菌防カビ剤を配合した入浴剤

【公開番号】特開2006−282647(P2006−282647A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130328(P2005−130328)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(502440159)有限会社キュウケン (7)
【Fターム(参考)】